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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023089975
(43)【公開日】2023-06-28
(54)【発明の名称】発泡体形成用組成物及び発泡体
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/00 20060101AFI20230621BHJP
   C08K 5/00 20060101ALI20230621BHJP
   C08L 75/04 20060101ALI20230621BHJP
   C08G 18/08 20060101ALI20230621BHJP
   C09K 21/12 20060101ALI20230621BHJP
【FI】
C08G18/00 J
C08K5/00
C08L75/04
C08G18/08 038
C09K21/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022201625
(22)【出願日】2022-12-16
(31)【優先権主張番号】P 2021204654
(32)【優先日】2021-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2022011243
(32)【優先日】2022-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000127307
【氏名又は名称】株式会社イノアック技術研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100105315
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 温
(74)【代理人】
【識別番号】100132137
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 謙一郎
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 嘉隆
(72)【発明者】
【氏名】宮田 敦史
(72)【発明者】
【氏名】中村 優
(72)【発明者】
【氏名】渋谷 諒太
【テーマコード(参考)】
4H028
4J002
4J034
【Fターム(参考)】
4H028AA21
4H028AA26
4H028AA30
4H028AA35
4J002CK031
4J002CK041
4J002CK051
4J002DE127
4J002DE147
4J002DE187
4J002DH037
4J002DH047
4J002DH057
4J002DK007
4J002EB047
4J002EH146
4J002EU026
4J002EU187
4J002EU196
4J002EW047
4J002EW057
4J002FD136
4J002FD137
4J002GF00
4J002GG00
4J002GL00
4J002GM00
4J034BA03
4J034CA04
4J034CA15
4J034CA32
4J034CB03
4J034CB07
4J034CB08
4J034CC12
4J034CC26
4J034CC32
4J034CC34
4J034CC45
4J034CC61
4J034CC62
4J034CC65
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4J034DB05
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4J034DC02
4J034DC43
4J034DC50
4J034DF02
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4J034HB12
4J034HC03
4J034HC08
4J034HC09
4J034HC12
4J034HC22
4J034HC45
4J034HC46
4J034HC52
4J034HC54
4J034HC61
4J034HC64
4J034HC67
4J034HC71
4J034HC73
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4J034JA32
4J034KA01
4J034KB02
4J034KB03
4J034KB05
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4J034KD02
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4J034KD04
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4J034KD07
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4J034KE01
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4J034MA03
4J034MA16
4J034MA18
4J034NA02
4J034NA03
4J034NA06
4J034NA08
4J034QA01
4J034QA03
4J034QB01
4J034QB13
4J034QB16
4J034QB17
4J034QC01
4J034RA05
4J034RA10
4J034RA11
4J034RA15
(57)【要約】
【課題】 優れた性能を有する発泡体を製造可能な発泡体形成用組成物の提供を課題とする。
【解決手段】 2以上の活性水素を有する活性水素化合物と、ポリイソシアネート化合物と、 難燃剤とを含み、前記難燃剤が、複素環又は芳香環を含む環式構造と、エチレン性又はアセチレン性の不飽和炭素結合を含む官能基と、を有する化合物である難燃剤Aを含むことを特徴とする、発泡体形成用組成物である。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2以上の活性水素を有する活性水素化合物と、ポリイソシアネート化合物と、難燃剤とを含み、
前記難燃剤が、複素環又は芳香環を含む環式構造と、エチレン性又はアセチレン性の不飽和炭素結合を含む官能基と、を有する化合物である難燃剤Aを含むことを特徴とする、発泡体形成用組成物。
【請求項2】
前記活性水素化合物がポリオール化合物又はポリアミン化合物を含む、請求項1記載の発泡体形成用組成物。
【請求項3】
前記難燃剤が窒素含有複素環を含む、請求項1又は2記載の発泡体形成用組成物。
【請求項4】
前記難燃剤として、前記難燃剤A以外の難燃剤Bを更に含む、請求項1又は2記載の発泡体形成用組成物。
【請求項5】
請求項1又は2記載の発泡体形成用組成物を、発泡及び硬化させて得られる発泡体。
【請求項6】
難燃剤として、複素環又は芳香環を含む環式構造と、エチレン性又はアセチレン性の不飽和炭素結合を含む官能基と、を有する化合物を含むことを特徴とする、ポリウレタン発泡体。
【請求項7】
難燃剤として、複素環又は芳香環を含む環式構造と、エチレン性又はアセチレン性の不飽和炭素結合を含む官能基と、を有する化合物を含むことを特徴とする、ポリウレア発泡体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡体形成用組成物及び発泡体に関する。
【背景技術】
【0002】
発泡体は、断熱性を有する軽量材料であることから、建築用途や石油およびガス運搬用船舶、冷蔵庫などの電化製品の保温材、断熱材など、種々の用途に使用されている。しかしながら、発泡体の断熱性や難燃性が十分ではない場合があるため、発泡体の断熱性や難燃性を向上させる種々の研究が行われてきた。
【0003】
例えば、特許文献1では、ハロゲン化エステルグリコール等が使用された、難燃性等に優れる発泡体が開示されている。
【0004】
また、特許文献2では、ポリオールとして、ポリエチレングリコールとフタル酸由来のエステルポリオールとマンニッヒ系ポリオールとを使用した、難燃性等に優れる発泡体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5625954号
【特許文献2】特開2011-157528号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来技術に係る発泡体は、難燃性をはじめとする諸性能が十分ではないことがあった。
【0007】
そこで本発明は、優れた性能を有する発泡体を製造可能な発泡体形成用組成物の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、鋭意研究を行い、特定の成分を含む発泡体形成用組成物によって、前記課題を解決可能なことを見出し、本発明を完成させた。即ち、本発明は以下の通りである。
【0009】
本発明は、2以上の活性水素を有する活性水素化合物と、ポリイソシアネート化合物と、難燃剤とを含み、
前記難燃剤が、複素環又は芳香環を含む環式構造と、エチレン性又はアセチレン性の不飽和炭素結合を含む官能基と、を有する化合物である難燃剤Aを含む、発泡体形成用組成物である。
【0010】
前記活性水素化合物がポリオール化合物又はポリアミン化合物を含むことが好ましい。
前記難燃剤が窒素含有複素環を含むことが好ましい。
前記難燃剤として、前記難燃剤A以外の難燃剤Bを更に含むことが好ましい。
【0011】
本発明は、前記発泡体形成用組成物を、発泡及び硬化させて得られる発泡体であってもよい。
【0012】
本発明は、難燃剤として、複素環又は芳香環を含む環式構造と、エチレン性又はアセチレン性の不飽和炭素結合を含む官能基と、を有する化合物を含む、ポリウレタン発泡体であってもよい。
【0013】
本発明は、難燃剤として、複素環又は芳香環を含む環式構造と、エチレン性又はアセチレン性の不飽和炭素結合を含む官能基と、を有する化合物を含むとする、ポリウレア発泡体であってもよい。
【0014】
上記列挙された各構成のうち任意の2以上の構成を組み合わせた全ての発明も本発明に含まれる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、優れた性能を有する発泡体を製造可能な発泡体形成用組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る発泡体形成用組成物及び発泡体について詳述するが、本発明はこれには限定されない。
【0017】
以下において、ある化合物が記載されている場合、その異性体も同時に記載されているものとする。
【0018】
また、発泡体形成用組成物における各成分(固形分)の含有量/含有割合の説明は、特に矛盾がない範囲で、発泡体における各成分の含有量/含有割合の説明として読み替えることができる。
【0019】
<<<<発泡体形成用組成物>>>>
発泡体形成用組成物は、活性水素化合物(2以上の活性水素を含む化合物)と、ポリイソシアネートと、難燃剤と、を含む。
【0020】
<<<活性水素化合物>>>
2以上の活性水素を有する化合物は、例えば、ポリオール化合物、多価フェノール化合物、ポリアミン化合物、アルカノールアミン化合物、ポリチオール化合物等を挙げることができる。
【0021】
2以上の活性水素を有する化合物は、ポリオール化合物及び/又はポリアミン化合物であることが好ましい。
【0022】
ポリオール化合物としては、特に限定されず、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルエーテルポリオール等を挙げることができる。
【0023】
ポリエステルポリオールとしては、特に限定されず、例えば、
カルボン酸成分[脂肪族ジカルボン酸、例えばコハク酸、アジピン酸、セバシン酸及びアゼライン酸等、芳香族ジカルボン酸、例えばフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸及びナフタレンジカルボン酸等、脂環族ジカルボン酸、例えばヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸及びヘキサヒドロイソフタル酸等、又はこれらの酸エステルもしくは酸無水物]と、ポリオール成分[エチレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール等、もしくは、これらの混合物]と、の脱水縮合反応で得られるポリプロピレングリコールなどのポリエステルポリオール;
ε-カプロラクトン、メチルバレロラクトン等のラクトンモノマーの開環重合で得られるポリラクトンジオール;
等を挙げることができる。
【0024】
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、ジエチレングリコール等の多価アルコールの少なくとも1種と、ジエチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等と、を反応させて得られるものを挙げることができる。
【0025】
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン等の環状エーテルをそれぞれ重合させて得られるポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等、及び、これらのコポリエーテルが挙げられる。また、グリセリンやトリメチロールエタン等の多価アルコールを用い、上記の環状エーテルを重合させて得ることもできる。
【0026】
ポリエステルエーテルポリオールとしては、例えば、脂肪族ジカルボン酸、例えばコハク酸、アジピン酸、セバシン酸及びアゼライン酸等、芳香族ジカルボン酸、例えばフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸及びナフタレンジカルボン酸等、脂環族ジカルボン酸、例えばヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸及びヘキサヒドロイソフタル酸等、又はこれらの酸エステルもしくは酸無水物と、ジエチレングリコール、もしくはプロピレンオキシド付加物等のグリコール等、又は、これらの混合物との脱水縮合反応で得られるものを挙げることができる。
【0027】
ポリアルキレンポリオールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリアルキレングリコール、ポリブタジエンポリオール、ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール共重合体、ポリエチレングリコール-ポリテトラメチレングリコール共重合体、ポリプロピレングリコール-ポリテトラメチレングリコール共重合体等が挙げられる。
【0028】
多価フェノール化合物としては、特に限定されず、例えば、ピロガロール、ハイドロキノン等の単環多価フェノール;ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールスルホン等のビスフェノール類;等が挙げられる。
【0029】
ポリアミン化合物としては、特に限定されず、例えば、脂肪族ポリアミン、芳香族ポリアミン、脂環式ポリアミン等を挙げることができる。
具体的には、N,N-ビス(sec-ブチルアミノフェニル)メタン、4,4-メチレン-ビス(2-メチルシクロヘキシルアミン)、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジクロロジフェニルメタン、トリメチレン-ビス(4-アミノベンゾエート)、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジエチルー5,5’-ジメチルジフェニルメタン、ポリテトラメチレンオキシド-ジ-p-アミノベンゾエート、2,2’,6,6’-テトラエチル-4,4’-メチレンジアニリン、4,4’-メチレンビス(2-イソプロピル-6-メチルアニリン)、4,4’-メチレンビス(2,6-ジイソプロピルアニリン)、4,4’-メチレンビス(3-クロロ-2,6-ジエチルアニリン)、3,5-ジエチルトルエン-2,4-ジアミン、ジメチルチオトルエンジアミンを挙げることができる。
【0030】
ポリチオール化合物としては、特に限定されず、例えば、ビス-(2-ヒドロチオエチロキシ)メタン、ジチオエチレングリコール、ジチオエリトリトール、及びジチオトレイトールが挙げられる。
【0031】
アルカノールアミン化合物としては、特に限定されず、例えば、ジエタノールアミン、エタノールイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エタノール-2-ヒドロキシブチルアミン、イソプロパノール-2-ヒドロキシブチルアミン、トリエタノールアミン、N-メチルアミノエタノール、N-ノルマルブチルチルアミノエタノール、N-tert-ブチルアミノエタノール、N-エチルアミノエタノール、N-ベンジルアミノエタノール、N-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン等が挙げられる。
【0032】
ここで、発泡体形成用組成物に含まれる活性水素化合物や触媒の種類等を変更することで、樹脂の種類を変更することができる。例えば、活性水素化合物としてポリオール化合物を用いることでポリウレタン発泡体やポリイソシアヌレート発泡体を得ること、活性水素化合物としてポリアミン化合物を用いることでポリウレア発泡体を得ること、活性水素化合物としてポリチオール化合物を用いることでポリチオウレタン樹脂を得ること、等が可能となる。
【0033】
ポリオール化合物及び多価フェノール化合物の水酸基価は、50~1000mgKOH/gであることが好ましく、80~850mgKOH/gであることがより好ましく、100~700mgKOH/gであることが更に好ましい。
【0034】
ここで、当該水酸基価は、JIS-K0070に準じて測定した値である。
【0035】
ポリチオール化合物のメルカプト価(SH価)は、50~1000mgKOHであることが好ましい。
ここで、ポリチオール化合物のメルカプト基価は、以下の方法により求められる。メルカプト基価(SH価;mgKOH/g):100mL(ミリリットル)サンプル瓶に試料を秤量し(質量はグラム単位で小数点以下4桁まで正確に読み取る)、無水酢酸-テトラヒドロフラン溶液(溶液100mL中に無水酢酸4gを含む)5mLと4-ジメチルアミノピリジン-テトラヒドロフラン溶液(溶液100mL中に4-ジメチルアミノピリジン1gを含む)10mLを正確に加えて試料を完全に溶解させた後、室温で1時間撹拌する。次いで、超純水1mLを正確に加えて室温で30分間撹拌した後、0.5M水酸化カリウム-エタノール溶液で滴定する(指示薬:フェノールフタレイン)。
SH価は次式により算出する。
SH価(mgKOH/g)=28.05×(B-A)/S
(但し、式中、Sは試料採取量(g)、Aは試料の滴定に要した0.5M水酸化カリウム-エタノール溶液の量(mL)、Bは空試験で要した0.5M水酸化カリウム-エタノール溶液の量(mL)を表す。)
【0036】
ポリアミン化合物のアミン価は、50~1000mgKOH/gであることが好ましく、50~800mgKOH/gであることがより好ましい。
ここで、ポリアミン化合物のアミン価は、JIS K1557-7:2011「プラスチック-ポリウレタン原料ポリオール試験方法-第7部:塩基性度の求め方(窒素含有量及び全アミン価表示)」に記載の全アミン価の測定方法によって測定する。
【0037】
アルカノールアミン化合物の水酸基価は、50~1000mgKOH/gであることが好ましい。また、アルカノールアミン化合物のアミン価は、50~800mgKOH/gであることがより好ましい。
【0038】
活性水素含有化合物は、単独で、又は、複数を組み合わせて用いることができる。
【0039】
<<<ポリイソシアネート化合物>>>
ポリイソシアネート化合物は、イソシアネート基を複数有する化合物である限り限定されず、芳香族、脂肪族及び脂環族のいずれでもよい。
【0040】
2官能のポリイソシアネートとしては、例えば、
2,4-トルエンジイソシアネート(2,4-TDI)、2,6-トルエンジイソシアネート(2,6-TDI)、m-フェニレンジイソシネート、p-フェニレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4’-MDI)、2,4’-ジフェニルメタンジアネート(2,4’-MDI)、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート(2,2’-MDI)、水素添加MDI、キシリレンジイソシアネート、3,3’-ジメチル-4,4’-ビフェニレンジイソネート、3,3’-ジメトキシ-4,4’-ビフェニレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、水素添加XDI、テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)、などの芳香族系のもの;
シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネートなどの脂環式のもの;
ブタン-1,4-ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートなどのアルキレン系のもの;
等が挙げられる。
【0041】
3官能以上のポリイソシアネートとしては、例えば、1-メチルベンゾール-2,4,6-トリイソシアネート、1,3,5-トリメチルベンゾール-2,4,6-トリイソシアネート、ビフェニル-2,4,4’-トリイソシアネート、ジフェニルメタン-2,4,4’-トリイソシアネート、メチルジフェニルメタン-4,6,4’-トリイソシアネート、4,4’-ジメチルジフェニルメタン-2,2’,5,5’テトライソシアネート、トリフェニルメタン-4,4’,4”-トリイソシアネート、ポリメリックMDI、リジンエステルトリイソシアネート、1,3,6-ヘキサメチレントリイソシアネート、1,6,11-ウンデカントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート、1,8-ジイソシアナトメチルオクタン等が挙げられる。
【0042】
また、ポリイソシアネート化合物は、上記化合物の変性体や誘導体等であってもよい。
【0043】
また、ポリイソシアネート化合物は、2以上の活性水素を含有する活性水素化合物(例えば、前述したポリオール化合物)に対して過剰量となるようにポリイソシアネート化合物を反応させて得られた、末端イソシアネート基を有するプレポリマーを含んでいてもよい。
【0044】
ポリイソシアネート化合物は、MDI、TDI、及びこれらの変性体若しくは誘導体から選択される1種以上を含むことが好ましく、モノメリックMDI及び/又はクルードMDIであることがより好ましい。
【0045】
これらポリイソシアネート化合物は、単独で、又は、複数を組み合わせて用いることができる。
【0046】
発泡体形成用組成物中のポリイソシアネート化合物の含有量は、発泡体形成用組成物のイソシアネートインデックスが、150~800、200~600又は200~500となる量であることが好ましい。ここで、イソシアネートインデックスとは、発泡体形成用組成物のすべての活性水素のモル数と、ポリイソシアネート中のイソシアネート基のモル数の比に100を乗じた値(NCOのモル数/活性水素のモル数×100)を示す。
【0047】
<<<<難燃剤>>>>
発泡体形成用組成物は、難燃剤として、複素環又は芳香環を含む環式構造と、エチレン性又はアセチレン性の不飽和炭素結合を含む官能基とを有する化合物を含むことが好ましい。以下、このような化合物を難燃剤Aとする。
【0048】
また、発泡体形成用組成物は、難燃剤Aとは異なる構造を有する難燃剤を更に含むことが好ましい。以下、難燃剤A以外の難燃剤を難燃剤Bとする。
【0049】
<<<難燃剤A>>>
難燃剤Aは、複素環又は芳香環を含む環式構造と、エチレン性又はアセチレン性の不飽和炭素結合を含む官能基とを有する化合物である。例えば、難燃剤Aは、複素環又は芳香環を含む環式構造の少なくも一つの置換基として、エチレン性又はアセチレン性の不飽和炭素結合を含む官能基を有する化合物である。
【0050】
ポリウレタン発泡体やポリウレア発泡体等が難燃剤Aを含む場合、以下のような作用機序によって、難燃性を向上させるものと推測される。発泡体が高熱に曝されると、発泡体樹脂骨格が熱分解(燃焼時)してラジカルが発生する。このラジカルと難燃剤Aの不飽和結合が反応して一時的に架橋構造を形成する。その結果、発泡体樹脂骨格中に環式構造が組み込まれるため、発泡体の耐熱性が向上する。また、環式構造は炭化形成しやすく、炭化により表面から内部への延焼を遅延させる効果が期待できる。
【0051】
難燃剤Aは、1分子中に、環式構造を1個有していてもよいし、環式構造を2個以上有していてもよい。
【0052】
芳香環及び複素環は、適宜の置換基を有していてもよい。このような置換基としては、例えば、炭素数1~4のアルキル基、カルボニル基等が挙げられる。
【0053】
難燃剤Aが環式構造を複数有する場合は、環式構造同士が単結合により結合されていてもよいし、炭素原子や酸素原子等を介して結合されていてもよい。例えば、難燃剤Aは、ビフェニル構造やジフェニルメタン構造を骨格中に含んでいてもよい。
【0054】
環式構造は、2個以上の原子を共有した状態で複数の環同士が結合している多環式構造(例えば、ナフタレン環やナジイミド環)を含んでいてもよい。また、この場合、環式構造は、インドール構造等のように、複素環式芳香族環であってもよい。
【0055】
複素環は、例えば、3~12員環又は4~8員環とすることができる。
【0056】
複素環に含まれるヘテロ原子は、1つであっても2つ以上であってもよい。ヘテロ原子は、例えば、酸素、窒素、硫黄、リン、ケイ素等である。
【0057】
複素環は、ヘテロ原子として窒素を含むことが好ましい。換言すれば、難燃剤Aは、窒素含有複素環を含むことが好ましい。窒素含有複素環を含む環式構造としては、ピロリジン基、イミダゾリジン環、マレイミド環、フタルイミド環、トリアジン環、イソシアヌレート環、ナジイミド環、グリコールウリル環等が挙げられる。難燃剤Aは、イソシアヌレート環を有することが特に好ましい。このような複素環を含む難燃剤Aを使用することで、発泡体の難燃性や保形性等を高めることができる。
【0058】
難燃剤Aは、1分子中に、エチレン性又はアセチレン性の不飽和炭素結合を含む官能基を、2個以上有することが好ましく、2~5個有することが好ましく、2~4個有することが好ましく、2~3個有することが特に好ましい。
【0059】
エチレン性又はアセチレン性の不飽和炭素結合を含む官能基は、例えば、アルケニル基又はアルキニル基(炭素数は、例えば、2~8又は2~5)を含む官能基が挙げられる。アルケニル基又はアルキニル基は、直鎖状、分岐状のいずれであってもよい。
【0060】
また、エチレン性又はアセチレン性の不飽和炭素結合を含む官能基は、エステル結合やエーテル結合等を含んでいてもよい。例えば、エチレン性又はアセチレン性の不飽和炭素結合を含む官能基は、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、又は、(メタ)アクリロイルオキシアルキル基(アルキル部分は、直鎖状、分岐状のいずれであってもよく、また、長鎖であってもよいが、炭素数が1~5又は2~3であることが好ましい。)等であってもよい。
【0061】
また、難燃剤Aは、難燃性や保形性を高めるという観点から、エチレン性又はアセチレン性の不飽和炭素結合を末端部分に含む化合物であることが好ましい。より具体的には、難燃剤Aは、アリル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、又は、(メタ)アクリロイルオキシアルキル基(アルキル部分の炭素数は、2~3)を有する化合物であることが好ましい。
【0062】
難燃剤Aの分子量は、100~1500であることが好ましく、120~1200であることがより好ましく、150~500であることが更に好ましい。
【0063】
難燃剤Aは、発泡体中の難燃剤の分散性が均一となり、難燃性や保形性を高めるという観点から、20℃で液体であることが好ましい。
【0064】
好ましい難燃剤Aとしては、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)、トリメタイルイソシアヌレート(TMAIC),トリアリルシアヌレート(TAC)、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート(TEAIC)、テトラアリルグリコルウリレート(TA-G)、アルキルジアリルイソシアヌレート(LCAIC)、フェニレンビスマレイミド(PBMI)、ビスアリルナジイミド(BANI)、ジアリル二レート(DAP)、ジアリフイソフタレート(iso-DAP)、メタクリロイル基末端ポリフェニレンエーテルオリゴマー(DA-PPE)等が挙げられる。
【0065】
難燃剤Aは、単独で、又は、複数を組み合わせて用いることができる。
【0066】
発泡体形成用組成物中の難燃剤Aの含有量は、特に限定されないが、活性水素化合物100質量部に対して、1~50質量部、1~40質量部、2~30質量部、5~25質量部、又は、10~20質量部であることが好ましい。
【0067】
また、別の観点では、発泡体形成用組成物中の難燃剤Aの含有量は、活性水素化合物とポリイソシアネートとの合計量(乃至は樹脂成分量)100質量部に対して、0.5~20質量部、1.0~15質量部、1.5~10質量部、又は、3~7質量部であることが好ましい。
【0068】
<<<難燃剤B>>>
難燃剤Bは、難燃剤Aとは異なる構造を有する難燃剤であり、リン酸エステル、リン酸塩含有難燃剤、臭素含有難燃剤、ホウ素含有難燃剤、アンチモン含有難燃剤、金属水酸化物、その他の難燃剤が挙げられる。
【0069】
リン酸エステルとしては、例えば、トリフェニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリス(t-ブチル化フェニル)ホスフェート、トリス(i-プロピル化フェニル)ホスフェート、2-エチルヘキシルジフェニルホスフェート等の芳香族リン酸エステル;1,3-フェニレンビス(ジフェニルホスフェート)、1,3-フェニレンビス(ジキシレニル)ホスフェート、レゾルシノールビス(ジフェニル)ホスフェート、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)等の芳香族縮合リン酸エステル;トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート、トリス(β-クロロプロピル)ホスフェート、トリス(クロロエチル)ホスフェート等の含ハロゲンリン酸エステル類;2,2-ビス(クロロメチル)トリメチレンビス(ビス(2-クロロエチル)ホスフェート)、ポリオキシアルキレンビスジクロロアルキルホスフェート等の含ハロゲン縮合リン酸エステル類;等を挙げることができる。
【0070】
リン酸塩含有難燃剤としては、例えば、モノリン酸塩としては、リン酸アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム等のアンモニウム塩;リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、亜リン酸一ナトリウム、亜リン酸二ナトリウム、次亜リン酸ナトリウム等のナトリウム塩;リン酸一カリウム、リン酸二カリウム、リン酸三カリウム、亜リン酸一カリウム、亜リン酸二カリウム、次亜リン酸カリウム等のカリウム塩;リン酸一リチウム、リン酸二リチウム、リン酸三リチウム、亜リン酸一リチウム、亜リン酸二リチウム、次亜リン酸リチウム等のリチウム塩;リン酸二水素バリウム、リン酸水素バリウム、リン酸三バリウム、次亜リン酸バリウム等のバリウム塩、リン酸一水素マグネシウム、リン酸水素マグネシウム、リン酸三マグネシウム、次亜リン酸マグネシウム等のマグネシウム塩;リン酸二水素カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸三カルシウム、次亜リン酸カルシウム等のカルシウム塩;リン酸亜鉛、亜リン酸亜鉛、次亜リン酸亜鉛等の亜鉛塩、第一リン酸アルミニウム、第二リン酸アルミニウム、第三リン酸アルミニウム、亜リン酸アルミニウム、次亜リン酸アルミニウム等のアルミニウム塩;等を挙げることができる。
【0071】
ポリリン酸塩としては、例えば、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸ピペラジン、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸アンモニウムアミド、ポリリン酸アルミニウム等を挙げることができる。
【0072】
臭素含有難燃剤としては、例えば、ペンタブロモジフェニルエーテル;オクタブロモジフェニルエーテル;デカブロモジフェニルエーテル;テトラブロモビスフェノールA(TBBA)、TBBA-エポキシオリゴマー、TBBA-ポリカーボネートオリゴマー、TBBA-ビス(ジブロモプロピールエーテル)、TBBA-ビス(アリールエーテル)等のTBBA化合物;ビスフェニルペンタメタン、1,2-ビス(2,4,6-トリブロモフェノキシ)エタン、2,4,6-トリス(2,4,6-トリブロモフェノキシ)-1,3,5-トリアジン、2,6-ジブロモフェノール、2,4-ジブロモフェノール等の多ベンゼン環化合物;臭素化ポリスチレン、ポリ臭素化スチレン等の臭素化スチレン化合物;エチレンビステトラブロモフタルイミド等のフタル酸化合物;ヘキサブロモシクロドデカン等の環状脂肪族化合物;トリス(2,3-ジブロモプロピル)イソシアヌレート等の特殊臭素系難燃剤;等を挙げることができる。
【0073】
ホウ素含有難燃剤としては、例えば、ホウ砂;三酸化二ホウ素、三酸化ホウ素、二酸化二ホウ素、三酸化四ホウ素、五酸化四ホウ素等の酸化ホウ素;ホウ酸、ホウ酸リチウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、ホウ酸セシウム、ホウ酸マグネシウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸バリウム、ホウ酸ジルコニウム、ホウ酸亜鉛、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸アンモニウム等ホウ酸化合物等を挙げることができる。
【0074】
アンチモン含有難燃剤としては、例えば、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン等の酸化アンチモン;アンチモン酸ナトリウム、アンチモン酸カリウム等のアンチモン酸塩;ピロアンチモン酸ナトリウム、ピロアンチモン酸カリウム等のピロアンチモン酸塩;等を挙げることができる。
【0075】
金属水酸化物としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等を挙げることができる。
【0076】
その他の難燃剤としては、塩素化パラフィン等の塩素化合物;ヒンダードアミン、メラミンシアヌレート等の窒素化合物;セルロース;等を挙げることができる。
【0077】
難燃剤Bは、単独で、又は、複数を組み合わせて用いることができる。
【0078】
難燃剤Bは、リン酸エステルを含むことが好ましい。
【0079】
難燃剤Aと難燃剤Bとを組み合わせることで、異なる温度帯での難燃作用乃至は異なる作用機序による難燃作用が生じ、発泡体の難燃性等を向上させることができる。
【0080】
発泡体形成用組成物中の難燃剤Bの含有量は、特に限定されないが、発泡体の難燃性等を向上させるために、(発泡体形成用組成物中の難燃剤Aの含有量)/(発泡体形成用組成物中の難燃剤Bの含有量)が、0.10以上1.00未満、0.10~0.80、0.15~0.70又は0.25~0.60であることが好ましい。
【0081】
ここで、発泡体形成用組成物は、難燃剤Bとして、赤リンを含んでいてもよいし、赤リンを含まなくともよい。発泡体形成用組成物が赤リンを含まないとは、例えば、発泡体形成用組成物中の赤リンの含有量(固形分割合)が、0.10質量%未満、0.05質量%未満、又は、0.01質量%未満であることを示す。
【0082】
<<<<その他の成分>>>>
発泡体形成用組成物は、発泡体の用途等に応じて、その他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、触媒、発泡剤、整泡剤等が挙げられる。また、その他の成分は、別の成分を含んでいてもよい。
【0083】
<<<触媒>>>
触媒は、特に限定されず、公知のものを使用可能である。
【0084】
触媒としては、活性水素化合物と、ポリイソシアネート化合物と、の反応を促進する触媒が挙げられる。このような触媒は、使用する活性水素化合物や製造したい発泡体に応じて適宜選択可能である。
【0085】
例えば、ウレタン発泡体を製造したい場合、触媒は、ウレタン化触媒を含んでいてもよい。ウレタン化触媒としては、例えば、トリエチルアミンやテトラメチルグアニジン等のアミン系触媒、スタナスオクトエート等のスズ系触媒、フェニル水銀プロピオン酸塩又はオクテン酸鉛等の金属触媒を挙げることができる。
【0086】
また、触媒は、三量化触媒を含んでいてもよい。三量化触媒としては、例えば、酸化リチウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム等の金属酸化物類;メトキシナトリウム、エトキシナトリウム、プロポキシナトリウム、ブトキシナトリウム、メトキシカリウム、エトキシカリウム、プロポキシカリウム、ブトキシカリウム等のアルコキシド類;酢酸カリウム、オクチル酸カリウム、カプリル酸カリウム、シュウ酸鉄等の有機金属塩類;2,4,6‐トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、N,N’,N”‐トリス(ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロトリアジン、トリエチレンジアミン、1,3,5-トリス(ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロ-s-トリアジン等の3級アミン類;エチレンイミンの誘導体;アルカリ金属、アルミニウム、遷移金属類のアセチルアセトンのキレート類、4級アンモニウム塩;ジアザビシクロウンデセン(DBU)等の窒素含有複素環化合物;を挙げることができる。
【0087】
また、触媒は、泡化触媒や樹脂化触媒を含んでいてもよい。
【0088】
泡化触媒としては、例えば、N,N-ジメチルアミノエタノール、N,N,N’,N’,N’’-ペンタメチルジエチレントリアミン、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N,N’,N’,N’’-ペンタメチルジプロピレントリアミン、N,N-ジメチルアミノエトキシエタノール、N,N,N’-トリメチルアミノエトキシエタノール、N,N,N’,N’’,N’’’,N’’’-ヘキサメチルトリエチレンテトラミン、N,N,N’,N’’-テトラメチル-N’’-(2-ヒドロキシルエチル)トリエチレンジアミン、N,N,N’,N’’-テトラメチル-(2-ヒドロキシルプロピル)トリエチレンジアミン等の3級アミンまたはその有機酸塩等、モルホリン化合物、ピペラジン化合物が挙げられ、これらの1種または2種以上が使用できる。
【0089】
樹脂化触媒としては、例えば、トリエチレンジアミン(TEDA)、トリエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルプロピレンジアミン、N,N,N’,N’’,N’’-ペンタメチル-(3-アミノプロピル)エチレンジアミン、N,N,N’,N’’,N’’-ペンタメチルジプロピレントリアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルグアニジン、1,3,5-トリス(N,N-ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロ-S-トリアジン等の3級アミンまたはその有機酸塩、ビスマストリス(2-エチルヘキサノエート)、ビスマストリス(ネオデカノエート)、ビスマストリス(パルミテート)、ビスマステトラメチルヘプタンジオエート、オクチル酸ビスマス、ナフテン酸ビスマス、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジマレエート、ジブチルスズジアセテート、ジオクチルスズジアセテート、オクチル酸スズ、ジメチルスズジメルカプチド等の有機金属、チタン-(2-エチルヘキソシド)、1-メチルイミダゾール、2-メチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-イソプロピルイミダゾール、1-イソブチル-2-メチルイミダゾール等のイミダゾール、または、N-メチル-N′-(2-ジメチルアミノエチル)ピペラジン、N,N’-ジメチルピペラジン、N-メチルピペラジン、N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7、1,1’-(3-(ジメチルアミノプロピル)イミノ)ビス(2-プロパノール)等が挙げられ、これらの1種または2種以上が使用できる。
【0090】
これらは、単独で、又は、複数を組み合わせて用いることができる。
【0091】
発泡体形成用組成物中の触媒の含有量は、特に限定されないが、例えば、活性水素化合物100質量部に対して、0.1~40.0質量部、0.1~35.0質量部、0.1~15.0質量部又は1.0~10.0質量部等とすることができる。
【0092】
<<<発泡剤>>>
発泡剤としては、例えば、水、炭化水素(好適にはC4~C6)、ハイドロフルオロオレフィン、炭酸ガスを挙げることができる。具体的には、シクロペンタン、HFO(1336mzz)、HFO(1233zd)を挙げることができる。これらは、単独で、又は、複数を組み合わせて用いることができる。
【0093】
発泡体形成用組成物中の発泡剤の含有量は、所望の発泡体の密度等を考慮して適宜調整可能である。
【0094】
<<<整泡剤>>>
整泡剤としては、例えば、シリコーン系化合物、例えば、ポリアルキルシロキサン-ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレングラフト共重合体、ポリアルキルシロキサン-ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンリニアブロック共重合体;非イオン系界面活性剤、例えば、フッ素系炭化水素化合物、アクリル-ポリオキシアルキレン共重合体、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレン共重合体、アセチレンジオール化合物、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル及びショ糖脂肪酸エステル、等を挙げることができる。これらは、単独で、又は、複数を組み合わせて用いることができる。
【0095】
<<<別の成分>>>
発泡体形成用組成物は、所望の発泡体の性能に合わせて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、抗菌剤、粘着付与剤、相溶化剤等、添加剤等のその他の成分(公知の添加剤等)を含むことができる。
【0096】
<<<<発泡体>>>>
発泡体は、前述した、活性水素化合物とポリイソシアネート化合物とを含む発泡体形成用組成物を、反応及び硬化させて得られる。より具体的には、発泡体形成用組成物中のポリイソシアネートと活性水素化合物とが反応し、発泡体の骨格となる樹脂が形成される。この骨格中に難燃剤が取り込まれることで、難燃性等を有する発泡体が形成される。
【0097】
ここで、発泡体は、使用する活性水素化合物及び触媒の種類等により、得られる発泡体の種類が異なる。即ち、発泡体は、その用途等に応じて、基本骨格を選択することができる。
【0098】
一例として、活性水素化合物としてポリオール化合物を使用して得られた、ポリウレタン発泡体であることが好ましい。
【0099】
換言すれば、発泡体は、難燃剤として、複素環又は芳香環を含む環式構造と、エチレン性又はアセチレン性の不飽和炭素結合を含む官能基と、を有する化合物を含むポリウレタン発泡体であることが好ましい。
【0100】
また、別の例として、活性水素化合物としてポリアミン化合物を使用して得られた、ポリウレア発泡体であることが好ましい。
【0101】
換言すれば、発泡体は、難燃剤として、複素環又は芳香環を含む環式構造と、エチレン性又はアセチレン性の不飽和炭素結合を含む官能基と、を有する化合物を含むポリウレア発泡体であることが好ましい。
【0102】
また更に、発泡体は、ポリイソシアヌレート発泡体、ポリチオウレタン発泡体等であってもよい。
【0103】
これらの発泡体において、発泡体中の難燃剤Aの含有量は、例えば、0.5質量%~15.0質量%、1.0質量%~10.0質量%、又は、2.0質量%~5.0質量%等とすることができる。
【0104】
その他、含有可能な各成分の種類及び各成分の含有量については、前述した通りであるので説明を省略する。
【0105】
発泡体は、活性水素化合物、ポリイソシアネート化合物、難燃剤等の各成分を、公知の方法で混合することで製造可能である。具体的には、容器に、ポリイソシアネート以外の各原料を混合機(例えば、プロペラ式攪拌翼を取り付けた攪拌機)で混合し(例えば、攪拌機を用い2000rpmで5分間攪拌する)、活性水素化合物含有混合液を調整する。続いて、ポリイソシアネート化合物と、活性水素化合物含有混合液とを、それぞれ所定の温度(例えば、10±1℃)に冷却する。その後、ポリイソシアネート化合物と、活性水素化合物含有混合液とを混合し(例えば、攪拌機を用いて2000rpmで5秒間攪拌し)、発泡、硬化させて、発泡体を得ることができる。この際、ポリイソシアネート化合物と活性水素化合物含有混合液との混合液を所定製品形状のキャビティを有する型に注入することによって、所定形状の成形品を発泡成形することも可能である。
【0106】
ここで、発泡体形成用組成物は、ポリイソシアネート化合物を含み活性水素化合物を含まない第1の組成物と、ポリイソシアネート化合物を含まず活性水素化合物を含む第2の組成物とを含む、二液性のシステム液とすることができる。難燃剤やその他の添加剤は、各成分の反応性を考慮して、第1の組成物又は第2の組成物に振り分ければよい。このように、発泡体形成用組成物中の各成分を複数の組成物に分割し、使用時に混合するシステム液とすることで、保存安定性を高めることができる。発泡体形成用組成物を二液性のシステム液とした場合、建築現場等で第1の組成物と第2の組成物とを混合し、発泡/硬化させると同時に吹付を行う、吹付工法に使用することができる。吹付工法に二液性のシステム液である発泡体形成用組成物を用いることで、容易に断熱施工を行うことが可能である。
【0107】
<<<<発泡体の用途>>>>
発泡体の用途は、例えば、建築用途{壁、天井、屋根、床、パイプカバー(住宅配管用発泡断熱材)等};建具(窓、障子、扉戸、ふすま、欄間等);石油及びガス運搬用船舶・貯蔵用タンク;車輛(エンジン、バッテリー、天井、フロア、ドアパネル等);航空機;輸送機;薬剤運搬用保冷バッグ;冷凍・冷蔵室;プラント施設;冷蔵庫等の電化製品;土留壁、保温材、断熱材、冷熱抵抗緩和材;地盤沈下防止工事や道路建設時の地下充填補強材;トンネルや橋梁、浮桟橋等の土木用途注入補修材;不要地下室等の構造部充填材;エネルギー吸収材;防水材;止水材;浮力材;等である。
また、木造や鉄筋コンクリート造の建築等では、断熱施工が容易であるため、吹付工法用の発泡体として用いることができる。
【実施例0108】
以下、実施例及び比較例により、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらには限定されない。
【0109】
<<<<発泡体形成用組成物原料>>>>
<<<活性水素化合物>>>
<A-1>
o-フタル酸エステルポリオール(水酸基価:250mgKOH/g)
<A-2>
N,N-ビス(sec-ブチルアミノフェニル)メタン(アミン価:527mgKOH/g)
【0110】
<<<イソシアネート化合物>>>
<B-1>
クルードMDI(NCO%:31.4%)
【0111】
<<<触媒>>>
<C-1>
2-ヘキサン酸ビスマス
<C-2>
4級アンモニウム塩
<C-3>
N,N-ジメチルアミノエトキシアミノエタノール
<C-4>
2-エチルヘキサン酸カリウム
<C-5>
ジブチルチンジラウリルメルカプチド
<C-6>
1-メチルイミダゾール
<C-7>
ヘキサメチルトリエチレンテトラミン
【0112】
<<<難燃剤>>>
<<C=C不飽和結合を含み、且つ、環式構造を含む難燃剤(難燃剤A)>>
<D-1>
TAIC
<D-2>
TAC
<D-3>
TEAIC
<D-4>
DAP
<D-5>
iso-DAP
【0113】
<<C=C不飽和結合を含み、環式構造を含まない難燃剤(難燃剤B)>>
<D-6>
トリメチロールプロパントリアクリレート
【0114】
<<C=C不飽和結合を含まない難燃剤(難燃剤B)>>
<D-7>
TCPP(リン酸エステル系難燃剤)
<D-8>
TAIC-6B(臭素系難燃剤)
【0115】
<<<整泡剤>>>
<<E-1>>
SF2937F(東レダウコーニング社製シリコーン系界面活性剤)
【0116】
<<<発泡剤>>>
<F-1>
ハイドロフルオロオレフィン
<F-2>
【0117】
<<<<発泡体の製造>>>>
500mLポリプロピレン製ディスポカップに、活性水素化合物、触媒、難燃剤、発泡剤、整泡剤、その他の添加物を、各表に示した各実施例及び比較例の配合量を秤取り、各実施例及び比較例の混合液とした。
各混合液を、プロペラ式攪拌翼を取り付けた攪拌機を用い、2000rpm、5分間攪拌混合を行い、各実施例及び比較例の第一組成物を得た。
10℃の冷却炉にいれ、得られた第一組成物と、各表に記載の配合量を秤取った第二組成物(ポリイソシアネート)をそれぞれ個別に10±1℃になるまで冷却した。
各実施例及び比較例の第一組成物及び第二組成物を、プロペラ式攪拌翼を取り付けた攪拌機を用いて、2000rpmで5秒間攪拌混合して速やかに発泡用ボックスへ投入し発泡成形を行った。
[発泡用ボックス]
高さ170mm×170mm×170mm角のボックスへ、厚み0.1mm×高さ170mm×170mm×170mmのポリエチレン製フィルムをセットしたもの
なお、表中の各数値は、質量部を表す。
【0118】
<<<<評価>>>>
<<<灰分量(600℃)の測定>>>
各実施例及び比較例の発泡体の中心部から3~5mgを採取し、アルミニウムパン(600℃の測定用)の中にサンプルを充填し、TG/DTA測定器(SII社製型式TG/DTA7200)を用いて、25~600℃の温度領域について、サンプルの重量減少挙動を観測し、600℃でのサンプルの残量重量から、各発泡体の灰分量(%)を求めた。
測定は、昇温速度を10℃/minとし、乾燥空気気流下(流速:250mm/min)として行った。
灰分量を以下のように評価した。
[600℃灰分量(%)]
〇:4.5%以上
△:3.0%以上4.5%未満
×:3.0%未満
【0119】
<<<限界酸素指数の測定>>>
発泡後24時間経過した各実施例及び比較例の発泡体から、スキン層を取り除き、幅1cm、長さ15cm、厚さ1cmのサンプルを10個切り出した。キャンドル燃焼試験機(東洋精機製作所)に、サンプルをガラス管内に治具で固定して垂直に立てた。
その後、JIS K7201-2に基づき、サンプル上端にガスバーナーで着火し、着火時間と延焼距離から、燃焼するのに必要な最低限の酸素濃度(限界酸素指数)を求めた。
限界酸素指数を以下のように評価した。
[限界酸素指数(%)]
〇:25%以上
△:22%以上25%未満
×:22%未満
【0120】
<<<耐熱試験>>>
各実施例及び比較例の発泡体の中心部から、長さ5cm×幅5cm×厚さ5cmとなるようサンプルを切り出し、300℃に加熱した電気炉内に5分間静置し、体積変化率を測定した。
加熱前の体積を100%とし、加熱後の体積を測定し、加熱後の体積から加熱前の体積を引いた値を、加熱前の体積で除して100を乗じた値を体積変化率とした。膨張した場合は正の値を示し、収縮した場合は負の値を示す。
体積変化率を以下のように評価した。
また、耐熱試験後、サンプル表面におけるひび割れの有無を目視にて確認した。
[体積変化率]
〇:50%未満
△:50%以上70%未満
×:70%以上
【0121】
<<<接炎試験>>>
発泡後24時間経過した各実施例及び比較例の発泡体から、長さ10cm、幅10cm、厚さ5cmの直方体をとなるようサンプルを切り出しサンプルとした。得られた各サンプルを長さ10cm、幅10cm、厚さ1mmの金網上に乗せ、ガスバーナーでサンプルの表面に3分間接炎した。燃焼ガスは、純度99.5%以上のメタンガスを使用し、燃焼ガスを0.2MPaで供給し、青白い火炎となるようにした。火の高さは5cmとし、炎とサンプル表面の間隔が1cmとなるように実施した。
接炎後、サンプルを半分に切り、その断面におけるクラックの有無を目視にて観察した。
また、断面における黒く炭化した部分の最大距離(断面の側表面から炭化している部分の長さ)を炭化層の深さとして計測した。
炭化層の深さを以下のように評価した。
[炭化層厚み(mm)]
〇:8mm以下
△:8mm超10mm未満
×:10mm以上
【0122】
<<<難燃性試験>>>
各実施例及び比較例の発泡体について、UL94の難燃性試験を規格V0に従って行い、燃焼箇所の変形、及び、ひび割れの有無を目視にて確認した。
【0123】
<<<コア密度>>>
発泡後24時間経過した各実施例及び比較例の発泡体を10cm×10cm×10cmにカットし、カットしたサンプルの見かけの密度をJIS K7222:2005「発泡プラスチック及びゴム-見掛け密度の求め方」に記載の方法で測定した。
【0124】
【表1】
【0125】
【表2】