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  • 特開-被覆粒状肥料 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023009027
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】被覆粒状肥料
(51)【国際特許分類】
   C05G 5/30 20200101AFI20230112BHJP
【FI】
C05G5/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022108468
(22)【出願日】2022-07-05
(31)【優先権主張番号】P 2021112094
(32)【優先日】2021-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】390021544
【氏名又は名称】ジェイカムアグリ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001070
【氏名又は名称】弁理士法人エスエス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】沖▲崎▼ 光平
(72)【発明者】
【氏名】坂本 淳
(72)【発明者】
【氏名】青嵜 義宗
【テーマコード(参考)】
4H061
【Fターム(参考)】
4H061AA01
4H061DD04
4H061DD18
4H061EE35
4H061EE70
4H061FF07
4H061FF08
4H061GG18
4H061GG19
4H061GG41
4H061GG43
4H061GG56
4H061HH03
4H061LL26
4H061LL30
(57)【要約】
【課題】生分解性及び肥料成分の溶出コントロール性に優れる被覆粒状肥料を提供する。
【解決手段】粒状肥料と、該粒状肥料表面を被覆する被膜とを有する被覆粒状肥料であり、前記被膜が、下記要件(i)を満たすポリブチレンサクシネート(A)を含む、被覆粒状肥料。
(i)ISO1133に準拠して、190℃、2.16kg荷重で測定したメルトフローレート(MFR)が0.1~20g/10分の範囲にある。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒状肥料と、該粒状肥料表面を被覆する被膜とを有する被覆粒状肥料であり、
前記被膜が、下記要件(i)を満たすポリブチレンサクシネート(A)を含む、被覆粒状肥料。
(i)ISO1133に準拠して、190℃、2.16kg荷重で測定したメルトフローレート(MFR)が0.1~20g/10分の範囲にある。
【請求項2】
前記ポリブチレンサクシネート(A)のメルトフローレート(MFR)が4~6g/10分の範囲にある、請求項1に記載の被覆粒状肥料。
【請求項3】
前記被膜を形成する材料100質量%中、前記ポリブチレンサクシネート(A)を30~100質量%含む、請求項1又は2に記載の被覆粒状肥料。
【請求項4】
前記被覆粒状肥料100質量%に対する、前記被膜の割合が3~20質量%である、請求項1又は2に記載の被覆粒状肥料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被覆粒状肥料に関する。
【背景技術】
【0002】
合成樹脂等の被膜材料によって粒状肥料の表面を被覆した被覆粒状肥料が知られている。被覆粒状肥料は、肥料成分の溶出コントロールに優れているため、農作業の省力化の達成や肥料成分による環境負荷低減等の効果が認められている。このような被覆粒状肥料を用いた栽培技術は、近年、普及拡大している。
しかし、従来の被覆肥料は難分解性の樹脂で被覆されたものが多く、肥料成分溶出後の被膜に含まれる難分解性の樹脂が環境中に残存することが問題になっている。この問題を解決するために、例えば、特許文献1では、有機金属錯体を添加したポリオレフィン主体の皮膜により被覆された、皮膜の分解性に優れた被覆肥料が開示されている。
特許文献2では、ポリエステルポリオール成分と、ポリイソシアネート成分とを反応してなる、生分解性を有する原料を用いた肥料用被覆組成物が開示されている。
特許文献3では、生分解性樹脂で被覆された粒状肥料の表面が少なくともアンモニア態窒素を表面又は内部に有する分解性被膜で被覆された、完全分解性被覆粒状肥料が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-231190号公報
【特許文献2】特開2009-1467号公報
【特許文献3】特開平10-291882号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術は、被膜が分解される途中で、断片化したまま海洋中に長期間滞留する可能性が指摘されている。また、特許文献2の技術では、被膜の生分解性は満足できるものではなかった。特許文献3の技術では、生分解性樹脂の透湿度が高く、被覆粒状肥料からの肥料成分の溶出を抑えることが難しいという問題があった。
このようなことから、本発明は、生分解性及び肥料成分の溶出コントロール性に優れる被覆粒状肥料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した。その結果、以下の構成を有することにより上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、例えば以下の〔1〕~〔4〕に関する。
〔1〕 粒状肥料と、該粒状肥料表面を被覆する被膜とを有する被覆粒状肥料であり、
前記被膜が、下記要件(i)を満たすポリブチレンサクシネート(A)を含む、被覆粒状肥料。
(i)ISO1133に準拠して、190℃、2.16kg荷重で測定したメルトフローレート(MFR)が0.1~20g/10分の範囲にある。
〔2〕 前記ポリブチレンサクシネート(A)のメルトフローレート(MFR)が4~6g/10分の範囲にある、〔1〕に記載の被覆粒状肥料。
〔3〕 前記被膜を形成する材料100質量%中、前記ポリブチレンサクシネート(A)を30~100質量%含む、〔1〕又は〔2〕に記載の被覆粒状肥料。
〔4〕 前記被覆粒状肥料100質量%に対する、前記被膜の割合が3~20質量%である、〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の被覆粒状肥料。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、生分解性及び肥料成分の溶出コントロール性に優れる被覆粒状肥料を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本発明の被覆粒状肥料を製造する装置の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に本発明について具体的に説明する。
<被覆粒状肥料>
本発明の被覆粒状肥料は、粒状肥料(以下、「芯材」とも称する。)と、該粒状肥料表面を被覆する被膜とを有する被覆粒状肥料であり、前記被膜が、下記要件(i)を満たすポリブチレンサクシネート(A)(以下、単に「ポリブチレンサクシネート(A)」とも称する。)を含む。
(i)ISO1133に準拠して、190℃、2.16kg荷重で測定したメルトフローレート(MFR)が0.1~20g/10分の範囲にある。
【0009】
<ポリブチレンサクシネート(A)>
ポリブチレンサクシネート(A)は、1,4-ブタンジオ-ルとコハク酸との共重合体であるポリブチレンサクシネートであって、下記要件(i)を満たすものである。
(i)ISO1133に準拠して、190℃、2.16kg荷重で測定したメルトフローレート(MFR)が0.1~20g/10分の範囲にある。
【0010】
ポリブチレンサクシネート(A)は、ISO1133に準拠して、190℃、2.16kg荷重で測定したメルトフローレート(MFR)が、好ましくは0.1~20g/10分、より好ましくは0.1~10g/10分、さらに好ましくは2~10g/10分、特に好ましくは4~6g/10分である。
ポリブチレンサクシネート(A)のMFRが前記範囲内にあると、製膜が良好であるため被膜の欠陥が少なく、肥料成分の初期溶出量が少ない被覆粒状肥料を作製することができる。より具体的には、MFRが低すぎると、被膜材料を含む被覆液の粘性が高くなり、粒状肥料上で被覆液滴が十分に広がりにくくなった結果、膜の欠陥が増え、十分な溶出抑制が困難になる。また、MFRが高すぎると、被覆液の粘性が低くなりすぎるため、粒状肥料に被覆液滴が付着した後、粒状肥料上に留らずに飛散し易くなり、膜の欠陥や被覆ムラが増え、溶出や衝撃に対する膜の強度に問題を生じやすい。被膜材料を溶媒に溶解又は、分散して噴霧する製造方法において、上記傾向は顕著である。
【0011】
ポリブチレンサクシネート(A)は、ISO1183に準拠して測定した密度が、好ましくは1.1~1.4g/cm3、より好ましくは1.2~1.3g/cm3である。ポリブチレンサクシネート(A)の密度が前記範囲内にあると、透湿度が低く、溶出を抑制しやすい傾向にある。
【0012】
ポリブチレンサクシネート(A)は、ISO3146に準拠して測定した融点が、好ましくは100~130℃、より好ましくは110~120℃である。ポリブチレンサクシネート(A)の融点が前記範囲内にあると、被覆時に樹脂の析出を制御しやすいため、製膜が良好になる傾向にある。
【0013】
ポリブチレンサクシネート(A)の製造方法は特に制限されず、公知の方法を用いることができる。例えば、ポリブチレンサクシネート(A)は、1,4-ブタンジオ-ルとコハク酸と重縮合反応させて合成することができる。また、ポリブチレンサクシネート(A)は、前記重縮合反応物に少量の結合剤を添加し、結合反応によって所望の高分子量に制御してもよい。
【0014】
ポリブチレンサクシネート(A)としては市販品を使用することもできる。具体的には、三菱ケミカル株式会社製のBioPBSTM FZ91などが挙げられる。また、その他のメーカー製でも要件(i)を満たすポリブチレンサクシネートであれば、好ましく使用することができる。これらの市販品は1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合せて用いてもよい。
【0015】
ポリブチレンサクシネート(A)は、生分解性樹脂の1種であり、微生物の存在する自然環境下(土壌中、淡水中、海中、堆肥中)で生分解され、最終的に炭酸ガスと水に分解されるので、環境に負荷を与えにくい。また、ポリオレフィンに似た機械的特性(強度や伸び)を示し、強靭である。さらに、非結晶部のガラス転移温度が低いため、耐寒性に優れている。また、分子鎖の末端のカルボキシル基が極めて少ないことから、熱安定性に優れる。ポリブチレンサクシネート(A)は以上のような優れた特性を有するので、ポリブチレンサクシネート(A)を含む被膜は、強靭で耐寒性、熱安定性に優れ、生分解性が高い。前記被膜を有する、本発明の被覆粒状肥料は、生分解性に優れ、肥料成分の溶出コントロール性にも優れる。より具体的には、本発明の被覆粒状肥料は、施肥後初期の肥料成分の溶出量が少ないため、植物生育に悪影響を与えにくい。
【0016】
<粒状肥料>
本発明で用いる粒状肥料は、窒素、りん酸、加里等の肥料成分を1種以上含むものであればよい。具体的には窒素質肥料、リン酸質肥料、加里質肥料のほか、必要によって植物必須要素のカルシウム、マグネシウム、硫黄、鉄、マンガンやほう素等の微量要素やケイ素等を含有する肥料を挙げることができる。また、硝酸化成抑制材や農薬成分等を含む肥料でもよい。これらの中でも、水溶解度が大きく環境流出しやすい硫酸アンモニア、尿素、硝酸アンモニア等を含む窒素質肥料や硫酸加里、塩化加里等を含む加里質肥料、尿素、アンモニア性窒素、硝酸性窒素を含む化成肥料等が好ましく、肥料成分当たりの単価が安い尿素がより好ましい。
肥料成分は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合せて用いてもよい。
【0017】
粒状肥料は、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の成分を含んでいてもよい。粒状肥料に含まれるその他の成分としては、例えば、担体、結合剤、界面活性剤、廃糖蜜、動物油、植物油、水素添加油、脂肪酸、脂肪酸金属塩、パラフィン、ワックス、グリセリンが挙げられ、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0018】
本発明で用いる粒状肥料の製造方法は特に限定されず、公知の造粒法を用いて製造することができる。粒状肥料は、例えば、流動層式造粒法、転動造粒法、被覆造粒法、吸着造粒法等を用いて製造することができる。
【0019】
本発明に用いる粒状肥料の形状は、特に限定されるものではないが、被膜材料を表面に均一に被覆しやすいという観点から、球状が好ましい。
粒状肥料の形状は、具体的には、下記式(I)で求められる円形度係数が、0.7以上1以下が好ましく、0.75以上1以下がより好ましく、0.8以上1以下が最も好ましい。円形度係数の最大値は1であり、1に近づくほど粒状肥料の粒子は真円に近づき、粒子の形状が真円から崩れるに従って円形度係数は小さくなる。
円形度係数={(4π×粒子の投影面積)/(粒子投影図の輪郭の長さ)2
・・・式(I)
【0020】
本発明において、粒状肥料は、平均粒径が好ましくは1~10mm、より好ましくは2~5mmである。粒状肥料が前記範囲内であると、粒状肥料の表面を被覆して被覆粒状肥料を作成しやすくなることから好ましい。
粒状肥料としては、市販の粒状肥料、又は製造した粒状肥料を用いることができ、適宜篩い等を用いることにより、平均粒径を所望の値に調製することができる。
本発明において、平均粒径は、動的画像解析法等の粒度分布計により算出された平均粒径のことを指す。
【0021】
本発明において、市販の粒状肥料としては、例えば、粒状尿素として、urea(PETRONAS Fertilizer(Kedah)Sdn.Bhd社製)、粒状燐安としては、りん安(セントラルグリーン株式会社製)、粒状加里としては、硫酸加里(朝日アグリア株式会社製)を用いることができる。
【0022】
<被膜>
本発明の被覆粒状肥料は、粒状肥料と、該粒状肥料表面を被覆する被膜とを有する。
被膜は、被膜を形成する材料(以下、「被膜材料」とも称する。)として、ポリブチレンサクシネート(A)を含む。
本発明の被覆粒状肥料は、被膜を形成する材料100質量%中、ポリブチレンサクシネート(A)を30~100質量%含むことが好ましく、60~100質量%含むことがより好ましい。被膜を形成する材料100質量%中のポリブチレンサクシネート(A)の含有量が30質量%を下回る場合、肥料成分の初期溶出量が多くなることがある。
【0023】
被膜を形成する材料には、本発明の効果を損なわない範囲において、ポリブチレンサクシネート(A)以外の他の生分解性樹脂(B)を添加しても良い。前記他の生分解性樹脂(B)の融点は70℃以上である。
他の生分解性樹脂(B)としては、澱粉ポリエステル、酢酸セルロース、ポリ乳酸、ポリヒドロキシブチレート、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシヘキサノエート)、(ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシバレレート))、スターチ、セルロース、リグニン、キチン、キトサン、ポリグリコール酸、ポリ乳酸/ポリエーテル共重合体、ブタンジオール/長鎖ジカルボン酸共重合体、脂肪族芳香族系ポリエステル、ポリテトラメチレンアジペート・コ・テレフタレート、ポリエチレンテレフタレートサクシネート、ポリエチレンテレフタレート共重合体、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリジオキサン、ポリビニルアルコール、ポリブチレンアジペートテレフタレート、ポリブチレンサクシネート(A)以外のポリブチレンサクシネートなどが挙げられる。
【0024】
他の生分解性樹脂(B)は、これらの中でも、バイオマス原料からの製法が確立されているため、環境面を重視すればポリブチレンサクシネート(A)以外のポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリヒドロキシブチレート、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシヘキサノエート)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシバレレート)が好ましく、また自然物を利用できるという観点からは、スターチ、酢酸セルロース、リグニン、キチン、キトサンが好ましく、力がかかったときに壊れにくいという点からは、物理的特性に優れるポリ乳酸やポリグリコール酸が好ましく、衝撃に対する耐性という点からは、膜の柔軟性に優れるポリブチレンアジペートテレフタレートが好ましい。
【0025】
他の生分解性樹脂(B)は、単独でも使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。他の生分解性樹脂(B)は、ポリブチレンサクシネート(A)と混合して被膜を形成してもよいし、ポリブチレンサクシネート(A)層と他の生分解性樹脂層の被膜を重ねて多層被膜を形成してもよい。
【0026】
被膜を形成する材料に他の生分解性樹脂(B)を添加する場合、他の生分解性樹脂(B)は、被膜を形成する材料100質量%中、0.1~70質量%含むことが好ましく、5~30質量%含むことがより好ましい。上記範囲内であれば、本発明の効果を損ないにくい。
【0027】
被膜を形成する材料は、融点が70℃より低い生分解性樹脂を含んでもよいが、その含有量は、被膜を形成する材料100質量%中、好ましくは70%以下、より好ましくは50%、さらに好ましくは10%未満である。被膜を形成する材料に、融点が70℃より低い生分解性樹脂であるポリカプロラクトンを含まないことが、更に好ましい。
融点が70℃より低い生分解性樹脂、特に融点が60℃付近で且つ分子量が1万以上である生分解性樹脂が被膜を形成する材料に含まれている場合、被覆工程において、被覆された粒状肥料同士が融着しあうブロッキングを生じやすくなる。融点が60℃付近で且つ分子量が1万以上である生分解性樹脂としては、例えばポリカプロラクトンが挙げられる。
【0028】
被膜を形成する材料には、本発明の効果を損なわない範囲において、フィラーを添加してもよい。フィラーとしては、例えば、タルク、マイカ、ハイドロタルサイト等の板状フィラー、炭酸カルシウム、シリカ、クレー、各種鉱石粉砕品、硫黄等の無機物のほか、界面活性剤等の有機物が挙げられる。フィラーは、1種単独でも使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
比較的安価であることから、フィラーは無機物フィラーが好ましく、被膜の強度が向上し、添加に伴う溶出コントロール性悪化が少ないことから、板状フィラーがより好ましく、タルクがさらに好ましい。
【0029】
フィラーのメディアン径は、100μm以下が好ましく、1~50μmがより好ましい。メディアン径が上記の範囲であると、メディアン径が大きすぎて製膜時に被膜が剥離したり、被覆用樹脂組成物が噴霧ノズル等に詰まる等の問題が起きにくい。フィラーは、メディアン径が被膜の厚みより大きくて被膜表面から一部分が突出する場合でも、被膜に一部分が取り込まれて接着している状況であれば、所期の目的は達成される。メディアン径の測定は、例えば前記レーザー回折式粒度分布測定装置ほか公知の方法を用いることができる。
【0030】
フィラーを配合する場合、フィラーの種類にもよるが、被膜を形成する材料100質量%中、フィラーを20~80質量%含むことが好ましく、40~70質量%含むことがより好ましい。被膜を形成する材料100質量%中のフィラーの含有量が20質量%を下回る場合、添加による被膜強度向上効果が少なくなりやすい。被膜を形成する材料100質量%中のフィラーの含有量が80質量%を上回ると、溶出コントロール性が顕著に悪くなりやすい。
【0031】
本発明において、被覆粒状肥料100質量%に対する被膜を形成する材料の割合を被覆率と定義し、被覆率は下記式(II)で表すことができる。
被覆率(%)=(被膜を形成する材料の質量)/(被覆粒状肥料の質量)×100
・・・式(II)
なお、被膜を形成する材料の質量は、被覆粒状肥料の質量から、被覆前の粒状肥料の質量を差し引いて算出した。また、各質量は被覆粒状肥料、または被覆前の粒状肥料350個の平均値を用いた。
被覆率は、粒状肥料の形状や大きさによっても異なるが、好ましくは3~20%、より好ましくは5~12%である。被覆率が前記範囲内にあると、肥料成分の溶出コントロール性に優れるため好ましい。
【0032】
<肥料成分の溶出コントロール性>
被覆粒状肥料における肥料成分の溶出コントロール性は、例えば、被覆粒状肥料を水中に浸漬した場合の肥料成分の溶出率(%)で評価することができる。肥料成分の溶出率(%)は、下記式(III)で表すことができる。
溶出率(%)=(溶出した肥料成分の質量)/(被覆粒状肥料に含まれる肥料成分の質量)×100
・・・式(III)
【0033】
肥料成分の溶出率は、例えば25℃の水中に被覆粒状肥料を静置し、経時的に水中に溶出した肥料成分を定量分析することにより測定することができる。肥料成分の定量分析法としては、例えば、農林水産省環境技術研究所より提案されている方法(「詳解肥料分析法」越野正義編著、1988年、養賢堂発行)が挙げられる。
【0034】
肥料成分は一般的に水溶性であり、被膜に欠陥があれば施肥と同時に多くの肥料成分が溶出してしまい、溶出コントロール性としては不充分である。本発明の被覆粒状肥料が有する溶出コントロール性としては、25℃の水中における2時間後の溶出率が30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましい。
【0035】
<被覆粒状肥料の製造方法>
本発明の被覆粒状肥料の製造方法は特に制限されない。被覆粒状肥料は、芯材表面に上記の被膜材料を被覆させることにより製造することができ、例えば、溶融分散した被膜材料を芯材表面に噴霧する方法、溶媒に被膜材料を溶解又は分散させた被膜材料を芯材表面に噴霧する方法(溶解液噴霧法)、モノマーを芯材表面に噴霧し、表面で反応させて樹脂化(被膜化)する方法、さらに、被膜材料に芯材を浸すディップ法などの公知の技術を用いることができる。これらのなかでも、溶解液噴霧法が好ましい。
溶媒に被膜材料を溶解又は分散させる場合、溶媒は、被膜材料を溶解又は分散させることができれば特に制限はないが、30℃以上、150℃以下の沸点を持つ溶媒が好ましい。沸点が30℃を下回ると、凝縮回収が難しく、150℃を上回ると、乾燥が難しい。不燃又は難燃性の観点から、ハロゲン系の溶媒又は水が好ましく、ハロゲン系の溶媒としては、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、パークロロエチレンなどが挙げられる。溶媒は混合して使用する事も可能である。環境への影響の観点からハロゲン系以外の溶媒が好ましく、トルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタンなどが挙げられる。
【0036】
被覆に用いる装置は特に制限されず、被覆方法として、例えば、パン被覆法、噴流層被覆法、流動層被覆法、転動被覆法、ドライ被覆法、或いはこれらの組み合せた方法などを採用する装置が挙げられる。本発明では噴流層被覆法又は流動層被覆法を用いることが好ましい。
【0037】
本発明の一態様は、粒状肥料と、該粒状肥料表面を被覆する被膜とを有する被覆粒状肥料であり、該被膜が、下記要件(i)を満たすポリブチレンサクシネート(A)を含み、溶媒に被膜材料を溶解、又は分散させた被覆液を該粒状肥料表面に噴霧する方法により製造された被覆粒状肥料である。
(i)ISO1133に準拠して、190℃、2.16kg荷重で測定したメルトフローレート(MFR)が0.1~20g/10分の範囲にある。
このような被覆粒状肥料は、ポリブチレンサクシネート(A)を溶媒に溶解、又は分散させた被覆液を粒状肥料表面に噴霧することにより、欠陥の少ない被膜が得られるので、肥料成分の溶出コントロール性に優れるものである。
【0038】
本発明の一態様は、被覆装置から排出された溶媒を含む流動ガスを除塵器で除塵後、凝縮器によって前記溶媒を回収し、前記凝縮器で分離されたガスを加熱器で加熱して、前記回収溶媒と前記加熱ガスを循環再使用し、下記工程(α)~(δ)を含む、被覆粒状肥料の製造方法である。
被覆液調整工程(α):溶媒と、ポリブチレンサクシネート(A)を含有する被膜材料を溶解又は分散させた被覆液を調整する工程;
被覆工程(β):前記被覆装置内において流動ガス気流下で前記被覆液を芯材に噴霧するとともに、前記被覆液中の溶媒を瞬時に蒸発乾燥させることにより前記芯材表面に被膜を形成させる工程;
脱気工程(γ):被覆工程(β)により被膜が形成された芯材に含まれる前記溶媒を通風により脱気して除去することにより、その濃度を前記被膜が形成された芯材に対して500ppm以下にする工程;及び
回収工程(δ):脱気工程(γ)の通風による脱気に用いたガスから前記溶媒を凝縮器及び/又は活性炭を用いて回収する工程。
【0039】
被覆粒状肥料の製造方法の好ましい一態様として、図1に示した被覆装置を参照しながら流動層被覆法を説明する。流動ガスは流動層1の下部から上部に向けて流れ集塵機6を通過し、凝縮器7でガスを冷却し、溶媒を凝縮回収する。凝縮器7を通過したガスはヒーター12を通過して加熱され熱風として再度流動層1へ導かれるように循環している。このようなクローズドシステムを採用することで溶媒を外部に排出することはない。ガスの流動はブロワー8により行なうが、設置位置は特に限定されない。
芯材を流動層1の側面に設置されている投入口から投入し、流動層1下部より導入される流動ガス及び流動層1底部に設置される攪拌翼で流動状態にする。この際、芯材温度はガス流量及び流動ガスの温度等で調節できる。流動ガス流量は流量計で測定しながら調節し、流動ガスの温度は芯材温度や排気温度(流動層1上部温度)を測定しながら調節する。
【0040】
被覆液調整工程(α)における被覆液は、ポリブチレンサクシネート(A)にさらに必要に応じて他材料を添加して被膜材料を秤取り、この被膜材料を溶媒に溶解又は分散させて調製する。溶媒に不溶なフィラー等の材料を使用する場合は、被覆液中に均一に分散させるために、撹拌を強力に行うことが好ましい。
被覆液は、被膜材料の割合が通常0.1~20質量%となるように調整することが好ましく、特に1~15質量%となるように調整することが好ましく、さらに2~10質量%となるように調整することが好ましい。
【0041】
被覆工程(β)において、この被覆装置は、流動状態にある芯材3に対し、被膜材料を配管5経由で輸送し、スプレーノズル2により噴霧し、これを芯材3の表面に吹き付けると同時に、並行して高温の流動ガスを流動層1の下部からこの流動ガスによって、芯材表面に付着している被覆液中の溶媒を瞬時に蒸発乾燥させるものである。噴霧時間は、被覆液の樹脂の濃度、及び被覆液の噴霧速度、被覆率等により異なるが、これらは目的に応じて適宜選択されるべきものである。
【0042】
脱気工程(γ)における通風としては、溶媒を含有していない、加熱された窒素や空気、水蒸気等のガスが好ましい。また、脱気は、前記被覆装置を使用してもよいが、被覆装置とは別の脱気装置にて行っても構わない。
【0043】
回収工程(δ)で用いる凝縮器に用いる冷媒は特に限定されず、公知のものを使用することができる。活性炭は粒状であると取扱しやすいため好ましい。溶媒を多く含む脱気ガスを回収工程で処理するには凝縮器で溶媒濃度を下げた後、活性炭を併用することが好ましい。
【0044】
図1に示した被覆装置以外の本発明に使用しうる被覆装置としては、流動層型又は噴流層型の被覆装置として、特公昭42-24281号公報及び特公昭42-24282号公報に開示された、ガス体により粒状肥料の噴水型流動層を形成せしめ、中心部に生ずる粒状肥料分散層にコーティング剤を噴霧する装置を挙げることができ、回転型の被覆装置としては、特開平7-31914号公報及び特開平7-195007号公報に開示された、ドラムの回転によりドラム内周に具えたリフターによって粉粒体を上方に移送した後に落下させ、落下中の粉粒体表面にコーティング剤を塗布し、被膜を形成させる装置を挙げることができる。
【実施例0045】
次に本発明について実施例を示してさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、特にことわりのない限り、以下の実施例における「%」は質量%を意味する。
【0046】
<メルトフローレート(MFR)の測定>
実施例及び比較例で用いる、ポリブチレンサクシネート及びポリ乳酸について、ISO1133の方法に準拠してメルトフローレート(MFR)の測定を行った。その際、溶融温度は190℃、測定装置のピストン荷重は2.16kg、押出し時間は10分間で実施した。測定結果は、表1に示す。
【0047】
(実施例1)
[被覆粒状肥料の製造]
図1に示す製造装置を用いて、次の方法により粒状肥料(粒状尿素)の表面を被覆した。
図1の製造装置内では、熱風が流動層1の下部から上部に向けて流れ、集塵機6を通過し、コンデンサー7でガスを冷却し、溶媒を凝縮回収した。コンデンサー7を通過したガスはブロワー8からヒーター12を通過して加熱され、熱風として再度流動層1へ導かれるように循環していた。
【0048】
粒子3として、粒状尿素(PETRONAS Fertilizer(Kedah)Sdn. Bhd社製の「urea」を、粒子径3.0~4.0mmになるように篩い分けたもの、平均粒径3.3mm、円形度係数0.9)を用いた。粒子径、及び平均粒径は、動的画像解析法(Millitrac JPA:日機装株式会社製)にて測定した。
粒状尿素400gを流動層1の側面に設置されている投入口から投入し、流動層1下部より導入される熱風及び流動層1底部に設置される攪拌翼で流動状態にした。この際、粒子温度が60±2℃になるように、熱風流量及び熱風温度を調節した。熱風流量はブロワー8と流動層1の間に設置した流量計で測定しながら調節し、熱風温度は粒子温度や排気温度(流動層1上部温度)を測定しながら調節した。
【0049】
図1の溶解槽9に被膜材料としてポリブチレンサクシネート(三菱ケミカル株式会社製BioPBSTM FZ91、密度1.26g/cm3(ISO1183)、融点115℃(ISO3146)、PBS-1とも称する)100質量部と、被覆液の溶媒としてトリクロロエチレン1900質量部とを投入し、79±2℃で90分間混合撹拌することによって均一に溶解し、濃度5質量%の均一な噴霧液5を調製した。また、被覆が終了するまで溶解槽9は常時攪拌した。
【0050】
噴霧液5を流動層1の上部に設置されているスプレーノズル2に流速約35.5ml/分で輸送し、流動中の粒状尿素に噴霧し吹き付けた。吹き付けられた噴霧液に含まれるトリクロロエチレンはコンデンサー7により凝縮・回収されてタンク11で貯蔵され、溶解槽9へ導かれた。
【0051】
前述の被覆操作は流動中の粒状尿素の温度が60℃に達した時点から開始し、被覆率が8.4質量%となるまで行った。その後、粒子温度を60±2℃に維持することに留意して、熱風の温度調節をしながら10分間熱風のみを吹き付けて乾燥を実施した。乾燥が終了した時点で被覆された粒状尿素を流動層1の最下部にある抜き出し口13より排出した後、0.5~1時間の通風処理を行なうことで脱気してトリクロロエチレンを除去し、被覆粒状肥料を得た。脱気処理後の被覆粒状肥料100質量%に含まれるトリクロロエチレンは、2.2ppmであった。なお、前記通風による脱気に用いたトリクロロエチレン含有ガスは活性炭を用いて、トリクロロエチレンを分離吸着させ、回収した。
【0052】
被覆粒状肥料の製造条件を要約すると以下の通りである。
粒状尿素:400g
被覆中の粒子温度:60℃
溶解温度:79±2℃
噴霧液温度:79±2℃
熱風温度:70~80℃
スプレー流速:35.5ml/分
【0053】
(実施例2)
溶解槽9に被膜材料としてポリブチレンサクシネート(三菱ケミカル株式会社製BioPBSTM FZ91、PBS-1)40質量部と、タルク(富士タルク工業製、MS412、メディアン径12μm)60質量部と、被覆液の溶媒としてトリクロロエチレン1900質量部を投入した以外は、実施例1と同様にして、実施例2のポリブチレンサクシネート被覆粒状肥料を得た。
【0054】
(実施例3~6)
被覆操作を行う時間を変化させて被覆率を変えた以外は、実施例1と同様にして、実施例3~6の被覆粒状肥料を得た。被覆率は表1に示す。
【0055】
(実施例7)
溶解槽9に被膜材料としてポリブチレンサクシネート(三菱ケミカル株式会社製BioPBSTM FZ91、PBS-1)33質量部とポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)(BASF社製、ECOFLEX)67質量部とを、被覆液の溶媒剤としてトリクロロエチレン3200質量部を投入した以外は、実施例1と同様にして、実施例7の被覆粒状肥料を得た。ポリブチレンサクシネートとPBATの質量比は2:1であった。
【0056】
(比較例1)
溶解槽9に被膜材料としてポリブチレンサクシネート(三菱ケミカル株式会社製BioPBSTM FZ71、密度1.26g/cm3(ISO1183)、融点115℃(ISO3146)、PBS-2とも称する)100質量部と、被覆液の溶媒としてトリクロロエチレン3200質量部を投入した以外は、実施例1と同様にして、比較例1のポリブチレンサクシネート被覆粒状肥料を得た。
【0057】
(比較例2)
溶解槽9に被膜材料としてポリ乳酸(NatureWorks社製 IngeoTM Biopolymer 4060D、密度1.24g/cm3(ASTM D1505)、PLAとも称する)100質量部と、被覆液の溶媒としてトリクロロエチレン3200質量部を投入した以外は、実施例1と同様にして、比較例2のポリ乳酸被覆粒状肥料を得た。
【0058】
(比較例3)
溶解槽9に被膜材料としてポリブチレンアジペートテレフタレート(BASF製 ECOFLEX)100質量部を、被覆液の溶媒としてトリクロロエチレン3200質量部を投入した以外は、実施例1と同様にして、被覆操作を行い、ポリブチレンアジペートテレフタレート被覆粒状肥料を得た。
【0059】
(比較例4)
溶解槽9に被膜材料としてポリブチレンサクシネート(三菱ケミカル株式会社製BioPBSTM FZ91、PBS-1)33質量部とポリカプロラクトン(Ingevity社製、Capa6500、融点60℃)67質量部とを、被覆液の溶媒としてトリクロロエチレン3200質量部を投入した以外は、実施例1と同様にして、被覆操作を行ったが、ブロッキングを起こして粒状とならず、被覆粒状肥料を得る事は出来なかった。
【0060】
〔被覆率の測定〕
被覆率は下記式(IV)により算出した。
被覆率(%)=(被膜を形成する材料の質量)/(被覆粒状肥料の質量)×100
・・・式(IV)
なお、被膜を形成する材料の質量は、被覆粒状肥料の質量から、被覆前の粒状肥料の質量を差し引いて算出した。また、各質量は被覆粒状肥料、または被覆前の粒状肥料350個の平均値を用いた。
結果を表1に示す。
【0061】
[溶出率の測定]
実施例及び比較例で得られた被覆粒状肥料について、肥料成分の水中への溶出率を測定した。実施例及び比較例の被覆粒状肥料を10gと、あらかじめ25℃に調整をしておいた蒸留水200mlとを250mlの蓋付きポリ容器に加え、25℃設定のインキュベーター内に静置した。2時間後、該容器から水を全て抜き取り、抜き取った水に含まれる尿素量(尿素溶出量)を定量分析(ジメチルアミノベンズアルデヒド法「詳解肥料 分析法 第二改訂版」越野正義編著 1988年 養賢堂)により求め、溶出した尿素量とした。別途、予め同一ロットの被覆粒状肥料に含まれる尿素含有量もジメチルベンズアルデヒド法で測定した。下記式(V)により、溶出率を算出した。
溶出率(%)=(溶出した尿素量)/(被覆粒状肥料に含まれる尿素量)×100
・・・式(V)
結果を表1に示す。
【0062】
【表1】
【0063】
表1より、実施例1、2は比較例1、2、3と比較して溶出率が低いことがわかる。MFRが5g/10分のポリブチレンサクシネートを用いた被覆粒状肥料の2時間後溶出率は30質量%以下であり、溶出コントロール性が高いことが示された。また、実施例5及び6は被覆率が比較例1、2よりも低いにもかかわらず、溶出率が低く、溶出抑制に有効であることが分かる。被覆率を高めると溶出抑制効果は更に高める事も可能である。
【符号の説明】
【0064】
1.流動層
2.スプレーノズル
3.粒子
4.熱風
5.噴霧液
6.集塵機
7.コンデンサー
8.ブロワー
9.溶解槽
10.ポンプ
11.タンク
12.ヒーター
13.抜き出し口
図1