(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023090109
(43)【公開日】2023-06-29
(54)【発明の名称】画像読取システム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20230622BHJP
【FI】
H04N1/00 567M
H04N1/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021204893
(22)【出願日】2021-12-17
(71)【出願人】
【識別番号】000104652
【氏名又は名称】キヤノン電子株式会社
(72)【発明者】
【氏名】赤坂 佳英
【テーマコード(参考)】
5C062
【Fターム(参考)】
5C062AA05
5C062AB02
5C062AB07
5C062AB17
5C062AB30
5C062AB31
5C062AB32
5C062AB33
5C062AB35
5C062AB41
5C062AB43
5C062AB44
5C062AB46
5C062AC02
5C062AC09
5C062AC11
5C062AC22
5C062AC66
5C062AC68
5C062AC70
5C062AE03
5C062AE08
5C062AF07
5C062AF14
(57)【要約】
【課題】ユーザーにとって使い勝手の良い画像読取装置を実現する。
【解決手段】原稿Sを搬送する搬送手段10と、搬送手段10によって搬送された原稿Sの情報を読み取る読取手段70と、読取手段70によって読み取られた原稿Sの表面と裏面を判別する判別手段と、原稿の表裏が反転して搬送されたことを検出する反転検出手段とを備え、反転検出手段は、搬送手段10によって搬送された複数の原稿Sにおける1枚目の原稿の表裏の順序と、搬送手段10によって搬送された複数の原稿Sにおける2枚目以降の原稿に対し判別手段が検出した表裏の順序とが異なる場合に、原稿の表裏が反転して搬送されたことを検出することを特徴とする。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段によって搬送された前記原稿の情報を読み取る読取手段と、
前記読取手段によって読み取られた原稿の表面と裏面を判別する判別手段と、
原稿の表裏が反転して搬送されたことを検出する反転検出手段と
を備え、
前記反転検出手段は、前記搬送手段によって搬送された複数の原稿における1枚目の原稿の表裏の順序と、前記搬送手段によって搬送された複数の原稿における2枚目以降の原稿に対し前記判別手段が検出した表裏の順序とが異なる場合に、原稿の表裏が反転して搬送されたことを検出することを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記搬送手段によって搬送された複数の原稿のうちの1枚目の原稿に対し、表面と裏面とを複数の領域に分割し、それぞれの領域ごとに差分を検出した結果、差分が含まれる場合に、前記差分を特徴量として当該原稿の表面と裏面とを設定する表裏設定手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記表裏設定手段は、前記原稿の表面と裏面の画像データを2値化し、前記1枚目の原稿における対応する位置の画素値と一致する画素数の割合が所定の閾値を下回る前記領域が存在する場合に、前記領域に差分が含まれると判別し、
前記判別手段は、前記特徴量に基づいて前記原稿の表面と裏面とを判別することを特徴とする請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記表裏設定手段は、前記原稿の表面と裏面の画像に含まれるバーコード領域の座標を用いて前記差分を検出するとともに、前記差分を生じる前記バーコード領域を前記特徴量とし、
前記判別手段は、前記特徴量に基づいて前記原稿の表面と裏面とを判別することを特徴とする請求項2または3に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記表裏設定手段は、前記原稿の表面と裏面の前記領域ごとに含まれる色に基づいて前記差分を検出するとともに、前記差分を生じる色を前記特徴とし、
前記判別手段は、前記特徴量に基づいて前記原稿の表面と裏面とを判別することを特徴とする請求項2から4のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置および画像処理およびその制御方法、プログラムおよび情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像読取装置の中には、ADF(Auto Document Feeder)を備えるものが存在する。ADFを備える画像読取装置では、原稿束を画像読取装置に積載し画像読取処理を行う。決まったフォーマットの原稿束の読み取り時に、表裏が逆の原稿が紛れていると、そのまま読み取られてしまい、後段の処理で読取画像の中に表裏が逆になっている画像があることに気づき、画像読取処理のやり直しが発生してしまう。
【0003】
そこで、決まったフォーマットの原稿束の読み取り時に、同一のパターンで繰り返されるページ数を入力し、原稿のパターンを記憶し、パターンが同一かどうかを確認する画像読取装置が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のように、あらかじめ原稿のパターンを記憶する手法では、同一のパターンで繰り返されるページ数の入力が必要であり、ユーザーにとって使い勝手が良いものではなかった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記を鑑み、本発明に係る画像読取装置は、
原稿を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段によって搬送された前記原稿の情報を読み取る読取手段と、
前記読取手段によって読み取られた原稿の表面と裏面を判別する判別手段と、
原稿の表裏が反転して搬送されたことを検出する反転検出手段と
を備え、
前記反転検出手段は、前記搬送手段によって搬送された複数の原稿における1枚目の原稿の表裏の順序と、前記搬送手段によって搬送された複数の原稿における2枚目以降の原稿に対し前記判別手段が検出した表裏の順序とが異なる場合に、原稿の表裏が反転して搬送されたことを検出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、原稿の表面と裏面との特徴に基づいて表裏を判別することで、ユーザーにとって使い勝手の良い画像読取装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係る画像読取装置の概略図。
【
図2】本発明の一実施形態に係る画像読取装置の制御部のブロック図。
【
図3】本発明の一実施形態に係る画像読取装置の制御フローチャート。
【
図4】本発明の一実施形態に係るバーコード領域の格納テーブルの一例。
【
図5】本発明の一実施形態に係る特徴量の格納テーブルの一例。
【
図6】本発明の一実施形態に係る画像読取装置を含むシステム構成図。
【
図8】本発明の一実施形態に係る原稿画像の他の例。
【
図9】本発明の一実施形態に係る原稿画像の他の例。
【
図10】本発明の一実施形態に係る原稿画像の他の例。
【
図11】本発明の一実施形態に係る原稿画像の他の例。
【
図12】本発明の一実施形態に係る原稿画像の他の例。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は本発明の一実施形態に係る画像読取装置Aの概略図である。
【0010】
<装置の構成>
画像読取装置Aは、載置台1に積載された一又は複数の搬送媒体Sを1つずつ装置内に経路RTにて搬送してその画像を読み取り、排出トレイ2に排出する装置である。読み取る搬送媒体Sは、例えば、OA紙、チェック、小切手、カード類等のシートであり、厚手のシートであっても、薄手のシートであってもよい。カード類は、例えば、保険証、免許証、クレジットカード等を挙げることができる。搬送媒体Sには、また、パスポートなどの冊子も含まれる。
【0011】
経路RTに沿って搬送媒体Sを給送する給送機構としての第1搬送部10が設けられている。第1搬送部10は本実施形態の場合、送りローラ11と、送りローラ11に対向配置される分離ローラ12と、を備え、載置台1上の搬送媒体Sを搬送方向D1に一つずつ順次搬送する。送りローラ11には、モータ等の駆動部3から伝達部5を介して駆動力が伝達され、図中矢印方向(経路RTに沿って搬送媒体Sを搬送させる正方向)に回転駆動される。伝達部5は例えば電磁クラッチであり、駆動部3からの送りローラ11への駆動力を断続する。
【0012】
駆動部3と送りローラ11とを接続する伝達部5は、例えば、本実施形態では、通常時において駆動力が伝達される状態とし、搬送媒体Sの逆送の場合に駆動力を遮断する。送りローラ11は伝達部5により駆動力の伝達が遮断されると、自由回転可能な状態となる。なお、このような伝達部5は、送りローラ11を一方向のみに駆動させる場合には設けなくてもよい。
【0013】
送りローラ11に対向配置される分離ローラ12は、搬送媒体Sを1枚ずつ分離するためのローラであり、送りローラ11に対して一定圧で圧接している。この圧接状態を確保するため、分離ローラ12は揺動可能に設けると共に送りローラ11へ付勢されるように構成される。分離ローラ12は、トルクリミッタ12aを介して駆動部3から駆動力が伝達され、実線矢印方向(送りローラ11の正方向とは逆方向))に回転駆動される。
【0014】
分離ローラ12はトルクリミッタ12aにより駆動力伝達が規制されるため、送りローラ11と当接している際は送りローラ11に連れ回りする方向(破線矢印方向)に回転する。これにより、複数の搬送媒体Sが送りローラ11と分離ローラ12との圧接部に搬送されてきた際には、一つを残して2つ以上の搬送媒体Sが下流に搬送されないようにせき止められる。
【0015】
なお、本実施形態では分離ローラ12と送りローラ11とで分離機構を構成したが、このような分離機構は必ずしも設けなくてもよく、経路RTに搬送媒体Sを1つずつ順次給送する給送機構であればよい。また、分離機構を設ける場合においては、分離ローラ121のような構成の代わりに、搬送媒体Sに摩擦力を付与する分離パッドを送りローラ11に圧接させて、同様の分離作業を持たせるようにしてもよい。
【0016】
第1搬送部10の搬送方向下流側にある搬送機構としての第2搬送部20は、駆動ローラ21と、駆動ローラ21に従動する従動ローラ22とを備え、第1搬送部10から搬送されてきた搬送媒体Sをその下流側へ搬送する。駆動ローラ21にはモータ等の駆動部4から駆動力が伝達され、図中矢印方向に回転駆動される。従動ローラ22は駆動ローラ21に対して一定圧で圧接し、駆動ローラ21に連れ回る。この従動ローラ22は、バネ等の付勢ユニット(不図示)によって駆動ローラ21に対して付勢された構成としてもよい。
【0017】
このような第2搬送部20よりも搬送方向下流側にある第3搬送部30は、駆動ローラ31と、駆動ローラ31に従動する従動ローラ32とを備え、第2搬送部20から搬送されてきた搬送媒体Sを排出トレイ2へ搬送する。つまり、この第3搬送部30は排出機構として機能する。駆動ローラ31にはモータ等の駆動部4から駆動力が伝達され、図中矢印方向に回転駆動される。従動ローラ32は駆動ローラ31に対して一定圧で圧接し、駆動ローラ31に連れまわる。この従動ローラ32は、バネ等の付勢ユニット(不図示)によって駆動ローラ31に対して付勢された構成としてもよい。
【0018】
ここで、本実施形態の画像読取装置Aでは、第2搬送部20と第3搬送部30との間に配置される画像読取ユニット70によって画像の読み取りを行うため、第2搬送部20及び第3搬送部30は搬送媒体Sを定速搬送する。搬送速度は常に第1搬送部10の搬送速度以上とすることで、先行搬送媒体Sに後続搬送媒体Sが追いついてしまう事態を確実に回避できる。例えば、本実施形態では、第2搬送部20及び第3搬送部30による搬送媒体Sの搬送速度を、第1搬送部10による搬送媒体Sの搬送速度よりも速くなるように速度制御するようにした。
【0019】
なお、第2搬送部20及び第3搬送部30による搬送媒体Sの搬送速度と、第1搬送部10による搬送媒体Sの搬送速度とを同一条件とした場合でも、駆動部3を制御して後続搬送媒体Sの給送開始タイミングを間欠的にずらすことにより先行搬送媒体Sと後続搬送媒体Sとの間に最低限の間隔を形成することも可能である。
【0020】
第1搬送部10と第2搬送部20との間に配置される重送検出センサ40は、静電気等で紙などの搬送媒体S同士が密着し、第1搬送部10を通過してきた場合(つまり重なって搬送される重送状態の場合)に、これを検出するための検出センサ(シートの挙動や状態を検出するセンサ)の一例である。重送検出センサ40としては、種々のものが利用可能であるが本実施形態の場合には超音波センサであり、超音波の発信部41とその受信部42とを備え、紙等の搬送媒体Sが重送されている場合と1つずつ搬送されている場合とで、搬送媒体Sを通過する超音波の減衰量が異なることを原理として重送を検出する。
【0021】
このような重送検出センサ40よりも搬送方向下流側に配置される媒体検出センサ50は第2搬送部20よりも上流側で、第1搬送部10よりも下流側に配置された上流側の検出センサ(シートの挙動や状態を検出するセンサ)としての一例であり、第1搬送部10により搬送される搬送媒体Sの位置、詳細には、媒体検出センサ50の検出位置に搬送媒体Sの端部が到達又は通過したか否かを検出する。媒体検出センサ50としては、種々のものが利用可能であるが、本実施形態の場合には光学センサであり、発光部51とその受光部52とを備え、搬送媒体Sの到達又は通過により受光強度(受光量)が変化することを原理として搬送媒体Sを検出する。
【0022】
本実施形態の場合、搬送媒体Sの先端が媒体検出センサ50で検出されると、搬送媒体Sが重送検出センサ40により重送を検出可能な位置に到達しているように、上記の媒体検出センサ50は重送検出センサ40の近傍においてその下流側に設けられている。なお、この媒体検出センサ50は、上記の光学センサに限定されず、例えば、搬送媒体Sの端部が検知できるセンサ(イメージセンサ等)を用いてもよいし、経路RTに突出したレバー型のセンサでもよい。
【0023】
媒体検出センサ50とは別の媒体検出センサ60は画像読取ユニット70よりも上流側で、第2搬送部20よりも下流側に配置された下流側の検出センサとしての一例であり、第2搬送部20により搬送される搬送媒体Sの位置を検出する。媒体検出センサ60としては、種々のものが利用可能であるが、本実施形態の場合、媒体検出センサ50と同様に光センサであり、発光部61と受光部62とを備え、搬送媒体Sの到達又は通過により受光強度(受光量)が変化することを原理として搬送媒体Sを検出する。なお、本実施形態では、第2搬送部20の搬送方向上流側と下流側のそれぞれに媒体検出センサ50、60を配置したが、何れか一方だけでもよい。
【0024】
媒体検出センサ60よりも下流側にある画像読取ユニット70は、例えば、光学的に走査し、電気信号に変換して画像データとして読み取るものであり、内部にLED等の光源、イメージセンサ、レンズアレー等を備えている。本実施形態の場合、画像読取ユニット70は経路RTの両側に一つずつ配置されており、搬送媒体Sの表裏面を読み取る。しかし、経路RTの片側にのみ一つ配置して、搬送媒体Sの片面のみを読み取る構成としてもよい。また、本実施形態では、画像読取ユニット70を経路RTの両側に対向配置した構造としているが、例えば、経路RTの方向に間隔をあけて配置してもよい。
【0025】
図2を参照して制御部8について説明する。
図2は画像読取装置Aの制御部8のブロック図である。
【0026】
制御部8はCPU81、記憶部82、操作部83、通信部84及びインターフェース部86を備える。CPU81は記憶部82に記憶されたプログラムを実行することにより、画像読取装置A全体の制御を行う。記憶部82は例えばRAM、ROM等から構成される。操作部83は、例えば、スイッチやタッチパネル等で構成され、操作者からの操作を受け付ける。
【0027】
通信部84は、外部装置との情報通信を行うインターフェースである。外部装置としてPC(パソコン)を想定した場合、通信部84としては、例えば、USBインターフェースやSCSIインターフェースを挙げることができる。また、このような有線通信のインターフェースの他、通信部84は無線通信のインターフェースとしてもよく、有線通信、無線通信の双方のインターフェースを備えていてもよい。
【0028】
インターフェース部86はアクチュエータ85やセンサ87とのデータの入出力を行うI/Oインターフェースである。アクチュエータ85には、駆動部3、駆動部4、伝達部5等が含まれる。センサ87には、重送検出センサ40、媒体検出センサ50及び60、画像読取ユニット70等が含まれる。
【0029】
画像読取装置Aの基本的な動作について説明する。制御部8は、例えば画像読取装置Aが接続された外部パソコンから画像読み取りの開始指示を受信すると、第1から第3搬送部10から30の駆動を開始する。載置台1に積載された搬送媒体Sはその最も下に位置する搬送媒体Sから1つずつ搬送される。
【0030】
搬送の途中で搬送媒体Sは重送検出センサ40により重送の有無が判定され、重送が無いと判定されると搬送が継続される。なお、重送があると判定された場合には、搬送を停止するか、第1搬送部10による後続搬送媒体Sの取り込みを停止して、重送状態にある搬送媒体Sをそのまま排出するようにしてもよい。
【0031】
制御部8は、媒体検出センサ60の検出結果に基づくタイミングで、第2搬送部20により搬送されてきた搬送媒体Sの、表裏の画像読取ユニット70、70による画像の読み取りを開始し、読み取った画像を一次記憶して順次外部パソコンへ送信する。画像が読み取られた搬送媒体Sは第3搬送部30により排出トレイ2に排出されてその搬送媒体Sの画像読取処理が終了する。
【0032】
図6は、本実施形態に係るシステム構成である。画像読取装置Aと、画像処理装置として機能するパーソナルコンピュータ(PC)6002と、がUSBやSCSIまたはネットワークを介して互いにデータ通信可能に接続されている。また、パーソナルコンピュータ6002には、CRT、液晶画面やOLEDディスプレイなどにより構成されている表示装置6001、ユーザーが各種の指示をパーソナルコンピュータ6002に入力するために操作するキーボード6003やマウス6004が接続されている。
【0033】
<画像読取処理>
ここで、本実施形態について、
図3の画像読取機能のフローチャートに従って説明する。
図3のフローチャートは、
図1に示す画像読取装置Aにユーザーが複数の搬送媒体Sを載置し、操作部83やパーソナルコンピュータ(PC)6002から画像読み取り指示することにより開始する。
【0034】
S1001において、制御部8が記憶部82に保存されたプログラムを実行することで複数の搬送媒体Sを1つずつ装置内で搬送し、搬送媒体Sの表面と裏面の読み取りを行う。このとき、載置台1に面している搬送媒体Sの面を表とする。
【0035】
S1002において、制御部8は、搬送媒体Sが複数の搬送媒体Sのうち1枚目に搬送されてきた搬送媒体かどうかを判断する。具体的には、この動作が実行されたときに初回の画像読み取り(S1001)であればフラグを立て記憶部82に保存する。また、プログラムの終了時か再度S1001に到達した際に記憶部82に保存されたフラグをクリアする。このフラグをもとに1枚目の搬送であるかどうかを判断する。1枚目の搬送であればS1003に進み、1枚目の搬送でなければS1012に進む。
【0036】
S1003で制御部8は読み込んだ両面の画像からバーコードもしくは二次元バーコードの検知を実行する。たとえば、原稿画像の例である
図12(a)に示す表面画像と原稿画像の例である
図12(b)に示す裏面画像を例に説明する。表面画像には二次元バーコード12001が存在し、裏面画像には二次元バーコード12002が存在しており、これらが公知の方法によって検知される。なお、
図12に示す例では表面画像と裏面画像の両方に二次元バーコードが存在したが、S1003においては、表面画像と裏面画像のいずれか一つでもバーコードもしくは二次元バーコードを検知することができたらS1004に進み、検知できなかったらS1006に進む。
【0037】
S1004では、制御部8は検知できたバーコードもしくは二次元バーコードの画像内における座標を取得し、記憶部82に保存する。たとえば
図12(a)に示す二次元バーコード12001ならば、記憶部82には
図13の拡大図に示すように、左上13001、右上13002、左下13003、右下13004、の検出した4点を座標としてバーコード領域が設定され、
図4に示すテーブルのように保存される。表面と裏面に検出された場合、表面4001の座標4点と裏面4002の座標4点を保存する。座標は、読み取った画像の左上隅画素の中心を原点(0,0)とし、右方向へX軸の正方向、下方向へY軸の正方向の向きで定義するものとする。
【0038】
S1005において、制御部8は表面の画像から取得した座標4001と裏面の画像から取得した座標4002を比較する。座標4点を結んだ四角形が表面と裏面で重なるならば座標が同じであると判定しS1006に進み、重ならなければ、S1011に進む。
【0039】
S1006において、制御部8は表面の画像と裏面の画像の重ならない所を抽出する。たとえば、制御部8は
図7(a)に示す原稿画像の一例である表面の画像7000を4等分する。
図7(a)を4等分した画像が
図7(b)である。同様に、
図8(a)に示す原稿画像の一例である裏面の画像8000を4等分する。
図8(a)を4等分した画像が
図8(b)である。
【0040】
本実施形態においては、4等分したそれぞれの画像である表面右上画像7001と裏面右上画像8001、表面左上画像7002と裏面左上画像8002、表面左下画像7003と裏面左下画像8003、表面右下画像7004と裏面右下画像8004、の画像を2値化して、白と黒の画素が一致するか確認する。4等分した各画像の画素数に対し、一致する画素の占める割合が一定以上であれば、画像が一致すると判定しても良い。なお、画素を比較する際に、画像同士のずれや傾きを考慮し、画像の平行移動や罫線を基準にした画像の位置合わせを行い画素の一致率が高い位置合わせを採用し、比較しても良い。
【0041】
画像7000と画像8000の例では、表面右下画像7004と裏面右下画像8004では画素が一致するが、表面左上画像7002と裏面左上画像8002、表面左下画像7003と裏面左下画像8003は画素が一致しないことになる。表面右上画像7001と裏面右上画像8001では、その多くの画素が一致しているため、これをもって一致すると判定しても良い。なお、画素の比較を行う際に、今回は画像を4等分で説明したがこれに限定されるものではない。また、それぞれの画像に対して平滑化を行いノイズ除去し無駄な差分を減らすなどの処理を入れても良い。
【0042】
S1007において、制御部8は表面の画像7000と裏面の画像8000の全体に差分がなく一致していると判断すればS1008に進み、制御部8は表面の画像7000と裏面の画像8000に差分があり一致しないと判断すればS1011に進む。
【0043】
S1008で、制御部8は表面の画像と裏面の画像から色を抽出する。たとえば、
図9、
図10には、S1007で画素が一致すると判断される画像の例を示している。
【0044】
制御部8は、
図9(a)に示す表面の画像9000を4等分する。
図9(a)を4等分した画像が
図9(b)である。同様に
図10(a)に示す裏面の画像10000を4等分する。
図10(a)を4等分した画像が
図10(b)である。
【0045】
4等分したそれぞれの画像である表面右上画像9001、裏面右上画像10001、表面左上画像9002、裏面左上画像10002、表面左下画像9003、裏面左下画像10003、表面右下画像9004、裏面右下画像10004、の画像の画素値を読み込み、読み込んだ画素値(RGB)の出現数をそれぞれ集計する。それぞれの分割区画において出現数の多い画素値を区画の代表色とする。なお、代表色を抽出する際に、本例では画像を4等分で説明したがこれに限定されるものではない。
【0046】
S1009で、制御部8は表の画像と裏の画像でそれぞれの区画の代表色に違いが無いかを判断する。違いが無ければS1010に進み、違いがあればS1011に進む。
【0047】
S1010で、制御部8は、ユーザーに表の画像と裏の画像において表裏の判定に用いる特徴量を含む領域を、不図示の操作用ソフトウェアを用いて指定させる。たとえば、原稿画像の例である
図11(a)に示す表面画像と、原稿画像の例である
図11(b)に示す裏面画像においては、点線で示す表題部分11001を、裏面画像と異なる特定の文字列に該当する領域として指定することで、表裏の判定の特徴量に相当する領域として指定される。
【0048】
S1011で、制御部8はここに遷移する直前の判定に使用した情報のそれぞれの値を特徴量として記憶部82に保存する。
【0049】
たとえば、S1005でNoとなりS1011に遷移した場合には、
図5(a)の特徴量格納テーブルに示すように、特徴量の種類5001には二次元バーコードを用いて特徴量を算出することを保存し、二次元バーコードの座標を特徴量として保存し、表面情報5002と裏面情報5003には、二次元バーコードの座標が保存される。
【0050】
また、S1007でNoとなりS1011に遷移した場合、すなわち、画像を比較した際の差分を特徴量として保存する場合には、
図5(b)の特徴量格納テーブルに示すように、特徴量の種類5001には画像を比較した際の差分を特徴量として算出することを保存し、表面情報5002には、画像を4等分した際に差分が含まれる領域(表面左上画像7002や表面左下画像7003など)と画像ファイルが保存され、同様に裏面情報5003にも差分が含まれる領域と画像が保存される。なお、差分がない場合には何もないことを示す情報が保存される。
【0051】
また、S1009でNoとなりS1011に遷移した場合、すなわち、色領域を比較した際の差分を特徴量として保存する場合には、
図5(c)の特徴量格納テーブルに示すように、特徴量の種類5001には色領域の差分を特徴量として算出することを保存し、表面情報5002には、画像を4等分した際に色領域の差分が含まれる領域(表面右下画像9004など)と色が保存され、同様に裏面情報5003にも色領域の差分が含まれる領域と色が保存される。なお、差分がない場合には何もないことを示す情報が保存される。
【0052】
また、S1009でNoとなりS1011に遷移した場合、すなわち、ユーザー指定の領域を特徴量として保存する場合には、
図5(d)の特徴量格納テーブルに示すように、特徴量の種類5001にはユーザー指定の領域を特徴量として算出することを保存し、表面情報5002か裏面情報5003のいずれかに、ユーザー指定の領域の座標と、ユーザー指定の領域に文字認識処理を実行した結果、文字が含まれる場合には、その文字列を保存する。
【0053】
このように、制御部8は、S1011に遷移するのに至った特徴量を用いて搬送媒体Sの表裏を設定する表裏設定手段として動作する。
【0054】
S1012では、制御部8が2枚目以降の搬送媒体Sに対し、特徴量の算出を行う。特徴量の算出はS1011で保存された特徴量の種類5001に応じS1004、S1006、S1008、S1010で説明した算出方法で表面の画像と裏面の画像の特徴量を算出し、
図5を用いて説明した1枚目の搬送媒体Sの特徴量の保存方法と同様に記憶部82に保存する。
【0055】
S1013で、制御部8はS1012で算出し保存した特徴量とS1011で保存された特徴量の比較を行うことで、搬送媒体Sの表裏反転検出を行う。S1011で表面情報5002に特徴量が保存されていれば、表面同士の特徴量の比較を行い、表面情報5002に特徴量が保存されていなければ裏面情報5003に保存された特徴量を用いて裏面同士の特徴量の比較を行う。
【0056】
たとえば、比較に用いる特徴量が二次元バーコードの座標の場合は、
図5(a)に示される表面情報5002の特徴量である4点の座標がS1012で算出した特徴量である4点の座標と一致するかどうかを確認する。
【0057】
また、比較に用いる特徴量が画像を比較した際の差分の場合は、
図5(b)に示される表面情報5002の特徴量である領域と画像が、S1012で算出した特徴量である領域と画像に一致するかどうかを確認する。なお、一致するかどうかの判定の一例としては、表面情報5002の特徴量として設定された情報を構成する画素値と一致する画素数の割合が所定の閾値を上回る場合に、一致すると判定し、所定の閾値を下回る場合に差分があると判定する。本発明における以後の判定においても同様であり、説明を割愛する。
【0058】
また、比較に用いる特徴量が色領域の差分の場合は、
図5(c)に示される表面情報5002の特徴量である色領域がS1012で算出した特徴量である色領域と一致するかどうかを確認する。
【0059】
また、比較に用いる特徴量がユーザー指定の領域の場合は、
図5(d)に示される表面情報5002の特徴量である指定の領域の座標と文字列が、S1012で算出した特徴量である指定の領域と文字列に一致するかどうかを確認する。
【0060】
特徴量同士が一致しなかった場合には、搬送媒体Sの表裏が反転しているとしてS1014に進み、一致した場合にはS1015に進む。
【0061】
S1014で制御部8は搬送媒体Sが表面と裏面を逆に載置(反転)されたことを検出したことに対応した処理を実行する。例えば検出されたら裏面の画像と表面の画像を入れ替えて保存してもよい。なお、このとき、入れ替えた後に再度S1013と同様の処理を実行し、特徴量同士が一致するかどうかを判定した結果、一致した場合には表面と裏面とが逆に載置されたと判定し、一致しない場合には、エラーを出力するように構成してもよい。
【0062】
S1015で、制御部8は、インターフェース部86からの入力信号が、載置台1に搬送媒体Sが積載されていることを示す信号か否かを判定する。載置台1に搬送媒体Sが積載されていればS1001に進み、載置台1に搬送媒体Sが積載されていなければ終了する。
【0063】
<後段処理>
本実施例の画像処理を用いることにより、例えば、後段の処理で表面の指定座標をOCRで読み込み、読み込んだ値をシステムに入力する場合、表裏逆になり指定座標のOCRで値を読み込めなくなる事が無くなる。なおここで示す後段の処理は、読み込んだ画像の表裏が逆になることで失敗する処理の一例であり、これに限定されるものではない。
【0064】
このように、本実施形態では、画像の表裏反転を検知し表裏を入れ替えることを画像読取処理に含めることで、後段処理で画像読取処理をやり直すことを防ぎ、ユーザーにとって使い勝手の良い画像読取装置を実現することが可能となる。
【0065】
なお、以上説明した実施形態は一例であり、種々の変更が可能である。例えば、S1003、S1005、S1007、S1009の判定を独立して順次行うように説明したが、順序を入れ替えても良く、また、複数の判定条件を組み合わせて特徴量を判別しても良い。
【符号の説明】
【0066】
A 画像読取装置
S 搬送媒体
10 第1搬送部
20 第2搬送部
30 第3搬送部
81 CPU