(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023089794
(43)【公開日】2023-06-28
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
H04N 23/52 20230101AFI20230621BHJP
H04N 23/68 20230101ALI20230621BHJP
G03B 11/00 20210101ALI20230621BHJP
G03B 17/02 20210101ALI20230621BHJP
G03B 5/00 20210101ALI20230621BHJP
H04N 23/51 20230101ALI20230621BHJP
【FI】
H04N5/225 430
H04N5/232 480
G03B11/00
G03B17/02
G03B5/00 J
H04N5/225 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021204525
(22)【出願日】2021-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(72)【発明者】
【氏名】黒木 博行
【テーマコード(参考)】
2H083
2H100
2K005
5C122
【Fターム(参考)】
2H083AA05
2H083AA26
2H083AA32
2H100EE01
2H100EE06
2K005CA02
2K005CA24
5C122DA01
5C122EA36
5C122EA41
5C122FB17
5C122FB24
5C122FC01
5C122FC02
5C122GE06
5C122GE11
5C122GE17
5C122HA82
(57)【要約】
【課題】撮像素子が変位する撮像装置において、撮像素子の変位によって撮像装置内で宙に舞った埃などの異物がフィルタなどの光学部品に付着することを抑制する。
【解決手段】撮像装置は、被写体からの光が入射する撮像面28aを備える撮像素子28と、撮像面28aが前方に向いた状態で撮像素子28を支持する撮像ユニット22と、前面に貫通穴32bを備え、撮像ユニット22の前側部分が前面32cから突出するように貫通穴32bを通過した状態で、撮像ユニット22を収容する筺体24と、筺体24内に設けられ、撮像ユニット22を撮像面28aの法線方向と交差する方向に変位させるアクチュエータとを有する。撮像ユニット22が、筺体24の貫通穴32bと撮像ユニット22との隙間を覆うように、撮像ユニット22の前側部分から外側に且つ筺体24の前面32cに沿って延在するフランジ部44を備える。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体からの光が入射する撮像面を備える撮像素子と、
前記撮像面が前方に向いた状態で前記撮像素子を支持する撮像ユニットと、
前面に貫通穴を備え、前記撮像ユニットの前側部分が前記前面から突出するように前記貫通穴を通過した状態で、前記撮像ユニットを収容する筺体と、
前記筺体内に設けられ、前記撮像ユニットを前記撮像面の法線方向と交差する方向に変位させるアクチュエータと、を有し、
前記撮像ユニットが、前記筺体の前記貫通穴と前記撮像ユニットとの隙間を覆うように、前記撮像ユニットの前側部分から外側に且つ前記筺体の前面に沿って延在するフランジ部を備える、撮像装置。
【請求項2】
前記フランジ部が、前記筺体の前記前面に対して間隔をあけて対向する、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記フランジ部が、前記撮像ユニットの前側部分に取り付けられた環状の可動シールシートである、請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記撮像ユニットの前側部分が通過する貫通穴を備え、前記筺体の前記前面に固定され、前記可動シールシートの後面に対して間隔をあけて対向する第1の固定シールシートを、さらに有する、請求項3に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記撮像ユニットの入射部を露出させ且つ前記法線方向視で前記可動シールシートの外形輪郭に内含する開口を持つ貫通穴を備え、前記可動シールシートの前面に対して間隔をあけて対向する第2の固定シールシートと、
前記第1の固定シールシート上に設けられ、前記第2の固定シールシートを支持し、前記第1の固定シールシートと前記第2の固定シールシートとの間に前記可動シールシートの配置スペースを形成するスペーサ部材と、をさらに有する、請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記可動シールシートの前記外形輪郭が、前記可動シールシートが最大の変位量で変位しても、前記法線方向視で前記第2の固定シールシートの前記貫通穴の前記開口が内含する状態で維持される輪郭である、請求項5に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記筺体の前記前面の前方に、光学フィルタを有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記撮像ユニットが、前記撮像素子の前記撮像面を覆うカバーガラス板を備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、撮像素子が固定された撮像素子保持部(撮像ユニット)を光軸に対して交差する方向に変位させることにより、被写体の像が撮像画像にぶれた状態で写ることを抑制する撮像装置が開示されている。その撮像素子の撮像面の前方にはフィルタが設けられており、撮像素子の撮像面とフィルタの間にはシール部材が配置されている。このシール部材により、撮像素子の撮像面とフィルタとの間に、埃などの異物が侵入することが抑制されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載された撮像装置の場合、アオリ調整によって行われる撮像素子(撮像ユニット)の変位により、埃などの異物が撮像装置内で宙に舞い、その異物がフィルタなどの光学部品に付着する可能性がある。光学部品に異物が付着すると、撮像画像の品質が低下する。
【0005】
そこで、本開示は、撮像素子が変位する撮像装置において、撮像素子の変位によって撮像装置内で宙に舞った埃などの異物がフィルタなどの光学部品に付着することを抑制することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するために、本開示の一態様によれば、
被写体からの光が入射する撮像面を備える撮像素子と、
前記撮像面が前方に向いた状態で前記撮像素子を支持する撮像ユニットと、
前面に貫通穴を備え、前記撮像ユニットの前側部分が前記前面から突出するように前記貫通穴を通過した状態で、前記撮像ユニットを収容する筺体と、
前記筺体内に設けられ、前記撮像ユニットを前記撮像面の法線方向と交差する方向に変位させるアクチュエータと、を有し、
前記撮像ユニットが、前記筺体の前記貫通穴と前記撮像ユニットとの隙間を覆うように、前記撮像ユニットの前側部分から外側に且つ前記筺体の前面に沿って延在するフランジ部を備える、撮像装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、撮像素子が変位する撮像装置において、撮像素子の変位によって撮像装置内で宙に舞った埃などの異物がフィルタなどの光学部品に付着することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の実施の形態1に係る撮像装置の概略的な前方斜視図
【
図3】互いに分離した状態のフィルタモジュールと撮像モジュールの前方斜視図
【
図4】互いに分離した状態のフィルタモジュールと撮像モジュールの後方斜視図
【
図7】実施の形態2に係る撮像装置における、撮像モジュールの分解斜視図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0010】
なお、発明者(ら)は、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0011】
以下、本開示の実施の形態に係る撮像装置について図面を参照しながら説明する。
【0012】
(実施の形態1)
図1は、本開示の実施の形態1に係る撮像装置の概略的な前方斜視図である。また、
図2は、撮像装置の概略な構成図である。なお、図に示すX-Y-Z直交座標系は、本開示の実施の形態の理解を容易にするためのものであって、本開示の実施の形態を限定するものではない。X軸方向は撮像装置の前後方向であって、Y軸方向は左右方向であって、Z軸方向は高さ方向である。なお、撮影時に被写体が存在する側を、撮像装置の前側とする。
【0013】
図1に示すように、本開示の一実施の形態に係る撮像装置10は、フィルタモジュール12と撮像モジュール14とを内蔵する。
【0014】
図1および
図2に示すように、本実施の形態1の場合、フィルタモジュール12と撮像モジュール14は、撮像装置10の前後方向(X軸方向)に互いに連結する。具体的には、フィルタモジュール12が撮像モジュール14の前方に位置するように、これらは連結する。
【0015】
また、フィルタモジュール12は、筺体16と、筺体16に設けられて被写体からの光が透過する保護ガラス板18と、筺体16内に配置された少なくとも1つの光学フィルタ20とを備える。なお、少なくとも1つの光学フィルタ20は、例えば、電子式のNDフィルタ、非電子式の偏光フィルタ、特定の波長の光を透過する光学フィルタなどである。
【0016】
本実施の形態1の場合、光学フィルタ20は、フィルタモジュール12の筺体16(加えて保護ガラス板18)と撮像モジュール14とから画定された実質的に密閉状態の収納空間R1内に配置されている。その結果、光学フィルタ20は、撮像装置10の外部由来の埃などの異物から保護される。
【0017】
撮像モジュール14は、撮像ユニット22と、撮像ユニット22を収容する筺体24と、筺体24内に設けられて撮像ユニット22を撮像装置10の左右方向(Y軸方向)および高さ方向に変位するアクチュエータ26とを備える。
【0018】
撮像ユニット22は、被写体からの光が入射する撮像面28aを備える撮像素子28を備える。撮像素子28は、CCD、CMOSなどの光電変換素子であって、保護ガラス板18と光学フィルタ20とを介して、撮像面28aに入射した被写体からの光(被写体の像)に対応する信号S1を出力する。撮像素子28は、その撮像面28aが撮像装置10の前方に向いた状態で撮像ユニット22に支持されている。
【0019】
なお、撮像ユニット22は、撮像素子28以外にも、例えば撮像素子28が搭載される基板、撮像面28aを覆うカバーガラス板30などを備える。本実施の形態1の場合、カバーガラス板30の前面30aが、被写体からの光が入射する撮像ユニット22の入射部となる。被写体からの光は、カバーガラス板30の前面30aに入射し、カバーガラス板30を透過し、そして、撮像素子28の撮像面28aに入射する。
【0020】
本実施の形態1の場合、筺体24は、撮像ユニット22を変位可能に支持し、筺体24の前側部分を構成するベースプレート32と、ベースプレート32の後面32aに取り付けられ、筺体24の後側部分を構成するカバー部材34とを含んでいる。
【0021】
ベースプレート32は、撮像ユニット22を撮像素子28の撮像面28aの法線方向と交差する方向、本実施の形態1の場合には撮像装置10の左右方向(Y軸方向)および高さ方向(Z軸方向)に変位可能に支持する。また、撮像素子28の撮像面28aの法線方向と撮像装置10の光軸LAの延在方向とが一致するように、且つ光軸LAが撮像面28aの中心を通過するように、ベースプレート32は、撮像ユニット22を支持する。本実施の形態1の場合、光軸LAの延在方向は、撮像装置10の前後方向(X軸方向)に対して平行である。
【0022】
ベースプレート32の後面32aには、撮像装置10の左右方向(Y軸方向)および高さ方向(Z軸方向)に撮像ユニット22を変位させるアクチュエータ26が設けられている。そのため、撮像ユニット22は、ベースプレート32の後面32a側に配置されている。このような撮像ユニット22内の撮像素子28の撮像面28aに被写体からの光が入射するように、ベースプレート32には、撮像装置10の前後方向(X軸方向)に貫通する貫通穴32bが形成されている。撮像ユニット22の前側部分は、貫通穴32bを前方に向かって通過し、ベースプレート32の前面32cから突出している。
【0023】
カバー部材34は、ベースプレート32の後面32aと協働して実質的に密閉状態の収納空間R2を画定する。その収納空間R2に撮像ユニット22の大部分およびアクチュエータ26が収納される。その結果、撮像ユニット22およびアクチュエータ26は、撮像装置10の外部由来の埃などの異物から保護される。
【0024】
このようなフィルタモジュール12および撮像モジュール14の構造によれば、これらの内部に撮像装置10の外部から埃などの異物は実質的に侵入することができない。そのため、撮像装置10の外部由来の埃などの異物は、光学フィルタ20や撮像ユニット22のカバーガラス板30に実質的に付着しない。その結果、光学フィルタ20やカバーガラス板30が異物から保護される。
【0025】
しかしながら、撮像装置10の内部由来の埃などの異物が、光学フィルタ20やカバーガラス板30の前面30aに付着する可能性がある。具体的には、製造段階で撮像モジュール14の収納空間R2内に侵入した埃などの異物が撮像ユニット22の変位によって収納空間R2内で宙に舞い、その宙に舞った異物が光学フィルタ20やカバーガラス板30に付着する可能性がある。
【0026】
撮像ユニット22の変位について、本実施の形態1に係る撮像装置10は、撮像装置10に加わる振動、例えばユーザの手から伝わる振動に基づいてアクチュエータ26を制御し、撮像ユニット22を撮像装置10の左右方向(Y軸方向)および高さ方向(Z軸方向)に変位させるように構成されている。
【0027】
具体的には、撮像装置10は、撮像装置10に加わる振動を検出する振動検出センサ36と、振動検出センサ36からの検出信号S2に基づいて、アクチュエータ26を制御するコントローラ38とを有する。
【0028】
振動検出センサ36は、例えば撮像装置10の角速度を検出する角速度センサである。コントローラ38は、CPUやMPUなどのプロセッサであって、メモリなどの記憶装置(図示せず)に記憶されているプログラムと振動検出センサ36からの検出信号S2とに基づいて、アクチュエータ26に制御信号S3を出力する。コントローラ38は、例えば、撮像装置10が変位した方向と逆方向に撮像ユニット22を変位させる制御信号S3をアクチュエータ26に出力する。このような制御により、撮像ユニット22の撮像素子28の撮像面28aが被写体に対して一定の位置に維持され、被写体の像が撮像面28a上の一定の位置に結像する。その結果、被写体の像が撮像画像にぶれて写ることが抑制される。
【0029】
このようなアクチュエータ26の制御のために、収納空間R2内で撮像ユニット22とアクチュエータ26が変位(移動)する。その変位により、収納空間R2内で空気の流れが生じ、製造段階で撮像ユニット22、アクチュエータ26、筺体24の内面(すなわちベースプレート32の後面32aやカバー部材34の内面)に付着した埃などの異物が、収納空間R2内で宙に舞う可能性がある。また、その収納空間R2内を漂う異物が、ベースプレート32の貫通穴32bを介して、収納空間R1に移動する可能性がある。異物が収納空間R1に移動すると、その異物が、収納空間R1内に存在する保護ガラス板18の後面18a、光学フィルタ20、カバーガラス板30の前面30aに付着する可能性がある。このような付着が生じると、撮像画像の品質が低下する。
【0030】
そこで、本実施の形態1に係る撮像装置10は、製造段階で収納空間R2に侵入した埃などの異物の収納空間R1への移動を抑制するように構成されている。
【0031】
図3は、互いに分離した状態のフィルタモジュールと撮像モジュールの前方斜視図である。また、
図4は、互いに分離した状態のフィルタモジュールと撮像モジュールの後方斜視図である。さらに、
図5は、撮像モジュールの分解斜視図である。そして、
図6は、撮像モジュールの断面図である。なお、
図6において、収納空間R2に存在する撮像ユニット22以外のアクチュエータ26などの構成要素は、その図示が省略されている。
【0032】
図3および
図4に示すように、フィルタモジュール12と撮像モジュール14は、環状のシール部材40を介して連結する。これにより、収納空間R1が、実質的に密閉状態にされている。
【0033】
図5および
図6に示すように、撮像モジュール14は、そのベースプレート32の前面32cに固定される第1の固定シールシート42と、撮像ユニット22の前側部分に取り付けられた可動シールシート44とを備える。
【0034】
第1の固定シールシート42は、例えば樹脂材料から作製され、例えば両面テープを介してベースプレート32に貼り付けられている。また、第1の固定シールシート42は、撮像ユニット22の前側部分を通過する貫通穴42aを備える。
【0035】
可動シールシート44は、例えば樹脂材料から作製され、ベースプレート32の貫通穴32bと第1の固定シールシート42の貫通穴42aとを通過した撮像ユニット22の前側部分から外側に延在する、環状のシートである。可動シールシート44は、外側に延在することにより、ベースプレート32の貫通穴32bの内周面と撮像ユニット22との間の隙間(さらに第1の固定シールシート42と貫通穴42aの内周面と撮像ユニット22との間の隙間)を、撮像装置10の前後方向視(X軸方向視)で覆っている。
【0036】
また、可動シールシート44は、ベースプレート32の前面32cに沿って(本実施の形態1の場合には第1の固定シールシート42の前面42bに沿って)延在している。第1の固定シールシート42の後面44aは、ベースプレート32の前面32c(本実施の形態1の場合には第1の固定シールシート42の前面42b)に対して、撮像装置10の前後方向(X軸方向)に間隔をあけて対向する。
【0037】
本実施の形態1の場合、撮像モジュール14はまた、第2の固定シールシート46と、第2の固定シールシート46を支持するスペーサ部材48とを備える。
【0038】
第2の固定シールシート46は、例えば樹脂材料から作製され、可動シールシート44の前方に配置されている。また、第2の固定シールシート46は、撮像ユニット22の入射面、すなわちカバーガラス板30の前面30aを露出させる貫通穴46aを備える。貫通穴46aの開口は、撮像素子28の撮像面28aの法線方向(本実施の形態の場合には撮像装置10の前後方向(X軸方向))視で可動シールシート44の外形輪郭に内含されている。また、第2の固定シールシート46は、可動シールシート44の前面44bに対して、撮像装置10の前後方向(X軸方向)に間隔をあけて対向する。
【0039】
スペーサ部材48は、第1の固定シールシート42上に設けられ、第2の固定シールシート46を支持する。このスペーサ部材48により、第1の固定シールシート42と第2の固定シールシート46との間に、可動シールシート44の配置スペースが形成される。
【0040】
本実施の形態1の場合、スペーサ部材48は、貫通穴48aを備える。その貫通穴48a内に可動シールシート44が配置されている。
【0041】
このような第1の固定シールシート42、可動シールシート44、第2の固定シールシート46、およびスペーサ部材48により、ベースプレート32の貫通穴32bの内周面と撮像ユニット22との間の隙間が実質的にシールされる。すなわち、その隙間を塞ぐ、いわゆるラビリンスシール構造が撮像モジュール14に設けられる。
【0042】
なお、ベースプレート32の貫通穴32bと撮像ユニット22との間の隙間は、完全に塞がれているわけではない。具体的には、隙間は、貫通穴32bの貫通方向(すなわち撮像装置10の前後方向(X軸方向)視では完全に塞がれている。その一方で、隙間は、第1の固定シールシート42と可動シールシート44との間の空間と、可動シールシート44と第2の固定シールシート46との間の空間を介して、収納空間R1に連通している。しかしながら、これらのシールシートの間隔が埃などの異物の侵入を抑制することができる程度に小さい。また、これらのシールシートの間の空間が貫通穴32bから外側に薄く広がる空間であるので、隙間から収納空間R1までの空間距離が長い。その結果、埃などの異物が、隙間から収納空間R1に実質的に移動することができない。したがって、ベースプレート32の貫通穴32bと撮像ユニット22との間の隙間は実質的にシールされている。
【0043】
このようなラビリンスシール構造によれば、撮像ユニット22がアクチュエータ26によって変位すると、その撮像ユニット22に取り付けられている可動シールシート44も変位する。具体的には、可動シールシート44は、ベースプレート32の貫通穴32bの内周面と撮像ユニット22との間の隙間を覆った状態を維持しつつ、第1の固定シールシート42と第2の固定シールシート46との間で、これらと接触することなく変位する。本実施の形態1の場合、スペーサ部材48の貫通穴48a内で、可動シールシート44は変位する。
【0044】
なお、可動シールシート44の外形輪郭は、その可動シールシート44、すなわち撮像ユニット22が最大の変位量で変位しても、撮像素子28の撮像面28aの法線方向(本実施の形態の場合には撮像装置10の前後方向(X軸方向))視で第2の固定シールシート46の貫通穴46aの開口が内含する状態で維持される輪郭であるのが好ましい。これにより、ベースプレート32の貫通穴32bと撮像ユニット22との間の隙間から第2の固定シールシート46の貫通穴46aまでの空間距離が極端に短くなることが抑制される。例えば、隙間と貫通穴46aの一部分との間に可動シールシート44が存在せずに、これらが撮像装置10の前後方向に最短距離で連通することが抑制される。
【0045】
このようなラビリンスシール構造により、撮像ユニット22の変位に影響を与えることなく、ベースプレート32の貫通穴32bの内周面と撮像ユニット22との間の隙間が実質的にシールされる。そして、撮像ユニット22が変位しているとき、ベースプレート32の貫通穴32bの内周面と撮像ユニット22との間の隙間を介する収納空間R2から収納空間R1への埃などの異物の移動が抑制される。
【0046】
以上のような本実施の形態1によれば、撮像素子28が変位する撮像装置10において、撮像素子28の変位によって撮像装置内(本実施の形態の場合には特に撮像モジュール14内)で宙に舞った埃などの異物がフィルタなどの光学部品に付着することを抑制することができる。
【0047】
(実施の形態2)
本実施の形態2は、上述の実施の形態1を簡略化した形態である。したがって、上述の実施の形態1の構成要素と実質的に同一の本実施の形態2の構成要素には同一の符号を付してある。
【0048】
図7は、実施の形態2に係る撮像装置における、撮像モジュールの分解斜視図である。
【0049】
図7に示すように、本実施の形態2に係る撮像装置における撮像モジュール114は、上述の実施の形態1の撮像モジュール14から第2の固定シールシート46とスペーサ部材48とを取り除いたものに相当する。
【0050】
本実施の形態2も、上述の実施の形態1と同様に、撮像素子28が変位する撮像装置10において、撮像素子28の変位によって撮像装置内(本実施の形態の場合には特に撮像モジュール14内)で埃などの異物が宙に舞い、その異物がフィルタなどの光学部品に付着することを抑制することができる。
【0051】
以上、上述の実施の形態を挙げて本開示の実施の形態を説明したが、本開示の実施の形態は上述の実施の形態に限定されない。
【0052】
例えば、上述の実施の形態1の場合、
図6に示すように、可動シールシート44は、筺体24のベースプレート32の前面32cに固定された第1の固定シールシート42に対して、間隔をあけて対向している。しかしながら、本開示の実施の形態はこれに限らない。可動シールシート44は、第1の固定シールシート42に対して、間隔をあけずに接触してもよい。ただし、その場合、アクチュエータ26が撮像ユニット22を変位するときの抵抗とならない程度に第1の固定シールシート42と可動シールシート44との間の摩擦力が小さい必要がある。さらに、可動シールシート44が第1の固定シールシート42の前面42b上を摺動したときに、これらの少なくとも一方の摩耗粉が発生しないことが前提である。
【0053】
また、上述の実施の形態1の場合、
図5および
図6に示すように、筺体24のベースプレート32の前面32cには、第1の固定シールシート42が固定されている。しかしながら、本開示の実施の形態はこれに限らない。ベースプレート32に貫通穴32b以外の貫通穴がない場合には、第1の固定シールシート42を省略することができる。この場合、可動シールシート44は、ベースプレート32の前面32cに沿って延在する。
【0054】
さらに、上述の実施の形態1の場合、
図6に示すように、可動シールシート44が、ベースプレート32の貫通穴32bを通過した撮像ユニット22の前側部分に取り付けられ、貫通穴32bと撮像ユニット22との間の隙間を覆うように外側に延在している。すなわち、可動シールシート44は、いわゆるフランジ状である。しかしながら、本開示の実施の形態はこれに限らない。可動シールシート44に代わって、撮像ユニット22の前側部分に、外側に延在するフランジ部を一体的に形成してもよい。
【0055】
すなわち、本開示の実施の形態に係る撮像装置は、広義には、被写体からの光が入射する撮像面を備える撮像素子と、前記撮像面が前方に向いた状態で前記撮像素子を支持する撮像ユニットと、前面に貫通穴を備え、前記撮像ユニットの前側部分が前記前面から突出するように前記貫通穴を通過した状態で、前記撮像ユニットを収容する筺体と、前記筺体内に設けられ、前記撮像ユニットを前記撮像面の法線方向と交差する方向に変位させるアクチュエータと、を有し、前記撮像ユニットが、前記筺体の前記貫通穴と前記撮像ユニットとの隙間を覆うように、前記撮像ユニットの前側部分から外側に且つ前記筺体の前面に沿って延在するフランジ部を備える。
【0056】
以上のように、本開示における技術の例示として、上述の実施の形態を説明してきた。そのために、図面および詳細な説明を提供している。したがって、図面及び詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、上述の技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0057】
また、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲又はその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略等を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本開示は、光透過率が異なる複数のNDフィルタを備える撮像装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0059】
22 撮像ユニット
24 筺体
28 撮像素子
28a 撮像面
32b 貫通穴
32c 前面
44 フランジ部(可動シールシート)