(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023089740
(43)【公開日】2023-06-28
(54)【発明の名称】情報処理方法、情報処理装置、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/16 20120101AFI20230621BHJP
G06Q 50/26 20120101ALI20230621BHJP
【FI】
G06Q50/16
G06Q50/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021204435
(22)【出願日】2021-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】399094361
【氏名又は名称】株式会社東京カンテイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹内 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】植草 裕如
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC27
5L049CC35
(57)【要約】
【課題】対象の画地の画地条件を取得する。
【解決手段】コンピュータが、評価の対象の画地の位置情報を受け付けることと、登記されている土地の範囲を示す境界線に関する情報を含む筆界データと、道路を示す道路データと、を取得することと、筆界データから、対象の画地の複数の辺をなす複数の線分を特定することと、対象の画地について、筆界データと道路データとを重ね合わせて、対象の画地の複数の線分それぞれと、対象の画地を含む所定範囲に含まれる1又は複数の道路それぞれと、の距離に基づいて、道路に接面する辺を特定することと、を含む情報処理方法である。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータが、
評価の対象の画地の位置情報を受け付けることと、
登記されている土地の範囲を示す境界線に関する情報を含む筆界データと、道路を示す道路データと、を取得することと、
前記筆界データから、前記対象の画地の複数の辺をなす複数の線分を特定することと、
前記対象の画地について、前記筆界データと前記道路データとを重ね合わせて、前記対象の画地の前記複数の線分それぞれと、前記対象の画地を含む所定範囲に含まれる1又は複数の道路それぞれと、の距離に基づいて、道路に接面する辺を特定することと、
を含む情報処理方法。
【請求項2】
前記コンピュータは、
前記対象の画地の前記複数の線分それぞれと前記1又は複数の道路それぞれとの距離のうち、前記距離が所定の閾値未満である線分を含む1又は複数の辺を、接面する辺として特定する、
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項3】
前記コンピュータは、
前記線分上の代表点から前記道路を代表する線分へ垂線を引いた場合の前記垂線の長さを前記距離として取得する、
請求項2に記載の情報処理方法。
【請求項4】
前記コンピュータは、
前記対象の画地について、前記道路に接面する辺が複数ある場合には、優先度が最も高い辺を前記対象の画地の正面と判定する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項5】
前記コンピュータは、
方位、接面する道路の路線価、前記接面する道路の幅員、及び、前記接面する道路と接面する辺の長さ、のうちの少なくとも一つに基づいて、前記優先度を決定する、
請求項4に記載の情報処理方法。
【請求項6】
評価の対象の画地の位置情報を受け付けることと、
登記されている土地の範囲を示す境界線に関する情報を含む筆界データと、道路を示す道路データと、を取得することと、
前記筆界データから、前記対象の画地の複数の辺をなす複数の線分を特定することと、
前記対象の画地について、前記筆界データと前記道路データとを重ね合わせて、前記対象の画地の前記複数の線分それぞれと、前記対象の画地を含む所定範囲に含まれる1又は複数の道路それぞれと、の距離に基づいて、道路に接面する辺を特定することと、
を実行する制御部、
を備える情報処理装置。
【請求項7】
コンピュータに、
評価の対象の画地の位置情報を受け付けることと、
登記されている土地の範囲を示す境界線に関する情報を含む筆界データと、道路を示す道路データと、を取得することと、
前記筆界データから、前記対象の画地の複数の辺をなす複数の線分を特定することと、
前記対象の画地について、前記筆界データと前記道路データとを重ね合わせて、前記対象の画地の前記複数の線分それぞれと、前記対象の画地を含む所定範囲に含まれる1又は
複数の道路それぞれと、の距離に基づいて、道路に接面する辺を特定することと、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土地を評価する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
土地の評価にあたっては、画地条件の判定が重要である。画地条件とは、例えば、当該土地の地積、形状、方位、及び、接面道路との位置関係等の物理的な固有の条件のことである。画地とは、利用状況からみて一体と考えられる一画の土地をいう。画地と接面道路との位置関係には、例えば、接面する道路の数に応じて、「一方路」、「二方路」、「三方路」、「四方路」等がある。また、画地が区画の角に位置する、すなわち、接面する2つの道路が交差する場合には、当該画地は、「角地」となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば、接面道路の特定、間口の特定、及び、画地と接面道路との位置関係の分類等の画地条件の判定は、人間の目視に依るところが大きく、評価者の主観によって結果が異なることがある。
【0005】
本発明は、上記した問題に鑑み、対象の画地の画地条件を取得可能な情報処理方法、情報処理装置、及び、プログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様の一つは、コンピュータが、評価の対象の画地の位置情報を受け付けることと、登記されている土地の範囲を示す境界線に関する情報を含む筆界データと、道路を示す道路データと、を取得することと、筆界データから、対象の画地の複数の辺をなす複数の線分を特定することと、対象の画地について、筆界データと道路データとを重ね合わせて、対象の画地の複数の線分それぞれと、対象の画地を含む所定範囲に含まれる1又は複数の道路それぞれと、の距離に基づいて、道路に接面する辺を特定することと、を含む情報処理方法である。
【0007】
本発明の態様の一つによれば、コンピュータに、対象の画地の位置情報を与えると、当該対象の画地の辺のうち、道路に接面する辺が特定される。すなわち、本発明の態様の一つによれば、自動的に、対象の画地の道路に接面する辺を特定することができる。
【0008】
筆界データは、対象の画地の境界線についてより正確な情報を含むデータである。一方、道路データは、道路についてより正確な情報を含むデータである。道路データは、道路の輪郭を示すラインデータ又はポリゴンデータを含んでもよいし、道路の中心線を示すラインデータ又はポリゴンデータを含んでもよい。この2つのデータを用いることによって、より正確に、対象の画地の道路に接面する辺を特定することができる。
【0009】
本発明の態様の一つでは、コンピュータは、対象の画地の複数の線分それぞれと1又は複数の道路それぞれとの距離のうち、距離が所定の閾値未満である線分を含む1又は複数の辺を、接面する辺として特定するようにしてもよい。筆界データと道路データとは、異なる独立したデータであるので、座標合わせを行って重ね合わせた場合でも、誤差が生じ
ることがある。本発明の態様の一つによれば、対象の画地の線分と道路との距離が所定の閾値未満である場合に、当該線分を含む辺を道路に接面する辺として特定することができ、筆界データと道路データとの間に誤差がある場合でも、精度良く対象の画地の道路に接面する辺を特定することができる。
【0010】
本発明の態様の一つでは、コンピュータは、対象の画地について、道路に接面する辺が複数ある場合には、優先度が最も高い辺を対象の画地の正面と判定してもよい。画地の正面とは、間口を有する辺のことである。優先度は、道路と接面する辺の方位、接面する道路の路線価、接面する道路の幅員、及び、接面する道路と接面する辺の長さ、のうちの少なくとも一つに基づいて、決定されてもよい。これによって、対象の画地の正面を自動的に特定することができる。
【0011】
本発明の他の態様の一つは、上記情報処理方法を実行する情報処理装置としても特定することができる。具体的には、当該情報処理装置は、評価の対象の画地の位置情報を受け付けることと、登記されている土地の範囲を示す境界線に関する情報を含む筆界データと、道路を示す道路データと、を取得することと、筆界データから、対象の画地の複数の辺をなす複数の線分を特定することと、対象の画地について、筆界データと道路データとを重ね合わせて、対象の画地の複数の線分それぞれと、対象の画地を含む所定範囲に含まれる1又は複数の道路それぞれと、の距離に基づいて、道路に接面する辺を特定することと、を実行する制御部を備える。
【0012】
また、本発明の他の態様の一つは、コンピュータに上記情報処理方法を実行させるためのプログラムとしても特定可能である。具体的には、当該プログラムは、コンピュータに、評価の対象の画地の位置情報を受け付けることと、登記されている土地の範囲を示す境界線に関する情報を含む筆界データと、道路を示す道路データと、を取得することと、筆界データから、対象の画地の複数の辺をなす複数の線分を特定することと、対象の画地について、筆界データと道路データとを重ね合わせて、対象の画地の複数の線分それぞれと、対象の画地を含む所定範囲に含まれる1又は複数の道路それぞれと、の距離に基づいて、道路に接面する辺を特定することと、を実行させる。なお、本発明の他の態様の一つは、上記プログラムを格納した非一時的記憶媒体として捉えることもできる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、対象の画地の画地条件を自動的に取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る土地評価システムの一例を示す図である。
【
図2】
図2は、サーバのハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、サーバの機能構成の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、サーバの画地条件の取得処理のフローチャートの一例である。
【
図7】
図7は、接道辺判定処理のフローチャートの一例である。
【
図8】
図8は、接道辺判定処理における道路データの抽出範囲の具体例を示す図である。
【
図9】
図9は、接道辺判定処理において、近接する対象の画地の境界線と道路データの線分とを特定する処理の具体例を示す図である。
【
図12】
図12は、V型ラインのピポット以外の2点間の距離が所定値以下である画地の一例を示す図である。
【
図13】
図13は、角判定処理のフローチャートの一例である。
【
図14】
図14は、接道辺が複雑な形状を形成する画地の一例である。
【
図15】
図15は、系統数判定処理における画地に接面する道路の系統数のカウント方法の一例を示す図である。
【
図16】
図16は、系統数判定処理における画地に接面する道路の系統数のカウント方法の一例を示す図である。
【
図17】
図17は、系統数判定処理における画地に接面する道路の系統数のカウント方法の一例を示す図である。
【
図18】
図18は、系統数判定処理における画地に接面する道路の系統数のカウント方法の一例を示す図である。
【
図19】
図19は、系統数判定処理のフローチャートの一例である。
【
図20】
図20は、画地と接面する道路との位置関係の種類の一例を示す図である。
【
図21】
図21は、接面する道路の系統数と「角(カド)」の数と接道状態との関係を示す表の一例である。
【
図22】
図22は、接面する道路の系統数と「角(カド)」の数と接道状態との関係において、各接道状態の例を示す図である。
【
図23】
図23は、第1の四角形の設定方法を説明するための図である。
【
図24】
図24は、第1の四角形の設定方法を説明するための図である。
【
図25】
図25は、第1の四角形の設定方法を説明するための図である。
【
図26】
図26は、通常の角地における、第1の四角形と道路との交点の一例を示す図である。
【
図27】
図27は、T角地における、第1の四角形と道路との交点の一例を示す図である。
【
図28】
図28は、準角地における、第1の四角形と道路との交点の一例を示す図である。
【
図29】
図29は、角地種類判定処理のフローチャートの一例である。
【
図30】
図30は、道路幅員の決定方法を説明するための図である。
【
図31】
図31は、道路幅員の決定方法を説明するための図である。
【
図32】
図32は、対象の画地と、当該画地に接面する接面道路において、道路幅員の決定処理を行う場合に取得される候補値Wc、Wr、及び、Wlの一例を示す図である。
【
図33】
図33は、対象の画地と、当該画地に接面する接面道路において、道路幅員の決定処理を行う場合に取得される候補値Wc、Wr、及び、Wlの一例を示す図である。
【
図34】
図34は、対象の画地と、当該画地に接面する接面道路において、道路幅員の決定処理を行う場合に取得される候補値Wc、Wr、及び、Wlの一例を示す図である。
【
図35】
図35は、道路幅員の決定処理のフローチャートの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態を説明する。以下の実施形態の構成は例示であり、本発明は実施形態の構成に限定されない。
【0016】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る土地評価システムの一例を示す図である。土地評価システム100は、土地の価値を評価し、評価結果として土地の価格を提示するシステムである。土地評価システム100は、サーバ1と、端末2とを含む。土地評価システム100は、端末2を複数含むが、
図1では、簡略化のため、端末2は、1台のみ表示されている。サーバ1と端末2とは、例えば、通信ネットワークN1を介して接続されている。通信ネ
ットワークN1は、例えば、インターネット等の公衆ネットワークであってもよいし、社内ネットワーク等のプライベートなネットワークであってもよい。
【0017】
端末2は、例えば、PC、スマートフォン、及び、タブレット端末等である。端末2は、サーバ1へ、対象の画地の座標情報を送信する。対象の画地の座標情報は、例えば、端末2上に表示された電子地図上で対象の画地の位置がユーザによって指定されることで特定されて、端末2からサーバ1へ送信されてもよい。または、対象の画地の座標情報は、例えば、端末2に対象の画地の住所が入力され、端末2が当該住所を対象の画地の座標情報に変換して送信してもよいし、端末2がサーバ1へ対象の画地の住所を送信し、サーバ1が座標情報に変換してもよい。対象の画地の座標情報及び住所等は、「対象の画地の位置情報」の一例である。
【0018】
サーバ1は、対象の画地の座標情報を受信すると、対象の画地の画地条件を取得する。土地評価システム100では、例えば、取得された画地条件等から対象の画地の評価額が算出され、端末2へ送信される。画地条件は、画地そのものが備えている条件であって、例えば、方位、地積、形状、接面する道路との位置関係等がある。第1実施形態では、サーバ1は、画地条件のうち、対象の画地について、例えば、道路に接面する辺、正面、接面する道路との位置関係、及び、角地である場合には角地の種類等を取得する。その他の画地条件は、サーバ1又はサーバ1以外の装置によって取得される。また、対象の画地の評価額は、サーバ1が算出してもよいし、サーバ1以外の装置が算出してもよい。第1実施形態では、サーバ1以外の装置が算出することとする。また、対象の画地の評価額の算出方法は、特定の方法に限定されず、既存の方法のいずれであってもよい。
【0019】
第1実施形態では、サーバ1は、筆界データと道路データとを用いて、対象の画地と接面する道路との位置関係を取得する。筆界データは、筆界、すなわち、画地の境界線を示すポリゴンデータである。道路データは、道路の境界線(輪郭)を示すベクタデータである。ベクタデータは、ラインデータ及びポリゴンデータを含む。第1実施形態によれば、対象の画地と接面する道路との位置関係を自動的に取得することができる。
【0020】
図2は、サーバ1のハードウェア構成の一例を示す図である。サーバ1は、例えば、専用のコンピュータ、又は、PC(Personal Computer)等の汎用のコンピュータである。
サーバ1は、例えば、ハードウェア構成要素として、CPU(Central Processing Unit
)101、メモリ102、外部記憶装置103、及び、通信部104を備え、これらがバスにより互いに接続されている情報処理装置である。
【0021】
通信部104は、例えば、有線のネットワーク、又は、無線のネットワークと接続する。通信部104は、例えば、NIC(Network Interface Card)、無線LAN(Local Area Network)カード、又は、携帯電話網に接続するための無線回路等である。通信部104で受信されたデータ等は、CPU 101に出力される。
【0022】
メモリ102は、CPU 101に、外部記憶装置103に格納されているプログラムをロードする記憶領域および作業領域を提供したり、バッファとして用いられたりする記憶装置である。メモリ102は、例えば、RAM(Random Access Memory)のような半導体メモリである。
【0023】
外部記憶装置103は、様々なプログラムや、各プログラムの実行に際してCPU 101が使用するデータを格納する。外部記憶装置103は、例えば、EPROM(Erasable Programmable ROM)、ハードディスク(Hard Drive Disc)、又は、SSD(Solid State Drive)である。外部記憶装置103は、例えば、オペレーティングシステム(OS
)、土地評価制御プログラム、接道辺判定プログラム、角判定プログラム、系統数判定プ
ログラム、接道状態判定プログラム、角地種類判定プログラム、及び、その他様々なアプリケーションプログラムを保持する。接道辺判定プログラムは、画地の道路に接面する辺を判定するプログラムである。角判定プログラムは、画地に「角(カド)」が含まれるか否かを判定するプログラムである。系統数判定プログラムは、画地が接面する道路の本数を判定するプログラムである。接道状態判定プログラムは、画地と接面する道路との位置関係を判定するプログラムである。角地種類判定プログラムは、画地が角地である場合に、角地の種類を判定するプログラムである。土地評価制御プログラムは、土地評価を制御するプログラムである。
【0024】
CPU 101は、補助記憶装置105に保持されたOSや様々なアプリケーションプログラムを主記憶装置102にロードして実行することによって、様々な処理を実行する。CPU 101は、1つであってもよいし、複数であってもよい。
【0025】
なお、
図2に示されるサーバ1のハードウェア構成は、一例であり、上記に限られず、実施の形態に応じて、適宜、構成要素の省略や置換、追加が可能である。例えば、サーバ1は、キーボードやマウス等の入力装置、及び、ディスプレイ等の出力装置を備えてもよい。例えば、サーバ1は、可搬記録媒体を駆動し、可搬記録媒体に記録されたデータを読み出す可搬記録媒体駆動装置を備えてもよい。可搬記録媒体は、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリ、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)、Blu-ray(登録商標)ディスクのようなディスク記録媒体、フラッシュメモリカードのような記録媒体である。
【0026】
図3は、サーバ1の機能構成の一例を示す図である。サーバ1は、機能構成要素として、制御部11、接道辺判定部12、角判定部13、系統数判定部14、接道状態判定部15、及び、角地種類判定部16を備える。これらの機能構成要素は、サーバ1のCPU 101が外部記憶装置103に保持されているプログラムを実行することによって達成される機能構成要素である。
【0027】
制御部11は、CPU 101が土地評価制御プログラムを実行することによって実現される機能構成要素である。制御部11は、土地の評価に係る全体の処理を制御する。制御部11は、対象の画地の座標情報を受け付けると、対象の画地の座標情報から所定範囲内の筆界データと道路データとを取得する。筆界データと道路データとは、例えば、日本全国のデータが予めサーバ1の外部記憶装置103に保持されていてもよいし、それぞれの出版業者のサーバから対象の画地の座標情報から所定範囲内のデータが取得されてもよい。その後、制御部11は、接道辺判定部12、角判定部13、系統数判定部14、接道状態判定部15、及び、角地種類判定部16に処理の開始を指示し、それぞれからの出力データを取得する。制御部11は、例えば、取得した出力データを土地の価格を算出する他の装置へ送信してもよいし、取得した出力データを用いて制御部11自身が土地の価格を算出してもよい。
【0028】
接道辺判定部12は、CPU 101が接道辺判定プログラムを実行することによって実現される機能構成要素である。接道辺判定部12は、対象の画地の道路に接面する辺、正面の辺、及び、接面する道路を特定する。接道辺判定部12は、制御部11から、処理の開始の指示と、対象の画地の座標情報から所定範囲内の筆界データと道路データと、の入力を受けると処理を開始する。制御部11は、対象の画地から所定範囲内の筆界データと道路データとを座標合わせを行って重ね合わせ、対象の画地の各辺と周辺の複数の道路それぞれとの距離を取得し、当該距離が所定の閾値未満である場合に、当該辺を道路に接面する辺、当該道路を対象の画地に接面する道路として取得する。また、接道辺判定部12は、対象の画地の道路に接面する辺のうち、優先度の高い辺を正面の辺として特定する。画地の正面とは、間口が設置される面をいう。道路に接面する辺の優先度は、例えば、
方位、路線価、接面する道路の幅員、道路に接面する長さ等に基づいて取得される。接道辺判定部12は、制御部11へ、対象の画地の道路に接面する辺と、正面の辺と、接面する道路と、の情報を出力する。なお、接道辺判定部12の処理の詳細は後述される。
【0029】
角判定部13は、CPU 101が角判定プログラムを実行することによって実現される機能構成要素である。角判定部13は、対象の画地に「角(カド)」が含まれているか否かを判定する。「角(カド)」とは、例えば、交差点に面している画地のように、接面する道路を通過する場合に右折又は左折が必要となるような、道路の曲がり角の内側の部分と接面している少なくとも2つの辺で形成される画地の一部分のことである。角判定部13は、制御部11から、処理の開始の指示と、接道辺判定部12によって取得された対象の画地の道路に接面する辺の情報との入力を受けると、処理を開始する。角判定部13は、筆界データを参照し、対象の画地の道路に接面する複数の辺間の位置関係に基づいて、対象の画地に含まれる「角(カド)」を特定する。角判定部13は、制御部11へ、対象の画地に含まれる「角(カド)」に関する情報を出力する。対象の画地に含まれる「角(カド)」に関する情報には、例えば、対象の画地に含まれる「角(カド)」の数と、それぞれの「角(カド)」を形成する少なくとも2つの辺の情報とが含まれる。角判定部13の処理の詳細は後述される。
【0030】
系統数判定部14は、CPU 101が系統数判定プログラムを実行することによって実現される機能構成要素である。系統数判定部14は、対象の画地が接面する道路の本数を判定する。画地が道路に接面する辺の数と、画地に接面する道路の本数とは、必ずしも一致しないためである。系統数判定部14は、制御部11から、処理の開始の指示と、接道辺判定部12によって取得された対象の画地の道路に接面する辺の情報と、角判定部13によって取得された対象の画地に含まれる「角(カド)」に関する情報と、の入力を受けると、処理を開始する。角判定部13は、対象の画地の道路に接面する辺の連続性と、「角(カド)」の数とに基づいて、対象の画地が接面する道路の本数を判定する。系統数判定部14は、制御部11へ、対象の画地が接面する道路の本数を出力する。系統数判定部14の処理の詳細は後述される。
【0031】
接道状態判定部15は、CPU 101が接道状態判定プログラムを実行することによって実現される機能構成要素である。接道状態判定部15は、対象の画地と対象の画地に接面する道路との位置関係を判定する。対象の画地と対象の画地に接面する道路との位置関係には、例えば、画地に接面する道路の本数及び「角(カド)」の有無に応じて、「一方路」、「二方路」、「角地」、「三方路」、「四方路」、…がある。接道状態判定部15は、制御部11から、処理の開始の指示と、角判定部13によって取得された対象の画地に含まれる「角(カド)」に関する情報と、系統数判定部14によって取得された対象の画地が接面する道路の本数と、の入力を受けると、処理を開始する。接道状態判定部15は、角判定部13によって取得された対象の画地に含まれる「角(カド)」の数と、系統数判定部14によって取得された対象の画地が接面する道路の本数と、に基づいて、対象の画地と対象の画地に接面する道路との位置関係を判定する。接道状態判定部15は、制御部11へ、対象の画地と対象の画地に接面する道路との位置関係を出力する。接道状態判定部15の処理の詳細は後述される。
【0032】
角地種類判定部16は、CPU 101が角地種類判定プログラムを実行することによって実現される機能構成要素である。角地種類判定部16は、対象の画地が角地である場合に、角地の種類を判定する。角地の種類には、例えば、通常の角地、T角地、及び、準角地がある。角地種類判定部16は、制御部11から、処理の開始の指示と、対象の画地から所定範囲内の道路データと、角判定部13によって取得された対象の画地に含まれる「角(カド)」に関する情報と、接道状態判定部15によって取得された対象の画地の接道状態の種類と、の入力を受けると処理を開始する。角地種類判定部16は、対象の画地
に含まれる「角(カド)」と周辺の道路との関係に基づいて、角地の種類を判定する。角地種類判定部16は、制御部11へ、対象の画地の角地の種類を出力する。角地種類判定部16の処理の詳細は、後述される。
【0033】
制御部11は、接道辺判定部12から対象の画地の道路に接面する辺と、正面の辺と、の情報、角判定部13から対象の画地に含まれる「角(カド)」に関する情報、系統数判定部14から対象の画地が接面する道路の本数、接道状態判定部15から対象の画地と対象の画地に接面する道路との位置関係、及び、角地種類判定部16から対象の画地が角地である場合の角地の種類の判定結果の入力を受ける。制御部11は、画地条件の一つとして、例えば、対象の画地の、道路に接面する辺、正面の辺、対象の画地に接面する道路との位置関係、及び、角地の種類を出力する。制御部11から出力される画地条件は、対象の画地の評価の要素の一部として用いられる。
【0034】
図4は、サーバ1の画地条件の取得処理のフローチャートの一例である。
図4に示される処理は、対象の画地の座標情報が受け付けられると開始される。
図4に示される処理の主体は、CPU 101であるが、便宜上、機能構成要素を主体として説明する。
【0035】
OP1では、制御部11は、対象の画地の座標情報に基づいて、対象の画地から所定範囲内に含まれる筆界データと道路データとを取得する。所定範囲は、例えば、対象の画地を中心とする10m~1km四方の任意の範囲である。
【0036】
OP2では、制御部11は、接道辺判定部12に処理の開始を指示し、接道辺判定部12は、対象の画地の道路に接面する辺を特定する接道辺判定処理を実行する。すなわち、接道辺判定処理は、接道辺判定プログラムに含まれる処理であり、OP2では、接道辺判定プログラムが実行される。対象の画地の道路に接面する辺を、以下、接道辺と称する。OP2の接道辺判定処理によって、対象の画地の、接道辺、正面の辺、及び、接面する道路の情報が取得される。
【0037】
OP3では、制御部11は、角判定部13に処理の開始を指示し、角判定部13は、対象の画地が「角(カド)」を含むか否かを判定する角判定処理を実行する。すなわち、角判定処理は、角判定プログラムに含まれる処理であり、OP3では、角判定処理が実行される。OP3の角判定処理によって、対象の画地に含まれる「角(カド)」に関する情報(例えば、対象の画地に含まれる「角(カド)」の数及び「角(カド)」を形成する少なくとも2つの辺の情報)が取得される。
【0038】
OP4では、制御部11は、系統数判定部14に処理の開始を指示し、系統数判定部14は、対象の画地に接面する道路の本数を判定する系統数判定処理を実行する。すなわち、系統数判定処理は、系統数判定プログラムに含まれる処理であり、OP4では、系統数判定プログラムが実行される。OP4の系統数判定処理によって、対象の画地に接面する道路の本数が取得される。
【0039】
OP5では、制御部11は、接道状態判定部15に処理の開始を指示し、接道状態判定部15は、対象の画地と対象の画地に接面する道路との位置関係を判定する接道状態判定処理を実行する。すなわち、接道状態判定処理は、接道状態判定プログラムに含まれる処理であり、OP5では、接道状態判定プログラムが実行される。OP5の接道状態判定処理によって、対象の画地と対象の画地に接面する道路との位置関係が取得される。
【0040】
OP6では、制御部11は、角地種類判定部16に処理の開始を指示し、角地種類判定部16は、対象の画地の角地の種類を判定する角地種類判定処理を実行する。すなわち、角地種類判定処理は、角地種類判定プログラムに含まれる処理であり、OP6では、角地
種類判定プログラムが実行される。OP6の角地種類判定処理によって、対象の画地の角地の種類が取得される。
【0041】
OP7では、制御部11は、画地条件として、例えば、画地条件の一つとして、例えば、対象の画地の、道路に接面する辺、正面の辺、対象の画地に接面する道路との位置関係、及び、角地の種類を出力する。その後、
図4に示される処理が終了する。なお、
図4に示される処理の実行順は一例であって、
図4に示される実行順に限定されない。
【0042】
<接道辺判定処理>
図5は、筆界データの一例を示す図である。筆界データは、登記情報によって示される画地の境界線を示すポリゴンデータである。筆界データは、例えば、法務省の外郭団体によって公開されている登記情報を、民間企業がデータ化したものである。筆界データは登記情報が更新される度に更新される。筆界データを参照することで、一筆すなわち一画地の境界や範囲を特定することができる。なお、筆界データでは、各画地は、地番で識別されている。
【0043】
図6は、道路データの一例を示す図である。道路データは、道路の境界線を示すラインデータ又はポリゴンデータである。以下、道路データに相当するラインデータ及びポリゴンデータを、単に、ラインデータ等、と表記する。道路データは、例えば、道路工事を請け負う建設会社等が独自に作成したデータである。
図6に示される例では、ラインデータ等は、道路の輪郭を示す。
【0044】
道路データでは、ラインデータは、
図6に示されるような、複数のセットに分けられており、それぞれのセットにはユニークな識別情報(道路ID)が付与されている。
図6に示される例では、道路IDが“L64(2135)”で識別されるラインデータが示されている。
【0045】
1つの道路IDで識別されるラインデータは、ノード(点)とアーク(線分)で構成されている。なお、第1実施形態では、道路データは、
図6に示されるように、道路の輪郭を示すラインデータであるが、これに限定されず、道路データは、道路の中心線を示すラインデータと道路の幅員とで示されるデータであってもよい。
【0046】
図7は、接道辺判定処理のフローチャートの一例である。
図7に示される処理は、
図4のOP2において実行される処理である。接道辺判定部12は、制御部11から、処理の開始の指示の入力を受けると、
図7に示される処理を開始する。制御部11からは、処理の開始の指示とともに、対象の画地から所定範囲内の筆界データと道路データとの入力を受ける。
【0047】
OP201では、接道辺判定部12は、対象の画地から所定範囲内の筆界データと道路データとを、座標を合わせて、重ね合わせる。OP202では、接道辺判定部12は、対象の画地を含む抽出範囲内の道路データを識別情報単位で抽出する。抽出範囲は、例えば、筆界データと道路データとを取得するときの所定範囲よりも狭い範囲である。OP202では、抽出範囲に一部でも含まれる道路データは、抽出される。
【0048】
OP203では、接道辺判定部12は、対象の画地の境界線(辺)に近接する道路データの線分を特定する。OP203では、接道辺判定部12は、対象の画地の境界線の各線分とOP202で抽出された道路データに含まれる各線分とについて、距離を取得し、距離が所定の閾値未満となる対象の境界線の線分と道路データの線分とを特定する。特定された道路データの線分を含む道路が対象の画地に接面する道路である。特定された対象の画地の線分を含む辺が、道路に接面する辺(接道辺)である。近接する対象の画地の線分
と道路データの線分とは、複数の組み合わせが特定されてもよい。
【0049】
OP204では、接道辺判定部12は、対象の画地の正面を決定する。OP203において、特定された接道辺が1つである場合には、接道辺判定部12は、特定された接道辺を正面の辺として決定する。特定された接道辺が複数である場合には、接道辺判定部12は、各接道辺の優先度を取得し、優先度の高い接道辺を正面の辺として決定する。
【0050】
接道辺の優先度は、例えば、各辺の方位、路線価、接面する道路の幅員、及び、道路に接面している部分の長さのうちの少なくとも一つに基づいて求められる。優先度は、例えば、道路に接面する辺の方位が南>東>西>北の順で高くなるように求められる。また、優先度は、接面する道路の路線価が高いほど高くなるように求められる。また、優先度は、接面する道路の幅員が大きいほど高くなるように求められる。また、優先度は、道路に接面する部分の長さが大きいほど高くなるように求められる。なお、優先度の算出方法は、どのようであってもよく、特定の方法に限定されない。
【0051】
接道辺判定部12は、対象の画地の接道辺と、対象の画地に接面する道路及び線分の識別情報と、対象の画地の正面の辺と、を制御部11へ出力し、その後、
図7に示される処理が終了する。
【0052】
図8は、接道辺判定処理における、道路データの抽出範囲の具体例を示す図である。接道辺判定部12は、対象の画地を含む抽出範囲に含まれる道路データを識別情報単位で取得する(
図7、OP202)。
図8では、抽出範囲は矩形であるが、抽出範囲の形状は矩形に限定されず、円形であってもよいし、特定の形状に限定されない。抽出範囲は、例えば、対象の画地全体を含む所定範囲の領域である。抽出範囲の大きさは、例えば、矩形である場合には、一辺が30~100mほどの大きさである。抽出範囲に一部でも差し掛かる道路データは抽出される。
【0053】
図9は、接道辺判定処理において、近接する対象の画地の境界線と道路データの線分とを特定する処理の具体例を示す図である。
図9に示される例では、対象の画地は、線分P0-P1、線分P1-P2、線分P2-P3、線分P3-P4、線分P4-P0の5つの線分を含む。各点は、他の画地との交点である。なお、線分は複数であっても図形的には1つの辺として特定されることもあるため、必ずしも、画地に含まれる線分の数=画地の辺の数とはならない。例えば、
図9における線分P1-P2と線分P2-P3とは線分としては異なるものとなるが、当該2つの線分で同じ1つの辺を形成している。
【0054】
接道辺判定部12は、対象の画地の各線分について、抽出範囲に含まれる各道路データの各線分との距離を取得する。対象の画地の線分と道路データの線分との距離は、例えば、対象の画地の線分の中点から道路データの線分へ引いた垂線の長さで求められる。対象の画地の線分と道路データの線分との距離が所定の閾値未満である場合に、接道辺判定部12は、当該対象の画地の線分と道路データの線分との組み合わせを、接道辺と、対象の画地に接面する道路として特定する(
図7のOP203)。接道辺と、対象の画地に接面する道路とを判定するための閾値は、例えば、当該道路の幅員に基づいて、設定される。
【0055】
筆界データと道路データとは、作成者又は作成基準が異なる可能性がある。また、筆界データは画地に重点を置いて作成されており、道路データは道路に重点を置いて作成されている。そのため、筆界データと道路データとを座標を合わせて重ね合わせても、ずれが生じる可能性が高い。その為、対象の画地の道路に接面する境界線と、対象の画地に接面する道路の境界線とが重ならないことがある。そのため、対象の画地の線分と道路データの線分との距離の閾値を用いて、道路に接面する対象の画地の辺と、対象の画地に接面する道路とを判定する。
【0056】
図9に示される例では、線分P4-P0が道路に接面する辺として特定される。また、
図9に示される例では、対象の画地に線分P4-P0以外に道路に接面する辺が存在しないので、接道辺判定部12は、線分P4-P0を正面(間口)として判定する(
図7のOP204)。対象の画地の接道辺が決まると、例えば、路線価データにおいて、接道辺から道路の方向に垂線を下して、当該垂線と交差する線分に設定されている路線価を、対象の画地の路線価として取得することができる。
【0057】
接道辺判定処理によれば、筆界データと道路データとから、対象の画地の接道辺、正面の辺、及び、対象の画地に接面する道路を自動的に特定することができる。また、筆界データは画地の境界線をより正確に示すデータであり、道路データは道路の境界線をより正確に示すデータである。これら2つのデータを用いることによって、より正確に、対象の画地の道路に接面する辺、及び、対象の画地に接面する道路を特定することができる。
【0058】
<角判定処理>
図10及び
図11は、画地の角判定処理の一例を示す図である。
図10及び
図11では、一角が隅切りされている画地500を対象とする。例えば、
図10に示される画地500のような隅切りされている角地の場合、接道辺は、辺P0-P1、辺P1-P2、辺P2-P3の3つであっても、対象の画地に接面する道路は2本である。すなわち、画地の接道辺の数と対象の画地に接面する道路の本数とは必ずしも一致するとは限らない。また、隅切り部分の辺P1-P2を含む部分は、点P1を頂点とする角(カク)と、点P2を頂点とする角(カク)と、2つの角(カク)が存在するが、辺P0-P1、辺P1-P2、辺P2-P3に接面する道路を通過する場合には、左折又は右折を1回行うだけなので、「角(カド)」は1つとなる。
【0059】
「角(カド)」は、接面する道路を通過する場合に右折又は左折が必要となるような、道路の曲がり角の内側の部分と接面している少なくとも2つの辺で形成される画地の一部分のことである。「角(カク)」は、1つの頂点を端点とする2つの辺から形成される形である。「角(カド)」の判定は、人間の目視であれば正確に判定することができるが、単純に図形的な角(カク)を特定すればよいわけではないため、機械的には精度良く判定することが難しい。第1実施形態の角判定処理では、画地に含まれる「角(カド)」を特定するために、以下の処理が行われる。
【0060】
(1)角判定部13は、対象の画地の接道辺を把握する。
図10に示される例では、接道辺は、辺P0-P1、辺P1-P2、辺P2-P3の3つである。
(2)角判定部13は、対象の画地に含まれるすべての接道辺から2つを選ぶ組み合わせを全パターン作成する。
図10に示される例では、接道辺3つから2つを選ぶ組合せなので、組み合わせ#1:辺P0-P1と辺P1-P2、組み合わせ#2:辺P1-P2と辺P2-P3、組み合わせ#3:辺P0-P1と辺P2-P3の3つの組み合わせが取得される。
【0061】
(3)角判定部13は、各組み合わせについて、2つの線分の交点を求め、V字状のラインを作成する。V字状のラインを、以下、V型ラインと称する。2つの線分の交点を、以下、ピポットと称する。ピポットは、2つの線分で形成される角の頂点とも称される。2つの線分が接続していない場合には、各線分の一端を延長し、当該延長線上に交点が求められる。
図10に示される例では、組み合わせ#1の2つの線分は、点P1をピポットとするV型ラインP0-P1-P2を形成する。組み合わせ#2の2つの線分は、点P2をピポットとするV型ラインP1-P2-P3を形成する。組合せ#3の2つの線分は、接続していない(離れている)ので、それぞれの延長線上に交点PKが求められ、交点PKをピポットとするV型ラインP0-PK-P3が形成される。
【0062】
(4)角判定部13は、V型ラインのうち、角度が所定値未満であるV型ラインを抽出する。閾値となる角度は、例えば、120度から135度の範囲で任意に設定される。V型ラインが閾値以上の角度を形成する場合には、接面する道路は緩やかなカーブとなり、曲がり角ではなくなるためである。
図10に示される3つのV型ラインはいずれも角度が閾値未満である。
【0063】
(5)
図11に進み、角判定部13は、ピポットが他のV型ラインのいずれの線分上にも位置していないV型ラインは「角(カド)」を含むと判定する。ピポットが他のV型ラインのいずれかの線分上に位置する場合には、角判定部13は、当該ピポットを含むV型ラインは「角(カド)」を含まないと判定する。
【0064】
図11に示される例では、対象の画地500において、ピポットP1及びピポットP2は、それぞれ、V型ラインP0-PK-P3の線分P0-P1、線分P2-P3上に位置している。ピポットPKは、いずれのV型ラインのいずれの線分上にも位置していない。したがって、V型ラインP0-PK-P3は「角(カド)」を含むと判定される。一方、V型ラインP0-P1-P2、V型ラインP1-P2-P3は「角(カド)」を含まないと判定される。したがって、対象の画地500は、「角(カド)」を1つ含む。
【0065】
(6)角判定部13は、V型ラインに含まれる2つの線分の、ピポットとは反対側の2つの端点間の距離が所定値以下である場合には、当該V型ラインは「角(カド)」を含まないと判定する。閾値は、例えば、1mである。
図10及び
図11に示されるV型ラインP0-PK-P3の点P0と点P3間の距離は所定値以上であるため、V型ラインP0-PK-P3は「角(カド)」を含むと判定される。
【0066】
図12は、V型ラインに含まれる2つの線分の、ピポットとは反対側の2つの端点間の距離が所定値以下である画地の一例を示す図である。
図12に示される画地600は、突起部分610を含むが、当該突起部分610は、ピポット以外の点間の距離が所定値以下であるため、「角(カド)」を含まないと判定される。これによって、小さい突起部分等を「角(カド)」として誤認識してしまうことを抑制することができる。
【0067】
図13は、角判定処理のフローチャートの一例である。
図13の角判定処理は、
図4のOP3において実行される処理である。角判定部13は、制御部11から、処理の開始の指示の入力を受けると、
図13に示される処理を開始する。制御部11からは、処理の開始の指示とともに、対象の画地の接道辺の情報も入力される。
【0068】
OP301では、角判定部13は、対象の画地の接道辺が2つ以上であるか否かを判定する。対象の画地の接道辺が2つ以上である場合には(OP301:YES)、処理がOP303へ進む。対象の画地の接道辺が1つである場合には(OP301:NO)、処理がOP302へ進む。OP302では、角判定部13は、対象の画地に含まれる「角(カド)」の数を0と判定する。その後、
図13に示される処理が終了する。
【0069】
OP303では、角判定部13は、対象の画地のすべての接道辺から2つの線分を選択する組み合わせの全パターンを抽出する。OP304では、角判定部13は、各組み合わせについて、2つの線分の交点を求め、V型ラインを作成する。OP305では、角判定部13は、対象の画地に含まれる「角(カド)」の数を示す変数Nを初期値0に設定する。
【0070】
OP306からOP310の処理は、全V型ラインについて繰り返し実行される。以下、対象のV型ラインは、OP306からOP310の処理の対象のV型ラインを示す。
【0071】
OP306では、角判定部13は、対象のV型ラインが所定値以下の角度の角(カク)を形成するか否かを判定する。対象のV型ラインが所定値以下の角度の角(カク)を形成する場合には(OP306:YES)、処理がOP307へ進む。対象のV型ラインが所定値より大きい角度の角(カク)を形成する場合には(OP306:NO)、処理がOP310へ進み、OP310では、角判定部13は、対象のV型ラインに「角(カド)」が含まれないことを判定する。
【0072】
OP307では、角判定部13は、対象のV型ラインのピポットが他のV型ラインのいずれかの線分上に位置するか否かを判定する。対象のV型ラインのピポットが他のV型ラインのいずれかの線分上に位置する場合には(OP307:YES)、処理がOP310へ進み、OP310では、角判定部13は、対象のV型ラインに「角(カド)」が含まれないことを判定する。対象のV型ラインのピポットが他のいずれのV型ラインのいずれの線分上にも位置しない場合には(OP307:NO)、処理がOP308へ進む。
【0073】
OP308では、角判定部13は、対象のV型ラインの2つの線分のピポットとは反対側の2つの端点間の距離が閾値以下であるか否かを判定する。対象のV型ラインの2つの線分のピポットとは反対側の2つの端点間の距離が閾値以下である場合には(OP308:YES)、処理がOP310へ進み、OP310では、角判定部13は、対象のV型ラインに「角(カド)」が含まれないことを判定する。対象のV型ラインの2つの線分のピポットとは反対側の2つの端点間の距離が閾値より長い場合には(OP308:NO)、処理がOP309へ進む。
【0074】
OP309では、角判定部13は、対象の画地に含まれる「角(カド)」の数Nを1加算して更新する。その後、全てのV型ラインについて、OP306からOP310の処理が実行されると、
図13に示される処理が終了する。なお、角判定処理において、対象の画地の接道辺は、接道辺判定部12によって判定された結果を用いることに限定されず、例えば、人間が目視で指定したものであってもよい。
【0075】
図14は、接道辺が複雑な形状を形成する画地の一例である。
図14に示される画地700は、接道辺が階段状の形状を形成している。画地700に対して、
図13の角判定処理を実施すると、以下のようになる。
【0076】
画地700からは、V型ラインP0-P1-P2、P1-P2-P3、P2-P3-P4、P3-P4-P5、P4-P5-P6、P0-PK1-P4、P0-PK0-P6、P2-PK2-P6の8つのV型ラインが得られる。このうち、V型ラインP1-P2-P3、P3-P4-P5は、形成する角(カク)の角度が所定値より大きくなるため、「角(カド)」を含まないと判定される。
【0077】
V型ラインP0-P1-P2は、ピポットP1がV型ラインP0-PK0-P6、P0-PK1-P4上に位置するため、「角(カド)」を含まないと判定される。V型ラインP2-P3-P4は、ピポットP3が、V型ラインP0-PK1-P4、P2-PK2-P6上に位置するため、「角(カド)」を含まないと判定される。V型ラインP4-P5-P6は、ピポットP5がV型ラインP0-PK0-P6、P2-PK2-P6上に位置するため、「角(カド)」を含まないと判定される。
【0078】
V型ラインP0-PK1-P4は、ピポットPK1がV型ラインP0-PK0-P6上に位置するため、「角(カド)」を含まないと判定される。V型ラインP2-PK2-P6は、ピポットPK2がV型ラインP0-PK0-P6上に位置するため、「角(カド)」を含まないと判定される。V型ラインP0-PK0-P6は、ピポットPK0がいずれ
のV型ライン上にも位置しないため、「角(カド)」を含むと判定される。
【0079】
したがって、第1実施形態に係る角判定処理によれば、画地に含まれる「角(カド)」を正確に判定することができる。
【0080】
<系統数判定処理>
画地の形状は、長方形や正方形ばかりではなく、様々な形状がある。その他、画地が何系統の道路に接続しているかは、接道辺の数と必ずしも一致せず、人間の目視で判定されることが多い。系統数判定処理では、画地の接道辺と「角(カド)」の部分とに基づいて、画地が接面する道路の系統数を数える。道路の系統とは、右折又は左折せずに進行できる道路の部分をいう。例えば、画地の複数の接道辺が連続し、且つ、当該連続する複数の接道辺内に「角(カド)」が含まれない場合には、当該画地に接面する道路の一部分は右折又は左折せずに進行できるので、当該画地に接面する道路の系統数は1となる。なお、本明細書のここまでにおいて、「画地に接面する道路の本数」とは、「画地に接面する道路の系統数」を示している。
【0081】
図15、
図16、
図17、及び、
図18は、系統数判定処理における画地に接面する道路の系統数のカウント方法の一例を示す図である。
図15~
図18では、同じ形状の画地を例に説明される。
図15~
図18では、画地の接道辺は実線で、接道辺以外の辺は破線で示されている。また、
図15~
図18では、画地には、一定の走査方向で連続するように、各辺及び各頂点に番号が付されている。
【0082】
図15では、画地の辺0と辺1とが接道辺である場合の例が示されている。系統数判定処理では、系統数判定部14は、画地の全ての辺について、接道辺であるか否かを調べ、辺0から順に接道辺であるか否かを示す値を並べて、配列変数を作成する。
図15では、対象の画地の配列変数も示されている。系統数判定部14は、配列変数において、連続し、且つ、「角(カド)」を含まない接道辺の群は、接面する道路の1つの系統とみなす。したがって、
図15に示される画地は、辺0と辺1とが連続しており、辺0から辺1にかけて「角(カド)」は含まれていないため、連続し、且つ、「角(カド)」を含まない接道辺の群の数が1となり、系統数判定部14は、画地の接面する道路の系統数を1と判定する。なお、連続する辺とは、一端同士が接続している辺のことである。
【0083】
図16では、画地の辺0、辺1、辺4、及び、辺5が接道辺である場合の例が示されている。また、
図16では、対象の画地に対応する配列変数も示されている。辺0と辺1は連続している。また、辺4と辺5も連続している。しかしながら、辺1と辺4は連続していない。また、辺0と辺1、及び、辺4と辺5はそれぞれ「角(カド)」を含んでいない。したがって、
図16に示される画地は、連続し、且つ、「角(カド)」を含まない接道辺の群の数が2となり、系統数判定部14は、画地の接面する道路の系統数を2と判定する。
【0084】
図17では、画地の辺0、辺1、辺2、辺3、及び、辺7が接道辺である場合の例が示されている。また、
図17では、対応する配列変数も示されている。辺7と辺0とは、配列変数上では連続していないが、図形上では連続しているので、系統数判定部14は、辺0、辺1、辺2、辺3、及び、辺7は連続しているとみなす。また、
図18に示される画地では、辺1から辺3にかけて「角(カド)」が1つ含まれている。「角(カド)」が含まれる場合には、系統数判定部14は、「角(カド)」が含まれる最初の接続辺で系統を分ける。したがって、
図18に示される画地は、連続する接道辺の群の数は1であるが、当該接道辺の群に1つの「角(カド)」が含まれるため、系統数判定部14は、画地の接面する道路の系統数を、連続する接道辺の群の数1+「角(カド)」の数1=2と判定する。なお、
図17に示される例では、「辺7-辺0-辺1」と「辺2-辺3」の2系統と
なる。
【0085】
図18では、画地の全ての辺が接道辺である場合の例が示されている。また、
図18では、対応する配列変数も示されている。
図18に示される画地では、「角(カド)」が4つ含まれる。
図18のように、画地の全ての辺が接道辺である場合には、系統数判定部14は、画地に含まれる「角(カド)」の数を、画地の接面する道路の系統数とする。
図18に示される例では、画地の接面する道路の系統数は4である。
【0086】
図19は、系統数判定処理のフローチャートの一例である。
図19の系統数判定処理は、
図4のOP4において実行される処理である。系統数判定部14は、制御部11から、処理の開始の指示の入力を受けると、
図19に示される処理を開始する。制御部11からは、処理の開始の指示とともに、接道辺判定部12によって取得された対象の画地の接道辺、及び、角判定部13によって取得された「角(カド)」に関する情報も入力される。
【0087】
OP401では、系統数判定部14は、対象の画地の各辺について、接道辺であるか否かで配列変数を作成する。OP402では、系統数判定部14は、配列変数において、連続する接道辺の群の数M(Mは0を含む正の整数)を取得する。OP403では、系統数判定部14は、対象の画地に含まれる「角(カド)」の数N(Nは0を含む正の整数)を取得する。
【0088】
OP404では、系統数判定部14は、連続する接道辺の群の数Mが1であるか否かを判定する。連続する接道辺の群の数Mが1である場合には(OP404:YES)、処理がOP405へ進む。連続する接道辺の群の数Mが1でない場合には(OP404:NO)、処理がOP407へ進む。
【0089】
OP405では、系統数判定部14は、対象の画地の全ての辺が接道辺であるか否かを判定する。対象の画地の全ての辺が接道辺でない場合には(OP405:NO)、処理がOP406へ進み、OP406では、系統数判定部14は、連続する接道辺の群の数Mと、対象の画地に含まれる「角(カド)」の数Nとを合計した値を、対象の画地が接面する道路の系統数として取得する。系統数判定部14は、制御部11へ、対象の画地が接面する道路の系統数を出力する。その後、
図19に示される処理が終了する。
【0090】
対象の画地の全ての辺が接道辺である場合には(OP405:YES)、処理がOP407へ進む。OP407では、系統数判定部14は、対象の画地に含まれる「角(カド)」の数Nを、対象の画地が接面する道路の系統数として取得する。系統数判定部14は、制御部11へ、対象の画地が接面する道路の系統数を出力する。その後、
図19に示される処理が終了する。
【0091】
系統数判定処理によれば、画地が複雑な形状をしている場合でも、対象の画地が接面する道路の系統数を自動的に正確に取得することができる。なお、
図19に示される系統数判定処理では、接道辺判定部12によって取得された対象の画地の接道辺、及び、角判定部13によって取得された「角(カド)」に関する情報が用いられるが、これに限定されず、対象の画地の接道辺及び「角(カド)」の位置は、他の方法によって取得されてもよく、例えば、人間の目視によって判定され、入力されてもよい。
【0092】
<接道状態判定処理>
図20は、画地と接面する道路との位置関係の種類の一例を示す図である。画地と接面する道路との位置関係は、画地の接道状態とも称される。
図20では、代表的な画地の接道状態の種類が示される。
【0093】
「一方路」の画地は、一方のみが道路に面する画地である。画地の一方とは、画地の一辺又は一面を示す。「一方路」の画地は、道路系統数が1であり、「角(カド)」は含まない。「二方路」の画地は、正面及び背面が道路に面する画地である。「二方路」の画地は、道路系統数が2であり、「角(カド)」は含まない。
【0094】
「角地」の画地は、正面及び正面に接続する一方の側面が道路に面する画地である。「角地」の画地は、道路系統数が1であり、「角(カド)」を1つ含む。「三方路」の画地は、3つの面が道路に面する画地である。「三方路」の画地は、道路系統数が3である。「四方路」の画地は、4つの面が道路に面する画地である。「四方路」の画地は、道路系統数が4である。なお、「五方路」以上の画地も存在しうる。
【0095】
図21は、接面する道路の系統数と「角(カド)」の数と接道状態との関係を示す表の一例である。
図22は、接面する道路の系統数と「角(カド)」の数と接道状態との関係において、各接道状態の例を示す図である。接面する道路の系統数<「角(カド)」の数となることは物理的にないため、
図21及び
図22では、生成不可能となっている。
【0096】
接道状態判定部15は、制御部11から処理の開始の指示と、系統数判定部14によって取得された画地の接面する道路の系統数と、角判定部13によって取得された「角(カド)」の数と、の入力を受けると、接道状態判定処理を開始する。接道状態判定処理では、接道状態判定部15は、例えば、
図21の表を参照して、画地の接面する道路の系統数と、画地に含まれる「角(カド)」の数とに基づいて、画地の接道状態を判定する。接道状態判定部15は、画地の接道状態を制御部11へ出力する。なお、接道状態判定処理において入力値となる、画地の接面する道路の系統数と、画地に含まれる「角(カド)」の数とは、系統数判定部14及び角判定部13によって取得されることに限定されず、他の方法で取得されたものであってもよい。例えば、人間の目視によって判定されたものであってもよい。
【0097】
接道状態判定処理によれば、画地の接面する道路の系統数と、画地に含まれる「角(カド)」の数とが判明していれば、自動的に、画地の接道状態を判定することができる。
【0098】
<角地種類判定処理>
「角地」に分類される画地は、通常の角地、T角地、及び、準角地にさらに細分化される。通常の角地は、正面及び一方の側面が道路に接面する画地であり、接面する2系統の道路がいわゆる交差点を形成している道路の一部である角地である。T角地は、正面及び一方の側面が道路に面する画地のうち、接面する一方の道路が街区の角で行き止まりになっている、すなわち、接面する2系統の道路がいわゆる三叉路を形成している道路の一部である角地である。準角地は、接面する道路が屈曲しており、屈曲部の内側に位置する画地である。
【0099】
角地種類判定処理では、角地種類判定部16は、対象の画地と一部重なる所定の大きさの四角形と道路との交点の数に基づいて、角地の種類を判定する。角地種類判定処理で用いられる四角形を、以下、「第1の四角形」と称する。
【0100】
図23、
図24、及び、
図25は、第1の四角形の設定方法を説明するための図である。
図23から
図25では、角地である画地800の角地の種類を判定することを例に説明する。画地800は、角地800とも表記される。
図23から
図25では、筆界データ上の道路の境界線は実線で示されており、道路データの道路の境界線は破線で示されている。
【0101】
まず、
図23で示されるように、角地800の2つの接道辺のうちの一方の辺上の代表
点に最も近い道路データ上の点をPa0とする。角地の接道辺上の代表点は、例えば、接道辺の中点である。ただし、角地の接道辺上の代表点はこれに限定されない。
【0102】
点Pa0から点Pa0が位置する道路の境界線に対して垂直になるような垂線を引き、当該垂線と反対側の道路の境界線との交点をPa1とする。線分Pa0-Pa1の長さWaは、道路データで計測した道路幅員となる。角地800の2つの接道辺のうちのもう一方の辺についても同様にして、点Pb0、点Pb1を取得する。線分Pb0-Pb1の長さWbは、線分Pb0-Pb1が横切る道路の幅員である。
【0103】
次に、
図24に示されるように、線分Pa0-Pa1を対象の角地800とは反対の方向に長さDだけ延長したところに点Pa2を設定する。長さDは、対象の画地及び接面する道路の幅員に依らず、固定値である。すなわち、線分Pa1-Pa2の長さはDとなる。角地800の2つの接道辺のうちのもう一方の辺についても同様にして、線分Pb0-Pb1を長さD延長させたところに点Pb2を取得する。
【0104】
次に、
図25に示されるように、点Pa2を通り、線分Pb0-Pb1に平行な直線と、点Pb2を通り、線分Pa0-Pa1に平行な直線と、の交点Pcと、線分Pa0-Pa1の延長線と線分Pb0-Pb1の延長線との交点Pを求める。点P、点Pa2、点Pc、点Pb2を結んで得られる四角形が、角地800に対する第1の四角形となる。
【0105】
線分P-Pa2、線分Pa2-Pc、線分Pc-Pb2、及び、線分Pb2-P、それぞれと、道路データとの交点の数に基づいて、角地800の角地の種類を判定する。
【0106】
図26は、通常の角地における、第1の四角形と道路との交点の一例を示す図である。なお、
図26では、道路データとして、道路の輪郭を示すラインデータを含む道路データを用いた場合が示されている。通常の角地の場合には、
図26に示されるように、第1の四角形と道路ラインデータとの交点の数は、8以上となる。道路の輪郭を示すラインデータを含む道路データでは、道路の両側それぞれでラインデータが含まれるため、1本の道路につき2本のラインデータが含まれる。したがって、道路自体を当該道路の幅員の太さを有する1本のラインデータとみなすと、通常の角地の場合には、第1の四角形と道路とが交差する数は、8÷2=4で4以上となる。通常の角地は、接面する道路が四叉路以上の交差点に含まれるためである。
【0107】
図27は、T角地における、第1の四角形と道路との交点の一例を示す図である。T角地の場合、
図27に示されるように、第1の四角形と道路ラインデータとの交点の数は、6となる。道路の輪郭を示すラインデータを含む道路データでは、道路の両側それぞれでラインデータが含まれるため、1本の道路につき2本のラインデータが含まれる。したがって、道路自体を当該道路の幅員の太さを有する1本のラインデータとみなすと、T角地の場合には、第1の四角形と道路とが交差する数は、6÷2=3となる。
【0108】
図28は、準角地における、第1の四角形と道路との交点の一例を示す図である。準角地の場合、
図28に示されるように、第1の四角形と道路ラインデータとの交点の数は、4となる。道路の輪郭を示すラインデータを含む道路データでは、道路の両側それぞれでラインデータが含まれるため、1本の道路につき2本のラインデータが含まれる。したがって、道路自体を当該道路の幅員の太さを有する1本のラインデータとみなすと、準角地の場合には、第1の四角形と道路とが交差する数は、4÷2=2となる。
【0109】
図29は、角地種類判定処理のフローチャートの一例である。
図29の画地種類判定処理は、
図4のOP6において実行される処理である。角地種類判定部16は、制御部11から、処理の開始の指示の入力を受けると、
図29に示される処理を開始する。制御部1
1からは、処理の開始の指示とともに、対象の画地から所定範囲内の道路データと、角判定部13によって取得された「角(カド)」に関する情報と、接道状態判定部15によって取得された対象の画地の接道状態の種類も入力される。
【0110】
OP601では、角地種類判定部16は、対象の画地が角地であるか否かを判定する。対象の画地が角地である場合には(OP601:YES)、処理がOP602へ進む。対象の画地が角地でない場合には(OP601:NO)、
図29に示される処理が終了する。
【0111】
OP602では、角地種類判定部16は、道路データ上で、対象の画地に対して第1の四角形を設定する。用いられる道路データは、対象の画地から所定範囲内の道路データである。
【0112】
OP603では、角地種類判定部16は、第1の四角形と道路とが交差する数が4以上であるか否かを判定する。第1の四角形と道路とが交差する数が4以上である場合には(OP603:YES)、処理がOP604へ進み、OP604では、角地種類判定部16は、対象の角地を通常の角地として判定する。角地種類判定部16は、制御部11へ、対象の画地が通常の角地であることを出力し、その後、
図29に示される処理が終了する。第1の四角形と道路とが交差する数が4未満である場合には(OP603:NO)、処理がOP605へ進む。
【0113】
OP605では、角地種類判定部16は、第1の四角形と道路とが交差する数が3であるか否かを判定する。第1の四角形と道路とが交差する数が3である場合には(OP605:YES)、処理がOP606へ進み、OP606では、角地種類判定部16は、対象の角地をT角地として判定する。角地種類判定部16は、制御部11へ、対象の画地がT角地であることを出力し、その後、
図29に示される処理が終了する。第1の四角形と道路との交点の数が3未満である場合には(OP605:NO)、処理がOP607へ進む。
【0114】
OP607では、角地種類判定部16は、第1の四角形と道路とが交差する数が2であるか否かを判定する。第1の四角形と道路とが交差する数が2である場合には(OP607:YES)、処理がOP608へ進み、OP608では、角地種類判定部16は、対象の角地を準角地として判定する。角地種類判定部16は、制御部11へ、対象の画地が準角地であることを出力し、その後、
図29に示される処理が終了する。第1の四角形と道路とが交差する数が1である場合には(OP607:NO)、
図29に示される処理が終了する。
【0115】
なお、画地種類判定処理において入力値となる、画地に含まれる「角(カド)」の位置等の情報は、角判定部13によって取得されることに限定されず、他の方法で取得されたものであってもよい。例えば、人間の目視によって判定されたものであってもよい。
【0116】
角地種類判定処理によれば、対象の画地の角地であること、及び、接道辺が判明していれば、自動的に画地の種類を判定することができる。対象の画地の角地であること、及び、接道辺は、「角(カド)」に関する情報に含まれている。なお、角地種類判定処理で用いられるデータは、道路の輪郭を示すラインデータを含む道路データに限定されず、例えば、道路の中心線を示すラインデータを含む道路データであってもよい。また、角地種類判定処理では、道路と画地との配置が分かればよいので、道路データでなく筆界データや地図等が用いられてもよい。
【0117】
<道路幅員の決定処理>
角地種類判定処理において第1の四角形を設定する際に、接面道路の幅員が用いられる。接面道路の幅員は、例えば、接面道路の形状、及び、測定の基準点の設定位置等に依存する。そのため、道路データにおいて、単純に画地の接道辺上の代表点から道路方向へ下された垂線と道路の境界線との2つの交点間の距離を接面道路の幅員とする場合には、正しい値が得られない場合がある。
【0118】
そこで、第1実施形態では、サーバ1は、接面道路に対して、幅員の測定の基準点を複数設定して、幅員の複数の測定値を取得し、その中から外れ値がある場合には外れ値を除外した残りの値で、接面道路の幅員を決定する。なお、第1実施形態では、道路幅員の決定処理は、角地種類判定処理に含まれる一つの処理であるため、角地種類判定部16が実行する処理の一つとして説明される。
【0119】
図30及び
図31は、道路幅員の決定方法を説明するための図である。
図30及び
図31では、道路データのうち、画地800と画地800が接面している道路900とが抽出されて示されている。まず、画地800の接道辺上の代表点Pcから接面道路900に向けて垂線を下す。代表点Pcは、例えば、画地800の接道辺のうち接面道路900と接している線分上の中点に設定されてもよい。ただし、これに限定されず、代表点Pcは、画地800の接道辺のうち接面道路900と接している線分上であればどこに設定されてもよい。
【0120】
代表点Pcと、代表点Pcから接面道路900に下ろされた垂線と道路の境界線との交点との距離Wcは、接面道路900の幅員の候補値の一つである。しかしながら、道路900は行き止まり道路であるので、Wcは接面道路の幅員の値としては適切でない。以下、
【0121】
次に、代表点Pcを中心として、代表点Pcから接面道路900に下ろされた垂線から左右に所定の角度θとなる2本の線を引く。当該2本の線それぞれと、道路900の境界線との交点をそれぞれ、点Pr、点Plとして取得する。該当する線は、
図30では破線で示されている。角度θは、例えば、45度である。ただし、角度θは45度に限定されず、1度以上90度未満の範囲の値であればよい。
【0122】
図31に進み、点Pr及び点Plについて、それぞれから道路900へ垂線を下し、それぞれから当該垂線と道路900の境界線との交点までの距離Wr、Wlを取得する。これによって、道路900の幅員の候補値として、Wc、Wr、及び、Wlの3つの値が得られる。
【0123】
図30及び
図31に示される例では、Wr及びWlは似通った値となるが、WcはWr及びWlとはかけ離れた値となるので、Wcは外れ値となる。したがって、Wcは道路900の幅員の候補値から除外される。
【0124】
残った候補値Wr、Wlに基づいて、道路900の幅員を決定する。例えば、候補値の平均値、中央値、最小値、又は、最大値のいずれが道路900の幅員として決定されてもよい。または、対象の画地800により近い方の候補地を道路900の幅員としてもよい。点Pc、Pr、Plは、それぞれ、「第1の点」、「第2の点」、「第3の点」の一例である。長さWc、Wr、Wlは、それぞれ、「第1の距離」、「第2の距離」、「第3の距離」の一例である。
【0125】
図32、
図33、及び、
図34は、それぞれ、対象の画地と、当該画地に接面する接面道路において、道路幅員の決定処理を行う場合に取得される候補値Wc、Wr、及び、Wlの一例を示す図である。
図32から
図34において、対象の画地は、画地を示す図形内
にバツ(×)で示されている。
【0126】
図32に示される例は、行き止まりでない道路に接面している画地の例である。このような画地の場合には、
図32に示されるように、接面道路の幅員の候補値Wc、Wr、及び、Wlは、同じような値となり、外れ値はない。したがって、
図32に示される例の対象の画地の接面道路の幅員は、候補値Wc、Wr、及び、Wlの3つの値から決定される。
【0127】
図33に示される例は、行き止まり道路に接面し、当該行き止まり道路の突き当りに位置する画地の例である。このような画地の場合には、
図33に示されるように、Wc、Wr、及び、Wlのうち、Wcは外れ値となり、接面道路の幅員の候補地から除外される。したがって、
図33に示される例の対象の画地の接面道路の幅員は、候補値Wr及びWlの2つの値から決定される。
【0128】
図34に示される例は、行き止まり道路に接面し、当該行き止まり道路の突き当りの側面に位置する画地の例である。このような画地の場合には、
図34に示されるように、Wc、Wr、及び、Wlのうち、Wrは外れ値となり、接面道路の幅員の候補値から除外される。したがって、
図34に示される例の対象の画地の接面道路の幅員は、候補値Wc及びWlの2つの値から決定される。
【0129】
図35は、道路幅員の決定処理のフローチャートの一例である。
図35に示される処理は、例えば、
図29に示される角地種類判定処理のような他の処理によって呼び出された場合に開始される。なお、第1実施形態では、道路幅員の決定処理は角地種類判定処理の実行中に実行されるので、
図35では、角地種類判定部16を主体として説明する。
【0130】
OP701では、角地種類判定部16は、対象の画地の接道辺上の代表点Pcから接面道路に垂線を引く。OP702では、角地種類判定部16は、代表点Pcを中心に、OP701において引いた垂線から左右に角度θで直線を2本引く。OP703では、角地種類判定部16は、OP702において引いた2本の線と接面道路の境界線との交点Pr、Plを取得する。OP704では、角地種類判定部16は、点Pr、Plそれぞれから接面道路に垂線を引く。OP705では、角地種類判定部16は、各点Pc、Pr、Plそれぞれから、接面道路に引いた垂線と接面道路との交点までの線分の長さWc、Wr、Wlを取得する。
【0131】
OP706では、角地種類判定部16は、Wc、Wr、Wlのうち外れ値が有るか否かを判定する。Wc、Wr、Wlのうち外れ値が有る場合には(OP706:YES)、処理がOP707へ進む。OP707では、角地種類判定部16は、Wc、Wr、Wlから外れ値を除外する。OP708では、角地種類判定部16は、残りの2つの値から接面道路の幅員を決定する。その後、
図35に示される処理が終了する。
【0132】
Wc、Wr、Wlのうち外れ値がない場合には(OP706:NO)、処理がOP709へ進む。OP709では、角地種類判定部16は、Wc、Wr、Wlから接面道路の幅員を決定する。その後、
図35に示される処理が終了する。なお、外れ値がない場合には
【0133】
道路幅員の決定処理によれば、道路の幅員の測定の基準点を複数設定し、幅員の候補値を複数取得でき、外れ値は候補値から除外されるので、より正しい幅員を測定することができる。
【0134】
<第1実施形態の作用効果>
第1実施形態によれば、サーバ1へ対象の画地の座標情報を入力することによって、対
象の画地の画地条件の一つである、接道辺、正面(間口)の辺、接道状態、及び、角地である場合には角地の種類を、自動的に取得することができる。
【0135】
なお、接道辺判定処理、角判定処理、系統数判定処理、接道状態判定処理、及び、角地種類判定処理は、それぞれ、個別にも実行可能である。
【0136】
<記録媒体>
コンピュータその他の機械、装置(以下、コンピュータ等)に上記いずれかの機能を実現させるプログラムをコンピュータ等が読み取り可能な記録媒体に記録することができる。コンピュータ等に、この記録媒体のプログラムを読み込ませて実行させることにより、その機能を提供させることができる。
【0137】
ここで、コンピュータ等が読み取り可能な記録媒体とは、データやプログラム等の情報を電気的、磁気的、光学的、機械的、または化学的作用によって蓄積し、コンピュータ等から読み取ることができる非一時的な記録媒体をいう。このような記録媒体のうちコンピュータ等から取り外し可能なものとしては、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R/W、DVD、ブルーレイディスク、DAT、8mmテープ、フラッシュメモリなどのメモリカード等がある。また、コンピュータ等に固定された記録媒体としてハードディスク、ROM(リードオンリーメモリ)等がある。さらに、SSD(Solid State Drive)は、コンピュータ等から取り外し可能な記録媒体としても、コ
ンピュータ等に固定された記録媒体としても利用可能である。
【符号の説明】
【0138】
1・・サーバ
2・・端末
11・・制御部
12・・接道辺判定部
13・・角判定部
14・・系統数判定部
15・・接道状態判定部
16・・角地種類判定部
100・・土地評価システム
101・・CPU
102・・メモリ
103・・外部記憶装置
104・・通信部