(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023090231
(43)【公開日】2023-06-29
(54)【発明の名称】インホイールモーター
(51)【国際特許分類】
B60L 15/00 20060101AFI20230622BHJP
F16D 55/22 20060101ALI20230622BHJP
B60K 7/00 20060101ALI20230622BHJP
H02K 5/10 20060101ALI20230622BHJP
【FI】
B60L15/00 Z
F16D55/22 Z
B60K7/00
H02K5/10 A
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021205098
(22)【出願日】2021-12-17
(71)【出願人】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阿曽 充宏
(72)【発明者】
【氏名】土屋 裕之
【テーマコード(参考)】
3D235
3J058
5H125
5H605
【Fターム(参考)】
3D235BB22
3D235CC12
3D235CC42
3D235FF35
3D235GA04
3D235GA13
3D235GA59
3D235GA62
3D235GB13
3D235GB35
3D235GB36
3D235HH03
3J058AA43
3J058AA48
3J058AA53
3J058AA62
3J058BA26
3J058BA27
3J058CB22
3J058CD24
5H125AA01
5H125FF02
5H605AA02
5H605BB05
5H605BB19
5H605CC04
5H605DD16
5H605EB10
5H605EB16
5H605EB31
(57)【要約】
【課題】モーターの内部への塵埃や水の侵入を防止できるインホイールモーターを提供する。
【解決手段】インホイールモーターは、コイルを有するステーターと、コイルと対向するマグネットを有し、ステーターに対してモーター軸周りに回転するローターと、を備えるアウターローター型のインホイールモーターであって、ローターとステーターとの間にシール部材が介在している。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイルを有するステーターと、
前記コイルと対向するマグネットを有し、前記ステーターに対してモーター軸周りに回転するローターと、
を備えるアウターローター型のインホイールモーターであって、
前記ローターと前記ステーターとの間にシール部材が介在している、
インホイールモーター。
【請求項2】
前記ローターは、
前記車輪幅方向における内側端部が開放されているローターケースと、
前記ローターケースの前記内側端部に接続され、前記ローターケースとともに回転する回転体と、をさらに有し、
前記シール部材は、前記回転体と前記ステーターの間に配置されている、
請求項1に記載のインホイールモーター。
【請求項3】
前記ステーターは、
前記モーター軸を形成するスピンドルシャフトと、
前記スピンドルシャフトの径方向外側に配置されるステーターボディと、をさらに有し、
前記回転体は、前記ステーターボディに軸支され、
前記シール部材は、前記回転体と前記ステーターボディの間に配置されている、
請求項2に記載のインホイールモーター。
【請求項4】
前記ローターは、前記ローターケースと一体的に回転するブレーキディスクをさらに有し、
前記回転体は、前記ローターケースと前記ブレーキディスクとの間に介在するドライブプレートである、
請求項2又は3に記載のインホイールモーター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アウターローター型のインホイールモーターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気自動車の車輪の駆動源として、ホイールに内蔵されるインホイールモーターが知られている。インホイールモーターは、コイルを有するステーター(固定子)と、コイルに対向するようにマグネットが配置されているローター(回転子)と、を備え、コイルに電流が流れることで生じる磁界が、マグネットと吸引及び反発することで、ローターが回転し、この回転力がハブを介してホイールに伝達され、駆動車輪を回転させる。
【0003】
例えば、特許文献1、2には、インホイールモーターの一例として、ステーターの径方向外側にローターが配置されているアウターローター型のインホイールモーターが開示されている。このようなアウターローター型のインホイールモーターにおいては、ローターケースの径方向内側にマグネットを配置することで、ローターの回転に伴う遠心力によりマグネットがバーストするのを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-114054号公報
【特許文献2】特開2018-164366号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、アウターローター型のインホイールモーターの場合、ローターの径方向内側にステーターが配置されるため、ローターケースのモーター軸方向における一端側は開放されている。そのため、ローターの内部に塵埃や水などが侵入し、モーターの損傷を招く虞がある。
【0006】
本開示の目的は、モーターの内部への塵埃や水の侵入を防止できるインホイールモーターを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係るインホイールモーターは、
コイルを有するステーターと、
前記コイルと対向するマグネットを有し、前記ステーターに対してモーター軸周りに回転するローターと、
を備えるアウターローター型のインホイールモーターであって、
前記ローターと前記ステーターとの間にシール部材が介在している。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係るインホイールモーターによれば、モーターの内部への塵埃や水の侵入を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1A、
図1Bは、実施の形態に係るインホイールモーターを内蔵した駆動車輪の斜視図である。
【
図2】
図2は、実施の形態に係る駆動車輪の断面を模式的に示す図である。
【
図3】
図3は、実施の形態に係るインホイールモーターの分解斜視図である。
【
図4】
図4は、実施の形態に係るインホイールモーターの分解斜視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
図1A、1Bは、本開示の一実施の形態に係るインホイールモーターIWMを内蔵した駆動車輪1を示す図である。
図1Aは、駆動車輪1を車輪幅方向外側から見た斜視図であり、
図1Bは、駆動車輪1を車輪幅方向内側から見た斜視図である。なお、車輪幅方向は、インホイールモーターIWMのモーター軸方向と同じである。また、モーター軸方向に直交する方向を「径方向」と称する。
図2は、駆動車輪1の断面を模式的に示す図である。
図3は、インホイールモーターIWMの分解斜視図である。
図4は、インホイールモーターIWMの分解斜視断面図である。
【0011】
図1A、
図1B及び
図2に示すように、駆動車輪1は、インホイールモーターIWM、ホイール51及びタイヤ52等を備える。駆動車輪1において、タイヤ52の内側に金属製のホイール51が装着され、ホイール51にインホイールモーターIWMが内蔵される。
【0012】
図2~
図4に示すように、インホイールモーターIWMは、ステーター10及びローター20を有する。
【0013】
ステーター10は、ローター20を回転させるための駆動力を発生させる固定体であり、ステーターボディ11、コイル12及びスピンドルシャフト13等を有する。
ローター20は、ステーター10に対してモーター軸周りに回転する可動体であり、ローターケース21、マグネット22、ハブ23、ブレーキディスク24及びドライブプレート25等を有する。
【0014】
インホイールモーターIWMは、ステーター10の径方向外側にローター20が配置されている、アウターローター型のモーターである。ステーター10とローター20の間には、第1~第3ベアリング31~33が介在しており、ステーター10に対してローター20が摩耗なく滑らかに回転可能となっている。
【0015】
ステーターボディ11は、ボディ本体111、フランジ部112及びシャフト取付部113を有する。
ボディ本体111は、中空の円柱形状を有する。フランジ部112は、ボディ本体111の外周面に、径方向外側に円環状に張り出すように形成されている。ボディ本体111は、車輪幅方向において、フランジ部112よりも外側のコイル配置部111aと、フランジ部112よりも内側のローター支持部111bに区画される。シャフト取付部113は、ボディ本体111の内周面に、径方向内側に張り出すように形成されており、中心にシャフト挿通孔(符号略)を有している。
【0016】
コイル12は、例えば、ステーターボディ11のコイル配置部111aの外周面に巻線される。なお、
図4、
図5では、コイル12は省略されている。コイル12には、例えば、三相交流等の多相交流が通電される。コイル12の通電電流は、インバーター(図示略)により制御される。
【0017】
スピンドルシャフト13は、車輪幅方向に沿ってインホイールモーターIWMの中心に配置される軸部材であり、ローター20を軸支する。本実施の形態では、スピンドルシャフト13とともに、ステーターボディ11もローター20を軸支する軸部材として機能する。
スピンドルシャフト13は、ステーターボディ11のシャフト取付部113に挿通され、例えば、ボルト(図示略)により締結され固定される。スピンドルシャフト13における車輪幅方向内側の第1シャフト端部131は、例えば、前輪のナックル又は後輪のサスアーム(いずれも図示略)に取り付けられる。スピンドルシャフト13における車輪幅方向外側の第2シャフト端部132は、ローター20を軸支する。
【0018】
ローターケース21は、ケース本体211、ハブ取付部212及びプレート取付部213を有する。ローターケース21の内側に、ステーター10が配置される。
ケース本体211は、中空の円柱形状を有し、内周面においてマグネット22を保持する。ケース本体211の車輪幅方向外側に、ハブ取付部212が設けられる。一方、ケース本体211の車輪幅方向内側の端部は、ステーター10を組み付けられるように、開放されている。
ハブ取付部212は、ケース本体211の車輪幅方向外側の端部を閉塞するように形成されており、中心にハブ挿通口(符号略)を有している。
プレート取付部213は、ケース本体211の開放端に、径方向外側に張り出すように形成されている。
【0019】
マグネット22は、ケース本体211の内周面に配置されている。マグネット22は、インホイールモーターIWMを組み立てたときに、コイル12と離間した状態で対向する。
【0020】
ハブ23は、ハブ本体231及びケース取付部232を有し、ローター20の一部としてローターケース21等と一体的に回転する。ハブ本体231は、中空の円柱形状を有する。インホイールモーターIWMを組み立てたとき、ハブ本体231の内側に、スピンドルシャフト13の第2シャフト端部132が位置する。ハブ23は、スピンドルシャフト13の第2シャフト端部132に、第1ベアリング31及び第2ベアリングを介して、回転可能に支持される。
【0021】
ケース取付部232は、ハブ本体231の車輪幅方向外側の端部に、径方向外側に張り出すように形成されている。ローターケース21のハブ取付部212にハブ本体231を嵌め込み、ケース取付部232とハブ取付部212を対向させた状態で、例えば、ボルト(図示略)により締結することで、ハブ23は、ローターケース21に固定される。図示を省略しているが、ハブ取付部212とケース取付部232との間には、シール部材が配置されており、ローターケース21の内部の密閉性が確保されている。
また、ハブ23のケース取付部232には、スタッドボルト53によりホイール51が締結され固定される。ケース取付部232の径方向中心には、ホイールキャップ54が固定される。
【0022】
すなわち、本実施の形態では、タイヤ52からの荷重は、ホイール51、ハブ23、第1ベアリング31及び第2ベアリング32、並びにスピンドルシャフト13によって支えられ、ステーターボディ11及びローターケース21には入力されない構造となっている。これにより、タイヤ52からの荷重入力によるステーターボディ11又はローターケース21の変形が防止されるので、コイル12とマグネット22の離間距離を一定に保持することができ、インホイールモーターIWMの駆動性能が安定する。
【0023】
ブレーキディスク24は、円環形状を有し、ローター20の一部としてローターケース21等と一体的に回転する。ブレーキディスク24の外径は、ドライブプレート25の外径よりも大きく、ドライブプレート25の外周縁よりも径方向外側に突出している。この部分を挟み込むように、ブレーキキャリパー26が配置される。
【0024】
ドライブプレート25は、円環形状を有し、ローター20の一部としてローターケース21等と一体的に回転する。ドライブプレート24の車輪幅方向外側の面には、ローターケース21のプレート取付部213が対向して配置され、例えば、ボルト(符号略)によって締結され、固定される。また、ドライブプレート24の車輪幅方向内側の面には、ブレーキディスク24が対向して配置され、例えば、ボルト(符号略)によって締結され、固定される。つまり、ドライブプレート25は、ローターケース21とブレーキディスク24の間に介在している。
【0025】
図2等では、ドライブプレート25の両主面に係合凸部252、253が設けられており、係合凸部252、253が、それぞれローターケース21及びブレーキディスク24に嵌め込まれるようになっている。
【0026】
インホイールモーターIWMを組み立てたとき、ドライブプレート25の内周面側に、ステーターボディ11のローター支持部111bが位置する。ドライブプレート25は、ローター支持部111bに、第3ベアリング33を介して、回転可能に支持される。
【0027】
インホイールモーターIWMは、車輪幅方向外側において、ローター20を構成するハブ23が、第1ベアリング31及び第2ベアリング32を介して、ステーター10を構成するスピンドルシャフト13に軸支されている。また、車輪幅方向内側において、ローター20を構成するドライブプレート25が、第3ベアリング33を介して、ステーター10を構成するステーターボディ11に軸支されている。つまり、ローター20は、車輪幅方向における両端部において、ステーター10に軸支されている。
これにより、インホイールモーターIWMの駆動時に、ローター20に振れは生じず、ローター20は、モーター軸周りに安定した姿勢で回転する。したがって、ローター20の振れによって生じうる衝突を回避するために、ローター20とステーター10の離間距離を大きくする必要はなく、マグネット22とコイル12の離間距離が変動しないため、期待する駆動性能を得ることができる。また、インホイールモーターIWMの小型化を図ることができる。
【0028】
また、ドライブプレート25がステーター10に軸支される構造であるので、ローターケース21の開放端部側においても、ローター20を容易に軸支することができる。
【0029】
ドライブプレート25とローター支持部111bの間には、第3ベアリング33の車幅方向内側において、シール部材34が配置される。シール部材34は、密封機能を有する機械要素であり、外部からの塵埃及び水の侵入を防止する。シール部材34は、例えば、オイルシールで構成され、シールリップ部が車輪幅方向内側を向くように配置される。
【0030】
シール部材34は、ドライブプレート25と接触する外径部34aが固定部、ステーターボディ1と接触する内径部34bが摺動部となるように配置されるのが好ましい。この場合、摺動径が小さくなるため、シール部材34の摩耗及びロストルクを低減することができる。
また、ステーターボディ11において、シール部材34の内径部34bと接触する摺動部位には、表面硬度を高めるために、アルマイトやDLC(Diamond Like Carbon)等の表面処理や鉄リングの鋳込みが施されてもよい。さらに、ステーターボディ11の摺動部位には、摺動性を高めるために、グリースなどの潤滑剤が塗布されてもよい。これにより、シール部材34の内径部34bの摩耗を低減することができる。
また、ドライブプレート25にCリングやカラー、カシメを設けて、シール部材34の抜け止めを行ってもよい。
【0031】
ドライブプレート25は、ブレーキディスク25からローターケース21への熱伝達経路上に配置されており、熱容量部材として機能する。ブレーキディスク25で生じた摩擦熱は、ローターケース21に直接伝達されず、ドライブプレート25に蓄熱されるので、ローターケース21の温度上昇を抑制することができる。したがって、熱的影響によってローターケース21に配置されたマグネット22に減磁が発生するのを防止することができる。
【0032】
ドライブプレート25は、例えば、アルミニウム合金等の金属材料により形成される。これにより、熱容量部材として機能するとともに、ブレーキディスク24からの制動力をローターケース21へ伝達する動力伝達部材としての剛性も確保される。
なお、熱容量部材としての観点からは、ドライブプレート25の体積は大きい方が好ましい。ただし、単に車輪幅方向における厚さを大きくすると、インホイールモーターIWMが車輪幅方向に大きくなるため、この点を考慮してドライブプレート25は設計される。
【0033】
また、ドライブプレート25の両主面には、放熱構造251が形成されている。放熱構造251は、ドライブプレート25の表面積を増大させる構造であればよく、例えば、
図2等に示すような凹部であってもよいし、フィン形状であってもよい。ドライブプレート25に放熱構造251を設けることにより、ブレーキディスク24からマグネット22への熱の伝達を抑制する効果が高まる。
【0034】
ステーター10及びローター20は、コイル12とマグネット22が所定距離を隔てて対向するように位置決めされ、固定される。コイル12に電流が流れることで生じる磁界が、マグネット22と吸引及び反発することで、ローター20が回転する。この回転力がホイール51に伝達され、駆動車輪1を回転させる。アウターローター型のインホイールモーターIWMの場合、マグネット22は、ローターケース21の内周面に配置されているので、ローター20の回転に伴い遠心力が生じても、バーストすることなく安定した姿勢で保持される。
また、ブレーキキャリパー26のパッドがブレーキディスク24に押し付けられることにより摩擦力が発生し、ブレーキディスク24を有するローター20の回転、ひいては駆動車輪1の回転が制動される。
【0035】
なお、図示を省略するが、ステーター10及びローター20には、ローター20の回転状態(例えば、回転角度及び回転方向)を検出するレゾルバ-が設けられる。また、ステーターボディ11内には、インホイールモーターIWMを冷却するための冷却水路、コイル12及びレゾルバ-(図示略)への配線等が配置される。冷却水路及び配線は、ステーターボディ11の車輪幅方向内側端部に設けられた給排水口及び配線コネクターを介して、外部に引き出される。
【0036】
車輪幅方向内側において、ドライブプレート25がスピンドルシャフト13に軸支される構造の場合、冷却水路や配線をインホイールモーターIWMの内部に引き込むための空間がドライブプレート25によって著しく制限される。これに対して、本実施の形態では、ドライブプレート25がステーターボディ11に軸支される構造、すなわち、ドライブプレート25の内側からステーター10が外部に開放される構造となっている。これにより、ローター20の回転を阻害することなく、冷却水路や配線をインホイールモーターIWMの内部に容易に引き込むことができ、設計の自由度が向上する。
【0037】
このように、本実施の形態に係るインホイールモーターIWMは、コイル12を有するステーター10と、コイル12と対向するマグネット22を有し、ステーター10に対してモーター軸周りに回転するローター20と、を備えるアウターローター型のインホイールモーターであり、ローター20とステーター10との間にシール部材34が介在している。
これにより、インホイールモーターIWMの内部に塵埃や水が浸入するのを防止することができる。
【0038】
具体的には、インホイールモーターIWMにおいて、ローター20は、車輪幅方向における内側端部が開放されているローターケース21と、ローターケース21の内側端部に接続され、ローターケース21とともに回転するドライブプレート25(回転体)と、をさらに有し、シール部材34は、ドライブプレート25とステーター10の間に配置されている。
これにより、ローターケース21の開放端部側においても、インホイールモーターIWMの内部に塵埃や水が浸入するのを容易に防止することができる。
【0039】
また、インホイールモーターIWMにおいて、ステーター10は、モーター軸を形成するスピンドルシャフト13と、スピンドルシャフト13の径方向外側に配置されるステーターボディ11と、をさらに有し、ドライブプレート25(回転体)は、ステーターボディ11に軸支され、シール部材34は、ドライブプレート25とステーターボディ11の間に配置されている。
これにより、ドライブプレート25の内側からステーター10が外部に開放される構造となるので、ローター20の回転を阻害することなく、冷却水路や配線をインホイールモーターIWMの内部に容易に引き込むことができ、設計の自由度が向上する。
【0040】
また、インホイールモーターIWMにおいて、ローター20は、ローターケース21と一体的に回転するブレーキディスク24をさらに有し、ローターケース21の内側端部に接続される回転体は、ローターケース21とブレーキディスク24との間に介在するドライブプレート25である。
ドライブプレート25が熱容量部材として機能するので、塵埃や水の浸入防止とともに、ブレーキディスク24からマグネット22への熱の伝達を抑制することができ、熱的影響によるマグネット22の減磁を防止することができる。
【0041】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0042】
例えば、各構成要素のサイズや形状は、図示した態様に限定されない。
また、ローター20とステーター10との間にシール部材34が介在する構造であればよく、例えば、ローターケース21の内側端部に直接ブレーキディスク24が接続され、ブレーキディスク24とステーター10との間にシール部材を介在させてもよい。
【0043】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本開示は、車両の駆動車輪に搭載されるアウターローター型のインホイールモーターに有用である。
【符号の説明】
【0045】
IWM インホイールモーター
1 駆動車輪
10 ステーター
11 ステーターボディ
12 コイル
13 スピンドルシャフト
20 ローター
21 ローターケース
22 マグネット
23 ハブ
24 ブレーキディスク
25 ドライブプレート
26 ブレーキキャリパー
31~33 第1~第3ベアリング
34 シール部材
51 ホイール
52 タイヤ
【手続補正書】
【提出日】2023-04-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイルを有するステーターと、
前記コイルと対向するマグネットを有し、前記ステーターに対してモーター軸周りに回転するローターと、
を備えるアウターローター型のインホイールモーターであって、
前記ローターと前記ステーターとの間にシール部材が介在しており、
前記ローターは、
車輪幅方向における内側端部が開放されているローターケースと、
前記ローターケースの前記内側端部に接続され、前記ローターケースとともに回転する回転体と、
前記ローターケースと一体的に回転するブレーキディスクと、を有し、
前記回転体は、前記ローターケースと前記ブレーキディスクとの間に介在するドライブプレートであり、
前記ドライブプレートの主面に、凹部状をなす放熱構造が形成されている、
インホイールモーター。
【請求項2】
前記シール部材は、前記回転体と前記ステーターの間に配置されている、
請求項1に記載のインホイールモーター。
【請求項3】
前記ステーターは、
前記モーター軸を形成するスピンドルシャフトと、
前記スピンドルシャフトの径方向外側に配置されるステーターボディと、をさらに有し、
前記回転体は、前記ステーターボディに軸支され、
前記シール部材は、前記回転体と前記ステーターボディの間に配置されている、
請求項2に記載のインホイールモーター。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本開示に係るインホイールモーターは、
コイルを有するステーターと、
前記コイルと対向するマグネットを有し、前記ステーターに対してモーター軸周りに回転するローターと、
を備えるアウターローター型のインホイールモーターであって、
前記ローターと前記ステーターとの間にシール部材が介在しており、
前記ローターは、
車輪幅方向における内側端部が開放されているローターケースと、
前記ローターケースの前記内側端部に接続され、前記ローターケースとともに回転する回転体と、
前記ローターケースと一体的に回転するブレーキディスクと、を有し、
前記回転体は、前記ローターケースと前記ブレーキディスクとの間に介在するドライブプレートであり、
前記ドライブプレートの主面に、凹部状をなす放熱構造が形成されている。