(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023090112
(43)【公開日】2023-06-29
(54)【発明の名称】二酸化炭素排出量算出装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/00 20230101AFI20230622BHJP
【FI】
G06Q10/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021204897
(22)【出願日】2021-12-17
(71)【出願人】
【識別番号】520284218
【氏名又は名称】TESNOLOGY株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002273
【氏名又は名称】弁理士法人インターブレイン
(72)【発明者】
【氏名】近藤 克彦
(72)【発明者】
【氏名】松村 昭彦
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA20
(57)【要約】
【課題】事業者が製造する製品に関する温室効果ガスの排出量を、適正かつ簡便に計算に求める技術を提供する。
【解決手段】二酸化炭素排出量算出装置は、共通の資源を用いた複数種類の製品の製造に関して、資源の全体使用数量と、各種類の製品の製造数量とを入力する入力部と、全体使用数量が、各種類における資源の原単位と当該種類の製造数量の積の合計と一致するという第1条件と、各種類における資源の原単位の比率が所定の按分比率と一致するという第2条件とを満たすように、各種類における資源の原単位を算出する原単位算出部と、各種類における資源の原単位に、資源の製造及び/又は使用によって排出される二酸化炭素の量を示す所定レートを乗ずることによって、各種類の製品を得るために資源に起因して生じた二酸化炭素の排出量を算出する排出量算出部と、を備える。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
共通の資源を用いた複数種類の製品の製造に関して、前記資源の全体使用数量と、各種類の製品の製造数量とを入力する入力部と、
前記全体使用数量が、前記各種類における前記資源の原単位と当該種類の前記製造数量の積の合計と一致するという第1条件と、前記各種類における前記資源の前記原単位の比率が所定の按分比率と一致するという第2条件とを満たすように、前記各種類における前記資源の前記原単位を算出する原単位算出部と、
前記各種類における前記資源の前記原単位に、前記資源の製造及び/又は使用によって排出される二酸化炭素の量を示す所定レートを乗ずることによって、前記各種類の製品を得るために前記資源に起因して生じた二酸化炭素の排出量を算出する排出量算出部と、を備えることを特徴とする二酸化炭素排出量算出装置。
【請求項2】
前記入力部は、前記各種類における前記資源の前記原単位として予定されている予定原単位を入力し、
前記所定の按分比率は、前記各種類における前記予定原単位の比率であることを特徴とする請求項1に記載の二酸化炭素排出量算出装置。
【請求項3】
前記原単位算出部によって算出された前記各種類における前記資源の前記原単位に基づいて、後の製造機会における前記各種類における前記資源の予定原単位を更新する更新部を、更に備えることを特徴とする請求項2に記載の二酸化炭素排出量算出装置。
【請求項4】
ネットワークを介して外部装置から前記所定レートを取得し、あるいは前記資源に付された記録媒体から前記所定レートを取得する取得部と、
取得された前記所定レートが暗号化されている場合に、暗号化されている前記所定レートを復号する復号部と、を更に備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の二酸化炭素排出量算出装置。
【請求項5】
前記製品に付される記録媒体に記録されるアドレスが示すネットワーク上の格納場所に、算出された前記二酸化炭素の前記排出量に基づく情報をアップロードするアップロード部、あるいは前記製品に付される記録媒体に、算出された前記二酸化炭素の前記排出量に基づく情報を書き込む書込み部を、更に備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の二酸化炭素排出量算出装置。
【請求項6】
共通の資源を用いた複数種類の製品の製造に関して、前記資源の全体使用数量と、各種類の製品の製造数量とを入力する機能と、
前記全体使用数量が、前記各種類における前記資源の原単位と当該種類の前記製造数量の積の合計と一致するという第1条件と、前記各種類における前記資源の前記原単位の比率が所定の按分比率と一致するという第2条件とを満たすように、前記各種類における前記資源の前記原単位を算出する機能と、
前記各種類における前記資源の前記原単位に、前記資源の製造及び/又は使用によって排出される二酸化炭素の量を示す所定レートを乗ずることによって、前記各種類の製品を得るために前記資源に起因して生じた二酸化炭素の排出量を算出する機能と、をコンピュータに発揮させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温室効果ガスの排出量を算出する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの排出量削減は、排出規制および排出枠を見据え、仕組みづくりの重要性が増している。たとえば、地球温暖化の抑止に向けた企業の社会貢献アピールおよびカーボンクレジットなどの観点での活動も起こり始めている。
【0003】
特許文献1には、製品単位でその生産にかかわる温室効果ガス排出を把握するための技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された技術は、大がかりなデータベースを構築する必要があり、実現に向けては、大きな設備投資が必要となる。特に、複数の製品を製造する場合に、原材料、部品およびエネルギーなどの資源を製造する過程あるいは使用する過程で生じる二酸化炭素排出量を、複数の製品それぞれに対して割り振ることは難しいという問題がある。
【0006】
本発明は、上記課題認識に基づいて完成された発明であり、その主たる目的は、事業者が製造する製品に関する温室効果ガスの排出量を、適正かつ簡便な計算により求めることができる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様における二酸化炭素排出量算出装置は、共通の資源を用いた複数種類の製品の製造に関して、資源の全体使用数量と、各種類の製品の製造数量とを入力する入力部と、全体使用数量が、各種類における資源の原単位と当該種類の製造数量の積の合計と一致するという第1条件と、各種類における資源の原単位の比率が所定の按分比率と一致するという第2条件とを満たすように、各種類における資源の原単位を算出する原単位算出部と、各種類における資源の原単位に、資源の製造及び/又は使用によって排出される二酸化炭素の量を示す所定レートを乗ずることによって、各種類の製品を得るために資源に起因して生じた二酸化炭素の排出量を算出する排出量算出部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、事業者が製造する製品に関する温室効果ガスの排出量を、適正かつ簡便に計算により求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1(A)は、製品A:ブラックコーヒーの製造プロセスを示す図である。
図1(B)は、製品B:標準コーヒーの製造プロセスを示す図である。
図1(C)は、製品C:ミルクコーヒーの製造プロセスを示す図である。
【
図2】
図2(A)は、製品A:ブラックコーヒーの予定原単位データの構成図である。
図2(B)は、製品A:ブラックコーヒーの予定CO2排出量データの構成図である。
【
図3】
図3(A)は、製品B:標準コーヒーの予定原単位データの構成図である。
図3(B)は、製品B:標準コーヒーの予定CO2排出量データの構成図である。
【
図4】
図4(A)は、製品C:ミルクコーヒーの予定原単位データの構成図である。
図4(B)は、製品C:ミルクコーヒーの予定原単位データの構成図である。
【
図5】複数の専用の製造ラインの例を示す図である。
【
図6】1つの共用の製造ラインの例を示す図である。
【
図7】複数の製造プロセスの直列稼働を示す図である。
【
図8】複数の製造プロセスの並列稼働を示す図である。
【
図11】製品A:ブラックコーヒーの算出データの構成図である。
【
図12】製品B:標準コーヒーの算出データの構成図である。
【
図13】製品C:ミルクコーヒーの算出データの構成図である。
【
図14】CO2排出量算出装置の機能ブロック図である。
【
図15】メイン処理過程を示すフローチャートである。
【
図16】入力画面処理過程を示すフローチャートである。
【
図18】コーヒー粉のCO2排出量データの構成図である。
【
図22】出力画面処理過程を示すフローチャートである。
【
図24】製品A:ブラックコーヒーのCO2排出量データの構成図である。
【
図26】CO2排出量表示画面の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[実施形態]
製品A:ブラックコーヒー、製品B:標準コーヒーおよび製品C:ミルクコーヒーを製造する飲料工場の例を示す。本実施形態では、各製品について各製品を得る過程で排出された二酸化炭素(以下、「CO2」と記す)を算出する。飲料工場の工程におけるガスの燃焼などによって排出されるCO2のみならず、飲料工場の工程で使用される原材料、部品およびエネルギーなどの資源に関する上流工程の生産過程で排出されたCO2も、各製品の排出CO2量に含める。本実施形態における「資源」とは、製品を製造するために必要とされる原材料、部品およびエネルギーの総称である。
【0011】
図1(A)は、製品A:ブラックコーヒーの製造プロセス106を示す図である。
製品A:ブラックコーヒーの製造プロセス106は、コーヒー液抽出工程100aと、ブラックコーヒー混合工程102と、ブラックコーヒーボトリング工程104を含む。コーヒー液抽出工程100aでは、ガスと電力を使用して、コーヒー粉と水からコーヒー原液を抽出する。ブラックコーヒー混合工程102では、ガスと電力を使用して、コーヒー原液と砂糖と水を混合し、ブラックコーヒー液を生成する。ブラックコーヒーボトリング工程104では、電力を使用して、ブラックコーヒー液をボトルに入れてキャップを付けて、ボトル入りブラックコーヒー108を生成する。一般的に、ブラックコーヒーは、ミルクが入っていないコーヒーのことを指し、加糖か無糖かは問わない。本願においては、加糖コーヒーを例に説明する。
【0012】
図1(B)は、製品B:標準コーヒーの製造プロセス116を示す図である。
製品B:標準コーヒーの製造プロセス116は、コーヒー液抽出工程100bと、標準コーヒー混合工程112と、標準コーヒーボトリング工程114を含む。コーヒー液抽出工程100bは、コーヒー液抽出工程100aと同様である。標準コーヒー混合工程112では、ガスと電力を使用して、コーヒー原液と牛乳と砂糖と水を混合し、標準コーヒー液を生成する。標準コーヒーボトリング工程114では、電力を使用して、ブラックコーヒー液をボトルに入れてキャップを付けて、ボトル入り標準コーヒー118を生成する。
【0013】
図1(C)は、製品C:ミルクコーヒーの製造プロセス126を示す図である。
製品C:ミルクコーヒーの製造プロセス126は、コーヒー液抽出工程100cと、ミルクコーヒー混合工程122と、ミルクコーヒーボトリング工程124を含む。コーヒー液抽出工程100cは、コーヒー液抽出工程100aと同様である。ミルクコーヒーボトリング工程124では、標準コーヒー混合工程112と同様に、ガスと電力を使用して、コーヒー原液と牛乳と砂糖と水を混合し、ミルクコーヒー液を生成する。但し、標準コーヒーとは混合割合が異なる。ミルクコーヒーボトリング工程124では、電力を使用して、ブラックコーヒー液をボトルに入れてキャップを付けて、ボトル入りミルクコーヒー128を生成する。
【0014】
図2(A)は、製品A:ブラックコーヒーの予定原単位データの構成図である。
原単位は、製品1個あるいは所定数量の生産物をつくるために必要とされる原材料、部品およびエネルギー(燃料、電力)などの予定の数量あるいは実際の数量を示す。予定原単位は、計画段階で予定している原単位を示す。原材料、部品およびエネルギーは、製品を製造するために用いられる資源の分類の例である。予定原単位データは、原材料、部品およびエネルギーの各資源に関する予定使用量を示している。たとえば、製品Aを1個作る場合に、原材料として、コーヒー粉12gと、砂糖10gと、水0.2Lを使用すると予定している。部品として、ボトル1個とキャップ1個を使用すると予定している。また、エネルギーとして、電力0.1kWhとガス6Lを使用すると予定している。製品Aでは牛乳は使用されないが、他の製品との比較のため、牛乳の予定原単位を0gと記す。
【0015】
図2(B)は、製品A:ブラックコーヒーの予定CO2排出量データの構成図である。
各資源について、予定原単位にその資源に関するCO2排出レートを乗ずると、予定原単位に基づくCO2排出量(以下、「予定CO2排出量」という)が求められる。CO2排出レートは、資源の単位量(たとえは、g(グラム)、L(リットル)、個数およびkWhなど)当たりのCO2排出量を示す(
図19参照)。CO2排出レートは、ある資源の単位量を製造したときおよび単位量を使用したときに生じるCO2の重量として実験により定められてもよい。
【0016】
たとえば、コーヒー粉の予定原単位「12g」にコーヒー粉のCO2排出レート「Rc」を乗ずれば、製品A1個で使用される予定量のコーヒー粉を得るために生じた予定CO2排出量は、「12×Rc[g]」として算出される。コーヒー粉1gを得るためにCO2が3g排出されるとすれば、CO2排出レート「Rc」は3[g/g]である。そして、予定通りに実施されれば製品A1個において12×3[g]のCO2が排出されることを意味する。牛乳は使用しないので、牛乳に関する予定CO2排出量は、0gである。図中の「Rm」は、牛乳のCO2排出レートを示す。「Rs」は、砂糖のCO2排出レートを示す。「Rw」は、水のCO2排出レートを示す。「Rb」は、ボトルのCO2排出レートを示す。「Rp」は、キャップのCO2排出レートを示す。「Re」は、電力のCO2排出レートを示す。「Rg」は、ガスのCO2排出レートを示す。ガスのCO2排出レートは、ガスの生産過程で排出されたCO2の量と飲料工場におけるガスの燃焼によって生じるCO2の量を加味している。このように、資源のCO2排出レートは、資源の単位量当たり(たとえば、g(グラム)、L(リットル)、個数およびkWhなど)の値として、資源の製造及び/又は使用によって排出される二酸化炭素の量を示す。そして、各資源の予定CO2排出量を合計すると、製品A1個に相当する予定CO2排出量が得られる。
【0017】
図3(A)は、製品B:標準コーヒーの予定原単位データの構成図である。
製品B:標準コーヒーは、ブラックコーヒーとの違いは、原材料として牛乳も使用する点である。コーヒー粉、砂糖、水、電力およびガスの予定原単位は、製品A:ブラックコーヒーの場合と異なる。ボトルとキャップの予定原単位は、製品A:ブラックコーヒーの場合と同じである。製品B:標準コーヒーでは、混合するコーヒー原液の量が、製品A:ブラックコーヒーよりも少ないので、コーヒー粉の予定原単位が製品Aよりも少ない。
【0018】
図3(B)は、製品B:標準コーヒーの予定CO2排出量データの構成図である。
予定CO2排出量の求め方は、製品A:ブラックコーヒーの場合と同様である。
【0019】
図4(A)は、製品C:ミルクコーヒーの予定原単位データの構成図である。
製品C:ミルクコーヒーでは、原材料として牛乳も使用する。コーヒー粉、砂糖、水、電力およびガスの予定原単位は、製品A:ブラックコーヒーの場合および製品B:標準コーヒーの場合と異なる。また、牛乳の予定原単位は、製品B:標準コーヒーの場合よりも多い。ボトルとキャップの予定原単位は、製品A:ブラックコーヒーおよび製品B:標準コーヒーの場合と同じである。製品C:ミルクコーヒーでは、混合するコーヒー原液の量が更に少ないので、コーヒー粉の予定原単位が製品Bよりも少ない。
【0020】
図4(B)は、製品C:ミルクコーヒーの予定CO2排出量データの構成図である。
予定CO2排出量の求め方は、製品A:ブラックコーヒーおよび製品B:標準コーヒーの場合と同様である。
【0021】
一般的には、上述のように予定原単位に基づいてCO2排出量を計算する方法が考えられている。ただし、予定原単位は、見込値であって、実際の使用数量とは異なることがある。つまり、予定原単位の通りに資源を消費するとは限らない。特に電力およびガスなどは、原単位を正確に予測すること自体がむずかしく、実際の使用数量と合っていないこともある。
【0022】
そこで、本実施形態では、資源の実際の使用数量に基づいてCO2排出量を計算する方法を提案する。そのために、実情に即した原単位(以下、「実原単位」)を求めることとする。たとえば、上述した3つの製品を製造する飲料工場の場合、3つの製品の製造プロセスのそれぞれに関して、そのプロセスで使用された資源の使用数量を得ることができれば、その使用数量を製造数量で割ることによって、実原単位を求めることができる。なお、以下では、使用される資源の数量を「使用数量」といい、製造される製品の数量と「製造数量」といい、排出されるCO2の数量(たとえば、重量や体積)を「CO2排出量」という。また、予定原単位は、製造前に製品1個当たりに使用すると予定した数量であり、実原単位は製造で実際に製品1当たりに使用した数量である。予定原単位と実原単位は、共に製品1個あたりの資源の数量を示す意味で、いずれも原単位である。
【0023】
図5は、複数の専用の製造ラインの例を示す図である。
理想的には、製品A:ブラックコーヒーの製造プロセス106専用の製品Aの製造ラインと、製品B:標準コーヒーの製造プロセス116専用の製品Bの製造ラインと、製品C:ミルクコーヒーの製造プロセス126専用の製品Cの製造ラインとを別々に設ける。
【0024】
製品Aの製造ラインは、コーヒー液抽出工程100a専用のコーヒー液抽出機700aと、ブラックコーヒー混合工程102専用の液体混合機702aと、ブラックコーヒーボトリング工程104専用のボトリング機704aとを含む。電力計量器710aは、コーヒー液抽出機700aと液体混合機702aとボトリング機704aで使用される電力の量を計測する。また、ガス計量器712aは、コーヒー液抽出機700aと液体混合機702aで使用されるガスの量を計測する。
【0025】
そして、計測された電力量を、製造したボトル入りブラックコーヒー108の個数で割れば、製品A:ブラックコーヒーにおける電力の実原単位が求められる。また、計測されたガス量を、製造したボトル入りブラックコーヒー108の個数で割れば、製品A:ブラックコーヒーにおけるガスの実原単位が求められる。
【0026】
製品Bの製造ラインについても同様に、コーヒー液抽出工程100b専用のコーヒー液抽出機700bと、標準コーヒー混合工程112専用の液体混合機702bと、標準コーヒーボトリング工程114専用のボトリング機704aとを含む。電力計量器710bで、コーヒー液抽出機700bと液体混合機702bとボトリング機704bに関する電力の使用量を計測し、ガス計量器712bでコーヒー液抽出機700bと液体混合機702bに関するガスの使用量を計測する。
【0027】
そして、計測された電力の使用量を、製造したボトル入り標準コーヒー118の個数で割れば、製品B:標準コーヒーにおける電力の実原単位が求められる。また、計測されたガスの使用量を、製造したボトル入り標準コーヒー118の個数で割れば、製品B:標準コーヒーにおけるガスの実原単位が求められる。
【0028】
製品Cの製造ラインについても同様に、コーヒー液抽出工程100c専用のコーヒー液抽出機700cと、ミルクコーヒー混合工程122専用の液体混合機702cと、ミルクコーヒーボトリング工程124専用のボトリング機704cとを含む。電力計量器710cで、コーヒー液抽出機700cと液体混合機702cとボトリング機704cに関する電力の使用量を計測し、ガス計量器712cでコーヒー液抽出機700cと液体混合機702cに関するガスの使用量を計測する。
【0029】
そして、計測された電力の使用量を、製造したボトル入りミルクコーヒー128の個数で割れば、製品C:ミルクコーヒーにおける電力の実原単位が求められる。また、計測されたガスの使用量を、製造したボトル入りミルクコーヒー128の個数で割れば、製品C:ミルクコーヒーにおけるガスの実原単位が求められる。
【0030】
このように、製品のライン別に計量器が設けられていれば、製品別のガス使用量および電力使用量を計測できる。なお、ガス計量器712dは、都市ガスのガス管から飲料工場に供給されるガスの全体使用量を計測する。電力計量器710dは、電力会社送電線から飲料工場に供給される電力の全体使用量を計測する。
【0031】
図6は、1つの共用の製造ラインの例を示す図である。
複数種類の製品を製造する工場では、各製品に関して製造ラインを共用することも多い。この例では、1つの共用の製造ラインで製品A、製品Bおよび製品Cが製造される。共用の製造ラインは、コーヒー液抽出機700d、液体混合機702dおよびボトリング機704dを含む。コーヒー液抽出機700dは、コーヒー液抽出工程100a~100cで使用される。液体混合機702dは、ブラックコーヒー混合工程102、標準コーヒー混合工程112およびミルクコーヒー混合工程122で使用される。液体混合機702dは、ブラックコーヒーボトリング工程104、標準コーヒーボトリング工程114およびミルクコーヒーボトリング工程124で使用される。
【0032】
この例では、製造ラインに対するガス計量器は設けられていない。飲料工場におけるガス使用量をまとめて計測するガス計量器712dのみが設置されている。電力に関しても同様に、製造ラインに対する電力計量器は設けられていない。飲料工場における電力使用量をまとめて計測する電力計量器710dのみが設置されている。
【0033】
また、飲料工場では、製造ラインに含まれない装置も稼働している。装置および器具類を洗浄する時に使われるお湯を沸かすための給湯器724は、ガスを使用する。工場内を照らす照明装置714および工場内の空調を行う空調装置716は、電力を使用する。これらの設備も製品の製造に必要な環境の一部であるので、そのエネルギーに要するCO2排出量も計上する。ただし、3つ製品に対してどのように分配するかを簡単には決められない。
【0034】
この例では、自家発電として太陽光パネル718による太陽光発電が行われる。パワーコントローラー720から分電盤722に入る電力を優先して使用する。太陽光発電による電力は、電力生成時にCO2が生じないので、電力会社から供給される電力に関してのみCO2排出量を考慮すれば良い。したがって、晴れた日には電力会社から供給される電力は少なくて済むので、電力生成に係るCO2排出量は少なくなる。反対に、曇りまたは雨の日には、電力会社から供給される電力が多くなるので、電力生成に係るCO2排出量は多くなる。太陽光発電を利用することによって総合的にはCO2排出量が少なくなるが、その時々の天候によって太陽光発電がCO2排出量削減に寄与する程度は異なる。
【0035】
このように、ガス計量器712dで計測される工場全体としてのガス消費量および電力計量器710dで計測される工場全体の電力消費量に基づくCO2排出量を、3種類の製品の製造プロセスに対してどのように割り振るかを判断することは難しい問題である。
【0036】
図7は、複数の製造プロセスの直列稼働を示す図である。
図7の例では、複数の製造プロセスをある時間帯に並行して実行することなく、別の時間帯に実行することを、「直列稼働」と呼ぶ。具体的には、9時に製品A:ブラックコーヒーの製造プロセス106のコーヒー液抽出を始め、11時までに製品Aのボトリングを終える。12時に製品B:標準コーヒーの製造プロセス116のコーヒー液抽出を始め、14時までに製品Bのボトリングを終える。15時に製品C:ミルクコーヒーの製造プロセス126のコーヒー液抽出を始め、17時までに製品Cのボトリングを終える。このように、製品Aの製造プロセス106の稼働時間と、製品Bの製造プロセス116の稼働時間と、製品Cの製造プロセス126の稼働時間帯が分離しており、重ならない。
【0037】
この場合には、製品Aの製造プロセス106の稼働時間(9時~11時)に使用されたガスと電力の使用量によるCO2排出量を、製品Aの製造プロセス106に割り振ればよい。同様に、製品Bの製造プロセス116の稼働時間(12時~14時)に使用されたガスと電力の使用量によるCO2排出量を製品Bの製造プロセス116に割り振り、製品Cの製造プロセス126の稼働時間(15時~17時)に使用された電力とガスの使用量によるCO2排出量を製品Cの製造プロセス126に割り振ることができる。したがって、直列稼働の場合には、製造プロセス毎に電力とガスの使用量を把握して、各製品におけるCO2排出量に反映しやすい。
【0038】
また、原材料と部品の使用タイミングについても時間的に分かれているので、製造プロセス毎の使用数量を計測しやすい。ここでいう計測には、目視で部品の数をカウントする行為、計量器で液体および粉体の容積を測る行為、および重量計で容器を除く原材料自体の重さを測る行為なども含まれる。つまり、手作業で計測してもよいし、装置に付属するセンサなどで自動的に計測してもよい。
【0039】
図8は、複数の製造プロセスの並列稼働を示す図である。
図8の例では、複数の製造プロセスがある時間帯に同時に実行されることを、「並列稼働」と呼ぶ。具体的には、9時から10時までのコーヒー液抽出工程100dでは、製品A、製品Bおよび製品Cの分のコーヒー原液をまとめて抽出する。つまり、コーヒー液抽出工程100dは、実質的にコーヒー液抽出工程100aとコーヒー液抽出工程100bとコーヒー液抽出工程100cに相当する。コーヒー液抽出工程100dで使用されたコーヒー粉の使用量は、製品A、製品Bおよび製品Cのための使用量の合計である。
【0040】
その後、10時から12時までの間に、ブラックコーヒー混合工程102が単独で実施される。12時から14時までの間に、ブラックコーヒーボトリング工程104と標準コーヒー混合工程112が同時に実施される。14時から16時までの間に、標準コーヒーボトリング工程114とミルクコーヒー混合工程122が同時に実施される。16時から18時までの間に、ミルクコーヒーボトリング工程124が単独で実施される。
【0041】
このように、時間帯によって単独の製造プロセスが実施されることもあるし、複数の製造プロセスが同時に実施されることもある。実際には、図示した例よりも複雑になることもある。そのため、複雑に組み合わされる製造プロセスの実施状況に合わせて、電力およびガスなどの消費量を計測することはむずかしい。本実施形態では、電力およびガスなどの資源の原単位に関して製品間でのバランスが正しく見込まれていると想定して、実原単位を簡単に推定する方法を提案する。推定方法の詳細については、後述する。
【0042】
たとえば、3種類の製品をそれぞれ10個製造するときに、ガスの全体の予定使用数量が240Lであるのに対して、実際には全体としてその2倍の480Lが使用されたとする。3種類の製品におけるガスの予定原単位の比率(所定比率の例)が6:8:10であったとすれば、実原単位の比率も6:8:10になるように推定する。
図2~
図4に示したように、製品Aのガスの予定原単位は6Lであり、製品Bのガスの予定原単位は8Lであり、製品Cのガスの予定原単位は10Lである。上述したガスの全体の予定使用数量240Lは、これを根拠としている。上述のように実使用量が予定の2倍の480Lになったとすれば、製品Aのガスの実原単位も2倍の12Lになり、製品Bのガスの実原単位も2倍の16Lになり、製品Cのガスの実原単位も2倍の20Lになったと推定する。詳しい推定方法については、後述する。
【0043】
なお、ガスの予定原単位を高い精度で求めることが難しいケースでは、ガス原単位と相関関係があると推定される別の指標を代用してもよい。たとえば、ピザ屋で大きさの異なるピザを製造する場合に、大きいピザと小さいピザを焼くためのオーブンで使用されるそれぞれのピザの正確なガス原単位はわからない。しかし、大きいピザはオーブン内の広い領域を専有して焼かれ、一方小さいピザは狭い領域に収まり、一度にたくさん焼かれることを考慮すれば、ピザ1個のガス使用量はピザの重量および面積と相関関係を有すると推定される。したがって、大きいピザと小さいピザの重量の比率または面積の比率が一定になるように大きいピザと小さいピザのガス原単位を算出すれば、ある程度正しい実原単位を推測したことになる。ここでは、ガスに関する例示をしたが、電力およびコーヒー粉など他の資源(原材料、部品およびエネルギーなどに分類される任意の資源)についても同様である。また、重量および面積以外に製品の体積または売価など、他の指標を代用してもよい。体積または売価などが、CO2排出量に関わる原単位の資源と相関関係を有することは、製品個別の事情によって十分に起こり得ることである。
【0044】
図9は、使用数量の変動要因の例を示す図である。
上述したように実原単位は、必ずしも予定原単位と同じにならない。原単位の元となる使用数量などを正確に計測することが難しいこともその理由であるが、製品を製造する度にいろいろな要因で使用数量が変動することも理由の一つである。
図9では、ある日(2月10日)の飲料工場で起きた出来事によって、幾つかの資源において使用数量が予定と違った例を示す。
【0045】
コーヒー液抽出工程100dで、コーヒー粉から出るコーヒー成分が通常よりも少なくコーヒー原液が薄くなりそうだったので、コーヒー粉を1割増やした。したがって、コーヒー粉の実際の使用数量が予定よりも1割多くなる。ブラックコーヒーボトリング工程104で、キャップが1個破損していたので、キャップを1個補充した。したがって、キャップの実際の使用数量が予定よりも1個多くなる。ミルクコーヒー混合工程122で、品質に疑いのある牛乳1000gを捨てて、牛乳1000gを補充した。したがって、牛乳の実際の使用数量が予定よりも1000g多くなる。また、その日(2月10日)は晴天であったため太陽光発電量が多く、電力会社から受ける電力が通常よりも少なくて済んだ。したがって、電力の実際の使用数量が、太陽光発電で多く電力を得られた分だけ、予定よりも少なくなる。
【0046】
図10は、予定使用数量データの構成図である。
予定使用数量データは、製造を実施する前に生成可能である。予定使用数量データは、各製品の予定製造数量および各製品の予定原単位データに基づいて生成される。ここでいう「予定製造数量」とは、ある製品の一日あたりの製造個数として予定されている数量を意味する。
【0047】
その日(2月10日)の製造予定として、製品Aを100個、製品Bを150個、製品Cを50個製造することにした。したがって、予定したトータルの製造数量(以下、「予定全数量」という)は、300個(=100+150+50)である。図示するように、製品Aの予定製造数量「100個」、製品Bの予定製造数量「150個」、製品Cの予定製造数量「50個」および予定全数量「300個」が予定使用数量データに含まれる。
【0048】
3製品の各資源について、その製品のその資源における予定原単位(
図2(A)、
図3(A)、
図4(A))にその製品の予定製造数量を乗じることによって、その製品のその資源における予定使用数量が求められる。たとえば、製品Aのコーヒー粉について、製品Aのコーヒー粉における予定原単位「12g」に製品Aの予定製造数量「100個」を乗じることによって、製品Aの製造プロセス106におけるコーヒー粉の予定使用数量「1200g」が求められる。
【0049】
また、資源毎に各製品の予定使用数量を合算することによって、全体の予定使用数量が求められる。たとえば、コーヒー粉について、製品Aの予定使用数量「1200g」と製品Bの予定使用数量「1500g」と製品Cの予定使用数量「400g」を合算して、全体の予定使用数量「3100」が求められる。したがって、2月10日の製品A、B、Cの製造に必要なコーヒー粉は、3100gである。この時点で、計画段階を終了する。
【0050】
製造段階に移って、実際の使用数量(以下、「実使用数量」という)を計測する。コーヒー粉、水、電力およびガスについては、すべての製品の分をまとめた実使用数量を計測する。つまり計測範囲が、製品Aの製造プロセス106と製品Bの製造プロセス116と製品Cの製造プロセス126を包含する「全体」である。一方、牛乳、砂糖、ボトルおよびキャップについては、製品プロセス別の実使用数量を計測する。つまり計測範囲が、製品Aの製造プロセス106、製品Bの製造プロセス116または製品Cの製造プロセス126である。この図では、製造段階で計測される実使用数量に対応する予定使用数量を太線枠で囲っている。たとえば、コーヒー粉については、「全体」で「3100g」を使用する予定であるのに対して、実際にはどれだけコーヒー粉が使用されたかを計測する。また、砂糖については、製品Aの製造プロセス106で「1000g」使用する予定であるのに対して実際にはどれだけ使用されたか、製品Bの製造プロセス116で「3000g」使用する予定であるのに対して実際にはどれだけ使用されたか、さらに製品Cの製造プロセス126で「2000g」使用する予定であるのに対して実際にはどれだけ使用されたか、を計測する。
【0051】
図11は、製品A:ブラックコーヒーの算出データの構成図である。
算出データは、製造段階で実際に製造された製品の数量(以下、「実製造数量」という)と、計測された実使用数量とに基づいて実原単位および実際のCO2排出量(以下、「実CO2排出量」という)を算出する過程を示すデータである。この図で、計測された使用数量を太線枠で囲っている。また、参考のために予定値をかっこ書きで表している。算出データは、実製造数量を含む。この例では、100個のボトル入りブラックコーヒー108が製造され、すべて最終検査で出荷可能な適合品となったことを示している。最終検査で不適合品となったものについては、実製造数量に加えられない。
【0052】
たとえば、コーヒー粉については、「全体」で「3100g」を使用する予定であったのに対して、実際には1割増しの「3410g」が使用されている。キャップについて、製品Aの製造プロセス106で「100個」を使用する予定であったのに対して、実際には1個多い「101個」が使用されている。また、電力について、「全体」で「35kWh」の電力量を使用する予定であったのに対して、実際には半分の「17.5kWh」が使用されている。
【0053】
「全体」の実使用数量を計測したコーヒー粉、水、電力およびガスについては、その実使用数量から製品Aの製造プロセス106の実使用数量に相当する使用数量(以下、「推定使用数量」という)が推定される。推定方法については、後述する。その推定使用数量が、製品Aの製造プロセス106において消費された数量(以下、「消費数量」という)となる。たとえば、コーヒー粉に関して、「全体」の実使用数量「3410g」から推定された製品Aの製造プロセス106の推定使用数量「1320g」がそのままコピーされ、製品Aの製造プロセス106の消費数量「1320g」となる。消費数量は、実原単位を求める基礎となる数量を指す。製品Aの製造プロセス106の推定使用数量「1320g」の求め方については、式7に関連して後述する。
【0054】
一方、製造プロセス別の実使用数量を計測した牛乳、砂糖、ボトルおよびキャップについては、その実使用数量が、そのままその製造プロセスにおける消費数量となる。たとえば、砂糖に関して、製品Aの製造プロセス106の実使用数量「1000g」がそのままコピーされ、製品Aの製造プロセス106の消費数量「1000g」となる。
【0055】
各資源について、消費数量を実製造数量で除することによって、実原単位が求められる。たとえば、コーヒー粉に関して、製品Aの製造プロセス106の消費数量「1320g」を製品Aの実製造数量「100個」で除することによって、製品Aの実原単位「13.2g」が求められる。また、砂糖に関して、製品Aの製造プロセス106の消費数量「1000g」を製品Aの実製造数量「100個」で除することによって、製品Aの実原単位「10g」が求められる。
【0056】
そして、各資源について、実原単位にその資源におけるCO2排出レートを乗ずることによって、製品Aの1個を得るために実際に排出されたCO2量(以下、「実CO2排出量」という)が算出される。たとえば、コーヒー粉に関して、製品Aの実原単位「13.2g」にコーヒー粉のCO2排出量「Rc」を乗ずることによって、製品Aの実CO2排出量「13.2×Rc」が求められる。また、砂糖に関して、製品Aの実原単位「10g」に砂糖のCO2排出量「Rs」を乗ずることによって、製品Aの実CO2排出量「10×Rs」が求められる。最終的に、製品Aについて、各資源の実CO2排出量が合算され、製品A1個当たりの実CO2排出量が求められる。
【0057】
図12は、製品B:標準コーヒーの算出データの構成図である。
コーヒー粉については、実使用数量と実CO2排出量ともに予定値よりも増加している。電力については、実使用数量と実CO2排出量ともに予定値よりも減少している。
【0058】
図13は、製品C:ミルクコーヒーの算出データの構成図である。
製品C:ミルクコーヒーの場合も、コーヒー粉と牛乳については、実使用数量と実CO2排出量ともに予定値よりも増加している。電力については、実使用数量と実CO2排出量ともに予定値よりも減少している。
【0059】
各製品の実原単位は製造日付と対応付けられ、実原単位データとして
図14に関連して後述する実原単位データ記憶部262に記憶される。各製品の1個当たりの実CO2排出量は製造日付と対応付けられ、実CO2排出量データとして、
図14に関連して後述する実CO2排出量データ記憶部264に記憶される。
【0060】
ここで、「全体」の実使用数量から製品Aの製造プロセス106の実使用数量を推定する方法について説明する。この方法では、以下に示す2つ条件を満たすように推定の計算を行う。
【0061】
第1条件は、「全体」で計測された資源(たとえば、コーヒー粉)の実使用数量が、各種類の製品(たとえば、製品A、製品Bおよび製品C)におけるその資源の実原単位にその種類の製品の実製造数量を乗じた値(積)の合計と一致するということである。例示したコーヒー粉について「全体」で計測された実使用数量「3410g」は、製品Aの実原単位「13.2g」×製品Aの実製造数量「100個」と、製品Bの実原単位「11g」×製品Bの実製造数量「150個」と、製品Cの実原単位「8.8g」×製品Bの実製造数量「50個」の合計(1320g+1650g+440g)と一致する。
【0062】
第2条件は、各種類の製品(たとえば、製品A、製品Bおよび製品C)における「全体」で計測された資源(たとえば、コーヒー粉)の実原単位の比率が所定の按分比率と一致する。所定の按分比率は、「全体」で計測された資源に関する各種類の製品の1個当たりの消費量の比率を示す。所定の按分比率は、式1のように各種類の製品の項によって構成される。
所定の按分比率=製品Aの項:製品Bの項:製品Cの項 (式1)
【0063】
たとえばコーヒー粉の所定の按分比率について、製品Aの項=12、製品Bの項=10、製品Cの項=8であるものとする(
図21参照)。この例では各製品の項の値を、各製品におけるコーヒー粉の予定原単位(「12g」、「10g」および「8g」)と一致させている(
図2(A)、
図3(A)、
図4(A))。つまり、この場合の比率基準は、コーヒー粉の予定原単位である。比率基準とは、所定の按分比率として使用される情報の種類を指す。この所定の按分比率の例は、製品A:ブラックコーヒーの1個は、製品B:標準コーヒーの1個よりも2割多くコーヒー粉を消費し、製品C:ミルクコーヒーの1個は、製品B:標準コーヒーの1個よりも2割少ないコーヒー粉を消費することを意味している。
【0064】
そして、各製品の製造プロセスの推定使用数量を比の形式で表すと式2が成り立つ。式2の理解について助けを必要とする読者のために補足説明する。たとえば、使用された資源の重量と、抽出された成分量とが比例することに着目する。そして、製品3種に関して資源の重量の比と、抽出された成分量の比とが一致することをイメージするとわかりやすい。つまり、このイメージでは、式2の左辺は、資源の重量の比に相当し、式2の右辺は、成分量(=1製品当たりの成分量と製品数の積)の比に相当すると考える。この場合、各製品の項は、1製品当たりの成分量であるととらえられる。ただし、ここで述べたイメージは式2の理解を助けるためのものであって、式2の意味を限定する意図はない。便宜的な例示であって、必ずしも成分量をイメージすべきものではなく、熱量、時間あるいは商品価値など他の概念をイメージして理解できることもある。
製品Aの製造プロセス106の推定使用数量:製品Bの製造プロセス116の推定使用数量:製品Cの製造プロセス16の推定使用数量
=製品Aの項×製品Aの実製造数量:製品Bの項×製品Bの実製造数量:製品Cの項×製品Cの実製造数量 (式2)
【0065】
コーヒー粉について例示した数値を式2に当てはめると、式3のようになる。
1320g:1650g:440g=12×100個:10×150個:8×50個
=1200:1500:400 (式3)
【0066】
したがって、式2に示した各製品の製造プロセスの推定使用数量の比に従って「全体」の実使用数量を按分して、各製品の製造プロセスの推定使用数量を求めることができる。製品Aの製造プロセス106の推定使用数量は、式4と式5によって求められる。
製品Aの製造プロセス106の推定使用数量
=「全体」の実使用数量×(製品Aの項×製品Aの実製造数量/分母)(式4)
分母=製品Aの項×製品Aの実製造数量+製品Bの項×製品Bの実製造数量+製品Cの項×製品Cの実製造数量 (式5)
【0067】
コーヒー粉について例示した数値を式5と式4に当てはめると、式6と式7のようになる。
分母=12×100個+10×150個+8×50個
=1200+1500+400=3100 (式6)
製品Aの製造プロセス106の推定使用数量
=3410g×(12×100個/3100)
=1320g (式7)
【0068】
なお製品Bの製造プロセス116の推定使用数量は、式8よって求められ、製品Cの製造プロセス126の推定使用数量は、式9によって求められる。
製品Bの製造プロセス116の推定使用数量
=「全体」の実使用数量×(製品Bの項×製品Bの実製造数量/分母)(式8)
製品Cの製造プロセス126の推定使用数量
=「全体」の実使用数量×(製品Cの項×製品Cの実製造数量/分母)(式9)
【0069】
このように、コーヒー粉の「全体」の実使用数量およびコーヒー粉の所定の按分比率に基づいて、製品Aの製造プロセス106、製品Bの製造プロセス116および製品Cの製造プロセス126の推定使用数量を求めることができる。また、ここではコーヒー粉の例を示したが、水、電力およびガスについても同様である。つまり、水の「全体」の実使用数量および水の所定の按分比率に基づいて、製品Aの製造プロセス106、製品Bの製造プロセス116および製品Cの製造プロセス126における水の推定使用数量を求めることができる。電力の「全体」の実使用数量および電力の所定の按分比率に基づいて、製品Aの製造プロセス106、製品Bの製造プロセス116および製品Cの製造プロセス126における電力の推定使用数量を求めることができる。ガスの「全体」の実使用数量およびガスの所定の按分比率に基づいて、製品Aの製造プロセス106、製品Bの製造プロセス116および製品Cの製造プロセス126におけるガスの推定使用数量を求めることができる。
【0070】
なお、最終検査で不適合品が見つかると、実製造数量が予定製造数量よりも少なくなる。たとえば、製品Aの製造プロセス106において予定製造数量「100個」で製造を開始して、最終検査で不適合品が1個見つかると実製造数量が「99個」になる。したがって、実製造数量が「100個」である場合に比べて、各資源の実原単位は100/99倍となり、少し大きくなる。つまり、歩留りが悪いと、実原単位は大きくなる。
【0071】
図14は、CO2排出量算出装置200の機能ブロック図である。
CO2排出量算出装置200の各構成要素は、CPU(Central Processing Unit)および各種コプロセッサ(Coprocessor)などの演算器、メモリおよびストレージといった記憶装置、それらを連結する有線または無線の通信線を含むハードウェアと、記憶装置に格納され、演算器に処理命令を供給するソフトウェアによって実現される。コンピュータプログラムは、デバイスドライバ、オペレーティングシステム、それらの上位層に位置する各種アプリケーションプログラム、また、これらのプログラムに共通機能を提供するライブラリによって構成されてもよい。図示した各ブロックは、主に機能単位のブロックを示している。各ブロックは、記憶装置に記憶されているプログラムを演算器に実行させることによって実現してもよい。後述するユーザ端末500の場合も同様である。
【0072】
CO2排出量算出装置200は、ユーザインターフェース処理部210、データ処理部280、ネットワーク通信部240、近距離無線通信部242、有線通信部244およびデータ格納部250を含む。ユーザインターフェース処理部210は、マウスまたはタッチパネルなどを介して作業者からの操作を受け付けるほか、画像表示および音声出力など、ユーザインターフェース処理を担当する。ネットワーク通信部240は、ネットワークを介した通信処理を担当する。近距離無線通信部242は、近距離無線による通信処理を担当する。有線通信部244は、有線による通信処理を担当する。データ格納部250は各種データを格納する。データ処理部280は、ネットワーク通信部240と近距離無線通信部242と有線通信部244により取得されたデータおよびデータ格納部250に格納されているデータに基づいて各種処理を実行する。データ処理部280は、ユーザインターフェース処理部210、ネットワーク通信部240、近距離無線通信部242、有線通信部244およびデータ格納部250のインターフェースとしても機能する。CO2排出量算出装置200は、図形コードリーダ300、RFID(Radio Frequency Identification)リーダ302、図形コードプリンタ306およびRFIDライタ308と近距離無線あるいは有線によって通信可能である。また、CO2排出量算出装置200は、スマートフォンおよびタブレット端末などの装置と近距離無線あるいは有線によって通信可能である。このように、CO2排出量算出システムは、CO2排出量算出装置200、図形コードリーダ300、RFIDリーダ302、情報入力端末304、図形コードプリンタ306およびRFIDライタ308を含むことができる。
【0073】
ユーザインターフェース処理部210は、作業者の操作によってデータを入力する入力部220と作業者へ提供するデータを出力する出力部230を有する。出力方法として、ディスプレイに表示する例を示すが、印刷または情報処理端末(たとえば、管理者端末)への送信などであってもよい。
【0074】
データ処理部280は、取得部282、算出部284、アップロード部286、URL(Uniform Resource Locator)記録部288および暗号化/復号部290を有する。取得部282は、WEBサーバのURLへアクセスして、原材料および部品などのCO2排出量データを得る。算出部284は、原単位およびCO2排出量など算出を行い、原単位算出部292および排出量算出部294を含む。原単位算出部292は、実原単位を算出する。排出量算出部294は、実CO2排出量を算出する。アップロード部286は、CO2排出量データをWEBサーバにアップロードする。URL記録部288は、CO2排出量データURLを記録媒体に記録する。暗号化/復号部290は、各種データを暗号化し、暗号化されている各種データを復号する。
【0075】
データ格納部250は、予定原単位データ記憶部252、CO2排出レートデータ記憶部254、予定CO2排出量データ記憶部256、予定使用数量データ記憶部258、算出データ記憶部260、実原単位データ記憶部262、実CO2排出量データ記憶部264および按分比率データ記憶部266を有する。
予定原単位データ記憶部252は、予定原単位データ(
図2(A)、
図3(A)、
図4(A))を記憶する。初期の予定原単位は、運用を開始する前の準備段階で入力部220によって受け付けられているものとする。CO2排出レートデータ記憶部254は、CO2排出レートデータ(
図19)を記憶する。予定CO2排出量データ記憶部256は、予定CO2排出量データ(
図1(B)、
図2(B)、
図3(B))を記憶する。予定使用数量データ記憶部258は、予定使用数量データ(
図10)を記憶する。算出データ記憶部260は、算出データ(
図11、
図12、
図13)を記憶する。実原単位データ記憶部262は、過去分を含み、製品毎の各資源の実原単位が格納される実原単位データを記憶する。実CO2排出量データ記憶部264は、過去分を含み、各製品の実CO2排出量と、その製品の各資源の実CO2排出量とが格納される実CO2排出量データを記憶する。按分比率データ記憶部266は、按分比率データ(
図21)を記憶する。
【0076】
図形コードリーダ300は、図形コード(たとえば、バーコードまたはQRコード(登録商標))から各種情報(たとえば、URL)を読み取る。RFIDリーダ302は、RFIDタグから各種情報(たとえば、URL)を読み取る。図形コードプリンタ306は、図形コード(たとえば、バーコードまたはQRコード)をシールラベルなどに印刷する。RFIDライタ308は、RFIDタグに各種情報(たとえば、URL)を書き込む。
【0077】
図15は、メイン処理過程を示すフローチャートである。
入力部220は、各製品の予定製造数量を入力する(S10)。算出部284は、
図10に関連して説明したように、予定使用数量を算出する(S12)。予定使用数量は、参考として表示するために算出される。予定使用数量を用いなくても、実原単位および実CO2排出量を求めることができるので、予定使用数量の算出は省いてもよい。出力部230は、
図10に示した各製品の予定使用数量および「全体」の予定使用数量を表示する(S14)。データ処理部280は、入力画面処理を実行する(S16)。入力画面処理については、
図16に関連して後述する。データ処理部280は、出力画面処理を実行する(S18)。出力画面処理については、
図22に関連して後述する。
【0078】
図16は、入力画面処理過程を示すフローチャートである。
図16に示すフローチャートは、
図15に示した入力画面処理(S16)における詳細な処理を示している。
出力部230は、入力画面を表示する(S30)。入力画面については、
図17に関連して後述する。入力部220が、読取ボタン802(
図17)へのタッチを受け付けると(S32のY)、取得部282は、CO2排出レートを取得する取得処理を実行する(S34)。取得処理については、
図18に関連して後述する。
【0079】
入力部220が、比率ボタン806(
図17)へのタッチを受け付けると(S36のY)、出力部230は、按分比率画面を表示する(S38)。按分比率画面については、
図20に関連して後述する。入力部220が、計算ボタン809(
図17)へのタッチを受け付けると(S40)、原単位算出部292は、実原単位算出処理を実行する(S42)。実原単位算出処理において、原単位算出部292は、
図10~
図12に関連して説明したように、実原単位を算出する。排出量算出部294は、CO2排出量算出処理を実行する(S44)。CO2排出量算出処理において、排出量算出部294は、
図10~
図12に関連して説明したように、実CO2排出量を算出する。そして、
図15に示した出力画面処理(S18)へ戻る。
【0080】
図17は、入力画面の例を示す図である。
出力部230は、CO2排出レートデータ(
図19)に含まれる各資源のCO2排出レートを表示する。初回でCO2排出レートがまだ設定されていない場合には、CO2排出レートは表示されない。
【0081】
原材料および部品などの本体、容器または包装には、記録媒体(たとえば、バーコード、QRコードまたはRFIDタグなど)が付されており、記録媒体にはCO2排出量データのネットワーク上の格納場所を示すURL(以下、「CO2排出量データURL」という)が記録されている。入力部220が、いずれかの資源の読取ボタン802へのタッチを受け付けると、図形コードリーダ300とRFIDリーダ302が読取可能な状態になる。原材料および部品などの記録媒体から図形コードリーダ300またはRFIDリーダ302でCO2排出量データURLを読み取る。読み取られたCO2排出量データURLは、CO2排出量算出装置200に入力される。取得部282は、CO2排出量データURLへアクセスして、原材料および部品などのCO2排出量データを得る。このとき、ネットワーク通信部240は、CO2排出量データURLにアクセスして、CO2排出量データをダウンロードする。
【0082】
図18は、コーヒー粉のCO2排出量データの構成図である。
図示したように、たとえばコーヒー粉の場合、取得部282は、図形コードリーダ300においてコーヒー粉の容器に付された図形コード800aを読み取ることによってコーヒー粉CO2排出量データURL「https://bbb.xxx/trace/0122」を得る。あるいは、取得部282は、RFIDリーダ302においてコーヒー粉の容器に付されたRFIDタグからコーヒー粉CO2排出量データURLを得る。そして、取得部282は、コーヒー粉を提供する事業者「bbb」のWEBサーバ400bのコーヒー粉CO2排出量データURLにアクセスして、WEBサーバ400bからのレスポンスによってコーヒー粉のCO2排出量データを得る。製品としてのコーヒー粉は、100g入りでありその全体のCO2排出量を、CO2排出量(全体)として示している。また、1g当たりのCO2排出量を、CO2排出レートとして示している。
【0083】
取得部282は、CO2排出量データに含まれるCO2排出レートと、アクセスしたCO2排出量データURLを、その資源と対応付けてCO2排出レートデータに書き込む。
【0084】
図19は、CO2排出レートデータの構成図である。
CO2排出レートデータは、資源毎に、CO2排出レートとCO2排出量データURLを格納するようになっている。
【0085】
なお、電力については、電力会社のWEBサイトにおいて表示された図形コードを読み取ることによって、CO2排出量データURLを得るようにすることが考えられる。また、同様にガスについても、ガス会社のWEBサイトにおいて表示された図形コードを読み取ることによって、CO2排出量データURLを得るようにしてもよい。
【0086】
図17に示した入力画面の説明に戻る。出力部230は、上述のようにして得られたCO2排出レートを表示する。CO2排出レートを更新する必要がない場合には、読取ボタン802にタッチせずに、入力画面に表示されているCO2排出レートを使用することができる。
【0087】
出力部230は、各資源に関する実使用数量の数値エリア804を表示する。作業者は、数値エリア804に実使用数量の値を入力し、入力部220は、各資源の実使用数量を受け付け、算出データ(
図11、
図12、
図13)に設定する。
【0088】
出力部230は、各製品に関する実製造数量の数値エリア808を表示する。作業者は、数値エリア808に実製造数量の値を入力し、入力部220は、各製品の実製造数量を受け付け、算出データ(
図11、
図12、
図13)に設定する。
【0089】
入力部220が資源に対応する比率ボタン806のタッチを受け付けた場合には、出力部230は、その資源に関する按分比率画面を表示する。ただし、実使用数量を「全体」で計測する資源に限り、比率ボタン806が表示される。製品毎に実使用数量を計測する資源については、按分による製品別の使用数量の推定を行わないからである(
図11、
図12、
図13参照)。
【0090】
図20は、按分比率画面の例を示す図である。
ここでは、電力に関する按分比率画面の例を示す。出力部230は、電力の所定の按分比率を大きい数字で表示する。この例で、電力の所定の按分比率における製品Aの項は「0.10」であり、製品Bの項は「0.12」、製品Cの項は「0.14」である。これらの値は、電力の予定原単位の値と一致する(
図2(A)、
図3(A)、
図4(A))。つまり、この例に示した電力の所定の按分比率では、電力の予定原単位を比率基準としている。
【0091】
原則として、その資源の予定原単位を比率基準とすることを推奨している。ただし、その資源の予定原単位以外を比率基準とすることもできる。出力部230は、比率基準の候補とその候補における各製品の値を表示する。この例では、比率基準の候補として、ロットの製造時間、ロットの加熱時間、容量、製品売値、利益率、原価率、任意基準およびその属性以外の属性に関する予定原単位などを示しているが、これに限らず、任意の項目を比率基準の候補にすることができる。作業者が、ラジオボタン810で比率基準の候補を選択すれば、比率基準を変更することができる。その場合には、按分比率の各製品の項が、変更された比率基準における各製品の値に置き換えられる。比率基準として、任意基準が選択された場合には、作業者が各製品の任意値として数値エリア812に入力した値が採用される。決定ボタン814がタッチされた場合には、按分比率画面で選択されている比率基準と、その比率基準による按分比率とが、按分比率データに設定される。取消ボタン816がタッチされた場合には、按分比率データを更新せずにそのまま処理を終える。按分比率データについては、
図21に関連して後述する。
【0092】
なお、予定原単位以外の比率基準に関する情報は、製品基礎データとして製品基礎データ記憶部(不図示)に記憶されている。製品基礎データ記憶部は、データ格納部250に含まれる。
【0093】
図21は、按分比率データの構成図である。
按分比率データは、実使用数量を「全体」で計測する資源に関して、比率基準と比率基準を格納している。この図では、理解しやすくするために、g(グラム)およびL(リットル)などの単位も示している。
【0094】
図17に示した入力画面の説明に戻る。すべての資源に関する実使用数量およびすべての製品に関する実製造数量が入力された段階で、計算ボタン809がタッチされると、すべての資源に関する実使用数量およびすべての製品に関する実製造数量が、算出データ(
図11、
図12、
図13)として算出データ記憶部260に格納される。そして、原単位算出部292は、
図16のS42に示した実原単位算出処理を実行し、排出量算出部294は、S44に示したCO2排出量算出処理を実行する。そして、入力画面処理が終わり、
図15に示したS18の処理へ戻る。計算ボタン809がタッチされたときに、いずれかの実使用数量が未入力であった場合、あるいはいずれかの製品の実製造数量が未入力であった場合には、出力部230は、未入力の数量の入力を促す表示をする。
【0095】
実原単位算出処理(
図16のS42)について説明する。原単位算出部292は、「全体」で計測した各資源(コーヒー粉、水、電力およびガス)について実原単位を算出する。
図11、
図12および
図13に関連して説明したように、原単位算出部292は、まず式4、式5、式8および式9に基づいて推定使用数量を求める。
製品Aの製造プロセス106の推定使用数量
=「全体」の実使用数量×(製品Aの項×製品Aの実製造数量/分母)(式4)
分母=製品Aの項×製品Aの実製造数量+製品Bの項×製品Bの実製造数量+製品Cの項×製品Cの実製造数量 (式5)
製品Bの製造プロセス116の推定使用数量
=「全体」の実使用数量×(製品Bの項×製品Bの実製造数量/分母)(式8)
製品Cの製造プロセス126の推定使用数量=
=「全体」の実使用数量×(製品Cの項×製品Cの実製造数量/分母)(式9)
【0096】
算出対象の資源における製品Aの項、製品Bの項および製品Cの項は、按分比率データ記憶部266の按分比率データ(
図21)から得られる。製品Aの実製造数量、製品Bの実製造数量および製品Cの実製造数量は、算出データ記憶部260の算出データ(
図11、
図12、
図13)から得られる。これらを上述の式に代入すれば、製品Aの製造プロセス106における推定使用数量、製品Bの製造プロセス116における推定使用数量および製品Cの製造プロセス126における推定使用数量が算出される。各推定使用数量は、算出データ記憶部260に算出データ(
図11、
図12、
図13)として格納される。
【0097】
原単位算出部292は、
図11、
図12および
図13に関連して説明したように、製品毎に各資源の消費数量を特定して算出データに格納する。そして、原単位算出部292は、製品毎の各資源について、消費数量をその製品の実製造数量で除して実原単位を算出する。算出された実原単位は、算出データ記憶部260に算出データ(
図11、
図12、
図13)として格納され、さらに実原単位データ記憶部262に実原単位データとして製造日付と対応付けて格納される。
【0098】
CO2排出量算出処理(
図16のS44)について説明する。排出量算出部294は、製品毎の各資源について、実原単位にその資源のCO2排出レートを乗じて実CO2排出量を算出する。資源のCO2排出レートは、CO2排出レートデータ記憶部254のCO2排出レートデータ(
図19)から得られる。算出された実CO2排出量は、算出データに格納される。排出量算出部294は、製品毎に各資源の実CO2排出量を合算して、その製品1個当たりの実CO2排出量を算出する。製品の実CO2排出量とその製品の各資源の実CO2排出量は、製造日付と対応付けて実CO2排出量データ記憶部264に実CO2排出量データとして格納される。
【0099】
図22は、出力画面処理過程を示すフローチャートである。
図22に示すフローチャートは、
図15に示した出力画面処理(S18)における詳細な処理を示している。出力部230は、製品毎に以下の処理を繰り返す(S50)。出力部230は、たとえば製品A、製品B、製品Cの順に処理する。出力部230は、各製品の出力画面を表示する(S52)。出力画面については、
図23に関連して後述する。
【0100】
入力部220が原単位ボタンへのタッチを受け付けると(S54のY)、原単位画面処理(S56)に移る。原単位画面処理については、
図25に関連して後述する。入力部220は、登録ボタンへのタッチを受け付けると(S58のY)、アップロード処理に移る(S60)。アップロード処理については、
図23に関連して後述する。アップロード処理を終えると、その製品の出力画面が閉じられる。出力部230が未処理の製品があると判定した場合には(S62のY)、S50に戻って次の製品に関する処理を繰り返す。未処理の製品がなければ、出力画面処理を終える。
【0101】
図23は、出力画面の例を示す図である。
出力画面には、主として算出結果が表示される。具体的には、出力部230は、対象製品の予定原単位データ(
図1(A)、
図2(A)、
図3(A))に含まれる各資源の予定原単位を表示する。予定原単位は、計算された実原単位と比較する参考情報として表示される。
【0102】
出力部230は、実原単位データに含まれる対象製品の各資源の実原単位を表示する。さらに、出力部230は、実CO2排出量データに含まれる対象製品の各資源の実CO2排出量と、それらの合計である対象製品の実CO2排出量を表示する。
【0103】
入力部220が、戻るボタン820へのタッチを受け付けた場合には、その製品に関する入力画面処理を再実行し、実使用数量の数値エリア804と実製造数量の数値エリア808の数値を入力し直して、再計算できる。
【0104】
入力部220が、原単位ボタン822へのタッチを受け付けた場合には、出力部230は、その製品に関する原単位画面を表示する。原単位画面については、
図25に関連して後述する。
【0105】
入力部220が、登録ボタン824へのタッチを受け付けた場合には、アップロード部286は、アップロード処理(
図22のS60)において、CO2排出量データをWEBサーバにアップロードする。つまり、製品のCO2排出量データURLが示す格納場所に製品のCO2排出量データが格納される。また、URL記録部288が、製品に付される記録媒体にCO2排出量データURLを記録する処理を行うようにしてもよい。URL記録部288が記録媒体に記録する処理は、アップロードの前に行われていてもよいし、アップロードの後に行われてもよい。
【0106】
図24は、製品A:ブラックコーヒーのCO2排出量データの構成図である。
この例では、飲料工場の事業者「aaa」のWEBサーバ400aのブラックコーヒーCO2排出量データURL「https://aaa.xxx/trace/0121」が示す格納場所に、図示した製品A:ブラックコーヒーのCO2排出量データが格納される。したがって、ボトル入りブラックコーヒー108に付された図形コード800bに記録されたブラックコーヒーCO2排出量データURLにアクセスされた場合に、このCO2排出量データがレスポンスとして送信されるようになっている。
【0107】
CO2排出量データには、製品全体のCO2排出量を示すCO2排出量(全体)の他に、各資源のCO2排出量も含まれる。各資源には、その資源の排出量データが格納されているCO2排出量データURLが対応付けられている。また、単位量(この例では、ml)当たりのCO2排出量を示すCO2排出レートも含まれる。
【0108】
図25は、原単位画面の例を示す図である。
作業者は、原単位画面において今回および過去分の実原単位を参照するとともに、予定原単位を修正することができる。
【0109】
出力部230は、各資源の予定原単位の数値エリア830に、対象製品の予定原単位データ(
図1(A)、
図2(A)、
図3(A))に含まれる資源の予定原単位を表示する。作業者は、数値エリア830に表示された資源の予定原単位の値を書き換えることができる。入力部220は、書き換えられた資源の予定原単位の値を受け付ける。
【0110】
出力部230は、各資源の今回の実原単位と過去分の実原単位を表示する。また、出力部230は、各資源について今回を含む10日分の実原単位の平均を表示する。この例では、今回を含む10日分の実原単位と平均を表示しているが、10日より長い期間を対象としてもよいし、10日より短い期間を対象としてもよい。
【0111】
特に「全体」で計測した各資源(コーヒー粉、水、電力およびガス)の実原単位は、推定に基づく値であるので、按分比率が実態と一致していない場合には誤差が生じる可能性がある。各製品の実製造数量のバランスが変動する場合(たとえば製品Aを多く製造する日がある一方、製品Cを多く製造する日があるような場合)には、按分比率の誤差によって実原単位がばらつくことが考えられる。過去分の実原単位を参照することによって、作業者はばらつきの大きさを把握して、按分比率の適正度合いを推測することができる。作業者が適用ボタン832にタッチして、入力部220が、適用ボタン832へのタッチを受け付けた場合には、10日分の実原単位の平均の値が、予定原単位の数値エリア830にコピーされる。つまり、実原単位の平均の値を予定原単位にフィードバックすることができる。
【0112】
作業者が自動適用スイッチ834をONにすると、データ処理部の自動更新部(不図示)が、所定間隔(たとえば、10日おき)で今回を含む所定期間(たとえば、10日分)の実原単位の平均を求めて、その平均の値を予定原単位にコピーする。つまり、実原単位の平均の値が自動的に予定原単位にフィードバックされる。作業者が全自動適用スイッチ836をONにした場合には、表示されているすべての自動適用スイッチ834がONになる。ここでは、平均の例を示したが、最頻値または中央値など他の統計値を用いるようにしてもよい。
【0113】
ある資源の按分比率の基準をその資源の予定原単位とし、さらに手動あるいは自動で実原単位の平均の値を予定原単位にフィードバックすれば、自ずと実原単位のばらつきが小さくなり、予定原単位のバランスが実態に合うように調整されると期待される。
【0114】
入力部220が、決定ボタン838へのタッチを受け付けた場合には、予定原単位の数値エリア830の値が、予定原単位データに書き込まれる。また、自動適用スイッチ834がONであれば、自動更新部によってその資源における実原単位の平均の値を自動的に予定原単位にフィードバックする処理を開始する。そして、原単位画面の処理を終える。入力部220が取消ボタン840を受け付けた場合には、そのまま原単位画面の処理を終える。
【0115】
図26は、CO2排出量表示画面の例を示す図である。
製品の購入者などのユーザは、ユーザ端末で図形コードあるいはRFIDタグを読み取ることによって、
図24に示したCO2排出量データの内容を参照することができる。ここで示したブラックコーヒーCO2排出量データウィンドウ602には、製品としての「全体」のCO2排出量の他に、各資源のCO2排出量も表示される。
【0116】
また、資源名を表示する参照ボタン850がタッチされると、その資源のCO2排出量データURLから得られるCO2排出量データの内容を示すCO2排出量データウィンドウが表示される。この図では、コーヒー粉の参照ボタン850がタッチされ、コーヒー粉CO2排出量データウィンドウ604が表示される例を示している。なお、CO2排出量データの内容については、製品ロット単位で表示を変えるように図形コードあるいはRFIDタグを変えてもよいし、製品ロットに関わらず、最新データを表示させるようにしてもよい。
【0117】
図27は、ユーザ端末500の機能ブロック図である。
ユーザ端末500は、ユーザインターフェース処理部510、データ処理部580、ネットワーク通信部540、近距離無線通信部542およびデータ格納部550を含む。ユーザインターフェース処理部510は、マウスまたはタッチパネルなどを介してユーザからの操作を受け付けるほか、画像表示および音声出力など、ユーザインターフェース処理を担当する。ネットワーク通信部540は、ネットワークを介した通信処理を担当する。近距離無線通信部542は、近距離無線による通信処理を担当する。データ格納部550は各種データを格納する。データ処理部580は、ネットワーク通信部540と近距離無線通信部542により取得されたデータおよびデータ格納部550に格納されているデータに基づいて各種処理を実行する。データ処理部580は、ユーザインターフェース処理部510、ネットワーク通信部540、近距離無線通信部542およびデータ格納部550のインターフェースとしても機能する。この他、ユーザ端末500は、RFIDリーダ544とカメラ546(あるいは、図形コードリーダ)を内蔵する。RFIDリーダ544とカメラ546(あるいは、図形コードリーダ)は、外付けでもよい。
【0118】
ユーザインターフェース処理部510は、ユーザの操作によってデータを入力する受付部520とユーザへ提供するデータを出力する出力部530を有する。出力部530は、CO2排出量データを出力するCO2排出量データ出力部532を含む。
【0119】
データ処理部580は、CO2排出量データURLを取得するURL取得部582と、ディスプレイに表示するウィンドウを制御するウィンドウ制御部584を含む。
【0120】
URL取得部582は、製品に付された図形コード(たとえば、バーコードまたはQRコード)をカメラ546(あるいは、図形コードリーダ)に撮影させ、あるいは製品に付されたRFタグをRFIDリーダ544に読み取らせることによって、製品のCO2排出量データURLを取得する。
【0121】
ネットワーク通信部540は、取得されたCO2排出量データURLへアクセスして、製品のCO2排出量データをダウンロードする。ダウンロードは、ネットワーク上のコンピュータ(たとえば、WEBサーバ)からデータを受信することを意味する。受信されたデータは、不揮発性の記憶領域(たとえば、ハードディスク装置)に記憶されてもよいし、不揮発性の記憶領域に記憶されずに、揮発性の記憶領域(たとえば、ランダムアクセスメモリ)にのみ記憶されてもよい。CO2排出量データ出力部532は、ダウンロードされたCO2排出量データに基づいて、製品のCO2排出量データウィンドウを生成して、ディスプレイに表示する。CO2排出量データ出力部532は、製品のCO2排出量データの一部を表示してもよいし、製品のCO2排出量データの全部を表示してもよい。CO2排出量データ出力部532は、表示以外の態様(たとえば印刷または送信など)によって製品のCO2排出量データの一部または全部を出力するようにしてもよい。
【0122】
受付部520が、参照ボタン850へのタッチを受け付けると、ウィンドウ制御部584は、CO2排出レートデータ記憶部254のCO2排出レートデータ(
図19)を参照して、資源のCO2排出量データURLを特定する。そして、製品のCO2排出量データの場合と同様に資源のCO2排出量データのウィンドウが表示される。
【0123】
実施形態によれば、コーヒー粉、電力およびガスなどの資源の消費量に関して製品間でのバランスが正しく見込まれていると想定して、実情に合った実原単位を簡単に推定することができる。これにより、事業者が使用した資源のCO2排出量を、事業者が製造するいずれかの製品に割り振ることができるようになる。つまり、消費された資源のCO2排出量を、漏れなく且つ重複なく、事業者が製造する製品全体によってカバーする。また、多くの事業者が、自らの製品におけるCO2排出量を算出し、製品のCO2排出量を需要者などに開示するようになると期待される。
【0124】
予定原単位の比率に着目する理由は、事業者が当事者且つ専門家として、資源の原単位に関する製品間でのバランスを正確に見込んでいるものと期待されるからである。つまり、予定原単位の比率を用いて按分すれば、より正確に実原単位を推定される可能性が高い。
【0125】
また、記録媒体およびWEB環境を利用して、製品の購入者などのユーザがCO2排出量を簡単に参照できる仕組みを提供した。
【0126】
[変形例]
上述した例では、記録媒体(たとえば、バーコード、QRコードおよびRFIDタグなど)にCO2排出量データURLが記録される例を示したが、記録媒体にCO2排出量データを記録するようにしてもよい。その場合には、CO2排出量算出装置200の取得部282は、記録媒体から直接CO2排出量データを取得することができる。また、CO2排出量算出装置200のアップロード部286に代えて、排出量データ書込み部(不図示)を設ける。排出量データ書込み部は、製品に付される記録媒体(たとえば、バーコード、QRコードまたはRFIDタグなど)に、CO2排出量データを書き込む。また、ユーザ端末500のURL取得部582に代えて、排出量データ取得部(不図示)を設けるようにしてもよい。排出量データ取得部は、製品に付される記録媒体(たとえば、バーコード、QRコードまたはRFIDタグなど)から直接CO2排出量データを取得する。
【0127】
さらに、記録媒体にCO2排出量データを記録する場合に、CO2排出量算出装置200の暗号化/復号部290においてCO2排出量データを暗号化した上で記録媒体(たとえば、バーコード、QRコードまたはRFIDタグなど)に書き込むようにしてもよい。また、実施形態でアップロードされるCO2排出量データを、暗号化/復号部290において暗号化した上でアップロードするようにしてもよい。また、ユーザ端末500に暗号化/復号部(不図示)を設けて、その暗号化/復号部において暗号化されているCO2排出量データを復号するようにしてもよい。
【0128】
CO2排出量データが格納されるWEBサーバは、製品の事業者が運営するWEBサーバでなくてもよい。複数の事業者の製品に関するCO2排出量データをまとめて管理するWEBサーバなどを利用してもよい。
【0129】
出力部230において、プリンタを用いてCO2排出量を数字および文字で、製品本体、製品の包装、製品の容器、シールラベルまたは伝票などに印刷するようにしてもよい。
【0130】
実施形態では、エネルギーの資源としてガスと電力の例を示したが、コークス、石油、軽油およびガソリンなどの他の燃料を対象としてもよい。また、間接的なエネルギーとして、熱および蒸気などの資源を対象としてもよい。さらに、触媒なども資源に含まれる。
【0131】
実施形態および変形例では、分かりやすい事例としてコーヒーおよびピザについて説明したが、これに限らず、バッテリー、自動車およびエネルギーなど他の製品の製造についても、本明細書に開示した内容を適用することができることは言うまでもない。また、製造の過程でCO2を吸収させることができる製品(たとえば、炭酸水やビールなど)の製造の場合は、「マイナス量の排出」としてカウントしてもよい。つまり、CO2排出量を負の値として計算してもよい。
【0132】
温室効果ガス(GHG:greenhouse gas)はCO2に限らず、家畜等が発生させるメタンおよび亜酸化窒素、あるいは半導体プロセスおよび家電の製造で使用されるフルオロカーボン系なども温室効果ガスに含まれる。実施形態および変形例の技術をCO2以外の温室効果ガスの排出量に適用するようにしてもよい。また、CO2以外の温室効果ガスの排出量をCO2排出量に換算して、実施形態および変形例の技術を適用してもよい。
【0133】
なお、本発明は上記実施形態や変形例に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。上記実施形態や変形例に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより種々の発明を形成してもよい。また、上記実施形態や変形例に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。
【符号の説明】
【0134】
100a コーヒー液抽出工程、100b コーヒー液抽出工程、100c コーヒー液抽出工程、102 ブラックコーヒー混合工程、104 ブラックコーヒーボトリング工程、106 製品A:ブラックコーヒーの製造プロセス、108 ボトル入りブラックコーヒー、112 標準コーヒー混合工程、114 標準コーヒーボトリング工程、116 製品B:標準コーヒーの製造プロセス、118 ボトル入り標準コーヒー、122 ミルクコーヒー混合工程、124 ミルクコーヒーボトリング工程、126 製品C:ミルクコーヒーの製造プロセス、128 ボトル入りミルクコーヒー、200 CO2排出量算出装置、210 ユーザインターフェース処理部、220 入力部、230 出力部、240 ネットワーク通信部、242 近距離無線通信部、244 有線通信部、250 データ格納部、252 予定原単位データ記憶部、254 CO2排出レートデータ記憶部、256 予定CO2排出量データ記憶部、258 予定使用数量データ記憶部、260 算出データ記憶部、262 実原単位データ記憶部、264 実CO2排出量データ記憶部、266 按分比率データ記憶部、280 データ処理部、282 取得部、284 算出部、286 アップロード部、288 URL記録部、290 暗号化/復号部、292 原単位算出部、294 排出量算出部、300 図形コードリーダ、302 RFIDリーダ、306 図形コードプリンタ、308 RFIDライタ、400a WEBサーバ、400b WEBサーバ、510 ユーザインターフェース処理部、520 受付部、530 出力部、532 CO2排出量出力部、540 ネットワーク通信部、542 近距離無線通信部、544 RFIDリーダ、546 カメラ、550 データ格納部、580 データ処理部、602 ブラックコーヒーCO2排出量データウィンドウ、604 コーヒー粉CO2排出量データウィンドウ、700a コーヒー液抽出機、700b コーヒー液抽出機、700c コーヒー液抽出機、700d コーヒー液抽出機、702a 液体混合機、702b 液体混合機、702c 液体混合機、702d 液体混合機、704a ボトリング機、704b ボトリング機、704c ボトリング機、704d ボトリング機、710a 電力計量器、710b 電力計量器、710c 電力計量器、710d 電力計量器、712a ガス計量器、712b ガス計量器、712c ガス計量器、712d ガス計量器、714 照明装置、716 空調装置、718 太陽光パネル、720 パワーコントローラー、722 分電盤、724 給湯器、800a 図形コード、800b 図形コード、802 読取ボタン、804 数値エリア、806 比率ボタン、808 数値エリア、809 計算ボタン、810 ラジオボタン、812 数値エリア、814 決定ボタン、816 取消ボタン、820 戻るボタン、822 原単位ボタン、824 登録ボタン、830 数値エリア、832 適用ボタン、834 自動適用スイッチ、836 全自動適用スイッチ、838 決定ボタン、840 取消ボタン、850 コーヒー粉ボタン