(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023090199
(43)【公開日】2023-06-29
(54)【発明の名称】二次電池を備えたワゴン
(51)【国際特許分類】
A47B 31/00 20060101AFI20230622BHJP
A47K 7/00 20060101ALI20230622BHJP
A47B 91/06 20060101ALI20230622BHJP
【FI】
A47B31/00 G
A47K7/00 102
A47B91/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021205036
(22)【出願日】2021-12-17
(71)【出願人】
【識別番号】591198364
【氏名又は名称】アクソンデータマシン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001922
【氏名又は名称】弁理士法人日峯国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山崎 努
【テーマコード(参考)】
2D134
3B069
【Fターム(参考)】
2D134AE01
3B069CA01
3B069CA04
(57)【要約】
【課題】顧客へ適切な温度のタオルを提供すこと
【解決手段】 お湯が含侵されたタオルを供給するタオル供給装置と、含侵のための前記湯を蓄えるタンクと、前記タンクに蓄えられた水を加熱するメインヒータと、前記タンクに蓄えられた前記水を加熱する補助ヒータと外部から供給される交流電力を受けるための接続機構と、外部から供給される前記交流電力に基づく電力により充電され、直流電力を蓄える二次電池と、を備え、前記メインヒータへは外部から供給される前記交流電力に基づく電流を供給し、前記補助ヒータへは前記二次電池からの電流を供給した、ことを特徴とする二次電池を備えたワゴン。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙ロールに巻回された紙で作られると共に、お湯が含侵されたタオルを供給するタオル供給装置と、
含侵のための前記湯を蓄えるタンクと、
前記タンクに蓄えられた水を加熱するメインヒータと、
前記タンクに蓄えられた前記水を加熱する補助ヒータと、
外部から供給される交流電力を受けるための接続機構と、
外部から供給される前記交流電力に基づく電力により充電され、直流電力を蓄える二次電池と、を備え、
前記メインヒータへは外部から供給される前記交流電力に基づく電流を供給し、
前記補助ヒータへは前記二次電池からの電流を供給し、
前記メインヒータからの熱により、前記タンクに蓄えられた前記水を所定の温度に上昇し、前記補助ヒータからの熱により所定の温度に上昇した前記水をお湯として所定の温度を維持するようにし、
前記二次電池を含む電源ユニットを前記ワゴンの底部に配置した、ことを特徴とする二次電池を備えたワゴン。
【請求項2】
紙ロールに巻回された紙で作られると共に、お湯が含侵されたタオルを供給するタオル供給装置と、
含侵のための前記湯を蓄えるタンクと、
前記タンクに蓄えられた水を加熱してお湯にするメインヒータと、
前記タンクからのお湯をさらに加熱する調温ヒータと、
外部から供給される交流電力を受けるための接続機構と、
外部から供給される前記交流電力に基づく電力により充電され、直流電力を蓄える二次電池と、を備え、
前記メインヒータへは外部から供給される前記交流電力に基づく電流を供給し、
調温ヒータへは前記二次電池からの電流を供給し、
前記メインヒータからの熱により、前記タンクに蓄えられた前記水を所定の温度に上昇し、前記調温ヒータからの熱により含侵された前記タオルの温度を所定の温度に維持するようにし、
前記二次電池を含む電源ユニット120を前記ワゴンの底部に配置した、ことを特徴とする二次電池を備えたワゴン。
【請求項3】
請求項1または請求項2の内の一に記載の二次電池を備えたワゴンにおいて、
前記水を貯える前記タンクはその外周が断熱機構となっており、
さらに前記タンクに蓄えられた前記水を前記タオルに含侵させるために、前記タンクから前記お湯を吸引するためのポンプが設けられ、前記ポンプは前記二次電池の電力に基づいて動作する、ことを特徴とする二次電池を備えたワゴン。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3の内の一に記載の二次電池を備えたワゴンにおいて、
前記ワゴンの底部に二次電池を有する電源ユニットを収納する電源ユニット空間を設け、ワゴンと電源ユニットとは着脱可能に接続され、
前記ワゴンの外で充電した二次電池を備える電源ユニットを前記電源ユニット空間に挿入することにより、ワゴンの外で充電した二次電池を備える前記電源ユニットを、前記ワゴンの前記電源ユニット空間に設置するようにした、ことを特徴とする二次電池を備えたワゴン。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4の内の一に記載の二次電池を備えたワゴンにおいて、
前記ワゴンには、前記ワゴンを移動するためのハンドルおよび操作レバーが設けられると共に移動のための車輪および移動を防止するためのブレーキが設けられ、
前記操作レバーの操作により、ブレーキが解除されて移動可能となり、
さらに外部から前記交流電力が供給されている状態では、前記ブレーキの解除が禁止される、
ことを特徴とする、二次電池を備えたワゴン。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5の内の一に記載の二次電池を備えたワゴンにおいて、
前記ワゴンにごみを投入する投入扉が設けられ、前記投入扉の内側に設けられた前記ごみを入れるためのごみ袋を溶着して密閉するために密閉用ヒータが設けられ、前記密閉用ヒータに前記二次電池からの電流が供給されるようにした、ことを特徴とする、二次電池を備えたワゴン。
【請求項7】
請求項6に記載の二次電池を備えたワゴンにおいて、提供したタオルの個数を計数する係数手段と、
要求するタオルの個数を入力する入出力装置と、を設け、
提供した個数を前記入出力装置に表示する、ことを特徴とする、二次電池を備えたワゴン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池を備えた、例えば人におしぼりを提供するなどの、人にサービスを提供するワゴンに関する。
【背景技術】
【0002】
人にサービスを提供する装置は、例えば旅客機内で、あるいは老人ホーム等の施設で使用されている。短時間にサービスを人に提供できる場合、例えばおしぼりを望ましい温度で提供しようとした場合に、温度を適切に維持できない問題がある。例えば時間が経過するに従って望ましい温度から低くなる問題がある。
【0003】
おしぼりを提供する装置は、例えば特許第6384993号公報(特許文献1)に記載されている。また移動しながら人々に対していろいろなサービスを行う装置は特許公開公報(特許文献2)に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6384993号公報
【特許文献2】特開平2001-218631号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術は、移動する機能を有していない。一方特許文献2に記載の技術は、顧客に提供する物をワゴンに維持して顧客の元へ移動する機能を有しているが、提供物の温度を望ましい値に維持する機能を有していない。このため時間が低下すると、顧客へ提供する物の温度が、望ましい値からずれてしまう恐れがある。
【0006】
なお本出願で「ワゴン」は移動装置を対象としたものを意味する。「ワゴン」は特別な構造や機能を意味するものとして使用するものではない。移動機能を有する装置全体をさすものとして使用する。
【0007】
本発明の目的は、顧客に望ましい温度で、タオル等を提供可能な、二次電池を備えたワゴンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
〔第1の発明〕
上記課題を解決する第1の発明は、
紙ロールに巻回された紙で作られると共に、お湯が含侵されたタオルを供給するタオル供給装置と、
含侵のための前記湯を蓄えるタンクと、
前記タンクに蓄えられた水を加熱するメインヒータと、
前記タンクに蓄えられた前記水を加熱する補助ヒータと、
外部から供給される交流電力を受けるための接続機構と、
外部から供給される前記交流電力に基づく電力により充電され、直流電力を蓄える二次電池と、を備え、
前記メインヒータへは外部から供給される前記交流電力に基づく電流を供給し、
前記補助ヒータへは前記二次電池からの電流を供給し、
前記メインヒータからの熱により、前記タンクに蓄えられた前記水を所定の温度に上昇し、前記補助ヒータからの熱により所定の温度に上昇した前記水をお湯として所定の温度を維持するようにし、
前記二次電池を含む電源ユニットを前記ワゴンの底部に配置した、ことを特徴とする二次電池を備えたワゴン、である。
【0009】
〔第2の発明〕
上記課題を解決する第2の発明は、
紙ロールに巻回された紙で作られると共に、お湯が含侵されたタオルを供給するタオル供給装置と、
含侵のための前記湯を蓄えるタンクと、
前記タンクに蓄えられた水を加熱してお湯にするメインヒータと、
前記タンクからのお湯をさらに加熱する調温ヒータと、
外部から供給される交流電力を受けるための接続機構と、
外部から供給される前記交流電力に基づく電力により充電され、直流電力を蓄える二次電池と、を備え、
前記メインヒータへは外部から供給される前記交流電力に基づく電流を供給し、
調温ヒータへは前記二次電池からの電流を供給し、
前記メインヒータからの熱により、前記タンクの水を所定の温度に上昇してお湯にし、前記調温ヒータからの熱により含侵された前記タオルの温度を所定の温度に維持するようにし、
前記二次電池を含む電源ユニットを前記ワゴンの底部に配置した、ことを特徴とする二次電池を備えたワゴン、である。
【0010】
〔第3の発明〕
上記課題を解決する第3の発明は、
第1の発明または第2の発明の内の一の発明の二次電池を備えたワゴンにおいて、
前記水を貯える前記タンクはその外周が断熱機構となっており、
さらに前記タンクに蓄えられた前記水を前記タオルに含侵させるために、前記タンクから前記お湯を吸引するためのポンプが設けられ、前記ポンプは前記二次電池の電力に基づいて動作する、ことを特徴とする二次電池を備えたワゴンである。
【0011】
〔第4の発明〕
上記課題を解決する第4の発明は、
第1の発明乃至第3の発明の内の一の発明の二次電池を備えたワゴンにおいて、
前記ワゴンの底部に二次電池を有する電源ユニットを収納する電源ユニット空間を設け、ワゴンと電源ユニットとは着脱可能に接続され、
前記ワゴンの外で充電した二次電池を備える電源ユニットを前記電源ユニット空間に挿入することにより、ワゴンの外で充電した二次電池を備える前記電源ユニットを、前記ワゴンの前記電源ユニット空間に設置するようにした、ことを特徴とする二次電池を備えたワゴンである。
【0012】
〔第5の発明〕
上記課題を解決する第5の発明は、
第1の発明乃至第4の発明の内の一の発明の二次電池を備えたワゴンにおいて、
前記ワゴンには、前記ワゴンを移動するためのハンドルおよび操作レバーが設けられると共に移動のための車輪および移動を阻止するためのブレーキが設けられ、
前記操作レバーの操作により、ブレーキが解除されて移動可能となり、
さらに外部から前記交流電力が供給されている状態では、前記ブレーキの解除が禁止される、
ことを特徴とする、二次電池を備えたワゴンである。
【0013】
〔第6の発明〕
上記課題を解決する第6の発明は、
第1の発明乃至第5の発明の内の一の発明の二次電池を備えたワゴンにおいて、
前記ワゴンにごみを投入する投入扉が設けられ、前記投入扉の内側に設けられた前記ごみを入れるためのごみ袋を溶着して密閉するために密閉用ヒータが設けられ、前記密閉用ヒータに前記二次電池からの電流が供給されるようにした、ことを特徴とする、二次電池を備えたワゴンである。
【0014】
〔第7の発明〕
上記課題を解決する第7の発明は、
第6の発明の二次電池を備えたワゴンにおいて、提供したタオルの個数を計数する係数手段と、
要求するタオルの個数を入力する入出力装置と、を設け、
提供した個数を前記入出力装置に表示する、ことを特徴とする、二次電池を備えたワゴンである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、顧客に望ましい温度のタオルを提供可能な、二次電池を備えたワゴンを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明が適用されたワゴンの前面を説明する説明図である。
【
図2】本発明が適用されたワゴンの右側面を説明する説明図である。
【
図3】本発明が適用されたワゴンの内部構造を説明する回路図である。
【
図4】電源ユニットの充電および交換を説明する説明図である。
【
図5】ワゴンの背面の状態を説明する説明図である。
【
図6】ワゴン内部の電気系統関係のブロック図である。
【
図7】タンクへの給水に係る制御のフローチャートである。
【
図8】ワゴン駐車中の水温制御を示すフローチャートである。
【
図9】ワゴン移動中の水温制御を示すフローチャートである。
【
図10】二次電池を充電するための充電制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下の実施例において、同一符号が付された構成についてはその作用効果が同じであり、重複した説明を省略する場合がある。
【0018】
1.二次電池122を備えたワゴン100の外観の説明
図1はワゴン100のハンドル80を有する側(以下前面と記す。)の外観を示す。また
図2はワゴン100の右側面を説明する説明図である。なお
図1と
図2では、ワゴン100が駐車台10に保持されている状態を示す。ワゴン100の前面にはワゴン100を移動するためのハンドル80が設けられ、ワゴン100の下側には4個の車輪118が設けられている。ハンドル80と共に並行して操作レバー82が設けられ、ワゴン100を移動する場合には、ハンドル80と操作レバー82とを同時に握ることにより、操作レバー82の動きがスイッチ84で検知され、車輪118の設けられた図示していないブレーキが解除され、ワゴン100は移動可能となる。なお実際にブレーキが解除されるには、以下で説明する商用電源を供給する給電装置50とワゴン100との間の電気的な接続が解除されていることが条件となる。
【0019】
ワゴン100の上部には、色々な制御のための指示を入力するための操作部352や表示部354を有する入出力装置350が設けられている。表示部354には、色々な状態や指示内容、指示結果が表示されるが、さらに表示部354の表示内容を基に、操作のための色々な指示を入力することができる。例えばタオルの個数を入出力装置350から入力すると、以下のタオル成形装置310から提供されるタオルの個数が入力した個数に退避して表示される。
【0020】
ワゴン100の前面上部には、タオル取出し口312およびタオル取出し口312を覆う扉314が設けられている。扉314はワゴン100の移動中におけるウイルス等による汚染対策のためである。さらに以下で説明するがタオル取出し口312から取り出されるタオルの温度を入出力装置350により自由に設定できる。例えば、最初に摂氏100度に近い高温のお湯を浸したタオルを取出すように設定して、内部や周辺、タオル取出し口312等の殺菌を行い、その後顧客等が利用し易い温度のタオルを取り出すことができる。また入出力装置350から指示することにより、高温のお湯の代わりにアルコールなどの殺菌液を浸したタオルを取り出すことができる。
【0021】
ワゴン100の前面の中央にはさらに使用済みのタオルやその他のごみ等を投入する投入口206が設けられ、投入口206には上下方向に開閉する投入扉204が設けられている。投入されたごみ等は、後で回収することが必要であり、回収のための回収扉202が設けられている。なお投入口206や投入扉204は回収扉202に設けられている。
【0022】
ワゴン100の下段には、二次電池122を備えた電源ユニット120が設けられている。電源ユニットは重量が重く、下段に配置することでワゴン100が安定して移動することができる。なお以下で説明するが、二次電池122はワゴン100の移動中において電力源となるため、二次電池122の容量を大きくすることが望まれる。しかし実際には限界がある。このことからワゴン100が移動を終えて戻った状態では、二次電池122の蓄電量が非常に少ない状態である。二次電池122を再び充電するには時間が必要となる。二次電池122の充電の完了を待ってワゴン100が移動する場合、ワゴン100の稼働率が低下する。従って本実施例では、電源ユニット120をワゴン100から取り外し可能の構造としている。ワゴン100の停車位置で使用済みの電源ユニット120を切り離し、二次電池122が充電済の二次電池122を交換して取り付けることにより、ワゴン100の稼働率を向上することが可能となる。これらについては後述する。
【0023】
図2は、ワゴン100が、交流電力や水を供給する供給装置30に設けられた駐車用の駐車台10に駐車した状態を示す。移動してきたワゴン100が、スロープ板14を上り始めると、ばね18がワゴン100の重みで圧縮状態となり、ロック板16が下方に移動する。ワゴン100が駐車台10に乗ると、ロック板16がばね18により上昇し、ワゴン100が後戻りしないように固定される。一方ワゴン100を移動する場合には、人がスロープ板14あるいはロック板16を足で踏むことにより、ばね18が圧縮され、ロック板16によるロック機能がほとんどなくなる。ただし、上述したようにハンドル80および操作レバー82を手で握ることにより、操作レバー82をハンドル80に近づけないと、車輪118の図示を省略しているブレーキが解除されないので、ロック板16を下げただけでは、ワゴン100を移動することができない。このことにより安全性が維持される。
【0024】
2.供給装置30の構成の説明
供給装置30は
図2に記載のごとく、ワゴン100を保持するための駐車台10やスロープ板14、ばね18、ロック板16を備えている。ハンドル80と操作レバー82を人が握るのを止めると、操作レバー82はハンドル80から離れた状態に移動し、車輪118にはそれぞれブレーキが動作し、移動が阻止される。これによりワゴン100は固定された状態となる。供給装置30は、電源ユニット120に交流電力を供給するための給電装置50や停止状態のワゴン100に水を供給する給水装置46を有している。このような供給状態に仮にワゴン100が移動すると大変危険である。このような危険を防止できる。
【0025】
ワゴン100が供給装置30の駐車台10に停止し、
図1に記載の入出力装置350から指示を行うことにより、給電装置50と電源ユニット120との間の電気的な接続を制御できる。すなわち接続機構52を動作させて給電装置50と電源ユニット120とを電気的および機械的に接続を行ったり、接続を解除したりすることが可能となる。同様に給水装置46からワゴン100の給水口280への水の供給を制御できる。すなわち給水弁44を動作させて水の供給を行ったり、停止したりすることが可能となる。このような制御は、ワゴン100の内部の制御回路330と、ワゴン100側の通信回路340と無線で繋がる供給装置30側の通信回路40により、ワゴン100側の駆動回路42とが互いに情報をやり取りすることにより行われる。駆動回路42は制御回路330の指示に従って、給水弁44を開くことにより、ワゴン100への給水が行われる。また給電装置50は電源回路130の指示により、電源回路130への電力供給を開始したら、停止したりする。
【0026】
3.ワゴン100の内部構造の説明
3.1湯沸かし用のタンク240の構造の説明
図3にワゴン100の内部構造を記載する。ワゴン100が所定位置に停止し、さらに入出力装置350から給水の指示が行われることにより、給水弁44が開弁し、給水装置46から水が給水口280に供給される。給水口280に供給された水は給水管282を介してタンク240に蓄えられる。タンク240の内部の水位や温度は計測回路256で計測される。計測回路256の計測結果が制御回路330に伝えられ、給水装置46から供給された水の水位が、予め設定されていた水位に達すると、通信回路340および通信回路40を介して制御回路34へ供給停止指令が制御回路330から伝えられる。制御回路34は給水弁44を閉じ、給水が終了する。
【0027】
タンク240はその外周面全体が断熱機構242で覆われているので、タンク240に蓄えられたお湯の温度は冷えにくく、メインヒータ250による加熱で所定の温度に上昇したお湯の温度を維持するのに、大きな電力を必要としない。補助ヒータ252は二次電池122に蓄えられた電力で発熱し、前記お湯の温度を維持する。この場合に、上述のように温度を維持するための電力は小さくて良いので、二次電池122で十分に対応できる。なお、二次電池122は端子電圧が12ボルトあるいは24ボルトのリチウム電池である。二次電池122はリチウム電池セルを並列に接続することが、電流を供給する上で望ましい。このため二次電池122の端子電圧は非常に低い。端子電圧が12ボルトあるいは24ボルトに抑えることで、補助ヒータ252や調温ヒータ270への電流の制御が容易となる。補助ヒータ252や調温ヒータ270への電流はパルス波形の直流電流が供給される。電圧が低いので半導体素子の制御が容易となる。
【0028】
給電装置50から接続機構52を介して交流電力、例えば商用電力、が電源回路130へ供給され、電源回路130からタンク240の内部に設けられたメインヒータ250に電流が供給され、タンク240内の水が急加熱され、お湯となる。タンク240内の水の温度が目標値に近づくと補助ヒータ252によりゆっくりと加熱され、目標温度に維持される。補助ヒータ252は例えば二次電池122からの電流で駆動される。メインヒータ250はタンク240の内部の水を急速に加熱するのに適している。一方補助ヒータ252はタンク240の内部の水の温度をより正確に制御する、あるいは目標温度に維持するのに適している。タンク240は上述のとおりその外周が断熱構造242となっている。従って一旦目標値に加熱した後は、急激に温度は下がることがない。このため容量がメインヒータ250に対して10分の一から100分の一程度の容量の補助ヒータ252であっても、温度の維持が可能となる。
【0029】
3.2タオル製造に係る説明
タオルの原料となる紙が紙ロール302の状態で保持される。紙ロール302から原料となる紙がローラー304に導かれ、タオル成形装置310へ供給される。タオル成形装置310でタオルの形状となり、タオル取出し口312から外部に提供される。例えば扉314の上に提供される。紙ロール302やタオル成形装置310、ローラー304、とうが、タオル提供装置を構成する。
【0030】
タオル取出し口312から提供される前に、タンク240の内部のお湯が給湯管260を介して、ポンプ262により吸い上げられ、紙ロール302からの紙に供給されることにより、水分を含んだ暖かいタオルを顧客等に提供できる。提供するタオルの温度を指定した温度にするために、調温ヒータ270が設けられている。例えば、ワゴン100が移動したことにより、扉314やタオル取出し口312の除染が好ましい場合がある。ウイスルなどの細菌による感染を防止するために、最初は高温のタオルをタオル取出し口312から提供し、汚れの除去を行った後、顧客に提供するのに適した温度のタオルをタオル取出し口312から提供することも可能となる。この場合には、調温ヒータ270で当初高温に加熱して、その後温度を下げる制御となる。このような制御は、入出力装置350からの指示に基づいて、制御回路330により行われる。さらにワゴン100にはアルコールなどの殺菌液を保持す殺菌液タンク320が設けられている。入出力装置350から指示することにより、タンク240に蓄えられたお湯の代わりに、殺菌液タンク320からの殺菌液を含んだタオルをタオル取出し口312から提供することも可能である。また入出力装置350からの指示により、高温のタオルを何個、その後温度を下げたタオルを何個と指定することにより、制御回路330が提供タオルを計数し、指示に対して対応するように表示して、提供したタオルの個数を示すことができる。係数はタオル成形装置310で行うことができる。
【0031】
3.3使用済みのごみの回収の説明
ワゴン100は老人ホームなど、いろいろな場所で使用可能である。使用済みのタオルだけでなく、いろいろな汚れ物の回収が求められる。投入扉204から回収物を内部に設けられたごみ袋210で回収する。これら回収物からのウイルスの感染を防止することも重要である。投入扉204を閉じるだけでは、細菌の拡散を防止できない。従って入出力装置350を操作することにより、二次電池122から電流が密閉用ヒータ220へ供給され、ごみ袋210の口を加熱溶着することにより、ごみ袋210を密閉する。このようにすることで、細菌などの拡散を防止できる。
【0032】
4.充電済二次電池122への交換に関する説明
ワゴン100が移動中は、ワゴン100に搭載された二次電池122の電力により、
図3に記載の補助ヒータ252や給水口280、調温ヒータ270、タオル成形装置310、密閉用ヒータ220、などを動作させる。二次電池122の容量を大きくすると、ワゴン100自身が大きくなり、移動するのがたいへんである。このため、移動に伴って二次電池122の蓄電量が大きく減少することが考えられる。二次電池122を充電するには時間が掛かり、ワゴン100の使用効率が低下する。
【0033】
このようなワゴン100の使用効率低下を防ぐ方法として、ワゴン100に使用する二次電池122とは別に、二次電池122を供給装置30により充電し、使用可能な充電済みの二次電池122を用意し、ワゴン100を使用する場合に二次電池122を交換する。このようにすることにより、ワゴン100の使用効率を上げることができる。二次電池122だけを交換しても良い。
図4に示す構成では、電源ユニット120を交換する。電源ユニット120はほとんど二次電池122が占めている。
【0034】
図4に於いて、二次電池122や電源回路130を有する電源ユニット120が、支持台62に乗せられている。支持台62は昇降機構24により上下に移動する。例えばワゴン100に電源ユニット120を備え付ける場合は、支持台62を少し高くし、ワゴン100の背面からワゴン100の電源ユニット空間126(
図5に記載)の内部に電源ユニット120が挿入された後、昇降機構24により支持台62を下げることで、電源ユニット120はワゴン100の126の内部に固定される。またワゴン100に固定されていた電源ユニット120を、支持台62に移動する場合には、支持台62を下げた状態で、支持台62をワゴン100の背面から挿入し、その後昇降機構24により支持台62を上げることにより、電源ユニット120を支持台62に移すことができる。この後ワゴン100をバックさせることにより、ワゴン100に設けられていた電源ユニット120をワゴン100から取り外すことができる。
【0035】
電源ユニット120の電気配線は、接続装置154により、ワゴン100内部の配線と繋いだり外したりすることができる。
図3や
図4において、電気配線を1本の線で記載しているが、実際には複数の信号線と電力供給線とを有している。
【0036】
接続機構52を介して電源回路130が給電装置50に接続されると、商用電力などの電力が電源回路130へ供給され、二次電池122の充電が開始される。この充電制御は制御回路34により行われ、充電中は表示装置32に充電中を表す表示が表示される。またおおよその充電終了時間が表示される。さらに充電が完了すると表示装置32に充電完了の表示が行われる。ワゴン100が新たに使用する電源ユニット120を選択する場合に、表示装置32の表示に基づき、充電完了の表示が出ている電源ユニット120の中から選択することが可能となる。
【0037】
5.ワゴン100の背面構造の説明
図4にワゴン100の背面の外観を示す。下部に電源ユニット挿入口128が設けられ、その奥に電源ユニット120を配置するための電源ユニット空間126が形成されている。
図5は電源ユニット空間126に電源ユニット120が配置された状態を示す。電源ユニット空間126の底には電源ユニット120を支持するための支持台140が設けられている。
【0038】
ワゴン100が駐車台10に固定された状態では、
図5に示す如く、支持台140は複数に分割されており、分割された支持台140の間には支持台62が配置されている。支持台62は
図4に記載の昇降機構24により上下する。支持台62が下がった状態では、電源ユニット120はワゴン100に設けられた支持台140に固定される。従って接続機構52による接続を外して、ワゴン100を移動すると電源ユニット120はワゴン100と共に移動し、
図3に示す接続装置154を介して内部の機器に二次電池122から電力が供給されると共に、制御回路330からの指令が電源回路130に伝えられ、電源回路130の動作が制御回路330により制御される。
【0039】
ワゴン100の背面にはタンク240を取り出すためのタンク背面扉208が設けられ、タンク240を取出してメンテナンスを行うことができる。タンク240を取り外した場合には、
図3に示す接続機構264や接続機構268の部分で電気的な接続を切り離すことができる。また上部背面扉92を開放することで、上部のメンテナンスを行うことができる。また上部扉90を開くことにより、紙ロール302などの供給やメンテナンスを行うことができる。
【0040】
6.ワゴン100および供給装置30における制御システムの説明
6.1ワゴン100の制御システム
図6はワゴン100の内部の制御ブロックおよび電力供給系を説明する説明図である。電源ユニット120を一点鎖線で示す。接続機構52により電源ユニット120と供給装置30の給電装置50とが接続されている状態では、給電装置50から商用電力がヒータ制御回路410や充電制御回路450に供給される。なお
図6の実線で記載の状態は、電源ユニット120がワゴン100に搭載された状態を説明している。しかし
図4に記載の如く、電源ユニット120がワゴン100に搭載されていない場合には、計測回路256や制御回路330や通信回路340は電源ユニット120接続されていない。制御回路330の代わりに供給装置30に設けられている制御回路34や表示装置32、通信回路40が、ヒータ制御回路410や充電制御回路450に接続され、二次電池122の充電制御は制御回路34によって行われ、二次電池122の充電等の状態は、表示装置32に表示される。表示装置32により二次電池122の充電完了、すなわち充電完了済の電源ユニット120を知ることができる。
【0041】
電源ユニット120がワゴン100に搭載された状態において、ヒータ制御回路410により、タンク240の水温が入出力装置350から入力された設定温度になるように、メインヒータ250に電流を供給する。メインヒータ250は急速な加熱に重点を置いており、大きな電流をメインヒータ250に供給する。タンク240内の水温が設定温度に近づくと、二次電池122から駆動回路254を介してパルス波形の電流を補助ヒータ252に供給し、タンク240の湯温が設定値に維持されるように制御が行われる。
【0042】
さらに制御回路330は充電制御回路450を制御して二次電池122の充電量が目標値になるように制御する。なお、
図4に記載の電源ユニット120がワゴン100に搭載されていない状態では、制御回路34により充電制御回路450が制御され、二次電池122が目標の充電率になるように充電が制御される。
【0043】
ワゴン100が駐車台10に固定されている状態、あるいは移動している状態において、メインヒータ250からお湯を含侵したタオルの代わりに、殺菌液を含侵したタオルが要求されると、制御回路330から駆動回路324に指令が行き、紙ロール302からの紙に、殺菌液供給装置322が噴霧され、タオル成形装置310からアルコールなどの殺菌液が含侵されたタオルが供給される。
【0044】
また入出力装置350からお湯が含侵されたタオルが要求されると、制御回路330による278の制御により、タンク240のお湯がポンプ262で給湯管260を介して導かれ、紙ロール302からの紙に、お湯が含侵されて、タオルが提供される。この場合に給湯管260の途中で湯温が下がることが生じる恐れがあり、制御回路330により駆動回路274が制御され、調温ヒータ270により紙に含侵される湯温が、入出力装置350からの指示に従って制御される。
【0045】
また入出力装置350により、ごみ袋210を密閉する指令が入力されると、制御回路330より駆動回路276に指令が送信され、回収扉202を挟む密閉用ヒータ220を互いに密着させる方向に移動し、その後密閉用ヒータ220の熱により溶着する。このことにより、回収扉202に投入されたごみからの細菌やウイルスの拡散が防止され、さらににおいの拡散も防止できる。ごみ袋210に投入されるごみには、人の汚物なども含まれる可能性があり、細菌やウイルスの拡散の防止が重要である。
【0046】
駆動回路254や駆動回路274、駆動回路276、駆動回路278、駆動回路324には、それぞれ二次電池122から電力が供給される。従って補助ヒータ252や調温ヒータ270、密閉用ヒータ220、ポンプ262、殺菌液供給装置322は、二次電池122からの電力により動作する。なお制御回路330や通信回路340には、独立して二次バッテリや記憶装置が設けられているが、図示を省略している。図示の省略は、制御回路34や通信回路40についても同様である。
【0047】
6.2 タンク240への給水制御の説明
ワゴン100が
図3に示す駐車台10に乗り、ロック板16により車輪118がロックされると、
図4に記載のスイッチ20から、ワゴン100が停車状態を表す信号が制御回路34から通信回路40および通信回路340を介して制御回路330へ送られる。さらにハンドル80から手を離すと、操作レバー82が移動し、スイッチ84から手を離した人を表す信号が、制御回路330へ伝えられる。
【0048】
図7のフローチャートS400はタンク240への給水を制御するフローチャートである。入出力装置350からタンク240への給水が指示されると、ステップS412で、制御回路330は給水指令を検知し、ステップS414を実行する。なお給水停止指令を行うと、あるいは給水指令を解除すると、ステップS412で給水指令が無いとして、ステップS436で給水停止の出力、例えば表示を行い、ステップS438で給水弁44を閉弁する。これによりタンク240への給水は停止する。ステップS412で給水の指示状態として、ステップS414の実行が移り、ワゴン100が正常な状態で停止しているかを上述のスイッチ20の出力信号やスイッチ84の出力信号から判断する。もし駐車状態に異常がある、あるいはワゴン100を移動しようとしてハンドル80や操作レバー82を握った場合、ステップS430に遷移して危険である旨の警報を発し、ステップS436やステップS438を実行する。
【0049】
ステップS414でワゴン100の駐車状態が正常と判断すると、ステップS416で水位が規定値に達していないかを計測回路256の出力に基づき判断する。給水し、タンク240が満杯になると、ステップS416による水位の計測により満杯を検知し、ステップS432で、満杯の表示を行い、ステップS434で車輪118のブレーキ解除禁止の給水に伴う禁止条件を解除する。さらにステップS436やステップS438を実行し、制御回路34から駆動回路42に閉弁の指令を送り、給水弁44を閉弁する。
【0050】
ステップS416でタンク240の水位が規定値に達していない場合は、ステップS420で、車輪118のブレーキの解除の禁止あるいはブレーキの解除の禁止を継続して、ステップS422で制御回路34へ給水の開始あるいは給水の継続を指示し、ステップS422で給水弁44を給水状態とし、あるいは給水状態を維持し、再びステップS412に実行が移る。このフローチャートにより、給水停止の指示が入出力装置350により入力されると、ステップS412で検知して給水を停止できる。さらにワゴン100が正常な状態で駐車していない場合は、ステップS414で給水を開始できないようにするか、あるいは給水を停止できる。またステップS420により、給水中は車輪118のブレーキを解除できないようにしている。これにより安全性が向上する。
【0051】
6.3 駐車中でのタンク240内の水温制御の説明
図8に記載のフローチャートは、ワゴン100が駐車台10に固定され、供給装置30から商用交流電源が供給されている状態での水温制御を示す。
図7でタンク240の水位が設定値に達すると自動的に
図8のフローチャートS500が実行されるようにしても良い。また人が入出力装置350から水温制御を指示することにより、フローチャートS500が開始されるようにしても良い。フローチャートS500の実行が開始されると、安全のためにステップS512で、タンク240の水位が規定値に達しているかが計測回路256の出力を基づいて判断される。もし水位が不足しているならば、ステップS513で水位の不足を表示し、
図7に記載のフローチャートS400を実行する。
【0052】
タンク240の水位が正常である場合に、ステップS518で新たな水温の目標値が入出力装置350から入力されたかどうかを判断する。新たな水温の目標値が入力された場合には、ステップS520でその値を取り込み、水温の目標値として使用する。入力されない場合には、ステップS522で前回の目標値を使用する。ステップS530で、ワゴン100が駐車台10に駐車中で商用電源等の外部からの電力供給を受けているかどうかを判断する。もしワゴン100が移動中であれば、
図9に記載のフローチャートへ制御が移る。駐車中で供給装置30から電力の供給を受けている場合、ステップS532で、計測回路256で計測した実際の水温と目標水温との差が規定値より大きいかを判断する。目標温度に対する温度差が大きい場合は、ステップS534で予め定めた急速加熱用電流ILをメインヒータ250へ供給し、短時間で水温を上昇させる。
【0053】
一方実際の水温と目標水温との差が規定値より小さい場合には、ステップS542で二次電池122からの電流を補助ヒータ252へ供給する。水温の制御精度を向上するために補助ヒータ252へはパルス状の電流IBを供給する。この最大電流値ICは急速加熱用電流ILの最大電流値の5分の1から20分の1程度の大きさである。パルス状の電流IBのデューティーを制御することで、補助ヒータ252の発熱量を高精度に制御できる。ステップS544でメインヒータ250への供給電流値を大きく低減する。場合によっては、ゼロにしても良い。次にステップS550で目標温度に到達するまでの時間を入出力装置350に表示する。メインヒータ250による加熱を行っている状態では、供給装置30の給電装置50からの交流電流の供給が必要であり、ステップS552で車輪118のブレーキの解除を禁止する。もし給電装置50からの交流電流の供給中にワゴン100を移動させると、接続機構52等が損傷する恐れがあるなど、大変危険である。
【0054】
ステップS540でタンク240の水温が目標値に達した場合に、ステップS562で二次電池122の充電が完了しているかどうかを判断する。完了していない場合には、後述する二次電池122の充電フローチャートを実行する。なう、ステップS562で122の充電が完了している場合には、ステップS564で、水温や二次電池122の充電に関する条件に関して、車輪118のブレーキを解除することを可能とする。ただし車輪118のブレーキの解除には、他の条件も必要である。例えばハンドル80と操作レバー82が手で握られていること、紙ロール302のセット量が十分であること。紙ロール302の紙が不足している場合には、車輪118のブレーキが解除されない。この場合には、350に警告表示が出される。
【0055】
水温が目標値に達すると、ステップS566で目標値に達したことを入出力装置350に表示する。しかしその後水温が下がる可能性があるので、ステップS570で、再び制御回路330の実行をステップS512へ遷移させる。
【0056】
6.4 移動中でのタンク240内の水温制御の説明
ワゴン100が駐車中においては、ワゴン100は駐車台10に固定されている。一方ワゴン100が駐車台10以外の場所にある場合、仮に停止していてもこの明細書では、移動中と表現する。電源ユニット120には外部からの電力が供給されない。従って移動中は、使用できる電力が少ないため、タンク240の水温を維持する制御を補助ヒータ252と二次電池122とで行う。フローチャートS600が実行されると、ステップS610で移動中か駐車中かの判断を行う。もし駐車中であれば、
図8に記載のフローチャートS500を実行する。移動中の場合にステップS620でタンク240の水温と目標水温との差が規定値を超えて大きいかを調べ、大きい場合にはステップS622で、入出力装置350より警報を発する。今後水温が低下していく恐れがあるからである。この場合は、できるだけ速やかにワゴン100を駐車位置に戻すことが好ましい。
【0057】
なお、タンク240は外周全体が断熱機構242で覆われており、タンク240内の水温の温度はあまり低下しない。この場合に、補助ヒータ252による加熱を停止し、調温ヒータ270により、要求の温度のタオルを提供できると、制御回路330で決定した場合には、補助ヒータ252の加熱度差を停止する。補助ヒータ252の消費電力を低減することで、二次電池122の電力の消耗を低減できる。制御回路330の判断は、タンク240内の水温の変化状態に基づいて行われる。
【0058】
タンク240の水温と目標水温との差が規定値より小さい場合には、ステップS630で補助ヒータ252に二次電池122から電流を供給して、水温を目標値に近づける。さらに顧客へ提供するためのタオルの温度を調温ヒータ270で制御する。調温ヒータ270に要求される発熱量はメインヒータ250や補助ヒータ252に比べ非常に少ないので、調温ヒータ270の温度調整は比較的容易である。ステップS640で二次電池122の充電量を調べ目標充電量からの差を求める。もし二次電池122の充電量が大きく低下している、すなわち規定値を超えて低下している場合には、ステップS642で警告表示を入出力装置350から行う。さらに二次電池122の蓄電量の低下を抑えるために補助ヒータ252への電力供給を止め、調温ヒータ270のみで、タオルの温度調整を行う。このようにすることで、顧客へのサービスの低下を少なくする。
【0059】
6.5 二次電池122の充電制御の説明
図10に記載のフローチャートは、二次電池122を充電するための制御を表している。二次電池122を充電する場合に、
図3に記載の如く、電源ユニット120をワゴン100に搭載した状態で二次電池122を充電する場合と、
図4に記載のように、電源ユニット120をワゴン100に搭載しない状態で、二次電池122を充電する場合とがある。どちらも基本的な制御内容はほぼ同じである。
図4に記載の場合は、電源ユニット120は制御回路34に接続しており、制御回路330には接続していないので、二次電池122の充電は、制御回路34によって行われる。しかし、
図3に記載の如く電源ユニット120がワゴン100に搭載されている場合には、電源ユニット120は制御回路34にも、また制御回路330にも接続可能であり、制御回路34と制御回路330のどちらでも二次電池122の充電を制御することができる。
図10に記載の実施例では、制御回路330で制御する内容となっている。
【0060】
二次電池122の充電は人の操作によって開始しても良いし、自動的に開始しても良い。
図10に記載のフローチャートS700の実行が開始されると、ステップS710で、電源ユニット120がワゴン100に搭載された
図3に記載の状態なのか、電源ユニット120がワゴン100に搭載されていない
図4の状態なのかが判断される。
図3の状態であれば、ステップS714で制御回路330によって二次電池122の充電が制御される。
【0061】
充電動作中の事故を防止するために、車輪118にブレーキがかかっている状態かどうかが検知される。車輪118にブレーキがかかっている状態であれば、ワゴン100の移動が防止できるので、充電動作中にワゴン100を移動することが防止できる。さらに二次電池122の充電のための電力が給電装置50から供給されるので、接続機構52による接続が正しく行われていることが必要である。接続機構52を介して送られてくる電圧値を見ることにより接続機構52の接続が正しく行われているかを、ステップS720で調べる。このような動作は例えば制御回路330によって行われる。
【0062】
もし車輪118にブレーキがかかっていない場合には、ステップS718で入出力装置350の表示画面に警告が表示される。もし既に二次電池122の充電が行われている場合には、充電が停止される。またステップS720での検査で、接続機構52に不具合があると判断されると、入出力装置350の表示画面に警告が表示され、ステップS782で充電動作が停止される。このようにして安全が維持される。ステップS716やステップS720で異常が見つからない場合には、ステップS730で二次電池122の充電が行われる。次にステップS740で充電が完了したかが判断される。その後再びステップS710が実行される。このようにして二次電池122の充電動作が続けられる。充電が完了するとステップS740からステップS790へ実行が移り、ステップS790で充電動作が終了する。充電が完了すると80と操作レバー82とを手で握ることにより、車輪118のブレーキを解除することができ、ワゴン100を移動することが可能となる。
【0063】
図4に記載のように、電源ユニット120がワゴン100に搭載されていない場合には、制御回路34により、二次電池122の充電が実行される。すなわちステップS760で制御回路34による制御が決定され、ステップS762で、接続機構52による接続が正常かどうか、が判断される。異常であれば、ステップS764で表示装置32に異常を表す警報が表示される。この場合には、充電は開始されないし、もし充電が行われている場合には、ステップS782で充電動作が停止される。
【0064】
充電動作中にワゴン100が近づくと危険である。ステップS770でワゴン100がロック機構12に接した場合に、ステップS772で表示装置32に警報表示が行われる。この場合も、ステップS782で充電動作が停止する。ステップS762やステップS770で問題が無い場合には、ステップS780で充電動作が行われるあるいは継続される。ステップS784で充電動作の完了がチェックされ、完了している場合には、ステップS790で完了が表示装置32に表示される。そうでない場合には、再びステップS710からの実行が行われ、二次電池122の充電が続けられる。このようにして安全性が維持される。
【符号の説明】
【0065】
10・・・駐車台、12・・・ロック機構、14・・・スロープ板、16・・・ロック板、18・・・ばね、20・・・スイッチ、22・・・信号線、24・・・昇降機構、供給装置30・・・供給装置30、32・・・表示装置、34・・・制御回路、40・・・通信回路、42・・・駆動回路、44・・・給水弁、46・・・給水装置、50・・・給電装置、52・・・接続機構、62・・・支持台、80・・・ハンドル、82・・・操作レバー、84・・・スイッチ、90・・・上部扉、100・・・ワゴン、118・・・車輪、120・・・電源ユニット、122・・・二次電池、126・・・電源ユニット空間、210・・・ごみ袋、220・・・密閉用ヒータ、270・・・調温ヒータ、302・・・紙ロール、330・・・制御回路、340・・・通信回路、350・・・入出力装置。