(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023090149
(43)【公開日】2023-06-29
(54)【発明の名称】超音波歯ブラシ
(51)【国際特許分類】
A46B 15/00 20060101AFI20230622BHJP
A61C 17/34 20060101ALI20230622BHJP
A46B 9/08 20060101ALI20230622BHJP
【FI】
A46B15/00 M
A61C17/34 K
A46B9/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021204951
(22)【出願日】2021-12-17
(71)【出願人】
【識別番号】591032518
【氏名又は名称】伊藤超短波株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114258
【弁理士】
【氏名又は名称】福地 武雄
(72)【発明者】
【氏名】玉城 大輝
(72)【発明者】
【氏名】前田 康至
【テーマコード(参考)】
3B202
【Fターム(参考)】
3B202AA06
3B202BB07
3B202BC08
3B202EG20
3B202GA28
(57)【要約】
【課題】振動部から出射された超音波を確実にブラシを介して歯の表面に供給でき、長期間にわたって良好なブラッシング効果が得られる。
【解決手段】記した課題を解決するために本発明において以下のような手段を講じた。即ち本発明の歯ブラシは、把持部と、前記把持部の先端から突出した突出部と、前記突出部の先端に形成されるとともに超音波を発生する振動子が配置された振動部と、複数の毛束が植毛されてブラシを形成している植毛部と、を有する超音波歯ブラシであって、前記植毛部は前記振動部と空隙を介して配置されるとともに、前記空隙に通じる開口部を有することを特徴としている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
把持部と、
前記把持部の先端から突出した突出部と、
前記突出部の先端に形成されるとともに超音波を発生する振動子が配置された振動部と、
複数の毛束が植毛されてブラシを形成している植毛部と、を有する超音波歯ブラシであって、
前記植毛部は前記振動部と空隙を介して配置されるとともに、前記空隙に通じる開口部を有することを特徴とする超音波歯ブラシ。
【請求項2】
前記植毛部が前記振動部に対して着脱自在であることを特徴とする請求項1に記載の超音波歯ブラシ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気式歯ブラシ、特に超音波を発する電気式歯ブラシに関する。
【背景技術】
【0002】
ブラッシング時にブラシを振動させてプラークの除去や清掃等を含めたブラッシングの効果(以下、単にブラッシング効果という)を上げる電気式歯ブラシが実用化されている。さらに超音波を使用してブラッシング効率を上げて良好な歯磨きを実現する超音波歯ブラシが例えば特許文献1乃至特許文献3のように提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-61985号公報
【特許文献2】特開2005-102837号公報
【特許文献3】特開2004-202065号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
超音波歯ブラシは超音波を使用しない歯ブラシに比較すると、超音波特有の優れたブラッシング効果が得られることが確認されている。ところが歯ブラシが使用により毛先が曲がったり、折れたり、削れた場合はブラシ部の交換が必要になる。そこで、ブラシ部のみを交換可能とする構成が望ましい。
【0005】
超音波を使用する歯ブラシは、超音波振動子が配置された振動部と植毛部の間に空隙ができると、振動部から出射された超音波がブラシに伝わらずに歯の表面に超音波を供給することができず、超音波による効果が十分に得られず、ブラッシング効果が十分得られない事態を引き起こしていた。
【0006】
ところが、振動部とブラシ部の間に隙間や空隙(以下、単に空隙という)を作らずブラシ部を交換可能とする構成は非常に困難である。或いは交換可能としない場合であっても、振動部とブラシ部の間に部分的にでも隙間を作らない為には振動部とブラシ部の両方に非常に高い寸法精度が必要であった。以上のことから、振動部から出射された超音波を確実にブラシを介して歯の表面に供給でき、長期間にわたって良好なブラッシング効果が得られる超音波歯ブラシが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決するために本発明において以下のような手段を講じた。即ち本発明の歯ブラシは、把持部と、前記把持部の先端から突出した突出部と、前記突出部の先端に形成されるとともに超音波を発生する振動子が配置された振動部と、複数の毛束が植毛されてブラシを形成している植毛部と、を有する超音波歯ブラシであって、前記植毛部は前記振動部と空隙を介して配置されるとともに、前記空隙に通じる開口部を有することを特徴としている。
【0008】
さらに本発明の超音波歯ブラシは、前記植毛部が前記振動部に対して着脱自在であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、超音波を歯ブラシ先端に供給し、良好なブラッシング効果を得ることができる超音波歯ブラシを提供できる。さらにより簡単な構成で、ブラッシング効果を長期間にわたって維持できる信頼性の高い超音波歯ブラシを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明にかかる超音波歯ブラシの説明図である。
【
図2】本発明にかかる超音波歯ブラシのコントローラのブロック図である。
【
図3】本発明にかかる超音波駆動信号の模式図である。
【
図4】本発明にかかる超音波歯ブラシの説明図である。
【
図6】本発明にかかる超音波歯ブラシの説明図である。
【
図7】本発明にかかる超音波歯ブラシの説明図である。
【
図8】本発明にかかる超音波歯ブラシの充電器の説明図である。
【
図9】本発明にかかる超音波歯ブラシの充電回路のブロック図である。
【
図10】本発明にかかる超音波歯ブラシの充電制御のフローチャートである。
【
図11】本発明にかかる超音波歯ブラシの充電回路のブロック図である。
【
図12】本発明にかかる超音波歯ブラシの充電制御のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1実施形態]
図1は本発明による超音波歯ブラシの本体1を示しており、同図(a)から(f)は本体1の六面図を示している。図の(a)は左側面図、(b)は正面図、(c)は右側面図、(d)は背面図、(e)は上面図、(f)は底面図である。同図(g)はブラシ14を先端に有するブラシ部13とブラシ部13を装着する前の本体1を示している。本体1は、把持部11と、操作部15と、把持部11の先端から突出している突出部12とを有し、突出部12の先端に形成されるとともに超音波を発生させる振動子18が配置された振動部19とを有する。突出部12と振動部19はそれぞれを独立した部品として構成してもよいし、一体に構成してもよい。例えば突出部12の先端に、超音波を発生させる振動子18を有する振動部19を取り付けてもよい。または突出部12を、ブラシ部13が装着されたときにブラシ14が配置される位置まで長くして、その突出部12の先端であってブラシ14に対向するまたはブラシ14に対応する位置に振動子18を配置して突出部12の先端に振動部19を構成、すなわち突出部12と振動部19を一体に構成してもよい。
【0012】
把持部11の内部にはバッテリ16と、操作部15の操作に応じて本体1を制御するコントローラ17が設けられている。コントローラ17と振動子18は、後述するようにハーネス-B20で接続されている。
【0013】
操作部15にはスイッチ22と、スイッチ22の周囲には、内蔵された赤色のLEDによって赤色に点灯するLED部23が配置されている。使用者が操作部15のスイッチ22を押すことによって超音波の出射または停止を含め、出射する超音波の制御を行うことができ、スイッチ22の操作に応じてLED部23の点灯状態が変化して、例えばLED部23が点灯することでスイッチ22の周囲が赤く点灯し、使用者に本体1の駆動状態や動作状態を伝える。
【0014】
図2はコントローラ17のブロック図である。コントローラ17は、振動子18に超音波振動をさせるために振動子18に供給される電気信号である駆動信号を出力する信号生成部204、タイマ207、ユーザーIF部201、所定の電力を各部に供給する電源部206、制御部202等の少なくとも一部またはすべてを含んで構成される。
【0015】
制御部202はCPUやメモリの他、各部と接続する為のインターフェースを内蔵し、本体1の制御を行う。電源部206はバッテリ16から供給される電力を所定の一定電圧値、例えば5Vに制御して制御部202を介して各部に供給する。ユーザーIF部201は操作部15と接続されており、使用者が操作部15の操作を行うと、その情報を制御部202に通知する。
【0016】
バッテリ16は乾電池であってもよいし、リチウムイオン電池のように充電により繰り返し使用できる二次電池であってもよい。あるいはこれら電池の代わりに、100V等の例えば家庭用コンセントから所定の電圧、例えば5Vを出力できる電源アダプタを本体1の外部に配置して使用する構成であってよい。ただし、二次電池の方が環境負荷の観点から望ましい場合があり、本実施の形態では二次電池、例えばリチウムイオン電池を使用した場合を例に挙げている。
【0017】
タイマ207は所定の時間、例えば3分をブラッシングのための時間、すなわち振動子18を駆動して超音波を出力する時間として計測する。当該時間は3分に限らず3分未満でも3分以上でもよく、使用者が適宜設定できるような構成でもよい。
【0018】
図3は信号生成部204の出力を模式的に示す。図では横軸を時間、縦軸は信号の振幅を示す。信号生成部204は、例えば3.2MHzや4.8MHzの周波数の信号を駆動信号として出力する。当該駆動信号は本実施の形態においては例えば4.8MHzの正弦波を時間T1で出力し、続けて時間T2で停止する動作を繰り返す。T1として0.5秒、T2として0.5秒を設定すると、駆動信号としては0.5秒間4.8MHzが出力された後、0.5秒間停止され、以後これを繰り返すように出力される。
図3では正弦波を見やすいように模式的に記載しているが、実際は上記の通りT1で出力されるのは4.8MHzの高い周波数である。
【0019】
図3では、駆動信号は常時出力されているのではなく上記のようにデューティ50%で出力される、あるいは間欠的に出力される。常に出力される場合と、
図3のような間欠的な出力では超音波による顕著な効果の違いはないが、単位時間当たりの実質的な振動子18の駆動時間が半分になるので、見かけ上バッテリの持ちが長くなり、一回の充電でブラッシングできる時間を長くすることができる。ここで駆動信号は、デューティ50%で間欠的に4.8MHzが出力されるものであるが、デューティは50%に限定されるものではなく、例えば40%であっても60%であってもよく、所望のブラッシング効果が得られればよい。
【0020】
ユーザーがスイッチ22を押すと、その情報はユーザーIF部201を介して制御部202に送られ、制御部202は
図3のような電気信号を出力するように信号生成部204に指示を出す。または、制御部202は信号生成部204に対して電力を供給することによって信号生成部204に電気信号の生成を開始させるような構成でも良い。さらに制御部202はタイマ207に所定時間、例えば3分の時間計測を開始するような通知を行い、タイマ207は当該通知に従って所定時間の計測をスタートする。
【0021】
タイマ207は所定時間、例えば3分が経過したらその旨を示す通知を制御部202に行い、制御部202は当該通知に基づいて、信号出力を停止するように信号生成部204に指示を出す。または制御部202は信号生成部204に対する電力の供給を停止することで信号生成部204による信号の生成を停止させる。
【0022】
所定時間が経過する前に使用者がスイッチ22を再度押した場合は、その情報がユーザーIF部201から制御部202に通知され、制御部202は信号出力を停止するように信号生成部204に指示を出すか、信号生成部204に対する電力の供給を停止することで信号生成部204による信号の生成を停止させる。同時にタイマ207に対して時間計測の停止を指示し、タイマ207をリセットする。
【0023】
上記における使用者のスイッチ22の操作として、スイッチ22を押すとは単にスイッチ22を押圧することにとどまらず、短時間に2回スイッチ22を押す、所謂ダブルクリックや、数秒間スイッチ22を押しっぱなしとする、所謂長押しであってもよく、出力を開始するときはダブルクリックとし、信号の出力開始を停止する場合は長押しする等、操作の方法を超音波の出力開始時と停止時で分けてもよい。すなわちスイッチ22を操作する目的に応じて、スイッチ22の操作方法を変更することがよい。このような構成ではスイッチ22に誤って触れた場合の装置の誤動作を回避できて望ましい。特に本実施の形態のように操作部15が把持部11に配置されている場合は、意図せず操作部15に使用者が触れる場合が多いうえに、使用者が超音波を認識できないために、誤ってスイッチ22が押された場合に超音波が意図せず停止した場合であってもそれに使用者が気付くことが難しく、超音波が停止しているにも関わらずブラッシングを続けて所定のブラッシング効果が得られない事態となりやすい。そこで、超音波を停止する場合のスイッチ22の動作として使用者が意図しないと得られにくい動作であるダブルクリックや長押しが望ましい。
【0024】
図4は本発明を施したブラシ部13を示している。
図4(a)はブラシ部13の拡大図であり、
図4(b)は
図4(a)の破線Aにおける模式的な断面図を示している。ブラシ部13には本実施の形態では植毛部43に複数の毛束45が植毛されてブラシ14が形成されてる。植毛部43には開口部-A41が植毛部43の後端、換言すると植毛部43の近位端に設けられている。
【0025】
図4(c)はブラシ部13に差し込まれる振動部19の断面を示している。振動部19の先端部には、ブラシ部13に振動部19が差し込まれた場合にブラシ14に対応する部分に、振動子18が接着剤82によって固定して配置されている。振動子18はハーネス-B20によって把持部11内に配置されたコントローラ17に接続されて駆動信号が供給される。なお、振動子18は
図4(c)のように振動部19の内部に配置されてもよいが、振動部19の表面、例えばブラシ14に対向する振動部19の表面や、ブラシ14に対向する面の反対側等に配置されていてもよい。
【0026】
図4(d)は
図4(b)のブラシ部13の挿入部44に
図4(c)の振動部19が差し込まれた状態を示しており、この状態で歯ブラシの本体1がブラッシングに使用される。図のように振動部19とブラシ14の間に空隙-A42が形成される。開口部-A41は植毛部43を貫通して空隙-A42につながっている。使用者が本体1を使用すると、当該開口部-A41を通って、歯磨き剤や唾液、あるいはこれらを含んだ水などの水分(以下、これらを総称して単に水分をいう)が空隙-A42に入るように構成されている。
【0027】
図4のようにブラシ部13と振動部19を着脱自在に構成することによって、ブラシ部13が交換可能とすることができる。なお、ブラシ部13と振動部19を交換可能とする場合では、この着脱自在の構成は、後述するように必須の構成となるが、例えば超音波歯ブラシを使い捨てにする場合などにおいてはブラシ部13を交換する必要がないので必須とは限らない。ただし、開口部-A41や空隙-A42は超音波を確実に歯に供給するためには必須となる。
【0028】
超音波を使用する歯ブラシでは、ブラシ部13を容易に交換可能とするためにブラシ部13に
図4の振動部19に相当する部分を差し込んで使用する構成が一般的である。例えば上述の特許文献に記載されている構成は、
図5のように表すことができる。すなわち本実施の形態では振動部19のうち、ブラシ14の対向面に該当する表面、即ち超音波の出射面と、ブラシ14が植毛されている植毛部43の間にはたとえ部分的であっても空隙を作らないように互いに密着するように設計される。ここに空隙ができると、振動子18から出射された超音波がその空隙を通過することができず、ブラシ14にも歯の表面にも超音波が供給されず、所望のブラッシング効果が得られない不具合を生じる。空隙を作らないためには、交換用のブラシ部13において振動部19が差し込まれる部分と差し込む振動部19の寸法を正確に合わせる必要があるが、量産時のばらつきや経時的な変化によって両者の寸法を正確に合わせることはできず、例えば部分的に空隙が意図せず生じる可能性が極めて高い。さらに初期的な状態で仮に正確な寸法によって、当該空隙が回避できたとしても、使用に際して例えばねじりなどが発生して、あるいは経時的に空隙が発生する場合がある。或いは本体を落としたりどこかにぶつけたり、あるいは強い振動が与えられた場合であっても空隙が発生しやすい。空隙が発生すると上記のように超音波がブラシ14を介して歯の表面に供給できず所望のブラッシング効果が得られない。
【0029】
一方、本発明の超音波歯ブラシでは、
図4のようにブラシ14の植毛部43に開口部-A41を有し、当該開口部-A41が振動部19と植毛部43の間に形成された空隙-A42に通じているため、当該開口部-A41に水分が流入すると空隙-A42に水分が充填される。振動部19から出射された超音波は空隙-A42があっても当該空隙-A42に充填された水分によって植毛部43に到達し、ブラシ14を介して歯の表面に供給されて、所望のブラッシング効果を得ることができる。なお、充填された水分はブラッシングが終了してブラシ部13を洗浄するときに排出される。
【0030】
このような構成では、振動部19と振動部19が挿入される挿入部44の寸法精度は、振動部19が挿入部44に挿入されてブラシ部13が確実に本体1に装着されればよいので、高精度は要求されず安価な構成が可能となる。
【0031】
さらに、使用することで経時的な変化が振動部19やブラシ部13に発生したり、落としたりなど強い振動が与えられた場合であっても、振動部19から出射された超音波は確実に空隙-A42に流入した水分とブラシ14を介してブラッシングが施される歯の表面に供給されて所望のブラッシング効果を得ることができる。
【0032】
すなわち、従来は空隙ができないように設計されてきた、振動部19と植毛部43の間に、あえて空隙-A42を設けて、そこにブラッシング時に生じる水分を開口部-A41より充填することによって、より簡単な構造で、高い寸法精度によらず、振動や経時的変化にも強く、超音波を確実にブラシ14を介して歯の表面に供給でき、長期間にわたって良好なブラッシング効果が得られる超音波歯ブラシを実現できる。
【0033】
よって本発明により、非常に簡単な構成で、高い寸法精度が要求されない、安価な交換用ブラシの構成により、長期間にわたって所望のブラッシング効果を損なうことのない、信頼性の高い超音波歯ブラシを実現できる。また、交換の必要がない場合でも非常に簡単な構成で、高い寸法精度が要求されない、安価な構成により、長期間にわたって所望のブラッシング効果を損なうことのない、信頼性の高い超音波歯ブラシを実現できる。
【0034】
[変更例]
図6は本発明による開口部の他の例を示してる。
図4では開口部-A41が植毛部43の後端部に配置されているのに対して、
図6(a)は植毛部43の先端に開口部-B61が配置されている。
図6(b)では開口部-C62がブラシ14の間に配置されている。このほか、軸方向(本体1から突出部12が突出している方向)に対してブラシ14の右側や左側、例えば右側の先端や後端、左側の先端や後端に配置してもよい。或いは、これらの開口部は空隙-A42の側面や遠位端や近位端である端面に対応する位置に設けられていてもよく、例えば
図6(d)は空隙-A42の遠位端である先端部に、あるいはブラシ部13の先端に開口部-H60が配置されている例を示している。
【0035】
上記においては、植毛部43やブラシ部13に設けられた開口部が一つである場合を例に挙げて記載しているが本発明はこれに限定されず、開口部は2つあるいは2つ以上であってもよい。即ち、開口部-A41を第1の開口部とすると、第1の開口部とは別に第2の開口部を設けてもよい。この場合は開口部の大きさや形状を同じとする場合でもよいが、開口部の形状や大きさがそれぞれ異なってもよい。なお、第1の開口部と第2の開口部を設けることは、開口部が二つのみであることを意味するのではなく、二つ以上、あるいは複数の開口部が設けられることを意味してもよい。第1の開口部と第2の開口部を配置した場合では空隙-A42の水分は、第2の開口部が配置されていない場合に比較すると排出されやすいが、ブラッシング中の口腔内では豊富に水分が存在するので、当該水分がすぐに空隙-A42内に補充されて超音波がブラシ14に伝達されてブラッシング効果は低下しない。
【0036】
図4(d)の開口部-A41及び
図6(a)の開口部-B61並びに
図6(d)は空隙-A42の端部に設けられているが、
図6(c)は開口部-D63が空隙-A42の端部から離れて配置されている様子を示している。この場合は、空隙-A42の端部に振動部19と植毛部43等によって
図6(c)では三方が囲まれたポケット64が形成されるので、このポケット64に水分がたまりやすく、ブラッシング終了時にブラシ14を洗浄して空隙-A42内に充填された水分を排出する場合に排出が困難または不十分となる場合がある。排出が困難な場合は空隙-A42の水分が空隙-A42にとどまりやすく衛生的に望ましくない。
【0037】
そこで本発明においては、開口部-A41や開口部-B61並びに開口部H-60のように開口部を空隙の端部に配置するのが望ましい。端部に開口部を配置するとポケット64ができず、空隙-A42内部の水分を良好に排出できて衛生的で、長期間にわたって良好なブラッシング効果が得られる超音波歯ブラシを実現できる。ここで端部とは、
図4や
図6のように植毛部43の先端や後端に対応する空隙-A42の端部に限らず、軸方向に対してブラシ14の右側や左側に対応する空隙-A42の端部であってもよい。
【0038】
ポケット64の有無にかかわらず、開口部-A41乃至開口部-H60などの開口部(単に開口部と称する)の大きさや形状などによって空隙-A42内の水分の排出が簡単でない場合は、開口部が複数設けられてもよい。例えば、2つ以上の開口部-A41が配置されてもよいし、2つ以上の開口部-B61が配置されてもよい。或いは上記の開口部-A41や開口部-B61などの各開口部が併用されてもよい。この場合に、複数の開口部は隣接して配置されてもよいし、例えば植毛部43の先端と後端、あるいは植毛部43の右側と左側などのように離間して配置されてもよい。或いは開口部は植毛部43の先端と後端及び右側や右側などのように3つ以上の領域に3つ以上の開口部を設けてもよい。
【0039】
植毛部43が配置されたブラシ部13の面をブラシ部13の表の面またはブラシ部13の第1の面と称し、ブラシ部13の表の面(ブラシ部13の第1の面)に対して反対側の面をブラシ部13の裏面、あるいはブラシ部13の第2の面と称すると、
図7のように開口部の一つをブラシ部13の第1の面またはブラシ部13の表の面に配置し、開口部の他の一つをブラシ部13の第2の面またはブラシ部13の裏面に配置する構成でもよい。
図7(a)は開口部-A41のほかに開口部-E65を振動部19に対してブラシ14とは反対側に設けている。つまりブラシ部13の表の面に第1の開口部である開口部-A41を設け、第2の開口部である開口部-E65をブラシ部13の第2の面、或いはブラシ部13の裏面に設けている。換言すると第1の開口部を植毛部43が配置されたブラシ部13の面に、植毛部43やブラシ14に対して振動部19の反対側に第2の開口部が設けられている。または開口部-A41と開口部-E65は、間に振動部19が配置されるように設けられている。
図7(b)及び
図7(c)も同様に開口部-A41と、開口部-F67または開口部-G68が振動部19を挟むように或いはブラシ部13の表の面と裏面に配置されている例を示している。
図7(a)はブラシ部13の裏面(ブラシ14の反対側)の先端部に設けられた開口部-E65を示し、
図7(b)はブラシ部13の裏面であってブラシ14の中央部に対応する位置に設けられた開口部-F67を示し、
図7(c)はブラシ部13の裏面であってブラシ14の後端部分に対応する配置された開口部-G68を示している。
【0040】
さらに
図7(a)では、空隙-A42と開口部-E65をつなぐ流路-A66が、即ち振動部19とブラシ部13の間に形成された空隙-A42から第2の開口部につながる流路-A66が配置されて、流路-A66によって空隙-A42に存在する水分が容易に開口部-E65から排出される。
図7(d)は
図7(b)中の破線Bにおける断面が模式的に示されている。
図7(d)では空隙-A42から開口部-F67につながる流路-B69が振動部19の両側に設けられていてる例を示しているが、流路-B69は振動部19の両側の少なくとも一方、
図7(d)では振動子18の右側か左側の少なくとも一方に設けられていてもよい。
【0041】
図7(e)は
図7(b)中の破線Cにおける断面が模式的に示されている。
図7(e)では流路-B69が、ブラシ部13に設けられた凹部や溝によって開口部-F67の位置に設けられている。
図7(f)は流路の他の例を示しており、
図7(e)における流路-B69の代わりに流路-C70が配置されているが流路-C70は振動部19の先端部分に、振動部19の長手方向に沿って長く形成されている。
図7(f)のように流路-C70は例えば空隙-A42の長手方向と同等の長さを有していてもよく、ポケット64のようなポケットができないので望ましい。流路-A66や流路-B69は第2の開口部に向かって水分が流れるためには、ブラシ部13の長手方向の角度を適切に調整しなければならないが、流路-C70の場合はブラシ部13の長手方向の角度によらず空隙-A42の水分がスムーズに排出されてより望ましい。
【0042】
図7(c)は振動部19とブラシ部13の裏面との間に空隙-B46が形成されている例を示している。ブラシ部13の表の面側の振動部19の面を振動部19の表の面、または振動部19の第1の面、ブラシ部13の裏面側の振動部19の面を振動部19の裏面、または振動部19の第2の面と称する。振動部19の表の面とブラシ部13の間に形成された空隙-A42を第1の空隙とすると、振動部19の裏面とブラシ部13の間に形成された空隙-B46は第2の空隙に相当する。即ち、
図7(c)は第1の空隙と第2の空隙が配置された例を示しており、第1の開口部である開口部-A41と第2の開口部である開口部-G68は第1の空隙と第2の空隙及び第1の空隙と第2の空隙をつなぐ流路でつながっている。この場合の流路としては
図7(e)の流路-B69や
図7(a)の流路-A66または
図7(f)の流路-C70が使用できる。
【0043】
図7(d)乃至
図7(f)では流路-B69や流路-C70は振動部19の表の面と裏面以外のすべての面に設けられていてる例を示しているが、流路-B69や流路-C70は振動部19の表の面と裏面以外の少なくとも一つの面に設けられていてもよい。例えば
図7(d)では振動部19の右側か左側の少なくとも一方の面に、
図7(e)及び
図7(f)では図面の上側か下側の少なくとも一方に設けられてもよい。
【0044】
流路-A66や流路-B69または流路-C70はブラシ部13に凹部や溝を設けることによって形成されていてる例を示しているが、流路-A66は振動部19に凹部や溝を設けることによって形成されて設けられてもよく、あるいはブラシ部13と振動部19の両方に凹部や溝を設けることによって形成されて設けられてもよい。即ちブラシ部13の内面または振動部19の表面の少なくとも一方に設けられた凹部や溝で形成されていてもよい。
【0045】
図7(a)乃至
図7(f)の各例はこれに限定されるものではなく、第1の開口部として開口部-A41の代わりに開口部-B61、開口部-C62、開口部-D63または開口部-E65等が使用できる。或いは
図7(c)において、開口部-G68の代わりに開口部-F67を、即ち、植毛部43の中央付近に開口部を設けてもよく、即ち
図7(b)の構成に空隙-B46をさらに追加してもよい。或いは、ブラシ部13の表の面や裏面以外の例えば側面や端面に、第1の開口部が配置されてもよく、または側面または端面に第1の開口部と第2の開口の少なくとも一方を配置するような構成でもよい。
【0046】
上記のような構成では、非常に簡単な構成で高い寸法精度が要求されない、安価な交換用ブラシの構成が、長期間にわたって所望のブラッシング効果を損なうことがなく、振動にも強い信頼性の高い超音波歯ブラシを実現できる。
【0047】
図8は本体1内に配置されたバッテリ16を充電する充電器71を示している。
図8(a)は充電器71の上面図で、上面視で円形のホルダ72の中央部に貫通孔73を有し、貫通孔73に本体1を差し込んで充電を行う。
図8(a)の点線にそった断面であって、貫通孔73に本体1を差し込んだ状態の模式図を
図8(b)に示す。
図8(b)のように充電器71は高さの低い円柱状のホルダ72の中央部にホルダ72の上面から下面に貫通する貫通孔73が形成されている。充電器71は電源コード74によって例えば壁面の家庭用コンセントに接続されて使用される。貫通孔73に
図8(b)に示すように本体1が差し込まれた状態で周知の電磁誘導を使用してバッテリ16に対してワイヤレス充電がされるが詳しい原理等の説明は省略する。充電器71は、例えばテーブルや洗面台等の板面75に置かれるので本体1の底面が板面75に接する。このような構成では、本体1やブラシ部13に付着した水分が板面75に垂れることがあっても充電器71に溜まって充電器71を汚すことがなく、本体1と充電器71を持ち上げて板面75が簡単に清掃されるので、本体1と充電器71及びその周囲をより簡単に、且つより清潔に維持することができる。
【0048】
充電器71内部には電源コード74によって供給された電力を送電コイル76に供給する送電電源77が配置され、当該電力は送電コイル76を利用して本体1に対して交番磁界を介して非接触で送電される。本体1は内部には送電コイル76からの電力を非接触で受信する受電コイル79と充電回路-A78を有する。充電回路-A78は、バッテリ16の充電残量を検出する充電残量検出部と、本体1が充電器71に装着されていることを検出する充電器検出部を有し、受電コイル79で受信した電力のバッテリ16への供給を制御する。送電コイル76と送電電源77及びこれらに接続されいる配線等は充電器71の内部に、受電コイル79と充電回路-A78及びこれらに接続されている配線等は本体1の内部に位置されており、本来は外部からは見ることはできない。
【0049】
図9は充電回路-A78のブロック図を示している。充電回路-A78は受電コイル79からの電力を整流する整流回路81を有し、整流回路81の出力は充電残量検出部である残量検出部-A84と、スイッチ素子80を介してバッテリ16に供給される。充電制御部-A83はスイッチ素子80のオンとオフを制御し、バッテリ16への充電が制御される。残量検出部-A84はバッテリ16の充電残量を検出して充電制御部-A83に通知する。充電制御部-A83はさらに充電時間を計測する充電タイマ85が接続されている。
【0050】
残量検出部-A84は受電コイル79により受電された電力に基づいてスイッチ素子80に生じる電圧VAと、スイッチ素子80を流れる電流Iを検出し、これらに基づいた信号は充電制御部-A83に送られる。後述するように、電圧VAを示す信号は本体1の充電器71への装着の有無を示す信号、あるいは装着されているか否かを示す信号に相当する。電流Iを示す信号はバッテリ16への充電を示す信号、バッテリ16が充電されているか否かを示す信号またはバッテリ16の残量を示す信号に相当する。
【0051】
電圧VAは本体1が充電器71に配置されている場合に生じるので、本体1が充電器71に配置されているか否か、あるいは本体1が貫通孔73に配置されているか否かが検出され、電圧VAを示す信号は本体1の充電器71への装着を示す信号に該当する。即ち、この構成では、残量検出部-A84は、本体1が充電器71に装着されていることを検出する充電器検出部としても機能する。
【0052】
電圧VAを、本体1の充電器71への装着を示す信号として使用してもよいが、本実施の形態では、事前に設定した閾値Vth1と比較し、比較結果を本体1の充電器71への装着を示す信号として使用してもよい。例えば残量検出部-A84は電圧VAを閾値Vth1と比較し、電圧VAが閾値Vth1以上の場合は、本体1の充電器71への装着の有無を示す信号SG1として、電圧VAが閾値Vth1以上であることを示す信号を充電制御部-A83に送信してもよい。閾値Vth1は本体1が充電器71に装着されたときに発生する電圧より低く設定されていればよい。
【0053】
一方、電流Iは充電が実行されているときに生じ、バッテリ16の残量が少ない時には電流Iは大きく、バッテリ16の残量が多い場合に小さい傾向があるのでので、電流Iによってバッテリ16の残量を検出することができ、電流Iはバッテリ16の残量を示す信号に相当する。
【0054】
電流Iをそのままバッテリ16の残量を示す信号として使用してもよいが、本実施の形態のように、事前に設定した閾値Ith1と比較し、比較結果または比較結果を示す信号をバッテリ16の残量を示す信号として使用してもよい。例えば残量検出部-A84は電流Iを閾値Ith1と比較し、電流Iが閾値Ith1未満の場合は、バッテリ16の充電が十分にされている、または残量が十分であることを示すので、バッテリ16の残量を示す信号SG2として電流Iが閾値Ith1未満であることを示す信号を充電制御部-A83に送信してもよい。
【0055】
上記のような実施の形態に限定せず、充電器71への装着の有無を示す信号SG1として、受電コイル79の端子間に生じる起電力や起電圧に基づく情報や信号を使用してもよいし、別途光学センサやドップラーセンサなどのセンサを配置して本体1が充電器71に装着されていることを判断することもできる。さらにバッテリ16の残量を示す信号として、バッテリ16の出力電圧や出力電流を使用してもよい。
【0056】
本体1が充電器71の貫通孔73に差し込まれると受電コイル79は送電コイル76からの電力を受電して受電電力として残量検出部-A84を経由してスイッチ素子80に送られる。スイッチ素子80は本体1が充電器71に装着されたときはオンの状態であり、受電電力はバッテリ16に供給される。残量検出部-A84は電圧VAを測定して閾値Vth1と比較し、電圧VAが閾値Vth1以上であればSG1を充電制御部-A83に通知する。充電制御部-A83が信号SG1を検出すると、充電制御部-A83は充電タイマ85に充電時間の計測開始を指示する。充電タイマ85は当該指示に基づいて、あらかじめ設定された充電時間、例えば3時間の計測を開始する。
【0057】
さらに残量検出部-A84はスイッチ素子80を介してバッテリ16に供給される電流Iを計測し閾値Ith1と比較し電流Iが閾値Ith1未満なら、電流Iが閾値Ith1未満であることを示す信号をSG2として充電制御部-A83に送る。充電制御部-A83がSG2を検出すると、SG2はバッテリ16の残量が十分であって充電が不要であることを示すので充電制御部-A83はスイッチ素子80をオフに制御してバッテリ16への電力供給を遮断して充電を停止し、さらに充電タイマ85に計時の停止を指示する。
【0058】
逆に残量検出部-A84からのSG2が検出されない場合において充電制御部-A83はスイッチ素子80を制御することがないのでスイッチ素子80はオンの状態が維持されてバッテリ16への電力供給が継続されて充電が続行される。ただし、充電が継続されると電流Iは閾値Ith1を下回る場合があるが、本実施の形態では充電を続行する場合においては残量検出部-A84から何も充電制御部-A83に送信されないとしてもよい。或いは、充電が必要または継続されることを示す信号を残量検出部-A84から充電制御部-A83に送信してもよい。
【0059】
充電時間が経過すると充電タイマ85は充電時間が経過したことを示す信号を充電制御部-A83に通知し、充電制御部-A83はその通知に基づいて、スイッチ素子80をオフに制御する。この場合、バッテリ16が満充電とならない場合があるが、常に満充電にすることは必ずしもバッテリ16を長期間にわたって良好な性能に維持するためには望ましくない。充電時間は本体1の使用に際して所望のブラッシングを得るのに足りる電力が充電できる時間を上回る長さであればよく、満充電でなくても特に問題はない。
【0060】
一方で、残量検出部-A84はスイッチ素子80がオンの状態で、即ち、充電が実施されている場合では、本実施の形態では閾値Ith1を電流Iが下回ってもSG2を充電制御部-A83に常には通知しない。即ち、SG2が通知されるのは、SG1が通知された直後、またはSG1が通知されてから所定時間内に限定されてもよい。或いはSG2はSG1に関わらずいつでも残量検出部-A84に通知されてもよいが、充電制御部-A83はSG1取得から一定時間経過後はこれを取得しない、あるいはこれを取得しても無視するまたは無効とするような制御も可能である
【0061】
残量検出部-A84は電流Iを事前に設定された閾値Ith2と比較し、電流Iが閾値Ith2以下となった場合に、その旨を示す信号SG3を充電制御部-A83に送信する。閾値Ith2は閾値Ith1より低く設定され、電流Iが閾値Ith2以下となったことはバッテリ16が満充電または満充電に近い状態となったことを示すように設定されていればよい。よってSG3はバッテリ16が満充電または満充電に近い状態であることを示す信号である。充電制御部-A83が当該SG3を検出すると、充電制御部-A83はスイッチ素子80をオフに制御してバッテリ16への電流供給を遮断して充電を中止し、充電タイマ85に時間計測の停止を指示する。
【0062】
なお、充電時間として3時間を例に挙げて説明したがこれに限定されるものではなく、送電コイル76や受電コイル79、バッテリ16の容量や能力等によって適宜設定されればよく、例えば、1時間や5時間、あるいは11時間等であってもよい。さらに、閾値Ith1と閾値Ith2はそれぞれ異なる値を設定しているがこれに限定されず、閾値Ith1と閾値Ith2として同じ値を使用してもよい。さらに電圧VAと閾値Vth1との比較や電流Iと閾値Ith1や閾値Ith2の比較を上記のように残量検出部-A84などの充電制御部-A83以外の回路部で行ってもよいが、残量検出部-A84は、電圧VAや電流Iを示す信号をSG1、SG2、またはSG3として充電制御部-A83に送信し、充電制御部-A83は当該信号を取得して、即ち充電制御部-A83が閾値Vth1や閾値Ith1他の各閾値と比較を行い、充電制御部-A83はその比較結果に基づいてスイッチ素子80の制御、即ち充電制御を行ってもよい。
【0063】
本体1が充電器71から取り外されると、受電コイル79が送電コイル76による電力を受電できず、残量検出部-A84によって検出された電圧VAが閾値Vth1を下回る。残量検出部-A84は電圧VAが閾値Vth1を下回ったことを示す信号であるSG4を充電制御部-A83に通知する。充電制御部-A83が信号SG4を検出すると、スイッチ素子80をオンに制御して、本体1が再度充電器71の貫通孔73に装着されて充電が再開される場合に備える。
【0064】
または残量検出部-A84はSG4を送信する代わりに、電圧VAが閾値Vth1を超えた場合は常にまたは繰り返しSG1を送信するが、電圧VAが閾値Vth1を下回った場合はSG1の充電制御部-A83への送信を停止するまたはSG1を充電制御部-A83に送信しないような制御でもよい。
【0065】
図10は上記の制御をフローチャートにした一例を示す。まずS1において本体1が充電器71に装着されたことを示す信号SG1が充電制御部-A83によって検出されると充電制御部-A83はS2において充電タイマ85に充電時間の計測を開始するように指示する。充電制御部-A83がバッテリ16の残量が十分である信号SG2を取得する(S3)と、S6において充電時間の計測の停止を指示し、スイッチ素子80のオフを行い(S6)、充電を停止する(S7)。また、S3においてSG2が検出できない場合であってもS4でバッテリ16が満充電されたことを示すSG3が検出された場合でも、同様にS6を実行し充電を停止する(S7)。SG2もSG3も検出されない場合であっても充電時間が経過する(S5)とスイッチ素子80はオフに制御され(S6)、充電が停止する(S7)。
【0066】
図11は他の充電制御を行う充電回路-B101の例を示すブロック図である。充電回路-A78では、残量検出部-A84がバッテリ16の充電残量を検出する充電残量検出部と、本体1が充電器71に装着されたことを検出する充電器検出部を兼ねていたが、充電回路-B101ではバッテリ16の残量を検出する充電残量検出部として残量検出部-B102と、充電器検出部として充電器検出部103が配置されて充電制御部-B104に接続されている。
【0067】
充電回路-A78と同様に整流回路81の出力はスイッチ素子80等を経由してバッテリ16に送られてバッテリ16に充電される。残量検出部-B102はバッテリ16に接続されてバッテリ16の出力電圧VBを検出してバッテリ16の充電残量を示す信号として、電圧VBを示す信号を充電制御部-B104に通知する。また、充電器検出部103がスイッチ素子80に接続されて電圧VAを検出して電圧VAを示す信号を充電制御部-B104に通知する。ここで電圧VAは本体1の充電器71への装着の有無を示す信号、あるいは装着されているか否かを示す信号に相当し、電圧VBはバッテリ16への充電を示す信号、あるいは充電がされているか否かを示す信号、または電圧VBはバッテリ16の残量を示す信号に相当する。
【0068】
図12は充電回路-B101における充電制御のフローチャートの一例を示す。充電回路-B101において、充電制御部-B104が充電器検出部103から通知された電圧VAを示す信号であって本体1の充電器71への装着の有無を示す信号であるSG1を取得して電圧VAを事前に設定したVth1と比較し、電圧VAがVth1以上では、電圧VAは本体1が充電器71に装着されたことを示すので、充電タイマ85に充電時間の計測を指示する(S2)。
【0069】
続けて充電制御部-B104は電圧VBを取得して事前に設定した閾値Vth2と比較(S3)し、電圧VBが閾値Vth2を超えた場合は充電残量が十分である、即ち充電が不要であるのでスイッチ素子80をオフに制御し充電タイマ85による充電時間の計測を停止(S6)して充電を停止する(S7)。逆に電圧VBが閾値Vth2以下の場合は、VBは充電が必要である、または満充電ではない或いは満充電に近い状態ではないことを示すことになり、スイッチ素子80の制御をおこなわずスイッチ素子80はオンのまま維持されて充電が続行される。満充電時のVBが例えば4.2Vであれば閾値Vth2の値として、3.7Vなどが使用できるがこれに限定されるものではなく、バッテリ16の特性や本体1の仕様に応じて適宜決定されればよい。
【0070】
充電が継続された結果、残量検出部-B102から通知されたVBが閾値Vth3を上回ったことを充電制御部-B104が検出すると(S4)、VBはバッテリ16の充電が満充電或いは満充電に近い状態となっているので充電制御部-B104はスイッチ素子80をオフに制御してバッテリ16への電力供給を遮断し、計時の停止も行い(S6)充電を停止する(S7)。閾値Vth3は通常閾値Vth2よりも大きな値に設定される。閾値Vth3としては例えば満充電時のVBであってもよいが、これに限定されるものではなく、バッテリ16の特性や本体1の仕様に応じて適宜決定されればよい。また、充電制御部-B104は充電時間が経過した場合(S5)も充電回路-A78と同様にスイッチ素子80をオフに制御(S6)して充電を停止する(S7)。
【0071】
本体1が充電器71から取り外されることによって、充電器検出部103から取得した電圧VAが閾値Vth1を下回ったことを充電制御部-B104が検出すると、充電制御部-B104はスイッチ素子80をオンに制御する。
【0072】
上記において充電が実施されているか否かを使用者は判断できないので、例えば別途LEDを本体1に配置してバッテリ16に充電が実施されている場合は、即ち電流Iが検出された場合は当該LEDを点灯させて充電がされていることを使用者に知らせるような構成でもよい。ただし上記の制御においては、本体1が充電器71に挿入された場合であって、残量検出部-A84が検出した電流Iが閾値Ith1を下回った場合、即ちバッテリ16の残量が十分で充電が不要な場合はその旨が直ちに充電制御部-A83に通知され、充電制御部-A83によってスイッチ素子80がオフに制御され、充電が停止されて電流Iが検出されなくなる、あるいはゼロとなる。この場合に当該LEDは、本体1が充電器71に挿入された瞬間に一瞬点灯し、すぐに消灯するので、使用者は充電が正常に行われていない、あるいは故障したと誤解する可能性がある。
【0073】
そこで当該LEDの点灯は電流Iの検出から一定時間(例えば3秒)経過後に点灯させるように構成でもよく、または当該一定時間経過後に再度電流Iが検出されていれば当該LEDを点灯させるような構成でもよい。または電流Iの検出によって当該LEDは一回点灯すると、一定時間(例えば3分)は消灯しないような構成としてもよい。この場合では当該一定時間において当該LEDは消灯しないので使用者は充電制御に異常がないと判断しやすく、充電器71や本体1が故障していると誤解することがなく望ましい。
【0074】
上記のようなLEDの制御は上記の充電制御部-A83や充電制御部-B104が行ってもよいし別途LEDを制御する回路を配置してもよい。
【0075】
一般的にバッテリ、特にリチウムイオン電池のような二次電池では、長時間において、あるいは常に満充電の状態にすることは容量の低下につながり、バッテリの寿命を縮める、または出力が低下するなど、バッテリの性能低下を招くので、必ずしも望ましいことではない。これを回避するために満充電とならない、あるいは満充電させないために、例えば充電量や充電時間を計算する充電制御が行われているが充電時間や充電量の計算に必要な回路構成や計算結果に応じた充電制御が可能な回路構成が必要で充電システムの大型化や複雑化を招く。さらに部品点数の増加に伴って故障率の上昇を招き、同時にコスト上昇も誘発して、良好なブラッシングを長期間にわたって安価で与えることができない事態となっていた。
【0076】
上記のような制御ではバッテリ16が常に満充電されるとは限らず、バッテリ16に負荷やストレスがかからず、非常に簡単な構成でバッテリ16の充電制御が可能でバッテリ16の性能を長期にわたって維持することもできるので、複雑な充電制御による不具合を回避して本体1による良好なブラッシングを安価で長期間にわたって与えることができる。
【0077】
上記において説明した各構成では、非常に簡単で安価な構成で、長期間にわたって所望のブラッシング効果を損なうことのない、信頼性の高い超音波歯ブラシを実現できる。
【符号の説明】
【0078】
1 本体
11 把持部
12 突出部
13 ブラシ部
14 ブラシ
15 操作部
16 バッテリ
17 コントローラ
18 振動子
19 振動部
20 ハーネス-B
22 スイッチ
23 LED部
41 開口部-A
42 空隙-A
43 植毛部
44 挿入部
45 毛束
46 空隙-B
60 開口部-H
61 開口部-B
62 開口部-C
63 開口部-D
64 ポケット
65 開口部-E
66 流路-A
67 開口部-F
68 開口部-G
69 流路-B
70 流路-C
71 充電器
72 ホルダ
73 貫通孔
74 電源コード
75 板面
76 送電コイル
77 送電電源
78 充電回路-A
79 受電コイル
80 スイッチ素子
81 整流回路
82 接着剤
83 充電制御部-A
84 残量検出部-A
85 充電タイマ
101 充電回路-B
102 残量検出部-B
103 充電器検出部
104 充電制御部-B
201 ユーザーIF部
202 制御部
204 信号生成部
206 電源部
207 タイマ