(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023089812
(43)【公開日】2023-06-28
(54)【発明の名称】光検出装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
G02B 7/00 20210101AFI20230621BHJP
G01S 7/481 20060101ALN20230621BHJP
【FI】
G02B7/00 B
G02B7/00 F
G01S7/481 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021204553
(22)【出願日】2021-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(71)【出願人】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】100106149
【弁理士】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】浅見 博
(72)【発明者】
【氏名】小川 晃
(72)【発明者】
【氏名】今井 祐介
【テーマコード(参考)】
2H043
5J084
【Fターム(参考)】
2H043AB03
2H043AB10
2H043AB15
2H043AB35
2H043AE10
2H043AE22
5J084AA05
5J084AB01
5J084AC02
5J084AD01
5J084BA04
5J084BA06
5J084BA36
5J084BA40
5J084BA49
5J084BB02
5J084BB28
5J084CA03
5J084DA07
5J084EA31
(57)【要約】
【課題】所期の光学特性を確保する光検出装置の提供。
【解決手段】光検出装置は、互いに直交した基準方向Y,Xを規定するベース11と、ベース11に対して基準方向Y,Xに位置決めされる投光ホルダ61と、ベース11により保持される投光器22並びに投光ホルダ61により保持される投光レンズ系26を基準方向Y,Xに直交した投光光軸POA上に有し、投光器22からの投光ビームを投光レンズ系26により導光する投光ユニット21と、ベース11及び投光ホルダ61間において基準方向Yに沿って広がる第一投光隙間63aに交換可能に介装される第一投光シム64と、ベース11及び投光ホルダ61間において基準方向Y,Xとは交差した投光交差方向PDに沿って広がる第二投光隙間63cに交換可能に介装される第二投光シム66と、ベース11に対して投光ホルダ61を基準方向Yに沿った螺子止めにより固定する投光螺子68とを備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
投光ビーム(PB)を外界へ向けて投光し、前記投光ビームに対して前記外界から反射された反射ビーム(RB)を検出する光検出装置(10)であって、
配置対象に対して位置決め可能に構成され、互いに直交した第一基準方向(Y)及び第二基準方向(X)を規定するベース(11)と、
前記ベースに対して前記第一基準方向及び前記第二基準方向に位置決めされる投光ホルダ(61)と、
前記ベース及び前記投光ホルダのうち一方により保持される投光器(22)、並びに前記ベース及び前記投光ホルダのうち他方により保持される投光レンズ系(26)を、前記第一基準方向及び前記第二基準方向に直交した投光光軸(POA)上に位置合わせして有し、前記投光器から出射される前記投光ビームを前記投光レンズ系により導光する投光ユニット(21)と、
前記ベース及び前記投光ホルダ間において、前記第一基準方向に沿って広がる第一投光隙間(63a)に、交換可能に介装される第一投光シム(64)と、
前記ベース及び前記投光ホルダ間において、前記第一基準方向及び前記第二基準方向とは交差した投光交差方向(PD)に沿って広がる第二投光隙間(63c)に、交換可能に介装される第二投光シム(66)と、
前記ベースに対して前記投光ホルダを、前記第一基準方向に沿った螺子止めにより固定する投光螺子(68)と、を備える光検出装置。
【請求項2】
前記ベースは、前記投光器を保持し、
前記投光ホルダは、前記投光レンズ系を保持する請求項1に記載の光検出装置。
【請求項3】
前記ベース及び前記投光ホルダのうち一方は、前記第一投光隙間側に開口する投光逃がし孔(62b)を、有し、
前記ベース及び前記投光ホルダのうち他方は、前記第一投光シムを通して突入した前記投光逃がし孔との間に前記第一基準方向の空間(63b)を空ける投光突起(15b)を、有する請求項1又は2に記載の光検出装置。
【請求項4】
前記投光螺子は、前記ベース及び前記投光ホルダのうち一方に対して頭部(69a)の接触状態に遊挿され、前記ベース及び前記投光ホルダのうち他方に対して前記第二投光シムを通して螺着される請求項1~3のいずれか一項に記載の光検出装置。
【請求項5】
前記投光螺子において前記投光ホルダと接触状態の前記頭部側から前記ベースとの螺着側へ向かう前記第一基準方向は、水平面上の前記配置対象における重力方向に規定される請求項4に記載の光検出装置。
【請求項6】
前記投光ユニットは、前記第一基準方向に長手且つ前記第二基準方向に短手となるラインビーム状の前記投光ビームを、生成する請求項1~5のいずれか一項に記載の光検出装置。
【請求項7】
前記ベースに対して前記第一基準方向及び前記第二基準方向に位置決めされる受光ホルダ(71)と、
前記ベース及び前記受光ホルダのうち一方により保持される受光器(45)、並びに前記ベース及び前記受光ホルダのうち他方により保持される受光レンズ系(42)を、前記第一基準方向及び前記第二基準方向とは直交した受光光軸(ROA)上に位置合わせして有し、前記受光器により受光される前記反射ビームを前記受光レンズ系により結像する受光ユニット(41)と、
前記ベース及び前記受光ホルダ間において、前記第一基準方向に沿って広がる第一受光隙間(73a)に、交換可能に介装される第一受光シム(74)と、
前記ベース及び前記受光ホルダ間において、前記第一基準方向及び前記第二基準方向とは交差した受光交差方向(RD)に沿って広がる第二受光隙間(73c)に、交換可能に介装される第二受光シム(76)と、
前記ベースに対して前記受光ホルダを、前記第一基準方向に沿った螺子止めにより固定する受光螺子(78)と、をさらに備える請求項1~6のいずれか一項に記載の光検出装置。
【請求項8】
前記ベースにより駆動可能に支持され、前記投光ユニットからの前記投光ビームを前記外界へ向けて走査し、前記外界からの前記反射ビームを前記受光ユニットへ向けて反射する走査ミラー(32)を、さらに備える請求項7に記載の光検出装置。
【請求項9】
投光ビーム(PB)を外界へ向けて投光し、前記投光ビームに対して前記外界から反射された反射ビーム(RB)を検出する光検出装置(10)であって、
配置対象に対して位置決め可能に構成され、互いに直交した第一基準方向(Y)及び第二基準方向(X)を規定するベース(11)と、
前記ベースに対して前記第一基準方向及び前記第二基準方向に位置決めされる受光ホルダ(71)と、
前記ベース及び前記受光ホルダのうち一方により保持される受光器(45)、並びに前記ベース及び前記受光ホルダのうち他方により保持される受光レンズ系(42)を、前記第一基準方向及び前記第二基準方向とは直交した受光光軸(ROA)上に位置合わせして有し、前記受光器により受光される前記反射ビームを前記受光レンズ系により結像する受光ユニット(41)と、
前記ベース及び前記受光ホルダ間において、前記第一基準方向に沿って広がる第一受光隙間(73a)に、交換可能に介装される第一受光シム(74)と、
前記ベース及び前記受光ホルダ間において、前記第一基準方向及び前記第二基準方向とは交差した受光交差方向(RD)に沿って広がる第二受光隙間(73c)に、交換可能に介装される第二受光シム(76)と、
前記ベースに対して前記受光ホルダを、前記第一基準方向に沿った螺子止めにより固定する受光螺子(78)と、を備える光検出装置。
【請求項10】
前記ベースは、前記受光器を保持し、
前記受光ホルダは、前記受光レンズ系を保持する請求項7~9のいずれか一項に記載の光検出装置。
【請求項11】
前記ベース及び前記受光ホルダのうち一方は、前記第一受光隙間側に開口する受光逃がし孔(72b)を、有し、
前記ベース及び前記受光ホルダのうち他方は、前記第一受光シムを通して突入した前記受光逃がし孔との間に前記第一基準方向の空間(73b)を空ける受光突起(17b)を、有する請求項7~10のいずれか一項に記載の光検出装置。
【請求項12】
前記受光螺子は、前記ベース及び前記受光ホルダのうち一方に対して頭部(79a)の接触状態に遊挿され、前記ベース及び前記受光ホルダのうち他方に対して前記第二受光シムを通して螺着される請求項7~11のいずれか一項に記載の光検出装置。
【請求項13】
前記受光螺子において前記受光ホルダと接触状態の前記頭部側から前記ベースとの螺着側へ向かう前記第一基準方向は、水平面上の前記配置対象における重力方向に規定される請求項12に記載の光検出装置。
【請求項14】
前記受光ユニットは、前記第一基準方向に長手且つ前記第二基準方向に短手となるラインビーム状の前記反射ビームを、受光する請求項7~13のいずれか一項に記載の光検出装置。
【請求項15】
請求項1~8のいずれか一項に記載の光検出装置(10)を製造する方法であって、
前記ベース及び前記投光ホルダのうち一方に前記投光器を保持させ、前記ベース及び前記投光ホルダのうち他方に前記投光レンズ系を保持させることと、
前記ベースに対する前記投光ホルダの相対位置を仮止めし、前記投光光軸に対する前記投光ビームの投光シフト量(ΔPSy,ΔPSx)を前記第一基準方向及び前記第二基準方向において取得することと、
前記投光シフト量に合わせたサイズの前記第一投光シム及び前記第二投光シムをそれぞれ前記第一投光隙間及び前記第二投光隙間に介装し、前記投光螺子により前記投光ホルダを前記ベースに対して螺子止めすることを、を含む製造方法。
【請求項16】
前記投光シフト量の取得は、前記外界と対応する位置のスクリーン(105)上における、前記投光シフト量を取得することを、含む請求項15に記載の製造方法。
【請求項17】
請求項7~14のいずれか一項に記載の光検出装置(10)を製造する方法であって、
前記ベース及び前記受光ホルダのうち一方に前記受光器を保持させ、前記ベース及び前記受光ホルダのうち他方に前記受光レンズ系を保持させることと、
前記ベースに対する前記受光ホルダの相対位置を仮止めし、前記受光光軸に対する前記反射ビームの受光シフト量(ΔRSy,ΔRSx)を前記第一基準方向及び前記第二基準方向において取得することと、
前記受光シフト量に合わせたサイズの前記第一受光シム及び前記第二受光シムをそれぞれ前記第一受光隙間及び前記第二受光隙間に介装し、前記受光螺子により前記受光ホルダを前記ベースに対して螺子止めすることを、を含む製造方法。
【請求項18】
前記受光シフト量の取得は、前記反射ビームを受光するために前記受光器に設けられた受光面(47)上における、前記受光シフト量を取得することを、含む請求項17に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光検出装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
投光ビームを外界へ向けて投光し、投光ビームに対して外界から反射された反射ビームを検出する光検出装置は、広く知られている。例えば特許文献1に開示の光検出装置は、光源を保持する光源保持部材と、レンズを保持するレンズ保持部材とを、ベース部材に位置決めして固定している。そこで特許文献1に開示の光検出装置では、ベース部材に対してレンズ保持部材をレンズ光軸の方向に位置調整するために、基準平面を有した構造が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示の光検出装置において光源保持部材は、レンズ光軸に垂直にベース部材に設けられた基準平面に沿って、位置調整されているに過ぎない。そのために光源保持部材には、レンズ光軸に垂直な任意方向において位置調整が必要となるため、当該任意方向における位置調整精度の確保が難しい。さらに光源保持部材には、レンズの光軸に垂直な任意方向における位置調整後に、レンズ周りの複数箇所において螺子止めが必要となるため、当該螺子止め中の光源保持部材はベース部材の基準平面上を位置ずれすることで、位置決め精度を低下させ易い。これらの問題は、所期の光学特性を確保する上での障害となる。
【0005】
本開示の課題は、所期の光学特性を確保する光検出装置及びその製造方法を、提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、課題を解決するための本開示の技術的手段について、説明する。尚、特許請求の範囲及び本欄に記載された括弧内の符号は、後に詳述する実施形態に記載された具体的手段との対応関係を示すものであり、本開示の技術的範囲を限定するものではない。
【0007】
本開示の第一態様は、
投光ビーム(PB)を外界へ向けて投光し、投光ビームに対して外界から反射された反射ビーム(RB)を検出する光検出装置(10)であって、
配置対象に対して位置決め可能に構成され、互いに直交した第一基準方向(Y)及び第二基準方向(X)を規定するベース(11)と、
ベースに対して第一基準方向及び第二基準方向に位置決めされる投光ホルダ(61)と、
ベース及び投光ホルダのうち一方により保持される投光器(22)、並びにベース及び投光ホルダのうち他方により保持される投光レンズ系(26)を、第一基準方向及び第二基準方向に直交した投光光軸(POA)上に位置合わせして有し、投光器から出射される投光ビームを投光レンズ系により導光する投光ユニット(21)と、
ベース及び投光ホルダ間において、第一基準方向に沿って広がる第一投光隙間(63a)に、交換可能に介装される第一投光シム(64)と、
ベース及び投光ホルダ間において、第一基準方向及び第二基準方向とは交差した投光交差方向(PD)に沿って広がる第二投光隙間(63c)に、交換可能に介装される第二投光シム(66)と、
ベースに対して投光ホルダを、第一基準方向に沿った螺子止めにより固定する投光螺子(68)と、を備える。
【0008】
このように第一態様によると、互いに直交した第一基準方向及び第二基準方向を規定するベースと、配置対象に対する位置決めの可能なベースに対してそれら基準方向に位置決めされる投光ホルダとのうち、一方及び他方によりそれぞれ投光器及び投光レンズ系が保持される。そこでベース及び投光ホルダ間においては、第一基準方向に沿って広がる第一投光隙間に第一投光シムが介装されると共に、第一基準方向及び第二基準方向とは交差した投光交差方向に沿って広がる第二投光隙間に第二投光シムが介装される。
【0009】
これによれば、第一投光隙間及び第二投光隙間に対してそれぞれ交換可能な第一投光シム及び第二投光シムのサイズ調整に合わせて、ベース及び投光ホルダの相対位置を第一基準方向及び第二基準方向に調整することで、それら基準方向とは直交した投光光軸上に投光器及び投光レンズ系を位置合わせすることができる。さらには、投光交差方向に沿って広がることになる第二投光シムの介装界面においては、第一基準方向に沿った螺子止めによる投光螺子の軸力作用が第二基準方向にも分散されることで、ベースに対して投光ホルダを位置決めしたまま固定することができる。故に所期の光学特性として、投光ビームの投光特性を確保することが可能となる。
【0010】
本開示の第二態様は、
第一態様の光検出装置(10)を製造する方法であって、
ベース及び投光ホルダのうち一方に投光器を保持させ、ベース及び投光ホルダのうち他方に投光レンズ系を保持させることと、
ベースに対する投光ホルダの相対位置を仮止めし、投光光軸に対する投光ビームの投光シフト量(ΔPSy,ΔPSx)を第一基準方向及び第二基準方向において取得することと、
投光シフト量に合わせたサイズの第一投光シム及び第二投光シムをそれぞれ第一投光隙間及び第二投光隙間に介装し、投光螺子により投光ホルダをベースに対して螺子止めすることを、を含む。
【0011】
このように第二態様によると、ベースに対する投光ホルダの相対位置が仮止めされ、投光光軸に対する投光ビームの投光シフト量が第一基準方向及び第二基準方向において取得される。そこで、投光シフト量に合わせたサイズの第一投光シム及び第二投光シムがそれぞれ第一投光隙間及び第二投光隙間に介装され、投光螺子により投光ホルダがベースに対して螺子止めされることになる。
【0012】
これによれば、第一投光隙間及び第二投光隙間にそれぞれ介装する第一投光シム及び第二投光シムのサイズ調整を、投光器及び投光レンズ系の位置合わせに最適化すると同時的に、ベースに対する投光ホルダの位置調整を完了することができる。さらには、第一基準方向に沿った螺子止めによる投光螺子の軸力が第二基準方向にも分散されることで、ベースに対して投光ホルダを位置決めしたまま固定することができる。故に所期の光学特性として、投光ビームの投光特性を確保することが可能となる。
【0013】
本開示の第三態様は、
投光ビーム(PB)を外界へ向けて投光し、投光ビームに対して外界から反射された反射ビーム(RB)を検出する光検出装置(10)であって、
配置対象に対して位置決め可能に構成され、互いに直交した第一基準方向(Y)及び第二基準方向(X)を規定するベース(11)と、
ベースに対して第一基準方向及び第二基準方向に位置決めされる受光ホルダ(71)と、
ベース及び受光ホルダのうち一方により保持される受光器(45)、並びにベース及び受光ホルダのうち他方により保持される受光レンズ系(42)を、第一基準方向及び第二基準方向とは直交した受光光軸(ROA)上に位置合わせして有し、受光器により受光される反射ビームを受光レンズ系により結像する受光ユニット(41)と、
ベース及び受光ホルダ間において、第一基準方向に沿って広がる第一受光隙間(73a)に、交換可能に介装される第一受光シム(74)と、
ベース及び受光ホルダ間において、第一基準方向及び第二基準方向とは交差した受光交差方向(RD)に沿って広がる第二受光隙間(73c)に、交換可能に介装される第二受光シム(76)と、
ベースに対して受光ホルダを、第一基準方向に沿った螺子止めにより固定する受光螺子(78)と、を備える。
【0014】
このように第三態様によると、互いに直交した第一基準方向及び第二基準方向を規定するベースと、配置対象に対する位置決めの可能なベースに対してそれら基準方向に位置決めされる受光ホルダとのうち、一方及び他方によりそれぞれ受光器及び受光レンズ系が保持される。そこでベース及び受光ホルダ間においては、第一基準方向に沿って広がる第一受光隙間に第一受光シムが介装されると共に、第一基準方向及び第二基準方向とは交差した受光交差方向に沿って広がる第二受光隙間に第二受光シムが介装される。
【0015】
これによれば、第一受光隙間及び第二受光隙間に対してそれぞれ交換可能な第一受光シム及び第二受光シムのサイズ調整に合わせて、ベース及び受光ホルダの相対位置を第一基準方向及び第二基準方向に調整することで、それら基準方向とは直交した受光光軸上に受光器及び受光レンズ系を位置合わせすることができる。さらには、受光交差方向に沿って広がることになる第二受光シムの介装界面においては、第一基準方向に沿った螺子止めによる受光螺子の軸力作用が第二基準方向にも分散されることで、ベースに対して受光ホルダを位置決めしたまま固定することができる。故に所期の光学特性として、反射ビームの受光特性を確保することが可能となる。
【0016】
本開示の第四態様は、
第三態様の光検出装置(10)を製造する方法であって、
ベース及び受光ホルダのうち一方に受光器を保持させ、ベース及び受光ホルダのうち他方に受光レンズ系を保持させることと、
ベースに対する受光ホルダの相対位置を仮止めし、受光光軸に対する反射ビームの受光シフト量(ΔRSy,ΔRSx)を第一基準方向及び第二基準方向において取得することと、
受光シフト量に合わせたサイズの第一受光シム及び第二受光シムをそれぞれ第一受光隙間及び第二受光隙間に介装し、受光螺子により受光ホルダをベースに対して螺子止めすることを、を含む。
【0017】
このように第四態様によると、ベースに対する受光ホルダの相対位置が仮止めされ、受光光軸に対する反射ビームの受光シフト量が第一基準方向及び第二基準方向において取得される。そこで、受光シフト量に合わせたサイズの第一受光シム及び第二受光シムがそれぞれ第一受光隙間及び第二受光隙間に介装され、受光螺子により受光ホルダがベースに対して螺子止めされることになる。
【0018】
これによれば、第一受光隙間及び第二受光隙間にそれぞれ介装する第一受光シム及び第二受光シムのサイズ調整を、受光器及び受光レンズ系の位置合わせに最適化すると同時的に、ベースに対する受光ホルダの位置調整を完了することができる。さらには、第一基準方向に沿った螺子止めによる受光螺子の軸力が第二基準方向にも分散されることで、ベースに対して受光ホルダを位置決めしたまま固定することができる。故に所期の光学特性として、反射ビームの受光特性を確保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】一実施形態による光検出装置の全体構成を示す断面図である。
【
図2】一実施形態による投光器を示す模式図である。
【
図3】一実施形態による受光器を示す模式図である。
【
図4】一実施形態による光検出装置の位置決め構造を示す正面図である。
【
図5】一実施形態による光検出装置の位置決め構造を示す断面図である。
【
図6】一実施形態による光検出装置の位置決め構造を示す断面図である。
【
図7】一実施形態による第一投光シムの一例を示す平面図である。
【
図8】一実施形態による第一投光シムの別な一例を示す平面図である。
【
図9】一実施形態による第一投光シムのさらに別な一例を示す平面図である。
【
図10】一実施形態による第二投光シムの一例を示す平面図である。
【
図11】一実施形態による第二投光シムの別な一例を示す平面図である。
【
図12】一実施形態による第二投光シムのさらに別な一例を示す平面図である。
【
図13】一実施形態による製造方法を示すフローチャートである。
【
図14】一実施形態による製造方法を説明するための模式図である。
【
図15】一実施形態による製造方法を説明するための模式図である。
【
図16】一実施形態による製造方法を説明するための模式図である。
【
図17】一実施形態による製造方法を説明するための模式図である。
【
図18】一実施形態による製造方法を説明するための模式図である。
【
図19】一実施形態による製造方法を説明するための模式図である。
【
図20】変形例による投光ユニットを示す模式図である。
【
図21】変形例による受光ユニットを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1に示すように、本開示の一実施形態による光検出装置10は、移動体に配置されて外界を光学的に観測するための、LiDAR(Light Detection and Ranging/Laser Imaging Detection and Ranging)である。光検出装置10の配置対象となる移動体は、手動運転、自動運転、及び遠隔運転のうち少なくとも一種類の運転が可能な、例えば自動車等の車両である。尚、以下の説明では断り書きがない限り、前、後、上、下、左、及び右が示す各方向は、水平面上の車両を基準として定義される。また、以下の説明において水平方向及び鉛直方向とは、それぞれ水平面上の車両における、当該水平面に対しての平行方向及び垂直方向を意味する。さらに、以下の説明において重力方向とは、水平面上の車両における、鉛直方向のうち下方向を意味する。
【0021】
光検出装置10は、例えば前方部、左右の側方部、後方部、及び上部ルーフ等のうち、車両における少なくとも一箇所に配置される。光検出装置10は、車両の外界のうち、車両での配置箇所に応じた検出領域DAへと向けて、投光ビームPBを投光する。光検出装置10は、車両の外界において投光ビームPBが検出領域DAの物標により反射されることで戻ってくる戻り光を、反射ビームRBとして検出する。こうして反射ビームRBとなる投光ビームPBには、人間から視認困難な近赤外域の光が用いられる。
【0022】
光検出装置10は、反射ビームRBを検出することで、検出領域DAの物標を観測する。ここで物標の観測とは、例えば光検出装置10から物標までの距離、物標が存在する方向、及び物標からの反射ビームRBの反射強度等のうち、少なくとも一種類である。車両に適用の光検出装置10において代表的な観測対象となる物標は、例えば歩行者、サイクリスト、人間以外の動物、及び他車両等の移動物体のうち、少なくとも一種類であってもよい。車両に適用の光検出装置10において代表的な観測対象となる物標は、例えばガードレール、道路標識、道路脇の構造物、及び道路上の落下物等の静止物体のうち、少なくとも一種類であってもよい。
【0023】
光検出装置10には、互いに直交する三つの基準方向X,Y,Zにより、三次元直交座標系が定義されている。特に本実施形態では、第一基準方向Yが車両の鉛直方向に沿って規定されていると共に、第二基準方向X及び第三基準方向Zがそれぞれ車両の相異なる水平方向に沿って規定されている。尚、
図1において第一基準方向Yに沿う一点鎖線よりも右側部分(後述の光学窓12側)は、実際には当該一点鎖線よりも左側部分(後述のユニット21,41側)に対して垂直な断面を図示している。
【0024】
光検出装置10は、ベース11、投光ユニット21、走査ユニット31、受光ユニット41、及びコントローラ51を備えている。遮光性のベース11は、例えば金属又は樹脂等により箱状に形成されている。ベース11は、投光ユニット21、走査ユニット31、及び受光ユニット41を内部に収容している。ベース11は、光学窓12により閉塞された開口部を、有している。透光性の光学窓12は、例えば樹脂又はガラス等により、板状に形成されている。
【0025】
投光ユニット21は、投光器22、及び投光レンズ系26を含んで構成されている。
図2に示すように投光器22は、複数のレーザ発振素子24が基板上においてアレイ状に配列されることで、構築されている。特に本実施形態の各レーザ発振素子24は、第一基準方向Yに沿って単列に配列されている。各レーザ発振素子24は、PN接合層において発振されたレーザ光を共振させる共振器構造、及びPN接合層を挟んでレーザ光を繰り返し反射させるミラー層構造により、位相の揃ったコヒーレントなレーザ光を発する。各レーザ発振素子24は、コントローラ51からの制御信号に従うことで、それぞれ投光ビームPBの一部となるレーザ光を、パルス状に生成する。
【0026】
投光器22は、第一基準方向Yに沿って長手且つ第二基準方向Xに沿って短手の長方形輪郭をもって擬似的に規定される投光口25を、基板の片面側に形成している。投光口25は、各レーザ発振素子24におけるレーザ発振開口の集合体として、構成されている。各レーザ発振素子24のレーザ発振開口から投射されるレーザ光は、
図1に示す検出領域DAにおいては第一基準方向Yに沿って長手且つ第二基準方向Xに沿って短手のライン状に整形される投光ビームPBとして、投光口25から出射される。
【0027】
図1に示すように投光レンズ系26は、少なくとも一つの投光レンズ27aが鏡筒27bによって保持される構造に、構築されている。透光性の投光レンズ27aは、例えば樹脂又はガラス等の基材を主体として、発揮する光学作用に応じたレンズ形状に形成されている。投光レンズ27aは、例えば集光、コリメート、及び整形等のうち、少なくとも一種類の光学作用を投光器22からの投光ビームPBに対して発揮する。投光レンズ27aは、例えば金属又は樹脂等により形成された鏡筒27b内に、位置決めされている。
【0028】
こうした構成の投光レンズ系26は、例えば投光口25の中心から投光レンズ27aの中心を通る等の仮想的な光線軸として、第一基準方向Y及び第二基準方向Xに直交した第三基準方向Zに沿う投光光軸POAを形成するように、投光器22と位置合わせされている。そこで、投光器22から出射された投光ビームPBの主光線は、投光レンズ系26からの光学作用を受けることで、投光光軸POAに沿って導光される。
【0029】
走査ユニット31は、走査ミラー32、及び走査モータ35を含んで構成されている。走査ミラー32は、例えば合成樹脂又はガラス等の基材を主体として、板状に形成されている。走査ミラー32においては、例えばアルミニウム、銀、又は金等の反射膜が基材の片面側に蒸着されることで、反射面33が鏡面状に形成されている。
【0030】
走査ミラー32は、第一基準方向Yに沿う回転中心線まわりに回転駆動可能に、ベース11によって支持されている。走査ミラー32は、機械的又は電気的なストッパにより有限となる駆動範囲内において、揺動回転運動する。走査ミラー32は、投光ビームPBの投光に利用する投光反射部34aと、反射ビームRBの受光に利用する受光反射部34bとを、反射面33において第一基準方向Yにずらして有している。
【0031】
走査モータ35は、例えばボイスコイルモータ、ブラシ付きDCモータ、又はステッピングモータ等である。走査モータ35の出力軸は、走査ミラー32に対して直接的に、又は例えば減速機等の駆動機構を介して間接的に、結合されている。走査モータ35は、出力軸と共に走査ミラー32を回転駆動可能に、ベース11によって保持されている。走査モータ35は、コントローラ51からの制御信号に従うことで、走査ミラー32を回転駆動する。
【0032】
投光ビームPBは、走査モータ35による走査ミラー32の回転駆動に応じた投光反射部34aからの反射作用を受けて光学窓12を透過することで、車両の外界のうち検出領域DAへと向けて走査される。このとき検出領域DAに対する投光ビームPBの走査は、走査ミラー32の回転駆動に従って、水平方向での走査に実質制限される。
【0033】
投光ビームPBは、車両の外界のうち検出領域DAに存在する物標によって反射されることで、光学窓12を再度透過して走査ミラー32の受光反射部34bに入射する反射ビームRBとなる。このとき走査ミラー32の回転駆動速度に比して、投光ビームPB及び反射ビームRBの速度は十分に大きい。これにより反射ビームRBは、投光ビームPBと実質同一回転角度と擬制可能な走査ミラー32の受光反射部34bから反射作用を受けることで、投光ビームPBと逆行するように受光ユニット41へと導光される。
【0034】
受光ユニット41は、受光レンズ系42、及び受光器45を含んで構成されている。受光レンズ系42は、少なくとも一つの受光レンズ43aが鏡筒43bによって保持される構造に、構築されている。透光性の受光レンズ43aは、例えば樹脂又はガラス等の基材を主体として、発揮する光学作用に応じたレンズ形状に形成されている。受光レンズ43aは、走査ミラー32からの反射ビームRBを受光器45に対して結像させるように、光学作用を発揮する。受光レンズ43aは、例えば金属又は樹脂等により形成された鏡筒43b内に、位置決めされている。
【0035】
こうした構成の受光レンズ系42は、例えば受光レンズ43aの中心から受光器45の後述する受光面47の中心を通る等の仮想的な光線軸として、第一基準方向Y及び第二基準方向Xに直交した第三基準方向Zに沿う受光光軸ROAを形成するように、受光器45と位置合わせされている。
【0036】
ここで受光レンズ系42の受光光軸ROAは、投光レンズ系26の投光光軸POAに対して第一基準方向Yにずらされている。特に本実施形態では、第一基準方向Yにおいて受光ユニット41が投光ユニット21よりも上方に配置されることで、受光光軸ROAが投光光軸POAから第一基準方向Yの上方に偏位している。そこで、投光反射部34aよりも第一基準方向Yの上方にずれた受光反射部34bから受光ユニット41へ向けて反射される反射ビームRBの主光線は、受光レンズ系42からの光学作用を受けて受光光軸ROAに沿って導光されることで、受光器45に結像される。
【0037】
図3に示すように受光器45は、複数の受光画素46が基板上においてアレイ状に配列されることで、構築されている。各受光画素46は、第一基準方向Y及び第二基準方向Xに沿った二次元アレイ状に配列されている。各受光画素46はさらに、それぞれ複数ずつの受光素子460として、例えばシングルフォトンアバランシェダイオード(Single Photon Avalanche Diode)等から形成されている。
【0038】
受光器45は、第一基準方向Yに沿って長手且つ第二基準方向Xに沿って短手の長方形輪郭を呈する受光面47を、基板の片面側に形成している。受光面47は、各受光画素46における入射面の集合体として、構成されている。各受光画素46は、
図1に示すように受光レンズ系42から受光面47へと入射した反射ビームRBを、第一基準方向Yに沿って長手且つ第二基準方向Xに沿って短手のライン状ビームとして、受光する。
【0039】
受光器45は、出力回路48を有している。出力回路48は、投光器22による投光ビームPBの投光周期に同期した走査ミラー32の回転角度に対応付けられる走査ライン別の測定フレームにおいて、コンロトーラ51からの制御信号に従う制御周期毎にサンプリング処理を実行する。このとき出力回路48は、制御周期毎に各受光画素46の受光素子460からの出力信号を合成することで、検出信号を生成する。こうして生成された検出信号は、出力回路48から走査ライン別にコントローラ51へと出力される。
【0040】
コントローラ51は、検出領域DAにおける物標の観測を制御する。コントローラ51は、プロセッサ及びメモリを含むコンピュータの、少なくとも一つを主体として構築されている。コントローラ51は、投光器22、走査モータ35、及び受光器45と接続されている。
【0041】
コントローラ51は、投光周期毎に各レーザ発振素子24の発振によって投光ビームPBを生成するように、投光器22への制御信号を出力する。コントローラ51は、投光器22による投光周期に同期した走査ミラー32による走査及び反射を制御するように、走査モータ35への制御信号を出力する。コントローラ51は、投光器22による投光周期、並びに走査ミラー32による走査及び反射に合わせて受光器45から出力される検出信号を処理することで、検出領域DAにおける物標の観測データを生成する。
【0042】
次に、配置対象の車両に対して光検出装置10を位置決めするための位置決め構造を、説明する。
【0043】
図1,4~6に示すように光検出装置10は、投光ユニット21及び受光ユニット41に共通に基準方向X,Y,Zを規定するベース11を、備えている。ベース11は、投光器22及び受光器45を、位置決め状態に保持している。
【0044】
図1に示すようにベース11は、第一基準方向Yと第二基準方向Xとに沿って広がる平面状の共通基準面13を、外壁面に有している。特に本実施形態の共通基準面13は、第三基準方向Zにおいて投光ユニット21及び受光ユニット41の双方を挟んで走査ユニット31とは反対側に設けられ、当該反対側を向いている。ベース11は、車両において位置固定される平面状の位置決め基準面3に共通基準面13を面接触させた状態で、車両に装着される。このような面接触状態での装着によりベース11は、車両において所期の検出領域DAを設定する配置箇所に、位置決め可能となっている。
【0045】
図4,5に示すようにベース11は、投光ユニット21専用の位置決め構造として、ブロック状の投光基準部14を内部に有している。投光基準部14は、第一基準方向Yと第三基準方向Zとに沿って広がる平面状の第一投光ベース面15aを、側面に有している。特に本実施形態の第一投光ベース面15aは、第二基準方向Xにおいて投光レンズ系26側を向いている。
【0046】
投光基準部14は、第一投光ベース面15aから突出する円柱状の投光突起15bを、有している。特に本実施形態の投光突起15bは、第二基準方向Xにおいて投光レンズ系26側へと突出している。
【0047】
投光基準部14は、第一基準方向Y及び第二基準方向Xとは交差した投光交差方向PDと、第三基準方向Zとに沿って広がる平面状の第二投光ベース面15cを、上面に有している。特に本実施形態の第二投光ベース面15cは、第二基準方向Xにおいて投光レンズ系26から離間するほど、第一基準方向Yのうち重力方向へと傾斜することで、斜め上方を向いている。ここで、第二投光ベース面15cの傾斜状態を決める投光交差方向PDについては、基準方向Y,Xのうち車両における振動の大きい一方に、後述する投光螺子68の軸力分散成分が大きくなるように、それら基準方向Y,Xとのなす角度が相異なっている。
【0048】
投光基準部14は、第二投光ベース面15cに開口する雌螺子孔状の投光螺子孔15dを、有している。特に本実施形態において投光螺子孔15dの開口は、第一基準方向Yのうち上方向を向いている。
【0049】
図4,6に示すようにベース11は、受光ユニット41専用の位置決め構造として、ブロック状の受光基準部16を内部に有している。受光基準部16は、第一基準方向Yと第三基準方向Zとに沿って広がる平面状の第一受光ベース面17aを、側面に有している。特に本実施形態の第一受光ベース面17aは、第二基準方向Xにおいて受光レンズ系42側を向いている。また本実施形態の第一受光ベース面17aは、後述の第二受光ベース面17cを介して段差をなす受光基準部16の二側面のうち、受光レンズ系42から遠い側の側面に設けられている。
【0050】
受光基準部16は、第一受光ベース面17aから突出する円柱状の受光突起17bを、有している。特に本実施形態の受光突起17bは、第二基準方向Xにおいて受光レンズ系42側へと突出している。
【0051】
受光基準部16は、第一基準方向Y及び第二基準方向Xとは交差した受光交差方向RDと、第三基準方向Zとに沿って広がる平面状の第二受光ベース面17cを、上面に有している。特に本実施形態の第二受光ベース面17cは、第二基準方向Xにおいて受光レンズ系42から離間するほど、第一基準方向Yのうち重力方向へと傾斜することで、斜め上方を向いている。ここで、第二受光ベース面17cの傾斜状態を決める受光交差方向RDについては、基準方向Y,Xのうち車両における振動の大きい一方に、後述する受光螺子78の軸力分散成分が大きくなるように、それら基準方向Y,Xとのなす角度が相異なっている。
【0052】
受光基準部16は、第二受光ベース面17cに開口する雌螺子孔状の受光螺子孔17dを、有している。特に本実施形態において受光螺子孔17dの開口は、第一基準方向Yのうち上方向を向いている。
【0053】
受光基準部16は、第一基準方向Yと第三基準方向Zとに沿って広がる平面状の第三受光ベース面17eを、側面に有している。特に本実施形態の第三受光ベース面17eは、第二基準方向Xにおいて受光レンズ系42側を向いている。また本実施形態の第三受光ベース面17eは、第二受光ベース面17cを介して段差をなす受光基準部16の二側面のうち、受光レンズ系42に近い側の側面に設けられている。
【0054】
図4,5に示すように光検出装置10は、投光ユニット21専用の位置決め構造として、投光ホルダ61、第一投光シム64、第二投光シム66、及び投光螺子68を備えている。投光ホルダ61は、例えば金属又は樹脂等によりブロック状に形成されている。投光ホルダ61は、投光レンズ系26において投光レンズ27aが内部に固定された鏡筒27bを、位置決め状態に保持している。
【0055】
投光ホルダ61は、第一基準方向Yと第三基準方向Zとに沿って広がる平面状の第一投光ホルダ面62aを、側面に有している。特に本実施形態の第一投光ホルダ面62aは、第二基準方向Xにおいて投光レンズ系26とは反対側となる、第一投光ベース面15a側を向いている。これにより第一投光ホルダ面62aと第一投光ベース面15aとは、第一基準方向Y及び第三基準方向Zに沿って広がる第一投光隙間63aを第二基準方向Xに空けて、互いに対向している。
【0056】
投光ホルダ61は、第一投光ホルダ面62aに開口する矩形溝状の投光逃がし孔62bを、有している。特に本実施形態の投光逃がし孔62bの開口は、第二基準方向Xにおいて第一投光隙間63a側を向いている。このような投光逃がし孔62b内には、後述の如く第一投光隙間63aに介装される第一投光シム64を通して、投光突起15bが突入している。これにより投光突起15bは、第一基準方向Yの両側及び第二基準方向Xの先端側において、投光逃がし孔62bとの間に空間63bを空けている。
【0057】
投光ホルダ61は、投光交差方向PDと第三基準方向Zとに沿って広がる平面状の第二投光ホルダ面62cを、下面に有している。特に本実施形態の第二投光ホルダ面62cは、第二基準方向Xにおいて投光レンズ系26から離間するほど、第一基準方向Yのうち重力方向へと傾斜することで、斜め下方を向いている。これにより第二投光ホルダ面62cと第二投光ベース面15cとは、投光交差方向PD及び第三基準方向Zに沿って広がる第二投光隙間63cを第一基準方向Yに空けて、互いに対向している。ここで、第二投光ホルダ面62cの傾斜状態を決める投光交差方向PDは、第二投光ベース面15cの傾斜状態を決める投光交差方向PDと実質同一方向に、設定される。
【0058】
投光ホルダ61は、第二投光ホルダ面62cから第一基準方向Yの反対側上面62eまで貫通する円筒孔状に、投光遊挿孔62dを有している。特に本実施形態において投光遊挿孔62dの各開口は、第一基準方向Yにおいて重力方向とその反対の上方向とをそれぞれ向いている。また本実施形態において投光遊挿孔62dの内径は、投光螺子68の外径よりも大径に、設定されている。
【0059】
投光ホルダ61において第二投光ホルダ面62cと第一投光ホルダ面62aとは、鋭角を形成するように互いに連続している。そこで投光ホルダ61は、第二投光ホルダ面62cから第一投光ホルダ面62aに跨る板状の投光リブ62fにより、剛性を高められて補強されている。尚、投光リブ62fは、設けられていなくてもよい。
【0060】
第一投光シム64は、例えば金属又は樹脂等により、全体として平板状に形成されている。第一投光シム64は、一枚のシム材により、又は複数枚のシム材の組み合わせにより、交換可能に構成される。第一投光シム64は、全体としての板厚方向を第二基準方向Xに実質合わせた状態で、第一投光ベース面15a及び第一投光ホルダ面62a間の第一投光隙間63aに介装されている。これにより第一投光シム64においては、一方の板面65aが第一投光ベース面15aに面接触し、且つ他方の板面65bが第一投光ホルダ面62aに面接触している。
【0061】
第一投光シム64は、第一投光隙間63a内において投光突起15bが嵌合状態に通される第一投光通し孔65cを、有している。特に本実施形態の第一投光通し孔65cは、
図7の如く第二基準方向Xにのみ開口する円筒孔状に、形成されてもよい。あるいは第一投光通し孔65cは、
図8,9の如く第二基準方向Xに加えて、第三基準方向Z又は第一基準方向Yにも開口する長孔状に、形成されてもよい。
【0062】
図4,5に示すように第二投光シム66は、例えば金属又は樹脂等により、全体として平板状に形成されている。第二投光シム66は、一枚のシム材により、又は複数枚のシム材の組み合わせにより、交換可能に構成される。第二投光シム66は、全体としての板厚方向を投光交差方向PDの直交方向に実質合わせた状態で、第二投光ベース面15c及び第二投光ホルダ面62c間の第二投光隙間63cに介装されている。これにより第二投光シム66においては、一方の板面67aが第二投光ベース面15cに面接触し、且つ他方の板面67bが第二投光ホルダ面62cに面接触している。
【0063】
第二投光シム66は、第二投光隙間63c内において投光螺子68が嵌合状態に通される第二投光通し孔67cを、有している。特に本実施形態の第二投光通し孔67cは、
図10の如く投光交差方向PDの直交方向にのみ開口する円筒孔状に、形成されてもよい。あるいは第二投光通し孔67cは、
図11,12の如く投光交差方向PDの直交方向に加えて、第三基準方向Z又は投光交差方向PDにも開口する長孔状に、形成されてもよい。
【0064】
図4,5に示すように投光螺子68は、例えば金属等により雄螺子状に形成されている。投光螺子68は、ベース11に対して投光ホルダ61を、第一基準方向Yに沿った螺子止めによって固定している。そのために投光螺子68は、投光ホルダ61において第二投光ホルダ面62cとは第一基準方向Yの反対側上面62eに頭部69aの接触した状態で、投光遊挿孔62d内に周方向空間69bを空けて遊挿されている。それと共に投光螺子68は、第二投光隙間63c内における第二投光シム66の第二投光通し孔67cを通して、投光基準部14の投光螺子孔15dに螺着されている。
【0065】
特に本実施形態の投光螺子68において、投光ホルダ61と接触状態の頭部69a側からベース11との螺着側へ向かう第一基準方向Yは、鉛直方向のうち重力方向と実質一致している。このような投光螺子68での螺子止めにより投光ユニット21専用の位置決め構造では、投光レンズ系26を保持する投光ホルダ61が、投光器22を保持するベース11に対して、各基準方向X,Y,Zに位置決めされている。
【0066】
ここで、ベース11に対する投光ホルダ61の第一基準方向Yにおける相対位置は、第二投光シム66の板厚方向でのサイズに応じた、第一基準方向Yでのサイズにより決められている。また、ベース11に対する投光ホルダ61の第二基準方向Xにおける相対位置は、第二基準方向Xと実質一致する板厚方向での、第一投光シム64のサイズにより決められている。こうした位置決めにより投光レンズ系26と投光器22とは、第一基準方向Y及び第二基準方向Xと直交した投光光軸POA上に位置合わせされている。
【0067】
図4,6に示すように光検出装置10は、受光ユニット41専用の位置決め構造として、受光ホルダ71、第一受光シム74、第二受光シム76、及び受光螺子78を備えている。受光ホルダ71は、例えば金属又は樹脂等によりブロック状に形成されている。受光ホルダ71は、受光レンズ系42において受光レンズ43aが内部に固定された鏡筒43bを、位置決め状態に保持している。
【0068】
受光ホルダ71は、第一基準方向Yと第三基準方向Zとに沿って広がる平面状の第一受光ホルダ面72aを、側面に有している。特に本実施形態の第一受光ホルダ面72aは、第二基準方向Xにおいて受光レンズ系42とは反対側となる、第一受光ベース面17a側を向いている。また本実施形態の第一受光ホルダ面72aは、後述の第二受光ホルダ面72cを介して段差をなす二側面のうち、受光レンズ系42から遠い側の側面に設けられている。これらにより第一受光ホルダ面72aと第一受光ベース面17aとは、第一基準方向Y及び第三基準方向Zに沿って広がる第一受光隙間73aを第二基準方向Xに空けて、互いに対向している。
【0069】
受光ホルダ71は、第一受光ホルダ面72aに開口する矩形溝状の受光逃がし孔72bを、有している。特に本実施形態の受光逃がし孔72bの開口は、第二基準方向Xにおいて第一受光隙間73a側を向いている。このような受光逃がし孔72b内には、後述の如く第一受光隙間73aに介装される第二受光シム76を通して、受光突起17bが突入している。これにより受光突起17bは、第一基準方向Yの両側及び第二基準方向Xの先端側において、受光逃がし孔72bとの間に空間73bを空けている。
【0070】
受光ホルダ71は、受光交差方向RDと第三基準方向Zとに沿って広がる平面状の第二受光ホルダ面72cを、下面に有している。特に本実施形態の第二受光ホルダ面72cは、第二基準方向Xにおいて受光レンズ系42から離間するほど、第一基準方向Yのうち重力方向へと傾斜することで、斜め下方を向いている。これにより第二受光ホルダ面72cと第二受光ベース面17cとは、受光交差方向RD及び第三基準方向Zに沿って広がる第二受光隙間73cを第一基準方向Yに空けて、互いに対向している。ここで、第二受光ホルダ面72cの傾斜状態を決める受光交差方向RDは、第二受光ベース面17cの傾斜状態を決める受光交差方向RDと実質同一方向に、設定される。
【0071】
受光ホルダ71は、第二受光ホルダ面72cから第一基準方向Yの反対側上面72eまで貫通する円筒孔状に、受光遊挿孔72dを有している。特に本実施形態において受光遊挿孔72dの各開口は、第一基準方向Yにおいて重力方向とその反対の上方向とをそれぞれ向いている。また本実施形態において受光遊挿孔72dの内径は、受光螺子78の外径よりも大径に、設定されている。
【0072】
受光ホルダ71は、第一基準方向Yと第三基準方向Zとに沿って広がる平面状の第三受光ホルダ面72gを、側面に有している。特に本実施形態の第三受光ホルダ面72gは、第二基準方向Xにおいて受光レンズ系42とは反対側となる、第三受光ベース面17e側を向いている。また本実施形態の第三受光ホルダ面72gは、第二受光ホルダ面72cを介して段差をなす二側面のうち、受光レンズ系42から近い側の側面に設けられている。
【0073】
受光ホルダ71において第三受光ホルダ面72gと第二受光ホルダ面72cとは、鋭角を形成するように互いに連続している。そこで受光ホルダ71は、第二受光ホルダ面72cから第三受光ホルダ面72gに跨る板状の受光リブ72fにより、剛性を高められて補強されている。尚、受光リブ72fは、設けられていなくてもよい。
【0074】
第一受光シム74は、例えば金属又は樹脂等により、全体として平板状に形成されている。第一受光シム74は、一枚のシム材により、又は複数枚のシム材の組み合わせにより、交換可能に構成される。第一受光シム74は、全体としての板厚方向を第二基準方向Xに実質合わせた状態で、第一受光ベース面17a及び第一受光ホルダ面72a間の第一受光隙間73aに介装されている。これにより第一受光シム74においては、一方の板面75aが第一受光ベース面17aに面接触し、且つ他方の板面75bが第一受光ホルダ面72aに面接触している。
【0075】
第一受光シム74は、第一受光隙間73a内において受光突起17bが嵌合状態に通される第一受光通し孔75cを、有している。特に本実施形態の第一受光通し孔75cは、第一投光シム64の第一投光通し孔65cに準じて第二基準方向Xにのみ開口する円筒孔状に、形成されてもよい。あるいは第一受光通し孔75cは、第一投光通し孔65cに準じて第二基準方向Xに加えて、第三基準方向Z又は第一基準方向Yにも開口する長孔状に、形成されてもよい。
【0076】
ここで、第三受光ホルダ面72gと第三受光ベース面17eとは、第一基準方向Y及び第三基準方向Zに沿って広がる第三受光隙間73dを第二基準方向Xに空けて、互いに対向している。そこで第一受光シム74は、第一受光隙間73aに介装される代わりに、第三受光隙間73dに介装されてもよい。即ち第三受光隙間73dが、第一受光シム74の介装される第一受光隙間として、機能してもよい。この場合、受光逃がし孔72bは第三受光ホルダ面72gに開口し、受光突起17bは第三受光ベース面17eから突出しているとよい。
【0077】
第二受光シム76は、例えば金属又は樹脂等により、全体として平板状に形成されている。第二受光シム76は、一枚のシム材により、又は複数枚のシム材の組み合わせにより、交換可能に構成される。第二受光シム76は、全体としての板厚方向を受光交差方向RDの直交方向に実質合わせた状態で、第二受光ベース面17c及び第二受光ホルダ面72c間の第二受光隙間73cに介装されている。これにより第二受光シム76においては、一方の板面77aが第二受光ベース面17cに面接触し、且つ他方の板面77bが第二受光ホルダ面72cに面接触している。
【0078】
第二受光シム76は、第二受光隙間73c内において受光螺子78が嵌合状態に通される第二受光通し孔77cを、有している。特に本実施形態の第二受光通し孔77cは、第二投光シム66の第二投光通し孔67cに準じて受光交差方向RDの直交方向にのみ開口する円筒孔状に、形成されてもよい。あるいは第二受光通し孔77cは、第二投光通し孔67cに準じて受光交差方向RDの直交方向に加えて、第三基準方向Z又は受光交差方向RDにも開口する長孔状に、形成されてもよい。
【0079】
受光螺子78は、例えば金属等により雄螺子状に形成されている。受光螺子78は、ベース11に対して受光ホルダ71を、第一基準方向Yに沿った螺子止めによって固定している。そのために受光螺子78は、受光ホルダ71において第二受光ホルダ面72cとは第一基準方向Yの反対側上面72eに頭部79aの接触した状態で、受光遊挿孔72d内に周方向空間79bを空けて遊挿されている。それと共に受光螺子78は、第二受光隙間73c内における第二受光シム76の第二受光通し孔77cを通して、受光基準部16の受光螺子孔17dに螺着されている。
【0080】
特に本実施形態の受光螺子78において、受光ホルダ71と接触状態の頭部79a側からベース11との螺着側へ向かう第一基準方向Yは、鉛直方向のうち重力方向と実質一致している。このような受光螺子78での螺子止めにより受光ユニット41専用の位置決め構造では、受光レンズ系42を保持する受光ホルダ71が、受光器45を保持するベース11に対して、各基準方向X,Y,Zに位置決めされている。
【0081】
ここで、ベース11に対する受光ホルダ71の第一基準方向Yにおける相対位置は、第二受光シム76の板厚方向でのサイズに応じた、第一基準方向Yでのサイズにより決められている。また、ベース11に対する受光ホルダ71の第二基準方向Xにおける相対位置は、第二基準方向Xと実質一致する板厚方向での、第一受光シム74のサイズにより決められている。こうした位置決めにより受光レンズ系42と受光器45とは、第一基準方向Y及び第二基準方向Xと直交した受光光軸ROA上に位置合わせされている。
【0082】
次に、以上説明した光検出装置10を製造する製造方法を、
図13に示すフローチャートに従って説明する。本製造方法のフローは、後述する調整システム100によって自動的に進行する。尚、本製造方法のフローにおける各「S」は、光検出装置10を製造するための複数ステップを示している。
【0083】
製造方法のS101は、走査ユニット31と共に投光器22及び受光器45を、ベース11に保持させる。それと共にS101は、投光ホルダ61及び受光ホルダ71にそれぞれ、投光レンズ系26及び受光レンズ系42を保持させる。
【0084】
製造方法のS102は、ベース11に対する投光ホルダ61の相対位置を仮止めして、投光光軸POAに対する投光ビームPBの第一基準方向Yでの投光シフト量ΔPSyと第二基準方向Xでの投光シフト量ΔPSxとを、
図14~16の如く取得する。
【0085】
具体的にS102は、
図14に示すようにベース11を調整システム100にセットする。このとき、位置決め基準面3に対応して調整システム100の備える調整基準面103に、共通基準面13が面接触させられることで、ベース11が位置決めされる。
【0086】
続いてS102は、初期サイズの設定された第一投光シム64及び第二投光シム66をそれぞれ、第一投光隙間63a及び第二投光隙間63cに介装して、投光螺子68により仮止めする。このとき、調整システム100において位置決め状態にセットされたベース11に対して、投光ホルダ61が仮止めされる。
【0087】
さらにS102は、
図14~16に示すように調整システム100の備えるスクリーン105上に、光学窓12を通して投光ビームPBを投光する。このときスクリーン105は、車両の外界のうち検出領域DAに対応するように、調整基準面103から所定距離を空けた調整位置に設置されている。またこのとき走査ミラー32は、調整用に設定された所定の回転角度に停止させられる。そこで、以下の説明及び
図14~16では、光検出装置10の各基準方向X,Y,Zに対し、走査ミラー32よりも外界側及びスクリーン105を含む外界において走査ミラー32の回転角度に応じて対応することになる各方向も便宜上、基準方向X,Y,Zと擬制して説明する。
【0088】
投光ビームPBの投光中にS102は、ベース11に保持された投光器22の設計理論上での投光光軸POAを想定することで、
図14~16に示すようにスクリーン105上で当該投光光軸POAからの投光ビームPBの投光シフト量ΔPSy,ΔPSxを取得する。このときスクリーン105上では、投光ビームPBの狙い位置となる投光光軸POAの設計理論上での交点PIPと、実際に投光された投光ビームPBの中心点PCPとの差が、各基準方向Y,Xの投光シフト量ΔPSy,ΔPSxとして取得される。またこのとき投光ビームPBの中心点PCPとしては、例えばスクリーン105上におけるビームスポットの幾何学中心点、又はスクリーン105上におけるピーク強度点等が、赤外線カメラでの撮影によって抽出可能である。
【0089】
尚、S102では投光シフト量ΔPSy,ΔPSxの取得に先立って、投光ビームPBの投影像がスクリーン105上において確認され得るように、投光ホルダ61による投光レンズ系26の保持位置が第三基準方向Zに微調整されてもよい。このときの微調整は、例えば投光ホルダ61の保持孔に対して、嵌合する投光レンズ系26の鏡筒27bを摺動させること等により、実現可能である。
【0090】
図13に示すように製造方法のS103は、投光シフト量ΔPSy,ΔPSxに合わせたサイズの第一投光シム64及び第二投光シム66をそれぞれ第一投光隙間63a及び第二投光隙間63cに介装して、投光螺子68による螺子止めを実行する。
【0091】
具体的にS103は、ベース11に対する投光ホルダ61の各基準方向Y,Xでの位置調整量として、
図14,15に示すように投光器22の設計理論上での投光光軸POAから投光レンズ系26のレンズ光軸が偏位している投光偏位量ΔPAy,ΔPAxを、取得する。このとき投光偏位量ΔPAy,ΔPAxは、投光レンズ系26の焦点距離と、投光器22及びスクリーン105間の投光距離とに基づくことで、それぞれS102により取得の投光シフト量ΔPSy,ΔPSxから変換される。またこのとき焦点距離としては、投光レンズ系26を構成する一つの投光レンズ27a単独の焦点距離、又は投光レンズ系26を構成する複数投光レンズ27aの合成焦点距離が、用いられる。
【0092】
続いてS103は、S102において第二投光隙間63cに介装された初期サイズの第二投光シム66を、第一基準方向Yにおいて投光偏位量ΔPAy分、当該初期サイズから増減させたサイズの第二投光シム66へと交換する。このとき例えば
図14,16の如く、投光シフト量ΔPSyに合わせて投光レンズ系26の投光偏位量ΔPAyが第一基準方向Yのうち重力方向に生じている場合には、初期サイズよりも第一基準方向Yにサイズ増大させた第二投光シム66が、第二投光隙間63cに介装される。
【0093】
それと共にS103は、S102において第一投光隙間63aに介装された初期サイズの第一投光シム64を、第二基準方向Xにおいて投光偏位量ΔPAx分、当該初期サイズから増減させたサイズの第一投光シム64へと交換する。このとき例えば
図15,16の如く、投光シフト量ΔPSxに合わせて投光レンズ系26の投光偏位量ΔPAxが第二基準方向Xのうち投光基準部14への接近方向に生じている場合には、初期サイズよりも第二基準方向Xにサイズ増大させた第一投光シム64が、第一投光隙間63aに介装される。
【0094】
このようなS103において、初期サイズの第一投光シム64及び第二投光シム66から交換となる場合の投光偏位量ΔPAy,ΔPAxは、ベース11に対する投光ホルダ61の相対位置を補正する、位置補正量であるともいえる。但し、投光偏位量ΔPAy,ΔPAxのうち少なくとも一方が誤差範囲において零値と擬制可能となる場合には、第一投光シム64及び第二投光シム66のうち当該少なくとも一方に対応するシムの交換は、不要となる。
【0095】
以上の後にS103は、投光螺子68によって投光ホルダ61をベース11に螺子止めすることで、投光器22に対して投光レンズ系26を投光光軸POA上に位置決めする。このとき、第一基準方向Yに沿った螺子止めによる投光螺子68の軸力は、第二基準方向Xにも分散して作用する。そこでS103は、投光螺子68の軸力を生む螺子止め時の締付けトルクを一箇所において制御することで、二箇所の投光シム64,66に作用する荷重を同時的に管理する。
【0096】
こうして投光ユニット21側の位置調整が完了すると、次は
図13に示すように受光ユニット41側の位置調整が実行される。具体的に製造方法のS104は、ベース11に対する受光ホルダ71の相対位置を仮止めして、投光光軸POAに対する反射ビームRBの第一基準方向Yでの受光シフト量ΔRSyと第二基準方向Xでの受光シフト量ΔRSxとを、
図17~19の如く取得する。
【0097】
具体的にS104は、初期サイズの設定された第一受光シム74及び第二受光シム76をそれぞれ、第一受光隙間73a及び第二受光隙間73cに介装して、受光螺子78により仮止めする。このとき、調整システム100において先のS102により位置決め状態にセットされたベース11に対して、受光ホルダ71が仮止めされる。
【0098】
続いてS104は、
図17,18に示すように調整システム100の備えるスクリーン105上に、投光ビームPBを先の調整後の投光光軸POAに沿って投光することで、当該スクリーン105からの反射ビームRBを受光器45により受光する。このときにもスクリーン105は、車両の外界のうち検出領域DAに対応するように、調整基準面103から所定距離を空けた調整位置に設置されている。またこのときにも走査ミラー32は、調整用に設定された所定の回転角度に停止させられる。そこで、以下の説明及び
図17,18でも、光検出装置10の各基準方向X,Y,Zに対し、走査ミラー32よりも外界側及びスクリーン105を含む外界において走査ミラー32の回転角度に応じて対応することになる各方向も便宜上、基準方向X,Y,Zと擬制して説明する。
【0099】
投光ビームPBの投光中にS104は、ベース11に保持された受光器45の設計理論上での受光光軸ROAを想定することで、
図17~19に示すように受光面47上で当該受光光軸ROAからの反射ビームRBの受光シフト量ΔRSy,ΔRSxを取得する。このとき受光面47上では、反射ビームRBの狙い位置となる受光光軸ROAの設計理論上での交点RIPと、実際に受光された反射ビームRBの中心点RCPとの差が、各基準方向Y,Xの受光シフト量ΔRSy,ΔRSxとして取得される。またこのとき反射ビームRBの中心点RCPとしては、例えば受光面47上におけるビームスポットの幾何学中心点、又は受光面47上におけるピーク強度点等が、出力回路48からの検出信号に基づき抽出可能である。
【0100】
尚、S104では受光シフト量ΔRSy,ΔRSxの取得に先立って、反射ビームRBが受光面47上に結像され得るように、受光ホルダ71による受光レンズ系42の保持位置が第三基準方向Zに微調整されてもよい。このときの微調整は、例えば受光ホルダ71の保持孔に対して、嵌合する受光レンズ系42の鏡筒43bを摺動させること等により、実現可能である。
【0101】
図13に示すように製造方法のS105は、受光シフト量ΔRSy,ΔRSxに合わせたサイズの第一受光シム74及び第二受光シム76をそれぞれ第一受光隙間73a及び第二受光隙間73cに介装して、受光螺子78による螺子止めを実行する。
【0102】
具体的にS105は、ベース11に対する受光ホルダ71の各基準方向Y,Xでの位置調整量として、
図17,18に示すように受光器45の設計理論上での受光光軸ROAから受光レンズ系42のレンズ光軸が偏位している受光偏位量ΔRAy,ΔRAxを、取得する。このとき受光偏位量ΔRAy,ΔRAxは、受光レンズ系42の焦点距離と、受光器45及びスクリーン105間の受光距離とに基づくことで、それぞれS104により取得の受光シフト量ΔRSy,ΔRSxから変換される。またこのとき焦点距離としては、受光レンズ系42を構成する一つの受光レンズ43a単独の焦点距離、又は受光レンズ系42を構成する複数受光レンズ43aの合成焦点距離が、用いられる。
【0103】
続いてS105は、S104において第二受光隙間73cに介装された初期サイズの第二受光シム76を、第一基準方向Yにおいて受光偏位量ΔRAy分、当該初期サイズから増減させたサイズの第二受光シム76へと交換する。このとき例えば
図17,19の如く、受光シフト量ΔRSyに合わせて受光レンズ系42の受光偏位量ΔRAyが第一基準方向Yのうち重力方向とは反対方向に生じている場合には、初期サイズよりも第一基準方向Yにサイズ減少させた第二受光シム76が、第二受光隙間73cに介装される。
【0104】
それと共にS105は、S104において第一受光隙間73aに介装された初期サイズの第一受光シム74を、第二基準方向Xにおいて受光偏位量ΔRAx分、当該初期サイズから増減させたサイズの第一受光シム74へと交換する。このとき例えば
図18,20の如く、受光シフト量ΔRSxに合わせて受光レンズ系42の受光偏位量ΔRAxが第二基準方向Xのうち受光基準部16からの離間方向に生じている場合には、初期サイズよりも第二基準方向Xにサイズ減少させた第一受光シム74が、第一受光隙間73aに介装される。
【0105】
このようなS105において、初期サイズの第一受光シム74及び第二受光シム76から交換となる場合の受光偏位量ΔRAy,ΔRAxは、ベース11に対する受光ホルダ71の相対位置を補正する、位置補正量であるともいえる。但し、受光偏位量ΔRAy,ΔRAxのうち少なくとも一方が誤差範囲において零値と擬制可能となる場合には、第一受光シム74及び第二受光シム76のうち当該少なくとも一方に対応するシムの交換は、不要となる。
【0106】
以上の後にS105は、受光螺子78によって受光ホルダ71をベース11に螺子止めすることで、受光器45に対して受光レンズ系42を受光光軸ROA上に位置決めする。このとき、第一基準方向Yに沿った螺子止めによる受光螺子78の軸力は、第二基準方向Xにも分散して作用する。そこでS105は、受光螺子78の軸力を生む螺子止め時の締付けトルクを一箇所において制御することで、二箇所の受光シム74,76に作用する荷重を同時的に管理する。ここまで説明の製造方法によって完成した光検出装置10は、
図1に示す位置決め基準面3への共通基準面13の面接触状態下、車両において使用可能となる。
【0107】
(作用効果)
本実施形態の作用効果を、以下に説明する。
【0108】
本実施形態によると、互いに直交した第一基準方向Y及び第二基準方向Xを規定するベース11と、配置対象としての車両に対する位置決めの可能なベース11に対してそれら基準方向Y,Xに位置決めされる投光ホルダ61とにより、それぞれ投光器22及び投光レンズ系26が保持される。そこでベース11及び投光ホルダ61間においては、第一基準方向Yに沿って広がる第一投光隙間63aに第一投光シム64が介装されると共に、第一基準方向Y及び第二基準方向Xとは交差した投光交差方向PDに沿って広がる第二投光隙間63cに第二投光シム66が介装される。
【0109】
これによれば、第一投光隙間63a及び第二投光隙間63cに対してそれぞれ交換可能な第一投光シム64及び第二投光シム66のサイズ調整に合わせて、ベース11及び投光ホルダ61の相対位置を第一基準方向Y及び第二基準方向Xに調整することで、それら基準方向Y,Xとは直交した投光光軸POA上に投光器22及び投光レンズ系26を位置合わせすることができる。さらには、投光交差方向PDに沿って広がることになる第二投光シム66の介装界面においては、第一基準方向Yに沿った螺子止めによる投光螺子68の軸力作用が第二基準方向Xにも分散されることで、ベース11に対して投光ホルダ61を位置決めしたまま固定することができる。故に所期の光学特性として、投光ビームPBの投光特性を確保することが可能となる。
【0110】
本実施形態によると、投光器22を保持するベース11に対して、投光レンズ系26を保持する投光ホルダ61の相対位置を調整するように、第一投光シム64及び第二投光シム66のサイズ調整を実現することができる。これによれば、電子機器となる投光器22の位置調整に起因した故障を回避して、投光ビームPBの投光特性を確保することが可能となる。
【0111】
本実施形態によると、投光ホルダ61において第一投光隙間63a側に開口する投光逃がし孔62bにはベース11の投光突起15bが、当該投光逃がし孔62bとの間に第一基準方向Yの空間63bを空けるように、第一投光シム64を通して突入する。これによれば、サイズ調整された第一投光シム64を投光突起15bにより正規の姿勢に係止しつつ、ベース11に対して投光ホルダ61を空間63bの範囲で第二基準方向Xに位置調整することができる。故に、第一投光シム64の姿勢ずれによるベース11及び投光ホルダ61間の位置ずれを抑制して、投光ビームPBの投光特性を確保することが可能となる。
【0112】
本実施形態による投光螺子68は、投光ホルダ61に対しては頭部69aの接触状態に遊挿され、ベース11に対しては第二投光シム66を通して螺着される。これによれば、サイズ調整された第二投光シム66を投光螺子68により正規の姿勢に係止しつつ、ベース11に対して投光ホルダ61を第一基準方向Yに位置調整することができる。故に、第二投光シム66の姿勢ずれによるベース11及び投光ホルダ61間の位置ずれを抑制して、投光ビームPBの投光特性を確保することが可能となる。
【0113】
本実施形態によると、投光螺子68において投光ホルダ61と接触状態の頭部69a側からベース11との螺着側へ向かう第一基準方向Yは、水平面上の車両における重力方向に規定される。これによれば、螺子止めによる投光螺子68の軸力作用だけでなく、投光ホルダ61への重力作用も第二基準方向Xに分散されることで、投光螺子68が万が一緩んだとしても、ベース11に対する投光ホルダ61の位置決め状態を維持することができる。故に、投光ビームPBの投光特性が経年変化することを、抑制することが可能となる。
【0114】
本実施形態による投光ユニット21は、第一基準方向Yに長手且つ第二基準方向Xに短手となるラインビーム状の投光ビームPBを、生成する。これにより投光ビームPBに要求される位置精度は、第一基準方向Yよりも第二基準方向Xにおいて厳しくなる場合も想定され得る。この想定に対しては、第二基準方向Xと実質一致することになる第一投光シム64の板厚方向においては、サイズ調整が容易となるので、投光器22及び投光レンズ系26の位置合わせを高精度に行うことができる。故に、投光ビームPBの投光特性を高めることが可能となる。
【0115】
本実施形態によると、ベース11に対する投光ホルダ61の相対位置が仮止めされ、投光光軸POAに対する投光ビームPBの投光シフト量ΔPSy,ΔPSxがそれぞれ第一基準方向Y及び第二基準方向Xにおいて取得される。そこで、投光シフト量ΔPSy,ΔPSxに合わせたサイズの第一投光シム64及び第二投光シム66がそれぞれ第一投光隙間63a及び第二投光隙間63cに介装され、投光螺子68により投光ホルダ61がベース11に対して螺子止めされることになる。
【0116】
これによれば、第一投光隙間63a及び第二投光隙間63cにそれぞれ介装する第一投光シム64及び第二投光シム66のサイズ調整を、投光器22及び投光レンズ系26の位置合わせに最適化すると同時的に、ベース11に対する投光ホルダ61の位置調整を完了することができる。さらには、第一基準方向Yに沿った螺子止めによる投光螺子68の軸力が第二基準方向Xにも分散されることで、ベース11に対して投光ホルダ61を位置決めしたまま固定することができる。故に所期の光学特性として、投光ビームPBの投光特性を確保することが可能となる。
【0117】
本実施形態によると、車両の外界と対応する位置のスクリーン105上において、投光光軸POAからの投光ビームPBの投光シフト量ΔPSy,ΔPSxが取得される。これによれば、スクリーン105上における投光シフト量ΔPSy,ΔPSxを正確に実測して、投光器22及び投光レンズ系26の位置合わせを最適化するための第一投光シム64及び第二投光シム66のサイズ調整に、当該正確な投光シフト量ΔPSy,ΔPSxを反映させることができる。故に、光検出装置10の製造過程をスクリーン105の有効活用により可及的に簡素化しつつも、投光ビームPBの投光特性を確保することが可能となる。
【0118】
本実施形態によると、互いに直交した第一基準方向Y及び第二基準方向Xを規定するベース11と、配置対象としての車両に対する位置決めの可能なベース11に対してそれら基準方向Y,Xに位置決めされる受光ホルダ71とにより、それぞれ受光器45及び受光レンズ系42が保持される。そこでベース11及び受光ホルダ71間においては、第一基準方向Yに沿って広がる第一受光隙間73aに第一受光シム74が介装されると共に、第一基準方向Y及び第二基準方向Xとは交差した受光交差方向RDに沿って広がる第二受光隙間73cに第二受光シム76が介装される。
【0119】
これによれば、第一受光隙間73a及び第二受光隙間73cに対してそれぞれ交換可能な第一受光シム74及び第二受光シム76のサイズ調整に合わせて、ベース11及び受光ホルダ71の相対位置を第一基準方向Y及び第二基準方向Xに調整することで、それら基準方向Y,Xとは直交した受光光軸ROA上に受光器45及び受光レンズ系42を位置合わせすることができる。さらには、受光交差方向RDに沿って広がることになる第二受光シム76の介装界面においては、第一基準方向Yに沿った螺子止めによる受光螺子78の軸力作用が第二基準方向Xにも分散されることで、ベース11に対して受光ホルダ71を位置決めしたまま固定することができる。故に所期の光学特性として、反射ビームRBの受光特性を確保することが可能となる。
【0120】
本実施形態によると、受光器45を保持するベース11に対して、受光レンズ系42を保持する受光ホルダ71の相対位置を調整するように、第一受光シム74及び第二受光シム76のサイズ調整を実現することができる。これによれば、電子機器となる受光器45の位置調整に起因した故障を回避して、反射ビームRBの受光特性を確保することが可能となる。
【0121】
本実施形態によると、受光ホルダ71において第一受光隙間73a側に開口する受光逃がし孔72bにはベース11の受光突起17bが、当該受光逃がし孔72bとの間に第一基準方向Yの空間73bを空けるように、第一受光シム74を通して突入する。これによれば、サイズ調整された第一受光シム74を受光突起17bにより正規の姿勢に係止しつつ、ベース11に対して受光ホルダ71を空間73bの範囲で第二基準方向Xに位置調整することができる。故に、第一受光シム74の姿勢ずれによるベース11及び受光ホルダ71間の位置ずれを抑制して、反射ビームRBの受光特性を確保することが可能となる。
【0122】
本実施形態による受光螺子78は、受光ホルダ71に対しては頭部79aの接触状態に遊挿され、ベース11に対しては第二受光シム76を通して螺着される。これによれば、サイズ調整された第二受光シム76を受光螺子78により正規の姿勢に係止しつつ、ベース11に対して受光ホルダ71を第一基準方向Yに位置調整することができる。故に、第二受光シム76の姿勢ずれによるベース11及び受光ホルダ71間の位置ずれを抑制して、反射ビームRBの受光特性を確保することが可能となる。
【0123】
本実施形態によると、受光螺子78において受光ホルダ71と接触状態の頭部79a側からベース11との螺着側へ向かう第一基準方向Yは、水平面上の車両における重力方向に規定される。これによれば、螺子止めによる受光螺子78の軸力作用だけでなく、受光ホルダ71への重力作用も第二基準方向Xに分散されることで、受光螺子78が万が一緩んだとしても、ベース11に対する受光ホルダ71の位置決め状態を維持することができる。故に、反射ビームRBの受光特性が経年変化することを、抑制することが可能となる。
【0124】
本実施形態による受光ユニット41は、第一基準方向Yに長手且つ第二基準方向Xに短手となるラインビーム状の反射ビームRBを、受光する。これにより反射ビームRBに要求される位置精度は、第一基準方向Yよりも第二基準方向Xにおいて厳しくなる。ここで、第二基準方向Xと実質一致することになる、第一受光シム74の板厚方向においてはサイズ調整が容易となるので、受光器45及び受光レンズ系42の位置合わせを高精度に行うことができる。故に、反射ビームRBの受光特性を高めることが可能となる。
【0125】
本実施形態によると、ベース11に対する受光ホルダ71の相対位置が仮止めされ、受光光軸ROAに対する反射ビームRBの受光シフト量ΔRSy,ΔRSxがそれぞれ第一基準方向Y及び第二基準方向Xにおいて取得される。そこで、受光シフト量ΔRSy,ΔRSxに合わせたサイズの第一受光シム74及び第二受光シム76がそれぞれ第一受光隙間73a及び第二受光隙間73cに介装され、受光螺子78により受光ホルダ71がベース11に対して螺子止めされることになる。
【0126】
これによれば、第一受光隙間73a及び第二受光隙間73cにそれぞれ介装する第一受光シム74及び第二受光シム76のサイズ調整を、受光器45及び受光レンズ系42の位置合わせに最適化すると同時的に、ベース11に対する受光ホルダ71の位置調整を完了することができる。さらには、第一基準方向Yに沿った螺子止めによる受光螺子78の軸力が第二基準方向Xにも分散されることで、ベース11に対して受光ホルダ71を位置決めしたまま固定することができる。故に所期の光学特性として、反射ビームRBの受光特性を確保することが可能となる。
【0127】
本実施形態によると、反射ビームRBを受光するために受光器45に設けられた受光面47上において、受光光軸ROAからの反射ビームRBの受光シフト量ΔRSy,ΔRSxが取得される。これによれば、受光面47上における受光シフト量ΔRSy,ΔRSxを正確に実測して、受光器45及び受光レンズ系42の位置合わせを最適化するための第一受光シム74及び第二受光シム76のサイズ調整に、当該正確な受光シフト量ΔRSy,ΔRSxを反映させることができる。故に、光検出装置10の製造過程を受光器45の有効活用により可及的に簡素化しつつも、反射ビームRBの受光特性を確保することが可能となる。
【0128】
(他の実施形態)
以上、一実施形態について説明したが、本開示は、当該説明の実施形態に限定して解釈されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態に適用することができる。
【0129】
変形例のベース11は、投光ユニット21専用の位置決め構造に関して、水平方向に沿う第一基準方向Yを規定し、逆に鉛直方向に沿う第二基準方向Xを規定してもよい。変形例のベース11は、受光ユニット41専用の位置決め構造に関して、水平方向に沿う第一基準方向Yを規定し、逆に鉛直方向に沿う第二基準方向Xを規定してもよい。
【0130】
変形例において投光交差方向PDは、基準方向Y,Xの双方に対して実質等角度(即ち約45度)を挟むように、設定されていてもよい。変形例において受光交差方向RDは、第一基準方向Y,Xの双方に対して実質等角度(即ち約45度)を挟むように、設定されていてもよい。
【0131】
図20に示すように変形例の投光ユニット21では、ベース11が投光レンズ系26を保持し、投光ホルダ61が投光器22を保持していてもよい。この場合に製造方法のS102,S103では、投光レンズ系26の設計理論上でのレンズ光軸に想定される投光光軸POAに対して、投光ビームPBの投光シフト量ΔPSy,ΔPSx及び投光器22の投光偏位量ΔPAy,ΔPAxが取得されるとよい。
【0132】
図21に示すように変形例の受光ユニット41では、ベース11が受光レンズ系42を保持し、受光ホルダ71が受光器45を保持していてもよい。この場合に製造方法のS104,S105では、受光レンズ系42の設計理論上でのレンズ光軸に想定される受光光軸ROAに対して、反射ビームRBの受光シフト量ΔRSy,ΔRSx及び受光器45の受光偏位量ΔRAy,ΔRAxが取得されるとよい。
【0133】
変形例では、受光ユニット41専用の位置決め構造が採用されず、受光器45及び受光レンズ系42の双方がベース11により保持されていてもよい。この場合の製造方法では、S104,S105の実行が省かれる。
【0134】
変形例では、投光ユニット21専用の位置決め構造が採用されず、投光器22及び投光レンズ系26の双方がベース11により保持されていてもよい。この場合の製造方法では、S102のうちベース11の位置決め以外とS103との実行が省かれる。またこの場合の製造方法として、又は投光ユニット21専用の位置決め構造が採用される場合の変形例の製造方法として、S104の受光シフト量ΔRSy,ΔRSxを取得するに際しては、スクリーン105に代わる専用光源が調整システム100に設定されて、投光ユニット21側とは切り離して受光ユニット41側の位置調整が実行されてもよい。
【0135】
変形例では、投光突起15bが投光ホルダ61に設けられ、逆に投光逃がし孔62bがベース11の投光基準部14に設けられていてもよい。変形例では、投光突起15bが円柱状以外の例えば四角柱状等に形成され、それに応じて第一投光シム64の第一投光通し孔65cが円筒孔状以外の例えば矩形孔状等に形成されていてもよい。変形例では、投光突起15bが複数設けられ、それに応じて投光逃がし孔62b及び第一投光通し孔65cがそれぞれ複数ずつ設けられていてもよい。
【0136】
変形例では、受光突起17bが受光ホルダ71に設けられ、逆に受光逃がし孔72bがベース11の受光基準部16に設けられていてもよい。変形例では、受光突起17bが円柱状以外の例えば四角柱状等に形成され、それに応じて第一受光シム74の第一受光通し孔75cが円筒孔状以外の例えば矩形孔状等に形成されていてもよい。変形例では、受光突起17bが複数設けられ、それに応じて受光逃がし孔72b及び第一受光通し孔75cがそれぞれ複数ずつ設けられていてもよい。
【0137】
変形例では、投光遊挿孔62dを形成するベース11に投光螺子68の頭部69aが接触し、逆に投光螺子孔15dを形成する投光ホルダ61に当該投光螺子68が螺着されていてもよい。変形例の投光螺子68において頭部69a側から螺着側へ向かう第一基準方向Yは、鉛直方向のうち重力方向とは反対方向に実質一致していてもよい。変形例では、投光螺子68が複数設けられ、それに応じて投光遊挿孔62d及び投光螺子孔15dがそれぞれ複数ずつ設けられていてもよい。
【0138】
変形例では、受光遊挿孔72dを形成するベース11に受光螺子78の頭部79aが接触し、逆に受光螺子孔17dを形成する受光ホルダ71に当該受光螺子78が螺着されていてもよい。変形例の受光螺子78において頭部79a側から螺着側へ向かう第一基準方向Yは、鉛直方向のうち重力方向とは反対方向に実質一致していてもよい。変形例では、受光螺子78が複数設けられ、それに応じて受光遊挿孔72d及び受光螺子孔17dがそれぞれ複数ずつ設けられていてもよい。
【0139】
変形例の製造方法においてS102の仮止めに際しては、第一投光シム64及び第二投光シム66のうち少なくとも一方が、第一投光隙間63a及び第二投光隙間63cのうち当該少なくとも一方に対応する隙間に、介装されなくてもよい。変形例の製造方法においてS104の仮止めに際しては、第一受光シム74及び第二受光シム76のうち少なくとも一方が、第一受光隙間73a及び第二受光隙間73cのうち当該少なくとも一方に対応する隙間に、介装されなくてもよい。
【0140】
変形例の走査ユニット31は、説明した水平方向に走査が制限される機械的揺動式の他、例えば鉛直方向に走査が制限される機械的揺動式、又は水平方向及び鉛直方向双方において走査可能な機械的揺動式等を、採用していてもよい。変形例の走査ユニット31は、こうした機械的揺動式以外にも、例えば回転式、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)式、若しくはリサージュ式等のうち、二次元又は三次元の各種走査方式を採用していてもよい。
【0141】
変形例では、スクリーン105に代わる赤外線カメラに投光ビームPBが直接投光されることで、当該赤外線カメラでの撮影結果から投光シフト量ΔPSy,ΔPSxが抽出されてもよい。変形例では、投光ビームPB及びそれに応じた反射ビームRBのビームスポット形状が、例えば第二基準方向Xに長手の形状、各基準方向X,Yに同程度幅の形状、及び円形状等のうちいずれかであってもよい。
【0142】
変形例において光検出装置10の配置対象となる移動体は、例えば走行をリモート制御可能な走行ロボット等であってもよい。変形例において光検出装置10の配置対象は、移動体以外、例えば静止構造物等であってもよい。
【符号の説明】
【0143】
10:光検出装置、11:ベース、15b:投光突起、17b:受光突起、21:投光ユニット、22:投光器、26:投光レンズ系、32:走査ミラー、41:受光ユニット、42:受光レンズ系、45:受光器、47:受光面、61:投光ホルダ、62b:投光逃がし孔、63a:第一投光隙間、63b:空間、63c:第二投光隙間、64:第一投光シム、66:第二投光シム、68:投光螺子、69a:頭部、71:受光ホルダ、72b:受光逃がし孔、73a:第一受光隙間、73b:空間、73c:第二受光隙間、74:第一受光シム、76:第二受光シム、78:受光螺子、79a:頭部、105:スクリー、PB:投光ビーム、PD:投光交差方向、POA:投光光軸、RB:反射ビーム、RD:受光交差方向、ROA:受光光軸、X:第二基準方向、Y:第一基準方向、ΔPSy,ΔPSx:投光シフト量、ΔRSy,ΔRSx:受光シフト量