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特開2023-90052運行計画装置、運行計画方法、及び運行計画プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023090052
(43)【公開日】2023-06-29
(54)【発明の名称】運行計画装置、運行計画方法、及び運行計画プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/30 20120101AFI20230622BHJP
【FI】
G06Q50/30
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021204789
(22)【出願日】2021-12-17
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-05-20
(71)【出願人】
【識別番号】398009568
【氏名又は名称】株式会社イイガ
(74)【代理人】
【識別番号】110002491
【氏名又は名称】弁理士法人クロスボーダー特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安部 則孝
(72)【発明者】
【氏名】三宅 孝志
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC41
(57)【要約】      (修正有)
【課題】シェア型交通システムにおいて、乗客の出発地と、出発地を出発する時刻と、乗客の目的地とに対する制約を緩和する運行計画装置、運行計画方法及び運行計画プログラムを提供する。
【解決手段】シェア型交通システムにおける運行計画装置100は、計画生成部120を備える。計画生成部120は、乗客の出発地と、出発地に対応する出発時間帯と、乗客の目的地との各々を示す情報を受け付け、車両に設定された運行計画に基づいて、受け付けた情報が示す出発地を出発地に対応する出発時間帯内に経由し、かつ、受け付けた情報が示す目的地を経由する修正運行計画を生成し、当該運行計画が示す経路に対する修正運行計画が示す経路の迂回率が基準迂回率以下である場合に修正運行計画を車両に設定する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1台の車両から成る運行車両群を有するシェア型交通システムにおいて前記運行車両群を構成する各車両の運行計画を生成する運行計画装置であって、
前記運行車両群を構成するいずれかの車両であって、少なくとも1人の乗客を輸送する車両である対象車両に設定されている運行計画が、前記少なくとも1人の乗客それぞれの出発地から成る少なくとも1つの出発地それぞれを前記少なくとも1人の乗客それぞれが前記少なくとも1つの出発地それぞれを出発することを希望する時間帯である出発時間帯内に経由し、かつ、前記少なくとも1人の乗客それぞれの目的地から成る少なくとも1つの目的地の各目的地を経由する運行計画である現在運行計画であるとき、
前記少なくとも1人の乗客に含まれない乗客である対象乗客の出発地である対象出発地と、前記対象出発地に対応する出発時間帯と、前記対象乗客の目的地である対象目的地との各々を示す情報を受け付け、前記現在運行計画に含まれる出発地のうち前記対象車両がまだ経由していない出発地から成る未経由出発地群を構成する各出発地を前記未経由出発地群を構成する各出発地に対応する出発時間帯内に経由し、前記現在運行計画に含まれる目的地のうち前記対象車両がまだ経由していない各目的地を経由し、前記対象出発地を前記対象出発地に対応する出発時間帯内に経由し、かつ、前記対象目的地を経由する修正運行計画を生成し、前記現在運行計画が示す経路のうち前記対象車両がまだ運行していない経路を残経路とし、前記修正運行計画が示す経路の前記残経路に対する迂回の度合いを示す迂回率が基準迂回率以下である場合に前記対象車両に設定されている運行計画を前記現在運行計画から前記修正運行計画に変更する計画生成部
を備える運行計画装置。
【請求項2】
前記運行計画装置は、さらに、
前記対象車両として、前記運行車両群を構成する車両の中から、前記対象出発地を前記対象出発地に対応する出発時間帯内に経由することができる車両を抽出する車両抽出部
を備える請求項1に記載の運行計画装置。
【請求項3】
前記車両抽出部は、前記対象出発地又は前記対象出発地の付近を通過する予定である少なくとも1台の車両から成る通過予定車両群を前記運行車両群の中から抽出し、
前記計画生成部は、前記通過予定車両群を構成する各車両が前記対象出発地を経由するものとしたときに前記通過予定車両群を構成する各車両が前記対象出発地を経由する時刻を算出し、
前記運行計画装置は、さらに、
算出された時刻と、前記通過予定車両群を構成する各車両の行先とに基づいて、前記通過予定車両群を構成する各車両が前記対象出発地を経由する時刻を示す時刻表を生成する時刻表生成部
を備える請求項2に記載の運行計画装置。
【請求項4】
前記運行計画装置は、さらに、
前記未経由出発地群を構成する各出発地に対応する乗客に、前記修正運行計画における前記未経由出発地群を構成する各出発地を経由する時間帯を通知する通知部
を備える請求項1から3のいずれか1項に記載の運行計画装置。
【請求項5】
前記計画生成部は、前記残経路との類似度、又は総走行距離の短さに基づいて、前記修正運行計画の経路を算出する請求項1から4のいずれか1項に記載の運行計画装置。
【請求項6】
前記計画生成部は、締切時刻よりも後に運行を開始することを予定している少なくとも1台の車両であって、前記運行車両群に含まれている少なくとも1台の車両から成る運行予定車両群に対する少なくとも1つの乗車予約を示す情報を前記締切時刻まで受け付け、前記現在運行計画として、前記締切時刻までに受け付けた情報に対応する少なくとも1つの乗車予約に基づいて前記運行予定車両群を構成する各車両の運行計画を生成し、
前記少なくとも1つの乗車予約の各乗車予約は出発地と目的地との各々を示す請求項1から5のいずれか1項に記載の運行計画装置。
【請求項7】
前記計画生成部は、領域出発時間帯内に出発領域を出発することと、到着領域に到着することとの少なくともいずれかを予定している少なくとも1台の車両であって、前記運行車両群に含まれている少なくとも1台の車両から成る運行予定車両群に対する少なくとも1つの乗車予約を示す情報を、前記運行予定車両群を構成する車両が運行を開始する前の時刻である締切時刻まで受け付け、前記現在運行計画として、前記締切時刻までに受け付けた情報に対応する少なくとも1つの乗車予約に基づいて前記運行予定車両群を構成する各車両の運行計画を生成し、
前記少なくとも1つの乗車予約の各乗車予約は出発地と目的地との各々を示す請求項1から5のいずれか1項に記載の運行計画装置。
【請求項8】
前記計画生成部は、前記領域出発時間帯内に前記出発領域を出発し、前記到着領域に到着する運行計画である予定運行計画において要求される最大座席数を、過去の乗車実績に基づいて対象時間帯内に前記出発領域を出発し、前記到着領域に到着する運行計画における乗車予約を推測する推論モデルを用いて推測し、推測した最大座席数と、前記予定運行計画が示す日における前記予定運行計画以外の前記運行車両群を構成する各車両の運行計画とに基づいて前記運行予定車両群を構成する車両を決定する請求項7に記載の運行計画装置。
【請求項9】
前記計画生成部は、前記基準迂回率を緩和することにより前記運行予定車両群を構成する車両の数を減らすことができるか否かを確認する請求項6から8のいずれか1項に記載の運行計画装置。
【請求項10】
前記計画生成部は、前記運行車両群を構成する各車両を確認対象車両とし、前記確認対象車両が運行計画に従った運行を開始する前に前記確認対象車両の運行計画を生成したとき、生成した前記確認対象車両の運行計画が示す最大乗車人数が前記確認対象車両の乗車定員を超える場合に、前記確認対象車両を前記最大乗車人数に応じて変更する請求項1から9のいずれか1項に記載の運行計画装置。
【請求項11】
前記計画生成部は、前記現在運行計画から、前記現在運行計画に対応する車両に対する相乗りが成立し得る出発地及び目的地が含まれている領域を求める請求項1から10のいずれか1項に記載の運行計画装置。
【請求項12】
前記運行計画装置は、さらに、
前記運行車両群を構成する車両である乗車予定車両に乗車することを予定している乗客である算出対象乗客の乗車料金を、前記算出対象乗客が希望する出発時間帯と、前記算出対象乗客が前記乗車予定車両に乗車する時間帯における前記乗車予定車両の利用状況と、前記算出対象乗客が前記乗車予定車両に乗車する時間帯における前記運行車両群の稼働予定との少なくともいずれかに基づいて算出する乗車料金算出部
を備える請求項1から11のいずれか1項に記載の運行計画装置。
【請求項13】
前記乗車料金算出部は、前記算出対象乗客が実行した乗車予約により前記算出対象乗客が前記乗車予定車両の1人目の乗客となったとき、前記乗車予定車両に対する他の乗車予約があった場合において、前記他の乗車予約に応じて前記算出対象乗客に与える利得を算出する請求項12に記載の運行計画装置。
【請求項14】
少なくとも1台の車両から成る運行車両群を有するシェア型交通システムにおいて前記運行車両群を構成する各車両の運行計画を生成する運行計画方法であって、
前記運行車両群を構成するいずれかの車両であって、少なくとも1人の乗客を輸送する車両である対象車両に設定されている運行計画が、前記少なくとも1人の乗客それぞれの出発地から成る少なくとも1つの出発地それぞれを前記少なくとも1人の乗客それぞれが前記少なくとも1つの出発地それぞれを出発することを希望する時間帯である出発時間帯内に経由し、かつ、前記少なくとも1人の乗客それぞれの目的地から成る少なくとも1つの目的地の各目的地を経由する運行計画である現在運行計画であるとき、
コンピュータが、前記少なくとも1人の乗客に含まれない乗客である対象乗客の出発地である対象出発地と、前記対象出発地に対応する出発時間帯と、前記対象乗客の目的地である対象目的地との各々を示す情報を受け付け、前記現在運行計画に含まれる出発地のうち前記対象車両がまだ経由していない出発地から成る未経由出発地群を構成する各出発地を前記未経由出発地群を構成する各出発地に対応する出発時間帯内に経由し、前記現在運行計画に含まれる目的地のうち前記対象車両がまだ経由していない各目的地を経由し、前記対象出発地を前記対象出発地に対応する出発時間帯内に経由し、かつ、前記対象目的地を経由する修正運行計画を生成し、前記現在運行計画が示す経路のうち前記対象車両がまだ運行していない経路を残経路とし、前記修正運行計画が示す経路の前記残経路に対する迂回の度合いを示す迂回率が基準迂回率以下である場合に前記対象車両に設定されている運行計画を前記現在運行計画から前記修正運行計画に変更する運行計画方法。
【請求項15】
少なくとも1台の車両から成る運行車両群を有するシェア型交通システムにおいて前記運行車両群を構成する各車両の運行計画を生成する運行計画装置であって、
前記運行車両群を構成するいずれかの車両であって、少なくとも1人の乗客を輸送する車両である対象車両に設定されている運行計画が、前記少なくとも1人の乗客それぞれの出発地から成る少なくとも1つの出発地それぞれを前記少なくとも1人の乗客それぞれが前記少なくとも1つの出発地それぞれを出発することを希望する時間帯である出発時間帯内に経由し、かつ、前記少なくとも1人の乗客それぞれの目的地から成る少なくとも1つの目的地の各目的地を経由する運行計画である現在運行計画であるとき、
前記少なくとも1人の乗客に含まれない乗客である対象乗客の出発地である対象出発地と、前記対象出発地に対応する出発時間帯と、前記対象乗客の目的地である対象目的地との各々を示す情報を受け付け、前記現在運行計画に含まれる出発地のうち前記対象車両がまだ経由していない出発地から成る未経由出発地群を構成する各出発地を前記未経由出発地群を構成する各出発地に対応する出発時間帯内に経由し、前記現在運行計画に含まれる目的地のうち前記対象車両がまだ経由していない各目的地を経由し、前記対象出発地を前記対象出発地に対応する出発時間帯内に経由し、かつ、前記対象目的地を経由する修正運行計画を生成し、前記現在運行計画が示す経路のうち前記対象車両がまだ運行していない経路を残経路とし、前記修正運行計画が示す経路の前記残経路に対する迂回の度合いを示す迂回率が基準迂回率以下である場合に前記対象車両に設定されている運行計画を前記現在運行計画から前記修正運行計画に変更する計画生成処理
をコンピュータである運行計画装置に実行させる運行計画プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、運行計画装置、運行計画方法、及び運行計画プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
乗客の要望に応じて相乗りを伴い得る運行計画を生成するシェア型交通システムの導入が進んでいる。特許文献1は、シェア型交通システムの一態様として、予め設定された基準運行ダイヤが示す許容範囲を満たすようデマンド車両の運行計画を生成するデマンド型運行管理システムを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-182137号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1が開示しているデマンド型運行管理システムによれば、基準運行ダイヤが示す許容範囲を満たす運行計画のみを生成することができる。そのため、デマンド車両の乗客の出発地と、出発地を出発する時刻と、乗客の目的地とに対して多大な制約があるという課題がある。
本開示は、シェア型交通システムにおいて、乗客の出発地と、出発地を出発する時刻と、乗客の目的地とに対する制約を緩和することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示に係る運行計画装置は、
少なくとも1台の車両から成る運行車両群を有するシェア型交通システムにおいて前記運行車両群を構成する各車両の運行計画を生成する運行計画装置であって、
前記運行車両群を構成するいずれかの車両であって、少なくとも1人の乗客を輸送する車両である対象車両に設定されている運行計画が、前記少なくとも1人の乗客それぞれの出発地から成る少なくとも1つの出発地それぞれを前記少なくとも1人の乗客それぞれが前記少なくとも1つの出発地それぞれを出発することを希望する時間帯である出発時間帯内に経由し、かつ、前記少なくとも1人の乗客それぞれの目的地から成る少なくとも1つの目的地の各目的地を経由する運行計画である現在運行計画であるとき、
前記少なくとも1人の乗客に含まれない乗客である対象乗客の出発地である対象出発地と、前記対象出発地に対応する出発時間帯と、前記対象乗客の目的地である対象目的地との各々を示す情報を受け付け、前記現在運行計画に含まれる出発地のうち前記対象車両がまだ経由していない出発地から成る未経由出発地群を構成する各出発地を前記未経由出発地群を構成する各出発地に対応する出発時間帯内に経由し、前記現在運行計画に含まれる目的地のうち前記対象車両がまだ経由していない各目的地を経由し、前記対象出発地を前記対象出発地に対応する出発時間帯内に経由し、かつ、前記対象目的地を経由する修正運行計画を生成し、前記現在運行計画が示す経路のうち前記対象車両がまだ運行していない経路を残経路とし、前記修正運行計画が示す経路の前記残経路に対する迂回の度合いを示す迂回率が基準迂回率以下である場合に前記対象車両に設定されている運行計画を前記現在運行計画から前記修正運行計画に変更する計画生成部
を備える。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、シェア型交通システムにおいて、基準運行ダイヤが設定されておらず、計画生成部が、乗車予約に応じて修正運行計画を生成し、修正運行計画が示す経路の迂回率に応じて修正運行計画を採用するか否かを決定する。そのため、本開示によれば、シェア型交通システムにおいて、乗客の出発地と、出発地を出発する時刻と、乗客の目的地とに対する制約を緩和することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施の形態1に係るシェア型交通システム90の構成例を示す図。
図2】実施の形態1に係る運行計画装置100が利用するデータベースを説明する図。
図3】実施の形態1に係る運行計画装置100の構成例を示す図。
図4】実施の形態1に係る運行計画装置100のハードウェア構成例を示す図。
図5】実施の形態1に係るシェア型交通システム90において実行される処理の概要を説明する図。
図6】実施の形態1に係るシェア型交通システム90において実行される処理を説明する図。
図7】実施の形態1に係るシェア型交通システム90において実行される処理を説明する図。
図8】実施の形態1の変形例に係る運行計画装置100のハードウェア構成例を示す図。
図9】実施の形態2に係る運行計画装置100の構成例を示す図。
図10】実施の形態2に係る運行計画装置100の動作を示すフローチャート。
図11】実施の形態2に係る時刻表151の具体例を示す図。
図12】実施の形態3に係るシェア型交通システム90において実行される処理を説明する図。
図13】実施の形態3に係るシェア型交通システム90において実行される処理を示すフローチャート。
図14】実施の形態3に係る計画生成部120の処理を説明する図であり、(a)は乗車予測を示す図、(b)は運行計画を示す図。
図15】実施の形態3に係る乗車料金算出部130の処理を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
実施の形態の説明及び図面において、同じ要素及び対応する要素には同じ符号を付している。同じ符号が付された要素の説明は、適宜に省略又は簡略化する。図中の矢印はデータの流れ又は処理の流れを主に示している。また、「部」を、「回路」、「工程」、「手順」、「処理」又は「サーキットリー」に適宜読み替えてもよい。
【0009】
実施の形態1.
以下、本実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0010】
***構成の説明***
図1は、シェア型交通システム90の構成例を示している。シェア型交通システム90は、運行計画装置100と、予約システム200と、運行車両群300と、決済センター400とから成る。運行計画装置100と、予約システム200と、各車両310と、決済センター400とは、適宜通信可能に接続している。
【0011】
運行計画装置100は、運行車両群300を構成する各車両310の運行計画を生成する。運行計画装置100は、設定されている運行計画と新たな乗車予約に係る運行計画との間における時間的な重なりと経路の類似度とを考慮して、相乗りが成立するか否かを判定する。
【0012】
予約システム200は、運行計画装置100に乗車予約を登録する装置から成り、具体例として、携帯端末210と、KIOSK端末220と、電話端末230とから成る。
携帯端末210は、運行計画装置100と通信することができ、また、アプリケーション211がインストールされている。携帯端末210は、具体例としてスマートフォン又はPC(Personal Computer)である。アプリケーションはアプリケーションプログラムのことである。乗客が携帯端末210を用いて乗車予約を実行した場合において、乗客の乗車時に携帯端末210を用いた本人確認等が行われてもよい。
アプリケーション211は、乗客が乗車予約を実行する際に用いられる。また、アプリケーション211は、乗客が実行した乗車予約に対する応答を示す情報を受信し、受信した情報を表示する機能を有する。
KIOSK端末220は、駅、スーパーマーケット、病院、又は公共施設等の人が集まる場所に設置されている通信端末であり、アプリケーション212がインストールされている。乗客は、KIOSK端末220を操作することにより乗車予約を実行することができる。乗客がKIOSK端末220を用いて乗車予約を実行すると、実行した乗車予約に対応する予約票が発行される。予約票は、乗車予約に対応する乗車券又はレシート等である。乗車券にはQRコード(登録商標)等の識別情報が表示されていてもよい。KIOSK端末220を利用して乗車予約を実行した乗客は、乗車時に予約票を用いる。このとき、具体例として、乗車予約を実行した乗客は携帯電話番号により認証される。また、乗客が乗車予約を実行した後、当該乗客が乗車する前に他者の相乗りが成立したことにより当該乗客が乗車する車両310の運行計画が変更された場合、具体例として、通知部140は、変更された運行計画を当該乗客に対して、アプリケーション211を通じて通知する、又はSMS(Short Message Service)により通知する。
アプリケーション212は、アプリケーション211の機能と同様の機能を有する。
電話端末230は、乗客がオペレータに電話する際に用いられる。オペレータは、乗客の乗車予約を認識し、認識した乗車予約を運行計画装置100に登録する人である。オペレータは、乗客から乗車予約を聞き取り、聞き取った乗車予約を、アプリケーション213がインストールされているPC等を用いて運行計画装置100に登録する。また、オペレータは乗客に予約番号等を伝える。電話端末230を利用して乗車予約を実行した乗客乗客は、乗車時に予約番号等を用いる。
アプリケーション213は、オペレータが乗車予約を実行する際に用いられる。
【0013】
運行車両群300は、少なくとも1台の車両310から成る。運行車両群300を構成する車両310は適宜変更されてもよい。
車両310は、運行計画装置100が計画した運行計画に従って運行され、具体例として、バス車両、タクシー車両、又は自家用車である。複数の乗客が1台の車両310を相乗り利用することもあり、1台の車両310が1人の乗客に占有されることもある。車両310は、人によって運転されてもよく、自動運転されてもよい。車両310が複数台存在する場合において、各車両310の乗車定員は統一されていなくてもよい。
【0014】
決済センター400は、乗車料金を決済する機能を有する装置、又は当該装置を保有している企業等である。決済センター400は、乗車料金の支払い、又は乗車に関するサブスクリプションサービスの料金の支払いにおいて乗客がクレジットカードを利用した場合等において決済する。なお、乗客は乗車料金を乗車時に現金決済してもよい。
【0015】
図2は、運行計画装置100が利用するデータベースを説明する図である。運行計画装置100は、具体例として、オンメモリのオブジェクトデータベースを利用する。MVO(Multi Versioning Object)は、オブジェクトデータベースが管理する全てのオブジェクトのバージョンを管理している。また、オブジェクトの属性情報が反映される時刻を定義しているレイヤであるTEF(Time Engineering Framework)により、オブジェクトデータベースが管理する全てのオブジェクトは2次元の時間軸を持つ。2次元の時間軸は、バージョンを変更した時刻と、変更したバージョンが適用される時刻とに対応する。さらに、経路計算及び時刻マッチングを行うレイヤであるTSEF(Transit Service Engineering Framework)により計算が行われる。TSEFには道路の構成をグラフにより表現した道路グラフが入力される。
また、運行計画装置100は、ORS(Openrouteservice)、OTP(Open Trip Planner)、及びOSM(OpenStreetMap)等の地図情報を利用する。運行計画装置100は他の地図情報を用いてもよい。運行計画装置100は、API(Application Programming Interface) Gateway等を介してアプリケーション211等との間でデータ通信を実行する。
【0016】
図3は、運行計画装置100の構成例を示している。運行計画装置100は、図3に示すように、車両抽出部110と、計画生成部120と、乗車料金算出部130と、通知部140とを備える。
【0017】
車両抽出部110は、乗車予約情報を受け付け、受け付けた乗車予約情報が示す出発時間帯内に、受け付けた乗車予約情報が示す出発地を経由することができる車両310を、運行車両群300を構成する車両310の中から抽出する。この際、車両抽出部110は、当該乗車予約情報が示す出発時間帯内に運行が予定されている車両310を抽出してもよく、当該乗車予約情報を受け付けた時刻における各車両310の位置に基づいて、当該乗車予約情報が示す出発時間帯内に当該乗車予約情報が示す出発地に回送することができる車両310を抽出してもよい。車両抽出部110は、車両310に対する1人目の乗車予約の成立に当たり、当該乗車予約よりも前に予定されている運行計画、又は各車両310から取得したGNSS(Global Navigation Satellite System)による位置情報に基づいて各車両310について回送可能であるか否かを判定し、回送可能と判定した車両310を抽出する。乗車予約情報は、乗車予約を示す情報であり、出発時間帯と、出発地と、目的地との各々を示す情報から成る情報である。乗車する人数を示す情報が乗車予約情報に含まれてもよい。乗車予約は、乗客が車両310への乗車を予約することである。出発時間帯は、乗客が出発地を出発することを希望する時間帯である。出発時間帯は連続しない複数の時間帯から成ってもよい。乗客は、車両310への乗車を検討している人、車両310に乗車することを予定している人、車両310に乗車している人、又は車両310から降車した人等である。乗客又はオペレータは、出発時間帯の開始時刻及び終了時刻等を入力することにより出発時間帯を指定する。出発地は、乗客が有する携帯端末210がGNSSを利用して取得した位置であってもよく、KIOSK端末220が設置されている位置に対応する地点であってもよい。
車両抽出部110は、各乗車予約に対応する実際の経路、又は各乗車予約に対応する実際の経路を集約することにより簡略化したグラフにおける経路に重複があるか否かを考慮して車両310を抽出してもよい。ここで、乗車予約情報に対応する乗車予約である第1乗車予約における最短経路と、第1乗車予約が示す目的方面と同じ目的方面を示す乗車予約であって、車両310の運行計画を生成する際に用いられた乗車予約である第2乗車予約における最短経路との間に重複がない場合を考える。この場合において、車両抽出部110は、経路を簡略化したグラフを利用することにより、第1乗車予約に対応する経路と第2乗車予約に対応する経路とに重複があるものと判断することができる。その結果、車両抽出部110は、第1乗車予約を示す情報を受け付けた場合において、第2乗車予約を実現する車両310を抽出することができる。また、車両抽出部110は、分水嶺により定量化された地域に基づいて複数の乗車予約が示す目的方面が同一であるか否かを判定してもよい。ここで、有効な相乗りは、目的方面が同じである複数の乗車予約を集約したものである。しかしながら、「方面」又は「地域」と呼ばれる概念を計算時に表現する方法は自明ではない。道路グラフの辺を切って生成したスパニングツリーにおいて、ある地域から他のある地域への移動が集約された経路の1通りに定まる。当該スパニングツリーは分水嶺により分かれる水系と同等とみなせる。そのため、各水系に相当するノードから成る集合は、人間が「方面」又は「地域」として認識する概念と同等の概念を表現しているものと考えられる。従って、車両抽出部110はスパニングツリーにより「方面」又は「地域」を表現してもよい。
【0018】
計画生成部120は、乗車予約情報を受け付け、受け付けた乗車予約情報が示す出発時間帯内に受け付けた乗車予約情報が示す出発地を経由し、かつ、受け付けた乗車予約情報が示す目的地を経由する経路を算出する。
ここで、対象車両が乗車予約情報に対応する乗客を輸送し、また、対象車両に設定されている運行計画が現在運行計画である場合における計画生成部120の処理を説明する。対象車両は運行車両群300を構成するいずれかの車両310である。また、現在運行計画において対象車両は少なくとも1人の乗客を輸送する。現在運行計画は、少なくとも1つの出発地それぞれを少なくとも1人の乗客それぞれが少なくとも1つの出発地それぞれを出発することを希望する時間帯である出発時間帯内に経由し、かつ、少なくとも1つの目的地の各目的地を経由する運行計画である。少なくとも1つの出発地は、少なくとも1人の乗客それぞれの出発地から成る。少なくとも1つの目的地は、少なくとも1人の乗客それぞれの目的地から成る。また、現在運行計画は、計画生成部120が乗車予約情報を受け付けた時点において対象車両が従うべき運行計画である。現在運行計画は乗車予約に応じて変更され得る。計画生成部120は、現在運行計画から、現在運行計画に対応する車両310に対する相乗りが成立し得る出発地及び目的地が含まれている領域を求めてもよい。当該領域内の出発地及び目的地を選択して乗車予約を実行すると、乗車時間帯に応じて当該車両310に対する相乗りが成立する。
まず、計画生成部120は、少なくとも1人の乗客に含まれない乗客である対象乗客の出発地である対象出発地と、対象出発地に対応する出発時間帯と、対象乗客の目的地である対象目的地との各々を示す情報を受け付け、未経由出発地群を構成する各出発地を未経由出発地群を構成する各出発地に対応する出発時間帯内に経由し、現在運行計画に含まれる目的地のうち対象車両がまだ経由していない各目的地を経由し、対象出発地を対象出発地に対応する出発時間帯内に経由し、かつ、対象目的地を経由する修正運行計画を生成する。未経由出発地群は、現在運行計画に含まれる出発地のうち対象車両がまだ経由していない出発地から成る。この際、計画生成部120は、具体例として、残経路との類似度、又は総走行距離の短さに基づいて修正運行計画の経路を算出する。計画生成部120は、類似度又は総走行距離に関する最適化問題を解くことにより当該経路を算出してもよい。残経路は、現在運行計画が示す経路のうち対象車両がまだ運行していない経路である。対象車両が現在運行計画に従った運行をまだ開始していない場合において、残経路は現在運行計画が示す全ての経路である。なお、現在運行計画が示す経路上に乗車予約情報が示す出発地及び目的地がある場合、計画生成部120は修正運行計画の経路を現在運行計画の経路とする。
次に、計画生成部120は、修正運行計画の迂回率が基準迂回率以下である場合に対象車両に設定されている運行計画を現在運行計画から修正運行計画に変更する。運行計画が現在運行計画から修正運行計画に変更された場合、修正運行計画は現在運行計画とも呼ばれることになる。迂回率は、修正運行計画が示す経路の残経路に対する迂回の度合いを示す。迂回率は、修正運行計画が示す経路の総距離と残経路の総距離との比率に応じて定まってもよく、修正運行計画が示す経路の走行時間と残経路の走行時間との比率に応じて定まってもよい。基準迂回率は、迂回率に対する閾値であり、どのように定められてもよく、適宜変更されてもよい。具体例として、基準迂回率は、修正運行計画が示す経路の総距離が残経路の総距離の2倍以内になるよう定められる。
また、計画生成部120は、修正運行計画が示す経路上の各出発地を経由する時間帯を算出する。
【0019】
乗車料金算出部130は、各乗客の乗車料金を算出する。この際、乗車料金算出部130はダイナミックプライシングを利用してもよい。乗車料金算出部130は、具体例として、運行車両群300を構成する車両310である乗車予定車両に乗車することを予定している乗客である算出対象乗客の乗車料金を、算出対象乗客が希望する出発時間帯と、算出対象乗客が乗車予定車両に乗車する時間帯における乗車予定車両の利用状況と、算出対象乗客が乗車予定車両に乗車する時間帯における運行車両群300の稼働予定との少なくともいずれかに基づいて算出する。乗車料金算出部130は、当該出発時間帯に関して、具体例として、出発時間帯の幅が長いほど乗車料金を低くし、出発時間帯の開始時刻が先の時刻であるほど乗車料金を低くする。乗車料金算出部130は、当該利用状況に関して、具体例として、乗車人数が少ないほど乗車料金を低くする。なお、算出対象乗客が乗車予定車両に乗車する時間帯は、算出対象乗客が乗車予定車両に乗車している時間帯の前後の時間帯を含んでもよい。乗車料金算出部130は、当該稼働予定に関して、具体例として、運行予定である車両310の台数が少ないほど乗車料金を低くする。
乗車料金算出部130は、算出対象乗客が実行した乗車予約により算出対象乗客が乗車予定車両における1人目の乗客となった後に乗車予定車両に対する他の乗車予約があった場合において、他の乗車予約に応じて算出対象乗客に与える利得を算出してもよい。利得は、金銭的な利益であり、具体例として、割引券又は現金と同様に利用することができるポイントである。ここで、車両310を利用してもらうために車両310の利用料金を通常のタクシーの利用料金よりも低く抑える必要がある。ただし、車両310が相乗り利用されないリスクを考慮する必要がある。そのため、相乗りを見越して車両310の利用料金を大幅に割り引きたいものの、車両310に対する1人目の乗客の利用料金の割引率をあまり高くすることができない。そこで、実際に車両310に対する2人目以降の乗車が決定した場合に、1人目の乗客に対して利得を付与する。これにより、リスクを回避しつつ、実際に相乗りが成立した場合に1人目の乗客の利用料金を実質的に大幅に割引くことができる。
【0020】
通知部140は、乗車予約情報に対する応答を示す情報を生成し、生成した情報を、乗車予約情報を送信した端末に送信する。また、通知部140は、車両310の運行計画が修正運行計画に変更された場合において、未経由出発地群を構成する各出発地に対応する乗客に、修正運行計画における未経由出発地群を構成する各出発地を経由する時間帯を通知する。通知部140は、各乗客の乗車料金を示す情報と、各乗客に対して付与する利得を示す情報との少なくともいずれかを各乗客に通知してもよい。
また、通知部140は、運行計画に従って運行される車両310、又は当該車両310の運転手に運行計画を通知する。通知された運行計画は、当該車両310が備える表示装置又は当該運転手が保有している携帯端末210に表示されてもよい。
【0021】
図4は、本実施の形態に係る運行計画装置100のハードウェア構成例を示している。運行計画装置100は、コンピュータから成る。運行計画装置100は、複数のコンピュータから成ってもよい。
【0022】
運行計画装置100は、本図に示すように、プロセッサ11と、メモリ12と、補助記憶装置13と、入出力IF(Interface)14と、通信装置15等のハードウェアを備えるコンピュータである。これらのハードウェアは、信号線19を介して適宜接続されている。
【0023】
プロセッサ11は、演算処理を行うIC(Integrated Circuit)であり、かつ、コンピュータが備えるハードウェアを制御する。プロセッサ11は、具体例として、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、又はGPU(Graphics Processing Unit)である。
運行計画装置100は、プロセッサ11を代替する複数のプロセッサを備えてもよい。複数のプロセッサは、プロセッサ11の役割を分担する。
【0024】
メモリ12は、典型的には、揮発性の記憶装置である。メモリ12は、主記憶装置又はメインメモリとも呼ばれる。メモリ12は、具体例として、RAM(Random Access Memory)である。メモリ12に記憶されたデータは、必要に応じて補助記憶装置13に保存される。
【0025】
補助記憶装置13は、典型的には、不揮発性の記憶装置である。補助記憶装置13は、具体例として、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、又はフラッシュメモリである。補助記憶装置13に記憶されたデータは、必要に応じてメモリ12にロードされる。
メモリ12及び補助記憶装置13は一体的に構成されていてもよい。
【0026】
入出力IF14は、入力装置及び出力装置が接続されるポートである。入出力IF14は、具体例として、USB(Universal Serial Bus)端子である。入力装置は、具体例として、キーボード及びマウスである。出力装置は、具体例として、ディスプレイである。
【0027】
通信装置15は、レシーバ及びトランスミッタである。通信装置15は、具体例として、通信チップ又はNIC(Network Interface Card)である。
【0028】
運行計画装置100の各部は、他の装置等と通信する際に、入出力IF14及び通信装置15を適宜用いてもよい。
【0029】
補助記憶装置13は、運行計画プログラムを記憶している。運行計画プログラムは、運行計画装置100が備える各部の機能をコンピュータに実現させるプログラムである。運行計画プログラムは、メモリ12にロードされて、プロセッサ11によって実行される。運行計画装置100が備える各部の機能は、ソフトウェアにより実現される。
【0030】
運行計画プログラムを実行する際に用いられるデータと、運行計画プログラムを実行することによって得られるデータ等は、記憶装置に適宜記憶される。運行計画装置100の各部は、適宜記憶装置を利用する。記憶装置は、具体例として、メモリ12と、補助記憶装置13と、プロセッサ11内のレジスタと、プロセッサ11内のキャッシュメモリとの少なくとも1つから成る。なお、データと情報とは、同等の意味を有することもある。記憶装置は、コンピュータと独立したものであってもよい。
メモリ12及び補助記憶装置13の機能は、他の記憶装置によって実現されてもよい。
【0031】
運行計画プログラムは、コンピュータが読み取り可能な不揮発性の記録媒体に記録されていてもよい。不揮発性の記録媒体は、具体例として、光ディスク又はフラッシュメモリである。運行計画プログラムは、プログラムプロダクトとして提供されてもよい。
【0032】
***動作の説明***
運行計画装置100の動作手順は運行計画方法に相当する。また、運行計画装置100の動作を実現するプログラムは運行計画プログラムに相当する。
【0033】
図5を参照してシェア型交通システム90において実行される処理の概要を説明する。ここで、乗客である第1乗客が実行した乗車予約である第1乗車予約に従って車両310が運行を開始した後に、乗客である第2乗客が乗車予約である第2乗車予約を実行するものとする。車両310が運行を開始することには車両310の回送を開始することが含まれる。なお、予約乗車は、乗車予約を実行した乗客が当該乗車予約が示す出発地で車両310に乗車することである。予約降車は、乗車予約を実行した乗客が当該乗車予約が示す目的地で車両310から降車することである。
まず、第1乗客は第1乗車予約を実行する。その後、運行計画装置100は、第1乗車予約に対応する乗車予約情報を受信し、受信した乗車予約情報に基づいて車両310の運行計画として現在運行計画を生成し、生成した現在運行計画を車両310に通知する。
次に、車両310は、運行計画装置100から現在運行計画を通知され、通知された情報が示す現在運行計画に従って運行を開始する。
次に、第2乗客は第2乗車予約を実行する。その後、車両310が図5に示す地点を走行しているときに運行計画装置100は第2乗車予約に対応する乗車予約情報を受信し、受信した乗車予約情報と現在運行計画とに基づいて、車両310の新たな運行計画として修正運行計画を生成する。運行計画装置100が当該乗車予約情報を受信した時点において、車両310は第1乗車予約が示す出発地及び目的地をまだ経由していない。よって、未経由出発地群は第1乗車予約が示す出発地及び目的地から成る。そのため、修正運行計画の経路は、第1乗車予約が示す出発時間帯内に第1乗車予約が示す出発地を経由し、第1乗車予約が示す目的地を経由し、第2乗車予約が示す出発時間帯内に第2乗車予約が示す出発地を経由し、かつ、第2乗車予約が示す目的地を経由する経路である。また、運行計画装置100は生成した修正運行計画を車両310に通知する。運行計画装置100は、生成した修正運行計画に基づいて、第1乗車予約が示す出発地に対応する出発時間帯を第1乗客に通知し、第2乗車予約が示す出発地に対応する出発時間帯を第2乗客に通知する。図5において、「当初の経路」は現在運行計画が示す経路を示し、「修正後の経路」は修正運行計画が示す経路を示す。また、修正運行計画が示す経路のうち第1乗車予約が示す出発地よりも車両310が運行を開始した地点側の経路は、現在運行計画が示す経路と同じである。なお、修正運行計画において、第2乗車予約が示す出発地から第1乗車予約が示す目的地までの区間が相乗り区間である。なお、計画生成部120は、現在運行計画から、現在運行計画に対応する車両310に対する相乗りが成立し得る出発地及び目的地が含まれている領域である相乗りが成立し得る領域を求め、第2乗客は求められた領域内の出発地及び目的地を選択して乗車予約を実行してもよい。当該領域は、具体例として、図5に示されているように地図上に表示される。
次に、車両310は、運行計画装置100から修正運行計画を通知され、運行中に従う運行計画を現在運行計画から修正運行計画に変更する。
【0034】
図6を参照してシェア型交通システム90において実行される処理の具体例を説明する。図6において、車両310の運行計画が示す経路上にはポイントが適宜設定されている。ポイントは、どのように設定されていてもよく、車両310の運行途中に再設定されてもよい。計画生成部120は、運行中の車両310があるポイントを通過する前に当該あるポイントよりも車両310の経路において先の地点又は先に相当する地点を出発地とすることを示す乗車予約情報を受信した場合、受信した乗車予約情報に応じて車両310に対する修正運行計画を生成する。
具体例として、ポイントP1において第1乗客を乗せた車両310がポイントP2を通過する前に第2乗客が図6に示す地点についての乗車予約を実行した場合、計画生成部120は、当該乗車予約に応じて修正運行計画を生成する。ここで、車両310は第2乗客の乗車予約に対応することができるものとする。また、車両310は第1乗客の乗車予約が示す出発地を既に通過している。よって、未経由出発地群は第1乗客の乗車予約が示す目的地から成る。そのため、計画生成部120は、第1乗客の乗車予約が示す目的地を経由し、第2乗客の乗車予約が示す乗車時間帯に第2乗客の乗車予約が示す出発地を経由し、かつ、第2乗客の乗車予約が示す目的地を経由する修正運行計画を生成する。
【0035】
図7を参照してシェア型交通システム90において実行される処理の具体例を説明する。図7においても図6と同様にポイントが適宜設定されている。シェア型交通システム90において、乗客を輸送している車両310の運行時に、出発地が次以降のポイントよりも先に相当する位置かつ次以降のポイントからの距離が一定値以下である位置であり、かつ、出発時間帯が当該出発地を車両310が経由することができる時間帯と重複する乗車予約が入ると車両310に対する相乗りが成立する。次以降のポイントは、車両310の運行計画が示す経路において車両310の位置よりも先に存在するポイントである。当該出発地を車両310が経由することができる時間帯は、車両310が当該出発地を経由するよう車両310の運行計画が示す経路を変更した場合において車両310が当該出発地を経由する時間帯である。
図7に示す例において、まず、第1乗客が実行した乗車予約に応答して車両310-1が11:32に運行を開始する。また、第3乗客が実行した乗車予約に応答して車両310-2が11:31に運行を開始する。このとき、車両310を1台のみ用いることによっては、第1乗客が実行した乗車予約と第3乗客が実行した乗車予約との双方に対応することができないものとする。
次に、車両310-1がポイントP1に到達した時点において、第2乗客が図7に示す地点についての乗車予約を実行する。ここで、車両310-1及び車両310-2は、当該乗車予約が示す出発時間帯内に当該乗車予約が示す出発地を経由するよう経路を変更することができるものとする。そのため、車両抽出部110は当該乗車予約に応じて車両310-1と車両310-2とを抽出する。ここで、当該乗車予約に対応するために車両310-1の経路を修正しても修正後の経路の迂回率が閾値を超えず、当該乗車予約に対応するために車両310-2の経路を修正すると修正後の経路の迂回率が閾値を超えるものとする。そのため、計画生成部120は、第2乗客が実行した乗車予約に対応するために車両310-1の運行計画を修正する。ここで、計画生成部120の処理を概念的に説明する。車両310-2の運行計画が示す経路と第2乗客が実行した乗車予約に対応する経路との間には重複がないものの、車両310-1の運行計画が示す経路と第2乗客が実行した乗車予約に対応する経路との間には重複がある。そのため、車両310-2は第2乗客に配車されず、車両310-1が第2乗客に配車される。なお、車両抽出部110及び計画生成部120は、AI(Artificial Intelligence)技術によるマッチングを活用することにより最適な配車を実現してもよい。
次に、車両310-1は、修正された運行計画に従って運行し、第2乗客が実行した乗車予約が示す出発地に11:43に到着する。
【0036】
ここで、計画生成部120によって出発時間帯が調整される様子の具体例を説明する。本例において、ある日に第1乗客と第2乗客と第3乗客との3者が車両310に乗車するものとする。
まず、第1乗客が、出発地をA1地点とし、出発時間帯を10:00から11:00として乗車予約を実行する。
次に、第2乗客が、出発地をA2地点とし、出発時間帯を10:20から10:50として乗車予約を実行する。その後、第1乗客と第2乗客との相乗りが決定すると、計画生成部120は第1乗客の出発時間帯を10:10から10:50に狭める。
次に、第3乗客が、出発地をA3地点とし、出発時間帯を10:30から10:45として乗車予約を実行する。その後、第1乗客と第2乗客と第3乗客との相乗りが決定すると、計画生成部120は、第1乗客の出発時間帯を10:15から10:45に狭め、第2乗客の出発時間帯を10:25から10:45に狭める。
次に、3者を輸送する車両310が運行を開始する30分前に、計画生成部120は、3者の出発時刻の幅を調整して、第1乗客の出発時間帯を10:15から10:25とし、第2乗客の出発時間帯を10:25から10:35とし、第3乗客の出発時間帯を10:35から10:45とする。その後、通知部140は、計画生成部120が調整した出発時間帯を3者に適宜通知する。
【0037】
***実施の形態1の効果の説明***
本実施の形態によれば、迂回率に応じて相乗りが成立するか否かを決定するため、基準運行ダイヤが設定されている場合と比較して相乗りの成立に関する制約が緩和されている。また、本実施の形態によれば、ダイナミックプライシングを利用して乗車料金を適宜変更することにより、車両310の乗車率を高めることができる。
【0038】
***他の構成***
<変形例1>
図8は、本変形例に係る運行計画装置100のハードウェア構成例を示している。
運行計画装置100は、プロセッサ11、プロセッサ11とメモリ12、プロセッサ11と補助記憶装置13、あるいはプロセッサ11とメモリ12と補助記憶装置13とに代えて、処理回路18を備える。
処理回路18は、運行計画装置100が備える各部の少なくとも一部を実現するハードウェアである。
処理回路18は、専用のハードウェアであってもよく、また、メモリ12に格納されるプログラムを実行するプロセッサであってもよい。
【0039】
処理回路18が専用のハードウェアである場合、処理回路18は、具体例として、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)又はこれらの組み合わせである。
運行計画装置100は、処理回路18を代替する複数の処理回路を備えてもよい。複数の処理回路は、処理回路18の役割を分担する。
【0040】
運行計画装置100において、一部の機能が専用のハードウェアによって実現されて、残りの機能がソフトウェア又はファームウェアによって実現されてもよい。
【0041】
処理回路18は、具体例として、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はこれらの組み合わせにより実現される。
プロセッサ11とメモリ12と補助記憶装置13と処理回路18とを、総称して「プロセッシングサーキットリー」という。つまり、運行計画装置100の各機能構成要素の機能は、プロセッシングサーキットリーにより実現される。
他の実施の形態に係る運行計画装置100についても、本変形例と同様の構成であってもよい。
【0042】
実施の形態2.
以下、主に前述した実施の形態と異なる点について、図面を参照しながら説明する。
【0043】
***構成の説明***
図9は、本実施の形態に係る運行計画装置100の構成例を示している。運行計画装置100は、図9に示すように時刻表生成部150をさらに備える。
【0044】
本実施の形態に係る車両抽出部110は、指定された出発地である指定出発地又は指定出発地の付近を通過する予定である車両310から成る通過予定車両群を運行車両群300の中から抽出する。指定出発地は、具体例として、乗客が指定した位置、GNSSに基づく乗客の現在地、又はKIOSK端末220が設置されている位置に対応する位置(具体例として、KIOSK端末220が設置されている位置の付近に設定されている出発地)である。指定出発地の付近は、具体例として指定出発地からの距離が一定値以下である領域である。
本実施の形態に係る計画生成部120は、通過予定車両群を構成する各車両310が指定出発地を経由するものとしたときに通過予定車両群を構成する各車両310が指定出発地を経由する時刻を算出する。
本実施の形態に係る通知部140は、時刻表生成部150が生成した時刻表151を車両310への乗車を希望する乗客に通知する。
【0045】
時刻表生成部150は、計画生成部120が算出した時刻と、通過予定車両群を構成する各車両310の行先とに基づいて、通過予定車両群を構成する各車両310が指定出発地を経由する時刻を示す時刻表151を生成する。この際、時刻表生成部150は、各車両310の運行計画が示す目的方面に応じて各車両310を適宜グルーピングする。
時刻表151は、通過予定車両群を構成する各車両310が指定出発地を出発する時刻又は時間帯を示し、また、ダイナミックタイムテーブルとも呼ばれる。時刻表151の形式は、具体例として、バス又は電車等の時刻表の形式と同様である。時刻表151は、KIOSK端末220、サイネージ、又はWebページ等に表示される。車両310への乗車を希望する乗客は、時刻表151を利用して乗車予約を実行することができる。時刻表151に表示される時間帯を乗客が指定することができてもよい。また、時刻表151は各車両310において相乗りが成立する予定であるか否かを示してもよい。この際、相乗りが成立する予定である車両310の乗車料金が安いこと示す文言等が表示されてもよい。
【0046】
***動作の説明***
図10は、シェア型交通システム90の動作を示すフローチャートの一例である。図10を参照してシェア型交通システム90の動作を説明する。なお、本例において時刻表生成部150は対象出発地における時刻表151を生成するものとする。
【0047】
(ステップS201)
車両310への乗車を希望する乗客は対象出発地を指定する。なお、乗客が保有している携帯端末210がGNSSを用いて取得した位置、又はKIOSK端末220が設置されている位置に対応する位置が対象出発地として用いられてもよい。
【0048】
(ステップS202)
車両抽出部110は、対象出発地又は対象出発地の付近を通過する予定である少なくとも1台の車両310から成る通過予定車両群を運行車両群300の中から抽出する。
【0049】
(ステップS203)
計画生成部120は、通過予定車両群を構成する各車両310が対象出発地を経由するものとしたときに通過予定車両群を構成する各車両310が対象出発地を経由する時刻を算出する。
【0050】
(ステップS204)
時刻表生成部150は、計画生成部120が算出した各車両310が対象出発地を経由する時刻と、通過予定車両群を構成する各車両310の行先とに基づいて、通過予定車両群を構成する各車両310が対象出発地を経由する時刻を示す時刻表151を生成する。図11は、時刻表151の具体例を示している。
【0051】
(ステップS205)
通知部140は、時刻表生成部150が生成した時刻表151を乗客に通知する。
【0052】
(ステップS206)
乗客が保有する携帯端末等に時刻表151が表示され、乗客は表示されている時刻表151を利用して乗車する車両310、又は出発時刻を選択する。この際、具体例として、乗客は時刻表151に表示されている数字をタッチすることにより乗車する車両310を選択する。なお、乗客が数字をタッチした際に、タッチした数字に対応する車両310の運行計画を示す情報が表示されてもよい。その後、乗客が選択した車両310に対応する乗車予約を示す情報が運行計画装置100に送られ、運行計画装置100は送られた情報に応じて運行計画を生成する。
【0053】
***実施の形態2の効果の説明***
本実施の形態によれば、乗客は乗車予約を実行する際に時刻表151を利用することができる。そのため、本実施の形態によれば、特に、出発地、出発時間帯、及び目的地を入力して予約することに慣れていない乗客にとって、シェア型交通システム90の利便性が高まる。
【0054】
実施の形態3.
以下、主に前述した実施の形態と異なる点について、図面を参照しながら説明する。
【0055】
***構成の説明***
本実施の形態に係る運行計画装置100の構成は、前述の実施の形態に係る運行計画装置100の構成と同じである。
本実施の形態に係る計画生成部120は、運行予定車両群に対する少なくとも1つの乗車予約を示す情報を締切時刻まで受け付け、現在運行計画として、締切時刻までに受け付けた情報に基づいて運行予定車両群を構成する各車両310の運行計画を生成する。ここで、運行予定車両群は、領域出発時間帯内に出発領域を出発することと、到着領域に到着することとを示す運行計画を実現する少なくとも1台の車両であって、運行車両群300に含まれている少なくとも1台の車両310から成る。領域出発時間帯と出発領域と到着領域との少なくともいずれかは、事前に定められていてもよく、受け付けた乗車予約に応じて動的に定められてもよい。領域出発時間帯の開始時刻は締切時刻よりも後である。締切時刻は、運行予定車両群を構成する車両310が運行を開始する前の時刻であり、通常は車両310が出発領域を出発する時刻よりも十分に前の時刻である。締切時刻は受け付けた事前予約に応じて動的に定められてもよい。少なくとも1つの乗車予約の各乗車予約は、出発地と目的地との各々を示す。運行予定車両群による運行は、Advanced Reservation Groupとも呼ばれる。運行予定車両群を構成する各車両310が出発領域を出発する時刻は統一されていなくてもよい。運行予定車両群を構成する各車両310は、出発領域を出発する時刻よりも前の時刻に出発領域外に存在してもよい。出発領域及び到着領域の各々はエリア又はポイントである。エリアは、具体例として、地名により定まる区域、住宅地、商店街、又は団地である。ポイントは、具体例として、スーパーマーケット又は病院である。
また、計画生成部120は、領域出発時間帯内に出発領域を出発し、到着領域に到着する運行計画である予定運行計画において要求される最大座席数を、推論モデルを用いて推測し、推測した最大座席数と、予定運行計画が示す日における他の運行計画とに基づいて運行予定車両群を構成する車両310を決定してもよい。他の運行計画は、予定運行計画以外の運行計画であって、運行車両群300を構成する各車両310の運行計画である。推論モデルは、過去の乗車実績に基づいて、対象時間帯内に出発領域を出発し、到着領域に到着する運行計画における乗車予約を推測するモデルである。推論モデルは、機械学習により生成されたモデルであり、曜日及び領域出発時間帯等を示す情報を入力とし、入力に対応する乗車予約に関する予測を出力するモデルである。推論モデルは、曜日、時間帯、天気予報、及び出発領域から到着領域にかけての領域において開催されるイベント等の情報を考慮するモデルであってもよい。推論モデルは、出発領域から到着領域までの領域を複数の区間に分割し、分割した各区間における乗車人数を確率的に算出するモデルであってもよい。計画生成部120は、推論モデルの出力を用いて最大乗車人数を算出する。最大乗車人数は、車両310の運行中に同時に乗車する人数の最大値である。
また、計画生成部120は、運行車両群300を構成する各車両310を確認対象車両とし、確認対象車両が運行計画に従った運行を開始する前に確認対象車両の運行計画を生成したとき、生成した確認対象車両の運行計画が示す最大乗車人数が確認対象車両の乗車定員を超える場合に、確認対象車両を最大乗車人数に応じて変更する。確認対象車両を変更することには、確認対象車両を他の車両310に変更することと、確認対象車両に加えて他の車両310の運行を決定することが含まれる。
また、計画生成部120は、基準迂回率を緩和することにより運行予定車両群を構成する車両310の数を減らすことができるか否かを確認してもよい。
【0056】
***動作の説明***
図12は、シェア型交通システム90が実施の形態2に係るシェア型交通システム90である場合におけるシェア型交通システム90において実施される処理を説明する図である。
本実施の形態は、必需行動に係る移動需要を活用して各車両310の乗車率及び相乗り率を高めることを目的とする。必需行動は、生活する上で欠かせない行動であり、具体例として、買い物、外食、又は通院である。なお、シェア型交通システム90は拘束行動に係る移動需要を活用して各車両310の乗車率を高めてもよい。拘束行動は、社会的な拘束に伴う行動であり、具体例として、通勤、業務に関する移動、又は通学である。また、自由行動は、必需行動及び拘束行動ではない行動であり、具体例として、レジャーに関する移動、余暇における移動、又は観光に関する移動である。
事前集客は事前予約を受け付けることである。事前予約は、締切時刻までに実行される乗車予約である。事前集客の対象は、典型的には必需行動又は拘束行動に係る乗客である。「お得便」は、事前集客が行われる便であって、運行予定車両群の運行により実現される便に対して便宜的に対して付与した名称である。事後集客は、お得便に対して通常予約を受け付けることである。通常予約は、締切時刻よりも後に実行される乗車予約である。事後集客の対象は、典型的には自由行動に係る乗客である。即時配車は、実施の形態1で説明したように車両310を乗客に配車することである。また、通知部140は、お得便の運行経路沿いに存在する登録ユーザに対して、お得便が通過する予定であること及び通過する時刻を示す情報を通知してもよい。乗車料金算出部130は、ダイナミックプライシングを利用して乗車料金を適宜調整する。
【0057】
図13は、シェア型交通システム90において実行される処理の一例を示すフローチャートである。図13を参照してシェア型交通システム90において実行される処理を説明する。以下の説明において、領域出発時間帯及び出発領域と、到着領域とは事前に定められているものとする。
【0058】
(ステップS301)
計画生成部120は、運行予定車両群を構成する車両310を運行車両群300の中から選択する。
【0059】
(ステップS302)
運行計画装置100は事前予約を受け付ける。現在時刻が締切時刻になったら運行計画装置100は次のステップに進む。計画生成部120は、午前9時から午前12時等、領域出発時間帯が比較的長く設定されている場合等において、受け付けた事前予約に応じて締切時刻を動的に定めてもよい。
【0060】
(ステップS303)
計画生成部120は、受け付けた事前予約に係る乗車予約に基づいて運行予定車両群を構成する各車両310の運行計画を生成する。
なお、以下のステップにおいて、現在時刻が、運行予定車両群を構成する各車両310が運行計画に従った運行を開始する時刻のうち、最も遅い時刻以降である場合、運行計画装置100は本フローチャートの処理を終了する。この際、運行計画装置100は通常予約の受け付けを停止してもよい。また、運行予定車両群を構成する各車両310は、各車両310の運行計画が示す時刻であって、出発領域を出発する時刻になったら運行を開始する。運行計画装置100は、各車両310が運行を開始した後においても各車両310に対する通常予約を受け付けてもよい。
【0061】
(ステップS304)
運行計画が示す最大乗車人数が総乗車定員を超える場合、運行計画装置100はステップS305に進む。総乗車定員は、運行予定車両群を構成する各車両310の乗車定員の合計である。それ以外の場合、運行計画装置100はステップS306に進む。
なお、運行計画装置100はオーバーブックを許容してもよい。このとき、運行計画装置100は、オーバーブック率を定義し、オーバーブック率に達するまではステップS305に進まずに乗車予約を受け付ける。また、ステップS305において、計画生成部120は、車両310の数と迂回率との少なくともいずれかを変更し、オーバーブックの乗客が乗車できるように運行計画を修正する。
【0062】
(ステップS305)
計画生成部120は、総乗車定員が最大乗車人数以上になるよう運行予定車両群を構成する車両310を変更する。運行予定車両群を構成する車両310は人手によって変更されてもよい。この際、計画生成部120は、本ステップにおいて生成する運行計画と同日に実行される他の運行計画を参照し、同日中の車両310の運行全体が効率的に実行されるようにする。その後、計画生成部120は、変更した運行予定車両群と、これまでに受け取った乗車予約とに基づいて各車両310の運行計画を生成する。また、計画生成部120は、本ステップにおいて他の運行計画において用いられる予定の車両310を交換した場合、交換した車両310に基づいて当該他の運行計画を修正する。
なお、計画生成部120は、基準迂回率を緩和すること、又は、基準迂回率を緩和することと運行予定車両群を構成する車両310を変更することの組合せにより総乗車定員が最大乗車人数以上になるような運行計画を生成してもよい。
【0063】
(ステップS306)
運行計画装置100は通常予約を受け付ける。運行計画装置100が通常予約を受け付けた場合、計画生成部120は、受け付けた通常予約に係る乗車予約に基づいて運行計画を修正する。
なお、計画生成部120は、各車両310の乗車率を向上させることを目的として、乗車率が一定値以下である車両310が存在する場合に、基準迂回率を緩和した上で各車両310の運行計画を再生成することにより、運行予定車両群を構成する車両310の数を減らすことができるか否かを確認する処理を実行してもよい。この際、通知部140は運行予定車両群を構成する車両310の数を減らす案を、運行予定車両群を管理するオペレータに提示し、オペレータが提示された案を受け入れた場合に運行予定車両群を構成する車両310が変更されてもよい。また、計画生成部120は、ステップS303において当該処理を実行してもよい。
【0064】
以下、図13に示すフローチャートに従う処理を、具体例を用いて説明する。
まず、計画生成部120は、運行予定車両群を構成する車両310として2台の車両310を選択する。ここで、選択した各車両310の乗車定員は5人とし、当該乗車定員は乗客のみの最大乗車人数とする。
次に、運行計画装置100は、各車両310が出発する日の前日の午前0時を締切時刻とし、締切時刻まで事前予約を受け付ける。計画生成部120は、締切時刻までに実行された乗車予約に基づいて運行予定車両群を構成する各車両310の運行計画を生成する。この際、各車両310の乗車率を高めるために、乗車料金算出部130は事前予約に係る乗車料金の割引率を比較的高く設定する。このとき、生成した運行計画における最大乗車人数が8人であるものとする。運行予定車両群の総乗車定員は10人であるため、計画生成部120は運行予定車両群を構成する車両310を変更しない。
ここで、運行予定車両群には2席の余裕がある。そのため、運行計画装置100は余裕分の2席を対象として通常予約を受け付ける。この際、乗車料金算出部130は、通常予約に係る乗車料金の割引率を事前予約に係る乗車料金の割引率よりも低くする。
計画生成部120は、通常予約に係る乗車予約に応じて適宜運行計画を修正する。その後、修正された運行計画において最大乗車人数が13人となったものとする。このとき、運行予定車両群を構成する少なくともいずれかの車両310において最大乗車人数が乗車定員を超えている。そこで、計画生成部120は、運行予定車両群の総乗車定員が13人以上になるよう運行予定車両群を構成する車両310を変更する。この際、計画生成部120は、運行予定車両群に乗車定員が4人である車両310を追加すること、又は、運行予定車両群を構成する車両310を乗車定員が7人である2台の車両310に変更することにより運行予定車両群の総乗車定員を14人に増やしたものとする。その後、計画生成部120は、変更された運行予定車両群に基づいて運行計画を修正する。
ここで、運行予定車両群には1席の余裕がある。そのため、運行計画装置100は余裕分の1席を対象として通常予約を受け付ける。以下、運行予定車両群を構成する全ての車両310が運行計画に従った運行を開始するまで、運行計画装置100はステップS304からステップS306から成るループ処理を実行する。
【0065】
以下、領域出発時間帯及び出発領域と、到着領域とのいずれかのみが事前に定められている場合、又は、領域出発時間帯及び出発領域と、到着領域とのいずれも事前に定められていない場合における処理を説明する。なお、以下では上述の処理との差分を主に説明する。
【0066】
(ステップS302)
運行計画装置100は、午前9時から午前12時等、領域出発時間帯を比較的長く設定した上で事前予約を受け付けてもよい。
運行計画装置100は、事前予約を1つ受け付けたらステップS303に進む。
【0067】
(ステップS303)
計画生成部120は、生成した運行計画に基づいて、相乗りが成立し得る出発地及び目的地が含まれる領域を求め、求めた領域を示す情報を含む運行計画をAdvanced Reservation Groupとして登録する。運行計画装置100は、登録されたAdvanced Reservation Groupに対する通常予約の受け付けを開始する。
なお、領域出発時間帯及び出発領域と、到着領域とのいずれも事前に定められていない場合において、各車両310に対する2人目以降の乗客に対して事前予約に係る割引を適用しなくてもよい。
【0068】
また、図14を参照して計画生成部120が同日における他の運行計画を参照して運行計画を生成する具体例を説明する。ある日において、14時から15時の間にポイントP1-1からエリアA1に8人移動する移動需要D1-1と、17時から18時の間にエリアA1からポイントP1-2に6人移動する移動需要D1-2と、15時から16時の間にポイントP2からエリアA2に6人移動する移動需要D2と、15時30分から16時30分の間にエリアA3からポイントP3に4人移動する移動需要D3と、17時から18時の間にポイントP4からエリアA4に4人移動する移動需要D4とが存在するものとする。また、車両310-1の乗車定員は6人であり、車両310-2の乗車定員は3人であり、車両310-3の乗車定員は3人であるものとする。このとき、計画生成部120が生成した運行計画により、車両310-1と車両310-2とを運行することにより移動需要D1-1が満たされ、車両310-1を運行することにより移動需要D1-2が満たされ、車両310-1を運行することにより移動需要D2が満たされ、車両310-2を運行することにより移動需要D3が満たされ、車両310-2と車両310-3とを運行することにより移動需要D4が満たされる。図14に示すように、計画生成部120は、各車両310の運行計画を参照して、運行予定車両群を構成する車両310と、各車両310の配置等を決定する。
【0069】
図15を用いて乗車料金算出部130が乗車料金を決定する処理の具体例を説明する。本例において、乗車料金算出部130であるプライシングサーバが乗車料金を決定する。(STEP1)
乗車料金算出部130は、距離時間制運賃Pとして、乗車予約が示す出発地から乗車予約が示す目的地までの距離に応じて定まる距離制運賃と、渋滞を鑑みて推測した所要時間に基づいて算出した時間制運賃との和を算出する。
【0070】
(STEP2)
乗車料金算出部130は、車両310が出発領域を出発する日の前日又はN(Nは正の値)時間前までに乗車予約が実行されたか否かを確認する。乗車予約が前日までの予約である場合、乗車料金算出部130はPに一定値を掛けて乗車料金を算出する。それ以外の場合、乗車料金算出部130は以下の処理を実行する。
次に、乗車料金算出部130は、乗車予約が成立する前における車両310に対する乗車人数が0人であるか1人以上であるかを確認する。その後、乗車料金算出部130は、車両310が出発領域を出発するまでの残り時間Xに応じて予約時刻係数Zを決定する。乗車料金算出部130は、当該乗車人数が0人であるとき、Xが24時間を超える場合にZをPのn割とし、それ以外の場合にZをPのm割とする。また、乗車料金算出部130は、当該乗車人数が1人以上であるとき、Xが3時間を超える場合にZをPのo割とし、Xが1時間以上3時間以下である場合にZをPのl割とし、Xが1時間未満20分超である場合にZをPのk割とする。ここで、具体例として、n=0.5,m=0.7,o=0.5,l=0.6,k=0.7である。
なお、上述の処理を実行する代わりに、XをPに乗車予約が実行される確率から求まる乗車確率を掛けた値とし、ZをXのn割としてもよい。
【0071】
(STEP3)
乗車料金算出部130は、STEP2で求めたZに、乗客が待てる時間Tに応じた係数を掛ける。乗客が待てる時間Tは、乗客が実行した乗車予約が示す出発時間帯の幅である。乗車料金算出部130は、Tが30分未満であればZに1.5を掛け、Tが30分以上60分以下であればZに1を掛け、Tが60分超であればZに0.8を掛ける。STEP3で求められた値が乗車予約に対応する乗車料金である。
【0072】
***実施の形態3の効果の説明***
本実施の形態によれば、事前集客及びダイナミックプライシングを活用することにより、車両310の乗車率及び相乗り率を高めることができる。
【0073】
***他の実施の形態***
前述した各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
また、実施の形態は、実施の形態1から3で示したものに限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更が可能である。フローチャート等を用いて説明した手順は、適宜変更されてもよい。
【符号の説明】
【0074】
11 プロセッサ、12 メモリ、13 補助記憶装置、14 入出力IF、15 通信装置、18 処理回路、19 信号線、90 シェア型交通システム、100 運行計画装置、110 車両抽出部、120 計画生成部、130 乗車料金算出部、140 通知部、150 時刻表生成部、151 時刻表、200 予約システム、210 携帯端末、211,212,213 アプリケーション、220 KIOSK端末、230 電話端末、300 運行車両群、310 車両、400 決済センター。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15