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特開2023-89772体質体調予測システム、体質体調予測方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023089772
(43)【公開日】2023-06-28
(54)【発明の名称】体質体調予測システム、体質体調予測方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 50/30 20180101AFI20230621BHJP
【FI】
G16H50/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021204488
(22)【出願日】2021-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153763
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 広之
(72)【発明者】
【氏名】永盛 友樹
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA15
(57)【要約】
【課題】生活習慣から体質及び/または体調を予測できること。
【解決手段】体質体調予測システムは、少なくとも生活習慣に関する質問を含む所定の質問に対する第1の回答を示す回答データを取得する回答取得部と、質問に対する第2の回答から体質及び/または体調についての指標である体質体調指標を予測する予測モデルに基づいて、回答取得部によって取得された第1の回答から体質体調指標を算出する体質体調指標算出部と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも生活習慣に関する質問を含む所定の質問に対する第1の回答を示す回答データを取得する回答取得部と、
前記質問に対する第2の回答から体質及び/または体調についての指標である体質体調指標を予測する予測モデルに基づいて、前記回答取得部によって取得された前記第1の回答から前記体質体調指標を算出する体質体調指標算出部と、
を備える体質体調予測システム。
【請求項2】
前記生活習慣には、衛生行動についての習慣が含まれる
請求項1に記載の体質体調予測システム。
【請求項3】
前記衛生行動には、オーラルケアの習慣が含まれる
請求項2に記載の体質体調予測システム。
【請求項4】
前記予測モデルは、前記質問に対応する因子の因子得点に基づいて前記体質体調指標を予測するモデルであり、
前記体質体調指標算出部は、前記回答取得部が取得した前記第1の回答を前記因子得点に変換し、変換した前記因子の因子得点から前記予測モデルに基づいて前記体質体調指標を算出する
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の体質体調予測システム。
【請求項5】
前記因子は、前記第2の回答から因子分析によって予め求められた因子である
請求項4に記載の体質体調予測システム。
【請求項6】
前記予測モデルは、前記因子得点に重みづけをした値に基づいて前記体質体調指標を予測するモデルである
請求項4または請求項5に記載の体質体調予測システム。
【請求項7】
前記因子毎の前記体質体調指標への寄与度とともに前記体質体調指標を提示する体質体調指標提示部をさらに備える
請求項4から請求項6のいずれか一項に記載の体質体調予測システム。
【請求項8】
前記予測モデルは、前記第2の回答をした被験者の生体データと、前記第2の回答とから前記体質体調指標を予測するモデルである
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の体質体調予測システム。
【請求項9】
予め設定された所望の提示内容に基づいて、体質及び/または体調の改善に関するアドバイスを提示するアドバイス提示部をさらに備える
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の体質体調予測システム。
【請求項10】
少なくとも生活習慣に関する質問を含む所定の質問に対する第1の回答を示す回答データを取得する回答取得ステップと、
前記質問に対する第2の回答から体質及び/または体調についての指標である体質体調指標を予測する予測モデルに基づいて、前記回答取得ステップによって取得された前記第1の回答から前記体質体調指標を算出する体質体調指標算出ステップと、
を備える体質体調予測方法。
【請求項11】
コンピュータに、
少なくとも生活習慣に関する質問を含む所定の質問に対する第1の回答を示す回答データを取得する回答取得ステップと、
前記質問に対する第2の回答から体質及び/または体調についての指標である体質体調指標を予測する予測モデルに基づいて、前記回答取得ステップによって取得された前記第1の回答から前記体質体調指標を算出する体質体調指標算出ステップと、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体質体調予測システム、体質体調予測方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
日々の体調を評価するため、睡眠や食事、精神状態など個別の分野との関係が調査、研究されており、調査、研究結果に基づいて、体調管理のためのサービスが提供されている。例えば、生体情報(体温、血圧、心拍数等)と環境情報(気温、湿度)等を組み合わせて、体調を予測する体調管理システムが知られている(特許文献1、2)。一方、体質に係る体調の崩しやすさの評価としては、風邪の引きやすさ(免疫力)について、チェックリストなどがウェブなどで公開されている。そのようなチェックリストでは、何項目以上該当する場合に風邪を引きやすい等の情報を提示するにとどまり、体調の崩しやすさについて詳細な原因の解析は行われていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-238970号公報
【特許文献2】特開2010-282414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
体調の崩しやすさの原因は、日々の生活習慣の中にも存在すると考えられる。しかしながら、体調の崩しやすさを、日々の生活習慣から予測(推定)する方法は知られていない。生活習慣から体質及び/または体調を予測することが望まれていた。
【0005】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、生活習慣から体質及び/または体調を予測できる体質体調予測システム、体質体調予測方法、及びプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、本発明の一態様は、少なくとも生活習慣に関する質問を含む所定の質問に対する第1の回答を示す回答データを取得する回答取得部と、前記質問に対する第2の回答から体質及び/または体調についての指標である体質体調指標を予測する予測モデルに基づいて、前記回答取得部によって取得された前記第1の回答から前記体質体調指標を算出する体質体調指標算出部と、を備える体質体調予測システムである。
【0007】
また、本発明の一態様は、上記の体質体調予測システムにおいて、前記生活習慣には、衛生行動についての習慣が含まれる。
【0008】
また、本発明の一態様は、上記の体質体調予測システムにおいて、前記衛生行動には、オーラルケアの習慣が含まれる。
【0009】
また、本発明の一態様は、上記の体質体調予測システムにおいて、前記予測モデルは、前記質問に対応する因子の因子得点に基づいて前記体質体調指標を予測するモデルであり、前記体質体調指標算出部は、前記回答取得部が取得した前記第1の回答を前記因子得点に変換し、変換した前記因子の因子得点から前記予測モデルに基づいて前記体質体調指標を算出する。
【0010】
また、本発明の一態様は、上記の体質体調予測システムにおいて、前記因子は、前記第2の回答から因子分析によって予め求められた因子である。
【0011】
また、本発明の一態様は、上記の体質体調予測システムにおいて、前記予測モデルは、前記因子得点に重みづけをした値に基づいて前記体質体調指標を予測するモデルである。
【0012】
また、本発明の一態様は、上記の体質体調予測システムにおいて、前記因子毎の前記体質体調指標への寄与度とともに前記体質体調指標を提示する体質体調指標提示部をさらに備える。
【0013】
また、本発明の一態様は、上記の体質体調予測システムにおいて、前記予測モデルは、前記第2の回答をした被験者の生体データと、前記第2の回答とから前記体質体調指標を予測するモデルである。
【0014】
また、本発明の一態様は、上記の体質体調予測システムにおいて、予め設定された所望の提示内容に基づいて、体質及び/または体調の改善に関するアドバイスを提示するアドバイス提示部をさらに備える。
【0015】
また、本発明の一態様は、少なくとも生活習慣に関する質問を含む所定の質問に対する第1の回答を示す回答データを取得する回答取得ステップと、前記質問に対する第2の回答から体質及び/または体調についての指標である体質体調指標を予測する予測モデルに基づいて、前記回答取得ステップによって取得された前記第1の回答から前記体質体調指標を算出する体質体調指標算出ステップと、を備える体質体調予測方法である。
【0016】
また、本発明の一態様は、コンピュータに、少なくとも生活習慣に関する質問を含む所定の質問に対する第1の回答を示す回答データを取得する回答取得ステップと、前記質問に対する第2の回答から体質及び/または体調についての指標である体質体調指標を予測する予測モデルに基づいて、前記回答取得ステップによって取得された前記第1の回答から前記体質体調指標を算出する体質体調指標算出ステップと、を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、生活習慣から体質及び/または体調を予測できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係る体質体調予測システムの構成の一例を示す図である。
図2】本発明の実施形態に係る体質体調予測システムの機能構成の一例を示す図である。
図3】本発明の実施形態に係る予測モデルの生成方法の一例を示す図である。
図4】本発明の実施形態に係る因子分析に基づいて選択された項目の質問の一例を示す図である。
図5】本発明の実施形態に係る因子分析に基づいて選択された項目の質問の一例を示す図である。
図6】本発明の実施形態に係る因子分析に基づいて選択された項目の質問の一例を示す図である。
図7】本発明の実施形態に係る因子分析の結果の一例を示す図である。
図8】本発明の実施形態に係る重回帰モデルによって予測される予測値と実測値との関係の一例を示す図である。
図9】本発明の実施形態に係る体質体調指標算出処理の一例を示す図である。
図10】本発明の実施形態に係る寄与度を示すグラフの一例を示す図である。
図11】本発明の実施形態に係る体質体調予測結果の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(実施形態)
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。図1は、本実施形態に係る体質体調予測システム1の構成の一例を示す図である。体質体調予測システム1は、生活者について、体質体調指標P1を算出する。
【0020】
本実施形態において、生活者とは、体質体調予測システム1を利用して体調の管理、体質の改善を行う体質体調予測システム1の利用者(ユーザ)である。
体質体調指標P1は、生活者についての体質及び/または体調についての指標(スコアともいう)である。体質とは、例えば、体調の崩しやすさ、各種の疾病のなりやすさである。体調の崩しやすさとは、例えば、風邪への罹患しやすさ(風邪の引きやすさ)である。
【0021】
体質体調予測システム1は、体質体調指標P1に基づいて、生活者について、体質及び/または体調の予測、体質及び/または体調の改善のための提案、レポートの出力を行うシステムである。体質体調予測システム1は、一例として、クラウドサーバとして実現される。
【0022】
体質体調予測システム1は、一例として、生活者について客観睡眠データA2と、主観データA3とに基づいて、体質体調指標P1を算出する。
【0023】
客観睡眠データA2は、就寝・起床時刻、眠りの深さ、中途覚醒時間、入眠時間などを示すデータである。客観睡眠データA2は、生体データA1に基づいて生成される。生体データA1は、例えば、睡眠時の生活者の身体の所定の部位、または全体の加速度、脈拍、皮膚温度、またはそれら加速度、脈拍、皮膚温度の変動などを示すデータである。生体データA1は、ウェアラブル端末D1の測定結果に基づいて生成される。ウェアラブル端末D1は、生活者の身体に装着された装着型の測定器である。
【0024】
ウェアラブル端末D1は、生体データA1を携帯端末D2に送信する。携帯端末D2は、例えば、スマートフォンやパーソナルコンピュータ(Personal Computer:PC)である。携帯端末D2には、ウェアラブル端末D1が取得した生体データA1を記憶し、体質体調予測システム1に生体データA1を送信するため、通信部と操作部と処理部と記憶部を有する。携帯端末D2は、生体データA1を体質体調予測システム1に送信する。
【0025】
体質体調予測システム1は、ウェアラブル端末D1から取得した生体データA1から、第1のアルゴリズムに基づいて客観睡眠データA2を生成する。第1のアルゴリズムは、身体の所定の部位の加速度、脈拍、皮膚温度、またはそれら加速度、脈拍、皮膚温度の変動などから、就寝・起床時刻、眠りの深さ、中途覚醒時間、入眠時間などを算出するアルゴリズムである。
【0026】
上述したように、客観睡眠データA2は、ウェアラブル端末D1の測定結果という客観的なデータである生体データA1に基づいて生成されるという意味において、客観的なデータである。なお、客観睡眠データA2は、客観的なデータとともに睡眠の質に関する主観的なデータを含んでもよい。睡眠の質に関する主観的なデータは、生活者自らの回答に基づくデータである。睡眠の質に関する主観的なデータとは、例えば、眠りの深さ、寝起きの気分などについての生活者自らの回答に基づくデータである。
【0027】
睡眠の質に関する主観的なデータは、携帯端末D2によって生成される。例えば、生活者が携帯端末D2にインストールされたアプリケーションを用いて、睡眠についての質問に対する回答を入力する。携帯端末D2は、入力された回答に基づいて睡眠の質に関する主観的なデータを生成する。
【0028】
主観データA3は、生活習慣に関するアンケートC1に含まれる質問それぞれに対する生活者の回答を示すデータである。アンケートC1は、少なくとも生活習慣に関する質問を含む所定の質問である。アンケートC1には、一例として、生活習慣に関する質問に加え、健康状態に関する質問が含まれる。
なお、アンケートC1は、生活習慣に関する質問のみから構成されてもよいが、健康状態に関する質問も構成に組み込まれることが好ましい。アンケートC1は、生活習慣に関する1つの質問のみから構成されてもよいが、生活習慣と健康状態とに関するそれぞれ1つ以上の質問から構成されていることが好ましい。
【0029】
生活習慣には、睡眠についての習慣、食事についての習慣、衛生行動についての習慣が含まれる。衛生行動には、例えば、オーラルケアの習慣、手洗いの頻度、手指の消毒の頻度、入浴の頻度及び時間などが含まれる。オーラルケアの習慣には、例えば、1日あたりの歯磨きの回数、歯磨きのタイミング(朝昼晩、食前、食後)、歯磨きの時間の長さ、洗口剤や歯間ブラシの使用頻度、うがいの頻度などが含まれる。また、オーラルケアの習慣には、後述する現状の口腔の健康状態が含まれる(以降、オーラルケアの習慣をオーラルヘルスと称する場合がある)。
【0030】
健康状態に関する質問には、オーラルヘルスに関する質問、例えば、歯ぐきが腫れている、歯が痛む、冷たい食品を摂取した際に歯が染みる、口臭の有無などが含まれ、それぞれ、歯周病、う蝕、知覚過敏、口臭の状態の推定に用いることができる。また、心身健康(ストレス、活力など)に関する質問、痛みの有無、平熱、肥満状態(BMI(Body Mass Index)など体格を示す指数)、血糖値、血圧などの各数値などが含まれる。平熱、肥満状態(BMI(Body Mass Index)など体格を示す指数など)、血糖値、血圧などの各数値などには、検診データの結果が用いられてもよい。
アンケートC1には、性格、性別、年齢などについての質問を含めてもよい。
【0031】
体質体調予測システム1は、生活者について主観データA3から第2のアルゴリズムに基づいて第1体質スコアQ1を算出する。
体質体調予測システム1は、生活者について客観睡眠データA2と、主観データA3とから、第3のアルゴリズムに基づいて第2体質スコアQ2を算出する。または、体質体調予測システム1は、客観睡眠データA2と、上述した第1体質スコアQ1とから第4のアルゴリズムに基づいて第2体質スコアQ2を算出してもよい。
【0032】
体質体調予測システム1は、生活者についての主観データA3のみから、第2のアルゴリズムに基づいて第1体質スコアQ1を算出し、体質体調指標P1を算出することができるが(この場合、第1体質スコアQ1と第2体質スコアQ2は同一である)、第3及び第4のアルゴリズムにおいては、第2体質スコアQ2を算出するために客観睡眠データA2を用いるため、体質体調指標P1の予測精度は向上することが期待される。
【0033】
第1体質スコアQ1、第2体質スコアQ2、または、第1体質スコアQ1と第2体質スコアQ2との組はそれぞれ、体質体調指標P1の一例である。
本実施形態において、第2のアルゴリズム、第3のアルゴリズム、及び第4のアルゴリズムはそれぞれ、後述するように一例として、因子分析に基づく予測モデルを用いたアルゴリズムである。
【0034】
さらに体質体調予測システム1は、生活者についての体質体調指標P1から、体質体調指標P1の算出に用いた項目の体質及び/または体調への寄与度を算出する。さらに体質体調予測システム1は、算出した寄与度から生活習慣の課題を特定し、当該課題に対する解決提案を抽出する。体質体調予測システム1は、抽出した解決提案を生活者に提示する。
【0035】
[体質体調予測システム1の機能構成]
次に図2を参照し、体質体調予測システム1の機能構成について説明する。図2は、本実施形態に係る体質体調予測システム1の機能構成の一例を示す図である。上述したように、本実施形態では、体質体調予測システム1は、一例として、クラウドサーバとして実現される。体質体調予測システム1が備える機能部は、複数のサーバに分散して備えられる。1つの機能部が1台のサーバに備えられてもよいし、複数の機能部が1台のサーバに備えらえてもよい。
なお、体質体調予測システム1が備える全ての機能部が、1台のサーバに備えられてもよい。その場合、体質体調予測システム1を、体質体調予測装置と呼んでもよい。
【0036】
体質体調予測システム1は、予測モデル生成部2と、客観睡眠データ生成部3と、回答取得部4と、体質体調指標算出部5と、体質体調指標提示部6と、アドバイス提示部7と、記憶部8とを備える。体質体調予測システム1が備える各機能部は、サーバにそれぞれ備えられるCPU(Central Processing Unit)がROM(Read Only Memory)からプログラムを読み込んで処理を実行することにより実現される。
【0037】
予測モデル生成部2は、予測モデルB1を生成する。予測モデル生成部2は、体質体調予測システム1による体質体調指標P1の算出が行われるより前に、予め予測モデルB1を生成して記憶部8に記憶させる。予測モデルB1は、アンケートC1に含まれる質問に対するサンプル生活者の回答から体質体調指標を予測するモデルである。アンケートC1に含まれる質問に対するサンプル生活者の回答とは、換言すれば、サンプル生活者についての主観データである。なお、アンケートC1から予測モデルB1を作成する際には、背景因子の誤差を最小化するためにサンプル生活者を特定の職種や勤務形態(勤務日数や日勤)によって限定してもよい。
【0038】
ここでサンプル生活者とは、予測モデルB1を生成するためのサンプルとなる回答を取得するための生活者である。本実施形態の一例では、サンプル生活者は、体質体調指標P1を算出する対象である生活者とは異なる生活者である。サンプル生活者の数は多い方が、予測モデルB1に基づく予測の精度を向上させるために好ましい。なお、サンプル生活者には、体質体調指標P1を算出する対象である生活者が含まれていてもよい。サンプル生活者を、被験者ともいう。
【0039】
また、体質体調指標P1を算出する対象である生活者から過去に得られたアンケートC1に対する回答が蓄積されており、新たに蓄積された回答とサンプル生活者からの回答とを合わせた回答に基づいて予測モデルB1が更新されてもよい。また、新たに蓄積された回答がサンプル生活者からの回答として用いられて、予測モデルB1が更新されてもよい。
【0040】
客観睡眠データ生成部3は、生体データA1から、第1のアルゴリズムに基づいて客観睡眠データA2を生成する。
回答取得部4は、アンケートC1に含まれる質問に対する生活者の回答を取得する。当該回答は、第1の回答の一例である。
体質体調指標算出部5は、予測モデルB1に基づいて、回答取得部4によって取得された主観データA3から体質体調指標P1を算出する。
【0041】
体質体調指標提示部6は、体質体調予測結果P0を提示する。体質体調予測結果P0とは、生活者の体質及び/または体調についての予測結果である。体質体調予測結果P0には、例えば、体質体調指標P1、寄与度P3、因子得点P4などが含まれる。体質体調予測結果P0の具体例については後述する。
【0042】
アドバイス提示部7は、予め設定された所望の提示内容に基づいて、体質及び/または体調の改善に関するアドバイスP5を提示する。
【0043】
記憶部8は、各種の情報を記憶する。記憶部8が記憶する情報には、生体データA1、客観睡眠データA2、主観データA3、予測モデルB1が含まれる。記憶部8は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置等の記憶装置を用いて構成される。
【0044】
[予測モデルの生成方法]
次に図3を参照し、予測モデルB1の生成方法について説明する。図3は、本実施形態に係る予測モデルB1の生成方法の一例を示す図である。本実施形態では、予測モデルB1は、アンケートC1に含まれる質問に対応する因子の因子得点に基づいて体質体調指標を予測するモデルである。
【0045】
ステップS10:予測モデル生成部2は、アンケートC1に含まれる質問それぞれに対するサンプル生活者の回答(主観データ)を取得する。予測モデル生成部2は、一例として、サンプル生活者の回答を示す主観データを、体質体調予測システム1の外部に備えられるサーバから取得する。なお、サンプル生活者の回答を示す主観データは、記憶部8に記憶されていてもよい。その場合、予測モデル生成部2は、記憶部8から当該主観データを読み出す。本実施形態の一例では、サンプル生活者の回答は、約4000人のサンプル生活者から得られた回答である。
【0046】
ステップS20:予測モデル生成部2は、アンケートC1に含まれる質問のうち体質及び/または体調以外の質問それぞれに対する回答について相関性解析を実行する。ここで当該回答は、大半がカテゴリ変数であるため、予測モデル生成部2は、当該回答について、カテゴリ変数から量的変数としての数値へと変換する。予測モデル生成部2は、量的変数に変換された回答にスケーリングを行った後、相関性解析を実行する。
【0047】
本実施形態では、アンケートC1には、一例として、健康状態、睡眠、食事、運動等の生活習慣、仕事面等の質問が含まれる。アンケートC1に含まれる質問は、体質及び/または体調に関する質問と、体質及び/または体調に関する質問以外の質問とに分類される。体質及び/または体調に関する質問以外の質問は、一例として、270項目ある。予測モデル生成部2は、アンケートC1に含まれる体質及び/または体調に関する質問以外の質問について相関性解析を実行する。
【0048】
ステップS30:予測モデル生成部2は、相関係数の絶対値が基準値以上の質問を抽出する。予測モデル生成部2は、ステップS20の相関性解析の結果に基づいて、体質及び/または体調に関する質問以外の質問のうち相関係数の絶対値が基準値(一例として、0.2)以上の質問を抽出する。本実施形態では、270項目のなかから一例として87項目の質問が抽出される。
【0049】
ステップS40:予測モデル生成部2は、因子分析を実行する。予測モデル生成部2は、ステップS30において抽出した87項目の質問それぞれに対する回答について因子分析を実行する。当該因子分析には、公知の因子分析のアルゴリズムが用いられる。本実施形態の一例では、因子分析の結果、合計20個(87項目の4分の1程度)の因子が算出される。
【0050】
ステップS50:予測モデル生成部2は、因子負荷量が大きく、かつ解釈性が高い質問を選択する。ここで、ステップS40における因子分析が、体質体調予測システム1のユーザに提示される。当該ユーザは、各因子を解釈し、解釈性が高く、かつ因子負荷量が大きい質問を選択する。予測モデル生成部2は、解釈性が高く、かつ因子負荷量が大きいと判断された質問を選択する操作を当該ユーザから受け付ける。予測モデル生成部2は、受け付けた操作に基づいて、解釈性が高い質問を判定する。予測モデル生成部2は、判定結果と、因子負荷量とに基づいて、因子負荷量が大きく、かつ解釈性が高い質問を選択する。
なお、因子負荷量の大小についても、提示される因子分析の結果に基づいて体質体調予測システム1のユーザによって判断されてもよい。
【0051】
本実施形態の一例としては、選択の結果、56項目に質問が選択される。因子分析に基づいて選択された56項目の質問の一例を、図4から図6に示す。図4から図6に示すように、年齢の質問項目以外の質問(56項目の質問と、性別の質問)それぞれに対する回答は、所定の選択肢から選択される。なお、性別、年齢の質問は、調整因子ともいう。
【0052】
なお、予測に使う質問項目は、上述した56項目に質問に限られない。予測に使う質問項目は、上述したように少なくとも生活習慣に関する質問を含む所定の質問であれば、他の質問であってもよい。
【0053】
ステップS60:予測モデル生成部2は、ステップS50において選択された質問について因子分析を実行する。本実施形態では、当該因子分析の結果、11個の因子が算出される。
【0054】
図7に因子分析の結果の一例を示す。図7では、縦軸に56項目の質問が示され、横軸に11個の因子が示されている。図7では、因子負荷量の大きさが濃淡によって示されている。11個の因子とは、「睡眠の質」、「食欲不振・やせ」、「睡眠不具合」、「神経質」、「仕事の負担」、「精神健康」、「活力」、「身体の痛み」、「身体健康」、「オーラルケアの習慣(オーラルヘルス)」、「食習慣」である。
【0055】
ステップS70:予測モデル生成部2は、主成分分析によって予測モデルB1の予測の対象となる予測対象を生成する。予測モデル生成部2は、アンケートC1に含まれる質問のうち体質及び/または体調に関する質問それぞれに対する回答について主成分分析を実行する。当該主成分分析の結果、体質及び/または体調の合成指標が生成される。
【0056】
なお、主成分分析によって、体質及び/または体調に関する質問それぞれに対する回答の空間において、主成分の方向はそれらの回答を示す方向が合成された方向となる。そのため、本実施形態では、体質及び/または体調に関する質問それぞれに対する回答についての主成分分析の結果生成される指標を体質及び/または体調の合成指標という。
【0057】
体質及び/または体調に関する質問には、一例として、「風邪を引きやすいと感じる」、「病気になりやすい」、「体調不良である」が含まれる。予測モデル生成部2は、これらの3項目の質問それぞれに対する回答について主成分分析を実行する。
【0058】
なお、合成指標の代わりに、上述した体質及び/または体調に関する3項目の質問それぞれに対する回答のうちいずれか1以上が用いられてもよい。また、体質及び/または体調に関する質問は、上述した3項目の質問以外の質問であってもよいし、体質及び/または体調に関する質問には、上述した3項目の質問に加えて、当該3項目の質問以外の質問が含まれてもよい。
【0059】
体質及び/または体調に関する質問以外の質問とは、例えば、過去の所定の期間において罹患したか否かである。過去の所定の期間とは、例えば、現在から1年前までの期間である。罹患するとは、何らかの病気(疾患、疾病ともいう)にかかることをいう。当該病気には、感染症(風邪、食中毒など)、アレルギー疾患、リウマチ、慢性疾患、悪性腫瘍、または生活習慣病などが含まれる。また、体質及び/または体調に関する質問以外の質問では、病気が特定される必要はなく、当該質問は、何らかの症状を発症したか否かであってもよい。当該症状は、例えば、発熱、のどの痛み、鼻水、せき、頭痛、吐き気、寒気、腹痛などである。
例えば過去1年に経験した発熱、のどの痛み、鼻水、せき、頭痛、吐き気、寒気、腹痛の発症日数などから、体質及び/または体調の合成指標を合成してもよい。
【0060】
なお、ステップS70の処理は、一例として、上述したステップS20からステップS60までの各処理と並行して行われる。なお、ステップS70の処理は、ステップS60の処理の後に行われてもよい。
【0061】
ステップS80:予測モデル生成部2は、ステップS60における因子分析によって得られた因子に基づく予測モデルB1を生成する。予測モデル生成部2は、生成した予測モデルB1を記憶部8に記憶させる。予測モデル生成部2は、一例として、重回帰モデルに基づいて、ステップS60における因子分析によって得られた11個の因子から合成指標を予測する重回帰モデルを生成する。
【0062】
予測モデル生成部2は、約4000人分のサンプル生活者の回答(主観データ)について、ステップS60における因子分析によって得られた因子と、ステップS70における主成分分析によって生成された合成指標との関係に基づいて、重回帰モデルを生成する。式(1)は、予測モデル生成部2が生成する重回帰モデルの一例を示す。
【0063】
【数1】
【0064】
式(1)において、Xi(i=1、2、・・・、N:Nは因子の数であり、本実施形態の一例では11個)は、因子を示す。xi(i=1、2、・・・、N:Nは因子の数)は、主観データA3から生成される各因子に対応する因子得点である。ai(i=1、2、・・・、N:Nは因子の数)は、各因子の定数の係数である。bは、バイアスに相当する定数である。重回帰モデルを生成するとは、式(1)の例では、定数であるai及びbそれぞれの値を決定することである。なお、aiは、図4から図6に示した11個の因子と年齢、性別に基づいて決定される。
【0065】
図8に、当該重回帰モデルによって予測される予測値と合成指標(実測値)との関係の一例を示す。図8では、重回帰モデルによる予測値に対する、合成指標の実測値が、約4000人分のサンプル生活者の回答毎に示されている。予測値と合成指標の実測値との相関を示す相関係数の値は、0.7であった。
【0066】
本実施形態では、予測モデルB1は、サンプル生活者の生体データA1と、主観データA3とから体質体調指標P1を予測するモデルである。上述したように、生体データA1は客観睡眠データA2に変換されて用いられる。例えば、予測モデル生成部2は、重回帰モデルに基づいて、客観睡眠データA2と、ステップS60における因子分析によって得られた11個の因子とから合成指標を予測する予測モデルB1を生成する。上述した第3のアルゴリズムとは、予測モデル生成部2によって生成される予測モデルB1に基づくアルゴリズムである。
【0067】
なお、予測モデルB1は、式(1)に示すような重回帰モデルであってもよい。その場合、予測モデルB1は、因子得点に重みづけをした値に基づいて体質体調指標P1を予測するモデルである。
また、予測モデルB1は、一般化線形モデルであってもよい。
【0068】
なお、予測モデルB1は、主観データA3、つまりアンケートC1に含まれる質問それぞれに対する回答から、因子を介さずに、体質体調指標P1を予測するモデルであってもよい。また、予測モデルB1は、生体データA1(または客観睡眠データA2)と主観データA3とから因子を介さずに、体質体調指標P1を予測するモデルであってもよい。それらの場合、予測モデルB1は、例えば、機械学習のモデルに基づいて生成される。当該機械学習では、例えば、主観データA3と合成指標との関係が学習される。
【0069】
また、予測モデルB1において、各因子の重み(ai)は、定数ではなく変数として扱われてもよい。その場合、各因子得点が算出された後に、各因子の重み(ai)が決定されてもよい。例えば、因子得点が所定の上限値より大きいこと、または所定の下限値より小さいことに基づいて、因子の重みが決定されてもよい。
【0070】
[体質体調指標算出処理]
次に図9を参照し、体質及び/または体調を予測する処理である体質体調指標算出処理について説明する。図9は、本実施形態に係る体質体調指標算出処理の一例を示す図である。
【0071】
ステップS110:回答取得部4は、アンケートC1に含まれる質問それぞれに対する生活者の回答を取得する。当該回答には、体質及び/または体調を予測する生活者についての回答が含まれる。回答取得部4は、取得した回答を主観データA3として記憶部8に記憶させる。
【0072】
ステップS120:体質体調指標算出部5は、回答取得部4が取得した回答に基づいて、因子の因子得点を算出する。ここで体質体調指標算出部5は、回答取得部4が取得した回答として、記憶部8から生体データA1を用いる。なお、体質体調指標算出部5は、回答取得部4から直接当該回答を取得してもよい。
【0073】
体質体調指標算出部5が因子得点を算出する場合の因子とは、上述した予測モデル生成処理のステップS60における因子分析の結果算出された11個の因子である。つまり、当該因子は、アンケートC1に含まれる質問それぞれに対するサンプル生活者の回答から因子分析によって予め求められた因子である。体質体調指標算出部5は、回答取得部4が取得したアンケートC1に含まれる質問それぞれに対する生活者の回答を因子得点に変換する。
【0074】
ステップS130:体質体調指標算出部5は、算出(変換)した因子得点から予測モデルB1に基づいて体質体調指標P1を算出する。ここで体質体調指標算出部5は、予測モデルB1を記憶部8から読み出す。
【0075】
また、体質体調指標算出部5は、算出した因子得点P4に基づいて寄与度P3を算出してもよい。寄与度P3とは、各因子が体質体調指標P1に寄与(影響)する程度を示す指標である。寄与度P3は、一例として、因子得点P4に、予測モデルB1における当該因子得点P4の係数aiを乗じた量である。なお、予測モデルB1において、「オーラルヘルス」の因子と組み合わせる因子のうち体質体調指標P1に寄与(影響)する程度が大きい因子は、大きい順に「精神健康」、「食欲不振・やせ」、「身体健康」、「活力」の順である。
【0076】
図10に、各因子についての寄与度P3として、重回帰係数を示す。図10に示す例では、「精神健康」の因子が体調の崩しやすさに最も寄与する。一方、「睡眠の質」の因子が体調を良くすることに最も寄与する。なお、図10に示す11個の因子は、体調の崩しやすさに対して全て有意に寄与する。なお、オーラルヘルスに関する質問により歯周病、う蝕、知覚過敏、口臭の状態を推定することが可能であるが、推定したこれらの項目の、体調の崩しやすさに対する影響は、歯周病とう蝕が最も高く、続いて知覚過敏、口臭の順に寄与している。また、歯磨き回数などの口腔衛生行動は、これらの症状の発生を予防するため、体調の維持に寄与している。
【0077】
ステップS140:体質体調指標提示部6は、体質体調予測結果P0を提示する。体質体調指標提示部6は、例えば、体質体調予測結果P0を、体質体調予測システム1のユーザの端末装置に出力することによって、体質体調予測結果P0提示する。なお、体質体調指標提示部6は、当該ユーザの端末装置から要求を受け付けた場合に、当該端末装置に体質体調予測結果P0を出力してもよい。
体質体調指標提示部6は、体質体調予測結果P0を、数値、統計量、各種のグラフ、表形式のデータなどのうちいずれか1以上の態様において提示する。
以上で、体質体調予測システム1は、体質体調指標算出処理を終了する。
【0078】
図11に、体質体調予測結果P0の一例を示す。図11では、体質体調予測結果P0として提示内容E1が提示されている。提示内容E1は、体質体調予測結果P0に寄与度P3が含まれる場合の提示内容である。各因子の寄与度P3は、例えば、各因子の重回帰係数に応じた得点(スコア)に変換されて表示される。例えば、「睡眠の質」は「-1点」、「食習慣」は「+2点」などとして表示されてもよい。
【0079】
また、提示内容E1では、体質体調指標P1の全国の生活者についての平均値が、各因子の寄与度P3とともに示されている。提示内容E1では、体質体調指標P1として、「あなたの体質点数」が示されている。
【0080】
提示内容E1では、一例として、ウォーターフォール図が用いられて、寄与度P3が示されている。つまり、この場合、体質体調指標提示部6は、体質体調予測結果P0として、ウォーターフォール図を用いて寄与度P3を提示する。
【0081】
なお、体質体調指標提示部6は、体質体調予測結果P0として、因子毎の体質体調指標P1への寄与度とともに体質体調指標P1を提示してもよい。
【0082】
なお、体調の崩しやすさに寄与している因子(図11の例では、領域R1に提示されている4つの因子)に基づいて、体質及び/または体調の改善に関するアドバイスP5が体質体調予測結果P0(提示内容E1)とともに提示されてもよい。その場合、アドバイス提示部7は、予め設定された所望の提示内容に基づいて、体質及び/または体調の改善に関するアドバイスP5を提示する。
【0083】
アドバイスP5を提示する一態様は、体質及び/または体調予測に用いる項目(本実施形態において、11個の因子)毎に、良い場合のコメントと、悪い場合のコメントとを紐づけたテーブルが、記憶部8に予め記憶される。アドバイス提示部7は、体質体調指標算出部5が算出した因子得点に基づいて、因子得点が最も高い項目について、当該テーブルから良い場合のコメントを読み出す。アドバイス提示部7は、体質体調指標算出部5が算出した因子得点に基づいて、因子得点が最も低い項目について、当該テーブルから悪い場合のコメントを読み出す。アドバイス提示部7は、読み出した各コメントをアドバイスP5として提示する。
【0084】
なお、アドバイス提示部7は、体質体調指標P1、寄与度P3のうち1以上と、コメントとを紐づけたテーブルに基づいてコメントを提示してもよい。また、体質及び/または体調の予測に用いる項目毎にコメントを紐づけたテーブルは、体質体調指標算出部5が算出した因子得点夫々にコメントが紐づけされていてもよい。
【0085】
上述したように、因子には、「オーラルヘルス」が含まれている。アドバイス提示部7がアドバイスP5として提示するコメントには、衛生行動についてのアドバイスが含まれてよい。衛生行動についてのアドバイスとは、例えば、オーラルケアについてのアドバイス、手洗いについてアドバイスである。オーラルケアについてのアドバイスとは、例えば、1日あたりの歯磨きの回数、歯磨きのタイミング(朝昼晩、食前、食後)、歯磨きの時間の長さ、洗口剤や歯間ブラシの使用頻度、うがいの頻度についてアドバイスである。
【0086】
なお、アドバイス提示部7は、提案内容希望条件データを取得して、提示するコメントをカスタマイズしてもよい。提案内容希望条件データとは、アドバイスP5として提示される所望の内容を示すデータである。提案内容希望条件データは、例えば、体質体調予測システム1のユーザである生活者によって入力される。提案内容希望条件データには、例えば、生活者が自身の生活習慣について普段から気になっている項目が入力される。
【0087】
コメントをカスタマイズするとは、複数のコメントのなかからコメントを選択することである。複数のコメントは、リストとして記憶部8に記憶される。アドバイス提示部7は、提案内容希望条件データが示す希望に応じて、当該リストに含まれる複数のコメントのなかから提示するコメントを選択する。
【0088】
また、アドバイス提示部7は、アドバイスP5に代えて、またはアドバイスP5とともに、生活習慣を改善するための製品(商品、グッズともいう)を提示(レコメンド)してもよい。当該製品を提示する一態様は、体質及び/または体調予測に用いる項目(本実施形態において、11個の因子)毎に、良い場合の製品と、悪い場合の製品とを紐づけたテーブルが、記憶部8に予め記憶される。アドバイス提示部7は、体質体調指標算出部5が算出した因子得点に基づいて、因子得点が最も高い項目について、当該テーブルから良い場合の製品を読み出す。アドバイス提示部7は、体質体調指標算出部5が算出した因子得点に基づいて、因子得点が最も低い項目について、当該テーブルから悪い場合の製品を読み出す。アドバイス提示部7は、読み出した各製品をアドバイスP5として提示する。
【0089】
当該製品には、例えば、衛生行動のための製品が含まれる。衛生行動のための製品には、オーラルケアのための製品(歯ブラシ、歯間ブラシ、歯磨き粉、洗口剤など)が含まれる。衛生行動のための製品には、頭髪、顔、体、手を洗浄するための各種の洗剤(シャンプー、ボディソープ、石鹸、洗顔フォーム)などが含まれる。
【0090】
なお、本実施形態では、客観睡眠データA2と、主観データA3とに基づいて、体質体調指標P1が算出(予測)される場合の一例について説明したが、これに限られない。本発明において体質体調指標P1の算出(予測)は、少なくとも主観データA3があればよく、客観睡眠データA2、自律神経データなどを組み合わせてもよい。例えば、自律神経データと、客観睡眠データA2と、主観データA3とに基づいて、体質体調指標P1が算出されてもよい。また、自律神経データと、主観データA3とに基づいて、体質体調指標P1が算出されてもよい。
【0091】
ここで自律神経データとは、例えば、生活者の脈拍のデータであり、客観睡眠データA2を生成するのに用いられる生体データA1が睡眠時に取得されるのに対して、日中の覚醒時に取得される。自律神経データから、周波数解析に基づいて、自律神経活動度が生成される。自律神経データは、自律神経活動度に変換されて、体質体調指標P1の算出に用いられる。
【0092】
なお、本実施形態では、図2に示した体質体調予測システム1の構成から予測モデル生成部2、客観睡眠データ生成部3、体質体調指標提示部6、アドバイス提示部7のうちいずれか1以上が省略されてよい。
予測モデルB1は、体質体調予測システム1の外部のサーバによって生成されてもよい。その場合、体質体調予測システム1の構成から予測モデル生成部2は省略されてよい。体質体調予測システム1は、当該外部のサーバによって生成された予測モデルを取得する。
【0093】
また、上述したように、体質体調指標P1は、主観データA3のみに基づいて算出されてもよい。その場合、体質体調予測システム1の構成から客観睡眠データ生成部3は省略されてよい。
また、体質体調指標算出部5は、算出した体質体調指標P1を体質体調予測システム1の外部のサーバに出力してもよい。その場合、当該外部のサーバによって、体質体調指標P1が提示される。
【0094】
(まとめ)
以上に説明したように、本実施形態に係る体質体調予測システム1は、回答取得部4と、体質体調指標算出部5とを備える。
回答取得部4は、少なくとも生活習慣に関する質問を含む所定の質問(本実施形態において、アンケートC1に含まれる質問)に対する第1の回答(本実施形態において体質体調指標P1の予測対象の生活者の回答)を示す回答データ(本実施形態において、主観データA3)を取得する。
体質体調指標算出部5は、質問(本実施形態において、アンケートC1に含まれる質問)に対する第2の回答(本実施形態において、サンプル生活者の回答)から体質及び/または体調についての指標である体質体調指標P1を予測する予測モデルB1に基づいて、回答取得部4によって取得された第1の回答(本実施形態において体質体調指標P1の予測対象の生活者の回答)から体質体調指標P1を算出する。
【0095】
この構成により、本実施形態に係る体質体調予測システム1では、少なくとも生活習慣に関する質問を含む所定の質問から体質体調指標P1を算出できるため、生活習慣から体質及び/または体調を予測(推定といってもよい)できる。
【0096】
本実施形態において、体質には、免疫レベル(免疫力ともいう)、病気への罹患しやすさ(例えば、風邪の引きやすさ)、体調の崩しやすさなどが含まれる。体質には、生まれつきの体質だけでなく、数年や数か月の期間の生活習慣が影響したことによって生まれつきの体質から変化した体質までが含まれる。また、体質には、数年の期間から数日程度の期間まで様々な長さの期間についての体質が含まれる。特に数日程度の期間の体質には、体調が含まれると考えられる。
【0097】
本実施形態では、体質及び/または体調とは、生まれつきの体質であるか、またはある期間の生活習慣が影響したことによって生まれつきの体質から変化した体質であるかによらず、現在の体質及び/または体調をいう。現在とは、生活者が少なくとも生活習慣に関する質問を含む所定の質問に回答した時点をいう。
【0098】
なお、体質体調予測システム1は、将来の体質及び/または体調を予測してもよい。将来とは、現在から所定期間後の時期をいう。所定期間とは、数日(例えば、1日から6日など)、数週間(例えば、1週間から4週間など)、数か月(例えば、1ヵ月から6か月など)、または数年(例えば、1年から3年など)である。その場合、少なくとも生活習慣に関する質問を含む所定の質問に対する回答から、所定期間後の体質及び/または体調についての指標を予測する予測モデルが予測に用いられる。当該予測モデルは、例えば、生活習慣と、所定期間後の病気の発症確率との関係に基づいて生成される。
【0099】
例えば、体質体調予測システム1は、当該予測モデルに基づいて、少なくとも生活習慣に関する質問を含む所定の質問に対する回答から、生活者が現在の生活習慣を送った場合に、数日(例えば、4、5日)中に風邪を引く確率を、体質体調指標P1として予測する。
【0100】
また、本実施形態に係る体質体調予測システム1では、生活習慣には、衛生行動についての習慣が含まれる。
【0101】
この構成により、本実施形態に係る体質体調予測システム1では、少なくとも衛生行動に関する質問を含む所定の質問から体質体調指標P1を算出できるため、衛生行動から体質及び/または体調を予測できる。
【0102】
また、本実施形態に係る体質体調予測システム1では、衛生行動には、オーラルケアの習慣が含まれる。本実施形態においてオーラルケアの習慣には、その結果としてのオーラルヘルス(現状の口腔状態)を含む。
【0103】
この構成により、本実施形態に係る体質体調予測システム1では、少なくともオーラルケアの習慣に関する質問を含む所定の質問から体質体調指標P1を算出できるため、オーラルケアの習慣から体質及び/または体調を予測できる。
【0104】
また、本実施形態に係る体質体調予測システム1では、予測モデルB1は、質問(本実施形態において、アンケートC1に含まれる質問)に対応する因子の因子得点P4に基づいて体質体調指標P1を予測するモデルである。
体質体調指標算出部5は、回答取得部4が取得した第1の回答(本実施形態において体質体調指標P1の予測対象の生活者の回答)を因子得点P4に変換し、変換した因子の因子得点P4から予測モデルB1に基づいて体質体調指標P1を算出する。
【0105】
この構成により、本実施形態に係る体質体調予測システム1では、質問の数が圧縮された質問(因子)に基づいて体質及び/または体調を予測できるため、因子を用いない場合に比べて効率よく体質及び/または体調を予測できる。
【0106】
また、本実施形態に係る体質体調予測システム1では、因子は、第2の回答(本実施形態において、サンプル生活者の回答)から因子分析によって予め求められた因子である。
【0107】
この構成により、本実施形態に係る体質体調予測システム1では、質問の数を圧縮するために因子分析によって求められた因子(項目)を用いることができため、因子分析を用いない場合に比べて予測精度を劣化させることなく質問の数を圧縮できる。
【0108】
また、本実施形態に係る体質体調予測システム1では、予測モデルB1は、因子得点P4に重みづけをした値に基づいて体質体調指標P1を予測するモデルである。
【0109】
この構成により、本実施形態に係る体質体調予測システム1では、因子が体質体調指標P1に与える影響を調整できるため、体質及び/または体調の予測精度を向上させることができる。
【0110】
また、本実施形態に係る体質体調予測システム1では、因子毎の体質体調指標P1への寄与度とともに体質体調指標P1を提示する体質体調指標提示部6をさらに備える。
【0111】
この構成により、本実施形態に係る体質体調予測システム1では、寄与度P3が提示できるため、因子に対応する項目に細分化して体質及び/または体調を評価できる。
本実施形態に係る体質体調予測システム1では、アンケートC1に回答する生活者の心身健康、生活習慣についてのどの項目が、どの程度、体調の崩しやすさの原因となっているかを寄与度P3として数値化することができる。
【0112】
また、本実施形態に係る体質体調予測システム1では、予測モデルB1は、第2の回答(本実施形態において、サンプル生活者の回答)をした被験者(本実施形態において、サンプル生活者)の生体データ(本実施形態において、客観睡眠データA2に変換された生体データA1)と、第2の回答(本実施形態において、サンプル生活者の回答)とから体質体調指標P1を予測するモデルである。
【0113】
この構成により、本実施形態に係る体質体調予測システム1では、生体データに基づいて体質体調指標P1を予測できるため、生体データに基づかない場合に比べて予測の精度を向上させることができる。
【0114】
また、本実施形態に係る体質体調予測システム1では、予め設定された所望の提示内容に基づいて、体質及び/または体調の改善に関するアドバイスP5を提示するアドバイス提示部7をさらに備える。
【0115】
この構成により、本実施形態に係る体質体調予測システム1では、体質及び/または体調に関するアドバイスP5を提示できるため、体質体調指標P1しか提示しない場合に比べて体質及び/または体調の予測結果を有効に活用できる。特に本実施形態に係る体質体調予測システム1では、体質及び/または体調の予測を因子分析に基づいて行う場合、因子分析に基づく所定の項目に細分化して、体質及び/または体調の改善に関するアドバイス(生活習慣の改善に関するアドバイス)を具体的かつ的確にすることができる。特に、体質体調予測システム1では、寄与度P3に基づいてアドバイスP5を提示してもよく、生活習慣の改善に関するアドバイスを寄与度P3に基づいて優先順位をつけた上で提示できる。
【0116】
なお、上述した実施形態における体質体調予測システム1の一部、例えば、予測モデル生成部2、客観睡眠データ生成部3、回答取得部4、体質体調指標算出部5、体質体調指標提示部6、及びアドバイス提示部7をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この制御機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、体質体調予測システム1に内蔵されたコンピュータシステムであって、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
また、上述した実施形態における体質体調予測システム1の一部、または全部を、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路として実現してもよい。体質体調予測システム1の各機能ブロックは個別にプロセッサ化してもよいし、一部、または全部を集積してプロセッサ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、または汎用プロセッサで実現してもよい。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いてもよい。
【0117】
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【符号の説明】
【0118】
1…体質体調予測システム、4…回答取得部、5…体質体調指標算出部、P1…体質体調指標、C1…アンケート、A3…主観データ、B1…予測モデル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11