(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023089839
(43)【公開日】2023-06-28
(54)【発明の名称】水処理装置及び水処理方法
(51)【国際特許分類】
C02F 3/34 20230101AFI20230621BHJP
【FI】
C02F3/34 101B
C02F3/34 101C
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021204589
(22)【出願日】2021-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】000004400
【氏名又は名称】オルガノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】油井 啓徳
(72)【発明者】
【氏名】畠中 玄彦
【テーマコード(参考)】
4D040
【Fターム(参考)】
4D040BB24
4D040BB42
4D040BB54
4D040BB82
4D040BB91
4D040DD03
(57)【要約】
【課題】アンモニア性窒素を含む被処理水を生物処理によって硝化する水処理において、装置の立ち上げの際にかかる人手を減らし、装置の立ち上げを自動的に行うことができる水処理装置を提供する。
【解決手段】水処理装置1は、アンモニア性窒素を含む被処理水を独立栄養性細菌により硝化処理する生物処理槽12と、前記被処理水を生物処理槽12に供給する被処理水用ポンプ18と、生物処理槽12により処理された処理水中のアンモニア性窒素濃度を測定するアンモニア性窒素濃度計16と、アンモニア性窒素濃度計16により測定された前記アンモニア性窒素濃度に基づいて、被処理水用ポンプ18による前記被処理水の供給及び停止を制御する制御装置14と、を備えることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンモニア性窒素を含む被処理水を独立栄養性細菌により硝化処理する生物処理槽と、
前記被処理水を前記生物処理槽に供給する被処理水供給手段と、
前記生物処理槽により処理された処理水中のアンモニア性窒素濃度を測定するアンモニア性窒素濃度測定手段と、
前記被処理水供給手段による前記被処理水の供給及び停止を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記アンモニア性窒素濃度測定手段により測定された前記アンモニア性窒素濃度が第1閾値以上となった場合に、前記被処理水供給手段を制御して、前記被処理水の供給を停止させ、当該停止後、前記アンモニア性窒素濃度測定手段により測定された前記アンモニア性窒素濃度が第2閾値以下となった場合に、前記被処理水供給手段を制御して、前記被処理水の供給を再開させることを特徴とする水処理装置。
【請求項2】
アンモニア性窒素を含む被処理水を独立栄養性細菌により硝化処理する生物処理槽と、
原水にアンモニア性窒素源を供給するアンモニア性窒素源供給手段と、
前記アンモニア性窒素源供給手段により前記アンモニア性窒素源が供給された原水を前記被処理水として前記生物処理槽に供給する被処理水供給手段と、
前記生物処理槽により処理された処理水中のアンモニア性窒素濃度を測定するアンモニア性窒素濃度測定手段と、
前記アンモニア性窒素源供給手段による前記アンモニア性窒素源の供給及び停止を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記アンモニア性窒素濃度測定手段により測定された前記アンモニア性窒素濃度が第1閾値以上となった場合に、前記アンモニア性窒素源供給手段を制御して、前記アンモニア性窒素源の供給を停止させ、当該停止後、前記アンモニア性窒素濃度測定手段により測定された前記アンモニア性窒素濃度が第2閾値以下となった場合に、前記アンモニア性窒素源供給手段を制御して、前記アンモニア性窒素源の供給を再開させることを特徴とする水処理装置。
【請求項3】
前記第2閾値は1mg/L未満であることを特徴とする請求項1又は2に記載の水処理装置。
【請求項4】
前記生物処理槽により処理された処理水をろ過するろ過手段を備え、
前記アンモニア性窒素濃度測定手段は、前記ろ過手段によりろ過されたろ過水中のアンモニア性窒素濃度を測定することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の水処理装置。
【請求項5】
前記生物処理槽に栄養塩を供給する栄養塩供給手段を備え、
前記制御手段は、前記生物処理槽のアンモニア性窒素負荷量に基づいて、前記栄養塩供給手段による前記栄養塩の供給量を制御することを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の水処理装置。
【請求項6】
前記被処理水は、100mg/L以上のカルシウムを含むことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の水処理装置。
【請求項7】
前記第1閾値は、前記生物処理槽内のpHに基づいて設定されることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の水処理装置。
【請求項8】
生物処理槽において、アンモニア性窒素を含む被処理水を独立栄養性細菌により硝化処理する生物処理工程と、
被処理水供給手段により、前記被処理水を前記生物処理槽に供給する被処理水供給工程と、
アンモニア性窒素濃度測定手段により、前記生物処理槽により処理された処理水中のアンモニア性窒素濃度を測定するアンモニア性窒素濃度測定工程と、
制御手段により、前記被処理水供給手段による前記被処理水の供給及び停止を制御する制御工程と、を備え、
前記制御工程では、前記制御手段は、前記アンモニア性窒素濃度測定手段により測定された前記アンモニア性窒素濃度が第1閾値以上となった場合に、前記被処理水供給手段を制御して、前記被処理水の供給を停止させ、当該停止後、前記アンモニア性窒素濃度測定手段により測定された前記アンモニア性窒素濃度が第2閾値以下となった場合に、前記被処理水供給手段を制御して、前記被処理水の供給を再開させることを特徴とする水処理方法。
【請求項9】
生物処理槽において、アンモニア性窒素を含む被処理水を独立栄養性細菌により硝化処理する生物処理工程と、
アンモニア性窒素源供給手段により、原水にアンモニア性窒素源を供給するアンモニア性窒素源供給工程と、
被処理水供給手段により、前記アンモニア性窒素源供給手段により前記アンモニア性窒素源が供給された原水を前記被処理水として前記生物処理槽に供給する被処理水供給工程と、
アンモニア性窒素濃度測定手段により、前記生物処理槽により処理された処理水中のアンモニア性窒素濃度を測定するアンモニア性窒素濃度測定工程と、
制御手段により、前記アンモニア性窒素源供給手段による前記アンモニア性窒素源の供給及び停止を制御する制御工程と、を備え、
前記制御工程では、前記制御手段は、前記アンモニア性窒素濃度測定手段により測定された前記アンモニア性窒素濃度が第1閾値以上となった場合に、前記アンモニア性窒素源供給手段を制御して、前記アンモニア性窒素源の供給を停止させ、当該停止後、前記アンモニア性窒素濃度測定手段により測定された前記アンモニア性窒素濃度が第2閾値以下となった場合に、前記アンモニア性窒素源供給手段を制御して、前記アンモニア性窒素源の供給を再開させることを特徴とする水処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アンモニア性窒素を含む被処理水を処理する水処理装置及び水処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、集積回路(IC)等の半導体製造工程等では、フッ酸、アンモニア、硝酸等が使用されるため、その工程からの廃液として、フッ素(フッ酸)、窒素(アンモニア、硝酸)等を含む廃水が排出される。
【0003】
廃水中のフッ素は物理化学的に、例えばカルシウムを添加することによってフッ化カルシウムとして除去されるのが一般的である。廃水中のフッ素を充分に除去するためには、相当量のカルシウムイオンが添加されることが望ましい。一般に、フッ素除去処理水中のフッ素濃度の目標濃度は10mg/L以下程度とされるが、この場合には、フッ素除去処理水中の残留カルシウム濃度を100~1000mg/L程度にすることが望ましい。
【0004】
窒素の除去としては、一般的に生物学的脱窒処理が採用される。この生物学的脱窒処理は、通性嫌気性細菌である脱窒菌の無酸素状態における硝酸呼吸を利用して窒素を除去する方法である。この生物学的脱窒処理においては、例えば、まず廃水を硝化処理して廃水中のアンモニア性窒素を亜硝酸性窒素または硝酸性窒素とし、その後、メタノール等の水素供与体を添加して無酸素状態とすることによって脱窒処理を行う。
【0005】
廃水中のフッ素や窒素は、上述したようなフッ素除去と窒素除去とを組み合わせることによって除去される。フッ素を多量に含む廃水は、細菌を用いた生物処理に対して悪影響を与えるので、廃水中のフッ素を除去した後に生物学的脱窒処理が行われる。したがって、生物学的脱窒処理の対象となる廃水はカルシウムを多量に含むことが多い(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
廃水の硝化処理は、例えば、活性汚泥法、生物膜法(例えば、固定床方式や流動床方式)やグラニュール法が用いられる。一般的に、活性汚泥法では、低負荷処理(例えば0.1~0.3kg-N/(m3・d))が行われ、生物膜法やグラニュール法では、高負荷処理(例えば0.5~1.0kg-N/(m3・d))が行われる(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
このような硝化処理を行う装置の立ち上げの際には、1日に1回または数回、生物処理槽で硝化処理された処理水を採水し、手分析によりアンモニア性窒素濃度を測定し、アンモニア性窒素濃度が十分に下がったと判断した段階で負荷を与え、硝化の活性を高めていく方法が一般的である。しかし、この方法では、立ち上げ期間中、分析や負荷量の調整に人手を必要とした。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第4865211号公報
【特許文献2】特開平08-126897号公報
【特許文献3】特開2008-036558号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本開示は、アンモニア性窒素を含む被処理水を生物処理によって硝化する水処理において、装置の立ち上げの際にかかる人手を減らし、装置の立ち上げを自動的に行うことができる水処理装置および水処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の一態様に係る水処理装置は、アンモニア性窒素を含む被処理水を独立栄養性細菌により硝化処理する生物処理槽と、前記被処理水を前記生物処理槽に供給する被処理水供給手段と、前記生物処理槽により処理された処理水中のアンモニア性窒素濃度を測定するアンモニア性窒素濃度測定手段と、前記被処理水供給手段による前記被処理水の供給及び停止を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記アンモニア性窒素濃度測定手段により測定された前記アンモニア性窒素濃度が第1閾値以上となった場合に、前記被処理水供給手段を制御して、前記被処理水の供給を停止させ、当該停止後、前記アンモニア性窒素濃度測定手段により測定された前記アンモニア性窒素濃度が第2閾値以下となった場合に、前記被処理水供給手段を制御して、前記被処理水の供給を再開させることを特徴とする。
【0011】
また、本開示の一態様に係る水処理装置は、アンモニア性窒素を含む被処理水を独立栄養性細菌により硝化処理する生物処理槽と、原水にアンモニア性窒素源を供給するアンモニア性窒素源供給手段と、前記アンモニア性窒素源供給手段により前記アンモニア性窒素源が供給された原水を前記処理水として前記生物処理槽に供給する被処理水供給手段と、前記生物処理槽により処理された処理水中のアンモニア性窒素濃度を測定するアンモニア性窒素濃度測定手段と、前記アンモニア性窒素源供給手段による前記アンモニア性窒素源の供給及び停止を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記アンモニア性窒素濃度測定手段により測定された前記アンモニア性窒素濃度が第1閾値以上となった場合に、前記アンモニア性窒素源供給手段を制御して、前記アンモニア性窒素源の供給を停止させ、当該停止後、前記アンモニア性窒素濃度測定手段により測定された前記アンモニア性窒素濃度が第2閾値以下となった場合に、前記アンモニア性窒素源供給手段を制御して、前記アンモニア性窒素源の供給を再開させることを特徴とする。
【0012】
また、前記水処理装置において、前記第2閾値は1mg/L未満であることが好ましい。
【0013】
また、前記水処理装置において、前記生物処理槽により処理された処理水をろ過するろ過手段を備え、前記アンモニア性窒素濃度測定手段は、前記ろ過手段によりろ過されたろ過水中のアンモニア性窒素濃度を測定することが好ましい。
【0014】
また、前記水処理装置において、前記生物処理槽に栄養塩を供給する栄養塩供給手段を備え、前記制御手段は、前記生物処理槽のアンモニア性窒素負荷量に基づいて、前記栄養塩供給手段による前記栄養塩の供給量を制御することが好ましい。
【0015】
また、前記水処理装置において、前記被処理水は、100mg/L以上のカルシウムを含むことが好ましい。
【0016】
また、前記水処理装置において、前記第1閾値は、前記生物処理槽内のpHに基づいて設定されることが好ましい。
【0017】
また、本開示の一態様に係る水処理方法は、生物処理槽において、アンモニア性窒素を含む被処理水を独立栄養性細菌により硝化処理する生物処理工程と、被処理水供給手段により、前記被処理水を前記生物処理槽に供給する被処理水供給工程と、アンモニア性窒素濃度測定手段により、前記生物処理槽により処理された処理水中のアンモニア性窒素濃度を測定するアンモニア性窒素濃度測定工程と、制御手段により、前記被処理水供給手段による前記被処理水の供給及び停止を制御する制御工程と、を備え、前記制御工程では、前記制御手段は、前記アンモニア性窒素濃度測定手段により測定された前記アンモニア性窒素濃度が第1閾値以上となった場合に、前記被処理水供給手段を制御して、前記被処理水の供給を停止させ、当該停止後、前記アンモニア性窒素濃度測定手段により測定された前記アンモニア性窒素濃度が第2閾値以下となった場合に、前記被処理水供給手段を制御して、前記被処理水の供給を再開させることを特徴とする。
【0018】
また、本開示の一態様に係る水処理方法は、生物処理槽において、アンモニア性窒素を含む被処理水を独立栄養性細菌により硝化処理する生物処理工程と、アンモニア性窒素源供給手段により、原水にアンモニア性窒素源を供給するアンモニア性窒素源供給工程と、被処理水供給手段により、前記アンモニア性窒素源供給手段により前記アンモニア性窒素源が供給された原水を前記被処理水として前記生物処理槽に供給する被処理水供給工程と、アンモニア性窒素濃度測定手段により、前記生物処理槽により処理された処理水中のアンモニア性窒素濃度を測定するアンモニア性窒素濃度測定工程と、制御手段により、前記アンモニア性窒素源供給手段による前記アンモニア性窒素源の供給及び停止を制御する制御工程と、を備え、前記制御工程では、前記制御手段は、前記アンモニア性窒素濃度測定手段により測定された前記アンモニア性窒素濃度が第1閾値以上となった場合に、前記アンモニア性窒素源供給手段を制御して、前記アンモニア性窒素源の供給を停止させ、当該停止後、前記アンモニア性窒素濃度測定手段により測定された前記アンモニア性窒素濃度が第2閾値以下となった場合に、前記アンモニア性窒素源供給手段を制御して、前記アンモニア性窒素源の供給を再開させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本開示によれば、アンモニア性窒素を含む被処理水を生物処理によって硝化する水処理において、装置の立ち上げの際にかかる人手を減らし、装置の立ち上げや硝化活性の回復を自動的に行うことができる水処理装置および水処理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本実施形態に係る水処理装置の一例を示す概略構成図である。
【
図2】制御装置による制御フローの一例を示すフローチャートである。
【
図3】制御装置による制御フローの他の一例を示すフローチャートである。
【
図4】本実施形態に係る水処理装置の他の一例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本開示の実施形態について以下説明する。本実施形態は本開示を実施する一例であって、本開示を限定するものではない。
【0022】
図1は、本実施形態に係る水処理装置の一例を示す概略構成図である。
図1に示す水処理装置1は、アンモニア性窒素を含む被処理水に対して、活性汚泥法、生物膜法またはグラニュール法等による生物処理によって硝化処理を行う装置である。
【0023】
図1に示す水処理装置1は、被処理水槽10、生物処理槽12、制御装置14、アンモニア性窒素濃度計16、被処理水用ポンプ18、アンモニア性窒素源用ポンプ20、配管21a,21b,21c,21d、タンク22、pH計23を有する。また、生物処理槽12の底部には散気装置24が設置されている。また、生物処理槽12には、処理水出口を取り囲むようにスクリーン26が設置されている。アンモニア性窒素濃度計16及びpH計23は生物処理槽12内に設置されている。アンモニア性窒素濃度計16は、生物処理槽12で処理された処理水の濃度を計測するために使用される。アンモニア性窒素濃度計16は
図1に示すように、生物処理槽12の出口近傍に設置されることが好ましい。
【0024】
被処理水槽10の入口には配管21aが接続されている。また、被処理水槽10の出口には配管21bの一端が接続され、生物処理槽12の入口には配管21bの他端が接続されている。配管21bには被処理水用ポンプ18が設置されている。生物処理槽12の出口には配管21cが接続されている。被処理水槽10には配管21dの一端が接続され、タンク22には配管21dの他端が接続されている。配管21dにはアンモニア性窒素源用ポンプ20が設置されている。タンク22内には、アンモニア性窒素源としてのアンモニウム塩、或いはアンモニウム塩溶解液等が収容されている。アンモニウム塩としては、例えば、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム等が挙げられる
【0025】
制御装置14は、有線または無線の電気的接続等によって、アンモニア性窒素濃度計16、pH計23、被処理水用ポンプ18、アンモニア性窒素源用ポンプ20と接続されている。なお、図での説明は省略するが、生物処理槽12に水温センサを設置している場合には、制御装置14は水温センサと接続されていてもよい。
【0026】
制御装置14は、例えば、プログラムを演算するCPU、プログラムや演算結果を記憶するROMおよびRAMから構成されるマイクロコンピュータと電子回路等で構成され、ROM等に記憶された所定のプログラムを読み出し、当該プログラムを実行して、水処理装置1の動作を制御する。例えば、アンモニア性窒素濃度計16により測定されたアンモニア性窒素濃度に基づいて、被処理水用ポンプ18の作動を制御したり、アンモニア性窒素源用ポンプ20の作動を制御したりする。
【0027】
本実施形態に係る水処理装置1の動作について説明する。
【0028】
原水(例えばアンモニア性窒素を含む被処理水)が、配管21aを通って、被処理水槽10に貯留される。制御装置14は、必要に応じて、アンモニア性窒素源用ポンプ20を作動させて、タンク22内のアンモニア性窒素源を、配管21dを通して被処理水槽10に添加する。装置の立ち上げの際(硝化処理の立ち上げの際)、例えば、工場から排出される被処理水の流量やアンモニア性窒素の濃度が安定しない場合、もしくは早期に装置の立ち上げが必要な場合等において、アンモニア性窒素源の添加を行うことが望ましい。
【0029】
制御装置14は、被処理水用ポンプ18を作動させて、被処理水槽10内のアンモニア性窒素を含む被処理水を、配管21bを通して生物処理槽12に供給する。生物処理槽12内では、散気装置24によって空気等の酸素含有気体の供給が行われ、被処理水と独立栄養細菌とが混合される。そして、生物処理槽12内で、被処理水中のアンモニア性窒素が、好気条件で、独立栄養細菌による生物処理(硝化処理)によって硝化される。アンモニア性窒素は、独立栄養細菌によりを亜硝酸性窒素および硝酸性窒素の少なくとも1つにまで硝化処理される。硝化処理された処理水は、配管21cを取って系外に排出される。
【0030】
図2は、制御装置による制御フローの一例を示すフローチャートである。ステップS10では、制御装置14は、被処理水用ポンプ18を作動させて、前述したように、生物処理槽12にアンモニア性窒素を含む被処理水を供給しながら、硝化処理を行い、処理水を排出する。ステップS12では、アンモニア性窒素濃度計16により、生物処理槽12で硝化処理された処理水中のアンモニア性窒素濃度を測定する。そして、制御装置14には、予め設定された第1閾値が記憶されており、制御装置14は、測定されたアンモニア性窒素濃度と第1閾値を比較する。測定されたアンモニア性窒素濃度が第1閾値未満の場合には、ステップS10に戻る。一方、測定されたアンモニア性窒素濃度が第1閾値以上の場合には、ステップS14に進み、制御装置14は、被処理水用ポンプ18の作動を停止して、生物処理槽12への被処理水の供給を停止する。なお、アンモニア性窒素濃度が第1閾値以上となってから、被処理水用ポンプ18の作動を停止するまでの間は、アンモニア性窒素濃度の高い処理水が配管21cから排出される。したがって、本制御フローを行う間は、配管21cを流れる処理水を被処理水槽10に返送する配管を設ける、或いは配管21cを流れる処理水中のアンモニア性窒素濃度が放流基準以下となるように、処理水を希釈することが望ましい。
【0031】
次に、ステップS16では、生物処理槽12への被処理水の供給を停止しながら、生物処理槽12内での硝化処理を継続する。したがって、時間経過と共に、生物処理槽12内のアンモニア性窒素濃度は低下していく。ステップS18では、アンモニア性窒素濃度計16により、生物処理槽12で硝化処理された処理水中のアンモニア性窒素濃度を測定する。そして、制御装置14には、予め設定された第2閾値が記憶されており、制御装置14は、測定されたアンモニア性窒素濃度と第2閾値を比較する。測定されたアンモニア性窒素濃度が第2閾値超の場合には、ステップS16に戻る。一方、測定されたアンモニア性窒素濃度が第2閾値以下の場合には、ステップS20に進み、制御装置14は、被処理水用ポンプ18を作動させて、生物処理槽12へのアンモニア性窒素を含む被処理水の供給を再開する。すなわち、生物処理槽12にアンモニア性窒素を含む被処理水を供給しながら、硝化処理を行い、処理水を排出する。ここで、
図2のフローチャートでは、説明の便宜上、生物処理槽12へのアンモニア性窒素を含む被処理水の供給を再開して、制御を終了としているが、装置の立ち上げ期間中は、生物処理槽12へのアンモニア性窒素を含む被処理水の供給を再開した後、ステップS10に戻る。すなわち、装置の立ち上げ期間中は、ステップS10~ステップS20のフローを1サイクルとして、このサイクルを繰り返し行う。
【0032】
そして、例えば、装置の立ち上げから所定時間経過後やアンモニア性窒素の除去速度が所定値に達した段階で、装置の立ち上げ期間を終了とする。装置の立ち上げ期間終了の判定は、制御装置14が行ってもよいし、作業者が行ってもよい。すなわち、制御装置14又は作業者が、例えば、装置の立ち上げ時間を計測したり、アンモニア性窒素の除去速度を測定したりして、装置の立ち上げ期間の終了を判定する。なお、装置の立ち上げ期間終了後は、例えば、生物処理槽12へ供給するアンモニア性窒素を含む被処理水を連続供給して、連続的に硝化処理を行う。その際、アンモニア性窒素を含む被処理水の流量を上げて、生物処理槽12のアンモニア性窒素負荷量を上げてもよい。なお、被処理水の流量を細かく調整する必要がある場合は、被処理水用ポンプ18をインバーター制御すればよい。
【0033】
アンモニア性窒素源を供給する場合には、生物処理槽12により処理された処理水中のアンモニア性窒素濃度に基づいて、アンモニア性窒素源の供給及び停止を制御してもよい。以下、具体的に説明する。
【0034】
図3は、制御装置による制御フローの他の一例を示すフローチャートである。ステップS30では、制御装置14は、アンモニア性窒素源用ポンプ20を作動させて、被処理水槽10にアンモニア性窒素源を供給し、被処理水にアンモニア性窒素源を添加する。ステップS32では、制御装置14は、被処理水用ポンプ18を作動させて、生物処理槽12にアンモニア性窒素を含む被処理水を供給しながら、硝化処理を行い、処理水を排出する。ステップS34では、アンモニア性窒素濃度計16により、生物処理槽12で硝化処理された処理水中のアンモニア性窒素濃度を測定する。そして、制御装置14は、測定されたアンモニア性窒素濃度と予め設定された第1閾値を比較する。測定されたアンモニア性窒素濃度が第1閾値未満の場合には、ステップS32に戻る。一方、測定されたアンモニア性窒素濃度が第1閾値以上の場合には、ステップS36に進み、制御装置14は、アンモニア性窒素源用ポンプ20の作動を停止し、アンモニア性窒素源の供給を停止する。
【0035】
次に、ステップS38では、被処理水槽10へのアンモニア性窒素源の供給を停止した状態で、生物処理槽12への被処理水の供給を続けて、生物処理槽12内での硝化処理及び処理水の排出を継続する。ステップS40では、アンモニア性窒素濃度計16により、生物処理槽12で硝化処理された処理水中のアンモニア性窒素濃度を測定する。そして、制御装置14は、測定されたアンモニア性窒素濃度と第2閾値を比較する。測定されたアンモニア性窒素濃度が第2閾値超の場合には、ステップS36に戻る。一方、測定されたアンモニア性窒素濃度が第2閾値以下の場合には、ステップS42に進み、制御装置14は、アンモニア性窒素源用ポンプ20を作動させて、被処理水槽10へのアンモニア性窒素源の供給を再開する。そして、生物処理槽12にアンモニア性窒素を含む被処理水を供給しながら、硝化処理を行い、処理水を排出する。
図3のフローチャートにおいても、説明の便宜上、被処理水槽10へのアンモニア性窒素源の供給を再開して、制御を終了としているが、装置の立ち上げ期間中は、被処理水槽10へのアンモニア性窒素源を再開した後、ステップS30に戻る。すなわち、ステップS30~ステップS42のフローを1サイクルとして、このサイクルを繰り返し行う。そして、例えば、装置の立ち上げから所定時間経過後やアンモニア性窒素の除去速度が所定値に達した段階で、装置の立ち上げ期間を終了とする。装置の立ち上げ期間終了については前述の通りである。
【0036】
ステップS36において、アンモニア性窒素源用ポンプ20の作動停止を継続しても、アンモニア性窒素濃度が第2閾値以下とならない場合、すなわち、ステップS36~S40が繰り返し行われ、ステップS42に進まない場合がある。このような場合を避けるために、例えば、制御装置14は、アンモニア性窒素源用ポンプ20の停止時間を計測し、計測した時間が所定時間を超える場合には、ステップS36において、アンモニア性窒素源用ポンプ20の作動停止を継続しながら、被処理水用ポンプ18の作動を停止して、生物処理槽12への被処理水の供給を停止してよい。そして、ステップS38では、被処理水槽10へのアンモニア性窒素源の供給停止及び生物処理槽12への被処理水の供給を停止しながら、生物処理槽12内での硝化処理を継続する。このような操作により、生物処理槽12内のアンモニア性窒素濃度が第2閾値以下となり易い状態になるため、ステップS42に進みやすくなる。
【0037】
以上のような運転により、装置の立ち上げの際にかかる人手を減らし、装置の立ち上げを自動的に行うことができる。
【0038】
第2閾値は、装置の早期立ち上げを可能とする点で、1mg/L未満の範囲で設定されることが好ましく、0.1mg/L~0.8mg/Lの範囲で設定されることがより好ましい。
【0039】
第1閾値は、生物処理槽12から排出される処理水の水質等を考慮して、例えば、5~50mg/Lの範囲で設定されることが好ましい。或いは、第1閾値は、生物処理槽12内のpH値に基づいて設定されることが好ましい。例えば、制御装置14に、pH値と閾値との関係を規定したマップ(関係式やテーブル等でもよい)を記憶させておく。そして、制御装置14は、pH計23により測定された生物処理槽12内のpH値を受け取り、当該pH値を前述のマップに当てはめて、閾値を算出する。制御装置14は、算出した閾値を第1閾値として設定する。pH値に基づいて、第1閾値を設定することにより、硝化処理中の遊離アンモニアの影響を抑えることが可能となり、消化能力を向上させることができる。例えば、pH7~7.5(水温20℃)の場合、第1閾値は10~25mg/Lの範囲に設定されることが好ましい。また、水温によっても遊離アンモニアの影響を受けることから、生物処理槽12内のpH及び水温に基づいて、第1閾値を設定することがより好ましい。
【0040】
アンモニア性窒素濃度計16は、オンラインで測定可能なものであれば特に制限されないが、電量滴定式アンモニア性窒素メーターであることが好ましい。電量滴定式アンモニア性窒素メーターは、クーロメトリーを応用した電量滴定法による測定であり、原理的に検量線を作成しなくてもよく、かつアンモニアと高い選択性および反応性を有する臭素を滴定剤に用いることができる。また、電極部分が汚れにくく、また、酸による洗浄が比較的容易である等の利点がある。したがって、電量滴定式アンモニア性窒素メーターを用いることによって、メンテナンスを行う人手を減らすことが可能となる。
【0041】
アンモニア性窒素濃度計16による測定頻度は、任意に設定することができるが、少なくとも被処理水を生物処理槽に供給している間は、15分に1度程度の測定を行うことが好ましく、被処理水の供給を停止している間は、1時間以内に1度以上の測定を行うことが好ましい。なお、測定したアンモニア性窒素濃度が、第1閾値以上となってから被処理水の供給を停止するまでの移行時間や、測定したアンモニア性窒素濃度が、第2閾値以下となってから被処理水の供給を再開するまでの移行時間を数分程度設けることが好ましい。
【0042】
図1の水処理装置1において、アンモニア性窒素濃度の測定は、生物処理槽12内の処理水のアンモニア性窒素濃度を測定しているが、これに限定されない。例えば、生物処理槽12内の処理水をろ過装置により固液分離したろ過水のアンモニア性窒素濃度を測定してもよい。ろ過装置により固液分離されたろ過水を使用することにより、アンモニア性窒素濃度を低濃度まで精度よく測定することができる。また、ろ過装置により固液分離したろ過水は、SS成分等が除去されているため、アンモニア性窒素濃度計16のメンテナンス頻度を抑えることができる。このような構成の水処理装置の例を
図4に示す。
【0043】
図4に示す水処理装置2において、
図1に示す水処理装置1と同様の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
図4に示す水処理装置2は、ろ過装置28と、生物処理槽12に充填された担体30とを有する。
【0044】
生物処理槽12の出口近傍に設置された配管21eから取り出された処理水は、ろ過装置28により固液分離され、ろ過水が得られる。得られたろ過水は、配管21fから系外へ排出される。アンモニア性窒素濃度計16は、配管21fに設置される。そして、アンモニア性窒素濃度計16により、配管21fを流れるろ過水中のアンモニア性窒素濃度が測定される。なお、配管21fから排出されるろ過水が貯留される処理水槽が設置される場合には、処理水槽にアンモニア性窒素濃度計16を設置して、処理水槽内に貯留されたろ過水のアンモニア性窒素濃度を測定してもよい。
【0045】
生物処理槽12の形式については、特に制限されないが、槽内に硝化菌をできるだけ多く保持し、かつ沈殿池を設けなくてもよい等の点で、生物膜方式を利用することが好ましい。生物膜法は、担体30に付着した硝化菌により硝化を行う方法である。ところで、アンモニア性窒素が生物処理槽12内に多く残ると、遊離アンモニアの毒性が向上し、硝化菌が影響を受けることとなるが、担体30に付着するバイオフィルムは毒性に対する耐性が通常の浮遊汚泥に対して高いという利点がある。そのため、担体30を使用した生物膜方式は、本実施形態の水処理装置の立ち上げのように、生物処理槽12内のアンモニア性窒素濃度が一時的に増加する運転に適している。
【0046】
担体30は、好気性条件下で使用される従来公知の担体であればよく、特に限定されない。担体30としては、例えば、プラスチック製担体、スポンジ状担体、ゲル状担体等が挙げられるが、コストと耐久性のバランスが良好であるスポンジ状担体が好ましい。
【0047】
本実施形態の水処理装置は、生物処理槽12のアンモニア性窒素負荷量に基づいて、生物処理槽12に添加する栄養塩の添加量を調整してもよい。生物処理槽12のアンモニア性窒素負荷量は、生物処理槽12内のアンモニア性窒素濃度と生物処理槽12の容積から算出される。
【0048】
例えば、制御装置14に、生物処理槽12のアンモニア性窒素負荷量と栄養塩の添加量を規定したマップ等を記憶させておく。そして、制御装置14は、計算された生物処理槽12のアンモニア性窒素負荷量に上記マップを当てはめて、栄養塩の添加量を算出する。制御装置14は、例えば、栄養塩供給手段として生物処理槽12に栄養塩を供給する栄養塩供給配管に設けられたポンプやバルブ等を制御して、算出した添加量分の栄養塩を栄養塩供給配管から生物処理槽12に添加してもよい。
【0049】
栄養塩としては、必須栄養素の窒素(N)、リン(P)の他に、微量元素として、硫黄(S)、カリウム(K)、ナトリウム(Na)、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、モリブデン(Mo)等が挙げられる。
【0050】
硝化処理中の生物処理槽12内のpHは、微生物の育成等の点から、例えば、pH6~8の範囲に調整されることが好ましく、遊離アンモニアの阻害を抑制するため、pH6.8~7.2の範囲に調整されることがより好ましい。
【0051】
硝化処理は、好気条件下で行うことが好ましく、生物処理槽12内の溶存酸素濃度は、例えば、0.5mg/L以上、好ましくは1mg/L以上であることが好ましい。
【0052】
生物処理槽12の水温は、例えば、15~40℃の範囲に維持されることが好ましい。
【0053】
処理対象である被処理水としては、例えば、半導体製造工程等で排出されるアンモニア性窒素含有廃水等が挙げられる。被処理水が100mg/L以上、好ましくは100~1000mg/Lの範囲のカルシウムを含有する場合に、本実施形態に係る水処理方法および水処理装置を好適に適用することができる。
【実施例0054】
以下、実施例を挙げ、本開示をより具体的に詳細に説明するが、本開示は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0055】
<実施例1>
図4に示す水処理装置を使用して、以下に示す条件で、装置の立ち上げを実施した。
[試験条件]
生物処理槽内のpH:7.2(苛性ソーダで調整)
生物処理槽容積:2L
担体:疎水性ポリウレタン製のスポンジ担体
担体充填率:生物処理槽の30%(かさ容量/槽容量)
被処理水の水温:20℃
被処理水中のアンモニア性窒素濃度:500mg/L
被処理水組成:井水に塩化アンモニウムをアンモニウム性窒素濃度500mg/L相当量添加し、その他に炭酸ナトリウム、リン酸および微量元素を含む溶液を添加した。
アンモニア性窒素濃度計:電量滴定式アンモニア性窒素メーター(セントラル科学製)
【0056】
生物処理槽に、種汚泥をMLSSが500mg/Lとなるように添加後、被処理水を供給し、好気条件で、硝化処理を行った。この際、生物処理槽で硝化処理された処理水を生物処理槽から排出している。被処理水の供給を継続しながら、生物処理槽で処理された処理水をろ過装置でろ過したろ過水中のアンモニア性窒素濃度を定期的に測定した。そして、測定したアンモニア性窒素濃度が第1閾値:25mg/Lに達した段階で、被処理水の供給を停止した。被処理水の供給停止後においても、生物処理槽にて、好気条件で、硝化処理を継続した。そして、15分毎に、生物処理槽で処理された処理水をろ過装置でろ過したろ過水中のアンモニア性窒素濃度を測定した。測定したアンモニア性窒素濃度が第2閾値:1.5mg/Lまで低下した段階で、被処理水の供給を再開した。この被処理水の供給開始から、被処理水の供給再開までを1サイクルとして、このサイクルを4サイクル行った。4サイクルの運転終了後、第2閾値を0.8mg/Lに変更して、5サイクル目以降の運転を行い、計7サイクルの運転を行った。
【0057】
表1に、ろ過水中のアンモニア性窒素濃度(被処理水供給停止後及び被処理水供給再開後)、生物処理槽のアンモニア性窒素負荷量、被処理水供給停止から供給再開までの時間、生物処理槽におけるアンモニア性窒素の除去速度をまとめた。なお、生物処理槽のアンモニア性窒素負荷量は、被処理水の供給停止後のろ過水のアンモニア性窒素濃度と生物処理槽の容積から計算した値である。生物処理槽のアンモニア性窒素除去速度は、被処理水の供給停止後のろ過水のアンモニア性窒素濃度から被処理水の供給再開時のろ過水のアンモニア性窒素濃度を差し引いた値、生物処理槽の容積、被処理水の供給停止から供給再開までの時間から計算した値(時間当たりのアンモニア性窒素除去速度)である。
【0058】
【0059】
1サイクル~4サイクルまでの間、アンモニア性窒素除去速度が0.024kg-N/(m3-槽容積・d)と一定に推移し、安定な硝化処理が行われた。そして、水処理装置を作動させてからは、作業者が介入することなく自動で硝化処理が行われた。この結果から、アンモニア性窒素を含む被処理水を生物処理によって硝化する水処理において、装置の立ち上げの際にかかる人手を減らし、装置の立ち上げを自動的に行うことが可能であると言える。なお、1サイクル~4サイクルまでの試験条件で、試験を続けても、装置を立ち上げることは可能であるが、5サイクル目以降のように、第2閾値を0.8mg/L(1.5mg/L→0.8mg/L)に設定して運転を行うと、アンモニア性窒素除去速度を上昇させることができた。このように、第2閾値を低い値に設定することにより、アンモニア性窒素除去速度を向上させ、装置の立ち上げをより早く行うことができる。
【0060】
<実施例2>
第2閾値を0.6mg/Lに設定したこと以外は、実施例1と同様の条件で、4サイクルの運転を行った。表2に、ろ過水中のアンモニア性窒素濃度(被処理水供給停止後及び被処理水供給再開後)、生物処理槽のアンモニア性窒素負荷量、被処理水供給停止から供給再開までの時間、生物処理槽におけるアンモニア性窒素の除去速度をまとめた。
【0061】
【0062】
実施例2では、運転中、アンモニア性窒素除去速度は上昇し、4サイクル目で、0.030kg-N/(m3-槽容積・d)に達した。この結果から、実施例1より第2閾値を低い値に設定した実施例2は、実施例1より、装置の立ち上げをより早く行うことができる。
1,2 水処理装置、10 被処理水槽、12 生物処理槽、14 制御装置、16 アンモニア性窒素濃度計、18 被処理水用ポンプ、20 アンモニア性窒素源用ポンプ、21a~21f 配管、22 タンク、23 pH計、24 散気装置、26 スクリーン、28 ろ過装置、30 担体。