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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023090177
(43)【公開日】2023-06-29
(54)【発明の名称】振動発生装置および振動発生方法
(51)【国際特許分類】
   B06B 1/04 20060101AFI20230622BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20230622BHJP
【FI】
B06B1/04 S
B06B1/04 A
G06F3/041 480
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021204997
(22)【出願日】2021-12-17
(71)【出願人】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(74)【代理人】
【識別番号】100099748
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 克志
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【弁理士】
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(72)【発明者】
【氏名】白嶋 仁
(72)【発明者】
【氏名】杵村 和彦
【テーマコード(参考)】
5D107
【Fターム(参考)】
5D107AA04
5D107BB08
5D107CC09
5D107CD03
(57)【要約】
【課題】振動が不適切に弱まることを防止しつつ、コストを低減した「振動発生装置および振動発生方法」を提供する。
【解決手段】振動発生装置1の駆動信号出力部20は、振動子を振動させる際、プラス側に立ち上がり、プラス側で電圧が変化する単発の信号であって、振動子或いは振動子の振動に連動して振動する振動対象物を第1向きへ向かって移動させる力を付加する単発駆動信号を第1の駆動信号として出力し、その後、第1向きと逆の向きである第2向きへの振動子或いは振動対象物の移動がピークとなるタイミングと、信号の立ち上がりの開始タイミングとが一致するように、単発駆動信号を第2の駆動信号として出力し、マイナス側に変位しない単発の信号によって振動子或いは振動対象物の振動の振幅を増大している。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力した駆動信号に応じて弾性部材で支持された振動子を振動させるアクチュエータに対して駆動信号を出力可能な振動発生装置であって、
前記アクチュエータに駆動信号を出力する駆動信号出力部を備え、
前記駆動信号出力部は、前記振動子を振動させる際、プラス側に立ち上がり、プラス側で電圧が変化する単発の信号であって、前記振動子或いは前記振動子の振動に連動して振動する振動対象物を第1向きへ向かって移動させる力を付加する単発駆動信号を第1の駆動信号として出力し、その後、前記第1向きと逆の向きである第2向きへの前記振動子或いは前記振動対象物の移動がピークとなるタイミングと、信号の立ち上がりの開始タイミングとが一致するように、前記単発駆動信号を第2の駆動信号として出力する
ことを特徴とする振動発生装置。
【請求項2】
前記駆動信号出力部は、前記第1の駆動信号を出力した後、前記振動子或いは前記振動対象物の振動の振幅が最初にピークとなるタイミングと、信号の立ち上がりの開始タイミングとが一致するように前記第2の駆動信号を出力する
ことを特徴とする請求項1に記載の振動発生装置。
【請求項3】
前記単発駆動信号は、初期位相が0°の正弦波の半周期分の波、三角波またはパルス波である
ことを特徴とする請求項1または2に記載の振動発生装置。
【請求項4】
ベース部材に前記弾性部材が取り付けられ、前記振動子は振動可能な状態で前記弾性部材を介して前記ベース部材に支持され、
前記振動対象物は、前記ベース部材と一体的に振動し、ユーザによって接触操作される部材である
ことを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の振動発生装置。
【請求項5】
入力した駆動信号に応じて弾性部材で支持された振動子を振動させるアクチュエータに対して駆動信号を出力可能な振動発生装置による振動発生方法であって、
前記振動発生装置の駆動信号出力部が、プラス側に立ち上がり、プラス側で電圧が変化する単発の信号であって、前記振動子或いは前記振動子の振動に連動して振動する振動対象物を第1向きへ向かって移動させる力を付加する単発駆動信号を第1の駆動信号として出力するステップと、
前記振動発生装置の前記駆動信号出力部が、前記第1向きと逆の向きである第2向きへの前記振動子或いは前記振動対象物の移動がピークとなるタイミングと、信号の立ち上がりの開始タイミングとが一致するように、前記単発駆動信号を第2の駆動信号として出力するステップとを含む
ことを特徴とする振動発生方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動発生装置および振動発生方法に関し、特に、アクチュエータに駆動信号を出力して振動を発生させる振動発生装置および振動発生方法に用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、タッチパネルに対するユーザのタッチ操作など、ユーザが被接触体に接触したときに、ユーザに対して振動触覚を付与することを目的として被接触体を振動させる振動発生装置が知られている。振動発生装置としては、アクチュエータに駆動信号を出力し、アクチュエータの振動子を振動させるものがある。そしてこの種の振動発生装置に関しては、種々の技術が開示されている。
【0003】
例えば特許文献1には、触覚制御マイコン160からアクチュエータ130に再生開始信号(駆動信号)を出力し振動を発生させる操作装置100(振動発生装置)について、アクチュエータ130の駆動タイミングを制御することにより切れの良い振動触覚を発生させる技術が開示されている。また例えば特許文献2には、操作入力ECU10から駆動回路5に制御信号を出力すると共に駆動回路5から圧電素子4に駆動信号を出力し振動を発生させる操作入力装置1(振動発生装置)について、共振周波数で振動をオンする制御信号と、共振周波数以上の周波数で振動をオフする制御信号とを切り替えることによって、オン/オフの切り替え時の振動音を低減する技術が開示されている。
【0004】
また例えば特許文献3には、制御部18からアクチュエータ16に駆動信号を出力し振動を発生させる触覚呈示装置1(振動発生装置)について、接触操作に伴う荷重が一定以上のときにアクチュエータ16を駆動するようにし、これにより被接触体の状態を呈示する技術が開示されている。また例えば特許文献4には、CPU210からドライバIC260を介してLRA(Linear Resonant Actuator)140に駆動信号を出力し振動を発生させる電子機器100(振動発生装置)について、アクチュエータの共振周波数の正弦波であり、正弦波の振幅の中心点以外においてアクチュエータの加振を停止する駆動信号を出力することによって操作に応じた触覚を提供する技術が開示されている。また例えば特許文献5には、CPU210からドライバIC260を介してLRA140に駆動信号を出力し振動を発生させる電子機器100(振動発生装置)について、駆動信号の波形を制御することにより、装置の共振周波数が加速度振幅に応じて変化する場合に、操作に応じた触覚を提供する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-097004号公報
【特許文献2】特開2016-170766号公報
【特許文献3】特開2018-045407号公報
【特許文献4】国際公開第2013/186849号
【特許文献5】国際公開第2015/083283号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで駆動信号により振動を発生させる振動発生装置において、駆動信号の最も単純な波形は、図10の符号Aで示すような、0[V]を振動中心としてプラス電位とマイナス電位との間を往復する正弦波である。しかしながら駆動信号の波形をこのような波形とする場合、駆動信号を出力する駆動回路においてマイナス電位を作り出す必要があり、駆動回路の回路構成が複雑化し、コストの増加につながるという問題がある。
【0007】
この問題を解決するため従来、駆動信号にバイアスをかけて振動中心の電圧を押し上げ、駆動信号の電圧が0[V]を下回らないようにすることが行われていた。図10の符号Bは、バイアスをかけた後の駆動信号の波形を示している。しかしながらこの場合、駆動信号の電圧のピーク値が上昇することになり、これに伴って専用の昇圧回路を追加する必要が生じ、やはりコストの増加につながるという問題があった。
【0008】
このような従来の問題点を解決するにあたって、コストを低減することが達成できたとしても、これに起因して、振動発生装置が発生させる振動が不適切に弱まり、所望の振動が得られないという状態となるのでは本末転倒であり、当然、このような状態とならないことが求められる。
【0009】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、駆動信号に応じた振動を発生させる振動発生装置について、振動が不適切に弱まることを防止しつつ、コストを低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記した課題を解決するために、本発明では、振動子を振動させる際、プラス側に立ち上がり、プラス側で電圧が変化する単発の信号であって、振動子或いは振動子の振動に連動して振動する振動対象物を第1向きへ向かって移動させる力を付加する単発駆動信号を第1の駆動信号として出力し、その後、第1向きと逆の向きである第2向きへの振動子或いは振動対象物の移動がピークとなるタイミングと、信号の立ち上がりの開始タイミングとが一致するように、単発駆動信号を第2の駆動信号として出力するようにしている。
【発明の効果】
【0011】
上記のように構成した本発明によれば、駆動信号出力部から出力される駆動信号が「プラス側に立ち上がり、プラス側で電圧値が変化する単発の信号」であるため、駆動回路においてマイナス電位を作り出す必要がなく、更に駆動信号にバイアスをかける必要がなく、コストを低減できる。ここで本発明では駆動信号出力部から出力される駆動信号が単発の信号であるため、例えばアクチュエータの振動子、或いは、この振動子の振動に連動して振動する振動対象物を振動させるにあたって1つだけ単発的に駆動信号を出力する場合や、無秩序に単発の駆動信号を出力する場合、十分に強い振動が得られないことが想定される。
【0012】
一方で本発明によれば、単発駆動信号は、振動子或いは振動対象物を第1向きへ向かって移動させる力を付加する駆動信号である。そして本発明では振動子或いは振動対象物を振動させるにあたって、1回目の単発駆動信号が出力された後、第1向きと逆の向きである第2向きへの振動子或いは振動対象物の移動がピークとなるタイミングと、信号の立ち上がりの開始タイミングとが一致するように、2回目の単発駆動信号が出力される。このため振動子或いは振動対象物について振動に伴う第2向きへの移動がピークとなると共に弾性エネルギーがピークとなり、第1向きへの移動が開始されたタイミングで、単発駆動信号によって振動子或いは振動対象物を第1向きへ移動させる力を付加することができる。これにより2回目の単発駆動信号によって、振動子或いは振動対象物の第1向きへの移動を効果的に加速することができ、振動子或いは振動対象物の振動が不適切に弱まることを防止できる。
【0013】
すなわち本発明によれば、振動発生装置が発生させる振動が不適切に弱まることを防止しつつ、コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】タッチスクリーンおよび関連する部材の斜視図である。
図2】アクチュエータの断面図である。
図3】筐体、タッチスクリーンおよび振動子の関係を示す図である。
図4】本発明の一実施形態に係る振動発生装置の機能構成例を示すブロック図である。
図5】単発駆動信号の波形を示す図である。
図6】単発駆動信号を出力したときの単発駆動信号の電圧、振動子の位置およびタッチスクリーンの加速度の推移を示す図である。
図7】本発明の一実施形態に係る振動発生装置の動作例を示すフローチャートである。
図8】本発明の一実施形態に係る振動発生装置の動作例を示すフローチャートである。
図9】単発駆動信号の波形の他の例を示す図である。
図10】従来の課題の説明に用いる図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態に係る振動発生装置1(図4)により振動を発生する対象となるタッチスクリーン2およびこれに関連する部材を背面側から見た斜視図である。タッチスクリーン2は、車両のセンタクラスタ(当然、他の場所であってもよい)に設けられる装置であり、液晶ディスプレイや有機ELパネル等の表示パネルと、当該表示パネルに重ねて配置されたタッチセンサとを備えている。タッチスクリーン2は、正面に形成された画面に映像を表示する機能、および、画面へのタッチ操作を検出する機能を備えている。タッチスクリーン2は、ユーザによって接触操作される部材である。
【0016】
車両のセンタクラスタには筐体3が取り付けられており、この筐体3に対してタッチスクリーン2が取り付けられる。図1は、筐体3からタッチスクリーン2を取り外した状態である。より具体的にはタッチスクリーン2の裏面の四隅には、弾性を有するゴムプッシュ4が設けられており、このゴムプッシュ4を介してタッチスクリーン2が筐体3に取り付けられている。つまりタッチスクリーン2は、筐体3に対して弾性を有するゴムプッシュ4を介して支持されている。
【0017】
図1で示すようにタッチスクリーン2の裏面には、4つの振動ユニット5が設けられている。振動ユニット5は、振動発生装置1の制御の下、タッチスクリーン2に振動を発生させる装置である。振動ユニット5は、箱状のケース6を備え、このケース6内に振動の発生源となるアクチュエータ7(図2)を備えている。
【0018】
図2はアクチュエータ7の断面図である。ただし図2は、本実施形態に係るアクチュエータ7の原理を説明することを目的としており、説明に適した態様で構造を単純化すると共に縮尺を変更している。図2で示すようにアクチュエータ7は振動ユニット5のケース6(図1)に固定されたベース部材8を備え、このベース部材8にコイル9が取り付けられている。ケース6は、タッチスクリーン2の背面に固定される。ベース部材8に対向する位置にはヨーク部材10が設けられている。ヨーク部材10は、バネにより構成された弾性部材11を介してベース部材8に支持されている。ヨーク部材10の底部の中央にはマグネット12が取り付けられている。マグネット12の先端側の一部は、コイル9の内周に挿入されている。マグネット12の先端の先にはヨーク部材10の一部が設けられている。
【0019】
コイル9に対して駆動信号が入力されると、コイル9にローレンツ力が発生し、ベース部材8に弾性部材11を介して支持されたヨーク部材10(およびこれに固定されたマグネット12)が振動する。ヨーク部材10およびマグネット12は、一体的に振動する部材であり、以下これらをまとめて「振動子13」と表現する。駆動信号に応じて振動子13が振動すると、振動子13の振動がベース部材8およびケース6に伝わり、更にベース部材8およびケース6の振動がタッチスクリーン2に伝わりタッチスクリーン2が振動する。つまりタッチスクリーン2は、振動子13の振動に連動して振動する。また本実施形態ではベース部材8に弾性部材11が取り付けられ、振動子13は振動可能な状態で弾性部材11を介してベース部材8に支持され、タッチスクリーン2は、ベース部材8と一体的に振動する。タッチスクリーン2は、特許請求の範囲の「振動対象物」に相当する。
【0020】
図1、2を参照し、本実施形態では、タッチスクリーン2の画面に対する法線方向(タッチスクリーン2の画面を正面視したときの奥行方向)を「Z軸」と定義する。そして、振動子13が振動していないときの振動子13の位置を「基準位置」といい、基準位置から前方(タッチスクリーン2の画面を正面視したときに手前に向かう向き)を「Z軸プラス向き」と定義し、基準位置から後方(タッチスクリーン2の画面を正面視したときに奥に向かう向き)を「Z軸マイナス向き」と定義する。
【0021】
振動子13は、Z軸に沿って振動する。より具体的には振動子13は、Z軸マイナス向きへ向かって移動し、Z軸マイナス向きへの移動がピークとなると移動する向きを逆転させてZ軸プラス向きへ向かって移動を開始し、基準位置を通過して、Z軸プラス向きへ移動がピークとなるところまで移動し、移動する向きを逆転させて再びZ軸マイナス向きへ向かって移動を開始するという動きを繰り返して振動する。
【0022】
図2を参照し、本実施形態ではZ軸上に座標値(以下「Z軸座標値」という)が定義されている。Z軸座標値は、基準位置の座標値を「0」とし、Z軸プラス向き側がプラスの値であって基準位置から離れるほど絶対値が大きくなり、Z軸マイナス向き側がマイナスの値であって基準位置から離れるほど絶対値が大きくなる。なお図2では、Z軸座標値を示す線分に目盛りを記し、Z軸座標値の具体的な値を一例として記している。
【0023】
図3は、筐体3、タッチスクリーン2および振動子13の関係を模式的に示す図である。図3で示すように本実施形態では、筐体3に弾性を有するゴムプッシュ4を介してタッチスクリーン2が支持されている。このタッチスクリーン2に対して弾性部材11を介して振動子13が支持されている。振動子13の振動は弾性部材11を介してタッチスクリーン2に伝わる。タッチスクリーン2は、筐体3に対してゴムプッシュ4を介して接続されているため、筐体3上で揺動可能である。従って、振動子13の振動がタッチスクリーン2に伝わると、これに応じて筐体3上でタッチスクリーン2が振動する。
【0024】
図4は、本実施形態に係る振動発生装置1の機能構成例を示すブロック図である。図4で示すように振動発生装置1は、駆動信号出力部20を備え、駆動信号出力部20は、制御部21と駆動回路22とを備えている。上記機能ブロック20~22は、ハードウェア、DSP(Digital Signal Processor)、ソフトウェアの何れによっても構成することが可能である。例えばソフトウェアによって構成する場合、上記機能ブロック20~22は、実際にはコンピュータのCPU、RAM、ROM等を備えて構成され、RAMやROM、ハードディスクまたは半導体メモリ等の記録媒体に記憶されたプログラムが動作することによって実現される。
【0025】
本実施形態に係る振動発生装置1は、タッチスクリーン2に対してユーザにより所定の態様でタッチ操作(接触操作)があったときに、タッチスクリーン2を振動させてユーザに対して振動触覚を付与する機能を有する。以下、タッチ操作に応じてタッチスクリーン2を振動させるときの処理を中心に、振動発生装置1の動作について説明する。
【0026】
タッチスクリーン2には、タッチスクリーン2の各部を制御するタッチスクリーン制御ユニット23(図4)が設けられている。タッチスクリーン制御ユニット23は、タッチスクリーン2の正面に形成された画面に、一定以上の押圧の強さ(以下「押圧強度」という)のタッチ操作があったことを検出すると、画面におけるタッチ操作の位置(例えば、画面に展開された座標系の座標値)、および、タッチ操作の押圧強度を示すタッチ操作信号Ixを振動発生装置1の制御部21に出力する。
【0027】
制御部21は、タッチ操作信号Ixを入力すると、タッチ操作の位置および押圧強度を認識し、振動発生態様でタッチ操作が行われたか否かを判別する。本実施形態では制御部21は、所定の条件(以下「振動発生条件」という)が成立しているか否かを判別し、成立している場合、振動発生態様でタッチ操作が行われたと判定し、成立していない場合、振動発生態様でタッチ操作が行われていないと判定する。本実施形態では振動発生条件は、タッチ操作の位置が「画面内の特定の領域」に属し、かつ、押圧強度が閾値以上であるという条件である。なお画面内の特定の領域は、固定的なものであってもよく、画面に表示された映像の表示内容に応じて動的に変わるものであってもよい。なお振動発生条件の内容は本実施形態で例示するものに限られない。一例として振動発生条件は、タッチ操作の位置にかかわらず、押圧強度が閾値以上であること、というものであってもよい。
【0028】
振動発生態様でタッチ操作が行われたと判定した場合、制御部21は、以下の処理を実行する。すなわち特定制御信号Scを駆動回路22に出力する。特定制御信号Scは、駆動回路22から単発駆動信号Sd(後述)を出力させる制御信号である。以下、振動発生態様でタッチ操作が行われたと判定した後に、制御部21が1回目に出力する特定制御信号Scを特に「第1回特定制御信号Sc-1」という。
【0029】
駆動回路22は、制御部21から第1回特定制御信号Sc-1を入力すると、駆動信号として、単発駆動信号Sdを全ての振動ユニット5のアクチュエータ7に出力する。つまり駆動回路22は、単発駆動信号Sdの波形に応じて各アクチュエータ7のコイル9に通電する。以下、第1回特定制御信号Sc-1に応じて駆動回路22が出力する単発駆動信号Sdを特に「第1回単発駆動信号Sd-1」という。第1回単発駆動信号Sd-1は、特許請求の範囲の「第1の駆動信号」に相当する。
【0030】
図5は、単発駆動信号Sdの波形を示す図である。なお実線で示した部分が単発駆動信号Sdの波形であり、破線で示した部分は単発駆動信号Sdを構成しない。図5において横軸は時間の経過を示し、縦軸は電圧を示す。また図5において直線L1は0[V]を示す。図5で示すように単発駆動信号Sdの波形は、初期位相が0°の正弦波の半周期(πラジアン)分の波形である。このように単発駆動信号Sdは、プラス側に立ち上がり、プラス側で電圧が変化する単発の信号であり、(1)0[V]からプラス側に立ち上がる、(2)マイナス電位とならない、(2)単発の信号である、という特徴を持つ。
【0031】
制御部21は、第1回特定制御信号Sc-1を出力した後、第1回特定制御信号Sc-1の出力を開始したタイミング(=第1回単発駆動信号Sd-1の立ち上がりのタイミング)から時間J1だけ経過したタイミングで、特定制御信号Scを駆動回路22に出力する。以下、第1回特定制御信号Sc-1の次に制御部21が出力する特定制御信号Scを「第2回特定制御信号Sc-2」という。時間J1がどのような値であるか、および、時間J1の意義については後述する。
【0032】
駆動回路22は、制御部21から第2回特定制御信号Sc-2を入力すると、駆動信号として、単発駆動信号Sdを振動ユニット5のアクチュエータ7に出力する。つまり駆動回路22は、単発駆動信号Sdの波形に応じてコイル9に通電する。以下、第2回特定制御信号Sc-2に応じて駆動回路22が出力する単発駆動信号Sdを特に「第2回単発駆動信号Sd-2」という。第2回単発駆動信号Sd-2は、特許請求の範囲の「第2の駆動信号」に相当する。
【0033】
以下では、制御部21の制御の下で駆動回路22が駆動信号を出力することを、「駆動信号出力部20が駆動信号を出力する」のように表現する。例えば制御部21が第1回特定制御信号Sc-1を駆動回路22に出力し、これに応じて駆動回路22が第1回単発駆動信号Sd-1を出力することを「駆動信号出力部20が第1回単発駆動信号Sd-1を出力する」のように表現する。また例えば制御部21が第2回特定制御信号Sc-2を駆動回路22に出力し、これに応じて駆動回路22が第2回単発駆動信号Sd-2を出力することを「駆動信号出力部20が第2回単発駆動信号Sd-2を出力する」のように表現する。
【0034】
また以下では、第1回単発駆動信号Sd-1の出力の開始タイミングから時間J1だけ経過したタイミングのことを単に、「第1回単発駆動信号Sd-1を出力してから時間J1が経過したタイミング」のように表現する場合がある。
【0035】
以下、振動発生装置1が以上の処理を実行することの意義について、時間J1の内容と共に説明する。図6(A)は、時間の経過を横軸にとった座標上で、駆動信号出力部20が単発駆動信号Sdを1回だけ出力したときの単発駆動信号Sdの電圧の推移、振動子13の位置のZ軸座標値(=基準位置からの変位)の推移、および、タッチスクリーン2の加速度の推移のそれぞれについてのグラフを示す図である。
【0036】
図6(A)において符号GDのグラフは、単発駆動信号Sdの電圧の推移を示している。グラフGDに関して座標の縦軸は電圧を示し、直線L1は0[V]を示している。またグラフGDに関して直線L1よりも図中上側はプラス電位を示し、図中下側はマイナス電位を示している。グラフGDは、経過時間ごとの単発駆動信号Sdの電圧をプロットしたグラフである。
【0037】
図6(A)において符号GSのグラフは、振動子13の位置のZ軸座標値の推移を示している。グラフGSに関して座標の縦軸はZ軸座標値を示しており、直線L1はZ軸座標値「0」を示している。またグラフGSに関して直線L1よりも図中上側はZ軸プラス向きを示し、図中下側はZ軸マイナス向きを示している。グラフGSは、経過時間ごとの振動子13の位置のZ軸座標値をプロットしたグラフである。
【0038】
図6(A)において符号GTのグラフは、タッチスクリーン2の加速度の推移を示している。グラフGTに関して座標の縦軸は加速度を示しており、直線L1は0[m/s]を示している。またグラフGTに関して直線L1よりも図中上側は正の加速度を示し、図中下側は負の加速度を示している。グラフGTは、経過時間ごとにタッチスクリーン2の加速度をプロットしたグラフである。
【0039】
図6(A)を参照し、駆動信号出力部20がアクチュエータ7に単発駆動信号Sdを出力すると、単発駆動信号Sdの電圧はグラフGDで示す通り、タイミングT0で立ち上がりを開始し、タイミングT1でピークに至り、タイミングT2で0[V]となり、以降0[V]の状態が継続する。グラフGSで示すように単発駆動信号Sdの出力に応じて、振動子13はZ軸マイナス向きに向かって移動を開始する。このように本実施形態では単発駆動信号Sdは、振動子13をZ軸マイナス向きに向かって移動させる力を付加する。つまり振動子13が振動していない状態で単発駆動信号Sdがアクチュエータ7に入力されると、振動子13を最初にZ軸マイナス向きへ向かって移動させるようなローレンツ力が発生する。Z軸マイナス向きは、特許請求の範囲の「第1向き」に相当し、Z軸プラス向きは、特許請求の範囲の「第2向き」に相当する。
【0040】
グラフGSで示すように振動子13は、タイミングT0でZ軸マイナス向きへの移動を開始し、タイミングT2でZ軸マイナス向きへの移動がピークに至り、停止する。なお図6(A)(および後述する図6(B))では、単発駆動信号Sdが0[V]となるタイミングと、振動子13のZ軸マイナス向きへの移動がピークに至るタイミングとが一致しているが、これらタイミングはずれていてもよい。
【0041】
タイミングT2における振動子13の位置のZ軸座標値はマイナスの値であり、タイミングT2における振動子13の位置は、基準位置よりもZ軸マイナス向き側の位置である。タイミングT2の後、振動子13は、弾性部材11に蓄積された弾性エネルギーによりZ軸プラス向きへ向かって移動を開始し、基準位置を通過し、タイミングT3でZ軸プラス向きへの移動がピークに至り、停止する。タイミングT3における振動子13の位置のZ軸座標値はプラスの値であり、タイミングT3における振動子13の位置は、基準位置よりもZ軸プラス向き側の位置である。グラフGSで示すようにタイミングT3以降、振動子13は、弾性部材11の弾性エネルギーによりZ軸に沿って振動する。その際、弾性部材11の振動に寄与する外力が加わらないため、弾性部材11の振動の振幅は徐々に小さくなっていく。図6(A)のグラフGTで示すタッチスクリーン2の加速度の推移から分かるように、タッチスクリーン2は、振動子13の振動に準じて、振動する。
【0042】
以下の説明では、振動子13の振動に関し、Z軸マイナス向きへの移動のピークを「Z軸マイナス側ピーク」という。図6(A)において振動子13は、タイミングT2でZ軸マイナス側ピークに至っている。またZ軸プラス向きへの移動のピークを「Z軸プラス側ピーク」という。図6(B)において振動子13は、タイミングT3でZ軸プラス側ピークに至っている。
【0043】
次に、駆動信号出力部20が第1回単発駆動信号Sd-1をアクチュエータ7に出力し、時間J1の経過後に第2回単発駆動信号Sd-2をアクチュエータ7に出力した場合の振動子13およびタッチスクリーン2の振動について説明する。この動作が本実施形態に係る駆動信号出力部20の動作である。
【0044】
図6(B)は、図6(A)と同じ座標上で単発駆動信号Sd(第1回単発駆動信号Sd-1および第2回単発駆動信号Sd-2)の電圧の推移、振動子13の位置のZ軸座標値の推移、および、タッチスクリーン2の加速度の推移を示す図である。図6(A)と同様、符号GDは単発駆動信号Sdの電圧の推移を示し、符号GSは振動子13の位置のZ軸座標値の推移を示し、符号GTはタッチスクリーン2の加速度の推移を示す。
【0045】
図6(B)で示すように第1回単発駆動信号Sd-1に応じて振動子13は、タイミングT0でZ軸マイナス向きへ向かう移動を開始し、タイミングT2でZ軸マイナス向きへの移動がピークに至り、一旦停止する。タイミングT2において振動子13は、移動する向きを変え、Z軸プラス向きへ向かって移動を開始し、タイミングT3でZ軸プラス向きへの移動がピークに至り、一旦停止する。ここまでの状況は図6(A)の状況と同じである。
【0046】
図6(B)で示すように本実施形態では、駆動信号出力部20は、タイミングT3で第2回単発駆動信号Sd-2の出力を開始する。より具体的には駆動信号出力部20は、Z軸プラス向きへの振動子13の移動がピークとなるタイミングT3と、第2回単発駆動信号Sd-2の立ち上がりの開始タイミングとが一致するように第2回単発駆動信号Sd-2をアクチュエータ7に出力する。なお本実施形態では、第1回単発駆動信号Sdー1の出力後の1回目のZ軸プラス側ピークのタイミングと、第2回単発駆動信号Sd-2の立ち上がりの開始タイミングとが一致するように、事前のテストやシミュレーションに基づいて時間J1が予め定められている。つまり駆動信号出力部20が第1回単発駆動信号Sd-1を出力した後、出力の開始タイミングから時間J1経過した後に第2回単発駆動信号Sd-2を出力すると、1回目のZ軸プラス側ピークのタイミングと、第2回単発駆動信号Sd-2の立ち上がりの開始タイミングとが一致する。図6(B)で示すようにタイミングT0とタイミングT1との期間が時間J1である。
【0047】
この結果、第2回単発駆動信号Sd-2が出力されない場合と比較して、振動子13の振動の振幅が大幅に増大する。例えば図6(A)を参照し、第2回単発駆動信号Sd-2が出力されない場合、タイミングT3の後のタイミングT4において最初にZ軸マイナス側ピークが到来する。このタイミングT4におけるZ軸座標値は「-10」である。一方で図6(B)を参照し、第2回単発駆動信号Sd-2が出力される場合、タイミングT3の後のタイミングT5において最初にZ軸マイナス側ピークが到来する。このタイミングT5におけるZ軸座標値は「-25」である。このようにタイミングT3の後に最初に到来するZ軸マイナス側ピークにおいて、第2回単発駆動信号Sd-2が出力される場合の振動の振幅は、出力されない場合の振動の振幅の2.5倍程度の大きさとなっている。
【0048】
タイミングT3で第2回単発駆動信号Sd-2が入力されることによって振動子13の振動の増幅が大幅に増大する理由は以下である。すなわちタイミングT3は、Z軸プラス向きへの振動子13の移動がピークとなるタイミングである。このようなタイミングでは、振動子13について振動に伴うZ軸プラス向きへの移動が停止すると共に振動子13を支持する弾性部材11の弾性エネルギーがピークとなる。そしてこのようなタイミングで、振動子13をZ軸マイナス向きに向かって移動させる力を付加する単発駆動信号Sd(第2回単発駆動信号Sd-2)の出力が開始されることにより、振動子13のZ軸マイナス向きへの移動が効果的に加速されるからである。
【0049】
本実施形態の構成によれば以下の効果を奏する。すなわち駆動信号出力部20から出力される駆動信号は、「プラス側に立ち上がり、プラス側で電圧値が変化する単発の信号」であり、(1)0[V]からプラス側に立ち上がる、(2)マイナス電位とならない、(2)単発の信号である、という特徴を持つ。このため、駆動回路22においてマイナス電位を作り出す必要がなく、更に駆動信号にバイアスをかける必要がなく、コストを低減できる。ここで本実施形態では駆動信号出力部20から出力される駆動信号が単発の信号であるため、例えばアクチュエータ7の振動子13を振動させるにあたって1つだけ単発的に駆動信号を出力する場合や、無秩序に単発の駆動信号を出力する場合、十分に強い振動が得られないことが想定される。
【0050】
一方で本実施形態によれば、単発駆動信号Sdは、振動子13をZ軸マイナス向き(第1向き)へ向かって移動させる力を付加する駆動信号である。そして本実施形態では振動子13を振動させるにあたって、第1回単発駆動信号Sd-1が出力された後、Z軸マイナス向きと逆の向きであるZ軸プラス向きへの振動子13の移動がピークとなるタイミングと、信号の立ち上がりの開始タイミングとが一致するように、第2回単発駆動信号Sd-2が出力される。このため振動子13について振動に伴うZ軸プラス向きへの移動がピークとなると共に弾性エネルギーがピークとなり、Z軸マイナス向きへの移動が開始されたタイミングで、第2回単発駆動信号Sd-2によって振動子13をZ軸マイナス向きへ移動させる力を付加することができる。これにより第2回単発駆動信号Sd-2によって、振動子13のZ軸マイナス向きへの移動を効果的に加速することができ、振動子13の振動が不適切に弱まることを防止できる。
【0051】
すなわち本実施形態によれば、振動発生装置1が発生させる振動が不適切に弱まることを防止しつつ、コストを低減することができる。
【0052】
次に本実施形態に係る振動発生装置1による振動発生方法についてフローチャートを用いて説明する。図7は、振動発生装置1の動作の概要を示すフローチャートである。図7で示すように、振動発生装置1の駆動信号出力部20は、プラス側に立ち上がり、プラス側で電圧が変化する単発の信号であって、振動子13(後述する変形例においては、振動子13の振動に連動して振動するタッチスクリーン2(振動対象物))をZ軸マイナス向き(第1向き)へ向かって移動させる力を付加する単発駆動信号Sdを第1の駆動信号として出力する(ステップSA1)。振動発生装置1の駆動信号出力部20は、Z軸マイナス向きと逆の向きであるZ軸プラス向き(第2向き)への振動子13(後述する変形例においては、振動子13の振動に連動して振動するタッチスクリーン2(振動対象物))の移動がピークとなるタイミングと、信号の立ち上がりの開始タイミングとが一致するように、単発駆動信号Sdを第2の駆動信号として出力する(ステップSA2)。
【0053】
図8は、振動発生装置1の動作の詳細を示すフローチャートである。図8で示すように制御部21は、タッチ操作信号Ixを入力する(ステップSB1)。次いで制御部21は、振動発生態様でタッチ操作が行われたか否かを判別する(ステップSB2)。振動発生態様でタッチ操作が行われていない場合(ステップSB2:NO)、処理が終了する。振動発生態様でタッチ操作が行われている場合(ステップSB2:YES)、制御部21は、第1回特定制御信号Sc-1を駆動回路22に出力する(ステップSB3)。第1回特定制御信号Sc-1に応じて駆動回路22は、第1回単発駆動信号Sd-1を出力する(ステップSB4)。
【0054】
更に制御部21は、第1回特定制御信号Sc-1の出力の開始タイミングから時間J1だけ経過した後、第2回特定制御信号Sc-2を駆動回路22に出力する(ステップSB5)。第2回特定制御信号Sc-2に応じて駆動回路22は、第2回単発駆動信号Sd-2を出力する(ステップSB6)。
【0055】
<第1変形例>
次に第1変形例について説明する。上記実施形態では、単発駆動信号Sdの波形は、初期位相が0°の正弦波の半周期(πラジアン)分の波形であった。この点に関して、単発駆動信号Sdは、図9(A)で示すようにプラス側に立ち上がり、マイナス側へ変移しない三角波であってもよい。この場合、駆動信号出力部20は、タイミングT3と、三角波によって構成される第2回単発駆動信号Sd-2の立ち上がりの開始タイミングとが一致するように第2回単発駆動信号Sd-2をアクチュエータ7に出力する。この構成であっても上記実施形態で説明した効果と同様の効果を奏することができる。
【0056】
また図9(B)で示すように、プラス側に立ち上がり、マイナス側へ変移しないパルス波であってもよい。この場合、駆動信号出力部20は、タイミングT3と、パルス波によって構成される第2回単発駆動信号Sd-2の立ち上がりの開始タイミングとが一致するように第2回単発駆動信号Sd-2をアクチュエータ7に出力する。この構成であっても上記実施形態で説明した効果と同様の効果を奏することができる。
【0057】
<第2変形例>
次に第2変形例について説明する。上記実施形態では駆動信号出力部20は、Z軸プラス向きへの振動子13の移動がピークとなるタイミング(図6(B)ではタイミングT3)と、第2回単発駆動信号Sd-2の立ち上がりの開始タイミングとが一致するように、第2回単発駆動信号Sd-2を出力した。この点に関し駆動信号出力部20が、Z軸プラス向きへのタッチスクリーン2(振動対象物)の移動がピークとなるタイミングと、第2回単発駆動信号Sd-2の立ち上がりの開始タイミングとが一致するように、第2回単発駆動信号Sd-2を出力する構成でもよい。
【0058】
この構成によれば、タッチスクリーン2のZ軸プラス向きへの移動がピークとなるタイミングで、第2回単発駆動信号Sd-2を出力し、タッチスクリーン2の振動の振幅を効果的に増大することができる。
【0059】
<第3変形例>
次に第3変形例について説明する。上記実施形態では、時間J1が事前のテストやシミュレーションに基づいて予め定められ、駆動信号出力部20は、第1回単発駆動信号Sd-1を出力後、予め定められた時間J1が経過したタイミングで第2回単発駆動信号Sd-2を出力していた。この点に関して、以下の構成としてもよい。すなわち振動子13(第2変形例の場合はタッチスクリーン2)の振動の状態を検出する所定のセンサを設ける。当該所定のセンサは例えば、振動子13の加速度を検出するセンサや、振動子13のZ軸座標値を検出するセンサである。そして駆動信号出力部20が第1回単発駆動信号Sd-1を出力した後、センサの検出値に基づいて、Z軸プラス向きへの振動子13の移動がピークとなるタイミングを検出し或いは予測し、検出し或いは予測したタイミングで第2回単発駆動信号Sd-2を出力する構成でもよい。
【0060】
<第4変形例>
次に第4変形例について説明する。上記実施形態では駆動信号出力部20は、第1回単発駆動信号Sd-1を出力した後、Z軸プラス向きへの振動子13の移動が“最初に”ピークとなるタイミングでのみ第2回単発駆動信号Sd-2を出力した。この点に関し、駆動信号出力部20が第1回単発駆動信号Sd-1以降の単発駆動信号Sdを上記実施形態とは異なる態様で出力する構成でもよい。例えばZ軸プラス向きへの振動子13の移動が2回目以降にピークとなるタイミングで駆動信号出力部20が単発駆動信号Sdを出力する構成でもよく、また、2回以上のタイミングで単発駆動信号Sdを出力する構成でもよい。以上の構成であっても、第1回単発駆動信号Sd-1だけを出力した場合と比較して、振動子13の振動の振幅を効果的に増大することができる。
【0061】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記実施形態(変形例を含む)は本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【0062】
例えば上記実施形態では、振動発生装置1は、車両に設けられたタッチスクリーン2に振動を発生させるものであったが、振動発生装置1が振動を発生させる対象は、車両に設けられた部材ではなくてもよく、またタッチスクリーン2以外の種類の部材であってもよい。
【0063】
また例えばアクチュエータ7の具体的構造や、方式は上記実施形態で例示したものに限られない。すなわち駆動信号に応じて振動子13を振動させるものであればよい。
【0064】
また実施形態では、振動子13は、タッチスクリーン2の画面に対して法線方向(Z軸に沿った方向)に振動する構成であった。この点に関し、振動子13(および振動子に連動して振動対象物)が振動する方向は本実施形態で例示する方向に限られない。例えば、振動子13がタッチスクリーン2の画面に対して平行な方向(一例として左右方向や上下方向)に振動する構成でもよい。
【符号の説明】
【0065】
1 振動発生装置
2 タッチスクリーン(振動対象物)
7 アクチュエータ
11 弾性部材
13 振動子
20 駆動信号出力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10