(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023008979
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】超音波スライス強化
(51)【国際特許分類】
A61B 8/12 20060101AFI20230112BHJP
【FI】
A61B8/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022106975
(22)【出願日】2022-07-01
(31)【優先権主張番号】17/366,267
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ガイ・ウェクセルマン
(72)【発明者】
【氏名】ダン・シュテインベルグ
(72)【発明者】
【氏名】ヤイル・パルティ
(72)【発明者】
【氏名】リオール・グリーンバウム
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601BB03
4C601DD15
4C601EE11
4C601FE01
4C601FE04
4C601GA19
4C601GA25
4C601JC10
4C601JC12
4C601JC25
4C601KK31
(57)【要約】
【課題】医療システムを提供すること。
【解決手段】一実施形態において、システムは、生体対象の身体部分の2D超音波画像をキャプチャする超音波プローブと、プロセスであって、身体部分の3D解剖学的マップを生成することであって、3D解剖学的マップと2D超音波画像は、3D座標空間に対して位置合わせされる、ことと、解剖学的構造の3D表示を3D解剖学的マップに追加することと、解剖学的構造の3D表示を含む3D解剖学的マップをディスプレイに描画することと、解剖学的構造の3D表示に応じて、2D超音波画像のうちの所与の1つを、所与の2D超音波画像上の解剖学的構造の2D表示と共に、ディスプレイに描画することと、を行うプロセスと、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療システムであって、
生体対象の身体部分の複数の二次元(2D)超音波画像をキャプチャするように構成された超音波プローブと、
ディスプレイと、
プロセッサであって、
前記身体部分の三次元(3D)解剖学的マップを生成することであって、前記3D解剖学的マップと前記2D超音波画像は、3D座標空間に対して位置合わせされる、ことと、
前記身体部分の解剖学的構造の3D表示を前記3D解剖学的マップに追加することと、
前記解剖学的構造の前記3D表示を含む前記3D解剖学的マップを前記ディスプレイに描画することと、
前記解剖学的構造の前記3D表示に応じて、前記2D超音波画像のうちの所与の1つを、前記所与の2D超音波画像上の前記解剖学的構造の2D表示と共に、前記ディスプレイに描画することと、を行うように構成されているプロセッサと、
を含む、システム。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記所与の2D超音波画像と前記3D解剖学的マップの前記解剖学的構造の前記3D表示との、前記3D座標空間での交差に応じて、前記所与の2D超音波画像上の前記解剖学的構造の前記2D表示を、前記ディスプレイに描画するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記2D超音波画像に応じて、前記身体部分の前記3D解剖学的マップを生成するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記超音波プローブは、前記超音波プローブの遠位端のそれぞれの位置を示す信号を提供するように構成されている位置センサを含み、前記プロセッサは、提供された前記信号に応じて、前記2D超音波画像のそれぞれのキャプチャ時に、前記超音波プローブの前記遠位端の前記それぞれの位置を計算するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記2D超音波画像及び前記遠位端の計算された前記それぞれの位置に応じて、前記身体部分の前記3D解剖学的マップを生成するように構成されている、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記位置センサは、前記超音波プローブの前記遠位端の前記位置を示す前記信号を提供する磁気位置センサを含む、請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
前記解剖学的構造の2D表示は、前記解剖学的構造の境界を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記解剖学的構造の2D表示は、前記解剖学的構造の識別テキストを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
医療方法であって、
生体対象の身体部分の複数の二次元(2D)超音波画像をキャプチャすることと、
前記身体部分の三次元(3D)解剖学的マップを生成することであって、前記3D解剖学的マップと前記2D超音波画像は3D座標空間に対して位置合わせされる、ことと、
前記身体部分の解剖学的構造の3D表示を前記3D解剖学的マップに追加することと、
前記解剖学的構造の前記3D表示を含む前記3D解剖学的マップをディスプレイに描画することと、
前記解剖学的構造の前記3D表示に応じて、前記2D超音波画像のうちの所与の1つを、前記所与の2D超音波画像上の前記解剖学的構造の2D表示と共に、前記ディスプレイに描画することと、
を含む、方法。
【請求項10】
前記描画することは、前記所与の2D超音波画像と前記3D解剖学的マップの前記解剖学的構造の前記3D表示との、前記3D座標空間での交差に応じて、前記所与の2D超音波画像上の前記解剖学的構造の前記2D表示を、前記ディスプレイに描画することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記3D解剖学的マップを生成することは、前記2D超音波画像に応じて、前記身体部分の前記3D解剖学的マップを生成することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記超音波プローブの遠位端のそれぞれの位置を示す信号を提供することと、
提供された前記信号に応じて、前記2D超音波画像のそれぞれのキャプチャ時に、前記超音波プローブの前記遠位端のそれぞれの位置を計算することと、を更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記3D解剖学的マップを生成することは、前記2D超音波画像及び前記遠位端の計算された前記それぞれの位置に応じて、前記身体部分の前記3D解剖学的マップを生成することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記信号を提供することは、前記超音波プローブの磁気位置センサによって行われる、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記解剖学的構造の2D表示は、前記解剖学的構造の境界を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
前記解剖学的構造の2D表示は、前記解剖学的構造の識別テキストを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項17】
プログラム命令が格納される非一時的なコンピュータ可読媒体を含むソフトウェア製品であって、前記命令は、中央処理装置(CPU)によって読み取られると、前記CPUに、
超音波プローブから生体対象の身体部分の二次元(2D)超音波画像を受け取ることと、
前記身体部分の三次元(3D)解剖学的マップを生成することであって、前記3D解剖学的マップと前記2D超音波画像は3D座標空間に対して位置合わせされる、ことと、
前記身体部分の解剖学的構造の3D表示を前記3D解剖学的マップに追加することと、
前記解剖学的構造の前記3D表示を含む前記3D解剖学的マップをディスプレイに描画することと、
前記解剖学的構造の前記3D表示に応じて、前記2D超音波画像のうちの所与の1つを、前記所与の2D超音波画像上の前記解剖学的構造の2D表示と共に、前記ディスプレイに描画することと、を行わせる、ソフトウェア製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療システム、特にマッピングに関するが、これに限定されない。
【背景技術】
【0002】
心臓内超音波イメージングのための様々なデバイス及び方法が当技術分野で知られている。例えば、Biosense Webster Inc.(カリフォルニア州アーバイン)は、3D超音波画像をリアルタイムで生成するためにCartoSound(商標)システム及びSoundStar(商標)カテーテルを提供している。血管系を通して心臓に挿入されるSoundStar(商標)カテーテルは、位置センサ及び超音波トランスデューサのフェーズドアレイを含む。CartoSound(商標)システムは、位置センサ及び超音波トランスデューサからの信号を処理して、心腔の3D画像を生成する。
【0003】
心臓内超音波イメージングを使用した心内膜表面の非接触再構築のためのいくつかの方法が当該技術分野において既知である。例えば、国際公開第00/19908号は、心臓内超音波イメージングのための操舵可能なトランスデューサアレイを記載している。アレイは、能動的開口によって所望の方向に操舵される超音波ビームを形成する。
【0004】
米国特許第6,004,269号は、カテーテルに組み込まれた超音波デバイスに基づく音響イメージングシステムを記載している。超音波デバイスは、超音波信号を心臓内の内部構造に方向付けて、超音波画像を作成する。
【0005】
別の例として、国際公開第99/55233号は、患者の心臓の3D面を描写するための方法を記載している。トレーニングデータを使用して3Dメッシュモデルを生成し、患者の心臓の集団に対する原型的な(archetypal)形状とする。患者の心臓の複数の超音波画像を、異なる画像平面で撮影する。解剖学的位置は、画像の各々において手作業で特定される。メッシュモデルは、事前に画定された解剖学的位置に対して画像と厳密に位置合わせされる。
【0006】
輪郭描写における、この種類の手作業での支援は、超音波画像に基づく3D再構築のための方法において一般的である。例えば、米国特許出願公開第2006/0241445号は、解剖学的構造のモデリングのための方法について記載しており、この方法では、解剖学的構造の複数の超音波画像が、超音波センサのそれぞれの複数の空間位置で、超音波センサを使用して取得される。超音波センサの位置及び配向座標は、複数の空間位置の各々で測定される。解剖学的構造の特徴を示す、対象の輪郭が、1つ以上の超音波画像でマークされている。対象の輪郭、及び測定された位置と配向の座標に基づいて、解剖学的構造の三次元(3D)モデルが構成される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態によれば、医療システムであって、生体対象の身体部分の複数の二次元(2D)超音波画像をキャプチャするように構成されている超音波プローブと、ディスプレイと、プロセッサであって、身体部分の三次元(3D)解剖学的マップを生成することであって、3D解剖学的マップと2D超音波画像は、3D座標空間に対して位置合わせされる、ことと、身体部分の解剖学的構造の3D表示を3D解剖学的マップに追加することと、解剖学的構造の3D表示を含む3D解剖学的マップをディスプレイに描画することと、解剖学的構造の3D表示に応じて、2D超音波画像のうちの所与の1つを、所与の2D超音波画像上の解剖学的構造の2D表示と共に、ディスプレイに描画することと、を行うように構成されているプロセッサと、を含む、システムが提供される。
【0008】
更に本発明の一実施形態によれば、プロセッサは、所与の2D超音波画像と3D解剖学的マップの解剖学的構造の3D表示との、3D座標空間での交差に応じて、所与の2D超音波画像上の解剖学的構造の2D表示を、ディスプレイに描画するように構成されている。
【0009】
また更に、本発明の一実施形態によれば、プロセッサは、2D超音波画像に応じて、身体部分の3D解剖学的マップを生成するように構成されている。
【0010】
更に、本発明の一実施形態によれば、超音波プローブは、超音波プローブの遠位端のそれぞれの位置を示す信号を提供するように構成されている位置センサを含み、プロセッサは、提供された信号に応じて、2D超音波画像のそれぞれのキャプチャ時に、超音波プローブの遠位端のそれぞれの位置を計算するように構成されている。
【0011】
更に、本発明の一実施形態によれば、プロセッサは、2D超音波画像及び遠位端の計算されたそれぞれの位置に応じて、身体部分の3D解剖学的マップを生成するように構成されている。
【0012】
更に、本発明の一実施形態によれば、位置センサは、超音波プローブの遠位端の位置を示す信号を提供するための磁気位置センサを含む。
【0013】
また更に、本発明の一実施形態によれば、解剖学的構造の2D表示は、解剖学的構造の境界を含む。
【0014】
更に、本発明の一実施形態によれば、解剖学的構造の2D表示は、解剖学的構造の識別テキストを含む。
【0015】
本発明の別の実施形態によれば、医療方法であって、生体対象の身体部分の複数の二次元(2D)超音波画像をキャプチャすることと、身体部分の三次元(3D)解剖学的マップを生成することであって、3D解剖学的マップと2D超音波画像は3D座標空間に対して位置合わせされる、ことと、身体部分の解剖学的構造の3D表示を3D解剖学的マップに追加することと、解剖学的構造の3D表示を含む3D解剖学的マップをディスプレイに描画することと、解剖学的構造の3D表示に応じて、2D超音波画像のうちの所与の1つを、所与の2D超音波画像上の解剖学的構造の2D表示と共に、ディスプレイに描画することと、を含む、方法も提供される。
【0016】
更に、本発明の一実施形態によれば、描画することは、所与の2D超音波画像と3D解剖学的マップの解剖学的構造の3D表示との、3D座標空間での交差に応じて、所与の2D超音波画像上の解剖学的構造の2D表示を、ディスプレイに描画することを含む。
【0017】
更に、本発明の一実施形態によれば、3D解剖学的マップを生成することは、2D超音波画像に応じて身体部分の3D解剖学的マップを生成することを含む。
【0018】
また更に、本発明の一実施形態によれば、本方法は、超音波プローブの遠位端のそれぞれの位置を示す信号を提供することと、提供された信号に応じて、2D超音波画像のそれぞれのキャプチャ時に、超音波プローブの遠位端のそれぞれの位置を計算することと、を含む。
【0019】
更に、本発明の一実施形態によれば、3D解剖学的マップを生成することは、2D超音波画像及び遠位端の計算されたそれぞれの位置に応じて、身体部分の3D解剖学的マップを生成することを含む。
【0020】
更に、本発明の一実施形態によれば、信号を提供することは、超音波プローブの磁気位置センサによって行われる。
【0021】
更に、本発明の一実施形態によれば、解剖学的構造の2D表示は、解剖学的構造の境界を含む。
【0022】
また更に、本発明の一実施形態によれば、解剖学的構造の2D表示は、解剖学的構造の識別テキストを含む。
【0023】
また、本発明の更に別の実施形態によれば、プログラム命令が格納されている非一時的なコンピュータ可読媒体を含むソフトウェア製品であって、命令は、中央処理装置(CPU)によって読み取られると、CPUに、超音波プローブから生体対象の身体部分の二次元(2D)超音波画像を受け取ることと、身体部分の三次元(3D)解剖学的マップを生成することであって、3D解剖学的マップと2D超音波画像は3D座標空間に対して位置合わせされる、ことと、身体部分の解剖学的構造の3D表示を3D解剖学的マップに追加することと、解剖学的構造の3D表示を含む3D解剖学的マップをディスプレイに描画することと、解剖学的構造の3D表示に応じて、2D超音波画像のうちの所与の1つを、所与の2D超音波画像上の解剖学的構造の2D表示と共に、ディスプレイに描画することと、を行わせる、ソフトウェア製品が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本発明は、図面と併せて、以下の詳細な説明から理解されよう。
【
図1】本発明の例示的な実施形態による、超音波イメージングのためのカテーテルベースのシステムの概略図である。
【
図2】
図1のシステムで使用されるカテーテルの遠位端の概略側面図である。
【
図3】本発明の例示的な実施形態による、カテーテルによってキャプチャされた超音波画像の概略図である。
【
図4】本発明の例示的な実施形態による、超音波画像を使用する高速解剖学的マッピングのための方法を概略的に示すフローチャートである。
【
図5】本発明の例示的な実施形態に従って作成された心腔の3Dマップの概略図である。
【
図6】
図1のシステムの操作方法のステップを含むフローチャートである。
【
図7】解剖学的構造が配置された3D解剖学的マップ及び2D超音波画像の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
概論
前述のように、血管系を通して心臓に挿入されるSoundStar(商標)カテーテルは、心臓の画像を収集するために、位置センサ及び超音波トランスデューサのフェーズドアレイを含む。CartoSound(商標)システムは、位置センサ及び超音波トランスデューサからの信号を処理して、心腔の3D画像を生成する。
【0026】
超音波は、蛍光透視法の欠点を伴わずにリアルタイムイメージングを提供することができる。SoundStar(商標)カテーテルはまた、心腔のうちの1つ(例えば、右心房)に挿入され、すべての心腔をマッピングすることができるという利点を有する。構造的心臓手術、左心耳閉鎖手術及び電気生理学的(electrophysiological、EP)なケースの際、医師は、リアルタイムの超音波画像を使用して、心臓のカテーテルを操作し、心臓の構造を画像化することができる。しかしながら、超音波画像は、特に経験のないユーザが理解するのは簡単ではない。超音波画像で解剖学的構造を識別するには、経験が必要である。
【0027】
本発明の実施形態は、事前に3D解剖学的マップに追加された解剖学的構造の2D表示で2D超音波画像にアノテーションを付すことにより、超音波画像を理解しやすくすることによって、上記の問題を解決する。3D解剖学的構造の三次元表示は、医師によって手作業で、又は自動セグメンテーション法を使用して自動的に、3D解剖学的マップに追加され得る。例えば、右下肺静脈(right inferior pulmonary vein、RIPV)及び右上肺静脈(right superior pulmonary vein、RSPV)などの構造を3D解剖学的マップに示すことができる。3D解剖学的マップは2D超音波画像よりも理解されやすいため、3D解剖学的構造の表示を3D解剖学的マップに追加する方がより容易である。所与の2D超音波画像について、超音波画像がキャプチャされた3D座標空間内で、その2D超音波画像が3D解剖学的構造(複数可)とどのように交差しているかに基づいて、解剖学的構造の1つ以上の2D表示が、その2D超音波画像に追加され得る。言い換えれば、3D解剖学的構造は、解剖学的構造の2D表示として、対応する2D超音波画像上に投影され、それによって、超音波画像は理解しやすく、処置中に有用なものとなる。2D表示は、境界(例えば、3D解剖学的マップ上に示される様々な解剖学的構造の3D表示に使用される色と一致する色付きの境界)及び/又はテキストラベル、例えば、RIPV又はRSPVを含み得る。
【0028】
システムの説明
ここで、本発明の一実施形態によるカテーテルベースの超音波イメージングシステム20を概略的に示す
図1及び
図2を参照する。
図1は、システム全体の描写図であり、
図2は、システムで使用されるカテーテル28などのプローブの遠位端の側面図である。このシステム及びカテーテルは、以下で更に説明される超音波ベースの3Dマッピングの方法の理解を助けるために、ここで例示として示されている。しかしながら、これらの方法は、カテーテルベースの超音波検知に限定されず、必要な変更を加えて、他のタイプのプローブによって、身体内及び身体外の両方で取得された2D又は3D超音波画像を使用して、同様に適用され得る。更に、これらの方法は、心臓内だけでなく、他の解剖学的空洞のマッピングに使用され得る。
【0029】
図1に示すように、医師などのオペレータ22は、カテーテル28を患者26の身体内に挿入し、それにより、カテーテルの遠位端は血管系を通過して患者の心臓24中に入る。カテーテルは、その近位端でコンソール34に接続され、コンソール34は、典型的には、プロセッサ38と、適切な信号処理回路及びユーザインターフェース回路と、を備える。このプロセッサ38は、以下に記載されるように、カテーテル28からの信号を受け取って、処理する。プロセッサ38は、汎用コンピュータプロセッサで構成されていてよく、このプロセッサには、本明細書に記載する機能を実行するソフトウェアがプログラムされている。このソフトウェアは、例えば、ネットワークを介して、電子形式でプロセッサにダウンロードされてもよい。代替的に又は追加的に、このソフトウェアは、光学的、磁気的又は電子的記憶媒体などの有形のコンピュータ可読記憶媒体に格納され得る。更に追加的に又は代替的に、プロセッサの機能の少なくともいくつかは、デジタル信号プロセッサ(digital signal processor、DSP)によって、又は専用若しくはプログラム可能なハードウェア論理回路によって実行され得る。
【0030】
典型的には、コンソール34はまた、ユーザが、カテーテル28の機能を観察及び調節することを可能にし、カテーテルを使用して形成される画像を表示及び編集することも可能にする。これらの目的のために、このコンソールは、ディスプレイ40及びユーザインターフェース42を備える。
【0031】
図2に示すように、カテーテル28の遠位端は、身体内部の超音波画像を生成するために使用される超音波イメージングデバイス(又はプローブ)50を備える。デバイス50は、典型的に、トランスデューサ52のフェーズドアレイを含み、このトランスデューサ52のフェーズドアレイは、当該技術分野で公知のように、カテーテル28の長手方向軸を含む走査超音波ビームの平面(本明細書では「ビーム平面」又は「画像平面」と呼ばれる)内の二次元(2D)「ファン」画像をキャプチャするように動作する。トランスデューサ52は、ビーム平面内の物体から反射された超音波を受信し、反射波に応じて信号を出力する。典型的には、以下に説明するように、これらの信号は、カテーテル28を通るワイヤ56によってコンソール34に送られ、コンソール34はこの信号を処理して超音波画像及び3Dマップを生成して表示する。
【0032】
カテーテル28の遠位端は更に、身体内のカテーテルの位置(位置とロールを含む配向)を示す信号を生成する位置センサ54を備える。これらの位置信号に基づいて、コンソール34は、イメージングデバイス50によってキャプチャされた各ファン画像の位置及び配向を決定する。したがって、プロセッサ38は、ファン画像に現れる物体の座標を決定できるとともに、異なるカテーテル位置でキャプチャされた複数の2D画像を位置合わせ及び組み合わせることができる。
【0033】
図示されている実施形態では、システム20は、磁気位置検知を用いて心臓24内部のカテーテル28の遠位端の位置座標を決定する。位置座標を決定するために、コンソール34内の駆動回路36は、磁場発生器30を駆動して、患者26の身体内で磁場を発生させる。典型的に、磁場発生器30は、患者の胴体の下方で、体外の既知の位置に配置されるコイルを備える。これらのコイルは、心臓24を含む所定の作業ボリューム内に磁場を発生させる。センサ54は、例えば、カテーテル28の遠位端内の1つ以上のコイルを含む磁気位置センサを含むことができ、これらの磁場に応じて電気信号を生成する。プロセッサ38は、カテーテル28の遠位端の位置(位置及び配向)座標を決定するために、これらの信号を処理する。コンソール34はディスプレイ40を駆動する際にその座標を使用して、カテーテルの場所及び状態を示すことができる。
【0034】
この位置検知及び処理の方法は、Biosense Webster Inc.によって製造されたCARTO(登録商標)3システムに実装されている。この種の磁気位置検知は、例えば、米国特許第6,266,551号に詳細に記載されている。超音波イメージングを磁気位置検知と組み合わせる他のシステムは、米国特許第6,690,963号、同第6,716,166号、及び同第6,773,402号に記載されている。
【0035】
代替的に又は追加的に、システム20は、患者26の身体内でカテーテル28を操作し、及び動作させるための自動化された機構(図示せず)を備え得る。そのような実施形態では、プロセッサ38は、位置検出システムによって提供される信号に基づいてカテーテルの動きを制御するための制御入力を生成する。
【0036】
図1は、ある特定のシステム構成を示すものであるが、他のシステム構成を本発明の代替的な実施形態に使用してもよい。例えば、下記に記載する方法は、インピーダンスに基づく又は超音波位置センサなどの他のタイプの位置トランスデューサを用いて適用されてもよい。用語「位置トランスデューサ」は、本明細書で使用するとき、カテーテル28に、又はその中に取り付けられた要素であって、その要素の座標を示す信号をコンソール34に受け取らせるもの、を指す。したがって、位置トランスデューサは、トランスデューサによって受け取られたエネルギーに基づいて制御ユニットへの位置信号を生成する、センサ54などのカテーテル内の受信機を含み得、又は、プローブの外部の受信機によって検知されるエネルギーを放出する送信機を含み得る。更に、本明細書で以下に説明する方法は、カテーテルだけでなく、心臓及び他の身体の器官と領域の両方における他のタイプのプローブ、並びに身体外の超音波プローブも使用する、マッピング及びイメージング用途にも同様に適用することができる。
【0037】
ここで、本発明の一実施形態による、カテーテル28によってキャプチャされた超音波画像60の概略図である
図3を参照する。画像は、2Dファン形状であり、その頂点はイメージングデバイス50の位置にある。上記のように、コンソール34は、位置センサ54から受け取った信号に基づいて、3D空間におけるファンの頂点の位置及び配向を決定することができる。画像内の暗い領域62、64は、心腔などの血液で満たされており、それ故に低反射率を有する領域に対応している。より明るい領域は、一般に、内部及び外部の心臓壁などの組織を表す。
【0038】
前述のように、オペレータ22は、心臓24内のカテーテル28を操作して、異なる位置及び異なる配向から画像をキャプチャすることができる。画像を作り上げる反射は、カテーテル28の遠位端が位置する心腔からだけでなく、他の心腔及び解剖学的構造からも由来し得る。したがって、例えば、カテーテル28は、(大静脈を介したアクセスが比較的容易である)右心房に挿入されてもよく、左心房の右心房及び場合によっては心室から画像をキャプチャしてもよい。
【0039】
図4は、本発明の一実施形態による、超音波画像を使用する高速解剖学的マッピングの方法を概略的に示すフローチャートである。方法の各反復において、センサ50は、画像取得ステップ(ブロック70)において、画像60(
図3)の一般的な形態を有する2D超音波ファン画像を取得する。画像取得は、例えば、同期のための心電図(electrocardiogram、ECG)モニタを使用して、(収縮期又は拡張期などの)心臓周期の特定のアノテーション点にゲーティング(gate)されてもよいし、又は画像は、代替的に、ゲーティングなしで連続的に取得されてもよい。プロセッサ38は、空洞識別ステップ(ブロック72)において、超音波カテーテルによって取得された各2D画像において、対象の心腔の内部(血液プール領域)を識別する。これらの「暗い」、低反射率の領域は、例えば、超音波画像のグレースケールレベルに閾値を適用することによって識別され得る。閾値は、自動で又は手作業で設定できる。ピクセルのグレースケール値のクラスタリングに基づいて閾値が選択されるOtsuの方法など、当技術分野で知られている任意の適切な方法を使用して、閾値を自動的に選択することができる。
【0040】
代替的に、他の超音波イメージングモードを、ブロック70のステップで画像キャプチャに使用してもよく、ブロック72のステップで空洞を識別するために使用される方法は、それに応じて適合されてもよい。例えば、2D画像は、当技術分野で知られているように、カラードップラー法、パワードップラー法又は組織イメージングドップラー法(Tissue Imaging Doppler)などのドップラーイメージング技術を使用して取得することができる。そのような技術は、血流を表すために画像色(一般に擬似色と呼ばれる)を使用する。カラードップラー法では、血流の領域は画像内で着色されるが、組織の領域はそうではない。この場合、特定の閾値を超える色値を有するピクセルは、ブロック72のステップで血液プール領域に属するものとして識別され得る。一方、組織イメージングドップラー法では、組織の領域は着色されるが、血液は着色されず、そのため、特定の閾値を下回る色値を有するピクセルが、血液プール領域に属するものとして識別される。
【0041】
いずれの画像診断法が使用されても、プロセッサ38は、二値化ステップ(ブロック74)で、閾値を適用して、2Dグレースケール又はカラー画像を二値画像に変換する。二値画像では、値「0」を有するピクセルは、血液の領域に属するものとして分類されるが、値「1」を有するピクセルは組織に属する。血液と組織分離との間の分離の精度を改善するために、他の画像処理操作を適用することができる。例えば、モルフォロジー処理による収縮及び膨張を連続して適用して、組織領域内にて、血液プール領域として誤って識別され得る小さな暗い領域を除去してもよい。
【0042】
プロセッサ38は、画像の位置合わせステップ(ブロック76)で、キャプチャされた2D画像の頂点位置及び配向を求める。上記のように、プロセッサは、位置センサ54によって出力される信号に基づいて、位置及び配向の座標を計算してもよい。頂点位置及び画像配向に基づき、プロセッサ38は、磁場発生器30の(3D座標空間を画定する)固定された3D参照フレーム内の二値化画像内のすべてのピクセルの3D座標を計算することができ、したがって、2D画像ピクセルを3Dボリュームで位置合わせする。
【0043】
各2D画像をキャプチャした後、オペレータは、心臓内でカテーテルの先端を動かして、キャプチャの完了ステップ(ブロック78)で、上記の2D画像のキャプチャステップと処理ステップを、プロセッサが対象のボリューム内で十分な数の二値のピクセル値を収集するまで繰り返す。
【0044】
プロセッサ38は、値「0」(血液)を有するピクセルを収集し、表面再構築ステップ(ブロック80)でこれらのピクセルを境界付ける外面を見つける。心腔内の血液プールを境界付ける外面は、その内腔を取り囲む心臓壁の内面である。したがって、血液プールを境界付ける外面を見つけることにより、プロセッサは、事実上、問題の内腔の3D解剖学的マップを構築した。任意選択的に、プロセッサは、3D面を再構築しながら2D画像を取得し続けることができ、したがって、マップを徐々に改善することができる。
【0045】
面再構築の基礎として3Dドメイン内の血液プールを使用することには、画像セグメンテーションの問題を克服するための迅速で効率的な方法を提供するという利点がある。この種の内部点の収集に基づいて、ボリュームの外面を再構築するために、様々なアルゴリズムを使用することができる。例えば、プロセッサ38は、米国特許第6,968,299号に記載されているボールピボッティング(ball-pivoting)アルゴリズムを適用し得る。このアルゴリズムは、点群にわたって特定の半径のボールを「転がす」ことによって、所与の点群を補間する三角形メッシュを計算する。このように見つけられた三角形の頂点は、群の外面を画定する。
【0046】
計算負荷を低減するために、モデルの構築に必ずしもすべての「0」ピクセルが使用されるわけではなく、プロセッサ38は、異なる領域に異なる解像度レベルを適用することができる。上記のボールピボッティングアルゴリズムは、マップの異なる領域において異なるボール半径を使用することによって、この種の可変解像度マッピングに適合させることができる。高解像度は、典型的に、(血液プールの縁に沿った)血液-組織の界面領域でのみ必要である。この領域は、二値画像で自動的に又は手作業で識別することができる。次いで、プロセッサ38は、組織境界近くでのみ高解像度再構築を実行し、他の場所で低解像度を使用する。言い換えれば、プロセッサ38は、組織から遠い領域の2D画像からは、より少ないピクセルを使用し、組織界面の領域(通常、1mmのオーダーの厚さ内)でより多くのピクセルを使用する。
【0047】
プロセッサ38が上記の方法で3D解剖学的マップを再構築し及び表示した後、ユーザは、ユーザインターフェース42を介して、例えば、アーチファクトを修正し、対象ではない形状を除去するためにモデルをカット及び/又は変形するために、画像編集ツールを適用することができる。いくつかの実施形態では、ユーザは、右下肺静脈(RIPV)及び右上肺静脈(RSPV)などの解剖学的構造の表示を3D解剖学的マップに追加することができる。
【0048】
図5は、本発明の一実施形態による上記の方法によって生成され得るタイプの心腔の3D解剖学的マップ90の概略図である。この場合のマップは、肺静脈の一部を含む心臓の右心房を示す。この種のマップは、(上記のCARTO 3システムによって作成されるタイプ)の電気解剖学的マップの開始点として機能するなど、様々な目的に、あるいは完全な3D超音波画像若しくは断層画像のセグメンテーションに使用できる。マップ90はまた、ユーザによって、あるいは自動セグメンテーション法によって追加されるRIPV及びRSPVなどの解剖学的構造の表示92も含み得る。
【0049】
ここで、
図6及び
図7を参照する。
図6は、
図1のシステム20の操作の方法のステップを含むフローチャート100である。
図7は、3D解剖学的マップ90及び2D超音波画像94の概略図であり、解剖学的構造の表示92、96がそれぞれに配置されている。ここで、フローチャート100のステップをより詳細に説明する前に、
図7に示す表示を説明する。
【0050】
図7に示すディスプレイ40の右側は、選択された2D超音波画像94を示している。2D超音波画像94は、キャプチャされた2D超音波画像のギャラリから、又はカテーテル28が身体部分内で移動されるときに経時的に撮影された複数の2D超音波画像を含むビデオから選択され得る。2D超音波画像94はまた、3D解剖学的マップ90から平面又は2Dスライスを選択することによって選択されてもよい。次いで、平面又は2Dスライスに最も近い2D超音波画像を選択し、ディスプレイ40の右側に示す。
【0051】
ディスプレイ40の左側は、その上に解剖学的構造の3D表示92を有する3D解剖学的マップ90を示す。3D表示92は、ユーザによって、及び/又は自動セグメンテーション法を使用することによって追加されてよい。自動セグメンテーション法では、3D解剖学的マップ90から、又は、心内電位図、圧力読み取り値、及び/若しくは温度読み取り値などの生理学的データから解剖学的構造を自動的に識別する。
図7の例では、上側の解剖学的構造はRSPVであり、下側の解剖学的構造はRIPVである。2D超音波画像94はまた、3D解剖学的マップ90と交差して示されている。2D超音波画像94は、部分的に透明であるように示されているため、3D解剖学的マップ90に対する2D超音波画像94の配向をはっきりと見ることができる。いくつかの実施形態では、2D超音波画像94は、3D解剖学的マップ90にわたり不透明であるように示される。2D超音波画像94は、
図1~
図4を参照して上述した位置センサ54及び関連する位置追跡システムによって提供される位置に従う、3D座標空間内の3D解剖学的マップ90及び2D超音波画像94のそれぞれの位置に従って、3D解剖学的マップ90に対して位置決めされる。
【0052】
また、ディスプレイ40の右側は、3D解剖学的マップ90上で識別された解剖学的構造の2D表示96も示す。2D表示96は、3D座標空間内で、解剖学的構造の3D表示92が2D超音波画像94と交差する位置に応じて、2D超音波画像94上に示されている。表示96はまた、2D超音波画像94と交差する関連する解剖学的構造を明確に示すために、テキスト表示(例えば、RIPV及びRSPV)を含む。
【0053】
ここで、フローチャート100のステップについて詳しく説明する。
【0054】
超音波イメージングデバイス50は、生体対象(例えば、
図1の患者26)の身体部分(例えば、
図1の心臓24の1つ以上の内腔)の複数の二次元(2D)超音波画像をキャプチャする(ブロック102)ように構成されている。
【0055】
超音波イメージングデバイス50の位置センサ54(例えば、超音波プローブ)は、
図1及び
図2を参照して上述したように、超音波イメージングデバイス50の遠位端のそれぞれの位置を示す信号を提供するように構成されている。いくつかの実施形態では、位置センサ54は、超音波イメージングデバイス50の遠位端の位置を示す信号を提供するための磁気位置センサを備える。プロセッサ38(
図1)は、提供された信号に応じて、2D超音波画像のそれぞれのキャプチャ時に、超音波イメージングデバイス50の遠位端のそれぞれの位置を計算する(ブロック104)ように構成されている。言い換えれば、2D超音波画像のうちの1つがキャプチャされるたびに、位置センサ54によって提供される信号が、
図4を参照してより詳細に説明されたように、そのキャプチャされた2D超音波画像の位置を計算するために処理されてよく、これにより、その2D超音波画像のピクセルの位置が3D座標空間で計算され得る。いくつかの実施形態では、超音波イメージングデバイス50の遠位端の位置は、任意の好適な位置追跡方法を使用して計算することができる。
【0056】
プロセッサ38(
図1)は、身体部分の3D解剖学的マップ90を生成する(ブロック106)ように構成されている。2D超音波画像及び3D解剖学的マップ90は、3D座標空間に対して位置合わせされる。いくつかの実施形態では、プロセッサ38は、キャプチャされた2D超音波画像及び遠位端の計算されたそれぞれの位置に応じて、身体部分の3D解剖学的マップ90を生成するように構成されている。例えば、2D超音波画像のピクセル及びピクセルの対応する算出位置は、
図4を参照して詳細に上述したように、身体部分の内面の境界を提供する。例えば、プロセッサ38は、面再構築ステップ(
図4のブロック80)で、値「0」(血液)のピクセル、及びこれらのピクセルを境界付ける外面を見つける。心腔内の血液プールを境界付ける外面は、その内腔を取り囲む心臓壁の内面である。したがって、血液プールの境界の外面を見つけることにより、プロセッサは、事実上、問題の内腔の3D解剖学的マップ90を構築した。
【0057】
3D解剖学的マップ90は、任意の好適な方法を使用して生成してよく、例えば、キャプチャされた各2D超音波画像上の外面に手作業でアノテーションを付し、次いで、手作業でのアノテーションから3D解剖学的マップ90を生成するか、又は1つ以上の電極を備えたカテーテルを使用して身体部分に挿入し、外面の位置を特定することによって生成してもよい。
【0058】
プロセッサ38(
図1)は、身体部分の対応する解剖学的構造(複数可)の3D表示(複数可)92を3D解剖学的マップ90に追加する(ブロック108)ように構成されている。表示92は、オペレータ22が3D解剖学的マップ90上に解剖学的構造の境界を描くことによって、又は自動セグメンテーション法を使用することによって追加されてよい。自動セグメンテーション法では、3D解剖学的マップ90から、又は、心内電位図、圧力、及び/若しくは温度読み取り値などの他の生理学的データから解剖学的構造を自動的に識別し、識別した解剖学的構造の3D表示92を3D解剖学的マップ90に追加する。表示92は、解剖学的構造の周囲の3D境界、及び/又は解剖学的構造を識別するための3Dのシェーディング(例えば、カラー若しくはグレースケール)又はパターン塗りつぶしを含み得る。プロセッサ38は、解剖学的構造(複数可)の3D表示(複数可)92を含む3D解剖学的マップ90をディスプレイ40に描画する(ブロック110)ように構成されている。
【0059】
プロセッサ38(
図1)は、2D超音波画像の所与の(例えば、選択された)1つ(例えば、2D超音波画像94)を、所与の2D超音波画像上の解剖学的構造(複数可)の2D表示(複数可)96と共に、ディスプレイ40に描画する(ブロック112)ように構成されている。解剖学的構造(複数可)の2D表示(複数可)96は、解剖学的構造(複数可)の境界(又は複数の境界)、及び/又は解剖学的構造(複数可)の識別テキスト(複数可)(例えば、「RIPV」及び「RSPV」)を含み得る。いくつかの実施形態では、プロセッサ38は、所与の2D超音波画像(例えば、2D超音波画像94)と、3D解剖学的マップ90の解剖学的構造(複数可)の3D表示(複数可)92との、3D座標空間での交差に応じて、所与の2D超音波画像上の解剖学的構造(複数可)の2D表示(複数可)96をディスプレイ40に描画するように構成されている。言い換えれば、3D表示(複数可)92は、3D座標空間での2D超音波画像94の位置及び3D表示92に応じて、3D表示(複数可)92の2D超音波画像94との交差に従って、2D表示(複数可)96として2D超音波画像94上に投影することができる。
【0060】
2D表示96は、オペレータ22によって、又は自動セグメンテーション法を使用してそれぞれの2D超音波画像に追加されないことに留意されたい。解剖学的構造の3D表示92は、最初にオペレータ22によって(及び/又は自動セグメンテーション法によって)3D解剖学的マップ90に追加される。次いで、3D表示92は、3D座標空間内の2D超音波画像のそれぞれの位置及び3D座標空間内の3D表示92の位置に従って、3D解剖学的マップ90からそれぞれの2D超音波画像に2D表示96として投影される。
【0061】
本明細書で使用される場合、任意の数値又は数値の範囲に対する「約」又は「およそ」という用語は、構成要素の部分又は構成要素の集合が、本明細書において説明されるその意図された目的に沿って機能することを可能にする、好適な寸法の許容誤差を示すものである。より具体的には、「約」又は「およそ」は、列挙された値の±20%の値の範囲を指し得、例えば「約90%」は、72%~108%の値の範囲を指し得る。
【0062】
本発明の様々な特徴が、明確性のために別個の実施形態の文脈において記載されているが、これらも単一の実施形態に組み合わされて提供されてもよい。逆に、簡潔にするために単一の実施形態の文脈において記載されている本発明の様々な特徴が、別々に又は任意の好適な部分的組み合わせで提供されてもよい。
【0063】
上述の実施形態は、例として引用されており、本発明は、上記の明細書に具体的に図示及び記載されたものに限定されない。むしろ本発明の範囲は、上記の明細書で説明される様々な特徴の組み合わせ及びその部分的組み合わせの両方、並びに上述の説明を読むことで当業者に想到されるであろう、従来技術において開示されていないそれらの変形例及び修正例を含むものである。
【0064】
〔実施の態様〕
(1) 医療システムであって、
生体対象の身体部分の複数の二次元(2D)超音波画像をキャプチャするように構成された超音波プローブと、
ディスプレイと、
プロセッサであって、
前記身体部分の三次元(3D)解剖学的マップを生成することであって、前記3D解剖学的マップと前記2D超音波画像は、3D座標空間に対して位置合わせされる、ことと、
前記身体部分の解剖学的構造の3D表示を前記3D解剖学的マップに追加することと、
前記解剖学的構造の前記3D表示を含む前記3D解剖学的マップを前記ディスプレイに描画することと、
前記解剖学的構造の前記3D表示に応じて、前記2D超音波画像のうちの所与の1つを、前記所与の2D超音波画像上の前記解剖学的構造の2D表示と共に、前記ディスプレイに描画することと、を行うように構成されているプロセッサと、
を含む、システム。
(2) 前記プロセッサは、前記所与の2D超音波画像と前記3D解剖学的マップの前記解剖学的構造の前記3D表示との、前記3D座標空間での交差に応じて、前記所与の2D超音波画像上の前記解剖学的構造の前記2D表示を、前記ディスプレイに描画するように構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(3) 前記プロセッサは、前記2D超音波画像に応じて、前記身体部分の前記3D解剖学的マップを生成するように構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(4) 前記超音波プローブは、前記超音波プローブの遠位端のそれぞれの位置を示す信号を提供するように構成されている位置センサを含み、前記プロセッサは、提供された前記信号に応じて、前記2D超音波画像のそれぞれのキャプチャ時に、前記超音波プローブの前記遠位端の前記それぞれの位置を計算するように構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(5) 前記プロセッサは、前記2D超音波画像及び前記遠位端の計算された前記それぞれの位置に応じて、前記身体部分の前記3D解剖学的マップを生成するように構成されている、実施態様4に記載のシステム。
【0065】
(6) 前記位置センサは、前記超音波プローブの前記遠位端の前記位置を示す前記信号を提供する磁気位置センサを含む、実施態様4に記載のシステム。
(7) 前記解剖学的構造の2D表示は、前記解剖学的構造の境界を含む、実施態様1に記載のシステム。
(8) 前記解剖学的構造の2D表示は、前記解剖学的構造の識別テキストを含む、実施態様1に記載のシステム。
(9) 医療方法であって、
生体対象の身体部分の複数の二次元(2D)超音波画像をキャプチャすることと、
前記身体部分の三次元(3D)解剖学的マップを生成することであって、前記3D解剖学的マップと前記2D超音波画像は3D座標空間に対して位置合わせされる、ことと、
前記身体部分の解剖学的構造の3D表示を前記3D解剖学的マップに追加することと、
前記解剖学的構造の前記3D表示を含む前記3D解剖学的マップをディスプレイに描画することと、
前記解剖学的構造の前記3D表示に応じて、前記2D超音波画像のうちの所与の1つを、前記所与の2D超音波画像上の前記解剖学的構造の2D表示と共に、前記ディスプレイに描画することと、
を含む、方法。
(10) 前記描画することは、前記所与の2D超音波画像と前記3D解剖学的マップの前記解剖学的構造の前記3D表示との、前記3D座標空間での交差に応じて、前記所与の2D超音波画像上の前記解剖学的構造の前記2D表示を、前記ディスプレイに描画することを含む、実施態様9に記載の方法。
【0066】
(11) 前記3D解剖学的マップを生成することは、前記2D超音波画像に応じて、前記身体部分の前記3D解剖学的マップを生成することを含む、実施態様9に記載の方法。
(12) 前記超音波プローブの遠位端のそれぞれの位置を示す信号を提供することと、
提供された前記信号に応じて、前記2D超音波画像のそれぞれのキャプチャ時に、前記超音波プローブの前記遠位端のそれぞれの位置を計算することと、を更に含む、実施態様9に記載の方法。
(13) 前記3D解剖学的マップを生成することは、前記2D超音波画像及び前記遠位端の計算された前記それぞれの位置に応じて、前記身体部分の前記3D解剖学的マップを生成することを含む、実施態様12に記載の方法。
(14) 前記信号を提供することは、前記超音波プローブの磁気位置センサによって行われる、実施態様12に記載の方法。
(15) 前記解剖学的構造の2D表示は、前記解剖学的構造の境界を含む、実施態様9に記載の方法。
【0067】
(16) 前記解剖学的構造の2D表示は、前記解剖学的構造の識別テキストを含む、実施態様9に記載の方法。
(17) プログラム命令が格納される非一時的なコンピュータ可読媒体を含むソフトウェア製品であって、前記命令は、中央処理装置(CPU)によって読み取られると、前記CPUに、
超音波プローブから生体対象の身体部分の二次元(2D)超音波画像を受け取ることと、
前記身体部分の三次元(3D)解剖学的マップを生成することであって、前記3D解剖学的マップと前記2D超音波画像は3D座標空間に対して位置合わせされる、ことと、
前記身体部分の解剖学的構造の3D表示を前記3D解剖学的マップに追加することと、
前記解剖学的構造の前記3D表示を含む前記3D解剖学的マップをディスプレイに描画することと、
前記解剖学的構造の前記3D表示に応じて、前記2D超音波画像のうちの所与の1つを、前記所与の2D超音波画像上の前記解剖学的構造の2D表示と共に、前記ディスプレイに描画することと、を行わせる、ソフトウェア製品。
【外国語明細書】