IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社テイエルブイの特許一覧

<>
  • 特開-流量検出装置 図1
  • 特開-流量検出装置 図2
  • 特開-流量検出装置 図3
  • 特開-流量検出装置 図4
  • 特開-流量検出装置 図5
  • 特開-流量検出装置 図6
  • 特開-流量検出装置 図7
  • 特開-流量検出装置 図8
  • 特開-流量検出装置 図9
  • 特開-流量検出装置 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023089775
(43)【公開日】2023-06-28
(54)【発明の名称】流量検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01F 1/66 20220101AFI20230621BHJP
   F16T 1/48 20060101ALI20230621BHJP
   G01F 1/00 20220101ALI20230621BHJP
【FI】
G01F1/66 Z
F16T1/48 D
F16T1/48 Z
G01F1/00 G
G01F1/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021204498
(22)【出願日】2021-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】000133733
【氏名又は名称】株式会社テイエルブイ
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100170896
【弁理士】
【氏名又は名称】寺薗 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100131200
【弁理士】
【氏名又は名称】河部 大輔
(72)【発明者】
【氏名】時岡 良宜
【テーマコード(参考)】
2F030
2F035
【Fターム(参考)】
2F030CA03
2F030CC12
2F030CE02
2F030CE04
2F030CF03
2F035DA08
(57)【要約】
【課題】ドレントラップにおける流量の検出精度を向上させる。
【解決手段】流量検出装置10は、スチームトラップ2の振動を検出して振動信号を出力するプローブ18と、基準信号を発信する発信部151と、プローブ18から出力された振動信号を、発信部151から発信された基準信号に対して周波数変調する変調部152と、変調部152で周波数変調された振動信号において所定の周波数帯の成分を抽出するフィルタ部154と、予め用意されたスチームトラップ2の振動と蒸気漏洩流量との相関関係に基づいて、フィルタ部154で抽出された振動信号に応じた振動から蒸気漏洩流量を導出する導出部16とを備える。発信部151は、基準信号の周波数を所定範囲で時間の経過に伴ってスイープさせる。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドレントラップの振動を検出して前記振動の振動信号を出力する検出部と、
基準信号を発信する発信部と、
前記検出部から出力された前記振動信号を、前記発信部から発信された前記基準信号に対して周波数変調する変調部と、
前記変調部で周波数変調された前記振動信号において所定の周波数帯の成分を抽出するフィルタ部と、
予め用意された前記ドレントラップの振動と流量との相関関係に基づいて、前記フィルタ部で抽出された前記振動信号に応じた振動から流量を導出する導出部とを備え、
前記発信部は、前記基準信号の周波数を所定範囲で時間の経過に伴ってスイープさせる
ことを特徴とする流量検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の流量検出装置において、
前記所定範囲は、前記検出部から出力される前記振動信号の周波数のバラツキ幅を含む範囲である
ことを特徴とする流量検出装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の流量検出装置において、
前記検出部は、検出した振動の前記振動信号における前記検出部の共振周波数乃至その近傍の成分を増幅して出力する
ことを特徴とする流量検出装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は、流量検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ドレントラップなどのドレン流量を検出する装置が知られている。例えば特許文献1に開示されている検出装置は、弁の振動を検出する振動センサと、予め記憶されているドレン流量と振動との相関関係に基づいて、振動センサによる検出振動からドレン流量を求める導出部とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9-196716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述した特許文献1の装置では、振動センサによる検出振動値にはバラツキがあるため、ドレン流量の検出精度が低下する場合がある。
【0005】
本開示の技術は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ドレントラップにおける流量の検出精度を向上させることができる流量検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の技術は、検出部と、発信部と、変調部と、フィルタ部と、導出部とを備えている。前記検出部は、ドレントラップの振動を検出して前記振動の振動信号を出力する。前記発信部は、基準信号を発信する。前記変調部は、前記検出部から出力された前記振動信号を、前記発信部から発信された前記基準信号に対して周波数変調する。前記フィルタ部は、前記変調部で周波数変調された前記振動信号において所定の周波数帯の成分を抽出する。前記導出部は、予め用意された前記ドレントラップの振動と流量との相関関係に基づいて、前記フィルタ部で抽出された前記振動信号に応じた振動から流量を導出する。そして、前記発信部は、前記基準信号の周波数を所定範囲で時間の経過に伴ってスイープさせる。
【発明の効果】
【0007】
前記の流量検出装置によれば、ドレントラップにおける流量の検出精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、流量検出装置の構成を示す概略図である。
図2図2は、信号処理部の構成を示すブロック図である。
図3図3は、流量検出装置による検出動作を示すフローチャートである。
図4図4は、変調部における動作を説明するための図である。
図5図5は、変調部による周波数変調後の振動信号を示す図である。
図6図6は、従来の変調部による周波数変調後の振動信号を示す図である。
図7図7は、フィルタ部における動作を説明するための図である。
図8図8は、フィルタ部による抽出後の振動信号を示す図である。
図9図9は、従来のフィルタ部による抽出後の振動信号を示す図である。
図10図10は、AD変換部による変換後の振動レベルを測定毎にプロットした図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、例示的な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0010】
図1は、流量検出装置10の構成を示す概略図である。本実施形態の流量検出装置10は、例えば蒸気システム等に設けられるスチームトラップ2における蒸気漏洩流量、即ちスチームトラップ2から下流側へ漏洩している蒸気の漏洩流量を検出する。蒸気漏洩流量は、流量の一例である。スチームトラップ2は、ドレントラップの一例であり、例えばドレン配管1に設けられている。スチームトラップ2は、ドレン配管1からドレンが流入してきた場合はそのドレンを下流側へ流出させる一方、ドレン配管1から蒸気が流入してきた場合はその蒸気の流出を阻止する、いわゆる自動弁である。
【0011】
図1に示すように、流量検出装置10は、装置本体11およびプローブ18を有している。
【0012】
プローブ18は、スチームトラップ2の振動(例えば、振動レベル)を検出する検出部の一例である。プローブ18は、例えばスチームトラップ2のケーシングに押し当てられることで、スチームトラップ2の振動を検出する。プローブ18は、検出した振動の振動信号を出力する。例えば、プローブ18は、圧電素子(図示省略)を有している。プローブ18をスチームトラップ2のケーシングに押し当てると、スチームトラップ2の機械的振動が圧力変動として圧電素子に作用する。そうすると、圧電素子に電圧変動が生じ、この電圧変動に関する振動信号が出力される。
【0013】
プローブ18は、ケーブル18aを介して装置本体11と接続されている。プローブ18は、スチームトラップ2に関する振動信号をケーブル18aを介して装置本体11に出力する。より詳しくは、プローブ18は、検出した振動の振動信号におけるプローブ18の共振周波数乃至その近傍の成分を増幅して出力する。
【0014】
なお、装置本体11とプローブ18とは、一体に形成されていてもよい。また、装置本体11とプローブ18とは、Bluetooth(登録商標)等の無線通信規格によって無線で接続されていてもよい。
【0015】
装置本体11は、プローブ18から出力された振動信号に基づいて、スチームトラップ2における蒸気漏洩流量を導出する。具体的に、装置本体11は、入力部12と、記憶部13と、表示部14と、信号処理部15と、導出部16とを有している。
【0016】
入力部12は、ユーザ(例えば、作業員)からの入力操作を受け付ける。入力部12は、ユーザの入力操作に応じた入力信号を出力する。入力部12は、例えば、入力キー、または後述する表示部14に重ね合わされるタッチパネルである。
【0017】
記憶部13は、各種プログラム及び各種データを記憶する、コンピュータに読み取り可能な記憶媒体である。記憶部13は、ハードディスク等の磁気ディスク、CD-ROMおよびDVD等の光ディスク、または半導体メモリによって形成されている。具体的に、記憶部13は、スチームトラップ2の振動(振動レベル)と蒸気漏洩流量との相関関係(以下、相関データとも称する)を予め記憶している。より詳しくは、記憶部13は、スチームトラップ2の型式ごとに相関データを記憶している。
【0018】
表示部14は、例えば、導出部16によって導出された蒸気漏洩流量を表示する。表示部14は、蒸気漏洩流量に加え、信号処理部15から導出部16へ出力された振動レベルも表示してもよい。表示部14は、例えば、液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイである。
【0019】
信号処理部15は、プローブ18から装置本体11に出力された振動信号に対して所定の処理を行う。信号処理部15は、所定の処理を行った振動信号に応じた振動レベルを導出部16に出力する。信号処理部15の具体的な構成については後述する。
【0020】
導出部16は、予め用意されたスチームトラップ2の振動と蒸気漏洩流量との相関関係に基づいて、後述するフィルタ部155で抽出された振動信号に応じた振動から蒸気漏洩流量を導出する。つまり、導出部16は、記憶部13から相関関係を読み出し、その相関関係に基づいて、信号処理部15から出力された振動レベルから蒸気漏洩流量を導出する。導出部16は、例えば、マイクロコンピュータまたはプロセッサと、各種半導体メモリとによって実現される。
【0021】
図2は、信号処理部15の構成を示すブロック図である。信号処理部15は、発信部151と、変調部152と、増幅部153と、フィルタ部154と、AD変換部155とを有している。
【0022】
発信部151は、基準信号を発信する。つまり、発信部151は、基準信号を変調部152に出力する。そして、発信部151は、基準信号の周波数を所定範囲(以下、所定の変動範囲とも称する)で時間の経過に伴ってスイープさせる。より詳しくは、発信部151は、所定の測定時間内に、基準信号の周波数を所定範囲で1回あるいは複数回往復させて変動させる。所定の測定時間とは、プローブ18による1回当りの振動の測定時間(即ち、検出時間)である。つまり、プローブ18は、所定の測定時間の間、スチームトラップ2に押し当てられ続ける。所定の測定時間は、例えば15秒である。
【0023】
より詳しくは、所定の変動範囲は、プローブ18から出力される振動信号の周波数のバラツキ幅を含む範囲である。バラツキ幅は、プローブ18による検出毎(測定毎)の振動信号の周波数の誤差である。つまり、プローブ18から出力される振動信号の何れの周波数も、所定の変動範囲内にある。
【0024】
変調部152は、プローブ18から出力された振動信号を、発信部151から発信された基準信号に対して周波数変調する。変調部152は、周波数変調した振動信号を増幅部153へ出力する。増幅部153は、変調部152から出力された振動信号を増幅してフィルタ部154へ出力する。フィルタ部154は、変調部152で周波数変調された前記振動信号において所定の周波数帯の成分を抽出する。つまり、フィルタ部154は、増幅部153から出力された振動信号において所定の周波数帯の成分を抽出する。AD変換部155は、フィルタ部154で抽出された振動信号をAD変換によって振動レベルに変換する。AD変換部155で変換された振動レベルは、導出部16に入力される。
【0025】
次に、以上のように構成された流量検出装置10による蒸気漏洩流量の検出動作について、図3を参照しながら説明する。図3は、流量検出装置10による検出動作を示すフローチャートである。
【0026】
まず、ステップS1に先立って、ユーザは、検出対象となるスチームトラップ2の形式を入力部12によって入力する。続いて、ユーザは、検出対象となるスチームトラップ2にプローブ18を押し当てることで、スチームトラップ2の振動を検出する(ステップS1)。具体的には、所定の測定時間(例えば、15秒)の間、プローブ18がスチームトラップ2に押し当てられ続けることで、1回の振動の測定(検出)が行われる。
【0027】
続くステップS2では、プローブ18が、検出した振動の振動信号を増幅する。具体的に、プローブ18では、振動信号におけるプローブ18の共振周波数乃至その近傍の成分が増幅される。そのため、振動信号が強調される。この例では、共振周波数は42KHzとする。こうしてプローブ18によって増幅された振動信号は、装置本体11の変調部152へ出力される。
【0028】
図4は、変調部152における動作を説明するための図である。図5は、変調部152による周波数変調後の振動信号A1~A3を示す図である。図6は、従来の変調部による周波数変調後の振動信号A1~A3を示す図である。
【0029】
続くステップS3では、変調部152が、プローブ18から出力された振動信号を周波数変調する。具体的に、変調部152では、プローブ18から出力された振動信号が、発信部151から発信された基準信号に対して周波数変調される。ここでは、説明の便宜上、図4に示すように、互いにバラツキがある3つの振動信号A1~A3(即ち、3回測定した分の振動信号)をまとめて表記する。また、この例では、振動信号A1~A3は、変調部152によって可聴域の周波数である2KHzに変調される。つまり、変調部152は、超音波領域にあるスチームトラップ2の振動を可聴域に移す。発信部151から発信された基準信号Bの基準周波数は、この例では40KHzに設定される。そして、基準信号Bの周波数は、所定の変動範囲Xで時間の経過に伴ってスイープする。さらに、この例では、変動範囲Xは、40KHz(即ち、基準周波数)~45KHzとし、3つの振動信号A1~A3の周波数のバラツキ幅Yとフィルタ部154の通過帯域を考慮した範囲に設定されている。バラツキ幅Yは、共振周波数(42KHz)を含む範囲である。
【0030】
このように、変調部152では、基準信号Bの周波数が所定の変動範囲Xでスイープしながら、振動信号A1~A3が周波数変調される。そのため、図5に示すように、3つの振動信号A1~A3のそれぞれは、一定の周波数帯で振幅が実質平均化される。つまり、変動範囲Xに相当する周波数の範囲R内における一定の周波数帯で、それぞれの振幅が実質平均化される。しかも、変動範囲Xはバラツキ幅Yとフィルタ部154の通過帯域を考慮した範囲であるので、フィルタ部154の通過帯域の全体に対応して振幅が平均化される。
【0031】
仮に、従来のように、基準信号Bの周波数をスイープさせずに、即ち、基準信号Bの周波数を基準周波数に保持しながら、振動信号A1~A3を周波数変調した場合は、図6に示すように、3つの振動信号A1~A3の何れの振幅も平均化されない。
【0032】
変調部152で周波数変調された振動信号A1~A3は、増幅部153へ出力される。増幅部153では、変調部152から出力された振動信号A1~A3が増幅される(ステップS4)。これにより、振幅が実質平均化された振動信号A1~A3が強調される。増幅部153で増幅された振動信号A1~A3は、フィルタ部154へ出力される。
【0033】
図7は、フィルタ部154における動作を説明するための図である。図8は、フィルタ部154による抽出後の振動信号A1~A3を示す図である。図9は、従来のフィルタ部による抽出後の振動信号A1~A3を示す図である。
【0034】
続くステップS5では、フィルタ部154が、増幅部153から出力された振動信号A1~A3において所定の周波数帯Zの成分を抽出する。つまり、フィルタ部154では、例えば図7に示すように、所定の周波数帯Zを通過帯域とするバンドパスフィルタによって、所定の周波数帯Zの成分が抽出される。こうしてフィルタ部154で処理された3つの振動信号A1~A3は、例えば図8に示すように、互いにバラツキが少ない信号として抽出される。つまり、3つの振動信号A1~A3における振幅が実質平均化されている周波数帯Zの成分を抽出することで、互いにバラツキが少ない3つの振動信号A1~A3が得られる。
【0035】
仮に、従来のように、基準信号Bの周波数をスイープさせずに周波数変調した振動信号A1~A3をフィルタ部154で処理した場合は、例えば図9に示すように、互いにバラツキが大きい3つの振動信号A1~A3として抽出される。
【0036】
続くステップS6では、AD変換部155が、フィルタ部154で抽出された振動信号A1~A3をAD変換して振動レベルを導出する。図10は、AD変換部155による変換後の振動レベルを測定毎にプロットした図である。なお、図10では、一例として、25回の測定分の振動レベルがプロットされている。こうしてAD変換部155で変換されて導出された振動レベル(図10に〇印で示す振動レベル)は、従来の振動レベル(図10に△印で示す振動レベル)に比べて、測定毎のバラツキが低減されていることが分かる。この振動レベルは、導出部16へ出力される。
【0037】
続くステップS7では、導出部16が、蒸気漏洩流量を導出する。具体的に、導出部16は、入力部12によって入力されたスチームトラップ2の型式に対応する相関データを記憶部13から読み出す。そして、導出部16は、記憶部13から読み出した相関データに基づいて、信号処理部15(詳しくは、AD変換部155)から出力された振動レベルから蒸気漏洩流量を導出する。前述したように振動レベルの測定毎のバラツキが少ないことから、精度の高い蒸気漏洩流量が導出される。
【0038】
続くステップS8では、導出部16によって導出された蒸気漏洩流量が、表示部14に表示される。これにより、ユーザは、検出した蒸気漏洩流量を具体的に把握することができる。なお、このステップS8では、蒸気漏洩流量に加え、信号処理部15(詳しくは、AD変換部155)から導出部16に出力された振動レベルも表示部14に表示するようにしてもよい。ステップS8が完了すると、蒸気漏洩流量の検出動作が終了する。
【0039】
以上のように、前記実施形態の流量検出装置10は、プローブ18(検出部)と、発信部151と、変調部152と、フィルタ部154と、導出部16とを備えている。プローブ18は、スチームトラップ2(ドレントラップ)の振動レベル(振動)を検出してその振動レベルの振動信号A1~A3を出力する。発信部151は、基準信号Bを発信する。変調部152は、プローブ18から出力された振動信号A1~A3を、発信部151から発信された基準信号Bに対して周波数変調する。フィルタ部154は、変調部152で周波数変調された振動信号A1~A3において所定の周波数帯Zの成分を抽出する。導出部16は、予め用意されたスチームトラップ2の振動と蒸気漏洩流量との相関関係に基づいて、フィルタ部154で抽出された振動信号A1~A3に応じた振動レベルから蒸気漏洩流量を導出する。そして、発信部151は、基準信号Bの周波数を所定の変動範囲X(所定範囲)で時間の経過に伴ってスイープさせる。
【0040】
この構成によれば、基準信号Bの周波数が所定の変動範囲Xでスイープしながら、振動信号A1~A3が周波数変調されるので、振動信号A1~A3は、一定の周波数帯で振幅が実質平均化される。そして、変調部152から出力された振動信号A1~A3において振幅が実質平均化されている周波数帯Zの成分がフィルタ部154によって抽出されることで、測定毎のバラツキが少ない振動信号A1~A3が得られる。そのため、測定毎のバラツキが少ない振動レベルを得ることができる。そして、このような振動レベルから蒸気漏洩流量が導出されるので、精度の高い蒸気漏洩流量を導出することができる。したがって、蒸気漏洩流量の検出精度を向上させることができる。
【0041】
また、前記実施形態の流量検出装置10において、所定の変動範囲X(所定範囲)は、プローブ18から出力される振動信号A1~A3の周波数のバラツキ幅Yとフィルタ部154の通過帯域を考慮した範囲である。
【0042】
この構成によれば、変動範囲Xがバラツキ幅Yとフィルタ部154の通過帯域を考慮した範囲であるため、フィルタ部154の通過帯域の全体に対応して振幅が平均化される。そのため、振動信号A1~A3のバラツキひいては振動レベルのバラツキをより低減することができる。したがって、蒸気漏洩流量の検出精度を一層向上させることができる。
【0043】
また、前記実施形態の流量検出装置10において、プローブ18は、検出した振動の振動信号A1~A3におけるプローブ18の共振周波数乃至その近傍の成分を増幅して出力する。
【0044】
この構成によれば、振動信号A1~A3における共振周波数乃至その近傍の成分が増幅されるので、振動信号A1~A3がより強調される。そのため、変調部152において、振動信号A1~A3をより適切に変調処理を行うことができる。
【0045】
《その他の実施形態》
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、前記実施形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。また、前記実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。また、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、前記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0046】
例えば、振動レベルのバラツキが許容範囲まで低減されるのであれば、基準信号Bの変動範囲Xは、振動信号A1~A3のバラツキ幅Yよりも狭い範囲に設定されてもよい。
【0047】
また、プローブ18の共振周波数や基準信号Bの基本周波数、基準信号Bの変動範囲Xの数値については、前述したものに限られない。
【0048】
また、前記実施形態では、流量として蒸気漏洩流量の検出について説明したが、本開示の技術は、流量としてドレン流量の検出についても適用することができる。その場合、記憶部13は、スチームトラップ2の振動(振動レベル)とドレン流量との相関関係を予め記憶している。そして、導出部16は、スチームトラップ2の振動とドレン流量との相関関係に基づいて、フィルタ部154で抽出された振動信号に応じた振動からドレン流量を導出する。
【産業上の利用可能性】
【0049】
以上説明したように、本開示の技術は、流量検出装置について有用である。
【符号の説明】
【0050】
2 スチームトラップ(ドレントラップ)
10 流量検出装置
16 導出部
18 プローブ(検出部)
151 発信部
152 変調部
154 フィルタ部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10