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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023089919
(43)【公開日】2023-06-28
(54)【発明の名称】車両天井材用布帛
(51)【国際特許分類】
   D06M 11/44 20060101AFI20230621BHJP
   D06M 15/564 20060101ALI20230621BHJP
   D06M 11/79 20060101ALI20230621BHJP
   A61L 9/014 20060101ALI20230621BHJP
【FI】
D06M11/44
D06M15/564
D06M11/79
A61L9/014
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022139663
(22)【出願日】2022-09-02
(31)【優先権主張番号】P 2021203787
(32)【優先日】2021-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000107907
【氏名又は名称】セーレン株式会社
(72)【発明者】
【氏名】窪田 和実
【テーマコード(参考)】
4C180
4L031
4L033
【Fターム(参考)】
4C180AA02
4C180BB03
4C180BB06
4C180BB07
4C180BB11
4C180BB15
4C180CC04
4C180CC16
4C180EA22X
4C180EA25X
4C180EA26X
4C180EA27X
4C180EA28X
4C180EA29X
4C180EA30X
4C180EA33X
4C180EA34X
4C180EA35X
4C180EA36X
4C180EA39X
4C180EB06Y
4C180EB15Y
4C180EB22Y
4C180EB23Y
4C180EB24Y
4C180EB32Y
4C180EB34Y
4C180EB36Y
4C180MM07
4L031AA18
4L031AB31
4L031BA09
4L031BA20
4L031DA13
4L033AA07
4L033AB04
4L033AC10
4L033AC11
4L033CA50
(57)【要約】
【課題】成形性、および消臭性能に優れた車両天井材用布帛を提供する。
【解決手段】実施形態に係る車両天井材用布帛は、繊維質基材のオモテ面の少なくとも一部に、消臭剤とバインダー樹脂とを含む樹脂組成物が付与されてなる。前記車両天井材用布帛の消臭性能の耐久性が3級以上である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維質基材のオモテ面の少なくとも一部に、消臭剤とバインダー樹脂とを含む樹脂組成物が付与されてなる車両天井材用布帛であって、前記車両天井材用布帛の消臭性能の耐久性が3級以上である車両天井材用布帛。
【請求項2】
前記樹脂組成物が着色剤を含む、請求項1に記載の車両天井材用布帛。
【請求項3】
前記樹脂組成物の最表面が平滑である、請求項1または2に記載の車両天井材用布帛。
【請求項4】
繊維質基材上のオモテ面の少なくとも一部に、消臭剤とバインダー樹脂とを含む樹脂組成物が付与されてなる車両天井材用布帛であって、
繊維質基材と、消臭剤とバインダー樹脂を混合した樹脂組成物用樹脂液を準備する工程、
前記繊維質基材のオモテ面の少なくとも一部に、樹脂組成物用樹脂液を塗布した後、付与する工程、および
前記樹脂組成物用樹脂液を乾燥する熱処理工程、
を実行して製造される車両天井材用布帛。
【請求項5】
前記繊維質基材が、加熱押圧加工による平滑化工程を実行して製造されたものである、請求項4に記載の車両天井材用布帛。
【請求項6】
前記熱処理工程後に、さらに、加熱押圧加工による平滑化工程を実行して製造される、請求項4または5に記載の車両天井材用布帛。
【請求項7】
前記樹脂組成物用樹脂液の粘度が5000~20000mPa・sである、請求項4に記載の車両天井材用布帛。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両天井材用布帛に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車や電車などの車室内空間は、閉鎖された空間であるため臭いがこもりやすい。そのため、座席シート材や天井材などの車両内装材として用いられる布帛には、生活臭やたばこ臭など、様々な臭いに対する消臭性能が求められている。
【0003】
特許文献1には、被接着部材と接着して使用する、消臭剤がシート材に塗布されている消臭シートにおいて、前記シート材の少なくとも一方の面に、前記消臭剤が、互いに所定の間隔を隔てて前記シート材の全体に分布するように塗布され、その互いに隣り合う前記消臭剤の間が、前記被接着部材に接着するための接着面とされていることにより、良好な成形性および接着性を確保することができることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-687号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
消臭効果を十分に発揮させるためには、消臭剤と悪臭の原因物質とを十分に接触させることが必要である。しかしながら、特許文献1の消臭シートを天井材として用いる場合、消臭シートは、シート材における消臭剤が印刷されている面側において、接着剤層を挟んで、下側のスキン層(天井材の基材)に接着させる。そのため、消臭剤は、天井材の内側に存在することになり、オモテ面(使用時に目に見える面(意匠面))には存在しないため、消臭性能に改善の余地がある。
【0006】
本発明は、このような現状に鑑みてなされたものであり、その目的は、成形性、および消臭性能に優れた車両天井材用布帛を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態に係る車両天井材用布帛は、繊維質基材上のオモテ面の少なくとも一部に、消臭剤とバインダー樹脂とを含む樹脂組成物が付与されてなる。前記車両天井材用布帛は、消臭性能の耐久性が3級以上である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の実施形態によれば、成形性、および消臭性能に優れた車両天井材用布帛を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本実施形態に係る車両天井材用布帛は、消臭剤とバインダー樹脂とを含む樹脂組成物が、繊維質基材のオモテ面に付与されてなるものである。車両天井材用布帛の消臭性能の耐久性は3級以上である。繊維質基材のオモテ面に消臭剤を含む樹脂組成物を付与することで、車室内空間の悪臭物質と消臭剤が接触しやすくなるため、良好な消臭性能を発揮することができる。車両天井材用布帛の消臭性能の耐久性が3級以上であることにより、長期間にわたり消臭性能を発揮することができる。ここで、繊維質基材のオモテ面とは、繊維質基材の表裏のうち、使用時に目に見える面(意匠面)をいう。
【0010】
上記繊維質基材としては、特に限定されるものでなく、織物、編物、不織布などの繊維布帛を例示することができる。繊維布帛において繊維の種類は、特に限定されるものでなく、天然繊維、再生繊維、半合成繊維、合成繊維等、従来公知の繊維を挙げることができ、これらが2種以上組み合わされていてもよい。なかでも強度の観点から、合成繊維が好ましく、ポリエステル繊維がより好ましい。繊維質基材は、染料または顔料により着色されたものであってもよい。着色に用いられる染料や顔料は特に限定されない。
【0011】
繊維質基材の厚みは、特に限定されないが、成形性の観点から、1.0~3.5mmが好ましく、より好ましくは1.5~2.5mmである。繊維質基材の単位面積当たりの質量も、特に限定されないが、耐摩耗性の観点から、80~350g/mが好ましく、より好ましくは120~300g/mである。
【0012】
繊維質基材の伸び率は、特に限定されないが、成形性の観点から、タテ20%以上、かつヨコ20%以上あることが好ましく、より好ましくはタテ40%以上、かつヨコ40%以上である。
【0013】
ここで、繊維質基材の伸び率は、以下のように算出される。すなわち、幅50mm、長さ300mmの大きさの試験片を、タテ及びヨコの方向から各3枚ずつ採取する。試験片の中心部に距離100mm(対角線の交点から各短辺にむかって長辺と平行に50mmずつ)の標線を付ける。室温22±2℃、相対湿度65±5%RHの状況下で、試験片の両端をつかみ具でたるみのないように挟み、引張試験機(オートグラフAG-1型、株式会社島津製作所製)を用いて、つかみ幅25.4mm、つかみ間隔150mmで取り付け、つかみ具の移動速度200mm/minで試験片を破断させる。破断時の標線間距離を測定する。下記式にて伸び率を算出し、3点の平均値を繊維質基材の伸び率とする。なお、初期荷重時の標線間距離は100mmとする。
伸び率(%)={(L1-L0)/L0}×100
L0:初期荷重時の標線間距離(mm) L1:破断時の標線間距離(mm)
【0014】
本実施形態の車両天井材用布帛は、前記繊維質基材の少なくとも一部に、消臭剤とバインダー樹脂とを含む樹脂組成物が付与されてなるものである。
【0015】
樹脂組成物に含まれるバインダー樹脂としては、特に限定されることなく、従来公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂を挙げることができ、なかでも熱により架橋する熱硬化性樹脂が好ましい。これらの樹脂としては、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、酢酸ビニル樹脂、エポキシ樹脂、及びポリビニルアルコール系樹脂などが挙げられる。これらは1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。なかでも成形性、耐久性の観点から、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂が好ましい。
【0016】
バインダー樹脂の伸び率は、特に限定されることなく、300%以上であることが好ましく、より好ましくは500%以上である。バインダー樹脂の伸び率が300%以上であることにより、成形加工時の樹脂組成物の割れの発生を抑制することができる。消臭性能の耐久性を向上することができる。バインダー樹脂の伸び率の上限値は特に限定されず、1000%以下であることが好ましい。
【0017】
バインダー樹脂の破断強度は、特に限定されることなく、4~80Nであることが好ましく、より好ましくは20N以上である。バインダー樹脂の破断強度が4N以上であることにより、成形加工時の樹脂組成物の割れの発生を抑制することができる。消臭性能の耐久性を向上することができる。バインダー樹脂の破断強度が80N以下であることにより、得られる天井材の触感を良好なものとすることができる。
【0018】
樹脂組成物に含まれる消臭剤としては、特に限定されるものでなく、従来公知の消臭剤を用いることができる。消臭剤は、その種類によって消臭できる物質が異なるため、目的に応じて複数の消臭剤を組み合わせて使用することが好ましい。例えば、多孔質体、金属化合物、アミン類、尿素類、アミド類、イミド類、ヒドラジド類、アゾール類、アジン類が挙げられる。また、バインダー樹脂と反応せず、消臭性能を十分に発揮できるという観点から、多孔質体に金属化合物を担持したものや、多孔質体に水酸基、アミン類、尿素類、アミド類、イミド類、ヒドラジド類、アゾール類、アジン類などの有機化合物を担持したものを用いることも好ましい。
【0019】
多孔質体としては、シリカゲル、エアロゾル、コロイダルシリカなどのシリカ系無機多孔質体;活性アルミナ等のアルミナ系無機多孔質体;アルミノシリケートゼオライト、メタロシリケートゼオライト、アルミノリン酸塩ゼオライトなどのゼオライト系無機多孔質体;カオリナイト、モンモリロナイト、雲母などのケイ酸塩化合物系無機多孔質体;メソポーラスシリカなどメソポーラス系無機多孔質体;ヒドロキシアパタイト、層状リン酸ジルコニウム、ヘテロポリ酸塩、多孔性酸化マンガンをはじめとする金属酸化物や水酸化物などの無機多孔質体;活性白土、珪藻土、ベントナイト、木節粘土、蛙目粘土などの粘土などが挙げられる。なかでも、耐熱性の観点から、シリカ系無機多孔質体が好ましい。
【0020】
金属化合物としては、亜鉛、銅、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、鉛、鉄などの金属の酸化物、水酸化物、塩化物、硫酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、ケイ酸塩などが挙げられる。具体例としては、酸化亜鉛、酸化銅、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化鉄、水酸化銅、水酸化鉄、塩化亜鉛、塩化銅、ケイ酸亜鉛などが挙げられる。なかでも、金属酸化物が好ましく、酸化亜鉛であることがより好ましい。
【0021】
消臭剤の粒径は0.3~7μmであることが好ましく、より好ましくは0.5~5μmである。粒径が0.3μm以上であることにより、消臭剤がバインダー樹脂中に埋没しにくく、消臭性能を発揮することができる。粒径が7μm以下であることにより、消臭剤が脱落しにくくなり、消臭性能の耐久性を良好なものとすることができる。ここで、粒径とは、「メジアン径D50」を意味する。
【0022】
樹脂組成物における消臭剤の含有量(固形分)は、特に限定されないが、20~60質量%であることが好ましく、より好ましくは30~50質量%である。消臭剤の含有量が20質量%以上であることにより、消臭性能を十分に発揮することができる。消臭剤の含有量が60質量%以下であることにより、繊維質基材への樹脂組成物の密着性を良好なものとすることができる。消臭性能の耐久性を良好なものとすることができる。
【0023】
樹脂組成物中における消臭剤とバインダー樹脂の配合比(固形分)は、特に限定されないが、1:0.80~1:2.5であることが好ましく、より好ましくは1:0.85~1:2.0である。消臭剤とバインダー樹脂の配合比が1:0.80以上であることにより、消臭剤がバインダー樹脂により繊維質基材に密着し、消臭性能の耐久性を良好なものとすることができる。消臭剤とバインダー樹脂の配合比が1:2.5以下であることにより、消臭剤がバインダー樹脂中に埋没することを抑制することができる。消臭性能を十分に発揮することができる。
【0024】
樹脂組成物には、必要に応じて、その物性を損なわない範囲内で、従来公知の添加剤、例えば、着色剤(顔料、染料)、顔料分散剤、重合開始剤、架橋剤、粘着付与剤、乾燥抑制剤、増粘剤、難燃剤、導電性付与剤、帯電防止剤、透湿性向上剤、撥水剤、撥油剤、吸水剤、吸湿剤、消泡剤、加水分解防止剤などの任意成分を、1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。なかでも、意匠性の観点から、着色剤を含有させることが好ましい。
【0025】
樹脂組成物における着色剤の含有量は、特に限定されないが、3質量%以下であることが好ましく、より好ましくは1質量%以下である。着色剤の含有量が3質量%以下であることにより、摩擦堅牢度の良好な車両用天井材とすることができる。着色剤の含有量の下限値は特に限定されないが、0.1質量%以上であることが好ましい。
【0026】
樹脂組成物は、繊維質基材のオモテ面に付与される。このとき、樹脂組成物は、最表面が平滑であることが好ましい。樹脂組成物の最表面が平滑であることにより、摩耗による樹脂組成物の脱落を抑制することができる。消臭性能の耐久性を良好なものとすることができる。また、得られる天井材の触感を良好なものとすることができる。ここで、最表面が平滑であるとは、樹脂組成物の形状が、繊維質基材が有する凹凸形状に影響されず、樹脂組成物の表面がフラットな状態をいう。
【0027】
繊維質基材のオモテ面に対する樹脂組成物の占める面積率は、特に限定されないが、18~60%であることが好ましく、より好ましくは25~50%である。樹脂組成物の占める面積率が18%以上であることにより、消臭性能を十分に発揮することができる。樹脂組成物の占める面積率が60%以下であることにより、成形性を良好なものとすることができる。
【0028】
ここで、繊維質基材のオモテ面に対する樹脂組成物の占める面積率は、繊維質基材のオモテ面上の単位面積(10cm)に占める樹脂面積の割合であり、以下のように算出される。すなわち、車両天井材用布帛のオモテ面をマイクロスコープ(株式会社ハイロックス製、デジタルマイクロスコープ KH-7700)で上面から観察し、マイクロスコープに内蔵の面積計算ソフトを用いて計測し、下記式にて樹脂組成物の占める面積率を算出する。
樹脂組成物の占める面積率(%)=樹脂面積/単位面積
【0029】
繊維質基材のオモテ面における樹脂組成物の付着量(固形分)は、特に限定されないが、14~60g/mであることが好ましく、より好ましくは19~40g/mである。樹脂組成物の付着量が14g/m以上であることにより、消臭性能を十分に発揮することができる。樹脂組成物の付着量が60g/m以下であることにより、成形性を良好なものとすることができる。
【0030】
次いで、本実施形態に係る車両天井材用布帛の製造方法について説明する。前記製造方法は、以下のような工程を順に行うことにより実施形態の車両天井材用布帛が製造できる。すなわち、該製造方法は、
(1)繊維質基材と、消臭剤とバインダー樹脂を混合した樹脂組成物用樹脂液を準備する工程、
(2)前記繊維質基材のオモテ面の少なくとも一部に、前記樹脂組成物用樹脂液を付与する工程、および
(3)前記樹脂組成物用樹脂液を乾燥する熱処理工程、を含むものである。
【0031】
(1)準備工程
上記の繊維質基材および樹脂組成物用樹脂液を準備する。
繊維質基材はそのまま用いてもよいし、必要に応じて、平滑化処理を行なったものを用いてもよい。平滑化処理は、繊維質基材のオモテ面を平滑化させるために行われる。具体的には、繊維質基材に加熱押圧加工を施す処理をいう。平滑化処理を行なうことで、繊維質基材のオモテ面が平滑化されることにより、のちの工程で付与された樹脂組成物の最表面が平滑なものとなり、摩耗による樹脂組成物の脱落を抑制することができる。消臭性能の耐久性を良好なものとすることができる。また、得られる天井材の触感を良好なものとすることができる。加熱押圧加工の条件は、用いる繊維質基材によって適宜設定すればよいが、例えば、温度80~130℃、圧力0.2~4MPaの熱ロールにて繊維質基材を加熱押圧すればよい。
【0032】
樹脂組成物用樹脂液は、消臭剤とバインダー樹脂とを混合することにより得られる。樹脂組成物用樹脂液の粘度は、5000~20000mPa・s(BM型粘度計、ローターNo.4、12rpm)であることが好ましく、より好ましくは10000~17000mPa・sである。樹脂組成物用樹脂液の粘度が5000mPa・s以上であることにより、樹脂組成物を所望の位置に付与することができ、柄の際のにじみを抑制し、意匠性を良好なものとすることができる。樹脂組成物用樹脂液の粘度が20000mPa・s以下であることにより、樹脂組成物が上付きする(繊維質基材に浸透せず、表面に存在している状態となる)ことを抑制し、摩耗性を向上させることができる。消臭性能の耐久性を良好なものとすることができる。得られる天井材の触感を良好なものとすることができる。消臭剤が樹脂組成物中に均一に分布し、消臭性能を十分に発揮することができる。
【0033】
(2)樹脂組成物用樹脂液を付与する工程
離型性基材上に樹脂組成物用樹脂液を塗布する方法としては、従来公知の種々の方法を採用することができ、特に限定されるものではない。例えば、スクリーンプリント、ロータリープリント、インクジェットプリントなどを挙げることができる。なかでも加工性、コストの観点から、ロータリープリントが好ましい。
【0034】
(3)熱処理工程
樹脂組成物用樹脂液を繊維質基材に塗布したのち、熱処理を行う。熱処理は、樹脂組成物用樹脂液中の溶媒を蒸発させ、樹脂を乾燥させるために行われる。また、熱処理によって架橋反応を起こす架橋剤を用いる場合や、二液硬化型の樹脂を用いる場合にあっては、反応を促進し、十分な強度を有する皮膜を形成するために行われる。熱処理は溶媒が残存しない程度になされていればよく、条件は特に限定されない。溶媒の沸点や生産効率、用いる布帛の材質や形態を考慮し、適宜設定すればよいが、一般に、処理温度を130~150℃、処理時間を1~3分間に設定することが好ましい。処理温度や処理時間が下限値以上であることにより、乾燥や架橋反応が不十分となることを防ぐことができ、消臭性能を十分に発現させることができる。処理温度や処理時間が上限値以下であることにより、布帛の風合い、触感が粗硬になることを防ぐことができる。
【0035】
次に、必要に応じて、熱処理工程後に、さらに、加熱押圧加工による平滑化処理を行なってもよい。平滑化処理は、付与された樹脂組成物の最表面を平滑化させるために行われる。具体的には、樹脂組成物が付与された繊維質基材に加熱押圧加工を施す処理をいう。平滑化処理を行なうことで、樹脂組成物の最表面が平滑化されることにより、摩耗による樹脂組成物の脱落を抑制することができる。消臭性能の耐久性を良好なものとすることができる。また、得られる天井材の触感を良好なものとすることができる。加熱押圧加工の条件は、用いる繊維質基材によって適宜設定すればよいが、例えば、温度80~130℃、圧力0.2~4MPaの熱ロールにて繊維質基材を加熱押圧すればよい。
【0036】
かくして、本実施形態に係る車両天井材用布帛が得られる。但し、本実施形態に係る車両天井材用布帛を製造するための方法は、上記方法に限定されるものではない。
【実施例0037】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0038】
各評価項目は、以下の方法に従った。
【0039】
[バインダー樹脂の伸び率および破断強度]
バインダー樹脂溶液をフラット離型紙(EV130TPD、リンテック株式会社製)上に、アプリケータを用いて、乾燥後の厚みが200μmとなるように塗布した後、24時間風乾し、次いで、乾燥機にて80℃で3時間、さらに130℃で30分間熱処理してバインダー樹脂の硬化膜を作製した。該硬化膜から、幅50mm、長さ100mmの大きさの試験片を3枚採取した。室温22±2℃、相対湿度65±5%RHの状況下で、試験片の両端をつかみ具でたるみのないように挟み、引張試験機(オートグラフAG-1型、株式会社島津製作所製)を用いて、つかみ幅50mm、つかみ間隔50mmで取り付け、つかみ具の移動速度200mm/minで試験片を破断させた。破断時のつかみ間隔を測定した。3点の最大荷重の平均値をバインダー樹脂の破断強度とした。また、下記式にて伸び率を算出し、3点の平均値をバインダー樹脂の伸び率とした。なお、初期荷重時のつかみ間隔は50mmとした。
伸び率(%)={(L1-L0)/L0}×100
L0:初期荷重時のつかみ間隔(mm) L1:破断時のつかみ間隔(mm)
【0040】
[成形性・意匠性]
幅50mm、長さ100mmの大きさの試験片を3枚採取した。室温22±2℃、相対湿度65±5%RHの状況下で、試験片の両端をつかみ具でたるみのないように挟み、引張試験機(オートグラフAG-1型、株式会社島津製作所製)を用いて、つかみ幅50mm、つかみ間隔50mmで取り付け、つかみ具の移動速度200mm/minにて引張試験を行った。伸び率が50%になった時点の試験片の表面状態を観察し、下記の基準に従って判定した。3級以上であれば、成形性および意匠性に優れる。
(判定基準)
5級:樹脂組成物付与部の柄形状変化(柄際のぼやけ)、状態変化(亀裂・剥がれ)なし
4級:樹脂組成物付与部の柄形状変化、状態変化が若干認められるが、全く気にならないもの
3級:樹脂組成物付与部の柄形状変化、状態変化が認められるが、殆ど気にならないもの
2級:樹脂組成物付与部の柄形状変化、状態変化が認められ、気になるもの
1級:樹脂組成物付与部の柄形状変化、状態変化が顕著に認められるもの
【0041】
[触感]
10人のパネラーによる官能評価を行い、下記の基準に従って判定した。3級以上で合格である。
(判定基準)
5級:樹脂組成物付与部の触感がソフトである
4級:樹脂組成物付与部を触っても違和感がない
3級:樹脂組成物付与部がやや粗硬であるが、気にならない程度のもの
2級:樹脂組成物付与部が粗硬でありザラツキもあり、やや気になるもの
1級:樹脂組成物付与部が粗硬でありザラツキもあり、非常に気になるもの
【0042】
[消臭性能]
42.25cmの大きさの試験片を採取した。サンプリングバッグ(テドラーバッグ 1ツ口(Aタイプ)、近江オドエアーサービス株式会社製)に、試験片と窒素ガスを2L注入し、密閉した。その後、臭源として下記物質を注入し、密閉した後、25℃の雰囲気に放置した。臭源を注入してから3時間経過後、サンプリングバッグ内の残留濃度を検知管を用いて測定した。
<臭気成分(初期濃度)、検知管>
アンモニア(100ppm)、北川式Tube No.105SC(光明理化学工業株式会社製)
トリメチルアミン(50ppm)、北川式Tube No.105SE(光明理化学工業株式会社製)
硫化水素(50ppm)、北川式Tube No.4LL(光明理化学工業株式会社製)
下記式により消臭率を算出した。消臭率が、アンモニア80%以上、トリメチルアミン80%以上、硫化水素80%以上で合格である。
消臭率(%)={(初期濃度-残留濃度)/初期濃度}×100
【0043】
[消臭性能の耐久性]
直径120mmの円形のサンプルを2枚採取した。サンプルに対し、JIS L1096 8.19.3C法(テーバ形法)に準拠して試験をした(摩耗輪CS-10、荷重2.5N、摩耗回数50回)。試験後のサンプルの摩耗測定部から、面積の合計が42.25cmの大きさとなるように採取し、耐久試験後の試験片とした。上記消臭性能と同様の試験を行い、残留濃度を測定し、消臭率を算出した。下記式により耐久試験前後の消臭率の比率を算出し、下記の基準に従って判定した。3級以上で合格である。
耐久試験前後の消臭率の比率=(耐久試験後の消臭率)/(耐久試験前の消臭率)
(判定基準)
5級:1
4級:0.9以上1未満
3級:0.8以上0.9未満
2級:0.6以上0.8未満
1級:0.6未満
【0044】
[実施例1]
<繊維質基材1>
繊維質基材1として、ベージュの不織布(ポリエステル繊維、単位面積当たりの質量167g/m、厚み1.5mm、伸び率:タテ80%、ヨコ120%)を準備した。
【0045】
<処方1:樹脂組成物用樹脂液>
・バインダー樹脂:68質量部
(サンプレックスPUE-800、ウレタン樹脂、株式会社村山化学研究所製、固形分40質量%)
・消臭剤:18質量部
(酸化亜鉛と二酸化ケイ素の複合体、粒径(D50)3~5μm、固形分82質量%)
・増粘剤:1質量部
(ボンコートV-E、アクリル樹脂、DIC株式会社、固形分30質量%)
・25%アンモニア水:0.5質量部
・水:12.5質量部
調製法:処方1に従い、各原料をミキサーにて攪拌した。粘度を15000mPa・s(BM型粘度計、ローター:No.4、12rpm、25℃、東機産業株式会社製)になるように、増粘剤で調整した。
【0046】
<車両天井材用布帛の作製>
上述の繊維質基材のオモテ面に、上述の処方1に従い調製した樹脂組成物用樹脂液を、熱処理後の付着量が36g/mとなるように、紗厚150μm、柄面積32%のロータリースクリーンプリント機を用いて付与した。次いで、120℃のヒートセッターで2分間熱処理して乾燥させた。次いで、カレンダー加工機を用いて、ロール温度120℃、ロール圧力0.5MPa、布速7m/分で平滑化処理を行い、車両天井材用布帛を得た。バインダー樹脂の伸び率は750%、バインダー樹脂の破断強度は20N、樹脂組成物中における消臭剤の含有量は34.9質量%、樹脂組成物中における消臭剤とバインダー樹脂の配合比(固形分)は、1:1.8、繊維質基材のオモテ面に占める樹脂組成物の面積比率は32%であり、樹脂組成物の最表面は平滑であった。得られた車両天井材用布帛の成形性および意匠性は5級であり、触感は4級であった。また消臭率は、アンモニア95%、トリメチルアミン95%、硫化水素95%であり、耐久試験前後の消臭率の比率はいずれの臭源に対しても4級であり、消臭性能及びその耐久性に優れていた。
【0047】
[実施例2]
樹脂組成物用樹脂液を下記処方2に変更した以外は、すべて実施例1と同様にして、車両天井材用布帛を得た。
【0048】
<処方2:樹脂組成物用樹脂液>
・バインダー樹脂:68質量部
(サンプレックスPUE-744、ウレタン樹脂、株式会社村山化学研究所製、固形分40質量%)
・消臭剤:18質量部
(酸化亜鉛と二酸化ケイ素の複合体、粒径(D50)3~5μm、固形分82質量%)
・増粘剤:1質量部
(ボンコートV-E、アクリル樹脂、DIC株式会社、固形分30質量%)
・25%アンモニア水:0.5質量部
・水:12.5質量部
調製法:処方2に従い、各原料をミキサーにて攪拌した。粘度を15000mPa・s(BM型粘度計、ローター:No.4、12rpm、25℃、東機産業株式会社製)になるように、増粘剤で調整した。
【0049】
バインダー樹脂の伸び率は250%、バインダー樹脂の破断強度は32N、樹脂組成物中における消臭剤の含有量は34.9質量%、樹脂組成物中における消臭剤とバインダー樹脂の配合比(固形分)は、1:1.8、繊維質基材のオモテ面に占める樹脂組成物の面積比率は32%であり、樹脂組成物の最表面は平滑であったが、成形により樹脂組成物付与部の状態変化(若干の割れ)が発生した。得られた車両天井材用布帛の成形性および意匠性は3級であり、触感は3級であった。また消臭率は、アンモニア95%、トリメチルアミン95%、硫化水素95%であり、耐久試験前後の消臭率の比率はいずれの臭源に対しても3級であり、消臭性能及びその耐久性に優れていた。
【0050】
[実施例3]
樹脂組成物用樹脂液を下記処方3に変更した以外は、すべて実施例1と同様にして、車両天井材用布帛を得た。
【0051】
<処方3:樹脂組成物用樹脂液>
・バインダー樹脂:54.4質量部
(ハイドランHW920、ウレタン樹脂、DIC株式会社製、固形分50質量%)
・消臭剤:18質量部
(酸化亜鉛と二酸化ケイ素の複合体、粒径(D50)3~5μm、固形分82質量%)
・増粘剤:1質量部
(ボンコートV-E、アクリル樹脂、DIC株式会社、固形分30質量%)
・25%アンモニア水:0.5質量部
・水:12.5質量部
調製法:処方3に従い、各原料をミキサーにて攪拌した。粘度を15000mPa・s(BM型粘度計、ローター:No.4、12rpm、25℃、東機産業株式会社製)になるように、増粘剤で調整した。
【0052】
バインダー樹脂の伸び率は600%、バインダー樹脂の破断強度は2N、樹脂組成物中における消臭剤の含有量は34.9質量%、樹脂組成物中における消臭剤とバインダー樹脂の配合比(固形分)は、1:1.8、繊維質基材のオモテ面に占める樹脂組成物の面積比率は32%であり、樹脂組成物の最表面は平滑であったが、成形により樹脂組成物付与部の状態変化(若干の割れ)が発生した。得られた車両天井材用布帛の成形性および意匠性は3級であり、触感は4級であった。また消臭率は、アンモニア95%、トリメチルアミン95%、硫化水素95%であり、耐久試験前後の消臭率の比率はいずれの臭源に対しても3級であり、消臭性能及びその耐久性に優れていた。
【0053】
[実施例4]
カレンダー加工機を用いた平滑化処理を行わなかった以外は、すべて実施例1と同様にして、車両天井材用布帛を得た。
【0054】
バインダー樹脂の伸び率は750%、バインダー樹脂の破断強度は20N、樹脂組成物中における消臭剤の含有量は34.9質量%、樹脂組成物中における消臭剤とバインダー樹脂の配合比(固形分)は、1:1.8、繊維質基材のオモテ面に占める樹脂組成物の面積比率は32%であり、樹脂組成物の最表面は平滑化処理をしていないため平滑な状態ではなかった。得られた車両天井材用布帛の成形性および意匠性は3級であり、触感は3級であった。また消臭率は、アンモニア95%、トリメチルアミン95%、硫化水素95%であった。また消臭率は、アンモニア95%、トリメチルアミン95%、硫化水素95%であり、耐久試験前後の消臭率の比率はいずれの臭源に対しても3級であり、消臭性能及びその耐久性に優れていた。
【0055】
[実施例5]
樹脂組成物用樹脂液を下記処方4に変更した以外は、すべて実施例1と同様にして、車両天井材用布帛を得た。
【0056】
<処方4:樹脂組成物用樹脂液>
・バインダー樹脂:68質量部
(サンプレックスPUE-800、ウレタン樹脂、株式会社村山化学研究所製、固形分40質量%)
・消臭剤:18質量部
(酸化亜鉛と二酸化ケイ素の複合体、粒径(D50)3~5μm、固形分82質量%)
・増粘剤:1質量部
(ボンコートV-E、アクリル樹脂、DIC株式会社、固形分30質量%)
・25%アンモニア水:0.5質量部
・顔料:3質量部
(DEXCEL BLACK HR、ブラック顔料、DIC株式会社製、固形分20質量%)
・水:9.5質量部
調製法:処方4に従い、各原料をミキサーにて攪拌した。粘度を15000mPa・s(BM型粘度計、ローター:No.4、12rpm、25℃、東機産業株式会社製)になるように、増粘剤で調整した。
【0057】
バインダー樹脂の伸び率は750%、バインダー樹脂の破断強度は20N、樹脂組成物中における消臭剤の含有量は34.4質量%、樹脂組成物中における消臭剤とバインダー樹脂の配合比(固形分)は、1:1.9、繊維質基材のオモテ面に占める樹脂組成物の面積比率は32%であり、樹脂組成物の最表面は平滑な状態であった。得られた車両天井材用布帛の成形性および意匠性は5級であり、触感は4級であった。また消臭率は、アンモニア95%、トリメチルアミン95%、硫化水素95%であり、耐久試験前後の消臭率の比率はいずれの臭源に対しても4級であり、消臭性能及びその耐久性に優れていた。
【0058】
[実施例6]
繊維質基材を下記繊維質基材2に変更した以外は、すべて実施例4と同様にして、車両天井材用布帛を得た。
【0059】
<繊維質基材2>
繊維質基材1に、カレンダー加工機を用いて、ロール温度120℃、ロール圧力0.5MPa、布速7m/分で平滑化処理を行い、繊維質基材2(ベージュの不織布(ポリエステル繊維、単位面積当たりの質量167g/m、厚み1.45mm、伸び率:タテ80%、ヨコ120%))を準備した。
【0060】
バインダー樹脂の伸び率は750%、バインダー樹脂の破断強度は20N、樹脂組成物中における消臭剤の含有量は34.9質量%、樹脂組成物中における消臭剤とバインダー樹脂の配合比(固形分)は1:1.8、繊維基材のオモテ面に占める樹脂組成物の面積比率は32%であり、樹脂組成物の最表面は、繊維質基材に平滑化処理を行っているため実施例4と比較すると平滑であったが、実施例1と比較すると平滑さはやや劣るものであった。得られた車両天井材用布帛の成形性および意匠性は4級であり、触感は3級であった。また、消臭率は、アンモニア95%、トリメチルアミン95%、硫化水素95%であり、耐久試験前後の消臭比率はいずれの臭源に対しても4級であり、消臭性能及びその耐久性に優れていた。
【0061】
[実施例7]
繊維質基材を上記繊維質基材2に変更した以外は、すべて実施例1と同様にして、車両天井材用布帛を得た。
【0062】
バインダー樹脂の伸び率は750%、バインダー樹脂の破断強度は20N、樹脂組成物中における消臭剤含有量は34.9質量%、樹脂組成物中における消臭剤とバインダー樹脂の配合比(固形分)は1:1.8、繊維基材のオモテ面に占める樹脂組成物の面積比率は32%であり、樹脂組成物の最表面は、繊維質基材に平滑化処理を行なうとともに、樹脂組成物用樹脂液を付与した後にも平滑化処理を行なっているため、非常に平滑な状態であった。得られた車両天井材用布帛の成形性および意匠性は5級であり、触感は5級であった。また、消臭率は、アンモニア95%、トリメチルアミン95%、硫化水素95%であり、耐久試験前後の消臭比率はいずれの臭源に対しても4級であり、消臭性能及びその耐久性に優れていた。
【0063】
[実施例8]
樹脂組成物用樹脂液を下記処方5に変更した以外は、すべて実施例1と同様にして、車両天井材用布帛を得た。
【0064】
<処方5:樹脂組成物用樹脂液>
・バインダー樹脂:68質量部
(サンプレックスPUE-800、ウレタン樹脂、株式会社村山化学研究所製、固形分40質量%)
・消臭剤:18質量部
(酸化亜鉛と二酸化ケイ素の複合体、粒径(D50)3~5μm、固形分82質量%)
・増粘剤:0.4質量部
(ボンコートV-E、アクリル樹脂、DIC株式会社製、固形分30質量%)
・25%アンモニア水:0.5質量部
・水:13質量部
調製法:処方5に従い、各原料をミキサーにて攪拌した。粘度を4000mPa・s(BM型粘度計、ローター:No.4、12rpm、25℃、東機産業株式会社製)になるように、増粘剤で調整した。
【0065】
バインダー樹脂の伸び率は750%、バインダー樹脂の破断強度は20N、樹脂組成物中における消臭剤の含有量は35.1質量%、樹脂組成物中における消臭剤とバインダー樹脂の配合比(固形分)は1:1.8、繊維基材のオモテ面に占める樹脂組成物の面積比率は32%であり、樹脂組成物の最表面は、平滑な状態であった。樹脂組成物用樹脂液の粘度が低いため樹脂組成物付与部の柄形状変化(柄のにじみ)が見られたため成形性がやや劣るが、樹脂組成物が繊維質基材に沈んでいたため、触感はよかった。得られた車両天井材用布帛の成形性および意匠性は3級であり、触感は5級であった。また、消臭率は、アンモニア88%、トリメチルアミン85%、硫化水素85%であり、耐久試験前後の消臭比率はいずれの臭源に対しても4級であり、消臭性能及びその耐久性に優れていた。
【0066】
[実施例9]
樹脂組成物用樹脂液を下記処方6に変更した以外は、すべて実施例1と同様にして、車両天井材用布帛を得た。
【0067】
<処方6>
・バインダー樹脂:68質量部
(サンプレックスPUE-800、ウレタン樹脂、株式会社村山化学研究所製、固形分40質量%)
・消臭剤:18質量部
(酸化亜鉛と二酸化ケイ素の複合体、粒径(D50)3~5μm、固形分82質量%)
・増粘剤:0.6質量部
(ボンコートV-E、アクリル樹脂、DIC株式会社製、固形分30質量%)
・25%アンモニア水:0.5質量部
・水:12.9質量部
調製法:処方6に従い、各原料をミキサーにて攪拌した。粘度を5000mPa・s(BM型粘度計、ローター:No.4、12rpm、25℃、東機産業株式会社製)になるように、増粘剤で調整した。
【0068】
バインダー樹脂の伸び率は750%、バインダー樹脂の破断強度は20N、樹脂組成物中における消臭剤の含有量は35.0質量%、樹脂組成物中における消臭剤とバインダー樹脂の配合比(固形分)は1:1.8、繊維基材のオモテ面に占める樹脂組成物の面積比率は32%であり、樹脂組成物の最表面は、平滑な状態であった。樹脂組成物用樹脂液の粘度が低いため樹脂組成物付与部の柄形状変化(柄の若干のにじみ)が見られたため成形性がやや劣るが、樹脂組成物が繊維質基材に若干沈んでいたため、触感はよかった。得られた車両天井材用布帛の成形性および意匠性は4級であり、触感は5級であった。また、消臭率は、アンモニア90%、トリメチルアミン87%、硫化水素85%であり、耐久試験前後の消臭比率はいずれの臭源に対しても4級であり、消臭性能及びその耐久性に優れていた。
【0069】
[実施例10]
樹脂組成物用樹脂液を下記処方7に変更した以外は、すべて実施例1と同様にして、車両天井材用布帛を得た。
【0070】
<処方7>
・バインダー樹脂:68質量部
(サンプレックスPUE-800、ウレタン樹脂、株式会社村山化学研究所製、固形分40質量%)
・消臭剤:18質量部
(酸化亜鉛と二酸化ケイ素の複合体、粒径(D50)3~5μm、固形分82質量%)
・増粘剤:2質量部
(ボンコートV-E、アクリル樹脂、DIC株式会社製、固形分30質量%)
・25%アンモニア水:0.5質量部
・水:11.5質量部
調製法:処方7に従い、各原料をミキサーにて攪拌した。粘度を20000mPa・s(BM型粘度計、ローター:No.4、12rpm、25℃、東機産業株式会社製)になるように、増粘剤で調整した。
【0071】
バインダー樹脂の伸び率は750%、バインダー樹脂の破断強度は20N、樹脂組成物中における消臭剤の含有量は34.7質量%、樹脂組成物中における消臭剤とバインダー樹脂の配合比(固形分)は1:1.8、繊維基材のオモテ面に占める樹脂組成物の面積比率は32%であり、樹脂組成物の最表面は、平滑な状態であった。樹脂組成物用樹脂液の粘度が高いため繊維質基材への浸透が少なく触感がやや粗硬であったが、柄際は良好であった。得られた車両天井材用布帛の成形性および意匠性は4級であり、触感は4級であった。また、消臭率は、アンモニア97%、トリメチルアミン95%、硫化水素95%であり、耐久試験前後の消臭比率はアンモニアが4級、トリメチルアミンと硫化水素は3級であり、消臭性能及びその耐久性に優れていた。
【0072】
[実施例11]
樹脂組成物用樹脂液を下記処方8に変更した以外は、すべて実施例1と同様にして、車両天井材用布帛を得た。
【0073】
<処方8>
・バインダー樹脂:68質量部
(サンプレックスPUE-800、ウレタン樹脂、株式会社村山化学研究所製、固形分40質量%)
・消臭剤:18質量部
(酸化亜鉛と二酸化ケイ素の複合体、粒径(D50)3~5μm、固形分82質量%)
・増粘剤:2.5質量部
(ボンコートV-E、アクリル樹脂、DIC株式会社製、固形分30質量%)
・25%アンモニア水:0.5質量部
・水:11.5質量部
調製法:処方8に従い、各原料をミキサーにて攪拌した。粘度を28000mPa・s(BM型粘度計、ローター:No.4、12rpm、25℃、東機産業株式会社製)になるように、増粘剤で調整した。
【0074】
バインダー樹脂の伸び率は750%、バインダー樹脂の破断強度は20N、樹脂組成物中における消臭剤の含有量は34.6質量%、樹脂組成物中における消臭剤とバインダー樹脂の配合比(固形分)は1:1.8、繊維基材のオモテ面に占める樹脂組成物の面積比率は32%であり、樹脂組成物の最表面は、平滑な状態であった。樹脂組成物用樹脂液の粘度が高いため繊維質基材への浸透が少なく触感が粗硬であったが、柄際は良好であった。得られた車両天井材用布帛の成形性および意匠性は3級であり、触感は3級であった。また、消臭率は、アンモニア97%、トリメチルアミン95%、硫化水素95%であり、耐久試験前後の消臭比率は、いずれの消臭源に対しても3級であり、消臭性能及びその耐久性に優れていた。
【0075】
[実施例12]
樹脂組成物用樹脂液を下記処方9に変更した以外は、すべて実施例1と同様にして、車両天井材用布帛を得た。
【0076】
<処方9>
・バインダー樹脂:23質量部
(サンプレックスPUE-800、ウレタン樹脂、株式会社村山化学研究所製、固形分40質量%)
・消臭剤:18質量部
(酸化亜鉛と二酸化ケイ素の複合体、粒径(D50)3~5μm、固形分82質量%)
・増粘剤:3.5質量部
(ボンコートV-E、アクリル樹脂、DIC株式会社製、固形分30質量%)
・25%アンモニア水:0.5質量部
・水:56.0質量部
調製法:処方9に従い、各原料をミキサーにて攪拌した。粘度を28000mPa・s(BM型粘度計、ローター:No.4、12rpm、25℃、東機産業株式会社製)になるように、増粘剤で調整した。
【0077】
バインダー樹脂の伸び率は750%、バインダー樹脂の破断強度は20N、樹脂組成物中における消臭剤の含有量は59.0質量%、樹脂組成物中における消臭剤とバインダー樹脂の配合比(固形分)は1:0.6、繊維基材のオモテ面に占める樹脂組成物の面積比率は32%であり、樹脂組成物の最表面は、平滑な状態であったが、消臭剤の配合量に対するバインダー樹脂の比率が低いため、平滑性はやや劣るものであった。得られた車両天井材用布帛の成形性および意匠性は3級であり、触感は3級であった。また、消臭率は、アンモニア95%、トリメチルアミン93%、硫化水素93%であり、耐久試験前後の消臭比率は、いずれの消臭源に対しても3級であり、消臭性能及びその耐久性に優れていた。
【0078】
[実施例13]
樹脂組成物用樹脂液を下記処方10に変更した以外は、すべて実施例1と同様にして、車両天井材用布帛を得た。
【0079】
<処方10>
・バインダー樹脂:30質量部
(サンプレックスPUE-800、ウレタン樹脂、株式会社村山化学研究所製、固形分40質量%)
・消臭剤:18質量部
(酸化亜鉛と二酸化ケイ素の複合体、粒径(D50)3~5μm、固形分82質量%)
・増粘剤:2.2質量部
(ボンコートV-E、アクリル樹脂、DIC株式会社製、固形分30質量%)
・25%アンモニア水:0.5質量部
・水:49.3質量部
調製法:処方10に従い、各原料をミキサーにて攪拌した。粘度を15000mPa・s(BM型粘度計、ローター:No.4、12rpm、25℃、東機産業株式会社製)になるように、増粘剤で調整した。
【0080】
バインダー樹脂の伸び率は750%、バインダー樹脂の破断強度は20N、樹脂組成物中における消臭剤の含有量は53.8質量%、樹脂組成物中における消臭剤とバインダー樹脂の配合比(固形分)は1:0.8、繊維基材のオモテ面に占める樹脂組成物の面積比率は32%であり、樹脂組成物の最表面は、平滑な状態であった。得られた車両天井材用布帛の成形性および意匠性は4級であり、触感は3級であった。また、消臭率は、アンモニア95%、トリメチルアミン93%、硫化水素93%であり、耐久試験前後の消臭比率は、アンモニア4級、トリメチルアミン、硫化水素はともに3級で、消臭性能及びその耐久性に優れていた。
【0081】
[実施例14]
樹脂組成物用樹脂液を下記処方11に変更した以外は、すべて実施例1と同様にして、車両天井材用布帛を得た。
【0082】
<処方11>
・バインダー樹脂:68質量部
(サンプレックスPUE-800、ウレタン樹脂、株式会社村山化学研究所製、固形分40質量%)
・消臭剤:14質量部
(酸化亜鉛と二酸化ケイ素の複合体、粒径(D50)3~5μm、固形分82質量%)
・増粘剤:1質量部
(ボンコートV-E、アクリル樹脂、DIC株式会社製、固形分30質量%)
・25%アンモニア水:0.5質量部
・水:16.5質量部
調製法:処方11に従い、各原料をミキサーにて攪拌した。粘度を15000mPa・s(BM型粘度計、ローター:No.4、12rpm、25℃、東機産業株式会社製)になるように、増粘剤で調整した。
【0083】
バインダー樹脂の伸び率は750%、バインダー樹脂の破断強度は20N、樹脂組成物中における消臭剤の含有量は29.5質量%、樹脂組成物中における消臭剤とバインダー樹脂の配合比(固形分)は1:2.4、繊維基材のオモテ面に占める樹脂組成物の面積比率は32%であり、樹脂組成物の最表面は、平滑な状態であった。得られた車両天井材用布帛の成形性および意匠性は5級であり、触感は4級であった。また、消臭率は、アンモニア90%、トリメチルアミン88%、硫化水素88%であり、耐久試験前後の消臭比率は、いずれの消臭源も4級で、消臭性能及びその耐久性に優れていた。
【0084】
[実施例15]
樹脂組成物用樹脂液を下記処方12に変更した以外は、すべて実施例1と同様にして、車両天井材用布帛を得た。
【0085】
<処方12>
・バインダー樹脂:68質量部
(サンプレックスPUE-800、ウレタン樹脂、株式会社村山化学研究所製、固形分40質量%)
・消臭剤:11質量部
(酸化亜鉛と二酸化ケイ素の複合体、粒径(D50)3~5μm、固形分82質量%)
・増粘剤:1質量部
(ボンコートV-E、アクリル樹脂、DIC株式会社製、固形分30質量%)
・25%アンモニア水:0.5質量部
・水:16.5質量部
調製法:処方12に従い、各原料をミキサーにて攪拌した。粘度を15000mPa・s(BM型粘度計、ローター:No.4、12rpm、25℃、東機産業株式会社製)になるように、増粘剤で調整した。
【0086】
バインダー樹脂の伸び率は750%、バインダー樹脂の破断強度は20N、樹脂組成物中における消臭剤の含有量は24.7質量%、樹脂組成物中における消臭剤とバインダー樹脂の配合比(固形分)は1:3.0、繊維基材のオモテ面に占める樹脂組成物の面積比率は32%であり、樹脂組成物の最表面は、平滑な状態であった。得られた車両天井材用布帛の成形性および意匠性は5級であり、触感は4級であった。また、消臭率は、アンモニア85%、トリメチルアミン80%、硫化水素80%であり、耐久試験前後の消臭比率は、いずれの消臭源も4級で、消臭性能及びその耐久性に優れていた。しかし、消臭剤の配合量に対するバインダー樹脂の比率が高いため、消臭剤がバインダー樹脂中に沈んでいたため、実施例1と比較すると耐久試験前の消臭性能はやや劣るものであった。
【0087】
[実施例16]
樹脂組成物用樹脂液を下記処方13に変更した以外は、すべて実施例1と同様にして、車両天井材用布帛を得た。
【0088】
<処方13>
・バインダー樹脂:10質量部
(サンプレックスPUE-800、ウレタン樹脂、株式会社村山化学研究所製、固形分40質量%)
・バインダー樹脂:58質量部
(サンプレックスPUE-744、ウレタン樹脂、株式会社村山化学研究所製、固形分40質量%)
・消臭剤:18質量部
(酸化亜鉛と二酸化ケイ素の複合体、粒径(D50)3~5μm、固形分82質量%)
・増粘剤:1質量部
(ボンコートV-E、アクリル樹脂、DIC株式会社製、固形分30質量%)
・25%アンモニア水:0.5質量部
・水:12.5質量部
調製法:処方13に従い、各原料をミキサーにて攪拌した。粘度を15000mPa・s(BM型粘度計、ローター:No.4、12rpm、25℃、東機産業株式会社製)になるように、増粘剤で調整した。
【0089】
バインダー樹脂の伸び率は300%、バインダー樹脂の破断強度は27N、樹脂組成物中における消臭剤の含有量は34.9質量%、樹脂組成物中における消臭剤とバインダー樹脂の配合比(固形分)は1:1.8、繊維基材のオモテ面に占める樹脂組成物の面積比率は32%であり、樹脂組成物の最表面は、平滑な状態であった。得られた車両天井材用布帛の成形性および意匠性は4級であり、触感は3級であった。また、消臭率は、アンモニア95%、トリメチルアミン95%、硫化水素95%であり、耐久試験前後の消臭比率は、いずれの消臭源も3級で、消臭性能及びその耐久性に優れていた。
【0090】
[実施例17]
樹脂組成物用樹脂液を下記処方14に変更した以外は、すべて実施例1と同様にして、車両天井材用布帛を得た。
【0091】
<処方14>
・バインダー樹脂:34質量部
(サンプレックスPUE-800、ウレタン樹脂、株式会社村山化学研究所製、固形分40質量%)
・バインダー樹脂:34質量部
(サンプレックスPUE-744、ウレタン樹脂、株式会社村山化学研究所製、固形分40質量%)
・消臭剤:18質量部
(酸化亜鉛と二酸化ケイ素の複合体、粒径(D50)3~5μm、固形分82質量%)
・増粘剤:1質量部
(ボンコートV-E、アクリル樹脂、DIC株式会社製、固形分30質量%)
・25%アンモニア水:0.5質量部
・水:12.5質量部
調製法:処方14に従い、各原料をミキサーにて攪拌した。粘度を15000mPa・s(BM型粘度計、ローター:No.4、12rpm、25℃、東機産業株式会社製)になるように、増粘剤で調整した。
【0092】
バインダー樹脂の伸び率は500%、バインダー樹脂の破断強度は25N、樹脂組成物中における消臭剤の含有量は34.9質量%、樹脂組成物中における消臭剤とバインダー樹脂の配合比(固形分)は1:1.8、繊維基材のオモテ面に占める樹脂組成物の面積比率は32%であり、樹脂組成物の最表面は、平滑な状態であった。得られた車両天井材用布帛の成形性および意匠性は4級であり、触感は4級であった。また、消臭率は、アンモニア95%、トリメチルアミン95%、硫化水素95%であり、耐久試験前後の消臭比率は、アンモニア4級、トリメチルアミン、硫化水素はともに3級で、消臭性能及びその耐久性に優れていた。
【0093】
[実施例18]
樹脂組成物用樹脂液を下記処方15に変更した以外は、すべて実施例1と同様にして、車両天井材用布帛を得た。
【0094】
<処方15>
・バインダー樹脂:10質量部
(サンプレックスPUE-800、ウレタン樹脂、株式会社村山化学研究所製、固形分40質量%)
・バインダー樹脂:46.4質量部
(ハイドランHW-920、ウレタン樹脂、DIC株式会社製、固形分50質量%)
・消臭剤:18質量部
(酸化亜鉛と二酸化ケイ素の複合体、粒径(D50)3~5μm、固形分82質量%)
・増粘剤:1質量部
(ボンコートV-E、アクリル樹脂、DIC株式会社製、固形分30質量%)
・25%アンモニア水:0.5質量部
・水:24.1質量部
調製法:処方15に従い、各原料をミキサーにて攪拌した。粘度を15000mPa・s(BM型粘度計、ローター:No.4、12rpm、25℃、東機産業株式会社製)になるように、増粘剤で調整した。
【0095】
バインダー樹脂の伸び率は650%、バインダー樹脂の破断強度は4N、樹脂組成物中における消臭剤の含有量は34.9質量%、樹脂組成物中における消臭剤とバインダー樹脂の配合比(固形分)は1:1.8、繊維基材のオモテ面に占める樹脂組成物の面積比率は32%であり、樹脂組成物の最表面は、平滑な状態であった。得られた車両天井材用布帛の成形性および意匠性は4級であり、触感は4級であった。また、消臭率は、アンモニア95%、トリメチルアミン95%、硫化水素95%であり、耐久試験前後の消臭比率は、アンモニア4級、トリメチルアミン、硫化水素はともに3級で、消臭性能及びその耐久性に優れていた。
【0096】
[実施例19]
樹脂組成物用樹脂液を下記処方16に変更した以外は、すべて実施例1と同様にして、車両天井材用布帛を得た。
【0097】
<処方16>
・バインダー樹脂:68質量部
(ハイドランHW-333、ウレタン樹脂、DIC株式会社、固形分40質量%)
・消臭剤:18質量部
(酸化亜鉛と二酸化ケイ素の複合体、粒径(D50)3~5μm、固形分82質量%)
・増粘剤:1質量部
(ボンコートV-E、アクリル樹脂、DIC株式会社製、固形分30質量%)
・25%アンモニア水:0.5質量部
・水:12.5質量部
調製法:処方16に従い、各原料をミキサーにて攪拌した。粘度を15000mPa・s(BM型粘度計、ローター:No.4、12rpm、25℃、東機産業株式会社製)になるように、増粘剤で調整した。
【0098】
バインダー樹脂の伸び率は450%、バインダー樹脂の破断強度は80N、樹脂組成物中における消臭剤の含有量は34.9質量%、樹脂組成物中における消臭剤とバインダー樹脂の配合比(固形分)は1:1.8、繊維基材のオモテ面に占める樹脂組成物の面積比率は32%であり、樹脂組成物の最表面は、平滑な状態であった。得られた車両天井材用布帛の成形性および意匠性は4級であり、触感は3級であった。また、消臭率は、アンモニア95%、トリメチルアミン95%、硫化水素95%であり、耐久試験前後の消臭比率は、いずれの消臭源も4級で、消臭性能及びその耐久性に優れていた。
【0099】
[実施例20]
樹脂組成物用樹脂液を下記処方17に変更した以外は、すべて実施例1と同様にして、車両天井材用布帛を得た。
【0100】
<処方17>
・バインダー樹脂:50質量部
(ニュープレックス W、ウレタン樹脂、林化学工業株式会社製、固形分55質量%)
・消臭剤:18質量部
(酸化亜鉛と二酸化ケイ素の複合体、粒径(D50)3~5μm、固形分82質量%)
・増粘剤:1質量部
(ボンコートV-E、アクリル樹脂、DIC株式会社製、固形分30質量%)
・25%アンモニア水:0.5質量部
・水:30.5質量部
調製法:処方17に従い、各原料をミキサーにて攪拌した。粘度を15000mPa・s(BM型粘度計、ローター:No.4、12rpm、25℃、東機産業株式会社製)になるように、増粘剤で調整した。
【0101】
バインダー樹脂の伸び率は700%、バインダー樹脂の破断強度は85N、樹脂組成物中における消臭剤の含有量は34.7質量%、樹脂組成物中における消臭剤とバインダー樹脂の配合比(固形分)は1:1.9、繊維基材のオモテ面に占める樹脂組成物の面積比率は32%であり、樹脂組成物の最表面は、平滑な状態であった。得られた車両天井材用布帛の成形性および意匠性は5級であり、触感は3級であった。また、消臭率は、アンモニア95%、トリメチルアミン95%、硫化水素95%であり、耐久試験前後の消臭比率は、いずれの消臭源も4級で、消臭性能及びその耐久性に優れていた。
【0102】
[実施例21]
樹脂組成物用樹脂液を下記処方18に変更した以外は、すべて実施例1と同様にして、車両天井材用布帛を得た。
【0103】
<処方18>
・バインダー樹脂:64質量部
(サンプレックスPUE-800、ウレタン樹脂、株式会社村山化学研究所、固形分40質量%)
・消臭剤:14質量部
(ゼオライトに担持されている亜鉛と銀の混合物、粒径(D50)2~3μm、固形分100質量%)
・増粘剤:1質量部
(ボンコートV-E、アクリル樹脂、DIC株式会社製、固形分30質量%)
・25%アンモニア水:0.5質量部
・水:30.5質量部
調製法:処方18に従い、各原料をミキサーにて攪拌した。粘度を15000mPa・s(BM型粘度計、ローター:No.4、12rpm、25℃、東機産業株式会社製)になるように、増粘剤で調整した。
【0104】
バインダー樹脂の伸び率は750%、バインダー樹脂の破断強度は20N、樹脂組成物中における消臭剤の含有量は33.7質量%、樹脂組成物中における消臭剤とバインダー樹脂の配合比(固形分)は1:1.9、繊維基材のオモテ面に占める樹脂組成物の面積比率は32%であり、樹脂組成物の最表面は、平滑な状態であった。得られた車両天井材用布帛の成形性および意匠性は5級であり、触感は4級であった。また、消臭率は、アンモニア90%、トリメチルアミン90%、硫化水素90%であり、耐久試験前後の消臭比率は、いずれの消臭源も4級で、消臭性能及びその耐久性に優れていた。
【0105】
[実施例22]
樹脂組成物用樹脂液を下記処方19に変更した以外は、すべて実施例1と同様にして、車両天井材用布帛を得た。
【0106】
<処方19>
・バインダー樹脂:68質量部
(RYUDYE-W BINDER DN-2014LH、アクリル樹脂、DIC株式会社製、固形分35質量%)
・消臭剤:18質量部
(酸化亜鉛と二酸化ケイ素の複合体、粒径(D50)3~5μm、固形分82質量%)
・増粘剤:1.0質量部
(ボンコートV-E、アクリル樹脂、DIC株式会社製、固形分30質量%)
・25%アンモニア水:0.5質量部
・水:12.5質量部
調製法:処方19に従い、各原料をミキサーにて攪拌した。粘度を15000Pa・s(BM型粘度計、ローター:No.4、12rpm、25℃、東機産業株式会社製)になるように、増粘剤で調整した。
【0107】
バインダー樹脂の伸び率は330%、バインダー樹脂の破断強度は4N、樹脂組成物中における消臭剤含有量は38.0質量%、樹脂組成物中における消臭剤とバインダー樹脂の配合比(固形分)は1:1.6、繊維基材のオモテ面に占める樹脂組成物の面積比率は32%であり、樹脂組成物の最表面は、平滑な状態であった。得られた車両天井材用布帛の成形性および意匠性は3級であり、触感は4級であった。また、消臭率は、アンモニア95%、トリメチルアミン95%、硫化水素95%であり、耐久試験前後の消臭比率は、いずれの消臭源も3級で、消臭性能及びその耐久性に優れていた。
【0108】
[実施例23]
樹脂組成物用樹脂液を下記処方20に変更した以外は、すべて実施例1と同様にして、車両天井材用布帛を得た。
【0109】
<処方20>
・バインダー樹脂:68質量部
(ニューコートFH-4502、アクリル樹脂、新中村化学株式会社、固形分50質量%)
・消臭剤:18質量部
(酸化亜鉛と二酸化ケイ素の複合体、粒径(D50)3~5μm、固形分82質量%)
・増粘剤:1.0質量部
(ボンコートV-E、アクリル樹脂、DIC株式会社製、固形分30質量%)
・25%アンモニア水:0.5質量部
・水:12.5質量部
調製法:処方20に従い、各原料をミキサーにて攪拌した。粘度を15000mPa・s(BM型粘度計、ローター:No.4、12rpm、25℃、東機産業株式会社製)になるように、増粘剤で調整した。
【0110】
バインダー樹脂の伸び率は650%、バインダー樹脂の破断強度は10N、樹脂組成物中における消臭剤の含有量は30.1質量%、樹脂組成物中における消臭剤とバインダー樹脂の配合比(固形分)は1:2.3、繊維基材のオモテ面に占める樹脂組成物の面積比率は32%であり、樹脂組成物の最表面は、平滑な状態であった。得られた車両天井材用布帛の成形性および意匠性は4級であり、触感は4級であった。また、消臭率は、アンモニア95%、トリメチルアミン95%、硫化水素95%であり、耐久試験前後の消臭比率は、いずれの消臭源も4級で、消臭性能及びその耐久性に優れていた。
【0111】
[比較例1]
樹脂組成物用樹脂液を処方10に変更した以外は、すべて実施例4と同様にして、車両天井材用布帛を得た。
【0112】
バインダー樹脂の伸び率は750%、バインダー樹脂の破断強度は20N、樹脂組成物中における消臭剤の含有量は53.8質量%、樹脂組成物中における消臭剤とバインダー樹脂の配合比(固形分)は1:0.8、繊維基材のオモテ面に占める樹脂組成物の面積比率は32%であり、樹脂組成物の最表面は、平滑化処理をしていないため平滑な状態ではなかった。得られた車両天井材用布帛の成形性および意匠性は3級であり、触感は3級であった。また、消臭率は、アンモニア95%、トリメチルアミン95%、硫化水素95%であり、耐久試験前後の消臭比率は全ての臭源に対し2級であり、消臭性能に優れるものの消臭性能の耐久性はなかった。
【0113】
【表1】
【0114】
【表2】
【0115】
【表3】
【0116】
【表4】
【0117】
【表5】