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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023090281
(43)【公開日】2023-06-29
(54)【発明の名称】カートリッジ式内容物押出容器
(51)【国際特許分類】
   A45D 34/04 20060101AFI20230622BHJP
   A45D 40/20 20060101ALI20230622BHJP
   B65D 83/76 20060101ALI20230622BHJP
   B05C 17/01 20060101ALI20230622BHJP
【FI】
A45D34/04 525Z
A45D40/20 D
A45D40/20 E
B65D83/76 140
B05C17/01
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021205166
(22)【出願日】2021-12-17
(71)【出願人】
【識別番号】591147339
【氏名又は名称】株式会社トキワ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【弁理士】
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 匠
【テーマコード(参考)】
3E014
4F042
【Fターム(参考)】
3E014KA05
4F042FA24
4F042FA30
4F042FA36
(57)【要約】
【課題】使用性をより高めることができるカートリッジ式内容物押出容器を提供する。
【解決手段】一実施形態に係るカートリッジ式内容物押出容器1は、カートリッジ部10と、本体筒2と、弾性部22dの内面に雌螺子22bを有する螺子筒22と、雄螺子21bを有する移動体21と、弾性部22dを径方向に広げて雄螺子21bと雌螺子22bの螺合を解除する螺合調整部材23と、移動体21と同期回転すると共に軸線方向D1に沿って移動する回転部材27と、押圧可能とされたノック部材29と、複数の第1歯22xとを備える。回転部材27は複数の第2歯27kを有する。ノック部材29が押圧されたときに、回転部材27が前進して第1歯22xに第2歯27kが噛み合うと共に螺子筒22に対して回転部材27及び移動体21が回転することにより、螺合作用が働いて移動体21が前進する。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容されたカートリッジ部と、
前記カートリッジ部が着脱可能に装着される本体筒と、
前記本体筒の内部に設けられ、前記本体筒の径方向に弾性変形する弾性部を有し、前記弾性部の内面に雌螺子が形成された螺子筒と、
前記雌螺子に螺合する雄螺子を外周に有し、前記雌螺子と前記雄螺子の螺合作用によって前進して前記内容物を押し出す移動体と、
前記本体筒から前記カートリッジ部が外されるときに前進し、前記螺子筒の前記弾性部を前記径方向に広げて前記雌螺子と前記雄螺子の螺合を解除する螺合調整部材と、
前記螺子筒の後方において前記移動体と同期回転すると共に前記本体筒の軸線が延びる軸線方向に沿って移動する回転部材と、
前記回転部材の後側に設けられ、前記内容物を押し出すために押圧可能とされたノック部材と、
前記本体筒の内部における前記回転部材の前方に設けられ、前記本体筒の周方向に沿って並ぶ複数の第1歯と、
を備え、
前記回転部材は、前記周方向に沿って並ぶと共に前記第1歯と噛み合う複数の第2歯を有し、
前記ノック部材が押圧されたときに、前記回転部材が前進して前記第1歯に前記第2歯が噛み合うと共に前記螺子筒に対して前記回転部材及び前記移動体が回転することにより、前記螺合作用が働いて前記移動体が前進する、
カートリッジ式内容物押出容器。
【請求項2】
前記移動体を前方に付勢する第1スプリングを備える、
請求項1に記載のカートリッジ式内容物押出容器。
【請求項3】
前記螺子筒と前記回転部材との間に設けられ、前記ノック部材への押圧が解除されたときに前記回転部材及び前記ノック部材を後方に移動させる第2スプリングを備える、
請求項1又は2に記載のカートリッジ式内容物押出容器。
【請求項4】
前記回転部材と前記ノック部材との間に設けられ、前記周方向に沿って並ぶ複数の第3歯を有するラチェット部材を備え、
前記回転部材は、前記周方向に沿って並ぶと共に前記第3歯と噛み合う複数の第4歯を有し、
前記ノック部材への押圧が解除されたときに、前記回転部材が後方に移動して前記第3歯に前記第4歯が噛み合うと共に前記ラチェット部材に対して前記回転部材及び前記移動体が回転することにより、前記螺合作用が働いて前記移動体が前進する、
請求項1~3のいずれか一項に記載のカートリッジ式内容物押出容器。
【請求項5】
前記螺合調整部材と前記螺子筒との間に設けられ、前記本体筒から前記カートリッジ部が外されるときに前記螺合調整部材を前進させる第3スプリングを備える、
請求項1~4のいずれか一項に記載のカートリッジ式内容物押出容器。
【請求項6】
前記螺合調整部材は、前記本体筒に前記カートリッジ部が装着されるときに、前記カートリッジ部に押されて後方に移動し、前記螺子筒の前記弾性部を前記径方向に狭めて前記雌螺子を前記雄螺子に螺合させる、
請求項1~5のいずれか一項に記載のカートリッジ式内容物押出容器。
【請求項7】
前記カートリッジ部は、前記内容物が収容される収容室と、前記収容室に設けられたピストンとを有し、
前記移動体は、前記ピストンを介して前記内容物を押し出す、
請求項1~6のいずれか一項に記載のカートリッジ式内容物押出容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、カートリッジ部に収容された内容物を押し出すカートリッジ式内容物押出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、カートリッジ式内容物押出容器としては種々のものが知られている。特開2015-181862号公報には、液状化粧料を収容したカートリッジと、カートリッジが装着される本体筒と、本体筒の後端部に相対回転可能に装着された操作筒とを備えたカートリッジ式内容物押出容器が記載されている。
【0003】
本体筒の内部には、外周に雄螺子を有する移動体と、当該雄螺子と螺合する雌螺子を有する雌螺子部材と、当該雄螺子及び雌螺子の螺合を解除する螺合解除部材とが設けられる。螺合解除部材は、本体筒からカートリッジが外されるときに当該雄螺子及び雌螺子の螺合を解除し、本体筒にカートリッジが装着されるときに当該雄螺子への雌螺子の螺合を強制する。
【0004】
本体筒又はカートリッジと操作筒とが使用者により相対回転操作されると移動体が前進する。カートリッジは、液状化粧料を収容する収容室が内部に形成されたカートリッジ筒と、カートリッジの先端を構成する塗布体と、収容室における塗布体とは反対側に設けられたピストンとを有する。ピストンには移動体が当接し、上記の相対回転操作によって移動体がピストンを前方に押すことにより、液状化粧料が押し出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015-181862号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述したカートリッジ式内容物押出容器では、本体筒又はカートリッジと操作筒とが相対回転操作されることにより移動体が前進して液状化粧料が押し出される。この種のカートリッジ式内容物押出容器では、両手で操作を行うことが必要である。具体的には、一方の手で本体筒又はカートリッジを持ち、他方の手で操作筒を持って操作筒を相対回転させる操作が必要となる。従って、片手で操作を行うことが容易ではないため、使用性の点で改善の余地がある。
【0007】
本開示は、使用性をより高めることができるカートリッジ式内容物押出容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係るカートリッジ式内容物押出容器は、内容物が収容されたカートリッジ部と、カートリッジ部が着脱可能に装着される本体筒と、本体筒の内部に設けられ、本体筒の径方向に弾性変形する弾性部を有し、弾性部の内面に雌螺子が形成された螺子筒と、雌螺子に螺合する雄螺子を外周に有し、雌螺子と雄螺子の螺合作用によって前進して内容物を押し出す移動体と、本体筒からカートリッジ部が外されるときに前進し、螺子筒の弾性部を径方向に広げて雌螺子と雄螺子の螺合を解除する螺合調整部材と、螺子筒の後方において移動体と同期回転すると共に本体筒の軸線が延びる軸線方向に沿って移動する回転部材と、回転部材の後側に設けられ、内容物を押し出すために押圧可能とされたノック部材と、本体筒の内部における回転部材の前方に設けられ、本体筒の周方向に沿って並ぶ複数の第1歯と、を備える。回転部材は、周方向に沿って並ぶと共に第1歯と噛み合う複数の第2歯を有する。ノック部材が押圧されたときに、回転部材が前進して第1歯に第2歯が噛み合うと共に螺子筒に対して回転部材及び移動体が回転することにより、螺合作用が働いて移動体が前進する。
【0009】
このカートリッジ式内容物押出容器は内容物を収容するカートリッジ部とカートリッジ部が装着される本体筒とを備え、本体筒に対してカートリッジ部が着脱可能とされている。従って、内容物を使い切った後には、本体筒からカートリッジ部を外し、カートリッジ部のみを廃棄すればよいので、廃棄される部品の数を減らすことができる。カートリッジ式内容物押出容器は、径方向に弾性変形する弾性部を有する螺子筒と、螺子筒の雌螺子に螺合する雄螺子を有し前進してカートリッジ部の内部の内容物を押し出す移動体と、移動体と同期回転する回転部材と、押圧可能とされたノック部材とを備える。回転部材は、本体筒の内側に設けられた第1歯に噛み合う第2歯を有する。ノック部材が押圧されると、回転部材が前進して第1歯に第2歯が噛み合い、螺子筒に対して回転部材及び移動体が回転して移動体が前進する。従って、ノック部材の押圧操作によって螺子筒に対して回転部材及び移動体が回転し、この回転に伴って移動体が前進して内容物を押し出すことができるので、カートリッジ式内容物押出容器の使用性を高めることができる。すなわち、片手でカートリッジ式内容物押出容器を持って片手でノック部材を押圧して内容物を押し出すことができるので、使用性が高いカートリッジ式内容物押出容器とすることができる。以上のように、このカートリッジ式内容物押出容器では、ノックによる内容物の押し出しが可能となるので、使用性をより高めることができる。
【0010】
カートリッジ式内容物押出容器は、移動体を前方に付勢する第1スプリングを備えてもよい。この場合、本体筒からカートリッジ部を外すときに、第1スプリングによって移動体を前方に移動させることができる。
【0011】
カートリッジ式内容物押出容器は、螺子筒と回転部材との間に設けられ、ノック部材への押圧が解除されたときに回転部材及びノック部材を後方に移動させる第2スプリングを備えてもよい。この場合、ノック部材への押圧が解除されたときに、第2スプリングによって回転部材及びノック部材を後方に移動させることができる。
【0012】
カートリッジ式内容物押出容器は、回転部材とノック部材との間に設けられ、周方向に沿って並ぶ複数の第3歯を有するラチェット部材を備えてもよい。回転部材は、周方向に沿って並ぶと共に第3歯と噛み合う複数の第4歯を有してもよい。ノック部材への押圧が解除されたときに、回転部材が後方に移動して第3歯に第4歯が噛み合うと共にラチェット部材に対して回転部材及び移動体が回転することにより、螺合作用が働いて移動体が前進してもよい。この場合、ノック部材が押圧されたときだけでなく、ノック部材への押圧が解除されたときにも移動体を前進させて内容物を押し出すことができる。従って、カートリッジ式内容物押出容器の使用性を更に高めることができる。
【0013】
カートリッジ式内容物押出容器は、螺合調整部材と螺子筒との間に設けられ、本体筒からカートリッジ部が外されるときに螺合調整部材を前進させる第3スプリングを備えてもよい。この場合、本体筒からカートリッジ部が外されるときに、第3スプリングによって螺合調整部材を前進させることにより、弾性部を径方向に広げて雌螺子と雄螺子の螺合を容易に解除することができる。
【0014】
螺合調整部材は、本体筒にカートリッジ部が装着されるときに、カートリッジ部に押されて後方に移動し、螺子筒の弾性部を径方向に狭めて雌螺子を雄螺子に螺合させてもよい。この場合、カートリッジ部が装着されるときに螺合調整部材が後方に移動して雌螺子を雄螺子に螺合できるので、雄螺子に対する雌螺子の螺合を容易に行うことができる。
【0015】
カートリッジ部は、内容物が収容される収容室と、収容室に設けられたピストンとを有してもよい。移動体は、ピストンを介して内容物を押し出してもよい。この場合、内容物が液状内容物である場合に、ピストンによって液状内容物の漏れを抑制することができる。そして、ピストンを介して液状内容物を押し出すことができる。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、使用性をより高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】(a)は、実施形態に係るカートリッジ式内容物押出容器を示す断面図である。(b)は、実施形態に係るカートリッジ式内容物押出容器の本体筒を外した状態を示す側面図である。
図2】(a)は、図1(a)のカートリッジ式内容物押出容器の移動体を示す側面図である。(b)は、(a)のA-A線断面図である。
図3】(a)は、図1(a)のカートリッジ式内容物押出容器の螺子筒を示す側面図である。(b)は、(a)とは異なる方向から見た螺子筒の側面図である。
図4図3(a)の螺子筒を示す正面図である。
図5】(a)は、図1(a)のカートリッジ式内容物押出容器の螺合調整部材を示す側面図である。(b)は、(a)のB-B線断面図である。
図6図5(a)の螺合調整部材を後方から見た背面図である。
図7】(a)は、図1(a)のカートリッジ式内容物押出容器の回転部材を示す側面図である。(b)は、(a)のC-C線断面図である。
図8図7(a)の回転部材を示す斜視図である。
図9】(a)は、図1(a)のカートリッジ式内容物押出容器のラチェット部材を示す側面図である。(b)は、(a)のD-D線断面図である。
図10図9(a)のラチェット部材を示す斜視図である。
図11】(a)は、図1(a)のカートリッジ式内容物押出容器のノック部材を示す側面図である。(b)は、(a)のE-E線断面図である。
図12】(a)は、図1(a)のカートリッジ式内容物押出容器の本体筒を示す側面図である。(b)は、(a)のF-F線断面図である。
図13図1(a)のカートリッジ式内容物押出容器の内容物を使い切った状態を示すカートリッジ式内容物押出容器の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下では、図面を参照しながら本開示に係るカートリッジ式内容物押出容器の実施形態について説明する。図面の説明において同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また、図面は、理解の容易化のため、一部を簡略化又は誇張して描いている場合があり、寸法比率等は図面に記載のものに限定されない。
【0019】
図1(a)は、実施形態に係るカートリッジ式内容物押出容器1の断面図である。図1(b)は、カートリッジ式内容物押出容器1の本体筒2を外した状態を示す側面図である。図1(a)及び図1(b)に示されるように、カートリッジ式内容物押出容器1は、内部に収容された内容物Mを使用者のノック操作によって押し出す容器である。内容物Mは、例えば、液状内容物である。
【0020】
一例として、内容物Mは、液状化粧料である。この場合、内容物Mは、アイライナー又はリップライナーである。カートリッジ式内容物押出容器1は、内容物Mを、肌等の被塗布部に塗布するときに用いられる容器である。カートリッジ式内容物押出容器1は、丸棒状(スティック状)を呈する。
【0021】
カートリッジ式内容物押出容器1は、カートリッジ式内容物押出容器1の軸線Lが延びる方向である軸線方向D1に沿って延在している。カートリッジ式内容物押出容器1は、内容物Mを収容したカートリッジ部10と、カートリッジ部10に収容された内容物Mを押し出すノック機構部20とを備える。
【0022】
カートリッジ部10は、ノック機構部20に対して着脱可能とされている。カートリッジ部10は、例えば、内容物Mを使い切った後にノック機構部20から外すことが可能である。また、ノック機構部20に新たなカートリッジ部10を装着することが可能である。本開示において、ノック機構部20から見てカートリッジ部10が設けられる方向、及び内容物Mを押し出す方向を「前」、「前側」又は「前方」とし、カートリッジ部10から見てノック機構部20が設けられる方向を「後」、「後側」又は「後方」として説明する。
【0023】
まず、カートリッジ部10について説明する。カートリッジ部10は、キャップ11と、キャップ11が装着されるカートリッジ筒12と、カートリッジ筒12の前側に取り付けられたスリーブ13と、スリーブ13の内部に設けられると共にスリーブ13から前方に突出する塗布体14とを有する。更に、カートリッジ部10は、塗布体14に挿入されたパイプ材15と、パイプ材15の後側でパイプ材15を保持するパイプホルダ16とを有する。
【0024】
キャップ11は有底筒状を呈する。キャップ11は、例えば、PP(ポリプロピレン)によって構成されている。キャップ11は内面に環状凸部11bを有し、カートリッジ筒12は環状凸部11bが軸線方向D1に係合する凸部12bを外面に有する。カートリッジ筒12は、凸部12bがキャップ11の環状凸部11bに軸線方向D1に係合した状態でキャップ11から後方に突出している。
【0025】
カートリッジ筒12は、例えば、PPによって構成されている。カートリッジ筒12は、内容物Mが収容される収容室12fを画成している。カートリッジ部10は、収容室12fの後側に位置するピストン17を有する。ピストン17は弾性体によって構成されている。カートリッジ筒12の内部におけるピストン17より前側の空間が収容室12fとされる。ピストン17は、内容物Mを押し出すためのものであり、収容室12fにおいて摺動可能とされる。
【0026】
カートリッジ筒12は、雄螺子部12cを有する。雄螺子部12cが本体筒2に螺合することによってノック機構部20にカートリッジ部10が装着される。なお、カートリッジ部10をノック機構部20に装着させる構造としては、上記の螺合に限られない。例えば、上記の螺合に代えて、カートリッジ部10及びノック機構部20のそれぞれの内面に突起を設け、ノック機構部20の突起にカートリッジ部10の突起を係合させる構造としてもよい。
【0027】
スリーブ13は、例えば、PPによって構成されている。スリーブ13は、カートリッジ筒12の前端に位置する開口12dに挿入される挿入部13bと、挿入部13bの前側に位置する先端部13cとを有する。挿入部13bは筒状を呈しており、挿入部13bの内部にパイプホルダ16が挿入されている。先端部13cは、カートリッジ式内容物押出容器1の使用時に外部に露出する部位である。先端部13cは、前側に向かうに従って縮径するように傾斜するテーパ面13dを有する。
【0028】
塗布体14は、例えば、PBT(ポリブチレンテレフタレート)によって構成されている。塗布体14は、例えば、毛筆である。塗布体14は、パイプ材15の前側の部分を囲んだ状態でスリーブ13に装着されている。塗布体14はスリーブ13の内側で束ねられており、塗布体14の前側の部分がスリーブ13から前方に突出している。塗布体14には、パイプ材15を介して収容室12fから内容物Mが供給される。
【0029】
パイプ材15は、例えば、SUS(Steel Use Stainless)によって構成されている。パイプ材15は、塗布体14の内部、及びパイプホルダ16の内部において軸線方向D1に延在している。パイプ材15は前側に位置する開口15bを有し、開口15bはピストン17によって押し出される内容物Mを塗布体14に供給するための開口である。
【0030】
パイプホルダ16は、例えば、PPによって構成されている。パイプホルダ16は、カートリッジ筒12の内部においてカートリッジ筒12に軸線方向D1に係合している。パイプホルダ16は、軸線方向D1にパイプホルダ16を貫通する貫通孔16bを有し、貫通孔16bにパイプ材15が挿入されている。貫通孔16bは収容室12fに連通しており、収容室12fの内容物Mが貫通孔16bに挿入されたパイプ材15を介して塗布体14に供給される。
【0031】
カートリッジ部10は、例えば、内容物Mを撹拌するアジテータ18を有する。アジテータ18は、カートリッジ筒12の収容室12fに内容物Mと共に収容されている。アジテータ18は、例えば、SUSによって構成されている。アジテータ18は、球状を呈する。アジテータ18は、使用者によってカートリッジ式内容物押出容器1が動かされるときに収容室12fで移動して内容物Mを撹拌する。
【0032】
次に、ノック機構部20について説明する。ノック機構部20は、例えば、本体筒2と、移動体21と、螺子筒22と、螺合調整部材23と、第1スプリング24と、第2スプリング25と、第3スプリング26と、回転部材27と、ラチェット部材28と、ノック部材29とを備える。
【0033】
図2(a)は、移動体21を示す側面図である。図2(b)は、図2(a)のA-A線断面図である。図1(a)、図1(b)、図2(a)及び図2(b)に示されるように、移動体21は、筒状を呈する。移動体21は、例えば、PBT又はPOM(ポリアセタール)によって構成されている。移動体21は、ピストン17を前方に押す部品である。移動体21は、外周に形成された雄螺子21bと、雄螺子21bの前方においてピストン17を押す押圧部21cと、雄螺子21bの後方に位置する鍔部21dと、鍔部21dから後方に延びる筒状部21fとを有する。
【0034】
雄螺子21bは、移動体21の軸線方向D1の中央を含む領域において軸線方向D1に沿って延在している。押圧部21cは、雄螺子21bの前方に位置しており、移動体21の前進に伴って後方からピストン17を押圧する。鍔部21dは、雄螺子21bの後方において拡径している。鍔部21dの後側を向く面には第1スプリング24が当接する。筒状部21fは、第1スプリング24の内側に入り込む部位である。
【0035】
移動体21は、螺子筒22、螺合調整部材23、第1スプリング24、第2スプリング25、第3スプリング26及び回転部材27の内側に挿入されている。また、移動体21は、回転部材27の棒状部27bが挿入される筒孔21gを有し、筒孔21gは移動体21を軸線方向D1に貫通する。軸線方向D1に直交する平面で筒孔21gを切断したときの断面形状は非円形状(一例として四角形状)とされている。
【0036】
図3(a)は、螺子筒22を示す側面図である。図3(b)は、図3(a)とは異なる方向から見た螺子筒22を示す側面図である。図4は、前方から螺子筒22を見た螺子筒22の正面図である。図1(a)、図1(b)、図3(a)、図3(b)及び図4に示されるように、螺子筒22は、移動体21の雄螺子21bに螺合する雌螺子22bが形成されたアーム部22Aと、アーム部22Aの後側において本体筒2と係合する第1係合部22Bと、第1係合部22Bの後方において回転部材27と係合する第2係合部22Cとを有する。
【0037】
螺子筒22は、例えば、PBTによって構成されている。螺子筒22は、例えば、螺子筒22の径方向D2に沿って並ぶ一対のアーム部22Aを有する。アーム部22Aは、アーム部22Aの径方向D2の内側を向く内周面に形成された雌螺子22bと、螺合調整部材23が当接する当接部22cと、径方向D2に沿って弾性変形する弾性部22dと、弾性部22d及び第1係合部22Bの間に介在する基部22gとを有する。
【0038】
当接部22cは、螺子筒22の前端を構成する前端面22hと、前端面22hから径方向D2の外側且つ後側に延在する傾斜面22jとを有する。傾斜面22jは、例えば、径方向D2の内側且つ後側に湾曲する湾曲面である。本体筒2へのカートリッジ部10の装着に伴って螺合調整部材23が後方に移動するときに螺合調整部材23の一部が傾斜面22jを乗り越えて弾性部22dの径方向D2の外側に位置する。
【0039】
弾性部22dは、基部22gから前方に延びる幅狭部22kと、幅狭部22kの前端から螺子筒22の周方向に拡張する幅広部22mとを有する。幅広部22mは、当接部22cと幅狭部22kの間に設けられる。径方向D2に沿って並ぶ一対の弾性部22dの間には、螺合調整部材23の一部が入り込む凹部22pが形成されている。
【0040】
凹部22pは、径方向D2に沿って並ぶ一対の幅狭部22kの間に位置する第1凹部22qと、径方向D2に沿って並ぶ一対の幅広部22mの間に位置する第2凹部22rとを含む。螺子筒22の周方向における第1凹部22qの長さは、螺子筒22の周方向における第2凹部22rの長さよりも長い。
【0041】
本体筒2にカートリッジ部10が装着された状態において、凹部22pには、螺合調整部材23の一部が入り込んでいる。第1凹部22qと第2凹部22rの間には螺合調整部材23の一部が当接する当接部22sが形成されている。本体筒2からカートリッジ部10が外されると螺合調整部材23は前進し、前進する螺合調整部材23が当接部22sに当接することによって弾性部22d(幅広部22m)が径方向D2の外側に押し広げられる。
【0042】
第1係合部22Bは、螺子筒22の外周面において周方向に沿って並ぶように形成された複数の凸部22tと、凸部22tの後方に位置する環状凹部22vと、環状凹部22vの後方に位置する環状凸部22wとを有する。凸部22tは本体筒2の内面と回転方向に係合し、環状凹部22v及び環状凸部22wは本体筒2の内面と軸線方向D1に係合する。従って、螺子筒22は本体筒2に回転方向移動不能且つ軸線方向移動不能に係合する。
【0043】
第2係合部22Cは、螺子筒22の周方向に沿って並ぶ複数の第1歯22xと、当該周方向に沿って並ぶ2つの第1歯22xの間に位置する凹部22yとを有する。一例として、第2係合部22Cは、8個の第1歯22xと、8個の凹部22yとを有する。第1歯22xは、螺子筒22に対して回転部材27を回転させるために設けられる。
【0044】
第1歯22xは、軸線方向D1に延びる第1面22x1と、第1面22x1の後端から後方且つ螺子筒22の周方向の一方側に延びる傾斜面22x2と、傾斜面22x2の後端から前方に延びる第2面22x3とを有する。第2面22x3の軸線方向D1の長さは、第1面22x1の軸線方向D1の長さよりも長い。
【0045】
図5(a)は、螺合調整部材23を示す側面図である。図5(b)は、図5(a)のB-B線断面図である。図6は、後方から螺合調整部材23を見た螺合調整部材23の背面図である。図1(a)、図1(b)、図5(a)、図5(b)及び図6に示されるように、螺合調整部材23は、前側を向く環状部23Aと、環状部23Aから後方に延びるアーム部23Bとを有する。螺合調整部材23は、移動体21の雄螺子21bに対する螺子筒22の雌螺子22bの螺合を調整する。螺合調整部材23は、例えば、PBTによって構成されている。
【0046】
環状部23Aは、螺合調整部材23が後方に移動するときに螺子筒22に乗り上げて螺子筒22を縮径させて雄螺子21bに対して雌螺子22bを螺合させる部位である。環状部23Aは、軸線方向D1に貫通する貫通孔23bを有する。貫通孔23bは、第1内周面23cと、第1内周面23cよりも内径が大きい第2内周面23dと、第2内周面23dの前端から第1内周面23cの後端まで環状部23Aの径方向に沿って延びる後面23fとによって画成されている。第2内周面23dは第1内周面23cの後側に位置する。
【0047】
螺合調整部材23は、径方向D2に沿って並ぶ一対のアーム部23Bを有する。アーム部23Bは、螺子筒22の凹部22p(図3(a)参照)に入り込んだ状態で軸線方向D1に沿って移動する。アーム部23Bは、螺合調整部材23が前進するときに弾性部22dを拡径させて雄螺子21bに対する雌螺子22bの螺合を解除する部位である。
【0048】
アーム部23Bは、環状部23Aから後方に延びる基部23gと、基部23gの後端において環状部23Aの周方向の両側に張り出す張り出し部23hと、張り出し部23hから後方に延びる延在部23jとを有する。張り出し部23hは、基部23gから環状部23Aの周方向に広がるように傾斜する傾斜面23kと、傾斜面23kから後方に延びる延在部23mと、延在部23mの後方で環状部23Aの周方向に突出する羽根部23pとを有する。
【0049】
図1(a)に示されるように、第1スプリング24は、回転部材27の内部に収容されている。第1スプリング24は、有底筒状を呈する回転部材27の底面27cと移動体21の鍔部21dとの間に配置されており軸線方向D1に伸縮可能とされている。第1スプリング24は、回転部材27の内部において移動体21を前方に付勢する。
【0050】
第2スプリング25は、螺子筒22の環状凸部22wと回転部材27の鍔部27dとの間に配置されており、軸線方向D1に伸縮可能とされている。第2スプリング25は、螺子筒22に対して回転部材27を後方に付勢する。第3スプリング26は、螺合調整部材23の環状部23Aと螺子筒22の凸部22tとの間に配置されており、軸線方向D1に伸縮可能とされている。第3スプリング26は、螺子筒22に対して螺合調整部材23を前方に付勢する。第1スプリング24、第2スプリング25及び第3スプリング26のそれぞれは、例えば、SUSによって構成されている。
【0051】
図7(a)は、回転部材27を示す側面図である。図7(b)は、図7(a)のC-C線断面図である。図8は、回転部材27を示す斜視図である。図1(a)、図1(b)、図7(a)、図7(b)及び図8に示されるように、回転部材27は、有底円筒状を呈する。回転部材27は、回転部材27において前方に突出する棒状部27bと、底面27cを含む筒状部27fとを有する。回転部材27は、例えば、PBT又はPOMによって構成されている。
【0052】
軸線方向D1に直交する断面で棒状部27bを切断したときの断面形状は、非円形状(一例として四角形状)とされている。棒状部27bは、移動体21の筒孔21gに回転方向に係合する。これにより、移動体21は回転部材27と同期回転可能とされている。
【0053】
筒状部27fは、螺子筒22に係合する第1係合部27gと、ラチェット部材28に係合する第2係合部27hと、ノック部材29に係合する第3係合部27jとを有する。第1係合部27g、第2係合部27h及び第3係合部27jは、この順で軸線方向D1に沿って並んでいる。
【0054】
第1係合部27gは、筒状部27fの前端に位置する。第1係合部27gは、回転部材27の周方向に沿って並ぶ複数の第2歯27kと、当該周方向に沿って並ぶ2つの第2歯27kの間に位置する凹部27mとを有する。一例として、第1係合部27gは、8個の第2歯27kと、8個の凹部27mとを有する。第2歯27kは、螺子筒22に対して回転部材27を回転させるために設けられる。
【0055】
第2歯27kは、軸線方向D1に延びる第3面27k1と、第3面27k1の前端から後方且つ回転部材27の周方向の一方側に延びる傾斜面27k2と、傾斜面27k2の後端から後方に延びる第4面27k3とを有する。第4面27k3の軸線方向D1の長さは、第3面27k1の軸線方向D1の長さよりも短い。
【0056】
例えば、軸線方向D1に対する傾斜面27k2の傾斜角度は、軸線方向D1に対する傾斜面22x2(図3(a)及び図3(b)参照)の傾斜角度と同一である。回転部材27は螺子筒22に対して軸線方向D1に移動可能とされている。回転部材27が前進するときに第1歯22xに第2歯27kが噛み合うと共に傾斜面22x2に傾斜面27k2が当接し、この当接に伴って螺子筒22に対して回転部材27が一定角度(一例として45°)回転する。
【0057】
第2係合部27hは、鍔部27dの後側に位置する。第2係合部27hは、後述するラチェット部材28の第3歯28bと噛み合う複数の第4歯27pを有する。一例として、第2係合部27hは、8個の第4歯27pを有する。第4歯27pは、軸線方向D1に延びる第5面27p1と、第5面27p1の後端から前方且つ回転部材27の周方向の一方側に延びる傾斜面27p2とを有する。
【0058】
例えば、回転部材27の周方向における第4歯27pの長さは、回転部材27の周方向における第2歯27kの長さの2倍である。また、第4歯27pにおける傾斜面27p2の前端(根元側の端部)の位置は、隣接する他の第2歯27kにおける第5面27p1の前端の位置と一致している。すなわち、第4歯27pは、回転部材27の周方向に沿って連続して形成されている。
【0059】
第3係合部27jは、回転部材27の後端に位置する。第3係合部27jは、軸線方向D1に沿って並ぶ複数の環状凹部27qを有する。環状凹部27qは、ノック部材29の内面に軸線方向D1に係合する。これにより、回転部材27は、ノック部材29に軸線方向D1に係合すると共にノック部材29に回転可能に係合する。
【0060】
図9(a)は、ラチェット部材28を示す側面図である。図9(b)は、図9(a)のD-D線断面図である。図10は、ラチェット部材28を示す斜視図である。図1(a)、図1(b)、図9(a)、図9(b)及び図10に示されるように、ラチェット部材28は段付き円筒状を呈する。ラチェット部材28は、例えば、PBT又はPOMによって構成されている。
【0061】
ラチェット部材28は、回転部材27が係合する第1係合部28cと、本体筒2に係合する第2係合部28dとを有する。第1係合部28cは、ラチェット部材28の前端に位置する。第1係合部28cは、回転部材27の第4歯27pが噛み合う複数の第3歯28bを有する。一例として、第1係合部28cは、8個の第3歯28bを有する。第3歯28bは、軸線方向D1に延びる第6面28b1と、第6面28b1の前端から後方且つラチェット部材28の周方向の一方側に延びる傾斜面28b2とを有する。
【0062】
例えば、ラチェット部材28の周方向における第3歯28bの長さは、回転部材27の周方向における第4歯27pの長さと同一である。第3歯28bは、ラチェット部材28に対して回転部材27を回転させるために設けられる。軸線方向D1に対する傾斜面28b2の傾斜角度は、軸線方向D1に対する傾斜面27p2の傾斜角度と同一である。
【0063】
ラチェット部材28に対して回転部材27は軸線方向D1に移動可能とされている。回転部材27が後方に移動するときに第3歯28bに第4歯27pが噛み合うと共に傾斜面28b2に傾斜面27p2が当接し、この当接に伴ってラチェット部材28に対して回転部材27が一定角度回転する。
【0064】
第2係合部28dは、第1係合部28cの後方に位置する。第2係合部28dは、環状凸部28fと、環状凸部28fの後方に位置しておりラチェット部材28の周方向に沿って並ぶ複数の凸部28gとを有する。環状凸部28fは、本体筒2の内面に形成された凸部2bに前方から当接し、これにより本体筒2からのラチェット部材28の抜け止めとして機能する。
【0065】
凸部28gは、本体筒2の内面に形成された凸部2cと回転方向に係合する。これにより、ラチェット部材28は、本体筒2に対して軸線方向移動可能且つ回転方向移動不能(同期回転可能)に係合する。ラチェット部材28は、後端面28hから前方に延びる凹部28jを有する。凹部28jは、ノック部材29の一部が入り込む部位である。
【0066】
図11(a)は、ノック部材29を示す側面図である。図11(b)は、図11(a)のE-E線断面図である。図1(a)、図1(b)、図11(a)及び図11(b)に示されるように、ノック部材29は有底筒状(一例として有底円筒状)を呈する。ノック部材29は、本体筒2の後端面2dから後方に突出しており、使用者によって前方に押圧される部位である。
【0067】
ノック部材29は、有底筒状の筒状部29bと、筒状部29bから軸線方向D1に突出する突出部29cとを有する。筒状部29bは、内周面に形成された環状凹凸部29dと、筒状部29bの底面29fから突出する複数の凸部29gとを有する。凸部29gは、回転部材27の後端面27rが接触する部位である。環状凹凸部29dは、回転部材27の環状凹部27qに軸線方向D1に係合する。これにより、ノック部材29は、回転部材27に対して軸線方向D1に係合し、回転部材27と共に軸線方向D1に沿って移動する。
【0068】
ノック部材29は、径方向D2に沿って並ぶ一対の突出部29cを有する。突出部29cは、ラチェット部材28の凹部28jに入り込む部位である。突出部29cが凹部28jに入り込むことにより、凹部28jに突出部29cが回転方向に係合する。これにより、ノック部材29は、ラチェット部材28に対して軸線方向移動可能且つ回転方向移動不能に係合する。
【0069】
図12(a)は、本体筒2を示す側面図である。図12(b)は、図12(a)のF-F線断面図である。図1(a)、図12(a)及び図12(b)に示されるように、本体筒2は平滑な外周面2jを有する。すなわち、外周面2jは凹凸を有しない滑らかな形状とされている。
【0070】
本体筒2の内面には、ラチェット部材28が係合する第1係合部2Aと、螺子筒22が係合する第2係合部2Bと、カートリッジ部10が装着される雌螺子部2fとが形成されている。第1係合部2A、第2係合部2B及び雌螺子部2fは、この順で後方から前方に向かって並んでいる。
【0071】
第1係合部2Aは、ラチェット部材28の環状凸部28fが前方から当接する凸部2bと、凸部2bの後部において本体筒2の周方向に沿って並ぶ複数の凸部2cとを有する。凸部2bは本体筒2の周方向に延在しており、凸部2cは軸線方向D1に延在している。第2係合部2Bは、螺子筒22の凸部22tが回転方向に係合する複数の凸部2gと、螺子筒22の環状凹部22v及び環状凸部22wが軸線方向D1に係合する凸部2hとを有する。
【0072】
凸部2gは軸線方向D1に延在しており、凸部2hは凸部2gの後端において本体筒2の周方向に延在している。雌螺子部2fは、本体筒2の前側部分に形成されている。雌螺子部2fにカートリッジ筒12の雄螺子部12cが螺合することにより、本体筒2にカートリッジ部10(カートリッジ筒12)が装着される。
【0073】
以上のように構成されるカートリッジ式内容物押出容器1における内容物Mの押し出し、及びカートリッジ式内容物押出容器1の使用の手順について説明する。まず、カートリッジ式内容物押出容器1からキャップ11を外し、カートリッジ筒12、スリーブ13及び塗布体14を露出させる。
【0074】
ノック部材29が前方に押圧されると、第2スプリング25の付勢力に抗して回転部材27が前進し、螺子筒22の第1歯22xに回転部材27の第2歯27kが当接する。このとき、図1(a)、図3(a)及び図7(a)に示されるように、第2歯27kの傾斜面27k2が第1歯22xの傾斜面22x2に当接し、螺子筒22に対して回転部材27が一方向(例えば、後方から見た場合における時計回りの方向)に回転する。このとき、第2歯27kは凹部22yに入り込むと共に、第3面27k1が第2面22x3に当接することによってカチッというクリック音が生じる。螺子筒22に対して回転部材27が一方向に回転すると回転部材27と共に移動体21が一方向に回転する。
【0075】
また、ノック部材29への押圧が解除されると、第2スプリング25の付勢力によって回転部材27が後方に移動し、ラチェット部材28の第3歯28bに回転部材27の第4歯27pが当接する。このとき、図1図7(a)及び図9(a)に示されるように、第4歯27pの傾斜面27p2が第3歯28bの傾斜面28b2に当接し、ラチェット部材28に対して回転部材27が一方向に回転する。ラチェット部材28に対して回転部材27が一方向に回転すると回転部材27と共に移動体21が一方向に回転する。
【0076】
以上のように、ノック部材29が押圧されたときに螺子筒22に対して回転部材27が一方向に回転し、ノック部材29への押圧が解除されたときにラチェット部材28に対して回転部材27が一方向に回転する。一例として、ノック部材29の一度の押圧及び押圧解除によって回転部材27は45°回転する。
【0077】
このように移動体21が一方向に回転すると、雌螺子22bと雄螺子21bとの螺合作用によって螺子筒22に対して移動体21が前進する。移動体21の前進に伴ってピストン17がカートリッジ筒12の収容室12fにおいて前進し、この前進によって内容物Mが塗布体14に供給されて使用に供される。カートリッジ式内容物押出容器1では、ノック部材29が押圧されたとき、及びノック部材29への押圧が解除されたとき、の双方において移動体21を前進させることが可能である。
【0078】
図13は、内容物Mを使い切ったカートリッジ式内容物押出容器1の断面図である。図13に示されるように、移動体21が前進して内容物Mを使い切った状態ではピストン17がパイプホルダ16に接触する。カートリッジ式内容物押出容器1では、内容物Mを使い切ったカートリッジ部10を本体筒2から外し、新しいカートリッジ部10を本体筒2に装着可能である。以下では、本体筒2からカートリッジ部10を外すときにおける各部の動き、及び本体筒2に新たなカートリッジ部10を装着するときにおける各部の動きについて説明する。
【0079】
まず、本体筒2からカートリッジ部10を外すときには、本体筒2に対してカートリッジ部10を回転させることによって本体筒2からカートリッジ筒12が外される。このとき、第3スプリング26の付勢力によって螺子筒22に対して螺合調整部材23が前進する。
【0080】
図3(a)、図5(b)及び図13に示されるように、螺子筒22に対して螺合調整部材23が前進すると、螺子筒22に乗り上げていた環状部23Aが前進し、アーム部23Bの張り出し部23hが弾性部22dの当接部22sに当接する。当接部22sへの張り出し部23hの当接によって弾性部22dが径方向D2の外側に押し広げられ、雄螺子21bに対する雌螺子22bの螺合が解除される。雄螺子21bに対する雌螺子22bの螺合が解除されると、移動体21が第1スプリング24の付勢力によって前方に移動する。このとき、移動体21の前端21hが本体筒2の前端2kよりも前方に突出した状態となる。
【0081】
次に、新たなカートリッジ部10を本体筒2に装着するときの部品の動きについて説明する。図1図3(a)、図3(b)及び図5(b)に示されるように、カートリッジ部10のピストン17を移動体21の前端21hに当てて、本体筒2にカートリッジ筒12を挿入すると共に移動体21を後方に押し込んで雌螺子部2fに雄螺子部12cを螺合する。
【0082】
このとき、第1スプリング24の付勢力に抗して移動体21が後方に移動する。また、カートリッジ筒12に押されて螺合調整部材23が後方に移動し、螺子筒22の当接部22cに環状部23Aが当接する。このとき、環状部23Aが傾斜面22jを後方に乗り越えて弾性部22dに乗り上げる。
【0083】
このように、環状部23Aが後方に移動して弾性部22dに乗り上げることにより、弾性部22dが径方向D2の内側に押さえつけられて雄螺子21bに雌螺子22bが螺合する。この状態でキャップ11を外してノック部材29を押圧する(ノックする)ことにより、前述したように、移動体21及びピストン17が前進すると共に内容物Mが塗布体14に供給されてカートリッジ式内容物押出容器1が使用に供される。
【0084】
次に、本実施形態に係るカートリッジ式内容物押出容器1から得られる作用効果について詳細に説明する。カートリッジ式内容物押出容器1は内容物Mを収容するカートリッジ部10とカートリッジ部10が装着される本体筒2とを備え、本体筒2に対してカートリッジ部10が着脱可能とされている。従って、内容物Mを使い切った後には、本体筒2からカートリッジ部10を外し、カートリッジ部10のみを廃棄すればよいので、廃棄される部品の数を減らすことができる。
【0085】
カートリッジ式内容物押出容器1は、径方向D2に弾性変形する弾性部22dを有する螺子筒22と、螺子筒22の雌螺子22bに螺合する雄螺子21bを有し前進してカートリッジ部10の内部の内容物Mを押し出す移動体21と、移動体21と同期回転する回転部材27と、押圧可能とされたノック部材29とを備える。回転部材27は、本体筒2の内側に設けられた第1歯22xに噛み合う第2歯27kを有する。ノック部材29が押圧されると、回転部材27が前進して第1歯22xに第2歯27kが噛み合い、螺子筒22に対して回転部材27及び移動体21が回転して移動体21が前進する。
【0086】
従って、ノック部材29の押圧操作によって螺子筒22に対して回転部材27及び移動体21を回転させ、この回転に伴って移動体21を前進させて内容物Mを押し出すことができるので、カートリッジ式内容物押出容器1の使用性を高めることができる。すなわち、片手でカートリッジ式内容物押出容器1を持って片手でノック部材29を押圧して内容物Mを押し出すことができるので、使用性が高いカートリッジ式内容物押出容器1とすることができる。以上のように、カートリッジ式内容物押出容器1では、ノックによる内容物Mの押し出しが可能となるので、使用性をより高めることができる。
【0087】
本実施形態に係るカートリッジ式内容物押出容器1は、移動体21を前方に付勢する第1スプリング24を備える。よって、本体筒2からカートリッジ部10を外すときに、第1スプリング24によって移動体21を前方に移動させることができる。
【0088】
本実施形態に係るカートリッジ式内容物押出容器1は、螺子筒22と回転部材27との間に設けられ、ノック部材29への押圧が解除されたときに回転部材27及びノック部材29を後方に移動させる第2スプリング25を備える。よって、ノック部材29への押圧が解除されたときに、第2スプリング25によって回転部材27及びノック部材29を後方に移動させることができる。
【0089】
本実施形態に係るカートリッジ式内容物押出容器1は、回転部材27とノック部材29との間に設けられ、周方向に沿って並ぶ複数の第3歯28bを有するラチェット部材28を備える。回転部材27は、周方向に沿って並ぶと共に第3歯28bと噛み合う複数の第4歯27pを有する。ノック部材29への押圧が解除されたときに、回転部材27が後方に移動して第3歯28bに第4歯27pが噛み合うと共にラチェット部材28に対して回転部材27及び移動体21が回転することにより、雄螺子21bと雌螺子22bとの螺合作用が働いて移動体21が前進する。よって、ノック部材29が押圧されたときだけでなく、ノック部材29への押圧が解除されたときにも移動体21を前進させて内容物Mを押し出すことができる。従って、カートリッジ式内容物押出容器1の使用性を更に高めることができる。
【0090】
本実施形態に係るカートリッジ式内容物押出容器1は、螺合調整部材23と螺子筒22との間に設けられ、本体筒2からカートリッジ部10が外されるときに螺合調整部材23を前進させる第3スプリング26を備える。よって、本体筒2からカートリッジ部10が外されるときに、第3スプリング26によって螺合調整部材23を前進させることにより、弾性部22dを径方向D2に広げて雌螺子22bと雄螺子21bの螺合を容易に解除することができる。
【0091】
本実施形態において、螺合調整部材23は、本体筒2にカートリッジ部10が装着されるときに、カートリッジ部10に押されて後方に移動し、螺子筒22の弾性部22dを径方向D2に狭めて雌螺子22bを雄螺子21bに螺合させる。よって、カートリッジ部10が装着されるときに螺合調整部材23が後方に移動して雌螺子22bを雄螺子21bに螺合できるので、雄螺子21bに対する雌螺子22bの螺合を容易に行うことができる。
【0092】
本実施形態において、カートリッジ部10は、内容物Mが収容される収容室12fと、収容室12fに設けられたピストン17とを有する。移動体21は、ピストン17を介して内容物Mを押し出す。よって、内容物Mが液状内容物である場合に、ピストン17によって液状内容物の漏れを抑制することができる。そして、ピストン17を介して液状内容物を押し出すことができる。
【0093】
以上、本開示に係るカートリッジ式内容物押出容器の実施形態について説明した。しかしながら、本開示に係るカートリッジ式内容物押出容器は、前述の実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した要旨の範囲内において変形し、又は他のものに用いられるものであってもよい。すなわち、カートリッジ式内容物押出容器を構成する各部品の構成、形状、大きさ、材料及び配置態様は、上記の要旨の範囲内において適宜変更可能である。
【0094】
例えば、前述の実施形態では、螺子筒22が第1歯22xを有する例について説明した。しかしながら、第1歯は、螺子筒22以外の箇所に設けられていてもよい。すなわち、第1歯は、螺子筒22とは別体とされていてもよい。例えば、本体筒2の内面において本体筒2の周方向に沿って並ぶ複数の第1歯を有していてもよい。このように、第1歯が設けられる部品の種類及び場所は適宜変更可能である。
【0095】
例えば、前述の実施形態では、第1スプリング24、第2スプリング25及び第3スプリング26を有するノック機構部20について説明した。しかしながら、カートリッジ式内容物押出容器は、第1スプリング24、第2スプリング25及び第3スプリング26の少なくともいずれかを有しないノック機構部を備えていてもよい。第1スプリング24に代えて、雌螺子22bの雄螺子21bへの螺合解除時に手動で移動体21が前進されてもよい。また、螺合調整部材23を前方に付勢する第3スプリング26に代えて、例えば、カートリッジ筒12が螺合調整部材23を前方に移動させる機構を有する等、別の部品が螺合調整部材23を前進させてもよい。
【0096】
例えば、前述の実施形態では、第3歯28bを有するラチェット部材28を備えるノック機構部20について説明した。しかしながら、ラチェット部材28に代えて、歯を有しない筒状部材が設けられていてもよい。また、前述の実施形態では、液状化粧料である内容物Mを収容するカートリッジ部10が装着されるカートリッジ式内容物押出容器1について説明した。しかしながら、内容物は、液状化粧料以外のものであってもよい。例えば、内容物は、インク等の液状描画材であってもよい。また、内容物は、液状内容物以外のものであってもよく、棒状化粧料又は棒状描画材でってもよい。この場合、カートリッジ部ではピストン17を省略することが可能であり、移動体21で直接内容物Mを押す構成とすることが可能である。このように、内容物の種類は適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0097】
1…カートリッジ式内容物押出容器、2…本体筒、10…カートリッジ部、12f…収容室、17…ピストン、21…移動体、21b…雄螺子、22…螺子筒、22b…雌螺子、22d…弾性部、22x…第1歯、23…螺合調整部材、24…第1スプリング、25…第2スプリング、26…第3スプリング、27…回転部材、27k…第2歯、27p…第4歯、28…ラチェット部材、28b…第3歯、29…ノック部材、D1…軸線方向、D2…径方向、L…軸線、M…内容物。
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