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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023090265
(43)【公開日】2023-06-29
(54)【発明の名称】キノコ培地充填装置
(51)【国際特許分類】
   A01G 18/22 20180101AFI20230622BHJP
   B65B 1/22 20060101ALI20230622BHJP
   B65B 1/24 20060101ALI20230622BHJP
【FI】
A01G18/22
B65B1/22
B65B1/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021205144
(22)【出願日】2021-12-17
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和3年9月1日に田中技研工業株式会社がホクト株式会社三重きのこセンターへ発明したキノコ培地充填装置を販売
(71)【出願人】
【識別番号】594182742
【氏名又は名称】田中技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 健
(72)【発明者】
【氏名】千葉 速人
(72)【発明者】
【氏名】市川 裕也
(72)【発明者】
【氏名】萩原 孝造
【テーマコード(参考)】
2B011
3E118
【Fターム(参考)】
2B011PA02
3E118AA02
3E118AA20
3E118AB20
3E118BA02
3E118BA07
3E118BB02
3E118BB10
3E118CA08
3E118DA02
3E118DA04
3E118FA03
(57)【要約】
【課題】培瓶内に培地を均一に充填可能とする。
【解決手段】コンテナ10内の各栽培瓶12に培地を充填する充填部22と、充填部22においてコンテナ10が載置される載置板26と、載置板26に載置されたコンテナ10の上方に配置され、複数の栽培瓶12の瓶口のそれぞれに装着可能な複数の筒状体38と、複数の開口穴36が形成され、各開口穴36と各筒状体38の上面開口部とが連通するように各筒状体38の上端部が固定され、充填部22に到着したコンテナ10に対して上下動可能な充填プレート32と、充填プレート32の上方位置と補充場所45との間で移動可能であって、充填プレート32の上方から培地を落下させて各筒状体38に培地を供給する培地収納部40と、各筒状体38内部に進入して各栽培瓶12に向けて下降可能であって、培地を各栽培瓶12内部へ押し込む複数の押圧棒56と、載置板26に振動を付加する振動発生装置30と、を具備する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の栽培瓶が収納されているコンテナが配置され、コンテナ内の各栽培瓶に培地を充填する充填部と、
前記充填部に設けられ、コンテナが載置される載置板と、
前記載置板に載置されたコンテナの上方に配置され、コンテナに収容されている複数の栽培瓶の瓶口のそれぞれに装着可能な複数の筒状体と、
複数の開口穴が形成され、前記各開口穴と前記各筒状体の上面開口部とが連通するように前記各筒状体の上端部が固定され、前記充填部に到着したコンテナに対して上下動可能な充填プレートと、
培地が収納されており、前記充填プレートの上方位置と前記充填プレートの上方位置から離間した位置との間で移動可能であって、前記充填プレートの上方から培地を落下させて各筒状体に培地を供給する培地収納部と、
各筒状体内部に進入して各栽培瓶に向けて下降可能であって、前記各筒状体内及び瓶口に残留している培地を各栽培瓶内部へ押し込む複数の押圧棒と、
前記載置板に振動を付加する振動発生装置と、を具備することを特徴とするキノコ培地充填装置。
【請求項2】
前記載置板の四隅には、前記振動発生装置による振動の強弱を調整する振動調整手段が設けられていることを特徴とする請求項1記載のキノコ培地充填装置。
【請求項3】
前記培地収納部には、栽培瓶への培地供給時に培地を撹拌する撹拌羽根が設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載のキノコ培地充填装置。
【請求項4】
各前記撹拌羽根は、正回転と逆回転をそれぞれ予め設定された所定時間実行することを特徴とする請求項3記載のキノコ培地充填装置。
【請求項5】
前記押圧棒は、栽培瓶の瓶口の内に進入可能な径の大径部を備え、前記大径部は、回転しながら下降することを特徴とする請求項1~請求項4のうちのいずれか1項記載のキノコ培地充填装置。
【請求項6】
前記充填部が複数個所に設けられ、
複数の充填部において、同時に複数のコンテナの栽培瓶に対して培地の充填が可能な構成であることを特徴とする請求項1~請求項5のうちのいずれか1項記載のキノコ培地充填装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キノコ栽培瓶に培地を充填する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
栽培瓶で行われるキノコ栽培は、おが粉、米ぬか、粉砕したコーンコブ等から構成される培地を栽培瓶に充填し、栽培瓶内の培地に種菌を接種して行われる。
培地は粉体に適度な水分を含んだものであるため、流動性及び移動性が悪く、栽培瓶内へ均一に充填することは難しい。
【0003】
そこで、栽培瓶内に均一に充填するために、特許文献1や特許文献2に示すような充填装置が従来より提案されている。
特許文献1における栽培瓶への培地の充填装置としては、シリンダによって栽培瓶内の培地を押圧する構成が開示されている。
また、特許文献2における栽培瓶への培地の充填装置としては、伸縮するスクリューによって栽培瓶に培地を充填する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8-336331号公報
【特許文献2】特開平8-322382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のキノコ培地充填装置では、栽培瓶内に培地を押し込むことはできても栽培瓶内での培地の偏りを是正することができず、栽培瓶内に培地が均一に充填されうる装置が要望されていた。
【0006】
そこで本発明は上記課題を解決すべくなされ、その目的とするところは、栽培瓶内に培地を均一に充填可能な装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にかかるキノコ培地充填装置によれば、複数の栽培瓶が収納されているコンテナが配置され、コンテナ内の各栽培瓶に培地を充填する充填部と、前記充填部に設けられ、コンテナが載置される載置板と、前記載置板に載置されたコンテナの上方に配置され、コンテナに収容されている複数の栽培瓶の瓶口のそれぞれに装着可能な複数の筒状体と、複数の開口穴が形成され、前記各開口穴と前記各筒状体の上面開口部とが連通するように前記各筒状体の上端部が固定され、前記充填部に到着したコンテナに対して上下動可能な充填プレートと、培地が収納されており、前記充填プレートの上方位置と前記充填プレートの上方位置から離間した位置との間で移動可能であって、前記充填プレートの上方から培地を落下させて各筒状体に培地を供給する培地収納部と、各筒状体内部に進入して各栽培瓶に向けて下降可能であって、前記各筒状体内及び瓶口に残留している培地を各栽培瓶内部へ押し込む複数の押圧棒と、前記載置板に振動を付加する振動発生装置と、を具備することを特徴としている。
この構成を採用することによって、コンテナに振動を付加して培地を均一に栽培瓶に充填させることができ、また培地を筒状体を通して栽培瓶に向けて確実に落下させた後、筒状体内及び栽培瓶の瓶口に残留した培地を押圧棒によって押圧させて確実に栽培瓶内部に充填できる。
【0008】
また、前記載置板の四隅には、前記振動発生装置による振動の強弱を調整する振動調整手段が設けられていることを特徴としてもよい。
この構成によれば、栽培瓶の重量に合わせて適切な振動強度にすることができるため、培地を確実に均一にすることができる。また載置板の四隅それぞれ別々に振動強度の調整ができるので、コンテナ内で栽培瓶の重量バランスが異なっている場合であっても、1つのコンテナに対して適正な振動を付加することができる。
【0009】
また、前記培地収納部には、栽培瓶への培地供給時に培地を撹拌する撹拌羽根が設けられていることを特徴としてもよい。
この構成によれば、撹拌羽根の撹拌により培地を下方に押し、培地収納部から下方に培地を落下させて栽培瓶へ供給できる。
【0010】
また、各前記撹拌羽根は、正回転と逆回転をそれぞれ予め設定された所定時間実行することを特徴としてもよい。
この構成によれば、撹拌羽根は正回転と逆回転の両方の回転で培地を落下させるため、落下させる培地の偏りを防ぎ、1つのコンテナにおける複数の栽培瓶への培地の充填量を均一となるようにできる。また、正回転及び逆回転の駆動時間の設定により、培地の落下量を調整することができため、回転駆動時間を調整することで培地の落下量を調整し、どのような大きさの栽培瓶に対しても適量の培地を充填することができる。
【0011】
また、前記押圧棒は、前記押圧棒は、栽培瓶の瓶口の内に進入可能な径の大径部を備え、前記大径部は、回転しながら下降することを特徴としてもよい。
この構成によれば、押圧棒の大径部によって筒状体内部に残留した培地を下方に押し出し、栽培瓶の瓶口から栽培瓶内部へ培地を押し込むことができ、且つ回転しながら下降することで押圧棒の下面に付着した培地を栽培瓶内部の培地表面にこすりつけてはがすことができ、押圧棒の下面に培地を付着させないようにできる。また、栽培瓶内部の培地の締固めを図ることもできる。
【0012】
また、前記充填部が複数個所に設けられ、複数の充填部において、同時に複数のコンテナの栽培瓶に対して培地の充填が可能な構成であることを特徴としてもよい。
この構成によれば、一度に数多くの栽培瓶に対して培地を充填することができ、栽培瓶への培地充填の高速化を図ることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、栽培瓶内に培地を均一に充填することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】キノコ培地充填装置の側面図である。
図2】振動発生装置の概略構成を示す説明図である。
図3】キノコ培地充填装置の正面図である。
図4】充填部を正面方向から見た拡大図である。
図5】押圧棒の拡大図である。
図6】押圧棒が回転する構成を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(全体構成)
図1にキノコ培地充填装置の側面図を示す。図2に振動発生装置の概略の説明図を示す。図3にキノコ培地充填装置の正面図を示す。
図1では、複数の栽培瓶が収納されたコンテナが紙面右から左方向に搬送されるものとし、明細書中では、図1の左から右方向に向かってコンテナが搬送される方向を搬送方向と称している。また、図4には、培地を充填する箇所である充填部の拡大図を示す。
【0016】
本実施形態のキノコ培地充填装置20は、複数の栽培瓶12を収納する1つのコンテナ10に対して、複数の栽培瓶12全てに同時に培地を充填する充填部22を備えている。
また、本実施形態では、充填部22は搬送方向にそって上流側と下流側の2箇所に充填部22が設けられている構成であって、1回で2つのコンテナ10に対して培地を充填することができる。
以下の説明では、2箇所の充填部22の構成は同一構成となっているので、充填部22の詳細構造については1箇所の充填部の説明のみ行う。以下、2箇所の充填部22のうち搬送方向上流側(図面右側)の充填部22を第1充填部22a、搬送方向下流側(図面左側)の充填部22を第2充填部22bと称する場合がある。
【0017】
図1では省略しているが、搬送方向上流側(図面右側)の第1充填部22aよりも右側にはコンベア等の搬送部が設けられており、コンテナ10を第1充填部22aに搬送する。また、第2充填部22bよりも左側にも図示しないコンベア等の搬送部が設けられており、培地充填後のコンテナ10を装置外部に搬出する。
また、第1充填部22a、第2充填部22bのそれぞれにおいても搬送装置24が設けられており、搬送方向上流側から搬送されてきたコンテナ10を所定位置まで搬送し、充填が完了したコンテナ10を搬送方向下流側に搬送する。
【0018】
各充填部22a、22bには、コンテナ10が載置される載置板26が設けられている。載置板26は、その四隅がバネ28を介してフレーム13に取り付けられている。それぞれのバネ28は、載置板26とフレーム13との間に配置され、載置板26の上面においてボルト29によって締結されている。
【0019】
図2に示すように、載置板26の下方には、載置板26に振動を付加する振動発生装置30が設けられている。振動発生装置30は、モータ80と、モータ80の回転軸81に設けられた偏心シャフト82と、偏心シャフト82から上方に延びるアーム83とから構成されている。
載置板26の下部には、アーム83を載置板26に取り付けるための固定ブロック84が設けられている。固定ブロック84には調整ボルト85が螺合している。アーム83の先端部には調整ボルト85が貫通する貫通穴が形成されており、調整ボルト85を締め付けることによりアーム83は固定ブロック84と調整ボルト85の頭部との間に挟み込まれてアーム83は載置板26に連結される。
このような構成により、モータ80が回転駆動することによってアーム83が載置板26を上下動させる。載置板26は、バネ28によってフレーム13に取り付けられているので、バネ28の弾性力によって載置板26が振動する。
【0020】
バネ28はボルト29の締結量によって圧縮又は開放できるため、載置板26の四隅に設けたボルト29を1箇所ずつ調整してバネ28の圧縮状態を調整することができ、載置板26の振動の大きさを全体として均一になるように調整することができる。
また、例えば重いコンテナ10の場合には、軽いコンテナ10の場合よりも全体的にバネ28を開放する方向に調整することによって確実な振動を付与することができる。
さらに、アーム83を載置板26に連結している調整ボルト85を緩めることにより、アーム83の固定ブロック84と調整ボルト85の頭部との間での上下動域が広がるためにアーム83の上下動が大きくなる。このように、バネ28の調整とともに調整ボルト85の調整によって振動の大きさを調整することができる。
併せて、モータ80の回転数を調整することによっても振動の大きさを調整することも可能である。
【0021】
また、上述したように、載置板26の下方には、載置板26上のコンテナ10を搬送する搬送装置24が設けられている。本実施形態の搬送装置24としては、搬送方向に駆動するチェーン式のコンベアを採用している。
載置板26の所定位置には、チェーン式のコンベアのチェーンを露出させるためのスリット44が形成されている。コンテナ10を搬送させるときには、スリット44からチェーン式のコンベアのチェーンが上昇してコンテナ10の底面に当接するよう、チェーンが上下動可能に設けられている。
【0022】
載置板26の上方には、コンテナ10に対して上下動可能な充填プレート32が設けられている。充填プレート32は、上下方向に沿って配置されたガイドシャフト60にガイド部76を介して連結されており、上下動装置78(例えば、エアシリンダ等)によってガイドシャフト60に沿って上下動可能となっている。
【0023】
充填プレート32は、複数の開口穴36が形成されている。各開口穴36は、コンテナ10に収納された各栽培瓶12の上方に位置決めされている。
充填プレート32の下面には、コンテナ10に収容されている複数の栽培瓶12の瓶口のそれぞれに接近して培地が漏れないようにするための複数の筒状体38が設けられている。筒状体38の上面開口部は充填プレート32の開口穴36に連通するよう、筒状体38が充填プレート32の下面に取り付けられる。
【0024】
筒状体38の下面開口部は、栽培瓶12の瓶口に対して、やや小径に形成されていてもやや大径に形成されていてもよい。
筒状体38がやや小径に形成されている場合に充填プレート32が下降すると筒状体38の下面開口部は栽培瓶12の瓶口に進入して培地を栽培瓶12の外部にこぼさないようにできる。また、筒状体38がやや大径に形成されている場合に充填プレート32が下降すると筒状体38の下面開口部は栽培瓶12の瓶口の周囲に被さるようになるため、この場合も培地を栽培瓶12の外部にこぼさないようにできる。
【0025】
充填プレート32の上面には、箱状(ボックス状)の培地収納部40が設けられている。なお、図3では培地収納部40は省略している。培地収納部40には、培地が収納されており、充填プレート32の開口穴36と筒状体38を介して栽培瓶12に培地を落下させる。
【0026】
また、培地収納部40内には、培地を撹拌するために複数本の撹拌羽根42が設けられている。複数本の撹拌羽根42は搬送方向に沿って配列され、撹拌羽根42はモータ49からかけ渡されたベルト又はチェーン等(図示せず)によって回転駆動する。
撹拌羽根42が培地収納部40内で回転することによって、撹拌羽根が培地を下に押し込んで、栽培瓶12に落下させる。また、撹拌によって培地をほぐすことができるため、培地が途中で詰まったりせず、栽培瓶12には適量の培地を充填することができる。
なお、図1では第1充填部22aに位置する培地収納部40では、撹拌羽根42の図示は省略している。
【0027】
複数の撹拌羽根42を駆動するモータ49は、図示しない制御装置によって制御される。制御装置は、正回転でタイマーにより所定時間駆動し、逆回転でタイマーにより所定時間駆動するようにモータ49を制御する。このように撹拌羽根42は正回転と逆回転の両方の回転で培地を落下させるため、落下させる培地の偏りを防ぎ、1つのコンテナ10における複数の栽培瓶12への培地の充填量を均一となるようにできる。
また、正回転及び逆回転の駆動時間の設定により、培地の落下量を調整することができる。したがって、栽培瓶12の大きさにより培地の充填量が異なる場合には、タイマーによる回転駆動時間を調整することで培地の落下量を調整し、どのような大きさの栽培瓶12に対しても適量の培地を充填することができる。
【0028】
また、培地収納部40は、培地を補充するための補充場所45に移動可能である。第1充填部22aの上方に配置されている培地収納部40の補充場所45は、第1充填部22aの上方から離間した位置の搬送方向上流側である。
また、第2充填部22bの上方に配置されている培地収納部40の補充場所45は、第2充填部22bの上方から離間した位置の搬送方向下流側である。
それぞれの培地収納部40の補充場所45と各充填部22の上方との間の移動は、水平駆動装置47(例えばエアシリンダ等)によって実行される(図1では第2充填部22b側の水平駆動装置47は省略している)。
【0029】
各補充場所45の上方には、培地を各培地収納部40に補充するため上方から下方に向けて徐々に小径となった受け部46が設けられている。
そして、各受け部46の上方には、搬送方向に沿って2つの受け部46の上方をカバーするように搬送方向に沿って長尺な培地供給部48が設けられている。培地供給部48には、本実施形態のキノコ培地充填装置20外部から供給される培地を貯留しておき、培地収納部40内の培地が減少する都度、培地供給部48から受け部46を介して培地収納部40に培地を供給する。
【0030】
培地供給部48内には、搬送方向に沿って延びるスクリューコンベア50が設けられており、培地供給部48内の培地を培地供給部48の搬送方向上流側又は搬送方向下流側に移動させることができる。
培地供給部48の下面はそれぞれの受け部46の上方において開口する開口部52が形成されている。
各開口部52は、培地供給部48の下部において搬送方向に沿って移動する下面蓋部54によって開閉可能となっている。下面蓋部54は、水平駆動装置53(例えばエアシリンダ等)によって搬送方向に沿って移動可能である。
【0031】
また培地収納部40又は受け部46内には、培地が所定量(満杯)になったどうかを検出するセンサ(図示せず)が設けられている。上記センサが所定量まで培地が貯留されたことを検出するまで、培地供給部48では下面蓋部54を開けてスクリューコンベア50を駆動させて培地を培地収納部40に落下させる。
上記センサが所定量まで培地が貯留されたことを検出すると、培地供給部48ではスクリューコンベア50の駆動を停止し、下面蓋部54を閉じて培地の落下を終了する。
【0032】
各充填部22a,22bにおいて、充填プレート32のさらに上方には、各筒状体38の上面開口部から各筒状体38内に進入し、各筒状体38内に残留している培地を各栽培瓶12へ押し込む複数の押圧棒56が設けられている。
【0033】
複数の押圧棒56は、支持プレート58の下面に吊り下げられて支持されている。支持プレート58は、上下動装置(例えばエアシリンダ等)72のロッド72aに接続されており、上下動装置72の駆動によって上下動する。
また、支持プレート58は、上下方向に沿って延びるガイドシャフト60に沿って上下動するガイド部74に連結されており、ガイドシャフト60に沿って上下動する。
【0034】
図5に押圧棒の拡大図を示し、図6に大径部が回転する様子を示す押圧棒の拡大図を示す。
押圧棒56の先端部には、培地を下方に押し込んで落下させるための大径部62が設けられている。大径部62の下面には、下方に向けて尖鋭となっている円錐状の突起部64が設けられている。
大径部62の径は、筒状体38の内径よりもやや小径であって筒状体38を上下動可能であり、且つ栽培瓶12の瓶口の内径よりもやや小径である。したがって、支持プレート58が下降した場合には、大径部62が筒状体38内に残留している培地を押し下げ、さらに栽培瓶12の瓶口に進入して瓶口に残留している培地を栽培瓶12内部に押し下げる。
【0035】
押圧棒56の下部は、押圧棒56と共に上下動するカバー66によって覆われており、カバー66に大径部62が取り付けられている。カバー66は押圧棒56にバネ(図示せず)を介して設けられている。
カバー66に上部から下部に向けて斜めに傾斜した傾斜溝68が形成されており、また押圧棒56の外周面には傾斜溝68に進入できる程度の大きさの突起70が形成されている。
【0036】
押圧棒56とともに大径部62が下降していき、栽培瓶12内の培地表面に接触すると、大径部62の下面が所定の圧力を受けてバネ(図示せず)が圧縮し、さらに下降しようとする押圧棒56の突起70が傾斜溝68に沿うため、押圧棒56に対してカバー66が傾斜溝68の傾斜角度に伴って回転し、カバー66に取り付けられている大径部62も回転する。
このように、大径部62が培地に接触した後に回転しつつさらに下降することによって、大径部62の下面に付着した培地を栽培瓶12内部の培地表面にこすりつけてはがすことができ、大径部62の下面に培地を付着させないようにできる。また、栽培瓶12内部の培地表面を押し固めることもできる。
【0037】
(全体動作)
以下、2箇所に充填部が設けられた本実施形態におけるキノコ培地充填装置の動作について説明する。
キノコ培地が未充填の栽培瓶12が複数収納されたコンテナ10を2つ、図示しない搬送装置に配置し、図示しない搬送装置によって第1充填部22aに進入させる。また、第1充填部22aの載置板26の下に設けられている搬送装置24によって、第1充填部22aから、搬送方向下流側(図面左側)の第2充填部22bへコンテナ10が搬送される。2つのコンテナ10が、それぞれ第1充填部22aと第2充填部22bに配置されると、搬送装置24が停止する。
【0038】
次に、培地収納部40を補充場所45から各充填部22a、22bの上方の充填プレート32の上面に移動させる。このときには、培地収納部40には、培地供給部48から培地が落下しており、既に培地は収納済である。
続いて、上下動装置78が充填プレート32をガイドシャフト60に沿って下降させ、充填プレート32の下面に設けられている筒状体38の下面開口部を栽培瓶12に進入させるか、又は栽培瓶12の瓶口との間で隙間があかないように接触させる。
【0039】
そして、振動発生装置30の動作を開始して載置板26に振動を付加する。載置板26に振動が付加されると、コンテナ10内の栽培瓶12にも振動が伝わる。
また、振動発生装置30の動作開始と同時に培地収納部40内の撹拌羽根42を回転させ、培地収納部40内の培地を落下させる。
【0040】
振動発生装置30による振動の付加及び撹拌羽根42の回転により、培地収納部40内の培地が、充填プレート32の開口穴36から筒状体38を介して栽培瓶12内に落下して栽培瓶12内に充填される。
本実施形態では、撹拌羽根42の正回転の駆動時間と逆回転の駆動時間により培地の落下量を規定しているため、予め設定した正回転の駆動時間と逆回転の駆動時間が経過した時点でモータ49の駆動を停止して、培地の落下を終了する。また、振動発生装置30を停止して振動の付加を停止する。
【0041】
次に、培地収納部40を補充場所45へ移動させ、上下動装置78が充填プレート32を上昇させて、筒状体38を栽培瓶12の瓶口から離間させる。
培地収納部40が補充場所45に移動して充填プレート32の上面から離れたことにより、上下動装置72は、充填プレート32の上方に位置する支持プレート58を下降させるように動作を開始する。
【0042】
支持プレート58が下降することにより、複数の押圧棒56が下降して充填プレート32の各開口穴36から筒状体38内を通る。このように、筒状体38内を大径部62が通過することで、筒状体38内に残留していた培地を残らず栽培瓶12に落下させることができる。
【0043】
さらに、大径部62が下降して栽培瓶12の瓶口から進入することによって、瓶口付近に貯留していた培地を残らず栽培瓶12内部に落下させることができる。
そして大径部62が栽培瓶12内の培地表面に接触した後、さらに支持プレート58が下降することによって大径部62が回転しつつ下降するため、大径部62の下面に付着した培地を栽培瓶12内部の培地表面にこすりつけてはがすことができ、大径部62の下面に培地を付着させないようにできる。また、栽培瓶12内部の培地表面を押し固めることもできる。
【0044】
上下動装置72は、所定の位置まで押圧棒56を下降させた後、押圧棒56を初期位置に戻すように支持プレート58を上昇させる。
支持プレート58が上昇して初期位置に戻ると、各充填部22a、22bの搬送装置24が駆動して充填済みの栽培瓶12が収納されたコンテナ10が、第2充填部22bから第2充填部22bの搬送方向下流側にある図示しない搬送装置に搬送され、第1充填部22aのコンテナ10も第1充填部22aから第2充填部22bを経て、第2充填部22bの搬送方向下流側にある図示しない搬送装置に搬送される。
【0045】
なお、上述してきた実施形態では、充填部を2箇所に設けて、2つのコンテナ内の複数の栽培瓶に対して同時に培地を充填する構成を採用した。しかし、充填部を1箇所に設けて1つのコンテナ内の複数の栽培瓶に培地を充填する構成であってもよい。
【符号の説明】
【0046】
10 コンテナ
12 栽培瓶
13 フレーム
20 キノコ培地充填装置
22 充填部
22a 第1充填部
22b 第2充填部
24 搬送装置
26 載置板
28 バネ
29 ボルト
30 振動発生装置
32 充填プレート
36 開口穴
38 筒状体
40 培地収納部
42 撹拌羽根
44 スリット
45 補充場所
46 受け部
47 水平駆動装置
48 培地供給部
49 モータ
50 スクリューコンベア
52 開口部
53 水平駆動装置
54 下面蓋部
56 押圧棒
58 支持プレート
60 ガイドシャフト
62 大径部
64 突起部
66 カバー
68 傾斜溝
70 突起
72 上下動装置
72a ロッド
74 ガイド部
76 ガイド部
78 上下動装置
80 モータ
81 回転軸
82 偏心シャフト
83 アーム
84 固定ブロック
85 調整ボルト
図1
図2
図3
図4
図5
図6