(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023090246
(43)【公開日】2023-06-29
(54)【発明の名称】半導体デバイス管理システム及び半導体デバイス管理方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/02 20060101AFI20230622BHJP
G05B 19/418 20060101ALI20230622BHJP
【FI】
H01L21/02 Z
G05B19/418 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021205116
(22)【出願日】2021-12-17
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001678
【氏名又は名称】藤央弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】小西 くみこ
(72)【発明者】
【氏名】沖野 泰之
(72)【発明者】
【氏名】卜 渊
(72)【発明者】
【氏名】島 明生
【テーマコード(参考)】
3C100
【Fターム(参考)】
3C100AA22
3C100BB05
3C100BB13
3C100BB27
3C100EE06
(57)【要約】
【課題】高信頼かつ低コストな半導体デバイスを提供する。
【解決手段】半導体デバイス管理システムであって、所定の処理を実行する演算装置と、データが入力される入力部と、前記処理の結果を出力する出力部とを備え、前記演算装置が、半導体基板が含有する結晶欠陥の三次元位置情報と、欠陥のデバイス仕様への影響率と、半導体デバイスの用途ごとの動作条件とから、前記半導体基板に形成される半導体デバイスの用途ごとの適合度を計算する適合度計算部と前記適合度に基づいて、当該各半導体デバイスに対してそれぞれの用途を決定する判定部とを有し、前記判定部は、決定した前記それぞれの用途を少なくとも出力するためのデータを生成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体デバイス管理システムであって、
所定の処理を実行する演算装置と、データが入力される入力部と、前記処理の結果を出力する出力部とを備え、
前記演算装置が、半導体基板が含有する結晶欠陥の三次元位置情報と、欠陥のデバイス仕様への影響率と、半導体デバイスの用途ごとの動作条件とから、前記半導体基板に形成される半導体デバイスの用途ごとの適合度を計算する適合度計算部と、
前記演算装置が、前記適合度に基づいて、当該各半導体デバイスに対してそれぞれの用途を決定する判定部とを有し、
前記判定部は、決定した前記それぞれの用途を少なくとも出力するためのデータを生成する半導体デバイス管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体デバイス管理システムであって、
前記演算装置が、前記適合度に応じて、前記半導体デバイスを分類して、データベースに登録する用途分類部と、
前記演算装置が、前記データベースをリスト化するリスト化部と、
前記演算装置が、指定された用途において、前記適合度が高いと分類された半導体デバイスを選択する判定部とを有し、
前記判定部は、前記用途分類部による分類結果によって、前記各半導体デバイスに対してそれぞれの用途を決定する半導体デバイス管理システム。
【請求項3】
請求項1に記載の半導体デバイス管理システムであって、
前記適合度計算部は、半導体基板が含有する結晶欠陥の三次元位置情報と、当該半導体デバイス製造中に発生するプロセス欠陥の三次元位置情報と、欠陥のデバイス仕様への影響率と、半導体デバイスの用途ごとの動作条件とから、前記半導体基板上に形成される半導体デバイスの用途ごとの適合度を計算する半導体デバイス管理システム。
【請求項4】
請求項3に記載の半導体デバイス管理システムであって、
前記演算装置が、前記各半導体デバイスの不良化率及び救済率を計算する不良化率・救済率計算部を有し、
前記不良化率・救済率計算部は、
半導体基板が含有する結晶欠陥の三次元位置情報と、当該半導体デバイス製造中に発生するプロセス欠陥の三次元位置情報と、欠陥のデバイス仕様への影響率と、半導体デバイスの用途ごとの動作条件とから、前記半導体基板上に形成される半導体デバイスの電気的特性が所望の条件を満たさない確率である不良化率を用途ごとに計算し、
前記プロセス欠陥発生以降の製造工程の変更により、当該プロセス欠陥が不活性化することで電気的特性が所望の条件を満たす確率である救済率を用途ごとに計算し、
前記計算された不良化率が所定の閾値より大きく、かつ、前記計算された救済率が所定の閾値より大きい半導体デバイスについて、以降の製造工程の変更を指示する半導体デバイス管理システム。
【請求項5】
請求項1に記載の半導体デバイス管理システムであって、
前記適合度計算部は、半導体基板が含有する結晶欠陥の三次元位置情報と、当該半導体デバイスの製造中におけるプロセス条件履歴と、欠陥のデバイス仕様への影響率と、半導体デバイスの用途ごとの動作条件とから、前記半導体デバイスの用途ごとの適合度を計算する半導体デバイス管理システム。
【請求項6】
請求項5に記載の半導体デバイス管理システムであって、
前記適合度計算部は、半導体基板が含有する結晶欠陥の三次元位置情報と、当該半導体デバイス製造中に発生するプロセス欠陥の三次元位置情報と、当該半導体デバイスの製造中におけるプロセス条件履歴と、欠陥のデバイス仕様への影響率と、半導体デバイスの用途ごとの動作条件とから、前記半導体デバイスの用途ごとの適合度を計算する半導体デバイス管理システム。
【請求項7】
請求項6に記載の半導体デバイス管理システムであって、
前記演算装置が、前記各半導体デバイスの不良化率及び救済率を計算する不良化率・救済率計算部を有し、
前記不良化率・救済率計算部は、
半導体基板が含有する結晶欠陥の三次元位置情報と、当該半導体デバイス製造中に発生するプロセス欠陥の三次元位置情報と、欠陥のデバイス仕様への影響率と、半導体デバイスの用途ごとの動作条件とから、前記半導体基板上に形成される半導体デバイスの電気的特性が所望の条件を満たさない確率である不良化率を用途ごとに計算し、
前記プロセス欠陥発生以降の製造工程の変更により、当該プロセス欠陥が不活性化することで電気的特性が所望の条件を満たす確率である救済率を用途ごとに計算し、
前記計算された不良化率が所定の閾値より大きく、かつ、前記計算された救済率が所定の閾値より大きい半導体デバイスについて、以降の製造工程の変更を指示する半導体デバイス管理システム。
【請求項8】
請求項1に記載の半導体デバイス管理システムであって、
前記適合度計算部は、
デバイス仕様毎の欠陥の影響率を取得し、
前記取得した影響率から、欠陥毎のマッチング寄与率を計算し、
前記欠陥毎のマッチング寄与率の統計値を計算し、半導体チップ毎のマッチング寄与率とし、
用途毎かつ半導体チップ毎に、全デバイス仕様のマッチング寄与率の統計値を計算し、用途毎かつ半導体チップ毎の適合度とする半導体デバイス管理システム。
【請求項9】
請求項1に記載の半導体デバイス管理システムであって、
前記適合度計算部は、さらに前記結晶欠陥の欠陥種及び形状を用いて、前記適合度を計算する半導体デバイス管理システム。
【請求項10】
請求項1に記載の半導体デバイス管理システムであって、
検査装置が半導体基板を検査した検査結果を取得し、当該半導体基板の三次元欠陥を解析する欠陥解析部を有する半導体デバイス管理システム。
【請求項11】
半導体デバイス管理システムであって、
所定の処理を実行する演算装置と、データが入力される入力部、前記処理の結果を出力する出力部とを備え、
前記演算装置が、半導体基板が含有する結晶欠陥の三次元位置情報と、欠陥のデバイス仕様への影響率と、半導体デバイスの用途ごとの動作条件とから、前記半導体基板の用途ごとの適合度を計算する適合度計算部と、
前記演算装置が、前記適合度に基づいて、当該半導体基板に対して用途を決定する判定部とを有し、
前記判定部は、決定した前記用途を少なくとも出力するためのデータを生成する半導体デバイス管理システム。
【請求項12】
請求項11に記載の半導体デバイス管理システムであって、
前記演算装置が、前記適合度に応じて、前記半導体基板を分類して、データベースに登録する用途分類部と、
前記演算装置が、前記データベースをリスト化するリスト化部と、
前記演算装置が、指定された用途において、前記適合度が高いと分類された半導体基板を選択する判定部とを有し、
前記判定部は、前記用途分類部による分類結果によって、当該半導体基板の用途を決定する半導体デバイス管理システム。
【請求項13】
計算機が実行する半導体デバイス管理方法であって、
前記計算機は、所定の処理を実行する演算装置と、データが入力される入力部と、前記処理の結果を出力する出力部とを有し、
前記半導体デバイス管理方法は、
前記演算装置が、半導体基板が含有する結晶欠陥の三次元位置情報と、欠陥のデバイス仕様への影響率と、半導体デバイスの用途ごとの動作条件とから、前記半導体デバイスの用途ごとの適合度を計算する適合度計算手順と
前記演算装置が、前記適合度に基づいて、当該半導体基板に形成される各半導体デバイスに対してそれそれの用途を決定する判定手順と
前記演算装置が、前記判定手順で決定した前記それぞれの用途を少なくとも出力するためのデータを生成する出力手順と
を有する半導体デバイス管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体デバイス管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
カーボンニュートラルの実現に向けて次世代パワー半導体デバイスの実装が様々な領域で進められており、それによる電力変換器の低損失化と高信頼化の両立が期待されている。一方、半導体デバイスの材料となる半導体基板は、多種多様な結晶欠陥や構造欠陥を含み、それらがデバイス信頼性に与える影響は欠陥情報(欠陥種、大きさ、位置など)とデバイス用途(自動車向け、電車向けなど)によって異なるものの、半導体基板に含まれる結晶欠陥や構造欠陥にかかわらず、指定された用途のために定められた半導体製造プロセスで、半導体デバイスを製造していた。
【0003】
半導体基板の結晶欠陥の位置情報を用いた半導体デバイスの製造方法として、以下の先行技術がある。特許文献1(特開2020-4856号公報)には、半導体ウェハを用意することと、半導体ウェハの表面および内部の結晶欠陥を検出することと、結晶欠陥が検出された位置に基づいて、半導体ウェハを正常部と欠陥部とに分けることと、半導体ウェハに複数の半導体素子を形成することと、正常部に形成された半導体素子を検査対象とし、欠陥部に形成された半導体素子3検査対象から除外して電気特性検査を行うことと、を備える半導体装置の製造方法が記載されている。
【0004】
特許文献2(特開2019-192859号公報)には、第1の炭化ケイ素基板と,第1の炭化ケイ素基板上に形成されたエピタキシャル層とを有する半導体装置の製造方法である。この製造方法は,エピタキシャル層の欠陥位置情報を取得する第1の工程と,第1の炭化ケイ素基板と同一の結晶から切り出された第2の炭化ケイ素基板のマイクロパイプ位置情報を取得する第2の工程と,エピタキシャル層の欠陥位置情報と第2の炭化ケイ素基板のマイクロパイプ位置情報を比較して,エピタキシャル層に存在するマイクロパイプ位置を決定する第3の工程を備える炭化ケイ素半導体装置の製造方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-4856号公報
【特許文献2】特開2019-192859号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述したように、半導体基板に含まれる結晶欠陥や構造欠陥にかかわらず、指定された用途のために定められた半導体製造プロセスで半導体デバイスを製造していたので、当該半導体基板上に製造された半導体デバイスの中で、指定された用途での信頼性を満たさない不良品が発生し、製造歩留が低下することがある。
【0007】
前述した背景技術では、半導体基板に含まれる欠陥の位置によって、当該欠陥を含むチップの性能区分を定めているが、性能区分の判定時に、製造される半導体デバイスが適用される用途や動作条件の情報は考慮されていない。
【0008】
本発明は、材料である半導体基板に含まれる結晶欠陥の位置情報と用途によって分類した結果に基づいて製造工程及び用途の少なくとも一つを決定して、高信頼かつ低コストな半導体デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願において開示される発明の代表的な一例を示せば以下の通りである。すなわち、半導体デバイス管理システムであって、所定の処理を実行する演算装置と、データが入力される入力部と、前記処理の結果を出力する出力部とを備え、前記演算装置が、半導体基板が含有する結晶欠陥の三次元位置情報と、欠陥のデバイス仕様への影響率と、半導体デバイスの用途ごとの動作条件とから、半導体基板に形成される半導体デバイスの用途ごとの適合度を計算する適合度計算部と、前記演算装置が、前記適合度に基づいて、当該各半導体デバイスに対してそれぞれの用途を決定する判定部とを有し、前記判定部は、決定した前記それぞれの用途を少なくとも出力するためのデータを生成する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様によれば、用途によって異なるデバイス動作条件に適する半導体基板を選んで半導体デバイスを製造したり、デバイス動作条件に適する基板内の場所に製造された半導体デバイスを選んで出荷でき、高信頼かつ低コストな半導体デバイスを提供できる。前述した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施例の説明によって明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】半導体デバイス管理システムによって提供されるソリューションの全体像を示す図である。
【
図2】半導体デバイス管理システムのハードウェア構成及び半導体デバイス管理システムに接続される装置の構成を示す図である。
【
図3】半導体デバイス管理システムの論理構成を示す図である。
【
図4】半導体デバイス管理システムが実行する処理のシーケンス図である。
【
図5】変形例1の半導体デバイス管理システムが実行する処理のシーケンス図である。
【
図6】変形例2の半導体デバイス管理システムが実行する処理のシーケンス図である。
【
図7】変形例3の半導体デバイス管理システムが実行する処理のシーケンス図である。
【
図8】変形例4の半導体デバイス管理システムが実行する処理のシーケンス図である。
【
図9】マッチング率計算処理のフローチャートである。
【
図10】三次元欠陥情報の構成例を表形式で示す図である。
【
図11】欠陥影響率の構成例を表形式で示す図である。
【
図12】デバイス動作条件の構成例を表形式で示す図である。
【
図13】マッチング率の構成例を表形式で示す図である。
【
図14】マッチング率の構成例を表形式で示す図である。
【
図16】不良化率・救済率の構成例を表形式で示す図である。
【
図17】マッチング率表示画面の例を示す図である。
【
図18】用途分類結果表示画面の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本実施例の半導体デバイス管理システム100によって提供されるソリューションの全体像を示す図である。
【0013】
本実施例の半導体デバイス管理システム100は、用途ごとに適切な半導体基板を選別することによって、高信頼かつ低コストな半導体デバイスを提供するものである。
【0014】
まず、半導体デバイス製造メーカは、半導体基板の欠陥を検査し(工程A)、検査結果とプロセス条件履歴を半導体デバイス管理システム100に入力する(工程B)。
【0015】
半導体デバイス管理システム100は、入力された検査結果から半導体基板に含まれる欠陥の三次元情報を計算し(工程C)、計算された欠陥の三次元情報と、入力されたプロセス条件履歴と、予め定められた用途毎のデバイス動作条件とによって、欠陥のデバイス仕様への影響率を計算し、半導体基板を用途によって分類する(工程D)。その後、半導体デバイス製造メーカは、以降の製造工程又は用途を決定し(工程E)、製造された半導体デバイスを半導体デバイスユーザに出荷する。
【0016】
このように、半導体デバイス管理システム100による演算結果を使用して半導体デバイスを製造することによって、適材適所の材料で製造され、信頼性を満たした半導体デバイスを低コストで供給できる。
【0017】
図2は、本実施例の半導体デバイス管理システム100のハードウェア構成及び半導体デバイス管理システム100に接続される装置の構成を示す図である。
【0018】
本実施例の半導体デバイス管理システム100は、プロセッサ(CPU)、メモリ、記憶部、通信インターフェース、入力インターフェース及び出力インターフェースを有する計算機によって構成される。
【0019】
プロセッサは、メモリに格納されたプログラムを実行する演算装置であり、演算部110を構成する。プロセッサが、記憶部120に格納されたプログラムを実行することによって、半導体デバイス管理システム100の各機能部(例えば、欠陥解析部111、不良化率・救済率計算部112、マッチング率計算部113、用途分類部114、リスト化部115、判定部116など)による機能が実現される。なお、プロセッサがプログラムを実行して行う処理の一部を、他の演算装置(例えば、ASIC、FPGA等のハードウェア)で実行してもよい。
【0020】
メモリは、不揮発性の記憶素子であるROM及び揮発性の記憶素子であるRAMを含む。ROMは、不変のプログラム(例えば、BIOS)などを格納する。RAMは、DRAM(Dynamic Random Access Memory)のような高速かつ揮発性の記憶素子であり、プロセッサが実行するプログラム及びプログラムの実行時に使用されるデータを一時的に格納する。
【0021】
記憶部は、例えば、磁気記憶装置(HDD)、フラッシュメモリ(SSD)等の大容量かつ不揮発性の記憶装置で構成され、プロセッサが実行するプログラム(欠陥解析プログラム131、不良化率・救済率計算プログラム132、マッチング率計算プログラム133、用途分類プログラム134、リスト化プログラム135、判定プログラム136など)、及びプロセッサがプログラムの実行時に使用するデータ(例えば、基板情報141、欠陥検査結果142、三次元欠陥情報143、欠陥影響率144、デバイス動作条件145、プロセス条件履歴146、不良化率・救済率147、マッチング率148、用途による分類結果149、欠陥不活性化率150など)を格納する。すなわち、プログラムは、記憶部から読み出されて、メモリにロードされて、プロセッサによって実行されることによって、半導体デバイス管理システム100の各機能部を実現する。
【0022】
通信インターフェースは、所定のプロトコルに従って、他の装置(例えば、検査装置200、端末210など)との通信を制御するネットワークインターフェース装置である。半導体デバイス管理システム100は、ネットワーク(例えばLAN)を介して検査装置200、端末210などと接続される。
【0023】
入力インターフェースは、キーボード、タッチパネル、マウスなどの入力装置が接続され、オペレータからの入力を受けるインターフェースである。出力インターフェースは、ディスプレイ装置やプリンタなどの出力装置が接続され、プログラムの実行結果をオペレータが視認可能な形式で出力するインターフェースである。なお、半導体デバイス管理システム100にネットワークを介して接続された端末210が入力装置及び出力装置を提供してもよい。この場合、半導体デバイス管理システム100がウェブサーバの機能を有し、端末210が半導体デバイス管理システム100に所定のプロトコル(例えばhttp)でアクセスしてもよい。
【0024】
プロセッサが実行するプログラムは、リムーバブルメディア(CD-ROM、フラッシュメモリなど)又はネットワークを介して半導体デバイス管理システム100に提供され、非一時的記憶媒体である不揮発性の記憶部に格納される。このため、半導体デバイス管理システム100は、リムーバブルメディアからデータを読み込むインターフェースを有するとよい。
【0025】
半導体デバイス管理システム100は、物理的に一つの計算機上で、又は、論理的又は物理的に構成された複数の計算機上で構成される計算機システムであり、複数の物理的計算機資源上に構築された仮想計算機上で動作してもよい。例えば、欠陥解析部111、不良化率・救済率計算部112、マッチング率計算部113、用途分類部114、リスト化部115、判定部116は、各々別個の物理的又は論理的計算機上で動作するものでも、複数が組み合わされて一つの物理的又は論理的計算機上で動作するものでもよい。
【0026】
半導体デバイス製造メーカには、検査装置200、端末210及び半導体製造装置(チャンバ)220が設置される。
【0027】
検査装置200は、プロセッサ(CPU)、メモリ、記憶装置、通信インターフェース、入力インターフェース、出力インターフェース及び制御装置を有し、半導体基板の欠陥を検査する。検査装置200は、半導体デバイス管理システム100とネットワークを介して接続されており、端末210からの指示に従って半導体基板の検査結果を端末210に送信する。なお、検査結果は、半導体デバイス管理システム100に直接送信してもよい。また、検査装置200は、半導体製造装置220と通信可能に接続されており、半導体製造装置220から収集したプロセス条件履歴146を半導体デバイス管理システム100に送ってもよい。
【0028】
端末210は、プロセッサ(CPU)、メモリ、記憶装置、通信インターフェース、入力インターフェース及び出力インターフェースを有する計算機で構成され、半導体デバイス管理システム100から出力される演算結果(例えば、欠陥のデバイス仕様への影響率、半導体基板の分類)を受信する。
【0029】
図3は、本実施例の半導体デバイス管理システム100の論理構成を示す図である。
【0030】
半導体デバイス管理システム100は、プロセッサがプログラムを実行することによって実現される演算部110、及びプログラム130及びデータ140を格納する記憶部120を有する。
【0031】
演算部110は、プログラムの実行によって、欠陥解析部111、不良化率・救済率計算部112、マッチング率計算部113、用途分類部114、リスト化部115、及び判定部116を実現する。
【0032】
記憶部120に格納されるプログラム130は、欠陥解析プログラム131、不良化率・救済率計算プログラム132、マッチング率計算プログラム133、用途分類プログラム134、リスト化プログラム135、及び判定プログラム136である。
【0033】
欠陥解析部111は、欠陥解析プログラム131の実行によって、半導体基板の検査結果から当該半導体基板の三次元欠陥を解析する。
【0034】
不良化率・救済率計算部112は、不良化率・救済率計算プログラム132の実行によって、半導体基板に形成される半導体デバイスの電気的特性が所望の条件から外れる確率(不良化率)と、欠陥発生以降の製造工程の変更によって欠陥領域が不活性化することで電気的特性が所望の条件(良品)となる確率(救済率)をデバイス用途ごとに計算する。
【0035】
マッチング率計算部113は、マッチング率計算プログラム133の実行によって、入力された半導体基板の結晶欠陥情報(
図10参照)と、デバイス仕様への欠陥影響率144(
図11参照)と、用途ごとのデバイス動作条件145(
図12参照)から、半導体基板又はチップのデバイス用途ごとのマッチング率を計算する。マッチング率は、ある半導体基板(又は、半導体基板に形成されるチップ)の、ある用途の半導体デバイスへの適合度を示す指標であり、0~1の値で表され、0は全く適性がないことを示す。
【0036】
用途分類部114は、用途分類プログラム134の実行によって、計算されたマッチング率148によって、半導体基板(又は、半導体基板に形成されるチップ)を分類する。リスト化部115は、リスト化プログラム135の実行によって、半導体基板(又は、半導体基板に形成されるチップ)の用途による分類結果149をリスト化する。判定部116は、判定プログラム136の実行によって、リスト化した結果を用いて半導体基板(又は、半導体基板に形成されるチップ)を判定する。
【0037】
記憶部120に格納されるデータ140は、基板情報141、欠陥検査結果142、三次元欠陥情報143、欠陥影響率144、デバイス動作条件145、プロセス条件履歴146、不良化率・救済率147、マッチング率148、用途による分類結果149、及び欠陥不活性化率150である。
【0038】
基板情報141は、半導体基板の情報であり、スロット番号、ロット番号、ウエハ番号、刻印ID、基板の品質に関する情報、などを含む。スロット番号は、半導体基板が格納されたキャリア内のスロットの識別情報である。ロット番号は、半導体基板の製造工程の識別情報である。ウエハ番号は、半導体基板の識別情報である。刻印IDは、半導体基板に付された識別情報である。基板の品質に関する情報は、基板の口径、厚さ、含まれる不純物濃度、結晶状態の良し悪しを指標化した情報、などを含む。欠陥検査結果142は、検査装置200から取得した、半導体基板に含まれる結晶欠陥の情報である。三次元欠陥情報143は、欠陥解析部111によって解析された半導体基板の三次元欠陥の情報であり、その構成例は
図10を参照して後述する。欠陥影響率144は、欠陥のデバイス仕様への影響率を記録しており、その構成例は
図11を参照して後述する。デバイス動作条件145は、用途ごとの半導体デバイスの動作条件を記録しており、その構成例は
図12を参照して後述する。プロセス条件履歴146は、半導体基板を用いて形成された半導体デバイスの製造中におけるプロセス条件である。不良化率・救済率147は、半導体基板上に形成される半導体デバイスの電気的特性が所望の条件から外れる確率である不良化率と、欠陥発生以降の製造工程の変更によって欠陥領域が不活性化することで電気的特性が所望の条件(良品)となる確率である救済率とから成る。マッチング率148は、ある半導体基板(又は、半導体基板に形成されるチップ)の、ある用途の半導体デバイスへの適合度であり、その構成例は
図13、
図14を参照して後述する。用途による分類結果149は、計算されたマッチング率148によって、半導体基板(又は、半導体基板に形成されるチップ)を分類した結果であり、例えば、用途毎の適合順序、すなわち用途毎のマッチング率が高い順序であり、その構成例は
図18に示す画面を参照して後述する。欠陥不活性化率150は、欠陥毎に、欠陥発生以降の製造工程の変更によって欠陥領域が不活性化することで電気的特性が所望の条件(良品)となる確率であり、その構成例は
図15を参照して後述する。
【0039】
図4は、本実施例の半導体デバイス管理システム100が実行する処理のシーケンス図である。
図4に示す例では、半導体デバイス管理システム100が結晶欠陥の検査結果に基づいて半導体基板を選別する。
【0040】
まず、半導体デバイス製造メーカの作業者は、半導体基板の情報を端末210に入力する(500)。端末210に入力された半導体基板の情報は、半導体デバイス管理システム100に送信され、半導体デバイス管理システム100内の通信インターフェースで受信され(501)、記憶部120に保存される(502)。なお、半導体基板の情報の入力及び保存は省略できる。
【0041】
次に、作業者は、半導体基板の検査を検査装置200に指示する(510)。検査装置200は、作業者の指示に従って半導体基板を検査し、検査結果を端末210に出力する(511)。端末210は、入力された検査結果及び半導体基板の解析要求を、半導体デバイス管理システム100に送信する。半導体デバイス管理システム100は、端末210から送信された検査結果を、通信インターフェースで受信し(512)、記憶部120に保存する(513)。例えば、半導体基板に存在する結晶欠陥が検査される。
【0042】
その後、半導体デバイス管理システム100の演算部110(欠陥解析部111)は、欠陥解析プログラム131を実行して、記憶部120から読み出した検査結果を使用して、解析が要求された半導体基板の三次元欠陥を解析し(514)、三次元欠陥情報143を記憶部120に保存する(515)。
【0043】
次に、演算部110(マッチング率計算部113)は、マッチング率計算プログラム133を実行して、記憶部120から読み出した三次元欠陥情報143と、欠陥のデバイス仕様への影響率のリストである欠陥影響率144と、用途ごとのデバイス動作条件145とを使用して、半導体基板のデバイス用途ごとのマッチング率148を計算し(533)、計算結果を記憶部120に保存する(534)。マッチング率計算処理533の詳細は
図9を参照して後述する。
【0044】
次に、演算部110(用途分類部114)は、用途分類プログラム134を実行して、記憶部120から読み出したマッチング率を使用して、半導体基板を分類し(535)、分類結果を記憶部120に保存する(536)。
【0045】
一方、作業者は、製造される半導体デバイスの用途を端末210に入力して、半導体基板の判定を要求する(540)。端末210は、入力された半導体デバイスの用途の分類要求を、半導体デバイス管理システム100に送信する。半導体デバイス管理システム100は、端末210から送信された半導体デバイスの用途を通信インターフェースで受信し(541)、記憶部120に保存する(542)。なお、半導体デバイスの用途の入力は、半導体基板の情報の入力前でもよい。
【0046】
次に、演算部110(リスト化部115、判定部116)は、リスト化プログラム135及び判定プログラム136を実行して、記憶部120から読み出した分類結果149をリスト化して、半導体基板を判定し(543)、判定の結果を通信インターフェースを介して端末210に出力する(544)。
【0047】
端末210は、判定の結果を受信すると、人が認識可能な形式で作業者に提示する(545)。
【0048】
このように、
図4に示す形態では、半導体デバイス管理システム100が半導体基板の欠陥の検査結果142から得られた三次元欠陥情報143と、欠陥のデバイス仕様への影響率144と、用途によって異なるデバイス動作条件145を参照して、半導体基板を選別するための情報を出力するので、用途によって異なるデバイス動作条件145に適する半導体基板を選んで半導体デバイスを製造でき、高信頼かつ低コストな半導体デバイスを提供できる。
【0049】
図5は、本実施例の変形例1の半導体デバイス管理システム100が実行する処理のシーケンス図である。
図5に示す変形例1では、半導体デバイス管理システム100が結晶欠陥の検査結果に基づいて、半導体基板に製造された半導体デバイスを選別する。
【0050】
まず、半導体デバイス製造メーカの作業者は、半導体基板の情報を端末210に入力する(500)。端末210に入力された半導体基板の情報は、半導体デバイス管理システム100に送信され、半導体デバイス管理システム100内の通信インターフェースで受信され(501)、記憶部120に保存される(502)。なお、半導体基板の情報の入力及び保存は省略できる。
【0051】
次に、作業者は、半導体基板の検査を検査装置200に指示する(510)。検査装置200は、作業者の指示に従って半導体基板を検査し、検査結果を半導体製造装置220及び端末210に出力する(511)。半導体製造装置220は、検査後は半導体デバイスを製造する。また、端末210は、入力された検査結果及び半導体基板の解析要求を、半導体デバイス管理システム100に送信する。半導体デバイス管理システム100は、端末210から送信された検査結果を、通信インターフェースで受信し(512)、記憶部120に保存する(513)。例えば、この検査は、半導体基板に存在する結晶欠陥を検査する。
【0052】
その後、半導体デバイス管理システム100の演算部110(欠陥解析部111)は、欠陥解析プログラム131を実行して、記憶部120から読み出した検査結果を使用して、解析が要求された半導体基板の三次元欠陥を解析し(514)、三次元欠陥情報143を記憶部120に保存する(515)。
【0053】
次に、演算部110(マッチング率計算部113)は、マッチング率計算プログラム133を実行して、記憶部120から読み出した三次元欠陥情報143と、欠陥のデバイス仕様への影響率のリストである欠陥影響率144と、用途ごとのデバイス動作条件145とを使用して、チップのデバイス用途ごとのマッチング率148を計算し(533)、計算結果を記憶部120に保存する(534)。マッチング率計算処理533の詳細は
図9を参照して後述する。
【0054】
次に、演算部110(用途分類部114)は、用途分類プログラム134を実行して、記憶部120から読み出したマッチング率148を使用して、半導体デバイスを分類し(535)、分類結果を記憶部120に保存する(536)。
【0055】
一方、作業者は、半導体デバイスの製造後に、製造された半導体デバイスの用途を端末210に入力して、半導体デバイスの判定を要求する(540)。端末210は、入力された半導体デバイスの用途の分類要求を、半導体デバイス管理システム100に送信する。半導体デバイス管理システム100は、端末210から送信された半導体デバイスの用途を通信インターフェースで受信し(541)、記憶部120に保存する(542)。なお、半導体デバイスの用途の入力は、半導体基板の情報の入力前でもよい。
【0056】
次に、演算部110(リスト化部115、判定部116)は、リスト化プログラム135及び判定プログラム136を実行して、記憶部120から読み出した分類結果149をリスト化して、半導体基板上に製造された半導体デバイスを判定し(543)、判定の結果を通信インターフェースを介して端末210に出力する(544)。
【0057】
端末210は、判定の結果を受信すると、人が認識可能な形式で作業者に提示する(545)。
【0058】
このように、
図5に示す変形例1では、半導体デバイス管理システム100が半導体基板の欠陥の検査結果142から得られた三次元欠陥情報143と、欠陥のデバイス仕様への影響率144と、用途によって異なるデバイス動作条件145を参照して、半導体基板に形成される半導体デバイスを選別するための情報を出力するので、用途によって異なるデバイス動作条件145に適する基板内の場所に製造された半導体デバイスを選んで出荷でき、高信頼かつ低コストな半導体デバイスを提供できる。
【0059】
図6は、本実施例の変形例2の半導体デバイス管理システム100が実行する処理のシーケンス図である。
図6に示す変形例2では、半導体デバイス管理システム100が結晶欠陥の検査結果及び半導体デバイスの製造過程で生じたプロセス欠陥に基づいて、製造された半導体デバイスを選別する。
【0060】
まず、半導体デバイス製造メーカの作業者は、半導体基板の情報を端末210に入力する(500)。端末210に入力された半導体基板の情報は、半導体デバイス管理システム100に送信され、半導体デバイス管理システム100内の通信インターフェースで受信され(501)、記憶部120に保存される(502)。なお、半導体基板の情報の入力及び保存は省略できる。
【0061】
次に、作業者は、半導体基板の検査を検査装置200に指示する(510)。検査装置200は、作業者の指示に従って半導体基板を検査し、検査結果を半導体製造装置220及び端末210に出力する(511)。半導体製造装置220は、検査後は半導体デバイスを製造する。また、端末210は、入力された検査結果及び半導体基板の解析要求を、半導体デバイス管理システム100に送信する。半導体デバイス管理システム100は、端末210から送信された検査結果を、通信インターフェースで受信し(512)、記憶部120に保存する(513)。例えば、この検査は、半導体基板に存在する結晶欠陥を検査する。
【0062】
その後、半導体デバイス管理システム100の演算部110(欠陥解析部111)は、欠陥解析プログラム131を実行して、記憶部120から読み出した検査結果を使用して、解析が要求された半導体基板の三次元欠陥を解析し(514)、三次元欠陥情報143を記憶部120に保存する(515)。
【0063】
また、半導体デバイスの製造工程中にも、検査装置200は、作業者の指示に従って(516)、半導体基板を検査し、検査結果を半導体製造装置220及び端末210に出力する(517)。半導体製造装置220は、検査結果に基づいて以降の工程を調整し、半導体デバイスの製造工程を続ける。また、端末210は、入力された検査結果及び半導体基板の解析要求を、半導体デバイス管理システム100に送信する。半導体デバイス管理システム100は、端末210から送信された検査結果を、通信インターフェースで受信し(518)、記憶部120に保存する(515)。例えば、この検査は、半導体基板に生じたパターニング不良などのプロセス欠陥を検査する。
【0064】
次に、演算部110(不良化率・救済率計算部112)は、不良化率・救済率計算プログラム132を実行して、記憶部120から読み出した三次元欠陥情報143、プロセス欠陥情報、欠陥のデバイス仕様への影響率のリストである欠陥影響率144、用途ごとのデバイス動作条件145を使用して、半導体基板上に形成される半導体デバイスの電気的特性が所望の条件から外れる確率(不良化率)と、欠陥発生以降の製造工程の変更によって欠陥領域が不活性化することで電気的特性が所望の条件(良品)となる確率(救済率)をデバイス用途ごとに計算し(519)、計算結果を記憶部120に保存する(520)。
【0065】
プロセス欠陥は、その種類、程度及び位置によって、以降の工程の変更によって救済できるものがある。半導体デバイス管理システム100は、不良化率が所定の閾値より大きく、かつ、救済率が所定の閾値より大きいチップに関して、製造される半導体デバイスが所望の特性を得られるように、半導体製造装置220に以降の工程の変更を指示する(521)。
【0066】
製造工程の主要工程で、作業者の指示に従って(516)、半導体基板を検査し、検査結果を半導体製造装置220及び端末210に出力し(517)、半導体デバイス管理システム100が通信インターフェースで受信し(518)、記憶部120に保存し(515)、不良化率と救済率をデバイス用途ごとに計算し(519)、計算結果を記憶部120に保存し(520)、計算結果をもとに半導体製造装置220に以降の工程の変更を指示する(521)、工程を繰り返す。
【0067】
最後の主要工程では、作業者の指示に従って(516)、半導体基板を検査し、検査結果を半導体製造装置220及び端末210に出力し(517)、半導体デバイス管理システム100が通信インターフェースで受信し(518)、記憶部120に保存する(515)。なお、この最後の主要工程での検査は省略できる。
【0068】
次に、演算部110(マッチング率計算部113)は、マッチング率計算プログラム133を実行して、記憶部120から読み出した三次元欠陥情報143と、プロセス欠陥情報と、欠陥のデバイス仕様への影響率リスト144と、用途ごとのデバイス動作条件145とを使用して、チップのデバイス用途ごとのマッチング率148を計算し(533)、計算結果を記憶部120に保存する(534)。マッチング率計算処理533の詳細は
図9を参照して後述する。
【0069】
次に、演算部110(用途分類部114)は、用途分類プログラム134を実行して、記憶部120から読み出したマッチング率148を使用して、半導体デバイスを分類し(535)、分類結果を記憶部120に保存する(536)。
【0070】
一方、作業者は、半導体デバイスの製造後に、製造された半導体デバイスの用途を端末210に入力して、半導体デバイスの判定を要求する(540)。端末210は、入力された半導体デバイスの用途の分類要求を、半導体デバイス管理システム100に送信する。半導体デバイス管理システム100は、端末210から送信された半導体デバイスの用途を通信インターフェースで受信し(541)、記憶部120に保存する(542)。なお、半導体デバイスの用途の入力は、半導体基板の情報の入力前でもよい。
【0071】
次に、演算部110(リスト化部115、判定部116)は、リスト化プログラム135及び判定プログラム136を実行して、記憶部120から読み出した分類結果149をリスト化して、半導体基板上に製造された半導体デバイスを判定し(543)、判定の結果を通信インターフェースを介して端末210に出力する(544)。
【0072】
端末210は、判定の結果を受信すると、人が認識可能な形式で作業者に提示する(545)。
【0073】
このように、
図6に示す変形例2では、半導体デバイス管理システム100が半導体基板の欠陥の検査結果142から得られた三次元欠陥情報143と、半導体デバイスの製造過程で生じたプロセス欠陥の情報と、欠陥のデバイス仕様への影響率144と、用途によって異なるデバイス動作条件145を参照して、不良化率と救済率をデバイス用途ごとに計算し、以降の工程を変更することで救済可能な半導体デバイスを判定する。判定結果に従って以降の工程を変更することで、プロセス欠陥の不活性化を行い、製造歩留を上げる。加えて、半導体デバイス管理システム100が三次元欠陥情報143と、半導体デバイスの製造過程で生じたプロセス欠陥の情報と、欠陥のデバイス仕様への影響率144と、用途によって異なるデバイス動作条件145を参照して、半導体基板に形成される半導体デバイスを選別するための情報を出力する。そのため、用途によって異なるデバイス動作条件145に適する基板内の場所に製造された半導体デバイスを選んで出荷でき、高信頼かつ低コストな半導体デバイスを提供できる。
【0074】
図7は、本実施例の変形例3の半導体デバイス管理システム100が実行する処理のシーケンス図である。
図7に示す変形例3では、半導体デバイス管理システム100が結晶欠陥の検査結果及び半導体デバイスの製造におけるプロセス条件履歴146に基づいて、製造された半導体デバイスを選別する。
【0075】
まず、半導体デバイス製造メーカの作業者は、半導体基板の情報を端末210に入力する(500)。端末210に入力された半導体基板の情報は、半導体デバイス管理システム100に送信され、半導体デバイス管理システム100内の通信インターフェースで受信され(501)、記憶部120に保存される(502)。なお、半導体基板の情報の入力及び保存は省略できる。
【0076】
次に、作業者は、半導体基板の検査を検査装置200に指示する(510)。検査装置200は、作業者の指示に従って半導体基板を検査し、検査結果を半導体製造装置220及び端末210に出力する(511)。半導体製造装置220は、作業者が入力した検査結果に従って半導体デバイスを製造する。また、端末210は、入力された検査結果及び半導体基板の解析要求を、半導体デバイス管理システム100に送信する。半導体デバイス管理システム100は、端末210から送信された検査結果を、通信インターフェースで受信し(512)、記憶部120に保存する(513)。例えば、この検査は、半導体基板に存在する結晶欠陥を検査する。
【0077】
その後、半導体デバイス管理システム100の演算部110(欠陥解析部111)は、欠陥解析プログラム131を実行して、記憶部120から読み出した検査結果を使用して、解析が要求された半導体基板の三次元欠陥を解析し(514)、三次元欠陥情報143を記憶部120に保存する(515)。
【0078】
また、作業者は、半導体デバイスの製造後に、半導体デバイスのプロセス条件履歴146を端末210に入力して、半導体デバイスの分類を要求する(530)。端末210は、入力された半導体デバイスに必要な用途及び半導体基板の分類要求を、半導体デバイス管理システム100に送信する。半導体デバイス管理システム100は、端末210から送信されたプロセス条件履歴146を、通信インターフェースで受信し(531)、記憶部120に保存する(532)。
【0079】
次に、演算部110(マッチング率計算部113)は、マッチング率計算プログラム133を実行して、記憶部120から読み出した三次元欠陥情報143と、プロセス条件履歴146と、欠陥のデバイス仕様への影響率のリストである欠陥影響率144と、用途ごとのデバイス動作条件145とを使用して、チップのデバイス用途ごとのマッチング率148を計算し(533)、計算結果を記憶部120に保存する(534)。マッチング率計算処理533の詳細は
図9を参照して後述する。
【0080】
次に、演算部110(用途分類部114)は、用途分類プログラム134を実行して、記憶部120から読み出したマッチング率148を使用して、半導体デバイスを分類し(535)、分類結果を記憶部120に保存する(536)。
【0081】
一方、作業者は、半導体デバイスの製造後に、製造された半導体デバイスの用途を端末210に入力して、半導体デバイスの判定を要求する(540)。端末210は、入力された半導体デバイスの用途の分類要求を、半導体デバイス管理システム100に送信する。半導体デバイス管理システム100は、端末210から送信された半導体デバイスの用途を通信インターフェースで受信し(541)、記憶部120に保存する(542)。なお、半導体デバイスの用途の入力は、半導体基板の情報の入力前でもよい。
【0082】
次に、演算部110(リスト化部115、判定部116)は、リスト化プログラム135及び判定プログラム136を実行して、記憶部120から読み出した分類結果149をリスト化して、半導体基板上に製造された半導体デバイスを判定し(543)、判定の結果を通信インターフェースを介して端末210に出力する(544)。
【0083】
端末210は、判定の結果を受信すると、人が認識可能な形式で作業者に提示する(545)。
【0084】
このように、
図7に示す変形例2では、半導体デバイス管理システム100が半導体基板の欠陥の検査結果142から得られた三次元欠陥情報143と、半導体デバイスのプロセス条件履歴146と、欠陥のデバイス仕様への影響率144と、用途によって異なるデバイス動作条件145を参照して、半導体基板に形成される半導体デバイスを選別するための情報を出力する。基板内にも材料品質の分布があり、プロセス条件の履歴によって材料品質は変動する。変形例2では、プロセス条件の履歴によって変動する材料品質の情報も加味して、用途によって異なるデバイス動作条件145に適する基板内の場所に製造された半導体デバイスを選んで出荷できるので、高信頼かつ低コストな半導体デバイスを提供できる。
【0085】
図8は、本実施例の変形例4の半導体デバイス管理システム100が実行する処理のシーケンス図である。
図8に示す変形例4では、半導体デバイス管理システム100が結晶欠陥の検査結果、半導体デバイスの製造過程で生じたプロセス欠陥及び半導体デバイスの製造におけるプロセス条件履歴146に基づいて、製造された半導体デバイスを選別する。
【0086】
まず、半導体デバイス製造メーカの作業者は、半導体基板の情報を端末210に入力する(500)。端末210に入力された半導体基板の情報は、半導体デバイス管理システム100に送信され、半導体デバイス管理システム100内の通信インターフェースで受信され(501)、記憶部120に保存される(502)。なお、半導体基板の情報の入力及び保存は省略できる。
【0087】
次に、作業者は、半導体基板の検査を検査装置200に指示する(510)。検査装置200は、作業者の指示に従って半導体基板を検査し、検査結果を半導体製造装置220及び端末210に出力する(511)。半導体製造装置220は、検査後は半導体デバイスを製造する。また、端末210は、入力された検査結果及び半導体基板の解析要求を、半導体デバイス管理システム100に送信する。半導体デバイス管理システム100は、端末210から送信された検査結果を、通信インターフェースで受信し(512)、記憶部120に保存する(513)。例えば、この検査は、半導体基板に存在する結晶欠陥を検査する。
【0088】
その後、半導体デバイス管理システム100の演算部110(欠陥解析部111)は、欠陥解析プログラム131を実行して、記憶部120から読み出した検査結果を使用して、解析が要求された半導体基板の三次元欠陥を解析し(514)、三次元欠陥情報143を記憶部120に保存する(515)。
【0089】
また、半導体デバイスの製造工程中にも、検査装置200は、作業者の指示に従って(516)、半導体基板を検査し、検査結果を半導体製造装置220及び端末210に出力する(517)。半導体製造装置220は、検査結果に基づいて以降の工程を調整し、半導体デバイスの製造工程を続ける。また、端末210は、入力された検査結果及び半導体基板の解析要求を、半導体デバイス管理システム100に送信する。半導体デバイス管理システム100は、端末210から送信された検査結果を、通信インターフェースで受信し(518)、記憶部120に保存する(515)。例えば、この検査は、半導体基板に生じたパターニング不良などのプロセス欠陥を検査する。
【0090】
次に、演算部110(不良化率・救済率計算部112)は、不良化率・救済率計算プログラム132を実行して、記憶部120から読み出した三次元欠陥情報143、プロセス欠陥情報、欠陥のデバイス仕様への影響率のリストである欠陥影響率144、用途ごとのデバイス動作条件145を使用して、半導体基板上に形成される半導体デバイスの電気的特性が所望の条件から外れる確率(不良化率)と欠陥発生以降の製造工程の変更によって欠陥領域が不活性化することで電気的特性が所望の条件(良品)となる確率(救済率)をデバイス用途ごとに計算し(519)、計算結果を記憶部120に保存する(520)。
【0091】
プロセス欠陥は、その種類、程度及び位置によって、以降の工程の変更によって救済できるものがある。半導体デバイス管理システム100は、不良化率が所定の閾値より大きく、かつ、救済率が所定の閾値より大きいチップに関して、製造される半導体デバイスが所望の特性を得られるように、半導体製造装置220に以降の工程の変更を指示する(521)。
【0092】
製造工程の主要工程で、作業者の指示に従って(516)、半導体基板を検査し、検査結果を半導体製造装置220及び端末210に出力し(517)、半導体デバイス管理システム100が通信インターフェースで受信し(518)、記憶部120に保存し(515)、不良化率と救済率をデバイス用途ごとに計算し(519)、計算結果を記憶部120に保存し(520)、計算結果をもとに半導体製造装置220に以降の工程の変更を指示する(521)、工程を繰り返す。
【0093】
最後の主要工程では、作業者の指示に従って(516)、半導体基板を検査し、検査結果を半導体製造装置220及び端末210に出力し(517)、半導体デバイス管理システム100が通信インターフェースで受信し(518)、記憶部120に保存する(515)。なお、この最後の主要工程での検査は省略できる。
【0094】
また、作業者は、半導体デバイスの製造後に、半導体デバイスのプロセス条件履歴146を端末210に入力して、半導体デバイスの分類を要求する(530)。端末210は、入力された半導体デバイスの分類要求を、半導体デバイス管理システム100に送信する。半導体デバイス管理システム100は、端末210から送信されたプロセス条件履歴146を、通信インターフェースで受信し(531)、記憶部120に保存する(532)。
【0095】
次に、演算部110(マッチング率計算部113)は、マッチング率計算プログラム133を実行して、記憶部120から読み出した三次元欠陥情報143と、プロセス欠陥情報と、欠陥のデバイス仕様への影響率のリストである欠陥影響率144と、プロセス条件履歴146と、用途ごとのデバイス動作条件145とを使用して、チップのデバイス用途ごとのマッチング率148を計算し(533)、計算結果を記憶部120に保存する(534)。マッチング率計算処理533の詳細は
図9を参照して後述する。
【0096】
次に、演算部110(用途分類部114)は、用途分類プログラム134を実行して、記憶部120から読み出したマッチング率148を使用して、半導体デバイスを分類し(535)、分類結果を記憶部120に保存する(536)。
【0097】
一方、作業者は、半導体デバイスの製造後に、製造された半導体デバイスの用途を端末210に入力して、半導体デバイスの判定を要求する(540)。端末210は、入力された半導体デバイスの用途の分類要求を、半導体デバイス管理システム100に送信する。半導体デバイス管理システム100は、端末210から送信された半導体デバイスの用途を通信インターフェースで受信し(541)、記憶部120に保存する(542)。なお、半導体デバイスの用途の入力は、半導体基板の情報の入力前でもよい。
【0098】
次に、演算部110(リスト化部115、判定部116)は、リスト化プログラム135及び判定プログラム136を実行して、記憶部120から読み出した分類結果149をリスト化して、半導体基板上に製造された半導体デバイスを判定し(543)、判定の結果を通信インターフェースを介して端末210に出力する(544)。
【0099】
端末210は、判定の結果を受信すると、人が認識可能な形式で作業者に提示する(545)。
【0100】
このように、
図8に示す変形例4では、半導体デバイス管理システム100が半導体基板の欠陥の検査結果142から得られた三次元欠陥情報143と、半導体デバイスの製造過程で生じたプロセス欠陥の情報と、欠陥のデバイス仕様への影響率144と、用途によって異なるデバイス動作条件145を参照して、不良確率と救済率をデバイス用途ごとに計算し、以降の工程を変更することで救済可能な半導体デバイスを判定する。判定結果に従って以降の工程を変更することで、プロセス欠陥の不活性化を行い、製造歩留を上げる。加えて、半導体デバイス管理システム100が半導体基板の三次元欠陥情報143と、半導体デバイスの製造過程で生じたプロセス欠陥情報と、欠陥のデバイス仕様への影響率144と、プロセス条件の履歴146と、用途によって異なるデバイス動作条件145とを参照して、半導体基板に形成される半導体デバイスを選別するための情報を出力する。変形例4では、プロセス条件の履歴によって変動する材料品質の情報も加味して、用途によって異なるデバイス動作条件145に適する基板内の場所に製造された半導体デバイスを選んで出荷できるので、高信頼かつ低コストな半導体デバイスを提供できる。
【0101】
図9は、マッチング率計算処理533のフローチャートである。
【0102】
半導体デバイス管理システム100のマッチング率計算部113(マッチング率計算プログラム133)は、半導体デバイスの用途毎にステップS101以後の演算処理を、全ての用途の演算処理が完了するまで繰り返し実行する。
【0103】
まず、マッチング率計算部113は、欠陥解析部111によって解析された半導体基板の三次元欠陥の情報を三次元欠陥情報143から取得する(S101)。取得する三次元欠陥情報143は、半導体基板内の欠陥の位置(三次元座標)、欠陥の種別、欠陥の形状及び大きさ(横幅、縦幅、面積)、この半導体基板で製造されるデバイスの種別、チップ内の欠陥の位置などを含むとよい。
【0104】
次に、マッチング率計算部113は、デバイス仕様ごとの仕様への欠陥の影響率を欠陥影響率144から取得する(S102)。
【0105】
そして、マッチング率計算部113は、チップ毎にステップS103からステップS111の演算処理を、全てのチップの演算処理が完了するまで繰り返し実行する。
【0106】
次に、マッチング率計算部113は、当該チップ内に欠陥があるかを判定する(S103)。当該チップ内に欠陥がない場合、欠陥によるチップの特性劣化が生じないので、チップのマッチング率を1に設定する(S104)。一方、当該チップ内に欠陥がある場合、マッチング率計算部113は、デバイス仕様毎にステップS105からステップS108の演算処理を、全てのデバイス仕様の演算処理が完了するまで繰り返し実行する。
【0107】
次に、マッチング率計算部113は、当該デバイス仕様への影響率が1であるかを判定する(S105)。当該デバイス仕様への影響率が1であれば、当該欠陥は当該デバイス仕様への影響が大きく、当該デバイス仕様への適用は不可能なので、当該デバイス仕様のマッチング率を0に設定する(S106)。
【0108】
一方、当該デバイス仕様への影響率が1でなければ、欠陥毎に当該デバイス仕様へ影響の程度を表すマッチング寄与率を計算する(S107)。例えば、用途iにおけるチップ番号kのデバイス仕様qに対する欠陥mのマッチング寄与率MRi_k_q_mは、マッチング寄与率=1-影響率とすると、下式によって計算できる。
MRi_k_q_m=1-{デバイス仕様qに与える影響率×(欠陥の面積÷チップの面積)}
【0109】
マッチング率計算部113は、全ての欠陥のマッチング寄与率を計算した後、チップ毎のマッチング寄与率を計算する(S108)。例えば、用途iにおけるチップ番号kのデバイス仕様qに対するマッチング寄与率MRi_k_qは、ステップS107で計算された全欠陥(欠陥m=1~M)のマッチング寄与率MRi_k_q_1~MRi_k_q_Mの統計値である。統計値は、平均値、中央値、最頻値、加重平均などを採用できる。
【0110】
マッチング率計算部113は、全てのデバイス仕様のマッチング寄与率を計算した後、全てのデバイス仕様のマッチング寄与率の中で、マッチング寄与率が0である仕様があるかを判定する(S109)。マッチング寄与率が0であるデバイス仕様が一つでもあれば、チップのマッチング率を0に設定する(S110)。全てのデバイス仕様のマッチング寄与率の中で、マッチング寄与率が0である仕様がなければ、チップ毎のマッチング率を計算する(S111)例えば、用途iにおけるチップ番号kのマッチング率MRi_kは、ステップS108で計算されたチップ番号kの全デバイス仕様(仕様q=1~Q)のマッチング寄与率MRi_k_1~MRi_k_Qの統計値である。統計値は、平均値、中央値、最頻値、加重平均などを採用できる。
【0111】
マッチング率計算部113は、全ての用途における全てのチップのマッチング率を計算した後、マッチング率計算処理533を終了する。
【0112】
マッチング率計算処理533で計算されたマッチング率148は、用途分類部114に送られ、すべてのチップ番号ごとにマッチング率が最大となる(最も適合する)用途が第1用途に分類される。
【0113】
マッチング率計算部113は、前述したように、半導体基板の三次元欠陥情報143(
図10)と、デバイス仕様への欠陥影響率144(
図11)と、用途ごとのデバイス動作条件145(
図12)が入力され、半導体基板又はチップのデバイス用途ごとのマッチング率MRを出力する。
【0114】
図10は、マッチング率計算部113に入力される三次元欠陥情報143の構成例を表形式で示す図である。
【0115】
三次元欠陥情報143は、半導体基板の結晶欠陥の情報を記録しており、スロット番号、刻印ID、欠陥ID、中心座標、欠陥種、横幅、縦幅、及び面積を含む。スロット番号は、半導体基板が格納されたキャリア内のスロットの識別情報である。刻印IDは、半導体基板に付された識別情報である。欠陥IDは、半導体基板に見つかった結晶欠陥の識別情報である。中心座標は、当該欠陥の中心位置の座標であり、半導体基板の表面中心を原点としてx,y,zで表される。欠陥種は、当該欠陥の種別の識別情報であり、例えば、バンチングステップ、積層欠陥複合体、スクラッチ痕、マイクロパイプ、積層欠陥、基底面転位、表面パーティクルなどがある。横幅及び縦幅は、当該欠陥の半導体基板のx,y方向の大きさである。面積は、当該欠陥の面積である。
【0116】
図11は、マッチング率計算部113に入力される欠陥影響率144の構成例を表形式で示す図である。
【0117】
欠陥影響率144は、デバイス仕様への欠陥の影響を示す影響率を記録しており、欠陥種、横幅、縦幅、面積、デバイス種番号、チップ内位置、及びデバイス仕様毎の影響率を含む。欠陥種は、当該欠陥の種別の識別情報である。横幅及び縦幅は、当該欠陥の半導体基板のx,y方向の大きさである。面積は、当該欠陥の面積である。デバイス種番号は、半導体デバイスの種別の識別情報であり、例えば、ダイオード、MOS、IGBTなどがある。チップ内位置は、チップ内の当該欠陥の位置の識別情報であり、例えば、終端領域、コンタクト領域、動作領域外などがある。影響率は、デバイス仕様毎に定められており、0~1の値であり、影響率が大きいほど半導体デバイスの特性が劣化する(例えば、影響率1だと100%不良品になる)。影響率は、通常は、工場によって異なる値をとる。
【0118】
図12は、マッチング率計算部113に入力されるデバイス動作条件145の構成例を表形式で示す図である。
【0119】
デバイス動作条件145は、用途毎にデバイス仕様と設計図情報を記録しており、用途番号、デバイス種番号、デバイス仕様、及び各チップの終端領域の位置を含む。半導体デバイスは、その適用先つまり用途によって仕様が異なる。半導体デバイスの仕様が決まれば設計図も決まるので、デバイス動作条件145に設計図の情報も含めるとよい。設計図情報は、ウエハ内のどの領域がチップのどの場所(動作領域、非動作領域など)を示す座標リストである。設計図情報によって、半導体基板の欠陥がチップの動作領域内か非動作領域内かを判定できる。用途番号は、半導体デバイスの用途の識別情報であり、産業機器、自動車、列車などがある。デバイス種番号は、前述したように、半導体デバイスの種別の識別情報であり、例えば、ダイオード、MOS、IGBTなどがある。デバイス仕様は、半導体デバイスの電気的特性の仕様であり、定格電圧、定格電流、抵抗、動作下限温度、動作上限温度、オン電圧、ゲート下限電圧、ゲート上限電圧、しきい値電圧、ゲートソースリーク電流、ゲート抵抗、入力容量、出力容量、帰還容量などがある。各チップの終端領域は、設計図情報を示す座標リストである。
【0120】
図13、
図14は、マッチング率計算部113から出力されるマッチング率148の構成例を表形式で示す図である。
【0121】
図13に示すマッチング率148の例は、半導体基板のデバイス用途ごとのマッチング率であり、スロット番号、刻印ID、及び用途毎のマッチング率を含む。スロット番号は、三次元欠陥情報143(
図10)と共通の情報である。刻印IDは、三次元欠陥情報143と同様に、半導体基板に付された識別情報である。マッチング率は、前述したように、当該スロット番号の半導体基板の、各用途の半導体デバイスへの適性を示す指標であり、0~1の値で表され、0は全く適性がないことを示す。
【0122】
図14に示すマッチング率148の例は、半導体チップのデバイス用途ごとのマッチング率であり、スロット番号、ロット番号、ウエハ番号、刻印ID、チップ番号、チップインデックス、及び用途毎のマッチング率を含む。スロット番号及び刻印IDは、三次元欠陥情報143(
図10)と共通の情報である。ロット番号は、半導体基板の製造工程の識別情報である。ウエハ番号は、半導体基板の識別情報である。チップ番号は、半導体基板に製造される半導体チップの識別情報である。チップインデックスは、製造後に半導体ウエハから切り出された半導体チップが収納されているケース内の位置情報である。マッチング率は、前述したように、当該スロット番号の半導体基板に製造される半導体チップの、各用途の半導体デバイスへの適合度を示す指標であり、0~1の値で表され、0は全く適性がないことを示す。
【0123】
マッチング率148は、
図17に示すように、表形式でマッチング率表示画面に表示される。
【0124】
不良化率・救済率計算部112は、前述したように、三次元欠陥情報143と、プロセス欠陥情報と、欠陥のデバイス仕様への影響率リスト144(又は、
図15に示す欠陥不活性化率リスト)と、用途ごとのデバイス動作条件145が入力され、不良化率と救済率を出力する。
【0125】
結晶欠陥及びプロセス欠陥の少なくとも一つを含むチップが電気的に良品となるかは、当該欠陥の種類、大きさなどの形状情報、デバイス種、チップ内の場所、用途ごとのデバイス動作条件によって異なり、欠陥のデバイス仕様への影響率リスト144は、結晶欠陥及びプロセス欠陥によりチップが電気的に不良品になる可能性(影響率)を記録する。一方、チップ内に結晶欠陥或いはプロセス欠陥を含み、不良品となる可能性が高いチップでも、その欠陥の種類、大きさなどの形状情報、デバイス種、チップ内の場所、欠陥発生工程、用途ごとのデバイス動作条件によっては、以降の工程で欠陥を不活性化できる。欠陥の不活性化率リストは、欠陥発生以降の製造工程の変更によって欠陥領域が不活性化することで電気的特性が所望の条件(良品)となる確率を記録する。
【0126】
図15は、不良化率・救済率計算部112に入力される欠陥不活性化率150の構成例を示す図である。欠陥不活性化率150は、欠陥毎に、以降の工程によって欠陥領域が不活性化する確率を記録しており、欠陥種、横幅、縦幅、面積、デバイス種番号、チップ内位置、用途番号、欠陥発生工程のカテゴリ番号、及び不活性化率を含む。欠陥種、横幅、縦幅、及び面積は、三次元欠陥情報143(
図10)と共通の情報である。デバイス種番号及びチップ内位置は、欠陥影響率144(
図11)と共通の情報である。用途番号は、デバイス動作条件145(
図12)と共通の情報である。欠陥発生工程のカテゴリ番号は、欠陥が発生した工程の種別の識別情報であり、試作前洗浄、アライメント用マーク加工、終端領域イオン注入、コンタクト領域イオン注入、裏面イオン注入、活性化アニール、犠牲酸化、ゲート酸化膜形成、保護膜形成などがある。不活性化率は、当該欠陥種の欠陥が以降の工程で不活性化される確率である。
【0127】
図16は、不良化率・救済率計算部112から出力される不良化率及び救済率の構成例を表形式で示す図である。不良化率及び救済率は、それぞれ、結晶欠陥及びプロセス欠陥の少なくとも一つを含むチップが電気的に不良品となる確率、結晶欠陥及びプロセス欠陥の少なくとも一つを含むチップが欠陥発生以降の製造工程の変更により電気的特性が所望の条件(良品)となる確率である。不良化率及び救済率は、チップ毎かつ用途毎に求められ、スロット番号、ロット番号、ウエハ番号、刻印ID、チップ番号、チップインデックスを含む。スロット番号は、三次元欠陥情報143(
図10)と共通の情報である。ロット番号、ウエハ番号、刻印ID、チップ番号、及びチップインデックスは、マッチング率148(
図14)と共通の情報である。
【0128】
図18は、用途分類部114の出力結果を表示する用途分類結果表示画面の例を示す図である。
【0129】
本実施例の半導体デバイス管理システム100では、判定部116が半導体基板上に製造された半導体デバイスの分類結果149と入力された用途とを照合して、半導体基板上のチップが適合する用途の順序を表示する。用途分類結果表示画面には、スロット番号、ロット番号、ウエハ番号、刻印ID、チップ番号、チップインデックス、用途の適合度を表す分類結果149が表示される。スロット番号は、三次元欠陥情報143(
図10)と共通の情報である。ロット番号、ウエハ番号、刻印ID、チップ番号、及びチップインデックスは、マッチング率148(
図14)と共通の情報である。用途欄には、用途の適合順序、すなわちマッチング率が高い順序が表示される。図示した例では、1の適合度が最も高く、nの適合度が最も低いことを表す。
【0130】
以上に説明したように、本実施例の半導体デバイス管理システム100によると、演算部110が、半導体基板が含有する結晶欠陥の三次元位置情報(三次元欠陥情報143)と、欠陥のデバイス仕様への影響率(欠陥影響率144)と、半導体デバイスの用途ごとの動作条件145とから、半導体基板のデバイス用途ごとの適合度を計算する適合度計算部(マッチング率計算部113)と、前記適合度に基づいて、当該半導体基板に対して用途を決定し、決定した用途を少なくとも出力するためのデータを生成する判定部116とを有するので、半導体基板の欠陥の検査結果142から、欠陥のデバイス仕様への影響率(欠陥影響率144)と用途によって異なるデバイス動作条件145を参照して、半導体基板に形成される半導体デバイスを選別するための情報を出力でき、用途によって異なるデバイス動作条件145に適する基板内の場所に製造された半導体デバイスを選んで出荷でき、高信頼かつ低コストな半導体デバイスを提供できる。
【0131】
また、変形例1の半導体デバイス管理システム100によると、前記演算装置が、半導体基板が含有する結晶欠陥の三次元位置情報(三次元欠陥情報143)と、欠陥のデバイス仕様への影響率(欠陥影響率144)と、半導体デバイスの用途ごとの動作条件145とから、半導体デバイスの用途ごとの適合度を計算する適合度計算部(マッチング率計算部113)と、前記適合度に基づいて、当該半導体基板に形成される各半導体デバイスに対してそれぞれの用途を決定し、決定したそれぞれの用途を少なくとも出力するためのデータを生成する判定部116とを有するので、半導体デバイス管理システム100が半導体基板の欠陥の検査結果142から、欠陥のデバイス仕様への影響率(欠陥影響率144)と用途によって異なるデバイス動作条件145を参照して、半導体基板を選別するための情報を出力でき、用途によって異なるデバイス動作条件145に適する半導体基板を選んで半導体デバイスを製造でき、高信頼かつ低コストな半導体デバイスを提供できる。
【0132】
なお、本発明は前述した実施例に限定されるものではなく、添付した特許請求の範囲の趣旨内における様々な変形例及び同等の構成が含まれる。例えば、前述した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに本発明は限定されない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えてもよい。また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えてもよい。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をしてもよい。
【0133】
また、前述した各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等により、ハードウェアで実現してもよく、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し実行することにより、ソフトウェアで実現してもよい。
【0134】
各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリ、ハードディスク、SSD(Soid State Drive)等の記憶装置、又は、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に格納することができる。
【0135】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、実装上必要な全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には、ほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えてよい。
【符号の説明】
【0136】
100 半導体デバイス管理システム
110 演算部
111 欠陥解析部
112 不良化率・救済率計算部
113 マッチング率計算部
114 用途分類部
115 リスト化部
116 判定部
120 記憶部
131 欠陥解析プログラム
132 不良化率・救済率計算プログラム
133 マッチング率計算プログラム
134 用途分類プログラム
135 リスト化プログラム
136 判定プログラム
141 基板情報
142 欠陥検査結果
143 三次元欠陥情報
144 欠陥影響率
145 デバイス動作条件
146 プロセス条件履歴
147 不良化率・救済率
148 マッチング率
149 用途による分類結果
150 欠陥不活性化率
200 検査装置
210 端末
220 半導体製造装置