(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023090285
(43)【公開日】2023-06-29
(54)【発明の名称】X線装置
(51)【国際特許分類】
A61B 6/00 20060101AFI20230622BHJP
【FI】
A61B6/00 320Z
A61B6/00 350Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021205175
(22)【出願日】2021-12-17
(71)【出願人】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100093056
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100142930
【弁理士】
【氏名又は名称】戸高 弘幸
(74)【代理人】
【識別番号】100175020
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 知彦
(74)【代理人】
【識別番号】100180596
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 要
(74)【代理人】
【識別番号】100195349
【弁理士】
【氏名又は名称】青野 信喜
(72)【発明者】
【氏名】松木 大輔
(72)【発明者】
【氏名】山本 淳也
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA01
4C093CA18
4C093EE16
4C093FA15
4C093FA35
4C093FD03
4C093FG05
4C093FG16
(57)【要約】
【課題】より確実かつ迅速に適切な条件でX線透視またはX線撮影を実行できるX線装置を提供する。
【解決手段】被検体Mの部位情報61に対応した画像取得条件63を、部位情報61と紐付けて記憶する条件記憶部57と、機械学習により、画像に映し出される人体の部位を推論して出力させる学習モデル51を記憶する学習モデル記憶部55と、被検体の画像を入力用画像として学習モデル51に入力することにより、当該入力用画像における被検体Mの部位を推論させて出力させる画像解析部47と、出力された被検体の部位を部位情報61として選択することにより、当該部位情報61に紐付けられた画像取得条件63を読み出させる条件読み出し部49と、読み出された画像取得条件63に沿って、X線管5の制御および画像処理部33の制御のうち少なくともいずれか一方の制御を行う主制御部39と、を備える。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体にX線を照射するX線管と、
前記被検体を透過したX線を検出するX線検出器と、
前記X線検出器が出力する検出信号を用いて画像処理を行うことによりX線画像を生成する画像処理部と、
前記被検体における対象部位の各々に対応した、X線照射条件および画像処理条件の少なくともいずれか一方の条件を含む画像取得条件を、前記対象部位と紐付けて記憶する条件記憶部と、
人体の画像を教師画像として機械学習を実行することにより、前記画像に映し出されている前記人体の部位を推論して出力させる学習モデルを記憶する学習モデル記憶部と、
前記被検体の前記X線画像および光学画像のうち少なくともいずれか一方の画像を入力用画像として前記学習モデルに入力することにより、前記入力用画像に映し出されている部位を推論させて出力させる対象部位推論部と、
前記対象部位推論部によって出力された前記部位を前記対象部位として選択することにより、前記対象部位に紐付けて前記条件記憶部に記憶された前記画像取得条件を読み出させる条件読み出し部と、
前記条件読み出し部によって読み出された前記画像取得条件に沿って、前記X線管の制御および前記画像処理部の制御のうち少なくともいずれか一方の制御を行う制御部と、
を備えるX線装置。
【請求項2】
請求項1に記載のX線装置において、
前記被検体に対するX線照射野の位置を随時検知する照射位置検知部と、
前記学習モデルが出力する前記部位の内容が変化した場合でかつ前記照射位置検知部が前記X線照射野の変位を検知した場合は前記変化の後に出力された前記部位を前記対象部位として選択することにより前記条件読み出し部から前記画像取得条件を読み出させ、前記学習モデルが出力する前記部位の内容が変化した場合でかつ前記照射位置検知部が前記X線照射野の変位を検知しない場合は前記変化の前に出力された前記部位を前記対象部位として選択することにより前記条件読み出し部から前記画像取得条件を読み出させる誤解析検知部と、
を備えるX線装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のX線装置において、
前記条件読み出し部によって読み出された前記画像取得条件を承認する操作者の指示を入力させる承認指示入力部を備え、
前記制御部は、
前記画像取得条件を承認する指示が前記承認指示入力部によって入力された場合に、前記条件読み出し部によって読み出された前記X線照射条件に沿ってX線が照射されるように前記X線管を制御すること、および前記画像処理条件に沿って前記X線画像が生成されるように前記画像処理部を制御すること、の少なくともいずれか一方の制御を行うように構成されている
X線装置。
【請求項4】
被検体にX線を照射するX線管と、
前記被検体を透過したX線を検出するX線検出器と、
前記X線検出器が出力する検出信号を用いて画像処理を行うことによりX線画像を生成する画像処理部と、
前記被検体における検査項目の各々に対応した、X線照射条件および画像処理条件の少なくともいずれか一方の条件を含む画像取得条件を、前記検査項目と紐付けて記憶する条件記憶部と、
人体を映す検査画像を教師画像として機械学習を実行することにより、前記検査画像における検査の種類を推論して出力させる学習モデルを記憶する学習モデル記憶部と、
前記被検体の前記X線画像および光学画像の少なくともいずれか一方の画像を入力用画像として前記学習モデルに入力することにより、前記入力用画像における検査の種類を推論させて出力させる検査種類推論部と、
前記検査種類推論部によって出力された前記検査の種類を前記検査項目として選択することにより、前記検査項目に紐付けて前記条件記憶部に記憶された前記画像取得条件を読み出させる条件読み出し部と、
前記条件読み出し部によって読み出された前記画像取得条件に沿って、前記X線管の制御および前記画像処理部の制御の少なくともいずれか一方の制御を行う制御部と、
を備えるX線装置。
【請求項5】
請求項4に記載のX線装置において、
前記被検体に対するX線照射野の位置を随時検知する照射位置検知部と、
前記学習モデルが出力する前記検査の種類の内容が変化した場合でかつ前記照射位置検知部が前記X線照射野の変位を検知した場合は前記変化の後に出力された前記検査の種類を前記検査項目として選択することにより前記条件読み出し部から前記画像取得条件を読み出させ、前記学習モデルが出力する前記検査の種類の内容が変化した場合でかつ前記照射位置検知部が前記X線照射野の変位を検知しない場合は前記変化の前に出力された前記検査の種類を前記検査項目として選択することにより前記条件読み出し部から前記画像取得条件を読み出させる誤解析検知部と、
を備えるX線装置。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載のX線装置において、
前記条件読み出し部によって読み出された前記画像取得条件を承認する操作者の指示を入力させる承認指示入力部を備え、
前記制御部は、
前記画像取得条件を承認する指示が前記承認指示入力部によって入力された場合に、前記条件読み出し部によって読み出された前記X線照射条件に沿ってX線が照射されるように前記X線管を制御すること、および前記画像処理条件に沿って前記X線画像が生成されるように前記画像処理部を制御すること、の少なくともいずれか一方の制御を行うように構成されている
X線装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検体に対してX線を照射してX線透視またはX線撮影などを行うX線装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医療現場では、被検体に対してX線透視またはX線撮影などを行ってX線画像を取得するためにX線装置を用いる場合、被検体の撮影部位または被検体に対して行う検査の種類に応じて、適切なX線照射条件または画像処理条件を設定することが重要である。適切なX線照射条件または画像処理条件を設定する構成として、近年ではアナトミカルプログラム(APR)を備えるX線装置が使用される。
【0003】
アナトミカルプログラムとは、管電圧および管電流を例とする一連のX線照射条件およびコントラスト処理条件を例とする一連の画像処理条件と、被検体の撮影部位または検査の種類などとを予め関連づけたデータ構造である。アナトミカルプログラムは、被検体の撮影部位または検査の種類に応じて複数のプログラムが予め設定されて記憶される。一例として被検体の撮影部位が胸部である一般X線撮影の場合、胸部の一般X線撮影に適したX線照射条件および画像処理条件の情報が、胸部を撮影部位とする一般X線撮影と紐付けられて記憶される。
【0004】
被検体に対してX線透視等を行う場合、液晶パネルを例とする表示部に複数のアナトミカルプログラムが表示され、操作者は複数のアナトミカルプログラムの中か適切なものを選択する(例えば特許文献1、2を参照)。
【0005】
一例として被検体の腹部に対して内視鏡的逆行性胆道膵管造影検査(ERCP:Endoscopic retograde cholangiopancreatography)を行う場合、操作者は表示部に一覧表示される「胸部/一般撮影」、「腹部/一般撮影」、「腹部/ERCP」など、検査部位および検査の種類に応じた複数のアナトミカルプログラムの中から「腹部/ERCP」のプログラムを選択する操作を行う。当該選択操作を行うことにより、「腹部/ERCP」と予め紐付けられていた、腹部に対してERCPを行う場合に適切なX線照射条件および画像処理条件のパラメータが読み出されて表示部に表示される。操作者は表示されたX線照射条件等を確認し、被検体に対する検査を開始する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012-143443号公報
【特許文献2】特開2018-191983号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このような構成を有する従来例の場合には、次のような問題がある。
【0008】
従来の構成においてアナトミカルプログラムを用いてX線撮影等行う場合、一覧表示されているプログラムの中から、操作者が適切なプログラムを選択する操作を必要とする。このようなマニュアル操作を行うことによって検査が長期化するため、特に緊急の手術を行う際に問題となる。またマニュアル操作を行う際において、操作者の操作ミスなどに起因して不適切なX線照射条件等のパラメータが設定される可能性が懸念される。さらに、術式または検査の最中にX線を照射する被検体の部位が変化する場合、変化後の部位に応じて改めて適切なAPRを選択する操作を必要とするので操作者の負担が増大するとともに術式に要する時間が長期化するという問題も懸念される。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、より確実かつ迅速に適切な条件でX線透視またはX線撮影を実行できるX線装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち第1の態様に係るX線装置は、 被検体にX線を照射するX線管と、前記X線管と対向して配置され、前記被検体を透過したX線を検出するX線検出器と、前記X線検出器が出力する検出信号を用いて画像処理を行うことによりX線画像を生成する画像処理部と、前記被検体における対象部位の各々に対応した、X線照射条件および画像処理条件の少なくともいずれか一方の条件を含む画像取得条件を、前記対象部位と紐付けて記憶する条件記憶部と、人体の画像を教師画像として機械学習を実行することにより、前記画像に映し出されている前記人体の部位を推論して出力させる学習モデルを記憶する学習モデル記憶部と、直近に得られた前記被検体の前記X線画像および光学画像のうち少なくともいずれか一方の画像を入力用画像として前記学習モデルに入力することにより、前記入力用画像に映し出されている部位を推論させて出力させる対象部位推論部と、前記対象部位推論部によって出力された前記部位を前記対象部位として選択することにより、前記対象部位に紐付けて前記条件記憶部に記憶された前記画像取得条件を読み出させる条件読み出し部と、前記条件読み出し部によって読み出された前記画像取得条件に沿って、前記X線管の制御および前記画像処理部の制御のうち少なくともいずれか一方の制御を行う制御部と、を備える。
【0011】
また本発明の第2の態様に係るX線装置は、被検体にX線を照射するX線管と、前記X線管と対向して配置され、前記被検体を透過したX線を検出するX線検出器と、前記X線検出器が出力する検出信号を用いて画像処理を行うことによりX線画像を生成する画像処理部と、前記被検体における検査項目の各々に対応した、X線照射条件および画像処理条件の少なくともいずれか一方の条件を含む画像取得条件を、前記検査項目と紐付けて記憶する条件記憶部と、人体を映す検査画像を教師画像として機械学習を実行することにより、前記検査画像における検査の種類を推論して出力させる学習モデルを記憶する学習モデル記憶部と、直近に得られた前記被検体の前記X線画像および光学画像の少なくともいずれか一方の画像を入力用画像として前記学習モデルに入力することにより、前記入力用画像における検査の種類を推論させて出力させる検査種類推論部と、前記検査種類推論部によって出力された前記検査の種類を前記検査項目として選択することにより、前記検査項目に紐付けて前記条件記憶部に記憶された前記画像取得条件を読み出させる条件読み出し部と、前記条件読み出し部によって読み出された前記画像取得条件に沿って、前記X線管の制御および前記画像処理部の制御の少なくともいずれか一方の制御を行う制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明の第1の態様に係るX線装置によれば、画像に映る対象部位を推論する学習モデルと、アナトミカルプログラムを例とする対象部位に応じて適切な画像取得条件が紐付けられている機構とを用いることにより、X線照射条件および画像処理条件の少なくともいずれか一方の条件を含む画像取得条件を自動的に設定する。学習モデルは、人体の画像を教師画像とする機械学習によって、画像に映る人体の部位を推論して出力されるように構成される。すなわち対象部位推論部では被検体の画像を入力用画像として学習モデルに入力することで、当該入力用画像に映る被検体の部位が推論されて出力される。条件読み出し部は、出力された被検体の部位情報を対象部位として選択することによって、当該対象部位と紐付けられて記憶されていた画像取得条件を自動的に読み出す。従って、被検体のX線画像を取得すると、対象部位推論部と条件読み出し部とによって、当該X線画像の照射野に対して適切な画像取得条件が自動的に読み出される。従って、被検体にX線を照射する対象部位が変更された場合であっても、変更後の対象部位に適切な画像取得条件が自動的に読み出される。すなわち、操作者がマニュアル操作で対象部位を選択して画像取得条件を設定するという工程が不要となるので、より確実かつ迅速に適切な条件でX線透視またはX線撮影を実行できる。
【0013】
本発明の第2の態様に係るX線装置によれば、人体の検査画像における検査の種類を検査項目として推論する学習モデルと、検査項目に応じて適切な画像取得条件が紐付けられている機構とを用いることにより、X線照射条件および画像処理条件の少なくともいずれか一方の条件を含む画像取得条件を自動的に設定する。学習モデルは、人体を映す検査画像を教師画像とする機械学習によって、画像の検査種類を推論して出力されるように構成される。すなわち検査種類推論部では被検体の画像を入力用画像として学習モデルに入力することで、当該入力用画像における検査の種類が推論されて出力される。条件読み出し部は、出力された検査の種類情報を検査項目として選択することによって、当該検査項目と紐付けられて記憶されていた画像取得条件を自動的に読み出す。従って、被検体のX線画像を取得すると、検査種類推論部と条件読み出し部とによって、当該X線画像の検査項目に対して適切な画像取得条件が自動的に読み出される。従って、被検体にX線を照射する検査項目が変更された場合であっても、変更後の検査項目に適切な画像取得条件が自動的に読み出される。すなわち、操作者がマニュアル操作で検査項目を選択して画像取得条件を設定するという工程が不要となるので、より確実かつ迅速に適切な条件でX線透視またはX線撮影を実行できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施例1に係るX線装置の全体構成を説明する正面図である。
【
図2】実施例1に係るX線装置の全体構成を説明する右側面図である。
【
図3】実施例1に係るフットスイッチの全体構成を説明する斜視図である。
【
図4】実施例1に係る表示部が表示する情報の一例を示す図である。
【
図5】実施例1に係るX線装置の機能ブロック図である。
【
図6】実施例1におけるAPRを説明する図である。(a)は部位情報と、部位情報に紐付けられる画像取得条件との関係を示す図であり、(b)は各々の部位に係る部位情報と、当該部位情報に紐付けられる画像取得条件の具体的なパラメータの例とを示す図である。
【
図7】実施例1において学習モデルとAPRとを用いて画像取得条件を読み出す一連の工程を示す概略図である。
【
図8】実施例1において、X線照射の開始前に画像取得条件を読み出す一連の工程を示す概略図である。
【
図9】実施例1において、股関節が照射野である場合に画像取得条件を読み出す一連の工程を示す概略図である。
【
図10】実施例1において、腹部が照射野である場合に画像取得条件を読み出す一連の工程を示す概略図である。
【
図11】実施例1において、胸部が照射野である場合に画像取得条件を読み出す一連の工程を示す概略図である。
【
図12】従来例に係るAPRの表示画面を示す図である。
【
図13】従来例に係るAPRを用いて、画像取得条件を読み出している状態を示す図である。
【
図14】実施例1におけるAPRを説明する図である。(a)は胸部の一般撮影を検査項目とするAPRを示す図であり、(b)は胸部のPCIを検査項目とするAPRを示す図であり、(c)は胸部の一般撮影を検査項目とするAPRを示す図であり、(d)は腹部のERCPを検査項目とするAPRを示す図であり、(e)は腹部のUGIを検査項目とするAPRを示す図である。
【
図15】実施例2におけるAPRを説明する図である。(a)は検査項目情報と、検査項目情報に紐付けられる画像取得条件との関係を示す図であり、(b)は各々の部位に係る検査項目情報と、当該検査項目情報に紐付けられる画像取得条件の具体的なパラメータの例とを示す図である
【
図16】実施例2において学習モデルとAPRとを用いて画像取得条件を読み出す一連の工程を示す概略図である。
【
図17】実施例3に係るX線装置の要部を示す機能ブロック図である。
【
図18】実施例3について学習モデルにおいて発生する誤解析を説明する図である。(a)は学習モデルが適切に画像解析を行った場合を示す図であり、(b)は学習モデルが誤った画像解析を行った場合を示す図である。
【
図19】実施例3に係るX線装置の動作について、要部の工程を説明するフローチャートである。
【
図20】実施例3において学習モデルが適切に画像解析を行った場合について、学習モデルとAPRとを用いて画像取得条件を読み出す一連の工程を示す概略図である。
【
図21】実施例3において学習モデルが誤った画像解析を行った場合について、学習モデルとAPRとを用いて画像取得条件を読み出す一連の工程を示す概略図である。
【
図22】実施例4に係るX線装置の要部を示す機能ブロック図である。
【
図23】実施例4において承認キーが表示される画面の一例を示す図である。
【
図24】実施例に係るX線装置の動作を説明するフローチャートである。(a)は実施例1に係るフローチャートであり、(b)は実施例4に係るフローチャートである。
【
図25】実施例4において、複数のタイミングと、各タイミングにおけるX線照射野の位置などとの関係を示す図である。
【
図26】実施例4について、タイミングM1またはタイミングM2におけるX線装置の要部の制御関係を示すブロック図である。
【
図27】実施例4について、タイミングM3におけるX線装置の要部の制御関係を示すブロック図である。
【
図28】実施例4について、タイミングM4におけるX線装置の要部の制御関係を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例0015】
以下、図面を参照してこの発明の実施例1を説明する。
【0016】
<全体構成の説明>
実施例1に係るX線装置1は、
図1および
図2に示すように、仰臥姿勢の被検体Mを載置させる天板3を挟んで、X線管5とX線検出器7が対向配置されている。天板3は、昇降移動可能に構成されている天板支持体4の上部に配設されている。X線管5は被検体Mに対してX線を照射する。X線検出器7はX線管5から被検体Mに照射されて透過したX線を検出して電気信号に変換させ、X線検出信号として出力させる。X線検出器7の一例として、FPD(Flat Panel Detector)が挙げられる。
【0017】
X線管5とX線検出器7は、Cアーム9の一端と他端にそれぞれ設けられている。Cアーム9はアーム保持部材11に保持されており、符号RAで示されるCアーム9の円弧経路に沿って回動するように構成される。すなわち、Cアーム9は円弧経路RAに沿ってy方向(天板3の長手方向)の軸周りに回動する。
【0018】
アーム保持部材11は支柱13の側面部に配設されており、x方向(天板3の短手方向)に平行な水平軸Pの軸周り(円弧経路RB)に回転可能となるように構成される。アーム保持部材11に保持されているCアーム9は、アーム保持部材11に従ってx方向の軸周りに回動する。Cアーム9が円弧経路RAおよび円弧経路RBの各々に沿って、直交する二軸の周りにそれぞれ回動自在に構成されることにより、被検体Mに対して任意の方向からX線を照射できる。
【0019】
支柱13は床面に配設された支持基台15に支持されており、支持基台15の上面に沿ってx方向およびy方向の各々に水平移動が可能となるように構成される。支柱13に支持されているアーム支持部材11およびCアーム9は、支柱13の水平移動に従ってx方向またはy方向へ水平移動する。コリメータ17はX線管5に設けられており、X線管5から照射されるX線を所定の形状に制限する。X線を制限する形状の一例として、角錐となっているコーン状が挙げられる。
【0020】
コリメータ17には光学カメラ19が配設されている。光学カメラ19は一例としてデジタルカメラであり、被検体Mを可視光で撮影することにより被検体Mの光学画像を取得する。なおX線装置1において、光学カメラ19の照射野とX線管5の照射野とは同じ範囲となるように、光学カメラ19とX線管5との位置および向きが調整されている。
【0021】
図2に示すように、天板3の下方の床面にはフットスイッチ21が載置されている。フットスイッチ21は、ケーブル23を介して電源および後述する主制御部39を構成するCPUと接続されている。実施例1では主制御部39は天板支持体4に内蔵されており、
図1においてケーブル23は天板支持体4に接続されているものとする。
【0022】
フットスイッチ21は
図3に示すように、胴体部25と、術者が足で操作するスイッチ27と、底板29とを備えている。スイッチ27は透視用スイッチ27aと、撮影用スイッチ27bと、天板移動スイッチ27cとの3つのペダル式スイッチによって構成される。実施例1においてスイッチ27の数は3つであるが、スイッチ27の数は適宜変更してよい。
【0023】
透視用スイッチ27aはX線透視のオン・オフを制御するものである。すなわち透視用スイッチ27aを足で踏み込むことによって、後述するX線透視条件に従ってX線管5から比較的低線量のX線を断続的に照射するX線透視が開始される。撮影用スイッチ27bはX線撮影のオン・オフを制御するものである。すなわち撮影用スイッチ27bを足で踏み込むことによって、後述するX線撮影条件に従ってX線管5から比較的高線量のX線を照射するX線撮影が開始される。
【0024】
天板移動スイッチ27cは天板3の鉛直方向の移動のオン・オフを制御するものである。すなわち天板移動スイッチ27を足で踏むことによって、天板支持体4がz方向に伸縮して天板3の高さを変更させる。天板移動スイッチ27cの操作により、天板3は被検体Mが天板3に乗降するための比較的低い位置(乗降位置)と、臥位体勢の被検体Mに対して術者が医療行為を行うための比較的高い位置(診療位置)との間を昇降移動する。
【0025】
X線装置1は
図4に示すように、さらに画像処理部33、表示部35、アーム位置検出部37、主制御部39、操作卓41、および記憶部43を備えている。
【0026】
画像処理部33はX線検出器7の後段に設けられており、X線検出器7から出力されたX線検出信号に基づいてX線画像を生成する。表示部35は、画像処理部33によって生成されたX線画像およびX線装置1に関する各種情報を表示する。表示部35の一例として、液晶モニタまたは高精度ディスプレイなどが挙げられる。表示部35を配設する構成の例として、天井に懸垂配設されている構成、移動台車に搭載させる構成、または操作卓41に配設する構成などが挙げられる。
【0027】
アーム位置検出部37は、図示しないポテンショメータまたはエンコーダを例とする位置検出器に基づいて、円弧経路RAおよび円弧経路RBの各々におけるCアーム9の回転移動量を検出するとともに、およびx方向およびy方向におけるCアーム9の平行移動量を検出する。Cアーム9の回転移動量および平行移動量を検出することにより、アーム位置検出部37はCアーム9の位置を検出する。アーム位置検出部37がCアーム9の位置を検出することにより、被検体Mに対するX線管5の照射野の位置を特定することができる。
【0028】
主制御部39は、一例として中央処理演算装置(CPU:Central Processing Unit)などの情報処理手段を備えている。主制御部39は、X線管制御部31、画像処理部33、表示部35を例とするX線装置1の各種構成を統括制御する。主制御部39は、本発明における制御部に相当する。
【0029】
主制御部39は、機械学習部45と画像解析部47と条件読み出し部49とを備えている。機械学習部45は、予め取得されているX線画像または光学画像などを用いて機械学習を行うことにより、学習モデル51を作成する。画像解析部47は学習モデル51を用いることにより、X線装置1によって生成されたX線画像または光学画像に対して解析を行い、当該画像に映っている人体の部位を判定する。実施例1に係る画像解析部47は、本発明における対象部位推論部に相当する。
【0030】
条件読み出し部49はアナトミカルプログラム53(APR53)を参照することにより、画像解析部47によって判定された部位と紐付けられている画像取得条件を条件記憶部43から読み出す。そして条件読み出し部49は、読み出された画像取得条件をX線管制御部31または画像処理部33に送信し、送信した条件に沿ってX線管5からのX線照射および画像処理部33によるX線画像の生成を行わせる。
【0031】
操作卓41はX線装置1の操作に関する操作者の指示を入力するものであり、術者が操作卓41に入力する指示に従って主制御部39は統括制御を行う。操作卓41に配設される操作用デバイスの例として、キーボード入力式のパネル、タッチ入力式のパネル、マウス、ダイヤル、切り換え式スイッチ、押しボタン式スイッチなどが挙げられる。実施例1において、操作卓41は
図1に示すような天板3の側部に添設される構成、支柱13の上部に配設される構成、または移動台車に搭載させる構成などが挙げられる。
【0032】
記憶部43は、画像処理部33が生成する各種X線画像、およびX線装置1の動作に関する各種情報などを記憶する。記憶部43の一例として、不揮発性メモリが挙げられる。記憶部43は、学習モデル記憶部55と条件記憶部57とを備えている。学習モデル記憶部55は、機械学習部45によって作成された学習モデル51を記憶する。条件記憶部57は、APR53を記憶する。
【0033】
ここで実施例1に係るAPR53について説明する。APR53は
図6(a)に示すように、部位情報61の各々に対応して画像取得条件63が紐付けられたプログラムである。部位情報61は、X線を照射する対象となる人体の部位に関する情報であり、一例として頭頸部、胸部、腹部、股関節、肩部、膝部、足部などが挙げられる。画像取得条件63はX線画像の取得に関する一連の条件であり、X線照射条件65と画像処理条件67とを含む。
【0034】
X線照射条件65はX線照射に関する各種パラメータであり、X線透視条件68とX線撮影条件69とを含んでいる。X線照射に関するパラメータの例としては、X線管5に印加する管電圧および管電流、X線照射時間、X線照射周期などが挙げられる。画像処理条件67はX線検出器7が検出した電気信号に対して行う画像処理に関するパラメータであり、例としてはコントラスト処理値、先鋭化処理値、エッジ処理値などが挙げられる。なお画像取得条件63は、フレームレートおよびゲイン値を例とするX線検出器7の設定条件をさらに含んでもよい。
【0035】
X線透視条件68は、X線透視を行う際におけるX線照射に関する各種パラメータである。X線透視では、比較的弱いX線を断続的に照射してX線透視像(動画)を取得する。X線撮影条件68は、X線撮影を行う際におけるX線照射に関する各種パラメータである。X線撮影では、比較的強いX線を短時間照射してX線撮影像(静止画)を取得する。なお本発明において、X線画像はX線透視像とX線撮影像とを含む。
【0036】
図6(b)は本実施例に係るAPR53において、部位情報61と紐付けられている画像取得条件63の具体的な内容について示している。一例として部位情報61のうち、股関節の部位情報61aはX線照射条件65aおよび画像処理条件67aを含む画像取得条件63aと予め紐付けられている。画像処理条件67aは、コントラスト処理値10および先鋭化処理値7などのパラメータを含む。X線照射条件65aのうちX線透視条件68aは、管電圧30kVおよび管電流2.0mAなどのパラメータを含む。X線照射条件65aのうちX線撮影条件69aは、管電圧50kVおよび管電流3.0mAなどのパラメータを含む。
【0037】
同様に、部位情報61のうち腹部の部位情報61bは、X線照射条件65bおよび画像処理条件67bを含む画像取得条件63bと予め紐付けられている。X線照射条件65bは、X線透視条件68bおよびX線撮影条件69bを含む。部位情報61のうち胸部の部位情報61cは、X線照射条件65cおよび画像処理条件67cを含む画像取得条件63cと予め紐付けられている。X線照射条件65cは、X線透視条件68cおよびX線撮影条件69cを含む。部位情報61のうち頭頸部の部位情報61dは、X線照射条件65dおよび画像処理条件67dを含む画像取得条件63dと予め紐付けられている。X線照射条件65dは、X線透視条件68dおよびX線撮影条件69dを含む。このように、複数の部位情報61の各々に対して適切な画像取得条件63が紐付けられているAPR53が予め設定され、条件記憶部57に記憶される。
【0038】
ここで、実施例1において自動的に画像取得条件63を設定する構成について
図7および
図24(a)を用いて説明する。
図24(a)は実施例1に係るX線装置1の動作に関するフローチャートである。第1に、機械学習部45において予め機械学習を行うことにより学習モデル51を作成する(ステップM1)。機械学習部45では、人体の様々な部位の画像を原画像R1として予め取得する。原画像R1は例として、X線画像、三次元CT像を様々な方向に投影したDRR画像、光学カメラで取得された光学画像などを含む多数の画像群である。
【0039】
そして機械学習部45は原画像R1に対してコントラストの増減、明度の増減、ノイズの増減などを例とする、X線条件などのバリエーションに対応するための画像処理を行い、さらに多数の1次水増し画像R2を取得する。そして機械学習部45は1次水増し画像R2に対して回転、拡大、縮小などを例とする、被検体Mの配置またはCアーム9の位置などのバリエーションに対応するための画像処理を行い、さらに多数の2次水増し画像R3を取得する。
【0040】
最後に機械学習部45は原画像R1、1次水増し画像R2、および2次水増し画像R3を教師用画像として機械学習を行うことにより、画像に映る人体の部位を推論する学習モデル51を作成する。すなわち学習モデル51は、X線画像Fまたは光学画像Dなどを入力情報として入力することにより、入力情報である画像に人体におけるどの部位が映っているかを推論し、推論によって得られた人体の部位の情報を出力する。学習済みの学習モデル51は、学習モデル記憶部55に記憶される。
【0041】
なお実施例1ではX線装置1において学習モデル51を作成する構成を例示しているが、他の装置で学習モデル51を予め作成し、作成された学習モデル51のプログラムを学習モデル記憶部55に記憶させてもよい。この場合、X線装置1において機械学習部45を省略できる。
【0042】
第2に、画像解析部47は学習モデル51を用いることにより画像を解析し、被検体Mについて得られた画像に映っている被検体Mの部位を特定する。すなわち画像解析部47は学習モデル記憶部55に記憶されている学習モデル51を読み出す。そしてX線照射によって被検体MのX線画像が画像処理部33によって生成された後(ステップM2)、画像処理部33から送信されたX線画像などを入力用画像として学習モデル51に入力する。学習モデル51は、入力されたX線画像に映る人体の構成要素などを手掛かりとして入力用画像を解析し、入力用画像に映っている被検体Mの部位を推論する。推論により得られた部位の情報は、部位情報61として学習モデル51から出力される(ステップM3)。
【0043】
第3に、条件読み出し部49は、画像解析部47によって得られた部位情報61とAPR53とを用いて、適切な画像取得条件63を設定する。条件読み出し部49は、画像解析部47によって得られた部位情報61をAPR53に入力し、APR53において当該部位情報61と紐付けて記憶されている画像取得条件63を読み出して出力させる(ステップM4)。条件読み出し部49は、出力された画像取得条件63を直後に行われるX線画像の取得に用いる条件として設定する(ステップM5)。
【0044】
X線画像の取得用条件として設定された画像取得条件63はX線管5および画像処理部33に送信され、設定された画像取得条件63の各種パラメータに従って被検体MのX線画像が新たに生成される(ステップM6)。このように、X線装置1では学習モデル51およびAPR53を用いることにより、適切な画像取得条件63を自動で設定する。なお所定の時間が経過すると(ステップM7)、再びステップS2に戻って入力用画像が生成されて学習モデル51を用いた部位情報61の推論が行われる。所定の時間の一例として、10フレーム分のX線画像が生成される時間が挙げられる。この場合、X線画像が10フレーム生成されるたびに学習モデル51による推論が実行される。
【0045】
<動作の説明>
ここで、学習モデル51およびAPR53が記憶部43に記憶されている状態で、X線装置1を用いて被検体Mの検査を行う動作について具体的に説明する。実施例1では検査の一例として、冠動脈インターベンション(PCI:Percutaneous Coronary Intervention)を行う場合を例として説明する。実施例1に係る冠動脈インターベンションでは足の付け根からカテーテルChを挿入し、X線透視によりカテーテルChを逐次確認しつつ冠動脈へカテーテルChを到達させてステントを留置させる。すなわち
図8ないし
図11に示すように、被検体Mに対してX線を照射させる対象部位は、股関節La、腹部Lb、胸部Lcの順に変位する。
【0046】
冠動脈インターベンションによる被検体Mの検査を開始すると、まずは最初のX線画像を取得するための画像取得条件63を設定する。操作者は
図8に示すように、天板3に被検体Mを載置させた状態で、照射野の位置が股関節LaとなるようにCアーム9を移動させる。そして光学カメラ19を用いて被検体Mの股関節Laを撮影する。当該撮影により、光学カメラ19は股関節Laの光学画像D1を生成する。生成された光学画像D1のデータは画像解析部47へと送信される(符号T1を参照)。
【0047】
画像解析部47は、光学画像D1を入力用画像として学習モデル51に入力する。学習モデル51は光学画像D1を解析し、入力情報である光学画像D1に映っている部位を推定して出力する。この場合、光学画像D1に映る被検体Mの輪郭および足の存在などを手掛かりとして、学習モデル51は光学画像D1に映っている部位は股関節である可能性が最も高いと推定する。その結果、学習モデル51は股関節との部位情報61aを出力する。学習モデル51から出力された部位情報61aは、条件読み出し部49へと送信される(符号T2を参照)。
【0048】
条件読み出し部49は、部位情報61aに係る股関節Laについて適切な画像取得条件63を探索する。すなわち部位情報61aをAPR53に入力することにより、APR53において部位情報61aと紐付けて記憶されている画像取得条件63、すなわち画像取得条件63aが読み出されて出力される。その結果、画像取得条件63aに含まれているX線照射条件63aがX線管5の制御用パラメータとして設定され、画像処理条件67aが画像処理部33の制御用パラメータとして設定される。
【0049】
このように、光学カメラ19で光学画像D1を取得する操作を行うことにより、学習用モデル51およびAPR53を用いて画像取得条件63aが自動的に設定される。光学画像D1の入力により設定される画像取得条件63aが、最初のX線画像を取得するための画像取得条件63に相当する。
【0050】
操作者は画像取得条件63aが設定されたことを確認した後、フットスイッチ21の透視用スイッチ27aを足で踏むことによりX線透視を開始する。操作者はX線透視により取得される股関節LaのX線透視像を確認しつつ、被検体Mの足の付け根からカテーテルChを挿入させる。
【0051】
このとき、画像取得条件63aに含まれるX線透視条件68aに従って、主制御部39はX線管5を制御する。すなわち管電圧30kVおよび管電流2.0mAなどの条件下で、
図9に示すようにX線管5は股関節Laに対してX線を照射する。そして画像取得条件63aに含まれる画像取得条件67aに従って、主制御部39は画像処理部33を制御する。すなわちX線検出器7の検出信号に対してコントラスト値10および鮮鋭度7などの条件下で画像処理部33は各種画像処理を行い、股関節Laを対象部位とするX線透視像(X線画像F1)を生成する。操作者はX線画像F1に映るカテーテルChの位置を確認しつつカテーテルChの操作を開始する。
【0052】
なおX線装置1では所定のタイミングで画像取得条件63を自動的に設定する動作を繰り返す。
図9は、股関節Laに対してX線を照射することによって画像取得条件63を自動的に設定する工程を示している。X線管5から股関節Laに対してX線を照射することにより、画像処理部33は股関節Laを対象部位とするX線画像F1を生成する。生成されたX線画像F1のデータは画像解析部47へと送信される。
【0053】
画像解析部47は、X線画像F1を入力用画像として学習モデル51に入力する。学習モデル51は、入力情報であるX線画像F1に映っている部位を推定して出力する。この場合、X線画像F1に映る被検体Mの骨盤Baおよび大腿骨Bcなどを手掛かりとして、学習モデル51はX線画像F1に映っている部位は股関節である可能性が最も高いと推定する。その結果、学習モデル51は部位が股関節であるとの情報である部位情報61aを出力する。学習モデル51から出力された部位情報61aは、条件読み出し部49へと送信される。
【0054】
条件読み出し部49は、部位情報61aに係る股関節Laについて適切な画像取得条件63を探索する。すなわち部位情報61aをAPR53に入力することにより、APR53において部位情報61aと紐付けて記憶されている画像取得条件63、すなわち股関節LaのX線画像を生成する場合に適切な条件(パラメータ)として予め設定された画像取得条件63aが読み出されて出力される。その結果、X線照射条件63aに基づいてX線管5はX線を照射し、画像処理条件67aに基づいて画像処理部33は画像処理を行う。このように、X線照射野が股関節Laに位置するようにCアーム9の位置が定められている場合、画像取得条件63aがX線画像取得用の条件として自動的に設定されてX線画像F1が生成し続けられる。操作者は、X線画像F1に映るカテーテルChの位置を確認しつつ、カテーテルChを操作して心臓へ向けて進行させる。
【0055】
なお、生成されたX線画像F1は画像解析部47へ送信されるとともに表示部35に表示される。
図4は、表示部35に表示される情報を示している。表示部35は、画像表示領域K1と、解析結果表示領域K2と、選択部位表示領域K3と、適用条件表示領域K4を有している。画像表示領域K1は、直近に取得されたX線画像Fまたは光学画像Dを表示する。股関節LaにX線を照射している場合、直近に取得された画像はX線画像F1であるのでX線画像F1が画像表示領域K1に表示される。
【0056】
解析結果表示領域K2は、学習モデル51が出力した情報が解析結果として表示される。学習モデル51は入力情報である入力用画像(ここではX線画像F1)について、当該入力用画像に映る部位の情報を確度とともに出力する。一例として、X線画像F1に映る部位が股関節である確度は91.4%であり、頭頸部である確度は1.4%であり、胸部である確度は4.2%であり、腹部である確度は0.1%である、という情報を出力する。画像解析部47は最も確度が高い部位を部位情報61として選択し、部位情報61を条件読み出し部49に送信する。また、画像解析部47は、所定数の部位を確度が高い順に解析結果表示領域K2に表示させる。実施例1では確度が高い順に3つの部位を解析結果表示領域K2に表示させる。すなわち、「股関節」と「胸部」と「頭頸部」との情報が確度の数値とともに一覧表示される。解析結果表示領域K2に表示させる部位の数は3つに限ることはなく適宜変更してよい。
【0057】
選択部位表示領域K3は、部位情報61として選択された部位が表示される。ここでは股関節Laの部位情報61aが選択されているので、選択条件表示領域K3には「股関節」と表示される。適用条件表示領域K4は、現時点において適用されている画像取得条件63が表示される。ここでは股関節Laの部位情報61aと紐付けられている画像取得条件63aが適用されているので、画像取得条件63aが適用条件表示領域K4に表示される。なお説明の便宜上、
図4において画像取得条件63aのうち管電圧および管電流の情報が適用条件表示領域K4に表示されている。適用条件表示領域K4には調節キーNBが表示される。操作者はマウスなどを操作して調整キーNBに適宜入力を行うことにより、一例として管電圧の数値を画像取得条件63aにおいて定められている初期値から増減させる調整を実行できる。
【0058】
操作者は表示部35に視線を向け、適用条件表示領域K4に表示されている画像取得条件63の内容と、選択条件表示領域K3に表示される部位の内容と、解析結果表示領域K2に表示される確度の情報などを確認することにより、学習モデル51およびAPR53によって自動的に設定される画像取得条件63が適切であるかどうかを把握できる。また操作者は表示部35に表示されるX線画像F1などを確認しつつ、カテーテルChを冠動脈へ向けて進行させる。
【0059】
操作者はカテーテルChを進行させるとともに、Cアーム9の位置をカテーテルChの位置に合わせてy方向に移動させてX線照射野の位置を変更させる。そのため、カテーテルChが股関節Laの領域から腹部Lbの領域へ進行することにより、X線を照射させる対象部位は股関節Laから腹部Lbへと変位する。X線装置1ではX線を照射させる対象部位が変位することにより、新たに画像取得条件63が設定される。
図10は、腹部Lbに対してX線を照射することによって画像取得条件63を自動的に設定する工程を示している。
【0060】
X線管5から腹部Lbに対してX線を照射することにより、画像処理部33は腹部Lbを対象部位とするX線画像F2を生成する。生成されたX線画像F2のデータは画像解析部47へと送信される。
【0061】
画像解析部47は、X線画像F2を入力用画像として学習モデル51に入力してX線画像F2の解析を行う。すなわち画像解析部47において、学習モデル51は入力情報であるX線画像F2に映っている部位を推定して出力する。この場合、X線画像F2に映る被検体Mの胃Gaおよび腰椎Bhなどを手掛かりとして、学習モデル51はX線画像F2に映っている部位は腹部である可能性が最も高いと推定する。その結果、学習モデル51は腹部の部位情報61bを出力する。学習モデル51から出力された部位情報61bは、条件読み出し部49へと送信される。
【0062】
条件読み出し部49は、部位情報61bに係る腹部Lbについて適切な画像取得条件63を探索する。すなわち部位情報61bをAPR53に入力することにより、APR53において部位情報61bと紐付けて記憶されている画像取得条件63、すなわち画像取得条件63bが読み出されて出力される。その結果、X線照射条件63bに基づいてX線管5はX線を照射し、画像処理条件67bに基づいて画像処理部33は画像処理を行う。
【0063】
操作者は透視用スイッチ27aを足で操作しているので、X線透視条件68bに基づいてX線管5はX線を照射してX線透視が実行される。なおX線撮影像が必要となった場合、操作者は操作するスイッチを撮影用スイッチ27bに変更することによりX線撮影条件69bに従ってX線管5はX線を照射してX線撮影を行う。当該X線照射により、適切な条件によって生成された腹部LbのX線撮影像を取得できる。
【0064】
このように、X線照射野が腹部Lbに位置するようにCアーム9の位置が定められている場合、画像取得条件63bが自動的に設定されてX線画像F2が生成し続けられる。画像処理部33が生成するX線画像Fが、股関節Laを映すX線画像F1から腹部Lbを映すX線画像F2に変わると、画像解析部47および条件読み出し部49によって画像取得条件63が速やかに変更される。すなわち股関節Kaに適した画像取得条件63aから腹部Lbに適した画像取得条件63bへと自動的かつ速やかに変更される。よって、操作者はカテーテルChの操作を中断することなく、適切な条件で生成されたX線画像F2を表示部35で確認できる。
【0065】
操作者はカテーテルChの操作をさらに続行させ、心臓の近傍へとカテーテルChを進行させる。そしてカテーテルChの進行に応じてCアーム9の位置をy方向に移動させる。そのため、カテーテルChが腹部Lbの領域から心臓がある胸部Lcの領域へ進行することにより、X線を照射させる対象部位は腹部Lbから胸部Lcへと変位する。対象部位が胸部Lcへ変位することにより、新たに画像取得条件63が設定される。
図11は、胸部Lcに対してX線を照射することによって画像取得条件63を自動的に設定する工程を示している。
【0066】
X線管5から胸部Lcに対してX線を照射することにより、画像処理部33は胸部Lcを対象部位とするX線画像F3を生成する。生成されたX線画像F3のデータは画像解析部47へと送信される。
【0067】
画像解析部47は、X線画像F2を入力用画像として学習モデル51に入力する。学習モデル51は、入力情報であるX線画像F2に映っている部位を推定して出力する。この場合、X線画像F2に映る被検体Mの心臓H、肺Lu、および図示しない胸椎などを手掛かりとして、学習モデル51はX線画像F2に映っている部位は胸部である可能性が最も高いと推定する。その結果、学習モデル51は胸部との部位情報61cを出力する。学習モデル51から出力された部位情報61cは、条件読み出し部49へと送信される。
【0068】
条件読み出し部49は、部位情報61cに係る胸部Lcについて適切な画像取得条件63を探索する。すなわち部位情報61cをAPR53に入力することにより、APR53において部位情報61cと紐付けて記憶されている画像取得条件63、すなわち画像取得条件63cが読み出されて出力される。そして読み出された画像取得条件63cがX線画像取得用の条件として設定され、画像取得条件63cのうちX線照射条件65cがX線管5へ送信されるとともに画像処理条件67cが画像処理部33へ送信される。
【0069】
その結果、X線照射条件65cに基づいてX線管5はX線を照射し、画像処理条件67cに基づいて画像処理部33はX線画像Fの画像処理を行う。よって、対象部位が胸部Lcに変位することによって速やかに画像取得条件63cが自動的に設定されるので、適切な画像取得条件63cを用いて速やかにX線画像F3の視認性が向上する。操作者はX線画像F3を確認しつつ冠動脈にステントを留置させ、PCIの術式を終了させる。
【0070】
このように、実施例1に係るX線装置1では学習モデル51とAPR53とを組み合わせることにより、X線装置1はX線照射の対象となる対象部位の変化に応じて自動的に画像取得条件63が変更される構成を有している。
【0071】
APRを用いる従来の装置では、X線照射の対象となる対象部位を操作者が手動で選択することによって、当該対象部位の情報に紐付けられている画像取得条件が読み出される。従来の装置は一例として
図12に示すように、対象部位を指定する多数のアイコン群Acが表示される操作用のタッチパネルTPを備えている。操作者はアイコン群Acの中からX線照射の対象部位を指定するアイコン(一例として、胸部を指定するアイコンAb)を指定して押下する。
【0072】
胸部を指定するアイコンAbが押下されることにより、
図13に示すように、「胸部」との対象部位情報と紐付けられている画像取得条件Naが読み出されて設定されるとともに、画像取得条件Naの情報がタッチパネルTPに表示される。
図13に示される従来例では管電圧40kV、管電流2.5mAとの条件が画像取得条件Naとして表示されている。このように、従来の装置においてAPRを用いて画像取得条件を設定するには、操作者が手動で対象部位を特定する操作が必須である。
【0073】
そのため、一例としてPCIを従来の装置で行う場合、X線を照射する対象部位が股関節、腹部、胸部と変更されるたびに、操作者はタッチパネルTPを操作して手動で対象部位を指定する必要がある。このような手動の操作を行うたびにカテーテル手技を中断することになるので、PCIの術式が長期化するとともに操作者が術式に集中することが困難になるという問題が発生する。
【0074】
手動による操作の回数を低減させる方法として、当初から胸部のAPRを選択して胸部に適した画像取得条件を読み出す方法が挙げられるが、X線照射の対象部位が股関節または腹部である場合であっても胸部に適した画像取得条件でX線画像が取得されるので、PCIの初期または中期において視認性の高いX線画像を取得することが困難となる。
【0075】
このような従来の構成に対し、実施例1に係るX線装置1では直近に得られた画像を学習モデル51によって解析し、当該画像に映る被検体Mの部位を推定する画像解析部47と、画像解析部47によって推定された部位に適切な画像取得条件63をAPR53によって読み出す条件読み出し部49とを備えている。学習モデル51は、人体の画像を教師情報とすることにより、画像に映る人体の部位を推論するように予め学習されている。そのため学習モデル51は、被検体Mを映すX線画像Fまたは光学画像Dを入力用画像とすることにより、当該入力用画像に映る被検体Mの部位を推論して部位情報61として出力する。
【0076】
APR53では、対象部位を特定する部位情報61の各々に対して、当該対象部位のX線画像を適切に取得できる画像取得条件63が紐付けられている。そのためX線管5または光学カメラ19を用いて直近に取得された被検体Mの画像を入力情報として画像解析部47および条件読み出し部49へ送信することにより、当該被検体Mの画像の対象となっている部位に適切な画像取得条件63が自動的に設定される。
【0077】
このように、実施例1に係るX線装置1では画像に映る人体の部位を推定する学習モデル51と、部位情報61に対して画像取得条件63が紐付けられているAPR53とを用いることによって、X線照射の対象部位の変更に応じて画像取得条件63が自動的に変更される構成を有している。そのため、PCIを例とするX線照射対象部位が短時間で変化するような検査を行う場合であっても、当該対象部位の変化に応じて画像取得条件63が適切なパラメータへと自動的に変化するの。よって、操作者は検査に集中しつつ適切な条件で取得された視認性の高いX線画像を確認することができる。
【0078】
また、学習モデル51とAPR53とを組み合わせることにより、被検体Mの画像を入力情報として、適切な画像取得条件63を出力情報として取得する構成を実現できる。現時点の機械学習では、人体の画像を教師用情報として、当該教師用情報の画像を適切に生成できるような画像取得条件63を確度よく推論させることは困難である。すなわち学習モデルを用いて、被検体の画像から直接画像取得条件を推論することは困難である。
【0079】
そこで発明者は鋭意検討の結果、被検体Mの画像を入力情報として、当該画像に映る部位を確度よく推論する機械学習は可能であることを見出した。そして部位と画像取得条件63とが紐付けられたAPR53と学習モデル51とを組み合わせることで、被検体Mの画像を起点として適切な画像取得条件63を確度よく推論させる構成を実現させた。
実施例2に係るX線装置1Aは、画像における検査項目を学習モデル51Aで推論した後、当該検査項目に応じた画像取得条件63を読み出させるという点において、画像に映る被検体の対象部位を学習モデル51で推論する実施例1と相違する。以下、実施例2において画像取得条件63を自動的に読み出させる構成について説明する。
一般的に、X線画像に映る対象部位が異なると、当該X線画像の取得に適した画像取得条件63の各種パラメータが異なる。しかしながら、X線画像の対象部位が同じであっても、当該対象部位に対して行う検査の種類(検査項目、プロシージャともいう)が異なると、当該X線画像の取得に適した画像取得条件63の各種パラメータも異なる。一例として腹部に対して何も導入することなく一般的なX線撮影を行う場合と、腹部に内視鏡を挿入した状態でERCPを行う場合とではX線画像の取得に適切な画像取得条件63が異なる。
そこで、実施例2に係る学習モデル51Aは、画像を入力用情報として検査項目を出力するように構成される。機械学習部45において原画像R1、1次水増し画像R2、および2次水増し画像R3を教師用画像として機械学習を行うという点では、実施例2に係る学習モデル51Aは実施例1に係る学習モデル51と共通する。但し、実施例1に係る学習モデル51は画像に映る人体の骨、臓器、輪郭などを認識し、当該人体の構成を手掛かりとして画像に映る人体の部位を推論する。
一方、実施例2に係る学習モデル51Aは画像に映る人体の骨、臓器などの人体の構成に加えて、カテーテルまたは内視鏡を例とする検査機器、および造影剤などを例とする検査用薬剤を検出するように構成されている。そして学習モデル51Aは人体の構成に関する情報に加えて検査機器の有無または検査用薬剤の有無などの情報を手掛かりとして、画像がどのような検査項目に係る画像であるかを推論する。すなわち学習モデル51Aは被検体Mの画像を入力情報として、当該画像に係る検査項目を特定する情報を検査項目情報71として出力するように構成される。
このように、X線画像Fまたは光学画像Dなどを入力情報として入力することにより、入力情報である画像はどのような検査項目に係る画像であるかを推論し、推論によって得られた検査項目の情報71を出力するように、学習モデル51Aの機械学習が行われる。学習済みの学習モデル51Aは、学習モデル記憶部55に記憶される。
実施例2において、画像解析部47は学習モデル51Aを用いることにより、被検体Mについて得られた画像に係る検査項目を特定する。すなわち画像処理部33から送信されたX線画像などを入力用画像として学習モデル51Aに入力することにより、学習モデル51Aは、入力されたX線画像に映る人体の構成要素などを手掛かりとして、X線画像において実行されている検査項目を推論する。推論により得られた情報は、検査項目情報71として学習モデル51Aから出力される。条件読み出し部49は、画像解析部47によって得られた検査項目情報71をAPR53Aに入力することにより、当該検査項目情報71に係る検査項目に適切な画像取得条件63を設定する。実施例2に係る画像解析部47は、本発明における検査種類推論部に相当する。
胸部LcにカテーテルChを進行させている状態でX線管5から胸部Lcに対してX線を照射することにより、画像処理部33は胸部Lcを対象部位とするX線画像W2を生成する。生成されたX線画像W2のデータは画像解析部47へと送信される。
画像解析部47は、X線画像W2を入力用画像として学習モデル51Aに入力する。学習モデル51は、入力情報であるX線画像W2に映っている部位を推定して出力する。この場合、X線画像W2に映る被検体Mの心臓H、肺Lu、およびカテーテルChなどを手掛かりとして、X線画像W2は胸部PCIを検査項目とする画像である可能性が最も高いと学習モデル51Aは推定する。その結果、入力用画像の検査項目は胸部PCIであるとの情報、すなわち検査項目情報71bを学習モデル51Aは出力する。学習モデル51Aから出力された検査項目情報71bは、条件読み出し部49へと送信される。
条件読み出し部49は、検査項目情報71bに係る胸部PCIによるX線画像の取得に適切な画像取得条件63を探索する。すなわち検査項目として選択された検査項目情報71bをAPR53Aに入力することにより、APR53Aにおいて検査項目情報71bと紐付けて記憶されている画像取得条件63、すなわち画像取得条件63fが読み出されて出力される。
その結果、X線照射条件65fに基づいてX線管5はX線を照射し、画像処理条件67fに基づいて画像処理部33はX線画像Fの画像処理を行う。よって、手動で検査項目を選択する操作を行わなくとも速やかに画像取得条件63fが自動的に設定されるので、適切な画像取得条件63fを用いて速やかにX線画像W2の視認性が向上する。操作者はX線画像W2を確認しつつ冠動脈にステントを留置させ、PCIの術式を終了させる。
実施例2では学習モデル51AとAPR53Aとを用いることにより、直近に得られた被検体Mの画像を入力情報として当該画像において実行されている検査項目を推論し、当該検査項目に適切な画像取得条件63を読み出して設定できる。すなわちX線照射の対象部位の変更のみならず、内視鏡Esの挿入または造影剤Ctの注入を例とする操作によっても画像取得条件63は自動的かつ適切に変更される。
従って、検査機器や検査用薬剤を用いる検査を行う場合において、操作者および被検体Mの負担を低減できる。一例として造影剤Ctを用いた造影検査を行う場合、造影剤Ctの注入前は一般X線撮影に応じた画像取得条件63が自動的に選択され、造影剤Ctの注入後は造影撮影に応じた画像取得条件63へと自動的に変更される。すなわち、造影剤Ctの注入前後において検査項目を手動で選択する操作が不要であるので、操作者は造影検査の手技に集中できる。また、消化管または血管に注入された造影剤Ctを追跡するようにX線撮影対象部位を連続的に変更する場合、対象部位の変更によって検査項目も変更されるので、当該検査項目の変更に応じて画像取得条件63も自動的に変更される。よって、画像取得条件63の設定を手動で行うことに起因して造影剤を見失うといったリスクもより確実に回避できる。