(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023090110
(43)【公開日】2023-06-29
(54)【発明の名称】シート搬送装置
(51)【国際特許分類】
B65H 3/46 20060101AFI20230622BHJP
B65H 3/06 20060101ALI20230622BHJP
【FI】
B65H3/46 D
B65H3/06 340D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021204894
(22)【出願日】2021-12-17
(71)【出願人】
【識別番号】000104652
【氏名又は名称】キヤノン電子株式会社
(72)【発明者】
【氏名】白鳥 由貴
【テーマコード(参考)】
3F343
【Fターム(参考)】
3F343FA03
3F343FC30
3F343GA01
3F343GB01
3F343GC01
3F343GD01
3F343HA17
3F343JA14
3F343JD09
3F343KB05
3F343KB08
3F343KB13
3F343LA04
3F343LA15
3F343LC12
3F343LC15
3F343LC20
3F343LD12
3F343LD24
(57)【要約】
【課題】給送ローラの交換作業を容易に行うことが出来る構成を提供する。
【解決手段】下部ユニット200bと、下部ユニット200bに対し開閉可能に取り付けられ、閉位置において下部ユニット200bとの間にシートを搬送する搬送路を形成する上部ユニット200aと、上部ユニット200aに着脱可能に取り付けられ、シートを搬送路に搬送させるローラ6と、ローラ6に駆動力を伝達する伝達ギア94と、ローラ6の搬送路側を覆う閉状態と、ローラ6を露出させる開状態との間を回動可能に上部ユニット200aに取り付けられたローラカバー8とを備え、ローラカバー8には、上部ユニット200aの開位置において、開状態にあるローラカバー8にローラ6の軸受66を支持可能な支持部81が設けられ、支持部81に軸受66が支持された状態でローラカバー8を閉状態とすることにより、ローラ6が伝達ギア94と連結することを特徴とする。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部ユニットと、
前記下部ユニットに対し開閉可能に取り付けられ、閉位置において前記下部ユニットとの間にシートを搬送する搬送路を形成する上部ユニットと、
前記上部ユニットに着脱可能に取り付けられ、前記シートを前記搬送路に搬送させるローラと、
前記ローラに駆動力を伝達する伝達ギアと、
前記ローラの前記搬送路側を覆う閉状態と、前記ローラを露出させる開状態との間を回動可能に前記上部ユニットに取り付けられたローラカバーと
を備え、
前記ローラカバーには、前記上部ユニットの開位置において、前記開状態にある前記ローラカバーに前記ローラの軸受を支持可能な支持部が設けられ、
前記支持部に前記軸受が支持された状態で前記ローラカバーを前記閉状態とすることにより、前記ローラが前記伝達ギアと連結することを特徴とするシート搬送装置。
【請求項2】
前記上部ユニットは、前記ローラカバーの前記閉状態において前記支持部と協働して前記軸受を保持する保持部を有することを特徴とする請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項3】
前記軸受は、前記ローラの軸から径方向に延在する当接部を有し、
前記ローラカバーを前記開状態から前記閉状態とする際に、前記当接部が前記保持部に当接してその回転位相が規制されることで、前記閉状態における前記軸受の回転位相が規制されることを特徴とする請求項2に記載のシート搬送装置。
【請求項4】
前記ローラカバーには、前記開状態における前記ローラカバーに対して支持される前記ローラの前記軸受の回転位相を規制する規制部が設けられたことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のシート搬送装置。
【請求項5】
前記ローラは、
前記伝達ギアと連結する歯車と、
前記軸受に対してローラの軸方向に回転負荷を与える負荷部材と
を備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のシート搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを搬送する搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、ファクシミリ、複写機等の画像形成装置や画像読取装置は、シート収納手段(用紙カセット、シート載置台)にセットされたシート束を、画像形成部や画像読取部に一枚ずつ送り出すシート搬送装置を備えている。
【0003】
シート搬送装置は、シートに接触する面にゴムが装着される給送ローラを備え、この給送ローラが回転することにより、シートの搬送が行われる。さらに、給送ローラに対向配置される分離ローラを備え、給送ローラによって複数枚のシートが給紙口に入り込んだ時に、シートを一枚ずつに分離する。
【0004】
これらのローラは、シートの搬送を繰り返すことによりゴムの表面が摩耗して摩擦力が低下し、シートの分離に失敗することがあるため、シートの分離の精度を確保することを目的として、ローラの交換を使用者でも容易に行うことができるように構成したものがある。
【0005】
シート束の最も上の紙から給紙を行う
図1に示すようなUターンパスの画像読取装置は、上部ユニットと下部ユニットとで構成される。上部ユニットは、原稿をピックアップするピックアップローラ、給送ローラ、これらを回転させる駆動モータや画像読取部を備える。上部ユニットは、搬送中のシートの詰まりを取り除いたり、センサの汚れなどを清掃したりするため、下部ユニットに対しヒンジを中心として回動させることで開閉が可能である。搬送路は、上部ユニットと下部ユニットの間に形成されており、上部ユニットを回動させることで、搬送路が解放可能となる。
【0006】
前述の給送ローラを交換する場合も、まずは上部ユニットを回動して搬送路を開放させ、給送ローラを覆う給送ローラカバーを開く。給送ローラカバーを開けると、給送ローラが、給送ローラを回転させる装置本体の駆動モータと連結されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1には、給送ローラを装置本体に取付ける時に、給送ローラカバーの閉動作で、給送ローラの軸支持端と装置本体の支持部の連結を行う技術が開示されている。
【0009】
しかし、
図1に示すようなUターンパスのスキャナの給送ローラを交換する時は、上部ユニットを閉状態から略垂直になるまで開いて作業を行う場合、給送ローラを装置本体の取付け部から落とさないように片手で押さえながら、もう一方の手で給送ローラカバーを閉めなければならない。この場合、押さえる手が給送ローラカバーを閉める際の動線上に位置してしまうため、装置本体に給送ローラを取付ける作業が困難になってしまうことがある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記を鑑み、本発明に係るシート搬送装置は、
下部ユニットと、
前記下部ユニットに対し開閉可能に取り付けられ、閉位置において前記下部ユニットとの間にシートを搬送する搬送路を形成する上部ユニットと、
前記上部ユニットに着脱可能に取り付けられ、前記シートを前記搬送路に搬送させるローラと、
前記ローラに駆動力を伝達する伝達ギアと、
前記ローラの前記搬送路側を覆う閉状態と、前記ローラを露出させる開状態との間を回動可能に前記上部ユニットに取り付けられたローラカバーと
を備え、
前記ローラカバーには、前記上部ユニットの開位置において、前記開状態にある前記ローラカバーに前記ローラの軸受を支持可能な支持部が設けられ、
前記支持部に前記軸受が支持された状態で前記ローラカバーを前記閉状態とすることにより、前記ローラが前記伝達ギアと連結することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、給送ローラの交換作業を容易に行うことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係る画像読取装置の概略構成断面図。
【
図2】回転支持軸に支持された給紙ローラの斜視図。
【
図3】給送ローラカバーを開閉可能にする様子を示す斜視図。
【
図4】給送ローラカバーに給送ローラを着脱する様子を示す斜視図。
【
図5】給送ローラを給送ローラカバーと給送ローラホルダで支持した状態を示す断面図。
【
図6】給送ローラを給送ローラカバーと給送ローラホルダで支持した状態を示す他の断面図。
【
図7】給送ローラカバーを回動させる様子を示す断面図。
【
図8】給送ローラを給送ローラカバーと給送ローラホルダで支持した状態を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態について、
図1から
図8を用いて説明する。まず、
図1を用いて本実施形態のシート搬送装置の一例である画像読取装置の概略構成について説明する。
【0014】
[画像読取装置]
画像読取装置200は、原稿としてのシートを搬送し、シートの両面又は片面の画像を読み取る。このために、画像読取装置200は、シート取込装置101を備える。シート取込装置101は、シート積載台(原稿載置台)1を有し、シート積載台1には、シートが複数枚積載可能である。このシート積載台1は昇降自在に構成されている。シート積載台駆動モータ2は、シート積載台1を昇降させる。
【0015】
シート検知センサ3は、シート積載台1に積載されたシートがシート取込位置にあることを検知する。シート積載検知センサ12は、シート積載台1のシート積載面1aにシートが積載されていることを検知する。シート積載台1は、シートの搬送方向に交差(本実施形態では、直交)するシートの幅方向両端に当接して、シートの幅方向位置を規制する規制板1bを有する。
【0016】
原稿ピックアップ部の一例としてのピックアップローラ4(取り込み手段)は、シート積載台1のシートをシート積載台1から送り出す。不図示のピックアップローラ駆動モータは、ピックアップローラ4を回転させる。また、ピックアップローラ4はシート取込位置とシート取込位置よりも上方の退避位置とに不図示の駆動手段によって移動できる。ピックアップローラ4はシートを取り込むときは取込位置に移動され、取り込みが終わったら退避位置に移動される。
【0017】
給送ローラ6は、シートを搬送方向下流側に給送する方向に回転するように駆動されている。分離ローラ7は、シートを搬送方向上流側に押し戻す方向に回転する回転力を、不図示のトルクリミッタ(スリップクラッチ)を介して分離モータから常時受けている。給送ローラ6と分離ローラ7との間にシートが1枚存在するときは、このトルクリミッタが伝達する分離ローラ7がシートを上流側に押し戻す方向の回転力の上限値より、給送ローラ6によって下流側に送られるシートと分離ローラ7との間の摩擦力によってシートが下流側に給送される方向への回転力が上回り、分離ローラ7は給送ローラ6に追従して回転する(連れ回りする)。
【0018】
一方、給送ローラ6と分離ローラ7との間にシートが複数枚存在するときは、分離ローラ7はシートを上流側に押し戻す方向の回転をローラ軸から受け、最も上位のシート以外が下流側に搬送されないようにする。
【0019】
このように給送ローラ6がシートを下流側に給送する作用と、分離ローラ7のシートを下流側に搬送されないようにする作用によって、シートが重なって給送ローラ6と分離ローラ7とのニップ部に送り込まれたとき、最も上のシートのみ下流側に給送され、それ以外のシートは下流側に搬送されないようにされることで、重なったシートが分離給送される。よって、給送ローラ6と分離ローラ7とは、一対の分離ローラ対42(原稿分離部)を構成する。なお、本実施形態では、分離ローラ対42を使用しているが、分離ローラ対42の代わりに分離ローラと給送ローラのどちらか一方をベルトにした、分離ベルトローラ対を使用してもよい。また、分離ローラを分離パッドに置き換え、シートに当接することで下流側へ複数枚のシートが搬送されることを防ぐようにしてもよい。
【0020】
このように構成されたピックアップローラ4、給送ローラ6、分離ローラ7などからなる原稿ピックアップ部によって、シート積載台1に積載されたシートが1枚ずつに分離されて、画像読取装置200内部に取り込まれる。
【0021】
また、分離された原稿が通過する位置に重送検知センサ30を備えることで、原稿分離部によって原稿が一枚ずつに分離できているかを検知することができる。本実施形態においては重送検知センサ30として超音波の送受信部を用いた検出装置を用いており、搬送路を跨いだ送受信部間における超音波の減衰量によって重送を検知することができる。
【0022】
原稿分離後のシートは、不図示の搬送モータによって原稿の画像の読み取りが行われる画像読取位置Pまで搬送され、更に排出位置まで搬送するため、その他のローラ(原稿搬送部)によって排紙口まで搬送される。また、搬送モータは、シートの読み取りに最適な速度や、シートの解像度等の設定に応じてシートの搬送速度を変更できるよう各ローラを駆動する。
【0023】
搬送ローラ17、18で構成される搬送ローラ対、搬送ローラ22、23で構成される搬送ローラ対、搬送ローラ24、25で構成される搬送ローラ対及び
図1に示すさらに下流側のローラ対は、シートを排出積載部44に搬送する。上ガイド板40と下ガイド板41との2つのガイド板は、分離ローラ対、各搬送ローラ対及び下流側のローラ対により搬送されるシートを案内する。
【0024】
レジスト前センサ32は、搬送ローラ20、21で構成される搬送ローラの上流側に配設され、搬送されるシートを検知する。レジスト後センサ34は、搬送ローラ20、21で構成される搬送ローラ対の下流側に配設され、搬送されるシートを検知する。
【0025】
レジスト後センサ34によって原稿が検知されると、制御手段としての制御装置45によって読取ユニット14、15に対し画像の読み取り指示が出され、搬送されるシートの画像が読み取られる。制御装置45は、画像読取装置200全体の制御を行う。このような制御装置45は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を有している。CPUは、ROMに格納された制御手順に対応するプログラムを読み出しながら各部の制御を行う。また、RAMには、作業用データや入力データが格納されており、CPUは、前述のプログラム等に基づいてRAMに収納されたデータを参照して制御を行う。読取ユニット14、15によって読み取られたシートの画像は、不図示のインターフェース部を介して情報処理装置などの外部装置に対して送信される。
【0026】
[上部ユニット]
画像読取装置200の装置本体は、上部ユニット200aと下部ユニット200bとで構成されており、上部ユニット200aを下部ユニット200bに対し、排出口付近に設けられたヒンジを中心として回動させることで開閉可能である。搬送路は、その上部ユニット200aが閉位置にある状態で上部ユニット200aと下部ユニット200bとの間に形成されており、上部ユニット200aを上方に回動させることで、搬送路を開放した開位置をとることが可能になっている。
【0027】
[読取ユニット]
次に、読取ユニット14、15の構成について説明する。読取ユニット14、15は、
図1に示すようにシートが搬送される搬送路を挟むように配置され、読取ユニット14の搬送路を挟んだ対向側には押圧部材としてのプラテンローラ14aが配され、読取ユニット15の搬送路を挟んだ対向側には押圧部材としてのプラテンローラ15aが配されており、各読取ユニットのコンタクトガラスに対して搬送路側からシートを付勢しつつシートの両面又は片面の画像を読み取る。読取ユニット14、15は搬送路を搬送されるシートにおける互いに異なる面を読み取り可能に配置されていれば良く、すなわち、読取ユニット14、15は、画像読取装置200の上部ユニット200aと下部ユニット200bの一方にそれぞれ設けられ、それぞれの読取ユニットに対応するプラテンローラ(押圧部材)14a、15aが、上部ユニット200aと下部ユニット200bの他方に設けられる。
【0028】
なお、以下の説明においては、読取ユニット15は、基本的に読取ユニット14と同様の構造を有する。従って、読取ユニット15については、読取ユニット14と異なる点についてのみ説明し、重複した説明は省略する。
【0029】
読取ユニット14は、搬送ローラ20、21によって搬送されるシート(原稿)の画像を読み取り可能な読取部としてのラインイメージセンサーと、ラインイメージセンサーを収容する収容部としてのセンサ箱と、コンタクトガラス、ガラス保持部材、色基準部材、保護部材からなるガラス保持ユニットとを備える。
【0030】
<第1の実施形態>
[ローラ支持部の構成]
上述のように構成される画像読取装置の第1の実施形態について説明する。
【0031】
本実施形態の場合、給送ローラ6を給送ローラカバー8に対して着脱自在とし、給送ローラカバー8は画像読取装置200の装置本体に対して回動可能な構成としている。このような給送ローラ6のローラ支持部の構成について、
図2から
図8を用いて説明する。
【0032】
[ピックアップローラ]
ピックアップローラ4は、装置本体のピックアップローラ支持部に回転支持軸を介して着脱自在に支持される。本実施形態の場合、上述するようにピックアップローラ4は、シートを取り込むときは取込位置に移動され、取込が終わったら退避位置に移動される。
【0033】
[給送ローラ]
図2に示す給送ローラ6は、
図3に示すように給送ローラカバー8に軸受66、67(
図2参照)を介して着脱自在に支持される。
【0034】
このような給送ローラ6は、
図2などに示すように、ゴム部61、ホイール部62、スペーサ63、回転支持軸64、給送ローラギア部65、軸受66、軸受67によって構成される。
【0035】
2つのゴム部61を左右のホイール部62に個別に装着し、ホイール部62と回転支持軸64との間にワンウェイクラッチ(不図示)を内蔵して回転支持軸64に篏合される。一体となったゴム部61とホイール部62が、回転支持軸64の軸方向に距離を空けて2つ篏合され、その間にはスペーサ63が配置される。
【0036】
回転支持軸64は金属軸で、歯車65を有する。回転支持軸64に軸との垂直方向にピンを貫通させ、歯車65の側面の溝にこのピンを挿入することで、回転支持軸64は歯車65と一体となって回転する。歯車65は、給送ローラカバー8が閉状態の時、画像読取装置200の駆動モータ600の回転を伝達する歯車94(伝達ギア)と連結する(
図8参照)。駆動モータ600から歯車65に伝達された回転駆動力が、回転支持軸64、ワンウェイクラッチを介してゴム部61、即ち給送ローラ6に伝達される。
【0037】
回転支持軸64は、軸受66と軸受67を両端に持ち、軸受66は外周面に平面66Fと、曲面66Dを有し、軸受67は円筒形状である。
【0038】
図5は給送ローラカバー8が閉状態の時の給紙部の断面図であり、詳細は後述するが、
図5の領域Cの拡大図である
図6(c)に示すように軸受66と歯車65の間には、例えば圧縮ばねのような弾性部材68と押付部材69からなる負荷部材が組み込まれている。弾性部材68は押付部材69を歯車65の側面に押し付ける。これにより、歯車65が回転する時、歯車65と押付部材69の間に摩擦力が生じる。
【0039】
したがって、軸受66が回転可能な状態で歯車65が回転する場合、歯車65と押付部材69の間に生じる摩擦力によって、押付部材69及び押付部材と嵌合している軸受66にも回転が伝わる。また、軸受66が回転しないように規制された状態で歯車65が回転する場合、押付部材69も回転を規制されるので、押付部材69と歯車65の間に生じる摩擦力が回転負荷となり、歯車65は回転しづらくなる。
【0040】
[給送ローラカバー]
給送ローラカバー8は開閉可能な部材である。給送ローラカバー8を開閉する際には、
図3に示すように上部ユニット200aを略垂直になるまで開き、搬送路を開放させる。給送ローラカバー8は、搬送路の面から略垂直になるまで開いた状態が開状態(
図3(a))であり、搬送路の面の一部を形成する状態が閉状態(
図3(b))である。
【0041】
給送ローラカバー8を開状態とした時、給送ローラ6とピックアップローラ4は着脱可能となる。
【0042】
給送ローラカバー8は、その閉状態の時、給送ローラ6が搬送中に紙と接触する一部のゴム部を露出し、それ以外の給送ローラ6の部分を覆っている。さらに、ピックアップローラ4は、シートを取り込むときは取込位置に移動され、取込が終わったら退避位置に移動されるため、給送ローラカバー8は搬送中のピックアップローラ4の移動範囲を逃げた形状になっている。
【0043】
給送ローラカバー8は、ピックアップローラ4と給送ローラ6の一部を覆うことで、これらのローラ間をシートが搬送されるガイドとして搬送路の役割を有しており、搬送路の一部を形成している。
【0044】
図4は給送ローラカバー8が開状態の時、給送ローラを着脱する様子を示す斜視図で、給送ローラカバー8は一端支持部81及び他端支持部82を有する。一端支持部81によって給送ローラ6の軸受66が、他端支持部82によって給送ローラ6の軸受67が支持可能になっている。
図4(B)は、
図4(A)の領域Dを方向Cから見た拡大図である。
【0045】
一端支持部81は、給送ローラ6の軸受66の曲面66Dに接する面81Eと、給送ローラ6の軸受66の面66Eに接する面81Hと、給送ローラ6の軸受66の一部を覆う面81Fと、切り欠き81Kを有する。
図4(A)では、給送ローラカバー8は開ききった状態で、給送ローラホルダ9の平面9Hの位置を角度0度とすると、給送ローラカバー8の平面8Hの位置は角度90度にある。この時、給送ローラカバー8の切り欠き81Kの向きは角度45度の位置にある。すなわち、軸受66の面と切り欠き81Kは、給送ローラカバー8が開状態の時、着脱可能な向きにあり、且つ、給送ローラカバー8が開状態から閉状態へ移動する時、給送ローラ6が脱落することなく保持が可能な向きにある。
【0046】
他端支持部82は、給送ローラ6の軸受67を保持する穴と、切り欠きを有する。他端支持部82の切り欠きの向きは、給送ローラホルダ9の平面9Hに対して45度の位置にある。すなわち、この切り欠きの向きは、給送ローラカバー8が開状態の時、着脱可能な向きにあり、且つ、給送ローラカバー8を開状態から閉状態へ移動する時、給送ローラ6が脱落することなく保持が可能な向きにある。
【0047】
[装置本体の給送ローラホルダ]
給送ローラホルダ9は、給送ローラ6のゴム部61を収容する基部91と、給送ローラ6の軸受66、67を支持する2箇所の支持部92、93を有する。
【0048】
図5は給送ローラカバー8が閉状態(
図3(b))の時の給紙部の断面図である。この時、給送ローラ6は給送ローラホルダ9の基部91に収容される。
図6(a)は、軸受66が給送ローラカバー8と給送ローラホルダ9に支持される様子を示す
図5のa-a断面図で、
図6(b)は、軸受67が給送ローラカバー8と給送ローラホルダ9に支持される様子を示す
図5のb-b断面図である。給送ローラ6の軸受66は、給送ローラカバー8の一端支持部81に支持されたまま給送ローラカバー8が閉じることで、一端支持部81と給送ローラホルダ9の支持部92とに協働して保持され、給送ローラ6の軸受67は、給送ローラカバー8の他端支持部82に支持されたまま、給送ローラカバー8が閉じることで、他端支持部82と給送ローラホルダ9の支持部93とに協働して保持される。給送ローラカバー8の開閉時、一端支持部81は回転軸89を中心に
図7に示す軌跡上を移動する。給送ローラホルダ9の支持部92は、一端支持部81の軌跡上になく、この給送ローラホルダ9の回動の邪魔にならない位置に設けてある。
【0049】
このようにして、給送ローラカバー8が閉状態の時の画像読取装置200の装置本体に対する給送ローラ6の位置が決定する。
【0050】
なお、給送ローラ6は、対向して位置する分離ローラ7から、上述するように紙を搬送方向上流側に押し戻す方向に回転する回転力を受けている。シート1枚の給紙中、紙は給送ローラ6と分離ローラ7にニップされており、シートの後端が分離ローラ7を抜け、給送ローラ6の駆動が切れた瞬間、給送ローラ6と分離ローラ7は搬送方向上流側に力が解放されて逆回転する。給送ローラ6の軸受66は、平面部66Fが給送ローラホルダ9と当接していることにより、この上流側への逆回転を規制する。換言すると、給送ローラ6の軸における径方向に延在する平面部66Fが当接部となって支持部92に当接することで軸受66の回転位相が規制されている。さらに、上述したように、軸受66が回転しないように規制された状態の時、押付部材69も回転を規制されるので、押付部材69と歯車65の間に生じる摩擦力が回転負荷となり、歯車65の回転も抑制されている。
【0051】
例えば薄紙のようなコシがない紙を搬送する際、給送ローラ6が逆回転すると紙の先端がめくれ、その後搬送された時にジャムが発生するが、上述するように給送ローラの回転を抑制することで、ジャムの発生を抑制することが出来る。
【0052】
[給送ローラカバーの開閉動作]
給送ローラカバー8は、
図4に示す持ち手83を持って開閉を行う。給送ローラ6が本実施形態の給送ローラカバー8に支持される時、
図7に示すように、軸受66の平面66Fは給送ローラカバー8の面81Gによって回転範囲が規制され、さらに、軸受66の面66Eは給送ローラカバー8の面81Hによって回転範囲が規制される。そのため、給送ローラカバー8が開状態で、給送ローラ6が給送ローラカバー8に支持される時、軸受66の平面部66Fは、
図7に示す回動範囲にある。
【0053】
この状態で給送ローラカバー8が開状態から閉状態に移動する時、給送ローラ6の軸受66の平面部66Fと曲面部66Dからなる突起部が、規制部としての給送ローラホルダ9の支持部92に接し、軸受66の向きが
図6(a)に示す角度に矯正されつつ給送ローラカバー8が閉状態に移動する。
【0054】
このようにして給送ローラカバー8が閉状態となり、軸受66は、
図6(a)に示すように、面66Dが給送ローラカバー8の面81Eに接し、軸受66の面66Gが給送ローラカバー8の面81Fと給送ローラホルダ9の支持部92の面92Hに当接して、位置が規制される。軸受67は、
図6(b)に示すように、給送ローラカバー8の他端支持部82と給送ローラホルダ9の支持部93に接して位置が規制される。
【0055】
また、給送ローラカバー8を開状態から閉状態に移動すると、
図8に示すように給送ローラ6の歯車65が本体装置の歯車94と連結する。
【0056】
以上の説明の通り、本実施形態によれば、給送ローラカバー8が開状態の時に、給送ローラ6を給送ローラカバー8に搭載し、給送ローラカバー8の持ち手83を持って閉状態へ移動させることによって、給送ローラ6を画像読取装置200へ取り付けることが可能となる。
【0057】
なお、第1実施形態では
図3(a)に示したように、ピックアップローラ4は装置本体に支持される構成であるが、ピックアップローラ4に対しても給送ローラ6と同じく、給送ローラカバー8の開状態において給送ローラカバー8に支持される構成としても良く、給送ローラ6と同様に、ピックアップローラ4を開状態の給送ローラカバー8に搭載し、給送ローラカバー8を閉状態に移動させることによって、ピックアップローラ4を画像読取装置200へ取り付けることが可能となる。
【符号の説明】
【0058】
1 シート積載台
4 ピックアップローラ
6 給送ローラ
7 分離ローラ
8 給送ローラカバー
9 給送ローラホルダ
66、67 軸受
81 一端支持部
82 他端支持部
200 画像読取装置