(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023089745
(43)【公開日】2023-06-28
(54)【発明の名称】磁気共鳴イメージング装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/055 20060101AFI20230621BHJP
【FI】
A61B5/055 320
A61B5/055 370
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021204442
(22)【出願日】2021-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】畠中 宏之
【テーマコード(参考)】
4C096
【Fターム(参考)】
4C096AB47
4C096AD08
4C096AD23
4C096CA64
4C096FC09
(57)【要約】
【課題】架台の中空の照明を適切に制御すること。
【解決手段】磁気共鳴イメージング装置は、架台と、第1照明部と、特定部と、照明制御部とを備える。前記架台は、中空を有する。前記第1照明部は、前記中空を照らす。前記特定部は、被検体の所定部位の前記中空における位置を特定する。前記照明制御部は、前記特定部により特定された前記所定部位の位置に基づいて、前記第1照明部の照明状態を制御する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空を有する架台と、
前記中空を照らす第1照明部と、
被検体の所定部位の前記中空における位置を特定する特定部と、
前記特定部により特定された前記所定部位の位置に基づいて、前記第1照明部の照明状態を制御する照明制御部と、
を備える磁気共鳴イメージング装置。
【請求項2】
前記第1照明部は、前記被検体の挿入方向に沿って配置され、
前記照明制御部は、前記所定部位の位置に対応した前記第1照明部の照度を制御する、
請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項3】
前記特定部は、前記被検体の検査対象の部位を示す検査情報と、天板に載置された前記被検体を撮影した画像データとの少なくとも何れか一方に基づいて、前記中空に挿入された前記被検体の前記所定部位の位置を特定する、
請求項1又は請求項2に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項4】
前記特定部は、前記検査情報が有する検査対象の部位を磁場中心まで搬送する天板の搬送量と、前記画像データにより特定した天板上の前記所定部位の位置とに基づいて、前記中空に挿入された前記被検体の前記所定部位の位置を特定する、
請求項3に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項5】
前記照明制御部は、前記被検体が前記中空に挿入前の場合に、前記第1照明部を点灯させる、
請求項1から請求項4の何れか一項に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項6】
前記照明制御部は、前記特定部により特定された前記所定部位の位置から設定範囲内の前記第1照明部の照度を下げる、
請求項1から請求項5の何れか一項に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項7】
前記照明制御部は、検査対象の部位が頭部である場合に、前記所定部位の位置から設定範囲内の前記第1照明部の照度を上げる、
請求項1から請求項5の何れか一項に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項8】
前記被検体の挿入方向に沿って配置された第2照明部を更に備え、
前記第1照明部は、前記被検体の挿入方向に沿って配置され、
前記照明制御部は、前記所定部位の位置と、前記被検体の向きとに基づいて、前記第1照明部及び前記第2照明部の照明状態を制御する、
請求項1から請求項7の何れか一項に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項9】
中空を有する架台と、
前記中空を照らす第1照明部とを有する磁気共鳴イメージング装置のコンピュータを、
被検体の所定部位の前記中空における位置を特定する特定部と、
前記特定部により特定された前記所定部位の位置に基づいて、前記第1照明部の照明状態を制御する照明制御部と、
して機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、磁気共鳴イメージング装置およびプログラムに関する。
【0002】
従来、磁気共鳴イメージング装置は、略円筒形状に形成された中空を有する架台を備える。また、架台は、中空を明るくする照明を備える。
【0003】
しかしながら、照明は、適切に制御されていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、架台の中空の照明を適切に制御することである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置は、架台と、第1照明部と、特定部と、照明制御部とを備える。前記架台は、中空を有する。前記第1照明部は、前記中空を照らす。前記特定部は、被検体の所定部位の前記中空における位置を特定する。前記照明制御部は、前記特定部により特定された前記所定部位の位置に基づいて、前記第1照明部の照明状態を制御する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、中空に挿入された被検体の位置の特定方法の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、被検体を中空に挿入する前の第1照明部の点灯状態の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、被検体を中空に挿入した後の第1照明部の点灯状態の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、第1の実施形態に係る、磁気共鳴イメージング装置が実行する照明制御処理の一例を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、変形例1にかかる第1照明部と第2照明部との配置の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、実施形態に関する磁気共鳴イメージング装置およびプログラムについて説明する。以下の実施形態では、同一の参照符号を付した部分は同様の動作をおこなうものとして、重複する説明を適宜省略する。
【0009】
(第1の実施形態)
図1は、実施形態に係る磁気共鳴イメージング(Magnetic Resonance Imaging:MRI)装置100の一例を示すブロック図である。
図1に示すように、磁気共鳴イメージング装置100は、静磁場磁石101と、架台102と、静磁場電源(非図示)と、傾斜磁場コイル103と、傾斜磁場電源104と、寝台105と、寝台制御回路106と、全身用RF(Radio Frequency)コイル107と、送信回路108と、局所用RFコイル109と、受信回路110と、シーケンス制御回路120と、計算機システム130とを備える。
【0010】
なお、
図1に示す構成は一例に過ぎない。例えば、シーケンス制御回路120および計算機システム130内の各部は、適宜統合若しくは分離して構成されてもよい。また、磁気共鳴イメージング装置100は、さらに他の構成を備えても良い。なお、磁気共鳴イメージング装置100に被検体P(例えば、人体)は含まれない。
【0011】
図1に示すX軸、Y軸、およびZ軸は、磁気共鳴イメージング装置100に固有の装置座標系を構成する。例えば、Z軸方向は、傾斜磁場コイル103の円筒の軸方向に一致し、静磁場磁石101によって発生する静磁場の磁束に沿って設定される。また、Z軸方向は、寝台105の長手方向と同方向であり、寝台105上に載置された被検体Pの頭尾方向とも同方向となる。また、X軸方向は、Z軸方向に直交する水平方向に沿って設定される。Y軸方向は、Z軸方向に直交する鉛直方向に沿って設定される。
【0012】
静磁場磁石101は、中空1021の略円筒形状に形成された磁石であり、内部の空間に静磁場を発生する。静磁場磁石101は、例えば、超伝導磁石等であり、静磁場電源から電流の供給を受けて励磁する。静磁場電源は、静磁場磁石101に電流を供給する。別の例として、静磁場磁石101は、永久磁石でも良く、この場合、磁気共鳴イメージング装置100は、静磁場電源を備えなくても良い。また、静磁場電源は、磁気共鳴イメージング装置100とは別に備えられても良い。
【0013】
架台102は、略円筒形状に形成された中空1021を有する。また、架台102は、静磁場磁石101、傾斜磁場コイル103、および全身用RFコイル107を収容している。中空1021は、略円筒形状に形成され、患者などの被検体Pが挿入される。具体的には、架台102は、全身用RFコイル107を配置し、全身用RFコイル107の外周側に傾斜磁場コイル103を配置し、傾斜磁場コイル103の外周側に静磁場磁石101を配置した状態で、それぞれを収容している。
【0014】
なお、本実施形態において、「円」という場合は「楕円」を含むものとする。また、本実施形態において、「円筒形状」または「円筒状」は、円筒の中心軸に直交する断面の形状が真円となる形状に限定されるものではなく、円筒の中心軸に直交する断面の形状が楕円状となる形状でも良いものとする。
【0015】
また、架台102は、架台カメラ1022と、第1照明部1023とを備える。架台カメラ1022は、架台102の中空1021を撮影するカメラである。架台カメラ1022は、中空1021に挿入された被検体Pの撮影に使用される。架台カメラ1022は、中空1021を撮影した場合に、撮影した画像データを計算機システム130に送信する。例えば、架台カメラ1022が撮影した画像データは、磁気共鳴イメージング装置100による被検体Pの頭部の撮影において、被検体Pが頭部を動かしていないことの監視に使用される。
【0016】
第1照明部1023は、架台102に設けられる。また、第1照明部1023は、被検体Pが挿入される中空1021を照らす照明である。第1照明部1023は、中空1021において天板1051に載置された被検体Pの挿入方向に沿って配置される。例えば、第1照明部1023は、被検体Pの挿入方向に沿って並べられたLED(Light Emitting Diode)である。また、第1照明部1023は、中空1021に挿入された被検体Pの眼よりも上方に配置される。
【0017】
傾斜磁場コイル103は、中空1021の略円筒形状に形成されたコイルであり、静磁場磁石101の内側に配置される。傾斜磁場コイル103は、互いに直交するX、Y、及びZの各軸に対応する3つのコイルが組み合わされて形成されており、これら3つのコイルは、傾斜磁場電源104から個別に電流の供給を受けて、X、Y、及びZの各軸に沿って磁場強度が変化する傾斜磁場を発生する。また、傾斜磁場電源104は、シーケンス制御回路120の制御の下、傾斜磁場コイル103に電流を供給する。
【0018】
寝台105は、被検体Pが載置される天板1051を備え、寝台制御回路106による制御の下、天板1051を、患者などの被検体Pが載置された状態で、撮影口内へ挿入する。すなわち、寝台105は、被検体Pが載置された天板1051を中空1021に挿入する。寝台制御回路106は、計算機システム130による制御の下、寝台105を駆動して天板1051を長手方向および上下方向に移動させる。
【0019】
寝台カメラ1052は、天板1051に載置された被検体Pを撮影するカメラである。例えば、寝台カメラ1052は、中空1021に挿入される前の被検体Pを撮影する。寝台カメラ1052は、天板1051に載置された被検体Pを撮影した場合に、撮影した画像データを計算機システム130に送信する。例えば、寝台カメラ1052が撮影した画像データは、天板1051に載置された被検体Pの姿勢の識別に使用される。具体的には、寝台カメラ1052が撮影した画像データは、天板1051における被検体Pの頭部の位置の特定や、被検体Pが仰向けと右向きと左向きとの何れの姿勢で載置されているかの特定に使用される。寝台カメラ1052は例えば撮影室の天井に配置される。なお、寝台カメラ1052の配置場所は、天井に限定されるものではない。また、被検体Pの頭部の位置の特定や、被検体Pが仰向けと右向きと左向きとの何れの姿勢で載置されているかの特定に架台カメラ1022により撮影された画像データを用いることとしてもよい。
【0020】
全身用RFコイル107は、被検体Pの全身を囲むホールボディ(Whole body)型のコイルである。全身用RFコイル107は、傾斜磁場コイル103の内周側に配置されており、撮影空間に配置された被検体PにRF磁場を印加し、当該RF磁場の影響によって被検体Pから発生する磁気共鳴信号を受信する。具体的には、全身用RFコイル107は、中空1021の略円筒形状に形成されており、送信回路108から供給されるRFパルス信号に基づいて、その内周側に位置する撮影空間に配置された被検体PにRF磁場を印加する。また、全身用RFコイル107は、RF磁場の影響によって被検体Pから発生する磁気共鳴信号(MR信号)を受信し、受信した磁気共鳴信号を受信回路110へ出力する。
【0021】
局所用RFコイル109は、被検体Pから発生した磁気共鳴信号を受信する。具体的には、局所用RFコイル109は、被検体Pの部位ごとに用意されており、被検体Pの撮影が行われる際に、撮影対象の部位の表面近傍に配置される。そして、局所用RFコイル109は、全身用RFコイル107によって印加されたRF磁場の影響によって被検体Pから発生した磁気共鳴信号を受信し、受信した磁気共鳴信号を受信回路110へ出力する。
【0022】
なお、局所用RFコイル109は、被検体PにRF磁場を印加する送信コイルとしての機能をさらに有していてもよい。その場合には、局所用RFコイル109は、送信回路108に接続され、送信回路108から供給されるRFパルス信号に基づいて、被検体PにRF磁場を印加する。
【0023】
送信回路108は、シーケンス制御回路120の制御の下、全身用RFコイル107にRFパルスを供給する。
【0024】
受信回路110は、全身用RFコイル107または局所用RFコイル109から出力されるアナログのMR信号をアナログ・デジタル(AD)変換して、MRデータを生成する。また、受信回路110は、生成したMRデータをシーケンス制御回路120へ送信する。なお、AD変換に関しては、全身用RFコイル107内または局所用RFコイル109内で行っても構わない。また、受信回路110はAD変換以外にも任意の信号処理を行うことが可能である。
【0025】
シーケンス制御回路120は、計算機システム130から送信されるシーケンス情報に基づいて、傾斜磁場電源104、送信回路108および受信回路110を駆動することによって、被検体Pの撮影を行う。
【0026】
ここで、シーケンス情報は、撮影を行うための手順を定義した情報である。シーケンス情報には、傾斜磁場電源104が傾斜磁場コイル103に供給する電流の強さや電流を供給するタイミング、送信回路108が全身用RFコイル107に供給するRFパルスの強さやRFパルスを印加するタイミング、受信回路110がMR信号を検出するタイミング等が定義される。被検体Pの身体のうち撮影対象となる領域の範囲に応じて、シーケンス情報は異なる。
【0027】
シーケンス制御回路120は、プロセッサにより実現されるものとしても良いし、ソフトウェアとハードウェアとの混合によって実現されても良い。
【0028】
さらに、シーケンス制御回路120は、傾斜磁場電源104、送信回路108及び受信回路110を駆動して被検体Pを撮影した結果、受信回路110からMRデータを受信すると、受信したMRデータを計算機システム130へ転送する。
【0029】
計算機システム130は、磁気共鳴イメージング装置100の全体制御や、MR画像の生成等を行う。
図1に示すように、計算機システム130は、NW(ネットワーク)インタフェース131、記憶回路132、処理回路133、入力インタフェース134、およびディスプレイ135を備える。
【0030】
NWインタフェース131は、シーケンス制御回路120および寝台制御回路106と通信する。例えば、NWインタフェース131は、シーケンス情報をシーケンス制御回路120へ送信する。また、NWインタフェース131は、シーケンス制御回路120からMRデータを受信する。
【0031】
記憶回路132は、NWインタフェース131によって受信されたMRデータ、後述の処理回路133によってk空間に配置されたk空間データ、および処理回路133によって生成された画像データ等を記憶する。記憶回路132は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、または光ディスク等である。なお、記憶回路132は、磁気共鳴イメージング装置100の外部に設けられても良い。
【0032】
入力インタフェース134は、操作者からの各種指示や情報入力を受け付ける。入力インタフェース134は、例えば、トラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力回路、及び音声入力回路等によって実現される。入力インタフェースは処理回路133に接続されており、操作者から受け取った入力操作を電気信号へ変換し処理回路133へと出力する。なお、本明細書において入力インタフェースはマウス、キーボードなどの物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、計算機システム130とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を制御回路へ出力する電気信号の処理回路も入力インタフェースの例に含まれる。
【0033】
ディスプレイ135は、処理回路133の制御の下、撮影条件の入力を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)や、処理回路133によって生成された磁気共鳴画像等を表示する。ディスプレイ135は、例えば、液晶表示器等の表示デバイスである。ディスプレイ135は、表示部の一例である。なお、ディスプレイ135は、磁気共鳴イメージング装置100の外部に設けられても良い。
【0034】
処理回路133は、磁気共鳴イメージング装置100の全体の制御を行う。より詳細には、処理回路133は、一例として、検査情報取得機能1331、画像データ取得機能1332、搬送量取得機能1333、位置特定機能1334、天板制御機能1335、及び照明制御機能1336を備える。
【0035】
ここで、例えば、処理回路133の構成要素である検査情報取得機能1331、画像データ取得機能1332、搬送量取得機能1333、位置特定機能1334、天板制御機能1335、及び照明制御機能1336の各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路132に記憶されている。処理回路133は、プロセッサである。例えば、処理回路133は、プログラムを記憶回路132から読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現する。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路133は、
図1の処理回路133内に示された各機能を有することとなる。なお、
図1においては単一のプロセッサにて、検査情報取得機能1331、画像データ取得機能1332、搬送量取得機能1333、位置特定機能1334、天板制御機能1335、及び照明制御機能1336にて行われる処理機能が実現されるものとして説明したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路133を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより機能を実現するものとしても構わない。また、
図1においては単一の記憶回路132が各処理機能に対応するプログラムを記憶するものとして説明したが、複数の記憶回路を分散して配置して、処理回路133は個別の記憶回路から対応するプログラムを読み出す構成としても構わない。
【0036】
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphical Processing Unit)或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD),及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは記憶回路132に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、記憶回路132にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。
【0037】
検査情報取得機能1331は、検査情報を取得する。検査情報は、磁気共鳴イメージング装置100による被検体Pに対する検査内容が示された情報である。検査情報には、被検体Pの撮影部位を示す情報が含まれている。また、検査情報には、天板1051における被検体Pの姿勢を示す情報が含まれていてもよい。
【0038】
画像データ取得機能1332は、天板1051に載置された被検体Pを寝台カメラ1052が撮影した画像データを取得する。
【0039】
搬送量取得機能1333は、天板1051の搬送量を取得する。例えば、搬送量取得機能1333は、被検体Pの検査部位を示す検査情報に基づいて、被検体Pの検査部位を磁場中心に到達するまでの天板1051の搬送量を取得する。または、搬送量取得機能1333は、技師などの医療従事者により被検体Pが載置された天板1051を移動させる操作を受け付けた場合に、操作により受け付けた天板1051の搬送量を取得する。なお、搬送量取得機能1333は、寝台カメラ1052により得られた画像データから検査部位を認識し、認識した検査部位を磁場中心に到達させる天板1051の搬送量を取得することとしてもよい。
【0040】
天板制御機能1335は、天板1051の搬送を制御する。更に詳しくは、天板制御機能1335は、天板1051を中空1021に挿入させる。例えば、天板制御機能1335は、搬送量取得機能1333により取得された天板1051の搬送量に基づいて天板1051の搬送を制御する。
【0041】
位置特定機能1334は、中空1021に挿入された被検体Pの所定部位の位置を特定する。位置特定機能1334は、特定部の一例である。所定部位とは、例えば、被検体Pにおける設定された部位である設定部位である。設定部位とは、例えば、被検体Pの眼である。なお、設定部位は、眼に限らず、頭部であってよいし、眉間であってよいし、他の部位であってもよい。例えば、位置特定機能1334は、中空1021内における被検体Pの眼の位置を特定する。
【0042】
更に詳しくは、位置特定機能1334は、被検体Pの検査対象の部位を示す検査情報と、天板1051に載置された被検体Pを撮影した画像データとの少なくとも何れか一方に基づいて、中空1021に挿入された被検体Pの設定部位の位置を特定する。
【0043】
例えば、位置特定機能1334は、検査情報が有する検査対象の部位を磁場中心まで搬送する天板1051の搬送量と、画像データにより特定した天板1051上の被検体Pの設定部位の位置とに基づいて、中空1021に挿入された被検体Pの設定部位の位置を特定する。すなわち、位置特定機能1334は、搬送量取得機能1333が取得した天板1051の搬送量と、画像データ取得機能1332が取得した寝台カメラ1052により撮影された被検体Pの画像データの設定部位の位置とに基づいて、中空1021に挿入された被検体Pの設定部位の位置を特定する。
【0044】
ここで、
図2は、中空1021に挿入された被検体Pの設定部位の位置の特定方法の一例を示す図である。位置特定機能1334は、画像データ取得機能1332が取得した寝台カメラ1052により撮影された画像データから、被検体Pの設定部位を検出する。すなわち、位置特定機能1334は、画像データから、中空1021に挿入前であって、天板1051上の被検体Pの眼の位置を特定する。そして、位置特定機能1334は、画像データ取得機能1332が取得した画像データから検出した設定部位を、搬送量取得機能1333により取得された搬送量だけ挿入方向に移動した位置に、中空1021に挿入された被検体Pの設定部位があると判定する。なお、位置特定機能1334は、画像データ取得機能1332が取得した寝台カメラ1052により撮影された画像データから検査情報が示す検査部位を特定し、体型ごとの設定部位と検査部位との距離を示す情報及び特定した検査部位に基づいて設定部位を特定することとしてもよい。すなわち、位置特定機能1334は、寝台カメラ1052により撮影された画像データから設定部位を直接検出してもよいし、間接的に検出してもよい。
【0045】
例えば、被検体Pが天板1051に載置される際に、設定部位を載置する位置が規定されている場合、位置特定機能1334は、画像データ取得機能1332が取得した画像データから設定部位を検出しなくても、中空1021に挿入された被検体Pの設定部位の位置を特定することができる。例えば、被検体Pの頭部を載置する位置を案内するマークやメッセージが天板1051に記載されている場合、被検体Pは、規定された位置に頭部を載置する。このような場合に、位置特定機能1334は、搬送量取得機能1333により取得された搬送量に基づいて、中空1021に挿入された被検体Pの設定部位を特定する。
【0046】
ここで、被検体Pの検査部位から設定部位までの距離は、被検体Pの身長などの体型により予め定まっている。例えば、検査部位が胸部であり、設定部位が眼である場合、胸部から眼までの距離は、被検体Pの身長等の体型により予め定まっている。このような体型ごとの設定部位と検査部位との距離を示す情報は、例えば記憶回路132に記憶されており、位置特定機能1334は当該情報、検査部位を示す検査情報、及び体型を示す情報に基づいて設定部位を特定する。体型を示す情報は、検査情報に含まれる患者特定情報を用いて位置特定機能1334が取得することとしてもよいし、検査情報に含まれていてもよい。より具体的には、位置特定機能1334は、検査部位(撮像位置)と天板1051の搬送量と被検体Pの体型とに基づいて、中空1021に挿入された被検体Pの設定部位の位置を特定する。すなわち、中空1021に挿入された被検体Pの設定部位の位置の特定において、寝台カメラ1052により撮影された画像データは必須ではない。位置特定機能1334は、装置における磁場中心の位置が既知であり且つ検査部位が磁場中心に送られることを前提とすれば搬送量を使用しなくても、設定部位と検査部位との距離を示す情報を用いて中空1021に挿入された被検体Pの設定部位の位置を特定することができる。なお、位置特定機能1334は、画像データ取得機能1332が取得した寝台カメラ1052により撮影された画像データから検査情報が示す検査部位を特定し、体型ごとの設定部位と検査部位との距離を示す情報と特定した検査部位とに基づいて設定部位を特定することとしてもよい。
【0047】
また、検査部位と設定部位とが略同一の場合、検査部位の位置が設定部位の位置であるため、位置特定機能1334は、搬送量を使用しなくても、中空1021に挿入された被検体Pの設定部位の位置を特定することができる。例えば、検査部位が頭部であり、設定部位が眼である場合に、位置特定機能1334は、頭部がある位置に眼があると判定することができる。この場合にも、位置特定機能1334は、被検体Pの検査部位を示す検査情報に基づいて、中空1021に挿入された被検体Pの設定部位の位置を特定する。または、位置特定機能1334は、寝台105がヘッドコイルに接続された場合に、検査部位が頭部であると判定する。
【0048】
照明制御機能1336は、位置特定機能1334により特定された被検体Pの設定部位の位置に基づいて、第1照明部1023の照明状態を制御する。照明制御機能1336は、照明制御部の一例である。
【0049】
ここで、
図3は、被検体Pを中空1021に挿入する前(例えば被検体Pの検査部位が磁場中心に送られるまで)の第1照明部1023の点灯状態の一例を示す図である。被検体Pは、天板1051が架台102の中空1021に挿入される前、中空1021が暗いと恐怖を感じやすい。
図3に示すように、照明制御機能1336は、被検体Pが中空1021に挿入前の場合に、第1照明部1023を点灯させる。更に詳しくは、照明制御機能1336は、中空1021において奥側に行くに従い、高い照度で点灯させる。このように、照明制御機能1336は、中空1021の奥側に行くに従い第1照明部1023の照度を上げることで、中空1021に入る恐怖を緩和させるサバンナ効果を発生させることができる。
【0050】
ここで、
図4は、被検体Pを中空1021に挿入した後の第1照明部1023の点灯状態の一例を示す図である。
図4に示すように、照明制御機能1336は、被検体Pの設定部位の位置に対応した第1照明部1023の照度を制御する。被検体Pは、ブランケットがかけられることがある。このような場合に、ブランケットにより光が遮られてしまうことを防止するために、第1照明部1023は、被検体Pの眼の高さよりも高い位置に配置されている。ところが、被検体Pは、眼の高さよりも高い位置に第1照明部1023が配置されているため、照明を眩しく感じることがある。
図4に示すように、照明制御機能1336は、位置特定機能1334により特定された設定部位の位置から設定範囲内の第1照明部1023の照度を下げる。例えば、照明制御機能1336は、設定範囲外の第1照明部1023の照度よりも、設定範囲内の第1照明部1023の照度を低くする。これにより、照明制御機能1336は、被検体Pが第1照明部1023を眩しく感じることを抑制する。
【0051】
ここで、架台カメラ1022は、中空1021に挿入された被検体Pを撮影する。架台カメラ1022は、中空1021が暗い場合に、暗い画像データを生成する。また、技師等の医療従事者は、磁気共鳴イメージング装置100により被検体Pの頭部を撮影する場合に、被検体Pが頭部を動かしていないか等の被検体Pの状態を確認する必要がある。ところが、医療従事者は、暗い画像データでは被検体Pの状態を確認することができない。そこで、照明制御機能1336は、検査対象の部位が頭部である場合に、被検体Pの設定部位の位置から設定範囲内の第1照明部1023の照度を上げる。すなわち、照明制御機能1336は、検査対象の部位が頭部である場合に、頭部から設定範囲内の第1照明部1023の照度を上げる。このように、照明制御機能1336は、中空1021における被検体Pの頭部近傍を明るくすることで、医療従事者が被検体Pの状態を確認できなくなってしまうことを抑制する。
【0052】
次に、磁気共鳴イメージング装置100が実行する各種処理について説明する。
【0053】
図5は、第1の実施形態に係る、磁気共鳴イメージング装置100が実行する照明制御処理の一例を示すフローチャートである。
【0054】
照明制御機能1336は、中空1021の奥側に行くに従い高い照度で第1照明部1023を点灯させる(ステップS1)。
【0055】
磁気共鳴イメージング装置100の処理回路133は、中空1021における被検体Pの設定部位の位置の特定に使用する各種情報を取得する(ステップS2)。更に詳しくは、位置特定機能1334が被検体Pの検査部位を示す検査情報が使用される場合には、検査情報取得機能1331は、検査情報を取得する。天板1051に載置された被検体Pを撮影した画像データが使用される場合には、画像データ取得機能1332は、画像データを取得する。天板1051の搬送量が使用される場合には、搬送量取得機能1333は、天板1051の搬送量を取得する。さらに、被検体Pの体型を示す情報を使用する場合には、処理回路133は、体型を示す情報を取得する。
【0056】
天板制御機能1335は、天板1051を中空1021に挿入する(ステップS3)。
【0057】
位置特定機能1334は、中空1021における被検体Pの設定部位の位置を特定する(ステップS4)。
【0058】
照明制御機能1336は、設定部位の位置に基づいて、第1照明部1023の照明状態を制御する(ステップS5)。
【0059】
以上により、磁気共鳴イメージング装置100は、照明制御処理を終了する。
【0060】
以上のように、本実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置100は、架台102に設けられた中空1021を照らす第1照明部1023を備える。また、磁気共鳴イメージング装置100は、中空1021に挿入された被検体Pの所定部位の中空1021における位置を特定する。そして、磁気共鳴イメージング装置100は、設定部位の位置に基づいて、第1照明部1023の照明状態を制御する。例えば、磁気共鳴イメージング装置100は、設定部位の位置から設定範囲内の、第1照明部1023の照度を低下させる。これにより、被検体Pは、第1照明部1023により眩しいと感じる可能性を低減することができる。よって、磁気共鳴イメージング装置100は、架台102の中空1021の照明を適切に制御することができる。
【0061】
(変形例1)
図6は、変形例1にかかる第1照明部1023と第2照明部1024との配置の一例を示す図である。架台102aは、中空1021において、天板1051に仰向けに載置された被検体Pの左側に第1照明部1023を備え、被検体Pの右側に第2照明部1024を備える。第2照明部1024は、被検体Pが挿入される中空1021を照らす照明である。第2照明部1024は、中空1021に挿入された被検体Pの右側において、被検体Pの挿入方向に沿って配置される。例えば、第2照明部1024は、被検体Pの挿入方向に沿って並べられたLEDである。
【0062】
ここで、被検体Pは、仰向けに限らず、右側に向けられた姿勢や、左側に向けられた姿勢になることがある。第1照明部1023は、被検体Pの左側に配置されているため、被検体Pが右側に向けられている場合に、被検体Pの背面に位置する。よって、被検体Pは、第1照明部1023が点灯していても眩しく感じる可能性は低い。
【0063】
同様に、第2照明部1024は、被検体Pの右側に配置されているため、被検体Pが側に向けられている場合に、被検体Pの背面に位置する。よって、被検体Pは、第2照明部1024が点灯していても眩しく感じる可能性は低い。そこで、照明制御機能1336は、被検体Pの設定部位の位置と、被検体Pの向きとに基づいて、第1照明部1023及び第2照明部1024の照明状態を制御する。
【0064】
更に詳しくは、照明制御機能1336は、寝台カメラ1052が撮影した画像データに基づいて、被検体Pが右側に向けられた状態で天板1051に寝かされているか、被検体Pが左側に向けられた状態で天板1051に寝かされているかを判定する。
【0065】
照明制御機能1336は、寝台カメラ1052が撮影した画像データにより判定した被検体Pの向きに基づいて、被検体Pの設定部位の位置から設定範囲内の第1照明部1023又は第2照明部1024の照度を下げる。また、照明制御機能1336は、寝台カメラ1052が撮影した画像データにより判定した被検体Pの向きに基づいて、被検体Pの設定部位の位置から設定範囲内の第1照明部1023又は第2照明部1024を点灯させる。
【0066】
すなわち、照明制御機能1336は、寝台カメラ1052が撮影した画像データにより被検体Pが左向きと判定した場合に、被検体Pの設定部位の位置から設定範囲内の第1照明部1023の照度を下げるが、被検体Pの設定部位の位置から設定範囲内の第2照明部1024は点灯させる。また、照明制御機能1336は、寝台カメラ1052が撮影した画像データにより被検体Pが右向きと判定した場合に、被検体Pの設定部位の位置から設定範囲内の第2照明部1024の照度を下げるが、被検体Pの設定部位の位置から設定範囲内の第1照明部1023は点灯させる。
【0067】
以上説明した少なくとも1つの実施形態等によれば、架台102、102aの中空1021の照明を適切に制御することができる。
【0068】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0069】
100 磁気共鳴イメージング装置
102、102a 架台
1021 中空
1022 架台カメラ
1023 第1照明部
1024 第2照明部
105 寝台
1051 天板
1052 寝台カメラ
133 処理回路
1331 検査情報取得機能
1332 画像データ取得機能
1333 搬送量取得機能
1334 位置特定機能
1335 天板制御機能
1336 照明制御機能
P 被検体