(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023008981
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】中栓セット及び定量取出容器
(51)【国際特許分類】
B65D 47/20 20060101AFI20230112BHJP
B65D 51/22 20060101ALI20230112BHJP
【FI】
B65D47/20 210
B65D51/22 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022107011
(22)【出願日】2022-07-01
(31)【優先権主張番号】202110751154.4
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】100149294
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 直人
(72)【発明者】
【氏名】シュウ ピン
(72)【発明者】
【氏名】ゴン シャンチ
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA02
3E084AA12
3E084AA24
3E084AB09
3E084BA02
3E084CA01
3E084CB03
3E084CC03
3E084DA01
3E084DB12
3E084DC03
3E084EA03
3E084EB02
3E084EC03
3E084FC04
3E084GB11
3E084GB12
3E084KB01
3E084LB02
3E084LD01
3E084LE07
(57)【要約】 (修正有)
【課題】構造が簡単であり、所定体積の内容物を取得でき、かつ性質の異なる多種類の内容物に適用されることもできる中栓セット及び定量取出容器を提供する。
【解決手段】中栓セットは、体積が1回の最大取出量以下の内容物を容器内から取得可能な中栓と、容器に外嵌されるキャップとを備え、中栓は、カップ状であり、中栓の周壁には少なくとも1つの第1の開口部が形成され、中栓の軸方向一方端にはキャップに着脱可能に接続される第2の開口部が形成され、中栓は、容器に対して第1の使用位置及び第2の使用位置まで移動可能であり、第1の使用位置において、第1の開口部の少なくとも一部が開放し、容器内の内容物は第1の開口部から中栓に進入可能であり、第2の使用位置において、第1の開口部は完全に遮蔽され、中栓内の内容物は第1の開口部を介して中栓から離れない。本発明に係る定量取出容器も同様のメリットを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器(b)の開口部(b1)に配置される中栓セットにおいて、
前記容器(b)に内嵌され、かつ体積が1回の最大取出量以下の内容物を前記容器(b)内から取得可能な中栓(10)と、前記容器(b)に外嵌され、かつ前記開口部(b1)を封鎖可能なキャップ(30)とを備え、
前記中栓(10)は、カップ状であり、前記中栓(10)の周壁には少なくとも1つの第1の開口部(11)が形成され、前記中栓(10)の軸方向一方端には前記キャップ(30)に着脱可能に接続される第2の開口部(12)が形成され、
前記容器(b)の軸方向(A)において、前記中栓(10)は前記キャップ(30)に従って前記容器(b)に対して第1の使用位置及び第2の使用位置まで移動可能であり、
前記第1の使用位置において、前記第1の開口部(11)は少なくとも一部が開放し、前記容器(b)内の内容物は前記第1の開口部(11)から前記中栓(10)に進入可能であり、
前記第2の使用位置において、前記第1の開口部(11)は完全に遮蔽され、前記中栓(10)内の前記内容物は前記第1の開口部(11)を介して前記中栓(10)から離れないことを特徴とする中栓セット。
【請求項2】
少なくとも一部が前記容器(b)の前記開口部(b1)の内周に嵌合され、前記中栓(10)を内周に嵌合する管状のストッパ(20)をさらに備え、
前記ストッパ(20)の内周壁には、径方向内側に突出し、前記第1の使用位置及び前記第2の使用位置において前記中栓(10)の前記軸方向(A)での移動を制限するストッパ凸部(21)が形成され、
前記第2の使用位置において、前記第1の開口部(11)は前記ストッパ凸部(21)により完全に遮蔽されることを特徴とする請求項1に記載の中栓セット。
【請求項3】
前記中栓(10)の外周壁には、径方向外側に突出した上方フランジ(101)及び下方フランジ(102)が形成され、
前記ストッパ凸部(21)は、前記軸方向(A)に離間する上方ストッパ面(21u)及び下方ストッパ面(21d)を有し、
前記軸方向(A)において、前記ストッパ凸部(21)は、前記上方フランジ(101)と前記下方フランジ(102)との間に嵌合され、前記上方ストッパ面(21u)と前記下方ストッパ面(21d)との距離は、前記中栓(10)における前記上方フランジ(101)と前記下方フランジ(102)との距離よりも小さく、
前記上方フランジ(101)は前記第1の使用位置において前記上方ストッパ面(21u)に当接し、前記下方フランジ(102)は前記第2の使用位置において前記下方ストッパ面(21d)に当接することを特徴とする請求項2に記載の中栓セット。
【請求項4】
前記ストッパ(20)は、本体(20m)と、前記本体(20m)の外周に位置し、かつ前記本体(20m)の軸方向一方端に接続されるバーリング(20f)とを有し、
前記本体(20m)と前記バーリング(20f)との間には、前記容器(b)の前記開口部(b1)の縁部を嵌入させる環状の係止溝(20g)が形成されることを特徴とする請求項2に記載の中栓セット。
【請求項5】
前記中栓(10)の外周壁には、前記軸方向(A)において前記第1の開口部(11)の両側にそれぞれ位置し、径方向外側に突出した上方突起シールリング(103)及び下方突起シールリング(104)が形成され、
前記第2の使用位置において、前記上方突起シールリング(103)及び前記下方突起シールリング(104)は前記ストッパ(20)の内壁に締り嵌めされることを特徴とする請求項2に記載の中栓セット。
【請求項6】
前記キャップ(30)内の端壁には、前記中栓(10)の前記第2の開口部(12)に着脱可能に接続される内方接続部(31)が形成され、
前記中栓(10)が前記内方接続部(31)に接続された場合、前記第2の開口部(12)は完全に遮蔽されることを特徴とする請求項1に記載の中栓セット。
【請求項7】
前記内方接続部(31)は、前記軸方向(A)において前記中栓(10)に突出した環状の内方リング(311)及び外方リング(312)を有し、前記内方リング(311)は、前記中栓(10)の内周に締り嵌めで嵌合され、前記外方リング(312)は、前記中栓(10)の外周に締り嵌めで嵌合されることを特徴とする請求項6に記載の中栓セット。
【請求項8】
前記軸方向(A)において、前記内方リング(311)の長さは、前記外方リング(312)の長さよりも長いことを特徴とする請求項7に記載の中栓セット。
【請求項9】
前記内方リング(311)の外周壁には、径方向外側に突出した環状の内方リング外方フランジ(311a)が形成され、
前記中栓(10)の内周壁には、径方向内側に突出した内方フランジ(105)が形成され、
前記中栓(10)と前記キャップ(30)との着脱時に、前記内方リング外方フランジ(311a)と前記内方フランジ(105)は弾性変形によって前記軸方向(A)に互いに通過可能であることを特徴とする請求項7に記載の中栓セット。
【請求項10】
前記外方リング(312)と前記キャップ(30)の周壁との間に嵌合されたガスケット(40)をさらに備えることを特徴とする請求項7に記載の中栓セット。
【請求項11】
前記中栓(10)の内周壁は、前記第2の開口部(12)においてテーパー状に形成され、前記軸方向(A)において前記中栓(10)の外方に向かうにつれて径方向寸法が大きくなることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の中栓セット。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の中栓セットと、前記開口部(b1)が形成された容器(b)とを備えることを特徴とする定量取出容器。
【請求項13】
前記容器(b)は、胴体部(bb)と、首部(bn)とを有し、前記開口部(b1)は、前記首部(bn)の前記胴体部(bb)から離れた軸方向端部に形成され、前記胴体部(bb)の内径は前記首部(bn)の内径よりも大きく、
前記中栓(10)が前記容器(b)に対して第1の使用位置まで移動したとき、前記軸方向(A)において、前記第1の開口部(11)は少なくとも一部が前記胴体部(bb)に位置することを特徴とする請求項12に記載の定量取出容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器の技術分野に関し、特に、定量取出容器及び定量取出作用を果たし得る中栓セットに関する。
【背景技術】
【0002】
通常、スキンケア製品又は化粧品などは定量で取り出す必要がある。先行技術では、ポンプ構造を用いて溶液のような内容物を定量で取り出すのが一般的である。
【0003】
定量取り出し用ポンプは、構造が複雑であり、コストが高い一方、ポンピング装置に適しない溶液がある(例えば、粉末を含む化粧水はポンプヘッドに詰まりやすい)。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、先行技術に存在している上記問題を克服するか又は少なくとも低減することができる中栓セット及び当該中栓セットを用いた定量取出容器を提供することを目的とする。
【0005】
本発明の第1の側面によれば、容器の開口部に配置される中栓セットにおいて、
前記容器に内嵌され、かつ体積が1回の最大取出量以下の内容物を前記容器内から取得可能な中栓と、前記容器に外嵌され、かつ前記開口部を封鎖可能なキャップとを備え、
前記中栓は、カップ状であり、前記中栓の周壁には少なくとも1つの第1の開口部が形成され、前記中栓の軸方向の一方の端には前記キャップに着脱可能に接続される第2の開口部が形成され、
前記容器の軸方向において、前記中栓は、前記キャップに従って前記容器に対して第1の使用位置及び第2の使用位置まで移動可能であり、
前記第1の使用位置において、前記第1の開口部は少なくとも一部が開放し、前記容器内の内容物は前記第1の開口部から前記中栓に進入(又は流入)可能であり、
前記第2の使用位置において、前記第1の開口部は完全に遮蔽され、前記中栓内の前記内容物は前記第1の開口部を介して前記中栓から離れない(即ち、流出しない、零れ出ない、又は漏出しない)ことを特徴とする中栓セットを提供する。
【0006】
少なくとも1つの実施形態では、前記中栓セットは、少なくとも一部が前記容器の前記開口部の内周に嵌合され、前記中栓を内周に嵌合する管状のストッパをさらに備え、
前記ストッパの内周壁には、径方向内側に突出し、前記第1の使用位置及び前記第2の使用位置において前記中栓の前記軸方向での移動を制限するストッパ凸部が形成され、
前記第2の使用位置において、前記第1の開口部は前記ストッパ凸部により完全に遮蔽される。
【0007】
少なくとも1つの実施形態では、前記中栓の外周壁には、径方向外側に突出した上方フランジ及び下方フランジが形成され、
前記ストッパ凸部は、前記軸方向に離間する上方ストッパ面及び下方ストッパ面を有し、
前記軸方向において、前記ストッパ凸部は、前記上方フランジと前記下方フランジとの間に嵌合され、前記上方ストッパ面と前記下方ストッパ面との距離は、前記中栓における前記上方フランジと前記下方フランジとの距離よりも小さく、
前記上方フランジは前記第1の使用位置において前記上方ストッパ面に当接し、前記下方フランジは前記第2の使用位置において前記下方ストッパ面に当接する。
【0008】
少なくとも1つの実施形態では、前記ストッパは、本体と、前記本体の外周に位置し、かつ前記本体の軸方向の一方の端に接続されるバーリングとを有し、
前記本体と前記バーリングとの間には、前記容器の前記開口部の縁部を嵌入させる環状の係止溝が形成される。
【0009】
少なくとも1つの実施形態では、前記中栓の外周壁には、前記軸方向において前記第1の開口部の両側にそれぞれ位置し、径方向外側に突出した上方突起シールリング及び下方突起シールリングが形成され、
前記第2の使用位置において、前記上方突起シールリング及び前記下方突起シールリングは前記ストッパの内壁に締り嵌めされる。
【0010】
少なくとも1つの実施形態では、前記キャップ内の端壁には、前記中栓の前記第2の開口部に着脱可能に接続される内方接続部が形成され、
前記中栓が前記内方接続部に接続された場合、前記第2の開口部は完全に遮蔽される。
【0011】
少なくとも1つの実施形態では、前記内方接続部は、前記軸方向において前記中栓に突出した環状の内方リング及び外方リングを有し、前記内方リングは、前記中栓の内周に締り嵌めで嵌合され、前記外方リングは、前記中栓の外周に締り嵌めで嵌合される。
【0012】
少なくとも1つの実施形態では、前記軸方向において、前記内方リングの長さは、前記外方リングの長さよりも長い。
【0013】
少なくとも1つの実施形態では、前記内方リングの外周壁には、径方向外側に突出した環状の内方リング外方フランジが形成され、
前記中栓の内周壁には、径方向内側に突出した内方フランジが形成され、
前記中栓と前記キャップとの着脱時に、前記内方リング外方フランジと前記内方フランジは弾性変形によって前記軸方向に互いに通過可能である。
【0014】
少なくとも1つの実施形態では、前記中栓セットは、前記外方リングと前記キャップの周壁との間に嵌合されたガスケットをさらに備える。
【0015】
少なくとも1つの実施形態では、前記中栓の内周壁は、前記第2の開口部においてテーパー状に形成され、前記軸方向において前記中栓の外方に向かうにつれて径方向寸法が大きくなる。
【0016】
本発明の第2の側面によれば、本発明の第1の側面に係る中栓セットと、前記開口部が形成された容器とを備える定量取出容器を提供する。
【0017】
少なくとも1つの実施形態では、前記容器は、胴体部と、首部とを有し、前記開口部は、前記首部の前記胴体部から離れた軸方向端部に形成され、前記胴体部の内径は前記首部の内径よりも大きく、
前記中栓が前記容器に対して第1の使用位置まで移動したとき、前記軸方向において、前記第1の開口部は少なくとも一部が前記胴体部に位置する。
【0018】
本発明に係る中栓セットは、構造が簡単であり、所定体積の内容物を取得でき、かつ性質の異なる多種類の内容物に適用することもできる。本発明に係る定量取出容器も同様のメリットを有する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態による溶液を収容した定量取出容器を示す断面図。
【
図2】本発明の一実施形態による定量取出容器の分解図。
【
図3】本発明の一実施形態による中栓セットのキャップの断面模式図。
【
図4】本発明の一実施形態による中栓セットのストッパの断面模式図。
【
図5】本発明の一実施形態による中栓セットの第1の開口部の正面方向から見た断面模式図。
【
図6】本発明の一実施形態による中栓セットの第1の開口部の側面方向から見た断面模式図。
【
図7】本発明の一実施形態による定量取出容器の使用方法において、中栓セットが第1の開口部を通して所定量の溶液を取得する過程を示す断面模式図。
【
図8】本発明の一実施形態による定量取出容器の使用方法において、第1の使用位置にある中栓セットが所定量の溶液を取得した状態を示す断面模式図。
【
図9】本発明の一実施形態による定量取出容器の使用方法において、キャップを取り外して第2の使用位置に移動した中栓セットが所定量の溶液を収容している状態を示す断面模式図。
【
図10】本発明の一実施形態による定量取出容器の使用方法において、第2の開口部から所定量の溶液を取り出す過程を示す断面模式図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら本発明の例示的な実施形態を説明する。以下の詳細な説明は、どのように本発明を実施するかに関する示唆を当業者に与えるものに過ぎず、本発明のすべての可能な態様を一々挙げるものではなく、本発明の範囲を限定するものでもないことを理解すべきである。
【0021】
図1~
図10を参照しながら、液体内容物を例として、本発明に係る中栓セット及び定量取出容器について説明する。
【0022】
特に明記されていない限り、
図1に示すように、Aは、中栓セットの軸方向を表し、該軸方向Aは定量取出容器における円筒状などの容器bの軸方向と一致し、Rは、中栓セットの径方向を表し、該径方向Rは定量取出容器における円筒状などの容器bの径方向と一致する。
【0023】
特に明記されていない限り、本発明では、図面に示す上下関係に基づいて各部品の位置関係を説明する。該上下関係は一定ではなく、製品の応用シーンや動作姿勢の違いによって、各部品に対応する空間方位が変化可能であることを理解すべきである。
【0024】
図1及び
図2に示すように、本発明に係る定量取出容器は、容器bと、中栓セットcとを備え、中栓セットcは、中栓10と、ストッパ20と、キャップ30と、ガスケット40とを有する。
【0025】
容器bは、ボトル状であり、胴体部bbと、胴体部bbの上方に接続され、端部に開口部b1が形成された首部bnとを有する。首部bnの内径は、胴体部bbの内径よりも小さくてもよい。
【0026】
ここで、「内径」及び「径方向」などの用語を用いているが、首部bn及び胴体部bb、特に、胴体部bbは必ずしも円筒状であるとは限らないことを理解すべきである。
【0027】
中栓セットcは、容器bの首部bnに接続される。キャップ30は、首部bnの外周に外嵌されることにより、開口部b1を封鎖する。本実施形態では、キャップ30と首部bnとは螺接される。中栓10及びストッパ20はすべて首部bnの内周側に嵌合される。ここで、中栓10及びストッパ20の一部、特に、ストッパ20の一部は、首部bnの外方及び/又は首部bnの外周側に位置してもよい。軸方向Aにおいて、ストッパ20と首部bnとは相対的に移動できず、中栓10は首部bnに対して一定の範囲内で移動可能である。
【0028】
まず、
図1~
図3を参照しながら、キャップ30について説明する。
【0029】
キャップ30の内周壁には、首部bnの雄ねじに螺合する雌ねじが形成されている。
【0030】
キャップ30内の端壁には、後述する中栓10を接続する内方接続部31が形成されている。内方接続部31は、軸方向Aにおいてキャップ30の開口部の方向に向かって端壁からそれぞれ突出し、同心で配置された環状の内方リング311及び外方リング312を有してもよい。
【0031】
軸方向Aにおいて、内方リング311の高さ(又は突出量)は、外方リング312の高さ(又は突出量)よりも大きくてもよい。
【0032】
内方リング311と外方リング312との間には、中栓10が部分的に嵌入可能な環状の溝部31gが形成される。
【0033】
内方リング311が外方リング312よりも高い構造により、内方リング311は後述する中栓10の第2の開口部12に挿入されやすい。
【0034】
内方リング311の外周壁には、径方向外側に突出した環状の内方リング外方フランジ311aが形成されてもよい。
【0035】
外方リング312とキャップ30の周壁との間の環状空間は、ガスケット40を収容可能である。
【0036】
また、
図1、
図2及び
図4を参照しながら、ストッパ20について説明する。
【0037】
ストッパ20は、管状となる本体20mと、本体20mの一方の端部に接続され、かつ該端部の外周を囲むバーリング20fとを有する。バーリング20fと本体20mとの間には、係止溝20gが形成される。
【0038】
本体20mは、容器bの首部bnに嵌入し、首部bnの一方の端部は、係止溝20gに嵌入する。首部bnとストッパ20とは締り嵌めされる、及び/又は係合する。
【0039】
ストッパ20と容器bとの係合性を向上させるために、本体20mの外周には、突起した複数(本実施形態では、3つ)の突起リング20rが形成されてもよい。
【0040】
本体20mの内周壁には、径方向内側に突出した環状のストッパ凸部21が形成される。ストッパ凸部21の軸方向Aにおける両端面は、それぞれ、中栓10の軸方向Aでの移動を制限する上方ストッパ面21u及び下方ストッパ面21dである。
【0041】
【0042】
中栓10は、略カップ状となる。中栓10の周壁には、少なくとも1つ(本実施形態では、2つ)の第1の開口部11が形成される。中栓10の一端部は開放して第2の開口部12を形成し、他端部は封鎖される。中栓10における第1の開口部11と封鎖端との間の空間には、容積が所定した1回の取出量の内容物の体積とほぼ等しい液室Sが形成される。
【0043】
中栓10の外周壁には、軸方向Aに離間する上方フランジ101及び下方フランジ102が形成される。上方フランジ101及び下方フランジ102は、それぞれ、中栓10の外周壁から突出した環状の突起となるように形成されてもよい。
【0044】
上方フランジ101及び下方フランジ102の外径は、それぞれ、ストッパ凸部21の内径よりも大きい。軸方向Aにおいて、中栓10の外周壁における上方フランジ101と下方フランジ102との間に位置する部分の外径は、ストッパ凸部21の内径とほぼ等しい。これにより、ストッパ凸部21は、上方フランジ101と下方フランジ102との間に嵌入可能であり、かつ上方フランジ101及び下方フランジ102は、軸方向Aにおいてストッパ凸部21の位置を制限可能である。
【0045】
軸方向Aにおいて、ストッパ20における上方ストッパ面21uと下方ストッパ面21dとの距離は、中栓10における上方フランジ101と下方フランジ102との距離よりも小さい。これにより、中栓10は、ストッパ20に対して軸方向Aにおいて一定の可動空間を有することができる。
【0046】
中栓10の外周壁における上方フランジ101と下方フランジ102との間に位置する部分が径方向外側に突出することにより、軸方向Aに離間する環状の上方突起シールリング103及び下方突起シールリング104が形成されてもよい。該上方突起シールリング103及び/又は下方突起シールリング104は必ずしも中栓10と一体として形成されるとは限らないことを理解すべきであり、上方突起シールリング103及び/又は下方突起シールリング104は、中栓10の外周面の凹部に装着されたガスケットとして形成されてもよい。
【0047】
上方突起シールリング103及び下方突起シールリング104は、軸方向Aにおいて第1の開口部11の両側にそれぞれ位置してもよい。
【0048】
中栓10の内周壁は、第2の開口部12においてテーパー状に形成され、軸方向Aにおいて、中栓10の外方に向かうにつれて径方向寸法が大きくなってもよい。キャップ30と中栓10とを組み立てる際に、内方リング311を中栓10の第2の開口部12に挿入する必要があるため、第2の開口部12の上記したテーパー状により、内方リング311をより簡単に挿入することができる。
【0049】
中栓10の内周壁には、径方向内側に突出した環状の内方フランジ105が形成されてもよい。中栓10とキャップ30との着脱時に、内方リング外方フランジ311aと内方フランジ105は弾性変形によって軸方向Aにおいて互いに通過可能である。これにより、中栓10とキャップ30との固定はより確実になり、かつキャップ30を取り外さない時に溶液が第2の開口部12から漏れにくい。
【0050】
中栓セットcと容器bとを組み立てる際に、例えば、ストッパ20を容器bの首部bnに固定してから、中栓10をストッパ20内に嵌入させ、ストッパ凸部21を上方フランジ101と下方フランジ102との間に係合させ、最後、キャップ30(ガスケット40をキャップ30の外方リング312とキャップ30の周壁との間の環状空間に予め装着してもよい)を回転させて首部bnに嵌め込んだ後、中栓10がちょうど溝部31gに嵌入するようにしてもよい。
【0051】
本発明では、上述した中栓セットcと容器bの各組立工程の先後順序について限定しない。例えば、中栓10とストッパ20とを組み立てた後、両者からなる全体を首部bnに装着してもよい。また、中栓10とキャップ30とを組み立てた後、両者からなる全体を容器bに装着してもよい。
【0052】
中栓セットcと容器bとを組み立てた後、第1の開口部11は、軸方向Aにおいて首部bnと胴体部bbとの間にほぼ位置してもよい。第1の開口部11は、少なくとも一部が軸方向Aにおいて胴体部bbに位置するのが好ましい。胴体部bbの内径が首部bnの内径よりも大きいため、第1の開口部11が胴体部bbに位置する場合、溶液は第1の開口部11から液室Sへより容易に流入する。この点は、下記の定量取出容器の使用方法についての説明からも分かるものである。
【0053】
中栓セットcと容器bとを組み立てた後、上方ストッパ面21uはちょうど上方フランジ101に当接してもよい。該状態での中栓10の容器bに対する位置を第1の使用位置という。該第1の使用位置は、特に、キャップ30が容器bに完全に嵌め込まれたか又は装着された位置又は状態であってもよいことを理解すべきである。第1の使用位置において、第1の開口部11は、少なくとも一部がストッパ凸部21により遮蔽されないが、ストッパ凸部21により全く遮蔽されないのが好ましい。
【0054】
以下、
図7~
図10を参照しながら、中栓セット及び定量取出容器の使用方法について説明する。
【0055】
図7に示すように、溶液を取り出そうとする際に、容器bをほぼ逆転させることで、溶液は第1の開口部11から中栓10の内部へ流入する。このような状態では、第1の開口部11とキャップ30の端壁との間の空間の容積は、液室Sの容積とほぼ等しいか、又は液室Sの容積よりも少し大きくてもよい。
【0056】
図8に示すように、溶液が第1の開口部11とキャップ30の端壁との間の空間をほぼ完全に填充した後、容器bを正立状態に戻し、液室Sは溶液によってほぼ完全に満たされる。このとき、中栓10は所定した1回の取出量の溶液を取得したことになる。
【0057】
図9に示すように、溶液を取り出すとき、キャップ30を首部bnから取り外す。本実施形態では、キャップ30を首部bnから脱離するまで容器bに対して上方へ移動するように回転させる。この過程では、中栓10がキャップ30に内方接続部を介して接続されているため、中栓10もキャップ30に伴って下方フランジ102がストッパ凸部21に当接するまで容器bに対して上方へ移動する。該状態での中栓10の容器bに対する位置を第2の使用位置という。第2の使用位置において、第1の開口部11がストッパ凸部21により完全に遮蔽されることで、容器bを傾斜させ、ひいては倒立させても、液室S内の溶液は第1の開口部11から流れ出さない。
【0058】
液室S内の溶液が第1の開口部11から流れ出さないことを確保するために、第2の使用位置において、上方突起シールリング103及び下方突起シールリング104は、それぞれ、ストッパ20の内壁(又はストッパ凸部21)に締り嵌めされてもよい。
【0059】
図10に示すように、その後、容器bを傾斜又は倒立させることで、溶液は、第2の開口部12から流れ出す。このように、所定の容積の溶液は、容器bから取り出される。
【0060】
溶液を取り出した後、キャップ30を容器bに装着すれば、キャップ30と中栓10とを再度接続し、かつ定量取出容器全体を
図1に示す初期状態に戻す。
【0061】
本発明は、以下のメリットの少なくとも1つを有する。
(i)本発明に係る中栓セットは、構造が簡単であり、かつ簡単な使用方法で所定量の内容物を取得できる。
(ii)本発明に係る中栓セットは、状態の異なる多種類の内容物に適用でき、かつ使用時に詰まりにくい。
【0062】
勿論、本発明は上記した実施形態に限らない。当技術分野に詳しい当業者であれば、本発明に開示された技術的範囲内で、本発明の上記実施形態の変更または置換を容易に想到することができ、それらも本出願の技術的範囲に含まれるべきである。例えば、
(i)キャップ30と首部bnの接続は、螺接でなくてもよい。例えば、両者は挿抜によって着脱されてもよい。
(ii)本発明では、ストッパ凸部21、上方フランジ101及び下方フランジ102の具体的な形状について限定しない。例えば、ストッパ凸部21は、軸方向に離間する2つの部分であってもよく、周方向に離間する複数の凸部であってもよく、上方ストッパ面21u及び下方ストッパ面21dを有すればよい。
(iii)別体となるガスケット40は必ずしも必要ではない。例えば、シール性能を実現するために、キャップ30の内端面には軟質材料(例えば、シリカゲル)が部分的に付着してもよい。
(iv)ストッパ20の少なくとも一部又はストッパ凸部21は、容器bと一体として形成されるか、又は容器bから取り外さないように形成されてもよいことを理解すべきである。
(v)本発明に係る中栓セット及び定量取出容器は必ずしも溶液を取り出すとは限らず、固液混合物(例えば、粉末を含有する溶液)や固体物質(例えば、粉末又は小粒子)にも適用されてもよい。本発明に係る溶液は必ずしも水状の液体であるとは限らず、一定の粘度を有する溶液(例えば、乳液)を含むことを理解すべきである。
【符号の説明】
【0063】
b 容器、bb 胴体部、bn 首部、b1 開口部、
c 中栓セット、10 中栓、11 第1の開口部、12 第2の開口部、101 上方フランジ、102 下方フランジ、103 上方突起シールリング、104 下方突起シールリング、105 内方フランジ、S 液室、
20 ストッパ、20m 本体、20f バーリング、20g 係止溝、20r 突起リング、21 ストッパ凸部、21u 上方ストッパ面、21d 下方ストッパ面、
30 キャップ、31 内方接続部、311 内方リング、311a 内方リング外方フランジ、312 外方リング、31g 溝部、40 ガスケット