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  • 特開-遮煙装置及びエレベーター 図1
  • 特開-遮煙装置及びエレベーター 図2
  • 特開-遮煙装置及びエレベーター 図3
  • 特開-遮煙装置及びエレベーター 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023090128
(43)【公開日】2023-06-29
(54)【発明の名称】遮煙装置及びエレベーター
(51)【国際特許分類】
   B66B 13/30 20060101AFI20230622BHJP
【FI】
B66B13/30 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021204919
(22)【出願日】2021-12-17
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高原 悠
【テーマコード(参考)】
3F307
【Fターム(参考)】
3F307BA07
3F307CA02
3F307CB20
(57)【要約】
【課題】遮煙材の摩耗を防止することができる遮煙装置及びエレベーターを提供する。
【解決手段】遮煙装置30は、乗場ドア11の一面に接触及び離反する遮煙材32と、遮煙材32を移動可能に支持する移動機構33と、乗場ドア11の開閉動作に連動して駆動するクローザーウエート22の駆動力を遮煙材32又は移動機構33に伝達する駆動力伝達機構27、31と、を備えている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベーターの乗場ドアに設置される遮煙装置において、
前記乗場ドアの一面に接触及び離反する遮煙材と、
前記遮煙材を移動可能に支持する移動機構と、
前記乗場ドアの開閉動作に連動して駆動するクローザーウエートの駆動力を前記遮煙材又は前記移動機構に伝達する駆動力伝達機構と、
を備えた遮煙装置。
【請求項2】
前記駆動力伝達機構は、
前記クローザーウエートに接続される遮煙ロープと、
前記遮煙ロープが巻回される伝達プーリと、を有する
請求項1に記載の遮煙装置。
【請求項3】
前記移動機構は、
建築構造物に設けられた乗場における前記乗場ドアの一面と対向する三方枠に支持ブラケットを介して固定される
請求項1に記載の遮煙装置。
【請求項4】
前記移動機構は、前記支持ブラケットに取り付けられる回動軸であり、
前記遮煙材は、前記回動軸に回動可能に支持される
請求項3に記載の遮煙装置。
【請求項5】
前記移動機構には、前記遮煙材を前記乗場ドアの一面から離反する方向に付勢する付勢部材が設けられる
請求項1に記載の遮煙装置。
【請求項6】
建築構造物における乗りかごが停止する乗り場に開閉可能に設置される乗場ドアと、
前記乗場ドアに戸閉方向への荷重を加えるクローザーウエート装置と、
前記乗場ドアに設置される遮煙装置と、を備え、
前記遮煙装置は、
前記乗場ドアの一面に接触及び離反する遮煙材と、
前記遮煙材を移動可能に支持する移動機構と、
前記乗場ドアの開閉動作に連動して駆動する前記クローザーウエート装置のクローザーウエートの駆動力を前記遮煙材又は前記移動機構に伝達する駆動力伝達機構と、
を備えたエレベーター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遮煙装置及びエレベーターに関する。
【背景技術】
【0002】
近年のエレベーターでは、火災時に乗場からの煙が乗場ドアを介して昇降路に進入することを防ぐことが求められている。このような煙が乗場ドアを介して昇降路に進入することを防ぐ技術としては、例えば、特許文献1に記載されているようなものがある。
【0003】
特許文献1には、乗場に設けられた左右方向に開閉する乗場ドアと、両縦枠および上枠を有する三方枠との隙間から昇降路内に煙が流入するのを防止する技術が記載されている。特許文献1には、乗場ドアの上および左右の外縁部に配置される可撓性の遮煙体と、乗場ドア側に所定間隔を介して設けられ、遮煙体を三方枠に押し付ける押し付け手段と、三方枠における遮煙体との対向位置に配置される滑り部材とを備えることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-129497号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、遮煙材を常に三方枠に押し付けていたため、乗場ドアが開閉することで遮煙材が摩耗する、という問題を有していた。
【0006】
本目的は、上記の問題点を考慮し、遮煙材の摩耗を防止することができる遮煙装置及びエレベーターを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決し、本目的を達成するため、遮煙装置は、エレベーターの乗場ドアに設置される。そして、遮煙装置は、乗場ドアの一面に接触及び離反する遮煙材と、遮煙材を移動可能に支持する移動機構と、乗場ドアの開閉動作に連動して駆動するクローザーウエートの駆動力を遮煙材又は移動機構に伝達する駆動力伝達機構と、を備えている。
【0008】
また、エレベーターは、上述した遮煙装置を備えている。
【発明の効果】
【0009】
上記構成の遮煙装置及びエレベーターによれば、遮煙材の摩耗を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態例にかかるエレベーターの乗場ドアを昇降路側から見た正面図である。
図2】実施の形態例にかかるエレベーターの乗場ドアの上部を示す平面図である。
図3】実施の形態例にかかるエレベーターの乗場ドアの上部を示す断面図である。
図4】実施の形態例にかかる遮煙装置の動作例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施の形態例にかかる遮煙装置及びエレベーターにいて、図1図4を参照して説明する。なお、各図において共通の部材には、同一の符号を付している。
【0012】
1.実施の形態例
1-1.エレベーターの構成
まず、実施の形態例(以下、「本例」という。)にかかるエレベーターの構成について、図1を参照して説明する。
図1は、本例のエレベーターの構成例を示す概略構成図である。
【0013】
本例のエレベーター1は、建築構造物内に形成された昇降路内を昇降動作し、人や荷物を乗せる乗りかごを有している。そして、建築構造物の各階における乗りかごが停止する乗り場には、人や物が乗りかごへ出入りするための出入り口が設けられている。この出入り口には、図1に示すように、乗場ドア11と、乗場側ドアユニット12及び乗場側ドアシル14が設けられている。
【0014】
乗場側ドアユニット12は、出入り口の上下方向の上端部に配置されている。また、乗場側ドアユニット12は、ドアレール13と、ドアハンガー15とを有している。ドアレール13は、乗場ドア11の開閉方向に沿って延在している。ドアレール13には、ドアハンガー15に設けたローラが摺動する。このドアハンガー15は、乗場ドア11の上下方向の上端部に固定される。
【0015】
乗場側ドアシル14は、出入り口の上下方向の下端部に配置されている。乗場側ドアシル14は、乗場ドア11の開閉方向に沿って延在している。そして、乗場側ドアシル14は、乗場ドア11を移動可能に支持する。
【0016】
乗場ドア11には、クローザーウエート装置20と、遮煙装置30(図2参照)が設けられている。クローザーウエート装置20は、ウエートガイド21と、クローザーウエート22と、クローザーロープ23と、ウエートプーリ24と、を有している。ウエートガイド21は、筒状に形成されており、乗場ドア11の内部に配置される。そして、ウエートガイド21は、その軸方向が上下方向と平行に配置される。ウエートガイド21の筒孔内には、クローザーウエート22が上下方向に沿って摺動可能に配置されている。
【0017】
クローザーウエート22の上下方向の上端部には、クローザーロープ23が接続されている。クローザーロープ23におけるクローザーウエート22とは反対側の端部は、乗場側ドアユニット12に設けた固定ブラケット25に固定される。この固定ブラケット25は、乗場側ドアユニット12の略中央部、すなわち両開きのドアにおける開閉方向の戸閉側の端部に設けられる。
【0018】
ウエートプーリ24は、乗場ドア11に固定されたドアハンガー15に回転可能に設けられている。そして、クローザーウエート22に接続されたクローザーロープ23は、ウエートプーリ24に巻き掛けられて、固定ブラケット25に固定される。
【0019】
乗場ドア11と乗りかごに設けたかご側ドアとが係合し、乗場ドア11がかご側ドアと共に戸開する際、ウエートプーリ24がドアハンガー15及び乗場ドア11と共に開閉方向の戸開側に移動する。そのため、ウエートプーリ24を介してクローザーロープ23が、クローザーウエート22を上下方向の上方に引き上げる。その結果、クローザーウエート22は、ウエートガイド21の筒孔内を摺動し、上下方向の上方に移動する。すなわち、クローザーウエート22は、乗場ドア11の開閉動作に連動して、上下方向に移動する。
【0020】
また、乗場ドア11にかご側ドアとの係合が外れ、かご側ドアからの荷重が乗場ドア11に加わらなくなると、クローザーウエート22は、自重により上下方向の下方に移動する。そして、クローザーウエート22の荷重が、クローザーロープ23及びウエートプーリ24を介してドアハンガー15及び乗場ドア11に加わる。これにより、乗場ドア11には、クローザーウエート22から戸閉方向への荷重が加わる。
【0021】
1-2.遮煙装置の構成例
次に、図1から図3を参照して遮煙装置30について説明する。
図2は、乗場ドア11の上部を示す平面図である。乗場ドア11の上部を示す断面図である。図2は、昇降路側から見た状態を示し、ドアハンガー15及び乗場側ドアユニット12を除いて説明する。
【0022】
図2から図3に示すように、遮煙装置30は、駆動力伝達機構を示す遮煙ロープ27及び伝達プーリ31と、遮煙材32と、移動機構を示す回動軸33と、支持ブラケット35とを有している。遮煙ロープ27は、クローザーロープ23と同様に、クローザーウエート装置20のクローザーウエート22の上端部に接続されている。そして、図2及び図3に示すように、遮煙ロープ27は、乗場ドア11内を上下方向の上方に向けて挿通し、伝達プーリ31に巻き掛けられる。
【0023】
伝達プーリ31は、乗場ドア11の上下方向の上端部に設けられている。ここで、乗場ドア11の上端部における乗場側の一面には、開口部11aが形成されている。伝達プーリ31は、開口部11aの近傍に配置される。伝達プーリ31に巻き掛けられた遮煙ロープ27は、開口部11aから乗場ドア11の外側に引き出されている。そして遮煙ロープ27におけるクローザーウエート22とは反対側の端部は、すなわち乗場ドア11の開口部11aから乗場側に向けて引き出された端には、遮煙材32が接続される。
【0024】
図2に示すように、遮煙材32は、長尺状の部材で形成され、乗場ドア11の開閉方向に沿って延在している。図3に示すように、遮煙材32には、接続部32aが設けられている。接続部32aは、回動軸33に回動可能に支持されている。
【0025】
ここで、図3に示すように、支持ブラケット35は、建築構造物の出入り口に設けられた三方枠の上枠16に固定される。より詳細には、支持ブラケット35は、上枠16における乗場ドア11と対向する一面に固定される。支持ブラケット35には、回動軸33が取り付けられる。回動軸33は、図2に示すように、遮煙材32と同様に、乗場ドア11の開閉方向に沿って延在している。そして、遮煙材32は、回動軸33に回動可能に支持されて、乗場ドア11の一面に接近及び離反する。
【0026】
2.遮煙装置の動作例
次に、上述した構成を有する遮煙装置30の動作例について図4を参照して説明する。
図4は、遮煙装置30の動作例を示す説明図である。
【0027】
乗場ドア11が戸開しているとき、図4に示すように、クローザーウエート22は、上下方向の上方に引き上げられる。そのため、クローザーウエート22に遮煙ロープ27を介して接続された遮煙材32における乗場ドア11の一面に接近する方向への荷重は、加わらない。そのため、乗場ドア11が開閉動作する際に、遮煙材32が乗場ドア11の一面上を擦ることを防止できる。また、回動軸33に遮煙材32を乗場ドア11の一面から
離反する方向に付勢するねじりコイルばね等の付勢部材を設けてもよい。これにより、戸開時において、遮煙材32を確実に、乗場ドア11の一面から離すことができる。
【0028】
乗場ドア11が戸閉すると、図4に二点鎖線で示すように、クローザーウエート22は、自重により上下方向の下方に移動する。クローザーウエート22が下方に移動することで、遮煙ロープ27は、クローザーウエート22により上下方向の下方に引っ張られる。
【0029】
遮煙ロープ27が下方に引っ張られることで、遮煙ロープ27における遮煙材32側の端部は、伝達プーリ31により乗場ドア11側に引き寄せられる。そして、遮煙ロープ27に接続された遮煙材32は、乗場ドア11の一面に接近する方向に向けて回動軸33を中心に回動する。これにより、遮煙材32が乗場ドア11の一面に密接する。その結果、火災時に乗場からの煙が乗場ドアを介して昇降路に進入することを遮煙材32で防止することができる。
【0030】
また、本例の遮煙装置30によれば、乗場ドア11が戸開しているとき、遮煙材32には、乗場ドア11に接近する方向に荷重が加わらないため、乗場ドア11の戸開動作時に、遮煙材32が乗場ドア11で擦れて、摩耗することを防止することができる。さらに、遮煙材32を可動させるための駆動源として、クローザーウエート装置20を用いている。これにより、遮煙装置30に遮煙材32を可動させるための新たな駆動部を設ける必要がなくなり、部品点数の削減と図ることができると共に、遮煙装置30全体の構成の簡略化を図ることができる。
【0031】
また、本例では、可動機構として回動軸33を適用し、遮煙材32を、回動軸33を中心に回動させることで、乗場ドア11の一面に接近及び離反させた例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、可動機構としてスライダと、ガイドレールを適用し、遮煙材32をガイドレールに沿ってスライドさせることで、乗場ドア11の一面に接近及び離反させてもよい。そのため、可動機構としては、回動軸33を用いて回動や、スライダとガイドレールを用いた直線移動等その他各種の構成を適用してもよい。
【0032】
なお、本発明は上述しかつ図面に示した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。
【0033】
また、上述した実施の形態例では、ウエートガイド21を乗場ドア11内に設けた例を説明したが、これに限定されるものではない。少なくともクローザーウエート22の荷重を乗場ドア11に伝達するウエートプーリ24が乗場ドア11に設置されていればよく、ウエートガイド21及びクローザーウエート22を設置する箇所は、乗場ドア11に限定されるものではない。
【0034】
また、遮煙ロープ27を遮煙材32に接続させた例を説明したが、これに限定されるものではなく、遮煙ロープ27を、移動機構を示す回動軸33に接続してもよい。すなわち、クローザーウエート装置20のクローザーウエート22の移動する際の駆動力が、遮煙材32に伝達することができれば、その他各種の構成を適用できるものである。また、駆動力伝達機構として遮煙ロープ27及び伝達プーリ31を適用した例を説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、チェーンや歯車等その他各種の機構を適用してもよい。
【0035】
なお、本明細書において、「平行」及び「直交」等の単語を使用したが、これらは厳密な「平行」及び「直交」のみを意味するものではなく、「平行」及び「直交」を含み、さらにその機能を発揮し得る範囲にある、「略平行」や「略直交」の状態であってもよい。
【符号の説明】
【0036】
1…エレベーター、 11…乗場ドア、 11a…開口部、 12…乗場側ドアユニット、 13…ドアレール、 14…乗場側ドアシル、 15…ドアハンガー、 16…上枠、 20…クローザーウエート装置、 21…ウエートガイド、 22…クローザーウエート、 23…クローザーロープ、 24…ウエートプーリ、 25…固定ブラケット、 27…遮煙ロープ、 30…遮煙装置、 31…伝達プーリ、 32…遮煙材、 32a…接続部、 33…回動軸、 35…支持ブラケット
図1
図2
図3
図4