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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023089917
(43)【公開日】2023-06-28
(54)【発明の名称】乗物用シート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/68 20060101AFI20230621BHJP
   A47C 7/02 20060101ALI20230621BHJP
   A47C 7/40 20060101ALI20230621BHJP
【FI】
B60N2/68
A47C7/02 A
A47C7/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022127400
(22)【出願日】2022-08-09
(62)【分割の表示】P 2022550639の分割
【原出願日】2021-09-17
(31)【優先権主張番号】63/080,830
(32)【優先日】2020-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/083,205
(32)【優先日】2020-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088580
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 敦
(74)【代理人】
【識別番号】100195453
【弁理士】
【氏名又は名称】福士 智恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100205501
【弁理士】
【氏名又は名称】角渕 由英
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 弘規
(72)【発明者】
【氏名】谷口 博郁
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 彬彦
【テーマコード(参考)】
3B084
3B087
【Fターム(参考)】
3B084EC01
3B087DB02
3B087DB03
(57)【要約】
【課題】分割された複数の部材からなるサイドフレームを有する乗物用シートにおいて、部材同士の接続をする際、様々な溶接方法に対応可能にすると共に、溶接後の接続強度が向上する接続構造を有するサイドフレームを提供する。
【解決手段】乗物用シートSの一対のサイドフレーム13のそれぞれは、長手方向に分割された少なくとも第一部材14と第二部材16とから構成されており、第一部材14は、第二部材16と接続する第一接続部15を有し、第二部材16は、第一部材14と接続する第二接続部17を有し、第一接続部15と第二接続部17は、それぞれ長手方向に延びる平面部15a、17aを有しており、第一接続部15の平面部15aと第二接続部17の平面部17aとの平面同士が対向して重なり合った状態で、第一部材14と第二部材16とが接続される。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート本体と、該シート本体の骨格を形成するシートフレームを備える乗物用シートであって、
前記シートフレームは、シート幅方向に離間して配置される一対のサイドフレームを有し、
前記一対のサイドフレームのそれぞれは、長手方向に分割された少なくとも第一部材と第二部材とから構成されており、
前記第一部材は、前記第二部材と接続する第一接続部を有し、
前記第二部材は、前記第一部材と接続する第二接続部を有し、
前記第一接続部と前記第二接続部は、それぞれ長手方向に延びる平面部を有しており、前記第一接続部の前記平面部と前記第二接続部の前記平面部との平面同士が対向して重なり合った状態で、前記第一部材と前記第二部材とが接続されることを特徴とする乗物用シート。
【請求項2】
前記第一部材と第二部材とは、互いに異なる板厚又は材種で形成されることを特徴とする請求項1に記載の乗物用シート。
【請求項3】
前記第一部材の前記第一接続部と前記第二部材の前記第二接続部とは、いずれか一方が他方の内側に位置することを特徴とする請求項1に記載の乗物用シート。
【請求項4】
前記第一接続部及び前記第二接続部のうち内側に位置する一方が段部として形成されており、
前記第一部材と前記第二部材とが接続した状態では、前記第一部材の外側面と前記第二部材の外側面とが面一となることを特徴とする請求項3に記載の乗物用シート。
【請求項5】
前記第一接続部及び前記第二接続部のうち内側に位置する一方において、側部から内側に向かって延びるフランジが形成されており、他方においてフランジが形成されていないことを特徴とする請求項3に記載の乗物用シート。
【請求項6】
前記第一接続部及び前記第二接続部のうち内側に位置する一方のシート幅方向の長さが、他方のシート幅方向の長さより長いことを特徴とする請求項1に記載の乗物用シート。
【請求項7】
前記サイドフレームにおいて、開口部が前記第一接続部又は前記第二接続部を避けた位置に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の乗物用シート。
【請求項8】
前記シートフレームは、背凭れ部となるシートバックの骨格を形成するシートバックフレームであり、
前記一対のサイドフレームは前記シートバックフレームのバックサイドフレームであることを特徴とする請求項1に記載の乗物用シート。
【請求項9】
前記シートフレームは、着座部となるシートクッションの骨格を形成するシートクッションフレームであり、
前記一対のサイドフレームは前記シートクッションフレームのクッションサイドフレームであることを特徴とする請求項1に記載の乗物用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は乗物用シートに係り、特にサイドフレームを有する乗物用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
車両用シートのバックシートの骨格を形成するバックフレームは、左右に配置される一対のサイドフレームと、それらを接続するアッパーフレーム及びロアフレームとから構成されている。また、特許文献1には、上下方向に分割され、複数の部材からなるサイドフレームが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-51272公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のサイドフレームは、複数の部材同士を突き当てて溶接することにより形成されている。しかしながら、部材同士を突き当てて溶接する場合、その溶接方法は、レーザ溶接に限定されることから、様々な溶接方法により接続することが困難で、また、接合後も強度的に不十分となる懸念もあった。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、分割された複数の部材からなるサイドフレームを有する乗物用シートにおいて、部材同士の接続をする際、様々な溶接方法に対応可能にすると共に、溶接後の接続強度が向上する接続構造を有するサイドフレームを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題は、シート本体と、該シート本体の骨格を形成するシートフレームを備える乗物用シートであって、前記シートフレームは、シート幅方向に離間して配置される一対のサイドフレームを有し、前記一対のサイドフレームのそれぞれは、長手方向に分割された少なくとも第一部材と第二部材とから構成されており、前記第一部材は、前記第二部材と接続する第一接続部を有し、前記第二部材は、前記第一部材と接続する第二接続部を有し、前記第一接続部と前記第二接続部は、それぞれ長手方向に延びる平面部を有しており、前記第一接続部の前記平面部と前記第二接続部の前記平面部との平面同士が対向して重なり合った状態で、前記第一部材と前記第二部材とが接続されることにより解決される。
【0007】
上記の乗物用シートによれば、長手方向に延びる第一接続部の平面部と第二接続部の平面部との平面同士が対向して重なり合った状態で、サイドフレームの第一部材と第二部材とが接続される。突き当てて接合する場合よりも広い面積で接続するため、様々な溶接方法に対応可能になり、溶接した後も接続強度も向上する。そのため、部材同士の接続をする際、様々な溶接方法に対応可能にすると共に、溶接後の接続強度が向上する接続構造を有するサイドフレームを備えた乗物用シートを提供することができる。
【0008】
また、上記の乗物用シートにおいて、前記第一部材と第二部材とは、互いに異なる板厚又は材種で形成されるとよい。
第一部材と第二部材とが互いに異なる板厚又は材種で形成されることにより、サイドフレームを必要に応じて適切な重量又は強度で形成することができる。
【0009】
また、上記の乗物用シートにおいて、前記第一部材の前記第一接続部と前記第二部材の前記第二接続部とは、いずれか一方が他方の内側に位置するとよい。
第一接続部と第二接続部とのいずれか一方が他方の内側に位置することで、接続部の強度を向上させることができる。
【0010】
また、上記の乗物用シートにおいて、前記第一接続部及び前記第二接続部のうち内側に位置する一方が段部として形成されており、前記第一部材と前記第二部材とが接続した状態では、前記第一部材の外側面と前記第二部材の外側面とが面一となるとよい。
第一接続部及び第二接続部の一方が段部として形成されることで、サイドフレームのシート幅方向の大きさがコンパクト化される。また、位置決めが容易になり、組立性が向上する。組立性の向上により乗物用シートの製造時間が短縮されコスト削減を図ることができる。
【0011】
また、上記の乗物用シートにおいて、前記第一接続部及び前記第二接続部のうち内側に位置する一方において、側部から内側に向かって延びるフランジが形成されており、他方においてフランジが形成されていないとよい。
第一接続部及び第二接続部のうち内側に位置する一方にフランジ部が形成され、他方に形成されないことにより、長手方向だけでなく、シート幅方向からも重ね合わせることができ、第一部材及び第二部材の組立性が向上する。
【0012】
また、上記の乗物用シートにおいて、前記第一接続部及び前記第二接続部のうち内側に位置する一方のシート幅方向の長さが、他方のシート幅方向の長さより長いとよい。
第一接続部及び第二接続部のうち内側に位置する一方のシート幅方向の長さが、他方のシート幅方向の長さより長いことにより、溶接が容易になる。
【0013】
また、上記の乗物用シートの前記サイドフレームにおいて、開口部が前記第一接続部又は前記第二接続部を避けた位置に形成されているとよい。
ハーネス用のクリップ孔等に用いられる開口部が、第一接続部又は第二接続部を避けた位置に形成されることにより、接続強度の低下が抑制される。
【0014】
また、上記の乗物用シートにおいて、前記シートフレームは、背凭れ部となるシートバックの骨格を形成するシートバックフレームであり、前記一対のサイドフレームは前記バックフレームのバックサイドフレームであるとよい。
バックサイドフレームを分割することにより、例えば異なる板厚や材種を組み合わせてバックサイドフレームを形成することができる。
【0015】
また、上記の乗物用シートにおいて、前記シートフレームは、着座部となるシートクッションの骨格を形成するシートクッションフレームであり、前記一対のサイドフレームは前記シートクッションフレームのクッションサイドフレームであるとよい。
クッションサイドフレームを分割することにより、例えば異なる板厚や材種を組み合わせてクッションサイドフレームを形成することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の乗物用シートによれば、長手方向に延びる第一接続部の平面部と第二接続部の平面部との平面同士が対向して重なり合った状態で、サイドフレームの第一部材と第二部材とが接続される。突き当てて接合する場合よりも広い面積で接続するため、様々な溶接方法に対応可能になり、溶接した後も接続強度も向上する。そのため、部材同士の接続をする際、様々な溶接方法に対応可能にすると共に、溶接後の接続強度が向上する接続構造を有するサイドフレームを備えた乗物用シートを提供することができる。
また、第一部材と第二部材とが互いに異なる板厚又は材種で形成されることにより、サイドフレームを必要に応じて適切な重量又は強度で形成することができる。
また、第一接続部と第二接続部とのいずれか一方が他方に内側に位置することで、接続部の強度を向上させることができる。
また、第一接続部及び第二接続部の一方が段部として形成されることで、サイドフレームのシート幅方向の大きさがコンパクト化される。また、位置決めが容易になり、組立性が向上する。組立性の向上により乗物用シートの製造時間が短縮されコスト削減を図ることができる。
また、第一接続部及び第二接続部のうち内側に位置する一方にフランジ部が形成され、他方に形成されないことにより、長手方向だけでなく、シート幅方向からも重ね合わせることができ、第一部材と第二部材との重ね合わせが容易になり組立性が向上する。
また、第一接続部及び第二接続部のうち内側に位置する一方のシート幅方向の長さが、他方のシート幅方向の長さより長いことにより、溶接が容易になる。
また、ハーネス用のクリップ孔等に用いられる開口部が、第一接続部又は第二接続部を避けた位置に形成されることにより、接続強度の低下が抑制される。
また、バックサイドフレームを分割することにより、例えば異なる板厚や材種を組み合わせてバックサイドフレームを形成することができる。
また、クッションサイドフレームを分割することにより、例えば異なる板厚や材質を組み合わせてクッションサイドフレームを形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第一実施形態に係る車両用シートの外観を示す斜視図である。
図2】車両用シートのシートフレームを示す斜視図である。
図3】車両用シートのシートフレームを示す正面図である。
図4図3の矢視IV方向から見たシートフレームを示す側面図である。
図5図3のV-V線に沿ったシートフレームの断面図である。
図6】サイドフレームの接合部分を前方斜め方向から見た拡大斜視図である。
図7】サイドフレームの接合部分を後方斜め方向から見た拡大斜視図である。
図8】サイドフレームの接合部分を後方から見た図である。
図9図3のIX-IX線に沿ったサイドフレームの断面図である。
図10】リクライニングカバーが取り付けられたクッションサイドフレームを車両用シートの内側から見た斜視図である。
図11】ベースカバーを車両用シートの内側から見た斜視図である。
図12】ベースカバーを車両用シートの外側から見た斜視図である。
図13図10のXIII-XIII線に沿った断面図である。
図14図10のXIV-XIV線に沿った断面図である。
図15】スイッチングユニットが取り付けられたクッションサイドフレームを示す斜視図である。
図16】スイッチングユニット等を有するクッションサイドフレームを示す分解斜視図である。
図17】ベースカバーに取り付けられたユニットカバー(インナーカバー)を示す、車両用シートの外側から見た斜視図である。
図18】リクライニングカバーに取り付けられたユニットカバーを示す車両用シートの内側から見た斜視図である。
図19図15のXIX-XIX線に沿った断面図である。
図20図15のXX-XX線に沿った断面図である。
図21図15のXXI-XXII線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態に係る乗物用シートの構成について図面を参照しながら説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。すなわち、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
また、以下の説明中、シート構成部品の材質、形状及び大きさに関する内容は、あくまでも具体例の一つに過ぎず、本発明を限定するものではない。
【0019】
なお、以下では、乗物用シートの一例として車両に搭載される車両用シートS、SA、SBを挙げ、その構成例について説明することとする。ただし、本発明は、自動車・鉄道など車輪を有する地上走行用乗物に搭載される車両用シートSに限定されるものではなく、例えば、地上以外を移動する航空機や船舶などに搭載されるシートにも適用され得る。
【0020】
また、以下の説明中、「前後方向」とは、車両用シートSの前後方向であり、車両走行時の進行方向と一致する方向である。また、「シート幅方向」とは、車両用シートSの横幅方向(換言すると、シート本体の幅方向)であり、車両用シートS、SA、SBに着座した乗員から見た左右方向と一致する方向である。また、「上下方向」とは、車両用シートSの上下方向であり、車両が水平面を走行しているときには鉛直方向と一致する方向である。
【0021】
また、シート幅方向の「車外側」とは、車体の外側により近い方(分かり易くは、最寄りのドアに近い側)を意味し、「車内側」とは、車体の内側により近い方(分かり易くは、最寄りのドアから離れている側)を意味している。
また、以下の説明中、「回動」は、特に断る場合を除き、シート幅方向に沿う軸を中心とした回動動作を意味する。
【0022】
なお、以下に説明する車両用シート各部の形状、位置及び姿勢等については、特に断る場合を除き、車両用シートSが後述する着座状態にあるケースを想定して説明することとする。
【0023】
<<第一実施形態>>
<車両用シートS>
第一実施形態(以下、本実施形態)に係る車両用シート(以下、車両用シートS)の基本構成について、図1を参照しながら説明する。図1は、車両用シートSの斜視図であり、図1中車両用シートSの一部については、図示の都合上、クッショントリムカバーTやパッドPを外した構成にて図示している。
【0024】
車両用シートSは、車体フロアの上に載置され、車両の乗員が着座するシートである。本実施形態において、車両用シートSは、車両の前席に相当するフロントシートとして利用される。ただし、これに限定されるものではなく、車両用シートSは、後部座席のシートとしても利用可能であり、また、前後方向に三列のシートを備える車両において二列目のミドルシートや三列目のリアシートとしても利用可能である。
【0025】
車両用シートSは、図1に示すように、着座者の背部を支える背もたれ部分となるシートバック1、着座者の臀部を支える着座部分となるシートクッション2、及び、シートバック1の上部に配され、着座者の頭部を支えるヘッドレスト3を主な構成要素とする。シートバック1とシートクッション2とはリクライニング機構7(図2参照)を挟み込むように連結されている。シートバック1は、シートクッション2に対して回動して、角度調整可能に連結されている。リクライニング機構7は、シートバック1の傾斜角度を調整する。また、シートバック1、シートクッション2をまとめてシート本体Shと称する。
【0026】
<シートフレームF>
車両用シートSの中には、図2に示すように、シートフレームFが設けられており、シートフレームFは、シートバック1の骨格を形成するシートバックフレーム10と、シートクッション2の骨格を形成するシートクッションフレーム20とから構成される。
以下では、まず、シートクッションフレーム20等、シートバックフレーム10以外の構成について説明し、シートバックフレーム10の詳細についてはそれらの後に説明する。
【0027】
<シートクッションフレーム20>
シートクッションフレーム20は方形枠状に形成され、その側部には一対のクッションサイドフレーム21、21が設けられている。また、一対のクッションサイドフレーム21、21を前方で連結する前方連結フレーム22と、後方で連結する後方連結フレーム23とを有する。車両用シートSの前後にある前方連結フレーム22及び後方連結フレーム23は丸パイプにより構成されている。また、前方連結フレーム22の前方にはクッションパンフレーム24が設けられている。なお、図示しないが、クッションパンフレーム24と後方連結フレーム23とを架け渡す受圧部材が取り付けられており、受圧部材が着座した乗員の臀部を下方から支持している。
【0028】
<ヘッドレスト3及びヘッドレストフレーム30>
ヘッドレスト3は、着座者の頭部を支えるよう、シートバック1の上部に取り付けられる。ヘッドレスト3の内部には、図2に示すようにヘッドレスト3の骨格を形成するヘッドレストフレーム30が設けられており、ヘッドレストフレーム30の左右両端には、ヘッドレスト3の下部から垂下する2つのヘッドレストピラー31(ヘッドレストステーとも呼ばれる)が設けられる。ヘッドレストピラー31が、後述するシートバックフレーム10のアッパーフレーム11に取り付けられたヘッドレストガイド11aに挿通されることにより、ヘッドレスト3がシートバックフレーム10に取り付けられる。
【0029】
<パッドP及びクッショントリムカバーT>
シートバックフレーム10、シートクッションフレーム20及びヘッドレストフレーム30の外側には、パッドP及びクッショントリムカバーT(クッションカバー)が設けられることで、シートバック1、シートクッション2及びヘッドレスト3が構成される。パッドPは、例えばウレタン発泡材を用いて、発泡成型により成型されたウレタン基材であり、クッショントリムカバーTは、例えばクロス、合成皮革又は本革等の表皮材からなる。
【0030】
<スライドレール4>
また、車両用シートSの下部には、図2に示すようにスライドレール4が設置されている。このスライドレール4により、車両用シートSは、前後方向にスライド移動可能な状態で車体フロアに取り付けられる。
【0031】
スライドレール4は、前後方向に沿って車両用シートSをスライド移動させるための機器であり、公知の構造(一般的なスライドレール機構の構造)となっている。スライドレール4は、車体フロア上に固定されるロアレール41、及びロアレール41に対してスライド移動可能なアッパーレール42を有する。車体に固定されたロアレール41に対してアッパーレール42が摺動可能となっている。
【0032】
<リクライニング機構7>
シートバック1の下端部とシートクッション2の後端部との間にはリクライニング機構7が設けられている。より詳細には、リクライニング機構7は、シートバック1のシートバックフレーム10と、シートクッション2のシートクッションフレーム20と、を連結している。リクライニング機構7は、シートクッション2(シートクッションフレーム20)に対するシートバック1(シートバックフレーム10)の角度を調節可能にしている。リクライニング機構7により、シートバック1を所定の角度でロックして傾斜した状態を維持することができる。また、そのロックを解除することによりシートバック1を前方又は後方に倒伏したりすることができる。
【0033】
<シートバックフレーム10>
以下、本実施形態の車両用シートSが備えるシートバックフレーム10、特にバックサイドフレーム13について、図2図9を用いて説明する。
図2に示すように、シートバックフレーム10は全体として方形枠状に形成されており、アッパーフレーム11と、ロアフレーム12と、一対のバックサイドフレーム13、13(一対のサイドフレーム)と、を備える。一対のバックサイドフレーム13、13は、シート幅方向(左右方向)に離間して配置されている。アッパーフレーム11は、一対のバックサイドフレーム13、13の間に配置され、バックサイドフレーム13、13の上端を連結する。ロアフレーム12は、一対のバックサイドフレーム13、13の間に配置され、一対のバックサイドフレーム13、13の下端を連結する。
【0034】
一対のバックサイドフレーム13、13のそれぞれは、その長手方向(図2の矢印A方向、矢印B方向)に分割されており、上側に位置する第一部材14と、下側に位置する第二部材16とから構成されている。本実施形態では2つの部材に分割されているが、これは一例であり、バックサイドフレーム13のそれぞれは、3つ以上の部材に分割されてもよい。一対のバックサイドフレーム13、13のそれぞれは同様の構成であるため、以下では、右側に配置されるバックサイドフレーム13について主に説明し、左側に配置されるバックサイドフレーム13の説明は省略する。
【0035】
<バックサイドフレーム13>
図2図4に示すように、第一部材14は、バックサイドフレーム13の上側に位置し、第一部材14の上端はアッパーフレーム11の右側の端部と接続している。
第二部材16は、バックサイドフレーム13の下方に位置し、第二部材16の下端はロアフレーム12の右側の端部と接続している。
第一部材14と、第二部材16はバックサイドフレーム13を形成するよう接続されており、第一部材14は、第二部材16と接続する第一接続部15を有し、第二部材16は、第一部材14と接続する第二接続部17を有する。
【0036】
第一接続部15及び第二接続部17は、それぞれ長手方向(矢印A方向、矢印B方向)に延びる平面部15a、17aを有している。第一接続部15の平面部15aと、第二接続部17の平面部17aとの平面同士が、図6から図9に示すように対向して重なり合った状態で溶接により接合されている。第一接続部15と第二接続部17とが接合されることにより、第一部材14と第二部材16とが連結してバックサイドフレーム13を形成する。
【0037】
<溶接方法>
第一接続部15と第二接続部17は、例えばレーザによる重ね合わせ溶接、又は、ミグによる端部溶接により接続される。平面同士が対向して重なり合った状態で溶接できることから、突合わせ溶接だけでなく、アーク溶接、レーザ溶接、電子ビーム溶接等当の融接による接合や、抵抗溶接等の圧接による接合も行うことができる。
【0038】
<板厚・材種について>
第一部材14及び第二部材16は鉄製であり、鋼板をプレス加工することにより形成される。第一部材14及び第二部材16が鉄製であることにより十分な強度を有するバックサイドフレーム13となる。第一部材14及び第二部材16は鉄製に限らず、例えば、高張力鋼材により形成されてもよい。高張力鋼材は薄くても張りがあることから、鋼板よりも板厚を薄くすることができるため、剛性を確保しつつ軽量化を図ることができる。
第一部材14及び第二部材16を、互いに異なる材種で形成してもよく、例えば、第一部材14を高張力鋼材により形成し、第二部材16を鉄製としてもよい。
【0039】
また、互いに異なる板厚で形成してもよく、例えば第一部材14を高張力鋼材に、第二部材16を鉄製にすることで第一部材14の板厚を第二部材16の板厚より薄くしてもよい。
【0040】
また、第一部材14又は第二部材16は、軽量なアルミニウム又はマグネシウムの軽合金製であってもよい。軽合金製とすることにより、シートバックフレーム10を鉄製の場合よりも軽量にすることができる。また、第一部材14又は第二部材16を樹脂により形成してもよい。樹脂製にすることで、鉄製の場合よりも軽量にすることができる。
このように、第一部材14と第二部材16を互いに異なる板厚又は材種で形成することで、バックサイドフレーム13を必要に応じて適切な重量又は強度で形成することができる。
【0041】
<第一接続部15及び第二接続部17>
また、図6から図9からも分かるように、第二部材16の第二接続部17は、第一部材14の第一接続部15の内側に位置している。
第二接続部17を第一接続部15の内側に位置することで、突き合わせて接続する場合と比較してより広い面積で接触することから第一部材14と第二部材16の接続部の強度を向上させることができる。
なお、第二接続部17を第一接続部15の内側に位置する構成は一例であり、第一接続部15を第二接続部17の内側に位置するよう構成してもよい。
【0042】
図6及び図7に示すように、第二部材16の第二接続部17は、段部として形成されており、第一接続部15の内側に位置するように第一接続部15よりも一回り小さく形成される。そして、第一部材14と第二部材16とを接続したとき、図8に示すように第一部材14の外側面14aと、第二部材16の外側面16aとが面一となるように、第一部材14及び第二部材16が形成されている。
【0043】
第二接続部17が段部として形成されることにより、バックサイドフレーム13のシート幅方向及び前後方向の大きさがコンパクト化される。また、第一接続部15に挿入する際の位置決めが容易になる。組立性が向上し、それにより車両用シートSの製造時間が短縮されコスト削減を図ることができる。また、第一部材14の外側面14aと、第二部材16の外側面16aとが面一となることで意匠性も向上する。
なお、第一接続部15が第二接続部17の内側にある場合は、第一接続部15を段部として形成してもよい。
【0044】
また、図6から図9に示すように、第二接続部17の側部から、第二部材16の内側に向かって延びるフランジ17bが形成されている。フランジ17bを形成することで第二接続部17の剛性が向上する。また、このフランジ17bは、第一接続部15には形成されていない。第一接続部15にフランジを形成しないことにより、例えば、第一部材14の第一接続部15を、長手方向(矢印A方向)から挿入するだけでなく、シート幅方向から、すなわち右側から左側に移動させて第二部材16の第二接続部17に重ね合わせることができる。それにより、第一部材14と第二部材16との組立性が向上する。
【0045】
なお、第一接続部15が、第二接続部17の内側に位置するよう構成されている場合、第一接続部15の側部から第一部材14の内側に向かって延びるフランジが形成されても良い。この場合、第二接続部17の方にはフランジを形成しないことでシート幅方向から第二部材16を第一部材14に重ね合わせる。
【0046】
また、図8及び図9に示すように、第二接続部17のシート幅方向の長さL2が、第一接続部15のシート幅方向の長さL1より長く形成されている。第一接続部15より内側に位置する第二接続部17の、シート幅方向の長さL2を第一接続部15のL1より長くすることで溶接が容易になる。
なお、第一接続部15を第二接続部17の内側に位置するように構成した場合、第一接続部15のシート幅方向の長さL1を、第二接続部17の幅方向の長さL2より長くするように構成するとよい。
【0047】
また、図6及び図7に示すように、バックサイドフレーム13には、ハーネス等を通したり、ハーネス用のクリップ孔等に用いられたりする複数の開口部14b、16bが形成されている。これらの開口部14b、16bは、第一部材14及び第二部材16を接続する第一接続部15及び第二接続部17を避けた位置に形成されている。これにより接続強度の低下が抑制される。
【0048】
以上、図を用いて本実施形態であるバックサイドフレーム13について説明した。本実施形態ではバックサイドフレーム13を二つの部材に分割したが、これは一例であり、シートクッションフレーム20を構成するクッションサイドフレーム21を複数の部材に分割して構成してもよい。クッションサイドフレーム21を複数の部材に分割することで、バックサイドフレーム13と同様、異なる板厚や材種を組み合わせてクッションサイドフレーム21を形成することができ、適切な強度、重量のクッションサイドフレーム21を作ることができる。
【0049】
<<その他の実施形態>>
次に、その他の実施形態について図10図21を用いて説明する。その他の実施形態は、シートクッションフレームに設けられるリクライニングカバーを有する乗物用シートに関する。
【0050】
従来、車両用シートにリクライニング機構を覆うリクライニングカバーの取付けは、クッションサイドフレームに固定されたブラケットによりリクライニングカバーの端部に沿って延びる補強ワイヤフレームを支持して行っていた。しかしながら、この取付構造では、リクライニングカバーの取付けにブラケットや補強ワイヤフレーム等を用いていることから部品点数が増加し、組立工程も複雑になるという課題があった。
【0051】
また、実開平2-44534号公報(以下、特許文献2)には、クランク状に折り曲げた金属製のブラケットによりリクライニングカバー(特許文献2ではシートサイドガーニッシュと呼ばれる)を支持する構造が開示されている。
【0052】
近年では、車両用シートに、シートクッション又はシートバックを、モータ等を用いて自動的に動かす電動機構が搭載されるようになり、電動機構を操作するスイッチングユニット等(機能部品)をリクライニングカバー内に配置することが求められるようになってきた。しかしながら、特許文献2に開示されるブラケットを用いた支持構造では、リクライニングカバー内にスイッチングユニット等を配置することは困難であった。
【0053】
そのため、依然として、スイッチングユニット等の機能部品を有する電動機構が車両に設けられた場合(パワー仕様)と電動機構の無い場合(マニュアル仕様)との両方において、リクライニングカバーを支持し、リクライニングカバーへの荷重入力を受け止めが可能な構造が求められている。
【0054】
その他の実施形態である乗物用シートは、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、電動機構を有する場合と電動機構の無い場合との両方において、リクライニングカバーを支持し、リクライニングカバーへの荷重入力を受け止める構造を有する乗物用シートを提供することにある。
【0055】
前記課題は、シートクッションと、該シートクッションの骨格を成し、一対のクッションサイドフレームを有するシートクッションフレームと、前記シートクッションの後端部に設けられるリクライニング機構と、該リクライニング機構の端部と前記一対のクッションサイドフレームのいずれか一方の側部とを覆うリクライニングカバーと、機能部品を覆い前記クッションサイドフレームに取り付け可能なベースカバーであって、前記リクライニングカバーと前記クッションサイドフレームとの間で、前記リクライニングカバーを前記クッションサイドフレームに固定し、前記リクライニングカバーへの入力荷重を前記クッションサイドフレームにより支持するベースカバーと、を備えることにより解決される。
【0056】
上記の乗物用シートによれば、機能部品を覆いクッションサイドフレームに取り付け可能なベースカバーにより、リクライニングカバーをクッションサイドフレームに固定し、リクライニングカバーへの入力荷重をクッションサイドフレームにより支持する。そのため、補強ワイヤフレーム及びブラケット等の部品を廃止して、取付を容易にすることができる。また、リクライニングカバーを固定するベースカバーを用いることで、電動機構を有する場合と、電動機構の無い場合との両方において、リクライニングカバーを支持し、リクライニングカバーへの荷重入力を受け止める構造を有する乗物用シートを提供することができる。
【0057】
また、上記の乗物用シートにおいて、前記リクライニングカバーは、上部内側において溝部が形成された支持部を有し、前記ベースカバーは、上部にシート前後方向に延びるフランジ部を有し、該フランジ部が前記リクライニングカバーの前記支持部に形成された前記溝部に挿入にされることにより、前記クッションサイドフレームに固定されるとよい。
前後方向に延びるフランジ部が、リクライニングカバーの溝部に挿入されることにより、安定してリクライニングカバーの位置規制をすることができる。
【0058】
また、上記の乗物用シートにおいて、前記ベースカバーは、前記リクライニングカバーを支持する前記フランジ部と、前記クッションサイドフレームに取り付けられる固定部分とを含む断面が、クランク状に形成されているとよい。
ベースカバーの断面がクランク状に形成されることで、ベースカバーの剛性が向上する。また、リクライニングカバーとの間に空間ができ、例えば機能部品としてスイッチングユニット等をその空間に配置することができる。
【0059】
また、上記の乗物用シートにおいて、前記ベースカバーは、内側側面に形成されたボスを有し、前記クッションサイドフレームは前記ボスに対応する位置に貫通孔が形成されており、前記ベースカバーの前記ボスが、前記クッションサイドフレームの前記貫通孔に挿通されることにより、前記ベースカバーの前記クッションサイドフレームに対する前記ベースカバーの前後方向と上下方向の位置が規制されるとよい。
ボスを貫通孔に挿通することにより、容易にベースカバーをクッションサイドフレームに組み付けることができる。
【0060】
また、上記の乗物用シートにおいて、前記ベースカバーは、前記クッションサイドフレームに対して、ねじ止めにより固定するタッピング固定部と、爪部を係合させることにより固定する係合爪部とを有し、前記タッピング固定部と前記係合爪部とが前後方向において重なるよう配置されているとよい。
タッピング固定部と係合爪部とが前後方向において重なるよう配置されることで、より強固にベースカバーをクッションサイドフレームに固定することができる。
【0061】
また、上記の乗物用シートにおいて、前記ベースカバーと前記リクライニングカバーとの間にインナーカバーを有し、前記インナーカバーは、前記ベースカバーの外側側面に固定されるとよい。
インナーカバーがベースカバーの外側側面に固定されることにより、ベースカバーの剛性が向上し、更に安定して荷重入力を受け止めることができる。
【0062】
また、上記の乗物用シートにおいて、前記ベースカバーと前記インナーカバーとは、樹脂爪により係合されるとよい。
ベースカバーとインナーカバーとが樹脂爪により係合されることで、簡素な構造で組み付けることが容易となる。
【0063】
また、上記の乗物用シートにおいて、前記機能部品としてスイッチングユニットを備え、前記スイッチングユニットは、前記インナーカバーと前記リクライニングカバーとの間に配置され、前記インナーカバーに固定されるとよい。
スイッチングユニットがインナーカバーに固定されることにより、スイッチングユニットが、外部からの荷重入力に対して保護される。
【0064】
また、上記の乗物用シートにおいて、前記スイッチングユニットは、側面視で前記ベースカバーの内側に位置し、前記ベースカバーが前記クッションサイドフレームに固定される固定位置と重なるように配置されるとよい。
スイッチングユニットが、ベースカバーの内側に位置し、ベースカバーの固定位置と重なるように配置されることで、スイッチングユニットが外部からの荷重入力に対してより保護されるようになる。
【0065】
また、上記の乗物用シートにおいて、前記リクライニングカバーは、前記リクライニングカバーの前端部に設けられた固定爪が前記ベースカバーに掛け止められて固定されるとよい。
リクライニングカバーの前端部に設けられた固定爪がベースカバーに掛け止められることにより、リクライニングカバーの前側の位置規制を確実にすることができる。
【0066】
その他の実施形態の乗物用シートによれば、機能部品を覆いクッションサイドフレームに取り付け可能なベースカバーにより、リクライニングカバーをクッションサイドフレームに固定し、リクライニングカバーへの入力荷重をクッションサイドフレームにより支持する。そのため、補強ワイヤフレーム及びブラケット等の部品を廃止して、取付を容易にすることができる。また、リクライニングカバーを固定するベースカバーを用いることで、電動機構を有する場合と、電動機構の無い場合との両方において、リクライニングカバーを支持し、リクライニングカバーへの荷重入力を受け止める構造を有する乗物用シートを提供することができる。
また、前後方向に延びるフランジ部が、リクライニングカバーの溝部に挿入されることにより、安定してリクライニングカバーの位置規制をすることができる。
ベースカバーの断面がクランク状に形成されることで、ベースカバーの剛性が向上する。また、リクライニングカバーとの間に空間ができ、例えばスイッチングユニット等をその空間に配置することができる。
また、ボスを貫通孔に挿通することにより、容易にベースカバーをクッションサイドフレームに組み付けることができる。
また、タッピング固定部と係合爪部とが前後方向において重なるよう配置されることで、より強固にベースカバーをクッションサイドフレームに固定することができる。
また、インナーカバーがベースカバーの外側側面に固定されることにより、ベースカバーの剛性が向上し更に安定して荷重入力を受け止めることができる。
また、ベースカバーとインナーカバーとが樹脂爪により係合されることで、簡素な構造で組み付けることが容易となる。
また、スイッチングユニットがインナーカバーに固定されることにより、スイッチングユニットが、外部からの荷重入力に対して保護される。
また、スイッチングユニットが、ベースカバーの内側に位置し、ベースカバーの固定位置と重なるように配置されることで、スイッチングユニットが外部からの荷重入力に対してより保護されるようになる。
また、リクライニングカバーの前端部に設けられた固定爪がベースカバーに掛け止められることにより、前記リクライニングカバーの前側の位置規制を確実にすることができる。
【0067】
<<第二実施形態>>
以下、図1及び図10図14を参照しながら、その他の実施形態の一つである第二実施形態(以下、本実施形態)に係る車両用シートSAについて説明する。本実施形態に係る車両用シートSAの基本構成については、第一実施形態に係る車両用シートSと同様である。そのため、同様の部分についての詳細な説明は省略する。以下では、第一実施形態の車両用シートSと異なる部分について主に説明する。
【0068】
<車両用シートSA>
車両用シートSAは、図1に示す車両用シートSと同様に、乗員である着座者の背部を支える背もたれ部分となるシートバック1、着座者の臀部を支える着座部分となるシートクッション2、及び、シートバック1の上部に配され、着座者の頭部を支えるヘッドレスト3を主な構成要素とする。シートバック1とシートクッション2とはリクライニング機構7(図2参照)を挟み込むように連結されている。シートバック1は、シートクッション2に対して回動して、角度調整可能に連結されている。リクライニング機構7は、シートバック1の傾斜角度を調整する機構である。また、シートバック1、シートクッション2をまとめてシート本体Shと称する場合がある。
【0069】
<シートフレームFA>
車両用シートSAの中には、図2に示すようシートフレームFAが設けられており、シートフレームFAは、シートバック1の骨格を形成するシートバックフレーム10と、シートクッション2の骨格を形成するシートクッションフレーム20と、から構成される。
シートバックフレーム10及びシートクッションフレーム20の構成については、車両用シートSと同様であるため詳細な説明は省略する。また、ヘッドレスト3、ヘッドレストフレーム30、パッドP、クッショントリムカバーT、スライドレール4、リクライニング機構7についても車両用シートSと同様であるため詳細な説明は省略する。
【0070】
<リクライニングカバー及びベースカバー>
以下、本実施形態の車両用シートSAが備えるリクライニングカバー50及びベースカバー60について、図1、及び図10から図14を用いて説明する。
リクライニングカバー50は、図1及び図10に示すように、リクライニング機構7の端部と、クッションサイドフレーム21の側部とを覆う部材である。リクライニングカバー50を取り付けることにより、リクライニング機構7及びクッションサイドフレーム21が外部に露出せず保護されるようになる。
【0071】
従来、リクライニングカバーの取り付けは、クッションサイドフレーム21にブラケットを取り付け、ブラケットによりリクライニングカバーの上端に沿って設けられた補強ワイヤフレームを支持することにより行われていた。しかしながら、リクライニングカバーを固定するために、ブラケット及び補強ワイヤフレーム等を用いているために部品点数が増えると共にそれらを組付ける作業が必要であった。
【0072】
本実施形態においては、図10に示すように、一対のクッションサイドフレーム21のうち左側にあるクッションサイドフレーム21に対して、リクライニングカバー50を取り付けている。リクライニングカバー50の後端部はリクライニング機構7周辺に設けられた樹脂爪等により固定されている。一方、リクライニングカバー50の前側部分は、リクライニングカバー50と、クッションサイドフレーム21との間に設けられたベースカバー60により固定されている。なお、リクライニングカバー50は右側にあるクッションサイドフレーム21に固定されてもよい。
【0073】
ベースカバー60は、スイッチングユニット等の機能部品を覆い、その機能部品をクッションサイドフレーム21に取り付けることが可能な部材である。ベースカバー60は、更にリクライニングカバー50を固定するための機能と、リクライニングカバー50への入力荷重をクッションサイドフレーム21で支持する機能を有している。
【0074】
ベースカバー60によりリクライニングカバー50を支持していることから、従来のようにブラケット及び補強ワイヤフレーム等を設ける必要がなく、部品点数が減少し組付けにかかる時間を短縮することができる。
【0075】
リクライニングカバー50の上部内側には、図10図11及び図13に示すように複数のリブ51(支持部)が設けられており、リブ51の下方には溝部52が形成されている。ベースカバー60には、その上部においてシート前後方向に延びるフランジ部61が設けられており、フランジ部61が図6に示すようにリブ51の下方に形成された溝部52に挿入される。シート前後方向に延びるフランジ部61が、複数のリブ51による溝部52により挿入されることにより、リクライニングカバー50を広い範囲で支持することができ、より安定して位置規制をすることができる。
【0076】
また、図13に示すように、ベースカバー60は、リクライニングカバー50を支持するフランジ部61と、クッションサイドフレーム21に取り付けられる固定部分62とを含む断面が、クランク状(S字状)に形成されている。ベースカバー60をクランク状に形成することで、ベースカバー60の剛性を向上させると共に、図13に示すように、リクライニングカバー50と固定部分62との間に空間SPが形成される。この空間SPに例えばスイッチングユニット等である機能部品を配置することができる。なお、機能部品を車両用シートSAに取り付けない、例えば電動機構を操作するスイッチングユニットを設けないマニュアル仕様の場合は、ベースカバー60に何も取り付けず、リクライニングカバー50との間の空間SPは空いていてもよい。
【0077】
また、図11に示すように、ベースカバー60の固定部分62の内側側面62aには、位置固定用のボス63が形成されている。ボス63は車両用シートSAの内側に向けて突出して設けられている。また、クッションサイドフレーム21の側面には、ボス63と対応する位置、具体的には前方連結フレーム22につながる位置に貫通孔21aが形成されており、ボス63が貫通孔21aに挿通されることにより、ベースカバー60がクッションサイドフレーム21に取り付けられる。ボス63が貫通孔21aに挿通されることにより、ベースカバー60の前後方向と上下方向の位置が規制される。それにより容易にベースカバー60をクッションサイドフレーム21に組み付けることができる。
【0078】
また、ベースカバー60には、図11に示すように、クッションサイドフレーム21に対してねじ止めで固定するためのタッピング固定部64が二箇所設けられている。タッピング固定部64は、内側に向けて突出し、クッションサイドフレーム21に形成された貫通孔21bと連通するよう位置づけられている。
【0079】
また、ベースカバー60には、クッションサイドフレーム21と係合する係合爪部65が二つ設けられている。二つの係合爪部65は、タッピング固定部64の上下、言い換えれば前後方向においてタッピング固定部64と重なる位置に配置されている。言い換えれば、タッピング固定部64は二つの係合爪部65で挟み込まれるように配置されている。タッピング固定部64と係合爪部65をこのように配置しねじ止めすることで、より強固にベースカバー60をクッションサイドフレーム21に固定することができる。
なお、タッピング固定部64よりも前方に、クッションサイドフレーム21の側部と当接する当接凸部66(ボス)が設けられておりベースカバー60を支持している。
【0080】
また、リクライニングカバー50は、図11に示すように前端部に固定爪53を有しており、固定爪53がベースカバー60の先端に掛け止められることにより、リクライニングカバー50を固定している。リクライニングカバー50の前端部にある固定爪53により、リクライニングカバー50の前側の位置規制を確実にすることができる。
【0081】
ベースカバー60は、図12に示すように固定部分62の周囲において外側に延びる壁部69が設けられており、全体として箱型形状になるよう形成されている。箱型形状により例えば後述するユニットカバー80(インナーカバー)を覆うことができる。
【0082】
<<第三実施形態>>
<電動機構を有する車両用シートSB>
次に、図15から図21を用いて、その他の実施形態である第三実施形態の車両用シートSBについて説明する。車両用シートSBは、車両用シートSAと比較して、電動機構を有することが異なっている。車両用シートSBは、図1に示す車両用シートSAと同様に、シートバック1、シートクッション2及びヘッドレスト3を備え、シートバック1とシートクッション2との間にリクライニング機構7を備えている。
図10から図14に示す車両用シートSAは、シートクッション2の高さの変更や、シートバック1の傾きを変えるリクライニング等を手動で行うマニュアル仕様である。一方、図15から図21に示す車両用シートSBは、シート本体Shにアクチュエータ90等の電動機構を搭載し、シートクッション2の高さやリクライニング角度の変更を自動で行えるよう構成されたパワー仕様である。
【0083】
車両用シートSBは、シートクッションフレーム20Aのクッションサイドフレーム21にアクチュエータ90及びスイッチングユニット70等を備えること以外は、図10から図14に示す車両用シートSAとほぼ同様の構成であるため、シートバック1やシートクッション2等の詳細な説明は省略する。
【0084】
車両用シートSBは、図15に示すように、シートクッションフレーム20Aのクッションサイドフレーム21の外側側部において、リクライニング機構7よりも前側にアクチュエータ90が設けられてる。アクチュエータ90は、例えばシートクッション2の高さを変更する電動機構である。
また、このアクチュエータ90を操作するスイッチングユニット70がアクチュエータ90よりも更に前側に設けられている。
【0085】
<スイッチングユニット70>
スイッチングユニット70は、複数のスイッチ71が設けられ、一つの部材としてモジュール化されたものである。スイッチングユニット70はケーブルによりアクチュエータ90と接続され、着座者のスイッチング操作によりアクチュエータ90を稼働させることができる。そして、スイッチングユニット70及びアクチュエータ90はリクライニングカバー50により覆われるよう構成されている。スイッチングユニット70は、図15に示すように、ユニットカバー80(インナーカバー)を介してベースカバー60に取り付けられる。
【0086】
スイッチングユニット70は、側面視でベースカバー60の内側に位置し、ベースカバー60がクッションサイドフレーム21に固定される固定位置と重なるように配置されている。
スイッチングユニット70が、ベースカバー60の内側に位置し、ベースカバー60の固定位置と重なるように配置されることで、スイッチングユニット70が外部からの荷重入力に対して保護されるようになる。なお、スイッチングユニット70は、ユニットカバー80に対してタッピングで固定されているが、リクライニングカバー50に対して樹脂爪により固定されてもよい。
【0087】
<ユニットカバー80>
ユニットカバー80は、スイッチングユニット70を覆い保護すると共に、スイッチングユニット70をベースカバー60に固定するための部材である。ユニットカバー80は、ベースカバー60の外側側面62bに固定され、リクライニングカバー50側に配置される。ユニットカバー80がベースカバー60の外側側面62bに固定されることにより、ベースカバー60の剛性が向上し、更に安定して荷重入力を受け止めることができる。
【0088】
ユニットカバー80は、図15及び図17に示すように前後の端部にタッピング固定部81が設けられており、リクライニングカバー50にねじ止めすることができる。また、ユニットカバー80の上部に二か所の係合孔部83が設けられており、図18に示すように係合孔部83にリクライニングカバー50から突出する樹脂爪54が挿入され、係合することで、ユニットカバー80をリクライニングカバー50に取り付けるられる。また、2つの樹脂爪82が2つ、ユニットカバー80の内壁部から突出しており、樹脂爪82がベースカバー60の係合孔68に挿入されて係合することにより、ユニットカバー80はベースカバー60に固定される。
【0089】
ユニットカバー80の外周には壁部84が設けられており箱型形状を形成している。図19から図21に示すように、ユニットカバー80に取り付けられたスイッチングユニット70を前後及び上下で覆い保護している。また、スイッチングユニット70は、リクライニングカバー50とユニットカバー80との間に配置されると共に、ユニットカバー80に固定されるため、スイッチングユニット70を外部からの荷重入力に対して保護することができる。
【0090】
以上、図を用いて本実施形態である車両用シートSA、SBについて説明した。上述のようにベースカバー60は、マニュアル仕様の車両用シートSAと、パワー仕様の車両用シートSBとの両方で流用することができる。また、両仕様において、ベースカバー60は、リクライニングカバー50の位置規制と固定を行うことができ、リクライニングカバー50への荷重入力を受け止めることが可能である。
また、本実施形態では、ベースカバー60に取り付けられる機能部品としてスイッチングユニット70を挙げているが、機能部品はこれに限定されず、例えばタッチセンサ、ECU、アクチュエータ90等であってもよい。
【0091】
上記の第二実施形態及び第三実施形態について、以下に付記する。
(付記1)
シートクッションと、
該シートクッションの骨格を成し、一対のクッションサイドフレームを有するシートクッションフレームと、
前記シートクッションの後端部に設けられるリクライニング機構と、
該リクライニング機構の端部と前記一対のクッションサイドフレームのいずれか一方の側部とを覆うリクライニングカバーと、
機能部品を覆い前記クッションサイドフレームに取り付け可能なベースカバーであって、前記リクライニングカバーと前記クッションサイドフレームとの間で、前記リクライニングカバーを前記クッションサイドフレームに固定し、前記リクライニングカバーへの入力荷重を前記クッションサイドフレームにより支持するベースカバーと、を備えることを特徴とする乗物用シート。
(付記2)
前記リクライニングカバーは、上部内側において溝部が形成された支持部を有し、
前記ベースカバーは、上部にシート前後方向に延びるフランジ部を有し、該フランジ部が前記リクライニングカバーの前記支持部に形成された前記溝部に挿入にされることにより、前記クッションサイドフレームに固定されることを特徴とする付記1に記載の乗物用シート。
(付記3)
前記ベースカバーは、前記リクライニングカバーを支持する前記フランジ部と、前記クッションサイドフレームに取り付けられる固定部分とを含む断面が、クランク状に形成されていることを特徴とする付記2に記載の乗物用シート。
(付記4)
前記ベースカバーは、内側側面に形成されたボスを有し、
前記クッションサイドフレームは、前記ボスに対応する位置に貫通孔が形成されており、
前記ベースカバーの前記ボスが、前記クッションサイドフレームの前記貫通孔に挿通されることにより、前記ベースカバーの前記クッションサイドフレームに対する前記ベースカバーの前後方向と上下方向の位置が規制されることを特徴とする付記1から3のいずれか一項に記載の乗物用シート。
(付記5)
前記ベースカバーは、前記クッションサイドフレームに対して、ねじ止めにより固定するタッピング固定部と、爪部を係合させることにより固定する係合爪部とを有し、
前記タッピング固定部と前記係合爪部とが前後方向において重なるよう配置されていることを特徴とする付記1から4のいずれか一項に記載の乗物用シート。
(付記6)
前記ベースカバーと前記リクライニングカバーとの間にインナーカバーを有し、
前記インナーカバーは、前記ベースカバーの外側側面に固定されることを特徴とする付記1から5のいずれか一項に記載の乗物用シート。
(付記7)
前記ベースカバーと前記インナーカバーとは、樹脂爪により係合されることを特徴とする付記6に記載の乗物用シート。
(付記8)
前記機能部品としてスイッチングユニットを備え、
前記スイッチングユニットは、前記インナーカバーと前記リクライニングカバーとの間に配置され、前記インナーカバーに固定されることを特徴とする付記6又は7に記載の乗物用シート。
(付記9)
前記スイッチングユニットは、側面視で前記ベースカバーの内側に位置し、前記ベースカバーが前記クッションサイドフレームに固定される固定位置と重なるように配置されることを特徴とする付記8に記載の乗物用シート。
(付記10)
前記リクライニングカバーは、前記リクライニングカバーの前端部に設けられた固定爪が前記ベースカバーに掛け止められて固定されることを特徴とする付記1から9のいずれか一項に記載の乗物用シート。
【符号の説明】
【0092】
S、SA、SB 車両用シート(乗物用シート)
T クッショントリムカバー(クッションカバー)
P パッド
F、FA シートフレーム
Sh シート本体
1 シートバック
2 シートクッション
3 ヘッドレスト
4 スライドレール
7 リクライニング機構
10 シートバックフレーム
11 アッパーフレーム
11a ヘッドレストガイド
12 ロアフレーム
13 バックサイドフレーム(サイドフレーム)
14 第一部材
14a 外側面
14b 開口部
15 第一接続部
15a 平面部
16 第二部材
16a 外側面
16b 開口部
17 第二接続部
17a 平面部
17b フランジ
20 シートクッションフレーム
21 クッションサイドフレーム(サイドフレーム)
22 前方連結フレーム
23 後方連結フレーム
24 クッションパンフレーム
30 ヘッドレストフレーム
31 ヘッドレストピラー
41 ロアレール
42 アッパーレール
50 リクライニングカバー
51 リブ(支持部)
52 溝部
53 固定爪
54 樹脂爪
60 ベースカバー
61 フランジ部
62 固定部分
62a 内側側面
62b 外側側面
63 ボス
64 タッピング固定部
65 係合爪部
66 当接凸部
68 係合孔
69 壁部
70 スイッチングユニット
71 スイッチ
80 ユニットカバー(インナーカバー)
81 タッピング固定部
82 樹脂爪
83 係合孔部
84 壁部
90 アクチュエータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21