(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023089870
(43)【公開日】2023-06-28
(54)【発明の名称】シニューレ式2ストロークエンジン
(51)【国際特許分類】
F02B 25/16 20060101AFI20230621BHJP
【FI】
F02B25/16 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021204653
(22)【出願日】2021-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】509264132
【氏名又は名称】株式会社やまびこ
(74)【代理人】
【識別番号】100098187
【弁理士】
【氏名又は名称】平井 正司
(72)【発明者】
【氏名】山崎 隆広
(72)【発明者】
【氏名】白井 健
(72)【発明者】
【氏名】小野寺 寿人
(72)【発明者】
【氏名】小倉 浩一郎
(57)【要約】
【課題】吹き抜けを抑制しながら広い回転数領域で燃焼安定性を維持可能なシニューレ式2ストロークエンジンを提供する。
【解決手段】本発明のエンジンはシニューレ式2ストロークエンジン(2)である。少なくとも一つの掃気ポート(16(in1))に関連した掃気通路(14(in1))の上端部(14a(in1))に吸気側側面(204)を有する。吸気側側面(204)によって、前記掃気ポート(16(in1))の高さレベルにおいて、掃気ポート(16(in1))から吐出される掃気ガスの第1の流れ方向(42)が規定される。前記掃気ポート(16(in1))に関連した掃気通路(14(in1))の上端部(14a(in1))は、掃気ポート(16(in1))から吐出される掃気ガスの第2の流れ方向(44)を規定するガイド部(50)を有する。第2の流れ方向(44)は、掃気ポート(16(in1))の高さレベルにおいて、第1の流れ方向(42)よりも吸気側に偏向されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の掃気通路の各掃気ポートがピストンによって開閉され、
掃気行程において、前記複数の掃気ポートから吐出される掃気ガスが排気ポートとは反対側である吸気側のシリンダ壁面に差し向けられ、そして、シリンダ壁面に衝突することで反転して前記排気ポートに向かうシニューレ式2ストロークエンジンにおいて、
少なくとも一つの掃気ポートに関連した掃気通路の上端部に吸気側側面を有し、該吸気側側面によって、前記掃気ポートの高さレベルにおいて、前記少なくとも一つの掃気ポートから燃焼室に吐出される掃気ガスの第1の流れ方向が規定され、
前記少なくとも一つの掃気ポートに関連した掃気通路の上端部に設けられ、当該少なくとも一つの掃気ポートから燃焼室に吐出される掃気ガスの第2の流れ方向を規定するガイド部を有し、
前記第2の流れ方向が、前記掃気ポートの高さレベルにおいて、前記第1の流れ方向よりも吸気側に偏向されている、ことを特徴とするシニューレ式2ストロークエンジン。
【請求項2】
請求項1に記載の前記シニューレ式2ストロークエンジンにおいて、
前記少なくとも一つの掃気ポートに関連した掃気通路の上端部に設けられ、掃気行程において、該掃気通路を上昇する掃気ガスの流れ方向をシリンダの内方側に差し向けるガイド面を有し、
該ガイド面は、前記少なくとも一つの掃気ポートの下端縁よりも下方に位置して、該ガイド面が前記ガイド部を構成している。
【請求項3】
請求項2に記載の前記シニューレ式2ストロークエンジンにおいて、
前記少なくとも一つの掃気ポートに関連した掃気通路の上端部に設けられ、該少なくとも一つの掃気ポートの下端縁に沿ってシリンダの周方向に延びる棚を有し、該棚によって、前記少なくとも一つの掃気ポートに関連した掃気通路の上端部にシリンダの周方向に延びるガイド溝が形成され、
該ガイド溝が前記少なくとも一つの掃気ポートに臨んで位置している。
【請求項4】
請求項3に記載の前記シニューレ式2ストロークエンジンにおいて、
前記棚と前記ガイド面との間の境界を構成するガイド線を有する。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の前記シニューレ式2ストロークエンジンにおいて、
該シニューレ式2ストロークエンジンが4つの掃気ポートを備えた4流掃気エンジンであり、
該4つの掃気ポートが、排気ポート側において、互いに対抗して位置する2つの排気側掃気ポートと、吸気ポート側において、互いに対抗して位置する2つの吸気側掃気ポートとを有し、
該2つの吸気側掃気ポートの少なくともいずれか一方の吸気側掃気ポートに関連した掃気通路に前記ガイド部が設けられている。
【請求項6】
請求項1~4のいずれか一項に記載の前記シニューレ式2ストロークエンジンにおいて、
該シニューレ式2ストロークエンジンが4つの掃気ポートを備えた4流掃気エンジンであり、
該4つの掃気ポートが、排気ポート側において、互いに対抗して位置する2つの排気側掃気ポートと、吸気ポート側において、互いに対抗して位置する2つの吸気側掃気ポートとを有し、
該2つの吸気側掃気ポートの各々に関連した各掃気通路に前記ガイド部が設けられている。
【請求項7】
請求項6に記載の前記シニューレ式2ストロークエンジンにおいて、
前記2つの吸気側掃気ポートの各々から吐出される掃気ガスの第2の流れ方向は、その傾斜角が等しい。
【請求項8】
請求項6に記載の前記シニューレ式2ストロークエンジンにおいて、
前記2つの吸気側掃気ポートの各々から吐出される第2の流れ方向は、その傾斜角が異なる。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の前記シニューレ式2ストロークエンジンにおいて、
前記複数の掃気通路が、シリンダブロックに脱着可能に固定される掃気通路形成部材により形成される。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の前記シニューレ式2ストロークエンジンにおいて、
前記シニューレ式2ストロークエンジンが、クランク室で予圧縮した混合気を掃気ガスとして使用するコンベンショナルなエンジンである。
【請求項11】
請求項1~9のいずれか一項に記載の前記シニューレ式2ストロークエンジンにおいて、
前記シニューレ式2ストロークエンジンが層状掃気式エンジンである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシニューレ式2ストロークエンジンに関する。
【背景技術】
【0002】
2ストロークエンジンは、掃気行程において、クランク室で予圧縮された、典型的には混合気を掃気ガスとして用いてシリンダ内の掃気が行われる。2ストロークエンジンは、クランク室と燃焼室とに連通する掃気通路を備えている。掃気通路の上端開口つまり掃気ポートは、上死点と下死点との間を往復動するピストンによって開閉される。また、このピストンの動作によって排気ポートが開閉されて、燃焼室内の既燃焼ガスが外部に排出される。
【0003】
燃焼行程でピストンが下降すると、ピストンの下死点近傍で排気ポートと掃気ポートが開口され、そして、掃気ポートが開くと同時にシリンダ内の掃気が開始される。掃気通路の下端はクランク室に連通している。このことから、掃気ポートが開くと同時に、下降するピストンによって予圧縮された混合気が掃気ガスとして掃気ポートからシリンダ内に吐出される。
【0004】
クランク室で混合気を予圧縮する周知の2ストロークエンジンでは、掃気行程で発生する「吹き抜け」の問題を有している。「吹き抜け」は、掃気ポートから燃焼室に吐出された混合気が掃気に貢献することなく直接的に排気ポートから排出される現象である。この吹き抜けは、未燃焼の混合気が排出されてしまうため環境を汚染させてしまうだけでなく給気効率ηtrが低下する。その結果、燃料消費率が悪化する。
【0005】
混合気の吹き抜け問題に対処するために、シニューレ式2ストロークエンジンが提案され、現在の2ストロークエンジンの主流となっている。シニューレ式2ストロークエンジンは、掃気ポートから吐出される掃気ガス(典型的には混合気)を、排気ポートとは反対側である吸気側のシリンダ壁面に指向させることによって行われる。シニューレ式2ストロークエンジンは、例えば特許文献1に開示されている。シニューレ式2ストロークエンジンにおいて、特許文献1から分かるように、掃気ポートから吐出された掃気ガスは、吸気側のシリンダ壁面に差し向けられる。そして、その後、掃気ガスはシリンダ壁面に衝突することで反転して排気ポートに向かって進む。
【0006】
特許文献1は、相対的に排気側に位置して互いに対抗する2つの排気側掃気ポートと、吸気側に位置して互いに対抗する2つの吸気側掃気ポートとを有する2ストロークエンジンを開示している。合計4つの掃気ポートを備えた2ストロークエンジンは「4流掃気式エンジン」と呼ばれている。特許文献1は、2つの排気側掃気ポートから吐出される掃気ガス流で形成される第1水平掃気角の好ましい角度と、2つの吸気側掃気ポートから吐出される掃気ガス流で形成される第2水平掃気角の好ましい角度とを提案している。
【0007】
特許文献1の
図4を抜粋して、これを本明細書の
図7に図示すると、図中、参照符号Exは排気ポートを示し、Saは排気側掃気ポートを示し、Sbは吸気側掃気ポートを示す。第1水平掃気角βは、排気側掃気ポートSaの高さレベルにおいて、排気側掃気ポートSaに通じる掃気通路の上端部の吸気側壁面202で規定される。第2水平掃気角δは、吸気側掃気ポートSbの高さレベルにおいて、吸気側掃気ポートSbに通じる掃気通路の上端部の吸気側壁面204で規定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述したように、「吹き抜け」は、掃気ポートから燃焼室内へ吐出された掃気ガスが、シリンダ内に留まることなく排気ポートへ直接的に排出されることで発生する。これを防止するために、上述した特許文献1は、掃気ポートから吐出される掃気ガスの流れ方向を、掃気ポートの高さレベルにおいて、より吸気側へと傾斜つまり偏向させることで、排気ポートへのショートカットつまり吹き抜けを防止することを開示している。このことは、上述した吸気側掃気ポートSbの高さレベルにおいて、第2水平掃気角δの大きさに関係している。
【0010】
第2水平掃気角δは、掃気通路の上端部の吸気側壁面204で規定される。
図8を参照して、「吹き抜け」を低減するために、吸気側壁面204の傾斜角度θを、吸気側掃気ポートSbの高さレベルにおいて、吸気側に傾斜させて、上記の第2水平掃気角δを形成している。吸気側壁面204の傾斜角度θに関して、この傾斜角度θを大きくすると、吸気側掃気ポートSbの吸気側の端縁Sb(ej)の位置が吸気側に変位することから、傾斜角度θを大きくすることにスペース的な限界がある。
図8中、仮想線VLで示すように、吸気側の端縁Sb(ej)の位置を吸気側に変位させないで、傾斜角度θを大きく設定する場合、傾斜角度θが大きくなる程に吸気側掃気ポートSbに通じる掃気通路の上端部の通路断面積が小さくなる。その結果、十分な燃焼用ガス(混合気)を導入できず出力を損なうことが懸念される。
【0011】
また、吸気側壁面204の傾斜角度θを大きく設定すると、安定した燃焼状態を維持できる回転数領域が狭くなる傾向がある。このことは、低速から高速およびその逆の操作、繰り返しの加減速の操作によって幅広い回転数領域を使用する作業機用エンジンには適さないことを意味している。
【0012】
本発明の目的は、上述した吸気側掃気ポートのスペース的な制約下においても、吹き抜けを抑制しながら広い回転数領域で燃焼安定性を維持可能なシニューレ式2ストロークエンジンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の技術的課題は、本発明にあっては、
複数の掃気通路(14)の各掃気ポート(16)がピストン(6)によって開閉され、
掃気行程において、前記複数の掃気ポート(16)から吐出される掃気ガスが排気ポート(22)とは反対側である吸気側のシリンダ壁面に差し向けられ、そして、シリンダ壁面に衝突することで反転して前記排気ポート(22)に向かうシニューレ式2ストロークエンジン(2)において、
少なくとも一つの掃気ポート(16(in1))に関連した掃気通路(14(in1))の上端部(14a(in1))に吸気側側面(204)を有し、該吸気側側面(204)によって、前記掃気ポート(16(in1))の高さレベルにおいて、前記少なくとも一つの掃気ポート(16(in1))から燃焼室(8)に吐出される掃気ガスの第1の流れ方向(42)が規定され、
前記少なくとも一つの掃気ポート(16(in1))に関連した掃気通路(14(in1))の上端部(14a(in1))に設けられ、当該少なくとも一つの掃気ポート(16(in1))から燃焼室(8)に吐出される掃気ガスの第2の流れ方向(44)を規定するガイド部(50)を有し、
前記第2の流れ方向(44)が、前記掃気ポート(16(in1))の高さレベルにおいて、前記第1の流れ方向(42)よりも吸気側に偏向されている、ことを特徴とするシニューレ式2ストロークエンジン(2)を提供することにより達成される。
【0014】
本発明の好ましい実施形態では、前記ガイド部(50)を備えた前記掃気通路(14)が、シリンダブロック(70)に固定される掃気通路形成部材(72)によって実質的に形成される。本発明の典型的なシニューレ式2ストロークエンジンは、4つの掃気ポートを備えた4流掃気エンジンであり、前記少なくとも一つの掃気ポートが、吸気側に位置して互いに対抗して位置する2つの吸気側掃気ポートのいずれか一方又は双方の掃気ポート(16(in1))である。本発明は、層状掃気式エンジンに好適に適用可能である。
【0015】
本発明の作用効果及び他の目的は以下の好ましい実施例の詳しい説明から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施例の単気筒2ストロークエンジンの概略縦断面図である。
【
図2】実施例のエンジンを含む2ストロークエンジンの吸気系の概略図である。
【
図3】実施例の2ストロークエンジンにおいて、各掃気ポートの高さレベルでの水平断面図である。
【
図4】実施例の2ストロークエンジンのシリンダ内部から要部を透視した説明図である。
【
図5】実施例のエンジンのシリンダブロックとこれにネジ止めされる第1掃気通路形成部材を示す。この第1掃気通路形成部材によって掃気ポートから吐出される掃気ガスの流れ方向の傾斜角が従来よりも拡大される。
【
図6】
図5に図示の第1掃気通路形成部材の斜視図である。
【
図7】シニューレ式の従来の4流掃気エンジンの各掃気ポートから吐出される掃気ガスの流れ方向を説明するための図である。
【
図8】本発明者らが検討した掃気ガスの流れ方向を説明するための図である。
【
図9】従来のエンジンのシリンダブロックとこれにネジ止めされる従来の掃気通路形成部材を示す。
【発明を実施するための形態】
【実施例0017】
以下に、添付の図面に基づいて本発明の好ましい実施例を説明する。
図1は、単気筒2ストロークエンジンシステム100に含まれる実施例のエンジン2の概略縦断面図である。エンジン2は、チェーンソー、ブロワ、刈払機などの携帯作業機に好適に適用される。
図1を参照して、図示のエンジン2は、シリンダ4に嵌挿されたピストン6を有し、ピストン6は上死点と下死点との間を往復動する。ピストン6によって画成される燃焼室8には点火プラグ10が配設されている。
【0018】
燃焼室8とクランク室12とは、掃気行程において、掃気通路14によって連通される。掃気通路14の上端部14aは掃気ポート16を通じてシリンダ4に開口している。掃気ポート16は正面視矩形である。掃気ポート16はピストン6によって開閉される。エンジン2は4つの掃気ポート16を有する「4流掃気エンジン」である。本発明は4流掃気エンジンに限定されないが、本発明の実施例の典型例として、以下、図示の4流掃気エンジンに基づいて実施例を説明する。
【0019】
実施例の4流掃気エンジン2において、4つの掃気ポート16は、その開放タイミングを同期させるために、矩形の掃気ポート16の上端縁が同じ高さレベルに配置されている。各掃気通路14の下端はクランク室12に開放し、この開放した下端は掃気ガス入口18を構成している。
【0020】
参照符号20は吸気ポートを示し、吸気ポート20を通じてクランク室12に混合気が供給される。参照符号22は排気ポートを示す。排気ポート22は吸気ポート20とは反対側に配置されている。エンジン2はピストンバルブ式エンジンである。すなわち、吸気ポート20及び排気ポート22はピストン6によって開閉される。そして、吸気ポート20を通じて混合気がクランク室12に供給され、他方、排気ポート22を通じて燃焼室8の既燃焼ガスが排出される。
【0021】
図2は、2ストロークエンジンシステム100に含まれる吸気系24の概略図である。吸気系24は、その上流端にエアクリーナ26を有し、エアクリーナ26で浄化したエアが気化器28に供給される。気化器28の混合気生成通路28aには燃料タンク30から燃料が供給されて、気化器28によって混合気が生成される。
【0022】
エンジン2は層状掃気式エンジンである。気化器28は、混合気を生成する第1通路28aと、エアクリーナ26から受け取ったエアが通過する第2通路28bとを有している。上記の混合気生成通路である第1通路28aは、クランク室12に通じる混合気通路32の一部を構成し、気化器28で生成された混合気は混合気通路32を通じてクランク室12に供給され、そして、下降するピストン6によって混合気はクランク室12で予圧縮される。
【0023】
エアが通過する第2通路28bは、掃気通路14に先導エアを供給する先導エア通路34の一部を構成する。ピストン6は、その周面にピストン溝6aを有している。エアクリーナ26から受け取った先導エアは、ピストン溝6aを介して、掃気通路14の上端部に供給される。ピストン溝6aはUS2016/0376979A1に詳しく説明されていることから、ピストン溝6aに関する説明は省略する。ピストン溝6aに代えてリードバルブを採用してもよい。リードバルブに関してはJP特開2000―337154号公報に詳しく説明されている。
【0024】
層状掃気式のエンジン2は、掃気行程の初期に先導エアが燃焼室8に供給され、次いで、クランク室12の混合気が掃気ガスとして燃焼室8に供給される。
【0025】
図3は、各掃気ポート16の高さレベルにおいて、シリンダ4を水平に断面した概略図である。
図3から分かるように、エンジン2は、4つの掃気ポート16の各々から吐出される掃気ガスを、吸気側のシリンダ壁面に差し向ける「シニューレ式エンジン」である。吸気側のシリンダ壁面に衝突した掃気ガスは反転して排気ポート22に向かう。
【0026】
図3において、矩形の4つの掃気ポート16は、シリンダ4の各側に2つずつ配置されている。各掃気ポート16を識別するために、図面右側に位置する2つの掃気ポート16のうち、排気ポート22側に位置する掃気ポート16を「排気側第1掃気ポート」と呼び、この排気側第1掃気ポートに参照符号「16(ex1)」を付す。また、吸気ポート20側に位置する掃気ポート16を「吸気側第1掃気ポート」と呼び、この吸気側第1掃気ポートに参照符号「16(in1)」を付す。
【0027】
図面左側に位置する2つの掃気ポート16のうち、排気ポート22側に位置する掃気ポート16を「排気側第2掃気ポート」と呼び、この排気側第2掃気ポートに参照符号「16(ex2)」を付す。また、吸気ポート20側に位置する掃気ポート16を「吸気側第2掃気ポート」と呼び、この吸気側第2掃気ポートに参照符号「16(in2)」を付す。
【0028】
引き続き
図3を参照して、4つの掃気ポート16のうち、排気側第1掃気ポート16(ex1)、排気側第2掃気ポート16(ex2)、吸気側第2掃気ポート16(in2)は、従来と同様に、排気側第1掃気ポート16(ex1)、排気側第2掃気ポート16(ex2)の各々に関連した吸気側壁面202及び吸気側第2掃気ポート16(in2)に関連した吸気側壁面204で掃気ガスの第1の流れ方向が規定される。排気側第1掃気ポート16(ex1)、排気側第2掃気ポート16(ex2)から吐出される掃気ガスの流れ方向を矢印40で示す。吸気側第2掃気ポート16(in2)から吐出される掃気ガスの流れ方向を矢印42で示す。これら流れ方向40、42は、吸気側壁面202、204で規定される点で共通していることから「第1の流れ方向」と呼ぶ。
【0029】
残る吸気側第1掃気ポート16(in1)は、これに関連して第1の流れ方向42を規定する吸気側壁面204を有している点で、吸気側第2掃気ポート16(in2)と共通している。吸気側第1掃気ポート16(in1)から吐出される掃気ガスの流れは、当該吸気側第1掃気ポート16(in1)の高さレベルにおいて、典型的には、吸気側第1掃気ポート16(in1)に通じる吸気側第1掃気通路14(in1)の上端部14a(in1)の吸気側壁面204で規定される第1流れ方向42よりも吸気側に大きく偏向した第2流れ方向44に指向される。この第2流れ方向44は、吸気側第1掃気通路14(in1)の上端部14a(in1)に位置するガイド部50で規定される。
【0030】
より詳しく説明すると、ピストン6が下降して吸気側第1掃気ポート16(in1)が開き、そしてその開度が大きくなるに従って、吸気側第1掃気ポート16(in1)から吐出される掃気ガスの流れ方向が、第1流れ方向42から第2流れ方向44に変化する。
図3において、第1流れ方向42の傾斜角をθ(1)で示し、これを第1傾斜角θ(1)と呼ぶ。第2流れ方向44の傾斜角をθ(2)で示し、これを第2傾斜角θ(2)と呼ぶ。ここに傾斜角θは、吸気ポート20と排気ポート22とを結ぶ気筒の中心線Lに向けた垂線を基準とした水平面上の角度を意味し、この水平面は、吸気側第1掃気ポート16(in1)の高さレベルの面である。第2流れ方向44の第2傾斜角θ(2)は、第1流れ方向42の第1傾斜角θ(1)よりも大きい。つまり第2流れ方向44は、第1流れ方向42に比べて、掃気ガスの流れ方向が吸気側に偏向される。
【0031】
図4は、吸気側第1掃気ポート16(in1)に関連した吸気側掃気通路14(in1)の上端部14a(in1)をシリンダ4の内部から見た透視図である。吸気側第1掃気通路14(in1)は、その上端が、気筒の周方向に延びる庇60によって規定されている。庇60の下方には隆起部62が位置しており、この隆起部62によって吸気側第1掃気通路14(in1)の上端部14a(in1)の形状が形成される。
【0032】
図4に仮想線で示す吸気側第1掃気ポート16(in1)の左側が吸気側である。吸気側第1掃気ポート16(in1)に関連した吸気側壁面204(
図3)の図示は線図の錯綜を避けるために省略してある。その代わりに、吸気側壁面204と掃気通路上端部14a(in1)との第1の境界線204aを図示してある。
【0033】
隆起部62の上端部は、吸気側第1掃気ポート16(in1)の吸気側において、吸気側第1掃気ポート16(in1)の下端縁に沿って水平に延びる上端段部つまり棚62aを有し、上端段部つまり棚62aは、吸気側第1掃気ポート16(in1)の下端縁の高さレベルに位置している。そして、隆起部62の上端段部つまり棚62aは、吸気側第1掃気ポート16(in1)の吸気端(第1境界線204a)から排気側に向けてシリンダ4の周方向に延びている。隆起部62の上端段部つまり棚62aとその上方に位置する庇60とで、上下の幅が狭いガイド溝64が形成されている。このガイド溝64は、吸気側第1掃気ポート16(in1)の吸気側の端部に臨んで位置している。
【0034】
隆起部62の上端部は、上端段部つまり棚62aに連なり且つ上下方向に傾斜して延びる傾斜ガイド面62bを有し、この傾斜ガイド面62bは、吸気側第1掃気ポート16(in1)の下端縁の下方に位置している。傾斜ガイド面62bは、シリンダ4と平行な縦面を上方に向かうに従って吸気側且つシリンダ4の内方側に傾斜させて、吸気側第1掃気通路14(in1)を上昇する掃気ガスの流れの方向をシリンダ4の内方側且つ吸気ポート20側に差し向けることができる傾斜面で構成されている。
【0035】
隆起部62の上端部において、上下方向に延びる傾斜ガイド面62bは、第2の境界線つまりガイド線62cを介して、水平方向に延びる棚62aと合流している。
図3を参照して、吸気側第1掃気ポート16(in1)の高さレベルにおいて、吸気側壁面204つまり第1の境界線204aは、実質的に、第1傾斜角θ(1)の方向(
図3)に延びている。これに対して、第2の境界線つまりガイド線62cは、吸気側第1掃気ポート16(in1)の高さレベルにおいて、実質的に、第2傾斜角θ(2)の方向(
図3)に延びている。
【0036】
図3、
図4を参照して、吸気側第1掃気ポート16(in1)に通じる吸気側第1掃気通路14(in1)にガイド部50を設けた場合を例示的に説明したが、本発明はこれに限定されない。吸気側第1掃気ポート16(in1)に通じる吸気側第1掃気通路14(in1)に代えて、吸気側第2掃気ポート16(in2)に通じる吸気側第2掃気通路14(in2)にガイド部50を設けても良いし、吸気側第1掃気通路14(in1)および吸気側第2掃気通路14(in2)にガイド部50を設けてもよい。
【0037】
吸気側第2掃気通路14(in2)にガイド部50を設けた場合を例に、吸気側第2掃気通路14(in2)を形成する第1掃気通路形成プレート72について
図5,
図6を参照して説明する。
図5の参照符号70はエンジン2のシリンダブロックを示す。シリンダブロック70において、ガイド部50を備えた吸気側第2掃気通路14(in2)は、第1掃気通路形成プレート72をシリンダブロック70に脱着可能にネジ止めすることにより構成されている。
図6は第1掃気通路形成プレート72の拡大図である。吸気側第2掃気ポート16(in2)に関連した吸気側第2掃気通路14(in2)は、その通路形状が第1掃気通路形成プレート72の隆起部62によって実質的に形成される。隆起部62は、上述したように、上端段部つまり棚62a、傾斜ガイド面62b、ガイド線62cを有し、これらの要素がガイド部50を構成している。
【0038】
比較例として、
図9に図示の従来構造を説明する。
図9を参照して、従来の掃気ポートSb(
図7)は、他の掃気ポートSa(
図7)も同様であるが、従来の掃気通路形成プレート74をシリンダブロック70に脱着可能にネジ止めすることにより構成されている。
【0039】
本発明に関連した第1掃気通路形成プレート72(
図5、
図6)と、従来の掃気通路形成プレート74(
図9)とを対比するとよく分かるように、第1掃気通路形成プレート72、従来の掃気通路形成プレート74は共に庇60を有し、この庇60で掃気通路14の上端を規定している点で共通している。しかし、本発明に含まれる第1掃気通路形成プレート72は隆起部62を有しているのに対して、従来の掃気通路形成プレート74は、隆起部62の無い平らな面で構成されている。
【0040】
図3に例示的に図示の実施例のエンジン2に戻って、
図3に図示の吸気側第2掃気ポート16(in2)に通じる吸気側第2掃気通路14(in2)は、その通路形状が従来の掃気通路形成プレート74(
図9)で実質的に形成されている。また、排気側第1、第2掃気ポート16(ex1)、16(ex2)に通じる排気側第1、第2掃気通路14(ex1)、14(ex2)も従来の掃気通路形成プレート74で構成されている。
【0041】
図3に例示的に図示のエンジン2において、従来の掃気通路形成プレート74(
図9)は上述したように平らな面で構成されているため、吸気側第2掃気ポート16(in2)から吐出される掃気ガス流の流れ方向42は、第2掃気ポート16(in2)の開き度合いに関わりなく一様である。
【0042】
図3に例示的に図示のエンジン2において、吸気側第2掃気ポート16(in2)および従来の掃気通路形成プレート74(
図9)によって形成される吸気側第2掃気通路14(in2)の掃気行程における作用を説明すると、クランク室12の混合気は、吸気側第2掃気通路14(in2)の中に入り、そして、上昇して、吸気側第2掃気ポート16(in2)を通じて燃焼室8に吐出される。吸気側第2掃気ポート16(in2)から吐出される混合気(掃気ガス)の流れ方向42は、ピストン6の下降に伴う吸気側第2掃気ポート16(in2)の開き度合いの変化に関係なく、前述したように、吸気側第2掃気ポート16(in2)に関連した吸気側壁面204(
図3)で規定される。そして、吸気側第2掃気ポート16(in2)から吐出される掃気ガスの第1流れ方向42の傾斜角はθ(1)であり、ピストン6の下降に伴う吸気側第2掃気ポート16(in2)の開き度合いの変化に関係なく一様である。
【0043】
図3に例示的に図示のエンジン2において、吸気側第1掃気ポート16(in1)に通じる吸気側第1掃気通路14(in1)は、前述した第1掃気通路形成プレート72と実質的に同様に隆起部62を備えたプレート72(
図5、
図6)で規定される。吸気側第1掃気通路14(in1)および吸気側第1掃気ポート16(in1)における掃気ガスの流れを、層状掃気式エンジンを例として説明する。ピストン6が上昇してクランク室12が負圧になると、吸気系24の先導エア通路34からピストン溝6aを介して吸気側第1掃気通路14(in1)の上部に先導エアが充填される。
【0044】
一方、クランク室12の混合気は、ピストン6が下降するに伴って、吸気側第1掃気通路14(in1)の掃気ガス入口18から吸気側第1掃気通路14(in1)に導入される。ピストン6が上死点に到達し、続いてピストン6が下降し排気ポート22が開くと、前回サイクルで燃焼した既燃焼ガスが排気ポート22から排出される。次に吸気側第1掃気ポート16(in1)が開くと、吸気側第1掃気通路14(in1)の上部に充填されていた先導エアが先行して燃焼室8に導入され、続いて、クランク室12で予圧縮された混合気が燃焼室8へ導入される。
【0045】
先導エア、混合気ともに吸気側第1掃気通路14(in1)を通過する際、吸気側第1掃気通路14(in1)の上端部14a(in1)に位置するガイド部50によって流れ方向に特別の指向性が付与され、そして、吸気側第1掃気ポート16(in1)から燃焼室8に向けて吐出される。
【0046】
吸気側第1掃気ポート16(in1)から吐出される掃気ガスの第2流れ方向44の傾斜角は典型的にはθ(2)である(
図3)。この第2流れ方向44は、ガイド部50によって誘起される。第2流れ方向44の第2傾斜角θ(2)は、上述した第1傾斜角θ(1)よりも大きい。
【0047】
以下に、
図3に例示的に図示のエンジン2の作用を詳しく説明する。掃気行程においてもっとも初期では、下降するピストン6によって、矩形の吸気側第1掃気ポート16(in1)の上端がわずかに開放される。このときの掃気ガス流の指向性は、吸気側第1掃気ポート16(in1)に通じる吸気側第1掃気通路14(in1)の上端部14a(in1)の吸気側壁面204によって規定される。すなわち、掃気行程において、そのもっとも初期では、吸気側第1掃気ポート16(in1)から吐出される掃気ガスは、従来と同様に、吸気側第1掃気ポート16(in1)に関連した吸気側壁面204に案内され、その流れ方向は第1の流れ方向42である。層状掃気式エンジンの場合、掃気行程の初期には、先導エアが、吸気側第1掃気ポート16(in1)に関連した吸気側壁面204によって指向されて燃焼室8に導入されることになる。
【0048】
ピストン6が更に下降して吸気側第1掃気ポート16(in1)が上下方向中間まで開くと、クランク室12で予圧縮された混合気が燃焼室8に導入され始める。このときの掃気ガスの吐出方向は、吸気側第1掃気通路14(in1)の上端部14a(in1)に設けられたガイド部50(特に、傾斜ガイド面62b及び/又はガイド線62c)によって生成される掃気ガス流の流れ方向(第2傾斜角θ(2))と、吸気側壁面204によって規定される掃気ガス流の流れ方向(第1傾斜角θ(1))とがともに影響する。この段階において、吸気側第1掃気ポート16(in1)から吐出される掃気ガスの流れは、水平面上において、第2傾斜角θ(2)によって第1傾斜角θ(1)よりも大きな傾斜角度の流れとなる。つまり、掃気行程が進むにつれて、吸気側第1掃気ポート16(in1)から吐出される掃気ガスの流れ方向が吸気側に偏向され、その水平傾斜角が吸気側に大きくなる。
【0049】
ピストン6が更に下降し、吸気側第1掃気ポート16(in1)が大きく開放された状態になると、層状掃気式エンジンでは、クランク室12で予圧縮された混合気が掃気ガスとして燃焼室8に吐出される。吸気側第1掃気ポート16(in1)が大きく開放された状態になると、吸気側第1掃気通路14(in1)内の掃気ガス流の大部分が吸気側壁面204に達することなく燃焼室8に導入される。このことから、吸気側第1掃気ポート16(in1)から吐出される掃気ガスの流れ方向は、これを規定する要因が、ガイド部50(特に、傾斜ガイド面62b及び/又はガイド線62c)によって規定される第2傾斜角θ(2)となる。すなわち、吸気側第1掃気ポート16(in1)が大きく開放された状態での掃気ガス流の流れ方向は、最も吸気側へ偏向される。この掃気ガスの流れ方向の水平傾斜角は第2傾斜角θ(2)である。
【0050】
上述したように、本発明が適用された吸気側第1掃気ポート16(in1)による掃気ガスの流れ方向は、掃気行程の進行度合い、つまり吸気側第1掃気ポート16(in1)の開き度合いによって、吸気側壁面204によって規定される第1傾斜角θ(1)から、ガイド溝64によって規定される第2傾斜角θ(2)に変化する。この第2傾斜角θ(2)は第1傾斜角θ(1)よりも大きい(
図3)。
【0051】
とりわけ、層状掃気式エンジンにおいては掃気行程の初期から後期にかけて、掃気ガスの成分が変化することに対応して指向性を組み合わせることで、吹き抜け防止、エンジン出力の向上、燃焼安定性のバランスを好適に調整できる。
【0052】
図3に例示的に図示のエンジン2は、
図8を参照して説明した吸気側壁面204の傾斜角度θを大きく設定した試作品と同様に、出力が増大し、エミッション特性を改善しながら、燃焼安定性も維持することができた。実施例のエンジン2では、吸気側第1掃気ポート16(in1)に通じる吸気側第1掃気通路14(in1)の上端部14a(in1)のガイド部50によって、第1流れ方向42よりも傾斜角θが大きい第2流れ方向44を実現しているため、
図8において仮想線VLで図示して説明した吸気側掃気ポートSbの掃気通路断面積が小さくなることはない。このことから、層状掃気式エンジン2においては、掃気通路14の上端部の容積、つまり、先導エアを貯留する空間を狭めないという利点もある。
【0053】
吸気側第2掃気ポート16(in2)に通じる吸気側第2掃気通路14(in2)に対しても、吸気側第1掃気ポート16(in1)に通じる吸気側第1掃気通路14(in1)の上端部14a(in1)と同様にガイド溝64を設けてもよい。この場合、吸気側第1、第2掃気ポート16(in1)、16(in2)に関連したガイド部50によって夫々形成される掃気ガスの第2の流れ方向44の傾斜角θ(2)は同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、このタイプの2ストロークエンジンでは、吸気ポートと排気ポートとが180°位置で対面しているエンジンと、180°位置からややずれて位置するエンジンとがある。様々な吸気ポートと排気ポートの位置関係に対応して、最適な第1傾斜角および第2傾斜角の組み合わせが選択可能である。
【0054】
以上、本発明を層状掃気式エンジンに適用した実施例を説明したが、掃気ガスに先導エアを含まない2ストロークエンジン、つまりクランク室12で予圧縮した混合気を掃気ガスとして用いるコンベンショナルなエンジンに対して本発明を適用することができる。掃気ガス流の全てが混合気で構成される上記のコンベンショナルなエンジンにおいても、掃気ガス流の流れ方向を組み合わせて未燃焼ガスのシリンダ内での滞留時間を延長することで、吹き抜けの低減と出力向上、燃焼安定性が達成される。
【0055】
また、掃気ポートの数は4つに限定されず、その数は任意である。例えば、本発明は、2つの掃気ポートを備えた2流掃気エンジンに対しても好適に適用できる。また、気化器28に代えて燃料噴射装置を採用した2ストロークエンジンに対しても本発明を好適に適用することができる。例えば本発明を筒内直噴2ストロークエンジンに適用した場合、クランク室で予圧縮されたエアが掃気ガスとして使われる。この筒内直噴2ストロークエンジンに本発明を適用することにより、シリンダ4内の掃気効率を高めることができる。
【0056】
尚、2ストロークエンジンにおいて、より精密な燃料コントロールを目的として、気化器に代えて燃料噴射装置を採用したものがある。これらのエンジンにおける燃料噴射装置の配置に関し、(i)燃料噴射装置をエンジンの吸気系に配置する,(ii)燃料噴射装置をクランク室に配置する等の他に、(iii)燃料噴射装置を気筒に配置することが考えられる。燃料噴射装置を気筒に配置した形式のエンジンは「筒内直噴エンジン」と呼ばれている。筒内直噴2ストロークエンジンにおいて、クランク室にはエアが供給され、このエアはクランク室で予圧縮される。そして、予圧縮されたエアは掃気ガスとして掃気通路、掃気ポートを通じてシリンダ4内に導入されてシリンダ4内の掃気に用いられる。