(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023090187
(43)【公開日】2023-06-29
(54)【発明の名称】細胞質雄性不稔性ルドベキア植物およびその生産方法
(51)【国際特許分類】
C12N 15/29 20060101AFI20230622BHJP
C12Q 1/02 20060101ALI20230622BHJP
C12Q 1/6813 20180101ALI20230622BHJP
A01H 6/14 20180101ALI20230622BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20230622BHJP
【FI】
C12N15/29 ZNA
C12Q1/02
C12Q1/6813 Z
A01H6/14
C12N5/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021205015
(22)【出願日】2021-12-17
(71)【出願人】
【識別番号】390028130
【氏名又は名称】タキイ種苗株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003557
【氏名又は名称】弁理士法人レクシード・テック
(74)【代理人】
【識別番号】100115255
【弁理士】
【氏名又は名称】辻丸 光一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100154081
【弁理士】
【氏名又は名称】伊佐治 創
(74)【代理人】
【識別番号】100194515
【弁理士】
【氏名又は名称】南野 研人
(72)【発明者】
【氏名】羽毛田 智明
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 誠
(72)【発明者】
【氏名】小山 瞬
(72)【発明者】
【氏名】白澤 健太
(72)【発明者】
【氏名】磯部 祥子
【テーマコード(参考)】
2B030
4B063
4B065
【Fターム(参考)】
2B030AA02
2B030AB03
2B030AD20
2B030CA14
2B030CB02
4B063QA13
4B063QA18
4B063QQ04
4B063QQ09
4B063QQ13
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4B063QQ52
4B063QR32
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4B063QX01
4B065AA88X
4B065AA88Y
4B065AB01
4B065AC20
4B065BA01
4B065CA53
(57)【要約】 (修正有)
【課題】細胞質雄性不稔を有するルドベキア植物を提供する。
【解決手段】ルドベキア植物における細胞質雄性不稔性の付与方法は、対象のルドベキア植物に、細胞質雄性不稔遺伝子として特定の配列を有する、少なくとも1つのポリヌクレオチドを導入する工程を含む。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞質雄性不稔性を有する、ルドベキア植物。
【請求項2】
細胞質雄性不稔遺伝子として、下記(ca)~(ce)および(cf)からなる群から選択された少なくとも1つのポリヌクレオチドを含む、請求項1に記載のルドベキア植物:
(ca)下記(ca1)~(ca7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(ca1)配列番号1の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(ca2)前記(ca1)の塩基配列において、1~67個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ca3)前記(ca1)の塩基配列に対して、90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ca4)前記(ca1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ca5)配列番号2のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(ca6)配列番号2のアミノ酸配列において、1~22個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ca7)配列番号2のアミノ酸配列に対して、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cb)下記(cb1)~(cb7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(cb1)配列番号3の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(cb2)前記(cb1)の塩基配列において、1~280個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cb3)前記(cb1)の塩基配列に対して、90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cb4)前記(cb1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cb5)配列番号4のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(cb6)配列番号4のアミノ酸配列において、1~93個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cb7)配列番号4のアミノ酸配列に対して、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cc)下記(cc1)~(cc7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(cc1)配列番号5の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(cc2)前記(cc1)の塩基配列において、1~126個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cc3)前記(cc1)の塩基配列に対して、90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cc4)前記(cc1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cc5)配列番号6のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(cc6)配列番号6のアミノ酸配列において、1~42個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cc7)配列番号6のアミノ酸配列に対して、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cd)下記(cd1)~(cd7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(cd1)配列番号7の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(cd2)前記(cd1)の塩基配列において、1~291個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cd3)前記(cd1)の塩基配列に対して、90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cd4)前記(cd1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cd5)配列番号8のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(cd6)配列番号8のアミノ酸配列において、1~97個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cd7)配列番号8のアミノ酸配列に対して、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ce)下記(ce1)~(ce7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(ce1)配列番号9の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(ce2)前記(ce1)の塩基配列において、1~114個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ce3)前記(ce1)の塩基配列に対して、90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ce4)前記(ce1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ce5)配列番号10のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(ce6)配列番号10のアミノ酸配列において、1~38個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ce7)配列番号10のアミノ酸配列に対して、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cf)下記(cf1)~(cf7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(cf1)配列番号11の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(cf2)前記(cf1)の塩基配列において、1~46個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cf3)前記(cf1)の塩基配列に対して、90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cf4)前記(cf1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cf5)配列番号12のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(cf6)配列番号12のアミノ酸配列において、1~15個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cf7)配列番号12のアミノ酸配列に対して、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド。
【請求項3】
前記細胞質雄性不稔遺伝子として、前記(ca)のポリヌクレオチドを含む、請求項2に記載のルドベキア植物。
【請求項4】
前記細胞質雄性不稔遺伝子として、前記(ca)~(ce)および(cf)のポリヌクレオチドを含む、請求項2または3に記載のルドベキア植物。
【請求項5】
ミトコンドリアゲノムに、前記細胞質雄性不稔遺伝子を含む、請求項2から4のいずれか一項に記載のルドベキア植物。
【請求項6】
前記ルドベキア植物は、受託番号FERM BP-22428で寄託されている種子から生育された植物である、請求項1から5のいずれか一項に記載のルドベキア植物。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載のルドベキア植物の後代系統であり、
前記後代系統は、細胞質雄性不稔性を示す、後代系統。
【請求項8】
前記後代系統は、雑種第1代系統である、請求項7に記載の後代系統。
【請求項9】
請求項1から6のいずれか一項に記載のルドベキア植物、または、請求項7または8に記載の後代系統の種子。
【請求項10】
請求項1から6のいずれか一項に記載のルドベキア植物、または、請求項7または8に記載の後代系統の部分。
【請求項11】
請求項1から6のいずれか一項に記載のルドベキア植物、請求項7または8に記載の後代系統、請求項9に記載の種子、または請求項10に記載の部分に含まれる、細胞質。
【請求項12】
下記(a)工程を含む、細胞質雄性不稔性ルドベキア植物の生産方法:
(a)請求項1から6のいずれか一項に記載のルドベキア植物、または、請求項7または8に記載の後代系統と、他のルドベキア植物とを交雑する工程。
【請求項13】
前記(a)工程に先立って、下記(x)工程を含む、請求項12に記載の生産方法:
(x)被検ルドベキア植物から、請求項1から6のいずれか一項に記載のルドベキア植物、または、請求項7または8に記載の後代系統を選抜する工程。
【請求項14】
前記(x)工程では、細胞質雄性不稔遺伝子として、下記(ca)~(ce)および(cf)からなる群から選択された少なくとも1つのポリヌクレオチドを含むルドベキア植物を選抜する、請求項13に記載の生産方法:
(ca)下記(ca1)~(ca7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(ca1)配列番号1の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(ca2)前記(ca1)の塩基配列において、1~67個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ca3)前記(ca1)の塩基配列に対して、90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ca4)前記(ca1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ca5)配列番号2のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(ca6)配列番号2のアミノ酸配列において、1~22個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ca7)配列番号2のアミノ酸配列に対して、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cb)下記(cb1)~(cb7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(cb1)配列番号3の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(cb2)前記(cb1)の塩基配列において、1~280個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cb3)前記(cb1)の塩基配列に対して、90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cb4)前記(cb1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cb5)配列番号4のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(cb6)配列番号4のアミノ酸配列において、1~93個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cb7)配列番号4のアミノ酸配列に対して、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cc)下記(cc1)~(cc7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(cc1)配列番号5の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(cc2)前記(cc1)の塩基配列において、1~126個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cc3)前記(cc1)の塩基配列に対して、90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cc4)前記(cc1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cc5)配列番号6のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(cc6)配列番号6のアミノ酸配列において、1~42個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cc7)配列番号6のアミノ酸配列に対して、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cd)下記(cd1)~(cd7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(cd1)配列番号7の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(cd2)前記(cd1)の塩基配列において、1~291個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cd3)前記(cd1)の塩基配列に対して、90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cd4)前記(cd1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cd5)配列番号8のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(cd6)配列番号8のアミノ酸配列において、1~97個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cd7)配列番号8のアミノ酸配列に対して、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ce)下記(ce1)~(ce7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(ce1)配列番号9の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(ce2)前記(ce1)の塩基配列において、1~114個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ce3)前記(ce1)の塩基配列に対して、90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ce4)前記(ce1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ce5)配列番号10のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(ce6)配列番号10のアミノ酸配列において、1~38個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ce7)配列番号10のアミノ酸配列に対して、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cf)下記(cf1)~(cf7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(cf1)配列番号11の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(cf2)前記(cf1)の塩基配列において、1~46個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cf3)前記(cf1)の塩基配列に対して、90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cf4)前記(cf1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cf5)配列番号12のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(cf6)配列番号12のアミノ酸配列において、1~15個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cf7)配列番号12のアミノ酸配列に対して、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド。
【請求項15】
前記(x)工程では、前記被検ルドベキア植物において、前記細胞質雄性不稔遺伝子を検出し、前記細胞質雄性不稔遺伝子を含む被検ルドベキア植物を選抜する、請求項14に記載の生産方法。
【請求項16】
前記(x)工程では、前記被検ルドベキア植物のミトコンドリアゲノムにおいて、前記細胞質雄性不稔遺伝子を検出し、前記細胞質雄性不稔遺伝子を含む被検ルドベキア植物を選抜する、請求項14または15に記載の生産方法。
【請求項17】
対象のルドベキア植物に、細胞質雄性不稔遺伝子として、下記(ca)~(ce)および(cf)からなる群から選択された少なくとも1つのポリヌクレオチドを導入する工程を含む、ルドベキア植物における細胞質雄性不稔性の付与方法:
(ca)下記(ca1)~(ca7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(ca1)配列番号1の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(ca2)前記(ca1)の塩基配列において、1~67個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ca3)前記(ca1)の塩基配列に対して、90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ca4)前記(ca1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ca5)配列番号2のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(ca6)配列番号2のアミノ酸配列において、1~22個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ca7)配列番号2のアミノ酸配列に対して、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cb)下記(cb1)~(cb7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(cb1)配列番号3の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(cb2)前記(cb1)の塩基配列において、1~280個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cb3)前記(cb1)の塩基配列に対して、90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cb4)前記(cb1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cb5)配列番号4のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(cb6)配列番号4のアミノ酸配列において、1~93個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cb7)配列番号4のアミノ酸配列に対して、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cc)下記(cc1)~(cc7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(cc1)配列番号5の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(cc2)前記(cc1)の塩基配列において、1~126個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cc3)前記(cc1)の塩基配列に対して、90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cc4)前記(cc1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cc5)配列番号6のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(cc6)配列番号6のアミノ酸配列において、1~42個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cc7)配列番号6のアミノ酸配列に対して、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cd)下記(cd1)~(cd7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(cd1)配列番号7の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(cd2)前記(cd1)の塩基配列において、1~291個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cd3)前記(cd1)の塩基配列に対して、90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cd4)前記(cd1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cd5)配列番号8のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(cd6)配列番号8のアミノ酸配列において、1~97個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cd7)配列番号8のアミノ酸配列に対して、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ce)下記(ce1)~(ce7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(ce1)配列番号9の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(ce2)前記(ce1)の塩基配列において、1~114個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ce3)前記(ce1)の塩基配列に対して、90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ce4)前記(ce1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ce5)配列番号10のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(ce6)配列番号10のアミノ酸配列において、1~38個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ce7)配列番号10のアミノ酸配列に対して、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cf)下記(cf1)~(cf7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(cf1)配列番号11の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(cf2)前記(cf1)の塩基配列において、1~46個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cf3)前記(cf1)の塩基配列に対して、90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cf4)前記(cf1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cf5)配列番号12のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(cf6)配列番号12のアミノ酸配列において、1~15個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cf7)配列番号12のアミノ酸配列に対して、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド。
【請求項18】
対象のルドベキア植物に細胞質雄性不稔性を付与する付与工程を含み、
前記付与工程は、請求項17に記載の付与方法により実施される、細胞質雄性不稔性ルドベキア植物の生産方法。
【請求項19】
被検ルドベキア植物から、細胞質雄性不稔遺伝子として、下記(ca)~(ce)および(cf)からなる群から選択された少なくとも1つのポリヌクレオチドを含む被検ルドベキア植物を、細胞質雄性不稔性ルドベキア植物として選抜する選抜工程を含む、細胞質雄性不稔性ルドベキア植物のスクリーニング方法:
(ca)下記(ca1)~(ca7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(ca1)配列番号1の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(ca2)前記(ca1)の塩基配列において、1~67個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ca3)前記(ca1)の塩基配列に対して、90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ca4)前記(ca1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ca5)配列番号2のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(ca6)配列番号2のアミノ酸配列において、1~22個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ca7)配列番号2のアミノ酸配列に対して、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cb)下記(cb1)~(cb7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(cb1)配列番号3の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(cb2)前記(cb1)の塩基配列において、1~280個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cb3)前記(cb1)の塩基配列に対して、90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cb4)前記(cb1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cb5)配列番号4のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(cb6)配列番号4のアミノ酸配列において、1~93個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cb7)配列番号4のアミノ酸配列に対して、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cc)下記(cc1)~(cc7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(cc1)配列番号5の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(cc2)前記(cc1)の塩基配列において、1~126個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cc3)前記(cc1)の塩基配列に対して、90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cc4)前記(cc1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cc5)配列番号6のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(cc6)配列番号6のアミノ酸配列において、1~42個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cc7)配列番号6のアミノ酸配列に対して、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cd)下記(cd1)~(cd7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(cd1)配列番号7の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(cd2)前記(cd1)の塩基配列において、1~291個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cd3)前記(cd1)の塩基配列に対して、90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cd4)前記(cd1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cd5)配列番号8のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(cd6)配列番号8のアミノ酸配列において、1~97個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cd7)配列番号8のアミノ酸配列に対して、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ce)下記(ce1)~(ce7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(ce1)配列番号9の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(ce2)前記(ce1)の塩基配列において、1~114個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ce3)前記(ce1)の塩基配列に対して、90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ce4)前記(ce1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ce5)配列番号10のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(ce6)配列番号10のアミノ酸配列において、1~38個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ce7)配列番号10のアミノ酸配列に対して、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cf)下記(cf1)~(cf7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(cf1)配列番号11の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(cf2)前記(cf1)の塩基配列において、1~46個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cf3)前記(cf1)の塩基配列に対して、90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cf4)前記(cf1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cf5)配列番号12のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(cf6)配列番号12のアミノ酸配列において、1~15個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cf7)配列番号12のアミノ酸配列に対して、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド。
【請求項20】
被検ルドベキア植物から、細胞質雄性不稔遺伝子を含む被検ルドベキア植物をスクリーニングするスクリーニング工程を含み、
前記スクリーニング工程は、請求項19に記載のスクリーニング方法により実施される、細胞質雄性不稔性ルドベキア植物の生産方法。
【請求項21】
被検ルドベキア植物において、細胞質雄性不稔遺伝子として、下記(ca)~(ce)および(cf)からなる群から選択された少なくとも1つのポリヌクレオチドを検出する検出工程を含む、ルドベキア植物の細胞質雄性不稔性の検出方法:
(ca)下記(ca1)~(ca7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(ca1)配列番号1の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(ca2)前記(ca1)の塩基配列において、1~67個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ca3)前記(ca1)の塩基配列に対して、90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ca4)前記(ca1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ca5)配列番号2のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(ca6)配列番号2のアミノ酸配列において、1~22個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ca7)配列番号2のアミノ酸配列に対して、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cb)下記(cb1)~(cb7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(cb1)配列番号3の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(cb2)前記(cb1)の塩基配列において、1~280個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cb3)前記(cb1)の塩基配列に対して、90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cb4)前記(cb1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cb5)配列番号4のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(cb6)配列番号4のアミノ酸配列において、1~93個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cb7)配列番号4のアミノ酸配列に対して、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cc)下記(cc1)~(cc7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(cc1)配列番号5の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(cc2)前記(cc1)の塩基配列において、1~126個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cc3)前記(cc1)の塩基配列に対して、90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cc4)前記(cc1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cc5)配列番号6のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(cc6)配列番号6のアミノ酸配列において、1~42個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cc7)配列番号6のアミノ酸配列に対して、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cd)下記(cd1)~(cd7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(cd1)配列番号7の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(cd2)前記(cd1)の塩基配列において、1~291個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cd3)前記(cd1)の塩基配列に対して、90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cd4)前記(cd1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cd5)配列番号8のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(cd6)配列番号8のアミノ酸配列において、1~97個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cd7)配列番号8のアミノ酸配列に対して、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ce)下記(ce1)~(ce7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(ce1)配列番号9の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(ce2)前記(ce1)の塩基配列において、1~114個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ce3)前記(ce1)の塩基配列に対して、90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ce4)前記(ce1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ce5)配列番号10のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(ce6)配列番号10のアミノ酸配列において、1~38個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ce7)配列番号10のアミノ酸配列に対して、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cf)下記(cf1)~(cf7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(cf1)配列番号11の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(cf2)前記(cf1)の塩基配列において、1~46個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cf3)前記(cf1)の塩基配列に対して、90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cf4)前記(cf1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cf5)配列番号12のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(cf6)配列番号12のアミノ酸配列において、1~15個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cf7)配列番号12のアミノ酸配列に対して、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、細胞質雄性不稔性ルドベキア植物およびその生産方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ルドベキア属植物(以下、「ルドベキア植物」という)は、北米に30種ほどが自生する植物である。前記ルドベキア植物は、一年草、二年草、および多年草(多年性植物)のいずれもが存在することが知られている。前記ルドベキア植物において、一年性であるアラゲハンゴンソウ(Rudbeckia
hirta)は、花の色、花の形等に多様性があることから、観賞用のために品種改良がおこなわれ、様々な品種が市販されている。(非特許文献1)。
【0003】
市販の園芸作物の品種は、花卉類を含め、雑種強勢と呼ばれる現象を利用したF1品種が主流となっている。前記雑種強勢は、雑種第一代(F1)の示す形質が、両親のいずれ対応する形質よりも優れるという現象である。前記F1品種の作出では、前記F1品種の両親系統となる2つの系統の育成と、その系統間での交雑および採種とが必要である。また、前記F1品種の採種では、前記両親系統の自殖種子の混入を防ぐことを目的として、雄蕊の人為的な除去、自家不和合性の利用、雄性不稔性(MS)の利用等が行なわれている。
【0004】
また、花卉類において、雄性不稔性は、効率的なF1品種の採種を目的として利用されるだけではなく、観賞面でも利点を付与することができる。具体的には、雄性不稔性の品種は、葯から花粉が飛散しない。このため、前記雄性不稔性の品種は、花弁等への花粉の付着を防止でき、これにより、外観形質が汚損を防止できる。また、前記雄性不稔性の品種は、前記花粉の衣服への付着による汚損も防止できる。さらに、ペチュニア、ペラルゴニウム等の一部の花卉類では、雄性不稔性を付与することで、開花した花の老化が遅れ、観賞期間が長くなることが報告されている(非特許文献2および3)。
【0005】
前記雄性不稔性(MS)としては、細胞質雄性不稔性(CMS)と、核型雄性不稔性(GMS)とに区分される。前記細胞質雄性不稔性では、細胞質ゲノム、すなわち、ミトコンドリアゲノムに雄性不稔遺伝子が存在する。他方、核型雄性不稔性では、ゲノムDNAに雄性不稔遺伝子が存在する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Irene E. Palmer et al., “Crossability, Cytogenetics, and Reproductive Pathways in Rudbeckia Subgenus Rudbeckia”, HORTSCIENCE, 2009, Vol. 44, Issue 1 pages 44-48
【非特許文献2】Aran G. Smith et al., “Increased Flower Longevity in Petunia with Male Sterility”, HORTSCIENCE, 2004, Vol. 39, Issue 4, pages 822B-822
【非特許文献3】Begona Garcia-Sogo et al., “Production of engineered long-life and male sterile Pelargonium plants”, BMC Plant Biology, 2012, Vol. 12, Article number: 156
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ルドベキア植物においては、雄性不稔遺伝子は同定されておらず、雄性不稔性を示す品種は存在しない。そこで、本開示は、細胞質雄性不稔性を有するルドベキア植物の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本開示のルドベキア植物は、細胞質雄性不稔性を有する。
【0009】
本開示の後代系統は、前記本開示のルドベキア植物の後代系統であり、前記後代系統は、細胞質雄性不稔性を示す。
【0010】
本開示の細胞質雄性不稔性ルドベキア植物の生産方法(以下、「第1の生産方法」ともいう)は、下記(a)工程を含む:
(a)前記本開示のルドベキア植物または前記本開示の後代系統と、他のルドベキア植物とを交雑する工程。
【0011】
本開示のルドベキア植物における細胞質雄性不稔性の付与方法(以下、「付与方法」ともいう)は、対象のルドベキア植物に、細胞質雄性不稔遺伝子として、下記(ca)~(ce)および(cf)からなる群から選択された少なくとも1つのポリヌクレオチドを導入する工程を含む:
(ca)下記(ca1)~(ca7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(ca1)配列番号1の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(ca2)前記(ca1)の塩基配列において、1~67個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ca3)前記(ca1)の塩基配列に対して、90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ca4)前記(ca1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ca5)配列番号2のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(ca6)配列番号2のアミノ酸配列において、1~22個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ca7)配列番号2のアミノ酸配列に対して、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cb)下記(cb1)~(cb7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(cb1)配列番号3の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(cb2)前記(cb1)の塩基配列において、1~280個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cb3)前記(cb1)の塩基配列に対して、90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cb4)前記(cb1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cb5)配列番号4のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(cb6)配列番号4のアミノ酸配列において、1~93個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cb7)配列番号4のアミノ酸配列に対して、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cc)下記(cc1)~(cc7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(cc1)配列番号5の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(cc2)前記(cc1)の塩基配列において、1~126個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cc3)前記(cc1)の塩基配列に対して、90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cc4)前記(cc1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cc5)配列番号6のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(cc6)配列番号6のアミノ酸配列において、1~42個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cc7)配列番号6のアミノ酸配列に対して、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cd)下記(cd1)~(cd7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(cd1)配列番号7の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(cd2)前記(cd1)の塩基配列において、1~291個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cd3)前記(cd1)の塩基配列に対して、90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cd4)前記(cd1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cd5)配列番号8のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(cd6)配列番号8のアミノ酸配列において、1~97個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cd7)配列番号8のアミノ酸配列に対して、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ce)下記(ce1)~(ce7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(ce1)配列番号9の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(ce2)前記(ce1)の塩基配列において、1~114個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ce3)前記(ce1)の塩基配列に対して、90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ce4)前記(ce1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ce5)配列番号10のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(ce6)配列番号10のアミノ酸配列において、1~38個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ce7)配列番号10のアミノ酸配列に対して、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cf)下記(cf1)~(cf7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(cf1)配列番号11の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(cf2)前記(cf1)の塩基配列において、1~46個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cf3)前記(cf1)の塩基配列に対して、90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cf4)前記(cf1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cf5)配列番号12のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(cf6)配列番号12のアミノ酸配列において、1~15個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cf7)配列番号12のアミノ酸配列に対して、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド。
【0012】
本開示の細胞質雄性不稔性ルドベキア植物の生産方法(以下、「第2の生産方法」ともいう)は、対象のルドベキア植物に細胞質雄性不稔性を付与する付与工程を含み、
前記付与工程は、前記本開示の付与方法により実施される。
【0013】
本開示の細胞質雄性不稔性ルドベキア植物のスクリーニング方法(以下、「スクリーニング方法」ともいう)は、被検ルドベキア植物から、細胞質雄性不稔遺伝子として、前記(ca)~(ce)および(cf)からなる群から選択された少なくとも1つのポリヌクレオチドを含む被検ルドベキア植物を、細胞質雄性不稔性ルドベキア植物として選抜する工程(選抜工程)を含む。
【0014】
本開示の細胞質雄性不稔性ルドベキア植物の生産方法(以下、「第3の生産方法」ともいう)は、被検ルドベキア植物から、細胞質雄性不稔遺伝子を含む被検ルドベキア植物をスクリーニングするスクリーニング工程を含み、
前記スクリーニング工程は、前記本開示のスクリーニング方法により実施される。
【0015】
本開示のルドベキア植物の細胞質雄性不稔性の検出方法(以下、「検出方法」ともいう)は、被検ルドベキア植物において、細胞質雄性不稔遺伝子として、前記(ca)~(ce)および(cf)からなる群から選択された少なくとも1つのポリヌクレオチドを検出する検出工程を含む。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、細胞質雄性不稔性を示すルドベキア植物を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、実施例1におけるルドベキア植物の花を示す写真である。
【
図2】
図2は、実施例1におけるF1_MS1系統のルドベキア植物の植物体の写真である。
【
図3】
図3は、実施例1における2つのプログラムにより構築された各系統ミトコンドリアゲノムを比較したグラフである。
【
図4】
図4は、実施例1におけるOrganella_PBAまたはHGAP4を用いて構築した、各系統のミトコンドリアゲノム上に予測された遺伝子を示した図である。
【
図5】
図5は、実施例1におけるRdMF系統のATP6と、RdCMS系統のORF3の塩基配列を比較した模式図である。
【
図6】
図6は、実施例1における可稔系統(R.hiruta、RdMF系統)、寄託系統(RdCMS系統)、タキイ種苗株式会社保有R.hiruta(120系統)、およびタキイ種苗株式会社内に自生するR.hiruta個体の電気泳動の結果を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<定義>
本明細書において、「雄性不稔」または「雄性不稔性」は、雄性器官の不稔現象により、花粉の形成が生じない、または花粉が十分に形成されない形質を意味する。具体例として、前記「雄性不稔」または「雄性不稔性」は、例えば、雄蕊の不完全な形成、発育不全による花粉の消失等があげられる。
【0019】
本明細書において、「細胞質雄性不稔」または「細胞質雄性不稔性」は、細胞質または細胞質に存在する器官に由来する遺伝子によって母系遺伝する雄性不稔性の形質を意味する。
【0020】
本明細書において、「核型雄性不稔」または「核型雄性不稔性」は、核に由来する遺伝子によって遺伝する雄性不稔性の形質を意味する。
【0021】
本明細書において、「ルドベキア植物」は、キク科(Asteraceae)のオオハンゴンソウ属(Rudbeckia)に分類される植物を意味する。
【0022】
本明細書において、「栽培用ルドベキア植物」、「栽培用ルドベキア品種」、または「栽培用ルドベキア」は、ヒトが栽培し、栽培学的に優れたルドベキア植物もしくはその品種、育種系統、または栽培品種を意味する。「栽培用ルドベキア植物」、「栽培用ルドベキア品種」、または「栽培用ルドベキア」は、それらの交雑種、または近縁種もしくは野生種との交雑種であってもよい。
【0023】
本明細書において、「植物体」または「植物」は、植物全体を示す植物個体を意味する。
【0024】
本明細書において、「植物体の部分」または「植物の部分」は、植物個体の部分を意味する。
【0025】
本明細書において、「ポリヌクレオチド」は、デオキシリボヌクレオチド(DNA)および/またはリボヌクレオチド(RNA)のポリマーを意味する。前記ポリヌクレオチドは、一本鎖ポリヌクレオチドでもよいし、二本鎖ポリヌクレオチドでもよい。前記「ポリヌクレオチド」は、例えば、核酸または核酸分子ということもできる。
【0026】
本明細書において、「ポリペプチド」は、未修飾アミノ酸(天然のアミノ酸)および/または修飾アミノ酸から構成されるポリマーを意味する。前記ポリペプチドは、例えば、10アミノ酸以上の長さを有するペプチドである。前記「ポリペプチド」は、例えば、タンパク質ということもできる。
【0027】
本明細書において、「交雑」は、2つの親系統の交雑を意味する。前記交雑は、例えば、交配ということもできる。
【0028】
本明細書において、「発現ベクター」(ベクター)は、in vitroまたはin vivoにおいて、宿主細胞に送達されるポリヌクレオチドを含む組換えプラスミドまたはウイルスを意味する。
【0029】
本明細書において、「発現させる」は、対象において所望の形質が発現している、または対象において所望の形質が誘導されることを意味する。
【0030】
以下、本開示について例をあげて説明するが、本開示は以下の例等に限定されるものではなく、任意に変更して実施できる。また、本開示における各説明は、特に言及がない限り、互いに援用可能である。なお、本明細書において、「~」という表現を用いた場合、その前後の数値または物理値を含む意味で用いる。本明細書において、数値範囲において、複数の上限値および/または複数の下限値を例示する場合、前記数値範囲の上限値および下限値として、例示している任意の上限値および下限値を組合せ可能である。また、本明細書において、「Aおよび/またはB」という表現には、「Aのみ」、「Bのみ」、「AおよびBの双方」が含まれる。
【0031】
<細胞質雄性不稔性ルドベキア植物>
ある態様において、本開示は、細胞質雄性不稔性を示すルドベキア植物を提供する。本開示のルドベキア植物は、細胞質雄性不稔性を示す。本開示のルドベキア植物は、細胞質雄性不稔性を示すことが特徴であり、その他の構成および条件は、特に制限されない。
【0032】
本開示者らは、鋭意研究の結果、細胞質雄性不稔性を示す新規のルドベキア個体を見出した。本開示者らは、さらなる研究の結果、前記細胞質雄性不稔性のルドベキア個体において、前記細胞質雄性不稔性の形質は、遺伝性の形質であり、かつ新規の細胞質雄性不稔遺伝子に起因することを特定した。このため、本開示によれば、細胞質雄性不稔性を示すルドベキア植物を提供できる。
【0033】
本開示のルドベキア植物において、前記雄性不稔性は、細胞質雄性不稔性(CMS)である。前述のように、前記雄性不稔性は、細胞質雄性不稔性と、核型雄性不稔性(GMS)とが存在する。これらの雄性不稔性は、例えば、雄性不稔遺伝子が存在(座乗)するゲノムの種類により決定される。具体的には、前記雄性不稔遺伝子が細胞質、すなわち、ミトコンドリアゲノムに存在する場合、前記雄性不稔遺伝子を含むルドベキア植物は、細胞質雄性不稔性を示す。他方、前記雄性不稔遺伝子が核、すなわち、核ゲノムに存在(座乗)する場合、前記雄性不稔遺伝子を含むルドベキア植物は、核型雄性不稔性を示す。このため、前記雄性不稔性の種類は、例えば、前記雄性不稔遺伝子が存在するゲノムを検出することにより評価できる。具体例として、被検ルドベキア植物において、前記雄性不稔遺伝子が前記ミトコンドリアゲノムに存在する場合、前記被検ルドベキア植物は、細胞質雄性不稔性と評価できる。他方、被検ルドベキア植物において、前記雄性不稔遺伝子が前記核ゲノムに存在する場合、前記被検ルドベキア植物は、核型雄性不稔性と評価できる。
【0034】
前記ルドベキア植物は、例えば、Rudbeckia
alpicola、Rudbeckia
auriculata、Rudbeckia
californica、Rudbeckia
flava、Rudbeckia
fulgida、Rudbeckia
glaucescens、Rudbeckia
graminifolia、Rudbeckia
grandiflor、Rudbeckia
heliopsidis、Rudbeckia
hirta、Rudbeckia
klamathensis、Rudbeckia
laciniata、Rudbeckia
missouriensis、Rudbeckia
mohrii、Rudbeckia
mollis、Rudbeckia
montana、Rudbeckia
newmannii、Rudbeckia
nitida、Rudbeckia
occidentalis、Rudbeckia
scabrifolia、Rudbeckia
speciosa、Rudbeckia
subtomentosa、Rudbeckia
texana、Rudbeckia
triloba、Echinacea
atrorubens、Echinacea
pallida、Echinacea
purpurea等があげられる。前記ルドベキア植物は、例えば、ルドベキア植物の栽培用植物または栽培用品種ということもできる。
【0035】
前記ルドベキア植物は、近縁種または野生種との交雑種でもよい。前記近縁種は、例えば、ムラサキバレンギク属(Echinacea)植物、または交雑対象のルドベキア植物と異なる種のルドベキア植物等があげられる。
【0036】
前記植物の部分は、例えば、植物細胞、植物プロトプラスト、植物体を再生可能な植物細胞培養物または組織培養物、カルス(植物カルス)、植物塊(plant clumps)、植物または植物の部分から単離した植物細胞、分裂組織細胞(meristematic cell)、花粉、花、花弁、花芽、花冠、葉、葉柄、葉髄、子葉、子房(ovary)、胚、胚珠、胚軸、卵細胞、葯、雌しべ、挿し木、穂木(接ぎ穂)、台木、根、根の先端(根端)、種子、果実、幹、茎、苗等があげられる。前記植物の部分は、例えば、器官、組織、細胞または栄養繁殖体等があげられ、いずれでもよい。前記器官は、例えば、花弁、花冠、花、葉、種子、果実、茎、根等があげられる。前記組織は、例えば、前記器官の部分である。前記植物の部分は、例えば、植物個体もしくはその後代系統;または前記種子、カルス等の植物の部分;の細胞質、ミトコンドリア、またはミトコンドリアゲノムであってもよい。
【0037】
前記ルドベキア植物の雄性不稔性は、遺伝的形質であることが好ましい。この場合、前記ルドベキア植物の雄性不稔性は、例えば、雄性不稔遺伝子により生じる。前記雄性不稔遺伝子は、RNA(例えば、mRNA)の形態、またはDNAの形態(例えば、cDNA、ゲノムDNA、またはミトコンドリアDNA)で存在し得る。DNAは、二本鎖であっても、一本鎖であってもよい。前記雄性不稔遺伝子は、非翻訳領域(UTR)の配列等の付加的な配列を含むものであってもよい。
【0038】
本開示において、前記細胞不稔性遺伝子としては、例えば、ORF3、ORF1、ORF2、ORF6、ORF7、およびRPS7等があげられる。
【0039】
本開示において、前記ORF3は、下記(ca)のポリヌクレオチドを含む。
(ca)下記(ca1)~(ca7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(ca1)配列番号1の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(ca2)前記(ca1)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ca3)前記(ca1)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ca4)前記(ca1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ca5)配列番号2のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(ca6)配列番号2のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ca7)配列番号2のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド。
【0040】
前記(ca1)において、配列番号1の塩基配列は、配列番号2のアミノ酸配列のコード配列である。前記配列番号1の塩基配列は、例えば、後述する受託番号FERM BP-22428で寄託されているルドベキア植物の種子から得ることができる。下記配列番号1の塩基配列は、終止コドン(TAA)を含む塩基配列である。後述するように、前記配列番号1の塩基配列は、可稔性のルドベキア植物のATP6遺伝子と、他の遺伝子とのキメラ遺伝子の塩基配列と推定される。ただし、本開示は、前記推定に何ら制限されない。
【0041】
細胞質雄性不稔遺伝子(ORF3)の塩基配列(配列番号1)
5'-ATGCTGCTAACTCTCAGTTTGGTCCTACTTCTGATTCATTTTGTTACTAAAAAAGGAGGAGGAAACTTAGTACCAAATGCTTGGCAATCCTTGGTAGAGCTTATTTATGATTTCGTGCTGAACCTGGTAAACGAACAAATAGGGGGTCTTTCCGGAAATGTTAAACAAAAGTTTTTCCCTTGCATCCTGGTCACTTTTACTTTTTTGTTATTTTGTAATCTTCAGGGTATGATACCTTATAGCTTCACAGTTACAAGTCATTTTCTCATTACTTTAGGTCTCTCATTTTCGATTTTTATTGGCATTACTATAGTGGGATTTCAAAGAAACGGGCTTCATTTTTTAAGCTTCTTATTACCCGCAGGAGTCCCACTGCCATTAGCACCTTTTTTAGTACTCCTTGAGCTAATTTCTTATTGTTTTCGCGCATTAAGCTTAGGAATACGTTTATTTGCTAATATGATGGCCGGTCATAGTTTAGTAAAGATTTTAAGTGGGTTCGCTTGGACTATGCTATGTATGAATGATCTTTTGTATTTTATAGGGGATCTTGGTCCTTTATTTATAGTTCTTGCATTAACCGGTCTGGAATTAGGTGTAGCTATATTACAAGCTTATGTTTTTACGATCTTAATCTGTATTTACTTGAATGATGCTATAAATCTCCATTAA-3'
【0042】
前記(ca2)において、「1もしくは数個」は、例えば、前記(ca2)のポリヌクレオチドが、前記細胞質雄性不稔性を発現させる範囲であればよい。前記(ca2)の「1もしくは数個」は、前記(ca1)の塩基配列において、例えば、1~134個、1~100個、1~67個、1~33個、1~26個、1~20個、1~13個、1~6個、1~3個、1または2個、1個である。本開示において、塩基数またはアミノ酸数等の個数の数値範囲は、例えば、その範囲に属する正の整数を全て開示するものである。つまり、例えば、「1~5個」との記載は、「1、2、3、4、5個」の全ての開示を意味する(以下、同様)。
【0043】
前記(ca3)において、「同一性」は、例えば、前記(ca3)のポリヌクレオチドが、前記細胞質雄性不稔性を発現させる範囲であればよい。前記(ca3)の同一性は、前記(ca1)の塩基配列に対して、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。前記「同一性」は、2つの塩基配列またはアミノ酸配列をアライメントすることによって求めることができる(以下、同様)。前記アライメントは、例えば、BLAST、FASTA等を用いてデフォルトのパラメータで算出できる。
【0044】
前記(ca4)において、「ハイブリダイズするポリヌクレオチド」は、例えば、前記(ca1)のポリヌクレオチドに対して、完全または部分的に相補的なポリヌクレオチドである。前記「ハイブリダイズするポリヌクレオチド」は、前記(ca4)のポリヌクレオチドが、前記細胞質雄性不稔性を発現させる範囲であればよい。前記ハイブリダイズは、例えば、各種ハイブリダイゼーションアッセイにより検出できる。前記ハイブリダイゼーションアッセイは、特に制限されず、例えば、ザンブルーク(Sambrook)ら編「モレキュラー・クローニング:ア・ラボラトリーマニュアル第2版(Molecular Cloning: A Laboratory Manual 2nd Ed.)」〔Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989)〕等に記載されている方法を採用することもできる。
【0045】
前記(ca4)において、「ストリンジェントな条件」は、例えば、低ストリンジェントな条件、中ストリンジェントな条件、高ストリンジェントな条件のいずれでもよい。「低ストリンジェントな条件」は、例えば、5×SSC、5×デンハルト溶液、0.5%SDS、50%ホルムアミド、32℃の条件である。「中ストリンジェントな条件」は、例えば、5×SSC、5×デンハルト溶液、0.5%SDS、50%ホルムアミド、42℃の条件である。「高ストリンジェントな条件」は、例えば、5×SSC、5×デンハルト溶液、0.5%SDS、50%ホルムアミド、50℃の条件である。ストリンジェンシーの程度は、当業者であれば、例えば、温度、塩濃度、プローブの濃度および長さ、イオン強度、時間等の条件を適宜選択することで、設定可能である。「ストリンジェントな条件」は、例えば、前述したザンブルーク(Sambrook)ら編「モレキュラー・クローニング:ア・ラボラトリーマニュアル第2版(Molecular Cloning: A Laboratory Manual 2nd Ed.)」〔Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989)〕等に記載の条件を採用することもできる。
【0046】
前記(ca5)のポリヌクレオチドは、例えば、前記(ca5)のポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質が、前記細胞質雄性不稔性を発現させる塩基配列であればよい。前記(ca5)のポリヌクレオチドの塩基配列は、例えば、前記配列番号2のアミノ酸配列に基づいて、対応するコドンに置き換えることで設計可能である。前記配列番号2のアミノ酸は、例えば、後述する受託番号FERM BP-22428で寄託されているルドベキア植物の種子から得ることができる。
【0047】
細胞質雄性不稔遺伝子(ORF3)によりコードされるアミノ酸配列(配列番号2)
MLLTLSLVLLLIHFVTKKGGGNLVPNAWQSLVELIYDFVLNLVNEQIGGLSGNVKQKFFPCILVTFTFLLFCNLQGMIPYSFTVTSHFLITLGLSFSIFIGITIVGFQRNGLHFLSFLLPAGVPLPLAPFLVLLELISYCFRALSLGIRLFANMMAGHSLVKILSGFAWTMLCMNDLLYFIGDLGPLFIVLALTGLELGVAILQAYVFTILICIYLNDAINLH
【0048】
前記(ca6)において、アミノ酸配列に関する「1もしくは数個」は、例えば、前記(ca6)のポリヌクレオチドが、前記細胞質雄性不稔性を発現させる範囲であればよい。前記(ca6)の「1もしくは数個」は、例えば、前記配列番号2のアミノ酸配列において、例えば、1~44個、1~33個、1~22個、1~11個、1~8個、1~6個、1~4個、1~3個、1または2個、1個である。
【0049】
前記(ca7)において、アミノ酸配列に関する「同一性」は、例えば、前記(ca7)のポリヌクレオチドが、前記細胞質雄性不稔性を発現させる範囲であればよい。前記(ca7)の同一性は、前記配列番号2のアミノ酸配列に対して、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
【0050】
前記「細胞質雄性不稔性を発現させる」は、例えば、対象のポリヌクレオチドを含む植物個体において、前記植物個体が、細胞質雄性不稔性を示すことを意味する(以下、同様)。
【0051】
本開示において、前記ORF1は、下記(cb)のポリヌクレオチドを含む。
(cb)下記(cb1)~(cb7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(cb1)配列番号3の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(cb2)前記(cb1)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cb3)前記(cb1)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cb4)前記(cb1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cb5)配列番号4のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(cb6)配列番号4のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cb7)配列番号4のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド。
【0052】
前記(cb1)において、配列番号3の塩基配列は、配列番号4のアミノ酸配列のコード配列である。前記配列番号3の塩基配列は、例えば、後述する受託番号FERM BP-22428で寄託されているルドベキア植物の種子から得ることができる。下記配列番号3の塩基配列は、終止コドン(TAA)を含まない塩基配列である。後述するように、前記配列番号3の塩基配列は、ルドベキア植物のDNA-dependent RNA polymeraseと推定される。ただし、本開示は、前記推定に何ら制限されない。
【0053】
細胞質雄性不稔遺伝子(ORF1)の塩基配列(配列番号3)
5'-ATGGAACAAACAGTTCGTGAATTCCTATTGAGTACTGTGTCTTTGGATGATAACAAGAAAAAAGGTATTGTCGTGGATTTCTGGTCTGAGTTCTATCAAAAGAACGTCTATACGGAACATCAATCTAATCAGACGAATCGAAGTCTATATAAGGAGAAGGTATGTGAGATATTACATGAATTTAAAAGGACACATATTACACCTTACTCTAGGGAAGAATTAATAGCATTACAGGCTGAGATTGAGAGTACTACGATCATTTTCGATGAGGCATCTATTCATGCTAGTAGTGGCCATATAATGAAATATATGATTGATCCTAAAAAAGAGAGTGCTAAAGATTTTGTTTATGAACGTCTTACCTCTAGGAAGGAGCAATCCATTATATCGGATATGGGTCAATACACACTTGAAGCAATCATAGTTTATGTCATCAGTAAGTTGTATAGTTCAGAAACAGAAATGATTCGTGTATCGACTTTGATTGATCAACTCGATAAGCAAGTTAAAGCACAGTCTGTTCTGGTAAATAAACATAAAAAACCACTTGTGATGAAAGAAGTAGGTCAAAATGTTGCCTTGGGTGAGCATTTTCCAATTGGAGCTGCATTAGTTGAATTTATTTCTGATAGGGGGTTGATGACCATTCAACATATAGATGATAGAAGGTCATCTGTTCCAATTCAAAAGAAGAAAGGAAAGTATTATATGCCAAAGTTACTCTACGCCTTCTATAATTTTGATGTATCTCTACTCCCCGTTAAGCTGAACATACCGATGGTCTTTCCACCTATAGAATGGAGTAATGCTCGTGAGGATAATCTAGAACCTAAAACCCTATATGACCTTAGAGGTGGTTACATATCCGGGATGAGCGAGGTATCTCGTTACCATCTACTCAGTAGTTGGAATTATAACAACTACTATATTGATATAGAATCTGGTCACGAGTCATTATGTGTAGTAATGAACAAGCTGCAGAAAGTGCCTTTTCGAATAGCTAGTTTCATGCTCACATTTATCAAAGAAAACTATAATGACTTTGTGAAGGCAGGTTTACTTATGCCAAAAGCTCTCTGTATTGCAGATATGAAAAAGTTGCGTGATTCCCTCAGAGATTTCTACATGAATAATGAAAAGGGAATTAAAACAATCTATAGCTATGACGAAGTCTTAACTATTTTATACAAGGATGTGCAGCGTGCTCGTTTTGAGAGAATGACCCTCATGCTTTCAGAGGCATTAGAAGGTTTTAAACTCTACTTACCAGCCTTTCTTGACTTTAGGGGTAGAATCTACAGAAGCGGTATTTTACACTTACATGAACGAGATTTTGTCAGAAGCCTGCTCATCTTTGACAATTTATATGATTATAAAAATCAGGATGAAATTATACATATCAATAAATGTCTTTCAATCCTAGGGCGAGCTATACCCTACTATTGGAAGTCATTTTCTTCTTATACTGATTCAGAAGAATGGGGTCGAAAACTAATTGAAATCAAAGATAATATATGTAATTCAGAATTGATCAAGTTTTCAGTTAGTGCAAAAAAACCCTTTCAGTTCCTTGCATCTGTATGTGCATTGAAGATTGAGGATGAAACTACTCGTAATCATTATCTCAATTATCTTCCTATCACCCAAGATGCTTCGTCTAGTGCCTATCAAATTATGAGTTTTCTATTGTTAGATACTCAAATAGCAAAACAAACTAATCTGATTTCTGAGCATAAAGGTGAGATTCATGATATATATAACCATATGAAAGAATTACTATTGGAATACATAGAATCTTGCTCGGGTGAGTACGATTTGAGTGAGAATTTGAAAGAACTAGTTATCAAATCCATTGACCGTAAGTTAGTTAAGGCTCTTTTTATGCCAATAATCTATGGAAAGACTGTGATTAGCACTGCAACAGATCTAAGAACAACTCTCTCCAAGTTCGTGACAAAGGGTGAGAGCATGATCCTGGCTAAGATCTGCTTTTCTTTCTGGAAAGAAACCTATAGGGGTATGGATTGTTTGATCACTCTGATCAAGAGTATTGGATGGATGGTCTCAGCCAGGGGGAGCCATGTCCGATATCAAAATCAAATTTATACCACAGTTCAAAAATACATGAAGATGGATGCAGTCAAGATATGGATCTATGATCGAGAAAATAAAAAGAAGCGTCAAGTCACTCTTAGAGTCTCAACAGAGAAAAATGATAAACGGAAGAGTGAAATCGCTACCTTCGTGAACTTCATCCATCAGTTTGATGCTTTCATTGCAATGAGTGTGATTTATGAAATGCCTAGCTATGCTTCACATATCTACACAGTTCACGACAACTTTATCACTATTCCAAGTAGTTGTGATGATCTGCCATATCTGTATAAGAAAGCCTTCAGTTGTAATAATCCTCTCGCAATCATCAACCGTTACATCTACACTAATGTGATGGAACATCTTGGTATGATAGAAGGGCTAACTCCTGTTGAAAGTGATCACTTTCGGAGATTAAGGAAGAAAGATGGATACGATACCTTAATCATTCACGAGAATATACTCTTGAAATACTTAATTTGTAATATGCCTATCAATCTCAAAAGAAAGAATGAGACTCAGATGTGGGAAGGAAAGATCAATACAATAATAACATCATACAAAGAGTATGTTAGAACTATATGCATGTGCGAAGATCCCGGGAAAGATTATGACATAAATAAACTTGAAAAATGCCGTGATGAGTATACCGAAAATGATCAAAATTTCATTAGGCGTATGATGCGAGGTTCCACCAATTATAGCATACATCAT-3'
【0054】
前記(cb2)において、「1もしくは数個」は、例えば、前記(cb2)のポリヌクレオチドが、前記細胞質雄性不稔性を発現させる範囲であればよい。前記(cb2)の「1もしくは数個」は、前記(cb1)の塩基配列において、例えば、1~561個、1~421個、1~280個、1~140個、1~112個、1~84個、1~56個、1~28個、1~26個、1~20個、1~13個、1~6個、1~3個、1または2個、1個である。
【0055】
前記(cb3)において、「同一性」は、例えば、前記(cb3)のポリヌクレオチドが、前記細胞質雄性不稔性を発現させる範囲であればよい。前記(cb3)の同一性は、前記(cb1)の塩基配列に対して、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
【0056】
前記(cb4)において、「ハイブリダイズするポリヌクレオチド」は、例えば、前記(cb1)のポリヌクレオチドに対して、完全または部分的に相補的なポリヌクレオチドである。前記「ハイブリダイズするポリヌクレオチド」は、前記(cb4)のポリヌクレオチドが、前記細胞質雄性不稔性を発現させる範囲であればよい。前記ハイブリダイズは、前記(ca4)におけるハイブリダイズの説明を援用できる。
【0057】
前記(cb5)のポリヌクレオチドは、例えば、前記(cb5)のポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質が、前記細胞質雄性不稔性を発現させる塩基配列であればよい。前記(cb5)のポリヌクレオチドの塩基配列は、例えば、前記配列番号4のアミノ酸配列に基づいて、対応するコドンに置き換えることで設計可能である。前記配列番号4のアミノ酸は、例えば、後述する受託番号FERM BP-22428で寄託されているルドベキア植物の種子から得ることができる。
【0058】
細胞質雄性不稔遺伝子(ORF1)によりコードされるアミノ酸配列(配列番号4)
MEQTVREFLLSTVSLDDNKKKGIVVDFWSEFYQKNVYTEHQSNQTNRSLYKEKVCEILHEFKRTHITPYSREELIALQAEIESTTIIFDEASIHASSGHIMKYMIDPKKESAKDFVYERLTSRKEQSIISDMGQYTLEAIIVYVISKLYSSETEMIRVSTLIDQLDKQVKAQSVLVNKHKKPLVMKEVGQNVALGEHFPIGAALVEFISDRGLMTIQHIDDRRSSVPIQKKKGKYYMPKLLYAFYNFDVSLLPVKLNIPMVFPPIEWSNAREDNLEPKTLYDLRGGYISGMSEVSRYHLLSSWNYNNYYIDIESGHESLCVVMNKLQKVPFRIASFMLTFIKENYNDFVKAGLLMPKALCIADMKKLRDSLRDFYMNNEKGIKTIYSYDEVLTILYKDVQRARFERMTLMLSEALEGFKLYLPAFLDFRGRIYRSGILHLHERDFVRSLLIFDNLYDYKNQDEIIHINKCLSILGRAIPYYWKSFSSYTDSEEWGRKLIEIKDNICNSELIKFSVSAKKPFQFLASVCALKIEDETTRNHYLNYLPITQDASSSAYQIMSFLLLDTQIAKQTNLISEHKGEIHDIYNHMKELLLEYIESCSGEYDLSENLKELVIKSIDRKLVKALFMPIIYGKTVISTATDLRTTLSKFVTKGESMILAKICFSFWKETYRGMDCLITLIKSIGWMVSARGSHVRYQNQIYTTVQKYMKMDAVKIWIYDRENKKKRQVTLRVSTEKNDKRKSEIATFVNFIHQFDAFIAMSVIYEMPSYASHIYTVHDNFITIPSSCDDLPYLYKKAFSCNNPLAIINRYIYTNVMEHLGMIEGLTPVESDHFRRLRKKDGYDTLIIHENILLKYLICNMPINLKRKNETQMWEGKINTIITSYKEYVRTICMCEDPGKDYDINKLEKCRDEYTENDQNFIRRMMRGSTNYSIHH
【0059】
前記(cb6)において、アミノ酸配列に関する「1もしくは数個」は、例えば、前記(cb6)のポリヌクレオチドが、前記細胞質雄性不稔性を発現させる範囲であればよい。前記(cb6)の「1もしくは数個」は、例えば、前記配列番号4のアミノ酸配列において、例えば、1~187個、1~140個、1~93個、1~46個、1~35個、1~28個、1~18個、1~9個、1~8個、1~6個、1~4個、1~3個、1または2個、1個である。
【0060】
前記(cb7)において、アミノ酸配列に関する「同一性」は、例えば、前記(cb7)のポリヌクレオチドが、前記細胞質雄性不稔性を発現させる範囲であればよい。前記(cb7)の同一性は、前記配列番号4のアミノ酸配列に対して、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
【0061】
本開示において、前記ORF2は、下記(cc)のポリヌクレオチドを含む。
(cc)下記(cc1)~(cc7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(cc1)配列番号5の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(cc2)前記(cc1)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cc3)前記(cc1)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cc4)前記(cc1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cc5)配列番号6のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(cc6)配列番号6のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cc7)配列番号6のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド。
【0062】
前記(cc1)において、配列番号5の塩基配列は、配列番号6のアミノ酸配列のコード配列である。前記配列番号5の塩基配列は、例えば、後述する受託番号FERM BP-22428で寄託されているルドベキア植物の種子から得ることができる。下記配列番号5の塩基配列は、終止コドン(TAA)を含まない塩基配列である。後述するように、前記配列番号5の塩基配列は、ルドベキア植物のDNA polymeraseと推定される。ただし、本開示は、前記推定に何ら制限されない。
【0063】
細胞質雄性不稔遺伝子(ORF2)の塩基配列(配列番号5)
5'-ATGTTAGGCTTTATTGAGGCATATGTGGTATGTCCGAAAACGATCAAGAAGCCATTTCTACCCTATCGAGAGAAGGAGGGGACTCTCCTCTTTCCAACTGGAGAATTTGTAGGTGTATACTTTAGCGAAGAATTGAAGTATGCTAGAGAGATTGGCTACACAGTGATTCCAATCTCAGGCTACCTCTTTGAGAAGAAGGAAAGCCCATTCAGGGAGTTTGTAAGCGATCTCTTTGAAAGCAGGTTAGAAGCTAAAAAGTCTGGGAATGATGCGTTGTCTTATGTGTACAAGATCCTTATGAATTCGCTATACGGTAGATTTGGCATTAACCCTATGGGCACAATAACTGAGATCTGCGATTCCAAAAGACATAAACTGTTAATAAGAAAGACTGAGTTGATCTCAACTGATGAGCTTACCGATTCCAAATACATCGTGACCTACCGTAGCAATACAGAGACTGATTATTGGGATCCACCGAAGAACTCTGCTGTCCAAATTGCTGCTGCAATCACTGCCTATGCTAGGATCTATATGTATCCTTATATCTCAAGGGAGGACAGTTACTACACTGACACTGACTCAGTAGTGCTAGGACAGCCACTCTCAGATGAATTGATTTCATCTTCTATCTTAGGTAAGTTTAAGCTTGAGGACAAAATAGTTGAAGGGTACTTTTTAGCTCCGAAGTCCTATTACTACAGGAATGATAAAGGAGAGGATATACTGAAGTACAAAGGGCTTGCGAAAACAGAAATCACTCCTGAATGGTTTCGTTCACAGTACGCTAACCCTGATCGTACGCTAGAAGTAGAGGTGGAAGCCAACTTCCGGATTGACTGGTCCTCACTTAACATCTTCAAGAAAGATAAGAATGTGAAGGTTGGGCTTAATCAAAATCCAAAGAGGATCAAAGTCTATGAAGGGAAGTACTGGGTTGATACTATGCCAGTTGATGTCAAAGACCTGTCTAGACTAGATAACATTAGCAGAAAACTAGTCACGTGGCTAAAGGCTGATGTAACACATCTTAAGAACGAGAATCTATCTCTCAATGAGAAATTATCAGAGAAGGAAAGAGAGATAACCGAGAAGAAAAGGATGGACGAGAGAGACAATGAGATGAAAGAAGAACCTACAGAGGTCACTAACCCTACAATAGATATAGACGAGATACCTAAGATAGATATAGACGAGATACCTAAGATGAAACCTAAGAAGAAAGCCAAGACTGACAAGAAAACAACGACAAAGAAGAAGAAACCCCCA-3'
【0064】
前記(cc2)において、「1もしくは数個」は、例えば、前記(cc2)のポリヌクレオチドが、前記細胞質雄性不稔性を発現させる範囲であればよい。前記(cc2)の「1もしくは数個」は、前記(cc1)の塩基配列において、例えば、1~253個、1~190個、1~126個、1~63個、1~50個、1~38個、1~25個、1~12個、1~6個、1~3個、1または2個、1個である。
【0065】
前記(cc3)において、「同一性」は、例えば、前記(cc3)のポリヌクレオチドが、前記細胞質雄性不稔性を発現させる範囲であればよい。前記(cc3)の同一性は、前記(cc1)の塩基配列に対して、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
【0066】
前記(cc4)において、「ハイブリダイズするポリヌクレオチド」は、例えば、前記(cc1)のポリヌクレオチドに対して、完全または部分的に相補的なポリヌクレオチドである。前記「ハイブリダイズするポリヌクレオチド」は、前記(cc4)のポリヌクレオチドが、前記細胞質雄性不稔性を発現させる範囲であればよい。前記ハイブリダイズは、前記(ca4)におけるハイブリダイズの説明を援用できる。
【0067】
前記(cc5)のポリヌクレオチドは、例えば、前記(cc5)のポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質が、前記細胞質雄性不稔性を発現させる塩基配列であればよい。前記(cc5)のポリヌクレオチドの塩基配列は、例えば、前記配列番号6のアミノ酸配列に基づいて、対応するコドンに置き換えることで設計可能である。前記配列番号6のアミノ酸は、例えば、後述する受託番号FERM BP-22428で寄託されているルドベキア植物の種子から得ることができる。
【0068】
細胞質雄性不稔遺伝子(ORF2)によりコードされるアミノ酸配列(配列番号6)
MLGFIEAYVVCPKTIKKPFLPYREKEGTLLFPTGEFVGVYFSEELKYAREIGYTVIPISGYLFEKKESPFREFVSDLFESRLEAKKSGNDALSYVYKILMNSLYGRFGINPMGTITEICDSKRHKLLIRKTELISTDELTDSKYIVTYRSNTETDYWDPPKNSAVQIAAAITAYARIYMYPYISREDSYYTDTDSVVLGQPLSDELISSSILGKFKLEDKIVEGYFLAPKSYYYRNDKGEDILKYKGLAKTEITPEWFRSQYANPDRTLEVEVEANFRIDWSSLNIFKKDKNVKVGLNQNPKRIKVYEGKYWVDTMPVDVKDLSRLDNISRKLVTWLKADVTHLKNENLSLNEKLSEKEREITEKKRMDERDNEMKEEPTEVTNPTIDIDEIPKIDIDEIPKMKPKKKAKTDKKTTTKKKKPP
【0069】
前記(cc6)において、アミノ酸配列に関する「1もしくは数個」は、例えば、前記(cc6)のポリヌクレオチドが、前記細胞質雄性不稔性を発現させる範囲であればよい。前記(cc6)の「1もしくは数個」は、例えば、前記配列番号6のアミノ酸配列において、例えば、1~86個、1~63個、1~42個、1~21個、1~16個、1~12個、1~8個、1~6個、1~4個、1~3個、1または2個、1個である。
【0070】
前記(cc7)において、アミノ酸配列に関する「同一性」は、例えば、前記(cc7)のポリヌクレオチドが、前記細胞質雄性不稔性を発現させる範囲であればよい。前記(cc7)の同一性は、前記配列番号6のアミノ酸配列に対して、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
【0071】
本開示において、前記ORF6は、下記(cd)のポリヌクレオチドを含む。
(cd)下記(cd1)~(cd7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(cd1)配列番号7の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(cd2)前記(cd1)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cd3)前記(cd1)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cd4)前記(cd1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cd5)配列番号8のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(cd6)配列番号8のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cd7)配列番号8のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド。
【0072】
前記(cd1)において、配列番号7の塩基配列は、配列番号8のアミノ酸配列のコード配列である。前記配列番号7の塩基配列は、例えば、後述する受託番号FERM BP-22428で寄託されているルドベキア植物の種子から得ることができる。下記配列番号7の塩基配列は、終止コドン(TAA)を含まない塩基配列である。後述するように、前記配列番号7の塩基配列は、ルドベキア植物のDNA polymeraseと推定される。ただし、本開示は、前記推定に何ら制限されない。
【0073】
細胞質雄性不稔遺伝子(ORF6)の塩基配列(配列番号7)
5'-ATGAATAAAATGAATATGAAAATGAAAAGAATAATGCCTATGTGTTCTAGAACCTTACATACGAGTGTACGTCCAGAACTAGAATTTGTATTCAATCGTTATCAATCGGTGGTAGAGCAGACAAGAGTACAGGATCCGCACCCAGGGTTAATCATTGCAACACTAAACTTCAAGAAACCAGGTCTAGGTGTAGATGATATAGAACTCATCAGCATTGCGACAATGGATCTCTTAAACCAGTATGTTTACCCATCTATCTCAGGTTACGGGAAGTTCACAATCTCCTTGAGGATGATCCAATCTATCGAAGAAGAGATCACATATACAATAGGATGTGCAATACCCTTGACCTCGAATGATGGGACTCTCCTACCAAAGAATGAGATCTACGCTCGGATAAAAGAAGCCTATCAGAAGAATGCTGAACTCTACAACGGATGCTCTCTTGTTCAACTCATAATCAGAGCATATCTGGACAAGGTAGAACGGCTGGATCGCCCGGAGCTCACAGTCTCAGATAGATATGAGGAACTGCTCTCAATTCAGTCAGATAAATTGAGTGAGATCGAAGCAATCAGTGCTAGAAAGATTCAACATTCAAAGCGTCAGTATCGAGAGTATATAACAAGAATCAAAAGAGTGAGCAGTGGTAAGAAAGCATTCATTGTCTCTGATCTCGAGACGATTCAGATTGATTATAAACATAGACCTTATGCCGCTGGTCTCATGTTGGTTCGAGAAGGGAAAGACATCAAGGATAGTCTAATTTATACCTACTTCAGTGAAGACTACTCAGTATACATCAAAAGTTTTGAGAAAAGGAGTCAAAAGGTCCTCTTTGACCTGGTCAGGAAGATCATAGCTCTATCAAAGATAGAGAGAAGTGCAATGACCGTTTATTTTCACAACTTCTCTAGATTTGATGGAATTATCTTGTTAAAGCACCTAGCATGTCATCATGACTACAAGCTGAAACAACTATTTAGGAATAACAGGCTTTACGAGTTAAAAGTCTATTCTGGCAGGAAGCTATTATTCAAAATGAGAGATTCATTGAATCTACTTCCGGGTAAACTCGACAACCTGGCTAAGAGTCTATGCCCATCTCTAGGTGGTAAAGGAAGTCTTAATTATGATGATGTGAGAGCTGATAACCTTGTGAGTAAGAAAGATCAATTGATTTCATATATGAAACAGGACATCCTGTTACTTGGTGGTATAATGAAGAAGGCACAAGAGATCTATTATGATCTCTATCAATTGGATATTGTGAGCAAAATTACCCTATCCTCACTAGCTCTAAGCATCTATCGTATGAGATATTATGATGAGGAAAACTGGCCAATCTACATCCCTAACATGAATCAAGACCACTTTATTAGAAAAGCATACTACGGAGGGCATACTGATGTATACAAGCCTTATGGTGAGAACCTATACTACTACGATGTTAACTCACTCTATCCTTTTGTCATGAAGAACTTTCAAATGCCTGGTGGTCAACCAGTCTGGCATGGAAATCTGCTTGATAAGGACCTCGATAGCTTGTATGGCTTTATAGAGGCTTATGTAGTCTGTCCTAAGACAATCAATAAACCCTTTCTACCCTATCGAAACAAGAATAACACTCTCATCTTTCCAACAGGGGAATTTGCAGGTGTCTACTACAGCGAGGAGTTAAAGTTTGCTAGAGACCTTGGTTACACCGTGCTCCCGCTCTCTGGCTACCTCTATGAGAGAATGGAAAGCCCATTCAAAGAATTTGTTAACACGCAATCTTCAAAGAGGATAGAAGCAAAGAAAGAAGGAAATGATGCTTTATCCTATGTTTACAAGATCCTAATGAACTCGCTATACGGTAGATTTGGTATTAACCCTAAAAGCACAACATCCGAGATCTGTGATCATGATCGATACGTAAAAATGCTCAAAGACGATTCATTTTTACAAGGTTCACTGCTTGATAAGAACAAATACATAGTCATATACCATGTCAATACCGGTAGTAACCCAGAATCATGGAACCCACCAAAGAACGGTGCTGTACAGCTTGCTGCTGCTATCACAGCCTGTGCAAGGATCTATATGTACCCATTGATCTCGAGAGAGGATTGTTACTATACTGACACTGACTCGGTTGTGCTAGGACAGCCACTCTCAGATGAATTGATTTCTGCTTCGGAGTTAGGTATGTTAAAGCTAGAAGCAAGAATCTTAAAGGGCTACTTTTTAGCCCCTAAATCTTATGCATACATACAGTATGACGAGAATAAAGAGATCGTTATCAAGCACAAAGGTGCGGCTAAAAACTTAGTGACCATGGAATGGTTTCAGTCACAGTACGATGACCCATCCCGGACACAACTGGTCTCGGTCACATCCAACTTTAAAATCAATTGGAATGAACTGGAAATCCATAAGCAAGAAACTTTATACAGGTTAGGTATTAGCCAGGATTCTAAAAGGTTACCAGTATACTGCGAGAAGAAATGGATTGATACTGAACCTATTGATATCAGAGATCTGTCTAACCATAGTCCTCAGATGTTAGATAGAATCTTAGCCTATCTCAGGGATGAAGTGAATCGTCATCAGACTAATAGTGAGATTCTCCGTAAAGAACTCTCTAAAAAGGATAGTGAGATGATCAGCATCATTTCAGATAAGGATAGAGTGATCTCCGAGATGAAAAGTCGGATTGAATCTCTTCAAGAGATGCGGAAAATCACTAACCCAACTGATAAGACTGAGAAGAAAACTCATACAGCCAAGAAGACTAAGACTGAGAAGAAAACTCATACAGCCAAGAAGACTAAGACTGACAAGAAGAAAACCACCAATCAAACTCTGAAGAAACATCAGAATCAAAGAAAACAAAGGCCTCCAAGAAACCATCATACTACCAAGAAACCTCCG-3'
【0074】
前記(cd2)において、「1もしくは数個」は、例えば、前記(cd2)のポリヌクレオチドが、前記細胞質雄性不稔性を発現させる範囲であればよい。前記(cd2)の「1もしくは数個」は、前記(cd1)の塩基配列において、例えば、1~583個、1~437個、1~291個、1~145個、1~116個、1~87個、1~58個、1~50個、1~38個、1~29個、1~25個、1~12個、1~6個、1~3個、1または2個、1個である。
【0075】
前記(cd3)において、「同一性」は、例えば、前記(cd3)のポリヌクレオチドが、前記細胞質雄性不稔性を発現させる範囲であればよい。前記(cd3)の同一性は、前記(cd1)の塩基配列に対して、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
【0076】
前記(cd4)において、「ハイブリダイズするポリヌクレオチド」は、例えば、前記(cd1)のポリヌクレオチドに対して、完全または部分的に相補的なポリヌクレオチドである。前記「ハイブリダイズするポリヌクレオチド」は、前記(cd4)のポリヌクレオチドが、前記細胞質雄性不稔性を発現させる範囲であればよい。前記ハイブリダイズは、前記(ca4)におけるハイブリダイズの説明を援用できる。
【0077】
前記(cd5)のポリヌクレオチドは、例えば、前記(cd5)のポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質が、前記細胞質雄性不稔性を発現させる塩基配列であればよい。前記(cd5)のポリヌクレオチドの塩基配列は、例えば、前記配列番号8のアミノ酸配列に基づいて、対応するコドンに置き換えることで設計可能である。前記配列番号8のアミノ酸は、例えば、後述する受託番号FERM BP-22428で寄託されているルドベキア植物の種子から得ることができる。
【0078】
細胞質雄性不稔遺伝子(ORF6)によりコードされるアミノ酸配列(配列番号8)
MNKMNMKMKRIMPMCSRTLHTSVRPELEFVFNRYQSVVEQTRVQDPHPGLIIATLNFKKPGLGVDDIELISIATMDLLNQYVYPSISGYGKFTISLRMIQSIEEEITYTIGCAIPLTSNDGTLLPKNEIYARIKEAYQKNAELYNGCSLVQLIIRAYLDKVERLDRPELTVSDRYEELLSIQSDKLSEIEAISARKIQHSKRQYREYITRIKRVSSGKKAFIVSDLETIQIDYKHRPYAAGLMLVREGKDIKDSLIYTYFSEDYSVYIKSFEKRSQKVLFDLVRKIIALSKIERSAMTVYFHNFSRFDGIILLKHLACHHDYKLKQLFRNNRLYELKVYSGRKLLFKMRDSLNLLPGKLDNLAKSLCPSLGGKGSLNYDDVRADNLVSKKDQLISYMKQDILLLGGIMKKAQEIYYDLYQLDIVSKITLSSLALSIYRMRYYDEENWPIYIPNMNQDHFIRKAYYGGHTDVYKPYGENLYYYDVNSLYPFVMKNFQMPGGQPVWHGNLLDKDLDSLYGFIEAYVVCPKTINKPFLPYRNKNNTLIFPTGEFAGVYYSEELKFARDLGYTVLPLSGYLYERMESPFKEFVNTQSSKRIEAKKEGNDALSYVYKILMNSLYGRFGINPKSTTSEICDHDRYVKMLKDDSFLQGSLLDKNKYIVIYHVNTGSNPESWNPPKNGAVQLAAAITACARIYMYPLISREDCYYTDTDSVVLGQPLSDELISASELGMLKLEARILKGYFLAPKSYAYIQYDENKEIVIKHKGAAKNLVTMEWFQSQYDDPSRTQLVSVTSNFKINWNELEIHKQETLYRLGISQDSKRLPVYCEKKWIDTEPIDIRDLSNHSPQMLDRILAYLRDEVNRHQTNSEILRKELSKKDSEMISIISDKDRVISEMKSRIESLQEMRKITNPTDKTEKKTHTAKKTKTEKKTHTAKKTKTDKKKTTNQTLKKHQNQRKQRPPRNHHTTKKPP
【0079】
前記(cd6)において、アミノ酸配列に関する「1もしくは数個」は、例えば、前記(cd6)のポリヌクレオチドが、前記細胞質雄性不稔性を発現させる範囲であればよい。前記(cd6)の「1もしくは数個」は、例えば、前記配列番号8のアミノ酸配列において、例えば、1~194個、1~145個、1~97個、1~48個、1~38個、1~29個、1~18個、1~16個、1~12個、1~9個、1~8個、1~6個、1~4個、1~3個、1または2個、1個である。
【0080】
前記(cd7)において、アミノ酸配列に関する「同一性」は、例えば、前記(cd7)のポリヌクレオチドが、前記細胞質雄性不稔性を発現させる範囲であればよい。前記(cd7)の同一性は、前記配列番号8のアミノ酸配列に対して、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
【0081】
本開示において、前記ORF7は、下記(ce)のポリヌクレオチドを含む。
(ce)下記(ce1)~(ce7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(ce1)配列番号9の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(ce2)前記(ce1)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ce3)前記(ce1)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ce4)前記(ce1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ce5)配列番号10のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(ce6)配列番号10のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ce7)配列番号10のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド。
【0082】
前記(ce1)において、配列番号9の塩基配列は、配列番号10のアミノ酸配列のコード配列である。前記配列番号9の塩基配列は、例えば、後述する受託番号FERM BP-22428で寄託されているルドベキア植物の種子から得ることができる。下記配列番号9の塩基配列は、終止コドン(TAA)を含まない塩基配列である。
【0083】
細胞質雄性不稔遺伝子(ORF7)の塩基配列(配列番号9)
5'-ATGACAAATCCGGTTCAACGCGATCAATCTAAGTTTCTTAACAATACTGTTGTGATGAATGATCAAAAGAAGAAGGATGTGGTGGTAGAGTTTTGGAAGAGCTTCTATGGTATTCTTTTCGTTTCTTTCACAAATTTTGTTCTGATTCTTCTAACTTGTATACTTGTTGAACCTGAGACGGTTCAGATGATTGCTAGGTTCATTGGTGGTTCTTCAGCCATTTACTTTCTTTTTTTAGCCAGAGCACGATTTTCTAAGCTCTTCAACCTCTTTTCCTTTCTGGTAACCACCTGTTATCTATTCGTTCTGAATCATCTTAATGCCCCAGATATAGGTTTAGTTCCTATTTGCGTCTGTGGTTGCTTTATCTTTTCTTATTATTTTACGGAAAAACACACTGGCTGGCACTTTGATCTATGTTTTATGATTATTCTCACTTGTAGATTGATCGTGTCACCGGACATATGGGCTATTAGCCTTGTCTTTGAACTTTTAGTCTTATTTTGCTTACTTGATCATGATATGGATCAAGATCGGATGAGATTGTGTTGTTTATATTTCATTCTCCTTCTCTTTCTGTGCTGTAACTATCTCTACGGAAGTAGTATTCATATTGATACTCTCGTTGTGGTTCTAGTTTTAGCGGCAGCAGGGGCGGGAGGTATCCAGTTCATGTCTCTCAGTAAGACTGAACGGGGAGAAACCCTTGGACTGCAGCTTTTTTTGATCAATAATGTTATCTTGGGCTTCCTTCTTAGAAAGGATGGCGAGACCTTACCCATGATAACAATATTCTTTATCGTTTCCATTCTTTGCTTCTGCATCGGCTTATACCTAATAGGAAGGATTAAAGAGCAATCTTTCTATTCAGTTCTGTCTGAATTGAAGAGCTCGCTTCGGGGCTTGTTCATCCCGGTATTATTGACCTTGAATCACTTCTTTTTAGAAGATCAATATTACCTGTGGATCACAAGCCTAGTGACTCGTATTATCGTTATTCAGCTCCTGCAATTAATTCTGAAAAAGGAGGATGAAGATCCAGATCAGGACAAAGCGATAAAGAGTGACGATGTTCGAAGGTGCGAAATCAATGGGTGCCGGAGCTGCTACAACTATTATTATGCGAGAAGTCCTCCCGATTGCTAC-3'
【0084】
前記(ce2)において、「1もしくは数個」は、例えば、前記(ce2)のポリヌクレオチドが、前記細胞質雄性不稔性を発現させる範囲であればよい。前記(ce2)の「1もしくは数個」は、前記(ce1)の塩基配列において、例えば、1~229個、1~171個、1~114個、1~57個、1~45個、1~34個、1~22個、1~11個、1~6個、1~3個、1または2個、1個である。
【0085】
前記(ce3)において、「同一性」は、例えば、前記(ce3)のポリヌクレオチドが、前記細胞質雄性不稔性を発現させる範囲であればよい。前記(ce3)の同一性は、前記(ce1)の塩基配列に対して、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
【0086】
前記(ce4)において、「ハイブリダイズするポリヌクレオチド」は、例えば、前記(ce1)のポリヌクレオチドに対して、完全または部分的に相補的なポリヌクレオチドである。前記「ハイブリダイズするポリヌクレオチド」は、前記(ce4)のポリヌクレオチドが、前記細胞質雄性不稔性を発現させる範囲であればよい。前記ハイブリダイズは、前記(ca4)におけるハイブリダイズの説明を援用できる。
【0087】
前記(ce5)のポリヌクレオチドは、例えば、前記(ce5)のポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質が、前記細胞質雄性不稔性を発現させる塩基配列であればよい。前記(ce5)のポリヌクレオチドの塩基配列は、例えば、前記配列番号10のアミノ酸配列に基づいて、対応するコドンに置き換えることで設計可能である。前記配列番号10のアミノ酸は、例えば、後述する受託番号FERM BP-22428で寄託されているルドベキア植物の種子から得ることができる。
【0088】
細胞質雄性不稔遺伝子(ORF7)によりコードされるアミノ酸配列(配列番号10)
MTNPVQRDQSKFLNNTVVMNDQKKKDVVVEFWKSFYGILFVSFTNFVLILLTCILVEPETVQMIARFIGGSSAIYFLFLARARFSKLFNLFSFLVTTCYLFVLNHLNAPDIGLVPICVCGCFIFSYYFTEKHTGWHFDLCFMIILTCRLIVSPDIWAISLVFELLVLFCLLDHDMDQDRMRLCCLYFILLLFLCCNYLYGSSIHIDTLVVVLVLAAAGAGGIQFMSLSKTERGETLGLQLFLINNVILGFLLRKDGETLPMITIFFIVSILCFCIGLYLIGRIKEQSFYSVLSELKSSLRGLFIPVLLTLNHFFLEDQYYLWITSLVTRIIVIQLLQLILKKEDEDPDQDKAIKSDDVRRCEINGCRSCYNYYYARSPPDCY
【0089】
前記(ce6)において、アミノ酸配列に関する「1もしくは数個」は、例えば、前記(ce6)のポリヌクレオチドが、前記細胞質雄性不稔性を発現させる範囲であればよい。前記(ce6)の「1もしくは数個」は、例えば、前記配列番号10のアミノ酸配列において、例えば、1~76個、1~57個、1~38個、1~19個、1~15個、1~12個、1~9個、1~8個、1~6個、1~4個、1~3個、1または2個、1個である。
【0090】
前記(ce7)において、アミノ酸配列に関する「同一性」は、例えば、前記(ce7)のポリヌクレオチドが、前記細胞質雄性不稔性を発現させる範囲であればよい。前記(ce7)の同一性は、前記配列番号10のアミノ酸配列に対して、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
【0091】
本開示において、前記RPS7は、下記(cf)のポリヌクレオチドを含む。
(cf)下記(cf1)~(cf7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(cf1)配列番号11の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(cf2)前記(cf1)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cf3)前記(cf1)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cf4)前記(cf1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cf5)配列番号12のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(cf6)配列番号12のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cf7)配列番号12のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド。
【0092】
前記(cf1)において、配列番号11の塩基配列は、配列番号12のアミノ酸配列のコード配列である。前記配列番号11の塩基配列は、例えば、後述する受託番号FERM BP-22428で寄託されているルドベキア植物の種子から得ることができる。下記配列番号11の塩基配列は、終止コドン(TAA)を含む塩基配列である。
【0093】
細胞質雄性不稔遺伝子(RPS7)の塩基配列(配列番号11)
5'-ATGTCACGTCGAGGTACTGCAGAAGAAAAAACTGCAAAATCCGATCCAATTTATCGTAATCGATTAGTTAACATGTTGGTTAACCGTATTCTGAAACACGGAAAAAAATCATTGGCTTATCAAATTATCTATCGAGCCGTGAAAAAGATTCAACAAAAGACAGAAACAAATCCACTATCTGTTTTACGTCAAGCAATACATGGAGTAACTCCGGGTATAGCAGTAAAAGCAAGACGTGTAGGTGGATCGACTCATCAAGTTCCCATTGAAATAGGATCCACACAAGGAAAAGCACTTGCCATTCGTTGGTTATTAGCGGCATCCCGAAAACGTCCGGGTCGAAATATGGCTTTCAAATTAAGTTCCGAATTAGTGGATGCTGCCAAAGGGAGTGGCGATGCCATACGCAAAAGGGAAGAGACTCATAGAATGGCAGAGGCAAATAGAGCTTTTGCACATTTTCGTTAA-3'
【0094】
前記(cf2)において、「1もしくは数個」は、例えば、前記(cf2)のポリヌクレオチドが、前記細胞質雄性不稔性を発現させる範囲であればよい。前記(cf2)の「1もしくは数個」は、前記(cf1)の塩基配列において、例えば、1~93個、1~70個、1~46個、1~23個、1~18個、1~14個、1~9個、1~6個、1~3個、1または2個、1個である。
【0095】
前記(cf3)において、「同一性」は、例えば、前記(cf3)のポリヌクレオチドが、前記細胞質雄性不稔性を発現させる範囲であればよい。前記(cf3)の同一性は、前記(cf1)の塩基配列に対して、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
【0096】
前記(cf4)において、「ハイブリダイズするポリヌクレオチド」は、例えば、前記(cf1)のポリヌクレオチドに対して、完全または部分的に相補的なポリヌクレオチドである。前記「ハイブリダイズするポリヌクレオチド」は、前記(cf4)のポリヌクレオチドが、前記細胞質雄性不稔性を発現させる範囲であればよい。前記ハイブリダイズは、前記(ca4)におけるハイブリダイズの説明を援用できる。
【0097】
前記(cf5)のポリヌクレオチドは、例えば、前記(cf5)のポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質が、前記細胞質雄性不稔性を発現させる塩基配列であればよい。前記(cf5)のポリヌクレオチドの塩基配列は、例えば、前記配列番号12のアミノ酸配列に基づいて、対応するコドンに置き換えることで設計可能である。前記配列番号12のアミノ酸は、例えば、後述する受託番号FERM BP-22428で寄託されているルドベキア植物の種子から得ることができる。
【0098】
細胞質雄性不稔遺伝子(RPS7)によりコードされるアミノ酸配列(配列番号12)
MSRRGTAEEKTAKSDPIYRNRLVNMLVNRILKHGKKSLAYQIIYRAVKKIQQKTETNPLSVLRQAIHGVTPGIAVKARRVGGSTHQVPIEIGSTQGKALAIRWLLAASRKRPGRNMAFKLSSELVDAAKGSGDAIRKREETHRMAEANRAFAHFR
【0099】
前記(cf6)において、アミノ酸配列に関する「1もしくは数個」は、例えば、前記(cf6)のポリヌクレオチドが、前記細胞質雄性不稔性を発現させる範囲であればよい。前記(cf6)の「1もしくは数個」は、例えば、前記配列番号12のアミノ酸配列において、例えば、1~31個、1~23個、1~15個、1~7個、1~6個、1~4個、1~3個、1または2個、1個である。
【0100】
前記(cf7)において、アミノ酸配列に関する「同一性」は、例えば、前記(cf7)のポリヌクレオチドが、前記細胞質雄性不稔性を発現させる範囲であればよい。前記(cf7)の同一性は、前記配列番号12のアミノ酸配列に対して、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
【0101】
本開示において、前記ルドベキア植物は、いずれか1つの細胞不稔性遺伝子を含んでもよいし、複数の細胞不稔性遺伝子を含んでもよいし、全ての細胞不稔性遺伝子を含んでもよい。前記ルドベキア植物が1つの細胞不稔性遺伝子を含む場合、前記細胞質雄性不稔遺伝子としては、前記ORF3を含むことが好ましい。前記ルドベキア植物が複数の細胞不稔性遺伝子を含む場合、前記複数の細胞質雄性不稔遺伝子の組合せは、例えば、以下の組合せが例示できる。
(ca)および(cb)のポリヌクレオチド
(ca)および(cc)のポリヌクレオチド
(ca)および(cd)のポリヌクレオチド
(ca)および(ce)のポリヌクレオチド
(ca)および(cf)のポリヌクレオチド
(cb)および(cc)のポリヌクレオチド
(cb)および(cd)のポリヌクレオチド
(cb)および(ce)のポリヌクレオチド
(cb)および(cf)のポリヌクレオチド
(cc)および(cd)のポリヌクレオチド
(cc)および(ce)のポリヌクレオチド
(cc)および(cf)のポリヌクレオチド
(cd)および(ce)のポリヌクレオチド
(cd)および(cf)のポリヌクレオチド
(ce)および(cf)のポリヌクレオチド
(ca)、(cb)、および(cc)のポリヌクレオチド
(ca)、(cb)、および(cd)のポリヌクレオチド
(ca)、(cb)、および(ce)のポリヌクレオチド
(ca)、(cb)、および(cf)のポリヌクレオチド
(ca)、(cc)、および(cd)のポリヌクレオチド
(ca)、(cc)、および(ce)のポリヌクレオチド
(ca)、(cc)、および(cf)のポリヌクレオチド
(ca)、(cd)、および(ce)のポリヌクレオチド
(ca)、(cd)、および(cf)のポリヌクレオチド
(ca)、(ce)、および(cf)のポリヌクレオチド
(cb)、(cc)、および(cd)のポリヌクレオチド
(cb)、(cc)、および(ce)のポリヌクレオチド
(cb)、(cc)、および(cf)のポリヌクレオチド
(cb)、(cd)、および(ce)のポリヌクレオチド
(cb)、(cd)、および(cf)のポリヌクレオチド
(cb)、(ce)、および(cf)のポリヌクレオチド
(cc)、(cd)、および(ce)のポリヌクレオチド
(cc)、(cd)、および(cf)のポリヌクレオチド
(cc)、(ce)、および(cf)のポリヌクレオチド
(cd)、(ce)、および(cf)のポリヌクレオチド
(ca)、(cb)、(cc)、および(cd)のポリヌクレオチド
(ca)、(cb)、(cc)、および(ce)のポリヌクレオチド
(ca)、(cb)、(cc)、および(cf)のポリヌクレオチド
(ca)、(cb)、(cd)、および(ce)のポリヌクレオチド
(ca)、(cb)、(cd)、および(cf)のポリヌクレオチド
(ca)、(cb)、(ce)、および(cf)のポリヌクレオチド
(ca)、(cc)、(cd)、および(ce)のポリヌクレオチド
(ca)、(cc)、(cd)、および(cf)のポリヌクレオチド
(ca)、(cc)、(ce)、および(cf)のポリヌクレオチド
(ca)、(cd)、(ce)、および(cf)のポリヌクレオチド
(cb)、(cc)、(cd)、および(ce)のポリヌクレオチド
(cb)、(cc)、(cd)、および(cf)のポリヌクレオチド
(cb)、(cc)、(ce)、および(cf)のポリヌクレオチド
(cb)、(cd)、(ce)、および(cf)のポリヌクレオチド
(cc)、(cd)、(ce)、および(cf)のポリヌクレオチド
(ca)、(cb)、(cc)、(cd)、および(ce)のポリヌクレオチド
(ca)、(cb)、(cc)、(cd)、および(cf)のポリヌクレオチド
(ca)、(cb)、(cc)、(ce)、および(cf)のポリヌクレオチド
(ca)、(cb)、(cd)、(ce)、および(cf)のポリヌクレオチド
(ca)、(cc)、(cd)、(ce)、および(cf)のポリヌクレオチド
(cb)、(cc)、(cd)、(ce)、および(cf)のポリヌクレオチド
(ca)、(cb)、(cc)、(cd)、(ce)、および(cf)のポリヌクレオチド
【0102】
本開示のルドベキア植物が前記細胞質雄性不稔遺伝子を含む場合、前記細胞質雄性不稔遺伝子は、細胞質またはミトコンドリアゲノム(ミトコンドリアDNA)に存在する。この場合、前記細胞質雄性不稔遺伝子は、内在性の遺伝子であってもよいし、外来性の遺伝子であってもよい。前記内在性の遺伝子は、例えば、前記ルドベキア植物における突然変異等により生じた遺伝子である。前記外来性の遺伝子は、例えば、ゲノム編集技術等により導入された遺伝子である。
【0103】
本開示のルドベキア植物において、前記ORF3は、後述のように、前記ATP6遺伝子と他の遺伝子とのキメラ遺伝子であると推定される。このため、本開示のルドベキア植物が前記ORF3を含む場合、本開示のルドベキア植物は、前記ATP6遺伝子に代えて、または、前記ATP6遺伝子として、前記細胞質雄性不稔遺伝子を有することが好ましい。
【0104】
前記細胞質雄性不稔性を示すルドベキア植物は、一例として、受託番号FERM BP-22428で寄託されたルドベキア植物(寄託系統)またはその後代系統があげられる。寄託の情報を以下に示す。以下、寄託系統を、ルドベキア品種Takii 22ともいう。
寄託の種類:国際寄託
寄託機関名:独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許生物寄託センター
あて名:日本国 〒292-0818 千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8 120号室
受託番号:受託番号FERM BP-22428
識別のための表示:Takii 22
受領日:2021年9月14日
【0105】
前記寄託系統は、細胞質雄性不稔性を有する範囲で前記寄託系統と実質的に同じ植物であってもよい。前記実質的に同じ植物は、例えば、前記寄託系統の突然変異体、遺伝子組換え体等があげられる。
【0106】
本開示のルドベキア植物は、例えば、被検ルドベキア植物から細胞質雄性不稔性を直接または間接的に評価して、選抜することにより取得できる。
【0107】
前記直接的な細胞質雄性不稔性の評価は、例えば、雄性配偶体の形成能に基づき、実施できる。具体的には、被検ルドベキア植物が、雄蕊(雄しべ)、花粉、および/または葯を、好ましくは、雄蕊および/または葯を形成しない場合、前記被検ルドベキア植物は、雄性不稔性と評価できる。他方、被検ルドベキア植物が、雄蕊、花粉、および/または葯を、好ましくは、雄蕊および/または葯を形成する場合、前記被検ルドベキア植物は、雄性不稔性ではない、すなわち、雄性可稔性と評価できる。
【0108】
前記直接的な評価では、さらに、前記雄性不稔性の被検ルドベキア植物における雄性不稔性の種類、すなわち、CMSまたはGMSかを評価する。この場合、前記被検ルドベキア植物およびその後代系統を種子親とし、雄性可稔性のルドベキア植物を花粉親(戻し親)とし、複数回戻し交雑することにより評価できる。前記花粉親は、稔性回復因子を含んでもよいし、含まなくてもよいが、より正確にCMSかGMSかを評価できることから、前記稔性回復因子を含まないことが好ましい。前記稔性回復因子としては、例えば、PPR(Pentatricopeptide repeat)遺伝子等があげられる。前記戻し交雑で得られる後代系統の全個体が雄性不稔性である場合、前記被検ルドベキア植物は、CMSであると評価できる。他方、前記戻し交雑で得られる後代系統が、雄性不稔性および雄性可稔性である場合、前記被検ルドベキア植物は、GMSであると評価できる。
【0109】
前記間接的な細胞質雄性不稔性の評価は、例えば、前記細胞質雄性不稔遺伝子の有無に基づき、実施できる。具体的には、被検ルドベキア植物が、前記細胞質雄性不稔遺伝子を有する場合、前記被検ルドベキア植物は、細胞質雄性不稔性と評価できる。他方、被検ルドベキア植物が、前記細胞質雄性不稔遺伝子を有さない場合、前記被検ルドベキア植物は、雄性不稔性ではない、すなわち、雄性可稔性と評価できる。前記細胞質雄性不稔遺伝子の検出方法については、後述する。
【0110】
前記間接的な評価では、さらに、前記雄性不稔性の被検ルドベキア植物における雄性不稔性の種類、すなわち、CMSまたはGMSかを評価する。この場合、前記被検ルドベキア植物において、前記細胞質雄性不稔遺伝子の座乗位置を検出することにより評価できる。前記被検ルドベキア植物において、前記細胞質雄性不稔遺伝子が、細胞質、ミトコンドリア、またはミトコンドリアゲノムに存在する場合、前記雄性不稔性は、CMSであると評価できる。他方、前記被検ルドベキア植物において、前記雄性不稔遺伝子が、核または核ゲノムに存在する場合、前記雄性不稔性は、GMSであると評価できる。
【0111】
前記間接的な細胞質雄性不稔性の評価では、細胞質、ミトコンドリア、またはミトコンドリアゲノムにおける前記細胞質雄性不稔遺伝子の有無に基づき、実施してもよい。この場合、被検ルドベキア植物が、前記細胞質、ミトコンドリア、またはミトコンドリアゲノムに前記細胞質雄性不稔遺伝子を有する場合、前記被検ルドベキア植物は、細胞質雄性不稔性と評価できる。他方、前記被検ルドベキア植物が、前記細胞質、ミトコンドリア、またはミトコンドリアゲノムに前記細胞質雄性不稔遺伝子を有さない場合、前記被検ルドベキア植物は、前記細胞質雄性不稔性ではない、すなわち、核型細胞質雄性不稔性または雄性可稔性と評価できる。前記細胞質雄性不稔遺伝子の検出方法については、後述する。
【0112】
そして、本開示では、前記雄性不稔性と評価された被検ルドベキア植物を選抜することにより、前記雄性不稔性のルドベキア植物を取得できる。本開示では、CMSの被検ルドベキア植物を、前記細胞質雄性不稔性のルドベキア植物として選抜してもよい。
【0113】
本開示のルドベキア植物は、対象のルドベキア植物に対して、前記細胞質雄性不稔遺伝子を導入することにより生産してもよい。この場合、本開示のルドベキア植物は、後述する本開示のベクターを用い、本開示の形質転換体を生産することにより取得できる。前記形質転換体の生産では、前記細胞質雄性不稔遺伝子を細胞質、ミトコンドリア、またはミトコンドリアゲノムに導入することにより、前記CMSのルドベキア植物を生産できる。前記細胞質雄性不稔遺伝子の導入では、例えば、前記ATP6遺伝子に加えて、前記細胞質雄性不稔遺伝子を導入してもよいし、前記ATP6遺伝子に代えて、または前記ATP6遺伝子を改変して、前記細胞質雄性不稔遺伝子を導入してもよい。
【0114】
本開示のルドベキア植物は、細胞質雄性不稔性を示すルドベキア植物の後代系統でもよい。前記後代系統は、後代系統の植物個体でもよいし、後代系統の植物個体の部分、後代系統の種子、後代系統のカルス、後代系統の細胞質、後代系統のミトコンドリア、または後代系統のミトコンドリアゲノムでもよい。前記後代系統は、例えば、前記細胞質雄性不稔遺伝子が交雑移入されたルドベキア植物ということもできる。
【0115】
前記後代系統は、本開示のルドベキア植物と、他のルドベキア植物との交雑、または本開示のルドベキア植物と野生のルドベキア植物との交雑から得られた植物でもよい。また、前記後代系統は、本開示のルドベキア植物もしくはその後代系統を、他家受粉することにより直接または間接的に取得するか、取得しうるか、または由来してもよいし、他家受粉などの伝統的な育種方法を使用して、本開示のルドベキア植物から得られた親系統に由来してもよい。前記後代系統は、例えば、第1世代ハイブリッドF1(雑種第1代系統、F1ハイブリッド)、戻し交雑後代等があげられる。前記後代系統の取得において、本開示のルドベキア植物は、雌親として用い、他家受粉により後代系統を得ることができる。
【0116】
前記交雑は、「他家受粉」でもよいし、「自家受粉」でもよい。前記他家受粉は、異なる植物に由来する2つの配偶子が結合することによる受精を意味する。前記自家受粉は、花粉が、同じ植物の葯から柱頭に移動することを意味する。前記自家受粉は、例えば、自殖ということもできる。前記交雑は、伝統的な育種法の1つである戻し交雑を含んでもよい。
【0117】
前記戻し交雑は、伝統的な育種技術の1つであり、ブリーダーがハイブリッドの後代系統を繰り返し親系統の1つに戻し交雑し、植物または品種に形質を導入する方法である。前記導入する形質を含む植物は、例えば、ドナー植物ということできる。また、前記形質が導入される植物は、例えば、反復親(recurrent parent)ということができる。前記戻し交雑では、ドナー植物と反復親とを交雑することにより実施でき、これにより、第1世代ハイブリッドF1(雑種第1代系統、F1ハイブリッド)が取得できる。つぎに、前記形質を有する後代系統を、反復親と交雑する。そして、数世代の戻し交雑および/または自殖することで、前記反復親に、ドナー植物の形質を導入できる。
【0118】
本開示のルドベキア植物は、細胞質雄性不稔性の形質に加えて、他の所望の形質を有してもよい。
【0119】
本開示のルドベキア植物は、例えば、本質的に生物学的な方法(essentially biological processes)で得られた植物、または本質的に生物学的な方法のみによって得られた植物を除く。
【0120】
本開示の細胞質雄性不稔性ルドベキア植物の生産方法については、後述の付与方法、第2の生産方法、スクリーニング方法、および第3の生産方法の説明を援用できる。
【0121】
本開示のルドベキア植物は、細胞質雄性不稔性を示す。このため、本開示のルドベキア植物によれば、雑種第1代系統の取得において、種子親の除雄が不要であり、かつ純度の高い種子を供給できる。このため、本開示のルドベキア植物によれば、育種および採取における手間を提言できる。また、本開示のルドベキア植物によれば、細胞質雄性不稔性以外の形質が実質的に同じである維持系統と交雑することにより、系統の維持および増殖を容易に実施できる、さらに、本開示のルドベキア植物によれば、花粉による外観形質または衣服の汚損を抑制でき、細胞質雄性不稔性以外の形質が実質的に同じであるルドベキア植物と比較して、鑑賞期間を長くできる。
【0122】
<第1の生産方法>
別の態様において、本開示は、細胞質雄性不稔性を示すルドベキア植物の生産方法を提供する。本開示の細胞質雄性不稔性ルドベキア植物の生産方法は、前述のように、下記(a)工程を含む:
(a)本開示の細胞質雄性不稔性ルドベキア植物またはその後代系統と、他のルドベキア植物とを交雑する工程。
【0123】
本開示の第1の生産方法は、前記(a)工程において、前記本開示のルドベキア植物を用いることが特徴であり、その他の工程および条件は、特に制限されない。本開示の第1の生産方法によれば、細胞質雄性不稔性を示すルドベキア植物を生産できる。
【0124】
前記(a)工程において、第一の親として使用する植物は、前記本開示の細胞質雄性不稔性ルドベキア植物またはその後代系統であればよい。前記本開示のルドベキア植物は、細胞質雄性不稔性を示す。このため、前記(a)工程において、前記本開示のルドベキア植物またはその後代系統は、種子親(雌親)として使用する。また、前述のように、前記本開示の細胞質雄性不稔性ルドベキア植物は、例えば、後述の本開示の付与方法、第2の生産方法、スクリーニング方法、および第3の生産方法により得ることもできる。このため、本開示の第1の生産方法は、例えば、前記(a)工程に先立って、本開示の付与方法、第2の生産方法、スクリーニング方法、および第3の生産方法のいずれか1つ以上を実施してもよい。この場合、各方法の説明は、後述の各方法の説明を援用できる。
【0125】
具体例として、本開示の第1の生産方法は、下記(x)工程または(y)工程を含んでもよい。
(x)被検ルドベキア植物から本開示のルドベキア植物またはその後代系統を選抜する工程(選抜工程)
(y)対象のルドベキア植物から本開示のルドベキア植物またはその後代系統を作出する工程(作出工程)
【0126】
前記(x)工程において、前記本開示の細胞質雄性不稔性ルドベキア植物またはその後代系統の選抜は、例えば、被検ルドベキア植物の細胞質雄性不稔性を直接または間接的に評価し、本開示の細胞質雄性不稔性ルドベキア植物またはその後代系統を選抜することにより実施できる。前記直接的な評価は、前述の細胞質雄性不稔の評価方法の説明を援用できる。
【0127】
前記間接的評価により実施する場合、本開示の細胞質雄性不稔性ルドベキア植物またはその後代系統の選抜は、前記細胞質雄性不稔遺伝子を有するルドベキア植物の選抜ということができる。この場合、前記(x)工程は、例えば、下記(x1)工程および(x2)工程により行うことができる。
(x1)前記被検ルドベキア植物の細胞質雄性不稔遺伝子の有無を検出する検出工程;
(x2)前記細胞質雄性不稔遺伝子の存在、すなわち、前記細胞質雄性不稔遺伝子が検出された場合、前記被検ルドベキア植物を、細胞質雄性不稔性ルドベキア植物として選抜する選抜工程。
【0128】
前記(x)工程が前記(x1)工程および(x2)工程を含む場合、前記(x)工程は、例えば、前記細胞質雄性不稔遺伝子の塩基配列を指標に実施できる。前記(x1)工程において、前記細胞質雄性不稔遺伝子は、例えば、前記細胞質雄性不稔遺伝子をコードする塩基配列の有無に基づき検出してもよい。また、前記(x1)工程において、前記細胞質雄性不稔遺伝子は、前記細胞質雄性不稔遺伝子を識別可能なプライマーセットおよび/またはプローブ等の前記細胞質雄性不稔遺伝子の検出試薬を用いて検出してもよい。
【0129】
前記細胞質雄性不稔遺伝子をコードする塩基配列の有無により検出する場合、前記(x1)工程では、例えば、前記被検ルドベキア植物のミトコンドリアゲノム(ミトコンドリアDNA)の塩基配列を解読する。ついで、前記(x1)工程では、得られた塩基配列と、前記(ca)のポリヌクレオチドの塩基配列と比較することにより、塩基配列が一致するか否かにより検出できる。前記塩基配列の解読は、例えば、ミトコンドリアゲノム(ミトコンドリアDNA)を含む試料と、シークエンス用試薬と、シークエンサーとを用いて実施できる。また、前記塩基配列の比較は、例えば、塩基配列の解析ソフト(例えば、前述のBLAST等)により実施できる。得られた塩基配列において、塩基配列を比較する領域は、ミトコンドリアゲノム(ミトコンドリアDNA)のイントロン領域でもよいし、ミトコンドリアゲノム(ミトコンドリアDNA)のエキソン領域でもよいし、両者でもよい。これにより、前記(x1)工程では、前記細胞質雄性不稔遺伝子の塩基配列と一致する塩基配列を有するルドベキア植物を、前記細胞質雄性不稔遺伝子を含む被検ルドベキア植物として特定(同定または検出)できる。そして、前記(x2)工程では、例えば、前記細胞質雄性不稔遺伝子を含む被検ルドベキア植物を、本開示のルドベキア植物またはその後代系統、すなわち、細胞質雄性不稔性を示すルドベキア植物として選抜する。
【0130】
前記細胞質雄性不稔遺伝子の検出試薬を用いて検出する場合、前記(x1)工程では、例えば、前記細胞質雄性不稔遺伝子を検出可能なプライマーセット、プローブ、またはこれらの組合せを用いて、前記細胞質雄性不稔遺伝子を検出する。具体的には、前記プライマーセットを用いる場合、前記(x1)工程では、例えば、前記ミトコンドリアゲノム(ミトコンドリアDNA)を含む試料と、前記プライマーセットとを用いて、PCRを行なうことにより、前記細胞質雄性不稔遺伝子の存在を示す増幅断片が得られるかにより、前記細胞質雄性不稔遺伝子を検出できる。前記プローブを用いる場合、前記(x1)工程では、例えば、前記ミトコンドリアゲノム(ミトコンドリアDNA)を含む試料と、前記プローブとを用いて、前記細胞質雄性不稔遺伝子の存在を示すプローブ由来のシグナルが得られるかにより、前記細胞質雄性不稔遺伝子を検出できる。前記プライマーセットおよび前記プローブを用いる場合、前記(x1)工程では、例えば、前記ミトコンドリアゲノム(ミトコンドリアDNA)を含む試料と、前記プライマーセットとを用いて、PCRを行なうことにより、前記細胞質雄性不稔遺伝子の存在を示す増幅断片を増幅する。ついで、前記(x1)工程では、前記増幅断片と前記プローブとを用いて、前記細胞質雄性不稔遺伝子の存在を示すプローブ由来のシグナルが得られるかにより、前記細胞質雄性不稔遺伝子を検出できる。そして、前記(x2)工程では、例えば、前記細胞質雄性不稔遺伝子を含む被検ルドベキア植物を、本開示のルドベキア植物またはその後代系統、すなわち、細胞質雄性不稔性を示すルドベキア植物として選抜する。
【0131】
前記(x1)工程では、前記細胞質雄性不稔遺伝子として、ORF3、ORF1、ORF2、ORF6、ORF7、およびRPS7のうち、いずれか1つ以上を検出すればよく、複数を検出してもよいし、全部を検出してもよい。前記(x1)工程では、前記細胞質雄性不稔遺伝子として、ORF3を検出してもよいし、ORF3、ORF1、ORF2、ORF6、ORF7、およびRPS7を検出してもよい。前記(x1)工程において、複数の細胞質雄性不稔遺伝子を検出する場合、前記(x2)工程では、いずれか1以上、複数、または全部の細胞質雄性不稔遺伝子が検出された被検ルドベキア植物を、本開示のルドベキア植物またはその後代系統、すなわち、細胞質雄性不稔性を示すルドベキア植物として選抜する。
【0132】
前記ORF3は、ATP6遺伝子と他の遺伝子とのキメラ遺伝子であると推定される。このため、前記(x1)工程において、ORF3を検出する場合、前記プライマーセットおよび/またはプローブは、例えば、前記ORF3と前記ATP6遺伝子とを識別可能なように設計される。前記プライマーセットは、例えば、前記ORF3を識別可能なプライマーセットと、前記ATP6遺伝子を識別可能なプライマーセットとの組合せでもよい。前記ルドベキア植物のATP6遺伝子のORF(open reading frame)の塩基配列は、例えば、下記の塩基配列(配列番号13、終止コドン(TAA)を含む)を参照できる。前記ATP6遺伝子は、その機能性を維持する範囲での機能等価物でもよい。下記配列番号13の塩基配列において、763~1512番目の塩基配列は、前記配列番号1の塩基配列における340~1089番目の塩基配列と同じである。このため、本開示では、例えば、前記配列番号1および配列番号13の塩基配列において、異なる塩基配列を増幅可能なプライマーおよび/または検出可能なプローブを設計する。そして、前記(x1)工程では、前記設計されたプライマーおよび/またはプローブを用いることにより、前記被検ルドベキア植物が、前記ORF3および/または前記ATP6遺伝子を有するかを検出できる。前記プライマーセットおよびプローブは、例えば、公知の設計方法を用いて設計できる。一例として、前記ORF3を識別可能なプライマーセットと前記ATP6遺伝子を識別可能なプライマーセットとは、例えば、下記ORF3(細胞質雄性不稔遺伝子)用プライマーセットと、下記ATP6用プライマーセットとの組合せがあげられる。これにより、前記(x1)工程では、前記プライマーセットおよび/またはプローブにより前記ORF3が識別された被検ルドベキア植物について、前記細胞質雄性不稔遺伝子を含む被検ルドベキア植物として特定(同定または検出)できる。そして、前記(x2)工程では、例えば、前記ORF3(細胞質雄性不稔遺伝子)を含む被検ルドベキア植物を、本開示のルドベキア植物またはその後代系統、すなわち、細胞質雄性不稔性を示すルドベキア植物として選抜する。
【0133】
ATP6遺伝子のORFの塩基配列(配列番号13)
5'-ATGCAAGTAGAATCTTCGAACTTCAATCAAAATGGGGCTGTCATCCATCTAAGGAGAAAAGGAGGATGGAAGGGGACGTGTAAGCATGAAGGCGGGTCAATCTTGGTAGTGAATAGGTCAGCAGTTGGAGAGGAGAATCTTTCTATAGATAGAAGCAAGCGGGTACGAGATCGAAAAGATCTTTTTCATACCCAGCCCCAAATTCCCATTTCTTTCTTGGTCGGACCAAGCAAACCAACTATCTATTTCCGACAAACAAGCCTTTCCTCTTTTCTTTCAAATTTTGAGAGCAAGAAGCAGGCGGAACTACAATCAATTTTGACTATGACTATGACTATGAGGGACTTTATTCAGTCTTATCGTCAGCATATGCTGACGATAACGGAGAGTGGGTATCCTAGGGTGACTTCTGCATTTGGATATTCTGTCGAAGAGCTAACAAAGTTTGGCATCGAAGATTTTACTATTTACATTCCAGGGGAGATTGATGACCCCGCAACGGTTACAAGCCTTACAAAGTTAAATAAGCTTTTCATTTTTATGAAATATGACTTCATCGGTACAGTCAGGCCTCGAGATATTCAAGTACTCCAAAAGGAATTTAAAAAAACACCCCCAGAATCACTTTATAGGAAGCTTGAATCTACGTTTCAAAATGAGTTAACAAGTTTAGAGAATTTTTTAAAGCCTTTCAAGGCAGATTTCTTGAGTCAAGACTATTTGAATTATTGTGATGGGAGACATCGCTCATTTAAAAGCCCACTTGAGCAATTTGAAATTCTCCCATTGATTCCTATGAAGATAGGAGACTTGTATTTCTCATTCACAAATTCATCTTTGTTTATGCTGCTAACTCTCAGTTTGGTCCTACTTCTGATTCATTTTGTTACTAAAAAAGGAGGAGGAAACTTAGTACCAAATGCTTGGCAATCCTTGGTAGAGCTTATTTATGATTTCGTGCTGAACCTGGTAAACGAACAAATAGGGGGTCTTTCCGGAAATGTTAAACAAAAGTTTTTCCCTTGCATCCTGGTCACTTTTACTTTTTTGTTATTTTGTAATCTTCAGGGTATGATACCTTATAGCTTCACAGTTACAAGTCATTTTCTCATTACTTTAGGTCTCTCATTTTCGATTTTTATTGGCATTACTATAGTGGGATTTCAAAGAAACGGGCTTCATTTTTTAAGCTTCTTATTACCCGCAGGAGTCCCACTGCCATTAGCACCTTTTTTAGTACTCCTTGAGCTAATTTCTTATTGTTTTCGCGCATTAAGCTTAGGAATACGTTTATTTGCTAATATGATGGCCGGTCATAGTTTAGTAAAGATTTTAAGTGGGTTCGCTTGGACTATGCTATGTATGAATGATCTTTTGTATTTTATAGGGGATCTTGGTCCTTTATTTATAGTTCTTGCATTAACCGGTCTGGAATTAGGTGTAGCTATATTACAAGCTTATGTTTTTACGATCTTAATCTGTATTTACTTGAATGATGCTATAAATCTCCATTAA-3'
【0134】
・ORF3用プライマーセット
フォワードプライマー(配列番号14)
5'- ACGTAACACGTATCTATGGTGCAT-3'
リバースプライマー(配列番号15)
5'- GAGAGTTAGCAGCATAAACAAAGA-3’
・ATP6用プライマーセット
フォワードプライマー(配列番号16)
5'- GAGGGACTTTATTCAGTCTTATCG-3’
リバースプライマー(配列番号17)
5'- ATCTTCATAGGAATCAATGGGAGA-3’
【0135】
前記ORF1、ORF2、ORF6、ORF7、および/またはRPS7を検出する場合、各遺伝子のプライマーセットおよび/またはプローブは、前述の細胞質雄性不稔遺伝子の塩基配列に基づき、本願の技術分野における通常の方法またはソフトウェア(例えば、Primer-BLAST等)を用いて設計できる。
【0136】
前記(x1)工程では、前記細胞質雄性不稔遺伝子の座乗位置を検出してもよい。前記座乗位置は、例えば、核、核ゲノム、細胞質、ミトコンドリア、ミトコンドリアゲノム等があげられ、好ましくは、細胞質、ミトコンドリア、またはミトコンドリアゲノムである。この場合、前記(x2)工程では、前記細胞質雄性不稔遺伝子を含み、かつ前記細胞質雄性不稔遺伝子が細胞質、ミトコンドリア、またはミトコンドリアゲノムに存在する場合、前記被検ルドベキア植物を、細胞質雄性不稔性を示すルドベキア植物として選抜できる。
【0137】
前記(x1)工程において、前記細胞質雄性不稔遺伝子の検出を行なう試料は、例えば、核、核ゲノム、細胞質、ミトコンドリア、および/またはミトコンドリアゲノムを含む試料があげられる。各試料は、前記被検ルドベキア植物またはその部分から、本願の技術分野における通常の方法により調製できる。前記試料は、細胞質、ミトコンドリア、および/またはミトコンドリアゲノムを含む試料が好ましい。
【0138】
前記(y)工程は、例えば、対象のルドベキア植物に前記細胞質雄性不稔遺伝子を導入する工程(導入工程)ということもできる。前記導入工程は、後述の本開示の細胞質雄性不稔遺伝子、発現ベクター、形質転換体および付与方法における導入工程の説明を援用できる。
【0139】
つぎに、前記(a)工程において、他方の親として使用するルドベキア植物は、特に制限されず、例えば、雄性可稔性のルドベキア植物であればよい。
【0140】
前記(a)工程において、前記細胞質雄性不稔性ルドベキア植物と前記他のルドベキア植物との交雑方法は、特に制限されず、公知の方法が採用できる。
【0141】
前記(b)工程において、細胞質雄性不稔性ルドベキア植物を選抜する対象は、例えば、前記(a)工程より得られたルドベキア植物でもよいし、さらに、そのルドベキア植物から得られた後代系統でもよい。具体的に、前記対象は、例えば、前記(a)工程の交雑によって得られたF1のルドベキア植物でもよいし、その後代系統でもよい。前記後代系統は、例えば、前記(a)工程の交雑によって得られたF1のルドベキア植物の戻し交雑後代でもよいし、前記F1のルドベキア植物等の後代系統のルドベキア植物と、他のルドベキア植物とを交雑することによって得られたルドベキア植物であってもよい。
【0142】
前記(b)工程において、細胞質雄性不稔性ルドベキア植物の選抜は、例えば、細胞質雄性不稔性を、直接的または間接的に評価することにより行うことができる。前記直接的な評価は、前述の細胞質雄性不稔の評価方法の説明を援用できる。
【0143】
前記(b)工程において、前記細胞質雄性不稔性ルドベキア植物の選抜は、例えば、得られた前記F1のルドベキア植物またはその後代系統の細胞質雄性不稔性を直接または間接的に評価し、細胞質雄性不稔性ルドベキア植物を選抜することにより実施できる。前記間接的評価により実施する場合、前記細胞質雄性不稔性ルドベキア植物の選抜は、前記細胞質雄性不稔遺伝子を有するルドベキア植物の選抜ということができる。この場合、前記(b)工程は、例えば、下記(b1)工程および(b2)工程により行うことができる。
(b1)得られた前記F1のルドベキア植物またはその後代系統の細胞質雄性不稔遺伝子の有無を検出する検出工程;
(b2)前記細胞質雄性不稔遺伝子の存在、すなわち、前記細胞質雄性不稔遺伝子が検出された場合、得られた前記F1のルドベキア植物またはその後代系統を、細胞質雄性不稔性ルドベキア植物として選抜する選抜工程。
【0144】
前記(b)工程における細胞質雄性不稔性ルドベキア植物の選抜は、例えば、前記(x)工程において説明した方法と同様であり、前記(b1)工程は、前記(x1)工程と同様に、前記(b2)工程は、前記(x2)工程と同様にして実施できる。
【0145】
前記(b1)工程において、前記細胞質雄性不稔遺伝子の検出を行なう試料は、例えば、核、核ゲノム、細胞質、ミトコンドリア、および/またはミトコンドリアゲノムを含む試料があげられる。各試料は、前記被検ルドベキア植物またはその部分から、本願の技術分野における通常の方法により調製できる。前記試料は、細胞質、ミトコンドリア、および/またはミトコンドリアゲノムを含む試料が好ましい。
【0146】
本開示の第1の生産方法は、前記(b)工程において選抜された細胞質雄性不稔性ルドベキア植物を、さらに育成することが好ましい。前記ルドベキア植物の育成条件および育成方法は、例えば、前記ルドベキア植物の成長段階および前記ルドベキア植物の品種に応じて適宜決定できる。前記育成では、例えば、前記ルドベキア植物の任意の成長段階まで生育してよい。
【0147】
このように、前記(b)工程では、前記細胞質雄性不稔性が確認された前記ルドベキア植物またはその後代系統を、細胞質雄性不稔性ルドベキア植物として選抜できる。
【0148】
本開示の第1の生産方法は、さらに、交雑により得られた前記後代系統から、種子を採取する採種工程を含んでもよい。
【0149】
<細胞質雄性不稔遺伝子>
別の態様において、本開示は、細胞質雄性不稔性を付与可能な遺伝子を提供する。本開示の細胞質雄性不稔遺伝子は、下記(ca)~(ce)および(cf)からなる群から選択された少なくとも1つのポリヌクレオチドを含む。
【0150】
(ca)下記(ca1)~(ca7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(ca1)配列番号1の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(ca2)前記(ca1)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ca3)前記(ca1)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ca4)前記(ca1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ca5)配列番号2のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(ca6)配列番号2のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ca7)配列番号2のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cb)下記(cb1)~(cb7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(cb1)配列番号3の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(cb2)前記(cb1)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cb3)前記(cb1)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cb4)前記(cb1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cb5)配列番号4のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(cb6)配列番号4のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cb7)配列番号4のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cc)下記(cc1)~(cc7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(cc1)配列番号5の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(cc2)前記(cc1)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cc3)前記(cc1)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cc4)前記(cc1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cc5)配列番号6のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(cc6)配列番号6のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cc7)配列番号6のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cd)下記(cd1)~(cd7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(cd1)配列番号7の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(cd2)前記(cd1)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cd3)前記(cd1)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cd4)前記(cd1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cd5)配列番号8のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(cd6)配列番号8のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cd7)配列番号8のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ce)下記(ce1)~(ce7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(ce1)配列番号9の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(ce2)前記(ce1)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ce3)前記(ce1)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ce4)前記(ce1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ce5)配列番号10のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(ce6)配列番号10のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ce7)配列番号10のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cf)下記(cf1)~(cf7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(cf1)配列番号11の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(cf2)前記(cf1)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cf3)前記(cf1)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cf4)前記(cf1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cf5)配列番号12のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(cf6)配列番号12のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cf7)配列番号12のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド。
【0151】
前記(ca)~(cf)のポリヌクレオチドの説明は、前記本開示のルドベキア植物の説明を援用できる。
【0152】
本開示の細胞質雄性不稔遺伝子は、前記(ca)~(cf)のポリヌクレオチドのうち、いずれか1つ以上を含んでもよいし、複数を含んでもよいし、全部を含んでもよい。本開示の細胞質雄性不稔遺伝子が複数のポリヌクレオチドを含む場合、前記ポリヌクレオチドの組合せは、前記本開示のルドベキア植物における複数の細胞質雄性不稔遺伝子の組合せの説明を援用できる。
【0153】
本開示の細胞質雄性不稔遺伝子は、本開示の細胞質雄性不稔性ルドベキア植物の遺伝子工学的手法による合成(生産または育種)に好適に使用できる。本開示の細胞質雄性不稔遺伝子がDNAから構成される場合、本開示の細胞質雄性不稔遺伝子は、例えば、組換えDNAということもできる。
【0154】
前記ポリヌクレオチドは、例えば、遺伝子工学的手法または有機合成的手法によって合成でき、cDNA等の合成DNA、合成RNAということもできる。
【0155】
<細胞質雄性不稔タンパク質>
別の態様において、本開示は、細胞質雄性不稔性を誘導すると推定されるタンパク質を提供する。本開示の細胞質雄性不稔タンパク質は、下記(CA)~(CE)および(CF)からなる群から選択された少なくとも1つのポリペプチドを含む。
【0156】
(CA)下記(CA1)~(CA3)のいずれかのポリペプチド:
(CA1)配列番号2のアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(CA2)配列番号2のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリペプチド;
(CA3)配列番号2のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリペプチド;
(CB)下記(CB1)~(CB3)のいずれかのポリペプチド:
(CB1)配列番号4のアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(CB2)配列番号4のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリペプチド;
(CB3)配列番号4のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリペプチド;
(CC)下記(CC1)~(CC3)のいずれかのポリペプチド:
(CC1)配列番号6のアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(CC2)配列番号6のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリペプチド;
(CC3)配列番号6のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリペプチド;
(CD)下記(CD1)~(CD3)のいずれかのポリペプチド:
(CD1)配列番号8のアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(CD2)配列番号8のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリペプチド;
(CD3)配列番号8のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリペプチド;
(CE)下記(CE1)~(CE3)のいずれかのポリペプチド:
(CE1)配列番号10のアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(CE2)配列番号10のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリペプチド;
(CE3)配列番号10のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリペプチド;
(CF)下記(CF1)~(CF3)のいずれかのポリペプチド:
(CF1)配列番号12のアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(CF2)配列番号12のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリペプチド;
(CF3)配列番号12のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリペプチド。
【0157】
前記(CA1)は、細胞質雄性不稔性を発現させると推定されるタンパク質であり、前記配列番号1の塩基配列によりコードされているポリペプチドである。前記配列番号2のアミノ酸配列は、例えば、前記受託番号FERM BP-22428で寄託されているルドベキア植物の種子から得ることができる。
【0158】
前記(CA2)において、アミノ酸配列に関する「1もしくは数個」は、例えば、前記(CA2)のポリペプチドが、前記細胞質雄性不稔性を発現させる範囲であればよい。前記(CA2)の「1もしくは数個」は、例えば、前記配列番号2のアミノ酸配列において、例えば、1~44個、1~33個、1~22個、1~11個、1~8個、1~6個、1~4個1~3個、1または2個、1個である。
【0159】
前記(CA3)において、アミノ酸配列に関する「同一性」は、例えば、前記(CA3)のポリペプチドが、前記細胞質雄性不稔性を発現させる範囲であればよい。前記(CA3)の同一性は、前記配列番号2のアミノ酸配列に対して、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
【0160】
前記(CB1)は、細胞質雄性不稔性を発現させると推定されるタンパク質であり、前記配列番号3の塩基配列によりコードされているポリペプチドである。前記配列番号4のアミノ酸配列は、例えば、前記受託番号FERM BP-22428で寄託されているルドベキア植物の種子から得ることができる。
【0161】
前記(CB2)において、アミノ酸配列に関する「1もしくは数個」は、例えば、前記(CB2)のポリペプチドが、前記細胞質雄性不稔性を発現させる範囲であればよい。前記(CB2)の「1もしくは数個」は、例えば、前記配列番号4のアミノ酸配列において、例えば、1~187個、1~140個、1~93個、1~46個、1~35個、1~28個、1~18個、1~9個、1~8個、1~6個、1~4個、1~3個、1または2個、1個である。
【0162】
前記(CB3)において、アミノ酸配列に関する「同一性」は、例えば、前記(CB3)のポリペプチドが、前記細胞質雄性不稔性を発現させる範囲であればよい。前記(CB3)の同一性は、前記配列番号4のアミノ酸配列に対して、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
【0163】
前記(CC1)は、細胞質雄性不稔性を発現させると推定されるタンパク質であり、前記配列番号5の塩基配列によりコードされているポリペプチドである。前記配列番号6のアミノ酸配列は、例えば、前記受託番号FERM BP-22428で寄託されているルドベキア植物の種子から得ることができる。
【0164】
前記(CC2)において、アミノ酸配列に関する「1もしくは数個」は、例えば、前記(CC2)のポリペプチドが、前記細胞質雄性不稔性を発現させる範囲であればよい。前記(CC2)の「1もしくは数個」は、例えば、前記配列番号6のアミノ酸配列において、例えば、1~86個、1~63個、1~42個、1~21個、1~16個、1~12個、1~8個、1~6個、1~4個、1~3個、1または2個、1個である。
【0165】
前記(CC3)において、アミノ酸配列に関する「同一性」は、例えば、前記(CC3)のポリペプチドが、前記細胞質雄性不稔性を発現させる範囲であればよい。前記(CC3)の同一性は、前記配列番号6のアミノ酸配列に対して、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
【0166】
前記(CD1)は、細胞質雄性不稔性を発現させると推定されるタンパク質であり、前記配列番号7の塩基配列によりコードされているポリペプチドである。前記配列番号8のアミノ酸配列は、例えば、前記受託番号FERM BP-22428で寄託されているルドベキア植物の種子から得ることができる。
【0167】
前記(CD2)において、アミノ酸配列に関する「1もしくは数個」は、例えば、前記(CD2)のポリペプチドが、前記細胞質雄性不稔性を発現させる範囲であればよい。前記(CD2)の「1もしくは数個」は、例えば、前記配列番号8のアミノ酸配列において、例えば、1~194個、1~145個、1~97個、1~48個、1~38個、1~29個、1~18個、1~16個、1~12個、1~9個、1~8個、1~6個、1~4個、1~3個、1または2個、1個である。
【0168】
前記(CD3)において、アミノ酸配列に関する「同一性」は、例えば、前記(CD3)のポリペプチドが、前記細胞質雄性不稔性を発現させる範囲であればよい。前記(CD3)の同一性は、前記配列番号8のアミノ酸配列に対して、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
【0169】
前記(CE1)は、細胞質雄性不稔性を発現させると推定されるタンパク質であり、前記配列番号9の塩基配列によりコードされているポリペプチドである。前記配列番号10のアミノ酸配列は、例えば、前記受託番号FERM BP-22428で寄託されているルドベキア植物の種子から得ることができる。
【0170】
前記(CE2)において、アミノ酸配列に関する「1もしくは数個」は、例えば、前記(CE2)のポリペプチドが、前記細胞質雄性不稔性を発現させる範囲であればよい。前記(CE2)の「1もしくは数個」は、例えば、前記配列番号10のアミノ酸配列において、例えば、1~76個、1~57個、1~38個、1~19個、1~15個、1~12個、1~9個、1~8個、1~6個、1~4個、1~3個、1または2個、1個である。
【0171】
前記(CE3)において、アミノ酸配列に関する「同一性」は、例えば、前記(CE3)のポリペプチドが、前記細胞質雄性不稔性を発現させる範囲であればよい。前記(CE3)の同一性は、前記配列番号10のアミノ酸配列に対して、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
【0172】
前記(CF1)は、細胞質雄性不稔性を発現させると推定されるタンパク質であり、前記配列番号11の塩基配列によりコードされているポリペプチドである。前記配列番号12のアミノ酸配列は、例えば、前記受託番号FERM BP-22428で寄託されているルドベキア植物の種子から得ることができる。
【0173】
前記(CF2)において、アミノ酸配列に関する「1もしくは数個」は、例えば、前記(CF2)のポリペプチドが、前記細胞質雄性不稔性を発現させる範囲であればよい。前記(CF2)の「1もしくは数個」は、例えば、前記配列番号12のアミノ酸配列において、例えば、1~31個、1~23個、1~15個、1~7個、1~6個、1~4個、1~3個、1または2個、1個である。
【0174】
前記(CF3)において、アミノ酸配列に関する「同一性」は、例えば、前記(CF3)のポリペプチドが、前記細胞質雄性不稔性を発現させる範囲であればよい。前記(CF3)の同一性は、前記配列番号12のアミノ酸配列に対して、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
【0175】
本開示の細胞質雄性不稔タンパク質は、前記(CA)~(CF)のポリペプチドのうち、いずれか1つ以上を含んでもよいし、複数を含んでもよいし、全部を含んでもよい。本開示の細胞質雄性不稔タンパク質が複数のポリペプチドを含む場合、前記ポリペプチドの組合せは、前記本開示のルドベキア植物における複数の細胞質雄性不稔遺伝子の組合せの説明において、(ca)、(cb)、(cc)、(cd)、(ce)、(cf)、およびポリヌクレオチドを、それぞれ、(CA)、(CB)、(CC)、(CD)、(CE)、(CF)、およびポリペプチドに読み替えてその説明を援用できる。
【0176】
本開示の雄性不稔タンパク質は、例えば、ルドベキア植物に導入することにより、細胞質雄性不稔性を誘導できる。本開示の細胞質雄性不稔タンパク質は、例えば、組換えタンパク質ということもできる。
【0177】
前記細胞質雄性不稔タンパク質は、例えば、後述の形質転換体を用いて合成(生産)できる。
【0178】
<発現ベクター>
別の態様において、本開示は、細胞質雄性不稔タンパク質を発現可能な発現ベクターを提供する。本開示の発現ベクター(ベクター)は、本開示の細胞質雄性不稔遺伝子を含む。本開示の発現ベクターは、本開示の細胞質雄性不稔性を示すルドベキア植物の遺伝子工学的手法による合成(生産)に好適に使用できる。
【0179】
前記発現ベクターは、前記細胞質雄性不稔遺伝子がコードする細胞質雄性不稔タンパク質を発現可能なように、前記細胞質雄性不稔遺伝子を含んでいればよく、その他の構成および条件は、特に制限されない。本開示の発現ベクターにおいて、本開示の細胞質雄性不稔遺伝子は、機能的に連結されているともいえる。
【0180】
前記発現ベクターは、前記(ca)~(cf)のポリヌクレオチドのうち、いずれか1つ以上を含んでもよいし、複数を含んでもよいし、全部を含んでもよい。前記発現ベクターが複数のポリヌクレオチドを含む場合、前記ポリヌクレオチドの組合せは、前記本開示のルドベキア植物における複数の細胞質雄性不稔遺伝子の組合せの説明を援用できる。
【0181】
前記発現ベクターは、例えば、骨格となるベクター(以下、「基本ベクター」ともいう)に、細胞質雄性不稔タンパク質をコードするポリヌクレオチド、すなわち、前記細胞質雄性不稔遺伝子を挿入することで作製できる。前記ベクターの種類は、特に制限されず、例えば、宿主または細胞の種類に応じて、適宜決定できる。
【0182】
前記宿主は、例えば、微生物、動物細胞、植物細胞、昆虫細胞、または、これらの培養細胞等の非ヒト宿主、単離したヒト細胞またはその培養細胞、哺乳類細胞等があげられる。
【0183】
前記ベクター(基本ベクター)は、ウイルスベクターおよび非ウイルスベクターがあげられる。前記導入方法としてヒートショック法により宿主の形質転換を行う場合、前記ベクターは、例えば、バイナリーベクター等があげられる。前記ベクターは、例えば、pETDuet-1、pQE-80L、pUCP26Km等があげられる。大腸菌等の細菌に形質転換を行う場合、前記ベクターは、例えば、pETDuet-1ベクター(ノバジェン社)、pQE-80L(QIAGEN社)、pBR322、pB325、pAT153、pUC8等があげられる。前記酵母に形質転換を行なう場合、前記ベクターは、例えば、pYepSec1、pMFa、pYES2等があげられる。前記昆虫細胞に形質転換を行なう場合、前記ベクターは、例えば、pAc、pVL等があげられる。前記哺乳類細胞に形質転換を行なう場合、前記ベクターは、例えば、pCDM8、pMT2PC等があげられる。前記植物細胞に形質転換を行なう場合、前記ベクターは、例えば、pBI121、pBI101等があげられる。
【0184】
前記発現ベクターは、例えば、前記細胞質雄性不稔タンパク質をコードするポリヌクレオチド(細胞質雄性不稔遺伝子)の発現および前記細胞質雄性不稔遺伝子がコードする前記細胞質雄性不稔タンパク質の発現を調節する、調節配列を有することが好ましい。前記調節配列は、例えば、プロモーター、ターミネーター、エンハンサー、ポリアデニル化シグナル配列、複製起点配列(ori)等があげられる。本開示の発現ベクターにおいて、前記調節配列の配置は特に制限されない。本開示の発現ベクターにおいて、前記調節配列は、例えば、前記細胞質雄性不稔タンパク質のポリヌクレオチドの発現およびこれがコードする雄性不稔タンパク質の発現を、機能的に調節できるように配置されていればよく、公知の方法に基づいて配置できる。前記調節配列は、例えば、前記基本ベクターが予め備える配列を利用してもよいし、前記基本ベクターに、さらに、前記調節配列を挿入してもよいし、前記基本ベクターが備える調節配列を、他の調節配列に置き換えてもよい。
【0185】
前記発現ベクターは、例えば、さらに、選択マーカーのコード配列を有してもよい。前記選択マーカーは、例えば、薬剤耐性マーカー、蛍光タンパク質マーカー、酵素マーカー、細胞表面レセプターマーカー等があげられる。
【0186】
前記発現ベクターへの、DNAの挿入、前記調節配列の挿入、および/または前記選択マーカーのコード配列の挿入は、例えば、制限酵素およびリガーゼを用いた方法で実施してもよいし、市販のキット等を用いてもよい。
【0187】
<形質転換体>
別の態様において、本開示は、細胞質雄性不稔タンパク質を発現可能な形質転換体を提供する。本開示の形質転換体は、本開示の核酸または本開示の発現ベクターを含む。本開示の形質転換体は、外来性の細胞質雄性不稔遺伝子を含む形質転換体ということもできる。また、本開示の形質転換体は、細胞質雄性不稔性を示すルドベキア植物または細胞質雄性不稔タンパク質の合成(製造)に好適に使用できる。
【0188】
本開示の形質転換体では、本開示の細胞質雄性不稔遺伝子が外来性の分子として存在する。このため、本開示の形質転換体は、例えば、前記宿主に、前記細胞質雄性不稔遺伝子を導入することにより製造できる。
【0189】
前記細胞質雄性不稔遺伝子の導入方法は、特に制限されず、公知の方法により行うことができる。前記細胞質雄性不稔遺伝子は、例えば、前記本開示の発現ベクターにより導入されてもよい。前記導入方法は、例えば、前記宿主の種類に応じて、適宜設定できる。前記導入方法は、例えば、パーティクルガン等の遺伝子銃による導入法、リン酸カルシウム法、ポリエチレングリコール法、リポソームを用いるリポフェクション法、エレクトロポレーション法、超音波核酸導入法、DEAE-デキストラン法、微小ガラス管等を用いた直接注入法、ハイドロダイナミック法、カチオニックリポソーム法、導入補助剤を用いる方法、アグロバクテリウムを介する方法等があげられる。前記リポソームは、例えば、リポフェクタミンおよびカチオニックリポソーム等があげられ、前記導入補助剤は、例えば、アテロコラーゲン、ナノ粒子およびポリマー等があげられる。前記宿主が植物細胞の場合、前記導入方法は、アグロバクテリウムを介する方法が好ましい。前記宿主が植物細胞の場合、前記細胞質雄性不稔遺伝子を導入する対象は、例えば、植物細胞、カルス、植物組織、または植物個体があげられる。
【0190】
前記細胞質雄性不稔遺伝子の導入方法は、例えば、相同組換え;ZFN、TALEN、CRISPR-CAS9、CRISPR-CPF1等を用いたゲノム編集技術と、ドナー遺伝子(細胞質雄性不稔遺伝子)との組合せ:等により、実施できる。前記ゲノム編集技術を用いた細胞質雄性不稔遺伝子の導入は、例えば、ゲノム編集技術を構成するタンパク質および核酸、またはこれらをコードするベクターと、ドナー遺伝子をコードするポリヌクレオチドとを導入することにより、実施できる。前記タンパク質は、例えば、CRISPR(Clustered Regularly Interspaced Short Palindromic Repeats)酵素があげられ、具体例として、Cas1、Cas1B、Cas2、Cas3、Cas4、Cas5、Cas6、Cas7、Cas8、Cas9、Cas10、Csy1、Csy2、Csy3、Cse1、Cse2、Csc1、Csc2、Csa5、Csn2、Csm2、Csm3、Csm4、Csm5、Csm6、Cmr1、Cmr3、Cmr4、Cmr5、Cmr6、Csb1、Csb2、Csb3、Csx17、Csx14、Csx10、Csx16、CsaX、Csx3、Csx1、Csx15、Csf1、Csf2、Csf3、Csf4等があげられる。前記核酸は、例えば、crRNAおよびtracrRNA、またはこれらがリンカーを介して連結された一本鎖核酸があげられる。この場合、前記核酸は、例えば、crRNAにおける標的配列とアニールする塩基配列を、各遺伝子をコードする塩基配列と相補的な塩基配列に設計する。前記核酸は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい
【0191】
前記ポリヌクレオチドの導入方法は、特に制限されず、例えば、RNA干渉、アンチセンスRNA、ゲノム編集技術等で用いられている方法により実施できる。前記ポリヌクレオチドを含む発現ベクター等の発現カセットは、例えば、ポリエチレングリコール法、電気穿孔法(エレクトロポレーション法)、アグロバクテリウムを介する方法、パーティクルガン法等により、対象のルドベキア植物に導入できる。前記対象のルドベキア植物は、例えば、植物細胞、カルス、植物組織、および植物個体のいずれでもよい。
【0192】
前記導入工程において、前記細胞質雄性不稔遺伝子の導入位置は、例えば、細胞質、ミトコンドリア、またはミトコンドリアゲノム等があげられる。
【0193】
<付与方法>
別の態様において、本開示は、ルドベキア植物に細胞質雄性不稔性を付与可能な方法を提供する。本開示のルドベキア植物における細胞質雄性不稔性の付与方法は、前述のように、対象のルドベキア植物に、細胞質細胞質雄性不稔遺伝子として、下記(ca)~(ce)および(cf)からなる群から選択された少なくとも1つのポリヌクレオチドを導入する工程(導入工程)を含む。
【0194】
(ca)下記(ca1)~(ca7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(ca1)配列番号1の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(ca2)前記(ca1)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ca3)前記(ca1)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ca4)前記(ca1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ca5)配列番号2のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(ca6)配列番号2のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ca7)配列番号2のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cb)下記(cb1)~(cb7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(cb1)配列番号3の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(cb2)前記(cb1)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cb3)前記(cb1)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cb4)前記(cb1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cb5)配列番号4のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(cb6)配列番号4のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cb7)配列番号4のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cc)下記(cc1)~(cc7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(cc1)配列番号5の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(cc2)前記(cc1)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cc3)前記(cc1)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cc4)前記(cc1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cc5)配列番号6のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(cc6)配列番号6のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cc7)配列番号6のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cd)下記(cd1)~(cd7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(cd1)配列番号7の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(cd2)前記(cd1)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cd3)前記(cd1)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cd4)前記(cd1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cd5)配列番号8のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(cd6)配列番号8のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cd7)配列番号8のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ce)下記(ce1)~(ce7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(ce1)配列番号9の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(ce2)前記(ce1)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ce3)前記(ce1)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ce4)前記(ce1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ce5)配列番号10のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(ce6)配列番号10のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ce7)配列番号10のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cf)下記(cf1)~(cf7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(cf1)配列番号11の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(cf2)前記(cf1)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cf3)前記(cf1)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cf4)前記(cf1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cf5)配列番号12のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(cf6)配列番号12のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cf7)配列番号12のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド。
【0195】
本開示の付与方法は、対象のルドベキア植物に、細胞質雄性不稔遺伝子として、前記(ca)~(ce)および(cf)からなる群から選択された少なくとも1つのポリヌクレオチドを導入することが特徴であり、その他の工程および条件は、特に制限されない。本開示の付与方法によれば、ルドベキア植物に細胞質雄性不稔性を付与できる。
【0196】
前記導入工程において、前記対象のルドベキア植物への前記細胞質雄性不稔遺伝子の導入方法は、例えば、前記形質転換体の製造における細胞質雄性不稔遺伝子の導入方法と同様に実施できる。
【0197】
前記導入工程において、導入されるポリヌクレオチドは、前記(ca)~(cf)のポリヌクレオチドのうち、いずれか1つ以上を含んでもよいし、複数を含んでもよいし、全部を含んでもよい。前記導入されるポリヌクレオチドが複数のポリヌクレオチドを含む場合、前記ポリヌクレオチドの組合せは、前記本開示のルドベキア植物における複数の細胞質雄性不稔遺伝子の組合せの説明を援用できる。
【0198】
<第2の生産方法>
別の態様において、本開示は、細胞質雄性不稔性を示すルドベキア植物の生産方法を提供する。本開示の細胞質雄性不稔性ルドベキア植物の生産方法は、前述のように、対象のルドベキア植物に細胞質雄性不稔性を付与する付与工程を含み、前記付与工程は、前記本開示のルドベキア植物における細胞質雄性不稔性の付与方法により実施される。本開示の第2の生産方法は、前記付与工程を、前記本開示のルドベキア植物における細胞質雄性不稔性の付与方法により実施することが特徴であり、その他の工程および条件は、特に制限されない。本開示の第2の生産方法によれば、細胞質雄性不稔性ルドベキア植物を生産できる。
【0199】
<スクリーニング方法>
別の態様において、本開示は、細胞質雄性不稔性を示すルドベキア植物のスクリーニング方法を提供する。本開示の細胞質雄性不稔性ルドベキア植物のスクリーニング方法、被検ルドベキア植物から、細胞質雄性不稔遺伝子として、下記(ca)~(ce)および(cf)からなる群から選択された少なくとも1つのポリヌクレオチドを含む被検ルドベキア植物を、細胞質雄性不稔性ルドベキア植物として選抜する工程を含む。
【0200】
(ca)下記(ca1)~(ca7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(ca1)配列番号1の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(ca2)前記(ca1)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ca3)前記(ca1)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ca4)前記(ca1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ca5)配列番号2のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(ca6)配列番号2のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ca7)配列番号2のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cb)下記(cb1)~(cb7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(cb1)配列番号3の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(cb2)前記(cb1)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cb3)前記(cb1)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cb4)前記(cb1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cb5)配列番号4のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(cb6)配列番号4のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cb7)配列番号4のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cc)下記(cc1)~(cc7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(cc1)配列番号5の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(cc2)前記(cc1)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cc3)前記(cc1)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cc4)前記(cc1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cc5)配列番号6のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(cc6)配列番号6のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cc7)配列番号6のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cd)下記(cd1)~(cd7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(cd1)配列番号7の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(cd2)前記(cd1)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cd3)前記(cd1)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cd4)前記(cd1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cd5)配列番号8のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(cd6)配列番号8のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cd7)配列番号8のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ce)下記(ce1)~(ce7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(ce1)配列番号9の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(ce2)前記(ce1)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ce3)前記(ce1)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ce4)前記(ce1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ce5)配列番号10のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(ce6)配列番号10のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ce7)配列番号10のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cf)下記(cf1)~(cf7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(cf1)配列番号11の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(cf2)前記(cf1)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cf3)前記(cf1)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cf4)前記(cf1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cf5)配列番号12のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(cf6)配列番号12のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cf7)配列番号12のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド。
【0201】
本開示のスクリーニング方法は、前記選抜工程において、前記細胞質雄性遺伝子を指標とすることが特徴であり、その他の工程および条件は、特に制限されない。本開示のスクリーニング方法によれば、細胞質雄性不稔性ルドベキア植物をスクリーニングできる。
【0202】
本開示のスクリーニング方法において、前記選抜工程は、前記(x)工程または前記(x1)工程の間接的な選抜(間接的な評価を用いた選抜)の説明を援用できる。
【0203】
<第3の生産方法>
別の態様において、本開示は、細胞質雄性不稔性を示すルドベキア植物の生産方法を提供する。本開示の細胞質雄性不稔性ルドベキア植物の生産方法は、前述のように、被検ルドベキア植物から、細胞質雄性不稔遺伝子を含む被検ルドベキア植物をスクリーニングするスクリーニング工程を含み、前記スクリーニング工程は、前記本開示のスクリーニング方法により実施される。本開示の第3の生産方法は、前記スクリーニング工程を、本開示のスクリーニング方法により実施することが特徴であり、その他の工程および条件は、特に制限されない。
【0204】
<第2のルドベキア植物>
別の態様において、本開示は、細胞質雄性不稔性を示すルドベキア植物を提供する本開示の細胞質雄性不稔性ルドベキア植物(以下、「第2のルドベキア植物」ともいう)は、前記本開示の第1の生産方法、第2の生産方法、または第3の生産方法により得られる。本開示の第2のルドベキア植物は、前記本開示の第1の生産方法、第2の生産方法、または第3の生産方法により得られることが特徴であり、その他の構成および条件は、特に制限されない。
【0205】
<検出方法>
別の態様において、本開示は、ルドベキア植物における細胞質雄性不稔性を検出可能な方法を提供する。本開示のルドベキア植物の細胞質雄性不稔性の検出方法は、前述のように、被検ルドベキア植物において、細胞質雄性不稔遺伝子として、下記(ca)~(ce)および(cf)からなる群から選択された少なくとも1つのポリヌクレオチドを検出する検出工程を含む。
【0206】
(ca)下記(ca1)~(ca7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(ca1)配列番号1の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(ca2)前記(ca1)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ca3)前記(ca1)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ca4)前記(ca1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ca5)配列番号2のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(ca6)配列番号2のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ca7)配列番号2のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cb)下記(cb1)~(cb7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(cb1)配列番号3の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(cb2)前記(cb1)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cb3)前記(cb1)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cb4)前記(cb1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cb5)配列番号4のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(cb6)配列番号4のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cb7)配列番号4のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cc)下記(cc1)~(cc7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(cc1)配列番号5の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(cc2)前記(cc1)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cc3)前記(cc1)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cc4)前記(cc1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cc5)配列番号6のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(cc6)配列番号6のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cc7)配列番号6のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cd)下記(cd1)~(cd7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(cd1)配列番号7の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(cd2)前記(cd1)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cd3)前記(cd1)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cd4)前記(cd1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cd5)配列番号8のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(cd6)配列番号8のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cd7)配列番号8のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ce)下記(ce1)~(ce7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(ce1)配列番号9の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(ce2)前記(ce1)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ce3)前記(ce1)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ce4)前記(ce1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ce5)配列番号10のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(ce6)配列番号10のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ce7)配列番号10のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cf)下記(cf1)~(cf7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(cf1)配列番号11の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(cf2)前記(cf1)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cf3)前記(cf1)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cf4)前記(cf1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cf5)配列番号12のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(cf6)配列番号12のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cf7)配列番号12のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド。
【0207】
本開示の検出方法は、前記検出工程において、前記細胞質雄性不稔遺伝子を検出することが特徴であり、その他の工程および条件は、特に制限されない。本開示の検出方法によれば、被検ルドベキア植物が、細胞質雄性不稔性を有しているか否かを検出できる。
【0208】
本開示の検出方法は、例えば、被検ルドベキア植物の細胞質雄性不稔遺伝子を検出する検出工程を含む。前記検出工程は、例えば、前記本開示の第1の生産方法の選抜工程における(x)工程または前記(x1)工程の間接的な選抜(間接的な評価を用いた選抜)の説明を援用できる。
【0209】
前記選抜工程では、前記細胞質雄性不稔遺伝子の座乗位置を検出してもよい。前記座乗位置は、例えば、核、核ゲノム、細胞質、ミトコンドリア、ミトコンドリアゲノム等があげられる。
【0210】
前記選抜工程において、前記細胞質雄性不稔遺伝子の検出を行なう試料は、例えば、核、核ゲノム、細胞質、ミトコンドリア、および/またはミトコンドリアゲノムを含む試料があげられる。各試料は、前記被検ルドベキア植物またはその部分から、本願の技術分野における通常の方法により調製できる。前記試料は、細胞質、ミトコンドリア、および/またはミトコンドリアゲノムを含む試料が好ましい。
【0211】
<寄託系統>
本開示のルドベキア植物は、一例として、受託番号FERM BP-22428で特定される(寄託されている)ルドベキア植物またはその後代系統があげられる。以下、受託番号FERM BP-22428を、ルドベキア品種Takii 22ともいう。各品種の寄託に関する情報を、以下に示す。
【0212】
寄託の種類:国際寄託
寄託機関名:独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許生物寄託センター
あて名:日本国 〒292-0818 千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8 120号室
受託番号:受託番号FERM BP-22428
識別のための表示:Takii 22
受領日:2021年9月14日
【0213】
本開示において、「寄託系統と本質的にすべての生理学的および形態学的特徴」を有する植物は、同一環境で生育した場合に、寄託系統の主要な形質を有する植物であることを意味する。
【0214】
<後代系統>
本開示のルドベキア植物は、寄託系統の後代系統であってもよい。前記後代系統は、後代系統の植物個体でもよいし、後代系統の植物個体の部分または後代系統の種子でもよい。
【0215】
本開示において、「後代系統」または「後代ルドベキア植物」(以下、あわせて「後代系統」という)は、寄託系統のルドベキア植物またはその後代系統から得られる植物である。本開示において、前記後代系統は、前記寄託系統と、別の寄託系統もしくは他のルドベキア植物との交雑、または前記寄託系統と野生のルドベキア植物との交雑から得られた植物でもよい。また、前記後代系統は、前記寄託系統もしくはその後代系統を他家受粉することにより直接または間接的に取得するか、取得しうるか、または由来してもよいし、他家受粉などの伝統的な育種方法を使用して、寄託系統から得られた親系統に由来してもよい。前記後代系統は、例えば、第1世代ハイブリッドF1(雑種第1代系統、F1ハイブリッド)、戻し交雑後代系統等があげられる。前記後代系統の取得において、前記寄託系統は、前述のように、細胞質雄性不稔性を示す。このため、前記寄託系統は、雌親として用いる。
【0216】
本開示において、「交雑」は、2つの親系統の交雑を意味する。前記交雑は、「他家受粉」でもよいし、「自家受粉」でもよい。本開示において、前記交雑が細胞質雄性不稔性を示す植物と組合わせて用いられる場合、前記交雑は、他家受粉を意味する。前記前記他家受粉は、異なる植物に由来する2つの配偶子が結合することによる受精を意味する。前記自家受粉は、花粉が、同じ植物の葯から柱頭に移動することを意味する。前記自家受粉は、例えば、自殖ということもできる。前記交雑は、伝統的な育種法の1つである戻し交雑を含んでもよい。
【0217】
前記「戻し交雑」は、伝統的な育種技術の1つであり、ブリーダーがハイブリッドの後代系統を繰り返し親系統の1つに戻し交雑し、植物または品種に形質を導入する方法である。前記導入する形質を含む植物は、例えば、ドナー植物(供与親)ということできる。また、前記形質が導入される植物は、例えば、反復親(recurrent parent)ということができる。前記戻し交雑では、ドナー植物と反復親とを交雑することにより実施でき、これにより、第1世代ハイブリッドF1(雑種第1代系統、F1ハイブリッド)が取得できる。つぎに、前記形質を有する後代系統を、反復親と交雑する。そして、数世代の戻し交雑をすることで、前記反復親に、ドナー植物の形質を導入できる。本開示のルドベキア植物は、前記ドナー植物して利用してもよい。
【0218】
本開示において、前記後代系統は、前記寄託系統由来の細胞培養物もしくは組織培養物、プロトプラストまたは植物個体の部分から再生してもよいし、前記寄託系統の自殖によって取得してもよいし、前記寄託系統の植物個体から種子を生産することによって取得してもよい。
【0219】
本開示において、前記「再生」は、細胞培養物、組織培養物またはプロトプラストからの植物の発生または栄養繁殖を意味する。
【0220】
前記「組織培養物」または「細胞培養物」は、同じまたは異なるタイプの単離された細胞を含む組成物であってもよいし、植物の部分に組織化される細胞の集合体であってもよい。ルドベキア植物のさまざまな組織の組織培養物および前記組織培養物からの植物の再生方法は、よく知られており、例えば、下記参考文献1を参照できる。
参考文献1:P. Szarvas et.al., “Biotechnology of annual flower plants: Micropropagation of Rudbeckia sp”, Acta Horticulturae, 2006, vol. 725, pages 527-548
【0221】
前記寄託系統における細胞質雄性不稔性は、優性の遺伝性の形質であり、雄親との交雑により、後代系統には、細胞質雄性不稔性である雌親の細胞質が引き継がれる。このため、前記後代系統は、細胞質雄性不稔性を有する。
【0222】
前記後代系統は、所望の形質を有してもよい。前記後代系統は、例えば、同一の栽培条件で栽培した場合に、「寄託系統と本質的にすべての生理学的および形態学的特徴」を有してもよい。
【0223】
前記後代系統は、対応する寄託系統に由来する、少なくとも1セットの染色体を含む細胞を含んでもよい。前記後代系統は、例えば、そのアリル(対立遺伝子)の少なくとも6.25%、12.5%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%が、対応する寄託系統由来でもよい。すなわち、前記後代系統は、対応する寄託系統と、少なくとも約6.25%、12.5%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%の遺伝的相補性(genetic complement)を有してもよい。
【0224】
前記「アリル(対立遺伝子)」は、1または複数の遺伝子のいずれかであり、そのすべてがルドベキア植物の特性または形質に関連している。二倍体の細胞または生物では、所定の遺伝子の一対のアリルが、一対の相同染色体上の対応する遺伝子座を占める。
【0225】
前記遺伝的相補性は、例えば、分子マーカーまたは塩基配列を解読し、寄託系統の分子マーカーまたは塩基配列と比較し、一致率を計算することにより算出できる。前記分子マーカーは、例えば、SNP(一塩基多型)マーカー、増幅断片長多型(AFLP)マーカー、制限酵素断片長多型(RFLP)マーカー、マイクロサテライトマーカー、sequence-characterized amplified region (SCAR)マーカー、cleaved amplified polymorphic sequence (CAPS)マーカー等があげられる。前記分子マーカーを用いたゲノムの解析方法は、よく知られており、広く公開されている(例えば、下記参考文献2および3)。前記塩基配列の解読は、例えば、前記後代系統から染色体を抽出し、前記染色体に対してシークエンスを行なうことにより実施できる。前記寄託系統由来のアリルの割合および遺伝的相補性の割合は、例えば、交雑回数により推定してもよい。この場合、前記割合は、寄託系統からの交雑回数から推定できる。具体例として、前記寄託系統からの交雑回数がn回の場合、前記割合は、例えば、(1/2)n×100%と推定できる。
参考文献2:Sinchan Adhikari et.al, “Application of molecular markers in plant genome analysis: a review”, The Nucleus, 2017, Volume 60, Issue 3, pp. 283-297
参考文献3:Elcio P. Guimaraes et.al., “MARKER-ASSISTED SELECTION Current status and future perspectives in crops, livestock, forestry and fish”, 2007, Springer, 29-49
【0226】
前記寄託系統由来のアリルおよび遺伝的相補性の割合は、例えば、複数の後代系統の割合の平均値であることが好ましい。前記複数は、例えば、統計学的な検討が可能な個体数であり、具体例として、200個体以上であり、好ましくは、200~1000個体である。
【0227】
前記後代系統は、前記寄託系統に由来するSNPを有してもよい。前記後代系統は、例えば、そのSNPの少なくとも6.25%、12.5%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%が、前記寄託系統由来でもよい。すなわち、前記後代系統は、前記寄託系統と、少なくとも約6.25%、12.5%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%のSNPが一致してもよい。本開示において、対象のルドベキア植物が、例えば、50%、55%、60%、65%、70%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%以上のSNPが、前記寄託系統のSNPと一致する場合、前記対象のルドベキア植物は、前記寄託系統の後代系統であると判定(判別、推定、鑑定、または鑑別)できる。
【0228】
前記後代系統は、例えば、変異または導入遺伝子を有してもよい。この場合、前記後代系統は、例えば、1以上の形質が修飾されている。前記後代系統は、例えば、前記寄託系統またはその後代系統に対して、変異の導入または導入遺伝子の導入により、作製できる。前記変異は、人為的に導入されてもよいし、自然に導入されてもよい。前記変異は、例えば、化学物質誘導性の変異でもよいし、放射線誘導性の変異でもよい。また、前記変異は、例えば、分子生物学的手法またはゲノム編集技術により導入されてもよい(例えば、下記参考文献4)。前記導入遺伝子は、例えば、アグロバクテリウム属(Agrobacterium tumefaciens)を用いる方法(例えば、下記参考文献4)等により導入できる。
参考文献4:Yanfei Mao et.al., “Gene editing in plants: progress and challenges”, National Science Review, 2019, vol. 6, pp. 421-437
【0229】
前記導入遺伝子(transgene)は、例えば、遺伝子工学的手法または伝統的な育種方法により、植物のゲノム内に導入された所望の遺伝子を意味する。前記導入遺伝子は、例えば、同一種に由来してもよいし、異なる種に由来してもよい。また、前記導入遺伝子は、由来の種と同一の塩基配列を含む遺伝子でもよいし、異なる塩基配列を含む遺伝子でもよい。後者の場合、異なる塩基配列は、例えば、前記同一の塩基配列に対して、コドン最適化、プロモーター等の転写制御因子の付加等を実施することにより調製できる。前記導入遺伝子は、翻訳領域と非翻訳領域とを含んでもよい。
【0230】
<半数体および倍加半数体植物>
本開示のルドベキア植物は、前記寄託系統から取得された、取得可能な、または誘導された半数体植物および/または倍加半数体植物であってもよい。前記寄託系統の半数体植物および/または倍加半数体植物は、前記寄託系統の親系統を生産する方法において使用してもよい。一実施形態において、本開示は、半数体植物および/または倍加半数体植物の植物、半数体植物および/または倍加半数体植物の植物部分、または半数体植物および/または倍加半数体植物の種子を提供してもよい。
【0231】
前記倍加半数体植物は、半数体植物または細胞において染色体を倍加することにより製造できる。具体例として、半数体である細胞質を、所定の条件下で培養することで染色体が1nの小植物体(plantlets)を形成させる。つぎに、前記小植物体に対して、例えば、コルヒチン等の化学物質で処理することにより、染色体を倍加させる。これにより、前記小植物体の細胞は、染色体が2nになる(倍加半数体)。そして、前記処理後の小植物体を生育することで、前記倍加半数体植物およびその後代系統を取得することができる。
【0232】
<ルドベキア植物の製造方法>
本開示のルドベキア植物の製造方法は、前述のように、第1のルドベキア植物と、第2のルドベキア植物とを交雑する交雑工程を含み、前記第1のルドベキア植物は、前記本開示のルドベキア植物である。本開示の製造方法は、前記交雑工程における親の少なくとも一方に、前記本開示のルドベキア植物を用いることが特徴であり、その他の工程および条件は、特に制限されない。
【0233】
また、本開示のルドベキア植物の製造方法は、前記本開示のルドベキア植物を交雑(他家受粉)させる交雑工程を含む。本開示の製造方法は、前記本開示のルドベキア植物を交雑させることが特徴であり、その他の工程および条件は、特に制限されない。
【0234】
本開示の製造方法によれば、前記寄託系統の後代系統を製造できる。本開示の製造方法は、本開示のルドベキア植物の説明を援用できる。
【0235】
本開示において、前記第1のルドベキア植物(第1の親系統)と前記第2のルドベキア植物(第2の親系統)との交雑は、異なる個体間の交雑(他家受粉)である。
【0236】
本開示において、前記第1の親系統は、前記本開示のルドベキア植物であり、例えば、前述の受託番号FERM BP-22428で寄託されたルドベキア植物またはその後代系統である。
【0237】
前記第2の親系統は、特に制限されず、任意のルドベキア植物を使用できる。前記第2の親系統は、例えば、前記第1の親系統と、分類学上、同じ種のルドベキア植物でもよいし、異なる種のルドベキア植物でもよい。前記第2の親系統は、例えば、雄性可稔性のルドベキア植物である。
【0238】
本開示の製造方法は、例えば、前記交雑工程の後、さらに、前記交雑工程で得られた後代系統を育成する育成工程を含んでもよい。前記育成工程における育成条件は、例えば、ルドベキア植物における一般的な育成条件があげられる。
【0239】
本開示のルドベキア植物は、例えば、前記本開示の製造方法により得ることができる。
【0240】
<ルドベキア植物の種子の生産方法>
本開示は、ルドベキア種子の製造方法を提供する。本開示のルドベキア種子の製造方法は、前記寄託系統のルドベキア植物を、別のルドベキア植物と交雑させる工程と、その結果得られる種子を任意で採種(収集または収穫)する工程とを含む。本開示の種子の製造方法は、ルドベキア植物の種子を生育させることにより、植物、植物部分または種子を提供してもよい。
【0241】
本開示の種子の生産方法は、前記寄託系統に由来する種子の生産方法であってもよい。この場合、本開示の種子の生産方法は、(a)前記寄託系統の植物を別のルドベキア植物と交雑して種子を生産する工程を含んでもよい。本開示の種子の生産方法は、さらに、(b)前記(a)工程の種子からルドベキア植物を栽培して、前記寄託系統に由来するルドベキア植物を生産する工程と、(c)前記(b)工程のルドベキア植物を、別のルドベキア植物と交雑し、前記寄託系統に由来する追加のルドベキア植物を作出する工程とを含んでもよい。さらに、本開示の種子の生産方法は、(d)任意に、前記(b)工程および前記(c)工程を1回以上繰り返し、前記寄託系統に由来するさらなるルドベキア植物を生産してもよい。この場合、前記(b)工程における前記(a)工程の種子から栽培したルドベキア植物としては、前記(c)工程で得られた追加のルドベキア植物を用いることができる。前記「1回以上」は、例えば、1回~10回、3回~7回、3回~5回である。本開示の種子の生産方法は、さらに、種子を収集または収穫する工程を含んでもよい。本開示の種子の生産方法は、上記の方法によって生産された種子、および種子を生育させることによって得られる植物または植物個体の部分を提供してもよい。
【0242】
本開示の種子の生産方法は、さらに、(e)前記(b)工程のルドベキア植物の生産、前記(c)工程の追加のルドベキア植物の作出、または前記(d)工程において得られる前記寄託系統に由来するさらなるルドベキア植物の作出において、細胞質雄性不稔性を有する後代系統を特定してもよい。この場合、本開示の種子の生産方法は、以降の工程において、細胞質雄性不稔性を有する後代系統を交雑対象のルドベキア植物として用いることが好ましい。前記「特定」は、例えば、識別、鑑定、同定、選択、または選抜ということもできる。前記後代系統が有する細胞質雄性不稔性は、好ましくは、由来する寄託系統と同じであり、前述の説明を援用できる。
【0243】
<雑種ルドベキア植物の生産方法>
本開示は、ハイブリッド(雑種)ルドベキア植物を生産する方法を提供する。本開示の雑種植物の生産方法では、本開示のルドベキア植物を別のルドベキア植物と交雑させる工程を含む。本開示の雑種植物の生産方法では、交雑により得られた種子を収集または収穫する工程を含んでもよい。また、本開示の雑種植物の生産方法は、上記の方法により生産された種子および雑種植物または雑種植物個体の部分を提供してもよい。
【0244】
<新たな形質の導入方法>
本開示は、前記寄託系統に少なくとも1つの新しい特性または形質(以下、あわせて、「形質」という)を導入する方法を提供する。本開示の形質の導入方法は、例えば、新たな形質が導入されたルドベキア植物の生産方法ということもできる。本開示の形質の導入方法は、例えば、(a)前記寄託系統の植物を、後代系統を作出するために、少なくとも1つの新しい形質を含むルドベキア植物と交配させる工程と、(b)少なくとも1つの新しい形質を含む後代系統を選択する工程とを含む。本開示の形質の導入方法は、例えば、(c)前記後代系統を、前記寄託系統と細胞質雄性不稔性以外の形質について、前記寄託系統と本質的にすべての生理学的および形態学的特徴を有するルドベキア植物と交雑し、戻し交雑後代の種子を生産する工程と、(d)少なくとも1つの新しい形質と、任意に、細胞質雄性不稔性とを有する戻し交雑後代を選択する工程とを含む。前記(b)および(d)工程において、新たな形質を有する後代系統の選択(選抜)は、例えば、前記形質を検出することにより実施してもよいし、前記形質と関連(連鎖)する遺伝子または分子マーカーを検出することにより実施してもよい。前記新たな形質は、例えば、病原菌に対する抵抗性等があげられる。
【0245】
前記(b)工程では、少なくとも1つの新しい形質を含み、任意に、細胞質雄性不稔性を示すルドベキア植物を選択することが好ましい。前述のように、前記細胞質雄性不稔性を有するルドベキア植物を雌親とした場合、得られる後代系統は、細胞質雄性不稔性を示す。このため、前記後代系統の選択においては、細胞質雄性不稔性の有無を検討してもよいし、検討しなくてもよい。
【0246】
前記(d)工程では、少なくとも1つの新しい形質と、任意に、細胞質雄性不稔性とを有し、前記(a)工程の寄託系統と本質的にすべての生理学的および形態学的特徴を有する後代系統を選択してもよい。
【0247】
本開示の形質の導入方法は、(e)任意に、前記(c)工程および(d)工程を1回以上繰り返して、少なくとも1つの新しい形質を含むルドベキア植物を生産してもよい。この場合、本開示の形質の導入方法は、前記(c)工程における前記後代系統としては、前記(d)工程で選択された戻し交雑後代を用いることができる。前記(e)工程で取得された、または取得可能なルドベキア植物は、細胞質雄性不稔性を示してもよく、さらに、前記(a)工程の寄託系統と本質的にすべての生理学的および形態学的特徴のすべてを有してもよい。前記「1回以上」は、例えば、1回~10回、3回~7回、3回~5回である。本開示の形質の導入方法は、種子を収集または収穫する工程を含んでもよい。本開示の形質の導入方法は、上記の方法により生産された種子、および種子を生育させることによって得られる植物または植物個体の部分を提供してもよい。
【0248】
<導入遺伝子の導入方法>
本開示は、少なくとも1つの新しい特性または形質を含む、寄託系統に由来する植物を生産する方法を提供する。本開示の導入遺伝子の導入方法は、例えば、新たな形質が導入されたルドベキア植物の生産方法ということもできる。
【0249】
本開示の導入遺伝子の導入方法は、例えば、少なくとも1つの新しい形質を付与する突然変異または導入遺伝子を寄託系統またはその後代系統の植物に導入する工程を含む。前記変異または導入遺伝子の導入は、例えば、前記後代系統における変異または導入遺伝子の導入と同様にして実施できる。前記導入工程により取得された、または取得可能なルドベキア植物は、細胞質雄性不稔性を示してもよく、さらに、前記寄託系統と本質的にすべての生理学的および形態学的特徴のすべてを有してもよい。本開示の導入遺伝子の導入方法は、種子を収集または収穫する工程を含んでもよい。本開示の導入遺伝子の導入方法は、上記の方法により生産された種子、および種子を生育させることによって得られる植物または植物個体の部分を提供してもよい。前記新たな形質は、例えば、病原菌に対する抵抗性等があげられる。
【0250】
<ルドベキア植物の再生体および再生方法>
本開示は、寄託系統の細胞培養物、組織培養物、またはプロトプラストから再生されたルドベキア植物(以下、「再生体」という)を提供する。本開示は、再生可能な細胞の細胞培養物もしくは組織培養物、または寄託系統のルドベキア植物に由来するプロトプラストを提供してもよい。前記細胞、組織またはプロトプラストは、葉、胚、子葉、胚軸、分裂組織細胞、根、根端、葯、花、種子または幹を含む組織に由来してもよい。
【0251】
本開示は、寄託系統のルドベキア植物の増殖または繁殖の方法を提供する。前記寄託系統のルドベキア植物の繁殖は、前記寄託系統のルドベキア植物の栄養繁殖であってもよい。この場合、本開示のルドベキア植物の再生方法は、例えば、(a)寄託系統の植物から増殖することができる組織を収集する工程と、(b)前記組織を培養して増殖したシュート(shoot)を取得する工程と、(c)前記増殖したシュートを発根させ、発根した小植物(plantlet)を取得する工程とを含む。本開示のルドベキア植物の再生方法は、さらに、(d)任意に、発根した小植物から植物を生育させる工程を含んでもよい。前記栄養繁殖の方法は、例えば、下記参考文献5を参照できる。本開示の再生方法は、例えば、上記の方法により再生(生産)された小植物、植物または植物個体の部分を提供してもよい。前記植物は、前記寄託系統と本質的にすべての生理学的および形態学的特徴のすべてを有してもよい。前記「本質的にすべての生理学的および形態学的特徴」は、前記後代系統の説明において、「後代系統」を「再生された植物」に読み替えて、その説明を援用できる。
参考文献5:Habtamu Gudisa Megersa, “Propagation Methods of Selected Horticultural Crops by Specialized Organs: Review”, Journal of Horticulture, 2017, Volume 4, Issue 2, 1000198
【0252】
<ルドベキア植物の収穫物および加工品>
本開示は、寄託系統または後代系統の収穫物および/または加工品を提供する。前記収穫物は、植物全体または植物個体の部分であり、好ましくは、花;花、葉および/または茎;または種子を含む。
【0253】
前記加工品は、前記寄託系統または後代系統を処理した任意の製品が含まれる。前記処理は、特に制限されず、例えば、カット、スライス、粉砕(ground)、ピューレ、乾燥、缶詰、瓶詰め、洗浄、包装、冷凍および/または加熱処理等があげられる。前記寄託系統または後代系統において、前記加工品に用いられる植物または植物個体の部分は、例えば、花である。前記加工品は、例えば、前記寄託系統または後代系統を洗浄し、包装したものでもよい。
【0254】
<遺伝子型の決定方法>
本開示は、寄託系統または後代系統の遺伝子型を決定または検出する方法を提供する。本開示の遺伝子型の決定方法は、例えば、(a)寄託系統または後代系統から核酸サンプルを入手する工程と、(b)核酸サンプル中のゲノムを検出する工程とを含む。前記(a)工程において、前記寄託系統または後代系統からの核酸の調製方法は、組織から核酸を調製する一般的な核酸の調製方法を用いて実施できる。前記(b)工程では、例えば、前記核酸サンプル中のゲノムにおける多型および/またはアリルを検出する。前記多型および/またはアリルの検出は、例えば、SNP(一塩基多型)ジェノタイピング、増幅断片長多型検出(AFLP)、ゲノムDNAの制限酵素断片長多型識別(RFLP)、ゲノムDNAのsequence-characterized amplified region detection (SCAR)、ゲノムDNAのcleaved amplified polymorphic sequence detection (CAPS)、ゲノムDNAのrandom amplified polymorphic detection (RAPD)、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、DNAシーケンス、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチド(allele specific oligonucleotide 、ASO)プローブ、またはDNAマイクロアレイ等を用いて実施できる。前記多型および/またはアリルの検出は、例えば、前記ゲノムの塩基配列をシークエンスすることにより実施してもよいし、前述のように、寄託系統のSNPを参照して実施してもよい。前記(b)工程では、前記ゲノムDNAにおける1つの多型および/またはアリルを検出してもよいし、2つ以上の多型および/またはアリルを検出してもよい。本開示の遺伝子型の決定方法は、多型および/またはアリル(対立遺伝子)の検出結果をコンピュータ可読媒体に保存する工程を含んでもよい。本開示は、そのような方法によって生成されたコンピュータ可読媒体を提供してもよい。前記ゲノムは、例えば、ミトコンドリアゲノムがあげられる。前記ゲノムDNAは、例えば、ミトコンドリアゲノムDNAがあげられる。
【0255】
本開示の遺伝子型の決定方法は、例えば、前記寄託系統または前記後代系統に代えて、任意のルドベキア植物(対象ルドベキア植物)に対して実施してもよい。この場合、本開示の遺伝子型の決定方法は、例えば、さらに、前記(b)工程の結果に基づき、前記対象ルドベキア植物が、前記後代系統であるかを判定する工程を含んでもよい。前記判定は、例えば、判別、推定、鑑定、または鑑別ということもできる。前記判定は、例えば、前記(b)工程の結果と、前記寄託系統の遺伝子型との一致率に基づき判断できる。
【実施例0256】
以下、実施例を用いて本開示を詳細に説明するが、本開示は実施例に記載された態様に限定されるものではない。
【0257】
[実施例1]
新規な不稔性ルドベキア属植物について、雄性不稔性を示すことを確認した。また、前記雄性不捻性のルドベキア植物から寄託系統のルドベキア植物を育種し、寄託系統のミトコンドリア遺伝子群から、細胞質不稔性の原因遺伝子(配列番号1)を特定した。
【0258】
(1)寄託系統の育成および細胞質雄性不捻性の確認
雄性不稔性を示す新規ルドベキア属植物を開発するために、滋賀県湖南市のタキイ種苗株式会社農場で継代育種により採取された大量のルドベキア(Rudbeckia hirta)植物群の種子について、育種を行い、不稔性の試験を行った。その結果、花粉が全く生じず、雄性不稔性を有すると推定される新規の雄性不稔性ルドベキア系統(雄性不捻性系統)を得た。前記雄性不稔性系統と、タキイ種苗株式会社保有の可稔性のルドベキア植物(Rudbeckia hirta cv.ローランド、可稔性系統)の花粉とを交雑することで、種子を得た。得られた種子について育種を行い、ルドベキア属植物50個体について、花粉が生じるかを指標に雄性不稔性の試験を行った。この結果、全ての個体について、花粉が生じず、雄性不稔性を示すことがわかった。以上のことから、前記雄性不稔性は、母系由来の細胞質雄性不稔であると推定された。
【0259】
つぎに、前記不捻性系統について、前記可稔性系統を戻し親とし、3度の戻し交雑を行い、寄託系統(RdCMS系統)を作出した。前記寄託系統は、受託番号FERM BP-22428で寄託した。前記戻し交雑において、いずれの世代のルドベキア植物も雄性不稔性を保持していた。以上のことから、前記雄性不稔性は、母系遺伝の細胞質雄性不稔であることがわかった。前記RdCMS系統および前記可稔性系統(RdMF)の花の写真を
図1に示す。
【0260】
図1は、ルドベキア植物の花を示す写真である。
図1において、(A)は、前記寄託系統(RdCMS系統)のルドベキア植物の花の写真であり、(B)は、前記可稔性系統(R.hiruta、RdMF系統)のルドベキア植物の花の写真である。
図1に示すように、前記可稔性系統では、花粉を生じているのに対し、前記寄託系統では、花粉を生じていないことがわかった。
【0261】
(2)寄託系統を用いた細胞質雄性不捻系統の育種
細胞質雄性不捻系統の育種には、複数種類のルドベキア植物群の可稔性系統と、前記寄託系統(RdCMS系統)とを使用した。具体的には、前記ルドベキア植物群の雄性可稔性系統は、形質的に雑駁な母集団から選抜され、かつ所望の栽培上の形質が共通する5~20程度の個体を、無作為に相互交雑し、採種を行った。以後同様に、選抜と交雑を数世代繰り返すことで、雄性可稔性の固定系統(26系統)を得た。前記26系統と、前記寄託系統(RdCMS系統)とを交雑し、F1世代を得た。前記F1世代の各組み合わせについて、24個体ずつ栽培を行った。その結果、前記組み合わせの全ての個体が、雄性不稔性を示すことがわかった(BC1系統)。以上のことから、RdCMS系統の雄性不稔性遺伝子は、様々な系統との組み合わせで雄性不稔性を示しうることがわかった。前記26系統の中から、種子生産能力の高い系統(S1系統)を選抜した。前記S1系統を反復親として、前記雄性不稔性系統と、4回の戻し交雑を行い、戻し交雑後代系統(BC5系統)を得た。前記BC5系統と、前記S1系統との形質が、雄性不稔性を除き、同様になったことを確認し、前記BC5系統を形質の固定した雄性不稔系統(SMS1系統)とした。また、S1系統を、SMS1系統の維持系統(花粉親)とした。
【0262】
(3)F1品種の育成
実施例1(2)の方法で作出したSMS1系統を雌親とし、可稔性の固定系統(SSS系統)を雄親として、人工的に交雑を行って雑種一代(F1_MS1系統)を得た。前記SSS系統は、前記S1系統と異なる系統とした。前記F1_MS1系統について、100個体栽培した。この結果、全ての前記個体が雄性不稔性を示した。前記F1_MS1系統の写真を
図2に示す。
【0263】
図2は、F1_MS1系統のルドベキア植物の植物体の写真である。
図2に示すように、各個体の形質が、個体間で均一であったことから、自殖種子の混入は生じていないことがわかった。以上のことから、SMS1系統を交雑親として仕様することで、細胞質雄性不稔性F1品種を容易に育種できることがわかった。
【0264】
また、より効率的なF1系統の採種法を確立するために、前記SMS1系統と前記SSS系統の交雑に、ミツバチを使用できるかを検討した。前記SMS1系統およびSSS系統を栽培するビニルハウス内で、ミツバチにより、前記SMS1系統およびSSS系統との交雑を行なった。前記ミツバチによる交雑後、雌系統(SMS1系統)のみから採種を行い、雑種第一代(F1_MSH系統)を得た。前記F1_MS1系統と前記F1_MSH系統は、同じ条件で播種を行い、各100個体を栽培した。その結果、前記F1_MSH系統の各個体と、前記F1_MS1系統の各個体との間において、系統間の差異は認められなかった。以上のことから、ミツバチを用いてもF1系統の採種が可能であることをわかった。
【0265】
(4)寄託系統のミトコンドリア遺伝子の推定
細胞質雄性不捻は、雌親のミトコンドリア遺伝子に起因することが知られている。そこで、実施例1(1)の方法で作出した寄託系統(RdCMS系統)、および前記可稔性系統(RdMF系統、26系統)の全ミトコンドリアの塩基配列を特定し、前記塩基配列を比較することにより、細胞質雄性不捻の原因遺伝子を推定した。具体的には、前記RdCMS系統および前記RdMF系統の5gの生鮮葉からミトコンドリアを精製した。前記ミトコンドリアの精製は、下記参考文献6に記載の方法で行った。前記精製後、精製されたミトコンドリアからDNAを抽出した。前記DNAの抽出は、下記参考文献6に記載の方法で行った。得られたミトコンドリアDNAと、10kb Template Preparation and Sequencing with Low-Input DNA(Pacificaioscience社製)とを用いて、添付のプロトコルに従って、前記各系統の抽出されたDNAのシーケンシングを行った。具体的には、前記抽出後DNAを添加した、ゲノムDNA溶液(1μg相当、液量150μl)を、g-TUBE(Covaris社製)を使用して、6110rpm、1分間の条件で遠心分離を行った。前記遠心分離後、0.45倍量のAMPure PB(Pacificaioscience社製)を用いて精製した。前記精製後、DNA中のダメージを修復後、DNA末端を平滑化し、さらに、SMRTbellアダプタを付加した。つぎに、得られたDNAは、Sequelシステム(Pacificaioscience社製)を使用して、塩基配列の解析を行った。前記解析で得られた塩基配列データは、HGAP4(Pacificaioscience社製)およびOrganella_PBA(下記参考文献7を参照)を用いて、塩基配列のアセンブリを行った。前記HGAP4を用いた配列のアセンブリでは、両系統共に3つの仮想ゲノムが構築された。また、前記Organella_PBAを用いた配列のアセンブリでは、両系統共に1つの仮想ゲノムが構築された。前記アセンブリ後、得られた塩基配列は、ヒマワリのミトコンドリアのゲノムの塩基配列(アクセッション番号:CM007908、およびNC_023337)と比較した。前記ヒマワリは、ルドベキア植物と同じキク科の植物である。前記ヒマワリのミトコンドリアのゲノムの塩基配列と、相同性を示した塩基配列を、各系統のルドベキアの仮想ミトコンドリアゲノムの塩基配列とみなし、仮想ミトコンドリアゲノムを構築した。各系統について、構築された前記仮想ミトコンドリアゲノムを、比較した。この結果を
図3に示す。
参考文献6:Triboush, et al., “A method for isolation of chloroplast DNA and mitochondrial DNA from sunflower”, Plant molecular biology reporter, 16.2 (1998): 183.
参考文献7:Soorni, et al. “Organelle_PBA, a pipeline for assembling chloroplast and mitochondrial genomes from Pacaio DNA sequencing data.”, BMC genomics (2017): 18: 49
【0266】
図3は、2つのプログラムにより構築された各系統ミトコンドリアゲノムを比較したグラフである。
図3において、(A)は、寄託系統(RdCMS系統)の仮想ミトコンドリアゲノムの結果を示し、(B)は、通常細胞質系統(RdMF系統)の仮想ミトコンドリアゲノムの結果を示す。
図3(A)および(B)において、縦軸は、Organella_PBAで構築された仮想ミトコンドリアゲノムを示し、横軸は、HGAP4で構築された仮想ミトコンドリアゲノムを示す。
図3に示すように、前記RdCMS系統と、前記RdMF系統は、共に、Organella_PBAで構築された仮想ミトコンドリアゲノムと、HGAP4で構築された仮想ミトコンドリアゲノムは、ほぼ一致していた。
【0267】
細胞質雄性不稔遺伝子は、キメラ遺伝子や遺伝子の機能欠損変異により生じることが示唆されている(参考文献8)。そこで、前記RdCMS系統と、前記RdMF系統の間での、遺伝子の変異を特定するために、各前記仮想ミトコンドリアゲノムについて、既知のミトコンドリア遺伝子の情報に基づく遺伝子予測を行った。前記遺伝子予測には、Mitofy(参考文献9)を使用した。また、各前記仮想ミトコンドリアゲノムについて、getORF(https://www.bioinformatics.nl/cgi-bin/emboss/getorf)により、遺伝子予測を行った。Mitofyと、getORFから得た各仮想ゲノムから予測された遺伝子について、アミノ酸配列を基に、CD-HIT(https://github.com/weizhongli/cdhit)により、重複のない遺伝子セットを構築した。具体的には、各遺伝子のアミノ酸配列の50%以上の長さにおいて、90%以上の相同性を示す遺伝子を、重複する同一遺伝子とした。その結果、前記RdCMS系統と、前記RdMF系統から、合計47個の遺伝子が、予測された。前記47遺伝子セットの、各仮想ミトコンドリアゲノム上の位置は、Simple Synteny(参考文献10)により、可視化した。
参考文献8:Touzet, Pascal, and Etienne H. Meyer. "Cytoplasmic male sterility and mitochondrial metabolism in plants." Mitochondrion 19 (2014): 166-171.
参考文献9:Alverson, et al., "Insights into the evolution of mitochondrial genome size from complete sequences of Citrullus lanatus and Cucurbita pepo (Cucurbitaceae)." Molecular biology and evolution 27.6 (2010): 1436-1448.
参考文献10:Veltri, et al., "SimpleSynteny: a web-based tool for visualization of microsynteny across multiple species." Nucleicacids research 44.W1 (2016): W41-W45.
【0268】
つぎに、前記RdCMS系統と、前記RdMF系統から、予測された前記47遺伝子について、BLAST(https://blast.ncai.nlm.nih.gov/Blast.cgi)により、前記二つの系統間でのアミノ酸配列の比較を行った。具体的には、各系統の仮想ミトコンドリアゲノムについて、データベースを作成した。前記データベースをサブジェクトとし、前記RdCMS系統と前記RdMF系統とから、予測された前記47遺伝子をクエリとし、相同性解析を行った。前記両系統間で、各遺伝子のアミノ酸配列の60%以上の長さにおいて、90%以上の相同性を示す遺伝子を、前記両系統で共通に存在する遺伝子とした。また、前記共通に存在する遺伝子以外の遺伝子を、前記両系統のどちらかの系統に特異的な遺伝子とした。これらの結果を、
図4に示す。
【0269】
図4は、Organella_PBAまたはHGAP4を用いて構築した、各系統のミトコンドリアゲノム上に予測された遺伝子を示した図である。
図4に示すように、前記47遺伝子セットのうち、40遺伝子セットが、前記両系統に共通して存在する遺伝子であった。また、前記47遺伝子セットのうち、7遺伝子セットが、前記両系統に共通して存在しない遺伝子であった。一部の遺伝子については、前記RdCMS系統と、前記RdMF系統との間で、遺伝子の並びが同一であった。多くの遺伝子については、前記RdCMS系統と、前記RdMF系統の遺伝子の並びは、保存されていなかった。
【0270】
また、一方の系統にしか存在しなかった前記7遺伝子のうち、前記RdCMS系統に存在し、前記RdMF系統に存在しなかった遺伝子は6遺伝子(ORF1、ORF2、ORF3、ORF6、ORF7、RPS7)であった。前記ORF1は、DNA-dependent RNA polymeraseと高い相同性を示した。前記ORF2と、前記ORF6とは、DNA polymeraseと高い相同性を示した。前記ORF3は、ATP合成ドメインを持つATP6と相同性を示す遺伝子であった。前記ORF7は、機能未知の遺伝子であった。一方の系統にしか存在しなかった前記7遺伝子のうち、前記RdCMS系統に存在せず、前記RdMF系統に存在した遺伝子は1遺伝子(ATP6)であった。
【0271】
ATP6は、いくつかの植物で、細胞質雄性不稔性(CMS)の原因となっていることが、知られている。また、前記RdCMS系統に特異的に存在する遺伝子には、前記RdMF系統に特異的に存在する遺伝子(ATP6)と相同性を示す遺伝子ORF3が存在していた。このため、ATP6と相同性を有するORF3が、細胞質雄性不稔性(CMS)に寄与していると考えられた。そこで、RdMF系統で見出された前記ATP6(配列番号3)と、RdCMS系統で見出された前記ORF3(配列番号1)の塩基配列を比較した。比較した結果を、
図5に示す。
【0272】
図5は、RdMF系統のATP6と、RdCMS系統のORF3の塩基配列を比較した模式図である。
図5に示すように、翻訳開始点を1番目のアミノ酸とした場合、ATP6の763~1512番目の翻訳停止コドンまでの塩基配列は、ORF3の340~1089番目の翻訳停止コドンまでの塩基配列と、完全に一致していた。また、ATP6の1~762番目の塩基配列と、ORF3の1~339番目の塩基配列とは、互いに一致していなかった。ATP6との一致点が認められなかった、ORF3の1~339番目の塩基配列、および翻訳開始点を基準(0番目)として上流の1~679番目の塩基配列(配列番号8)は、HGAP4で構築されたRdMF系統の仮想ミトコンドリアゲノム(コンティグ:MF1_00001F、配列番号9)の24133~24819番目に同一の塩基配列が存在した。以上のことから、RdCMS系統のORF3は、ATP6と、RdMF系統に存在する他の領域の塩基配列とが融合した、キメラ遺伝子となっていることが示唆された。
【0273】
ORF3の翻訳開始点前後の塩基配列(配列番号18の塩基配列)
5'-TGCCTATGAAAAGAATGCTTTGGAATTGTATAAGAGCAGGCTGTGATGCGAGGACTCTCAGGGACCTACTTAAGTCTGCGATCACTCTAAAAGCGGATAGGACCAAACCTTTTATTCCCCTAGCAGCGGTTATGTCTCAAACCACCGGCAACAGGTTGCGCTCCTACGATCACACCTTCTCTTGCAAACATAGCACTGGATGGAAGGTATGCTTCACCGGCCTCGTTTAACACCATGCTTCCTCCGAAGCTTTCATCTGAGTAGTCACTACGCCCTACCCTATCGCTGAGTCTTTGGAAGTTCACTCCTTTATAGGTCGGAACTCTGGAACCTAAAGACTTTCTCAATCAGACAGGATAGATGGATTGAGTGCGCGTTGCCTTGATTTGAGGTGAACTCCTTTTCCTCTTCTTCCGGACCGGACCCTTCCATGTGAGAAGCTGGAAGTCGAGTTATTGATGAATGAGAATCTAATGTCTTATTAAACCTTTAGGAGCGATCTGTTCATCCAACTCGAAATATCGTAAGTAAGAGAAGAAGAAGAATCTGACGCCCAAAACTCCCGTGTCTTTCTTGGTTGGACCAACCGGCGAAATCAGTCTTCCTGAATTGGAAGAGCAAGAACAAGTCTCTCCGTTTTTTTGGGGGAGCAGAGCAGTCAAAGAATGAAACAGATCAAATGAGAGAGTTGATTGAGATGATTTATAAGGCGGTTAAGGACAATAAAAGCTTTCCCCTTTTGGTAGTATTGACGGTTCTCAGCGGAATAGGCATTGCTATTTACGTAACACGTATCTATGGTGCATCCTTTTGGGCGCACCAATCGAGACTTGACGAAGTAGCGCTTTTCAATAAAAATGCGAAAGAACTGGGTCTCTATTGCGCAAAGGCTTCTGTGGGGCTCACTGGGACTACCTTAGAATATAACGAACTTTCAAATCAAGCGCCTGTTGCTGAAAAAGTGGGTCCCCTTGGAATCCCGCCCGTAGCCCAGGTTAGTGAAACAGTACCCAGTCCT-3'
【0274】
(5)寄託系統の細胞質不稔性の原因遺伝子の特定
前記寄託系統(RdCMS系統)の雄性不稔性が、ORF3およびATP6の違いによるものなのかを検討した。具体的には、前記RdCMS系統と、他の雄性可稔性のルドベキア植物とにおいて、ORF3またはATP6のいずれが検出されるかをPCRによって検討した。まず、前記RdCMS系統と、前記RdMF系統と、タキイ種苗株式会社保有の雄性可稔性ルドベキア植物の系統(120系統)と、タキイ種苗株式会社内に自生する雄性可稔性ルドベキア植物の個体(48個体)について、約50mgの葉から、DNAを抽出した。前記DNA抽出は、DNA抽出キット(Puregene DNA、QIAGEN社製)を使用し、添付のプロトコルに従って抽出した。得られたDNA 1μg、10×buffer 0.5μl、HsExTaq(タカラバイオ社製) 0.25μl、プライマー混合液 0.5μl、および純水 2.75μlとから調製した反応液について、PCR装置(Takara社製)を用いてDNAの増幅を行った。前記プライマー混合液は、下記ORF3用プライマーセットまたはATP6用プライマーセットの各プライマーが、それぞれ、20mmol/lとなるように調製した。前記PCRの条件は、10分間95℃で処理した後、95℃で1分間、58℃で30秒、72℃で30秒の反応を35サイクル行った。前記DNAの増幅後、増幅したDNAを確認するために、前記反応液は、1%アガロースゲルに電気泳動した。これらの結果の代表例を、
図6に示す。
【0275】
・ORF3用プライマーセット
フォワードプライマー(配列番号14)
5'- ACGTAACACGTATCTATGGTGCAT-3’
リバースプライマー(配列番号15)
5'- GAGAGTTAGCAGCATAAACAAAGA-3’
・ATP6用プライマーセット
フォワードプライマー(配列番号16)
5'- GAGGGACTTTATTCAGTCTTATCG-3’
リバースプライマー(配列番号17)
5'- ATCTTCATAGGAATCAATGGGAGA-3’
【0276】
図6は、可稔系統(R.hiruta、RdMF系統)、寄託系統(RdCMS系統)、タキイ種苗株式会社保有R.hiruta(120系統)、およびタキイ種苗株式会社内に自生するR.hiruta個体の電気泳動の結果を示す写真である。
図6において、各サンプルは、左から、前記RdMF系統(M)、前記RdCMS系統(C)、市販の可稔性系統(1~8)を示す。また、
図6において、上段は、ORF3の結果を示し、下段は、ATP6の結果を示す。なお、寄託系統(RdCMS, 系統)以外の系統は、可稔性を示す系統である。
図6に示すように、RdCMs系統の全個体において、ORF3用プライマーを用いた場合、DNAの増幅がみられたのに対して、ATP6用プライマーを用いた場合、DNAの増幅はみられなかった。他方で、可稔性を示す120系統および自生個体の48個体の全個体において、ORF3用プライマーを用いた場合、DNAの増幅がみられなかったのに対して、ATP6用プライマーを用いた場合、DNAの増幅がみられた。なお、
図6に示していない可稔性系統においても同様の結果が得られた。以上のことから、ATP6とORF3との有無が、雄性不稔性の有無と相関することがわかった。
【0277】
以上の結果から、寄託系統(RdCMS系統)のORF3は、ルドベキア植物における細胞質不稔性の原因遺伝子であることが示唆された。また、実施例1(5)で使用した、ATP6用プライマーとORF3用プライマーを用いることで、RdCMS系統に由来する細胞質不稔性を効率的に選抜できることが示された。
【0278】
以上、実施形態および実施例を参照して本開示を説明したが、本開示は、上記実施形態および実施例に限定されるものではない。本開示の構成や詳細には、本開示のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0279】
<付記>
上記の実施形態および実施例の一部または全部は、以下の付記のように記載されうるが、以下には限られない。
<雄性不稔性ルドベキア植物>
(付記1)
細胞質雄性不稔性を有する、ルドベキア植物。
(付記2)
細胞質雄性不稔遺伝子として、下記(ca)~(ce)および(cf)からなる群から選択された少なくとも1つのポリヌクレオチドを含む、付記1に記載のルドベキア植物:
(ca)下記(ca1)~(ca7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(ca1)配列番号1の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(ca2)前記(ca1)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ca3)前記(ca1)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ca4)前記(ca1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ca5)配列番号2のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(ca6)配列番号2のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ca7)配列番号2のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cb)下記(cb1)~(cb7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(cb1)配列番号3の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(cb2)前記(cb1)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cb3)前記(cb1)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cb4)前記(cb1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cb5)配列番号4のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(cb6)配列番号4のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cb7)配列番号4のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cc)下記(cc1)~(cc7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(cc1)配列番号5の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(cc2)前記(cc1)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cc3)前記(cc1)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cc4)前記(cc1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cc5)配列番号6のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(cc6)配列番号6のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cc7)配列番号6のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cd)下記(cd1)~(cd7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(cd1)配列番号7の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(cd2)前記(cd1)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cd3)前記(cd1)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cd4)前記(cd1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cd5)配列番号8のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(cd6)配列番号8のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cd7)配列番号8のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ce)下記(ce1)~(ce7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(ce1)配列番号9の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(ce2)前記(ce1)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ce3)前記(ce1)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ce4)前記(ce1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ce5)配列番号10のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(ce6)配列番号10のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ce7)配列番号10のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cf)下記(cf1)~(cf7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(cf1)配列番号11の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(cf2)前記(cf1)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cf3)前記(cf1)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cf4)前記(cf1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cf5)配列番号12のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(cf6)配列番号12のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cf7)配列番号12のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド。
(付記3)
前記細胞質雄性不稔遺伝子として、前記(ca)のポリヌクレオチドを含む、付記2に記載のルドベキア植物。
(付記4)
前記細胞質雄性不稔遺伝子として、前記(ca)~(ce)および(cf)のポリヌクレオチドを含む、付記2または3に記載のルドベキア植物。
(付記5)
ミトコンドリアゲノムに、前記細胞質雄性不稔遺伝子を含む、付記2から4のいずれかに記載のルドベキア植物。
(付記6)
前記ルドベキア植物は、受託番号FERM BP-22428で寄託されている種子から生育された植物である、付記1から5のいずれかに記載のルドベキア植物。
(付記7)
付記1から6のいずれかに記載のルドベキア植物の後代系統であり、
前記後代系統は、細胞質雄性不稔性を示す、後代系統。
(付記8)
前記後代系統は、雑種第1代系統である、付記7に記載の後代系統。
(付記9)
付記1から6のいずれかに記載のルドベキア植物、または、付記7または8に記載の後代系統の種子。
(付記10)
付記1から6のいずれかに記載のルドベキア植物、または、付記7または8に記載の後代系統の部分。
(付記11)
付記1から6のいずれかに記載のルドベキア植物、または、付記7または8に記載の後代系統の細胞を含む、カルス。
(付記12)
付記1から6のいずれかに記載のルドベキア植物、付記7または8に記載の後代系統、付記9に記載の種子、付記10に記載の部分、または付記11に記載のカルスに含まれる、細胞質。
<雄性不稔性ルドベキア植物の生産方法(第1の生産方法)>
(付記13)
下記(a)工程を含む、細胞質雄性不稔性ルドベキア植物の生産方法:
(a)付記1から6のいずれかに記載のルドベキア植物、または、付記7または8に記載の後代系統と、他のルドベキア植物とを交雑する工程。
(付記14)
前記(a)工程に先立って、下記(x)工程を含む、付記13に記載の生産方法:
(x)被検ルドベキア植物から、付記1から6のいずれかに記載のルドベキア植物、または、付記7または8に記載の後代系統を選抜する工程。
(付記15)
前記(x)工程では、細胞質雄性不稔遺伝子として、下記(ca)~(ce)および(cf)からなる群から選択された少なくとも1つのポリヌクレオチドを含むルドベキア植物を選抜する、付記14に記載の生産方法:
(ca)下記(ca1)~(ca7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(ca1)配列番号1の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(ca2)前記(ca1)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ca3)前記(ca1)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ca4)前記(ca1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ca5)配列番号2のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(ca6)配列番号2のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ca7)配列番号2のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cb)下記(cb1)~(cb7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(cb1)配列番号3の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(cb2)前記(cb1)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cb3)前記(cb1)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cb4)前記(cb1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cb5)配列番号4のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(cb6)配列番号4のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cb7)配列番号4のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cc)下記(cc1)~(cc7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(cc1)配列番号5の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(cc2)前記(cc1)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cc3)前記(cc1)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cc4)前記(cc1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cc5)配列番号6のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(cc6)配列番号6のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cc7)配列番号6のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cd)下記(cd1)~(cd7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(cd1)配列番号7の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(cd2)前記(cd1)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cd3)前記(cd1)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cd4)前記(cd1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cd5)配列番号8のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(cd6)配列番号8のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cd7)配列番号8のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ce)下記(ce1)~(ce7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(ce1)配列番号9の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(ce2)前記(ce1)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ce3)前記(ce1)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ce4)前記(ce1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ce5)配列番号10のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(ce6)配列番号10のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ce7)配列番号10のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cf)下記(cf1)~(cf7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(cf1)配列番号11の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(cf2)前記(cf1)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cf3)前記(cf1)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cf4)前記(cf1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cf5)配列番号12のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(cf6)配列番号12のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cf7)配列番号12のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド。
(付記16)
前記(x)工程では、前記細胞質雄性不稔遺伝子として、前記(ca)のポリヌクレオチドを含むルドベキア植物を選抜する、付記15に記載の生産方法。
(付記17)
前記(x)工程では、前記細胞質雄性不稔遺伝子として、前記(ca)~(cf)のポリヌクレオチドを含むルドベキア植物を選抜する、付記15または16に記載の生産方法。
(付記18)
前記(x)工程では、前記被検ルドベキア植物において、前記細胞質雄性不稔遺伝子を検出し、前記細胞質雄性不稔遺伝子を含む被検ルドベキア植物を選抜する、付記15から17のいずれかに記載の生産方法。
(付記19)
前記(x)工程では、前記被検ルドベキア植物のミトコンドリアゲノムにおいて、前記細胞質雄性不稔遺伝子を検出し、前記細胞質雄性不稔遺伝子を含む被検ルドベキア植物を選抜する、付記15から18のいずれかに記載の生産方法。
(付記20)
下記(b)工程を含む、付記13から19のいずれかに記載の生産方法:
(b)前記(a)工程より得られたルドベキア植物またはその後代系統から、細胞質雄性不稔性ルドベキア植物を選抜する工程。
(付記21)
前記(b)工程において、細胞質雄性不稔遺伝子として、下記(ca)~(ce)および(cf)からなる群から選択された少なくとも1つのポリヌクレオチドを含むルドベキア植物を選抜する、付記20に記載の生産方法:
(ca)下記(ca1)~(ca7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(ca1)配列番号1の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(ca2)前記(ca1)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ca3)前記(ca1)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ca4)前記(ca1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ca5)配列番号2のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(ca6)配列番号2のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ca7)配列番号2のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cb)下記(cb1)~(cb7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(cb1)配列番号3の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(cb2)前記(cb1)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cb3)前記(cb1)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cb4)前記(cb1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cb5)配列番号4のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(cb6)配列番号4のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cb7)配列番号4のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cc)下記(cc1)~(cc7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(cc1)配列番号5の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(cc2)前記(cc1)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cc3)前記(cc1)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cc4)前記(cc1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cc5)配列番号6のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(cc6)配列番号6のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cc7)配列番号6のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cd)下記(cd1)~(cd7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(cd1)配列番号7の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(cd2)前記(cd1)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cd3)前記(cd1)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cd4)前記(cd1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cd5)配列番号8のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(cd6)配列番号8のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cd7)配列番号8のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ce)下記(ce1)~(ce7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(ce1)配列番号9の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(ce2)前記(ce1)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ce3)前記(ce1)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ce4)前記(ce1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ce5)配列番号10のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(ce6)配列番号10のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ce7)配列番号10のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cf)下記(cf1)~(cf7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(cf1)配列番号11の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(cf2)前記(cf1)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cf3)前記(cf1)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cf4)前記(cf1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cf5)配列番号12のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(cf6)配列番号12のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cf7)配列番号12のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド。
(付記22)
前記(b)工程では、前記細胞質雄性不稔遺伝子として、前記(ca)のポリヌクレオチドを含むルドベキア植物を選抜する、付記21に記載の生産方法。
(付記23)
前記(b)工程では、前記細胞質雄性不稔遺伝子として、前記(ca)~(cf)のポリヌクレオチドを含むルドベキア植物を選抜する、付記21または22に記載の生産方法。
(付記24)
前記(b)工程では、前記被検ルドベキア植物において、前記細胞質雄性不稔遺伝子を検出し、前記細胞質雄性不稔遺伝子を含む被検ルドベキア植物を選抜する、付記21から23のいずれかに記載の生産方法。
(付記25)
前記(b)工程では、前記被検ルドベキア植物のミトコンドリアゲノムにおいて、前記細胞質雄性不稔遺伝子を検出し、前記細胞質雄性不稔遺伝子を含む被検ルドベキア植物を選抜する、付記21から24のいずれかに記載の生産方法。
<ルドベキア植物における雄性不稔性の付与方法>
(付記26)
対象のルドベキア植物に、細胞質雄性不稔遺伝子として、下記(ca)~(ce)および(cf)からなる群から選択された少なくとも1つのポリヌクレオチドを導入する工程を含む、ルドベキア植物における細胞質雄性不稔性の付与方法:
(ca)下記(ca1)~(ca7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(ca1)配列番号1の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(ca2)前記(ca1)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ca3)前記(ca1)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ca4)前記(ca1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ca5)配列番号2のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(ca6)配列番号2のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ca7)配列番号2のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cb)下記(cb1)~(cb7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(cb1)配列番号3の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(cb2)前記(cb1)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cb3)前記(cb1)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cb4)前記(cb1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cb5)配列番号4のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(cb6)配列番号4のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cb7)配列番号4のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cc)下記(cc1)~(cc7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(cc1)配列番号5の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(cc2)前記(cc1)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cc3)前記(cc1)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cc4)前記(cc1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cc5)配列番号6のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(cc6)配列番号6のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cc7)配列番号6のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cd)下記(cd1)~(cd7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(cd1)配列番号7の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(cd2)前記(cd1)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cd3)前記(cd1)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cd4)前記(cd1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cd5)配列番号8のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(cd6)配列番号8のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cd7)配列番号8のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ce)下記(ce1)~(ce7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(ce1)配列番号9の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(ce2)前記(ce1)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ce3)前記(ce1)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ce4)前記(ce1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ce5)配列番号10のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(ce6)配列番号10のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ce7)配列番号10のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cf)下記(cf1)~(cf7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(cf1)配列番号11の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(cf2)前記(cf1)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cf3)前記(cf1)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cf4)前記(cf1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cf5)配列番号12のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(cf6)配列番号12のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cf7)配列番号12のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド。
(付記27)
前記導入工程では、前記細胞質雄性不稔遺伝子として、前記(ca)のポリヌクレオチドを含むルドベキア植物を導入する、付記26に記載の付与方法。
(付記28)
前記導入工程では、前記細胞質雄性不稔遺伝子として、前記(ca)~(cf)のポリヌクレオチドを含むルドベキア植物を導入する、付記26または27に記載の付与方法。
(付記29)
前記導入工程では、前記細胞質雄性不稔遺伝子を、前記対象のルドベキア植物のミトコンドリアゲノムに導入する、付記26から28のいずれかに記載の付与方法。
<雄性不稔性ルドベキア植物の生産方法(第2の生産方法)>
(付記30)
対象のルドベキア植物に細胞質雄性不稔性を付与する付与工程を含み、
前記付与工程は、付記26から29のいずれかに記載の付与方法により実施される、細胞質雄性不稔性ルドベキア植物の生産方法。
<雄性不稔性ルドベキア植物のスクリーニング方法>
(付記31)
被検ルドベキア植物から、細胞質雄性不稔遺伝子として、下記(ca)~(ce)および(cf)からなる群から選択された少なくとも1つのポリヌクレオチドを含む被検ルドベキア植物を、細胞質雄性不稔性ルドベキア植物として選抜する選抜工程を含む、細胞質雄性不稔性ルドベキア植物のスクリーニング方法:
(ca)下記(ca1)~(ca7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(ca1)配列番号1の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(ca2)前記(ca1)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ca3)前記(ca1)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ca4)前記(ca1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ca5)配列番号2のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(ca6)配列番号2のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ca7)配列番号2のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cb)下記(cb1)~(cb7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(cb1)配列番号3の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(cb2)前記(cb1)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cb3)前記(cb1)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cb4)前記(cb1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cb5)配列番号4のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(cb6)配列番号4のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cb7)配列番号4のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cc)下記(cc1)~(cc7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(cc1)配列番号5の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(cc2)前記(cc1)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cc3)前記(cc1)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cc4)前記(cc1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cc5)配列番号6のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(cc6)配列番号6のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cc7)配列番号6のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cd)下記(cd1)~(cd7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(cd1)配列番号7の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(cd2)前記(cd1)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cd3)前記(cd1)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cd4)前記(cd1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cd5)配列番号8のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(cd6)配列番号8のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cd7)配列番号8のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ce)下記(ce1)~(ce7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(ce1)配列番号9の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(ce2)前記(ce1)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ce3)前記(ce1)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ce4)前記(ce1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ce5)配列番号10のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(ce6)配列番号10のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ce7)配列番号10のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cf)下記(cf1)~(cf7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(cf1)配列番号11の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(cf2)前記(cf1)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cf3)前記(cf1)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cf4)前記(cf1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cf5)配列番号12のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(cf6)配列番号12のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cf7)配列番号12のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド。
(付記32)
前記選抜工程では、前記細胞質雄性不稔遺伝子として、前記(ca)のポリヌクレオチドを含むルドベキア植物を選抜する、付記31に記載のスクリーニング方法。
(付記33)
前記選抜工程では、前記細胞質雄性不稔遺伝子として、前記(ca)~(cf)のポリヌクレオチドを含むルドベキア植物を選抜する、付記31または32に記載のスクリーニング方法。
(付記34)
前記選抜工程では、前記被検ルドベキア植物において、前記細胞質雄性不稔遺伝子を検出し、前記細胞質雄性不稔遺伝子を含む被検ルドベキア植物を選抜する、付記31から33のいずれかに記載のスクリーニング方法。
(付記35)
前記選抜工程では、前記被検ルドベキア植物のミトコンドリアゲノムにおいて、前記細胞質雄性不稔遺伝子を検出し、前記細胞質雄性不稔遺伝子を含む被検ルドベキア植物を選抜する、付記31から34のいずれかに記載のスクリーニング方法。
<雄性不稔性ルドベキア植物の生産方法(第3の生産方法)>
(付記36)
被検ルドベキア植物から、細胞質雄性不稔遺伝子を含む被検ルドベキア植物をスクリーニングするスクリーニング工程を含み、
前記スクリーニング工程は、付記31から35のいずれかに記載のスクリーニング方法により実施される、細胞質雄性不稔性ルドベキア植物の生産方法。
<雄性不稔性ルドベキア植物>
(付記37)
付記13から25のいずれかの生産方法、付記30に記載の生産方法、または付記36に記載の生産方法により得られる、細胞質雄性不稔性ルドベキア植物。
<ルドベキア植物における雄性不稔性の検出方法>
(付記38)
被検ルドベキア植物において、細胞質雄性不稔遺伝子として、下記(ca)~(ce)および(cf)からなる群から選択された少なくとも1つのポリヌクレオチドを検出する検出工程を含む、ルドベキア植物の細胞質雄性不稔性の検出方法:
(ca)下記(ca1)~(ca7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(ca1)配列番号1の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(ca2)前記(ca1)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ca3)前記(ca1)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ca4)前記(ca1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ca5)配列番号2のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(ca6)配列番号2のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ca7)配列番号2のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cb)下記(cb1)~(cb7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(cb1)配列番号3の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(cb2)前記(cb1)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cb3)前記(cb1)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cb4)前記(cb1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cb5)配列番号4のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(cb6)配列番号4のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cb7)配列番号4のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cc)下記(cc1)~(cc7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(cc1)配列番号5の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(cc2)前記(cc1)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cc3)前記(cc1)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cc4)前記(cc1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cc5)配列番号6のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(cc6)配列番号6のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cc7)配列番号6のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cd)下記(cd1)~(cd7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(cd1)配列番号7の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(cd2)前記(cd1)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cd3)前記(cd1)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cd4)前記(cd1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cd5)配列番号8のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(cd6)配列番号8のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cd7)配列番号8のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ce)下記(ce1)~(ce7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(ce1)配列番号9の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(ce2)前記(ce1)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ce3)前記(ce1)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ce4)前記(ce1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ce5)配列番号10のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(ce6)配列番号10のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ce7)配列番号10のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cf)下記(cf1)~(cf7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(cf1)配列番号11の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(cf2)前記(cf1)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cf3)前記(cf1)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cf4)前記(cf1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cf5)配列番号12のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(cf6)配列番号12のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cf7)配列番号12のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド。
(付記39)
前記検出工程では、前記細胞質雄性不稔遺伝子として、前記(ca)のポリヌクレオチドを検出する、付記38に記載の検出方法。
(付記40)
前記選抜工程では、前記細胞質雄性不稔遺伝子として、前記(ca)~(cf)のポリヌクレオチドを検出する、付記38または39に記載の検出方法。
<第1の寄託系統>
(付記41)
受託番号FERM BP-22428で寄託されている、ルドベキア植物の種子。
(付記42)
受託番号FERM BP-22428で寄託されているルドベキア植物の種子から生育された、ルドベキア植物。
(付記43)
付記41または42に記載のルドベキア植物の後代系統。
(付記44)
前記後代系統は、雑種第1代系統である、付記43に記載の後代系統。
(付記45)
付記41または42に記載のルドベキア植物、または、付記43または44に記載の後代系統の種子。
(付記46)
付記41または42に記載のルドベキア植物、または、付記43または44に記載の後代系統の部分。
(付記47)
付記41または42に記載のルドベキア植物、または、付記43または44に記載の後代系統の細胞を含む、カルス。
(付記48)
付記41または42に記載のルドベキア植物、付記43または44に記載の後代系統、付記45に記載の種子、付記46に記載の部分、または付記47に記載のカルスに含まれる、細胞質。
(付記49)
付記41または42に記載のルドベキア植物、付記43または44に記載の後代系統、付記45に記載の種子、付記46に記載の部分、または付記47に記載のカルスに含まれる、ミトコンドリア。
(付記50)
付記41または42に記載のルドベキア植物、付記43または44に記載の後代系統、付記45に記載の種子、付記46に記載の部分、または付記47に記載のカルスに含まれる、ミトコンドリアゲノム。
(付記51)
付記41または42に記載のルドベキア植物、または、付記43または44に記載の後代系統と、他のルドベキア植物とを交雑する交雑工程を含む、ルドベキア植物の生産方法。
(付記52)
種子を採種する採種工程を含む、付記51に記載のルドベキア植物の製造方法。
<第2の寄託系統>
(付記53)
ルドベキア品種Takii 22の種子であり、
代表的なサンプルが、受託番号FERM BP-22428で寄託されているルドベキア植物の種子である、種子。
(付記54)
ルドベキア品種Takii 22のルドベキア植物であり、
代表的なサンプルが、受託番号FERM BP-22428で寄託されているルドベキア植物の種子である、ルドベキア植物。
(付記55)
ルドベキア植物またはその部分であり、
前記ルドベキア植物またはその部分は、付記54に記載のルドベキア植物の本質的にすべての生理学的および形態学的特徴を有する、ルドベキア植物またはその部分。
(付記56)
付記54記載のルドベキア植物の後代ルドベキア植物であり、
前記後代ルドベキア植物は、付記54に記載のルドベキア植物の少なくとも50%のアレルを含み、
前記後代ルドベキア植物は、細胞質雄性不稔性を有する、後代ルドベキア植物。
(付記57)
付記56に記載のルドベキア植物を生産する、種子。
(付記58)
付記54に記載のルドベキア植物の部分。
(付記59)
付記58に記載の植物の部分であり、
前記植物の部分は、子房(ovary)、胚珠、卵細胞、挿し木、根、幹、葉、細胞またはプロトプラストを含む、植物の部分。
(付記60)
ルドベキア種子の生産方法であり、
前記方法は、
付記54に記載のルドベキア植物を、他のルドベキア植物と交雑し、
得られた種子を採取することを含む、方法。
(付記61)
付記60に記載の方法により生産された、ルドベキア植物由来のルドベキア種子。
(付記62)
付記61に記載のルドベキア種子を育てることにより生産された、ルドベキア植物またはその部分。
(付記63)
付記62に記載のルドベキア植物またはその部分であって、
前記ルドベキア植物またはその部分は、代表的なサンプルが、受託番号FERM BP-22428で寄託されているルドベキア植物の種子である、ルドベキア品種Takii 22の少なくとも50%のアレルを含み、
前記ルドベキア植物またはその部分は、細胞質雄性不稔性を有する、ルドベキア植物またはその部分。
(付記64)
付記63に記載のルドベキア植物またはその部分であって、
前記ルドベキア植物またはその部分は、1以上の形質が改変されている、ルドベキア植物またはその部分。
(付記65)
付記64に記載のルドベキア植物またはその部分であって、
前記改変は、突然変異誘発により行われる、ルドベキア植物またはその部分。
(付記66)
付記54に記載のルドベキア植物由来のルドベキア植物の種子を生産する方法であって、
前記方法は、
(a)受託番号FERM BP-22428で寄託されているルドベキア植物の種子である、ルドベキア品種Takii 22を、別のルドベキア植物と交雑し、種子を生産し、
(b)前記(a)工程の種子からルドベキア植物を育て、ルドベキア品種Takii 22由来のルドベキア植物を生産し、
(c)前記(b)工程のルドベキア植物を、別のルドベキア植物と交雑し、ルドベキア品種Takii 22由来の追加のルドベキア植物を生産し、
(d)任意に(b)および(c)工程を1回以上繰り返し、ルドベキア品種Takii 22由来のルドベキア植物をさらに生産し、前記(b)工程におけるルドベキア植物は、前記(c)工程の追加のルドベキア植物から生育する、
ことを含む、方法。
(付記67)
付記66に記載の方法により生産される種子であり、
前記種子は、付記54に記載のルドベキア植物の少なくとも50%のアレルを含み、
前記種子から育つルドベキア植物は、細胞質雄性不稔性を有する、種子。
(付記68)
付記67に記載のルドベキア植物の種子を育てることにより生産される、ルドベキア植物。
(付記69)
付記54に記載のルドベキア植物に、少なくとも1つの新たな形質を導入する方法であり、
前記方法は、
(a)受託番号FERM BP-22428で寄託されているルドベキア植物の種子である、ルドベキア品種Takii 22を、少なくとも1つの新たな形質を有するルドベキア植物と交雑し、後代を生産し、
(b)少なくとも1つの新しい形質を含む後代を選抜し、
(c)前記後代を、ルドベキア品種Takii 22と交雑し、戻し交雑後代を生産し、
(d)少なくとも1つの新しい形質を含み、ルドベキア品種Takii 22の本質的にすべての生理学的および形態学的特徴を有する戻し交雑後代を選抜し、
(e)任意に、前記(c)工程および(d)工程を1回以上繰り返し、少なくとも1つの新しい形質を含み、ルドベキア品種Takii 22の本質的にすべての生理学的および形態学的特徴を有するルドベキア植物を生産し、前記(c)工程におけるルドベキア植物は、前記(d)工程の選抜された戻し交雑後代である、
ことを含む、方法。
(付記70)
付記69に記載の方法により生産された、ルドベキア植物。
(付記71)
少なくとも1つの新たな形質を含むルドベキア品種Takii 22に由来するルドベキア植物の生産方法であり、
前記方法は、
受託番号FERM BP-22428で寄託されているルドベキア植物の種子である、ルドベキア品種Takii 22に、少なくとも1つの形質を付与する突然変異または導入遺伝子を導入する、
ことを含む、方法。
(付記72)
付記71に記載の方法により生産された、ルドベキア植物。
(付記73)
付記54に記載のルドベキア植物の遺伝子型を決定する方法であり、
前記方法は、
(a)付記54に記載のルドベキア植物から核酸サンプルを取得し、
(b)前記核酸サンプルにおける多型を検出する、
ことを含む、方法。
(付記74)
付記54に記載のルドベキア植物由来の再生可能な細胞またはプロトプラストの培養組織(tissue culture)。
(付記75)
付記74に記載の培養組織であり、
前記細胞またはプロトプラストは、葉、胚、子葉、胚軸、分裂組織細胞(meristematic cell)、根、根端、葯、花、種子または茎に由来する、
培養組織。
(付記76)
付記75に記載の培養組織から再生された、ルドベキア植物。
(付記77)
付記76に記載のルドベキア植物であり、
前記ルドベキア植物は、細胞質雄性不稔性を有する、
ルドベキア植物。
(付記78)
付記54に記載のルドベキア植物を栄養繁殖する方法であり、
前記方法は、
(a)受託番号FERM BP-22428で寄託されているルドベキア植物の種子である、ルドベキア品種Takii 22のルドベキア植物から繁殖可能な組織を回収し、
(b)前記組織を培養し、増殖したシュート(shoot)を取得し、
(c)前記増殖したシュートを発根させ、発根した小植物(plantlet)を取得し、
(d)任意に、前記発根した小植物から、植物を生育する、
ことを含む、方法。
(付記79)
付記78記載の方法により生産されるルドベキア小植物または植物であり、
前記ルドベキア小植物または植物は、細胞質雄性不稔性を有する、
ルドベキア小植物または植物。
<雄性不稔遺伝子>
(付記80)
下記(ca)~(ce)および(cf)からなる群から選択された少なくとも1つのポリヌクレオチドを含む、細胞質雄性不稔遺伝子:
(ca)下記(ca1)~(ca7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(ca1)配列番号1の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(ca2)前記(ca1)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリペプチド質をコードするポリヌクレオチド;
(ca3)前記(ca1)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ca4)前記(ca1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ca5)配列番号2のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(ca6)配列番号2のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ca7)配列番号2のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cb)下記(cb1)~(cb7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(cb1)配列番号3の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(cb2)前記(cb1)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cb3)前記(cb1)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cb4)前記(cb1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cb5)配列番号4のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(cb6)配列番号4のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cb7)配列番号4のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cc)下記(cc1)~(cc7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(cc1)配列番号5の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(cc2)前記(cc1)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cc3)前記(cc1)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cc4)前記(cc1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cc5)配列番号6のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(cc6)配列番号6のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cc7)配列番号6のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cd)下記(cd1)~(cd7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(cd1)配列番号7の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(cd2)前記(cd1)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cd3)前記(cd1)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cd4)前記(cd1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cd5)配列番号8のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(cd6)配列番号8のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cd7)配列番号8のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ce)下記(ce1)~(ce7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(ce1)配列番号9の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(ce2)前記(ce1)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ce3)前記(ce1)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ce4)前記(ce1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ce5)配列番号10のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(ce6)配列番号10のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(ce7)配列番号10のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cf)下記(cf1)~(cf7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(cf1)配列番号11の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(cf2)前記(cf1)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cf3)前記(cf1)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cf4)前記(cf1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cf5)配列番号12のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(cf6)配列番号12のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド;
(cf7)配列番号12のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリヌクレオチド。
<雄性不稔性タンパク質>
(付記81)
下記(CA)~(CE)および(CF)からなる群から選択された少なくとも1つのポリペプチドを含む、細胞質雄性不稔タンパク質:
(CA)下記(CA1)~(CA3)のいずれかのポリペプチド:
(CA1)配列番号2のアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(CA2)配列番号2のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリペプチド;
(CA3)配列番号2のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリペプチド;
(CB)下記(CB1)~(CB3)のいずれかのポリペプチド:
(CB1)配列番号4のアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(CB2)配列番号4のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリペプチド;
(CB3)配列番号4のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリペプチド;
(CC)下記(CC1)~(CC3)のいずれかのポリペプチド:
(CC1)配列番号6のアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(CC2)配列番号6のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリペプチド;
(CC3)配列番号6のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリペプチド;
(CD)下記(CD1)~(CD3)のいずれかのポリペプチド:
(CD1)配列番号8のアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(CD2)配列番号8のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリペプチド;
(CD3)配列番号8のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリペプチド;
(CE)下記(CE1)~(CE3)のいずれかのポリペプチド:
(CE1)配列番号10のアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(CE2)配列番号10のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリペプチド;
(CE3)配列番号10のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリペプチド;
(CF)下記(CF1)~(CF3)のいずれかのポリペプチド:
(CF1)配列番号12のアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(CF2)配列番号12のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリペプチド;
(CF3)配列番号12のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、細胞質雄性不稔性を発現させるポリペプチド。
<発現ベクター>
(付記82)
付記80に記載の細胞質雄性不稔遺伝子を含む、発現ベクター。
<形質転換体>
(付記83)
付記80に記載の細胞質雄性不稔遺伝子、または付記82に記載の発現ベクターを含む、形質転換体。