(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023090250
(43)【公開日】2023-06-29
(54)【発明の名称】蒸気タービンのロータ、蒸気タービン、及び動翼の固定方法
(51)【国際特許分類】
F01D 5/32 20060101AFI20230622BHJP
F01D 5/02 20060101ALI20230622BHJP
F01D 25/00 20060101ALI20230622BHJP
F01D 25/28 20060101ALI20230622BHJP
【FI】
F01D5/32
F01D5/02
F01D25/00 X
F01D25/28 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021205124
(22)【出願日】2021-12-17
(71)【出願人】
【識別番号】310010564
【氏名又は名称】三菱重工コンプレッサ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】大内 智貴
【テーマコード(参考)】
3G202
【Fターム(参考)】
3G202AA02
3G202AB09
3G202FA04
3G202FA08
3G202FB06
(57)【要約】
【課題】キーによる動翼の拘束を、容易かつ確実に行う。
【解決手段】蒸気タービンのロータは、軸芯部と、ディスク部と、ディスク部にそれぞれ取り付けられた複数の動翼と、軸方向への動翼の移動を規制するキーと、を有する。ディスク部は、翼埋込溝、及び周方向溝を有している。動翼は、翼埋込溝に埋め込まれた翼根と、プラットフォームと、翼本体と、を有する。複数の動翼は、第一の動翼と、第一の動翼に対して周方向の一方側で隣り合う第二の動翼と、を含む。第一の動翼のプラットフォームは、軸方向及び周方向に開口するように窪んで、周方向溝と連通するアクセス溝を有し、第二の動翼のプラットフォームは、周方向において、第一側面と対向する第二側面と、周方向においてアクセス溝と連通するキー収容溝と、を有している。キーは、周方向溝及びキー収容溝内に配置されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線を中心とした円柱状に形成された軸芯部と、
前記軸芯部に対して前記軸線を基準とする径方向の外側に広がるディスク部と、
前記ディスク部にそれぞれ取り付けられた複数の動翼と、
前記軸線が延びている軸方向への前記ディスク部に対する前記動翼の移動を規制するキーと、を有し、
前記ディスク部は、外周面から前記径方向の内側に凹んで前記軸方向に延びるとともに前記軸線を中心とする周方向に間隔をあけて複数が形成された翼埋込溝、及び、前記外周面から前記径方向の内側に凹んで前記周方向に延びる周方向溝を有し、
前記動翼は、
前記翼埋込溝に埋め込まれた翼根と、
前記ディスク部に対して前記径方向の外側に配置されて前記翼根に対して前記周方向の両側に張り出すプラットフォームと、
前記プラットフォームから前記径方向の外側に延びる翼本体と、を有し、
複数の前記動翼は、第一の動翼と、前記第一の動翼に対して前記周方向の一方側で隣り合う第二の動翼と、を含み、
前記第一の動翼の前記プラットフォームは、
前記周方向において、前記第二の動翼の前記プラットフォーム側を向く第一側面と、
前記軸方向を向く第一端面と、
前記第一側面及び第一端面が形成する角部において前記軸方向及び前記周方向に開口するように窪んで、前記周方向溝と連通するアクセス溝と、を有し、
前記第二の動翼の前記プラットフォームは、
前記周方向において、前記第一側面と対向する第二側面と、
前記第二側面から前記周方向に窪んで、前記径方向において前記周方向溝と連通するとともに、前記周方向において前記アクセス溝と連通するキー収容溝と、を有し、
前記キーは、前記周方向溝及び前記キー収容溝内に配置されている蒸気タービンのロータ。
【請求項2】
前記周方向溝は、前記径方向から見た場合、前記第二の動翼の前記プラットフォームと重なる位置から、前記第一の動翼の前記プラットフォームと重なる位置に跨がるように前記周方向に延び、前記径方向において前記アクセス溝と連通している請求項1に記載の蒸気タービンのロータ。
【請求項3】
前記アクセス溝は、前記周方向において前記第二側面を向くアクセス溝側面を有し、
前記アクセス溝内で前記周方向において前記キーとアクセス溝側面との間に配置され、前記周方向において前記アクセス溝側面に近づく前記キーの移動を拘束する拘束部材をさらに備える請求項1又は2に記載の蒸気タービンのロータ。
【請求項4】
前記拘束部材は、
前記軸方向において前記キーと前記アクセス溝側面との間に配置される挿入部と、
前記挿入部に対して前記軸方向において前記第一端面に近い位置で前記挿入部と一体に形成され、前記アクセス溝内での前記径方向から見た際の前記挿入部の回転を規制する回転規制部と、を備える請求項3に記載の蒸気タービンのロータ。
【請求項5】
前記ディスク部は、前記外周面に対して直交するように前記軸方向を向くディスク面に、前記軸方向から見た際に、前記アクセス溝に面する前記外周面を変形させるように前記ディスク面から窪むポンチング部を有し、
前記拘束部材は、前記ポンチング部により、前記周方向の移動が拘束されている請求項3又は4に記載の蒸気タービンのロータ。
【請求項6】
前記アクセス溝は、前記周方向において前記第二側面を向くアクセス溝側面を有し、
前記キーは、
前記周方向溝、前記キー収容溝、及び前記アクセス溝内に挿入されているキー本体部と、
前記アクセス溝内で前記キー本体部から前記軸方向に延びるキー延出部と、を一体に有し、
前記ディスク部は、前記外周面に対して直交するように前記軸方向を向くディスク面に、前記軸方向から見た際に、前記アクセス溝に面する前記外周面を変形させるように前記ディスク面から窪むポンチング部を有し、
前記キー延出部は、前記ポンチング部により、前記周方向における前記アクセス溝側面に近づく移動が拘束されている請求項1又は2に記載の蒸気タービンのロータ。
【請求項7】
前記アクセス溝は、前記周方向において前記第二側面を向くアクセス溝側面を有し、
前記ディスク部は、前記外周面から前記径方向の内側に凹んで前記軸方向に延び、前記周方向溝及び前記アクセス溝に連通する軸方向溝をさらに有し、
前記キーは、
前記周方向溝及び前記キー収容溝内に挿入されるキー主部と、
前記キー主部から前記軸方向に延び、前記軸方向溝内に配置されて、前記周方向における前記アクセス溝側面に近づく前記キー主部の移動を拘束するキーストッパ部と、を一体に有する請求項1又は2に記載の蒸気タービンのロータ。
【請求項8】
請求項1から7の何れか一項に記載の蒸気タービンのロータを備える蒸気タービン。
【請求項9】
請求項1から7の何れか一項に記載の蒸気タービンのロータにおける前記動翼の固定方法であって、
前記ディスク部に前記第二の動翼を取り付ける工程と、
前記周方向溝内に前記キーを挿入する工程と、
前記キーを前記周方向溝内で前記周方向に移動させ、前記キー収容溝内に挿入する工程と、
前記ディスク部に前記第一の動翼を取り付ける工程と、を含む
動翼の固定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蒸気タービンのロータ、蒸気タービン、及び動翼の固定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
蒸気タービンは、軸線を中心として回転するロータと、このロータを覆うケーシングとを備えている。ロータは、軸線を中心として軸方向に延びるロータ軸と、ロータ軸の外周に固定されて軸方向に並ぶ複数列の動翼列と、を有する。蒸気タービンは、ケーシングの内周に固定され、複数列の動翼列の各列の上流側に配置されている静翼列を有する。各列の動翼列は、動翼を、ロータディスクの周方向に複数備えている。動翼は、ロータディスクの外周面から放射状に突出している。
【0003】
ロータディスクの外周面に周方向に間隔をあけて形成された複数の翼溝に、動翼の翼根を挿入することで、動翼は、ロータディスクに固定されている。翼溝は、ロータディスクを軸方向に貫通している。動翼の翼根は、ロータディスクの翼溝に対し、軸方向に挿入することで、ロータディスクに取り付けられている。
【0004】
蒸気タービンの作動時、ケーシング内に送り込まれた蒸気が、ケーシング内を軸方向の第一側から第二側に向かって流れる。このため、動翼には、蒸気の流体圧により、軸方向の第一側から第二側に押圧するような力が作用する。この蒸気によって押圧される力によって、動翼が翼溝に対して軸方向にずれてしまうことを抑える必要がある。
【0005】
これに対し、例えば、特許文献1には、ロータディスクの翼溝に対し、動翼を軸方向に拘束するために、キー(固定部材)を用いた構造が記載されている。この特許文献1の構造では、動翼のプラットフォームを貫通して形成した第1切欠部を通じてロータディスクに形成した第2切欠部にキーが嵌挿されている。そして、キーの外周側の一部をプラットフォームにより覆って、動翼のスラスト力が支持可能なようにキーを塑性変形させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の構成では、キーを、第1切欠き部を通じて第2切欠き部に嵌挿した後、キーを塑性変形させなければならず、キーの取り付けに手間が掛かる。また、キーの塑性変形が不完全であると、キーの固定が十分に行えない可能性もある。
【0008】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであって、キーによる動翼の拘束を、容易かつ確実に行うことができる蒸気タービンのロータ、蒸気タービン、及び動翼の固定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本開示に係る蒸気タービンのロータは、軸線を中心とした円柱状に形成された軸芯部と、前記軸芯部に対して前記軸線を基準とする径方向の外側に広がるディスク部と、前記ディスク部にそれぞれ取り付けられた複数の動翼と、前記軸線が延びている軸方向への前記ディスク部に対する前記動翼の移動を規制するキーと、を有し、前記ディスク部は、外周面から前記径方向の内側に凹んで前記軸方向に延びるとともに前記軸線を中心とする周方向に間隔をあけて複数が形成された翼埋込溝、及び、前記外周面から前記径方向の内側に凹んで前記周方向に延びる周方向溝を有し、前記動翼は、前記翼埋込溝に埋め込まれた翼根と、前記ディスク部に対して前記径方向の外側に配置されて前記翼根に対して前記周方向の両側に張り出すプラットフォームと、前記プラットフォームから前記径方向の外側に延びる翼本体と、を有し、複数の前記動翼は、第一の動翼と、前記第一の動翼に対して前記周方向の一方側で隣り合う第二の動翼と、を含み、前記第一の動翼の前記プラットフォームは、前記周方向において、前記第二の動翼の前記プラットフォーム側を向く第一側面と、前記軸方向を向く第一端面と、前記第一側面及び第一端面が形成する角部において前記軸方向及び前記周方向に開口するように窪んで、前記周方向溝と連通するアクセス溝と、を有し、前記第二の動翼の前記プラットフォームは、前記周方向において、前記第一側面と対向する第二側面と、前記第二側面から前記周方向に窪んで、前記径方向において前記周方向溝と連通するとともに、前記周方向において前記アクセス溝と連通するキー収容溝と、を有し、前記キーは、前記周方向溝及び前記キー収容溝内に配置されている。
【0010】
本開示に係る蒸気タービンは、上記したような蒸気タービンのロータを備える。
【0011】
本開示に係る動翼の固定方法は、上記したような蒸気タービンのロータにおける前記動翼の固定方法であって、前記ディスク部に前記第二の動翼を取り付ける工程と、前記周方向溝内に前記キーを挿入する工程と、前記キーを前記周方向溝内で前記周方向に移動させ、前記キー収容溝内に挿入する工程と、前記ディスク部に前記第一の動翼を取り付ける工程と、を含む。
【発明の効果】
【0012】
本開示の蒸気タービンのロータ、蒸気タービン、及び動翼の固定方法によれば、キーによる動翼の拘束を、容易かつ確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本開示の実施形態における蒸気タービンの断面図である。
【
図2】本開示の第一実施形態における蒸気タービンの動翼の一部を軸方向の下流側から見た図である。
【
図3】本開示の第一実施形態に係る動翼の固定構造を模式的に示す周方向から見た断面図であり、
図2のI-I矢視断面図である。
【
図4】本開示の第一実施形態に係る動翼の固定構造を模式的に示す軸方向から見た断面図であり、
図3のII-II矢視断面図である。
【
図5】本開示の第一実施形態に係る動翼の固定構造を模式的に示す径方向から見た断面図であり、
図2のIII-III矢視断面図である。
【
図6】本開示の第一実施形態に係る動翼の固定方法の流れを示すフローチャートである。
【
図7】本開示の第一実施形態に係る動翼の固定方法において、キーを周方向溝内に挿入する工程を示す図である。
【
図8】本開示の第一実施形態に係る動翼の固定方法において、キーをキー収容溝内に挿入する工程を示す図である。
【
図9】本開示の第一実施形態に係る動翼の固定方法において、第一の動翼を取り付ける工程及び拘束部材を配置する工程を示す図である。
【
図10】本開示の第一実施形態の変形例に係る動翼の固定構造を模式的に示す図である。
【
図11】本開示の第二実施形態に係る動翼の固定構造を模式的に示す軸方向から見た断面図である。
【
図12】本開示の第二実施形態に係る動翼の固定構造を模式的に示す径方向から見た断面図である。
【
図13】本開示の第二実施形態に係る動翼の固定構造のキーの構成を示す斜視図である。
【
図14】本開示の第二実施形態に係る動翼の固定方法の流れを示すフローチャートである。
【
図15】本開示の第二実施形態に係る動翼の固定方法において、キーを周方向溝内に挿入する工程及びキーをキー収容溝内に挿入する工程を示す図である。
【
図16】本開示の第三実施形態に係る動翼の固定構造を模式的に示す軸方向から見た断面図である。
【
図17】本開示の第三実施形態に係る動翼の固定構造を模式的に示す径方向から見た断面図である。
【
図18】本開示の第三実施形態に係る動翼の固定構造のキーの構成を示す斜視図である。
【
図19】本開示の第三実施形態に係る動翼の固定方法の流れを示すフローチャートである。
【
図20】本開示の第三実施形態に係る動翼の固定方法において、キーを周方向溝内に挿入する工程を示す径方向から見た断面図である。
【
図21】本開示の第三実施形態に係る動翼の固定方法において、キーを周方向溝内に挿入する工程を示す軸方向から見た断面図である。
【
図22】本開示の第三実施形態に係る動翼の固定方法において、キーをキー収容溝内に挿入する工程を示す軸方向から見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本開示による蒸気タービンのロータ、蒸気タービン、及び動翼の固定方法を実施するための形態を説明する。しかし、本開示はこれらの実施形態のみに限定されるものではない。
【0015】
<第一実施形態>
(蒸気タービンの全体構成)
図1に示すように、本実施形態の蒸気タービン1は、軸線Arを中心として回転するロータ20と、ロータ20を回転可能に覆うケーシング10と、を備えている。
【0016】
なお、以下の説明の都合上、軸線Arが延びている方向を軸方向Daとする。また、軸方向Daの第一側を上流側Dau、軸方向Daの第二側を下流側Dadとする。また、軸線Arを基準としたロータ20における径方向を単に径方向Drとする。また、この径方向Drで軸線Arに近づく側を径方向Drの内側Dri、この径方向Drで径方向Drの内側Driとは反対側を径方向Drの外側Droとする。また、軸線Arを中心としたロータ20の周方向を単に周方向Dcとする。
【0017】
ロータ20は、ロータ軸21と、動翼列31と、キー50A(
図2参照)と、拘束部材60(
図2参照)とを有している。ロータ軸21は、軸線Arを中心として軸方向Daに延びている。ロータ軸21は、軸芯部22と、複数のディスク部23と、を有する。軸芯部22は、軸方向Daに延びる円柱状に形成されている。複数のディスク部23は、軸芯部22から径方向Drの外側Droに広がっている。複数のディスク部23は、軸方向Daに互いに間隔をあけて配置されている。ディスク部23は、複数の動翼列31毎に対応するように配置されている。
【0018】
ケーシング10には、外部から蒸気Sが流入するノズル室11と、ノズル室11からの蒸気Sが流れる主流路室12と、主流路室12から流れた蒸気Sを排出する排気室13と、が形成されている。ノズル室11と主流路室12と排気室13とによって、ケーシング10内には、高圧の蒸気Sが流通する蒸気主流路15が構成されている。
【0019】
高圧の蒸気Sは、蒸気主流路15を上流側Dauから下流側Dadに向かって、ノズル室11、主流路室12、及び排気室13の順に、徐々に圧力が低下しながら流れている。つまり、本実施形態における蒸気Sの流通方向は、軸方向Daにおける上流側Dauから下流側Dadに向かう方向である。蒸気主流路15は、ロータ軸21の周りで環状に形成されている。蒸気主流路15は、複数の動翼列31及び静翼列41に跨がって軸方向Daに延びている。
【0020】
図1及び
図2に示すように、動翼列31は、ロータ軸21の外周部分であるディスク部23の外周に取り付けられている。動翼列31は、ロータ軸21の軸方向Daに間隔をあけて複数列が配置されている。本実施形態の場合、動翼列31の数は、7つ設けられている。よって、本実施形態の場合、第1段から第7段までの動翼列31が設けられている。
【0021】
各動翼列31は、周方向Dcに並ぶ複数の動翼32を有している。複数の動翼32は、それぞれ、ディスク部23に取り付けられている。各動翼32は、翼根36(
図2参照)と、プラットフォーム35と、シュラウド34と、翼本体33とを有する。
【0022】
図2に示すように、翼根36は、ディスク部23に形成された後述の翼埋込溝28に埋め込まれている。翼根36は、後述するプラットフォーム35のプラットフォーム内周面35fから径方向Drの内側Driに延びるよう形成されている。翼根36は、周方向Dcの両側に向かってそれぞれ突出する係合凸部36tを有する。係合凸部36tは、径方向Drに間隔を空けた複数箇所に設けられている。複数の係合凸部36tは、周方向Dcへの突出寸法が、径方向Drの内側Driに向かうにしたがって漸次小さくなるよう形成されている。これにより、翼根36は、いわゆるクリスマスツリー状をなしている。
【0023】
ディスク部23には、翼根36が埋め込まれる翼埋込溝28が形成されている。翼埋込溝28は、周方向Dcに間隔をあけて複数が形成されている。翼埋込溝28は、ディスク部23の外周面から径方向Drの内側Driに窪んでいる。翼埋込溝28は、軸方向Daに延びて、軸方向Daにディスク部23を貫通して形成されている。翼埋込溝28は、翼根36の外周形状を対応するように形成されている。翼埋込溝28は、係合凸部36tが係合される係合凹部28aを有している。係合凹部28aは、翼埋込溝28において、径方向Drに間隔を空けた複数箇所に、周方向Dcの両側に向かって窪んで形成されている。また、ディスク部23は、径方向Drの外側Droを向く外周面23fと、軸方向Daの下流側Dadを向くディスク面23dとを有している。ディスク面23dは、外周面23fに対して直交する面である。外周面23fは、ディスク部23において、径方向Drの最も外側Droに位置する面である。
【0024】
プラットフォーム35は、ディスク部23に対して径方向Drの外側Droに配置されている。プラットフォーム35は、周方向Dcに延びている。プラットフォーム35は、翼根36に対して周方向Dcの両側に張り出している。プラットフォーム35は、径方向Drの外側Droから見て、周方向Dcに比べて軸方向Daに長い矩形状をなしている(
図5参照)。複数の動翼32のプラットフォーム35は、周方向Dcに並ぶことで全体として軸線Arを中心とする円筒状を形成している。プラットフォーム35は、径方向Drの内側Driを向くプラットフォーム内周面35fと、径方向Drの外側Droを向くプラットフォーム外周面35gを有している。さらに、プラットフォーム35は、周方向Dcを向く第一側面35sと、周方向Dcにおいて第一側面35sと反対側を向く第二側面35tとを有している。さらに、プラットフォーム35は、軸方向Daの下流側Dadを向く第一端面35dを有している。
【0025】
翼本体33は、プラットフォーム外周面35gから径方向Drの外側Droに延びている。つまり、径方向Drにおいて、翼本体33は、プラットフォーム35を挟んで翼根36と反対側に配置されている。翼本体33は、シュラウド34と一体に形成されている。翼本体33は、蒸気主流路15内に配置されている。翼本体33は、径方向Drの外側から見た際に、翼型断面を有している。
【0026】
シュラウド34は、翼本体33に対して径方向Drの外側Droの端部に接続されている。つまり、径方向Drにおいて、シュラウド34は、翼本体33を挟んでプラットフォーム35と反対側に配置されている。シュラウド34は、周方向Dcに延びている。複数の動翼32のシュラウド34は、周方向Dcに並ぶことで全体として円筒状をなしている。
【0027】
周方向Dcにおいて互いに隣り合う翼本体33同士と、径方向Drにおいて対向するシュラウド34及びプラットフォーム35とによって囲まれた空間は、蒸気Sが流れる翼間流路15wとされている。ケーシング10内には、周方向Dcに動翼32が複数配置されることで、このような翼間流路15wが周方向Dcに複数形成されている。周方向Dcに複数並ぶ翼間流路15wは、蒸気Sが流れる蒸気主流路15の一部を形成している。
【0028】
図1に示すように、蒸気タービン1は、ケーシング10の内周面に固定され、軸方向Daに間隔を空けて配置された複数の静翼列41を備えている。本実施形態の場合、静翼列41の数は、動翼列31の数と同じ7つ設けられている。よって、本実施形態の場合、第1段から第7段のまでの静翼列41が設けられている。複数の静翼列41は、それぞれの動翼列31に対して上流側Dauに隣接して配置されている。
【0029】
静翼列41は、複数の静翼42と、外側リング43と、内側リング46と、を有する。複数の静翼42は、周方向Dcに間隔をあけて配置されている。外側リング43は、環状に形成され、複数の静翼42に対して径方向Drの外側Droに配置されている。内側リング46は、環状に形成され、複数の静翼42に対して径方向Drの内側Driに配置されている。すなわち、複数の静翼42は、外側リング43と内側リング46との間に配置されている。静翼42は、外側リング43と内側リング46とに固定されている。外側リング43と内側リング46との間の環状の空間は、蒸気Sが流れる蒸気主流路15の一部を形成している。
【0030】
このような蒸気タービン1では、ノズル室11を介してケーシング10の上流側Dauから蒸気Sが送り込まれる。この蒸気Sは、主流路室12を通り、下流側Dadの排気室13へと流れる。これにより、ロータ軸21が軸線Ar回りに回転し、ディスク部23とともに、各動翼32が軸線Arを中心として回転する。このとき、各動翼32においては、周方向Dcで互いに隣り合う翼本体33同士の間の翼間流路15wに蒸気Sが流れる。
【0031】
(動翼の固定構造)
図2~
図5に示すように、蒸気タービン1において、各動翼32は、キー50Aにより、ディスク部23に対する軸方向Daへの移動が規制されている。キー50Aは、ディスク部23に形成された周方向溝25及びプラットフォーム35に形成されたキー収容溝355の内部に配置されている。
【0032】
図3に示すように、周方向溝25は、ディスク部23の外周面23fにおいて、軸方向Daの中間部よりも下流側Dadに形成されている。周方向溝25は、キー50Aが挿入可能な大きさで形成されている。周方向溝25は、ディスク部23の外周面23fから径方向Drの内側Driに凹んで形成されている。周方向溝25は、ディスク面23dと繋がらないように、軸方向Daにおいてディスク面23dに対して上流側Dauにずれた位置に形成されている。
図4及び
図5に示すように、周方向溝25は、周方向Dcに延びている。本実施形態において、周方向溝25は、周方向Dcで隣り合う翼埋込溝28同士を繋ぐように、翼埋込溝28同士の間に形成されている。つまり、周方向溝25は、周方向Dcで隣り合う動翼32のプラットフォーム35と重なるように形成されている。なお、周方向溝25は、周方向Dcにおいて、キー50Aが挿入される部分のみに形成されていてもよい。
【0033】
キー収容溝355は、プラットフォーム35において、周方向Dcの他方側Dc2の端部に形成されている。キー収容溝355は、キー50Aが挿入可能な大きさで形成されている。キー収容溝355は、翼根36を翼埋込溝28に埋め込んだ状態で、軸方向Da及び周方向Dcにおいて周方向溝25と重なる位置に形成されている。キー収容溝355は、プラットフォーム35において、周方向Dcの他方側Dc2を向く第二側面35tから周方向Dcの一方側Dc1に窪んで形成されている。キー収容溝355は、プラットフォーム内周面35fから径方向Drの外側Droに窪んでいる。キー収容溝355は、軸方向Daにおいて、第一端面35dに対して離れた位置に形成されている。つまり、キー収容溝355は、第二側面35t及びプラットフォーム内周面35fのみで開口するように形成されている。キー収容溝355は、径方向Drにおいて周方向溝25と連通している。キー収容溝355は、周方向Dcにおいて後述するアクセス溝357と連通している。
【0034】
プラットフォーム35は、アクセス溝357を有している。アクセス溝357は、周方向Dcから見た際に、キー収容溝355と重なる位置に形成されている。アクセス溝357は、キー50Aが挿入可能な大きさで形成されている。アクセス溝357は、プラットフォーム35の周方向Dcの一方側Dc1の端部に形成されている。アクセス溝357は、プラットフォーム35において、周方向Dcの一方側Dc1を向く第一側面35sから周方向Dcの他方側Dc2に窪んで形成されている。アクセス溝357は、プラットフォーム35において、軸方向Daの下流側Dadを向く第一端面35dから軸方向Daの上流側Dauに窪んでいる。つまり、アクセス溝357は、第一側面35sと第一端面35dとが形成する角部35cにおいて、軸方向Daの下流側Dad及び周方向Dcの一方側Dc1に開口するように形成されている。アクセス溝357の周方向Dcにおける深さ(長さ)がキー収容溝355及びキー50Aよりも深く形成されている。アクセス溝357は、周方向Dcから見た際に、キー収容溝355と重なる位置に形成されている。アクセス溝357は、径方向Drで周方向溝25と連通している。本実施形態のアクセス溝357は、周方向Dcにおいて一方側Dc1を向くアクセス溝側面357sと、軸方向Daにおいて下流側Dadを向くアクセス溝端面357dとを有している。
【0035】
複数の動翼32において、周方向Dcで隣り合う一対の動翼32のうちの一つを第一の動翼32Aと称し、第一の動翼32Aに対して周方向Dcの一方側Dc1に配置される動翼32を第二の動翼32Bと称する。第一の動翼32Aの第一側面35sと、第二の動翼32Bの第二側面35tとが、周方向Dcで対向する。したがって、第一の動翼32Aのプラットフォーム35に形成されたアクセス溝357と、第二の動翼32Bのプラットフォーム35に形成されたキー収容溝355とが、周方向Dcで連通している。周方向溝25は、径方向Drから見た場合、第二の動翼32Bのプラットフォーム35と重なる位置から、第一の動翼32Aのプラットフォーム35と重なる位置に跨がるように形成されている。そのため、周方向溝25は、第一の動翼32Aのアクセス溝357及び第二の動翼32Bのキー収容溝355に連通している。
【0036】
キー50Aは、ディスク部23に対する軸方向Daへの動翼32(第二の動翼32B)の移動を拘束している。キー50Aは、キー収容溝355及び周方向溝25内に挿入されている。本実施形態のキー50Aは、例えば、直方体のブロック状をなしている。キー50Aは、周方向溝25内を周方向Dcに移動可能な形状とされている。キー50Aは、周方向溝25内を周方向Dcに移動することで、キー収容溝355と、アクセス溝357との間を移動可能とされている。キー50Aは、周方向溝25及びキー収容溝355に対して摺接するように、軸方向Daの長さが周方向溝25及びキー収容溝355と同じとされている。
図3及び
図4に示すように、キー50Aにおける径方向Drの内側Driの領域が、周方向溝25内に収容されている。キー50Aにおける径方向Drの外側Droの領域が、キー収容溝355に挿入されている。
【0037】
図4に示すように、キー50Aの一部である、周方向Dcの他方側Dc2の端部51eを含む領域は、キー50Aが周方向溝25及びキー収容溝355に収容された状態で、プラットフォーム35の第二側面35tから、周方向Dcの他方側Dc2に突出している。
図5に示すように、キー50Aが周方向溝25及びキー収容溝355に収容された状態でも、端部51eを含む領域は、アクセス溝端面357dに接触している。また、キー50Aは、周方向溝25及びアクセス溝357に収容された状態では、キー収容溝355内に突出しない大きさで形成されている。
【0038】
第一実施形態のアクセス溝357内には、拘束部材60が配置されている。拘束部材60は、周方向Dcにおいてアクセス溝側面357sに近づくキー50Aの移動を拘束する。拘束部材60は、周方向Dcにおいて、周方向溝25及びキー収容溝355に収容されたキー50Aとアクセス溝側面357sとの間に配置されている。つまり、拘束部材60は、周方向溝25及びキー収容溝355に収容されたキー50Aのアクセス溝側面357sへ近づくような移動を規制している。
【0039】
本実施形態の拘束部材60は、キー50Aよりも大きな直方体のブロック状に形成されている。拘束部材60は、アクセス溝357内を軸方向Daに移動可能な形状とされている。拘束部材60は、アクセス溝357内を軸方向Daに移動することで、キー50Aがキー収容溝355に収容された状態で、アクセス溝357内に挿入可能とされている。拘束部材60の軸方向Daの下流側Dadの端部60dが、ディスク面23dから突出しないように、拘束部材60は形成されている。本実施形態では、拘束部材60の端部60dは、ディスク面23dと軸方向Daで同一の位置に配置されている。
【0040】
また、
図2に示すように、拘束部材60は、ディスク面23dに形成されたポンチング部100Pにより、アクセス溝357内に収容された状態での軸方向Daへの移動が拘束されている。ポンチング部100Pは、ディスク面23dに対してポンチング加工が施されることで塑性変形した領域である。ポンチング部100Pは、軸方向Daから見た際に、アクセス溝357に面する外周面23fを変形させるようにディスク面23dから窪んでいる。ポンチング部100Pは、軸方向Daから見た際に、周方向溝25と重なる位置に形成されている。ポンチング部100Pは、軸方向Daから見た際に、アクセス溝357に対して径方向Drの内側Driに形成されている。
【0041】
なお、このポンチング部100Pは、拘束部材60の軸方向Da及び周方向Dcへの移動を拘束するものであり、ケーシング10内を流れる蒸気の流れSの圧力が作用する動翼32の軸方向Daへの移動を拘束するものではない。したがって、ポンチング部100Pに大きな圧力が作用することはなく、ポンチング部100Pが剥がれてしまうことが抑えられている。また、ポンチング部100Pは、拘束部材60の周方向Dcへの移動を拘束することが可能な位置に形成されていれば、拘束部材60の軸方向Daへの移動を拘束できていなくてもよい。
【0042】
このように、キー50Aが、周方向溝25及びキー収容溝355内に配置されることで、第二の動翼32Bが、ディスク部23に対して軸方向Daに移動することが拘束されている。さらに、拘束部材60を、キー50Aとアクセス溝側面357sとの間に挿入することで、周方向溝25及びキー収容溝355内に配置されたキー50Aが、周方向Dcの他方側Dc2に移動できなくなる。その結果、キー50Aが周方向溝25及びキー収容溝355から抜け出ることが抑えられている。
【0043】
(動翼の固定方法の手順)
次に、上記したような動翼32を、キー50Aによってディスク部23に固定する動翼の固定方法S10について説明する。
図6に示すように、第一実施形態に係る動翼32の固定方法S10は、第二の動翼32Bを取り付ける工程S11と、キー50Aを周方向溝25内に挿入する工程S12と、キー50Aをキー収容溝355内に挿入する工程S13と、第一の動翼32Aを取り付ける工程S14と、拘束部材60を配置する工程S15と、拘束部材60を固定する工程S16と、を含む。
【0044】
第二の動翼32Bを取り付ける工程S11では、第二の動翼32Bとして、一つの動翼32を、ディスク部23に取り付ける。具体的には、
図2に示すように、翼根36を、ディスク部23の翼埋込溝28に埋め込む。翼根36は、例えば、軸方向Daの上流側Dauから軸方向Daの下流側Dadに移動させることで、翼埋込溝28に挿入する。
図7に示すように、第二の動翼32Bは、第一端面35dがディスク面23dと軸方向Daにおいて同じ位置になるまで移動させる。
【0045】
キー50Aを周方向溝25内に挿入する工程S12では、キー50Aを、周方向溝25内に挿入する。本実施形態の工程S12では、第二の動翼32Bが取り付けられたディスク部23に一つのキー50Aを取り付ける。キー50Aは、径方向Drから見た際に、第二の動翼32Bが配置されている位置に対して周方向Dcにずれた位置で周方向溝25内に挿入される。具体的には、キー50Aは、第二の動翼32Bと重ならないように、第二の動翼32Bの第二側面35tに対して、周方向Dcの他方側Dc2に離れた位置(本実施形態では、後で第一の動翼32Aが配置される位置)で周方向溝25内に配置される。キー50Aは、径方向Drの外側Droから内側Driに向かって移動させることで、キー50Aにおける径方向Drの内側Driの領域が周方向溝25内に配置される。
【0046】
キー50Aをキー収容溝355内に挿入する工程S13では、
図8に示すように、キー50Aは、周方向溝25内で周方向Dcに移動され、キー収容溝355内に挿入される。具体的には、キー50Aは、周方向溝25内で周方向Dcの一方側Dc1に移動される。これにより、キー50Aは、第二の動翼32Bが配置されている位置に対して周方向Dcにずれた位置から、第二の動翼32Bの第二側面35tで開口するキー収容溝355内に挿入される。つまり、キー50Aは、径方向Drから見た際に、第二の動翼32Bが配置されている位置と重なるように移動される。キー50Aがキー収容溝355内に挿入されることで、キー50Aは、第二の動翼32Bと重なる位置で、キー収容溝355及び周方向溝25内に挿入される。また、キー50Aがキー収容溝355内に収容された状態では、キー50Aの端部51eは、第二側面35tから、周方向Dcの他方側Dc2に突出した位置に配置されている。この状態では、キー50Aにおける径方向Drの内側Driの領域は周方向溝25内に収容され、キー50Aにおける径方向Drの外側Droの領域はキー収容溝355に挿入されている。これにより、第二の動翼32Bは、キー50Aにより、ディスク部23に対する軸方向Daへの移動が拘束される。
【0047】
第一の動翼32Aを取り付ける工程S14では、
図9に示すように、第一の動翼32Aとして、一つの動翼32を、ディスク部23に取り付ける。具体的には、第二の動翼32Bに対して周方向Dcの他方側Dc2で隣り合う位置に、第一の動翼32Aが取り付けられる。その際、工程S11と同様、翼根36を、翼埋込溝28に埋め込む。翼根36が翼埋込溝28に埋め込まれる際には、第二の動翼32Bの第二側面35tから、キー50Aの端部51eが周方向Dcの他方側Dc2に突出している。このため、第一の動翼32Aの翼根36を、軸方向Daの下流側Dadに向けて移動させていくと、第一の動翼32Aのアクセス溝357のアクセス溝端面357dが、端部51eに突き当たる。これにより、第一の動翼32Aを取り付ける過程で、第一の動翼32Aの軸方向Daの下流側Dadへの移動が拘束される。
【0048】
拘束部材60を配置する工程S15は、ディスク部23に対して第一の動翼32A及び第二の動翼32Bが取り付けられて、キー50Aがキー収容溝355内に挿入された後に、実施される。拘束部材60を配置する工程S15では、第一の動翼32Aのアクセス溝357内に、拘束部材60が配置される。具体的には、拘束部材60は、軸方向Daの下流側Dadからアクセス溝357内に挿入される。拘束部材60は、アクセス溝端面357dに接触する位置まで挿入される。その結果、拘束部材60は、キー50Aとアクセス溝側面357sとの間に挿入される。これにより、周方向Dcにおいてアクセス溝側面357sに近づくキー50Aの移動が拘束される。
【0049】
拘束部材60を固定する工程S16では、アクセス溝357内に配置された拘束部材60を固定する。本実施形態では、アクセス溝357内に配置された拘束部材60の軸方向Da及び周方向Dcの移動を拘束して、拘束部材60の位置を固定する。具体的には、
図2に示すように、ディスク面23dにポンチング加工を施すことでポンチング部100Pを形成する。ポンチング部100Pは、軸方向Daから見た際に、アクセス溝357に面する外周面23fを変形させるようにディスク面23dから窪んでいる。ポンチング部100Pにより、アクセス溝357に面する外周面23fは、軸方向Daから見た際に、径方向Drの外側Droにわずかに飛び出すように塑性変形する。その結果、ポンチング部100Pの飛び出した部分が拘束部材60に突き当たる。これにより、軸方向Daへの拘束部材60の移動が拘束されている。このようにして、第一の動翼32A及び第二の動翼32Bのディスク部23へ取り付けが完了する。
【0050】
この後は、第一の動翼32Aとしてディスク部23に取り付けた動翼32を、新たな第二の動翼32Bとして取り扱い、上述したキー50Aを周方向溝25内に挿入する工程S12以降を実施する。工程S12では、新たな第二の動翼32Bの第二側面35tに対して、新たなキー50Aが周方向溝25内に挿入される。その後は、上記と同様、工程S13~工程S16が順次実行される。このように、第二の動翼32Bに対し、周方向Dcに隣り合う第一の動翼32Aを順次取り付けていくことで、一つの動翼列31の全ての動翼32がディスク部23に取り付けられる。これを他の動翼列31の位置でも実施することで蒸気タービン1のロータ20が製造される。
【0051】
(作用効果)
上記構成の蒸気タービン1のロータ20、蒸気タービン1、及び動翼32の固定方法S10では、動翼32(第二の動翼32B)は、周方向溝25及びキー収容溝355内に配置されたキー50Aによってディスク部23に対して軸方向Daに移動不能な状態で固定される。このキー50Aは、翼埋込溝28に翼根36が挿入された第二の動翼32Bに対して、周方向溝25内で周方向Dcの一方側Dc1に移動されることで、キー収容溝355内にも挿入される。これにより、キー50Aが、第二の動翼32Bに対してずれた位置から周方向溝25及び第二の動翼32Bのキー収容溝355内に配置される。その結果、第二の動翼32Bは、周方向溝25に収容されたキー50Aに対して軸方向Daに移動できなくなる。したがって、キー50Aを周方向溝25内で移動させて周方向溝25及びキー収容溝355内に配置するだけで、第二の動翼32Bは、ディスク部23に対して移動不能な状態で確実に固定することができる。このようにして、キー50Aによる動翼32の拘束を、容易かつ確実に行うことができる。
【0052】
また、周方向溝25は、第二の動翼32Bのプラットフォーム35と重なる位置から、第一の動翼32Aのプラットフォーム35と重なる位置に跨がるように周方向Dcに延びている。これにより、翼埋込溝28に、第二の動翼32Bの翼根36を埋め込んだ後であっても、第二の動翼32Bに対して周方向Dcにずれた第一の動翼32Aが配置される位置で周方向溝25にキー50Aを挿入できる。その後、キー50Aを周方向溝25内で周方向Dcの一方側Dc1に移動させるだけで、第二の動翼32Bに干渉することなく、第二の動翼32Bのキー収容溝355内に挿入することができる。したがって、第二の動翼32B及びキー50Aを取り付ける順番に関わらず、キー50Aによって第二の動翼32Bをディスク部23に固定することができる。
【0053】
また、周方向Dcにおいてアクセス溝側面357sに近づくキー50Aの移動を拘束する拘束部材60が、アクセス溝357内に配置されている。これにより、拘束部材60を、キー50Aとアクセス溝側面357sとの間に挿入することで、周方向溝25及びキー収容溝355内に配置されたキー50Aが、周方向Dcの他方側Dc2に移動することが拘束される。したがって、キー50Aが、周方向溝25及びキー収容溝355内から抜け出ることを抑えることができる。これにより、周方向溝25からキー50Aが外れてしまうことを抑えて、第二の動翼32Bの軸方向Daへの移動を拘束した状態を安定して維持できる。また、拘束部材60は、アクセス溝357内でキー50Aとアクセス溝側面357sとの間に配置される。そのため、ディスク部23に複数の動翼32(第一の動翼32A及び第二の動翼32B)及びキー50Aが取り付けられた状態であっても、アクセス溝357を介して拘束部材60にアクセスすることができる。つまり、ディスク部23に第一の動翼32A及び第二の動翼32Bが固定されていても、拘束部材60を取り付けたり、取り外したりすることができる。したがって、アクセス溝357から拘束部材60を着脱することで、キー50Aによる第二の動翼32Bの固定を容易に解除することができる。
【0054】
また、ポンチング部100Pによって外周面23fが変形して周方向溝25の形状が変わることで、拘束部材60の軸方向Da及び周方向Dcへの移動が拘束される。これによって、蒸気タービン1の運転中の振動等によって、拘束部材60がアクセス溝357から自然に脱落してしまうことが抑えられる。したがって、キー50Aによる第二の動翼32Bの軸方向Daへの移動を拘束した状態をより安定して維持できる。
【0055】
また、第二の動翼32Bに対して、キー50Aの端部51eが周方向Dcの他方側Dc2に突出している。このため、第一の動翼32Aの翼根36を、軸方向Daの下流側Dadに向けて移動させていくと、第一の動翼32Aのアクセス溝端面357dが、端部51eに突き当たる。これにより、第一の動翼32Aを取り付ける過程で、第一の動翼32Aの軸方向Daの下流側Dadへの移動が拘束される。そのため、第一の動翼32Aを取り付ける際に、ディスク部23に対して軸方向Daの下流側Dadに行き過ぎてしまうことを抑えることができる。したがって、第一の動翼32Aのディスク部23に対する軸方向Daの位置決めを容易に高い精度で行うことができる。
【0056】
また、キー50Aを用いて動翼32をディスク部23に固定することで、蒸気タービン1の組立時、ロータ20のメンテナンス時等に、キー50Aによる動翼32の拘束を、容易かつ確実に行うことが可能となる。また、動翼32をディスク部23から取り外すことも、キー50Aを移動させるだけで容易にできる。
【0057】
(第一実施形態の変形例)
なお、拘束部材60の構造は、上記第一実施形態の構造に限定されるものではない。拘束部材60は、キー50Aの移動を拘束できる構造であればよい。拘束部材60の変形例として、例えば以下のような構成とすることも可能である。
【0058】
図10に示すように、拘束部材60Bは、上記第一実施形態における拘束部材60と同様に、キー50Aとアクセス溝側面357sとの間に挿入される。拘束部材60Bは、径方向Drから見た際に、アクセス溝357内で、キー50Aよりも軸方向Daの下流側Dadに突出している。拘束部材60Bは、挿入部601と、突起部(回転規制部)602とを有している。挿入部601は、軸方向Daにおいてキー50Aとアクセス溝側面357sとの間に配置される。突起部602は、アクセス溝357内での径方向Drから見た際の挿入部601の回転を規制する。具体的には、突起部602は、挿入部601に対して軸方向Daにおいて第一端面35dに近い位置に配置されている。突起部602は、挿入部601と一体に形成されている。突起部602は、径方向Drから見た際に、キー50Aに対して軸方向Daの下流側Dadにずれた位置で、周方向Dcの一方側Dc1に突出している。突起部602は、周方向Dcにおいて、キー50Aが配置されていると重なるように突出している。突起部602は、アクセス溝357内で、キー50Aのキー端面505と対向する位置に配置されている。キー端面505は、キー50Aにおいて軸方向Daの下流側Dadを向く平面である。
【0059】
変形例の拘束部材60Bでは、突起部602がキー端面505に突き当たる。そのため、拘束部材60Bは、アクセス溝357内で径方向Drから見た際に、径方向Drに延びる仮想軸を中心として回転してしまうことが抑えられる。これにより、挿入部601によるキー50Aを周方向Dcの他方側Dc2に移動することを拘束した状態をより安定して維持することができる。
【0060】
<第二実施形態>
次に、本開示に係る蒸気タービンのロータ、蒸気タービン、及び動翼の固定方法の第二実施形態について説明する。なお、以下に説明する第二実施形態においては、上記第一実施形態と共通する構成については図中に同符号を付してその説明を省略する。第二実施形態では、拘束部材60を備えていない点及びキー50Bを用いる点で第一実施形態と異なっている。
【0061】
図11及び
図12に示すように、本実施形態の蒸気タービン1のロータ20Bにおいて、各動翼32は、キー50Bにより、ディスク部23に対する軸方向Daへの移動が拘束されている。キー50Bは、周方向溝25及びキー収容溝355の内部に配置されている。
図11~
図13に示すように、第二実施形態のキー50Bは、キー本体部53と、キー延出部54と、を一体に有している。
【0062】
キー本体部53は、キー収容溝355、周方向溝25、及びアクセス溝357内に挿入されている。キー本体部53は、例えば、直方体のブロック状に形成されている。キー本体部53は、周方向溝25内を周方向Dcに移動可能な形状とされている。キー本体部53は、周方向溝25内を周方向Dcに移動することで、キー収容溝355と、アクセス溝357との間を移動可能とされている。キー本体部53は、周方向溝25及びキー収容溝355に対して摺接するように、軸方向Daの長さが周方向溝25及びキー収容溝355と同じとされている。キー本体部53の一部である、周方向Dcの他方側Dc2の端部53eを含む領域は、キー本体部53が周方向溝25及びキー収容溝355に収容された状態で、第二側面35tから、周方向Dcの他方側Dc2に突出している。キー本体部53が周方向溝25及びキー収容溝355に収容された状態でも、端部53eを含む一部の領域は、アクセス溝357内に配置されている。
【0063】
キー延出部54は、キー本体部53の端部53eから軸方向Daの下流側Dadに延びている。キー延出部54は、キー本体部53が周方向溝25及びキー収容溝355に収容された状態で、軸方向Daから見た際に、周方向溝25に対して径方向Drの外側Droの位置に配置されている。キー延出部54は、軸方向Daから見た際に、アクセス溝357内に配置されている。キー延出部54は、その軸方向Daの下流側Dadの端部54dが、ディスク面23dと、軸方向Daで同一の位置まで延びている。キー延出部54の端部54dに対して径方向Drの内側Driにおいて、ディスク面23dにはポンチング部100Qが形成されている。ポンチング部100Qを形成することで、ディスク面23dにおいて端部54dの径方向Drの内側Driの部分が塑性変形し、キー延出部54の軸方向Da及び周方向Dcへの移動が拘束されている。
【0064】
なお、第二実施形態のポンチング部100Qは、キー50Bの周方向Dcへの移動を拘束することが可能な位置に形成されていれば、キー50Bの軸方向Daへの移動を拘束できていなくてもよい。
【0065】
(動翼の固定方法の手順)
次に、上記したような動翼32を、キー50Bによってディスク部23に固定する第二実施形態の動翼の固定方法S20について説明する。第二実施形態に係る動翼32の固定方法S20は、第一実施形態に係る動翼32の固定方法S10と異なり、拘束部材60を配置する工程S15と、拘束部材60を固定する工程S16と、を有しておらず、キー50Bを固定する工程S24を有している。具体的には、
図14に示すように、第二実施形態に係る動翼32の固定方法S20は、第二の動翼32Bを取り付ける工程S11と、キー50Bを周方向溝25内に挿入する工程S22と、キー50Bをキー収容溝355内に挿入する工程S23と、キー50Bを固定する工程S24と、第一の動翼32Aを取り付ける工程S15と、を含む。
【0066】
第二の動翼32Bを取り付ける工程S11は、第一実施形態と同様に実施される。その後、キー50Bを周方向溝25内に挿入する工程S22では、
図15に示すように、キー50Bのキー本体部53を、周方向溝25内に挿入する。本実施形態の工程S22では、第二の動翼32Bが取り付けられたディスク部23に一つのキー50Bを取り付ける。キー本体部53は、径方向Drから見た際に、第二の動翼32Bが配置されている位置に対して周方向Dcにずれた位置で周方向溝25内に挿入される。キー本体部53は、径方向Drの外側Droから内側Driに向かって移動させることで、キー本体部53における径方向Drの内側Driの領域が周方向溝25内に配置される。
【0067】
キー50Bをキー収容溝355内に挿入する工程S23では、キー50Bは、周方向溝25内で周方向Dcに移動され、キー本体部53がキー収容溝355内に挿入される。キー本体部53は、第二の動翼32Bが配置されている位置に対して周方向Dcにずれた位置から、第二の動翼32Bの第二側面35tで開口するキー収容溝355内に挿入される。また、
図12に示すように、キー本体部53がキー収容溝355内に収容された状態では、キー本体部53の端部53eは、第二側面35tから、周方向Dcの他方側Dc2に突出した位置に配置されている。さらに、端部53eから延びるキー延出部54は、アクセス溝357内に配置されている。この状態では、キー本体部53における径方向Drの内側Driの領域は周方向溝25内に収容され、キー本体部53における径方向Drの外側Droの領域はキー収容溝355に挿入されている。これにより、第二の動翼32Bは、キー本体部53により、ディスク部23に対する軸方向Daへの移動が拘束される。
【0068】
その後、第一の動翼32Aを取り付ける工程S14が、第一実施形態と同様に実施される。第一の動翼32Aの翼根36を、軸方向Daの下流側Dadに向けて移動させていくと、第一の動翼32Aのアクセス溝357のアクセス溝端面357dが、端部53eに突き当たる。これにより、第一の動翼32Aを取り付ける過程で、第一の動翼32Aの軸方向Daの下流側Dadへの移動が拘束される。また、キー本体部53がキー収容溝355内に収容された状態で、キー延出部54は、アクセス溝357内でキー本体部53の端部53eから軸方向Daの下流側Dadに延びている。
【0069】
キー50Bを固定する工程S25では、キー収容溝355にキー本体部53が収容された移動後のキー50Bが固定される。本実施形態では、アクセス溝357内に配置されたキー延出部54の軸方向Da及び周方向Dcの移動を拘束して、キー50Bの位置を固定する。具体的には、ディスク面23dにおいて、キー延出部54の径方向Drの内側Driの部分にポンチング加工を施す。これにより、ポンチング部100Qが形成される。ポンチング部100Qは、軸方向Daから見た際に、アクセス溝357に面する外周面23fを変形させるようにディスク面23dから窪んでいる。ポンチング部100Qにより、キー延出部54に近い外周面23fが径方向Drの外側Droに膨出するように塑性変形する。その結果、ポンチング部100Pの飛び出した部分がキー延出部54に突き当たる。これにより、軸方向Da及び周方向Dcへのキー50Bの移動が拘束されている。その結果、第一の動翼32A及び第二の動翼32Bのディスク部23へ取り付けが完了する。
【0070】
この後は、第一実施形態と同様に、各工程が繰り返し実施されることで、一つの動翼列31の全ての動翼32がディスク部23に取り付けられる。
【0071】
なお、キー50Bをキー収容溝355内に挿入する工程S23は、第一の動翼32Aを取り付ける工程S14の後に実施されてもよい。その場合には、キー延出部54を移動させることで、キー本体部53がキー収容溝355内に挿入される。
【0072】
(作用効果)
第二実施形態では、第二の動翼32Bは、周方向溝25及びキー収容溝355内に配置されたキー本体部53によってディスク部23に対して軸方向Daに移動不能な状態で固定される。このキー本体部53は、翼埋込溝28に翼根36が挿入された第二の動翼32Bに対して、周方向溝25内で周方向Dcの一方側Dc1に移動されることで、キー収容溝355内にも挿入される。これにより、キー50Bによる動翼32の拘束を、容易かつ確実に行うことができる。
【0073】
さらに、ポンチング部100Qによって外周面23fが変形して周方向溝25の形状が変わることで、キー本体部53から延びるキー延出部54の軸方向Da及び周方向Dcへの移動が拘束される。そのため、キー本体部53の軸方向Da及び周方向Dcへの移動も拘束される。これによって、蒸気タービン1の運転中の振動等によって、キー本体部53が、キー収容溝355内から周方向Dcの他方側Dc2に抜け出るように移動してしまうことが抑えられる。これにより、拘束部材60のようにキー50B以外の別の部材を使用せずとも、キー50Bによって第二の動翼32Bの軸方向Daへの移動を拘束した状態をより安定して維持できる。
【0074】
また、キー延出部54は、アクセス溝357内でキー本体部53から軸方向Daに延びている。そのため、アクセス溝357内のキー延出部54を介して、周方向溝25内のキー本体部53を容易に周方向Dcに移動させることができる。つまり、ディスク部23に第一の動翼32A及び第二の動翼32Bが固定されていても、キー収容溝355に対してキー本体部53を挿入したり、抜き出したりすることができる。したがって、キー延出部54を移動させることで、キー50Bによる第二の動翼32Bの固定を容易に解除することができる。
【0075】
<第三実施形態>
次に、本開示に係る蒸気タービンのロータ、蒸気タービン、及び動翼の固定方法の第三実施形態について説明する。なお、以下に説明する第三実施形態においては、上記第一実施形態及び第二実施形態と共通する構成については図中に同符号を付してその説明を省略する。第三実施形態では、拘束部材60を有していない点及びキー50Cを用いる点で第一実施形態と異なっている。
【0076】
図16~
図18に示すように、本実施形態の蒸気タービン1のロータ20Cにおいて、各動翼32は、キー50Cにより、ディスク部23に対する軸方向Daへの移動が拘束されている。第三実施形態のキー50Cは、キー主部57と、キーストッパ部58と、を一体に有している。
【0077】
キー主部57は、周方向溝25及びキー収容溝355内に挿入されている。キー主部57は、例えば、軸方向Daから見て、半円形状に形成されている。キー主部57は、周方向溝25及びキー収容溝355内で、軸方向Daに延びる中心軸57c回りに回転可能とされている。キー主部57は、周方向溝25内で回転することで、キー収容溝355と、アクセス溝357との間を移動可能とされている。キー主部57は、周方向溝25及びキー収容溝355に対して摺接するように、軸方向Daの長さが周方向溝25及びキー収容溝355と同じとされている。また、キー主部57の外周部分は、面取りが施されていたり、曲面形状とされていることが好ましい。なお、キー主部57は、軸方向Daから見て、円形状であってもよい。
【0078】
キーストッパ部58は、周方向Dcにおけるアクセス溝側面357sに近づくキー主部57の移動を拘束する。キーストッパ部58は、キー主部57から軸方向Daの下流側Dadに延びている。キーストッパ部58は、例えば、軸方向Daから見て、1/4の円形状(四分円)の断面形状を有する柱状に形成されている。キーストッパ部58は、軸方向Daから見た際の半円板状のキー主部57の直径を形成する平面部分に取りつくように、キー主部57に対して一体に形成されている。
【0079】
ディスク部23には、キーストッパ部58が収容される軸方向溝29が形成されている。軸方向溝29は、外周面23fから径方向Drの内側Driに凹んで軸方向Daに延びている。軸方向溝29は、ディスク面23dで開口するように形成されている。軸方向溝29は、軸方向Daで周方向溝25と連通している。軸方向溝29は、径方向Drで、アクセス溝357に連通可能な位置に形成されている。
【0080】
キーストッパ部58は、キー主部57が周方向溝25及びキー収容溝355に収容された状態で、軸方向溝29内に配置されている。キー主部57が周方向溝25及びキー収容溝355に収容された状態で、キーストッパ部58の軸方向Daの下流側Dadの端部58dは、ディスク面23dと、軸方向Daで同一の位置に配置されている。
【0081】
なお、第三実施形態では、キー50Cの移動を拘束するポンチング部をディスク面23dに形成することは必須ではない。仮に、ポンチング部を形成する場合には、キーストッパ部58の端部58dと、周方向Dcで隣接する位置におけるディスク面23dに形成してもよい。
【0082】
(動翼の固定方法の手順)
次に、上記したような動翼32を、キー50Cによってディスク部23に固定する第三実施形態の動翼の固定方法S30について説明する。第三実施形態に係る動翼32の固定方法S30は、キー50Cの配置や固定方法が第二実施形態と異なっている。
図19に示すように、本開示の実施形態に係る動翼32の固定方法S30は、第二の動翼32Bを取り付ける工程S11と、キー50Cを周方向溝25内に挿入する工程S32と、キー50Cをキー収容溝355内に挿入する工程S33と、第一の動翼32Aを取り付ける工程S14と、を含む。
【0083】
第二の動翼32Bを取り付ける工程S11は、第一実施形態と同様に実施される。その後、キー50Cを周方向溝25内に挿入する工程S32では、
図20及び
図21に示すように、キー50Cのキー主部57を周方向溝25内に挿入する。本実施形態の工程S32では、第二の動翼32Bが取り付けられたディスク部23に一つのキー50Cを取り付ける。キー主部57は、径方向Drから見た際に、第二の動翼32Bが配置されている位置に対して周方向Dcにずれた位置で周方向溝25内に挿入される。その際、軸方向Daから見て半円形状のキー主部57は、周方向溝25内に収まるように配置される。一方、キーストッパ部58はディスク部23の外周面23fよりも径方向Drの外側Droに配置される。つまり、軸方向Daから見た際に、キーストッパ部58はディスク部23の外周面23fから飛び出た状態で配置される。
【0084】
キー50Cをキー収容溝355内に挿入する工程S33では、キー50Cは、周方向溝25内で周方向Dcに移動され、キー主部57がキー収容溝355内に挿入される。キー主部57は、第二の動翼32Bが配置されている位置に対して周方向Dcにずれた位置から、第二の動翼32Bが配置されている位置まで移動される。その後、
図22に示すように、キーストッパ部58は、中心軸57cを中心に90°回転される。これにより、キー主部57も90°回転し、径方向Drに長くなるように、キー主部57の姿勢が変わる。つまり、軸方向Daから見た際に、キー主部57の直径を形成する平面部分が径方向Drを向いた状態から周方向Dcを向いた状態へと姿勢が変わる。その結果、キー主部57の一部がキー収容溝355内に挿入される。これにより、キー主部57は、第二の動翼32Bのキー収容溝355及び周方向溝25内に挿入された状態となる。これにより、第二の動翼32Bは、キー主部57により、ディスク部23に対する軸方向Daへの移動が拘束される。また、キー主部57がキー収容溝355及び周方向溝25内に挿入された状態では、キーストッパ部58は、軸方向溝29内に入り込む。その結果、キーストッパ部58は、軸方向溝29内に周方向Dcに移動不能となる。したがって、周方向Dcにおけるアクセス溝側面357sに近づくキー主部57の移動が拘束される。これにより、周方向Dcへのキー50Cの移動が拘束されている。その結果、第一の動翼32A及び第二の動翼32Bのディスク部23へ取り付けが完了する。この後は、第一実施形態と同様に、各工程が繰り返し実施されることで、一つの動翼列31の全ての動翼32がディスク部23に取り付けられる。
【0085】
(作用効果)
第三実施形態では、第二の動翼32Bは、周方向溝25及びキー収容溝355内に配置されたキー主部57によってディスク部23に対して軸方向Daに移動不能な状態で固定される。このキー主部57は、翼埋込溝28に翼根36が挿入された第二の動翼32Bに対して、周方向溝25内で回転することで、キー収容溝355内に挿入される。これにより、キー50Cによる動翼32の拘束を、容易かつ確実に行うことができる。
【0086】
さらに、キー主部57が回転して、キー収容溝355内に挿入されることで、キーストッパ部58は、軸方向溝29内に挿入される。キーストッパ部58は、軸方向溝29内では、周方向Dcに移動不能な状態となる。そのため、キーストッパ部58が軸方向溝29内に収容された状態では、キー50Cの周方向Dcへの移動が拘束される。つまり、ポンチング部のように塑性変形させる構造を用いることなく、キー50Cの周方向Dcへの移動を拘束できる。これによって、蒸気タービン1の運転中の振動等によって、キー主部57が、キー収容溝355内から周方向Dcの他方側Dc2に抜け出るように移動してしまうことが抑えられる。これにより、キー50Cによって第二の動翼32Bの軸方向Daへの移動を拘束した状態を安定してより安定して維持できる。
【0087】
(その他の実施形態の変形例)
上記実施形態、及びその変形例では、動翼の固定方法の手順について説明したが、その手順は適宜変更可能である。
【0088】
例えば、上記実施形態では、第二の動翼32Bをキー50A~50Cで拘束した後、第二の動翼32Bに対して周方向Dcの他方側に第一の動翼32Aを設置するようにしたが、このような順番で組み立てられることに限定されるものでない。例えば、周方向溝25に予めキー50A~50Cを第二の動翼32Bよりも先にディスク部23に配置してもよい。また、例えば、全てのキー50A~50Cをディスク部23に配置した後に、全ての動翼32を、周方向Dcの全周にわたって取り付けてもよい。この場合、配置された動翼32に形成されたアクセス溝357を通して、キー50A~50Cの移動、拘束部材60、60Bの設置を行うようにしてもよい。その際、アクセス溝357に挿入してキー50A~50Cの移動をほじょするような治具を用いてもよい。
【0089】
また、キー50A~50Cや拘束部材60、60Bの形状は、上記実施形態の形状に限定されるものではない。キー50A~50Cの形状は、ディスク部23に対する動翼32の移動を規制することができる形状であればよい。その際、周方向溝25及びキー収容溝355の形状は、キー50A~50Cの形状に対応して適宜変更される。拘束部材60、60Bは、キー50Aの移動を拘束することができる形状であればよい。その際、アクセス溝357の形状は、拘束部材60、60Bの形状に対応して適宜変更される。
【0090】
<付記>
各実施形態に記載の蒸気タービン1のロータ20~20C、蒸気タービン1、動翼32の固定方法S10は、例えば以下のように把握される。
【0091】
(1)第1の態様に係る蒸気タービン1のロータ20~20Cは、軸線Arを中心とした円柱状に形成された軸芯部22と、前記軸芯部22に対して前記軸線Arを基準とする径方向Drの外側Droに広がるディスク部23と、前記ディスク部23にそれぞれ取り付けられた複数の動翼32と、前記軸線Arが延びている軸方向Daへの前記ディスク部23に対する前記動翼32の移動を規制するキー50A~50Cと、を有し、前記ディスク部23は、外周面23fから前記径方向Drの内側Driに凹んで前記軸方向Daに延びるとともに前記軸線Arを中心とする周方向Dcに間隔をあけて複数が形成された翼埋込溝28、及び、前記外周面23fから前記径方向Drの内側Driに凹んで前記周方向Dcに延びる周方向溝25を有し、前記動翼32は、前記翼埋込溝28に埋め込まれた翼根36と、前記ディスク部23に対して前記径方向Drの外側Droに配置されて前記翼根36に対して前記周方向Dcの両側に張り出すプラットフォーム35と、前記プラットフォーム35から前記径方向Drの外側Droに延びる翼本体33と、を有し、複数の前記動翼32は、第一の動翼32Aと、前記第一の動翼32Aに対して前記周方向Dcの一方側Dc1で隣り合う第二の動翼32Bと、を含み、前記第一の動翼32Aの前記プラットフォーム35は、前記周方向Dcにおいて、前記第二の動翼32Bの前記プラットフォーム35側を向く第一側面35sと、前記軸方向Daを向く第一端面35dと、前記第一側面35s及び第一端面35dが形成する角部35cにおいて前記軸方向Da及び前記周方向Dcに開口するように窪んで、前記周方向溝25と連通するアクセス溝357と、を有し、前記第二の動翼32Bの前記プラットフォーム35は、前記周方向Dcにおいて、前記第一側面35sと対向する第二側面35tと、前記第二側面35tから前記周方向Dcに窪んで、前記径方向Drにおいて前記周方向溝25と連通するとともに、前記周方向Dcにおいて前記アクセス溝357と連通するキー収容溝355と、を有し、前記キー50A~50Cは、前記周方向溝25及び前記キー収容溝355内に配置されている。
【0092】
この蒸気タービン1のロータ20~20Cでは、周方向溝25及びキー収容溝355内に配置されたキー50A~50Cによってディスク部23に対して軸方向Daに移動不能な状態で固定される。このキー50A~50Cは、翼埋込溝28に翼根36が挿入された第二の動翼32Bに対して、周方向溝25内で周方向Dcに移動されることで、キー収容溝355内にも挿入される。その結果、第二の動翼32Bは、周方向溝25に収容されたキー50A~50Cに対して軸方向Daに移動できなくなる。したがって、キー50A~50Cを周方向溝25内で移動させて周方向溝25及びキー収容溝355内に配置するだけで、第二の動翼32Bは、ディスク部23に対して移動不能な状態で確実に固定することができる。このようにして、キー50Aによる動翼32の拘束を、容易かつ確実に行うことができる。
【0093】
(2)第2の態様に係る蒸気タービン1のロータ20~20Cは、(1)の蒸気タービン1のロータ20~20Cであって、前記周方向溝25は、前記径方向Drから見た場合、前記第二の動翼32Bの前記プラットフォーム35と重なる位置から、前記第一の動翼32Aの前記プラットフォーム35と重なる位置に跨がるように前記周方向Dcに延び、前記径方向Drにおいて前記アクセス溝357と連通している。
【0094】
これにより、翼埋込溝28に、第二の動翼32Bの翼根36を埋め込んだ後であっても、第二の動翼32Bに対して周方向Dcにずれた第一の動翼32Aが配置される位置で周方向溝25にキー50Aを挿入できる。その後、キー50Aを周方向溝25内で周方向Dcに移動させるだけで、第二の動翼32Bに干渉することなく、第二の動翼32Bのキー収容溝355内に挿入することができる。したがって、第二の動翼32B及びキー50Aを取り付ける順番に関わらず、キー50Aによって第二の動翼32Bをディスク部23に固定することができる。
【0095】
(3)第3の態様に係る蒸気タービン1のロータ20は、(1)又は(2)の蒸気タービン1のロータ20であって、前記アクセス溝357は、前記周方向Dcにおいて前記第二側面35tを向くアクセス溝側面357sを有し、前記アクセス溝357内で前記周方向Dcにおいて前記キー50Aとアクセス溝側面357sとの間に配置され、前記周方向Dcにおいて前記アクセス溝側面357sに近づく前記キー50Aの移動を拘束する拘束部材60をさらに備える。
【0096】
これにより、拘束部材60を、キー50Aとアクセス溝側面357sとの間に挿入することで、周方向溝25及びキー収容溝355内に配置されたキー50Aが、周方向Dcに移動することが拘束される。したがって、キー50Aが、周方向溝25及びキー収容溝355内から抜け出ることを抑えることができる。これにより、周方向溝25からキー50Aが外れてしまうことを抑えて、第二の動翼32Bの軸方向Daへの移動を拘束した状態を安定して維持できる。また、拘束部材60は、アクセス溝357内でキー50Aとアクセス溝側面357sとの間に配置される。そのため、ディスク部23に複数の動翼32(第一の動翼32A及び第二の動翼32B)及びキー50Aが取り付けられた状態であっても、アクセス溝357を介して拘束部材60にアクセスすることができる。つまり、ディスク部23に第一の動翼32A及び第二の動翼32Bが固定されていても、拘束部材60を取り付けたり、取り外したりすることができる。したがって、アクセス溝357から拘束部材60を着脱することで、キー50Aによる第二の動翼32Bの固定を容易に解除することができる。
【0097】
(4)第4の態様に係る蒸気タービン1のロータ20は、(3)の蒸気タービン1のロータ20であって、前記拘束部材60Bは、前記軸方向Daにおいて前記キー50Aと前記アクセス溝側面357sとの間に配置される挿入部601と、前記挿入部601に対して前記軸方向Daにおいて前記第一端面35dに近い位置で前記挿入部601と一体に形成され、前記アクセス溝357内での前記径方向Drから見た際の前記挿入部601の回転を規制する回転規制部602と、を備える。
【0098】
これにより、拘束部材60Bは、アクセス溝357内で径方向Drから見た際に、径方向Drに延びる仮想軸を中心として回転してしまうことが抑えられる。これにより、挿入部601によるキー50Aを周方向Dcの他方側Dc2に移動することを拘束した状態をより安定して維持することができる。
【0099】
(5)第5の態様に係る蒸気タービン1のロータ20Bは、(3)又は(4)の蒸気タービン1のロータ20Bであって、前記ディスク部23は、前記外周面23fに対して直交するように前記軸方向Daを向くディスク面23dに、前記軸方向Daから見た際に、前記アクセス溝357に面する前記外周面23fを変形させるように前記ディスク面23dから窪むポンチング部100Pを有し、前記拘束部材60は、前記ポンチング部100Pにより、前記周方向Dcの移動が拘束されている。
【0100】
これにより、ポンチング部100Pによって外周面23fが変形して周方向溝25の形状が変わることで、拘束部材60の移動が拘束される。これによって、蒸気タービン1の運転中の振動等によって、拘束部材60がアクセス溝357から自然に脱落してしまうことが抑えられる。したがって、キー50Aによる第二の動翼32Bの軸方向Daへの移動を拘束した状態をより安定して維持できる。
【0101】
(6)第6の態様に係る蒸気タービン1のロータ20Bは、(1)又は(2)の蒸気タービン1のロータ20Bであって、前記アクセス溝357は、前記周方向Dcにおいて前記第二側面35tを向くアクセス溝側面357sを有し、前記キー50Bは、前記周方向溝25、前記キー収容溝355、及び前記アクセス溝357内に挿入されているキー本体部53と、前記アクセス溝357内で前記キー本体部53から前記軸方向Daに延びるキー延出部54と、を一体に有し、前記ディスク部23は、前記外周面23fに対して直交するように前記軸方向Daを向くディスク面23dに、前記軸方向Daから見た際に、前記アクセス溝357に面する前記外周面23fを変形させるように前記ディスク面23dから窪むポンチング部100Qを有し、前記キー延出部54は、前記ポンチング部100Qにより、前記周方向Dcにおける前記アクセス溝側面357sに近づく移動が拘束されている。
【0102】
これにより、ポンチング部100Qによって外周面23fが変形して周方向溝25の形状が変わることで、キー本体部53から延びるキー延出部54の移動が拘束される。そのため、キー本体部53の移動も拘束される。これによって、蒸気タービン1の運転中の振動等によって、キー本体部53が、キー収容溝355内から周方向Dcに抜け出るように移動してしまうことが抑えられる。これにより、キー50B以外の別の部材を使用せずとも、キー50Bによって第二の動翼32Bの軸方向Daへの移動を拘束した状態をより安定して維持できる。また、キー延出部54は、アクセス溝357内でキー本体部53から軸方向Daに延びている。そのため、アクセス溝357内のキー延出部54を介して、周方向溝25内のキー本体部53を容易に周方向Dcに移動させることができる。つまり、ディスク部23に第一の動翼32A及び第二の動翼32Bが固定されていても、キー収容溝355に対してキー本体部53を挿入したり、抜き出したりすることができる。したがって、キー延出部54を移動させることで、キー50Bによる第二の動翼32Bの固定を容易に解除することができる。
【0103】
(7)第7の態様に係る蒸気タービン1のロータ20Cは、(1)又は(2)の蒸気タービン1のロータ20Cであって、前記アクセス溝357は、前記周方向Dcにおいて前記第二側面35tを向くアクセス溝側面357sを有し、前記ディスク部23は、前記外周面23fから前記径方向Drの内側Driに凹んで前記軸方向Daに延び、前記周方向溝25及び前記アクセス溝357に連通する軸方向溝29をさらに有し、前記キー50Cは、前記周方向溝25及び前記キー収容溝355内に挿入されるキー主部57と、前記キー主部57から前記軸方向Daに延び、前記軸方向溝29内に配置されて、前記周方向Dcにおける前記アクセス溝側面357sに近づく前記キー主部57の移動を拘束するキーストッパ部58と、を一体に有する。
【0104】
これにより、キーストッパ部58は、軸方向溝29内では、周方向Dcに移動不能な状態となる。そのため、キーストッパ部58が軸方向溝29内に収容された状態では、キー50Cの周方向Dcへの移動が拘束される。つまり、ポンチング部のように塑性変形させる構造を用いることなく、キー50Cの周方向Dcへの移動を拘束できる。これによって、蒸気タービン1の運転中の振動等によって、キー主部57が、キー収容溝355内から周方向Dcの他方側Dc2に抜け出るように移動してしまうことが抑えられる。これにより、キー50Cによって第二の動翼32Bの軸方向Daへの移動を拘束した状態を安定してより安定して維持できる。
【0105】
(8)第8の態様に係る蒸気タービン1は、(1)から(7)の何れか一つの蒸気タービン1のロータ20~20Cを備える。
【0106】
これにより、上記したような蒸気タービン1のローラを備えることで、蒸気タービン1の組立時、ロータ20~20Cのメンテナンス時等に、キー50A~50Cによる動翼32の拘束を、容易かつ確実に行うことが可能となる。
【0107】
(9)第9の態様に係る動翼32の固定方法S10は、(1)から(7)の何れか一つの蒸気タービン1のロータ20~20Cにおける前記動翼32の固定方法S10、S20、S30であって、前記ディスク部23に前記第二の動翼32Bを取り付ける工程S11、S21、S31と、前記周方向溝25内に前記キー50A~50Cを挿入する工程S12、S22、S32と、前記キー50A~50Cを前記周方向溝25内で前記周方向Dcに移動させ、前記キー収容溝355内に挿入する工程S13、S23、S33と、前記ディスク部23に前記第一の動翼32Aを取り付ける工程S14、S25、S35と、を含む。
【0108】
これにより、周方向溝25及びキー収容溝355内に配置されたキー50A~50Cによってディスク部23に対して軸方向Daに移動不能な状態で固定される。このキー50A~50Cは、翼埋込溝28に翼根36が挿入された第二の動翼32Bに対して、周方向溝25内で周方向Dcに移動されることで、キー収容溝355内にも挿入される。その結果、第二の動翼32Bは、周方向溝25に収容されたキー50A~50Cに対して軸方向Daに移動できなくなる。したがって、キー50A~50Cを周方向溝25内で移動させて周方向溝25及びキー収容溝355内に配置するだけで、第二の動翼32Bは、ディスク部23に対して移動不能な状態で確実に固定することができる。このようにして、キー50Aによる動翼32の拘束を、容易かつ確実に行うことができる。
【符号の説明】
【0109】
1…蒸気タービン
10…ケーシング
11…ノズル室
12…主流路室
13…排気室
15…蒸気主流路
15w…翼間流路
20、20B、20C…ロータ
21…ロータ軸
22…軸芯部
23…ディスク部
23d…ディスク面
23f…外周面
25…周方向溝
28…翼埋込溝
28a…係合凹部
29…軸方向溝
31…動翼列
32…動翼
32A…第一の動翼
32B…第二の動翼
33…翼本体
34…シュラウド
35…プラットフォーム
35c…角部
35d…第一端面
35f…プラットフォーム内周面
35g…プラットフォーム外周面
35s…第一側面
35t…第二側面
36…翼根
36t…係合凸部
41…静翼列
42…静翼
43…外側リング
46…内側リング
50A~50C…キー
51e…端部
53…キー本体部
53e…端部
54…キー延出部
54d…端部
57…キー主部
58…キーストッパ部
58d…端部
60、60B…拘束部材
60d…端部
601…挿入部
602…突起部(回転規制部)
100P、100Q…ポンチング部
355…キー収容溝
357…アクセス溝
357d…アクセス溝端面
357s…アクセス溝側面
505…キー端面
Ar…軸線
Da…軸方向
Dad…下流側
Dau…上流側
Dc…周方向
Dc1…一方側
Dc2…他方側
Dr…径方向
Dri…内側
Dro…外側
S…蒸気
S10、S20、S30…動翼の固定方法
S11…第二の動翼を取り付ける工程
S12、S22、S32…キーを周方向溝内に挿入する工程
S13、S23、S33…キーをキー収容溝内に挿入する工程
S14…第一の動翼を取り付ける工程
S15…拘束部材を配置する工程
S16…拘束部材を固定する工程
S24…キーを固定する工程