(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023089842
(43)【公開日】2023-06-28
(54)【発明の名称】サンドイッチパネルの耐火接続構造
(51)【国際特許分類】
E04B 1/94 20060101AFI20230621BHJP
【FI】
E04B1/94 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021204593
(22)【出願日】2021-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】000207436
【氏名又は名称】日鉄鋼板株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中田 安洋
【テーマコード(参考)】
2E001
【Fターム(参考)】
2E001DE01
2E001FA04
2E001FA16
2E001FA65
2E001GA11
2E001GA12
2E001HB04
2E001HD00
2E001MA02
(57)【要約】
【課題】サンドイッチパネルの接続構造において、接続部分の耐火性を向上させることを、目的とする。
【解決手段】サンドイッチパネルの耐火接続構造1は、下地材10と、その屋外側に並ぶパネルP1,P2と、パネルP1,P2の間に挟まれるパッキン11と、パネルP2を貫通して下地材10に固定する固定具12と、を備える。パネルP1,P2のそれぞれは、金属製の屋外側外皮2及び屋内側外皮3と、その間に位置する芯材4と、を有するサンドイッチパネル5である。パネルP1の屋内側外皮3には、パネルP1,P2の間のパッキン11を屋内側から覆う屋内側覆い部7が設けられる。屋内側覆い部7は、パネルP2の屋内側外皮3の最表面に重なる位置まで延びている。屋内側覆い部7は、パネルP2と下地材10との間に挟まれた状態で固定されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下地材と、
前記下地材の屋外側に並ぶ第一パネル及び第二パネルと、
前記第一パネルと前記第二パネルの間に挟まれるパッキンと、
前記第二パネルを貫通して前記下地材に固定する固定具と、
を備え、
前記第一パネルと前記第二パネルのそれぞれは、互いに対向する金属製の屋外側外皮及び屋内側外皮と、前記屋外側外皮と前記屋内側外皮の間に位置する芯材と、を有するサンドイッチパネルであり、
前記第一パネルの前記屋内側外皮には、前記第一パネルと前記第二パネルの間の前記パッキンを屋内側から覆う屋内側覆い部が設けられ、
前記屋内側覆い部は、前記第二パネルの前記屋内側外皮の最表面に重なる位置まで延び、
前記屋内側覆い部は、前記第二パネルと前記下地材との間に挟まれた状態で固定されている、
ことを特徴とするサンドイッチパネルの耐火接続構造。
【請求項2】
前記固定具は、前記第二パネルと前記屋内側覆い部を貫通して、前記屋内側覆い部を前記第二パネル及び前記下地材に固定する固定具を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のサンドイッチパネルの耐火接続構造。
【請求項3】
前記第一パネルの前記屋外側外皮と前記第二パネルの前記屋外側外皮とを連結する連結部材を更に備え、
前記第二パネルの前記屋外側外皮には、前記第一パネルと前記第二パネルの間の前記パッキンを屋外側から覆う屋外側覆い部が設けられ、
前記屋外側覆い部は、前記連結部材によって前記第一パネルの前記屋外側外皮に連結されている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のサンドイッチパネルの耐火接続構造。
【請求項4】
前記連結部材は、前記屋外側覆い部を貫通して、前記屋外側覆い部を前記第二パネルの前記屋外側外皮に固定する第二固定具である、
ことを特徴とする請求項3に記載のサンドイッチパネルの耐火接続構造。
【請求項5】
前記連結部材は、前記屋外側覆い部から前記第一パネルの前記屋外側外皮にわたるように取り付けられるシート状部材である、
ことを特徴とする請求項3に記載のサンドイッチパネルの耐火接続構造。
【請求項6】
前記第二パネルの前記屋外側覆い部と前記第一パネルの前記屋外側外皮との間に挟まれるシーリング材を更に備える、
ことを特徴とする請求項3から5のいずれか一項に記載のサンドイッチパネルの耐火接続構造。
【請求項7】
前記第二パネルの前記屋外側覆い部から前記第一パネルの前記屋外側外皮にわたるように取り付けられるシート状の目地覆い部材をさらに備える、
ことを特徴とする請求項3から6のいずれか一項に記載のサンドイッチパネルの耐火接続構造。
【請求項8】
前記第一パネルと前記第二パネルのそれぞれの前記屋内側外皮は、屋内側に向けて突出する複数の突条部を有し、
前記複数の突条部は、前記サンドイッチパネルの端部に位置する端部突条部を含み、
前記第一パネルの前記屋内側覆い部は、前記第二パネルの前記端部突条部の屋内側に重なるように延び、前記第二パネルの前記端部突条部と前記下地材との間に挟まれた状態で固定されている、
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載のサンドイッチパネルの耐火接続構造。
【請求項9】
前記端部突条部は、屋内側に向けて突出した側板部と、前記側板部と連続し、かつ突出方向の先端に位置する先端板部と、を含み、
前記第一パネルの前記屋内側覆い部は、前記第二パネルの前記端部突条部の前記先端板部に沿う本体と、前記側板部に沿う先端部とを有する、
ことを特徴とする請求項8に記載のサンドイッチパネルの耐火接続構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、サンドイッチパネルの耐火接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、建築用パネルの接続構造が記載されている。建築用パネルは、金属製の表面板及び裏面板とその間に配設された芯材とを備えるサンドイッチパネルによって構成されている。建築用パネルの一方の端部には嵌合凹部が形成されており、他方の端部には嵌合凸部が形成されている。嵌合凹部の奥面には、板状パッキンが配設されている。板状パッキンとしては、無機膨張材が混入したロックウールフェルトやゴムパッキンなどが用いられる。
【0003】
二枚の建築用パネルは、一方の建築用パネルの嵌合凸部と他方の建築用パネルの嵌合凹部とを嵌合させることで互いに接続された状態で、母屋上に取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載の建築用パネルの接続構造では、二枚の建築用パネルの接続部分に、屋内側に向けて露出する目地が形成される。そのため、この接続構造では、屋内側で火災が起こった際、この目地を通じて二枚の建築用パネルの間に炎が侵入するおそれがある。炎の侵入を防ぐためには、嵌合凹部の奥面に配設される板状パッキンを、無機膨張材が混入したロックウールフェルト等の耐火性を有する材料で形成する必要がある。このように、特許文献1に記載の建築用パネルの接続構造は、耐火性の向上の面では改善の余地がある。
【0006】
上記事情に鑑みて、本開示は、サンドイッチパネルの接続構造において、接続部分の耐火性を向上させることを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る一態様のサンドイッチパネルの耐火接続構造は、下地材と、前記下地材の屋外側に並ぶ第一パネル及び第二パネルと、前記第一パネルと前記第二パネルの間に挟まれるパッキンと、前記第二パネルを貫通して前記下地材に固定する固定具と、を備える。前記第一パネルと前記第二パネルのそれぞれは、互いに対向する金属製の屋外側外皮及び屋内側外皮と、前記屋外側外皮と前記屋内側外皮の間に位置する芯材と、を有するサンドイッチパネルである。前記第一パネルの前記屋内側外皮には、前記第一パネルと前記第二パネルの間の前記パッキンを屋内側から覆う屋内側覆い部が設けられる。前記屋内側覆い部は、前記第二パネルの前記屋内側外皮の最表面に重なる位置まで延びている。前記屋内側覆い部は、前記第二パネルと前記下地材との間に挟まれた状態で固定されている。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る一態様のサンドイッチパネルの耐火接続構造によれば、接続部分の耐火性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本開示に係る実施形態1のサンドイッチパネルの耐火接続構造を示す概略的な正面断面図である。
【
図2】
図2は、同上のサンドイッチパネルを示す正面断面図である。
【
図3】
図3は、本開示に係る実施形態2のサンドイッチパネルの耐火接続構造を示す概略的な正面断面図である。
【
図4】
図4は、同上のサンドイッチパネルを示す斜視図である。
【
図5】
図5は、同上のサンドイッチパネルを示す正面断面図である。
【
図6】
図6Aは、同上の耐火接続構造の変形例1を示す正面断面図であり、
図6Bは、同上の耐火接続構造の変形例2を示す正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施形態1)
1.概要
図1に示す実施形態1のサンドイッチパネルの耐火接続構造1は、下地材10と、下地材10の屋外側に並ぶ第一パネルP1及び第二パネルP2と、第一パネルP1と第二パネルP2の間に挟まれるパッキン11と、第二パネルP2を貫通して下地材10に固定する固定具12と、を備える。第一パネルP1と第二パネルP2のそれぞれは、互いに対向する金属製の屋外側外皮2及び屋内側外皮3と、屋外側外皮2と屋内側外皮3の間に位置する芯材4と、を有するサンドイッチパネル5である。第一パネルP1の屋内側外皮3には、第一パネルP1と第二パネルP2の間のパッキン11を屋内側から覆う屋内側覆い部7が設けられる。屋内側覆い部7は、第二パネルP2の屋内側外皮3の最表面に重なる位置まで延びている。屋内側覆い部7は、第二パネルP2と下地材10との間に挟まれた状態で固定されている。
【0011】
上記構成を備える本実施形態の耐火接続構造1では、第一パネルP1の屋内側覆い部7が第二パネルP2の屋内側外皮3の最表面に重なる位置まで延びているため、第一パネルP1と第二パネルP2との間に屋内側に向けて露出する目地が形成されない。そのため、本実施形態の耐火接続構造1では、パネルP1,P2の屋内側で火災が起こった際に、屋内側に向けて露出する目地を通じて、パネルP1,P2の間に火炎が侵入することを抑制できる。加えて、本実施形態の耐火接続構造1では、屋内側覆い部7が下地材10と第二パネルP2との間に挟まれた状態で固定されている。そのため、本実施形態の耐火接続構造1では、パネルP1,P2の屋内側で火災が起こった際に、屋内側覆い部7が変形しにくくて、パネルP1,P2の間のパッキン11を屋内側覆い部7によって覆った状態を維持しやすく、パネルP1,P2の間に火炎が侵入しにくい。したがって、本実施形態の耐火接続構造1では、パネルP1,P2間への火炎の侵入を抑制できるため、接続部分の耐火性を向上させることができる。
【0012】
2.詳細
続いて、
図1に示す本実施形態の耐火接続構造1の各構成について更に詳しく説明する。耐火接続構造1は、例えば、屋根下地を構成し、耐火接続構造1の上には、防水シート等の上葺き材19が設置される。以下では、
図1に示す耐火接続構造1を基準として、第一パネルP1と第二パネルP2とが並ぶ方向を左右方向とし、第一パネルP1及び第二パネルP2の厚み方向を上下方向とし、この左右方向及び上下方向に対して直交する方向(本実施形態では屋根の軒棟方向)を前後方向として、耐火接続構造1の各構成について詳しく説明する。
【0013】
耐火接続構造1は、下地材10、第一パネルP1、第二パネルP2、パッキン11、及び固定具12に加えて、第一パネルP1の屋外側外皮2と第二パネルP2の屋外側外皮2とを連結する連結部材13を備える。耐火接続構造1は更に、第一パネルP1の屋外側覆い部21と第二パネルP2の屋外側外皮2との間に挟まれるシーリング材14と、第一パネルP1の屋外側外皮2と第二パネルP2の屋外側外皮2の間の目地を屋外側から覆う目地覆い部材15と、を備える。
【0014】
2-1.下地材
下地材10は、パネルP1,P2を屋内側から支持する部材である。下地材10は、例えば、左右方向に延び、前後方向に間隔をおいて位置する複数の部材10aで構成される。複数の部材には、パネルP1,P2のそれぞれが架け渡された状態で取り付けられる。
【0015】
複数の部材10aのそれぞれは、例えば、母屋である。複数の部材10aのそれぞれは、例えば、棟側に向けて開口したリップ溝形鋼によって構成される。隣接する2つの部材10aの間の間隔は、例えば、1~4mである。
【0016】
2-2.第一パネル及び第二パネル
本実施形態の耐火接続構造1では、第一パネルP1と第二パネルP2は、同じ構造のサンドイッチパネル5で構成されている。
【0017】
図2に示すように、サンドイッチパネル5は、互いに対向する金属製の屋外側外皮2及び屋内側外皮3と、屋外側外皮2と屋内側外皮3の間に位置する芯材4と、を有する。
【0018】
サンドイッチパネル5は、前後方向に対して平行な長さ方向と、左右方向に対して平行な幅方向と、上下方向に対して平行な厚み方向とを有する。
【0019】
屋外側外皮2は、サンドイッチパネル5の屋外側の面(上面)を構成し、屋内側外皮3は、サンドイッチパネル5の屋内側の面(下面)を構成する。屋外側外皮2と屋内側外皮3のそれぞれは、金属板により構成されている。金属板としては、例えば、ステンレス鋼板、亜鉛めっき鋼板、塗装鋼板、ガルバリウム鋼板(登録商標)などが用いられる。屋外側外皮2と屋内側外皮3のそれぞれは、ロール成形等の曲げ加工によって形成されている。
【0020】
芯材4は、屋外側外皮2と屋内側外皮3との間に充填されている。芯材4は、断熱材または耐火材により構成される。芯材4としては、例えば、ロックウールやグラスウールなどの無機繊維材、あるいはフェノールフォームやウレタンフォームやイソシアヌレートフォームなどの樹脂発泡体などが用いられる。
【0021】
屋外側外皮2には、横並びに配置される他のサンドイッチパネル5との間のパッキン11を屋外側から覆う屋外側覆い部21が設けられている。
【0022】
本実施形態では、屋外側覆い部21は、屋外側外皮2の一部で構成されている。詳しくは、屋外側外皮2は、平板状の本体部20と、本体部20の幅方向の一端(本実施形態では左端)に連続する屋外側覆い部21及び端縁部22と、本体部20の幅方向の他端(本実施形態では右端)に連続する凹段部23及び端縁部24と、を有する。
【0023】
屋外側覆い部21は、屋内側外皮3よりも左右方向外側(左側)に突出している。屋外側覆い部21の断面形状は、右方に向けて開口したU字状である。端縁部22は、屋外側覆い部21と連続しており、屋外側覆い部21よりも下側(屋内側)でかつ右側に位置している。端縁部22の断面形状は、L字状である。端縁部22は、屋内側外皮3の左の端縁部31に対向して位置する。
【0024】
凹段部23は、本体部20よりも下側(屋内側)に位置するように凹んでいる。凹段部23の断面形状は、L字状である。凹段部23の左右方向の長さは、屋外側覆い部21の左右方向の長さよりも僅かに長い。凹段部23の上下方向の長さは、屋外側覆い部21の上下方向よりも僅かに長い。端縁部24は、凹段部23と連続しており、凹段部23の下側(屋内側)に折り返されている。
【0025】
屋内側外皮3には、横並びに配置される他のサンドイッチパネル5との間のパッキン11を屋内側から覆う屋内側覆い部7が設けられている。屋内側覆い部7は、他のサンドイッチパネル5の屋内側外皮3の最表面(詳しくは本体部30の表面(屋内側を向く面))に重なる位置まで延びている。
【0026】
本実施形態では、屋内側覆い部7は、屋内側外皮3の一部で構成されている。詳しくは、屋内側外皮3は、平板状の本体部30と、本体部30の幅方向の一端(本実施形態では左端)に連続する端縁部31と、本体部の幅方向の他端(本実施形態では右端)から左右方向外側に延びる屋内側覆い部7と、を有する。屋内側覆い部7は、屋外側外皮2よりも左右方向外側(右側)に突出している。
【0027】
本実施形態では、屋内側覆い部7は、本体部30の右端から屋内側に向けて斜めに突出した傾斜部70と、傾斜部70の先端から左右方向外側に延びた本体71と、本体71の先端から屋外側に向けて斜めに突出した先端部72と、を有する。
【0028】
外皮2,3は、屋内側外皮3の左の端縁部31に屋外側外皮2の左の端縁部22が対向し、屋内側外皮3の本体部30の右端部に屋外側外皮2の右の端縁部24が対向するように配置されている。芯材4は、外皮2,3のうち、上下方向に対向する部分の間に充填されている。
【0029】
サンドイッチパネル5では、屋外側外皮2の左の屋外側覆い部21が、芯材4及び屋内側外皮3よりも左に突出している。
【0030】
芯材4の左の端面、屋外側外皮2の左の端縁部22及び屋内側外皮3の左の端縁部31には、前後方向(パネル長さ方向)の全長にわたって、パッキン11が取り付けられている。パッキン11は、有機系材料で形成されている。
【0031】
屋内側外皮3の屋内側覆い部7の本体71の上側(屋外側)を向く面には、テープ状のシーリング材16が取り付けられている。シーリング材16は、屋内側覆い部7の本体71に前後方向の全長にわたって取り付けられている。なお、シーリング材16は、パッキン11と同様に、有機系材料で形成されてもよい。
【0032】
2-3.固定具
図1に示すように、固定具12は、第二パネルP2を貫通して下地材10に固定する部材である。固定具12は、例えば、ドリルビスである。
【0033】
固定具12は、本実施形態では、第二パネルP2と屋内側覆い部7とを貫通して、屋内側覆い部7を第二パネルP2及び下地材10に固定する固定具12aと、第二パネルP2のみを貫通して第二パネルP2を下地材10に固定する固定具12bと、を含む。なお、固定具12bは、屋内側覆い部7には貫通されない。
【0034】
固定具12aは、第二パネルP2に対して屋外側から打ち込まれる。固定具12aは、第二パネルP2の外皮2,3の本体部20,30の左端部と、第一パネルP1の屋内側覆い部7(詳しくは屋内側覆い部7の本体71)とを貫通して、下地材10に固定具12aの先端部が固定される。
【0035】
固定具12bは、第二パネルP2の本体部30に、屋外側から打ち込まれて、第二パネルP2を貫通して、下地材10に固定具12bの先端部が固定される。
【0036】
2-4.連結部材
連結部材13は、第一パネルP1の屋外側外皮2と第二パネルP2の屋外側外皮2とを連結する部材である。本実施形態では、連結部材13は、第二パネルP2の屋外側覆い部21を貫通して、屋外側覆い部21を第一パネルP1の屋外側外皮2に固定する第二固定具13aである。第二固定具13aは、例えば、セルフタッピングビスである。第二固定具13aは、第二パネルP2の屋外側覆い部21と、第一パネルP1の凹段部23と端縁部24を貫通して、第二固定具13aの先端部が第一パネルP1の芯材4に収まる。
【0037】
2-5.シーリング材
シーリング材14は、第二パネルP2の屋外側覆い部21と第一パネルP1の屋外側外皮2との間に挟まれる。より詳しくは、シーリング材14は、第二パネルP2の屋外側覆い部21と、この屋外側覆い部21の屋内側に対向する、第一パネルP1の凹段部23との間に挟まれる。
【0038】
シーリング材14は、第二パネルP2の屋外側覆い部21と第一パネルP1の凹段部23との間に、前後方向の全長にわたって設けられている。シーリング材14は、シーリング材16と同じ材料で形成される。なお、シーリング材14は、パッキン11と同様に、有機系材料で形成されてもよい。
【0039】
2-6.目地覆い部材
目地覆い部材15は、第一パネルP1の屋外側外皮2と第二パネルP2の屋外側外皮2の間の目地を屋外側から覆う。言い換えると、目地覆い部材15は、第二パネルP2の屋外側覆い部21から第一パネルP1の屋外側外皮2にわたるように取り付けられる。
【0040】
目地覆い部材15は、気密性を有するシート状の部材である。目地覆い部材15は、例えば、気密性に加えて耐火性も備えたアルミテープである。アルミテープの屋内側の面は、パネルP1,P2の屋外側外皮2に接着可能な接着面を構成している。
【0041】
2-7.その他
本実施形態の耐火接続構造1は更に、第一パネルP1を固定する他の固定具17を備える。
【0042】
固定具17は、第一パネルP1を貫通して第一パネルP1を下地材10に固定する部材である。固定具17は、例えば、ドリルビスである。固定具17としては、固定具12と同じ構造の固定具が利用され得る。
【0043】
固定具17は、第一パネルP1の本体部20に、屋外側から打ち込まれて、第一パネルP1を貫通して、下地材10に固定具17の先端部が固定される。
【0044】
2-8.サンドイッチパネルの耐火接続構造
本実施形態の耐火接続構造1では、パネルP1,P2のそれぞれは、屋内側外皮3の本体部30と屋内側覆い部7が、下地材10に当たっている。
【0045】
第二パネルP2の本体部30の左端部は、第一パネルP1の屋内側覆い部7の本体71の上のシーリング材16の上に重なっている。第一パネルP1の芯材4の右の側面は、第二パネルP2の芯材4の左の側面のパッキン11に当たっている。第二パネルP2の屋外側覆い部21は、第一パネルP1の凹段部23に収まっている。
【0046】
パネルP1,P2のうち、第一パネルP1の屋内側覆い部7と第二パネルP2とが屋内外方向に重なった部分には、屋外側から固定具12aが打ち込まれており、下地材10に固定されている。パネルP1,P2のうち、本体部20,30の幅方向(左右方向)の他の一部には、屋外側から固定具12b,17が打ち込まれており、下地材10に固定されている。本実施形態の耐火接続構造1では、第一パネルP1の屋内側覆い部7が第二パネルP2の屋内側外皮3の本体部30(つまり最表面)に重なる位置まで延びており、パネルP1,P2の継目(屋内側覆い部7の先端側)には屋外側に向けて露出する目地が形成されない。
【0047】
第二パネルP2の屋外側覆い部21と、第一パネルP1の凹段部23の間には、シーリング材14が挟み込まれている。第二パネルP2の屋外側覆い部21には、屋外側から第二固定具13aが打ち込まれており、第一パネルP1の凹段部23と端縁部24と芯材4に固定されている。第二固定具13aの先端部(屋内側端部)は、第一パネルP1の芯材4内に位置しており、第一パネルP1の屋内側外皮3を貫通していない。
【0048】
パネルP1,P2の屋外側外皮2には、第一パネルP1の本体部20の右端部から、第二パネルP2の本体部20の左端部にわたるように、目地覆い部材15が貼り付けられている。互いに接続されたパネルP1,P2の屋外側の面には、防水シート等の上葺き材19が施工される。
【0049】
3.作用効果
以上説明した本実施形態の耐火接続構造1では、第一パネルP1の屋内側覆い部7が第二パネルP2の屋内側外皮3の最表面(本体部30の屋内側を向く面)に重なる位置まで延びているため、第一パネルP1と第二パネルP2との間に屋内側に向けて露出する目地が形成されない。そのため、本実施形態の耐火接続構造1では、パネルP1,P2の屋内側で火災が起こった際に、屋内側に向けて露出する目地を通じて、パネルP1,P2の間に火炎が侵入することを抑制できる。
【0050】
加えて、本実施形態の耐火接続構造1では、第一パネルP1の屋内側覆い部7が、下地材10と第二パネルP2との間に挟まれた状態で固定されている。そのため、本実施形態の耐火接続構造1では、パネルP1,P2の屋内側で火災を起こった際に、屋内側覆い部7が変形しにくくて、パネルP1,P2の間のパッキン11を屋内側覆い部7によって覆った状態を維持しやすく、パネルP1,P2の間に火炎が侵入しにくい。したがって、本実施形態の耐火接続構造1では、パネルP1,P2間への火炎の侵入を抑制できるため、接続部分の耐火性を向上させることができる。
【0051】
また、本実施形態の耐火接続構造1では、パネルP1,P2の間のパッキン11を屋外側から覆う屋外側覆い部21が第二パネルP2に設けられており、この屋外側覆い部21が連結部材13(第二固定具13a)によって第一パネルP1の屋外側外皮2に連結されている。
【0052】
そのため、本実施形態の耐火接続構造1では、パネルP1,P2の屋内側で火災が起こった際に、パネルP1,P2間を屋内側から屋外側へと火炎が通り抜けることを、屋外側覆い部21によって抑えることができる。ここで、屋外側覆い部21は、連結部材13によって第一パネルP1に連結されているため、火炎によって変形しにくくて、火災の通り抜けを防ぎやすい。
【0053】
また、本実施形態の耐火接続構造1では、固定具12aが、第二パネルP2と第一パネルP1の屋内側覆い部7を貫通して、屋内側覆い部7を第二パネルP2及び下地材10に固定している。そのため、本実施形態の耐火接続構造1では、火災時の屋内側覆い部7の変形を更に抑えやすい。
【0054】
また、本実施形態の耐火接続構造1では、パネルP1,P2の間に、シーリング材16、パッキン11、及びシーリング材14を挟み込んでいるため、パネルP1,P2の間を火炎が通り抜けにくい。
【0055】
また、本実施形態の耐火接続構造1では、固定具12aは、第二固定具13aよりも径の太いビスを用いている。そのため、火災時の屋内側覆い部7の変形を抑制しやすくて、耐火性の向上を図りやすい。
【0056】
また、本実施形態の耐火接続構造1では、パネルP1,P2の間への火炎の侵入を、変形しにくい屋内側覆い部7によって効果的に抑えることができる。そのため、本実施形態の耐火接続構造1では、パネルP1,P2の間に配置するシーリング材14,16及びパッキン11として、熱膨張型等の耐火材を利用する必要性が低くて、これらを、安価で気密性に富んだ一般的な有機系材料で形成することができる。
【0057】
4.変形例
続いて、上述した耐火接続構造1の変形例について説明する。なお、以下に示す各変形例は適宜組み合わせ可能である。
【0058】
耐火接続構造1は、屋根下地に限らず、壁下地を構成してもよい。
【0059】
サンドイッチパネル5は、
図2に示す構造に限定されない。サンドイッチパネル5は、屋内側覆い部7と屋外側覆い部21のうち、屋内側覆い部7のみ有するものであってもよい。
【0060】
また、耐火接続構造1は、連結部材13を備えなくてもよい。また、耐火接続構造1は、シーリング材14,16を備えなくてもよい。
【0061】
また、第一パネルP1と第二パネルP2は、同じ構造のサンドイッチパネル5で構成されなくてもよく、構造が互いに異なってもよい。
【0062】
また、第一パネルP1の屋内側覆い部7は、傾斜部70と先端部72とを有さなくてもよく、本体部30と面一に形成されてもよい。
【0063】
また、屋内側覆い部7は、屋内側外皮3の一部で構成されなくてもよい。例えば、屋内側覆い部7は、屋内側外皮3とは別部材として金属等の耐火材料で形成し、セルフタッピングビス等で屋内側外皮3に固定することで、屋内側外皮3に設けてもよい。
【0064】
また、屋外側覆い部21は、屋外側外皮2の一部で構成されなくてもよい。例えば、屋外側覆い部21は、屋外側外皮2とは別部材として金属等の耐火材料で形成し、セルフタッピングビス等で屋外側外皮2に固定することで、屋外側外皮2に設けてもよい。
【0065】
また、耐火接続構造1は、固定具12aを備えなくてもよく、第一パネルP1の屋内側覆い部7は、第二パネルP2のみを下地材10に固定する固定具12bによって間接的に固定されてもよい。
【0066】
(実施形態2)
続いて、
図3から
図5に示す実施形態2の耐火接続構造1について説明する。以下では、実施形態2の耐火接続構造1のうち、実施形態1の耐火接続構造1と同じ構成については、図中に同じ符号を付して詳しい説明を省略し、実施形態1の耐火接続構造1とは違う構成については詳しく説明する。
【0067】
1.詳細
実施形態2の耐火接続構造1では、第一パネルP1と第二パネルP2のそれぞれの屋内側外皮3は、屋内側に向けて突出する複数の突条部6を有する。複数の突条部6は、サンドイッチパネル5の端部に位置する端部突条部6aを含む。第一パネルP1の屋内側覆い部7は、第二パネルP2の端部突条部6aの屋内側に重なるように延び、第二パネルP2の端部突条部6aと下地材10との間に挟まれた状態で固定されている。本実施形態では、第一パネルP1の屋内側覆い部7は、固定具12aが貫通して、第二パネルP2の端部突条部6aと下地材10に固定されている。
【0068】
より詳しくは、屋内側外皮3には、前後方向に延び、互いに平行な複数の突条部6が設けられている。複数の突条部6のそれぞれは、下側(屋内側)に向けて突出している。複数の突条部6のそれぞれは、屋内側外皮3の長さ方向(前後方向)の全長にわたって設けられている。複数の突条部6は、屋内側外皮3の幅方向(左右方向)に間隔をおいて位置する。本実施形態では、複数の突条部6は、等間隔に配置されている。
【0069】
屋内側外皮3は、幅方向(左右方向)に隣接する二つの突条部6の間に位置する平板部32を複数有する。突条部6と平板部32とは、屋内側外皮3の幅方向(左右方向)に、交互に1つずつ並んでいる。本実施形態では、屋内側外皮3は、本体部30の代わりに、複数の突条部6と複数の平板部32とを有している。
【0070】
複数の突条部6は、屋内側外皮3の幅方向の一端部に位置する端部突条部6aと、屋内側外皮3の幅方向の他端部に位置する端部突条部6bと、端部突条部6a,6bの間に位置する複数の中間突条部6cと、を含む。
【0071】
突条部6a,6b,6cのそれぞれは、隣接する平板部32から下側(屋内側)に向けて斜めに突出した少なくとも1つの側板部60と、この側板部60と連続し、突出方向の先端に位置する先端板部61と、を有する。側板部60は、平板状又は略平板状であり、先端板部61は、平板状である。先端板部61は、平板部32に対して平行である。
【0072】
本実施形態では、屋内側外皮3は、3つの中間突条部6cを有する。3つの中間突条部6cのそれぞれは、2つの側板部60と、1つの先端板部61と、を有する。2つの側板部60は、先端板部61に近い部分ほど、2つの側板部60の間の間隔が狭まるように、設けられている。
【0073】
端部突条部6aは、本実施形態では、屋内側外皮3の左端部に位置している。端部突条部6aは、1つの先端板部61と、その右側に位置する1つの側板部60とを有する。端部突条部6aは、先端板部61の左端から上側(屋外側)に向けて斜めに延びた端縁部62を更に有する。端縁部62は、側板部60よりも上下方向に短く、例えば、側板部60の長さの三分の一程度である。端縁部62は、円弧状に湾曲している。
【0074】
端部突条部6bは、本実施形態では、屋内側外皮3の右端部に位置している。端部突条部6bは、1つの先端板部61と、その左側に位置する1つの側板部60とを有する。端部突条部6bは、先端板部61の右端から上側(屋外側)に向けて斜めに延びた端縁部63を更に有する。端縁部63は、側板部60よりも上下方向に短く、例えば、側板部60の長さの三分の一程度である。端縁部63は、円弧状に湾曲している。
【0075】
屋外側外皮2には、一方向(前後方向)に延び、互いに平行な複数の溝部25が形成されている。複数の溝部25のそれぞれは、下側(屋内側)に向けて凹んでいる。複数の溝部25のそれぞれは、屋外側外皮2の長さ方向(前後方向)の全長にわたって設けられている。複数の溝部25は、屋外側外皮2の幅方向(左右方向)に間隔をおいて位置する。本実施形態では、複数の溝部25は、等間隔に配置されている。
【0076】
屋外側外皮2は、溝部25に対して幅方向(左右方向)に並んで位置する複数の平板部26を有する。平板部26と溝部25とは、屋外側外皮2の幅方向に、交互に1つずつ並んでいる。本実施形態では、屋外側外皮2は、本体部20の代わりに、複数の平板部26と複数の溝部25とを有する。
【0077】
本実施形態では、屋外側外皮2は、3つの溝部25を有する。3つの溝部25のそれぞれは、左右方向に隣接する2つの平板部26のそれぞれから下側(屋内側)に向けて斜めに突出した2つの側板部250と、2つの側板部250と連続し、溝部25の底面を構成する底板部251と、を有する。2つの側板部250と底板部251のそれぞれは、平板状である。底板部251は、平板部26に対して平行である。2つの側板部250は、底板部251に近い部分ほど、2つの側板部250の間の間隔が狭くなるように、設けられている。3つの溝部25のそれぞれの上下方向の長さは、各突条部6の上下方向の長さよりも短く、例えば、三分の一以下である。
【0078】
3つの溝部25は、屋外側外皮2のうち、屋内側外皮3の3つの中間突条部6cに対して屋外側に対向する位置に配置されている。本実施形態では、3つの溝部25のうち、中央に位置する溝部25は、両端に位置する溝部25よりも幅広である。中央の溝部25の底板部251は、両端の溝部25の底板部251よりも左右方向に若干長い。
【0079】
屋内側外皮3の右の端部突条部6bの側板部60の一部(下端部)と先端板部61と右の端縁部63とが、芯材4及び屋外側外皮2よりも右側に突出しており、この突出した部分が、屋内側覆い部7を構成している。屋内側覆い部7は、側板部60の一部(下端部)からなる傾斜部70と、先端板部61からなる本体71と、端縁部63からなる先端部72とを、有している。
【0080】
凹段部23は、屋内側外皮3の右端部の端部突条部6bの側板部60に対向して位置する。屋外側覆い部21は、左端の平板部26と連続しており、凹段部23は、右端の平板部26と連続している。
【0081】
外皮2,3は、屋内側外皮3の左の端縁部62に屋外側外皮2の左の端縁部22が対向し、屋内側外皮3の右の端部突条部6bの側板部60に屋外側外皮2の右の端縁部24が対向するように配置されている。芯材4は、外皮2,3のうち、上下方向に対向する部分の間に充填されている。
【0082】
屋内側外皮3の右の端部突条部6bの先端板部61の上側(屋外側)を向く面には、テープ状のシーリング材16が取り付けられている。シーリング材16は、端部突条部6bの先端板部61に前後方向の全長にわたって取り付けられている。
【0083】
固定具12aは、第二パネルP2のうち端部突条部6aのある部分と、第一パネルP1の屋内側覆い部7(詳しくは第一パネルP1の端部突条部6bの先端板部61)とを貫通して、下地材10に固定具12aの先端部が固定される。
【0084】
本実施形態の耐火接続構造1は更に、パネルP1,P2の複数の溝部25に配置されるスペーサー18を備える。スペーサー18は、パネルP1,P2の複数の溝部25のそれぞれに配置されて、各溝部25を埋める。各溝部25には、前後方向の全長にわたってスペーサー18が配置される。スペーサー18は、帯板状であり、スペーサー18は各溝部25内に収まる厚みを有する。
【0085】
本実施形態の耐火接続構造1では、第一パネルP1は、複数の突条部6のそれぞれの先端板部61が、下地材10に当たっている。第二パネルP2は、第二パネルP2の複数の突条部6のうち、端部突条部6aを除いた残りの突条部6のそれぞれの先端板部61が、下地材10に当たっている。
【0086】
第二パネルP2の端部突条部6aの先端板部61は、第一パネルP1の端部突条部6bの先端板部61の上のシーリング材16の上に重なっている。第一パネルP1の芯材4の右の側面は、第二パネルP2の芯材4の左の側面のパッキン11に当たっている。第二パネルP2の屋外側覆い部21は、第一パネルP1の凹段部23に収まっている。
【0087】
パネルP1,P2のうち、第一パネルP1の端部突条部6bの先端板部61と第二パネルP2の端部突条部6aの先端板部61とが屋内外方向に重なった部分には、屋外側から固定具12aが打ち込まれており、下地材10に固定されている。パネルP1,P2のうち、溝部25及び中間突条部6cが設けられている部分には、屋外側から固定具12b,17が打ち込まれており、下地材10に固定されている。固定具12b,17の頭部は、各パネルP1,P2の溝部25内に収まっており、各溝部25に配置されたスペーサー18によって覆い隠されている。スペーサー18は、対応する溝部25を埋め、スペーサー18の屋外側面は、パネルP1,P2の平板部26の屋外側面に対して略面一に位置する。
【0088】
第二パネルP2の屋外側覆い部21と、第一パネルP1の凹段部23の間には、シーリング材14が挟み込まれている。第二パネルP2の屋外側覆い部21には、屋外側から第二固定具13aが打ち込まれており、第一パネルP1の凹段部23と端縁部24と芯材4に固定されている。第二固定具13aの先端部(屋内側端部)は、第一パネルP1の芯材4内に位置しており、第一パネルP1の屋内側外皮3を貫通していない。
【0089】
パネルP1,P2の屋外側外皮2には、第一パネルP1の右端の平板部26から、第二パネルP2の左端の平板部26にわたるように、目地覆い部材15が貼り付けられている。互いに接続されたパネルP1,P2の屋外側の面には、防水シート等の上葺き材19が貼り付けられる。
【0090】
2.作用効果
以上説明した実施形態2の耐火接続構造1では、第一パネルP1の屋内側覆い部7が第二パネルP2の屋内側外皮3の最表面(端部突条部6aの先端板部61の屋内側を向く面)に重なる位置まで延びているため、第一パネルP1と第二パネルP2との間に屋内側に向けて露出する目地が形成されない。そのため、本実施形態の耐火接続構造1では、パネルP1,P2の屋内側で火災が起こった際に、屋内側に向けて露出する目地を通じて、パネルP1,P2の間に火炎が侵入することを抑制できる。
【0091】
加えて、本実施形態の耐火接続構造1では、第一パネルP1の屋内側覆い部7が、下地材10と第二パネルP2の端部突条部6aとの間に挟まれた状態で固定されている。そのため、実施形態2の耐火接続構造1では、パネルP1,P2の屋内側で火災を起こった際に、屋内側覆い部7が変形しにくくて、パネルP1,P2の間のパッキン11を屋内側覆い部7によって覆った状態を維持しやすく、パネルP1,P2の間に火炎が侵入しにくい。
【0092】
加えて、本実施形態の耐火接続構造1では、パネルP1,P2の互いに接続される端部では、屋内側外皮3が端部突条部6a,6bを有しており、パネルP1,P2の厚みが増しているため、パネルP1,P2の間の隙間のパネル厚み方向の長さを長くできて、パネルP1,P2の間を火炎が通り抜けにくい。したがって、本実施形態の耐火接続構造1では、パネルP1,P2間への火炎の侵入及び火炎の通り抜けを抑制できるため、接続部分の耐火性を更に向上させることができる。
【0093】
また、本実施形態の耐火接続構造1では、第一パネルP1の屋内側覆い部7は、第二パネルP2の端部突条部6aの先端板部61に沿う本体71と、端部突条部6aの側板部60に沿う先端部72とを、有する。そのため、本実施形態の耐火接続構造1では、第一パネルP1の屋内側覆い部7の先端部72と第二パネルP2の端部突条部6aの側板部60との間に形成される継目の開口部が、屋内側を向くことを防いで、この継目に火災時に屋内側から火炎が入り込むことを抑制することができる。
【0094】
3.変形例
続いて、上述した実施形態2の耐火接続構造1の変形例について説明する。なお、以下に示す各変形例は適宜組み合わせ可能である。なお、実施形態2の耐火接続構造1は、上述した実施形態1の耐火接続構造1の変形例と適宜組み合わせ可能である。
【0095】
本実施形態の耐火接続構造1は、
図3に示す構造に限定されない。例えば、耐火接続構造1は、
図6Aに示すように、連結部材13として、第二固定具13aに代えて、第二パネルP2の屋外側覆い部21から第一パネルP1の屋外側外皮2にわたるように取り付けられるシート状部材13bを有してもよい。シート状部材13bは、例えば、テープである。
図6Aに示す例では、シート状部材13bは、第一パネルP1の右端の平板部26から第二パネルP2の左端の平板部26にわたるように、パネルP1,P2の屋外側外皮2に貼り付けられている。パネルP1,P2の屋内側で火災があった際、屋外側覆い部21の変形は、シート状部材13bによって抑えられる。なお、シート状部材13bは、目地覆い部材15で構成されてもよいが、その場合、目地覆い部材15は、第二固定具13aと同程度の固定力が得られる接着面を有することが好ましい。また、
図6Aに示す耐火接続構造1は、シート状部材13bに加えて、目地覆い部材15を更に備えてもよい。
【0096】
また、耐火接続構造1は、
図6Bに示すように、シーリング材14と目地覆い部材15の両方又は一方を備えなくてもよい。なお、実施形態1の耐火接続構造1も、
図6Aと
図6Bに示す変形例を採用可能である。
【0097】
また、連結部材13は、第二パネルP2の屋外側覆い部21と第一パネルP1の屋外側外皮2とを連結可能な部材であればよく、
図3に示す第二固定具13a又は
図6Aに示すシート状部材13b以外の部材であってもよい。
【0098】
また、サンドイッチパネル5は、
図4に示す構造に限定されない。屋内側外皮3は、複数の突条部6を有する凹凸形状のものであればよく、突条部6の形状、サイズ、及び数は、
図4に示す形状、サイズ、及び数に限定されない。また、屋外側外皮2は、複数の溝部25を有さない平板状であってもよい。
【0099】
また、第一パネルP1の屋内側覆い部7は、第二パネルP2の端部突条部6aの右側の側板部60に沿う先端部72を有さなくてもよく、傾斜部70と本体71のみで構成されてもよい。
【0100】
(まとめ)
以上説明した実施形態1,2及びその変形例の耐火接続構造1のように、第一態様の耐火接続構造1は、下記の構成を備える。
【0101】
すなわち、第一態様の耐火接続構造1は、下地材10と、下地材10の屋外側に並ぶ第一パネルP1及び第二パネルP2と、第一パネルP1と第二パネルP2の間に挟まれるパッキン11と、第二パネルP2を貫通して下地材10に固定する固定具12と、を備える。第一パネルP1と第二パネルP2のそれぞれは、互いに対向する金属製の屋外側外皮2及び屋内側外皮3と、屋外側外皮2と屋内側外皮3の間に位置する芯材4と、を有するサンドイッチパネル5である。第一パネルP1の屋内側外皮3には、第一パネルP1と第二パネルP2の間のパッキン11を屋内側から覆う屋内側覆い部7が設けられる。屋内側覆い部7は、第二パネルP2の屋内側外皮3の最表面に重なる位置まで延びている。屋内側覆い部7は、第二パネルP2と下地材10との間に挟まれた状態で固定されている。
【0102】
上記構成を備える第一態様の耐火接続構造1では、第一パネルP1の屋内側覆い部7が第二パネルP2の屋内側外皮3の最表面に重なる位置まで延びているため、第一パネルP1と第二パネルP2との間に屋内側に向けて露出する目地が形成されない。そのため、本第一態様の耐火接続構造1では、パネルP1,P2の屋内側で火災が起こった際に、屋内側に向けて露出する目地を通じて、パネルP1,P2の間に火炎が侵入することを抑制できる。加えて、本実施形態の耐火接続構造1では、第一パネルP1の屋内側覆い部7は、下地材10と第二パネルP2との間に挟まれた状態で固定されている。そのため、第一態様の耐火接続構造1では、パネルP1,P2の屋内側で火災が起こった際に、屋内側覆い部7が変形しにくくて、パネルP1,P2の間のパッキン11を屋内側覆い部7によって覆った状態を維持しやすく、パネルP1,P2の間に火炎が侵入しにくい。したがって、第一態様の耐火接続構造1では、パネルP1,P2間への火炎の侵入を抑制できるため、接続部分の耐火性を向上させることができる。
【0103】
また、上述した実施形態1,2及びその変形例の耐火接続構造1のように、第二態様の耐火接続構造1は、第一態様の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0104】
すなわち、第二態様の耐火接続構造1では、固定具12は、第二パネルP2と屋内側覆い部7を貫通して、屋内側覆い部7を第二パネルP2及び下地材10に固定する固定具12aを含む。
【0105】
上記構成を備える第二態様の耐火接続構造1では、固定具12aが第二パネルP2と屋内側覆い部7を貫通して、屋内側覆い部7を第二パネルP2及び下地材10に固定しているため、火災時の屋内側覆い部7の変形を更に抑えやすい。
【0106】
また、上述した実施形態1,2及びその変形例の耐火接続構造1のように、第三態様の耐火接続構造1は、第一又は第二態様の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0107】
すなわち、第三態様の耐火接続構造1は、第一パネルP1の屋外側外皮2と第二パネルP2の屋外側外皮2とを連結する連結部材13を更に備える。第二パネルP2の屋外側外皮2には、第一パネルP1と第二パネルP2の間のパッキン11を屋外側から覆う屋外側覆い部21が設けられる。屋外側覆い部21は、連結部材13によって第一パネルP1の屋外側外皮2に連結されている。
【0108】
上記構成を備える第三態様の耐火接続構造1では、第一パネルP1と第二パネルP2の間のパッキン11を、第二パネルP2の屋外側覆い部21によって屋外側から覆うことができ、火災時の屋外側覆い部21の変形を、連結部材13によって抑えることができる。そのため、第三態様の耐火接続構造1では、パネルP1,P2間における火炎の通り抜けを抑制できるため、接続部分の耐火性をより向上させやすい。
【0109】
また、上述した実施形態1,2及びその変形例の耐火接続構造1のように、第四態様の耐火接続構造1は、第三態様の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0110】
すなわち、第四態様の耐火接続構造1では、連結部材13は、屋外側覆い部21を貫通して、屋外側覆い部21を第二パネルP2の屋外側外皮2に固定する第二固定具13aである。
【0111】
上記構成を備える第四態様の耐火接続構造1では、第二パネルP2の屋外側覆い部21を第二パネルP2の屋外側外皮2に対して強固に固定しやすく、火災時の屋外側覆い部21の変形を抑えやすい。
【0112】
また、上述した実施形態1,2及びその変形例の耐火接続構造1のように、第五態様の耐火接続構造1は、第三態様の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0113】
すなわち、第五態様の耐火接続構造1では、連結部材13は、屋外側覆い部21から第一パネルP1の屋外側外皮2にわたるように取り付けられるシート状部材13bである。
【0114】
上記構成を備える第五態様の耐火接続構造1では、第二パネルP2の屋外側覆い部21を第一パネルP1の屋外側外皮2に対して固定する作業が行いやすく、火災時の屋外側覆い部21の変形を抑えやすい。また、パネルP1,P2の屋外側を向く面に防水シート等の上葺き材19等を貼り付ける際に、シート状部材13bが邪魔になりにくい。
【0115】
また、上述した実施形態1,2及びその変形例の耐火接続構造1のように、第六態様の耐火接続構造1は、第三から第五のいずれか一つの態様の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0116】
すなわち、第六態様の耐火接続構造1では、第二パネルP2の屋外側覆い部21と第一パネルP1の屋外側外皮2との間に挟まれるシーリング材14を更に備える。
【0117】
上記構成を備える第六態様の耐火接続構造1では、第二パネルP2の屋外側覆い部21と第一パネルP1の屋外側外皮2との間の隙間をシーリング材14によって埋めることができ、パネルP1,P2間を火炎がより通り抜けにくい。
【0118】
また、上述した実施形態1,2及びその変形例の耐火接続構造1のように、第七態様の耐火接続構造1は、第三から第六のいずれか一つの態様の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0119】
すなわち、第七態様の耐火接続構造1では、第二パネルP2の屋外側覆い部21から第一パネルP1の屋外側外皮2にわたるように取り付けられるシート状の目地覆い部材15を更に備える。
【0120】
上記構成を備える第七態様の耐火接続構造1では、火災時の屋外側覆い部21の変形を目地覆い部材15によって抑えやすく、また、パネルP1,P2間を火炎が通り抜けることを目地覆い部材15によって抑えやすい。また、パネルP1,P2の屋外側を向く面に防水シート等の上葺き材19等を貼り付ける際に、シート状の目地覆い部材15は邪魔になりにくい。
【0121】
また、上述した実施形態2及びその変形例の耐火接続構造1のように、第八態様の耐火接続構造1は、第一から第七のいずれか一つの態様の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0122】
すなわち、第八態様の耐火接続構造1では、第一パネルP1と第二パネルP2のそれぞれの屋内側外皮3は、屋内側に向けて突出する複数の突条部6を有する。複数の突条部6は、サンドイッチパネル5の端部に位置する端部突条部6aを含む。第一パネルP1の屋内側覆い部7は、第二パネルP2の端部突条部6aの屋内側に重なるように延び、第二パネルP2の端部突条部6aと下地材10との間に挟まれた状態で固定されている。
【0123】
上記構成を備える第八態様の耐火接続構造1では、パネルP1,P2の互いに接続される端部では、屋内側外皮3が端部突条部6aを有しており、パネルP1,P2の厚みが増しているため、パネルP1,P2間のパネル厚み方向の長さを長くできて、パネルP1,P2間を火炎が通り抜けにくい。
【0124】
また、上述した実施形態2及びその変形例の耐火接続構造1のように、第九態様の耐火接続構造1は、第八態様の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0125】
すなわち、第九態様の耐火接続構造1では、端部突条部6aは、屋内側に向けて突出した側板部60と、側板部60と連続し、かつ突出方向の先端に位置する先端板部61と、を含む。第一パネルP2の屋内側覆い部7は、第二パネルP1の端部突条部6aの先端板部61に沿う本体71と、側板部60に沿う先端部72と、を有する。
【0126】
上記構成を備える第九態様の耐火接続構造1では、屋内側覆い部7の先端部72とこれに対向する端部突条部6aの側板部60との間に形成される継目の開口部が、屋内側に向きにくくて、この継目に屋内側から火炎が侵入しにくい。
【0127】
以上、本開示を添付図面に示す形態に基づいて説明したが、上記形態は本開示の一例にすぎず、本開示の意図する範囲内であれば、適宜の設計変更が可能である。
【符号の説明】
【0128】
1 サンドイッチパネルの耐火接続構造
2 屋外側外皮
21 屋外側覆い部
3 屋内側外皮
4 芯材
5 サンドイッチパネル
6 突条部
6a 端部突条部
60 側板部
61 先端板部
7 屋内側覆い部
71 本体
72 先端部
10 下地材
11 パッキン
12 固定具
12a 固定具
13 連結部材
13a 第二固定具
13b シート状部材
14 シーリング材
15 目地覆い部材