IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日立GEニュークリア・エナジー株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-横型円筒タンク 図1
  • 特開-横型円筒タンク 図2
  • 特開-横型円筒タンク 図3
  • 特開-横型円筒タンク 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023090159
(43)【公開日】2023-06-29
(54)【発明の名称】横型円筒タンク
(51)【国際特許分類】
   B65D 90/02 20190101AFI20230622BHJP
【FI】
B65D90/02 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021204971
(22)【出願日】2021-12-17
(71)【出願人】
【識別番号】507250427
【氏名又は名称】日立GEニュークリア・エナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】屋嘉 広行
(72)【発明者】
【氏名】青木 祐介
【テーマコード(参考)】
3E170
【Fターム(参考)】
3E170AA03
3E170AB02
3E170AB03
3E170BA10
3E170DA01
3E170QA01
3E170RA01
3E170SA01
3E170SA03
3E170SA20
(57)【要約】
【課題】
本発明は、簡易な補強構造(補強部材)により、バルジング振動によるタンク胴の変形を抑制する横型円筒タンクを提供する。
【解決手段】
上記した課題を解決するため、本発明の横型円筒タンクは、横置きに設置され、液体を貯留する円筒状のタンク胴と、タンク胴を基礎に固定するタンク支持部材と、タンク胴の内部に設置され、タンク胴の内壁面に接触荷重を伝達し、コイルスプリング状に設置される補強フレームと、を有することを特徴とする。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
横置きに設置され、液体を貯留する円筒状のタンク胴と、前記タンク胴を基礎に固定するタンク支持部材と、前記タンク胴の内部に設置され、前記タンク胴の内壁面に接触荷重を伝達し、コイルスプリング状に設置される補強フレームと、を有することを特徴とする横型円筒タンク。
【請求項2】
請求項1に記載する横型円筒タンクであって、
前記タンク胴が、トーラス形状のタンク胴であることを特徴とする横型円筒タンク。
【請求項3】
請求項2に記載する横型円筒タンクであって、
前記補強フレームの端部同士を結合することを特徴とする横型円筒タンク。
【請求項4】
請求項1に記載する横型円筒タンクであって、
前記補強フレームが、中空パイプで構成されることを特徴とする横型円筒タンク。
【請求項5】
請求項4に記載する横型円筒タンクであって、
前記中空パイプに内圧を付加する空気を流通するパイプと、前記パイプを流通する空気を加圧する加圧装置と、前記パイプを流通する空気の流量を制御し、前記中空パイプの内圧を制御する圧力制御バルブと、を有することを特徴とする横型円筒タンク。
【請求項6】
請求項5に記載する横型円筒タンクであって、
前記タンク支持部材の加速度を測定する支持部材加速度計と、前記タンク胴の加速度を測定するタンク胴加速度計と、前記支持部材加速度計と前記タンク胴加速度計との測定結果に基づいて、前記圧力制御バルブと前記加圧装置とを制御する制御装置と、を有することを特徴とする横型円筒タンク。
【請求項7】
請求項4に記載する横型円筒タンクであって、
前記中空パイプは、その一部に、前記中空パイプの長手方向に伸縮するUベローズを有することを特徴とする横型円筒タンク。
【請求項8】
請求項7に記載する横型円筒タンクであって、
前記中空パイプは、前記Uベローズを補強し、前記Uベローズの長手方向のみの伸縮を許容する作動ガイドを有することを特徴とする横型円筒タンク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、横型円筒タンクに関する。
【背景技術】
【0002】
水や燃料油などの液体を貯留する円筒タンクは、地震が発生した場合であっても、倒壊せずに自立した状態を維持し、かつ、液体の漏洩が発生しないことが要求される。加えて、円筒タンクは、タンク胴が地震の振動に起因して損傷する恐れがあるため、タンク胴の損傷を抑制する必要がある。
【0003】
こうした技術分野における背景技術として、特開2019-147563号公報(特許文献1)がある。
【0004】
この特許文献1には、タンク胴の内部にタンク胴の内壁面と隙間を形成して設置され、気体が封入される中空パイプにより構成されるトーラス(ドーナツ)形状の補強フレームと、タンク胴の内部に設置され、一端がタンク胴の液面に位置する浮力体に接続し、他端がタンク胴の下部に位置する接続治具に接続し、補強フレームを停留する位置決め装置と、を有する円筒タンクが記載されている。
【0005】
そして、特許文献1には、タンク胴の内部から、タンク胴に発生するバルジング振動を抑制し、タンク胴の半径方向(水平方向)の変形を抑制する円筒タンクが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019-147563号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1には、バルジング振動を抑制する縦型円筒タンク(平底円筒タンク)が記載されている。そして、特許文献1に記載される補強フレームと位置決め装置とを有する縦型円筒タンクは、バルジング振動を抑制する。
【0008】
しかし、特許文献1には、横型円筒タンクは記載されていない。そして、横型円筒タンクには、特許文献1に記載されるような、補強フレームと位置決め装置とを設置することができない。
【0009】
また、横型円筒タンクのタンク胴の外側にスペースがあり、工事の制約が無い場合には、タンク胴の外側に補強リブを設置することができる。しかし、横型円筒タンクのタンク胴の外側にスペースがなく、工事の制約が有る既設の横型円筒タンクは、タンク胴の外側に補強リブを設置することができない。
【0010】
また、横型円筒タンクのタンク胴の内側に補強リブを設置する場合には、地震が発生した際の横型円筒タンクの挙動を決定する横型円筒タンクの固有振動モードに影響する流体付加質量が増加する恐れがある。
【0011】
そこで、本発明は、簡易な補強構造(補強部材)により、バルジング振動によるタンク胴の変形を抑制する横型円筒タンクを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記した課題を解決するため、本発明の横型円筒タンクは、横置きに設置され、液体を貯留する円筒状のタンク胴と、タンク胴を基礎に固定するタンク支持部材と、タンク胴の内部に設置され、タンク胴の内壁面に接触荷重を伝達し、コイルスプリング状に設置される補強フレームと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、簡易な補強構造(補強部材)により、バルジング振動によるタンク胴の変形を抑制する横型円筒タンクを提供することができる。
【0014】
なお、上記した以外の課題、構成及び効果については、下記する実施例の説明により、明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施例1に記載する補強フレーム1を有する横型円筒タンク2を説明する概略鳥瞰図である。
図2】実施例2に記載する補強フレーム1を有するトーラス型円筒タンク22を説明する概略切断鳥瞰図である。
図3】実施例3に記載する補強フレーム1を有する横型円筒タンク2を説明する概略説明図である。
図4】実施例4に記載する補強フレーム1を有する横型円筒タンク2を説明する部分概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施例について、図面を使用し、説明する。なお、各図面において、実質的に同一又は類似の構成は、同一の符号を使用し、説明し、各図面において、説明が重複する場合には、重複する説明を省略する場合がある。
【実施例0017】
先ず、実施例1に記載する補強フレーム1を有する横型円筒タンク2を説明する。
【0018】
図1は、実施例1に記載する補強フレーム1を有する横型円筒タンク2を説明する概略鳥瞰図である。
【0019】
実施例1に記載する横型円筒タンク2は、液体10を貯留する。
【0020】
そして、横型円筒タンク2は、以下の構成を有する。
(1)液体10を貯留し、水平方向の断面が長方形(鉛直方向の断面が円形)となるように横置きに設置される円筒状のタンク胴23、
(2)タンク胴23を地盤に繋がる強固な基礎3に固定するタンク支持脚(タンク支持部材)4、
(3)タンク胴23の内部に設置され、タンク胴23の内壁面(タンク胴23を構成する筒状板)に接触荷重(補強フレーム1からタンク胴23の内壁面に作用する荷重)を伝達し、タンク胴23の内壁面に沿うように螺旋状(渦巻状、コイルスプリング状)に設置される補強フレーム1。
【0021】
なお、このような横型円筒タンク2は、例えば、16台の横型円筒タンク2を水平方向に円形状に設置(それぞれの接続部は斜めに形成)され、原子炉の格納容器の一部であり、原子炉の冷却材が喪失された際に放出される蒸気を凝縮するプール水を保持するサプレッションチェンバを形成する。
【0022】
タンク胴23は、例えば、直径が約7m、長手方向(軸方向)の長さが約15mであり、その厚さが約15mmである鋼(スチール)により、形成される。
【0023】
タンク支持脚4は、例えば、タンク胴23の下方から基礎3に対して鉛直方向に伸長するタンク支持部材であり、タンク胴23を基礎3に強固に設置する。タンク支持脚4は、円形(タンク胴23の鉛直方向であって、タンク胴23の長手方向に垂直な断面は円形)の下方の左右に設置され、タンク胴23の長手方向に、複数、設置される。
【0024】
なお、タンク支持脚4は、地震が発生した場合であっても、倒壊せずに自立した状態を維持するように、タンク支持脚4自身、タンク支持脚4と基礎3との接続部分、及び、タンク支持脚4とタンク胴23との接続部分について、対策される。
【0025】
また、実施例1では、タンク支持脚4を使用し、説明したが、タンク支持脚4は、タンク胴23を基礎3に強固に設置するタンク支持部材であればよく、必ずしもタンク支持脚4に限定されるものではない。
【0026】
補強フレーム1は、タンク胴23の内壁面に沿うように設置され、タンク胴23の内径よりも大きな外径を有するコイルスプリング状の、例えば、鋼(スチール)からなる補強部材である。なお、補強フレーム1は、例えば、断面が円形状又は四角形状であり、直径又は一辺の長さが90~100mmの中実であり、5~10巻きのコイルスプリング状の補強部材である。
【0027】
そして、補強フレーム1は、タンク胴23の内径よりも小さな外径となるように圧縮され、タンク胴23の内部に挿入され、タンク胴23の内部に設置される。補強フレーム1は、タンク胴23の内壁面に対して、その反発力(反力)により、内側から外側の方向(外向き)に接触荷重(接触反力)を付加する。つまり、補強フレーム1は、接触荷重により、タンク胴23の内壁面を支持する。
【0028】
また、補強フレーム1は、その端部のみが、溶接により、タンク胴23に固定され、端部のみ以外は、タンク胴23に固定されていない。これにより、補強フレーム1は、地震の振動に起因し、補強フレーム1に水平荷重が付加される場合であっても、タンク胴23の長手方向に摺動し、移動することができる。
【0029】
タンク胴23は、地震が発生した場合であっても、地震の振動に起因する損傷を抑制する必要がある。地震が発生した場合、タンク胴23に貯留される液体10により、タンク胴23の内壁面には、タンク胴23の内壁面を内側に引っ張る引っ張り荷重(地震の振動に起因し、液体10がタンク胴23の内壁面に作用する動的な圧力荷重)が発生する。
【0030】
そこで、実施例1では、タンク胴23の内部に、コイルスプリング状の補強フレーム1を設置し、タンク胴23の内壁面に引っ張り荷重が発生した場合であっても、補強フレーム1の接触荷重により、タンク胴23の内壁面を支持する。
【0031】
つまり、補強フレーム1は、その反発力により、タンク胴23の内壁面に、内側から外側の方向に接触荷重を発生する。そして、補強フレーム1の接触荷重により、地震の振動に起因する液体10の負の動圧により半径方向に変形するタンク胴23の内壁面を支持する。
【0032】
このように、実施例1に記載する横型円筒タンク2は、横置きに設置され、液体10を貯留する円筒状のタンク胴23と、タンク胴23を基礎3に固定するタンク支持脚(タンク支持部材)4と、タンク胴23の内部に設置され、タンク胴23の内壁面に接触荷重を伝達し、コイルスプリング状に設置される補強フレーム1と、を有する。
【0033】
これにより、特に、横型円筒タンク2において、低コストで、簡易な補強構造(補強部材)により、タンク胴23の内壁面を支持し、地震の振動に起因するタンク胴23に発生するバルジング(bulging)振動を抑制し、バルジング振動によるオーバル振動モードの励起(発生)を抑制し、タンク胴23の半径方向の変形を抑制する。
【0034】
また、これにより、地震の振動に起因し、補強フレーム1に水平荷重が付加される場合であっても、補強フレーム1は、タンク胴23の長手方向に摺動し、移動するため、地震が発生した際の挙動を決定する横型円筒タンク2の固有振動モードに影響する流体付加質量の増加を抑制することができる。更に、補強フレーム1は、タンク胴23の長手方向に摺動し、移動するため、減衰効果が発生し、応答加速度を低減することができる。
【0035】
また、補強フレーム1は、既設の横型円筒タンク2であっても、容易に設置することができる。
【実施例0036】
次に、実施例2に記載する補強フレーム1を有するトーラス型円筒タンク22を説明する。
【0037】
図2は、実施例2に記載する補強フレーム1を有するトーラス型円筒タンク22を説明する概略切断鳥瞰図である。
【0038】
実施例2に記載するトーラス型円筒タンク22は、トーラス(ドーナツ)形状の横型円筒タンク2であり、基本的に、図1に示す横型円筒タンク2と同様の構成を有する。このため、詳細な説明は省略する。なお、水面10は省略する。
【0039】
トーラス型円筒タンク22は、液体10を貯留するトーラス形状のタンク胴23と、タンク胴23の内部に設置され、タンク胴23の内壁面に接触荷重を伝達し、コイルスプリング状に設置される補強フレーム1と、を有する。
【0040】
つまり、トーラス型円筒タンク22は、トーラス形状のタンク胴23の内部に、コイルスプリング状の補強フレーム1を設置する。
【0041】
そして、地震が発生した場合には、タンク胴23に貯留される液体10は、一方向に流動しやすくなる。これにより、トーラス型円筒タンク22の全体が移動するようなモードに対する流体付加質量の低減効果が期待できる。
【0042】
また、トーラス型円筒タンク22では、補強フレーム1の端部同士を結合することができる。これにより、補強フレーム1の反発力を調整することができる。
【実施例0043】
次に、実施例3に記載する補強フレーム1を有する横型円筒タンク2を説明する。
【0044】
図3は、実施例3に記載する補強フレーム1を有する横型円筒タンク2を説明する概略説明図である。
【0045】
実施例3に記載する横型円筒タンク2は、図1に示す横型円筒タンク2と同様の構成を有する。このため、詳細な説明は省略する。なお、水面10は省略する。
【0046】
実施例3では、補強フレーム1を中空パイプで構成する。中空パイプは、例えば、直径が100~150mmであり、その厚さが5~8mmである鋼(スチール)により、形成される。
【0047】
そして、補強フレーム1は、コイルスプリング状の中空パイプであり、中空パイプの全長が長いため、中空パイプに内圧を付加することにより、中空パイプで構成される補強フレーム1は、その外径が大きくなり、タンク胴23の内壁面に対して、内側から外側の方向に接触荷重を増加する。これにより、この接触荷重を、更に、増加させることができる。
【0048】
また、補強フレーム(中空パイプ)1の一端には、補強フレーム1に内圧を付加する空気を流通するパイプ(加圧パイプ)7が接続され、その他端は、封止される。そして、パイプ7には、パイプ7を流通する空気を加圧する加圧装置6が接続される。
【0049】
また、パイプ7には、パイプ7を流通する空気の流量を制御し、補強フレーム1の内圧を制御する圧力制御バルブ5が設置される。
【0050】
補強フレーム1に内圧を付加することにより、補強フレーム1は、タンク胴23の内壁面に対して、内側から外側の方向に接触荷重を増加する。そして、補強フレーム1の接触荷重により、タンク胴23の内壁面を支持する。
【0051】
また、横型円筒タンク2のタンク支持脚(タンク支持部材)4には、地震の振動に起因するタンク支持脚(タンク支持部材)4の加速度を測定する支持脚加速度計(支持部材加速度計)8が設置され、横型円筒タンク2のタンク胴23には、地震の振動に起因するタンク胴23の加速度を測定するタンク胴加速度計81が設置される。
【0052】
また、圧力制御バルブ5と加圧装置6とには、支持脚加速度計(支持部材加速度計)8とタンク胴加速度計81との測定結果(信号)に基づいて、圧力制御バルブ5と加圧装置6とを制御する制御装置9より、制御信号が送信される。
【0053】
つまり、実施例3では、支持脚加速度計(支持部材加速度計)8とタンク胴加速度計81との測定結果に基づいて、補強フレーム1の内圧を制御する。支持脚加速度計(支持部材加速度計)8とタンク胴加速度計81との測定結果に基づいて、補強フレーム1の内圧を制御することにより、能動的に補強フレーム1の内圧を制御することができる。
【0054】
このように、実施例3では、横型円筒タンク2には、更に、補強フレーム1に内圧を付加する空気を流通するパイプ7と、パイプ7を流通する空気を加圧する加圧装置6と、パイプ7を流通する空気の流量を制御し、補強フレーム1の内圧を制御する圧力制御バルブ5と、タンク支持脚(タンク支持部材)4の加速度を測定する支持脚加速度計(支持部材加速度計)8と、タンク胴23の加速度を測定するタンク胴加速度計81と、支持脚加速度計(支持部材加速度計)8とタンク胴加速度計81との測定結果に基づいて、圧力制御バルブ5と加圧装置6とを制御する制御装置9と、が設置される。
【0055】
そして、制御装置9は、地震の振動の周波数が、オーバル振動モードを発生すると判断する場合には、補強フレーム1の内圧が増加するように、加圧し、オーバル振動モードを発生しないと判断する場合には、補強フレーム1の内圧が減少するように、減圧する。
【0056】
つまり、補強フレーム1は、地震の振動の周波数が、オーバル振動モードを発生すると判断される場合には、内圧が増加するように加圧され、オーバル振動モードを発生しないと判断される場合には、内圧が減少するように減圧される。
【0057】
これにより、液体10が揺動するようなモードに対する流体付加質量が低減する。更に、補強フレーム1が、加圧される場合と減圧される場合とにより、補強フレーム1が、タンク胴23の長手方向に摺動し、移動する度合いが調整され、減衰効果を調整することができる。
【実施例0058】
次に、実施例4に記載する補強フレーム1を有する横型円筒タンク2を説明する。
【0059】
図4は、実施例4に記載する補強フレーム1を有する横型円筒タンク2を説明する部分概略図である。
【0060】
実施例4に記載する横型円筒タンク2は、図3に示す横型円筒タンク2と同様の構成を有する。このため、詳細な説明は省略する。
【0061】
補強フレーム(中空パイプ)1は、補強フレーム1の一部に、補強フレーム1の一部が補強フレーム1の長手方向に伸縮するUベローズ11を有する。
【0062】
更に、補強フレーム1は、Uベローズ11と略平行な方向に設置され、Uベローズ11を補強し、Uベローズ11の長手方向のみの伸縮を許容する作動ガイド12と、補強フレーム1に設置され、Uベローズ11の前方(後方)に、作動ガイド12の一方を固定する作動ガイド固定支柱13と、補強フレーム1に設置され、Uベローズ11の後方(前方)に、作動ガイド12の他方をスライド可能に支持する作動ガイドスライド支柱14と、を有する。
【0063】
つまり、補強フレーム1には、その一部に軸方向のみの伸縮を許容する作動ガイド12を有するUベローズ11が設置される。なお、作動ガイド12は、Uベローズ11を補強フレーム1と略平行な方向にのみ伸縮させ、Uベローズ11の蛇行を抑制する。
【0064】
なお、Uベローズ11は、コイルスプリング状の中空パイプにおいて、2~3巻きに、1箇所設置し、1周に10~20度(1周の1/36~1/18)設置することが好ましい。
【0065】
一般的に、中空パイプを加圧する場合、内圧により発生する、中空パイプの軸方向応力は、中空パイプの周方向応力の半分であり、中空パイプの加圧は、中空パイプの軸方向応力により、制限される。また、Uベローズ11が設置される中空パイプは、Uベローズ11が設置されない中空パイプよりも、中空パイプの軸方向応力が大きい。
【0066】
このため、Uベローズ11が設置される中空パイプは、Uベローズ11が設置されない中空パイプよりも、加圧による全長の伸びが大きい。
【0067】
つまり、実施例3では、Uベローズ11を設置することにより、補強フレーム1は、その外径が大きくなり、タンク胴23の内壁面に対して、内側から外側の方向に接触荷重を、更に増加させることができる。
【0068】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために、具体的に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を有するものに限定されるものではない。
【0069】
また、ある実施例の構成の一部を、他の実施例の構成の一部に置換することもできる。また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を追加することもできる。また、各実施例の構成の一部について、それを削除し、他の構成の一部を追加し、他の構成の一部と置換することもできる。
【符号の説明】
【0070】
1・・・補強フレーム
10・・・液体
11・・・Uベローズ
12・・・動作ガイド
13・・・動作ガイド固定支柱
14・・・動作ガイドスライド支柱
2・・・横型円筒タンク
22・・・トーラス型円筒タンク
23・・・タンク胴
3・・・基礎
4・・・タンク支持脚
5・・・圧力制御バルブ
6・・・加圧装置
7・・・パイプ
8・・・支持脚加速度計
81・・・タンク胴加速度計
9・・・制御装置
図1
図2
図3
図4