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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023089781
(43)【公開日】2023-06-28
(54)【発明の名称】診断プログラム及びサーバ
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/02 20120101AFI20230621BHJP
【FI】
G06Q50/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021204506
(22)【出願日】2021-12-16
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 1.2020年12月21日 App Store、Google Play各アプリストアにて発表 2.2020年12月21日 別紙記載のアドレスのウェブサイトにて発表 3.2021年1月8日 別紙記載のアドレスのウェブサイトにて発表 4.2021年1月8日 別紙記載の刊行物にて発表 5.2021年2月1日 別紙記載の刊行物にて発表 6.2021年3月15日 別紙記載の集会にて発表 7.2021年10月27日-28日 もっと身近に!スマート農業~スマート農業推進フォーラム2021in東北~にて発表
(71)【出願人】
【識別番号】000232623
【氏名又は名称】日本農薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】谷口 健太郎
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC01
(57)【要約】
【課題】診断の精度を向上できる診断プログラム及びサーバを提供すること。
【解決手段】診断プログラムは、ユーザによって選択された第1の画像に写っている診断対象に発生している障害の種類の第1の診断結果を端末のユーザに対して提示することと、ユーザによる第1の操作に応じて、障害の種類の診断のために第1の画像と比較される複数の第2の画像をユーザに対して提示することと、ユーザによる第2の画像の選択に応じて、診断対象に発生している障害の種類の第2の診断結果をユーザに対して提示することとをコンピュータに実行させる。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザによって選択された第1の画像に写っている診断対象に発生している障害の種類の第1の診断結果を端末のユーザに対して提示することと、
前記ユーザによる第1の操作に応じて、障害の種類の診断のために前記第1の画像と比較される複数の第2の画像を前記ユーザに対して提示することと、
前記ユーザによる前記第2の画像の選択に応じて、診断対象に発生している障害の種類の第2の診断結果をユーザに対して提示することと、
をコンピュータに実行させるための診断プログラム。
【請求項2】
前記第1の診断結果は、前記第1の画像の入力に対して前記障害の種類の診断結果を出力する診断モデルによって得られる、請求項1に記載の診断プログラム。
【請求項3】
前記第1の診断結果は、前記ユーザに対して提示された前記第1の画像と比較される複数の第3の画像からの選択によって得られる、請求項1に記載の診断プログラム。
【請求項4】
前記第2の画像は、前記第1の診断結果によって特定される障害の種類と類似する種類の障害を含む画像である、請求項1乃至3の何れか1項に記載の診断プログラム。
【請求項5】
ユーザによる第2の操作に応じて、前記第1の診断結果と前記第2の診断結果の少なくとも何れかをサーバに送信することをさらにコンピュータに実行させるための請求項1乃至4の何れか1項に記載の診断プログラム。
【請求項6】
前記診断対象は、植物であり、
前記障害は、前記植物に発生している病害又は食害、前記植物に発生している害虫、前記植物の周辺に生えている雑草のうちの少なくとも1つを含む請求項1乃至5の何れか1項に記載の診断プログラム。
【請求項7】
ユーザによって選択された第1の画像に写っている診断対象に発生している障害の種類の第1の診断結果を端末のユーザに対して提示する第1の提示部と、
前記ユーザによる第1の操作に応じて、障害の種類の診断のために前記第1の画像と比較される複数の第2の画像を前記ユーザに対して提示する第2の提示部と、
前記ユーザによる前記第2の画像の選択に応じて、診断対象に発生している障害の種類の第2の診断結果をユーザに対して提示する第3の提示部と、
を具備するサーバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、病害虫又は雑草といった障害の診断プログラム及びサーバに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水稲等の作物には種々の病害及び害虫が発生し得る。また、作物の周辺には種々の雑草が生えることもある。これらの病害虫及び雑草といった作物に対する障害の防除には、障害の種類に応じた適切な農薬が使用される必要がある。したがって、障害の防除のためには、障害の種類を精度よく診断できることが重要である。近年、このような障害の診断を人工知能(AI)によって行うことが試みられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-093957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
AIによる診断では、ユーザによって提示された画像に対して確率的に確からしい診断結果が提示される。ただし、ユーザによって提示された画像の品質等によっては必ずしも正しい診断結果が提示されるとは限らない。
【0005】
本開示は、診断の精度を向上できる診断プログラム及びサーバを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様の診断プログラムは、ユーザによって選択された第1の画像に写っている診断対象に発生している障害の種類の第1の診断結果を端末のユーザに対して提示することと、ユーザによる第1の操作に応じて、障害の種類の診断のために第1の画像と比較される複数の第2の画像をユーザに対して提示することと、ユーザによる第2の画像の選択に応じて、診断対象に発生している障害の種類の第2の診断結果をユーザに対して提示することとをコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、診断の精度を向上できる診断プログラム及びサーバが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係るシステムの構成を示す図である。
図2図2は、端末のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図3図3は、サーバのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図4図4は、雑草の一例としての「ヨシ」の生態情報の閲覧画面の一例を示す図である。
図5図5は、診断プログラムの起動後の端末の処理について示すフローチャートである。
図6図6は、診断処理について示すフローチャートである。
図7図7は、診断結果の詳細の表示画面の例を示す図である。
図8図8は、類似障害と見比べる処理におけるディスプレイの表示画面の例を示す図である。
図9図9は、診断履歴表示処理について示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して実施形態を説明する。図1は、実施形態に係るシステムの構成を示す図である。システム1は、端末2と、サーバ3とを有している。端末2と、サーバ3とはネットワークNWを介して接続される。端末2は、例えば無線通信によってネットワークNWに接続し得る。
【0010】
端末2は、例えばスマートフォン、タブレット端末といった、ユーザが携帯できる端末装置である。端末2は、ユーザによって水田等の圃場PFまで携帯され、圃場PFにおける診断対象に対する障害の診断に使用される。図1では、端末2は、1つである。端末2は、2以上であってもよい。ここで、診断対象は、圃場PFにおいて生育されている作物である。また、障害は、作物に発生している病害又は食害、作物に発生している害虫、作物の周辺に生えている雑草といったものを含む。
【0011】
図2は、端末2のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。端末2は、プロセッサ21と、ROM22と、RAM23と、ストレージ24と、入力インターフェース25と、ディスプレイ26と、カメラ27と、通信モジュール28とを有している。
【0012】
プロセッサ21は、端末2の動作を制御するように構成されたプロセッサである。プロセッサ21は、ストレージ24に記憶されている各種のプログラムに従って各種の処理を実行する。プロセッサ21は、例えばCPUである。プロセッサ21は、CPUではなく、MPU、GPU等であってもよい。また、プロセッサ21は、1つのCPU等によって構成されている必要はなく、複数のCPU等によって構成されてもよい。
【0013】
ROM22は、例えば不揮発性メモリであり、端末2の起動プログラム等を記憶している。RAM23は、例えば揮発性のメモリである。RAM23は、例えばプロセッサ21における処理の際の作業メモリとして用いられる。
【0014】
ストレージ24は、例えばフラッシュメモリといったストレージである。ストレージ24は、端末2において用いられる各種のプログラム及びデータを格納している。実施形態では、ストレージ24は、OS(オペレーティングシステム)241、診断プログラム242を格納している。ストレージ24は、OS241、診断プログラム242以外のプログラム及びデータを格納していてもよい。例えば、ストレージ24は、ブラウザアプリケーションプログラム等を格納していてもよい。
【0015】
OS241は、端末2の基本的な機能を実現するためのプログラムである。ストレージ24に格納されている各種のプログラムは、OSの制御下で実行される。
【0016】
診断プログラム242は、例えば、ユーザによって選択された画像に写っている診断対象に発生している障害の種類等を診断する処理を含む障害の対策のための各種の処理をプロセッサ21に実行させるためのアプリケーションプログラムである。診断プログラム242は、必要に応じて端末2にインストールされ得る。診断プログラム242の詳細については後で詳しく説明される。
【0017】
入力インターフェース25は、タッチパネル等の入力装置を含む。入力インターフェース25の操作がされた場合、操作内容に応じた信号がプロセッサ21に入力される。プロセッサ21は、この信号に応じて各種の処理を行う。
【0018】
ディスプレイ26は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等の表示装置である。ディスプレイ26は、各種の画像を表示する。
【0019】
カメラ27は、端末2に備えられたカメラであって、被写体を撮像する。実施形態では、被写体は、例えば圃場PFの作物である。カメラ27は、CCDイメージセンサ又はCMOSイメージセンサといったイメージセンサと、レンズとを有している。カメラ27の構成は、特定の構成には限定されない。
【0020】
通信モジュール28は、端末2がサーバ3と通信するときの処理をするように構成されたインターフェースを含むモジュールである。通信モジュール28は、携帯電話回線、無線LAN回線等を用いてネットワークNWに接続するように構成されている。
【0021】
図3は、サーバ3のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。サーバ3は、プロセッサ31と、ROM32と、RAM33と、ストレージ34と、入力インターフェース35と、ディスプレイ36と、通信モジュール37とを有している。ここで、サーバ3は、単一のサーバでなくてもよい。さらには、サーバ3は、例えばクラウドサーバとして構成されていてもよい。
【0022】
プロセッサ31は、サーバ3の動作を制御するように構成されたプロセッサである。プロセッサ31は、例えばCPUである。プロセッサ31は、CPUではなく、MPU、GPU等であってもよい。また、プロセッサ31は、1つのCPU等によって構成されている必要はなく、複数のCPU等によって構成されてもよい。
【0023】
ROM32は、例えば不揮発性メモリであり、サーバ3の起動プログラム等を記憶している。RAM33は、例えば揮発性のメモリである。RAM33は、例えばプロセッサ21における処理の際の作業メモリとして用いられる。
【0024】
ストレージ34は、例えばハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブといったストレージである。ストレージ34は、OS341、診断モデル342、病害虫及び雑草画像343、生態情報344、農薬情報345、ユーザ情報346、撮影画像347、診断結果348を格納している。ストレージ34は、OS341、診断モデル342、病害虫及び雑草画像343、生態情報344、農薬情報345、ユーザ情報346、撮影画像347、診断結果348以外のプログラム及びデータを格納していてもよい。
【0025】
OS341は、サーバ3の基本的な機能を実現するためのプログラムである。ストレージ34に格納されている各種のプログラムは、OSの制御下で実行される。
【0026】
診断モデル342は、ユーザによって選択された画像における作物の病害、作物に付いている害虫、作物の周辺に生えている雑草のそれぞれが何であるかを識別する識別器を備えた学習済みモデルである。診断モデル342は、入力された画像における病害虫又は雑草が何に分類されるかを予測し、予測確率の上位の結果を出力する。診断モデル342は、病害診断モデル、害虫診断モデル、及び雑草診断モデルを含む。病害診断モデルは、病害を診断するための診断モデルであって、例えば畳み込みニューラルネットワーク(CNN)によって構成される。病害診断モデルには、病害又は食害の発生している各種の作物の画像がそれぞれの病害又は食害の種類を示すラベルとともに教師データとして入力されることで病害又は食害の特徴量の学習が行われる。害虫診断モデルは、害虫を診断するための診断モデルであって、例えばCNNによって構成される。害虫診断モデルには、各種の害虫の画像がそれぞれの害虫の種類を示すラベルとともに教師データとして入力されることで害虫の特徴量の学習が行われる。雑草診断モデルは、雑草を診断するための診断モデルであって、例えばCNNによって構成される。雑草診断モデルには、各種の雑草の画像がそれぞれの雑草の種類を示すラベルとともに教師データとして入力されることで雑草の特徴量の学習が行われる。診断モデル342は、画像から得られる特徴量以外の特徴量も含めて診断を実施するように構成されていてもよい。例えば、画像から得られる特徴量以外の特徴量は、端末2の位置、診断を実施する時期といった特徴量を含み得る。
【0027】
病害虫及び雑草画像343は、端末2のユーザが自身で病害、害虫、雑草の診断を実施するためにユーザによって参照される診断用の画像である。病害虫及び雑草画像343は、病害画像、害虫画像及び雑草画像を含む。病害・食害画像は、病害又は害虫による病徴、病斑、食害痕や害虫の食害後の排せつ物による汚れ等が発生した状態の各種の作物の画像である。害虫画像は、各種の作物に付着した害虫の画像である。雑草画像は、各種の雑草の画像である。病害画像、害虫画像、雑草画像は、それぞれ、対応する病害、害虫、雑草の名称と対応付けられている。また、病害画像、害虫画像、雑草画像は、それぞれ、同一の作物に対して種々のアングルから撮影された複数の画像を含み得る。また、害虫画像は、同一の害虫における成虫、幼虫、蛹といった形態の異なる害虫の画像を含み得る。また、病害画像、害虫画像、雑草画像は、それぞれ、同一の作物に対して気象条件等の撮影条件の異なる複数の画像を含み得る。ここで、病害虫及び雑草画像343は、診断モデル342の学習に用いられた画像を含んでいてもよいし、学習に用いられた画像を含んでいなくてもよい。
【0028】
生態情報344は、病害、作物、害虫の生態的な特徴を含む各種の情報である。生態情報344は、サーバ3の管理者によって編集され得る。図4は、雑草の一例としての「ヨシ」の生態情報344の閲覧画面の一例を示す。
【0029】
図4に示すように、雑草の場合の閲覧画面は、一例として、ID表示領域401と、概要表示領域402と、その他情報表示領域403とを有している。
【0030】
ID表示領域401は、雑草のそれぞれに一意に付けられたID番号を表示するための領域である。なお、ID番号は、病害、害虫、雑草を通した連番で付けけられてもよいし、病害、害虫、雑草で別個に付けられてもよい。
【0031】
概要表示領域402は、対応するID番号の雑草の概要の雑草情報を表示するための領域である。例えば、雑草の場合の概要の雑草情報は、「和名」、「英名」、「学名」、「科目」、「分類」といった項目を有している。また、雑草の場合の概要の雑草情報は、発生消長を表す写真を含む。さらに、概要の情報は、情報の登録日時を含む。
【0032】
その他情報表示領域403は、対応するID番号の雑草のその他の雑草情報を表示するための領域である。例えば、その他の情報は、「区分」、「別名」、「属名」、「生活型」、「分布」、「生育適応環境」、「出芽」、「花期」、「花色」、「草丈」、「繁殖器官」、「種子散布」、「由来」、「類似雑草」、「葉形」、「葉状」、「葉色」、「幼形」、「成形」、「花・果実」といった項目を有している。これらの項目名は、一例であって適宜に設定され得る。
【0033】
また、閲覧画面には、戻るボタン404と、編集ボタン405とが設けられている。戻るボタン404は、閲覧画面の表示から例えば病害、害虫、雑草の一覧画面に戻るために選択されるボタンである。編集ボタン405は、現在表示中の閲覧画面に登録されている情報を編集するために選択されるボタンである。例えば、サーバ3の管理者は、編集ボタン405を選択した後、「成形」の欄にコメントを追記し得る。
【0034】
実施形態においては、その他の雑草情報は、「類似雑草」の項目を有している。「類似雑草」には、対応するID番号の雑草と見た目等が類似している雑草の例えば和名が登録され得る。和名ではなく、ID番号が登録されてもよい。サーバ3の管理者は、編集ボタン405を選択した後、「類似雑草」の欄に雑草の名称を追加し得る。類似雑草の追加に際しては、例えば対応するID番号の雑草と同じ「区分」に設定されている雑草しか追加できないように制限がかけられていてもよい。これにより、例えば水田に生える雑草と類似の雑草を追加すべきであるのに、水田に生えない雑草が類似雑草として追加されてしまうようなことが抑制され得る。
【0035】
ここで、一例では、生態情報344は、サーバ3の管理者によって編集されるとされている。生態情報344は、端末2のユーザによって編集できるようにも構成されてよい。
【0036】
また、図4は、雑草の生態情報344の閲覧画面の例を示している。しかしながら、病害及び害虫の生態情報344の閲覧画面も一部の情報の項目に相違がある点を除いては雑草の生態情報344の閲覧画面と同等の画面であってよい。例えば、雑草情報の「類似雑草」と同様に害虫情報に「類似害虫」といった欄が設けられていてもよいし、病害情報に「類似病害」、食害情報に「類似食害」といった欄が設けられていてもよい。
【0037】
ここで、図3の説明に戻る。農薬情報345は、病害、害虫、雑草の防除に用いられる農薬の情報である。農薬情報は、例えば農薬の名称、剤型、特長、農薬登録内容、処理時期、処理回数、他の農薬との混用可否、製造メーカといった情報を含む。農薬情報345は、病害、害虫、雑草の例えばID番号と関連づけられている。
【0038】
ユーザ情報346は、端末2のユーザの情報である。ユーザ情報346は、例えばユーザ毎に付されるID番号、ユーザの氏名、住所、電子メールアドレスといった情報を含む。また、ユーザ情報346は、サーバ3にアクセスするためのログインパスワード等の情報を含んでいてもよい。
【0039】
撮影画像347は、端末2のユーザによって過去に撮影された画像である。撮影画像347は、ユーザ毎に管理されている。また、撮影画像347は、診断結果348と関連付けられている。
【0040】
診断結果348は、ユーザによって確定された過去の診断結果である。後で説明するように、実施形態における診断は、AI診断とカルテ式診断の2つの診断方法を含む。AI診断は、診断モデル342による診断である。カルテ式診断は、ユーザが病害虫及び雑草画像343と自分で選択した画像とを見比べながら行う診断である。診断結果348は、AI診断の診断結果とカルテ式診断の診断結果の双方を含む。診断結果348は、例えば診断された障害を特定するための情報であって診断が実施された日時及び診断された障害の名称等とともにユーザ毎に管理されている。障害を特定するための情報としては、例えば障害毎に付されるID番号が用いられ得る。
【0041】
入力インターフェース35は、タッチパネル等の入力装置を含む。入力インターフェース25の操作がされた場合、操作内容に応じた信号がプロセッサ31に入力される。プロセッサ31は、この信号に応じて各種の処理を行う。
【0042】
ディスプレイ36は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等の表示装置である。ディスプレイ36は、各種の画像を表示する。
【0043】
通信モジュール37は、サーバ3が端末2と通信するときの処理をするように構成されたインターフェースを含むモジュールである。通信モジュール37は、携帯電話回線、有線LAN回線、無線LAN回線等を用いてネットワークNWに接続するように構成されている。
【0044】
次に、システム1の動作を説明する。図5は、診断プログラム242の起動後の端末2の処理について示すフローチャートである。図5の処理は、端末2のプロセッサ21によって実施される。
【0045】
診断プログラム242の起動後のステップS1において、プロセッサ21は、ディスプレイ26に診断プログラム242のホーム画面を表示する。ホーム画面は、少なくとも診断ボタンと、診断履歴ボタンとを含む。診断ボタンは、病害虫又は雑草の診断を実施するために選択されるボタンである。診断履歴ボタンは、過去の確定済みの診断結果を閲覧するために選択されるボタンである。ホーム画面は、診断ボタン及び診断履歴ボタン以外のボタンを含んでいてもよい。例えば、ホーム画面は、診断ボタンと診断履歴ボタンとに加えて、診断プログラム242の各種の設定を実施するために選択される設定ボタン、サーバ3からの各種のお知らせを受けるために選択されるお知らせボタンといったボタンを含み得る。
【0046】
ステップS2において、プロセッサ21は、診断を開始するか否かを判定する。例えば、ユーザによって診断ボタンが選択されたときに、診断を開始すると判定される。ステップS2において、診断を開始すると判定されたときには、処理はステップS3に移行する。ステップS2において、診断を開始しないと判定されたときには、処理はステップS4に移行する。
【0047】
ステップS3において、プロセッサ21は、診断処理を実施する。診断処理の後、処理はステップS7に移行する。診断処理の詳細については後で説明する。
【0048】
ステップS4において、プロセッサ21は、診断履歴を表示するか否かを判定する。例えば、ユーザによって診断履歴ボタンが選択されたときに、診断履歴を表示すると判定される。ステップS4において、診断履歴を表示すると判定されたときには、処理はステップS5に移行する。ステップS2において、診断を開始しないと判定されたときには、処理はステップS6に移行する。
【0049】
ステップS5において、プロセッサ21は、診断履歴表示処理を実施する。診断履歴表示処理の後、処理はステップS7に移行する。診断履歴表示処理の詳細については後で説明する。
【0050】
ステップS6において、プロセッサ21は、その他の処理を実施する。その他の処理は、例えば前述した設定の処理、お知らせの表示処理といった処理を含む。その他の処理の後、処理はステップS7に移行する。
【0051】
ステップS7において、プロセッサ21は、診断プログラム242の処理を終了するか否かを判定する。例えば、ユーザによって診断プログラム242の終了操作がされたときに、診断プログラム242の処理を終了すると判定される。ステップS7において、診断プログラム242の処理を終了すると判定されたときには、プロセッサ21は、診断プログラム242の処理を終了させる。この場合、図5の処理は終了する。ステップS7において、診断プログラム242の処理を終了しないと判定されたときには、処理はステップS2に戻る。
【0052】
次に、診断処理を説明する。図6は、診断処理について示すフローチャートである。ステップS101において、プロセッサ21は、ユーザからの診断対象の選択を受け付ける。例えば、プロセッサ21は、診断対象の候補の作物の一覧をディスプレイ26に表示させる。ユーザは、診断対象の候補の作物の一覧から自身の望む作物を診断対象として選択する。診断対象の候補は、例えば水稲、キャベツ、ねぎ、はくさい、ブロッコリーといったものを含む。ユーザからの診断対象の選択を受け付けた場合、処理はステップS102に移行する。
【0053】
ステップS102において、プロセッサ21は、ユーザからの診断モードの選択を受け付ける。例えば、プロセッサ21は、診断モードの一覧をディスプレイ26に表示させる。ユーザは、診断モードの一覧から自身の望む診断モードを選択する。診断モードは、例えば病害・食害モード、害虫モード、雑草モードの3種類を含む。病害・食害モードは、診断対象に発生している病害又は食害の種類を診断するための診断モードである。害虫モードは、診断対象に発生している害虫の種類を診断するための診断モードである。雑草モードは、診断対象の周辺に発生している雑草の種類を診断するための診断モードである。ユーザからの診断モードの選択を受け付けた場合、処理はステップS103に移行する。なお、病害・食害モードの場合には、プロセッサ21は、さらに、診断をしたい病害・食害が発生している対象部位の選択を受け付けるようにしてもよい。対象部位は、例えば葉、茎、花といったものを含む。また、雑草モードの場合には、プロセッサ21は、さらに、診断をしたい雑草の葉の形の選択を受け付けるようにしてもよい。葉の形は、例えば広い葉、狭い葉といったものを含む。
【0054】
ステップS103において、プロセッサ21は、ユーザからの診断対象の画像の選択を受け付ける。診断対象の画像は、その場で撮影することによって選択されてもよいし、端末2の例えばストレージ24又はサーバ3のストレージ34に記憶された撮影画像の中から選択されてもよい。ユーザによって撮影することが選択されたときには、プロセッサ21は、カメラ27を起動する。ユーザは、カメラ27によって診断対象を撮影する。撮影完了後、処理はステップS104に移行する。また、撮影画像から選択されたときには、プロセッサ21は、撮影画像の一覧をディスプレイ26に表示する。ユーザは、一覧の中から所望の撮影画像を選択する。画像の選択がされた後、処理はステップS104に移行する。
【0055】
ステップS104において、プロセッサ21は、ユーザによって選択された画像の調整の操作を受け付ける。画像の調整の操作は、例えば画像の拡大及び回転といった操作である。画像の調整の操作の後、処理はステップS105に移行する。
【0056】
ステップS105において、プロセッサ21は、ユーザからの診断方法の選択を受け付ける。診断方法は、前述したAI診断とカルテ式診断を含む。プロセッサ21は、例えばAI診断とカルテ式診断との選択画面をディスプレイ26に表示する。ユーザは、所望の診断方法を選択する。選択の後、処理はステップS106に移行する。
【0057】
ステップS106において、プロセッサ21は、AI診断が選択されたか否かを判定する。ステップS106において、AI診断が選択されたと判定されたときには、処理はステップS107に移行する。ステップS106において、AI診断が選択されていない、すなわちカルテ式診断が選択されたと判定されたときには、処理はステップS110に移行する。
【0058】
ステップS107において、プロセッサ21は、サーバ3に対してAI診断の実施を要求する。要求には、診断対象の情報、選択された診断モードの情報、ユーザによって選択された画像といった情報が含まれる。サーバ3のプロセッサ31は、診断対象及び診断モードに応じて診断モデル342を選択し、選択した診断モデル342にユーザによって選択された画像を入力することで診断を実施する。診断モデル342は、予測確率の高い上位の複数の診断結果を出力する。これを受けてサーバ3のプロセッサ31は、診断結果を端末2に送信する。その後、処理はステップS108に移行する。
【0059】
ステップS108において、プロセッサ21は、診断結果をディスプレイ26に一覧表示する。表示順は、例えば予測確率の高い順であり得る。
【0060】
ステップS109において、プロセッサ21は、診断結果のうちの1つがユーザによって選択されたか否かを判定する。ステップS109において、診断結果の1つが選択されていないと判定されたときには、処理はステップS108に戻る。ステップS109において、診断結果の1つが選択されたと判定されたときには、処理はステップS113に移行する。
【0061】
ステップS110において、プロセッサ21は、サーバ3に対してカルテ式診断の実施を要求する。要求には、診断対象の情報、選択された診断モードの情報といった情報が含まれる。サーバ3のプロセッサ31は、診断対象及び診断モードに応じた病害虫及び雑草画像343を選択する。そして、サーバ3のプロセッサ31は、選択した病害虫及び雑草画像343を端末2に送信する。その後、処理はステップS111に移行する。
【0062】
ステップS111において、プロセッサ21は、ユーザによって選択された画像と、サーバ3から受信した病害虫及び雑草画像343をディスプレイ26に一覧表示する。
【0063】
ステップS112において、プロセッサ21は、ディスプレイ26に表示されている病害虫及び雑草画像343のうちの1つがユーザによって選択されたか否かを判定する。ユーザは、ディスプレイ26に表示されている、自身で選択した画像と病害虫及び雑草画像343とを見比べながら、自身で選択した画像と類似している病害虫及び雑草画像343を見つける。そして、類似している病害虫及び雑草画像343を見つけたときに、ユーザは、その類似している画像を選択する。ステップS112において、画像の1つが選択されていないと判定されたときには、処理はステップS111に戻る。ステップS112において、画像の1つが選択されたと判定されたときには、処理はステップS113に移行する。
【0064】
AI診断又はカルテ式診断の何れかにおいて診断結果が選択された後のステップS113において、プロセッサ21は、選択された診断結果の詳細をディスプレイ26に表示する。その後、処理はステップS114に移行する。
【0065】
図7は、診断結果の詳細の表示画面の例を示す図である。図7は、診断モードが雑草モードである例を示している。診断モードが病害・食害モードであるときの診断結果の詳細の表示及び診断結果が害虫モードであるときの診断結果の詳細の表示は、図4で示した生態情報344の項目の違いによる表示内容の違い以外は、基本的には診断モードが雑草モードであるときの診断結果の詳細の表示と同様に行われてよい。
【0066】
図7に示すように、診断結果の詳細の表示画面は、ユーザによって選択された画像の表示領域411を含む。表示領域411に表示される画像が、調整後の画像であってよいし、調整前の画像であってもよい。
【0067】
また、診断結果の詳細の表示画面は、診断された障害、図7では雑草の種類等を示す情報の表示領域412を含む。表示領域412に表示される情報は、例えば図4で示した生態情報344における概要の雑草情報であってよい。
【0068】
また、診断結果の詳細の表示画面は、関連画像の表示領域413を含む。関連画像は、診断結果の雑草の写っている各種の画像である。関連画像は、教師データとして用いられた画像を含んでいてよい。また、関連画像は、過去のユーザの撮影画像347を含んでいてもよい。
【0069】
また、診断結果の詳細の表示画面は、診断確定ボタン414を含む。診断確定ボタン414は、ユーザが最終的に診断結果を確定する際に選択されるボタンである。
【0070】
また、診断結果の詳細の表示画面は、防除ボタン415を含む。防除ボタン415は、診断された障害、図7の例ではケイヌビエを防除するために有効な農薬の情報を閲覧する際に選択されるボタンである。
【0071】
さらに、診断結果の詳細の表示画面は、類似障害、図7では類似雑草と見比べるボタン416を含む。類似雑草と見比べるボタン416は、診断結果と類似する画像を用いたカルテ式診断を実施する際に選択されるボタンである。
【0072】
ここで、図6の説明に戻る。ステップS114において、プロセッサ21は、診断結果が確定されたか否かを判定する。診断確定ボタン414が選択されたときには、診断結果が確定されたと判定される。ステップS114において、診断結果が確定されたと判定されたときには、処理はステップS115に移行する。ステップS114において、診断結果が確定されていないと判定されたときには、処理はステップS116に移行する。
【0073】
ステップS115において、プロセッサ21は、確定された診断結果をサーバ3に送信する。確定された診断結果は、例えばステップS103においてユーザによって選択された画像を含む。また、確定された診断結果は、AI診断の場合には診断確定ボタン414が選択されたときにユーザによって選択されていた診断結果の障害を特定するための情報としての例えばID番号、カルテ式診断の場合には診断確定ボタン414が選択されたときにユーザによって選択されていた画像と対応する障害を特定するための情報としての例えばID番号といったものを含む。サーバ3のプロセッサ31は、送信されてきた画像を撮影画像347としてユーザ情報346と関連付けてストレージ34に格納する。また、サーバ3のプロセッサ31は、送信されてきた確定された障害を特定するための情報としての例えばID番号及び診断が行われた日時を、診断結果348としてユーザ情報346と関連付けてストレージ34に格納する。その後、サーバ3のプロセッサ31は、診断結果が格納されたことを端末2のプロセッサ21に通知する。この後、処理はステップS123に移行する。
【0074】
ステップS116において、プロセッサ21は、防除のための情報を表示するか否かを判定する。防除ボタン415が選択されたときには、防除のための情報を表示すると判定される。ステップS116において、防除のための情報を表示すると判定されたときには、処理はステップS117に移行する。ステップS116において、防除のための情報を表示しないと判定されたときには、処理はステップS119に移行する。
【0075】
ステップS117において、プロセッサ21は、現在の診断された障害、図7の例ではケイヌビエを防除するための農薬の情報をディスプレイ26に表示する。例えば、プロセッサ21は、防除に有効な農薬の名称を一覧表示する。ユーザが何れかの農薬の名称を選択したときに、プロセッサ21は、選択された農薬の詳細な情報をディスプレイ26に表示する。農薬の情報は、サーバ3から送信される農薬情報345に基づいて表示される。
【0076】
ステップS118において、プロセッサ21は、ユーザによって戻る操作がされたか否かを判定する。戻る操作は、例えば農薬の情報の表示画面に表示される戻るボタンの選択操作である。ステップS118において、戻る操作がされたと判定されたときには、処理はステップS123に移行する。ステップS118において、戻る操作がされていないと判定されたときには、処理はステップS117に戻る。この場合には、農薬の情報の表示が継続される。
【0077】
ステップS119において、プロセッサ21は、類似障害と見比べる処理を実施するか否かを判定する。例えば、類似雑草と見比べるボタン416が選択されたときには、類似障害と見比べる処理を実施すると判定される。ステップS119において、類似障害と見比べる処理を実施すると判定されたときには、処理はステップS120に移行する。ステップS119において、類似障害と見比べる処理を実施しないと判定されたときには、処理はステップS123に移行する。
【0078】
ステップS120において、プロセッサ21は、再診断の要求として現在の表示中の診断結果の情報をサーバ3に送信する。送信される診断結果の情報は、例えば現在の表示中の診断結果の障害を特定するための情報としての例えばID番号を含む。サーバ3のプロセッサ31は、送信されてきた障害を特定するための情報に基づいて生態情報344を参照し、この障害と類似する障害の情報を抽出する。例えば、障害が雑草であるときには、サーバ3のプロセッサ31は、図4で示した類似雑草の欄に登録されている雑草の和名等を抽出する。また、ユーザによって撮影された画像の作物部位等に応じて、対応する情報によって類似範囲を絞ることもできる。そして、サーバ3のプロセッサ31は、抽出した病害虫及び雑草画像343を選択する。そして、サーバ3のプロセッサ31は、選択した病害虫及び雑草画像343を端末2に送信する。この後、処理はステップS121に移行する。ここで、サーバ3のプロセッサ31は、さらに、障害の発生している場所を例えば端末2の位置の情報として端末2から受け取るとともに、診断が実施された日時の情報を端末2から受け取り、図4で示した類似雑草の欄に登録されている雑草の和名等から抽出された雑草のうちで、端末2の位置と類似する分布を有し、かつ、診断が実施された時期と類似する時期に発生する雑草のみを抽出するように類似雑草のさらなる絞り込みをしてもよい。
【0079】
ステップS121において、プロセッサ21は、ステップS111でカルテ式診断と同様に、ユーザによって選択された画像と、サーバ3から受信した病害虫及び雑草画像343をディスプレイ26に一覧表示する。つまり、実施形態では、ユーザの操作に応じて、先の診断結果と類似する画像を用いての再度のカルテ式診断が行われ得る。
【0080】
図8は、類似障害と見比べる処理の一例としての類似雑草と見比べる処理におけるディスプレイ26の表示画面の例を示す図である。図8に示すように、類似雑草と見比べる処理においては、ユーザによって選択された画像421が表示される。さらに、類似雑草と見比べる処理においては、先の診断結果によって特定される障害としての雑草と類似する雑草の画像422が表示される。さらに、類似する雑草の画像422の数がディスプレイ26に表示しきれないほどに多い場合には、前のページボタン423及び次のページボタン424が表示される。ユーザは、前のページボタン423及び次のページボタン424によって画像422のページ送り又はページ戻しをすることができる。ここで、類似する雑草の画像422は、類似している雑草の画像だけでなく、先の診断において診断された雑草の画像も併せて表示されてよい。さらに、図8において、画像421と画像422とを見比べるためのTIPSが併せて表示されてもよい。TIPSは、例えば雑草であれば葉の形状にどのような違いがあるかといった画像を見比べるうえでの特徴に関わる情報である。TIPSは、常時表示されてもよいし、例えば画像422が選択されたときだけ表示されてもよい。また、類似雑草と見比べる処理を含む類似障害と見比べる処理においても戻るボタン424が表示されてよい。戻るボタン424が選択された場合には、図7で示した診断結果の詳細の表示画面に戻ってもよい。
【0081】
ステップS122において、プロセッサ21は、ディスプレイ26に表示されている病害虫及び雑草画像343のうちの1つがユーザによって選択されたか否かを判定する。ユーザは、ディスプレイ26に表示されている、自身で選択した画像と病害虫及び雑草画像343とを見比べながら、自身で選択した画像と類似している病害虫及び雑草画像343を見つける。そして、類似している病害虫及び雑草画像343を見つけたときに、ユーザは、その類似している画像を選択する。ステップS122において、画像の1つが選択されていないと判定されたときには、処理はステップS121に戻る。ステップS122において、画像の1つが選択されたと判定されたときには、処理はステップS123に移行する。
【0082】
ステップS123において、プロセッサ21は、戻る操作がされたユーザによって戻る操作がされたか否かを判定する。戻る操作は、例えば診断結果の詳細画面に表示される戻るボタン417の選択操作である。ステップS123において、戻る操作がされたと判定されたときには、プロセッサ21は、診断処理を終了する。この場合には、プロセッサ21は、処理を図5のステップS7に移行させる。ステップS123において、戻る操作がされていないと判定されたときには、処理はステップS113に戻る。この場合、詳細表示が継続される。
【0083】
次に、診断履歴表示処理を説明する。図9は、診断履歴表示処理について示すフローチャートである。ステップS201において、プロセッサ21は、サーバ3から診断履歴の情報を受け取り、診断履歴の情報に従って診断結果の一覧を診断履歴としてディスプレイ26に表示させる。診断結果の一覧は、例えば診断された障害の名称の一覧である。診断結果は、例えば日付順に表示される。名称に加えて診断結果と関連付けられた画像のサムネイルが表示されてもよい。
【0084】
ステップS202において、プロセッサ21は、診断履歴の一覧から1つの診断結果が選択されたか否かを判定する。ステップS202において、診断結果が選択されていないと判定されたときには、処理はステップS203に移行する。ステップS202において、診断結果が選択されたと判定されたときには、処理はステップS204に移行する。
【0085】
ステップS203において、プロセッサ21は、ユーザによって戻る操作がされたか否かを判定する。戻る操作は、例えば診断履歴の表示画面に表示される戻るボタンの選択操作である。ステップS203において、戻る操作がされたと判定されたときには、プロセッサ21は、診断履歴表示処理を終了する。この場合には、プロセッサ21は、処理を図5のステップS7に移行させる。ステップS203において、戻る操作がされていないと判定されたときには、処理はステップS201に戻る。この場合には、診断履歴の表示が継続される。
【0086】
ステップS204において、プロセッサ21は、選択された診断結果の詳細をディスプレイ26に表示する。その後、処理はステップS205に移行する。診断結果の詳細の表示画面は、基本的には図7で示したものと同様である。図7に表示される各種情報が確定済みの診断結果の情報である点が異なる。したがって、診断確定ボタン414は不要である。また、診断結果の詳細の表示画面は、類似雑草と見比べるボタン416の代わりに再診断ボタンを含む。再診断ボタンは、確定済みの診断結果に対する再度のAI診断又はカルテ式診断を実施するために選択されるボタンである。
【0087】
ステップS205において、プロセッサ21は、ユーザによって戻る操作がされたか否かを判定する。戻る操作は、例えば診断結果の詳細の表示画面に表示される戻るボタンの選択操作である。ステップS205において、戻る操作がされたと判定されたときには、処理はステップS201に戻る。この場合には、診断履歴の表示に戻る。ステップS205において、戻る操作がされていないと判定されたときには、処理はステップS206に移行する。
【0088】
ステップS206において、プロセッサ21は、防除のための情報を表示するか否かを判定する。防除ボタン415が選択されたときには、防除のための情報を表示すると判定される。ステップS206において、防除のための情報を表示すると判定されたときには、処理はステップS207に移行する。ステップS206において、防除のための情報を表示しないと判定されたときには、処理はステップS209に移行する。
【0089】
ステップS207において、プロセッサ21は、現在の診断結果の障害を防除するための農薬の情報をディスプレイ26に表示する。例えば、プロセッサ21は、防除に有効な農薬の名称を一覧表示する。ユーザが何れかの農薬の名称を選択したときに、プロセッサ21は、選択された農薬の詳細な情報をディスプレイ26に表示する。農薬の情報は、サーバ3から送信される農薬情報345に基づいて表示される。
【0090】
ステップS208において、プロセッサ21は、ユーザによって戻る操作がされたか否かを判定する。ステップS208において、戻る操作がされたと判定されたときには、処理はステップS204に戻る。この場合には、農薬の情報の表示から診断結果の詳細の表示に戻る。ステップS208において、戻る操作がされていないと判定されたときには、処理はステップS207に戻る。この場合には、農薬の情報の表示が継続される。
【0091】
ステップS209において、プロセッサ21は、再診断を実施するか否かを判定する。例えば、再診断ボタンが選択されたときには、再診断を実施すると判定される。ステップS209において、再診断を実施すると判定されたときには、処理は図6のステップS104に移行する。すなわち、画像の調整以後の処理が実施される。再診断の対象となる画像は、ユーザによって選択された診断結果に関連付けられた撮影画像347である。ステップS209において、再診断を実施しないと判定されたときには、処理はステップS204に戻る。
【0092】
以上説明したように本実施形態によれば、圃場における作物に対する障害がAI診断とカルテ式診断の2種類の診断方法で診断され得る。ユーザは、自身の望む方法の診断方法を選択し得る。
【0093】
さらに、本実施形態によれば診断結果が得られた後のユーザ操作に応じて再度のカルテ式診断が行われ得る。このような2度の診断によって、診断のさらなる精度の向上が期待される。さらには、2度目のカルテ式診断においては、1度目の診断結果で診断された障害と類似する障害の画像がユーザに提示される。これにより、1度目の診断結果をさらに絞り込むことができる。これによっても診断のさらなる精度の向上が期待される。このように、本実施形態によればAI診断とカルテ式診断とを連携させることで診断結果の精度向上が見込まれる。
【0094】
[変形例]
以下、変形例を説明する。前述した実施形態では、2度目のカルテ式診断においては、1度目の診断結果で診断された障害と類似する障害の画像がユーザに提示されるとされている。これに対し、2度目のカルテ式診断においても、通常のカルテ式診断が行われてもよい。つまり、診断対象及び診断モードに応じた病害虫及び雑草画像343が1度目の診断結果との類似又は非類似に関わらずに表示されてもよい。この他、例えば、雑草の場合だけ、類似する雑草の画像がユーザに提示される等の各種の変形がされてよい。
【0095】
また、前述した実施形態では、診断履歴から選択された診断結果の再診断の場合には、処理が図6のステップS104に戻る、すなわちAI診断とカルテ式診断の選択も含めて処理がやり直されるものとされている。これに対し、診断履歴から選択された診断結果の再診断の場合においても、確定されている診断結果で診断された障害と類似する障害の画像がユーザに提示されるカルテ式診断が行われてもよい。
【0096】
また、前述した実施形態では、診断対象は、圃場において生育される作物であるとされている。これに対し、実施形態の技術は、作物以外の一般的な植物に対しても適用され得る。
【0097】
また、前述した実施形態では、診断プログラムは、端末2にインストールされるプログラムとされている。これに対し、診断プログラム、ウェブアプリケーションプログラムであってもよい。この場合、診断プログラムの実体はサーバ3のストレージ34に格納される。そして、サーバ3は、端末2のウェブブラウザ上に表示される画面において各種の操作をする。この操作を受けて、サーバ3は、前述した各フローチャートの処理を実施する。
【0098】
また、上述した実施形態による各処理は、コンピュータであるプロセッサ21又は31に実行させることができるプログラムとして記憶させておくこともできる。この他、磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリ等の外部記憶装置の記憶媒体に格納して配布することができる。そして、プロセッサ21又は31は、この外部記憶装置の記憶媒体に記憶されたプログラムを読み込み、この読み込んだプログラムによって動作が制御されることにより、上述した処理を実行することができる。
【0099】
また、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0100】
1 システム、2 端末、3 サーバ、21 プロセッサ、22 ROM、23 RAM、24 ストレージ、25 入力インターフェース、26 ディスプレイ、27 カメラ、28 通信モジュール、31 プロセッサ、32 ROM、33 RAM、34 ストレージ、35 入力インターフェース、36 ディスプレイ、37 通信モジュール、241 OS、242 診断プログラム、341 OS、342 診断モデル、343 病害虫及び雑草画像、344 生態情報、345 農薬情報、346 ユーザ情報、347 撮影画像、348 診断結果。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9