(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023089986
(43)【公開日】2023-06-29
(54)【発明の名称】ファイル
(51)【国際特許分類】
B42F 7/00 20060101AFI20230622BHJP
【FI】
B42F7/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021204689
(22)【出願日】2021-12-17
(71)【出願人】
【識別番号】000001351
【氏名又は名称】コクヨ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085338
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 一博
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 潤
(72)【発明者】
【氏名】山崎 裕二
【テーマコード(参考)】
2C017
【Fターム(参考)】
2C017QB02
(57)【要約】
【課題】展開姿勢における持ち易さに優れたものであり表紙体とシート体との間に用紙等の紙葉類を挟んで好適に保持し得るファイルを提供する。
【解決手段】第一の折り曲げ部Mを介して連結された表表紙1及び裏表紙2を有し当該表表紙1及び裏表紙2が略面一をなすように展開し得る展開姿勢(T)と表表紙1及び裏表紙2の各内面同士が向かい合う折り畳み姿勢(F)とを採り得るように構成された表紙体Aと、表紙体Aに固定され展開姿勢(T)をなす場合にのみ第二の折り曲げ部Uを介して表紙体Aに対して展開動作可能に構成されたシート体たるホルダーJを備えてなるファイルであり、第一の折り曲げ部Mが、展開姿勢(T)において外方に突出した形態を採り得るものである。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の折り曲げ部を介して連結された表表紙及び裏表紙を有し当該表表紙及び裏表紙が略面一をなすように展開し得る展開姿勢と前記表表紙及び前記裏表紙の各内面同士が向かい合う閉じ姿勢とを採り得るように構成された表紙体と、この表紙体に固定され前記展開姿勢をなす場合にのみ第二の折り曲げ部を介して前記表紙体に対して展開動作可能に構成されたシート体を備えてなるファイルであって、
前記第一の折り曲げ部が、前記展開姿勢において外方に突出した形態を採り得るものであるファイル。
【請求項2】
前記表紙体が、第一屈曲部を介して前記表表紙に連設された第一の支持片と、前記第二屈曲部を介して前記裏表紙に連設された第二の支持片とを備えたものであり、これら第一、第二の支持片に前記シート体が固定されている請求項1記載のファイル。
【請求項3】
前記第一屈曲部と前記第二屈曲部との間に切り欠きが形成されている請求項2記載のファイル。
【請求項4】
前記第二の折り曲げ部が、前記第一の折り曲げ部に対して交差する方向に延びたものである請求項1、2又は3記載のファイル。
【請求項5】
前記第一の折り曲げ部が、前記表表紙及び前記裏表紙との境界部に形成された一対の外折り線と、これら一対の外折り線と平行をなして当該一対の外折り線の内側に形成された一対の内折り線とを備えてなるものであり、
前記展開姿勢において、前記外折り線と前記内折り線との間の部分が、前記表表紙及び裏表紙に対して起立した姿勢を採り得るものである請求項1、2又は3記載のファイル。
【請求項6】
前記シート体が、前記第一の支持片及び前記第二の支持片に対してそれぞれ溶着されたものであり、
前記閉じ姿勢から前記展開姿勢に遷移する際に、前記表表紙の基端縁及び前記裏表紙の基端縁が互いに離間しないように構成されている請求項2又は3記載のファイル。
【請求項7】
被綴じ体が、綴じ部材を介して前記第一の支持片及び前記第二の支持片に支持されたものである請求項2、3又は6記載のファイル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファイルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から展開姿勢と閉じ姿勢とを採り得るように構成された種々のファイルが知られている(例えば、特許文献1を参照。)。
【0003】
この種のファイルは、展開姿勢において、表紙における外面側の全体が略フラットな形態をなしている。
【0004】
ところが、かかる構成のファイルでは、展開姿勢において使用者の手指を表紙の外面側に対して掛けにくいため、展開姿勢における取扱い易さに欠けるという不具合があった。
【0005】
また、ファイルは、持ち運びにおける便宜のため、用紙等の紙葉類を挟んで好適に保持し得る構成のものが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、以上のような事情に着目してなされたものであり、少なくとも、展開姿勢における持ち易さに優れたものであり表紙体とシート体との間に用紙等の紙葉類を挟んで好適に保持し得るファイルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明は次の構成をなしている。
【0009】
請求項1に記載の発明は、第一の折り曲げ部を介して連結された表表紙及び裏表紙を有し当該表表紙及び裏表紙が略面一をなすように展開し得る展開姿勢と前記表表紙及び前記裏表紙の各内面同士が向かい合う閉じ姿勢とを採り得るように構成された表紙体と、この表紙体に固定され前記展開姿勢をなす場合にのみ第二の折り曲げ部を介して前記表紙体に対して展開動作可能に構成されたシート体を備えてなるファイルであって、前記第一の折り曲げ部が、前記展開姿勢において外方に突出した形態を採り得るものであるファイルである。
【0010】
請求項2に記載の発明は、前記表紙体が、第一屈曲部を介して前記表表紙に連設された第一の支持片と、前記第二屈曲部を介して前記裏表紙に連設された第二の支持片とを備えたものであり、これら第一、第二の支持片に前記シート体が固定されている請求項1記載のファイルである。
【0011】
請求項3に記載の発明は、前記第一屈曲部と前記第二屈曲部との間に切り欠きが形成されている請求項2記載のファイルである。
【0012】
請求項4に記載の発明は、前記第二の折り曲げ部が、前記第一の折り曲げ部に対して交差する方向に延びたものである請求項1、2又は3記載のファイルである。
【0013】
請求項5に記載の発明は、前記第一の折り曲げ部が、前記表表紙及び前記裏表紙との境界部に形成された一対の外折り線と、これら一対の外折り線と平行をなして当該一対の外折り線の内側に形成された一対の内折り線とを備えてなるものであり、前記展開姿勢において、前記外折り線と前記内折り線との間の部分が、前記表表紙及び裏表紙に対して起立した姿勢を採り得るものである請求項1、2又は3記載のファイルである。
【0014】
請求項6に記載の発明は、前記シート体が、前記第一の支持片及び前記第二の支持片に対してそれぞれ溶着されたものであり、前記閉じ姿勢から前記展開姿勢に遷移する際に、前記表表紙の基端縁及び前記裏表紙の基端縁が互いに離間しないように構成されている請求項2又は3記載のファイルである。
【0015】
請求項7に記載の発明は、被綴じ体が、綴じ部材を介して前記第一の支持片及び前記第二の支持片に支持されたものである請求項2、3又は6記載のファイルである。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように本発明によれば、少なくとも、展開姿勢における持ち易さに優れたものであり表紙体とシート体との間に用紙等の紙葉類を挟んで好適に保持し得るファイルを提供することができるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態を示す折り畳み姿勢(閉じ姿勢)の正面図。
【
図2】同実施形態における展開姿勢の正面図(ホルダーが展開位置にある状態のもの)。
【
図3】同実施形態における正面図(ホルダーが被覆位置にある状態のもの)。
【
図9】同実施形態におけるホルダーが外位置にある場合の態様説明するための
図8に対応した概略断面図。
【
図10】同実施形態における表紙体の構造説明用の正面図。
【
図11】同実施形態におけるクリヤーポケット(被綴じ体)の構造説明用の正面図。
【
図12】同実施形態におけるホルダー(カバー体・シート体)の構造説明用の正面図。
【
図15】他の実施形態であるホルダー(カバー体・シート体)を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態を、
図1~13を参照して説明する。なお、図中において、溶着部分(溶着部)には符号yを付している。
【0019】
この実施形態は、本発明を、展開姿勢(T)と、展開姿勢(T)の状態から二つ折りされた姿勢である閉じ姿勢たる折り畳み姿勢(F)とを採り得るように構成されたファイルに適用したものである。
【0020】
ファイルは、第一の折り曲げ部Mを介して連結された表表紙1及び裏表紙2を有してなる表紙体Aと、表紙体Aの内面側に設けられた被綴じ体であるクリヤーポケットEと、表表紙1と裏表紙2との間を渡るように配設されるとともに表紙体Aに固定されクリヤーポケットEの略全体を覆い得るカバー体・シート体であるホルダーJとを備えてなるものである。
【0021】
表紙体Aに支持されたクリヤーポケットEは内部に図示しない書類等の紙葉類を収納することができるものとなっている。表紙体Aに固定されクリヤーポケットEを覆い得るホルダーJは、ベースシート3とカバーシート4との間に書類を挟んで保持し得るものである。
【0022】
ファイルは、書類の使用頻度や用途等に応じて、書類をクリヤーポケットE内に収容させる使用態様やホルダーJに保持させる使用態様やホルダーJと表紙体Aとの間に保持させる使用態様を使用者の任意で選択し得るものとなっている。
【0023】
ファイルは、第一の折り曲げ部Mを有し展開姿勢(T)と折り畳み姿勢(F)とを採り得る表紙体A、及び、第二の折り曲げ部Uを有し展開位置(S)と被覆位置(B)とを採り得るホルダーJを有し、これら表紙体A及びホルダーJを協働させることによって、四つ折り可能な構成をなしている。
【0024】
ファイルは、表表紙1及び裏表紙2が略面一をなすようにすなわち表表紙1及び裏表紙2が略同一仮想平面上に位置するように展開し得る展開姿勢(T)と表表紙1及び裏表紙2の各内面同士が向かい合う折り畳み姿勢(F)とを採り得るように構成されたものである。そして、表紙体Aにおける第一の折り曲げ部Mが、展開姿勢(T)において外方に突出した形態を採り得るものとなっている。
【0025】
ファイルは、折り畳み姿勢(F)を採ることができるように、表紙体A、クリヤーポケットE、及び、ホルダーJが、一体的に二つ折り可能に構成されている。
【0026】
以下、ファイルの各構成について詳述する。
【0027】
<表紙体A>
表紙体Aは、第一の折り曲げ部Mを介して連結された表表紙1及び裏表紙2と、第一屈曲部c2を介して表表紙1に連設された第一の支持片である第一の綴じ片Cと、第二屈曲部d2を介して裏表紙2に連設された第二の支持片である第二の綴じ片Dとを備えたものである。
【0028】
表紙体Aは、表表紙1及び裏表紙2が略同一仮想平面上に位置し得るように展開し得る展開姿勢(T)と、表表紙1及び裏表紙2の各内面同士がクリヤーポケットE及びホルダーJを介して対面し得る折り畳み姿勢(F)とを採り得るように構成されている。
【0029】
[表表紙1]
表表紙1は、展開姿勢(T)における上半部を構成する略横長矩形状をなすものである。表表紙1は、裏表紙2と略同じ大きさをなしている。表表紙1における右の側端縁には、折り畳み姿勢(F)の際に、裏表紙2に取り付けられた束ね用のゴムバンドQと係わり合う凹み部11が設けられている。
【0030】
[裏表紙2]
裏表紙2は、展開姿勢(T)における下半部を構成する略横長矩形状をなすものである。裏表紙2は、表表紙1と略同じ大きさをなしている。裏表紙2には、折り畳み姿勢(F)の際に、表表紙1と裏表紙2とを束ねるためのゴムバンドQが取り付けられている。裏表紙2における右の側端縁には、折り畳み姿勢(F)の際に、ゴムバンドQと係わり合う凹み部21が設けられている。
【0031】
[第一の折り曲げ部M]
第一の折り曲げ部Mは、表表紙1及び裏表紙2との間に介設されている。第一の折り曲げ部Mは、表表紙1と裏表紙2とを繋いでいる。なお、この実施形態では、表表紙1と裏表紙2が第一の折り曲げ部Mのみで繋がれている。第一の折り曲げ部Mは、その全体でヒンジ部を構成するものとなっている。第一の折り曲げ部Mは、背表紙としても機能し得るものである。
【0032】
第一の折り曲げ部Mは、表表紙1及び裏表紙2との境界部に形成された左右方向に延びた上下一対の外折り線m1と、外折り線m1と略平行をなして当該一対の外折り線m1の内側に形成された左右方向に延びた一対の内折り線m2とを備えてなるものである。
【0033】
つまり、第一の折り曲げ部Mは、上下一対の内折り線m1の間に設けられた中央板状部分m3と、中央板状部分m3の上下にそれぞれ設けられ外折り線m1と内折り線m2の間に位置する上板状部分m4及び下板状部分m5とを備えている。
【0034】
第一の折り曲げ部Mは、展開姿勢(T)において、外折り線m1と内折り線m2との間の部分である上板状部分m4及び下板状部分m5が、表表紙1及び裏表紙2に対して略直交する方向に起立した姿勢を採り得るものとなっている。これに加えて、第一の折り曲げ部Mは、展開姿勢(T)において、一対の内折り線m2間の部分である中央板状部分m3が、上板状部分m4及び下板状部分m5に対して交差する方向に延びた姿勢を採り得るものとなっている。
【0035】
換言すれば、表紙体Aが展開姿勢(T)を採る際における第一の折り曲げ部Mは、側面視において略コ字状の形態をなしており、表表紙1及び裏表紙2よりも外面側に突出したものとなっている。
【0036】
[第一の綴じ片C]
第一の綴じ片Cは、表表紙1における綴じ元側の端縁である左側端縁から一体に延設されたものである。第一の綴じ片Cは、展開姿勢(T)の表表紙1における左側端縁の下部を除いた部分から延設されている。すなわち、第一の綴じ片Cは、表表紙1の左側端縁の一部から突設されている。
【0037】
第一の綴じ片Cは、縦長帯状をなしている。第一の綴じ片Cは、第一の綴じ足Gが挿通される上下一対の綴じ足挿通孔c11が設けられた第一の綴じ片本体c1と、第一の綴じ片本体c1の一側縁に設けられ第一の綴じ片本体c1と表表紙1との間を繋ぐ屈曲可能な部位である第一屈曲部c2とを備えている。
【0038】
第一の綴じ片Cは、第一の綴じ片本体c1を表表紙1の内面側に折り返し可能な構成をなしている。第一の綴じ片本体c1は、表表紙1に対して第一屈曲部c2を介して連設されたものであり、且つ、第一屈曲部c2以外の部分が表表紙1に対して拘束されていないものとなっている。
【0039】
第一の綴じ片Cは、第一屈曲部c2により屈曲し、第一の綴じ片本体c1が表表紙1の内面側に折り返された姿勢を基本姿勢としている。この基本姿勢をなした第一の綴じ片Cに支持された第一の綴じ足Gにおける上下の抜止部g2は、第一の綴じ片本体c1と表表紙1の内面との間に位置するようになっている。
【0040】
なお、表紙体Aは、表表紙1と第一の綴じ片Cとの間に書類を挟ませることにより、書類を仮保持することができるようになっている。
【0041】
第一の綴じ片本体c1は、クリヤーポケットE側を向きホルダーJにおける第一の延設部t1が溶着される被溶着面c12と、表表紙1の内面側を向く表紙対向面c13とを備えている。
【0042】
第一屈曲部c2は、上下方向に延びてなり左右に対をなして設けられた折り線c21を備えたものである。第一屈曲部c2は、第一の折り曲げ部Mに対して交差する方向に延びてなるものである。
【0043】
[第二の綴じ片D]
第二の綴じ片Dは、裏表紙2における綴じ元側の端縁である左側端縁から一体に延設されたものである。第二の綴じ片Dは、展開姿勢(T)の裏表紙2における左側端縁の上部を除いた部分から延設されている。すなわち、第二の綴じ片Dは、裏表紙2の左側端縁の一部から突設されている。
【0044】
第二の綴じ片Dは、縦長帯状をなしている。第二の綴じ片Dは、第二の綴じ足Hが挿通される上下一対の綴じ足挿通孔d11が設けられた第二の綴じ片本体d1と、第二の綴じ片本体d1の一側縁に設けられ第二の綴じ片本体d1と裏表紙2との間を繋ぐ屈曲可能な部位である第二屈曲部d2とを備えている。
【0045】
第二の綴じ片Dは、第二の綴じ片本体d1を裏表紙2の内面側に折り返し可能な構成をなしている。第二の綴じ片本体d1は、裏表紙2に対して第二屈曲部d2を介して連設されたものであり、且つ、第二屈曲部d2以外の部分が裏表紙2に対して拘束されていないものとなっている。
【0046】
第二の綴じ片Dは、第二屈曲部d2により屈曲し、第二の綴じ片本体d1が裏表紙2の内面側に折り返された姿勢を基本姿勢としている。この基本姿勢をなした第二の綴じ片Dに支持される第二の綴じ足Hにおける上下の抜止部h2は、第二の綴じ片本体d1と裏表紙2の内面との間に位置するようになっている。
【0047】
なお、表紙体Aは、裏表紙2と第二の綴じ片Dとの間に書類を挟ませることにより、書類を仮保持することができるようになっている。
【0048】
第二の綴じ片本体d1は、クリヤーポケットE側を向きホルダーJにおける第二の延設部t2が溶着される被溶着面d12と、裏表紙2の内面側を向く表紙対向面d13とを備えている。
【0049】
第二屈曲部d2は、上下方向に延びてなり左右に対をなして設けられた折り線d21を備えたものである。第二屈曲部d2は、第一の折り曲げ部Mに対して交差する方向に延びてなるものである。
【0050】
[第一の綴じ片Cと第二の綴じ片Dの離間した関係について]
第一の綴じ片Cは、表表紙1にのみ連設されている。一方で、第二の綴じ片Dは裏表紙2にのみ連設されている。つまり、第一の綴じ片Cと第二の綴じ片Dは互いに連設されていない関係、すなわち、両者は離間して設けられたものとなっている。
【0051】
互いに離間した第一の綴じ片本体c1と第二の綴じ片本体d1との間には、第一の折り曲げ部Mを渡る(跨ぐ)ようにしてホルダーJが架設されている。
【0052】
表紙体Aには、第一の綴じ片Cを構成する第一の綴じ片本体c1及び第一屈曲部c2と、第二の綴じ片Dを構成する第二の綴じ片本体d1及び第二屈曲部d2との間に切欠きk1が形成されている。すなわち、展開した状態において全体として概略矩形状をなす表紙体Aには、第一の綴じ片Cと第二の綴じ片Dとを離間させるように切欠きk1が設けられている。
【0053】
<第一の綴じ足G・第二の綴じ足H>
クリヤーポケットEは、第一、第二の綴じ片C、Dに支持された綴じ部材たる第一、第二の綴じ足G、Hにより綴じられている。
【0054】
第一、第二の綴じ足G、Hは、それぞれ上下方向に延びた帯状をなす綴じ足本体g1、h1と、綴じ足本体g1、h1の上下両端部にそれぞれ設けられ当該綴じ足本体g1、h1よりも横幅が広く設定された表紙体係合部分である抜止部g2、h2を備えたものである。
【0055】
綴じ足本体g1、h1は、クリヤーポケットEに設けられた第一、第二の綴じ足挿通孔e21、e22に挿通可能な上下寸法及び幅寸法に設定されている。
【0056】
抜止部g2、h2は、第一、第二の綴じ片C、Dに設けられた綴じ足挿通孔c11、d11の幅寸法よりも大きな幅寸法に設定されている。
【0057】
上下に設けられた抜止部g2、h2の、両方又は一方側には、折り線snが設けられている。そして、抜止部g2、h2は、折り線snを一時的に折り曲げることにより、第一、第二の綴じ片C、Dに形成された綴じ足挿通孔c11、d11、及び、クリヤーポケットEに設けられた第一、第二の綴じ足挿通孔e21、e22に挿通させることができるようになっている。
【0058】
折り線snにより一時的に折り曲げられた抜止部g2、h2は、部材の弾性変形によって元の略フラットな姿勢に復帰することになり、第一、第二の綴じ片C、Dにおける表紙対向面c13、d13に係止して所定の抜け止め機能を発揮し得るものとなっている。
【0059】
第一の綴じ足Gにおける上下の各抜止部g2は、第一の綴じ片本体c1における近接対向面c13と表表紙1の内面との間に配設されている。第二の綴じ足Hにおける上下の各抜止部h2は、第二の綴じ片本体d1における近接対向面d13と裏表紙2の内面との間に配設されている。
【0060】
<クリヤーポケットE>
クリヤーポケットEは、第一の綴じ足Gを介して第一の綴じ片Cに支持されるとともに第二の綴じ足Hを介して第二の綴じ片Dに支持されている。クリヤーポケットEは、第一、第二の綴じ片C、Dに設けられた第一、第二の綴じ足G、Hにより綴じられるものとなっている。
【0061】
クリヤーポケットEは、内部に開口部e11を通じて書類を収容し得るポケット本体e1と、ポケット本体e1の一端部たる左側端部に沿って設けられ第一、第二の綴じ足G、Hが挿通される第一の綴じ足挿通孔e21及び第二の綴じ足挿通孔e22が配された被保持端部e2とを備えたものである。この実施形態では、開口部e11は被保持端部e2に沿うようにポケット本体e1に設けられている。
【0062】
クリヤーポケットEは、表紙体Aの姿勢変更に追従して姿勢変更可能なものとなっている。換言すれば、クリヤーポケットEは、表紙体Aが二つ折りされた際に、当該表紙体Aの二つ折りに追従して上下方向中央部において屈曲し、二つ折り可能に構成されている。
【0063】
被保持端部e2は、上下方向に延びた帯状をなしている。被保持端部e2の上半部には、第一の綴じ足Gが挿通される上下一対の第一の綴じ足挿通孔e21が設けられている。被保持端部e2の下半部には、第二の綴じ足Hが挿通される上下一対の第二の綴じ足挿通孔e22が設けられている。
【0064】
第二の綴じ足挿通孔e22は、上下方向に延びた長孔状をなしており、表紙体Aが二つ折りされた際にクリヤーポケットEの下半部が裏表紙2に対して下方に柔軟に相対移動し得る構成をなしている。
【0065】
つまり、この実施形態におけるクリヤーポケットEは、表紙体Aの展開姿勢(T)と折り畳み姿勢(F)との間の姿勢変更に追従して裏表紙2に対して上下方向に相対移動可能なものとなっている。
【0066】
<ホルダーJ>
ホルダーJは、表紙体Aや複数枚重ね合わされたクリヤーポケットEの上に配設される部位を有したものである。この実施形態では、ホルダーJは、クリヤーポケットEの略全体を前側からカバー可能なものである。ホルダーJは、第一の綴じ片C及び第二の綴じ片Dに対してのみ溶着により固定されている。
【0067】
ホルダーJは、表紙体Aが展開姿勢(T)をなす場合にのみホルダーJに設けられた第二の折り曲げ部Uを構成する第一折曲部分t12及び第二折曲部分t22を介して表紙体AやクリヤーポケットEに対して展開動作可能に構成されている。
【0068】
すなわち、ホルダーJは、本体部たるホルダー本体JHがクリヤーポケットEの上を被覆する被覆位置(B)と、ホルダー本体JHがクリヤーポケットEの上を被覆しない展開位置(S)と、ホルダー本体JHが表紙体Aの外面側に位置する外位置(P)とを採り得るように、基端部たる延設部12とホルダー本体JHとの間に設けられた第二の折り曲げ部Uを基点にして回転動作可能に構成されている。
【0069】
展開姿勢(T)のファイルにおいて、ホルダー本体JHが被覆位置(B)にある場合には、当該ホルダー本体JHは、ファイルにおける最上部(最前部)に位置付けられている。つまり、ホルダー本体JHは、被覆位置(B)において最上部(最前部)に位置し、ファイルが展開姿勢(T)採る場合に、表紙代わりとして複数のクリヤーポケットEを上側(前側)から覆い隠す機能を発揮し得るものとなっている。
【0070】
また、ホルダーJは、それ自体で書類を簡易に挟んで保持し得る構成をなしている。ホルダーJは、ベースシート3とカバーシート4との間に書類を収容し得る収納空間spが形成されている。すなわち、ホルダーJのカバーシート4は、ベースシート3と協働して書類を収容可能なポケットを形成し得るものである。
【0071】
ホルダーJは、連続シート状をなし表紙体Aにおける第一の綴じ片C及び第二の綴じ片Dに対してそれぞれ溶着されたベースシート3と、ベースシート3の前面側を覆うカバーシート4とを備えたものである。
【0072】
[ベースシート3]
ベースシート3は、展開姿勢(T)において縦長矩形状をなすベースシート本体31と、ベースシート本体31の綴じ元側である左側端部の上部に延設された第一の延設部t1と、ベースシート本体31の綴じ元側である左側端部の下部に延設された第二の延設部t2を備えたものである。
【0073】
ベースシート3には、展開姿勢(T)における上下方向中央部に左右方向に延設された中央屈曲部Nが設けられている。中央屈曲部Nは、左右方向に延びた直線状をなす中央の折り線n1、及び、当該中央の折り線n1の上下に配された左右方向に延びた直線状をなす上下の折り線n2と備えてなる。
【0074】
中央屈曲部Nは、ベースシート本体31における上下方向中間部に設けられている。ベースシート3は、展開姿勢(T)における中央屈曲部Nよりも上が上半部3aとなっており、中央屈曲部Nよりも下が下半部3bとなっている。
【0075】
ベースシート本体31は、カバーシート4と協働して書類を収容し得る収納空間spを有したホルダー本体JHを構成するものである。ベースシート本体31は、上半部311と下半部312との間に中央屈曲部Nが設けられている。
【0076】
ベースシート本体31の左上角部には、カバーシート4の自由端部である左上角部を保持し得る保持片313が配設されている。保持片313は、ベースシート本体31の上端縁から一体に延設された片状のものであり、ベースシート本体31の前面側に折り返された上で左側端部がベースシート本体31に対して溶着されている。ベースシート本体31の右側端部及び下端部にはカバーシート4が一体又は溶着により連設されている。
【0077】
ベースシート本体31の左側部には展開姿勢(T)において上下方向に延びてなる第三の折り曲げ部Vが設けられている。第三の折り曲げ部Vは、第二の折り曲げ部Uと略平行に配設されている。第三の折り曲げ部Vは、ベースシート本体31の上下方向の全域に亘って設けられている。第三の折り曲げ部Vは、第二の折り曲げ部Uとカバーシート4の左端縁との中間に配されている。第三の折り曲げ部Vは、互いに平行をなし上下方向に延びた直線状をなす左右の折り線v1を備えたものである。
【0078】
第二の折り曲げ部Uと第三の折り曲げ部Vの間に形成された本体端縁部314は、ホルダー本体JHが外位置にある場合にマチとして機能し得るものである。すなわち、本体端縁部314は、ホルダーJが外位置(P)にある場合に、カバーシート4と表紙体Aとの間に一定の間隔を形成し得るものである。
【0079】
この実施形態では、表紙体Aが折り畳み姿勢(F)から展開姿勢(F)に遷移する際に、表表紙Aの基端部である一方の外折り線m1及び裏表紙の基端部である他方の外折り線m1が、連続シート状をなすベースシート3のベースシート本体31に規制されて互いに離間しないように構成されている。
【0080】
[第一の延設部t1]
第一の延設部t1は、ベースシート本体31の綴じ元側の端縁である左側端縁から一体に延設されている。第一の延設部t1は、展開姿勢(T)におけるベースシート本体31の上半部311における左側端縁の下部を除いた部分から延設されている。すなわち、第一の延設部t1は、ベースシート本体31における上半部311の左側端縁の一部から突設されている。
【0081】
第一の延設部t1は、表紙体Aにおける第一の綴じ片Cに対して溶着により固定されるようになっている。
【0082】
第一の延設部t1は、縦長帯状をなしている。第一の延設部t1は、表紙体Aにおける第一の綴じ片Cに対して溶着される部分を有するとともに第一の綴じ足Gが通過可能な上下一対の綴じ足通過孔taが設けられた第一の延設部本体t11と、一側縁に設けられ第一の延設部本体t11とベースシート本体31の上半部311との間を繋ぐ屈曲可能な部位である第二の折り曲げ部Uを構成する第一折曲部分t12とを備えている。
【0083】
第一の延設部t1は、第一の延設部本体t11をベースシート本体31の内面側に折り返し可能な構成をなしている。第一の延設部本体t11は、ベースシート本体31に対して第二の折り曲げ部Uを介して連設されたものであり、且つ、第二の折り曲げ部U以外の部分がベースシート本体31に対して拘束されていないものとなっている。
【0084】
ホルダーJが被覆位置(B)にある場合には、第一の延設部t1は、第二の折り曲げ部Uにより屈曲し、第一の延設部本体t11がベースシート本体31の内面側に折り返された姿勢を採るようになっている。
【0085】
ホルダーJが展開位置(S)にある場合には、第一の延設部t1は、第二の折り曲げ部Uにより屈曲し、第一の延設部本体t11がベースシート本体31の外側に位置した姿勢を採るようになっている。
【0086】
第一折曲部分t12は、上下方向に延びてなり左右に対をなして設けられた折り線t12sを備えたものである。第一折曲部分t12は、第一の折り曲げ部Mに対して交差する方向に延びてなるものである。
【0087】
[第二の沿設部t2]
第二の延設部t2は、ベースシート本体31の綴じ元側の端縁である左側端縁から一体に延設されている。第二の延設部t2は、展開姿勢(T)におけるベースシート本体31の下半部312における左側端縁の上部を除いた部分から延設されている。すなわち、第二の延設部t2は、ベースシート本体31における下半部312の左側端縁の一部から突設されている。
【0088】
第二の延設部t2は、表紙体Aにおける第二の綴じ片Dに対して溶着により固定されるようになっている。
【0089】
第二の延設部t2は、縦長帯状をなしている。第二の延設部t2は、表紙体Aにおける第二の綴じ片Dに対して溶着される部分を有するとともに第二の綴じ足Hが通過可能な上下一対の綴じ足通過孔taが設けられた第二の延設部本体t21と、一側縁に設けられ第二の延設部本体t21とベースシート本体31の下半部312との間を繋ぐ屈曲可能な部位である第二の折り曲げ部Uを構成する第二折曲部分t22とを備えている。
【0090】
第二の延設部t2は、第二の延設部本体t21をベースシート本体31の内面側に折り返し可能な構成をなしている。第二の延設部本体t21は、ベースシート本体31に対して第二の折り曲げ部Uを介して連設されたものであり、且つ、第二の折り曲げ部U以外の部分がベースシート本体31に対して拘束されていないものとなっている。
【0091】
ホルダーJが被覆位置(B)にある場合には、第二の延設部t2は、第二の折り曲げ部Uにより屈曲し、第二の延設部本体t21がベースシート本体31の内面側に折り返された姿勢を採るようになっている。
【0092】
ホルダーJが展開位置(S)にある場合には、第二の延設部t2は、第二の折り曲げ部Uにより屈曲し、第二の延設部本体t11がベースシート本体31の外側に位置した姿勢を採るようになっている。
【0093】
第二折曲部分t22は、上下方向に延びてなり左右に対をなして設けられた折り線t22sを備えたものである。第二折曲部分t22は、第一の折り曲げ部Mに対して交差する方向に延びてなるものである。
【0094】
なお、以上に詳述した第一、第二の延設部t1、t2は、ベースシート本体31とカバーシート4を主体に構成されたホルダー本体JHを支持するホルダー本体支持部を構成するものとなっている。
【0095】
第一の延設部t1と第二の延設部t2との間には、切欠きk2が形成されている。すなわち、展開した状態において全体として概略矩形状をなすベースシート3には、第一の延設部t1と第二の延設部t2とを離間させるように切欠きk2が設けられている。
【0096】
[カバーシート4]
カバーシート4は、ベースシート3の前に重ね合わされ第一の屈曲部Nに対応する上下方向中間部に左右方向に延設された第二の屈曲部Rを有している。
【0097】
カバーシート4は、ベースシート本体31よりも幅寸法が短く設定されている。カバーシート4は、ベースシート本体31の左側部以外の部分を前側から覆い得るものとなっている。カバーシート4は、右側端部及び下端部がベースシート本体31に対して一体又は溶着により連設されている。
【0098】
カバーシート4は、横長矩形状をなす上半部41と、横長矩形状をなす下半部42と、上半部41と下半部42との間に配された第二の屈曲部Rと、第二の屈曲部Rの右端縁とベースシート本体31との間の連続を避けるための切欠部43とを備えたものである。
【0099】
第二の屈曲部Rは、展開姿勢(T)におけるカバーシート4の上下方向中央部に設けられている。第二の屈曲部Rは、左右方向に延びた直線状をなす中央の折り線r1と、中央の折り線r1の上下に配された左右方向に延びた直線状をなす上下の折り線r2とを備えてなる。
【0100】
第二の屈曲部Rは、折り畳み姿勢(F)において第一の屈曲部Nから離れる方向に折り曲がる構成をなしている。より具体的に言えば、第二の屈曲部Rは、折り畳み姿勢(F)において中央の折り線r1が左右の折り線r2よりも内側に位置する山折り状をなすように構成されている。
【0101】
以上の構成をなすホルダーJにおけるホルダー本体JHは、展開姿勢を採る場合にのみ、第二の折り曲げ部Uである第一折曲部分t12及び第二折曲部分t22により曲げられて、被覆位置(B)から展開位置(S)に展開可能に動作し得るものとなっている。さらに、第二の折り曲げ部U及び第三の折り曲げ部Vにより曲げられて、外位置(P)に位置し得るものとなっている。
【0102】
また、ホルダーJは、ベースシート3とカバーシート4が、第一、第二の屈曲部N、Rを回転中心にして、折り畳み姿勢(F)と展開姿勢(T)とを採り得るものとなっている。すなわち、ホルダーJは、表紙体Aの姿勢変更に追従して姿勢変更可能なものとなっている。換言すれば、ホルダーJは、表紙体Aが二つ折りされた際に、当該表紙体Aに追従して上下方向中央部に設けられた第一、第二の屈曲部N、Rにおいて屈曲し二つ折り可能に構成されている。
【0103】
続いて、
図12及び
図13を参照しつつ、ファイルが折り畳み姿勢(F)から展開姿勢(T)に遷移する際の、第一の折り曲げ部Mの作動について説明する。
【0104】
図12に示すように、ファイルが折り畳み姿勢(F)をなす場合には、表表紙1及び裏表紙2の内面同士が、二つ折りされたクリヤーポケットE及びホルダーJを介して対面した状態をなしている。このとき、第一の折り曲げ部Mは、一対の内折り線m2間に位置する中央板状部分m3が表表紙1及び裏表紙2に対して交差した姿勢をなしているとともに外折り線m1と内折り線m2の間に位置する上板状部分m4及び下板状部分m5が表表紙1及び裏表紙2に対して面一をなすように延びた姿勢をなしている。
【0105】
次いで、ファイルを、
図12の折り畳み姿勢(F)から、
図13の展開姿勢(T)に遷移させると、表表紙1及び裏表紙2が仮想同一平面上に合致する姿勢に変わることになる。また、同様に、クリヤーポケットE及びホルダーJも二つ折りの状態から遷移して表表紙1及ぶ裏表紙2の内面側に展開した状態で重なり合ったものとなっている。
【0106】
展開姿勢(T)において、第一の折り曲げ部Mは、表表紙1及び裏表紙2に対して突出したコ字状の形態を採るものとなっている。
【0107】
すなわち、第一の折り曲げ部Mにおける中央板状部分m3が、表表紙1及び裏表紙2と略平行な姿勢をなすものとなる。その一方で、第一の折り曲げ部Mにおける上板状部分m4及び下板状部分m5は、表表紙1、裏表紙2、及び、中央板状部分m2に対して略直交する姿勢をなすものとなる。
【0108】
ベースシート本体31に連設された第一の延設部t1は表表紙1に連設された第一の綴じ片Cに溶着されており、ベースシート本体31に連設された第二の延設部t2は裏表紙2に連設された第二の綴じ片Dに溶着されている。このため、展開姿勢(T)における表表紙1と裏表紙2との離間距離は、ベースシート本体31により離れないように制限されている。
【0109】
この結果、ファイルは、展開姿勢(T)において表表紙1と裏表紙2との間の部分に生じ得る応力の集中を、第一の折り曲げ部Mによる外方に突出する変形、すなわち、上板状部分m4及び下板状部分m5が表表紙1及び裏表紙2に対して起立するという姿勢変更によって、好適に逃がすことができるものとなっている。
【0110】
以上に詳述したように、本実施形態のファイルは、第一の折り曲げ部Mを介して連結された表表紙1及び裏表紙2を有し当該表表紙1及び裏表紙2が略面一をなすように展開し得る展開姿勢(T)と表表紙1及び裏表紙2の各内面同士が向かい合う閉じ姿勢たる折り畳み姿勢(F)とを採り得るように構成された表紙体Aと、表紙体Aに固定され展開姿勢(T)をなす場合にのみ第二の折り曲げ部Uを介して表紙体Aに対して展開動作可能に構成されたシート体であるホルダーJを備えてなるものである。そして、第一の折り曲げ部Mが、展開姿勢(T)において外方に突出した形態を採り得るものとなっている。
【0111】
このため、本実施形態のファイルであれば、第一の折り曲げ部Mが、展開姿勢(T)において外方に突出した形態を採り得るように構成されているため、展開姿勢(T)での使用時において外方に突出した形態をなす第一の折り曲げ部Mを使用者の指掛かりとして機能させることができ、使用者の持ちやすさに寄与し得るものとなっている。
【0112】
しかも、展開姿勢(T)をなす場合にのみ第二の折り曲げ部Uを介して表紙体Aに対して展開動作可能なホルダーJが設けられているため、表紙体AとホルダーJとの間に用紙等の紙葉類を挟んで好適に保持し得るファイルを提供することができるものとなる。
【0113】
表紙体Aが、第一屈曲部c2を介して表表紙1に連設された第一の支持片である第一の綴じ片Cと、第二屈曲部d2を介して裏表紙2に連設された第二の支持片である第二の綴じ片Dとを備えたものである。そして、第一、第二の綴じ片C、DにホルダーJが固定されている。
【0114】
このため、ホルダーJは、表紙体Aに対して好適に支持されたものとなってている。
【0115】
第一屈曲部c2と第二屈曲部d2との間に切欠きk1が形成されている。このため、表表紙1と裏表紙2との間に設けられた第一の折り曲げ部Mの動作が、第一、第二の綴じ片C、Dによって阻害されることなく円滑に動作し得るものとなっている。
【0116】
第二の折り曲げ部Uが、第一の折り曲げ部Mに対して交差する方向に延びたものである。
【0117】
このため、ホルダーJは、表紙体Aが展開姿勢(T)をなす場合に、第二の折り曲げ部Uにおいて好適に展開動作し得るものとなっている。換言すれば、ファイルは、第一の折り曲げ部Mを有し展開姿勢(T)と折り畳み姿勢(F)とを採り得る表紙体A、及び、第二の折り曲げ部Uを有し展開位置(S)と被覆位置(B)とを採り得るホルダーJを有し、表紙体AとホルダーJとを協働させることによって、四つ折り可能な構成をなしている。このため、ファイルは、表紙体AとホルダーJとの間に用紙等の紙葉類を挟んで好適に保持し得るものとなっている。
【0118】
第一の折り曲げ部Mが、表表紙1及び裏表紙2との境界部に形成された一対の外折り線m1と、これら一対の外折り線m1と平行をなして当該一対の外折り線m1の内側に形成された一対の内折り線m2とを備えてなるものである。そして、展開姿勢(T)において、外折り線m1と内折り線m2との間の部分である上板状部分m4及び下板状部分m5が、表表紙1及び裏表紙2に対して起立した姿勢を採り得るものである。
【0119】
このため、ファイルは、展開姿勢(T)において表表紙1と裏表紙2との間の部分に生じ得る応力の集中を第一の折り曲げ部Mの突出する変形、すなわち、上板状部分m4及び下板状部分m5が表表紙1及び裏表紙2に対して起立するという姿勢変更によって好適に逃がすことができるものとなっている。
【0120】
つまり、本実施形態のファイルであれば、第一の折り曲げ部Mを設けることによって、折り畳み姿勢(F)と展開姿勢(T)との間の姿勢変更が極めて円滑に行われるものとなっている。
【0121】
シート体であるホルダーJが、第一の綴じ片C及び第二の綴じ片Dに対してそれぞれ溶着されたものである。そして、折り畳み姿勢(F)から展開姿勢(T)に遷移する際に、表表紙1の基端縁及び裏表紙2の基端縁が互いに離間しないように構成されている。
【0122】
このため、ホルダーJは、表紙体Aに対して確実に接着されたものとなっている。
【0123】
しかも、表紙体Aにおける第一、第二の綴じ片C、DとホルダーJのベースシート3とが溶着により固定されており、ベースシート3が表表紙1に連設された第一の綴じ片Cと裏表紙2に連設された第二の綴じ片Dとの間を跨るように配設されているものとなっている。
【0124】
このため、ファイルは、折り畳み姿勢(F)から展開姿勢(T)に遷移する際に、表表紙1の基端部と裏表紙2の基端部とが互いに離間しない構成を好適に実現し得るものとなっている。つまり、かかる構成のファイルであれば、第一の折り曲げ部Mが、展開姿勢(T)において外方に突出した形態を好適に採り得るものとなる。
【0125】
被綴じ体であるクリヤーポケットEが、綴じ部材である第一、第二の綴じ足G、Hを介して第一の綴じ片C及び第二の綴じ片Dに支持されたものである。
【0126】
このため、用紙等の紙葉類をクリヤーポケットEに収容して好適に保持し得るものとなっている。
【0127】
なお、本発明は、以上に詳述した実施形態に限られるものではない。
【0128】
ファイルは、少なくとも、表紙体と、この表紙体に固定されたシート体を備えたものであればよい。つまり、ファイルには、被綴じ体が設けられていないものであってもよい。
【0129】
被綴じ体は、表紙体の内面側に設けられるものであればどのようなものであってもよく、上述した実施形態に示されたようなクリヤーポケットに限られるものではない。その他の被綴じ体としては、例えば、用紙を挙げることができる。被綴じ体は、綴じ部材を介して表紙体に支持されたものに限られるものではなく、溶着等により固定されたものであってもよい。
【0130】
被綴じ体は、裏表紙ではなく、表表紙に対して相対移動可能に構成されたものであってもよい。また、表表紙及び裏表紙に対してそれぞれ相対移動可能に構成されたものであっても構わない。
【0131】
シート体は、表紙体に固定されたものであり、展開姿勢をなす場合にのみ第二の折り曲げ部を介して表紙体に対して展開動作可能に構成されたものであればよく、上述した実施形態に示されたホルダーに限られるものではない。
【0132】
シート体は、少なくともシート状をなした部分を有するものであればよく、ホルダーのように用紙等を収容し得る収納空間を形成していないものであってもよい。
【0133】
シート体は、表紙体の綴じ元側に固定されたものに限られるものではなく、反綴じ元側に固定されたものであってもよい。
【0134】
第一の折り曲げ部の形状は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜の形状のものを採り得るものである。すなわち、第一の折り曲げ部は、展開姿勢において外方に突出した形態を採り得るものであればよい。
【0135】
被綴じ体は、裏表紙ではなく、表表紙に対して相対移動可能に構成されたものであってもよい。また、表表紙及び裏表紙に対してそれぞれ相対移動可能に構成されたものであっても構わない。
【0136】
上述した実施形態では、シート体であるホルダーが第一の綴じ片及び第二の綴じ片を介して表表紙及び裏表紙との間を渡るように配設されているものが示されているが、このようなものには限られない。例えば、シート体は、第一、第二の支持片を介することなく、表表紙及び裏表紙に対して直接的に固定されることにより表表紙及び裏表紙との間を渡るように配設されたものであってもよい。
【0137】
シート体は、例えば、次のような構成のものであってもよい。
【0138】
図15に示すものは、ファイルに固定されるカバー体・シート体であるホルダーJにおける他の実施形態の一例を示したものである。
【0139】
図15に示されたホルダーJは、ベースシート本体31における下半部312が、カバーシート4における下半部42の左側端縁に溶着により固定されるとともにカバーシート4における下半部42の下端縁に一体に連設されたものとなっている。
【0140】
ベースシート本体31の右側端縁とカバーシート4の右側端縁とは連設されておらず書類等を出し入れする場合に相互に離間し得るものとなっている。
【0141】
ベースシート本体31の上半部311とカバーシート4の上半部41は、上下方向に相対移動可能に構成されている。
【0142】
より具体的に言えば、ベースシート本体31の上半部311とカバーシート4の上半部41との間には、ガイド機構GYが設けられている。ガイド機構GYは、表紙体Aにおける折り畳み姿勢(F)と展開姿勢(T)との間の開閉動作に連動させて、ベースシート本体31の上半部311とカバーシート4の上半部41を上下方向に相対移動可能にガイドし得るものである。
【0143】
ガイド機構GYは、ベースシート本体31の上半部311及びカバーシート4の上半部41の何れか一方における一側部(
図15の例では、カバーシート4における上半部41の左側部)に設けられた上下方向に延びたレール部gy1と、他方(
図15の例では、ベースシート本体31における上半部311の左側部)に設けられレール部gy1を上下方向に相対移動可能に包持するレール包持部gy2とを備えたものである。このようなものであれば、ホルダーJが二つ折り姿勢をなした際に、カバーシート4の上半部41がベースシート本体31の上半部311に対して相対移動し得るものとなるため、カバーシート4が円滑に折り畳まれるものとなる。
【0144】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0145】
A…表紙体
1…表表紙
2…裏表紙
J…ホルダー(シート体)
M…第一の折り曲げ部
U…第二の折り曲げ部
(T)…展開姿勢
(F)…折り畳み姿勢(閉じ姿勢)