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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023090206
(43)【公開日】2023-06-29
(54)【発明の名称】光照射装置、光源ユニット
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20230622BHJP
   F21V 29/503 20150101ALI20230622BHJP
   F21V 29/51 20150101ALI20230622BHJP
   F21V 29/67 20150101ALI20230622BHJP
   F21V 29/71 20150101ALI20230622BHJP
   F21V 29/76 20150101ALI20230622BHJP
   F21V 19/00 20060101ALI20230622BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20230622BHJP
   H01L 23/427 20060101ALI20230622BHJP
   H01L 23/467 20060101ALI20230622BHJP
【FI】
F21S2/00 377
F21V29/503
F21V29/51
F21V29/67 200
F21V29/71
F21V29/76
F21V19/00 150
F21V19/00 170
F21V19/00 450
F21S2/00 375
H05K7/20 H
H05K7/20 R
H05K7/20 G
H01L23/46 B
H01L23/46 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021205048
(22)【出願日】2021-12-17
(71)【出願人】
【識別番号】000102212
【氏名又は名称】ウシオ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高間 淳史
(72)【発明者】
【氏名】金端 祥寛
【テーマコード(参考)】
3K013
5E322
5F136
【Fターム(参考)】
3K013AA07
3K013BA01
3K013CA05
3K013CA16
5E322AA01
5E322BA01
5E322BA03
5E322BB03
5E322DB10
5F136BA04
5F136CA03
5F136CA11
5F136CC20
5F136CC22
5F136CC24
5F136DA33
5F136FA02
5F136FA03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】装置全体を大型化することなく、LED素子の冷却効率が向上された光照射装置、光源ユニットを提供する。
【解決手段】ヒートパイプ34を備えたヒートシンク33と、ヒートシンク33に接するよう配置されたLED基板32と、ヒートシンク33及びLED基板32を収容する筐体とを備え、LED基板32は、複数のLED素子31が配列された発光領域31aを有し、LED基板32の主面32aに直交する方向から見たときに、ヒートパイプ34の一部が発光領域31aの内側に位置し、ヒートパイプ34の他の一部が発光領域31aの外側に位置する。
【選択図】図5A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒートパイプを備えたヒートシンクと、
前記ヒートシンクに接するよう配置されたLED基板と、
前記ヒートシンク及び前記LED基板を収容する筐体とを備え、
前記LED基板は、複数のLED素子が配列された発光領域を有し、
前記LED基板の主面に直交する方向から見たときに、前記ヒートパイプの一部が前記発光領域の内側に位置し、前記ヒートパイプの他の一部が前記発光領域の外側に位置することを特徴とする光照射装置。
【請求項2】
前記ヒートシンクに設けられた、冷却風を通流させるための離間部を形成する複数のフィンと、
前記筐体の外部から前記筐体の内部に前記冷却風を取り込む吸気口と、
前記吸気口から前記筐体内に取り込まれた前記冷却風が流れ込む風流入領域をと備え、
前記発光領域の外側に位置する前記ヒートパイプの一部が、前記発光領域よりも前記風流入領域に近い場所に位置することを特徴とする請求項1に記載の光照射装置。
【請求項3】
前記ヒートパイプの少なくとも一方の端部が、前記発光領域の外側であって、かつ、前記発光領域よりも前記風流入領域に近い場所に位置することを特徴とする請求項2に記載の光照射装置。
【請求項4】
前記ヒートパイプの少なくとも一部が、第一方向に沿って配置されており、
前記離間部は、前記冷却風が前記第一方向に向かって通流するように形成されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の光照射装置。
【請求項5】
前記筐体は、前記フィンの一方の端縁部側に前記冷却風を導入するための第一吸気口及び第一導風路と、前記フィンの他方の端縁部側に前記冷却風を導入するための第二吸気口及び第二導風路とが形成されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の光照射装置。
【請求項6】
前記ヒートシンクは、前記フィンの突出する長さが中央部側よりも端縁部側が短いことを特徴とする請求項2又は3に記載の光照射装置。
【請求項7】
前記離間部を通流した前記冷却風を排出する排出路と、前記排出路内に配置された前記冷却風を前記吸気口から前記排出路へと導くファンと、前記排出路の内壁面と前記ファンとの間に設けられた遮風部材とを備えることを特徴とする請求項2又は3に記載の光照射装置。
【請求項8】
前記LED基板に直交する方向に見たときに、前記ヒートパイプの一部が前記発光領域の中心と重なるように配置されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の光照射装置。
【請求項9】
前記LED基板と、前記ヒートパイプの少なくとも一部とが接触していることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の光照射装置。
【請求項10】
前記ヒートパイプは、少なくとも前記LED基板と接触している部分が扁平形状を呈していることを特徴とする請求項9に記載の光照射装置。
【請求項11】
主面上に対向する二辺の両端部にわたって前記発光領域が形成された前記LED基板と、前記ヒートパイプと、前記ヒートシンクを含む光源ユニットを複数備え、複数の前記光源ユニットが配列されて、ライン状の光を出射することを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の光照射装置。
【請求項12】
請求項11に記載の光照射装置に搭載される光源ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光照射装置、光源ユニットに関し、特にLED素子を光源とする光照射装置、光源ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
紫外光の照射によって硬化する光硬化性インクを用いて印刷を行う印刷装置(以下、適宜「UV印刷装置」と記載する。)が知られている。従来、UV印刷装置用の光源としては、放電ランプが用いられていた。しかし近年、消費エネルギーが低く、寿命が長い等の利点があることから、放電ランプに代えてLED素子が利用され始めている。ただし、LED素子は単独では出力が低いため、短時間でインク硬化が可能な光量で紫外光を照射するためには、光源として複数のLED素子を配列させる必要がある。
【0003】
このように、光源として複数のLED素子を配列させた場合、光源側での発熱の問題が生じる。LED素子は、動作温度が高くなると発光効率と寿命が低下するため、効率性及び寿命特性の向上の観点から高い排熱性を確保する必要がある。例えば、下記特許文献1には、UV印刷装置用の光源に備えられた冷却機構に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5940116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現在、高品質で高速な印刷技術が市場から要求されている。かかる要求に応えるためには、光源からの光出力を更に向上させる必要がある。しかし、光出力を向上させるほど、光源における発熱量が増加する。上述したように、光源を複数のLED素子で構成した場合には、発光効率や寿命の観点から、温度上昇はなるべく避ける必要があるため、更に高い排熱性を実現する必要がある。
【0006】
特許文献1に開示された構成によれば、ヒートシンクを通じて熱交換された後の排気風は、光照射装置の外側へ排出される。上記のように、光出力を更に向上させる観点からは、冷却効率を高めるべく、ヒートシンクに供給される冷却風の風量を増大させることが好ましい。
【0007】
しかしながら、ヒートシンクに供給される冷却風の風量を増大させるためには、大きな吸気口や導風路を設ける必要があり、このような対策では、光照射装置全体の大型化を招いてしまう。特に、UV印刷装置に適用される光照射装置は、印刷機及び印刷物等に応じて装置全体のサイズがある程度規定されるため、装置全体を大型化するような対策は好ましくない。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑み、装置全体を大型化することなく、LED素子の冷却効率が向上された光照射装置、光源ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の光照射装置は、
ヒートパイプを備えたヒートシンクと、
前記ヒートシンクに接するよう配置されたLED基板と、
前記ヒートシンク及び前記LED基板を収容する筐体とを備え、
前記LED基板は、複数のLED素子が配列された発光領域を有し、
前記LED基板の主面に直交する方向から見たときに、前記ヒートパイプの一部が前記発光領域の内側に位置し、前記ヒートパイプの他の一部が前記発光領域の外側に位置することを特徴とする。
【0010】
本明細書における「発光領域」とは、一つのLED基板上に載置された複数のLED素子全体の外周を結ぶ包絡線で囲まれた領域を指す。
【0011】
ヒートパイプとは、金属で構成された管体の内部に、ウィックと称される繊維状又はメッシュ状の部材と、熱を吸収することで蒸発する液体(以下、「作動液」と称する。)とが封入された部材である。ヒートパイプによる熱輸送は、吸収した熱による作動液の蒸発と、放熱による作動液の凝縮と、蒸発した作動液と凝縮した作動液とが管体の内部で高速に移動することにより行われる。
【0012】
ヒートパイプは、LED基板の発光領域で発生した熱、すなわち、複数のLED素子が点灯することで発生した熱を吸収し、発光領域から離れた領域に順次移動させる。
【0013】
したがって、上記構成とすることで、発光領域で発生した熱を、より速く順次排熱することができるため、ヒートシンクの発光領域における排熱効率が向上される。つまり、従来構成の光照射装置と比較して、搭載されているLED素子がより冷却される。
【0014】
上記光照射装置は、
前記ヒートシンクに設けられた、冷却風を通流させるための離間部を形成する複数のフィンと、
前記筐体の外部から前記筐体の内部に前記冷却風を取り込む吸気口と、
前記吸気口から前記筐体内に取り込まれた前記冷却風が流れ込む風流入領域をと備え、
前記発光領域の外側に位置する前記ヒートパイプの一部が、前記発光領域よりも前記風流入領域に近い場所に位置するように構成されていても構わない
【0015】
さらに、上記光照射装置は、
前記ヒートパイプの少なくとも一方の端部が、前記発光領域の外側であって、かつ、前記発光領域よりも前記風流入領域に近い場所に位置するように構成されていても構わない。
【0016】
筐体の外側から取り込まれた冷却風は、発光領域周辺に到達する前に、発光領域から熱が輸送されてくるヒートパイプの近傍を通流する。そして、熱を吸収して温度が上昇した冷却風は、順次送り込まれてくる冷却風によって押し出されるため、フィンの近傍に滞留することなく、フィンの隙間からヒートシンクの外側へと排出される。
【0017】
したがって、上記構成とすることで、発光領域で発生した熱は、ヒートパイプによって順次発光領域から離れた領域に輸送される。そして、輸送された熱は、筐体の外側から流れ込む比較的温度が低い状態の冷却風によって順次排熱される。つまり、本発明の光照射装置は、従来構成の光照射装置の構成と比較して、LED素子で発生する熱をより効率的に排熱することができ、より高い冷却効率が実現される。
【0018】
上記光照射装置は、
前記ヒートパイプの少なくとも一部が、第一方向に沿って配置されており、
前記離間部は、前記冷却風が前記第一方向に向かって通流するように形成されていても構わない。
【0019】
上記構成とすることで、発光領域で発生した熱が、ヒートパイプの少なくとも一部において、発光領域から熱を吸収していない状態の冷却風が流れ込む風流入領域に向かって真っすぐ移送される。つまり、熱の移送先の部分から、熱が吸収される部分に向かって冷却風が通流する。これにより、冷却風は、熱が移送されてくる部分において重点的に吸熱することができるため、ヒートシンクの排熱効率は、より向上される。
【0020】
上記光照射装置は、
前記筐体は、前記フィンの一方の端縁部側に前記冷却風を導入するための第一吸気口及び第一導風路と、前記フィンの他方の端縁部側に前記冷却風を導入するための第二吸気口及び第二導風路とが形成されていても構わない。
【0021】
上記構成とすることで、第一方向に関して、フィンの中央部側に発光領域が形成され、他方の端縁部側にヒートパイプが吸収した熱を輸送する先の端部が配置されている場合、第一導風路及び第二導風路それぞれから導入される冷却風がヒートパイプから放出される熱を吸収し、加えて、発光領域から熱を吸収して排熱するように構成することができる。
【0022】
さらに、一又は複数のヒートパイプによって、ヒートシンクの第一方向における中央部から、両端部に向かって熱が輸送される場合は、両端部に輸送された熱を、それぞれの導風路から導入される冷却風によって排熱することができる。したがって、より排熱効率が高い光照射装置が実現される。
【0023】
上記光照射装置は、
前記ヒートシンクは、前記フィンの突出する長さが中央部側よりも端縁部側が短く構成されていても構わない。
【0024】
ヒートシンクのフィンの間に導入される冷却風は、より多くの熱を吸収するために、できる限り熱源であるLED基板に近く、さらには、ヒートパイプが設けられるヒートシンクのベース体近傍を通流することが好ましい。このため、導風路とヒートシンクとを連絡する領域は、できる限りヒートシンクのベース体近傍となるように設計される。
【0025】
そして、冷却効率を向上させるために、ヒートシンクに供給する冷却風の総量を増加させるためには、できる限り導風路の流路断面積を大きくする必要がある。しかしながら、単純に流路を大きくすると、導風路を拡張した分だけ、光照射装置全体が大型化してしまう。このため、導風路を拡張するためには、光照射装置内で一部の部品を削減して、領域を確保することが好ましい。
【0026】
そこで、上記構成とすることで、導風路とヒートシンクとを連絡する領域を、ベース体近傍に限定するように狭めることができる。そして、フィンの突出する長さが短くなった領域は、導風路の拡張に利用することができる。また、ヒートシンクは、発光領域の外側に位置する領域において、フィンの突出する長さが相対的に短くなるように構成されていてもよい。
【0027】
上記光照射装置は、
前記離間部を通流した前記冷却風を排出する排出路と、前記排出路内に配置された前記冷却風を前記吸気口から前記排出路へと導くファンと、前記排出路の内壁面と前記ファンとの間に設けられた遮風部材とを備えていても構わない。
【0028】
ファンがヒートシンク近傍に設けられていた場合、熱を吸収して高温になった冷却風が排出路内を逆流すると、当該冷却風と、導風路から流れ込んだ熱を吸収していない冷却風とが混ざりあって風流入領域に導入されるおそれがある。そうすると、導風路から導入されてくる冷却風の温度が上昇し、かつ、導風路からヒートシンクへ流れ込む冷却風の量が低減されてしまうことにより、冷却効率が低下してしまう可能性がある。
【0029】
そこで、上記構成とすることで、ファンを通過した冷却風が、ファンの周囲の隙間から上流側へと逆流することが防止される。
【0030】
上記光照射装置は、
前記フィンが突出する方向に見たときに、前記ヒートパイプの一部が前記発光領域の中心と重なるように配置されていても構わない。
【0031】
本明細書における「発光領域の中心」とは、LED基板の主面と直交する方向から見たときの、発光領域の形状における重心点に相当する。
【0032】
上記構成とすることで、ヒートパイプが、排熱されにくい発光領域の中心から熱を吸収し、発光領域の外側へと熱を順次輸送する。このため、ヒートパイプによって単位時間あたりにLED基板から排出される熱の量が大きくなるため、LED素子の冷却効率がより向上される。
【0033】
上記光照射装置は、
前記LED基板と、前記ヒートパイプの少なくとも一部とが接触するように構成されていても構わない。
【0034】
さらに、上記光照射装置において、
前記ヒートパイプは、少なくとも前記LED基板と接触している部分が扁平形状を呈していても構わない。
【0035】
上記構成とすることで、LED基板と、ピートパイプとの間の熱伝導率が向上されるため、LED素子の冷却効率がより向上される。
【0036】
上記光照射装置は、
主面上に対向する二辺の両端部にわたって前記発光領域が形成された前記LED基板と、前記ヒートパイプと、前記ヒートシンクを含む光源ユニットを複数備え、複数の前記光源ユニットが配列されて、ライン状の光を出射するように構成されていても構わない。
【0037】
本明細書において、「両端部にわたって発光領域が形成される」とは、第二方向に関し、発光領域の幅が最も大きい部分が、LED基板の幅に対して80%以上となるようにLED素子が配置されていることをいう。
【0038】
上記構成とすることで、光照射装置は、光源ユニットごとに交換等が可能となるため、よりメンテナンスや修理等が容易となる。また、上記構成の光照射装置は、搭載する光源ユニットの数を調整することや、電力を供給する光源ユニットを選択できるように構成することで、印刷物のサイズ等に応じて、出射する光の長さを適宜調整することができる。
【0039】
本発明の光源ユニットは、
上記光照射装置において前記第二方向に配列するように複数搭載される、前記LED基板と、前記ヒートシンクと、前記ヒートパイプとを備える光源ユニットであって、
前記発光領域が、前記LED基板の第一主面上の前記第二方向の両端部にわたって形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0040】
本発明によれば、装置全体を大型化することなく、LED素子の冷却効率が向上された光照射装置、光源ユニットが実現される。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】光照射装置の一実施形態の模式的な上方斜視図である。
図2図1の光照射装置から筐体の一部を取り除いた上方斜視図である。
図3図1の光照射装置から筐体の一部を取り除いた上方斜視図である。
図4図2の光照射装置を+Y側から見たときの図面である。
図5A】光源ユニット単体の上方斜視図である。
図5B図5Aに示す光源ユニットからLED基板を取り除いた状態を示す図面である。
図5C】光源ユニット単体の上方斜視図である。
図6A】光照射装置を-Z側から見たときの図面である。
図6B図6Aの光照射装置から一部の部品を取り除いた図面である。
図7】不活化装置の一実施形態における、LED基板が取り除かれた光源ユニットを-Z側から見たときの図面である。
図8】不活化装置の一実施形態における、LED基板が取り除かれた光源ユニットを-Z側から見たときの図面である。
図9】光照射装置の別実施形態を、筐体の一部を取り除いた状態で+Y側から見たときの図面である。
図10図9の光照射装置を-Z側から見たときの図面である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
[第一実施形態]
以下、本発明の光照射装置について、図面を参照して説明する。なお、以下の各図面は、いずれも模式的に図示されたものであり、図面上の寸法比や個数は、実際の寸法比や個数と必ずしも一致していない。
【0043】
(光照射装置1)
図1は、光照射装置1の第一実施形態の模式的な上方斜視図である。図2及び図3は、図1の光照射装置1から筐体10の一部を取り除いた図面であり、それぞれ異なる角度から見たときの上方斜視図である。図1に示すように、第一実施形態における光照射装置1は、収容する筐体10と、を備え、筐体10には、図1図3に示すように、光出射窓11と、吸気口12と、排気口13とが設けられている。
【0044】
また、図2及び図3に示すように、光照射装置1は、筐体10の内側に、複数の光源ユニット20と、ファン14と、給電ユニット21とが収容されている。なお、光照射装置1の第一実施形態では、筐体10の+X側の側面に第一吸気口12aと、-X側の側面に第二吸気口12bとの二つの吸気口が設けられているが、第二吸気口12bは、筐体10の-X側の側面に設けられて他の部材によって隠されているため、図1図3では図示されていない。
【0045】
以下の説明においては、図1に示すように、光出射窓11の光出射面11aがXY平面と平行に配置されているとして、光出射窓11の光出射面11aに直交する方向、すなわち、出射される光の主光線の光軸をZ方向として説明される。そして、図2に示すように、光源ユニット20が配列されている方向がY方向として説明される。なお、X方向は「第一方向」、Y方向は「第二方向」にそれぞれ対応する。
【0046】
また、方向を表現する際に、正負の向きを区別する場合には、「+Z方向」、「-Z方向」のように、正負の符号を付して記載され、正負の向きを区別せずに方向を表現する場合には、単に「Z方向」と記載される。
【0047】
図4は、図2の光照射装置1を+Y側から見たときの図面である。図4に示すように、筐体10は、第一吸気口12aから取り込まれた冷却風W1を、後述されるヒートシンク33のフィン33bの+X側の端縁部である第一風流入領域A1へと導く第一導風路15aと、第二吸気口12bから取り込まれた冷却風W1をフィン33bの-X側の端縁部である第二風流入領域A2へと導く第二導風路15bとが形成されている。なお、図4において図示されているフィンは、面形状を呈しY方向に配列されているが、ヒートシンク33が備えるフィン33bは、針状や棒状等の点在するような構成であっても構わない。なお、当該構成のヒートシンクが採用される場合であっても、光源ユニット20は、冷却風がフィンの間をX方向に向かって通流するように設計される。
【0048】
なお、第一実施形態において、吸気口(12a,12b)は、冷却風W1として筐体10の外側の空気を筐体10の内側に取り込むように構成されている。
【0049】
第一実施形態の第一吸気口12aは、図1に示すように、Y方向に並列して二つ設けられているが、第一吸気口12aの数は、一つであってもよく、三つ以上設けられていても構わない。なお、当該構成態様については、図1において隠れていて図示されていない第二吸気口12bについても同様に採用し得る。
【0050】
第一実施形態の導風路(15a,15b)のそれぞれは、図4に示すように、吸気口(12a,12b)から取り込まれた冷却風W1を、-Z方向に通流させて各風流入領域(A1,A2)へと導くための流路である。
【0051】
排出路16は、図4に示すように、光源ユニット20から熱を吸収した冷却風W2を、+Z方向に通流させて排気口13に導くための流路である。
【0052】
また、第一実施形態では、排出路16内において、光源ユニット20及びファン14に電力を供給する給電ユニット21が設けられており(図4参照)、給電ユニット21で発生する熱が、冷却風W2によって排熱されるように構成されている。なお、給電ユニット21は、筐体10の外側に構成されていても構わない。
【0053】
ファン14は、図4に示すように、筐体10の排出路16内に配置されており、送風動作を開始することで、各吸気口(12a,12b)から冷却風W1を取り込み、当該冷却風W1を導風路(15a,15b)、後述のヒートシンク33のフィン33bの間、排出路16の順に通流させて、熱を吸収した冷却風W2として排気口13から排出する。
【0054】
ファン14と排出路16の内壁面16aとの間には、図4に示すように、冷却風W2がファン14の周囲から-Z側に逆流することを防止するための遮風部材17が設けられている。遮風部材17は、例えば、ファン14と排出路16の内壁面16aとの隙間を埋めるように成形された、エチレンプロピレンジエンゴムを材料とする部材である。なお、遮風部材17の形状は、ファン14と排出路16の内壁面16aとの隙間の形状に応じて、適宜調整される。
【0055】
なお、ファン14がより排気口13側に設けられて、冷却風W2の一部がファン14の周辺で逆流することが問題とならないような場合は、遮風部材17が設けられていなくても構わない。さらに、筐体内における温度差によって生じる自然対流によって、十分な放熱が可能であるような場合や、水冷式の冷却機構等が設けられているような場合においては、吸気口(12a,12b)及びファン14が設けられていなくても構わない。
【0056】
光出射窓11は、光源ユニット20から出射された光を-Z方向に向かって出射させるために設けられた窓である。光出射窓11は、単なる開口であってもよいが、光源ユニット20に埃などが付着しないように、光源ユニット20から出射される光を透過する部材で覆われていることが好ましい。開口が当該部材で覆われている場合、光出射窓11を構成する当該部材の材料は、例えば、石英ガラスや、ホウケイ酸ガラス等である。
【0057】
(光源ユニット20)
図5Aは、光源ユニット20単体の上方斜視図であり、図5Bは、図5Aに示す光源ユニット20からLED基板32を取り除いた状態を示す図面である。そして、図5Cは、図5Aとは異なる、光源ユニット20単体の上方斜視図である。図5A及び図5Bに示すように、光源ユニット20は、複数のLED素子31と、LED基板32と、ベース体33aと複数のフィン33bと、ヒートパイプ34とを含むヒートシンク33を備える。光源ユニット20の具体的な構成は、後述の光源ユニット20の項目において説明される。
【0058】
LED基板32は、図5Aに示すように、X方向及びY方向に配列するように複数のLED素子31が配置されており、発光領域31aが形成されている。発光領域31aは、図5A及び図5Cに示すように、LED基板32の第一主面32a上に配置された複数のLED素子31の外周の包絡線で囲まれた領域である。
【0059】
第一実施形態においては、LED基板32のサイズが(X,Y)=(70mm,25mm)であり、LED基板32の第一主面32a上には、発光領域31aのサイズが(X,Y)=(33mm,24mm)の長方形状となるように、複数のLED素子31がX方向及びY方向にアレイ状に配列されている。
【0060】
第一実施形態におけるLED素子31は、出射する光の強度スペクトルにおいてピーク強度を示す波長である主たる発光波長が400nmの光を出射する素子であるが、搭載するLED素子31が出射する光の主たる発光波長は任意に選択し得る。
【0061】
なお、UV印刷装置に用いられるインク硬化用の光源の場合であれば、LED素子31は、主たる発光波長が250nm以上500nm以下の範囲内に含まれる光を出射する素子であることが好ましく、主たる発光波長が260nm以上450nm以下の範囲内に含まれる光を出射する素子であることがより好ましい。
【0062】
また、第一実施形態におけるLED素子31は、図5Aに示すように、LED基板32の第一主面32a上にX方向及びY方向に等間隔で格子状に配列されているが、LED素子31の配列は、全てが等間隔で配列されていなくてもよく、図5Cに示すように、LED素子31の配列が途中から所定の方向に平行移動(図5Cにおいては、X方向に並んでいる列が、途中からY方向に平行移動)した配置構成等を採用しても構わない。
【0063】
ヒートシンク33は、図5Aに示すように、LED基板32に接触するように設けられたベース体33aと、X方向に延伸し、Y方向に離間部を有するように複数配列された面形状のフィン33bとを備える。そして、複数のフィン33bは、筐体10内において導風路(15a,15b)を構成する領域を少しでも広くするために、X方向に関し、中央部側より風流入領域(A1,A2)側の方が突出する長さ、すなわち、Z方向における長さが短くなるように構成されている。
【0064】
第一実施形態におけるヒートシンク33は、ベース体33a及びフィン33bがアルミニウム合金で形成されているが、ベース体33a及びフィン33bの材料は、銅やマグネシウム合金等を採用することができる。なお、ヒートシンク33は、ファンや導風路によって、冷却風が近傍を所定の方向に向かって通流するように構成されている場合においては、フィン33bを備えいなくても構わない。
【0065】
ヒートパイプ34は、図5Bに示すように、直管形状を呈し、ヒートシンク33のベース体33aに埋め込まれて、管軸34aがX方向に沿うように配置されている。そして、ヒートパイプ34は、LED基板32の第一主面32aとは反対側の主面と、広範囲にわたって接触するように、-Z側にXY平面と平行な平坦面が形成されている。
【0066】
第一実施形態におけるヒートパイプ34は、管体の材料が銅である、延伸方向における長さが70mmのヒートパイプが採用されている。ヒートパイプ34は、熱を輸送する距離が長いほど冷却効率が高いことが知られている。また、あまりに長いヒートパイプ34では、配置する領域の確保が難しくなる。このため、光照射装置1に搭載するヒートパイプ34の延伸方向における長さは、50mm以上100mm以下であることが好ましく、70mm以上80mm以下であることがより好ましい。
【0067】
なお、ヒートパイプ34は、LED基板32と面で接触するように、全体が扁平形状を呈するように構成されていてもよく、LED基板32と接触させる部分のみ扁平形状を呈する構成であっても構わない。また、ヒートパイプ34は、LED基板32と接触させる部分にのみ-Z側に平坦面が形成されている構成であっても構わない。
【0068】
さらに、ヒートパイプ34は、直管形状を呈するように構成され、ヒートシンク33のベース体33aの内部に全体が埋め込まれて、LED基板32と直接接触しないように構成されていても構わない。さらに、ヒートパイプ34としては、直管形状であって、延伸方向の長さがヒートシンク33のX方向における幅よりも長いヒートパイプが採用されていても構わない。
【0069】
図6Aは、光照射装置1を-Z側から見たときの図面であって、図6Bは、図6Aの光照射装置1から一部の部材を取り除いた図面である。ヒートパイプ34は、図6Bに示すように、Z方向に見たときに、発光領域31aと重なるように配置されて、中央部が発光領域31aの中心31cと重なるように配置されている。つまり、ヒートパイプ34は、Z方向に見たときに、発光領域31aと重なる領域(第一実施形態においては中央部)で熱を吸収し、吸収した熱を両端部に輸送するように構成されている。
【0070】
上記構成とすることで、発光領域31aで発生した熱は、ヒートパイプ34によって発光領域31aから離れた風流入領域(A1,A2)に近い位置に順次輸送される。そして、風流入領域(A1,A2)に近い位置に輸送された熱は、各導風路(15a,15b)から流れ込む、まだ筐体10内で熱を吸収していない比較的温度が低い状態の冷却風W1によって順次吸収されて排熱される。つまり、光照射装置1は、従来構成の光照射装置の構成と比較して、LED素子31で発生する熱をより効率的に排熱することができるため、より高い冷却効率が実現される。
【0071】
第一実施形態における光源ユニット20は、図6Aに示すように、LED基板32上のY方向における両端部にわたってLED素子31が配列されている。このため、光照射装置1の第一実施形態は、Y方向に配列された複数の光源ユニット20より、光出射窓11から、Y方向に延伸するライン状の光を出射するように構成されている。光出射窓11から出射されるライン状の光は、搭載する光源ユニット20の数によって長さを調整することができる。
【0072】
また、図6Aに示すように、光照射装置1の第一実施形態は、筐体10のY方向における両端部にわたってLED素子31が配置されるように構成されている。したがって、光照射装置1を複数連結させることで、印刷物のサイズ等に応じて出射する光のY方向の長さを任意に調整することができるように構成されている。
【0073】
なお、上述の説明では、光源ユニット20を複数並べてライン状の光を出射することができる光照射装置1として説明したが、光照射装置1をY方向に複数連結させることで、更に長いライン状の光を出射する装置を構成することも想定される。
【0074】
例えば、サイズが小さい照射対象物にのみ用いられる場合等においては、光照射装置1は、所望のサイズの発光領域31aが形成された光源ユニット20を一つだけ備える構成であってもよい。また、図5Aに示すように、発光領域31aがLED基板32のY方向における両端部にわたって形成されていなくても構わない。
【0075】
第一実施形態における筐体10は、図2及び図3に示すように、複数の部材に分解できるように構成されているが、一体構成の箱型の部材であっても構わない。
【0076】
第一実施形態におけるファン14は、排出路16内に配置されているが、吸気口12や導入路(15a,15b)内に配置されていても構わない。
【0077】
第一実施形態におけるヒートシンク33は、ベース体33aがLED基板32と直接接触するように構成されているが、ヒートシンク33とLED基板32とは、直接接触せずに、ヒートパイプ34を介して熱的に接触するように配置されていても構わない。
【0078】
[第二実施形態]
本発明の光照射装置1の第二実施形態の構成につき、第一実施形態と異なる箇所を中心に説明する。
【0079】
図7は、光照射装置1の第二実施形態における、LED基板32が取り除かれた光源ユニット20を-Z側から見たときの図面である。第二実施形態における光源ユニット20は、図7に示すように、ヒートパイプ34がU字状を呈し、第一方向に複数配置されている。また、図7においてLED素子31は図示されていないが、説明のために、第一実施形態における発光領域31aが一点鎖線によって仮想的に図示されている。
【0080】
ヒートパイプ34は、発光領域31aに配置された位置から熱を輸送する距離が長いほど、冷却効率が高くなる。すなわち、ヒートパイプ34は、一本あたりの延伸方向の長さが長いほど、単体の冷却効率が高くなる。
【0081】
第二実施形態における光源ユニット20が備えるヒートパイプ34は、第一実施形態における光源ユニット20が備えるヒートパイプ34よりも、延伸方向の長さが長いヒートパイプ34を採用することができ、より冷却性能を向上させることができる。
【0082】
なお、第二実施形態に光源ユニット20は、U字状のヒートパイプ34が二つ配置された構成であるが、各発光領域31aの+Z側を通過するようにS字状のヒートパイプ34が一つ配置された構成であっても構わない。
【0083】
[第三実施形態]
本発明の光照射装置1の第三実施形態の構成につき、第一実施形態及び第二実施形態と異なる箇所を中心に説明する。
【0084】
図8は、光照射装置1の第三実施形態における、LED基板32が取り除かれた光源ユニット20を-Z側から見たときの図面である。第三実施形態における光源ユニット20は、図8に示すように、直管形状を呈するヒートパイプ34が、X方向に複数配置されている。
【0085】
第三実施形態の光照射装置1は、第一実施形態における光源ユニット20が備えるヒートパイプ34よりも一つあたりの長さが短いが、一つの発光領域31aに対して、複数のヒートパイプ34で排熱されることとなるため、冷却性能がより向上される。
【0086】
[別実施形態]
以下、別実施形態につき説明する。
【0087】
〈1〉 図9は、光照射装置1の別実施形態を、筐体10の一部を取り除いた状態で+Y側から見たときの図面であり、図10は、図9の光照射装置1を-Z側から見たときの図面である。なお、図10は、説明の都合上、図6Bと同様に一部の部材が取り除かれた状態で図示されている。
【0088】
図9に示すように、光照射装置1の別実施形態は、第一実施形態とは異なり、吸気口12及び導風路15が、筐体10の+X側のみに形成されている。また、図10に示すように、別実施形態における光源ユニット20は、LED基板32の第一主面32a上の中央部ではなく、-X側にずれた位置に発光領域31aが形成されている。
【0089】
そして、別実施形態における光源ユニット20は、Z方向に見たときに、ヒートパイプ34の一端部が発光領域31aの内側に配置されるように構成されている。すなわち、当該構成におけるヒートパイプ34は、発光領域31a側に配置された一端部で熱を吸収し、第一風流入領域A1に近い位置に輸送する。そして、図9に示すように、導風路15によって第一風流入領域A1に導入される冷却風W1によって、熱が吸収される。
【0090】
上記構成とすることで、吸気口12と導風路15とがそれぞれ一つのみで構成できるため、光照射装置1全体のサイズを小型化することができる。
【0091】
〈2〉 上述した光照射装置1が備える構成は、あくまで一例であり、本発明は、図示された各構成に限定されない。
【符号の説明】
【0092】
1 : 光照射装置
10 : 筐体
11 : 光出射窓
11a : 光出射面
12 : 吸気口
12a : 第一吸気口
12b : 第二吸気口
13 : 排気口
14 : ファン
15 : 導風路
15a : 第一導風路
15b : 第二導風路
16 : 排出路
16a : 内壁面
17 : 遮風部材
20 : 光源ユニット
21 : 給電ユニット
31 : LED素子
31a : 発光領域
31c : 中心
32 : LED基板
32a : 第一主面
33 : ヒートシンク
33a : ベース体
33b : フィン
34 : ヒートパイプ
34a : 管軸
A1 : 第一風流入領域
A2 : 第二風流入領域
W1,W2 : 冷却風
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10