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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023008983
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】回転電気機械
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/278 20220101AFI20230112BHJP
【FI】
H02K1/278
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022107013
(22)【出願日】2022-07-01
(31)【優先権主張番号】2107191
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】506390465
【氏名又は名称】モトゥール・ルロワ-ソマー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】エドゥアール・ボンメ
(72)【発明者】
【氏名】ジアン・ジャン
(72)【発明者】
【氏名】ハナコ・フリジリンク
(72)【発明者】
【氏名】アイケル・ジェライリ
【テーマコード(参考)】
5H622
【Fターム(参考)】
5H622AA02
5H622CA02
5H622CA03
5H622CA05
5H622CA10
5H622CB01
5H622CB04
5H622DD01
5H622DD02
5H622DD03
5H622PP10
5H622PP19
(57)【要約】
【課題】無負荷状態または負荷が非常に低い場合にトルクリップルが小さい回転電気機械を提供すること。
【解決手段】回転電気機械(1)であって、-ステータ(10)と、-ロータ質量体(25)と、ロータ質量体の表面上に配置され、ステータの方に向いた略凹形の形状の面を備える永久磁石(22)と、を備える、ロータ(20)と、を備え、ロータの永久磁石(22)が、ロータの極を形成し、同じ極の永久磁石(22)が、機械の2つの長手方向端間に角度オフセット(α)を有する、回転電気機械(1)。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転電気機械(1)であって、
- ステータ(10)と、
- ロータ質量体(25)と、前記ロータ質量体の表面上に配置され、前記ステータの方に向いた略凹形の形状の面を備える永久磁石(22)と、を備える、ロータ(20)と、
を備え、
前記ロータの前記永久磁石(22)が、前記ロータの極を形成し、同じ極の前記永久磁石(22)が、前記回転電気機械の2つの長手方向端間に角度オフセット(α)を有する、
回転電気機械(1)。
【請求項2】
前記ロータ質量体(25)が、特に接着結合によって前記永久磁石(22)が固定されるソケット(35)を備える、請求項1に記載の電気機械。
【請求項3】
各極が、少なくとも1つの捩じられた永久磁石(22)を備える、請求項1または2に記載の電気機械。
【請求項4】
前記永久磁石(22)の前記2つの長手方向端間のそれぞれの前記角度オフセット(α)が、1°から5°の間、好ましくは2.5°から5°の間、または3°から4.5°の間、より好ましくは3.2°から4°の間である、請求項3に記載の電気機械。
【請求項5】
各極が、互いに対して角度的にオフセットされた複数の永久磁石(22)を備える、請求項1または2に記載の電気機械。
【請求項6】
前記ロータ(20)が、ソケット(35)と、前記ソケット(35)に固定されかつ円周方向列に配置された永久磁石(22)と、からなる少なくとも2つの組立体を備え、前記2つの組立体が、前記回転電気機械の横断面に対して互いに対して対称に配置される、請求項5に記載の電気機械。
【請求項7】
同じ極の2つの連続した永久磁石(22)同士の間の前記角度オフセット(α)が、0.8°から2.5°の間、好ましくは1°から2°の間、または1.1°から1.7°の間、より好ましくは1.20°から1.5°の間である、請求項5または6に記載の電気機械。
【請求項8】
前記ロータ(20)が、16の極を備え、特に前記ロータ(20)が内側にある、請求項1から7のいずれか一項に記載の電気機械。
【請求項9】
前記ロータの永久磁石の凹面(23)が、2mmから56mmの間、より好ましくは8mmから12mmの間の、前記ロータの半径に対して垂直方向に測定される幅(l)を有する凹部(24)を備え、前記ロータの半径に沿って測定される前記凹部(24)のくぼみの最大深さ(p)が、特に0.05mmから3mmの間である、請求項1から8のいずれか一項に記載の電気機械。
【請求項10】
前記凹部(24)の断面が、円形部または楕円形部である、請求項8または9に記載の電気機械。
【請求項11】
凹面の前記凹部(24)が、2つの平坦な側方部(26)の間に配置される、請求項8から10のいずれか一項に記載の電気機械。
【請求項12】
前記ロータの前記永久磁石(22)が、1.5mmから10mmの間、好ましくは2mmから5mmの間の、前記ロータの半径に沿って測定される厚さ(h)を有する、請求項1から11のいずれか一項に記載の電気機械。
【請求項13】
前記ロータの半径に沿って測定される凹部(24)のくぼみの最大深さと永久磁石(22)の厚さとの比(p/h)が、0.01から0.9の間、好ましくは0.1から0.4の間である、請求項1から12のいずれか一項に記載の電気機械。
【請求項14】
前記永久磁石(22)が、接着結合によって前記ロータの前記ロータ質量体に、特に前記ロータ質量体の円筒面に固定され、または、ハウジング(29)内に固定され、前記ハウジング(29)は、前記ロータ質量体の前記円筒面にこの目的のために設けられる、請求項1から13のいずれか一項に記載の電気機械。
【請求項15】
前記永久磁石(22)が、前記ステータの方に向いた凹面の反対側に平坦な固定面(28)を備え、前記ステータ(10)が、特に、歯(11)および前記歯上に配置されたコイル(12)を備える集中巻線を有する、請求項1から14のいずれか一項に記載の電気機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電気機械の分野に関し、より詳細には、限定されるわけではないが、ロボットの電動化のために使用される回転電気機械に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、負荷の小さいトルクリップルの回転電気機械であって、リフト車を駆動することが意図され、ステータの方に向いた実質的に平坦な面を有する外側ロータを備える、回転電気機械に関する。
【0003】
外側ロータを含む回転電気機械であって、外側ロータの永久磁石が、ステータの方に向きかつ回転によって生成される円筒形状を有する主面を有する、回転電気機械も知られている。
【0004】
内側ロータの場合、ステータの方に向いた磁石の主面は、略凸状である。
【0005】
特許文献2では、永久磁石は、凹部を含む凹面を備える。特許文献2では、磁石は直線状である。
【0006】
特許文献3では、外側ロータの磁石の表面は、外側ロータ上に磁石が配置されることから曲がった凹状となり得る。
【0007】
特許文献4では、リングに配置された永久磁石を用いたコギングの低減が教示され、隣接するリングの永久磁石は、軸方向において互いに対してオフセットされ得る。さらに、ロータは外側にあり、いかなる凹状の磁石も備えない。最後に、ステータは、オフセットされ得るセグメントを備える。
【0008】
特にロボットの電動化の分野では、具体的には例えば可変周波数駆動装置によって制御される永久磁石を含むモータについて、回転電気機械の磁石によるコギングをさらに低減させることが必要なことがある。磁石によるコギングは、コギングとも呼ばれ、無負荷状態または負荷が非常に低い場合でのトルクリップルに相当する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】欧州特許出願第1793482号
【特許文献2】仏国特許出願第3067880号
【特許文献3】米国特許第6727630号明細書
【特許文献4】米国特許第6727629号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、特にロボットの電動化の分野において、無負荷状態または負荷が非常に低い場合にトルクリップルが小さい回転電気機械を提供することが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、この要件を完全にまたは部分的に満たすことが意図され、その態様のうちの1つによれば、回転電気機械であって、
- ステータと、
- ロータ質量体(rotor mass)、およびロータ質量体の表面上に配置された永久磁石を備える、ロータと、
を備え、
永久磁石が、ステータの方に向いた略凹形の面を備え、ロータの永久磁石の凹面が特に凹部を備え、
ロータの永久磁石が、ロータの極を形成し、同じ極の永久磁石が、機械の2つの長手方向端間に角度オフセットを有する、
回転電気機械に関する。
【0012】
本発明によるロータは、いずれの場合においても、機械の全体的な性能レベル、特に電磁的な性能レベル、起電力、とりわけトルクを損なうことなく、磁石によるコギングを非常に低いレベルにすることができる。
【0013】
したがって、予め固定された機械的空隙についての最小ピークトルクの達成を得つつ、トルクリップルの最小化を図ることが可能である。
【0014】
さらに、ロータは、消磁に抵抗するより良好な能力を有する。
【0015】
ロータの永久磁石にステータの方に向いた略凹面があることによって、無負荷状態または負荷が非常に低いときのトルクリップルの最適化が可能になる。
【0016】
特に、永久磁石のくぼみによって、コギング、より詳細には例えば高調波16および18である低周波数の高調波の低減が可能になる。
【0017】
さらに、角度オフセットによって、特に、高周波数の高調波が低減され得る。
【0018】
最後に、角度オフセットによって、特に、磁石によるコギングの高調波がなくされ、それによってくぼみのある磁石の使用が増加傾向を有することができる。
【0019】
角度オフセットが小さいので、モータの電磁的な性能レベル、特に起電力、トルク、パワーはほとんど変化しない。
【0020】
このように、永久磁石のくぼみと角度オフセットとの組合せでの補強効果があることを理解されよう。
【0021】
発明の明細
ロータ
用語「略凹面」は、ステータの方に向いたロータの永久磁石の面が、くぼんだ表面をもたらす湾曲を有することを意味するものと理解されることが意図される。この面は、全体的に凹形であってもよく、または1つもしくは複数の凹部と1つもしくは複数の平坦部とを備えてもよい。
【0022】
平坦部があることによって、ロータとステータとの間の干渉がより良好に回避され得る。
【0023】
ロータ質量体は、特に接着結合によって永久磁石が固定されるソケット(socket)を備えることができる。
【0024】
ソケットは、金属シートの積層体によって形成され得る。ソケットは、ロータのすべての永久磁石を支持する単一のものとすることができる。一変形形態では、ロータ質量体は、例えば永久磁石の円周方向列と同じ数である、複数のソケットを備えることができる。
【0025】
ソケットは、例えば、接着結合によって機械のシャフトに固定され得る。シャフトは滑らかであり得る。
【0026】
1つの実施形態では、各極は、少なくとも1つの捩じられた永久磁石を備えることができる。各極は、単一の捩じられた永久磁石を備える、または、一変形形態では、複数を備えることができる。用語「捩じられた永久磁石」は、永久磁石の2つの長手方向端間のそれぞれに角度オフセットがあることを意味するものと理解されることが意図される。
【0027】
対応する永久磁石は単一片とすることができる。
【0028】
永久磁石は、例えば、成形によって製造され得る。一変形形態では、それらは機械加工され得る。
【0029】
永久磁石の2つの長手方向端間のそれぞれの角度オフセットは、1°から5°の間、好ましくは2.5°から5°の間、または3°から4.5°の間、より好ましくは3.2°から4°の間、例えば3.5°である。
【0030】
1つの変形形態では、各極は、互いに対して角度的にオフセットされた複数の永久磁石を備えることができる。各極は、例えば、特定の角度だけ互いに対してオフセットされた2つの永久磁石を備えることができる。
【0031】
このように、ロータは、永久磁石の複数の円周方向列、例えば2つの円周方向列を備えることができる。同じ円周方向列のすべての磁石が、上述した同じソケットに固定され得る。
【0032】
ロータは、ソケットおよび円周方向列に配置された永久磁石からなる複数の組立体、例えば2つの組立体、あるいは3つまたは4つの組立体を備えることができる。すべての組立体は、全く同じであり得る。機械は、すべて全く同じである1種類の組立体のみから構成されることが有利であり得、それによって製造費用を減少させることができる。
【0033】
1つの変形形態では、同じソケットが永久磁石の複数の円周方向列を支持することができる。
【0034】
この例では、永久磁石は直線状であってよく、すなわち捩じられなくてよく、または一変形形態では、それらは捩じられてもよい。
【0035】
1つの実施形態では、ロータは、ソケットと、ソケットに固定されかつ円周方向列に配置された永久磁石と、からそれぞれ構成された少なくとも2つの組立体を備えることができ、2つの組立体は、機械の横断面に対して互いに対して対称に配置される。
【0036】
そのような構成は、一方の組立体を他方に対してひっくり返したことによる角度オフセットの生成を可能にする。
【0037】
角度オフセットは、ソケットを機械のシャフト周りでクランプすることができるようにするために、組立体がソケット内にロッドのための貫通孔を備えることができる結果として得られ得る。孔は、一方のソケットが他方のソケットに対して対称的に配置されるとき、それらが支持する永久磁石同士の間に角度オフセットが得られるように配置され得る。
【0038】
孔は、磁石の中央の下および中央に位置することができる。このように、これらの孔は、対応する磁石の磁束場線(flux field line)と交差しない。
【0039】
組立体は、実質的に180°だけ互いに対してオフセットされる2つの孔を備えることができる。これらの2つの孔は、磁石の中心の軸に精確に位置しなくてよく、代わりに、角度オフセットの半分に等しい角度、すなわち例えば0.625°だけオフセットされ得る。
【0040】
各ソケットは、全く同じであってよい。軸X周りに180°だけ2つのソケットのうちの1つをひっくり返すことによって、ソケット同士の間に角度オフセットが生まれる。
【0041】
同じ極の2つの連続した磁石同士の間の角度オフセットは、0.8°から2.5°の間、好ましくは1°から2°の間、または1.1°から1.7°の間、より好ましくは1.20°から1.5°の間、例えば1.25°とすることができる。
【0042】
同じ極の最初の磁石と最後の磁石との間の角度オフセットは、0.8°から2.5°の間、好ましくは1°から2°の間、または1.1°から1.7°の間、より好ましくは1.20°から1.5°の間、例えば、1.25°とすることができる。
【0043】
かなり小さな角度の角度オフセットを選択すれば、トルク高調波を減少させるのに十分であり得る。具体的には、角度オフセットの角度の選択によって、高調波144を減少させることが可能であり得る。これは、凹状磁石の存在がこの高調波144の増加を引き起こし得る限り、特に有利である。
【0044】
過度に大きな角度を選択することは、機械の性能レベルの低下を引き起こす危険を伴うおそれがある。
【0045】
1つの実施形態では、ロータは、16の極を備えることができる。
【0046】
1つの実施形態では、ロータは、内側にあり得る。この例では、磁石におけるステータの方に向いた面は、磁石における機械の回転軸Xとは反対の面に相当する。
【0047】
一変形形態では、ロータは、外側にあってもよく、それによって磁石の係合解除の危険を制限しつつ特に比較的高速での回転が可能になり得る。この例では、磁石におけるステータの方に向いた面は、磁石における機械の回転軸Xの方に向いた面に相当する。
【0048】
外側ロータの場合、ロータの永久磁石におけるステータの方に向いた面のくぼみは、ステータがその内部に配置され得るようにするため、かつロータとステータとの間に十分な空隙をもたらすために、ロータの外側配置から生じる、面の円筒形状によって単にもたらされるくぼみよりも大きい。換言すると、ロータの永久磁石におけるステータの方に向いた面のくぼみは、回転によって生成される円筒面よりも深い。
【0049】
ロータのシャフトは、大質量(massive)であり、例えば、中空または中実であってよい。
【0050】
一変形形態では、シャフトは、大質量でなくてもよく、例えば薄層状の金属シートの積層体を備える。金属シートは、誘導電流による損失を制限するために、絶縁塗料でそれぞれ覆われ得る。
【0051】
ロータの永久磁石の凹面は、凹部を備えることができる。ロータの半径に対して垂直方向に測定される凹部の幅lは、0.1π(Ds-2d)/Pから2π(Ds-2d)/Pmm(ミリメートル)の間であってよく、
ここで、Dsは、ステータの口径、
Pは、ロータの極の数、および、
dは、シンプルな空隙、すなわち空隙の最小幅である。
【0052】
ロータの半径に対して垂直方向に測定される凹部の幅lは、2mmから56mmの間、好ましくは4mmから40mmの間、または8mmから20mmの間、より好ましくは8mmから12mmの間とすることができる。
【0053】
回転軸に対して垂直方向に測定されるロータの永久磁石の幅は、例えば、0.1π(Ds-2d)/Pから2π(Ds-2d)/Pmm(ミリメートル)の間である。
【0054】
回転軸に対して垂直方向に測定されるロータの永久磁石の幅は、例えば4mmから56mmの間、好ましくは6mmから50mmの間、または8mmから40mmの間、より好ましくは10mmから20mmの間、例えば約19mmである。
【0055】
ロータの半径に沿って測定される凹部のくぼみの最大深さpは、0.01mmから対応する磁石の厚さhの間、特に0.05mmから3mmの間とすることができる。
【0056】
ロータの半径に沿って測定される凹部のくぼみの最大深さは、対応する永久磁石の凹面の中心に位置することができる。好ましくは、永久磁石は、永久磁石の中心で永久磁石と交差する面に対して対称であり、この面は、機械の回転軸およびロータの半径を通って延びる。一変形形態では、ロータの半径に沿って測定される凹部のくぼみの最大深さは、対応する永久磁石の凹面の中心以外の位置にある。永久磁石は、永久磁石の中心で永久磁石と交差する面に対して対称でなくてもよい。
【0057】
凹部の断面は、円形部または楕円形部とすることができる。円の半径または楕円の長軸は、例えば、0.1hから100hmmの間、特に4mmから56mmの間、より好ましくは6mmから40mmの間、例えば約13mmとすることができ、hが磁石の厚さである。
【0058】
凹面の凹部は、2つの平坦な側方部同士の間に配置され得る。略凹面における平坦な側方部の存在によって、ロータとステータとの間に十分な空隙を有しつつ、ステータの方に向いた磁石の面についてのくぼみから利点が引き出され得る。
【0059】
ロータの半径に対して垂直に測定される平坦な側方部の幅は、例えば、0から磁石の幅Lの間、好ましくは0.75mmから7mmの間、例えば約2mmである。
【0060】
凹部は、対応する磁石の全幅の20%から100%まで、好ましくは25%から90%の間、または40%から80%の間を構成することができる。1つの実施形態では、凹部は、対応する磁石の全幅の75%を構成する。平坦な側方部がない他の実施形態では、凹部は、対応する磁石の全幅の100%を構成する。
【0061】
ロータの永久磁石は、回転軸に沿って機械を見た場合、細長い形状の断面を有することができる。具体的には、ロータの永久磁石は、ロータの回転軸に沿って機械を見た場合、機械の半径に対して垂直方向に向いた長辺を有する略矩形の形状の断面を有することができる。
【0062】
ロータの永久磁石は、0.5から32dの間、特に1mmから20mmの間、好ましくは1.5mmから10mmの間、または2mmから5mmの間の、ロータの半径に沿って測定される厚さhを有することができ、dが空隙の最小幅である。
【0063】
ロータの半径に沿って測定される凹部のくぼみの最大深さと永久磁石の厚さとの比p/hは、例えば、0.01から0.9の間、好ましくは0.1から0.4の間である。
【0064】
ロータおよびステータは、それらの間に空隙をもたらす。空隙は、0.5mmから3mmの間、好ましくは0.6mmから1.4mmの間、例えば約0.9mmの、機械の半径に沿って測定される幅を有することができる。空隙は、好ましくは、ステータ内またはその周りにおけるロータの回転を可能にするために、5/10mmよりも大きい、好ましくは7/10mmよりも大きい。
【0065】
磁石の中心を通って延びる半径に沿って測定される空隙の幅dは、0.5mmから5mmの間、好ましくは0.75mmから3mmの間、例えば約1.6mmとすることができる。本発明による機械の場合、空隙は、磁石yの凹面のくぼみが最も深い限り、磁石の中心で最も幅広になり得る。
【0066】
内側ロータの場合にロータの外径に相当するロータの口径Dは、例えば、15mmから150mmの間、好ましくは20mmから120mmの間、例えば約105mmである。
【0067】
磁石は、モノリシックであっても、そうでなくてもよい。1つの実施形態では、ロータの極は、単一ブロックの永久磁石によって形成される。一変形形態では、ロータの極は、ロータの回転軸に沿った運動の間に交互に配置され得るいくつかの磁石によって形成される。
【0068】
永久磁石は、フェライト、プラストフェライト、希土類元素またはプラスト希土類元素(plasto rare earth)、またはAlNiCoから製造され得る。
【0069】
永久磁石は、粉から形成されてから機械加工され得る。
【0070】
ロータの極の永久磁石の残留誘導(remanent induction)は、0.2テスラから1.8テスラの間、好ましくは0.3テスラから1.5テスラの間、例えば約1.2テスラとすることができる。
【0071】
ロータの永久磁石は、ステータの方に向いた凹面の反対側に固定面を備える。固定面は平坦とすることができる。平坦面は、ロータ質量体上に磁石を設置し易くすることができる。一変形形態では、固定面は、凸状とすることができ、それによって機械の電磁的な性能レベルの向上が可能になる。固定面の凸面は、内側ロータの場合は回転軸の方、または外側ロータの場合は外側の方に向けられ得、それによって機械の電磁的な性能レベルの向上が可能になり得る。
【0072】
平坦面の場合、平坦面は、回転軸を通って延びかつ対応する磁石を中間長で横切る半径に対して垂直方向に向けられる。
【0073】
永久磁石は、接着結合によって、例えばロータ質量体の円筒面上またはハウジング内でロータのロータ質量体に固定され、ハウジングは、この目的のためにロータ質量体の表面に設けられ得る。一変形形態では、それらは、ロータ質量体の対応するハウジング内にクリンプされ(crimp)得る。ハウジングは、磁石の固定面の形状に従って平坦または凹状の表面を有することができる。
【0074】
ロータ質量体および/またはロータのシャフトは、磁性金属シートを積み重ねることによって製造され得る。
【0075】
ステータ
ステータは、集中巻線を有することができる。ステータは、歯と、歯上に配置されたコイルと、を備えることができる。したがって、ステータは、歯に巻き付けられ、換言すると、非分布巻きで巻き付けられ得る。一変形形態では、ステータは分布巻線を有することができる。
【0076】
ステータの歯は、極片を備えることができる。一変形形態では、ステータの歯は、極片を有さない場合もある。
【0077】
極片同士の間の円周方向に測定されるステータのノッチの開口は、適切な場合、例えば、
0.175mmからπDs-NLsmm(ミリメートル)の間であり、
ここで、Dsは、ステータの口径であり、
Nは、ステータの歯の数であり、かつ、
Lsは、ステータの歯の幅であり、
例えば、8mm未満、特に0.5から3mmの間、例えば約1.5mmである。
【0078】
ステータの歯は、特に内側ロータの場合、凹形ロータの方に向いた端面を有することができる。一変形形態では、外側ロータの場合、ステータの歯は、凸形ロータの方に向いた端面を有することができる。
【0079】
ステータの歯の端面は、例えば、機械の回転軸Xの歯のピークを隔てる距離に相当する湾曲の半径を有することができる円筒部とすることができる。
【0080】
外側ステータの場合、ステータの内径に相当するステータの口径Dsは、例えば、20mmから220mmの間、好ましくは25mmから160mmの間、例えば約110mmである。
【0081】
ステータの歯は、一片であってもよい、または一変形形態では材料のブリッジによって互いに連結された一連の歯によってもしくは複数の別個の歯によって形成され得る、ステータのシリンダヘッド(cylinder head)を形成する。いずれの場合においても、ステータは、シリンダヘッドを囲繞する外側フレームを備えることができる。
【0082】
ステータの歯は、誘導電流による損失を制限するために、絶縁塗料でそれぞれ覆われた磁性金属シートの積層体で製造され得る。
【0083】
1つの実施形態では、ステータは、18の歯を備えることができる。
【0084】
ステータは、その2つの端部間に任意の角度オフセットを備えなくてもよい。
【0085】
機械
機械は、発電機またはモータを構成することができる。
【0086】
本発明による回転電気機械は、例えば40mmから280mmの間、好ましくは50mmから220mmの間、例えば約185mmの外径を有することができる。直径は、例えば、240mm以下、特に40mmから190mmの間とすることができる。
【0087】
機械の電力は、0.1kWから1.5kWの間、例えば約0.75kWとすることができ、この値は、限定的なものではない。
【0088】
機械は、単一の内側ロータ、または一変形形態では単一の外側ロータ、または他の変形形態では径方向においてステータの一方側と他方側とに配置されかつ回転という観点から結合された内側ロータと外側ロータとを備えることができる。
【0089】
極あたりおよび相あたりのノッチの数は、整数または分数とすることができる。
【0090】
ロータの極の数Pは、例えば、4から40の間であり、ステータの歯の数Sは、例えば6から48の間である。
【0091】
機械は、閉じられていなくてもよい。
【0092】
本発明はさらに、電動化のために上述したような回転電気機械を備えるロボットに関する。
【0093】
本発明は、以下にある本発明の非限定的な実施形態の詳細な説明を読み添付の図面を考察すればより良く理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0094】
図1】本発明による回転電気機械の部分概略図である。
図1a図1のロータの概略的な部分斜視図である。
図2a図1の機械の永久磁石の断面図である。
図2b図1の機械の永久磁石の縦断面図である。
図3】一変形形態の図1と同様の図である。
図4】一変形形態の部分概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0095】
図1および図1aは、外側ステータ10と内側ロータ20とを備える、本発明による回転電気機械1を示す。内側ロータ20は、シャフト21を備えるロータ質量体25と、ロータ質量体25の表面に配置された永久磁石22と、を備える。
【0096】
ステータ10は、記載の例では、集中巻線を有する。ステータ10は、歯11を備え、歯11は、対応する歯上に配置された個別のコイル12をそれぞれ支持する。コイル12は、三相電流によって供給されるように互いに電気的に接続されている。
【0097】
ステータの歯は、極片13を備える。極片13間の円周方向に測定されるステータのノッチの開口oは、例えば、約1.5mmである。
【0098】
ステータの内径に相当するステータの口径は、約90mmである。
【0099】
ステータは、シリンダヘッドを囲繞する図には示されない外側フレームをさらに備える。
【0100】
ロータのシャフト21は、大質量であり、その中心は中空であり、空間27をもたらす。
【0101】
本発明によれば、図2aおよび図2bに詳しく示されるように、ロータの永久磁石22は、ステータの方に向いた略凹形の形状の面23を備える。ステータの方に向いた磁石の面23は、磁石における機械の回転軸Xとは反対の面に相当する。
【0102】
ロータの永久磁石22の凹面23は、凹部24を備える。
【0103】
断面において、ロータの半径に対して垂直方向に測定される凹部24の幅lは、記載の例では、約9mmである。
【0104】
断面において、回転軸に対して垂直方向に測定されるロータの永久磁石22の幅Lは、約19mmである。
【0105】
断面において、ロータの半径に沿って測定される凹部のくぼみの最大幅pは、約0.5mmである。
【0106】
ロータの半径に沿って測定される凹部のくぼみの最大深さは、記載の例では、対応する永久磁石の凹面の中心に位置する。永久磁石は、永久磁石の中心で永久磁石と交差する面Pに対して対称であり、この面は、機械の回転軸およびロータの半径を通る。
【0107】
凹部24は、記載の例では、断面において、約20mmの半径Rを有する円形部である。
【0108】
凹面23の凹部24は、2つの平坦な側方部26の間に配置される。
【0109】
断面において、ロータの半径に対して垂直方向に測定される平坦な側方部の幅eは、約2mmである。
【0110】
凹部は、記載の例では、対応する磁石の全幅の約75%を構成する。
【0111】
ロータの永久磁石は、回転軸に沿って機械を見た場合、長辺が機械の半径に対して垂直方向に向いた略矩形の断面を有する。
【0112】
ロータの永久磁石22は、断面において、ロータの半径に沿って測定される約3mmの厚さhを有する。
【0113】
ロータの半径に沿って測定される凹部のくぼみの最大深さpと永久磁石22の厚さhとの比p/hは、約0.2である。
【0114】
ロータおよびステータは、それらの間に空隙30をもたらす。空隙は、断面において、約0.9mmの、機械の半径に沿って測定される幅を有する。断面において、磁石22の中心を通って延びる半径に沿って測定される空隙の幅dは、約1.5mmである。
【0115】
ロータの外径に相当するロータの口径は、約50mmである。
【0116】
ロータの永久磁石22は、ステータの方に向いた凹面23の反対側に、記載の例では平坦形状の固定面28を備える。平坦面は、回転軸を通って延びかつ対応する磁石を中間長で横切る半径に対して垂直方向に向けられる。
【0117】
永久磁石22は、接着結合によって、ハウジング29内でロータ質量体25に固定され、ハウジング29は、この目的のためにロータ質量体25の表面に設けられる。ハウジング29は、磁石の固定面の形状に対応する平坦面を有する。
【0118】
凹面23は、上記に示されるように1つまたは複数の凹部24と1つまたは複数の平坦部26とを備え、または図3の例により示されるように完全に凹状であってもよい。
【0119】
この例では、平坦な側方部がなく、凹部24は、対応する磁石の全幅の100%を構成する。
【0120】
本発明によれば、図1aで見ることができるように、ロータ20の永久磁石22は、ロータの極を形成する。同じ極の永久磁石は、図1aに示されるように、機械の2つの長手方向端間に角度オフセットαを有する。
【0121】
記載の例では、ロータ質量体は、ソケット35を備え、ソケットには、例えば接着結合によって永久磁石が固定される。ソケットは、例えば接着結合によって、機械の滑らかであり得るシャフト21に固定され得る。
【0122】
ソケット35は、金属シートの積層体によって形成され得る。ソケット35は、ロータのすべての永久磁石を支持する単一のものとすることができる。一変形形態では、ロータ質量体は、複数のソケットを備えることができる。
【0123】
さらに、ロータの各極は、特定の角度だけ互いに対して角度的にオフセットされた2つの永久磁石22を備える。永久磁石は、直線状であり、すなわち捩じられていない。
【0124】
同じ極の2つの連続した磁石同士の間の角度オフセットαは、記載の例では、1.25°である。さらに、同じ極の最初の磁石と最後の磁石との間の角度オフセットは、この例では、1.25°である。
【0125】
このように、ロータは、永久磁石22の複数の円周方向列、すなわちこの例では2列を備える。同じ円周方向列のすべての永久磁石22が、上述した同じソケット35に固定される。
【0126】
したがって、ロータは、ソケット35および円周方向列に配置された永久磁石22からそれぞれ構成される2つの組立体を備える。2つの組立体は、全く同じであり得る。
【0127】
記載の例では、それらはともに、機械の横断面に対して互いに対して対称に配置される。そのような構成は、一方の組立体を他方に対してひっくり返すことによる角度オフセットの生成を可能にする。
【0128】
この目的のため、ソケット35は、ソケット35が機械のシャフト21周りでクランプされ得るようにするため、ロッドのための2つの貫通孔36を備える。孔36は、一方のソケット35が他方のソケット35に対して対称的に配置されるとき、それらソケットが支持する永久磁石同士の間に角度オフセットが得られるように配置される。
【0129】
孔36は、磁石の中央の下および中央に位置する。それらは、実質的に180°だけ互いに対してオフセットされる。これらの2つの孔36は、磁石の中心の軸に精確に位置せず、代わりに、角度オフセットの半分に等しい角度、すなわち例えば0.625°だけオフセットされる。各ソケットは全く同じであり、軸X周りに180°だけ2つのソケットのうちの1つをひっくり返すことによって、ソケット同士の間に角度オフセットが生じる。
【0130】
一変形形態では、接着結合なしに、ソケットを食い込ませる(fret)こともできる。食い込ませることは、ソケットを膨張させてシャフトに嵌合するために、非常に狭い内径のソケットを加熱することを含む。他の可能性は、シャフトに磁石のハウジングを直接機械加工することである。
【0131】
図4に示される一変形形態では、各極は、機械の軸Xに対して角度αだけ傾けられた長手方向軸Yに沿って延在する捩じられた永久磁石22を備えることができる。この例では、各極は、単一の捩じられた磁石を備えるが、一変形形態では、複数を備えることができる。
【0132】
このように、永久磁石22の2つの長手方向端間のそれぞれに角度オフセットαがある。各永久磁石22の2つの長手方向端間のそれぞれの角度オフセットαは、例えば2.5°である。
【0133】
検討例では、ロータは、16の極を備え、ステータは、18の歯を備える。その数が異なっても本発明の範囲から逸脱しない。
【0134】
本発明は、上述した実施形態に限定されず、ロータは、例えば、異なる数の極を備えることができ、それは、ステータの歯にも適用される。
【0135】
さらに、記載の例ではロータは内側であるが、ロータが外側にある場合、または、機械が、径方向においてステータの一方側と他方側とにそれぞれ配置されかつ回転という観点から結合された内側ロータと外側ロータとの両方を備える場合も、本発明の範囲内に留まる。
【0136】
機械は、モータとしてだけでなく、例えばエネルギー回収を行うために発電機として使用されてもよい。
【0137】
本発明による機械は、ロボットの電動化以外の用途を有することもできる。
【符号の説明】
【0138】
1 回転電気機械
10 外側ステータ
11 歯
12 コイル
13 極片
20 内側ロータ
21 シャフト
22 永久磁石
23 面、凹面
24 凹部
25 ロータ質量体
26 側方部、平坦部
27 空間
28 固定面
29 ハウジング
30 空隙
35 ソケット
36 貫通孔
Ds ステータの口径
ロータの口径
d 空隙の最小幅
空隙の幅
e 側方部の幅
h 磁石の厚さ、永久磁石の厚さ
L 磁石の幅、永久磁石の幅
Ls ステータの歯の幅
l 凹部の幅
N ステータの歯の数
o 開口
P 交差する面
p 凹部のくぼみの最大深さ、凹部のくぼみの最大幅
R 半径
S 歯の数
X 軸、回転軸
Y 長手方向軸
α 角度オフセット、角度
図1
図1a
図2a
図2b
図3
図4
【外国語明細書】