(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023090104
(43)【公開日】2023-06-29
(54)【発明の名称】消火器用カバー
(51)【国際特許分類】
A62C 13/78 20060101AFI20230622BHJP
【FI】
A62C13/78 A
A62C13/78 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021204888
(22)【出願日】2021-12-17
(71)【出願人】
【識別番号】000229405
【氏名又は名称】日本ドライケミカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】松本 大輔
(72)【発明者】
【氏名】清見原 智之
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼▲橋▼ 宏幸
(72)【発明者】
【氏名】津田 貴之
(72)【発明者】
【氏名】近藤 学
(57)【要約】
【課題】消火器としての存在感を損なうことなく、デザインの自由度を高めデザイン性を増して消火器の見栄えを良くする。
【解決手段】剛性を備え下から上に向かうにしたがって径の値が次第に小さくなる筒状に形成されており消火器3の筐体13の肩部15を覆う肩部カバー部7と、剛性を備え径の値が一定である筒状に形成されており消火器3の筐体13の側面部17を覆う側面部カバー部9とを備えており、外側の面19が消火器3の筐体13の外面の形状に沿う形状になっているカバー本体5を有し、消火器3に設置されたときには、消火器3の筐体13とカバー本体5との間に僅かな間隙23が形成されるように構成されている消火器用カバー1である。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
剛性を備え、外側の面が、消火器の筐体の外面に沿う形状に形成されているカバー本体を有する消火器用カバー。
【請求項2】
前記カバー本体は、前記消火器の筐体の肩部の少なくとも一部を覆う肩部カバー部、前記消火器の筐体の側面部の少なくとも一部を覆う側面部カバー部の少なくともいずれかを備えて構成されている請求項1に記載の消火器用カバー。
【請求項3】
剛性を備え、下から上に向かうにしたがって径の値が次第に小さくなる筒状に形成されており、消火器の筐体の肩部を覆う肩部カバー部と、
剛性を備え、径の値が一定である筒状に形成されており、前記消火器の筐体の側面部を覆う側面部カバー部と、
を備えており、外側の面が前記消火器の筐体の外面の形状に沿う形状になっているカバー本体を有し、
前記消火器に設置されたときには、前記消火器の筐体と前記カバー本体との間に間隙が形成されるように構成されている消火器用カバー。
【請求項4】
前記カバー本体の上端部が前記消火器のユニオンナッに係合し、前記カバー本体の下端部が前記消火器を載置しているスカートに係合することで、前記カバー本体が前記消火器に設置されるように構成されている請求項3に記載の消火器用カバー。
【請求項5】
前記カバー本体は、少なくとも一部が透明もしくは半透明になっている請求項3または請求項4に記載の消火器用カバー。
【請求項6】
前記カバー本体に設けられている装飾部を有し、
前記装飾部は、前記透明もしくは半透明な部位を通して、前記カバー本体の外部から見えるように構成されている請求項5に記載の消火器用カバー。
【請求項7】
前記装飾部は、
前記カバー本体の内側の面が前記消火器の筐体の外面に沿う形状になるようにするために、それぞれの法線ベクトルの向きがお互いに異なる複数の平面で、前記内側の面が形成されている請求項6に記載の消火器用カバー。
【請求項8】
前記消火器の筐体の外面は梨地仕上げであり、前記カバー本体の表面は光沢がある請求項5から請求項7のいずれか1項に記載の消火器用カバー。
【請求項9】
前記カバー本体の内側の面と前記消火器の筐体の外面との間の前記間隙にシートを挿入する請求項5から請求項7のいずれか1項に記載の消火器用カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消火器用カバーに係り、特に、消火器の筐体(容器)覆うものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄、アルミニウム、ステンレスなどの金属製で耐圧性を備えた容器(筐体)を具備した消火器には、金属の防錆等の耐候性の観点から、塗装を施している。また、金属光沢を生かすために容器の地肌が現れている消火器、および、軽量化や内容物確認の目的で樹脂製の容器を採用している消火器などが知られている。
【0003】
一般的な業務用の消火器は、消防法の規定により外面の25%以上を赤色仕上げとすることが決められているのでデザイン的に無骨になっている。一方、家庭など、消防法の規定の適用が義務づけられていない場所に設置する消火器には、消火器の色の決まりはない。そのため、家庭用の消火器として、キャラクタを描画した消火器、デザイン性を増した消火器などがある。
【0004】
家庭用の消火器として、金属製の容器を塗装したもの、シュリンクラベルによる外装を施したもの、消火器スタンドによる外装を施したものなど、また、消火器の外装として樹脂を採用したものもある。
【0005】
また、耐圧性容器の主体である基材層を保護層で覆って基材層の耐候性に起因する劣化を確実に防止し、長期間にわたって所要の耐圧性および耐衝撃性を保持することができる消火器が知られている(特許文献1参照)。
【0006】
特許文献1に記載の消火器は、消火剤を充填する耐圧性容器を備えている消火器である。この耐圧性容器は、熱可塑性樹脂からなる多層構造で耐圧性を有する基材層とその外側に配置された保護層とで構成されている。
【0007】
また、消火器を布製のカバーで覆うことで、消火器を使うほどでもない出火の場合、そのカバーを広げて消火布として使用するものが知られている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2011-30798号公報
【特許文献2】特開2006-150026号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、従来の消火器では、金属の容器に塗装等をすることで描写をしているので、光沢など厚み方向でのデザインのものはなく、必ずしも高級感のあるものではない。このため、家族の団欒の居間や、おしゃれな商業施設の目立つところに置いた場合に違和感があり、物陰に置かれるなど、火災などの非常時にパニックとなり、すぐ消火器を見つけることがむずかしく、初期消火のタイミングが遅れてしまうおそれがある。
【0010】
また、屋内の環境、特に、住環境で重要である居間や、デザイン性の高い商業施設に設置した場合、周囲の環境と調和せず、違和感を生むものである。さらに、赤の配色を減らした消火器、キャラクターデザインの消火器などでは、消火器としての存在感が希薄となってしまい、火災などの非常事態に消火器の設置場所をすぐに確認できない。すなわち、従来の消火器の場合、消火器としての存在感とデザイン性の効果の両方を担保できていない。また、消火器を布製のカバーで覆ってしまうと、やはり、消火器としての存在感が損なわれる。すなわち、消火器がどこにあるのか、わかりづらくなる。
【0011】
本発明は、消火器としての存在感を損なうことなく、デザインの自由度を高めデザイン性を増して消火器の見栄えを良くすることができる消火器用カバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1の発明は、剛性を備え、外側の面が、消火器の筐体の外面に沿う形状に形成されているカバー本体を有する消火器用カバーである。
【0013】
第2の発明は、第1の発明に係る消火器用カバーであって、前記カバー本体が、前記消火器の筐体の肩部の少なくとも一部を覆う肩部カバー部、前記消火器の筐体の側面部の少なくとも一部を覆う側面部カバー部の少なくともいずれかを備えて構成されている消火器用カバーである。
【0014】
第3の発明は、剛性を備え、下から上に向かうにしたがって径の値が次第に小さくなる筒状に形成されており、消火器の筐体の肩部を覆う肩部カバー部と、剛性を備え、径の値が一定である筒状に形成されており、前記消火器の筐体の側面部を覆う側面部カバー部とを備えており、外側の面が前記消火器の筐体の外面の形状に沿う形状になっているカバー本体を有し、前記消火器に設置されたときには、前記消火器の筐体と前記カバー本体との間に間隙が形成されるように構成されている消火器用カバーである。
【0015】
第4の発明は、第3の発明に係る消火器用カバーであって、前記カバー本体の上端部が前記消火器のユニオンナットに係合し、前記カバー本体の下端部が前記消火器を載置している消火器底部のスカートに係合することで、前記カバー本体が前記消火器に設置されるように構成されている消火器用カバーである。
【0016】
第5の発明は、第3の発明または第4の発明に係る消火器用カバーであって、前記カバー本体が、少なくとも一部が透明もしくは半透明になっている消火器用カバーである。
【0017】
第6の発明は、第5の発明に係る消火器用カバーであって、前記カバー本体に設けられている装飾部を有し、前記装飾部は、前記透明もしくは半透明な部位を通して、前記カバー本体の外部から見えるように構成されている消火器用カバーである。
【0018】
第7の発明は、第6の発明に係る消火器用カバーであって、前記装飾部が、前記カバー本体の内側の面が前記消火器の筐体の外面に沿う形状になるようにするために、それぞれの法線ベクトルの向きがお互いに異なる複数の平面で、前記内側の面が形成されている消火器用カバーである。
【0019】
第8の発明は、第5の発明ないし第7の発明に係る消火器用カバーであって、前記消火器の筐体の外面は梨地仕上げであり、前記カバー本体の表面は光沢がある消火器用カバーである。
【0020】
第9の発明は、第5の発明ないし第7の発明に係る消火器用カバーであって、前記カバー本体の内側の面と前記消火器の筐体の外面との間の前記間隙にシートを挿入する消火器用カバーである。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、消火器としての存在感を損なうことなく、デザインの自由度を高めデザイン性を増して消火器の見栄えを良くすることで、目立つ場所に消火器を設置しても周囲の雰囲気に適合し、手に取りやすい場所に設置できるため、火を見ることによるパニックとなってもすぐに消火器を見つけることができ、火災などの非常時に速やかに初期消火をすることができる消火器用カバーを提供できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の実施形態に係る消火器用カバーが設置されている消火器の斜視図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る消火器用カバーが設置されている消火器における消火器用カバーの断面図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る消火器用カバーの消火器への設置手順を示す図である。
【
図7】消火器用カバーが設置されている消火器(
図5で示す消火器とは筐体の肩部の形状が若干異なっている消火器)における消火器用カバーの断面図である。
【
図9】(a)は、
図8におけるIXA矢視図であり、(b)は(a)におけるIXB-IXB断面を示す図である。
【
図10】(a)は、消火器用カバーのカバー本体に形成されている複数の平面の形態を示す図であり、(b)は、消火器用カバーのカバー本体に形成されている別の複数の平面の形態を示す図である。
【
図11】(a)は、
図9(a)に対応する図であって、変形例に係る消火器用カバーを示す図であり、(b)は(a)におけるXIB矢視図である。
【
図12】
図9(b)に対応する図であって、カバー本体が分割可能な変形例に係る消火器用カバーを示す図である。
【
図13】
図9(a)に対応する図であって、別の変形例に係る消火器用カバーを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施形態に係る消火器用カバー(たとえば、住宅用消火器のカバー)1は、
図1~
図5、
図7~
図9で示すように、消火器(たとえば、持ち運び可能な家庭用消火器)3に設置されて使用されるものであり、カバー本体5を備えて構成されている。
【0024】
カバー本体5は、ほぼ剛体とみなせる程度の剛性を備えている。すなわち、カバー本体5は、これに人が指で力を加えても、肉眼で見て変形したことをほとんど認識できない程度の剛性を備えている。また、カバー本体5は、肩部カバー部7と側面部カバー部9とを備えて構成されている。
【0025】
肩部カバー部7は、下から上に向かうにしたがって径の値が次第に小さくなる筒状(たとえば、上下方向で径が変化する円筒状)に形成されている。また、消火器用カバー1(カバー本体5)が消火器3に設置されたときに、肩部カバー部7が消火器3の筐体13の肩部15のたとえば総てを覆っている。
【0026】
側面部カバー部9は、径の値が一定である(上下方向のいずれの箇所でも内径および外径の値が一定である)筒状(たとえば円筒状)に形成されている。消火器用カバー1が消火器3に設置されたときに、側面部カバー部9が、消火器3の筐体13の側面部17のたとえば総てを覆っている。
【0027】
なお、側面部カバー部9は、肩部カバー部7と一体で成形されており、肩部カバー部7の下端から下側へ延びている。側面部カバー部9の内径と肩部カバー部7の下端の内径とは互いが一致しており、側面部カバー部9の外径と肩部カバー部7の下端の外径とは互いが一致している。側面部カバー部9の筒の中心軸と肩部カバー部7の筒の中心軸とは互いが一致している。
【0028】
さらに、肩部カバー部7と側面部カバー部9との境界には、段差等の急激な形状の変化がなく、肩部カバー部7から側面部カバー部9へは、カバー本体5の形状が滑らかに移行している。
【0029】
カバー本体5の凸状の外面(外側の面)19は、消火器3の筐体13の外面の形状に沿う形状になっている。すなわち、カバー本体5の外面19が消火器3の筐体13の外面の形状と概ね同じような形状になっている。
【0030】
たとえば、
図7で示すように、カバー本体5の外面19の形状が消火器3の筐体13の外面の形状と概ね相似な形状となっているとともに、カバー本体5の外面19が消火器3の筐体13の外面よりも僅かに大きくなっている。
【0031】
なお、カバー本体5の凹状の内面(内側の面)21の形状も消火器3の筐体13の外面の形状と概ね相似な形状となっている。また、カバー本体5の内面21が、消火器3の筐体13の外面よりも僅かに大きくなっているともに、カバー本体5の外面19よりも僅かに小さくなっている。これにより、カバー本体5は、厚さ方向の両面が曲面19、21になっているとともに互いにほぼ平行になっている薄板状に形成されている。
【0032】
消火器用カバー1が消火器3に設置されたときには、
図7で示すように、消火器3の筐体13とカバー本体5との間に僅かな間隙23が形成されるように構成されている。間隙23は、消火器3の筐体13の外面とカバー本体5の内面21との間の距離が所定の僅かな値になっている間隙である。
【0033】
また、消火器用カバー1では、カバー本体5の上端部が消火器3のユニオンナット25に係合し、カバー本体5の下端部が消火器3を載置しているスカート27に係合する。これにより、カバー本体5が消火器3に一体的に設置(固定)されるように構成されている。
【0034】
カバー本体5は、たとえば、合成樹脂で構成されており、少なくとも一部が(たとえば全体が)透明(有色透明を含む)もしくは半透明(有色半透明を含む)になっている。
【0035】
また、消火器用カバー1では、カバー本体5に装飾部29が設けられている。装飾部29は、カバー本体5の透明もしくは半透明な部位を通して、カバー本体5の外部から肉眼で見えるように構成されている。
【0036】
また、装飾部29は、たとえば、複数の平面31で形成されている。カバー本体5(たとえば肩部カバー部7)の凹面状の内側の面21が消火器3の筐体13の外面(カバー本体5の外面19でもよい)に沿う形状になるようにするために、複数の平面31それぞれの法線ベクトルは、向きがお互いに異なっている。
【0037】
複数の平面31のそれぞれは、カバー本体5の内面21を充填するようにして、隣同士がお互いに接している。複数の平面31同士は、合同な形状、大きさが僅かに異なるほぼ合同な形状、相似形状、大きさや形状が僅かに異なるほぼ相似な形状の少なくともいずれかの形状になっている。
【0038】
ここで、消火器3、消火器用カバー1等についてさらに詳しく説明する。
【0039】
消火器3は、
図5で示すように、筐体13と、レバー33と、消火剤吐出口35とを備えた消火剤吐出部(バルブケース)37と、ユニオンナット25とを備えて構成されている。筐体13内には消火剤が入っており、レバー33を操作することで消火剤吐出口35から消火剤が吐出される。
【0040】
図5で示すように、消火器3の筐体13は、円錐台状の部位(球欠状の部位であってもよい)39と、大円柱状の部位41と、円錐台に近似した形状の部位43(
図7で示すような球台状の部位であってもよい)と、小円柱状の部位45とを備えた形状になっている。なお、上記記述は、消火器3の筐体13の外面の形状を説明するためのものであるので、実際には、筐体13の内部は空洞になっており、筐体13の内部に消火剤が入る。
【0041】
消火器3の筐体13では、上下方向で下から上に向かい、円錐台状の部位39、大円柱状の部位41、円錐台に近似した形状の部位(円錐台近似部位)43、小円柱状の部位45がこの順にならんでいる。
【0042】
円錐台状の部位39は、小さい円形状になっている平面が下を向き、大きい円形状になっている平面が上を向いている。
【0043】
大円柱状の部位41は、円錐台状の部位39の上側に位置しており、円柱状の部位39の底面(円形状の底面)が、球円錐台状の部位39の大きい円形状になっている平面と接している。円錐台状の部位39の大きい円形状になっている平面の直径と大円柱状の部位41の底面の直径とはお互いが等しくなっており、円錐台状の部位39の大きい円の中心と大円柱状の部位41の底面の中心とはお互いが一致している。
【0044】
円錐台近似部位43は、この外径の値が下から上に向かうにしたがって次第に小さくなっている。また、円錐台近似部位43の外径の値が小さくなる割合(割合の絶対値)は、
図5から理解されるように、下端から中間部までは、下から上に向かうにしたがって次第に大きくなっている。円錐台近似部位43の外径の値が小さくなる割合は、中間部から上端までは、下から上に向かうにしたがって次第に小さくなっている。なお、円錐台近似部位43が球台状(
図7参照)になっている場合には、円錐台近似部位43の外径の値が小さくなる割合は、下から上に向かうにしたがって次第に大きくなっている。
【0045】
円錐台近似部位43は、大円柱状の部位41の上側に位置しており、円錐台近似部位43の底面(大きい円形状の平面)は、円柱状の部位41の上面と接している。円錐台近似部位43の底面の直径と円柱状の部位41の上面の直径とはお互いが等しくなっており、錐台近似部位43の底面の中心と円柱状の部位41の上面の中心とはお互いが一致している。
【0046】
小円柱状の部位45は、円錐台近似部位43の上側に位置しており、小円柱状の部位45の底面は、円錐台近似部位43の上面(小さい円形状の平面)と接している。小円柱状の部位45の底面の直径と円錐台近似部位43の上面とはお互いが等しくなっており、小円柱状の部位45の底面の中心と円錐台近似部位43の上面の中心とはお互いが一致している。
【0047】
なお、上述したように、筐体13の内部は空洞になっており、小円柱状の部位45は、実際には円筒状に形成されている。小円柱状の部位45の外周には、オスネジ47が形成されている。
【0048】
消火器3の筐体13の肩部15の外面は、円錐台近似部位43の側面(曲面になっている側面)で形成されている。消火器の筐体13の側面部17の外面は、大円柱状の部位41の側面で形成されている。消火器3の筐体13の底面部49の外面は、円錐台状の部位39の側面と円錐台状の部位39小さい円とで形成されている。
【0049】
ユニオンナット25は、円環状に形成されている。ユニオンナット25の円環の内面にはメスネジ51が設けられている。ユニオンナット25のメスネジ51が筐体13のオスネジ47に螺合している。これにより、消火剤吐出部(バルブケース)37の鍔部53を、上下方向でユニオンナット25と筐体13の上端とで締め付けており、消火剤吐出部(バルブケース)37が筐体13に一体的に設置されている。
【0050】
スカート27は、たとえば合成樹脂で一体成形されたことで、円筒状に形成されている。円筒状のスカート27の内径の値は、筐体13の大円柱状の部位41の外径の値よりもごく僅かに大きくなっている。
【0051】
スカート27の上下方向の中間部には、環状の凸部55が形成されている。環状の凸部55は、円筒状のスカート27の内面から、円筒状のスカート27の中心側に突出している。環状の凸部55の上面は、傾斜面57になっている。傾斜面57は、正確には、円錐台の側面形状になっている。
【0052】
スカート27の上端部には、円筒状の切り欠き59が形成されている。切り欠き59が形成されていることで、スカート27の上端部の外径の値は、スカート27の中間部および下端部の外径の値よりも小さくなっている。また、スカート27の上端部には、図示しない係止部が形成されている。この係止部は、カバー本体5の下端部に設けられている被係止部(図示せず)が係止される。
【0053】
カバー本体5の側面部カバー部9は、上述したように円筒状に形成されている。カバー本体5の上記被係止部は、側面部カバー部9の下端部に設けられている。また、側面部カバー部9の上端には、幅の狭い円環状の平面61が形成されている。
【0054】
肩部カバー部7は、下から上に向かうにしたがって径の値が次第に小さくなる円筒状に形成されている。肩部カバー部7での径の値が小さくなる割合(割合の絶対値)は、上に向かうにしたがって次第に大きくなっている。側面部カバー部9の肉厚の値と、肩部カバー部7の肉厚の値とは互いがほぼ等しくなっている。
【0055】
消火器用カバー1が消火器3に設置されている状態では、スカート27に消火器3が載置されており、スカート27にカバー本体5が設置されている。また、カバー本体5とユニオンナット25とで円環状のパッキン63を挟み込んで、ユニオンナット25が筐体13の上端部に設置されている。
【0056】
これにより、カバー本体5とスカート27とユニオンナット25とパッキン63とで形成されている空間内に、消火器3の筐体13が収まっており、消火器3とカバー本体5(消火器用カバー1)とスカート27とが一体化している。
【0057】
消火器用カバー1が消火器3に設置されている状態についてさらに説明する。筐体13の円錐台状の部位39が、スカート27の凸部55の傾斜面57に接することで、スカート27に消火器3が載置されている。また、カバー本体5の側面部カバー部9の下端部の内面に、スカート27の上端部の切り欠き59が形成されている部位がはまり込むことで、カバー本体5がスカート27に設置されている。
【0058】
カバー本体5の側面部カバー部9の内径の値は、スカート27の上端部の切り欠き59が形成されている部位の外径の値とほぼ等しくなっている。これにより、カバー本体5の側面部カバー部9と筐体13の大円柱状の部位41との間には、薄肉円筒状の間隙23Aが形成されている。
【0059】
ユニオンナット25のメスネジ51が筐体13のオスネジ47に螺合している。そして、カバー本体5の肩部カバー部7の円環状の平面61と、ユニオンナット25の円環状の下面(平面)65とでパッキン63を挟み込んでいる。これにより、カバー本体5の上端部が消火器3のユニオンナット25に係合し、カバー本体5の下端部が消火器3を載置しているスカート27に係合する。
【0060】
ところで、カバー本体5の肩部カバー部7の筒の内面および外面の形状と、筐体13の円錐台近似部位43の外面の形状とは、
図5から理解されるように、若干異なっている。これにより、カバー本体5の肩部カバー部7における内面21と、消火器3の筐体13における錐台近似部位43の外面との間に形成されている間隙23Bは、間隙23Aよりも広くなっており、しかも、広さ(幅)W1の値が上下方向で変化している。
【0061】
カバー本体5の肩部カバー部7の筒の内面および外面の形状と、筐体13の小円柱状の部位43の外面の形状との差異により、カバー本体5の肩部カバー部7の外面19および内面21が消火器3の筐体13の外面の形状に沿う形状になっていないと解釈される向きもあろう。しかし、ここでは、
図5等で示す程度の差異であれば、カバー本体5の肩部カバー部7の外面19および内面21が消火器3の筐体13の外面の形状に沿う形状になっていると解釈する。
【0062】
なお、上記説明では、カバー本体5の側面部カバー部9の径の値が一定である円筒状に形成されているとしているが、カバー本体5の側面部カバー部9の径の値が下から上に向かうにしたがってごく僅かではあるが次第に小さくなっていてもよい。そして、
図2、
図3で示すように、カバー本体5の側面部カバー部9の上端の内面が、消火器3の筐体13に接していてもよい。カバー本体5の側面部カバー部9の径の値が下から上に向かうにしたがって次第に小さくなる形状は、カバー本体5を金型を用いて成形するときの抜き勾配で形成される。
【0063】
次に、平面31を用いた装飾部29について、
図6、
図10(a)を参照しつつ詳しく説明する。
【0064】
装飾部29は、カバー本体5の肩部カバー部7の内面21に形成されており、多数の所定形状(たとえばひし形)の平面31で形成されている。
図10(a)では、説明の便宜上、多数の平面31を1つの平面上(
図10(a)の紙面)に展開して表しているので、多数の平面31同士の形状はお互いに一致している。しかし、肩部カバー部7の内面21は平面ではなくて曲面になっているので、多数の平面31同士の形状は僅かに異なっている。また、ひし形も4辺の長さが微妙に異なっていることもあるが、このようなものをひし形に含めるものとする。
【0065】
複数の平面31のそれぞれの中心を始点とする複数の平面31のそれぞれの法線ベクトルは、たとえば、側面部カバー部9の中心軸上に集まるようになっている。換言すれば、複数の平面31のそれぞれの中心含む複数の平面31のそれぞれの法線は、たとえば、側面部カバー部9の中心軸と交差するようになっている。さらに具体的に説明する。カバー本体5の肩部カバー部7が
図5で示すように球帯状(円弧状)になっているとする。すると、複数の平面31のそれぞれの中心含む複数の平面31のそれぞれの法線は、上記球帯の中心で交差するようになっている。
【0066】
図10(a)で示す態様では、平面31がひし形に形成されているが、
図10(b)で示すように平面31が正三角形で形成されていてもよいし、平面31が正四角形や正六角形や円形でもよく、平面31がその他の形状(好ましくは平面充填形状)で形成されていてもよい。
【0067】
また、
図10では、複数の平面31のそれぞれが、カバー本体5の内面21を充填するようにして、隣同士で互いに接しているが、隣同士で互いが離れており、内面21において曲面が一部残っていてもよい。
【0068】
次に、消火器用カバー1の消火器3への設置手順等について説明する。
【0069】
空の筐体13をスカート27に載置する。続いて、筐体13に消火器用カバー1を設置する(
図6参照)。続いて、筐体13内に消火剤を入れて、ユニオンナット25を組付けた消火剤吐出部(バルブケース)37を筐体13に設置し、ユニオンナット25を筐体13に締め込み(
図1参照)、加圧ガスを筐体13に導入し、ノズル(消火剤吐出部)35を取り付ける。
【0070】
消火器用カバー1では、カバー本体5の外側の面19が消火器3の筐体13の外面の形状に沿う形状になっている。これにより、消火器用カバー1が設置されている状態でも、消火器3を容易に認識することができ、消火器3としての存在感を損なうことがなくなる。そして、火災発生等の非常時に消火器3を容易に見つけて消火活動をすることができる。
【0071】
また、消火器用カバー1では、内側の面21が消火器3の筐体13の外面の形状に沿う形状になっており、消火器3に設置されたときには消火器3の筐体13とカバー本体5との間に僅かな間隙23が形成されるようになっている。これにより、詳しくは次に例示するが、消火器用カバー1のデザインの自由度が高まっており、デザイン性が増しており、消火器用カバー1が設置された消火器3の見栄えを良くすることができる。
【0072】
たとえば、消火器3の筐体13(外装)とカバー本体5との間の間隙23にシートを挿入し、内部からの輝きを持たせたデザインとする。たとえば、消火器3の筐体13とカバー本体5の間にキャラクターデザインや、芸術的なアートや、グリッター、ラメ、スパンコールのシールや、いろいろな情報を記載したシートなどを挿入することで、使用者の要望に応えた外装とできる。また、シートの25%以上を赤色として消防法の規定に沿ったデザインとしてもよい。
【0073】
消火器3の外装のデザインを変える場合は、材料の選定と混錬、成形型の交換など、手間がかかる場合がある。外装は透明として、消火器と外装の間にシールを設ければ、外装は共通にでき内部のシートを変えることによって様々なデザインに対応でき、お客様の様々な要望にこたえることができる。たとえば、お気に入りのキャラクタ、商業施設のロゴ、特定商品のロゴ、注意喚起の文章、絵画、などをシートに印刷し、多品種少量の提供が安価に可能になる。
【0074】
また、消火器用カバー1では、カバー本体5の上端部が消火器3のユニオンナット25に係合し、カバー本体5の下端部が消火器3を載置しているスカート27に係合することで、カバー本体5が消火器3に固定される。これにより、互いが離れた2箇所でカバー本体5が消火器3に固定されていることになり、消火器用カバー1が設置された状態で消火器3の運搬時や取扱時に消火器用カバー1が消火器3から外れるなど不都合を回避することができる。そして、消火器用カバー1が設置された消火器3を一体の1つのものとして扱うことができる。消火器用カバー1を消火器3およびスカート27と一体となった樹脂製外装として取り扱うことができ、持ち運び時にも消火器用カバー1が消火器3から外れることがない。
【0075】
また、消火器用カバー1では、カバー本体5が透明もしくは半透明になっている。消火器用カバー1が消火器3に設置されたときには、消火器3の筐体13とカバー本体5との間に僅かな間隙23が形成されるようになっている。これにより、デザイン性に自由度が高くなっている。すなわち、消火器3の筐体13とカバー本体5との間に僅かな間隙23に装飾用の上述したようにシート等の装飾用のもの入れる。すると、装飾用のものを、カバー本体5を通して消火器用カバー1の外側から視認することができ、装飾用のものを変更するだけで、デザインを変更することができる。
【0076】
さらに、黄金色のシートに黄色や黄金色の透明のカバー本体5とすることで、シートとカバー本体5の相乗効果で消火器全体が黄金であるかのような効果を得ることもできる。また、消火器3の筐体13の外面の金属表面を梨地状のマットとすることで、透明で光沢のある消火器用カバー1を通過した光線が、筐体13の外面の金属表面で乱反射し、ラメ状の光沢感を創出し、消火器3の全体が高級感のある外装の印象を与える。また、カバー本体5の25%以上を赤色として視認できるようにして、消防法の規定に沿ったデザインとしてもよい。また、カバー本体5の25%以上を赤色として視認できるようにして、消防法の規定に沿ったデザインとしてもよい。
【0077】
さらに、黄金色のシートに黄色や黄金色の透明のカバー本体5とすることで、シートとカバー本体5の相乗効果で消火器全体が黄金であるかのような効果を得ることもできる。また、消火器3の筐体13の外面の金属表面を梨地仕上げとすることで、透明で光沢のある消火器用カバー1を通過した光線が、筐体13の外面の金属表面で乱反射し、ラメ状の光沢感を創出し、消火器3の全体が高級感のある外装の印象を与える。また、カバー本体5の25%以上を赤色として視認できるようにしてもよく、消火器3の筐体13の外面を25%以上の赤色として視認できるようにしてもよく、消防法の規定に沿ったデザインとすることができる。
【0078】
また、消火器用カバー1には、装飾部29が設けられており、装飾部29がカバー本体5の透明もしくは半透明な部位を通して、カバー本体5の外部から見えるようになっている。そして、カバー本体5での光の屈折等によって、装飾部29を立体的に浮かび上がらせることができる。
【0079】
なお、複数の平面31などの装飾部29をカバー本体5の外部に設けてもよく、カバー本体5の透明もしくは半透明な部位を通して、装飾部29の外部と内部との厚さの違いより、カバー本体5での光の屈折等によって、装飾部29のデザイン性を強調させることができる。
【0080】
また、消火器用カバー1では、カバー本体5の内側の面が消火器3の筐体13の外面に沿う形状になるようにするために、内側の面21が、それぞれの法線ベクトルの向きがお互いに異なる複数の平面31で形成されている。これにより、カバー本体5の外部からカバー本体5に入った光が、特定の様々な方向に反射される。そして、高級感をかもしだすことができる。
【0081】
また、平面31をひし形にして側面部カバー部9に設けることで、消火器3の肩部15を覆う側面部カバー部9が、ダイヤモンド状のデザインと透明感とラメ感のある外装と色調によって、従来の消火器のイメージを払拭する。そして、高級感のあるデザインとし、居間や商業施設の空間にマッチするものとなる。
【0082】
すなわち、側面部カバー部9にダイヤモンドの模様を彫刻し、立体的で輝くデザイン厚みのある外装として、たとえば、側面部カバー部9にダイヤモンドのデザインを切込み線として彫刻し、その部分で光線を反射屈折するようにする。これは、塗装では表現できない、光によるデザイン(輝くデザイン)を設けることができる。なお、上記彫刻は射出成形でよい。
【0083】
ここで、消火器用カバー1について、
図5で示す消火器3の筐体13とは異なる筐体を備えた消火器3Aに設置した場合について、
図7を参照しつつ説明する。
【0084】
図7で示す消火器3Aは、筐体13Aの部位43Aが、
図5で示す消火器3の筐体13の円錐台近似部位43と異なっている。消火器3Aの筐体13Aの部位43Aは、球台状になっている。これにより、部位43Aの外面と、カバー本体5の肩部カバー部7の内面および外面とが互いにほぼ平行になって展開しており、間隙23Bの広さ(幅)W3はほぼ一定になっている。
【0085】
次に、変形例に係る消火器用カバー1aについて、
図11を参照しつつ説明する。
【0086】
消火器用カバー1aは、装飾部29として、カバー本体5の外面19、内面21の少なくともいずれかに、凸部67が形成されている点が、
図5で示す消火器用カバー1と異なる。なお、カバー本体5に、凸部67を設けることに代えてもしくは加えて、貫通孔(カバー本体5の肉部をこの厚さ方向で貫通している貫通孔)69を設けてもよい。
【0087】
また、装飾部29として、カバー本体5へ塗装する態様、カバー本体5の肉部内へ光の反射率の高い多数の粒子をちりばめて入れ込む態様、カバー本体5の肉部内へ蛍光剤を入れ込む態様等を採用してもよい。これについては、後程、さらに説明する。
【0088】
さらに、凸部67、貫通孔69も形状を円形以外の他の形状(たとえば彫刻したような複雑な形状)にしてもよい。これにより、塗装では得られない立体的なデザインを得ることができる。
【0089】
図12で示す変形例に係る消火器用カバー1bは、カバー本体5が複数の部品(たとえば2つのほぼ同形状の部品5A、5B)に分割されている。この分割は、たとえば、筒状のカバー本体の中心軸を含む1つの平面のところでなされており、消火器用カバー1bの消火器3への設置を一層容易にするためになされている。2つの部品5A、5Bには係止部、この係止部に係止される被係止部が設けられており、2つの部品5A、5Bは互いが容易に着脱自在になっている。また、消火器用カバー1bの消火器への設置であるが、消火器3のユニオンナット25を取り外すことなくできるようになっていることが望ましい。
【0090】
なお、消火器用カバー1bにおいて、カバー本体5とスカート27とを一体化してもよい。この場合、スカート27もカバー本体5といっしょに分割される。
【0091】
図13で示す変形例に係る消火器用カバー1cは、上下方向で見てカバー本体5C、5D、5Eが円弧状に形成されている点が、上述したカバー本体5と異なっている。
図1等で示すカバー本体5は、スカート27とともに、消火器3の筐体13の全体を覆っているが、
図13で示す変形例に係る消火器用カバー1cは、消火器3の筐体13の一部を覆うことになる。
【0092】
なお、消火器用カバー1(1a、1b、1c)のカバー本体5(5A、5E)の装飾部29として、次のものを採用してもよい。
【0093】
蛍光樹脂や蓄光樹脂をカバー本体5に散りばめることにより暗所でも発光し目立つ外装としてもよい。また、カバー本体5の樹脂内に細かい反射粒子(グリッター、ラメ、スパンコール)を混ぜ込み、光沢だけではなくきらきら輝くようにしてもよい。そして、透明感と輝きのある樹脂外装(たとえばラメ感)、また、赤や青や黄色や黄金色などの華やかな色彩としてもよい。
【0094】
そして、塗装では難しい表面の平滑性を実現できるようにし、光沢感を増し、また、塗装では難しい厚みと光沢を両立できるため深みのある光沢とできるようにしてもよい。また、反射粒子(パウダー)を均質に分散でき全体としてキラキラ感をました光沢のある表面とできるようにしてもよい。さらに厚み方向に反射粒子が分散するため、より強いキラキラ感をデザインできるようにしてもよい。
【0095】
また、カバー本体5の内面21、外面19に塗装等を施し模様をつけてもよい。無色透明な樹脂、または、透明感のある着色した樹脂とし、表面は平滑な面として光沢をもつようにしてもよい。
【0096】
カバー本体5が、ブラックライトの照射により発光する蛍光樹脂や蓄光樹脂を散りばめて立体的に暗所での視認性を向上させるようにしてもよい。
【0097】
消火器用カバー1(1a、1b、1c)が上述した構成になっていることで、一般家庭の居間やデザイン性の高い商業施設などに設置しても、その場の雰囲気を壊すこともない。かつ目立つ存在で、火災などの非常時にもすぐ設置場所を確認でき、使用できる消火器のデザインになっている。
【0098】
すなわち、消火器用カバー1(1a、1b、1c)が設置された消火器3を、設置場所の雰囲気に合ったデザインとすることができ、設置場所の目立つ場所においてもその場の雰囲気を壊すことなく、かつ、目立つ存在として消火器を設置できる。そして、火災などの非常時に迅速な対応ができ、初期消火を成功させることが可能となる。さらに、消火器カバーに壁掛け用のフックなどを設けて設置と取り扱いの利便性を増してもよい。
【0099】
また、顧客の要望に細かく答えることができるため、設置場所の状況に合わせたデザインやデザイン(文字)による情報提供が可能になり、より利便性を増すことができる。
【0100】
なお、上述した消火器用カバー1(1a、1b、1c)は、剛性を備え、外側の面(たとえば凸面状に形成されている外側の面)が、消火器の筐体(容器)の外面(たとえば凸面状に形成されている外面)に沿う形状に形成されているカバー本体を有する消火器用カバーの例である。
【0101】
消火器用カバーは、消火器の筐体の外面の少なくとも一部(たとえば、底面を除く大部分)を覆うようにして、もしくは、消火器の筐体の外面の総て(底面を除く総て)を覆うようにして、消火器に一体的に設置されて使用されるものである。
【0102】
カバー本体の内側の面が消火器の筐体の外面に沿う形状に形成されていることで、消火器の筐体の外面の形状と、カバー本体の内側の面の形状とが互いに近似しもしくは互いにほぼ一致している。すなわち、消火器の筐体の外面の形状に対して、カバー本体の内側の面の形状が、大きさが近似した概ね相似な形状になっている。そして、消火器用カバーを消火器に設置したときには、カバー本体の内側の面と消火器の筐体の外面とが、間隙(たとえば僅かな間隙)を隔てて互いに対向するようになっている。
【0103】
カバー本体は、この凸面状の外面も、カバー本体の内側の面に沿う形状に形成されている。これにより、カバー本体は、厚さが概ね一定になっている湾曲した板状に形成されている。
【0104】
消火器用カバーを消火器に設置したときにカバー本体の内側の面と消火器の筐体の外面との間に形成される間隙は、この一部が、カバー本体と同様に、厚さが概ね一定になっている湾曲した板状に形成されている。
【0105】
また、消火器用カバーにおいて、前記カバー本体が、前記消火器の筐体の肩部の少なくとも一部(大部分)を覆う肩部カバー部、前記消火器の筐体の側面部の少なくとも一部(大部分)を覆う側面部カバー部の少なくともいずれかを備えて構成されているようにしてもよい。
【0106】
また、消火器3の筐体13の外面に梨地仕上げ(マット仕上げ)やサテン仕上げをしてもよく、カバー本5体の表面(内面、外面の少なくともいずれか)に光沢があるように構成してもよい。なお、梨地仕上げとは、金属表面に鉄・砂・ガラスなどの粒子を吹き付けて、機械的または化学的に表面を粗面に仕上げる方法である。光沢梨地、半光沢梨地、無光沢梨地があり、加工法は、ワイヤブラシ法、サンドブラスト法、分散めっき法などがある。無方向性の艶消し面に仕上げる方法をマット仕上げといい、方向性のある艶消し面に仕上げる方法をサテン仕上げという。
【符号の説明】
【0107】
1 消火器用カバー
3 消火器
5 カバー本体
7 肩部カバー部
9 側面部カバー部
13 筐体
15 肩部
17 側面部
19 外側の面(外面)
23 間隙
25 ユニオンナット
27 スカート
29 装飾部
31 平面