(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023089818
(43)【公開日】2023-06-28
(54)【発明の名称】シートヒータ、及びヒータユニット
(51)【国際特許分類】
A47C 7/74 20060101AFI20230621BHJP
B60N 2/56 20060101ALI20230621BHJP
【FI】
A47C7/74 B
B60N2/56
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021204559
(22)【出願日】2021-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】若松 祐亮
(72)【発明者】
【氏名】岸田 利久
【テーマコード(参考)】
3B084
3B087
【Fターム(参考)】
3B084JA06
3B084JF02
3B084JF03
3B087DE09
(57)【要約】
【課題】製造に要するコスト及び工数を低減しやすくすること。
【解決手段】シートヒータ100は、本体部1と、ヒータユニット2と、を備える。本体部1は、ベース基材11、及びベース基材11に設けられた導線12を有し、移動体の座席に取り付けられる。ヒータユニット2は、ユニット基材21、ユニット基材21に設けられたヒータ線22、及びヒータ線22を導線12に電気的に接続可能な接続部23を有する。ユニット基材21は、ベース基材11に固定されている。ヒータ線22は、接続部23を介して導線12に電気的に接続されており、かつ、導線12を介して電源から電力を供給される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース基材、及び前記ベース基材に設けられた導線を有し、移動体の座席に取り付けられる本体部と、
ユニット基材、前記ユニット基材に設けられたヒータ線、及び前記ヒータ線を前記導線に電気的に接続可能な接続部を有するヒータユニットと、を備え、
前記ユニット基材は、前記ベース基材に固定されており、
前記ヒータ線は、前記接続部を介して前記導線に電気的に接続されており、かつ、前記導線を介して電源から電力を供給される、
シートヒータ。
【請求項2】
前記ユニット基材は、両面テープにより前記ベース基材に接着して固定されている、
請求項1に記載のシートヒータ。
【請求項3】
前記接続部は、前記ヒータ線と前記導線とを互いに機械的に結合する熱かしめされた金属部材を含む、
請求項1に記載のシートヒータ。
【請求項4】
前記接続部は、前記ヒータ線と前記導線とを互いに機械的に結合するはんだ、カプラ、又はコネクタのうちのいずれかを含む、
請求項1に記載のシートヒータ。
【請求項5】
前記接続部は、前記ベース基材の周縁に配置されている、
請求項1~4のいずれか1項に記載のシートヒータ。
【請求項6】
前記ヒータユニットは、前記本体部に対して着脱可能に構成されている、
請求項1~5のいずれか1項に記載のシートヒータ。
【請求項7】
前記ヒータユニットは、前記ヒータ線の温度を制御する温度制御部を更に備える、
請求項1~6のいずれか1項に記載のシートヒータ。
【請求項8】
前記ヒータユニットを複数備える、
請求項1~7のいずれか1項に記載のシートヒータ。
【請求項9】
前記導線は、複数の前記ヒータユニットの各々の前記ヒータ線が直列に接続されるように設けられている、
請求項8に記載のシートヒータ。
【請求項10】
前記導線は、複数の前記ヒータユニットの各々の前記ヒータ線が前記電源に対して並列に接続されるように設けられている、
請求項8に記載のシートヒータ。
【請求項11】
前記ベース基材には、前記ヒータユニットの前記ヒータ線とは異なる他のヒータ線が設けられている、
請求項1~10のいずれか1項に記載のシートヒータ。
【請求項12】
移動体の座席に取り付けられる本体部のベース基材に固定されるユニット基材と、
前記ユニット基材に設けられたヒータ線と、
前記ベース基材に設けられて電源から電力を供給される導線に前記ヒータ線を電気的に接続可能な接続部と、を備える、
ヒータユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、例えば車両等に装備されている座席等を温めるシートヒータ、及びヒータユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、車両用シートを開示している。この車両用シートは、乗員(ユーザ)の少なくとも臀部及び大腿部を支持するシートクッションと、加熱部と、を備える。加熱部は、面状ヒータにより構成されている。面状ヒータは、電熱線(ヒータ線)を含んで形成され、通電に伴い電熱線に生じるジュール熱を利用して発熱する。また、電熱線は、面状ヒータ内に連続して配設されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示の車両用シートでは、ヒータ線が面状ヒータ内に連続して配設されている、つまりヒータ線が一繋ぎで構成されている。このため、特許文献1に開示の車両用シートでは、車両用シートに着座したユーザが接触しない領域等のヒータ線を配置しなくてもよい領域にもヒータ線を配置しなければならず、製造に要するコスト及び工数が増大しがちである、という課題がある。
【0005】
そこで、本開示は、製造に要するコスト及び工数を低減しやすいシートヒータ等を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係るシートヒータは、本体部と、ヒータユニットと、を備える。前記本体部は、ベース基材、及び前記ベース基材に設けられた導線を有し、移動体の座席に取り付けられる。前記ヒータユニットは、ユニット基材、前記ユニット基材に設けられたヒータ線、及び前記ヒータ線を前記導線に電気的に接続可能な接続部を有する。前記ユニット基材は、前記ベース基材に固定されている。前記ヒータ線は、前記接続部を介して前記導線に電気的に接続されており、かつ、前記導線を介して電源から電力を供給される。
【0007】
本開示の一態様に係るヒータユニットは、ユニット基材と、ヒータ線と、接続部と、を備える。前記ユニット基材は、移動体の座席に取り付けられる本体部のベース基材に固定される。前記ヒータ線は、前記ユニット基材に設けられている。前記接続部は、前記ベース基材に設けられて電源から電力を供給される導線に前記ヒータ線を電気的に接続可能である。
【発明の効果】
【0008】
本開示のシートヒータ等では、製造に要するコスト及び工数を低減しやすい、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施の形態におけるシートヒータの概要を示す図である。
【
図2】
図2は、実施の形態におけるシートヒータを装備した座席の概要を示す図である。
【
図3】
図3は、実施の形態におけるヒータ線と導線との接続部分を示す拡大断面図である。
【
図4】
図4は、比較例のシートヒータの概要を示す図である。
【
図5】
図5は、実施の形態の第1変形例におけるシートヒータの概要を示す図である。
【
図6】
図6は、実施の形態の第2変形例におけるシートヒータの概要を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の一態様に係るシートヒータは、本体部と、ヒータユニットと、を備える。前記本体部は、ベース基材、及び前記ベース基材に設けられた導線を有し、移動体の座席に取り付けられる。前記ヒータユニットは、ユニット基材、前記ユニット基材に設けられたヒータ線、及び前記ヒータ線を前記導線に電気的に接続可能な接続部を有する。前記ユニット基材は、前記ベース基材に固定されている。前記ヒータ線は、前記接続部を介して前記導線に電気的に接続されており、かつ、前記導線を介して電源から電力を供給される。
【0011】
これによれば、座席に着座したユーザが接触しない領域等のヒータ線を配置しなくてもよい領域にヒータ線を配置しなくて済むので、製造に要するコスト及び工数を低減しやすい、という利点がある。
【0012】
本開示の他の態様に係るシートヒータでは、前記ユニット基材は、両面テープにより前記ベース基材に接着して固定されている。
【0013】
これによれば、ユニット基材をベース基材に縫製により固定する場合と比較して、ユニット基材をベース基材に容易に固定することができ、製造に要する工数を低減しやすい、という利点がある。
【0014】
本開示の他の態様に係るシートヒータでは、前記接続部は、前記ヒータ線と前記導線とを互いに機械的に結合する熱かしめされた金属部材を含む。
【0015】
これによれば、ヒータ線を導線に容易に接続しやすい、という利点がある。
【0016】
本開示の他の態様に係るシートヒータでは、前記接続部は、前記ヒータ線と前記導線とを互いに機械的に結合するはんだ、カプラ、又はコネクタのうちのいずれかを含む。
【0017】
これによれば、接続部位における電気抵抗を小さくしやすい、という利点ある。
【0018】
本開示の他の態様に係るシートヒータでは、前記接続部は、前記ベース基材の周縁に配置されている。
【0019】
これによれば、接続部がベース基材の中央部に配置される場合と比較して、座席に着座したユーザの違和感を低減しやすい、という利点がある。
【0020】
本開示の他の態様に係るシートヒータでは、前記ヒータユニットは、前記本体部に対して着脱可能に構成されている。
【0021】
これによれば、例えばヒータユニットが故障等した場合に、故障等したヒータユニットを新品のヒータユニットに交換するだけで済むので、修理に要するコストを低減しやすい、という利点がある。
【0022】
本開示の他の態様に係るシートヒータでは、前記ヒータユニットは、前記ヒータ線の温度を制御する温度制御部を更に備える。
【0023】
これによれば、温度制御部に対するヒータ線の配置において、ヒータ線を配置しなくてもよい領域にヒータ線を配置しなくて済むので、製造に要するコスト及び工数を低減しやすい、という利点がある。
【0024】
本開示の他の態様に係るシートヒータは、前記ヒータユニットを複数備える。
【0025】
これによれば、座席に着座するユーザの身体の部位ごとにヒータユニットを備えることで、製造に要するコスト及び工数を更に低減しやすい、という利点がある。
【0026】
本開示の他の態様に係るシートヒータでは、前記導線は、複数の前記ヒータユニットの各々の前記ヒータ線が直列に接続されるように設けられている。
【0027】
これによれば、ベース基材に配置する導線を短くすることができるので、ベース基材の簡素化を図りやすく、製造に要するコスト及び工数を低減しやすい、という利点がある。
【0028】
本開示の他の態様に係るシートヒータでは、前記導線は、複数の前記ヒータユニットの各々の前記ヒータ線が前記電源に対して並列に接続されるように設けられている。
【0029】
これによれば、いずれかのヒータユニットが故障等した場合でも残りのヒータユニットで座席を温めることができるので、保温性能を維持しやすい、という利点がある。
【0030】
本開示の他の態様に係るシートヒータでは、前記ベース基材には、前記ヒータユニットの前記ヒータ線とは異なる他のヒータ線が設けられている。
【0031】
これによれば、シートヒータとして必須の領域を温めるヒータ線を事前にベース基材に配置することで、本体部に取り付けるヒータユニットの数を減らすことができ、ヒータユニットを本体部に取り付ける工程を簡素化しやすい、という利点がある。
【0032】
本開示の一態様に係るヒータユニットは、ユニット基材と、ヒータ線と、接続部と、を備える。前記ユニット基材は、移動体の座席に取り付けられる本体部のベース基材に固定される。前記ヒータ線は、前記ユニット基材に設けられている。前記接続部は、前記ベース基材に設けられて電源から電力を供給される導線に前記ヒータ線を電気的に接続可能である。
【0033】
これによれば、本体部にヒータユニットを取り付ける際に、座席に着座したユーザが接触しない領域等のヒータ線を配置しなくてもよい領域にヒータ線を配置しなくて済むので、製造に要するコスト及び工数を低減しやすい、という利点がある。
【0034】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0035】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の設置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序等は、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0036】
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、同じ構成部材については同じ符号を付している。また、以下の実施の形態において、略矩形等の表現を用いている。例えば、略平行は、完全に平行であることを意味するだけでなく、実質的に平行である、すなわち、例えば数%程度の誤差を含むことも意味する。また、略平行は、本開示による効果を奏し得る範囲において平行という意味である。他の「略」を用いた表現についても同様である。
【0037】
(実施の形態)
<構成>
図1は、実施の形態におけるシートヒータ100の概要を示すブロック図である。シートヒータ100は、移動体の座席6(
図2参照)に設けられている。移動体は、例えば自動車であるが、例えば飛行機又は船舶等の他の移動体であってもよい。座席6は、一例として、自動車の運転席である。なお、座席6は、自動車の助手席又は後部座席であってもよい。
【0038】
<座席>
図2は、実施の形態におけるシートヒータ100を装備した座席6の概要を示す図である。座席6は、例えば
図2に示すように、シートクッション61と、シートバック62と、ヘッドレスト63と、を備えている。シートクッション61は、座席6に着座するユーザの臀部及び大腿部を支持する座席6の座部である。シートバック62は、座席6に着座するユーザの背部を支持する背もたれ部である。ヘッドレスト63は、座席6に着座するユーザの頭部を支持する枕状の部位である。
【0039】
<シートヒータ>
シートヒータ100は、座席6に装備され、ユーザが座席6に着座した際に、ヒータ線22の発熱によりユーザの身体の少なくとも一部を温める機能を有する。シートヒータ100は、
図1に示すように、本体部1と、1以上(ここでは、4つ)のヒータユニット2と、を備えている。つまり、シートヒータ100は、ヒータユニット2を複数備えている。なお、
図1では、4つのヒータユニット2のうち2つのヒータユニット2のみを図示している。また、
図1は、1以上のヒータユニット2が本体部1に取り付けられる前の状態を示しているが、実際には1以上のヒータユニット2が本体部1に取り付けられている。
【0040】
<本体部>
本体部1は、移動体の座席6に取り付けられる。実施の形態では、座席6のシートクッション61に取り付けられる。具体的には、本体部1を含むシートヒータ100は、クッション材に相当するパッドと、当該パッドを覆うカバーとの間に設置されることで、座席6に取り付けられる。本体部1は、ベース基材11と、複数本の導線12と、を有している。
【0041】
ベース基材11は、弾性、柔軟性、及び延性を有する材質によってシート状に形成されている。実施の形態では、ベース基材11は、ポリエステルのメッシュによって形成されている。なお、ベース基材11は、例えばウレタン等の発泡性樹脂によって形成されていてもよいし、不織布で形成されていてもよい。
【0042】
ベース基材11の表面(紙面手前側の面)は、その長手方向(紙面における左右方向)における中央部を除いて、大別して第1領域A1、第2領域A2、第3領域A3、及び第4領域A4の4つの領域に分かれている。第1領域A1は、座席6に着座したユーザのふくらはぎが主として対向する領域である。第2領域A2は、座席6に着座したユーザの大腿部が主として対向する領域である。第3領域A3は、座席6に着座したユーザの臀部が主として対向する領域である。第4領域A4は、座席6に着座したユーザの身体が接触しないか、又は殆ど接触しない領域である。
【0043】
ベース基材11の長手方向における中央部には、ベース基材11の短手方向(紙面における上下方向)に沿って長尺な矩形状の吊り込み用孔14が設けられている。この吊り込み用孔14をベース基材11の短手方向において挟む2つの吊り込み部141は、クッション材に相当するパッドに設けられた溝に押し込まれて固定されることで、座席6の内部に引き込まれる。
【0044】
ベース基材11の第1領域A1及び第2領域A2には、それぞれ2つずつ取付領域13が設けられている。
図1に示す例では、第1領域A1には、ベース基材11の短手方向に沿って、下から順に取付領域13Aと取付領域13Cとが並んで設けられている。第2領域A2には、ベース基材11の短手方向に沿って、下から順に取付領域13Bと取付領域13Dとが並んで設けられている。
【0045】
取付領域13は、ベース基材11の表面においてヒータユニット2が取り付けられる領域である。したがって、取付領域13は、平面視において、ヒータユニット2の面積と同等、又はヒータユニット2の面積よりも大きい面積を有している。取付領域13には、2つの取付部131が設けられている。各取付部131は、ベース基材11の周縁に配置されている。具体的には、取付領域13A及び取付領域13Bの各々では、各取付部131は、ベース基材11の下端に沿うように、ベース基材11の長手方向に並んで配置されている。また、取付領域13C及び取付領域13Dの各々では、各取付部131は、ベース基材11の上端に添うように、ベース基材11の長手方向に並んで配置されている。
【0046】
取付領域13には、ヒータユニット2のユニット基材21(後述する)が取り付けられている。実施の形態では、取付領域13には、ユニット基材21の裏面(紙面手前側の面)が両面テープにより貼り付けられることで、ユニット基材21が取り付けられている。言い換えれば、ユニット基材21は、両面テープによりベース基材11に接着して固定されている。
【0047】
取付部131には、ベース基材11の厚さ方向(紙面に垂直な方向)に貫通する、平面視で円形状の貫通孔132が設けられている。また、取付部131には、導線12の第1端が貫通孔132の外周を囲うように設けられている。この導線12の第1端は、ヒータユニット2が本体部1に取り付けられた状態において、後述するヒータユニット2のヒータ線22の一部と接触する。
【0048】
導線12は、ベース基材11に設けられている。導線12は、例えば銅等の金属線であって、例えばポリエステル繊維の糸を縫製糸として用いて、ベース基材11の表面に縫い付けられている。縫製糸は、導線12をベース基材11に固定するために、導線12の延在方向に沿って導線12をベース基材11に縫い付ける糸である。なお、導線12は、縫製糸以外の手段として、接着等の手段でベース基材11に固定されていてもよい。
【0049】
既に述べたように、導線12の第1端は、取付部131において貫通孔132の外周を囲うように設けられている。また、導線12の第2端は、第4領域A4に設けられている接続部材に電気的に接続されている。
【0050】
具体的には、取付領域13Aに設けられている2つの取付部131から延在する2本の導線12の第2端は、それぞれ接続部材15a及び接続部材15bに電気的に接続されている。また、取付領域13Bに設けられている2つの取付部131から延在する2本の導線12の第2端は、それぞれ接続部材15c及び接続部材15dに電気的に接続されている。また、取付領域13Cに設けられている2つの取付部131から延在する2本の導線12の第2端は、それぞれ接続部材15e及び接続部材15fに電気的に接続されている。また、取付領域13Dに設けられている2つの取付部131から延在する2本の導線12の第2端は、それぞれ接続部材15g及び接続部材15hに電気的に接続されている。
【0051】
接続部材15a~15hは、いずれもハーネスを介してコネクタ3に電気的に接続されている。後述する接続部材16a~16dも同様である。コネクタ3には、例えば車載バッテリ等の電源が電気的に接続されている。したがって、各導線12には、電源からコネクタ3及び接続部材15a~15hを介して直流電力が供給される。
【0052】
そして、実施の形態では、複数のヒータユニット2の各々のヒータ線22は、上述のように導線12が接続部材15a~15hに接続されることにより、電源に対して並列に接続されている。言い換えれば、導線12は、複数のヒータユニット2の各々のヒータ線22が電源に対して並列に接続されるように設けられている。
【0053】
ベース基材11の第3領域A3には、ヒータ線17が設けられている。ヒータ線17は、第4領域A4に設けられた接続部材16aから、後述するサーモスタット4が配置される領域、第3領域A3、及び後述するサーミスタ5が配置される領域を通って、第4領域A4に設けられた接続部材16dに戻るように、複数箇所の折り返し部を経て一繋ぎでベース基材11の表面に縫い付けられている。ヒータ線17は、例えば銀及び銅等を含む合金により形成される撚り線である。ヒータ線17は、例えばポリエステル繊維の糸を縫製糸として用いて、ベース基材11の一面に縫い付けられている。縫製糸は、ヒータ線17をベース基材11に固定するために、ヒータ線17の延在方向に沿ってヒータ線17をベース基材11に縫い付ける糸である。なお、ヒータ線17は、縫製糸以外の手段として、接着等の手段でベース基材11に固定されていてもよい。
【0054】
ヒータ線17は、電源からコネクタ3及び接続部材16a,16dを介して直流電力が供給されることにより発熱する。これにより、ベース基材11の第3領域A3が温められることで、座席6に着座したユーザの臀部が温められる。
【0055】
ここで、ベース基材11のヒータ線17は、ヒータユニット2のヒータ線22とは異なるヒータ線、つまりヒータユニット2に属していないヒータ線である。言い換えれば、ベース基材11には、ヒータユニット2のヒータ線22とは異なる他のヒータ線17が設けられている。なお、実施の形態では、ヒータ線17及びヒータ線22は、互いに同じ材料で形成されている。もちろん、ヒータ線17及びヒータ線22は、互いに異なる材料で形成されていてもよい。
【0056】
ベース基材11の第4領域A4には、サーモスタット4及びサーミスタ5が設けられている。サーモスタット4及びサーミスタ5は、いずれもベース基材11の表面に配置されたヒータ線(ここでは、ヒータ線17)の一部と対向するように、ベース基材11の裏面(紙面奥側の面)に設けられている。
【0057】
サーモスタット4は、その一対の接点がヒータ線17に直列に接続されている。一対の接点は、ノーマリーオン型であって、温度が所定温度以上になるとオフするように構成されている。したがって、サーモスタット4は、ヒータ線17の温度に応じて開閉することにより、ヒータ線17の過昇温を抑制する。
【0058】
サーミスタ5は、ベース基材11の第4領域A4に設けられた接続部材16b及び接続部材16cに電気的に接続されている。サーミスタ5は、電源からコネクタ3及び接続部材16b,16cを介して直流電力が供給されることで動作し、ヒータ線17の温度を検知する。サーミスタ5の検知結果は、例えばECU(Electronic Control Unit)でヒータ線17の温度を制御する際に参照される。つまり、サーモスタット4及びサーミスタ5は、ヒータ線17の過昇温制御を含む温度を制御する温度制御部を構成している。
【0059】
なお、実施の形態では、温度制御部(サーモスタット4及びサーミスタ5)は、ベース基材11に設けられたヒータ線17の温度を制御している。ここで、ヒータ線17及びヒータユニット2のヒータ線22の温度制御(つまり、ヒータ線17及びヒータユニットのヒータ線22への電力供給の制御)は一括して行われる。このため、温度制御部は、間接的にヒータユニット2のヒータ線22の温度を制御している、と言える。
【0060】
<ヒータユニット>
ヒータユニット2は、ユニット基材21と、ヒータ線22と、2つの接続部23と、を有している。
【0061】
ユニット基材21は、弾性、柔軟性、及び延性を有する材質によってシート状に形成されている。実施の形態では、ユニット基材21は、不織布により形成されている。なお、ユニット基材21は、例えばウレタン等の発泡性樹脂によって形成されていてもよいし、メッシュによって形成されていてもよい。既に述べたように、ユニット基材21は、その裏面がベース基材11の取付領域13に両面テープにより貼り付けられることで、ベース基材11に固定されている。
【0062】
ヒータ線22は、ユニット基材21に設けられている。具体的には、ヒータ線22は、2つの接続部23のうちの一方の接続部23から他方の接続部23へと、複数箇所の折り返し部を経て一繋ぎでユニット基材21の裏面に縫い付けられている。ヒータ線22は、例えばポリエステル繊維の糸を縫製糸として用いて、ユニット基材21の一面に縫い付けられている。縫製糸は、ヒータ線22をユニット基材21に固定するために、ヒータ線22の延在方向に沿ってヒータ線22をユニット基材21に縫い付ける糸である。なお、ヒータ線22は、縫製糸以外の手段として、接着等の手段でユニット基材21に固定されていてもよい。
【0063】
接続部23は、ヒータ線22を導線12に電気的に接続可能に構成されている。具体的には、接続部23には、ユニット基材21の厚さ方向(紙面に垂直な方向)に貫通する、平面視で円形状の貫通孔24が設けられている。また、接続部23には、ヒータ線22の一端が貫通孔24の外周を囲うように設けられている。このヒータ線22の一端は、ヒータユニット2が本体部1に取り付けられた状態において、ベース基材11の導線12の一部と接触する。これにより、ヒータ線22は、導線12に電気的に接続される。
【0064】
そして、ヒータ線22は、電源からコネクタ3、接続部材15a~15h、及び導線12を介して直流電力が供給されることにより発熱する。つまり、ヒータ線22は、接続部23を介して導線12に電気的に接続されており、かつ、導線12を介して電源から電力を供給される。
【0065】
ここで、ヒータ線22と導線12との電気的な接続を図る手段の一例について、
図3を用いて説明する。
図3は、実施の形態におけるヒータ線22と導線12との接続部分を示す拡大断面図である。
図3に示すように、実施の形態では、接続部23は、ヒータ線22と導線12とを互いに機械的に結合する熱かしめされた金属部材7を含んでいる。金属部材7は、例えばリベットである。実施の形態では、金属部材7により、ヒータ線22と導線12との電気的な接続を図っている。
【0066】
すなわち、ベース基材11の貫通孔132及びヒータユニット2の貫通孔24を重ね合わせた状態で、これらの貫通孔132,24に金属部材7の軸部を挿入する。そして、金属部材7の軸部の一端を熱してかしめることにより、かしめ部71を形成する。これにより、金属部材7の頭部とかしめ部71との間でベース基材11の一部、導線12の一部、ヒータ線22の一部、及びユニット基材21の一部が圧着されるので、ヒータ線22と導線12とが互い固定され、かつ、ヒータ線22と導線12との電気的な接続が図られる。なお、
図3のように電気的接続を図るために、
図1のヒータユニット2は、裏返しにして本体部1に配置された状態で、金属部材7により熱かしめされる構成となる。
【0067】
実施の形態では、各接続部23は、ユニット基材21の周縁に配置されている。具体的には、各接続部23は、ユニット基材21の上端又は下端に沿うように、ユニット基材21の一方向(ベース基材11の長手方向と平行な方向)に並んで配置されている。そして、各接続部23は、ベース基材11の各取付部131に取り付けられる。つまり、各接続部23は、ヒータユニット2が本体部1に取り付けられた状態において、ベース基材11の周縁に配置されている。
【0068】
なお、ベース基材11の短手方向における下側の取付領域13A,13Bに取り付けられるヒータユニット2では、各接続部23は、ユニット基材21の下端に沿うように、ユニット基材21の一方向に並んで配置されている。また、ベース基材11の短手方向における上側の取付領域13C、13Dに取り付けられるヒータユニット2では、各接続部23は、ユニット基材21の上端に沿うように、ユニット基材21の一方向に並んで配置されている。
【0069】
実施の形態では、ヒータ線22と導線12との電気的な接続を解除することにより、ヒータユニット2をベース基材11から取り外すことが可能である。例えば、治具を用いて金属部材7におけるかしめ部71を削り、金属部材7を貫通孔132,24から引き抜くことにより、ヒータユニット2をベース基材11から取り外すことが可能である。つまり、ヒータユニット2は、本体部1に対して着脱可能に構成されている。
【0070】
既に述べたように、実施の形態では、4つのヒータユニット2が本体部1に取り付けられている。そして、
図1では、4つのヒータユニット2のうちの2つのヒータユニット2A,2Bのみを図示している。ヒータユニット2Bは、ヒータユニット2Aよりもベース基材11の長手方向に沿った幅寸法が大きくなるように構成されている。
【0071】
ヒータユニット2Aは、ベース基材11の第1領域A1にある下側の取付領域13Aに取り付けられている。なお、第1領域A1にある上側の取付領域13Cには、図示していないが、ヒータユニット2Aと同じ型のヒータユニット2が取り付けられている。ベース基材11の第1領域A1にある2つのヒータユニット2は、いずれもヒータ線22が電源から直流電力を供給されて発熱することにより、ベース基材11の第1領域A1を温める。これにより、座席6に着座したユーザのふくらはぎが温められる。
【0072】
ヒータユニット2Bは、ベース基材11の第2領域A2にある下側の取付領域13Bに取り付けられている。なお、第2領域A2にある上側の取付領域13Dには、図示していないが、ヒータユニット2Bと同じ型のヒータユニット2が取り付けられている。ベース基材11の第2領域A2にある2つのヒータユニット2は、いずれもヒータ線22が電源から直流電力を供給されて発熱することにより、ベース基材11の第2領域A2を温める。これにより、座席6に着座したユーザの大腿部が温められる。
【0073】
<比較>
以下、
図4に示す比較例のシートヒータ200との比較を交えて、実施の形態におけるシートヒータ100の利点について説明する。
図4は、比較例のシートヒータ200の概要を示す図である。比較例のシートヒータ200は、シートクッション201に配置されるベース基材202と、ベース基材202に配置されるヒータ線203と、を備えている。そして、比較例のシートヒータ200では、ヒータ線203がベース基材202の殆ど全ての領域を通過するように、多数の折り返し部を経て一繋ぎでベース基材202の一面に設けられている点で、実施の形態におけるシートヒータ100と相違する。
【0074】
比較例のシートヒータ200では、ヒータ線203が一繋ぎでベース基材202に設けられているため、座席に着座したユーザの接触しない領域等のヒータ線203を配置しなくてもよい領域にもヒータ線203を配置しなければならない。このため、比較例のシートヒータ200では、不必要なヒータ線203を配置するために、製造に要するコスト及び工数が増大しがちである、という課題がある。
【0075】
また、比較例のシートヒータ200では、例えばベース基材202がウレタン等の比較的収縮しやすい材料で構成されている場合、ヒータ線203をベース基材202に縫製する際にベース基材202に収縮が生じやすく、収縮を考慮した補正(例えば、ベース基材202を収縮分を見込んで大きめに作成すること等)を行わなければならない、という課題もある。
【0076】
これに対して、実施の形態におけるシートヒータ100では、座席6に着座したユーザの接触する領域のみにヒータユニット2(つまり、ヒータ線22)を配置することができるので、ヒータ線22を配置しなくてもよい領域にヒータ線22を配置せずに済む。したがって、実施の形態におけるシートヒータ100では、比較例のシートヒータ200と比較して、不必要なヒータ線を削減することができ、製造に要するコスト及び工数を低減しやすい、という利点がある。
【0077】
また、実施の形態におけるシートヒータ100では、ベース基材11に導線12を殆ど直線状に縫製することができるので、ベース基材11の収縮が生じにくく、収縮を考慮した補正に要する作業を減らすことができる、という利点もある。
【0078】
さらに、実施の形態におけるシートヒータ100は、ヒータユニット2を本体部1において必要な領域に取り付けるだけで構成可能なので、仕様に応じてヒータ線のパターンを設計する必要がなく、設計に要する工数を低減しやすい、という利点もある。
【0079】
<作用効果>
以上のように、実施の形態におけるシートヒータ100は、本体部1と、ヒータユニット2と、を備える。本体部1は、ベース基材11、及びベース基材11に設けられた導線12を有し、移動体の座席6に取り付けられる。ヒータユニット2は、ユニット基材21、ユニット基材21に設けられたヒータ線22、及びヒータ線22を導線12に電気的に接続可能な接続部23を有する。ユニット基材21は、ベース基材11に固定されている。ヒータ線22は、接続部23を介して導線12に電気的に接続されており、かつ、導線12を介して電源から電力を供給される。
【0080】
これによれば、座席6に着座したユーザが接触しない領域等のヒータ線22を配置しなくてもよい領域にヒータ線22を配置しなくて済むので、製造に要するコスト及び工数を低減しやすい、という利点がある。
【0081】
また、実施の形態におけるシートヒータ100では、ユニット基材21は、両面テープによりベース基材11に接着して固定されている。
【0082】
これによれば、ユニット基材21をベース基材11に縫製により固定する場合と比較して、ユニット基材21をベース基材11に容易に固定することができ、製造に要する工数を低減しやすい、という利点がある。
【0083】
また、実施の形態におけるシートヒータ100では、接続部23は、ヒータ線22と導線12とを互いに機械的に結合する熱かしめされた金属部材7を含む。
【0084】
これによれば、ヒータ線22を導線12に容易に接続しやすい、という利点がある。
【0085】
また、実施の形態におけるシートヒータ100では、接続部23は、ベース基材11の周縁に配置されている。
【0086】
これによれば、接続部23がベース基材11の中央部に配置される場合と比較して、座席6に着座したユーザの違和感を低減しやすい、という利点がある。
【0087】
また、実施の形態におけるシートヒータ100では、ヒータユニット2は、本体部1に対して着脱可能に構成されている。
【0088】
これによれば、例えばヒータユニット2が故障等した場合に、故障等したヒータユニット2を新品のヒータユニット2に交換するだけで済むので、修理に要するコストを低減しやすい、という利点がある。
【0089】
また、実施の形態におけるシートヒータ100は、ヒータユニット2を複数備える。
【0090】
これによれば、座席6に着座するユーザの身体の部位ごとにヒータユニット2を備えることで、製造に要するコスト及び工数を更に低減しやすい、という利点がある。
【0091】
本開示の他の態様に係るシートヒータでは、前記導線は、複数の前記ヒータユニットの各々の前記ヒータ線が前記電源に対して並列に接続されるように設けられている。
【0092】
これによれば、いずれかのヒータユニットが故障等した場合でも残りのヒータユニットで座席を温めることができるので、保温性能を維持しやすい、という利点がある。
【0093】
また、実施の形態におけるシートヒータ100では、ベース基材11には、ヒータユニット2のヒータ線22とは異なる他のヒータ線17が設けられている。
【0094】
これによれば、シートヒータ100として必須の領域を温めるヒータ線17を事前にベース基材11に配置することで、本体部1に取り付けるヒータユニット2の数を減らすことができ、ヒータユニット2を本体部1に取り付ける工程を簡素化しやすい、という利点がある。
【0095】
また、実施の形態におけるヒータユニット2は、ユニット基材21と、ヒータ線22と、接続部23と、を備える。ユニット基材21は、移動体の座席6に取り付けられる本体部1のベース基材11に固定される。ヒータ線22は、ユニット基材21に設けられている。接続部23は、ベース基材11に設けられて電源から電力を供給される導線12にヒータ線22を電気的に接続可能である。
【0096】
これによれば、本体部1にヒータユニット2を取り付ける際に、座席6に着座したユーザが接触しない領域等のヒータ線22を配置しなくてもよい領域にヒータ線22を配置しなくて済むので、製造に要するコスト及び工数を低減しやすい、という利点がある。
【0097】
(変形例)
以下、実施の形態におけるシートヒータ100の変形例について列挙する。
【0098】
<第1変形例>
まず、実施の形態の第1変形例におけるシートヒータ100Aについて
図5を用いて説明する。
図5は、実施の形態の第1変形例におけるシートヒータ100Aの概要を示す図である。以下では、実施の形態におけるシートヒータ100との相違点について主として説明し、実施の形態におけるシートヒータ100と共通する点については説明を省略する。
【0099】
図5に示すように、第1変形例におけるシートヒータ100Aは、ベース基材11の第3領域A3において、ヒータ線17の代わりに2つのヒータユニット2が取り付けられている点で、実施の形態におけるシートヒータ100と相違する。また、第1変形例におけるシートヒータ100Aは、ベース基材11の第4領域A4において、温度制御部(サーモスタット4及びサーミスタ5)を配置する代わりに、温度制御部を備えたヒータユニット2が取り付けられている点で、実施の形態におけるシートヒータ100と相違する。
【0100】
なお、
図5では、第1変形例におけるシートヒータ100Aが備える7つのヒータユニット2のうち4つのヒータユニット2のみを図示している。また、
図5は、7つのヒータユニット2が本体部1に取り付けられる前の状態を示しているが、実際には7つのヒータユニット2が本体部1に取り付けられている。
【0101】
ベース基材11の第3領域A3には、ヒータ線17の代わりに、2つの取付領域13が設けられている。具体的には、第3領域A3には、ベース基材11の短手方向に沿って、下から順に取付領域13Eと取付領域13Fとが並んで設けられている。取付領域13Eでは、各取付部131は、ベース基材11の下端に沿うように、ベース基材11の長手方向に並んで配置されている。取付領域13Fでは、各取付部131は、ベース基材11の上端に沿うように、ベース基材11の長手方向に並んで配置されている。
【0102】
取付領域13Eに設けられている2つの取付部131から延在する2本の導線12の第2端は、それぞれベース基材11の第4領域A4に設けられている接続部材15i及び接続部材15jに電気的に接続されている。また、取付領域13Fに設けられている2つの取付部131から延在する2本の導線12の第2端は、それぞれベース基材11の第4領域A4に設けられている接続部材15k及び接続部材15lに電気的に接続されている。接続部材15i~15lは、接続部材15a~15hと同様に、いずれもハーネスを介してコネクタ3に電気的に接続されている。
【0103】
ベース基材11の第4領域A4には、温度制御部(サーモスタット4及びサーミスタ5)が配置される代わりに、取付領域13(取付領域13G)が設けられている。取付領域13Gでは、4つの取付部131がベース基材11の短手方向に並んで配置されている。また、これら4つの取付部131から延在する4本の導線12の第2端は、それぞれ接続部材16a~16dに電気的に接続されている。
【0104】
第1変形例におけるシートヒータ100Aは、実施の形態におけるシートヒータ100と比較して、更に3つのヒータユニット2が本体部1に取り付けられている。そして、
図5では、これら3つのヒータユニット2のうちの2つのヒータユニット2E,2Gのみを図示している。ヒータユニット2Eは、ヒータユニット2Gよりもベース基材11の長手方向に沿った幅寸法が大きく、かつ、ヒータユニット2Gよりもベース基材11の短手方向に沿った幅寸法が小さくなるように構成されている。
【0105】
ヒータユニット2Eは、ベース基材11の第3領域A3にある下側の取付領域13Eに取り付けられている。なお、第3領域A3にある上側の取付領域13Fには、図示していないが、ヒータユニット2Eと同じ型のヒータユニット2が取り付けられている。ベース基材11の第3領域A3にある2つのヒータユニット2は、いずれもヒータ線22が電源から直流電力を供給されて発熱することにより、ベース基材11の第3領域A3を温める。これにより、座席6に着座したユーザの臀部が温められる。
【0106】
ヒータユニット2Gは、ヒータユニット2Eとは異なり、温度制御部(サーモスタット4及びサーミスタ5)を更に備えている。サーモスタット4は、ユニット基材21の裏面における上側に配置されている。サーミスタ5は、ユニット基材21の裏面における下側に配置されている。サーモスタット4及びサーミスタ5は、いずれもユニット基材21の表面に配置されたヒータ線22の一部と対向する。
【0107】
また、ヒータユニット2Gは、2つの接続部23の他に、2つの接続部23Aを更に備えている。接続部23Aは、ヒータ線22の代わりに導線12Aの一端が貫通孔24の外周を囲うように設けられている点で、接続部23と相違する。導線12Aの一端は、ヒータユニット2Gが本体部1に取り付けられた状態において、接続部材16b(又は接続部材16c)から延在する導線12に電気的に接続される。具体的には、2つの接続部23Aのうち上側の接続部23Aの導線12Aの一端は、接続部材16bから延在する導線12に電気的に接続される。また、2つの接続部23Aのうち下側の接続部23Aの導線12Aの一端は、接続部材16cから延在する導線12に電気的に接続される。2つの接続部23Aから延在する導線12Aの他端は、サーミスタ5に電気的に接続されている。
【0108】
ヒータユニット2Gは、ベース基材11の第4領域A4にある取付領域13Gに取り付けられている。したがって、ヒータユニット2Gが備える温度制御部(サーモスタット4及びサーミスタ5)は、実施の形態におけるシートヒータ100の温度制御部と同様に機能する。
【0109】
上述のように、第1変形例におけるシートヒータ100Aでは、ヒータユニット2(ヒータユニット2G)は、ヒータ線22の温度を制御する温度制御部(サーモスタット4及びサーミスタ5)を更に備える。
【0110】
これによれば、温度制御部に対するヒータ線22の配置において、ヒータ線22を配置しなくてもよい領域にヒータ線22を配置しなくて済むので、製造に要するコスト及び工数を低減しやすい、という利点がある。
【0111】
<第2変形例>
次に、実施の形態の第2変形例におけるシートヒータ100Bについて
図6を用いて説明する。
図6は、実施の形態の第2変形例におけるシートヒータ100Bの概要を示す図である。以下では、第1変形例におけるシートヒータ100Aとの相違点について主として説明し、第1変形例におけるシートヒータ100Aと共通する点については説明を省略する。
【0112】
図6に示すように、第2変形例のシートヒータ101Bでは、複数のヒータユニット2の各々のヒータ線22が電源に対して直列に接続されるように導線12が設けられている点で、第1変形例におけるシートヒータ100Aと相違する。なお、
図6では、
図5と同様に、第2変形例におけるシートヒータ100Bが備える7つのヒータユニット2のうち4つのヒータユニット2のみを図示している。また、
図6は、7つのヒータユニット2が本体部1に取り付けられる前の状態を示しているが、実際には7つのヒータユニット2が本体部1に取り付けられている。
【0113】
ベース基材11の第4領域A4には、接続部材15a~15lの代わりに、接続部材15m及び接続部材15nが設けられている。接続部材15m,15nは、接続部材15a~15lと同様に、いずれもハーネスを介してコネクタ3に電気的に接続されている。また、第4領域A4には、接続部材16a~16dのうちの接続部材16b及び接続部材16cのみが設けられている。
【0114】
第2変形例におけるシートヒータ100Bでは、接続部材15mと取付領域13Fの一方の取付部131の間、取付領域13Fの他方の取付部131と取付領域13Dの一方の取付部131との間、及び取付領域13Dの他方の取付部131と取付領域13Cの一方の取付部131との間にそれぞれ導線12が電気的に接続されている。また、取付領域13Cの他方の取付部131と取付領域13Aの一方の取付部131との間、取付領域13Aの他方の取付部131と取付領域13Bの一方の取付部131との間、及び取付領域13Bの他方の取付部131と取付領域13Eの一方の取付部131との間にそれぞれ導線12が電気的に接続されている。そして、取付領域13Eの他方の取付部131と取付領域13Gの最も下方に位置する取付部131との間、及び取付領域13Gの下から2番目に位置する取付部131と接続部材15nとの間にそれぞれ導線12が電気的に接続されている。
【0115】
したがって、第2変形例におけるシートヒータ100Bでは、導線12は、複数のヒータユニット2の各々のヒータ線22が直列に接続されるように設けられている。
【0116】
これによれば、ベース基材11に配置する導線12を短くすることができるので、ベース基材11の簡素化を図りやすく、製造に要するコスト及び工数を低減しやすい、という利点がある。
【0117】
<その他の変形例>
実施の形態では、接続部23は、熱かしめされた金属部材7を含んでいたが、これに限られない。例えば、接続部23は、ヒータ線22と導線12とを互いに機械的に結合するはんだ、カプラ、又はコネクタのうちのいずれかを含んでいてもよい。つまり、ヒータ線22と導線12とは、はんだ付けにより電気的に接続されてもよいし、カプラにより電気的に接続されてもよいし、コネクタにより電気的に接続されてもよい。
【0118】
これによれば、接続部位における電気抵抗を小さくしやすい、という利点ある。
【0119】
実施の形態、第1変形例、及び第2変形例では、シートヒータは座席6のシートクッション61に装備されているが、これに限られない。例えば、シートヒータは、座席6のシートバック62に装備されていてもよい。
【0120】
なお、上記の実施の形態に対して当業者が思い付く各種変形を施して得られる形態や、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0121】
本開示は、例えば車両等に装備されている座席等を温めるシートヒータに利用可能である。
【符号の説明】
【0122】
100、100A、100B シートヒータ
1 本体部
11 ベース基材
12、12A 導線
13、13A~13G 取付領域
131 取付部
132 貫通孔
14 吊り込み用孔
141 吊り込み部
15a~15l、16a~16d 接続部材
17 ヒータ線
2、2A、2B、2E、2G ヒータユニット
21 ユニット基材
22 ヒータ線
23、23A 接続部
24 貫通孔
3 コネクタ
4 サーモスタット(温度制御部)
5 サーミスタ(温度制御部)
6 座席
61 シートクッション
62 シートバック
63 ヘッドレスト
7 金属部材
71 かしめ部
200 比較例のシートヒータ
201 シートクッション
202 ベース基材
203 ヒータ線
A1 第1領域
A2 第2領域
A3 第3領域
A4 第4領域