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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023090236
(43)【公開日】2023-06-29
(54)【発明の名称】触媒コンバータ
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/28 20060101AFI20230622BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20230622BHJP
【FI】
F01N3/28 311S
F01N3/28 311A
F01N3/28 311H
B01D53/94 300
B01D53/94 ZAB
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021205103
(22)【出願日】2021-12-17
(71)【出願人】
【識別番号】391002498
【氏名又は名称】フタバ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】大野 陸
(72)【発明者】
【氏名】安藤 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】辻 芳樹
【テーマコード(参考)】
3G091
4D148
【Fターム(参考)】
3G091AA02
3G091BA07
3G091GA06
3G091HA08
3G091HA28
3G091HA32
4D148BB11
4D148BC10
4D148CA01
4D148CC02
(57)【要約】
【課題】浄化性能の向上を図った触媒の位置を良好に保持することを目的とする。
【解決手段】触媒コンバータは、ケース部と、第1及び第2触媒と、第1及び第2保持部と、連結部とを備える。第1及び第2触媒はケース部の内部に配置され、第2触媒は第1触媒の下流側に位置する。第1保持部は、第1触媒とケース部の内周面との間に配置され、第1触媒を保持するよう促す第1保持力を生じる。第2保持部は、第2触媒とケース部の内周面との間に配置され、第2触媒を保持するよう促す第2保持力を生じる。連結部は、第1触媒と第2触媒とに挟持される。第2保持力は、第1保持力よりも大きい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒コンバータであって、
車両のエンジンからの排気の流路に配置可能な筒状のケース部と、
前記ケース部の内部に配置される第1触媒と、
前記ケース部の内部に配置される部位であって、前記第1触媒に対し排気の流れ方向の下流側に位置する部位である第2触媒と、
前記第1触媒と前記ケース部の内周面との間に配置され、前記排気の流れ方向における予め定められた位置に前記第1触媒を保持するよう促す第1保持力を生じるよう構成された第1保持部と、
前記第2触媒と前記ケース部の内周面との間に配置され、前記排気の流れ方向における予め定められた位置に前記第2触媒を保持するよう促す第2保持力を生じるよう構成された第2保持部と、
前記第1触媒と前記第2触媒とに挟持され、通気性を有する連結部と、を備え、
前記第1触媒及び前記第2触媒は、第1及び第2条件の少なくとも一方を充足し、
前記第1条件とは、前記第1触媒のサイズは、前記第2触媒のサイズよりも小さいとの条件であり、
前記第2条件とは、前記第1触媒の強度は、前記第2触媒の強度よりも低いとの条件であり、
前記第2保持力は、前記第1保持力よりも大きい
触媒コンバータ。
【請求項2】
請求項1に記載の触媒コンバータであって、
前記連結部は、クッション性を有する
触媒コンバータ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の触媒コンバータであって、
前記連結部は、前記ケース部の内部の前記第1触媒と前記第2触媒との間の空間における、排気の流れが集中する領域に配置される
触媒コンバータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、触媒コンバータに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されているように、筒状のケース部の内部にて2つの触媒が排気の流れ方向に沿って並んで配置されている、タンデム型の触媒コンバータが知られている。特許文献1の触媒コンバータは、上流側の金属担体と下流側の金属担体との間に、スクリュー等として構成されたスペーサが配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6-241036号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、環境規制に対応するため、触媒コンバータには、車両のエンジン始動後、より早期に触媒を活性温度まで到達させ、効果的に排気の浄化を行うようにすることが求められている。そして、これを実現するためには、例えば、触媒を小型化したり、触媒を形成する壁部を薄くしたりすること(以後、薄壁化)で、触媒の熱容量を低下させる必要がある。
【0005】
しかし、触媒の小型化や薄壁化により、触媒の浄化性能は向上するものの、ケース部の内部における所定の位置に触媒を保持しておくのが困難になる恐れがある。
【0006】
本開示の一態様では、浄化性能の向上を図った触媒の位置を良好に保持することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様は、触媒コンバータであって、ケース部と、第1触媒と、第2触媒と、第1保持部と、第2保持部と、連結部と、を備える。ケース部は、車両のエンジンからの排気の流路に配置可能な筒状である。第1触媒は、ケース部の内部に配置される。第2触媒は、ケース部の内部に配置される部位であって、第1触媒に対し排気の流れ方向の下流側に位置する部位である。第1保持部は、第1触媒とケース部の内周面との間に配置され、排気の流れ方向における予め定められた位置に第1触媒を保持するよう促す第1保持力を生じるよう構成される。第2保持部は、第2触媒とケース部の内周面との間に配置され、排気の流れ方向における予め定められた位置に第2触媒を保持するよう促す第2保持力を生じるよう構成される。連結部は、第1触媒と第2触媒とに挟持され、通気性を有する。第1触媒及び第2触媒は、第1及び第2条件の少なくとも一方を充足する。第1条件とは、第1触媒のサイズは、第2触媒のサイズよりも小さいとの条件である。第2条件とは、第1触媒の強度は、第2触媒の強度よりも低いとの条件である。第2保持力は、第1保持力よりも大きい。
【0008】
上記構成によれば、浄化性能の向上に伴い小型化及び/又は低強度化がなされた第1触媒が、排気の流れ方向に変位しようとした場合に、該第1触媒を、連結部を介して第2触媒にて支持できる。このため、浄化性能の向上を図った触媒の位置を良好に保持できる。
【0009】
本開示の一態様では、連結部は、クッション性を有してもよい。
【0010】
上記構成によれば、連結部との当接により第1及び第2触媒に損傷が生じるのを抑制できる。
【0011】
本開示の一態様では、連結部は、ケース部の内部の第1触媒と第2触媒との間の空間における、排気の流れが集中する領域に配置されてもよい。
【0012】
上記構成によれば、第1及び第2触媒を通過する排気の流れが偏るのを抑制できる。このため、第1及び第2触媒に局所的に負荷がかかり、第1及び第2触媒が部分的に劣化するのを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】触媒コンバータの軸線を含む断面図である。
図2】連結部の変形例である。
図3】連結部の変形例である。
図4】連結部の変形例である。
図5】連結部の変形例である。
図6】連結部の変形例である。
図7】変形例の連結部における軸線を含む断面図である。
図8】変形例の連結部における軸線を含む断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示の実施形態について図面を用いて説明する。なお、本開示の実施の形態は、下記の実施形態に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
【0015】
[1.触媒コンバータ]
触媒コンバータ1は、車両に搭載され、車両のエンジンからの排気を浄化する(図1参照)。なお、エンジンとは、例えば、ガソリンエンジンであっても良いし、ディーゼルエンジンであっても良い。触媒コンバータ1は、タンデム型として構成されており、ケース部2と、第1及び第2触媒3、4と、第1及び第2保持部5、6と、連結部7とを備える。
【0016】
[2.ケース部]
ケース部2は、一例として軸線10に沿ってまっすぐに延びる円筒状に形成されている(図1参照)。ケース部2は、エンジンからの排気の流路に配置され、ケース部2の両端に位置する排気の入口20及び出口21は、それぞれ、排気管に接続される。
【0017】
ケース部2は、軸線10が排気の流れ方向11と一致するように配置され、軸線10に直交する断面(以後、単に断面とも記載)は円形であると共に、軸線10は断面の中心を通過する。なお、ケース部2の形状はこれに限らず、例えば、ケース部2は湾曲した形状を有していても良いし、ケース部2の断面は多角形状であっても良い。
【0018】
[3.第1及び第2触媒]
第1及び第2触媒3、4は、ケース部2の内部に配置され、排気の流れ方向11に沿って並んで配置される(図1参照)。また、第1触媒3及び第2触媒4は、間隔を空けて配置され、第1触媒3は、排気の流れ方向11の上流側(以後、単に上流側と記載)に位置し、第2触媒4は、排気の流れ方向11の下流側(以後、単に下流側と記載)に位置する。
【0019】
第1及び第2触媒3、4は、一例として円柱状であり、排気の流れ方向11(換言すれば、軸線10の方向)に延びるようにケース部2の内部に配置される。以後、第1及び第2触媒3、4における上流側に位置する底面を、上流底面30、40と記載し、下流側に位置する底面を、下流底面31、41と記載する。
【0020】
第1及び第2触媒3、4は、上流底面から下流底面まで排気の流れ方向11に延びる複数の排気の流路(以後、セルとも記載)を有しており、排気との接触によって排気中の環境汚染物質を改質又は捕集し、排気を浄化する。なお、第1及び第2触媒3、4は、一例として、ハニカム構造を有していても良い。
【0021】
また、第1触媒3は第2触媒4よりも熱容量が低く、車両のエンジン始動時には、第1触媒3は早期に活性化温度に到達し、効果的に排気を浄化できる。また、第1触媒3の熱容量を第2触媒4よりも低くした結果、第1及び第2触媒3、4は、以下の第1及び第2条件を充足する。
【0022】
すなわち、第1条件とは、第1触媒3のサイズは、第2触媒4のサイズよりも小さいとの条件である。なお、サイズとは、換言すれば外周面の面積であり、第1及び第2触媒3、4の軸線10の方向の長さ(以後、単に長さと記載)と、第1及び第2触媒3、4の断面の径とにより定められる。本実施形態では、一例として、第1触媒3の長さは、第2触媒4の長さよりも短く、第1触媒3の断面の径は、第2触媒4の断面の径よりも小さい。なお、これに限らず、第1触媒3は、長さ又は径の一方が第2触媒4よりも小さいことにより、第2触媒4よりもサイズが小さくなっていても良い。
【0023】
また、第2条件とは、第1触媒3の強度は、第2触媒4の強度よりも低いとの条件である。具体的には、第1触媒3は、第2触媒4に比べ、各セル及び外周面を形成する壁部が薄いため、第2触媒4よりも強度が低い。
【0024】
なお、第1及び第2触媒3、4は、第1及び第2条件のうちの一方を充足することで、第1触媒3の熱容量が第2触媒4よりも低くなるよう構成されていても良い。
【0025】
[4.第1及び第2保持部]
第1及び第2保持部5、6は、それぞれ、扁平なマット状の緩衝材として構成されており、第1及び第2触媒3、4の外周面を周回するように設けられる(図1参照)。第1保持部5は、第1触媒3の外周面とケース部2の内周面との間に配置され、第2保持部6は、第2触媒4の外周面と、ケース部2の内周面との間に配置される。
【0026】
第1及び第2触媒3、4は、排気の背圧や車両の振動等により、排気の流れ方向11の位置が変化する恐れがある。これに対し、第1保持部5は、第1触媒3に対し第1保持力を加え、第1触媒3における排気の流れ方向11の位置が保持されるよう促す。第1保持力は、第1保持部5の面密度や、第1保持部5と第1触媒3とが当接する部分の面積(以後、接触面積)が大きくなるに従い、大きくなる。面密度とは、単位面積当たりの重量を意味する。
【0027】
同様に、第2保持部6もまた、第2触媒4に対し第2保持力を加え、第2触媒4における排気の流れ方向11の位置が保持されるよう促す。第2保持力もまた、第1保持力と同様、第2保持部6の面密度や、第2保持部6と第2触媒4との接触面積が大きくなるに従い大きくなる。
【0028】
[5.連結部]
連結部7は、通気性を有する材料で構成されており、ケース部2の内部における第1触媒3と第2触媒4との間の空間(以後、中間空間22)に配置され、これらの触媒に挟持される(図1参照)。連結部7は、第1触媒3の下流底面31と、第2触媒4の上流底面40とに当接する。
【0029】
連結部7は、クッション性を有していても良く、一例として、ワイヤメッシュにより構成されていても良い。なお、ワイヤメッシュは、例えば、ステンレスにより構成されていても良い。また、ワイヤメッシュである連結部7の繊維が、第1触媒3の下流底面31における複数のセルの開口と、第2触媒4の上流底面40における複数のセルの開口とに進入した状態となるように、連結部7を配置しても良い。これにより、連結部7が下流底面31と上流底面40とに引っ掛かった状態となる。つまり、連結部7の一部が、第1及び第2触媒3、4のセルの内部に進入した状態になり、摩擦力により、連結部7が断面の方向にずれるのを抑制できる。換言すれば、連結部7により、第1及び第2触媒3、4が連結される。
【0030】
この他にも、連結部7は、一例として、発泡金属等の多孔体により構成されていても良い。
【0031】
また、連結部7は、中間空間22における排気の流れが集中する領域に配置される。本実施形態では、ケース部2はまっすぐ延びる円筒状の形状を有しているため、ケース部2における断面の中央部は、排気の流れが集中し、排気の流速が相対的に高くなる。このため、一例として、連結部7は、円盤状に形成され、中間空間22における断面の中央部に配置される。より詳しくは、連結部7は、断面の中心が軸線10の位置と略一致するように中間空間22に配置される。
【0032】
無論、ケース部2の内部における排気の流れが集中する領域は、ケース部2の形状や、ケース部2の上流側に接続される排気管の形状等に応じて変化する。このため、連結部7の位置は、これらに応じて適宜定められ得る。また、排気の流れに関わらず、連結部7の位置が定められても良い。
【0033】
[6.連結部の変形例]
連結部7における排気の流れが集中する部分の通気性を、他の部分の通気性よりも低くすることで、第1及び第2触媒3、4を通過する排気の流れの偏りを、より一層抑制するようにしても良い。
【0034】
ここで、以下に説明する変形例においても、連結部7は、断面の中心が軸線10の位置と略一致するように配置される。また、連結部7における断面の中央に位置する部分を中央部と記載すると共に、中央部を囲む部分を周縁部と記載する。
【0035】
連結部7は、一例として、円錐台状に形成されていても良いし(図2参照)、軸線10に平行な断面が略楕円形となるように形成されていても良い(図3参照)。これにより、連結部7に、相対的に厚みの大きい中央部70、72と、縁部に向かうに従いその厚みが低減する周縁部71、73とが形成される。
【0036】
このため、中央部70、72では通気性が低くなると共に、周縁部71、73においては、縁部に向かうに従い通気性が徐々に高くなる。このため、上述したように、ケース部2における断面の中央部に排気の流れが集中する場合には、第1及び第2触媒3、4を通過する排気の流れがより一様化するよう、促すことができる。
【0037】
また、例えば、ワイヤメッシュにより構成された円盤状の連結部7において、中央部のワイヤメッシュの密度を相対的に高くすると共に、周縁部のワイヤメッシュの密度を相対的に低くしても良い。また、例えば、多孔体として構成された円盤状の連結部7において、中央部の多孔度を相対的に低くすると共に、周縁部の多孔度を相対的に高くしても良い。なお、多孔度とは、物体が孔等の隙間を有する度合いを意味する。
【0038】
これにより、中央部では通気性が低くなると共に、周縁部の通気性が高くなる。このため、第1及び第2触媒3、4を通過する排気の流れがより一様化するよう、促すことができる。
【0039】
無論、連結部7における排気の流れが集中する部分は、ケース部2の形状や、ケース部2の上流側に接続される排気管の形状や、連結部7の位置等に応じて変化する。このため、ケース部2の形状や連結部7の位置等に応じて、連結部7の各部分の通気性が調整され得る。
【0040】
この他にも、例えば、連結部7は、円柱部74と、複数(一例として、2つ)の円筒部75とを有していても良い(図4参照)。そして、円柱部74は、軸線10に沿って延びるように配置され、複数の円筒部75は、円柱部74を囲むように同心円状に配置されるようにしても良い。
【0041】
さらに、連結部7は、円柱部74と、複数(一例として3つ)の円筒部75とを有すると共に、これらの部位を接続するように径方向に延びる複数の壁部76を有していても良い(図5参照)。
【0042】
また、連結部7は、軸線10を周回する渦巻き状の壁部77を有していても良い(図6参照)。
【0043】
これらの構成によれば、連結部7を設けたことによる圧損の増加を抑制できる。
【0044】
また、例えば、連結部7は、本体部78と外周部79とを備えていても良い(図7、8参照)。本体部78は、第1触媒3の下流底面31の全域と、第2触媒4の上流底面40の全域とを覆う円盤状の部位である。また、外周部79は、本体部72を囲むように本体部72の縁部に設けられる。
【0045】
そして、外周部79は、図7に示すように、連結部7が第1触媒3の下流底面31に嵌合するよう上流側に突出していても良い。また、外周部79は、第1触媒3の外周面とケース部2の内周面との間に挟持されても良い。なお、外周部79は、上流側に替えて、下流側に同様にして突出していても良い。
【0046】
この他にも、外周部79は、図8に示すように、連結部7が第1触媒3の下流底面31と第2触媒4の上流底面40とに嵌合するよう、上流側及び下流側に突出していても良い。そして、外周部79は、第1触媒3の外周面とケース部2の内周面との間に挟持されると共に、第2触媒4の外周面とケース部2の内周面との間に挟持されても良い。
【0047】
このような構成によれば、連結部7の位置がずれるのを抑制できる。また、触媒コンバータ1の製造工程において、連結部7の位置決めが容易になり、連結部7を配置する作業が容易になる。
【0048】
また、本体部78及び外周部79を有する連結部7においても、ワイヤメッシュにより構成されている場合には、同様にして、中央部のワイヤメッシュの密度を相対的に高くすると共に、周縁部のワイヤメッシュの密度を相対的に低くしても良い。また、該連結部7が多孔体により構成されている場合には、同様にして、中央部の多孔度を相対的に低くすると共に、周縁部の多孔度を相対的に高くしても良い。これにより、第1及び第2触媒3、4を通過する排気の流れがより一様化するよう、促すことができる。
【0049】
[7.触媒コンバータの製造方法]
触媒コンバータの製造工程においては、ケース部2が形成される。また、第1触媒3の外周面を覆うように第1保持部5が設けられると共に、第2触媒4の外周面を覆うように第2保持部6が設けられる。そして、第1保持部5が設けられた第1触媒3と、第2保持部6が設けられた第2触媒4と、連結部7とが、まとめてケース部2の内部に配置される。これにより、第1触媒3の下流底面31と第2触媒4の上流底面40とにより、連結部7が挟持された状態となる。
【0050】
具体的には、まず、第2保持部6が設けられた第2触媒4が入口20からケース部2に圧入されても良い。そして、連結部7が上流底面40と下流底面31とに挟持された状態で、第1保持部5が設けられた第1触媒3が入口20からケース部2に圧入され、これに伴い、連結部7を介して該第1触媒3により該第2触媒4がさらに圧入されても良い。その後、該第1触媒3が所定の位置まで圧入されると、該第2触媒4もまた所定の位置まで到達し、第1及び第2触媒3、4の圧入が完了する。
【0051】
反対に、まず、第1保持部5が設けられた第1触媒3が出口21からケース部2に圧入されても良い。そして、連結部7が下流底面31と上流底面40とに挟持された状態で、第2保持部6が設けられた第2触媒4が出口21からケース部2に圧入され、これに伴い、連結部7を介して該第2触媒4により該第1触媒3がさらに圧入されても良い。その後、該第2触媒4が所定の位置まで圧入されると、該第1触媒3もまた所定の位置まで到達し、第1及び第2触媒3、4の圧入が完了する。
【0052】
これにより、第1及び第2触媒3、4を、ケース部2の入口20と出口21とから別々に2回にわたって圧入する場合に比べ、作業負荷を低減できる。
【0053】
[8.第1及び第2保持力]
上述したように、車両のエンジン始動時における第1触媒3の浄化性能を向上させるため、第1触媒3の熱容量を低下させた結果、第1触媒3は、サイズ及び強度において第2触媒4を下回っている。そして、これにより、第1保持力は、第2保持力よりも小さくなっている。
【0054】
すなわち、第1触媒3は、第2触媒4よりも外周面の面積が小さい。このため、第1触媒3と第1保持部5との接触面積は、第2触媒4と第2保持部6との接触面積よりも小さくなり、これに起因して、第1保持力は第2保持力よりも小さくなっている。
【0055】
ここで、接触面積が低下した第1触媒3にて十分な第1保持力を発生させるため、第1保持部5にて生じる単位面積当たりの第1保持力を高くすることが考えられる。しかし、このような措置を取ると、触媒コンバータ1の製造工程において、外周面に第1保持部5が設けられた第1触媒3をケース部2に圧入する際に必要な力(以後、圧入荷重)が大きくなる。
【0056】
これに対し、第1触媒3は、熱容量の低下に伴い強度が低下しているため、圧入荷重が大きくなると、圧入時に第1触媒3が破損する恐れがある。このため、第1保持部5は、第1触媒3の圧入を可能とするため、単位面積当たりの第1保持力が低くなるように構成されている。その結果、第1保持部5は、第1触媒3の排気の流れ方向の位置を保持できず、第1触媒3は、排圧や車両の振動により下流側に変位する恐れがある。
【0057】
一方、第2保持部6は、第1保持部5に比べ接触面積が大きく、第2保持部6における第2保持力は第1保持力よりも大きい。つまり、第1保持力の低下を第2保持部6にて補うよう構成されており、第2保持部6は、背圧や車両の振動により下流側に変位しようとする第2触媒4を支持しつつ、同様の要因により下流側に変位する第1触媒3を、連結部7を介して第2触媒4にて支持する。具体的には、第2保持力は、下流側に変位しようとする第1及び第2触媒3、4の排気の流れ方向の位置を保持できる程度の大きさを有する。
【0058】
一例として、第2保持部6の面密度を、第1保持部5の面密度よりも高くすることで、第2保持力を大きくしても良い。無論、これに限らず、例えば、第2保持部6を構成する材料を適宜選択することで、第2保持力を大きくしても良い。
【0059】
なお、第1触媒3は、サイズ及び強度のうちの一方において第2触媒4を下回っており、その結果、第1保持力が第2保持力よりも小さくなっていても良い。そして、第2保持部6は、同様にして第1及び第2触媒3、4の位置を保持できる程度の第2保持力を生じるよう構成されていても良い。
【0060】
[9.効果]
(1)上記実施形態によれば、エンジン始動時の浄化性能を向上させるべく第1触媒3の熱容量を低下させた結果、第1触媒3は小型化及び低強度化されており、これにより、第1保持力が低下している。しかし、第1触媒3が排気の流れ方向11に変位しようとした場合には、連結部7を介して第2触媒4にて第1触媒3が支持される。このため、浄化性能の向上を図った第1触媒3の位置を良好に保持できる。また、第1及び第2触媒3、4同士が接触し、これらの触媒に損傷が生じるのを抑制できる。また、連結部7を設けたことで、触媒コンバータ1の製造工程において、第1及び第2触媒3、4を、まとめてケース部2に圧入できる。このため、作業負荷を低減できる。
【0061】
(2)また、連結部7は、ワイヤメッシュ等で構成され、クッション性を有する。このため、連結部7との当接により第1及び第2触媒3、4に損傷が生じるのを抑制できる。
【0062】
(3)また、連結部7が排気の流れが集中する領域に配置されているため、第1及び第2触媒3、4を通過する排気の流れが偏るのを抑制できる。これにより、第1及び第2触媒3、4に局所的に負荷がかかり、第1及び第2触媒3、4が部分的に劣化するのを抑制できる。また、第1及び第2触媒3、4の浄化性能が向上する。
【0063】
[10.他の実施形態]
上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。
【符号の説明】
【0064】
1…触媒コンバータ、10…軸線、11…排気の流れ方向、2…ケース部、22…中間領域、3…第1触媒、31…下流底面、4…第2触媒、40…上流底面、5…第1保持部、6…第2保持部、7…連結部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8