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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023008997
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】方法及び測定システム
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/24 20060101AFI20230112BHJP
   G01B 5/20 20060101ALI20230112BHJP
【FI】
G01B11/24 A
G01B5/20 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022107240
(22)【出願日】2022-07-01
(31)【優先権主張番号】21183561
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】504269327
【氏名又は名称】クリンゲルンベルク・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Klingelnberg GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100184343
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】ゴルゲルス,クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】フィンケルデイ,マルクス
【テーマコード(参考)】
2F062
2F065
【Fターム(参考)】
2F062AA61
2F062BC76
2F062CC27
2F062EE01
2F062EE09
2F062FF02
2F062GG17
2F062GG71
2F065AA53
2F065BB05
2F065CC05
2F065DD03
2F065DD06
2F065FF09
2F065FF10
2F065QQ17
(57)【要約】      (修正有)
【課題】歯形の偏差を測定し評価するための向上した方法を特定する技術課題に基づくものであり、特に、短いサイクルタイム又は測定期間で表面うねりの信頼できる分析を可能とする。
【解決手段】方法は、歯面を備えた複数の歯を有する歯形(14)を提供するステップと;前記歯形(14)の2つ以上の歯を測定するステップであって、2つ以上の歯のそれぞれについて歯の少なくとも1つの歯面のセグメントを測定すること、ここで前記測定は光学的測定装置(8)によって光学的に実行され、前記測定されたセグメントを外挿されるセグメントに外挿すること、とが実行される、測定するステップと;前記2つ以上の歯の前記外挿されたセグメントの偏差を評価するステップと、を有している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯面(18)を備えた複数の歯(16)を有する歯形(14)を提供する方法ステップと、
前記歯形(14)の2つ以上の歯(16)を測定する方法ステップであって、前記2つ以上の歯(16)のそれぞれについて、前記歯(16)の少なくとも1つの歯面(18)のセグメント(20)を測定すること、ここで前記測定は光学的測定装置(8)によって光学的に実行され、及び前記測定されたセグメント(20)を外挿されるセグメント(24)に外挿すること、が実行される、方法ステップと、
前記2つ以上の歯(16)の前記外挿されたセグメント(24)の偏差を評価する方法ステップと
を有する方法。
【請求項2】
前記セグメント(20)は、前記歯面(18)の輪郭線(22)の断面(20)を含んでおり、又は前記歯面(18)の輪郭線(22)の断面(20)から構成されており、
前記測定されたセグメント(20)の前記外挿されるセグメント(24)への前記外挿は、前記輪郭線(22)の前記断面(20)を外挿される輪郭線(24)に外挿することを含んでいる、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記歯面(18)で測定される前記輪郭線(22)の前記断面(20)の長さ(L1)は、前記歯(16)の前記歯たけ(H1)より短く、
前記外挿される輪郭線(22)の長さ(L2)は、前記外挿される輪郭線(24)を外挿した前記輪郭線(22)の前記測定された断面(20)の前記長さ(L1)よりも大きい、
ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
偏差の前記評価は、系統的な偏差の決定を含んでおり、
特に、前記外挿されるセグメント(24)のうねり分析が実行され、
前記うねり分析は、前記外挿されるセグメント(24)の表面うねりの方向を決定することを含んでおり、及び/又は
前記うねり分析は、前記外挿されるセグメント(24)の表面うねりの周波数分析を含んでいる、
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載の方法。
【請求項5】
前記歯面(18)の少なくとも1つ以上のさらなる輪郭線(22)の少なくとも1つの断面(20)が測定され、
及び/又は
前記輪郭線(22)の前記断面(20)の長さは、前記歯(16)の歯たけ(H1)の30%より大きく、特に前記歯(16)の、チップリリーフの高さ(K1)及び/又は歯元のたけ(F1)で減じた前記歯(16)の歯たけ(R1)の30%より大きく、
及び/又は
前記輪郭線(22)の前記断面(20)の前記長さは、前記歯(16)の前記歯たけ(H1)の70%未満であり、特に前記歯(16)の、チップリリーフの高さ(K1)及び/又はは元のたけ(F1)で減じた前記歯(16)の歯たけ(R1)の70%未満であり、
及び/又は
前記歯面(18)の外挿されるトポグラフィーが決定され、この外挿されたトポグラフィーが評価され、
及び/又は
前記輪郭線(22)の前記断面(20)は前記歯面の活性領域内にあり、前記輪郭線(22)の前記断面(20)の長さ(L1)は、前記輪郭の方向において測定される前記歯面の前記活性領域の長さ未満であり、前記歯面の前記活性領域は転動するときのギヤ(16)の作動時に相手歯面と接触する領域である、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の方法。
【請求項6】
前記歯(16)の2つ以上の領域は、触覚的態様で測定され、特に前記歯の4つ以上の領域が触覚的態様で測定され、特に前記歯(16)のちょうど8つの領域が触覚的態様で測定され、
前記触覚的態様で測定される領域は、前記外挿されるセグメント(24)を検証するのに使用される、
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1つに記載の方法。
【請求項7】
前記光学的測定装置は、共焦点クロマティック距離センサを有しており、前記共焦点クロマティック距離センサは特に2mmから4mmの範囲から選択される測定範囲を有しており、特に2.5mmの測定範囲を有している、
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1つに記載の方法。
【請求項8】
前記歯形(14)は、前記測定の間、前記光学的測定装置(8)の前で、特に一定の角速度で、回転する、
ことを特徴とする請求項1~7のいずれか1つに記載の方法。
【請求項9】
実質的にスパイラル状の測定経路(26)が予め定められており、組み合わされた相対的回転運動及び相対的並進運動が前記光学的測定装置(8)と前記歯形(14)との間で実行される、
ことを特徴とする請求項1~8のいずれか1つに記載の方法。
【請求項10】
ギヤ測定のための測定装置(4)を有し、
制御及び評価ユニット(6)を有し、
前記制御及び評価ユニット(6)は、請求項1~9の1つに記載の方法を実行するように適合されており、
ギヤ測定のための前記測定装置(4)は、特に、ギヤ測定のための、光学的測定装置(8)と触覚的測定装置(10)との両方を有している、
測定装置(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯形を測定し評価するための方法に関する。本発明は、さらに、このような方法を実施するための測定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド駆動又は完全電気駆動のモータ車両においては、車両用トランスミッションのノイズがエンジンノイズによってもはや隠されない。トランスミッションにおけるギヤ対の転動によって生じるギヤノイズは、それ故、車両の乗員によって知覚されて、煩わしいと感じられることがある。ハイブリッド駆動または完全電気駆動へ向かう動向の中で、ギヤのノイズ挙動の調査は、近年、大学研究のわずかな分野から、トランスミッションの工業生産における重要な品質特性へと発展してきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の個別欠陥試験で判断されるように、公称ジオメトリからの歯形の偏差を小さくするだけでは、ノイズ試験又は転動要素試験において、歯形のノイズ挙動がよくなるとは限らないことがわかってきた。このように、個別欠陥試験を考慮すると、ノイズが目立つ歯形は、ノイズが目立たない歯形よりもより正確に製造されている可能性がある。歯形の製造には、したがって、規定された製造交差を遵守する一方で、他方ではノイズ挙動の仕様をさらに満たすことについての要求がある。
【0004】
歯形のノイズは、歯の接触つまり歯面の転動によって生じる。ノイズを生ずる歯形の優位周波数を分析するために、歯形の転動時に測定されるノイズは、例えばフーリエ変換を用いて次数スペクトルに変換される。
【0005】
歯の噛み合わせ次数に加えて、このような次数スペクトルは、いわゆる「ゴースト次数」も呈し、これは歯形の設計には影響され得ず、製造エラーから生じ得る。主要なゴースト次数は、例えば、クランプエラー、工具エラー、欠陥のある軸受け、又は工作機械内の軸方向送りによって引き起こされ得る。歯形の製造時の工具のふらつきは、歯面上に公称ジオメトリから周期的に繰り返されるズレを描く。この偏差は、正確な座標測定機で幾何学的に測定され得る。
【0006】
多くの場合、歯面の表面上で幾何学的に検出され得るうねりと、音響的に検出される主要なゴースト次数との間に相関が確立され得る。このように、歯形の表面うねりの幾何学的な検出の助けを借りて、歯形の潜在的に重要なノイズ挙動及び/又は工作機械の状態を結論付けることができる。
【0007】
表面うねり及び他の歯形の偏差を判断するための入力データとして、歯形の個々の歯面のトポグラフィーに関する測定データをできるだけ完全に取得することが都合がよい。しかしながら、個々の歯面それぞれのトポグラフィーの完全な測定は、時間がかかり、工業的な連続生産で再現することは困難である。
【0008】
本発明は、したがって、歯形の偏差を測定し評価するための向上した方法を特定する技術課題に基づくものであり、特に、短いサイクルタイム又は測定期間で表面うねりの信頼できる分析を可能とする。さらに、このような方法を実行するための測定システムが特定されることになる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した技術課題は、それぞれの場合において、独立請求項によって解決される。本発明のさらなる実施形態は従属請求項及び以下の説明からもたらされる。
【0010】
第1の態様によれば、本発明は、歯面付の複数の歯を有する歯形を提供するステップと、歯形の2つ以上の歯を測定するステップであって、2つ以上の歯のそれぞれにおいて、歯の少なくとも1つの歯面のセグメントを測定し、ここで該測定は光学的測定装置によって光学的に実行され、測定されたセグメントを外挿されるセグメントに外挿することが実施される、測定するステップと、2つ以上の歯の外挿されたセグメントの偏差を評価するステップと、を備えた方法に関する。
【0011】
特に、本方法は、光学的に測定を実行することによって、また外挿されて評価されたた歯面のセグメントのみを測定することによって、歯形の歯面の輪郭線及び/又はトポグラフィーなどの歯面のセグメントを迅速に記録することを可能とする。
【0012】
本方法は、特に、非測定領域における歯面の系統的な偏差が測定領域と同等に継続し、したがって外挿できるという、知見に基づいている。したがって、例えば、歯中心の領域で測定され、例えば工作機械の軸受け損傷に起因し得る、うねりが、歯面の周辺領域においても同様に続くことが推測され得る。
【0013】
外挿は、例えば、歯形の既知の公称ジオメトリを用いて実行することができ、例えば、測定されたうねり又は歯形の測定される実際のジオメトリの偏差は、非測定領域において公称ジオメトリに測定されたうねり又は実際のジオメトリの偏差を重ねることによって実際の形状の非測定領域に変換される
【0014】
この場合、外挿されたセグメントを参照するとき、これら外挿されたセグメントは、歯面の測定値又は測定点と外挿によって追加された値または点との両方を含んでおり、これらは評価において測定値又は測定点として扱われる。
【0015】
歯面のセグメントは、歯面の輪郭線の断面を含んでおり又は歯面の輪郭線の断面から構成されており、外挿されたセグメントへの測定されたセグメントの外挿は輪郭線の断面を外挿された輪郭線に外挿することを含んでいる、ことが提供することができる。外挿されたセグメントはしたがって外挿された輪郭線であってもよい。
【0016】
歯面において測定される輪郭線の断面の長さは歯の歯たけより短く、外挿された輪郭線の長さは、外挿された輪郭線が外挿される輪郭線の測定された断面の長さよりも大きいことを、さらに提供することができる。
【0017】
この場合、外挿された輪郭線を参照するとき、これら外挿された輪郭線は、歯面の光学的に測定された値又は測定点と外挿によって追加された値又は点との両方を含んでおり、これらは評価において測定値又は測定点として扱われる。
【0018】
歯面のセグメントは、歯面の歯すじの断面を含み又は歯面の歯すじから構成されており、測定されたセグメントの外挿されるセグメントへの外挿は、歯すじの断面を外挿される歯すじに外挿することを含んでいることを、提供することができる。外挿されたセグメントは、したがって、外挿された歯すじであるか、外挿された歯すじを含んでいてもよい。
【0019】
この場合、外挿された歯すじを参照するとき、これら外挿された歯すじは、歯面の光学的に測定された値又は測定点と外挿によって追加された値又は点との両方を含んでおり、これらは評価において測定値又は測定点として扱われる。
【0020】
歯面のセグメントは、歯面の部分領域を含んでおり、又は歯面の部分領域から構成されており、測定されたるグメントの外挿されたセグメントへの外挿は、部分領域の外挿される部分領域への外挿を含んでいることを、提供することができる。外挿されたセグメントは、したがって、外挿された部分領域であるか、外挿された部分領域を含んでいてもよい。部分領域は、例えば、測定グリッドを用いて、又は輪郭線の複数の断面及び/又は歯すじの複数の断面を測定することによって、光学的に測定されてもよい。
【0021】
この場合、外挿された部分領域を参照するとき、これら外挿された部分領域は、歯面の光学的に測定された値又は測定点と外挿によって追加された値又は点との両方を含んでおり、これらは評価において測定値又は測定点として扱われる。
【0022】
外挿された部分領域は内挿された値も有していてもよい。
【0023】
輪郭線の断面、歯すじの断面、又は歯面の部分領域は、光学的測定システムによって、例えば多数の個別の測定点が対応する部分領域にわたって測定され又は分布するように断面に沿って検出されるように検出され得る。このため、検出対象の長さ又は領域の単位当たりの検出される測定点の解像度又は数が指定され得る。
【0024】
特に、偏差を評価するのにプログラムを使用することができ、これは入力データとして、歯面の光学的に測定されるセグメントが許容するであろうよりも各歯面上での
測定されるより多くの領域を要求し、外挿されたセグメントはこのプログラムで評価される。測定されたセグメントが例えば輪郭線の断面を有している限り、評価プログラムを使用することができるが、評価プログラムは、通常は入力データとして、例えば触覚的に記録された完全な輪郭線又はトポグラヒィーデータを要求するが、その代わりに入力データとして光学的に記録されて外挿された輪郭線を使用する。
【0025】
この場合、偏差を参照するとき、これらは、歯形の指定された公称ジオメトリからの歯形の製造される実際のジオメトリの偏差に関係している。
【0026】
この場合、歯形を参照するとき、回転軸の間で速度及びトルクを伝達し変換するために設定された歯付ギヤ装置のギヤを特に参照する。例えば、このようなギヤは、リングギヤ、又はベベルギヤ対のピニオン、又は円筒状ギヤ対の直線歯又はヘリカル歯を有するスパーギヤであってもよい。代替的に、歯形は、カップリングの態様で2軸間で駆動力の積極的な伝達のために使用されるフェースギヤ対のギヤであってもよい。
【0027】
この場合、光学的測定装置を参照するとき、この光学的測定装置は、特に、共焦点クロマティック距離センサ、レーザ三角測量システム等の光学的距離測定のための光学的測定システムを含んでいる。
【0028】
偏差の評価が、系統的偏差の判断を含んでおり、特に、外挿された輪郭線などの外挿されたセグメントのうねり分析が実行されることを、提供することができる。うねり分析は、外挿されたセグメント、特に外挿された輪郭線の面うねりの方向の決定を含んでもよい。代替的又は追加的に、うねり分析が外挿されたセグメント、特に外挿された輪郭線の面うねりの周波数分析を含んでいてもよい。
【0029】
歯面の少なくとも1つ又は複数のさらなる輪郭線の少なくとも1つの断面が測定されることを、提供することができる。したがって、歯面の輪郭線の2つ以上の断面が測定されることを、提供することができる。
【0030】
輪郭線の少なくとも1つの断面が歯形の全ての歯面上で測定されることを、提供することができる。2つ以上の輪郭線の2つ以上の断面が歯形の全ての歯面上で測定され得ることを、提供することができる。
【0031】
代替的又は追加的に、輪郭線の断面の長さが歯の歯たけの30%よりも大きく、特に、チップリリーフの高さ及び/又は歯元のたけを減じた歯の歯たけの30%よりも大きいことを、提供することができる。
【0032】
特に、測定範囲が、歯の歯たけの30%超、特にチップリリーフの高さ及び/又は歯元のたけを減じた歯の歯たけの30%超をカバーする、光学的測定装置が使用されることを、提供することができる。
【0033】
代替的又は追加的に、輪郭線の断面の長さが、歯の歯たけの70%未満であり、特に、チップリリーフの高さ及び/又は歯元の高さで減じた歯の歯たけの70%未満であることを、提供することができる。
【0034】
特に、測定範囲が、歯の歯たけの70%未満、特にチップリリーフの高さ及び/又は歯元の高さで減じた歯の歯たけの70%未満をカバーする、光学的測定装置が使用されることを、提供することができる。
【0035】
代替的又は追加的に、輪郭線の断面が歯面の活性領域内にあり、輪郭線の断面の長さが輪郭の方向に測定された歯面の活性領域の長さ未満にあることを、提供することができ、ここで歯面の活性領域とは転動するときのギヤの作動時に相手歯面と接触する領域である。
【0036】
代替的又は追加的に、歯面の外挿されたトポグラフィーを決定することができ、この外挿されたトポグラフィーが評価されることを、提供することができる。外挿されたトポグラフィーを、したがって、複数の断面、例えば歯面の輪郭線から推定することができ、次にこれは表面うねりを決定するためうねり分析に供される。特に、複数の外挿された輪郭線は、各歯面についてまず決定される。
【0037】
この場合、外挿されたトポグラフィーを参照するとき、この外挿されたトポグラフィーは、歯面の光学的に測定された値又は測定点と外挿によって追加された値又は点との両方を含んでおり、これらは評価において測定値又は測定点として扱われる。
【0038】
また、外挿されたトポグラフィーは、内挿された値を有していてもよい。
【0039】
本方法の更なる実施形態によれば、歯の2つ以上の領域が触覚的態様で測定され、特に、歯の4つ以上の領域が触覚的態様で測定され、特に、歯のちょうど4つの領域又はちょうど8つの領域が触覚的態様で測定されることを、提供することができる。触覚的測定は、特に、外挿されたセグメントを検証するのに役立つ。
【0040】
本方法のさらなる実施形態によれば、歯の2つ以上の輪郭線が触覚的態様で測定され、特に歯の4つ以上の輪郭線が触覚的態様で測定され、特に歯のちょうど4つの輪郭線またはちょうど8つの輪郭線が触覚的態様で測定されることを、提供することができる。触覚的測定は、特に、外挿された輪郭線を検証するのに役立つ。
【0041】
特に、外挿の妥当性及び/又は正確性をチェックすることができる。特に、外挿を触覚的測定データに基づいて改良又は適合させることができる。
【0042】
光学的測定装置が共焦点クロマティック距離センサを有し、該共焦点クロマティック距離センサが特に2mmから4mmの範囲から選択される測定範囲を有しており、特に2.5mmの測定範囲を有していることを、提供することができる。
【0043】
迅速な測定を可能にするため、ギヤが測定時に光学的測定装置の前で、特に一定の角速度で、回転することを、提供することができる。例えば、測定されるギヤを、特に測定装置の回転軸又はターンテーブル上にクランプし、ターンテーブルによって自身の軸周りに回転させることができる。
【0044】
実質的にスパイラル状の測定経路が規定され、組み合わされた相対的回転運動及び相対的並進運動が光学的測定装置とギヤとの間で実行されることを、提供することができる。例えば、ギヤを測定時に自身の軸周りに複数回回転させて、光学的センサの並進変位をこの回転に重ね合わせることを、提供することができる。このようにして、歯面の異なる位置について歯幅に沿った測定点が歯形の各歯面において複数回記録される。
【0045】
第2の態様によれば、本発明は、ギヤ測定のための測定装置を有し、制御及び評価ユニットを有しており、該制御及び評価ユニットが本発明に係る方法を実行するように適合されている、測定システムに関する。
【0046】
測定システムは、ギヤ測定のための座標測定機械であってもよい。
【0047】
測定システムは、例えば、フライス工具又は研削工具等の、幾何学的に画定された刃先を有し又は幾何学的に画定されていない刃先を有する、工具によって、ギヤを機械加工するために設定された工作機械の不可欠な部分であってもよい。
【0048】
測定装置が、ギヤ測定のための、光学的測定装置と触覚的測定装置との両方を有することを、提供することができる。触覚的測定装置及び触覚的測定システム、ならびに、光学的測定装置及び光学的測定システムという用語は、同義的に使用される。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図面はそれぞれの場合において概念的に示している。
図1】本発明に係る測定システムを示している。
図2】測定対象の歯形の斜視図を示している。
図3図2の測定対象の歯形の側面図を示している。
図4】測定対象の歯面の描写を示している。
図5】測定対象の歯面の描写を示している。
図6】補足的触覚式測定を示している。
図7】回転角度上の偏差の説明図を示している。
図8】本発明に係る方法のフローチャートを示している。
【発明を実施するための形態】
【0050】
本発明は例示的な実施形態を図示する図面を参照して、以下により詳細に説明される。
【0051】
図1は、ギヤ測定のための測定装置4を有しており、後述される本発明に係る方法を実行するように適合された制御及び評価ユニット6を有する、本発明に係る測定システム2を示している。ギヤ測定のための測定装置4は、光学的測定装置8又は光学的測定システム8と、触覚的測定装置10又は触覚的測定システム10とを有しており、これらはそれぞれギヤ測定のために適合されている。
【0052】
測定システム2は、測定対象の歯形14をその長手方向軸L周りに回転させることができる、ターンテーブル12を有している。ターンテーブル12は、このため、測定システム2の回転軸Cを実現している。ターンテーブル12は、このため、測定システム2の回転軸Cを実現しており、回転軸C及び長手方向軸Lは一致するか又は共線状である。
【0053】
光学的測定装置8及び触覚的測定装置10は、直交座標軸x,y,zに沿って並進的態様で変位可能である。したがって、測定システム2は、3つの並進自由度及び1つの回転自由度を有し、測定対象の歯形14と測定装置8との間の測定時の相対動作を実現する。
【0054】
本ケースでは、光学的測定システム8は、共焦点クロマティック距離センサ8である。
【0055】
第1の方法ステップ(A)において、歯面18を備えた複数の歯16を有する、歯形14がまず提供される(図2)。
【0056】
第2の方法ステップ(B)において、歯形14の2つ以上の歯16の測定が実行され、以下の方法ステップが2つ以上の歯16のそれぞれについて実行される。
【0057】
歯16の歯面18のセグメント20を測定し、測定されたセグメント20を外挿されるセグメント24に外挿する。本例では、測定されたセグメント20は輪郭線22の断面20であり、外挿されたセグメント24は外挿された輪郭線24である。
【0058】
図4は、測定された歯面18の一例を簡略化して概念的な描写で示している。座標ZHは歯たけ方向に使用され、座標ZBは歯幅方向に使用される(図2図4
【0059】
参照符号20は、各ケースにおいて輪郭線22のセグメント20を示し、セグメント20は長さL1を有しており太い実線によって示されている。輪郭線22の長さは歯16の歯たけH1に対応しており、それぞれの輪郭線22は細い実線によって示されている。歯面18で測定されるセグメント20の長さL1は、したがって、歯16の歯たけH1又は歯面18より短い。
【0060】
輪郭線22のセグメント20の測定は、まず、光学的測定装置8によって実行される。測定されたセグメント20のそれぞれは、外挿された輪郭線24に外挿され、それぞれの外挿された輪郭線24の長さL2はそれぞれの輪郭線22の測定されたセグメント20の長さL1より大きい。外挿された輪郭線24は、したがって、測定されたセグメント20と、さらに、測定されたセグメント20の長さL1を超える外挿によって追加された値又は外挿された断面との両方から構成される。
【0061】
第3の方法ステップ(C)において、2つ以上の歯16の外挿された輪郭線24の偏差が評価される。
【0062】
図4の説明図に示されるように、複数のセグメント20が各歯面18について取得され、セグメント20のそれぞれは輪郭線22に関連付けられて、各々は外挿された輪郭線24に外挿される。
【0063】
偏差の評価は、現在、系統的偏差の決定を有しており、外挿された輪郭線24のうねり分析が実行されて、うねり分析は、外挿された輪郭線24の表面うねりの方向の決定と外挿された輪郭線24の表面うねりの周波数分析との両方を有している。
【0064】
本ケースにおいて、輪郭線22のセグメント20の長さL1は、歯16の歯たけH1の30%超をカバーしている。その結果、輪郭線22のセグメント20の長さL1は、歯16のチップリリーフの高さK1及び歯元のたけF1を減じた歯18の歯たけR1の30%超もカバーしている。
【0065】
さらに、長さL1は、歯16の歯たけH1の70%未満である。
【0066】
外挿されたトポグラフィーTP1を、測定されたセグメント20から決定し評価することもできる(図5)。外挿されたトポグラフィーTP1は、歯面の光学的に測定された値又は測定点と外挿によって追加された値又は点との両方から構成されており、これらは評価において測定値又は測定点として扱われる。外挿されたトポグラフィーTP1は内挿された値も有している。
【0067】
図6に模式的に示されるように、歯16の2つ以上の輪郭線22が触覚的態様で測定され、触覚的測定の結果が外挿された輪郭線24を検証するのに使用される。
【0068】
図3は、輪郭線のセグメントの光学的測定を示しており、輪郭線のいくつかのセグメントが全ての歯16上で測定される。光学的測定の間、ギヤ14はその自身の軸L周りに回転しており、それは図示を簡略化するためにZ軸と一致して示されている。
【0069】
ギヤ14の回転の間、光学的センサ8がZ方向に並進的に移動し、その結果、図示される測定スパイラル26が生じて、これにより各歯面16が光学的センサ8によって複数回検出される。これにより、輪郭線22の複数のセグメント20を、簡単かつ迅速な態様で検出できる。
【0070】
方法ステップC)において、測定値が評価され、外挿された輪郭線の個々の測定点がギヤ14の回転に対応する回転角度に割り当てられる。その後、幾何学的に記録された次数スペクトルが、回転の角度にわたってプロットされた偏差の次数分析によって決定され、1つ以上の補償関数及び/又は内挿関数を決定することができる。
【0071】
図7は、12の歯面のうちのいくつかについて、回転時の回転の角度に応じた規定された公称ジオメトリからの外挿された輪郭線の例示的な偏差を示している。偏差(縦座標)が、それ故、ギヤ噛み合い時の連続したノイズ励起に寄与する方法で、回転の角度(横座標)にわたってプロットされている。
【0072】
本ケースにおいて、もっとも大きな振幅を有する補償角度関数110が、回転の角度にわたってプロットされた偏差についてまず決定される。この補償角度関数110は、回転の角度にわたってプロットされた幾何学的偏差の第1の優位周波数を示している。本ケースにおいて、補償角度関数110は正弦波関数である。
【0073】
次のステップにおいて、偏差は補償角度関数110によって調整される。続いて、幾何学的に記録された偏差のうち第2の優位周波数を示す、最も大きな振幅を有する補償角度関数112が決定される。
【0074】
このようにして、表面うねりを分析するために、次数スペクトルを、幾何学的に記録された偏差から連続して決定することができる。輪郭線のセグメントのみが方法ステップB)において光学的に測定されるので、歯形100の歯面102の表面うねりの迅速な分析を続けることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【外国語明細書】