(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023090183
(43)【公開日】2023-06-29
(54)【発明の名称】印字装置
(51)【国際特許分類】
B41J 17/26 20060101AFI20230622BHJP
B41J 29/42 20060101ALI20230622BHJP
B41J 2/325 20060101ALI20230622BHJP
B65H 18/04 20060101ALI20230622BHJP
【FI】
B41J17/26
B41J29/42 Z
B41J2/325 A
B65H18/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021205008
(22)【出願日】2021-12-17
(71)【出願人】
【識別番号】000001351
【氏名又は名称】コクヨ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100221372
【弁理士】
【氏名又は名称】岡崎 信治
(72)【発明者】
【氏名】河井 重博
(72)【発明者】
【氏名】池田 敦志
【テーマコード(参考)】
2C061
2C065
2C068
3F055
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AP10
2C061AQ04
2C061AS02
2C061AS11
2C061EE02
2C065AA02
2C065AD02
2C065DA07
2C065DA16
2C068AA06
2C068AA15
2C068EE03
2C068MM02
2C068MM22
2C068MM23
3F055AA05
3F055CA01
3F055FA01
(57)【要約】
【課題】カセットをキャリッジの適切な位置に取り付けることを容易にする。
【解決手段】印字装置100は、キャリッジ71と、ガイド部と、を備える。キャリッジ71には、インクリボンを収納するカセット72が取り付けられる。ガイド部は、キャリッジ71のカセット72の取付面71aから突出し、カセット72をキャリッジ71に取り付ける際にカセット72をガイドする。ガイド部の取付面71aからの突出量は、キャリッジ71に取り付けられたカセット72が取付面71aから突出する突出量よりも大きい。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクリボンを用いて所定の媒体に印字する印字装置であって、
前記インクリボンを収納するカセットが取り付けられるキャリッジと、
前記キャリッジの前記カセットの取付面から突出し、前記カセットを前記キャリッジに取り付ける際に前記カセットをガイドするガイド部と、
を備え、
前記ガイド部の前記取付面からの突出量は、前記キャリッジに取り付けられた前記カセットが前記取付面から突出する突出量よりも大きい、
印字装置。
【請求項2】
前記ガイド部は、前記取付面の隅部分から突出し、前記カセットの隅部分と対応するL字形状を有するガイド部材を含む、請求項1に記載の印字装置。
【請求項3】
前記カセットは、前記インクリボンを巻き取る巻取リールを有し、
前記ガイド部は、前記巻取リールを回転させる巻取軸を含む、請求項1又は2に記載の印字装置。
【請求項4】
前記ガイド部は、前記インクリボンのインクを前記媒体に付着させて印字するヘッドを含み、
前記ヘッドの先端には所定の色を有する樹脂部材が取り付けられる、請求項1~3のいずれかに記載の印字装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の媒体に印字する印字装置に関する。特に、インクリボンから供給されるインクにより所定の媒体に印字する印字装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のラベルが配置されたラベルシートに印字する印字装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。この印字装置では、印字ヘッドがインクリボンに熱を与えてインクをラベルLに付着させることで印字する(熱転写方式)。この印字方式を採用する印字装置は、印字ヘッドを印字装置の幅方向に移動させるキャリッジと、キャリッジに取り付けられるカセットと、を備える。カセットは、インクリボンを収納し、印字ヘッドとラベルシートの間にインクリボンを供給する。
【0003】
カセットは消耗品であるため、上記の印字装置では、カセットはキャリッジに対して脱着可能となっている。このため、キャリッジには、カセットの取付面から突出するガイド部材が設けられている。ガイド部材は、カセットをキャリッジに取り付ける際に、カセットをキャリッジの適切な位置にガイドする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の印字装置に備わるガイド部材は、カセットの取付面からの突出量が小さく、カセットを適切にガイドできなかった。そのため、従来の印字装置では、カセットをキャリッジの適切な位置に位置合わせして取り付けることが難しかった。
【0006】
本発明の目的は、カセットをキャリッジの適切な位置に取り付けることを容易にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一見地に係る印字装置は、インクリボンを用いて所定の媒体に印字する装置である。この印字装置は、キャリッジと、ガイド部と、を備える。キャリッジには、カセットが取り付けられる。カセットは、インクリボンを収納する。ガイド部は、キャリッジのカセットの取付面から突出し、カセットをキャリッジに取り付ける際にカセットをガイドする。ガイド部の取付面からの突出量は、キャリッジに取り付けられたカセットが取付面から突出する突出量よりも大きい。
【0008】
上記の印字装置では、ガイド部の取付面からの突出量が、キャリッジに取り付けられたカセットが取付面から突出する突出量よりも大きくなっている。つまり、ガイド部の取付面からの長さが、カセットの厚さ方向の長さよりも長くなっている。このように長いガイド部は、カセットをキャリッジの適切な位置へガイドしやすい。この結果、カセットをキャリッジの適切な位置に取り付けることが容易となる。
【0009】
上記の印字装置において、ガイド部は、取付面の隅部分から突出し、カセットの隅部分と対応するL字形状を有するガイド部材を含んでもよい。これにより、ガイド部材のL字形状とカセットの隅部分の形状とを突き合わせることができるので、カセットをキャリッジの適切な位置に位置合わせできる。
【0010】
カセットは、インクリボンを巻き取る巻取リールを有してもよい。また、ガイド部は、巻取リールを回転させる巻取軸を含んでもよい。長い巻取軸によりカセットをガイドすることで、カセットをキャリッジの適切な位置に位置合わせしやすくなる。これとともに、カセットをキャリッジに取り付けた状態で、巻取軸の先端を把持して手動で回転させることができる。
【0011】
ガイド部は、インクリボンのインクを媒体に付着させて印字するヘッドを含んでもよい。また、ヘッドの先端には所定の色を有する樹脂部材が取り付けられてもよい。これにより、キャリッジにおけるヘッドの位置が認識しやすくなるので、カセットをキャリッジに取り付ける際に、インクリボンをどの位置に配置すべきかを容易に認識できる。
【発明の効果】
【0012】
カセットをキャリッジの適切な位置に取り付けることが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図6】キャリッジをカセットの取付面側から見た図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
1.第1実施形態
(1)印字装置の概略
以下、第1実施形態に係る印字装置100を説明する。印字装置100は、
図1に示すようなラベルシートLS(媒体の一例)の同一面上に相互に区画されて配置された複数のラベルLに文字を印字可能な装置である。
図1に示すラベルシートLSの各ラベルLは、第1印字副領域Laと、第2印字副領域Lbと、を有する。印字装置100は、ラベルLの第1印字副領域Laと第2印字副領域Lbに個別に文字を印字できる。なお、上記のような構成を有するラベルLは、「インデックスラベル」と呼ばれる。
図1は、ラベルシートの一例を示す図である。各ラベルLは、ラベルシートLSから分離できる。ラベルシートLSから分離されたラベルLは、ラベルLを使用したい箇所に貼り付けることができる。
【0015】
なお、印字装置100で印字可能なラベルシートは、
図1に示すような「インデックスラベル」に限られない。印字装置100で印字可能なラベルシートとしては、例えば、各ラベルに1つの印字領域のみを有するものがある。また、ラベル及び/又は印字領域の寸法(縦幅、横幅)も種々存在する。さらに、印字領域枠線を有しないラベルもある。
【0016】
(2)印字装置の構成
(2-1)全体構成
以下、
図2及び
図3を用いて、印字装置100の構成を説明する。
図2は、印字装置の斜視図である。
図3は、印字装置の内部構成の側面図である。印字装置100は、表示部1と、入力部3と、シート供給口5と、印字機構7と、搬送機構9と、制御部11と、を備える。
【0017】
表示部1は、印字装置100の本体Bの上部に設けられる。表示部1は、印字装置100の操作をするための操作画面を表示する。
図2に示すように、表示部1は、長方形の表示領域を有するが、左右方向だけでなく、上下方向にもある程度の寸法を有し、従来よりも大きな表示領域を有する。表示部1は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどの表示装置である。入力部3は、本体Bにおいて、表示部1の下部に設けられ、印字装置100の操作を受け付ける。
図2及び
図3に示すように、入力部3は、複数のキーにより構成されている。具体的には、入力部3は、主として文字を入力するための文字入力キーと、その他の操作キーと、を有する。
【0018】
シート供給口5は、本体Bにおいて、入力部3の下部に設けられる。シート供給口5には、印字対象のラベルシートLSが供給される。シート供給口5には、一対の用紙ガイド5aが設けられている。一対の用紙ガイド5aは、互いに離間又は接近することで、その間隔を調整可能となっている。これにより、シート供給口5は、複数種のサイズのラベルシートLSを供給可能となっている。
【0019】
(2-2)印字機構
印字機構7は、熱転写方式によりラベルLに印字する機構である。以下、
図3~
図7を用いて、印字機構7の具体的構成を説明する。
図4は、印字装置の内部構成の上面図である。
図5は、印字装置の内部構成の正面図である。
図6は、キャリッジをカセットの取付面側から見た図である。
図7は、キャリッジの内部構成を示す図である。以下、印字装置100の幅方向(左右方向)をX方向と定義し、前後方向をY方向と定義し、高さ方向をZ方向と定義する。印字機構7は、キャリッジ71と、カセット72と、サーマルヘッド73と、プラテン74と、を主に有する。
【0020】
キャリッジ71は、X方向に延びる一対の棒状部材75にガイドされて、X方向に移動可能となっている。キャリッジ71は、キャリッジ駆動機構76により、X方向に移動する。キャリッジ駆動機構76は、キャリッジ駆動ベルト76aと、駆動プーリ76bと、従動プーリ76cと、キャリッジモータ76dと、を有する。
【0021】
キャリッジ駆動ベルト76aは、キャリッジ71に固定される。キャリッジ駆動ベルト76aのキャリッジ71への固定は、キャリッジ駆動ベルト76aをキャリッジ71に設けられた挟み込み部材711により挟み込むことで実現される。キャリッジ駆動ベルト76aは、駆動プーリ76bと従動プーリ76cとに巻き掛けられている。
【0022】
駆動プーリ76bは、印字装置100の幅方向の一端に設けられ、キャリッジモータ76dの駆動によりY軸周りに回転する。従動プーリ76cは、印字装置100の幅方向の他端に設けられ、駆動プーリ76bの回転がキャリッジ駆動ベルト76aにより伝達されてY軸周りに回転する。
【0023】
上記の構成を有するキャリッジ駆動機構76では、キャリッジモータ76dが駆動プーリ76bを回転させることで、キャリッジ駆動ベルト76aがX方向に移動する。このキャリッジ駆動ベルト76aのX方向の移動により、キャリッジ71がX方向に移動する。
【0024】
キャリッジ71の取付面71aには、カセット72が取り付けられる。カセット72は、内部にインクリボンを収納しており、サーマルヘッド73とプラテン74との間にインクリボンを供給する。カセット72は、キャリッジ71に取り付けられることで、キャリッジ71のX方向への移動に従ってX方向に移動する。
【0025】
キャリッジ71の取付面71aには、ガイド部材712が設けられる。ガイド部材712は、カセット72をキャリッジ71に取り付ける際に、カセット72をガイドする。本実施形態において、ガイド部材712は、取付面71aの左上部の隅部分から突出し、L字形状の断面を有している。ガイド部材712の断面のL字形状は、カセット72の左上隅の形状と同じとなっている。これにより、カセット72をキャリッジ71に取り付ける際に、ガイド部材712の断面のL字形状と、カセット72の左上隅の形状とを突き合わせて、カセット72の左上隅を取付面71aの左上隅に適切に位置合わせできる。
【0026】
図4に示すように、カセット72がキャリッジ71に取り付けられているとき、ガイド部材712は、カセット72の表面よりも突出した状態となっている。つまり、ガイド部材712の取付面71aからの突出量は、キャリッジ71に取り付けられたカセット72が取付面71aから突出する突出量よりも大きくなっている。さらに言い換えると、ガイド部材712の長さは、カセット72の厚みよりも長くなっている。このように長いガイド部材712は、カセット72の移動を制限する効果が高いので、カセット72をキャリッジ71の適切な位置へガイドしやすい。この結果、カセット72をキャリッジ71の適切な位置に取り付けることが容易となる。
【0027】
また、ガイド部材712の長さをカセット72の厚みよりも長くすることにより、ガイド部材712は、キャリッジ71に取り付けられたカセット72を保護できる。
【0028】
なお、キャリッジ71の取付面71aには、上記のガイド部材712以外にも、短いガイド部材713と、爪部材714と、が設けられている。短いガイド部材713も、ガイド部材712と同様に、カセット72をガイドする機能を有する。短いガイド部材713は、長いガイド部材712の近傍に設けられている。これにより、長いガイド部材712に沿ってカセット72を取付面71aに取り付ければ、カセット72のガイド部材713をガイドする孔とガイド部材713とを自然と位置合わせできる。すなわち、短いガイド部材713とカセット72の孔との位置合わせが不要になる。
【0029】
爪部材714は、カセット72がキャリッジ71に取り付けられたときに、カセット72に引っかかり、カセット72をキャリッジ71に固定する。
【0030】
カセット72の内部には、巻取リール72aが設けられる。巻取リール72aは、インクリボンを巻き取るためのリールである。サーマルヘッド73とプラテン74との間に供給され、印字に使用されたインクリボンは、巻取リール72aに巻き取られる。カセット72をキャリッジ71に取り付けて印字を実行中に巻取リール72aを回転させるために、キャリッジ71には、巻取軸715が設けられる。巻取軸715は、取付面71aからY方向に突出し、Y軸周りに回動可能である。巻取軸715の取付面71aに近い基端部分には、凹凸部715aが設けられる。カセット72がキャリッジ71に取り付けられているとき、この凹凸部715aは巻取リール72aと歯合する。
【0031】
図4に示すように、カセット72がキャリッジ71に取り付けられているとき、巻取軸715は、カセット72の表面から突出した状態となっている。つまり、巻取軸715の取付面71aからの突出量は、キャリッジ71に取り付けられたカセット72が取付面71aから突出する突出量よりも大きくなっている。さらに言い換えると、巻取軸715の長さは、カセット72の厚みよりも長くなっている。
【0032】
カセット72をキャリッジ71に取り付けるときには、カセット72の巻取リール72aの開口と巻取軸715とが位置合わせされる。すなわち、カセット72をキャリッジ71に取り付ける際に、巻取軸715は、カセット72をガイドする機能を有する。このように長い巻取軸715は、カセット72の移動を制限する効果が高いので、カセット72をキャリッジ71の適切な位置へガイドしやすい。この結果、カセット72をキャリッジ71の適切な位置に取り付けることが容易となる。また、巻取軸715の長さをカセット72の厚みよりも長くすることにより、巻取軸715は、キャリッジ71に取り付けられたカセット72を保護できる。
【0033】
また、カセット72をキャリッジ71に取り付けたとき、カセット72の表面から突出する程度に巻取軸715を長くすることで、カセット72をキャリッジ71に取り付けた状態で、巻取軸715を回転させることができる。具体的には、カセット72の表面から突出した巻取軸715の先端部を把持して、巻取軸715を手動にて回転できる。これにより、インクリボンがたるんだ時に後から手動で巻き取ることができる。
【0034】
巻取軸715は、巻取機構77により、Y軸周りに回転する。巻取機構77は、第1ギヤ77aと、第2ギヤ77bと、第3ギヤ77cと、第4ギヤ77dと、を有する。第1ギヤ77aは、Y軸周りに回動可能であり、キャリッジ駆動ベルト76aの内側に設けられた凹凸歯761aと歯合する。キャリッジ駆動ベルト76aは、第1ギヤ77aと押さえプーリ77eとにより挟まれる。第1ギヤ77aは、キャリッジ駆動ベルト76aのX方向への移動に従って、Y軸周りに回転する。
【0035】
第2ギヤ77bは、Y軸周りに回動可能であり、第1ギヤ77aと歯合している。第2ギヤ77bは、第1ギヤ77aの回転に従って、Y軸周りに回転する。第3ギヤ77cは、Y軸周りに回動可能である。巻取軸715は、第3ギヤ77cの回動によりY軸周りに回動する。
【0036】
第4ギヤ77dは、Y軸周りに回動可能であり、サーマルヘッド73の昇降に従って昇降する。サーマルヘッド73が下降しているとき(すなわち、印字実行時)、第4ギヤ77dは上昇し、第2ギヤ77bと第3ギヤ77cとの両方に歯合する。このとき、第4ギヤ77dは、第2ギヤ77bの回転を第3ギヤ77cに伝達する。一方、サーマルヘッド73が上昇しているとき(すなわち、印字を実行していない時)、第4ギヤ77dは下降し、第2ギヤ77bにも第3ギヤ77cにも歯合しない。このとき、第4ギヤ77dは、第2ギヤ77bの回転を第3ギヤ77cに伝達しない。
【0037】
上記の構成を有する巻取機構77では、キャリッジ駆動ベルト76aのX方向への移動、すなわち、キャリッジ71のX方向への移動により、第1ギヤ77aがY軸周りに回転する。印字実行時にはサーマルヘッド73が下降して、第4ギヤ77dが、第2ギヤ77bと第3ギヤ77cの両方に歯合した状態となる。第4ギヤ77dが第2ギヤ77bと第3ギヤ77cの両方に歯合している場合、キャリッジ71のX方向への移動に伴って第1ギヤ77aがY軸周りに回転すると、当該第1ギヤ77aの回転が、第2ギヤ77bと第4ギヤ77dを介して、第3ギヤ77cに伝達される。このように、キャリッジ71がX方向に移動することで第1ギヤ77aが回転し、この回転により第3ギヤ77cが回転し、それに伴って巻取軸715が回転することで、印字実行時にキャリッジ71のX方向への移動とともに巻取リール72aにインクリボンが巻き取られる。このようにして、キャリッジ71(カセット72及びサーマルヘッド73)をX方向に移動させつつ、ラベルシートLSの各ラベルLに印字できる。
【0038】
その一方、印字を実行しないときにはサーマルヘッド73が上昇し、第4ギヤ77dが、第2ギヤ77b及び第3ギヤ77cに歯合しない状態となる。第4ギヤ77dが第2ギヤ77b及び第3ギヤ77cに歯合していない場合、キャリッジ71の移動により第1ギヤ77aは回転するが、第1ギヤ77aの回転は第3ギヤ77cに伝達されない。すなわち、印字を実行しておらず、キャリッジ71がX方向に移動しているだけの場合には、巻取軸715が回転せず、巻取リール72aにインクリボンが巻き取られない。この動作は、例えば、ラベルシートLSの特定の行の終端までの印字が完了した後に、次の行の印字を開始するために、キャリッジ71(カセット72及びサーマルヘッド73)を当該次の行の印字開始位置に移動させるために実行される。
【0039】
上記のように、巻取機構77は、キャリッジ駆動ベルト76aのX方向の移動により駆動されている。すなわち、キャリッジ駆動ベルト76aが、インクリボンの巻き取りとキャリッジ71の移動のための駆動力を与えている。これにより、巻取機構77を駆動させるための別途の部材、又は、巻取機構77を駆動するためのモータをキャリッジ71に設ける必要がなくなる。
【0040】
サーマルヘッド73は、キャリッジ71の下部に設けられる。サーマルヘッド73は、キャリッジ71のX方向への移動に従って、X方向に移動する。サーマルヘッド73は、インクリボンに熱を与えることによりインクをラベルLに付着させる。サーマルヘッド73は、昇降機構78によりキャリッジ71に対して昇降可能となっている。昇降機構78は、昇降モータ78aと、昇降モータ78aの回転をサーマルヘッド73の昇降運動に変換する伝達機構78bと、を有する。
【0041】
伝達機構78bによるサーマルヘッド73の昇降は、レバー部材(図示せず)により、巻取機構77の第4ギヤ77dに伝達される。すなわち、サーマルヘッド73の昇降にともなって、第4ギヤ77dが昇降する。具体的には、サーマルヘッド73が下降しているときに、第4ギヤ77dは上昇し、第2ギヤ77bと第3ギヤ77cとの両方に歯合する。一方、サーマルヘッド73が上昇しているときに、第4ギヤ77dは下降し、第2ギヤ77bと第3ギヤ77cのいずれにも歯合しない。
【0042】
図4に示すように、カセット72がキャリッジ71に取り付けられているとき、サーマルヘッド73は、カセット72の表面から突出した状態となっている。つまり、サーマルヘッド73の取付面71aからの突出量は、キャリッジ71に取り付けられたカセット72が取付面71aから突出する突出量よりも大きくなっている。さらに言い換えると、サーマルヘッド73の長さは、カセット72の厚みよりも長くなっている。
【0043】
カセット72をキャリッジ71に取り付けるときには、インクリボンをサーマルヘッド73の下部に通るように配置する必要がある。具体的には、カセット72の下部の凹部と当該凹部に架橋されたインクリボンとの間の空間に、サーマルヘッド73を貫通させる必要がある。このように、カセット72をキャリッジ71に取り付ける際に、サーマルヘッド73は、カセット72をガイドする機能を有する。上記のように長いサーマルヘッド73は、カセット72の下部の凹部とインクリボンとの間の空間に貫通させやすいので、カセット72をキャリッジ71の適切な位置へガイドしやすい。この結果、カセット72をキャリッジ71の適切な位置に取り付けることが容易となる。また、サーマルヘッド73の長さをカセット72の厚みよりも長くすることにより、サーマルヘッド73は、キャリッジ71に取り付けられたカセット72を保護できる。
【0044】
サーマルヘッド73の先端には、所定の色を有する樹脂部材73aが取り付けられている。なお、この樹脂部材73aの色は、キャリッジ71の取付面71aの色(例えば、黒色)に対して目立つ色(例えば、黄色などの明るい色)である。これにより、キャリッジ71におけるサーマルヘッド73の位置が認識しやすくなるので、カセット72をキャリッジ71に取り付ける際に、インクリボンをどの位置に配置すべきかを容易に認識できる。
【0045】
サーマルヘッド73の先端に所定の色を有する樹脂部材73aを設ける構成とすることにより、サーマルヘッド73の先端を直接着色する場合と比較して、先端の着色が剥がれ落ちて目立たなくなるといった問題が生じなくなる。また、サーマルヘッド73の先端を保護するとの効果も期待できる。
【0046】
上記のように、ガイド部材712、ガイド部材713、爪部材714、巻取軸715、サーマルヘッド73は、カセット72をキャリッジ71に取り付ける際に、カセット72をガイドするとの共通の機能を有している。よって、これらの部材をまとめて「ガイド部」と呼ぶこともできる。
【0047】
ガイド部のうち、ガイド部材712、巻取軸715、及びサーマルヘッド73は、カセット72の厚みよりも長くなっている。また、ガイド部材712は取付面71aの左上隅から突出し、巻取軸715は取付面71aの右寄りの領域から突出し、サーマルヘッド73は取付面71aの(左寄りの)下部から突出している。すなわち、取付面71aから長く突出しているこれらの部材は、取付面71aにおいて互いに離れた位置に配置されている。
【0048】
1つの部材を長く突出させる場合、又は、長く突出した複数の部材を近接させて配置する場合と比較して、長く突出している複数の部材を、取付面71aの互いに離れた位置に配置することにより、これら複数の部材がカセット72の移動を制限する効果をより高めることができる。この結果、1つの部材を長く突出させる場合、又は、長く突出した複数の部材を近接させて配置する場合と比較して、本実施形態のガイド部は、カセット72をキャリッジ71の適切な位置へガイドしやすい。すなわち、1つの部材を長く突出させる場合、又は、長く突出した複数の部材を近接させて配置する場合と比較して、本実施形態のガイド部は、カセット72をキャリッジ71の適切な位置に取り付けることをさらに容易とする。
【0049】
プラテン74は、印字装置100において、サーマルヘッド73と対向する位置に設けられる。プラテン74は、サーマルヘッド73との間でインクリボンとラベルLとを圧接させる。
【0050】
(2-3)搬送機構
搬送機構9は、シート供給口5に供給されたラベルシートLSを、搬送経路9aに沿って搬送させて、印字機構7のサーマルヘッド73とプラテン74の配置位置まで搬送するとともに、印字機構7により印字されたラベルシートLSを排出口6から外部に排出する。搬送経路9aは、本体Bの内部において、シート供給口5から本体Bの後端まで延びる隙間である。
図3~
図7に示すように、搬送機構9は、第1ローラ91と、第2ローラ92と、第3ローラ93と、第4ローラ94と、を有する。
【0051】
第1ローラ91は、搬送経路9aの本体Bの排出口6に近い側に設けられ、本体Bの幅方向(Y方向)に延びる第1軸91a周りに回動する。具体的には、搬送モータ9bの回転が伝達機構9cを介して第1軸91aに伝達され、第1ローラ91が回動する。
【0052】
第2ローラ92は、搬送経路9aにおいて、第1ローラ91と対向するように設けられる。第2ローラ92は、本体Bの幅方向(Y方向)に延びる第2軸92a周りに回動する。第2ローラ92のローラ面は、第1ローラ91のローラ面に接している。これにより、第2ローラ92は、第1ローラ91の回動に従って第2軸92a周りに回動する。すなわち、第2ローラ92は、従動ローラである。
【0053】
第3ローラ93は、搬送経路9aのシート供給口5側に設けられ、本体Bの幅方向(Y方向)に延びる第3軸93a周りに回動する。具体的には、搬送モータ9bの回転が伝達機構9cを介して第3軸93aに伝達され、第1ローラ91が回動する。なお、上記のように、搬送モータ9bは、第3軸93aだけでなく、第1ローラ91の第1軸91aも回動させる。すなわち、搬送モータ9bは、第1ローラ91と第3ローラ93とを同時に回動可能である。
【0054】
第4ローラ94は、搬送経路9aにおいて、第3ローラ93と対向するように設けられる。第4ローラ94は、本体Bの幅方向に延びる第4軸94a周りに回動する。
図3に示すように、第4ローラ94のローラ面は、第3ローラ93のローラ面に接している。これにより、第4ローラ94は、第3ローラ93の回動に従って第4軸94a周りに回動する。すなわち、第4ローラ94は、従動ローラである。
【0055】
上記の構成を有する搬送機構9においては、第3ローラ93と第4ローラ94との間、及び/又は、第1ローラ91と第2ローラ92との間にラベルシートLSを挟み込んだ状態で、第1ローラ91~第4ローラ94が回動することで、ラベルシートLSを印字機構7の配置位置まで搬送できる。また、搬送機構9は、第1ローラ91~第4ローラ94の回動により、印字後のラベルシートLSを本体Bの後端の排出口6から外部に排出できる。
【0056】
制御部11は、印字装置100を制御するコンピュータシステムである。具体的には、
図8に示すように、制御部11は、CPU11aと、RAM、ROMなどの記憶装置11bと、入出力インタフェース11cと、を有する。
図5は、制御部の構成を示す図である。CPU11aは、各種情報処理を実行する。記憶装置11bは、CPU11aにより実行されるプログラム、文字データ、印字装置100の制御に必要なパラメータ等を記憶する。入出力インタフェース11cは、CPU11a及び記憶装置11bと、印字装置100の各構成要素との間の信号及びデータの入出力を行う。
【0057】
制御部11は、以下に説明する印字装置100の制御を、記憶装置11bに記憶されたプログラムをCPU11aが実行することで実現する。なお、印字装置100の制御の一部が、制御部11を構成する他のハードウェアにより実現されてもよい。また、制御部11は、CPU11aと、記憶装置11bと、入出力インタフェース11cと、を個別のデバイスとして有するコンピュータシステムにより実現されてもよいし、これらの構成を1つのチップに集積したSoC(System on Chip)にて実現されてもよい。
【0058】
制御部11は、入出力インタフェース11cに接続された表示部1の画面表示を制御する。制御部11は、入出力インタフェース11cに接続された入力部3を用いたユーザの操作を受け付けて、受け付けた操作に基づいた制御を行う。制御部11は、入出力インタフェース11cに接続された搬送モータ9bを制御して、搬送機構9によるラベルシートLSの搬送を制御する。制御部11は、入出力インタフェース11cに接続されたシート検出部9dからの検出信号に基づいて、ラベルシートLSがシート供給口5に供給されたか否かを判断する。
【0059】
制御部11は、入出力インタフェース11cに接続されたサーマルヘッド73の加熱を制御する。制御部11は、入出力インタフェース11cに接続されたキャリッジモータ76dを制御して、キャリッジ71のX方向の移動と、インクリボンの巻き取りと、を制御する。制御部11は、入出力インタフェース11cに接続された昇降モータ78aを制御して、サーマルヘッド73の昇降を制御する。
【0060】
(3)実施形態の共通事項
上記第1実施形態は、下記の構成及び機能を共通に有している。
印字装置(例えば、印字装置100)は、インクリボンを用いて所定の媒体(例えば、ラベルシートLS)に印字する装置である。この印字装置は、キャリッジ(例えば、キャリッジ71)と、ガイド部(例えば、ガイド部材712、巻取軸715、サーマルヘッド73)と、を備える。キャリッジには、カセット(例えば、カセット72)が取り付けられる。カセットは、インクリボンを収納する。ガイド部は、キャリッジのカセットの取付面(例えば、取付面71a)から突出し、カセットをキャリッジに取り付ける際にカセットをガイドする。ガイド部の取付面からの突出量は、キャリッジに取り付けられたカセットが取付面から突出する突出量よりも大きい。
【0061】
上記の印字装置では、ガイド部の取付面からの突出量が、キャリッジに取り付けられたカセットが取付面から突出する突出量よりも大きくなっている。つまり、ガイド部の取付面からの長さが、カセットの厚さ方向の長さよりも長くなっている。このように長いガイド部は、カセットをキャリッジの適切な位置へガイドしやすい。この結果、カセットをキャリッジの適切な位置に取り付けることが容易となる。
【0062】
(4)他の実施形態
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組み合せ可能である。
カセット72には、インクリボンだけでなく、印字する媒体(例えば、テープなど)が収納されていてもよい。すなわち、カセット72は、インクリボンと印字媒体とをサーマルヘッド73とプラテン74との間に供給する部材であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、所定の媒体に印字する印字装置に広く適用できる。
【符号の説明】
【0064】
100 印字装置
1 表示部
3 入力部
5 シート供給口
5a 用紙ガイド
6 排出口
7 印字機構
71 キャリッジ
71a 取付面
711 挟み込み部材
712 ガイド部材
713 ガイド部材
713a 凹凸部
714 爪部材
715 巻取軸
72 カセット
72a 巻取リール
73 サーマルヘッド
73a 樹脂部材
74 プラテン
75 棒状部材
76 キャリッジ駆動機構
76a キャリッジ駆動ベルト
761a 凹凸歯
76b 駆動プーリ
76c 従動プーリ
76d キャリッジモータ
77 巻取機構
77a 第1ギヤ
77b 第2ギヤ
77c 第3ギヤ
77d 第4ギヤ
77e 押さえプーリ
78 昇降機構
78a 昇降モータ
78b 伝達機構
9 搬送機構
91 第1ローラ
91a 第1軸
92 第2ローラ
92a 第2軸
93 第3ローラ
93a 第3軸
94 第4ローラ
94a 第4軸
9a 搬送経路
9b 搬送モータ
9c 伝達機構
9d シート検出部
11 制御部
11a CPU
11b 記憶装置
11c 入出力インタフェース
B 本体
LS ラベルシート
L ラベル