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特開2023-90301ケラチン繊維を処置するためのポリフェノール及び植物由来のタンパク質の使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023090301
(43)【公開日】2023-06-29
(54)【発明の名称】ケラチン繊維を処置するためのポリフェノール及び植物由来のタンパク質の使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/60 20060101AFI20230622BHJP
   A61Q 5/00 20060101ALI20230622BHJP
   A61K 8/64 20060101ALI20230622BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20230622BHJP
   A61Q 5/12 20060101ALI20230622BHJP
【FI】
A61K8/60
A61Q5/00
A61K8/64
A61Q5/02
A61Q5/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021205206
(22)【出願日】2021-12-17
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】渋谷 宜己
(72)【発明者】
【氏名】アドリヤン・ケゼール
(72)【発明者】
【氏名】アイザック・エン・ティン・リー
(72)【発明者】
【氏名】淺間 仁美
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA112
4C083AB032
4C083AB332
4C083AC072
4C083AC172
4C083AC302
4C083AC312
4C083AC352
4C083AC472
4C083AC692
4C083AC712
4C083AC742
4C083AC782
4C083AD162
4C083AD201
4C083AD202
4C083AD411
4C083AD412
4C083AD442
4C083CC31
4C083CC33
4C083CC38
4C083DD06
4C083DD23
4C083EE06
4C083EE07
4C083EE28
(57)【要約】
【課題】毛髪等のケラチン繊維の強度を改善し、且つ/又は染色した毛髪等の染色したケラチン繊維の退色を低減する手段であって、植物から得られる成分を使用する手段を提供すること。
【解決手段】本発明は、ケラチン繊維の強度若しくは硬度を改善し、且つ/又はケラチン繊維の退色を低減するための、(1)ケラチン繊維、好ましくは毛髪の第1の組成物による処置と、(2)ケラチン繊維、好ましくは毛髪の第2の組成物による処置との組合せであって、第1の組成物が少なくとも1種のポリフェノールを含み、第2の組成物が植物由来の少なくとも1種のタンパク質を含む、組合せに関する。本発明は、植物から得られる成分を用いて、例えば、ケラチン繊維の伸縮性若しくは弾力を改善し、且つ/又は染色した染色されたケラチン繊維の退色を低減することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケラチン繊維、好ましくは毛髪を処置する方法であって、
(1)少なくとも1種のポリフェノールを含む第1の組成物でケラチン繊維を処置する工程と、
(2)植物由来の少なくとも1種のタンパク質を含む第2の組成物でケラチン繊維を処置する工程と
を含み、
ケラチン繊維が、上記の工程(1)によって処置され、後続して上記の工程(2)によって処置されるか、又は
ケラチン繊維が、上記の工程(2)によって処置され、後続して上記の工程(1)によって処置される、
方法。
【請求項2】
ポリフェノールが、タンニンから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ポリフェノールが、タンニン酸である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
第1の組成物中のポリフェノールの量が、第1の組成物の総質量に対して、0.01質量%から10質量%、好ましくは0.05質量%から5質量%、より好ましくは0.1質量%から3質量%の範囲である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
植物由来のタンパク質が、加水分解エンドウマメタンパク質、加水分解ダイズタンパク質、加水分解コムギタンパク質、加水分解コメタンパク質、加水分解トウモロコシタンパク質、植物由来の組み換え絹タンパク質、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
植物由来のタンパク質が、加水分解エンドウマメタンパク質である、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
第2の組成物中の植物由来のタンパク質の量が、組成物の総質量に対して、0.01質量%から10質量%、好ましくは0.05質量%から5質量%、より好ましくは0.1質量%から3質量%の範囲である、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
第1及び第2の組成物の少なくとも一方が3.0~8.0、好ましくは3.5~6.5、より好ましくは4.0~6.0のpHを有している、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
ケラチン繊維を第1の組成物又は第2の組成物で処置した後に、第1の組成物又は第2の組成物がケラチン繊維から除去される、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
ケラチン繊維を第1の組成物又は第2の組成物で処置した後に、第1の組成物又は第2の組成物がケラチン繊維上に維持される、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
ケラチン繊維の強度又は硬度を改善することができる、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
染色されたケラチン繊維の退色を低減することができる、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
ケラチン繊維、好ましくは毛髪を処置するための製品であって、
(1)第1の組成物、及び
(2)第2の組成物
を含み、
第1の組成物が、少なくとも1種のポリフェノールを含み、
第2の組成物が、植物由来の少なくとも1種のタンパク質を含む、
製品。
【請求項14】
ケラチン繊維、好ましくは毛髪を処置するためのキットであって、
(1)第1の組成物を含む第1の区画、及び
(2)第2の組成物を含む第2の区画
を含み、
第1の組成物が、少なくとも1種のポリフェノールを含み、
第2の組成物が、植物由来の少なくとも1種のタンパク質を含む、
キット。
【請求項15】
ケラチン繊維の強度又は硬度を改善するか、又は、ケラチン繊維の退色を低減するための、
(1)ケラチン繊維、好ましくは毛髪の第1の組成物による処置と、
(2)ケラチン繊維、好ましくは毛髪の第2の組成物による処置と
の組合せの使用であって、
第1の組成物が、少なくとも1種のポリフェノールを含み、
第2の組成物が、植物由来の少なくとも1種のタンパク質を含む、
使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケラチン繊維、好ましくは毛髪を処置するためのポリフェノールと植物由来のタンパク質との組合せの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘアトリートメントの分野において、例えば、毛髪の伸縮性又は弾力を改善するために毛髪を強力に又は硬質にすることが好ましい場合がある。また、ヘアトリートメントによる退色を低減するために、染色した毛髪が、洗髪及びコンディショニング等のヘアトリートメントに耐性を持つことが好ましい。
【0003】
JP-B-6594114は、タンニン酸を含むプレトリートメント及び加水分解ケラチンを含むポストトリートメント剤による毛髪の処置を開示している。JP-B-6594114によれば、タンニン酸による毛髪のプレトリートメントは、加水分解ケラチンの毛髪中への浸透を低減することができる。しかしながら、JP-B-6594114は、開示される2段階のヘアトリートメントが、毛髪の強度の改善又は染色した毛髪の退色の低減が可能であるとは開示してなく、示唆してもいない。
【0004】
一方、化粧品分野において、環境に配慮した、動物由来ではない成分を化粧料に使用する傾向がある。
【0005】
非動物由来の成分を使用した化粧料による、毛髪の強度を改善でき、且つ/又は染色した毛髪の退色を低減できるヘアトリートメントが必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】JP-B-6594114
【特許文献2】EP-A-307,626
【特許文献3】FR-2,400,358
【特許文献4】FR-2,400,359
【特許文献5】米国特許第2,528,378号
【特許文献6】米国特許第2,781,354号
【特許文献7】米国特許第4,874,554号
【特許文献8】米国特許第4,137,180号
【特許文献9】仏国特許出願公開第8516334号
【特許文献10】米国特許第4,957,732号
【特許文献11】欧州特許第0186507号
【特許文献12】欧州特許出願第0342834号
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】「The Flavonoids」、Harborne J. B.、Mabry T. J.、Helga Mabry、1975年、1~45頁
【非特許文献2】Changら、JOSC、61巻、6号、1984年6月
【非特許文献3】CTFA辞典、第9版、2002
【非特許文献4】CTFA辞典、第3版、1982
【非特許文献5】CTFA辞典、第5版、1993
【非特許文献6】「Handbook of Surfactants」、M.R.Porter、Blackie & Son出版(Glasgow及びLondon)、1991年、116~178頁
【非特許文献7】「The HLB system. A time-saving guide to emulsifier selection」(ICI Americas Inc.社より刊行、1984年)
【非特許文献8】Walter NOLL著、「Chemistry and Technology of Silicones」(1968年)、Academic Press
【非特許文献9】Cosmetics and Toiletries、第91巻、1976年1月、27~32頁、TODD & BYERS、「Volatile Silicone Fluids for Cosmetics」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、毛髪等のケラチン繊維の強度を改善し、且つ/又は染色した毛髪等の染色したケラチン繊維の退色を低減する手段であって、植物から得られる成分を使用する手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的は、ケラチン繊維、好ましくは毛髪を処置するための方法であって、
(1)少なくとも1種のポリフェノールを含む第1の組成物でケラチン繊維を処置する工程と、
(2)植物由来の少なくとも1種のタンパク質を含む第2の組成物でケラチン繊維を処置する工程と
を含み、
ケラチン繊維が、上記の工程(1)によって処置され、後続して上記の工程(2)によって処置されるか、又は
ケラチン繊維が、上記の工程(2)によって処置され、後続して上記の工程(1)によって処置される、
方法によって達成することができる。
【0010】
ポリフェノールは、タンニンから選択してもよい。
【0011】
ポリフェノールはタンニン酸であることが好ましい。
【0012】
第1の組成物中のポリフェノールの量は、第1の組成物の総質量に対して、0.01質量%~10質量%、好ましくは0.05質量%~5質量%、より好ましくは0.1質量%~3質量%の範囲であってもよい。
【0013】
植物由来のタンパク質は、加水分解エンドウマメタンパク質、加水分解ダイズタンパク質、加水分解コムギタンパク質、加水分解コメタンパク質、加水分解トウモロコシタンパク質、植物由来の組み換え絹タンパク質、及びこれらの混合物からなる群から選択してもよい。
【0014】
植物由来の加水分解タンパク質は、加水分解エントウマメタンパク質であることが好ましい。
【0015】
第2の組成物中の植物由来のタンパク質の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~10質量%、好ましくは0.05質量%~5質量%、より好ましくは0.1質量%~3質量%の範囲であってもよい。
【0016】
第1及び第2の組成物の少なくとも一方は、3.0~8.0、好ましくは3.5~6.5、より好ましくは4.0~6.0のpHを有していてもよい。
【0017】
第1の組成物又は第2の組成物は、ケラチン繊維を第1の組成物又は第2の組成物で処置した後に、ケラチン繊維から除去してもよい。
【0018】
第1の組成物又は第2の組成物は、ケラチン繊維を第1の組成物又は第2の組成物で処置した後に、ケラチン繊維上に維持させてもよい。
【0019】
本発明による方法は、ケラチン繊維の強度又は硬度を改善することができる。
【0020】
本発明による方法は、染色したケラチン繊維の退色を低減することができる。
【0021】
本発明はまた、ケラチン繊維、好ましくは毛髪のためを処置する製品であって、
(1)第1の組成物、及び
(2)第2の組成物
を含み、
第1の組成物が、少なくとも1種のポリフェノールを含み、
第2の組成物が、植物由来の少なくとも1種のタンパク質を含む、
製品にも関する。
【0022】
本発明はまた、ケラチン繊維、好ましくは毛髪を処置するためのキットであって、
(1)第1の組成物を含む第1の区画、及び
(2)第2の組成物を含む第2の区画
を含み、
第1の組成物が、少なくとも1種のポリフェノールを含み、
第2の組成物が、植物由来の少なくとも1種のタンパク質を含む、
キットにも関する。
【0023】
本発明はまた、ケラチン繊維の強度又は硬度を改善するか、又は、ケラチン繊維の退色を低減するための、
(1)ケラチン繊維、好ましくは毛髪の第1の組成物による処置と、
(2)ケラチン繊維、好ましくは毛髪の第2の組成物による処置と
の組合せの使用であって、
第1の組成物が、少なくとも1種のポリフェノールを含み、
第2の組成物が、植物由来の少なくとも1種のタンパク質を含む、
使用にも関する。
【発明を実施するための形態】
【0024】
鋭意検討の結果、本発明者らは、毛髪等のケラチン繊維の強度を改善し、且つ/又は染色した毛髪等の染色したケラチン繊維の退色を低減する手段であって、植物から得られる成分を使用する手段を提供することが可能であることを発見した。
【0025】
そのため、本発明は、主に、ケラチン繊維、好ましくは毛髪を処置する方法であって、
(1)少なくとも1種のポリフェノールを含む第1の組成物でケラチン繊維を処置する工程と、
(2)植物由来の少なくとも1種のタンパク質を含む第2の組成物でケラチン繊維を処置する工程と
を含み、
ケラチン繊維が、上記の工程(1)によって処置され、後続して上記の工程(2)によって処置されるか、又は
ケラチン繊維が、上記の工程(2)によって処置され、後続して上記の工程(1)によって処置される、
方法に関する。
【0026】
本発明は、植物から得られる成分を用いて、毛髪等のケラチン繊維の強度を改善し、且つ/又は染色した毛髪等の染色したケラチン繊維の退色を低減することができる。
【0027】
本発明の手段により、ケラチン繊維の強度又は硬度がより良好な毛髪等のケラチン繊維を提供することが可能である。したがって、本発明は、より良好な伸縮性及びより良好な弾力等のより良好な美容特性を有するケラチン繊維を提供することができる。
【0028】
また、本発明の手段により、洗髪及びコンディショニング等のヘアトリートメントに耐性を持つ、染色した毛髪等の染色したケラチン繊維を提供することも可能である。したがって、本発明は、ヘアトリートメントによって生じる退色が少ない染色ケラチン繊維を提供することができる。
【0029】
ポリフェノール及び/又は植物由来のタンパク質を植物から得ることができるため、本発明は、環境に配慮したものとすることができる。
【0030】
以下、本発明を、詳細に説明する。
【0031】
[方法]
本発明の一態様は、ケラチン繊維、好ましくは毛髪を処置するための方法であって、
(1)少なくとも1種のポリフェノールを含む第1の組成物でケラチン繊維を処置する工程と、
(2)植物由来の少なくとも1種のタンパク質を含む第2の組成物でケラチン繊維を処置する工程と
を含み、
ケラチン繊維が、上記の工程(1)によって処置され、後続して上記の工程(2)によって処置されるか、又は
ケラチン繊維が、上記の工程(2)によって処置され、後続して上記の工程(1)によって処置される、
方法に関する。
【0032】
(第1の組成物)
(ポリフェノール)
第1の組成物は、少なくとも1種のポリフェノールを含む。単一のタイプのポリフェノールを使用してもよく、又は2種以上の異なるタイプのポリフェノールを組み合わせて使用することもできる。
【0033】
「ポリフェノール」という表現は、複数のフェノール性ヒドロキシル基を含有する化合物を意味すると理解される。フェノール性ヒドロキシル基は、ベンゼン環及びナフタレン環等の芳香環に結合されたヒドロキシル基を意味する。フェノール性ヒドロキシル基は、任意選択によりエーテル化又はエステル化されていてもよい。
【0034】
ポリフェノールは、酸化防止作用を有するものから選択してもよい。
【0035】
ポリフェノールは、例えば、フラボノイドから選択してもよい。フラボノイドは、一般式(I):
【0036】
【化1】
【0037】
(式中、
A''、B''、C''及びD''は、互いに独立して、H又は-OHを表し、
E''は、H、-OH又は-OX'を表し、式中、X'は、
【0038】
【化2】
【0039】
を表し、
F''、G''及びJ''は、互いに独立して、H又は-OHを表し、
X1は、-CH2-、-CO-又は-CHOH-を表す)、
又は式(II):
【0040】
【化3】
【0041】
(式中、
A'、C'及びD'は、互いに独立して、H、-OH又は-OCH3を表し、
E'は、H、-OH又は-OR'を表し、式中、R'は、式R'OHの糖の残基を表し、
B'、F'、G'及びJ'は、互いに独立して、H、OH、-OCH3又は-OCH2-CH2-OHを表す)
に対応してもよい。糖R'OHの中でもルチノースを挙げることができる。
【0042】
式(I)及び(II)の化合物は知られている。これらは、特に「The Flavonoids」、Harborne J. B.、Mabry T. J.、Helga Mabry、1975年、1~45頁に記載の方法によって得ることができる。
【0043】
本発明に使用できるフラボノイドの中でも、タキシフォリン、カテキン、エピカテキン、エリオジクチオール、ナリンゲニン、ルチン、トロキセルチン、クリシン、タンゲレチン、ルテオリン、エピガロカテキン及びエピガロカテキン没食子酸塩、ケルセチン、フィゼチン、ケンペロール、ガランギン、ガロカテキン及びエピカテキンキン没食子酸塩を挙げることができる。
【0044】
使用できる特定のポリフェノールは、植物中に存在し、公知の方法で該植物から抽出できる。茶葉(カメリアシネンシス又はカメリアジャポニカ)由来の抽出物を使用することが可能である。特に、Nikko社によって名称SUNPHENON(登録商標)で販売されている、とりわけフラボノイドを含有する、緑茶抽出物が挙げられる。
【0045】
使用できるポリフェノールの中でも、例えばローズマリーから抽出できるカルノシン酸及びカルノソール等のポリフェノールも挙げられるが、この抽出は、抽出に後続して蒸留する(Changら、JOSC、61巻、6号、1984年6月)か、又はEP-A-307,626に記載されるように、エタノール等の極性溶媒による抽出に後続して、ヘキサン等の非極性溶媒を使用して抽出し、臭気物質を除去するかのいずれかによって行われる。
【0046】
ポリフェノールはまた、式(III):
【0047】
【化4】
【0048】
(式中、
R1''は、-O-Alk、OH又は-N(r')(r'')を表し、式中、Alkは、任意選択により1つ以上のヒドロキシル基若しくはアルコキシ基によって置換されている直鎖状若しくは分枝状C1~C20アルキル、又はC2~C20アルケニルを示し、
r'及びr''は、独立して、H、C1~C20アルキル、C2~C6ヒドロキシアルキル又はC3~C6ポリヒドロキシアルキルを表すか、或いは代替的にr'及びr''は、これらが結合している窒素原子と共に複素環を形成し、
rは、ゼロを含む数であり、したがって-(CH2)r-COR1鎖は、最大21個の炭素原子を含有し、
R2''及びR3''は、独立して、H又はC1~C4アルキルを表し、追加として、R2''はC1~C4アルコキシを表すことが可能である)
の(2,5-ジヒドロキシフェニル)アルキレンカルボン酸及びその誘導体(特にエステル及びアミド)から選択されうる。
【0049】
式(III)の化合物は、知られているか、又は公知の方法、例えば特許FR-2,400,358及びFR-2,400,359に記載のものと同様の方法に従って調製することができる。
【0050】
ポリフェノールはまた、カフェ酸のエステル又はアミドから選択してもよい。
【0051】
カフェ酸のエステルの中でも、特に式(IV):
【0052】
【化5】
【0053】
(式中、
Zは、C1~C8アルキル、例えばメチル、又はフェトールの残基を表す)
の化合物を挙げることができる。
【0054】
カフェ酸のアミドの中でも、特に式(V):
【0055】
【化6】
【0056】
(式中、
Z'は、C1~C8、特にC6~C8アルキルを表す)
の化合物を挙げることができる。
【0057】
式(IV)又は(V)の化合物は、公知であるか、又は公知の方法に従って調製することができる。
【0058】
ポリフェノールはまた、タンニンから選択してもよい。
【0059】
タンニンは、加水分解タンニン、加水分解できない縮合タンニン、及びこれらの混合物から選択することができる。
【0060】
加水分解タンニンは、ガロタンニン及びエラグタンニンから選択することができる。
【0061】
ポリフェノールとして、ガロタンニンの部類に属するタンニン酸を使用することが好ましい。
【0062】
タンニン酸は、以下の化学式:
【0063】
【化7】
【0064】
に対応する。
【0065】
ポリフェノールは、植物から得られる。したがって、本発明は、環境に配慮したものとすることができる。
【0066】
第1の組成物中のポリフェノールの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上でありうる。
【0067】
第1の組成物中のポリフェノールの量は、組成物の総質量に対して、10質量%以下、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、更により好ましくは1質量%以下であってもよい。
【0068】
第1の組成物中のポリフェノールの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~10質量%、好ましくは0.05質量%~5質量%、より好ましくは0.1質量%~3質量%、更により好ましくは0.1質量%~1質量%であってもよい。
【0069】
(水)
第1の組成物は、水を含んでもよい。
【0070】
第1の組成物中の水の量は、組成物の総質量に対して、50質量%以上、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上であってもよい。
【0071】
第1の組成物中の水の量は、組成物の総質量に対して、99.5質量%以下、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下であってもよい。
【0072】
第1の組成物中の水の量は、組成物の総質量に対して、50質量%~99.5質量%、好ましくは60質量%~90質量%、より好ましくは70質量%~80質量%の範囲であってもよい。
【0073】
(追加の成分)
第1の組成物はまた、毛髪等のケラチン繊維用の化粧品に従来から使用されている何らかの任意選択の成分も含んでもよく、これについては後に説明していく。
【0074】
第1の組成物は、後に説明していく少なくとも1種の界面活性剤を含むことが好ましい。
【0075】
(pH)
第1の組成物のpHは、化粧品分野で一般的に使用されるアルカリ剤及び/又は酸性剤を使用して所望の値に調整することができる。
【0076】
第1の組成物のpHは、3.0~7.0、好ましくは3.5~6.5、より好ましくは4.0~6.0であってもよい。
【0077】
アルカリ剤は、組成物の総質量に対して、0.001質量%~10質量%、好ましくは0.01質量%~5質量%、より好ましくは0.1質量%~1質量%の範囲の量で使用してもよい。
【0078】
酸性剤は、組成物の総質量に対して、0.001質量%~10質量%、好ましくは0.01質量%~5質量%、より好ましくは0.1質量%~1質量%の範囲の量で使用してもよい。
【0079】
(第2の組成物)
(植物由来のタンパク質)
第2の組成物は、植物由来の少なくとも1種のタンパク質を含む。単一のタイプの植物由来のタンパク質を使用してもよく、又は2種以上の異なるタイプの植物由来のタンパク質を組み合わせて使用することもできる。
【0080】
植物由来のタンパク質は、ダイズ、エンドウマメ、コムギ、コメ、トウモロコシ及びゴマ等の植物から得ることができるポリペプチドであってもよい。タンパク質は、加水分解してもよい。加水分解は、例えば、酸又は酵素を使用する従来から知られている方法によって実施してもよい。植物由来のタンパク質はまた、遺伝子組み換え及びコーンスターチ等の天然の有力な炭素源の発酵等の工業バイオテクノロジー法を介して得ることができるポリペプチドであってもよい。
【0081】
植物由来のタンパク質は、加水分解エンドウマメタンパク質、加水分解ダイズタンパク質、加水分解コムギタンパク質、加水分解コメタンパク質、加水分解トウモロコシタンパク質、植物由来の組み換え絹タンパク質、及びこれらの混合物からなる群から選択してもよい。
【0082】
植物由来のタンパク質は、加水分解エントウマメタンパク質であることが好ましい。
【0083】
タンパク質は、アスパラギン酸及びグルタミン酸等の酸性アミノ酸、並びにアルギニン、ヒスチジン及びリジン等の塩基性アミノ酸を含んでもよい。
【0084】
加水分解エンドウマメタンパク質は、エンドウマメ(Pisum sativum L)の加水分解によって調製することができる。加水分解エンドウマメタンパク質として、約500の平均分子量を有する、それぞれ、エンドウマメタンパク質の水溶液又は粉状エンドウマメタンパク質である、Seiwa Kasei Co., Ltd.社製のPromois(登録商標)WJ又はPromois(登録商標)WJ-SP等の市販製品を使用してもよい。加水分解ダイズタンパク質は、ダイズ(Glycine max)の加水分解によって調製することができる。加水分解ダイズタンパク質として、約700の平均分子量を有する、それぞれ、ダイズタンパク質の水溶液又は粉状ダイズタンパク質である、Seiwa Kasei Co., Ltd.社製のPromois(登録商標)WS又はPromois(登録商標)WS-HSP等の市販製品を使用してもよい。加水分解コムギタンパク質は、コムギ(Triticum)の加水分解によって調製することができる。加水分解コムギタンパク質として、約700の平均分子量を有する、それぞれ、コムギタンパク質の水溶液又は粉状コムギタンパク質である、Seiwa Kasei Co., Ltd.社製のPromois(登録商標)WG又はPromois(登録商標)WG-SP等の市販製品を使用してもよい。加水分解コメタンパク質は、コメ(Oryza sativa)の加水分解によって調製することができる。加水分解コメタンパク質として、約400の平均分子量を有する、それぞれ、コメタンパク質の水溶液又は粉状コメタンパク質である、Seiwa Kasei Co., Ltd.社製のPromois(登録商標)WR又はPromois(登録商標)WR-SP等の市販製品を使用してもよい。加水分解コムギタンパク質、加水分解トウモロコシタンパク質、及び加水分解ダイズタンパク質の混合物として、コムギタンパク質、トウモロコシタンパク質、及びダイズタンパク質の水溶液である、TRI-K社製のKeraplant等の市販製品を使用してもよい。植物由来の絹として、発酵を利用した工業バイオテクノロジー法によって製造される水性ゲルの絹である、Givaudan社製のSilkgel Neo(登録商標)等の市販製品を使用してもよい。
【0085】
タンパク質を植物から得られるため、本発明は、環境に配慮したものとすることができる。
【0086】
第2の組成物中の植物由来のタンパク質の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上でありうる。
【0087】
第2の組成物中の植物由来のタンパク質の量は、組成物の総質量に対して、10質量%以下、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、更により好ましくは1質量%以下であってもよい。
【0088】
第2の組成物中の植物由来のタンパク質の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~10質量%、好ましくは0.05質量%~5質量%、より好ましくは0.1質量%~3質量%、更により好ましくは0.1質量%~1質量%であってもよい。
【0089】
(水)
第2の組成物は、水を含んでもよい。
【0090】
第2の組成物中の水の量は、組成物の総質量に対して、50質量%以上、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上であってもよい。
【0091】
第2の組成物中の水の量は、組成物の総質量に対して、99質量%以下、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下であってもよい。
【0092】
第2の組成物中の水の量は、組成物の総質量に対して、50質量%~99質量%、好ましくは60質量%~95質量%、より好ましくは70質量%~90質量%の範囲であってもよい。
【0093】
(追加の成分)
第2の組成物はまた、毛髪等のケラチン繊維用の化粧品に従来から使用されている何らかの任意選択の成分も含んでもよく、これについては後に説明していく。
【0094】
第2の組成物は、後に説明していく少なくとも1種のシリコーン及び/又は少なくとも1種の油を含むことが好ましい。
【0095】
(pH)
第2の組成物のpHは、化粧品分野で一般的に使用されるアルカリ剤及び/又は酸性剤を使用して所望の値に調整することができる。
【0096】
第2の組成物のpHは、3.0~8.0、好ましくは3.5~6.5、より好ましくは4.0~6.0であってもよい。
【0097】
アルカリ剤は、組成物の総質量に対して、0.001質量%~10質量%、好ましくは0.01質量%~5質量%、より好ましくは0.1質量%~1質量%の範囲の量で使用してもよい。
【0098】
酸性剤は、組成物の総質量に対して、0.001質量%~10質量%、好ましくは0.01質量%~5質量%、より好ましくは0.1質量%~1質量%の範囲の量で使用してもよい。
【0099】
(任意選択の成分)
第1の組成物及び/又は第2の組成物はまた、毛髪等のケラチン繊維用の化粧品に従来から使用されている少なくとも1種の任意選択の成分も含んでよい。
【0100】
任意選択の成分の例を、以下で説明していく。
【0101】
(界面活性剤)
第1の組成物及び/又は第2の組成物は、少なくとも1種の界面活性剤を含んでもよい。
【0102】
任意の界面活性剤を、本発明のために使用することができる。本発明に使用される界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、及びこれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0103】
2種以上の界面活性剤が使用される場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。
【0104】
アニオン性界面活性剤:
本発明によれば、アニオン性界面活性剤のタイプは限定されない。アニオン性界面活性剤は、(C6~C30)アルキル硫酸塩、(C6~C30)アルキルエーテル硫酸塩、(C6~C30)アルキルアミドエーテル硫酸塩、アルキルアリールポリエーテル硫酸塩、及びモノグリセリド硫酸塩;(C6~C30)アルキルスルホン酸塩、(C6~C30)アルキルアミドスルホン酸塩、(C6~C30)アルキルアリールスルホン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、及びパラフィンスルホン酸塩;(C6~C30)アルキルリン酸塩;(C6~C30)アルキルスルホコハク酸塩、(C6~C30)アルキルエーテルスルホコハク酸塩、及び(C6~C30)アルキルアミドスルホコハク酸塩;(C6~C30)アルキルスルホアセテート;(C6~C24)アシルサルコシネート;(C6~C24)アシルグルタメート;(C6~C30)アルキルポリグリコシドカルボキシルエーテル;(C6~C30)アルキルポリグリコシドスルホコハク酸塩;(C6~C30)アルキルスルホスクシナメート;(C6~C24)アシルイセチオネート;N-(C6~C24)アシルタウレート;C6~C30脂肪酸塩;ヤシ油酸塩又は水素化ヤシ油酸塩;(C8~C20)アシルラクチレート;(C6~C30)アルキル-D-ガラクトシドウロン酸塩;ポリオキシアルキレン化(C6~C30)アルキルエーテルカルボン酸塩;ポリオキシアルキレン化(C6~C30)アルキルアリールエーテルカルボン酸塩;及びポリオキシアルキレン化(C6~C30)アルキルアミドエーテルカルボン酸塩からなる群から選択されることが好ましい。
【0105】
アニオン性界面活性剤は、(C6~C30)硫酸アルキルの塩又はポリオキシアルキレン化(C6~C30)アルキルエーテルカルボン酸塩から選択されることがより好ましい。
【0106】
少なくとも1つの実施形態では、アニオン性界面活性剤は塩の形態にあり、例えばアルカリ金属(例としてはナトリウム)の塩;アルカリ土類金属(例としてはマグネシウム)の塩;アンモニウム塩;アミン塩;及びアミノアルコール塩等である。条件によっては、アニオン性界面活性剤は酸の形態にあってもよい。
【0107】
両性界面活性剤:
本発明によれば、両性界面活性剤のタイプは限定されない。両性又は双性イオン性界面活性剤は、例えば(非限定的列挙)、アミン誘導体、例えば脂肪族第二級又は第三級アミン、及び任意選択で四級化されているアミン誘導体であってよく、ここで、脂肪族基は、8~22個の炭素原子を含んで少なくとも1つの水可溶化アニオン性基(例えばカルボキシレート、スルホネート、スルフェート、ホスフェート又はホスホネート)を含有する直鎖状又は分枝状の鎖である。
【0108】
両性界面活性剤は、好ましくは、ベタイン及びアミドアミンカルボキシル化誘導体からなる群から選択することができる。
【0109】
ベタイン型両性界面活性剤は、アルキルベタイン、アルキルアミドアルキルベタイン、スルホベタイン、ホスホベタイン及びアルキルアミドアルキルスルホベタイン、具体的には、(C8~C24)アルキルベタイン、(C8~C24)アルキルアミド(C1~C8)アルキルベタイン、スルホベタイン、及び(C8~C24)アルキルアミド(C1~C8)アルキルスルホベタインからなる群から好ましくは選択される。一実施形態において、ベタイン型の両性界面活性剤は、(C8~C24)アルキルベタイン、(C8~C24)アルキルアミド(C1~C8)アルキルスルホベタイン、スルホベタイン及びホスホベタインから選択される。
【0110】
挙げることができる非限定的な例には、CTFA辞典、第9版、2002において、単独で又は混合物として、名称ココベタイン、ラウリルベタイン、セチルベタイン、ココ/オレアミドプロピルベタイン、コカミドプロピルベタイン、パルミタミドプロピルベタイン、ステアラミドプロピルベタイン、コカミドエチルベタイン、コカミドプロピルヒドロキシスルタイン、オレアミドプロピルヒドロキシスルタイン、ココヒドロキシスルタイン、ラウリルヒドロキシスルタイン及びココスルタインで分類されている化合物が含まれる。
【0111】
ベタイン型両性界面活性剤は、好ましくは、アルキルベタイン及びアルキルアミドアルキルベタイン、特に、ココベタイン及びコカミドプロピルベタインである。
【0112】
アミドアミンカルボキシル化誘導体の中でも、Miranolの名称で販売されている製品を挙げることができる。これらは、米国特許第2,528,378号及び同第2,781,354号に記載されており、CTFA辞典、第3版、1982(これらの開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる)においてアンホカルボキシグリシネート及びアンホカルボキシプロピオネートの名称で分類され、これらのそれぞれの構造は以下の通りである:
R1-CONHCH2CH2-N+(R2)(R3)(CH2COO-)
(式中、
R1は、加水分解ヤシ油中に存在する酸R1-COOHのアルキル基、ヘプチル、ノニル又はウンデシルの各基を示し、
R2は、β-ヒドロキシエチル基を示し、
R3は、カルボキシメチル基を示す)
並びに
R1'-CONHCH2CH2-N(B)(C)
(式中、
Bは、-CH2CH2OX'を表し、
Cは、-(CH2)z-Y'(式中、z=1又は2)を表し、
X'は、-CH2CH2-COOH基、-CH2-COOZ'、-CH2CH2-COOH、-CH2CH2-COOZ'又は水素原子を示し、
Y'は、-COOH基、-COOZ'基、-CH2-CHOH-SO3Z'基又は-CH2-CHOH-SO3H基を示し、
Z'は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属、例えばナトリウムのイオン、アンモニウムイオン、又は有機アミンから発生するイオンを表し、
R1'は、ヤシ油中、若しくは加水分解アマニ油中に存在する酸R1'-COOHのアルキル基、C7、C9、C11若しくはC13アルキル基等のアルキル基、C17アルキル基及びそのイソ型、又は不飽和のC17基を示す)。
【0113】
両性界面活性剤が、(C8~C24)アンホモノ酢酸アルキル、(C8~C24)アンホジ酢酸アルキル、(C8~C24)アンホモノプロピオン酸アルキル及び(C8~C24)アンホジプロピオン酸アルキルから選択されることが好ましい。
【0114】
これらの化合物は、CTFA辞典、第5版、1993において、名称ココアンホジ酢酸二ナトリウム、ラウロアンホジ酢酸二ナトリウム、カプリルアンホジ酢酸二ナトリウム、カプリロアンホジ酢酸二ナトリウム、ココアンホジプロピオン酸二ナトリウム、ラウロアンホプロピオン酸二ナトリウム、カプリルアンホジプロピオン酸二ナトリウム、カプリルアンホジプロピオン酸二ナトリウム、ラウロアンホジプロピオン酸及びココアンホジプロピオン酸で分類されている。
【0115】
例として、Rhodia Chimie社によりMiranol(登録商標)C2M濃縮物という商標名で販売されているココアンホジアセテートを挙げることができる。
【0116】
カチオン性界面活性剤:
本発明によれば、カチオン性界面活性剤のタイプは限定されない。カチオン性界面活性剤は、任意選択でポリオキシアルキレン化されている、第一級、第二級又は第三級脂肪アミン塩、第四級アンモニウム塩、及びこれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0117】
挙げることができる第四級アンモニウム塩の例には、以下のものが含まれるが、これらに限定されない:
以下の一般式(I)のもの:
【0118】
【化8】
【0119】
(式中、
R1、R2、R3及びR4は、同一であっても異なっていてもよく、1~30個の炭素原子を含んで酸素、窒素、硫黄及びハロゲン等のヘテロ原子を任意選択で含む、直鎖状及び分枝状の脂肪族基から選択される。脂肪族基は、例えば、アルキル、アルコキシ、C2~C6ポリオキシアルキレン、アルキルアミド、(C12~C22)アルキルアミド(C2~C6)アルキル、(C12~C22)アルキルアセテート及びヒドロキシアルキルの各基;並びに芳香族基、例えばアリール及びアルキルアリールから選択することができ;X-は、ハロゲン化物、ホスフェート、アセテート、ラクテート、(C2~C6)アルキルスルフェート、及びアルキルスルホネート又はアルキルアリールスルホネートから選択される);
イミダゾリンの第四級アンモニウム塩、例えば、次式(II)のもの:
【0120】
【化9】
【0121】
(式中、
R5は、8~30個の炭素原子を含むアルケニル基及びアルキル基、例えば、獣脂の若しくはココナツの脂肪酸誘導体から選択され、
R6は、水素、C1~C4アルキル基、並びに8~30個の炭素原子を含むアルケニル基及びアルキル基から選択され、
R7は、C1~C4アルキル基から選択され、
R8は、水素及びC1~C4アルキル基から選択され、
X-は、ハロゲン化物、ホスフェート、アセテート、ラクテート、アルキルスルフェート、アルキルスルホネート及びアルキルアリールスルホネートから選択される)。一実施形態では、R5及びR6は、例えば、獣脂の脂肪酸誘導体等の、12~21個の炭素原子を含むアルケニル基及びアルキル基から選択される基の混合物であり、R7はメチルであり、R8は水素である。こうした製品の例には、これらに限定されないが、Witco社により「Rewoquat(登録商標)」W75、W90、W75PG及びW75HPGという名称で販売されている、クオタニウム-27(CTFA 1997年)及びクオタニウム-83(CTFA 1997年);
式(III)のジ四級アンモニウム塩:
【0122】
【化10】
【0123】
(式中、
R9は、16~30個の炭素原子を含む脂肪族基から選択され、
R10は、水素、又は1~4個の炭素原子を含むアルキル基、又は(R16a)(R17a)(R18a)N+(CH2)3基から選択され、
R11、R12、R13、R14、R16a、R17a及びR18aは、同一であっても異なっていてもよく、水素、及び1~4個の炭素原子を含むアルキル基から選択され、
X-は、ハロゲン化物、アセテート、ホスフェート、ナイトレート、エチルスルフェート、及びメチルスルフェートから選択される)。このようなジ第四級アンモニウム塩の例は、FINETEX社のFINQUAT CT-P(クオタニウム-89)、又はFINETEX社のFINQUAT CT(クオタニウム-75)である;
少なくとも1種のエステル官能基を含む第四級アンモニウム塩、例えば、以下の式(IV)のもの:
【0124】
【化11】
【0125】
(式中、
R22は、C1~C6アルキル基、並びにC1~C6ヒドロキシアルキル基及びジヒドロキシアルキル基から選択され、
R23は、
以下の基:
【0126】
【化12】
【0127】
直鎖状及び分枝状の、飽和及び不飽和のC1~C22炭化水素系基R27、並びに水素
から選択され、
R25は、
以下の基:
【0128】
【化13】
【0129】
直鎖状及び分枝状の、飽和及び不飽和のC1~C6炭化水素系基R29、並びに水素
から選択され、
R24、R26及びR28は、同一であっても異なっていてもよく、直鎖状及び分枝状の、飽和及び不飽和C7~C21炭化水素系基から選択され、
r、s及びtは、同一であっても異なっていてもよく、2~6の範囲の整数から選択され、
r1及びt1のそれぞれは、同一であっても異なっていてもよく、0又は1であり、r2+r1=2r且つt1+2t=2tであり、
yは1~10の範囲の整数から選択され、
x及びzは、同一であっても異なっていてもよく、0~10の範囲の整数から選択され、
X-は、単純な及び錯体の、有機及び無機のアニオンから選択され、ただし、和x+y+zは、1から15の範囲であり、xが0である場合、R23は、R27を示し、zが0である場合、R25は、R29を示す)。R22は、直鎖状及び分枝状のアルキル基から選択することができる。一実施形態では、R22は、直鎖状のアルキル基から選択される。別の実施形態では、R22は、メチル基、エチル基、ヒドロキシエチル基、及びジヒドロキシプロピル基から選択され、例えば、メチル基及びエチル基から選択される。一実施形態では、和x+y+zは、1~10の範囲である。R23が炭化水素系基R27であるとき、これは長鎖であって12~22個の炭素原子を含んでもよく、又は短鎖であって1~3個の炭素原子を含んでもよい。R25が炭化水素系基R29であるとき、これは、例えば1~3個の炭素原子を含んでもよい。非限定的な例として、一実施形態では、R24、R26及びR28は、同一であっても異なっていてもよく、直鎖状及び分枝状の、飽和及び不飽和のC11~C21炭化水素系基から選択され、例えば、直鎖状及び分枝状の、飽和及び不飽和のC11~C21アルキル基及びアルケニル基から選択される。別の実施形態では、x及びzは、同一であっても異なっていてもよく、0又は1である。一実施形態において、yは1に等しい。別の実施形態では、r、s及びtは、同一であっても異なっていてもよく、2又は3に等しく、例えば2に等しい。アニオンX-は、例えば、ハロゲン化物、例えば塩化物、臭化物及びヨウ化物;並びにC1~C4アルキルスルフェート、例えばメチルルスルフェートから選択することができる。しかし、メタンスルホネート、ホスフェート、ナイトレート、トシレート、有機酸に由来するアニオン、例えばアセテート及びラクテート、並びにエステル官能基を含むアンモニウムに適合性のある任意の他のアニオンが、本発明に使用されうるアニオンの他の非限定的な例である。一実施形態では、アニオンX-は、塩化物及びメチルスルフェートから選択される。
【0130】
別の実施形態では、式(IV)のアンモニウム塩を使用することができ、式中、
R22は、メチル基及びエチル基から選択され、
x及びyは、1に等しく、
zは0又は1に等しく、
r、s及びtは、2に等しく、
R23は、
以下の基:
【0131】
【化14】
【0132】
メチル基、エチル基、及びC14~C22炭化水素系基、並びに水素
から選択され、
R25は、
以下の基:
【0133】
【化15】
【0134】
及び水素から選択され、
R24、R26及びR28は、同一であっても異なっていてもよく、直鎖状及び分枝状の、飽和及び不飽和のC13~C17炭化水素系基から選択され、例えば、直鎖状及び分枝状の、飽和及び不飽和のC13~C17アルキル基及びアルケニル基から選択される。
【0135】
一実施形態では、炭化水素系基は、直鎖状である。
【0136】
挙げることができる式(IV)の化合物の非限定的な例には、塩、例えば、ジアシルオキシエチル-ジメチルアンモニウムの塩化物及びメチル硫酸塩、ジアシルオキシエチル-ヒドロキシエチル-メチルアンモニウムの塩化物及びメチル硫酸塩、モノアシルオキシエチル-ジヒドロキシエチル-メチルアンモニウムの塩化物及びメチル硫酸塩、トリアシルオキシエチル-メチルアンモニウムの塩化物及びメチル硫酸塩、モノアシルオキシエチル-ヒドロキシエチル-ジメチル-アンモニウムの塩化物及びメチル硫酸塩、並びにこれらの混合物が含まれる。一実施形態では、アシル基は、14~18個の炭素原子を含んでもよく、例えば植物油、例えばパーム油及びヒマワリ油に由来してよい。化合物がいくつかのアシル基を含む場合、これらの基は、同一であっても異なっていてもよい。
【0137】
これらの生成物は、例えば、任意選択でオキシアルキレン化されているトリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、アルキルジエタノールアミン又はアルキルジイソプロパノールアミンを、脂肪酸に、又は植物若しくは動物起源の脂肪酸の混合物に直接エステル化することによって、又はそれらのメチルエステルをエステル交換することによって得ることができる。このエステル化の後に、アルキル化剤を使用して四級化してもよく、該アルキル化剤は、ハロゲン化アルキル、例えばハロゲン化メチル及びハロゲン化エチル;硫酸ジアルキル、例えば硫酸ジメチル及び硫酸ジエチル;メタンスルホン酸メチル:パラ-トルエンスルホン酸メチル;グリコールクロロヒドリン;及びグリセロールクロロヒドリンから選択される。
【0138】
このような化合物は、例えば、Cognis社により名称Dehyquart(登録商標)で、Stepan社により名称Stepanquat(登録商標)で、Ceca社により名称Noxamium(登録商標)で、且つRewo-Goldschmidt社により名称「Rewoquat(登録商標)WE 18」で販売されている。
【0139】
本発明による使用されうるアンモニウム塩の他の非限定的な例には、米国特許第4,874,554号及び同第4,137,180号に記載されている、少なくとも1つのエステル官能基を含むアンモニウム塩が挙げられる。
【0140】
本発明に使用されうる上記の第四級アンモニウム塩の中で、式(I)に対応するもの、例えば、テトラアルキルアンモニウムクロリド、例としてはジアルキルジメチルアンモニウムクロリド及びアルキルトリメチルアンモニウムクロリド(ここで、アルキル基は、約12~22個の炭素原子を含む)、例えばベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド、セチルトリメチルアンモニウムクロリド及びベンジルジメチルステアリルアンモニウムクロリド;パルミチルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド;及びVan Dyk社により名称「Ceraphyl(登録商標)70」で販売されているステアラミドプロピルジメチル(酢酸ミリスチル)アンモニウムクロリドが挙げられるがこれらに限定されない。
【0141】
一実施形態によれば、本発明に使用されうるカチオン性界面活性剤は、第四級アンモニウム塩、例えば、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、クオタニウム-83、クオタニウム-87、クオタニウム-22、ベヘニルアミドプロピル-2,3-ジヒドロキシプロピルジメチルアンモニウムクロリド、パルミチルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、及びステアラミドプロピルジメチルアミンから選択される。
【0142】
非イオン性界面活性剤:
非イオン性界面活性剤は、それら自体において又はそれら自体の周知の化合物である(例えば、この点に関して、「Handbook of Surfactants」、M.R.Porter、Blackie & Son出版(Glasgow及びLondon)、1991年、116~178頁を参照されたい)。そのため、非イオン性界面活性剤は、例えば、アルコール、α-ジオール、アルキルフェノール、及び脂肪酸のエステルから選択することができ、これらの化合物は、エトキシル化、プロポキシル化又はグリセロール化されており、例えば8~30個の炭素原子を含む少なくとも1つの脂肪鎖を有し、エチレンオキシド基又はプロピレンオキシド基の数が2~50個の範囲であり、グリセロール基の数が1~30個の範囲であることが可能である。マルトース誘導体もまた挙げることができる。エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドのコポリマー;エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドの、脂肪アルコールとの縮合物;例えば2~30molのエチレンオキシドを含むポリエトキシル化脂肪アミド;例えば1.5~5個、例えば1.5~4個のグリセロール基を含むポリグリセロール化脂肪アミド;2~30molのエチレンオキシドを含むソルビタンのエトキシル化脂肪酸エステル;植物由来のエトキシル化された油;スクロースの脂肪酸エステル;ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル;グリセロール(C6~C24)アルキルポリグリコシドのポリエトキシル化脂肪酸モノエステル又はジエステル;N-(C6~C24)アルキルグルカミン誘導体;(C10~C14)アルキルアミンオキシド又はN-(C10~C14)アシルアミノプロピルモルホリンオキシド等のアミンオキシド;並びにこれらの混合物もまた非限定的に挙げることができる。
【0143】
非イオン性界面活性剤は、好ましくは、モノオキシアルキレン化、ポリオキシアルキレン化、モノグリセロール化又はポリグリセロール化非イオン性界面活性剤から選択することができる。オキシアルキレン単位は、より詳細には、オキシエチレン若しくはオキシプロピレン単位、又はこれらの組み合わせであり、好ましくはオキシエチレン単位である。
【0144】
挙げることができるモノオキシアルキレン化又はポリオキシアルキレン化非イオン性界面活性剤の例には、以下がある:
モノオキシアルキレン化又はポリオキシアルキレン化(C8~C24)アルキルフェノール、
飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状の、モノオキシアルキレン化又はポリオキシアルキレン化C8~C30アルコール、
飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状の、モノオキシアルキレン化又はポリオキシアルキレン化C8~C30アミド、
飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のC8~C30酸と、ポリアルキレングリコールとのエステル、
飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のC8~C30酸と、ソルビトールとの、モノオキシアルキレン化又はポリオキシアルキレン化エステル、
飽和又は不飽和の、モノオキシアルキレン化又はポリオキシアルキレン化植物油、
とりわけ単独又は混合物としてのエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドの縮合物。
【0145】
該界面活性剤は、好ましくは、1から100の間、最も好ましくは2から50の間のモル数のエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドを含有する。有利には、非イオン性界面活性剤は、オキシプロピレン単位を一切含まない。
【0146】
本発明の実施形態の1つによれば、ポリオキシアルキレン化非イオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレン化脂肪アルコール(脂肪アルコールのポリエチレングリコールエーテル)、ポリオキシエチレン化脂肪エステル(脂肪酸のポリエチレングリコールエステル)、及びポリオキシエチレン化脂肪アルコールとポリオキシエチレン化脂肪エステルとの混合物から選択される。
【0147】
挙げることができるポリオキシエチレン化脂肪アルコール(又はC8~C30アルコール)の例には、ラウリルアルコールのエチレンオキシド付加物、特に2~50個のオキシエチレン単位を含有するもの、より特定すると2~20個のオキシエチレン単位を含有するもの(CTFA名ではラウレス-2からラウレス-20)、ベヘニルアルコールのエチレンオキシド付加物、特に2~50個のオキシエチレン単位を含有するもの、より特定すると2~20個のオキシエチレン単位を含有するもの(CTFA名ではベヘネス-2からベヘネス-20)、セテアリルアルコールのエチレンオキシド付加物(セチルアルコールとステアリルアルコールとの混合物)、特に2~30個のオキシエチレン単位を含有するもの(CTFA名ではセテアレス-2からセテアレス-30)、セチルアルコールのエチレンオキシド付加物、特に2~30個のオキシエチレン単位を含有するもの(CTFA名ではセテス-2からセテス-30)、ステアリルアルコールのエチレンオキシド付加物、特に2~50個のオキシエチレン単位を含有するもの、より特定すると2~20個のオキシエチレン単位を含有するもの(CTFA名ではステアレス-2からステアレス-20)、イソステアリルアルコールのエチレンオキシド付加物、特に2~50個のオキシエチレン単位を含有するもの(CTFA名ではイソステアレス-2からイソステアレス-50)、及びそれらの混合物が含まれる。
【0148】
挙げることができるポリオキシエチレン化脂肪酸エステルの例には、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸又はベヘン酸のエステルとのエチレンオキシドの付加物及びこれらの混合物、とりわけ、9~100個のオキシエチレン単位を含むもの、例えば、PEG-9からPEG-50ラウレート(CTFA名:PEG-9ラウレートからPEG-50ラウレート)、PEG-9からPEG-50パルミテート(CTFA名:PEG-9パルミテートからPEG-50パルミテート)、PEG-9からPEG-50ステアレート(CTFA名:PEG-9ステアレートからPEG-50ステアレート)、PEG-9からPEG-50パルミトステアレート、PEG-9からPEG-50ベヘネート(CTFA名:PEG-9ベヘネートからPEG-50ベヘネート)、ポリエチレングリコール100 EOモノステアレート(CTFA名:PEG-100ステアレート)、及びこれらの混合物が含まれる。
【0149】
本発明の好ましい一実施形態によれば、組成物は、少なくとも1種のポリオキシエチレン化脂肪アルコールを含む。
【0150】
より好ましい実施形態によれば、組成物は、2~9個のエチレンオキシド単位を含む少なくとも1種の脂肪アルコール、及び10~30個のエチレンオキシド単位を含む少なくとも1種の脂肪アルコールを含有する。
【0151】
モノグリセロール化又はポリグリセロール化非イオン性界面活性剤の例として、モノグリセロール化又はポリグリセロール化C8~C40アルコールが好ましくは使用される。
【0152】
特に、モノグリセロール化又はポリグリセロール化C8~C40アルコールは、次式:
RO-[CH2-CH(CH2OH)-O]m-H又はRO-[CH(CH2OH)-CH2O]m-H
(式中、Rは、直鎖状又は分枝状のC8~C40、好ましくはC8~C30アルキル基又はアルケニル基を表し、mは、1~30、好ましくは1.5~10の範囲の数を表す)
に対応する。
【0153】
本発明における好適な化合物の例として、4molのグリセロールを含有するラウリルアルコール(INCI名:ポリグリセリル-4ラウリルエーテル)、1.5molのグリセロールを含有するラウリルアルコール、4molのグリセロールを含有するオレイルアルコール(INCI名:ポリグリセリル-4オレイルエーテル)、2molのグリセロールを含有するオレイルアルコール(INCI名:ポリグリセリル-2オレイルエーテル)、2molのグリセロールを含有するセテアリルアルコール、6molのグリセロールを含有するセテアリルアルコール、6molのグリセロールを含有するオレオセチルアルコール、及び6molのグリセロールを含有するオクタデカノールを挙げることができる。
【0154】
mの値が統計値を表すのと同様に、アルコールは、アルコールの混合物を表してもよく、このことは、市販品において、複数種のポリグリセロール化脂肪アルコールが混合物の形態で共存してもよいことを意味する。
【0155】
モノグリセロール化又はポリグリセロール化アルコールの中で、1molのグリセロールを含有するC8/C10アルコール、1molのグリセロールを含有するC10/C12アルコール及び1.5molのグリセロールを含有するC12アルコールを使用することが好ましい。
【0156】
モノグリセロール化又はポリグリセロール化C8~C40脂肪エステルは、次式:
R'O-[CH2-CH(CH2OR''')-O]m-R''又はR'O-[CH(CH2OR''')-CH2O]m-R''
(式中、R'、R''及びR'''のそれぞれは、独立に、水素原子、又は直鎖状若しくは分枝状のC8~C40、好ましくはC8~C30アルキル-CO-又はアルケニル-CO-基を表し、ただし、R'、R''及びR'''のうちの少なくとも1つは水素原子ではなく、mは、1~30、好ましくは1.5~10の範囲の数を表す)
に対応することができる。
【0157】
挙げることができるポリオキシエチレン化脂肪酸エステルの例には、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸又はベヘン酸のエステルとのエチレンオキシドの付加物及びこれらの混合物、とりわけ、9~100個のオキシエチレン単位を含むもの、例えば、PEG-9からPEG-50ラウレート(CTFA名:PEG-9ラウレートからPEG-50ラウレート)、PEG-9からPEG-50パルミテート(CTFA名:PEG-9パルミテートからPEG-50パルミテート)、PEG-9からPEG-50ステアレート(CTFA名:PEG-9ステアレートからPEG-50ステアレート)、PEG-9からPEG-50パルミトステアレート、PEG-9からPEG-50ベヘネート(CTFA名:PEG-9ベヘネートからPEG-50ベヘネート)、ポリエチレングリコール100 EOモノステアレート(CTFA名:PEG-100ステアレート)、及びこれらの混合物が含まれる。
【0158】
好ましくは、非イオン性界面活性剤は、8~18のHLBを有する非イオン性界面活性剤でありうる。HLBは、分子中の親水性部分と親油性部分との間の比である。このHLBという用語は、当業者に周知であり、「The HLB system. A time-saving guide to emulsifier selection」(ICI Americas Inc.社より刊行、1984年)に記載されている。
【0159】
組成物中の界面活性剤の量は、組成物の総質量に対して、1質量%以上、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上でありうる。
【0160】
組成物中の界面活性剤の量は、組成物の総質量に対して、35質量%以下、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下でありうる。
【0161】
組成物中の界面活性剤の量は、組成物の総質量に対して、1質量%~35質量%、好ましくは5質量%~30質量%、より好ましくは10質量%~25質量%であってもよい。
【0162】
(シリコーン)
第1の組成物及び/又は第2の組成物は、少なくとも1種のシリコーンを含んでもよい。単一のタイプのシリコーンを使用してもよいが、2種以上の異なるタイプのシリコーンを組み合わせて使用することもできる。
【0163】
シリコーンは、ポリジアルキルシロキサン、例えばポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリアルキルアリールシロキサン、ポリジアリールシロキサン;並びにポリ(オキシアルキレン)部分、アミン部分又はアミノ部分、アルコキシ部分、ヒドロキシル化部分、アシルオキシアルキル部分、カルボン酸部分、ヒドロキシアシルアミノ部分、アクリル部分、ポリアミン部分及びオキサゾリン部分、並びにシリコーン系セルロースから選択される少なくとも1つの官能基部分を含む、有機変性されたポリシロキサンからなる群から選択されうる。
【0164】
本発明に好適なシリコーンには、25℃で5×10-6~2.5m2/s、例えば、1×10-5~1m2/sの範囲の粘度を有する、任意選択により有機質部分で修飾されている、揮発性及び不揮発性の、環状、直鎖状及び分枝状のシリコーンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0165】
本発明に使用されてもよいシリコーンは、組成物中で可溶性であっても不溶性であってもよく、例としては、組成物中で可溶性ではないポリオルガノシロキサンであってもよい。それらは、流体、ワックス、樹脂、及びゴムから選択される形態であってもよい。
【0166】
オルガノポリシロキサンは、例えば、Walter NOLL著「Chemistry and Technology of Silicones」(1968年)、Academic Pressにおいて定義されている。これらは、揮発性であっても、不揮発性であってもよい。
【0167】
これらが揮発性であるとき、シリコーンは、60℃~260℃の範囲の沸点を有するものから選択されてよく、例えば以下である:
(i)3~7個、例えば4~5個のケイ素原子を含む環状ポリジアルキルシロキサン。そのようなシロキサンの非限定的な例には、例えばUNION CARBIDE社により商標名VOLATILE SILICONE(登録商標)7207及びRHODIA社により商標名SILBIONE(登録商標)70045 V2で市販されているオクタメチルシクロテトラシロキサン、UNION CARBIDE社により商標名VOLATILE SILICONE(登録商標)7158及びRHODIA社により商標名SILBIONE(登録商標)70045 V5で市販されているデカメチルシクロペンタシロキサン、並びにこれらの混合物が挙げられる。シクロメチコンが使用されてもよく、例えば、DOW CORNING社により参照名DC 244、DC 245、DC 344、DC 345及びDC 246で市販されているものである。またジメチルシロキサン/メチルアルキルシロキサンの種類のシクロコポリマーが使用されてもよく、下記式のUNION CARBIDE社により市販されているSILICONE VOLATILE(登録商標)FZ 3109等である。
【0168】
【化16】
【0169】
式中、
【0170】
【化17】
【0171】
環状ポリジアルキルシロキサンと、ケイ素由来有機化合物との組合せもまた使用されてもよく、オクタメチルシクロテトラシロキサンとテトラトリメチルシリルペンタエリスリトールとの(50/50)混合物、及びオクタメチルシクロテトラシロキサンとオキシ-1,1'-(ヘキサ-2,2,2',2',3,3'-トリメチルシリルオキシ)ビス-ネオペンタンとの混合物等である;並びに
(ii)2~9個のケイ素原子を含み、25℃で5×10-6m2/s以下の粘度を有する直鎖状の揮発性ポリジアルキルシロキサン。そのような化合物の非限定的な例として、例えばTORAY SILICONE社より商標名「SH-200」で市販されているデカメチルテトラシロキサンがある。この部類に属するシリコーンも、例えば、Cosmetics and Toiletries、第91巻、1976年1月、27~32頁、TODD & BYERS、「Volatile Silicone Fluids for Cosmetics」に記載されている。
【0172】
少なくとも1つの実施形態において、シリコーンは、ポリジアルキルシロキサン、ポリアルキルアリールシロキサン、ポリジアリールシロキサン、ワックス、ゴム、シリコーン樹脂、及び本明細書で上記の有機官能基部分で変性されているポリオルガノシロキサン等の不揮発性シリコーンから選択してもよい。
【0173】
別の実施形態によれば、シリコーンは、ポリジアルキルシロキサン、例えばジメチコン商標名で既知の、トリメチルシリル末端基を有するポリジメチルシロキサンから選択される。これらのシリコーンの粘度は、ASTM規格445付録Cに従って25℃で測定されている。
【0174】
そのようなポリジアルキルシロキサンに対応する市販製品の非限定的な例には、以下が含まれる:
RHODIA社により市販されている、47及び70 047シリーズのSILBIONE(登録商標)液及びMIRASIL(登録商標)液、例えば、70 047液 V 500 000、
RHODIA社により市販されているMIRASIL(登録商標)シリーズの液、
DOW CORNING社により市販されている200シリーズの液、例えば粘度が60,000mm2/sのDC200、
GENERAL ELECTRIC社のVISCASIL(登録商標)液、及びGENERAL ELECTRIC社のSFシリーズの幾つかの液(例えばSF 96及びSF 18)、並びに
DOW CORNING社により参照名DC 1664で市販されている液。
【0175】
ジメチルシラノール末端基を有するポリジメチルシロキサンもまた使用されてもよく、例えば商標名ジメチコノール(CTFA)で販売されているもの、例えばRHODIA社により市販されている48シリーズの液がある。
【0176】
この部類のポリジアルキルシロキサンに属する、GOLDSCHMIDT社により「ABIL Wax(登録商標)9800及び9801」の商標名で市販されている製品は、ポリジアルキル(C1~C20)シロキサンであり、これもまた使用され得る。
【0177】
また、ポリジメチルシロキサンワックスを使用してもよい。
【0178】
本発明に好適なシリコーンゴムとしては、ポリジアルキルシロキサン、例えば単独で又は溶媒中の混合物としての、数平均分子量が200,000~1,000,000の高い範囲であるポリジメチルシロキサンが挙げられるが、これに限定されない。この溶媒は、揮発性シリコーン、ポリジメチルシロキサン(PDMS)液、ポリフェニルメチルシロキサン(PPMS)液、イソパラフィン、ポリイソブチレン、塩化メチレン、ペンタン、ドデカン、トリデカン、及びこれらの混合物から選択することができる。シリコーンゴムはまた、例えば、DOW CORNING社により参照名DC929エマルション及びDC939エマルションで市販されている製品等のアモジメチコン(アミノシリコーン)から選択してもよい。
【0179】
少なくとも1つの実施形態によれば、以下のようなシリコーンの組合せも使用することができる:
鎖の末端でヒドロキシル化されているポリジメチルシロキサン又はジメチコノール(CTFA)と、シクロメチコン(CTFA)とも呼ばれる環状ポリジメチルシロキサンとの混合物、例えばDOW CORNING社から市販されている製品Q2 1401;
ポリジメチルシロキサンゴムと環状シリコーン、例えば、GENERAL ELECTRIC社から販売されている製品であるSF1214Silicone Fluid(この製品は、デカメチルシクロペンタシロキサンに対応するSF1202 Silicone Fluid中に溶解している、数平均分子量500,000を有する、ジメチコンに対応する、SF 30ゴムである)との混合物;
粘度が異なる2種のPDMSの混合物、例えばPDMSゴムとPDMS液との混合物、例えばGENERAL ELECTRIC社から市販されている製品SF 1236。製品SF 1236は、粘度が20m2/sである、上に規定したようなSE 30ゴムと、粘度が5×10-6m2/sであるSF 96液との混合物である。そのような製品は、15%のSE 30ゴム及び85%のSF 96液を含んでもよい。
【0180】
本発明に好適なオルガノポリシロキサン樹脂としては、これらに限定されないが、以下の単位のうちの少なくとも1つを含む架橋シロキサン系が挙げられる:
R2SiO2/2、R3SiO1/2、RSiO3/2、及びSiO4/2(式中、Rは、1~16個の炭素原子を含むアルキル基である)。少なくとも1つの実施形態によれば、Rは、メチル基等の低級C1~C4アルキル基である。
【0181】
これらの樹脂には、例えば、ジメチル/トリメチルシロキサン構造化シリコーンである、商標名「DOW CORNING 593」で市販されている製品、並びにGENERAL ELECTRIC社から商標名「SILICONE FLUID SS 4230及びSS 4267」で市販されているものが挙げられる。
【0182】
トリメチルシロキシシリケートタイプの樹脂、例えば、信越化学工業株式会社から商標名X22-4914、X21-5034、及びX21-5037で市販されているものも使用してよい。
【0183】
ポリアルキルアリールシロキサンは、粘度が25℃で1×10-5~5×10-2m2/sの範囲であるポリジメチル/メチルフェニルシロキサン、直鎖状及び/又は分枝状ポリジメチル/ジフェニルシロキサンから選択することができる。
【0184】
こうしたポリアルキルアリールシロキサンの非限定的な例としては、以下の商標名で市販されている製品がある:
RHODIA社からのSILBIONE(登録商標)液の70 641シリーズ、RHODIA社からのRHODORSIL(登録商標)液の70 633シリーズ及び763シリーズ、
DOW CORNING社によりDOW CORNING 556 COSMETIC GRADE FLUIDの参照名で市販されているフェニルトリメチコン液、
BAYER社によるPKシリーズのシリコーン、例えばPK20製品、
BAYER社によるPNシリーズ、PHシリーズのシリコーン、例えばPN1000製品及びPH1000製品、並びに
GENERAL ELECTRIC社による幾つかのSFシリーズの液、例えばSF 1023、SF 1154、SF 1250及びSF 1265。
【0185】
本発明に使用することができる有機変性シリコーンには、既に定義され、且つこれらの構造内に炭化水素基によって連結した少なくとも1つの有機官能基部分を含むもの等のシリコーンが含まれるが、それらに限定されない。
【0186】
有機変性シリコーンとしては、例えば、以下を含むポリオルガノシロキサンを挙げることができる:
C6~C24アルキル部分を任意選択で含む、ポリエチレンオキシ部分及び/又はポリプロピレンオキシ部分を含むポリオルガノシロキサン、例えば、DOW CORNING社によりDC 1248という商標名及びDC Q2-5220という商標名で市販されているジメチコンコポリオール、並びにUNION CARBIDE社により市販されているSILWET(登録商標)L 722、L 7500、L 77及びL 711液、並びにDOW CORNING社によりQ2 5200という商標名で市販されている(C12)アルキル-メチコンコポリオールと呼ばれる製品;
任意選択で置換されているアミン部分を含むポリオルガノシロキサン、例えばGENESEE社によりGP4 Silicone Fluid及びGP 7100の商標名で市販されている製品、並びにDOW CORNING社によりQ2 8220、DOW CORNING 929及び939の商標名で市販されている製品。置換されているアミン部分は、例えば、アミノC1~C4アルキル部分から選択されうる。アミノシリコーンは、追加のC1~C4アルコキシ官能基を有しうる。
アルコキシル化部分を含むポリオルガノシロキサン、例えばSWS SILICONES社により商標名「SILICONE COPOLYMER F-755」、並びにGOLDSCHMIDT社により商標名ABIL WAX(登録商標)2428、2434及び2440で市販されている製品;
ヒドロキシル化部分を含むポリオルガノシロキサン、例えば、仏国特許出願公開第8516334号に記載されている、ヒドロキシアルキル官能基含有ポリオルガノシロキサン等;
アシルオキシアルキル部分を含むポリオルガノシロキサン、例えば、米国特許第4,957,732号に記載されているポリオルガノシロキサン;
カルボン酸型のアニオン性部分を含むポリオルガノシロキサン、例えばチッソ株式会社により市販されている、欧州特許第0186507号に記載されている製品、並びにカルボキシルアルキルのアニオン性部分を含むポリオルガノシロキサン、例えば信越化学工業株式会社により市販されているX-22-3701E製品中に存在するもの;スルホン酸2-ヒドロキシアルキルを含むポリオルガノシロキサン;並びにチオスルホン酸2-ヒドロキシアルキルを含むポリオルガノシロキサン、例えばGOLDSCHMIDT社により商標名「ABIL(登録商標)S201」及び「ABIL(登録商標)S255」で市販されている製品;
ヒドロキシアシルアミノ部分を含むポリオルガノシロキサン、例えば欧州特許出願第0342834号に記載されているポリオルガノシロキサン。対応する市販製品の非限定的な例は、DOW CORNING社により市販されているQ2-8413の製品である;
アクリル部分を含むポリオルガノシロキサン、例えば3M社により名称VS80及びVS70で市販されている製品;
ポリアミン部分を含むポリオルガノシロキサン、並びに
オキサゾリン部分
【0187】
【化18】
【0188】
を含むポリオルガノシロキサン;本発明に使用されうるシリコーンは、1つ又は2つのオキサゾリン基、例えばポリ(2-メチルオキサゾリン-b-ジメチルシロキサン-b-2-メチルオキサゾリン)及びポリ(2-エチル-2-オキサゾリン-ジメチルシロキサン)を含んでもよい。花王株式会社により参照名OX-40、OS-51、OS-96及びOS-88で市販されている製品もまた使用されうる。
【0189】
本発明に使用されうる好適なシリコーン系セルロースとしては、信越化学工業株式会社から参照名X-22-8401及びX-22-8404で市販されている製品が挙げられる。
【0190】
シリコーンは、ジメチコン、アモジメチコン(アミノシリコーン)、及びこれらの混合物からなる群から選択されることが好ましい。
【0191】
組成物中のシリコーンの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上でありうる。
【0192】
組成物中のシリコーンの量は、組成物の総質量に対して、15質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下でありうる。
【0193】
組成物中のシリコーンの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~15質量%、好ましくは0.05質量%~10質量%、より好ましくは0.1質量%~5質量%であってもよい。
【0194】
(油)
第1の組成物及び/又は第2の組成物は、少なくとも1種の油を含んでもよい。単一のタイプの油を使用してもよいが、2つ以上の異なるタイプの油を組み合わせて使用することもできる。
【0195】
本明細書では、「油」は、大気圧(760mmHg)下、室温(25℃)で液体又はペースト(非固体)の形態の脂肪化合物又は脂肪物質を意味する。油として、化粧品で一般に使用されるものを、単独で又はそれらの組み合わせで使用することができる。これらの油は、揮発性であっても、不揮発性であってもよい。
【0196】
油は、炭化水素油、シリコーン油等の非極性油、植物油若しくは動物油、及びエステル油若しくはエーテル油等の極性油、又はこれらの混合物であってもよい。
【0197】
油は、植物又は動物起源の油、合成油、シリコーン油、炭化水素油、及び脂肪アルコールからなる群から選択してもよい。
【0198】
植物油の例として、例えば、アマニ油、カメリア油、マカデミアナッツ油、コーン油、ミンク油、オリーブ油、アボカド油、サザンカ油、ヒマシ油、ベニバナ油、ホホバ油、ヒマワリ油、アーモンド油、ナタネ油、ゴマ油、ダイズ油、ピーナツ油、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0199】
動物油の例として、例えば、スクアレン及びスクアランを挙げることができる。
【0200】
合成油の例として、アルカン油、例えば、イソドデカン及びイソヘキサデカン、エステル油、エーテル油、並びに人工トリグリセリドを挙げることができる。
【0201】
エステル油は、好ましくは、飽和又は不飽和の直鎖状又は分枝状C1~C26脂肪族一酸又は多酸と、飽和又は不飽和の直鎖状又は分枝状C1~C26脂肪族一価アルコール又は多価アルコールとの液状エステルであり、これらのエステルの合計炭素原子数は10以上である。
【0202】
好ましくは、一価アルコールのエステルでは、エステルが誘導されるアルコール及び酸の中からの少なくとも1つは分枝状である。
【0203】
一酸及び一価アルコールのモノエステルの中でも、パルミチン酸エチル、パルミチン酸エチルヘキシル、パルミチン酸イソプロピル、炭酸ジカプリリル、ミリスチン酸アルキル、例えばミリスチン酸イソプロピル又はミリスチン酸エチル、ステアリン酸イソセチル、イソノナン酸2-エチルヘキシル、イソノナン酸イソノニル、ネオペンタン酸イソデシル及びネオペンタン酸イソステアリルを挙げることができる。
【0204】
C4~C22ジカルボン酸又はトリカルボン酸とC1~C22アルコールとのエステル、並びにモノカルボン酸、ジカルボン酸、又はトリカルボン酸と、非糖C4~C26ジヒドロキシ、トリヒドロキシ、テトラヒドロキシ、又はペンタヒドロキシアルコールとのエステルも使用されうる。
【0205】
特に挙げることができるのは以下:セバシン酸ジエチル、ラウロイルサルコシンイソプロピル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ビス(2-エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジ-n-プロピル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ビス(2-エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソステアリル、マレイン酸ビス(2-エチルヘキシル)、クエン酸トリイソプロピル、クエン酸トリイソセチル、クエン酸トリイソステアリル、トリ乳酸グリセリル、トリオクタン酸グリセリル、クエン酸トリオクチルドデシル、クエン酸トリオレイル、ジヘプタン酸ネオペンチルグリコール、ジイソノナン酸ジエチレングリコールである。
【0206】
エステル油として、C6~C30、好ましくはC12~C22脂肪酸の糖エステル及びジエステルを使用することができる。用語「糖」は、アルデヒド又はケトン官能基を含む又は含まない、いくつかのアルコール官能基を含有する、酸素を有する炭化水素系化合物であって、少なくとも4個の炭素原子を含む化合物を意味することが想起される。これらの糖は、単糖、オリゴ糖、又は多糖であってもよい。
【0207】
挙げることができる好適な糖の例としては、スクロース(又はサッカロース)、グルコース、ガラクトース、リボース、フコース、マルトース、フルクトース、マンノース、アラビノース、キシロース及びラクトース、並びにそれらの誘導体、特にアルキル誘導体、例えばメチル誘導体、例としてはメチルグルコースがある。
【0208】
脂肪酸の糖エステルは、とりわけ、前述の糖と、直鎖状若しくは分枝状で飽和若しくは不飽和のC6~C30、好ましくはC12~C22脂肪酸とのエステル又はエステルの混合物を含む群から選択することができる。これらの化合物は、不飽和である場合、1から3個の共役又は非共役の炭素-炭素二重結合を有することができる。
【0209】
この変形形態によるエステルはまた、モノエステル、ジエステル、トリエステル、テトラエステル、及びポリエステル、並びにこれらの混合物から選択してもよい。
【0210】
これらのエステルは、例えば、オレイン酸エステル、ラウリン酸エステル、パルミチン酸エステル、ミリスチン酸エステル、ベヘン酸エステル、ヤシ脂肪酸エステル、ステアリン酸エステル、リノール酸エステル、リノレン酸エステル、カプリン酸エステル、及びアラキドン酸エステル、又はこれらの混合物、例えばとりわけ、オレオパルミチン酸、オレオステアリン酸、及びパルミトステアリン酸の混合エステル、並びにテトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチルであってもよい。
【0211】
より詳細には、モノエステル及びジエステル、とりわけスクロース、グルコース、又はメチルグルコースのモノオレイン酸エステル又はジオレイン酸エステル、ステアリン酸エステル、ベヘン酸エステル、オレオパルミチン酸エステル、リノール酸エステル、リノレン酸エステル、及びオレオステアリン酸エステルが使用される。
【0212】
挙げることができる例は、ジオレイン酸メチルグルコースである、Amerchol社により名称Glucate(登録商標)DOで販売されている製品である。
【0213】
好ましいエステル油の例として、例えば、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジオクチル、ヘキサン酸2-エチルヘキシル、ラウリン酸エチル、オクタン酸セチル、オクタン酸オクチルドデシル、ネオペンタン酸イソデシル、プロピオン酸ミリスチル、2-エチルヘキサン酸2-エチルヘキシル、オクタン酸2-エチルヘキシル、カプリル酸/カプリン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸メチル、パルミチン酸エチル、パルミチン酸イソプロピル、炭酸ジカプリリル、ラウロイルサルコシンイソプロピル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸エチルヘキシル、ラウリン酸イソヘキシル、ラウリン酸ヘキシル、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸イソデシル、トリ(2-エチルヘキサン酸)グリセリル、テトラ(2-エチルヘキサン酸)ペンタエリスリチル、コハク酸2-エチルヘキシル、セバシン酸ジエチル、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0214】
人工トリグリセリドの例として、例えば、カプリルカプリリルグリセリド、トリミリスチン酸グリセリル、トリパルミチン酸グリセリル、トリリノレン酸グリセリル、トリラウリン酸グリセリル、トリカプリン酸グリセリル、トリカプリル酸グリセリル、トリ(カプリン酸/カプリル酸)グリセリル及びトリ(カプリン酸/カプリル酸/リノレン酸)グリセリルを挙げることができる。
【0215】
シリコーン油の例として、例えば、直鎖状オルガノポリシロキサン、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等、環状オルガノポリシロキサン、例えば、シクロヘキサシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等、並びにこれらの混合物を挙げることができる。
【0216】
好ましくは、シリコーン油は、液状ポリジアルキルシロキサン、とりわけ、液状ポリジメチルシロキサン(PDMS)、及び少なくとも1つのアリール基を含む液状ポリオルガノシロキサンから選択される。
【0217】
これらのシリコーン油はまた、有機変性されていてよい。本発明に使用され得る有機変性シリコーンは、上に定義した、且つそれらの構造中に、炭化水素系基を介して結合されている1つ又は複数の有機官能基を含む、シリコーン油である。
【0218】
オルガノポリシロキサンは、Walter Noll著、Chemistry and Technology of Silicones(1968)、Academic Pressにおいて、より詳細に定義されている。これらは、揮発性であっても、不揮発性であってもよい。
【0219】
それらが揮発性である場合、シリコーンは、より詳細には、沸点が60℃から260℃の間であるものから選ばれ、更により詳細には以下から選ばれる:
(i)3~7個、好ましくは4~5個のケイ素原子を含む環状ポリジアルキルシロキサン。これらは、例えば、特にUnion Carbide社により名称Volatile Silicone(登録商標) 7207で販売されている、又はRhodia社により名称Silbione(登録商標) 70045 V2で販売されているオクタメチルシクロテトラシロキサン、Union Carbide社により名称Volatile Silicone(登録商標) 7158で販売されており、Rhodia社によりSilbione(登録商標) 70045 V5で販売されているデカメチルシクロペンタシロキサン、及びMomentive Performance Materials社により名称Silsoft 1217で販売されているドデカメチルシクロペンタシロキサン、並びにこれらの混合物である。次式のジメチルシロキサン/メチルアルキルシロキサンのようなタイプのシクロコポリマー、例えば、Union Carbide社により販売されているSilicone Volatile(登録商標)FZ 3109を挙げることもできる。
【0220】
【化19】
【0221】
環状ポリジアルキルシロキサンと有機ケイ素化合物との混合物、例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサンとテトラトリメチルシリルペンタエリスリトールとの混合物(50/50)、及びオクタメチルシクロテトラシロキサンとオキシ-1,1'-ビス(2,2,2',2',3,3'-ヘキサトリメチルシリルオキシ)ネオペンタンとの混合物も挙げることができる。
(ii)2~9個のケイ素原子を含有し、25℃において5×10-6m2/s以下の粘度を有する、直鎖状の揮発性ポリジアルキルシロキサン。例は、特にToray Silicone社により名称SH 200で販売されているデカメチルテトラシロキサンである。この部類に属するシリコーンは、Cosmetics and Toiletries、第91巻、76年1月、27~32頁、Todd & Byers、Volatile Silicone Fluids for Cosmeticsに公表されている論文にも記載されている。該シリコーンの粘度は、ASTM規格445付録Cに従って25℃で測定されている。
【0222】
また、不揮発性ポリジアルキルシロキサンを使用してもよい。これらの不揮発性シリコーンは、より詳細にはポリジアルキルシロキサンから選択され、その中では、主としてトリメチルシリル末端基を含有するポリジメチルシロキサンを挙げることができる。
【0223】
これらのポリジアルキルシロキサンの中で、以下の市販製品を非限定的に挙げることができる:
- Rhodia社により販売されているSilbione(登録商標)油の47及び70 047シリーズ又はMirasil(登録商標)油、例えば70 047 V 500 000油;
- Rhodia社によって販売されているMirasil(登録商標)シリーズの油;
- Dow Corning社製の200シリーズの油、例えば粘度60,000mm2/sのDC200;並びに
- General Electric社製のViscasil(登録商標)油及びGeneral Electric社製のSFシリーズの特定の油(SF 96、SF 18)。
【0224】
名称ジメチコノール(CTFA)で知られる、ジメチルシラノール末端基を含有するポリジメチルシロキサン、例えばRhodia社製の48シリーズの油も挙げることができる。
【0225】
アリール基を含有するシリコーンの中でも、ポリジアリールシロキサン、とりわけポリジフェニルシロキサン及びポリアルキルアリールシロキサン、例えばフェニルシリコーン油を挙げることができる。
【0226】
フェニルシリコーン油は、以下の式のフェニルシリコーンから選択することができる:
【0227】
【化20】
【0228】
(式中、
R1~R10は、互いに独立して、飽和又は不飽和で、直鎖状、環状又は分枝状のC1~C30炭化水素系基、好ましくはC1~C12炭化水素系基、より好ましくはC1~C6炭化水素系基、特にメチル、エチル、プロピル、又はブチル基であり、
m、n、p、及びqは、互いに独立して、両端を含めて0~900、好ましくは両端を含めて0~500、より好ましくは両端を含めて0~100の整数であり、
但しn+m+qの和は0以外である)。
【0229】
挙げることができる例には、以下の名称で販売されている製品がある:
- Rhodia社製のSilbione(登録商標)油の70 641シリーズ;
- Rhodia社製のRhodorsil(登録商標)70 633及び763シリーズの油;
- Dow Corning社製の油であるDow Corning 556 Cosmetic Grade Fluid;
- Bayer社製のPKシリーズのシリコーン、例えば製品PK20;
- General Electric社製のSFシリーズの特定の油、例えばSF 1023、SF 1154、SF 1250及びSF 1265。
【0230】
フェニルシリコーン油として、フェニルトリメチコン(上の式中、R1~R10はメチルであり、p、q、及びn=0であり、m=1である)が好ましい。
【0231】
有機変性液状シリコーンは、とりわけ、ポリエチレンオキシ及び/又はポリプロピレンオキシ基を含有してもよい。そのため、信越化学工業株式会社により提案されているシリコーンKF-6017、並びにUnion Carbide社製の油Silwet(登録商標)L722及びL77を挙げることができる。
【0232】
炭化水素油は、以下から選択されうる:
- 直鎖状又は分枝状、任意選択で環状のC6~C16低級アルカン。(挙げることができる例としては、ヘキサン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、及びイソパラフィン、例としてはイソヘキサデカン、イソドデカン及びイソデカンがある)、並びに
- 16個超の炭素原子を含有する直鎖状又は分枝状の炭化水素、例えば流動パラフィン、流動ワセリン、ポリデセン及び水素化ポリイソブテン、例えばParleam(登録商標)、及びスクアラン。
【0233】
炭化水素油の好ましい例として、例えば、直鎖状又は分枝状の炭化水素、例えば、イソヘキサデカン、イソドデカン、スクアラン、鉱物油(例えば流動パラフィン)、パラフィン、ワセリン又はペトロラタム、ナフタレン等;水素化ポリイソブテン、イソエイコサン、及びデセン/ブテンコポリマー;並びにこれらの混合物を挙げることができる。
【0234】
脂肪アルコールにおける用語「脂肪」は、比較的大きい数の炭素原子を包含することを意味する。そのため、4個以上、好ましくは6個以上、より好ましくは12個以上の炭素原子を有するアルコールが、脂肪アルコールの範囲内に包含される。脂肪アルコールは、飽和であっても、不飽和であってもよい。脂肪アルコールは、直鎖状であっても、分枝状であってもよい。
【0235】
脂肪アルコールは、構造R-OH(式中、Rは、4~40個の炭素原子、好ましくは6~30個の炭素原子、より好ましくは12~20個の炭素原子を含有する、飽和及び不飽和の、直鎖状及び分枝状の基から選択される)を有しうる。少なくとも1つの実施形態では、Rは、C12~C20アルキル基及びC12~C20アルケニル基から選択されうる。Rは、少なくとも1つのヒドロキシル基によって置換されていても、されていなくてもよい。
【0236】
脂肪アルコールの例として、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ウンデシレニルアルコール、ミリスチルアルコール、オクチルドデカノール、へキシルデカノール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、パルミトレイルアルコール、アラキドニルアルコール、エルシルアルコール、及びそれらの混合物を挙げることができる。
【0237】
脂肪アルコールは飽和脂肪アルコールであることが好ましい。
【0238】
したがって、脂肪アルコールは、直鎖状又は分枝状で、飽和又は不飽和のC6~C30アルコール、好ましくは直鎖状又は分枝状の、飽和C6~C30アルコール、より好ましくは直鎖状又は分枝状の、飽和C12~C20アルコールから選択することができる。
【0239】
「飽和脂肪アルコール」という用語は、ここでは、長鎖の脂肪族飽和炭素鎖を有するアルコールを意味する。飽和脂肪アルコールが、任意の直鎖状又は分枝状の飽和C6~C30脂肪アルコールから選択されることが好ましい。直鎖状又は分枝状の飽和C6~C30脂肪アルコールの中でも、直鎖状又は分枝状の飽和C12~C20脂肪アルコールが、好ましくは使用され得る。任意の直鎖状又は分枝状の飽和C16~C20脂肪アルコールが、より好ましく使用されうる。分枝状C16~C20脂肪アルコールが、更により好ましく使用されうる。
【0240】
飽和脂肪アルコールの例として、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ウンデシレニルアルコール、ミリスチルアルコール、オクチルドデカノール、へキシルデカノール、及びそれらの混合物を挙げることができる。一実施形態では、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、又はこれらの混合物(例えばセテアリルアルコール)、及びベヘニルアルコールを、飽和脂肪アルコールとして使用することができる。
【0241】
少なくとも1つの実施形態によれば、本発明の組成物中に使用される脂肪アルコールは、好ましくは、セチルアルコール、セテアリルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、及びこれらの混合物から選択される。
【0242】
油は、非極性又は極性油、好ましくは炭化水素油、シリコーン油、エステル油、及びこれらの混合物、更により好ましくはイソドデカン、イソヘキサデカン、ジメチコン、セバシン酸ジイソプロピル及びこれらの混合物から選択してもよい。
【0243】
組成物中の油の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上でありうる。
【0244】
組成物中の油の量は、組成物の総質量に対して、25質量%以下、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下でありうる。
【0245】
組成物中の油の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~25質量%、好ましくは0.05質量%~20質量%、より好ましくは0.1質量%~15質量%であってもよい。
【0246】
(他の任意選択の成分)
第1の組成物及び/又は第2の組成物はまた、毛髪等のケラチン繊維のための化粧品に従来から使用されてきた何れかの任意選択の成分、例えばアニオン性、非イオン性、カチオン性、両性若しくは双性イオン性ポリマー、又はこれらの混合物、抗酸化剤、増粘剤、金属イオン封鎖剤、香料、分散剤、酸性剤、アルカリ剤、皮膜形成剤、セラミド、保存剤及び乳白剤も含有してもよい。
【0247】
{調製}
第1及び第2の各組成物は、上記で説明した必須成分と、必要に応じて、上記で説明した任意選択の成分と、を混合することによって、調製することができる。
【0248】
上記の必須及び任意選択の成分を混合する方法及び手段は、限定されない。従来の任意の方法及び手段が、上記の必須成分と任意選択の成分とを混合して第1及び第2の組成物を調製するために使用されうる。
【0249】
{形態}
第1の組成物及び/又は第2の組成物は、化粧用組成物、好ましくは洗髪用組成物及びヘアケア用組成物、より好ましくはシャンプー及びコンディショナーの形態であってもよい。
【0250】
本発明による組成物は、リーブオンタイプであってもリンスオフタイプであってもよい。リーブオンタイプの組成物は、ケラチン繊維上で使用された後に洗い流されない。リンスオフンタイプの組成物は、ケラチン繊維上で使用された後に洗い流される。
【0251】
最初にケラチン繊維上に塗布される組成物がシャンプーであり、次にケラチン繊維上に塗布される組成物がコンディショナーであることが好ましい。
【0252】
{処置工程}
本発明によれば、毛髪等のケラチン繊維は、第1及び第2の組成物によって処置される。
【0253】
本発明による方法は、
(1)少なくとも1種のポリフェノールを含む第1の組成物でケラチン繊維を処置する工程と、
(2)植物由来の少なくとも1種のタンパク質を含む第2の組成物でケラチン繊維を処置する工程と
を含み、
ケラチン繊維が、工程(1)によって処置され、後続して工程(2)によって処置されるか、又は
ケラチン繊維が、工程(2)によって処置され、後続して工程(1)によって処置される。
【0254】
言い換えると、本発明による方法は、
(a)ケラチン繊維を、最初に第1の組成物で、次いで第2の組成物で処置する工程、又は
(b)ケラチン繊維を、最初に第2の組成物で、次いで第1の組成物で処置する工程
によって実施することができる。
【0255】
第1の組成物又は第2の組成物は、ケラチン繊維を第1の組成物又は第2の組成物で処置した後に、ケラチン繊維から除去してもよい。
【0256】
したがって、必要に応じて、(上記の(a)の)ケラチン繊維を第1の組成物で処置する工程とケラチン繊維を第2の組成物で処置する工程との間、又は(上記の(b)の)ケラチン繊維を第2の組成物で処置する工程とケラチン繊維を第1の組成物で処置する工程との間で、すすぎの工程を実施することが可能である。すすぎの工程の後、次の(上記(a)の)ケラチン繊維を第2の組成物で処置する工程又は(上記(b)の)ケラチン繊維を第1の組成物で処置する工程に先立って、乾燥の工程を実施してもよい。
【0257】
一方、第1の組成物又は第2の組成物は、ケラチン繊維を(上記(a)において)第1の組成物で又は(上記(b)において)第2の組成物で処置した後に、ケラチン繊維上に維持させてもよい。
【0258】
上記の工程(a)及び(b)の後、すすぎの工程を実施しても、実施しなくてもよい。すすぎの工程が実施される場合、すすぎの工程の後、必要に応じて、乾燥の工程を実施してもよい。
【0259】
本発明による方法は、ケラチン繊維のためのパーマネントウェーブ又は縮毛矯正等のパーマネントリシェイプ法ではない。
【0260】
第1の及び第2の各組成物が塗布されたケラチン繊維は、ケラチン繊維を処置するのに必要とされる適切な時間の間、放置することができる。各トリートメントのための時間の長さは限定されないが、それは、1分~30分、好ましくは1分~20分、より好ましくは1分~10分であってもよい。そのため、例えば、本発明によるトリートメントのための総時間は、3~60分、好ましくは3~40分、より好ましくは3~20分であってもよい。
【0261】
ケラチン繊維は、室温で処置されてもよい。或いは、ケラチン繊維は、第1及び第2の各組成物をケラチン繊維に塗布する工程の前に及び/又はその間に及び/又はその後に、25℃~65℃、好ましくは30℃~60℃、より好ましくは35℃~55℃、更により好ましくは40℃~50℃で加熱することができる。
【0262】
上記の方法は、好ましくは、ケラチン繊維のための美容を目的とし、例えば、ケラチン繊維のパーマネントリシェイプ以外の毛髪等のケラチン繊維の美容トリートメントを目的とする。
【0263】
本発明による方法は、植物から得られる成分を用いて、毛髪等のケラチン繊維の強度を改善し、且つ/又は染色した毛髪等の染色したケラチン繊維の退色を低減することができる。
【0264】
本発明による方法により、強度又は硬度がより良好な毛髪等のケラチン繊維を提供することが可能である。したがって、本発明による方法は、より良好な伸縮性及びより良好な弾力等のより良好な美容特性を有するケラチン繊維を提供することができる。
【0265】
また、本発明による方法により、洗髪及びコンディショニング等のヘアトリートメントに耐性を持つ、染色した毛髪等の染色したケラチン繊維を提供することも可能である。したがって、本発明による方法は、ポリフェノールを含まない第1の組成物及び植物由来のタンパク質を含まない第2の組成物を使用する方法に比べて、退色が低減される染色ケラチン繊維を提供することができる。
【0266】
[製品、キット及び使用]
本発明はまた、ケラチン繊維、好ましくは毛髪を処置するための製品であって、
(1)第1の組成物、及び
(2)第2の組成物
を含み、
第1の組成物が、少なくとも1種のポリフェノールを含み、
第2の組成物が、植物由来の少なくとも1種のタンパク質を含む、
製品にも関する。
【0267】
本発明による方法によって使用される、ポリフェノール及び植物由来のタンパク質、並びに第1及び第2の組成物に関する上記の説明は、本発明による製品についてのそれらに適用することができる。
【0268】
製品は、毛髪等のケラチン繊維を処置するための、好ましくは化粧料、より好ましくは化粧用組成物である。
【0269】
本発明はまた、ケラチン繊維、好ましくは毛髪を処置するためのキットであって、
(1)第1の組成物を含む第1の区画、及び
(2)第2の組成物を含む第2の区画
を含み、
第1の組成物が、少なくとも1種のポリフェノールを含み、
第2の組成物が、植物由来の少なくとも1種のタンパク質を含む、
キットにも関する。
【0270】
本発明による方法によって使用される、ポリフェノール及び植物由来のタンパク質、並びに第1及び第2の組成物に関する上記の説明は、本発明によるキットについてのそれらに適用することができる。
【0271】
当業者は、従来の包装技術に基づいて、本発明によるキットを調製することができる。本発明によるキットは、第1の及び第2の区画を含み、そのそれぞれが、第1の及び第2の組成物を個別にそれぞれ含む。第1の及び第2の区画は、ポンプ等の分配又は排出手段を備えていてもよい。第1の及び第2の区画は、2つの個別の容器に別々に含まれていてもよい。一方、第1の及び第2の区画は、単一の容器内にあってもよい。
【0272】
一実施形態において、例えば、
(a)第1の区画から第1の組成物を分配又は排出する工程、
(b)第1の組成物をケラチン繊維に塗布する工程、
(c)第2の区画から第2の組成物を分配又は排出する工程、及び
(d)第2の組成物を、既に第1の組成物で処置されたケラチン繊維に塗布する工程
によって、キットを使用することが可能である。
【0273】
必要に応じて、上記の工程(b)と上記の工程(c)及び/又は上記の工程(d)との間で、乾燥の工程を含む又は含まないすすぎの工程を実施することが可能である。
【0274】
別の実施形態では、例えば、
(a')第2の区画から第2の組成物を分配又は排出する工程、
(b')第2の組成物をケラチン繊維に塗布する工程、
(c')第1の区画から第1の組成物を分配又は排出する工程、及び
(d')第1の組成物を、既に第2の組成物で処置されたケラチン繊維に塗布する工程
によって、キットを使用することが可能である。
【0275】
必要に応じて、上記の工程(b')と上記の工程(c')との間及び/又は上記の工程(d')の後で、乾燥の工程を含む又は含まないすすぎの工程を実施することが可能である。
【0276】
本発明はまた、ケラチン繊維の強度又は硬度を改善するか、又は
ケラチン繊維の退色を低減するための、
(1)ケラチン繊維、好ましくは毛髪の第1の組成物による処置と、
(2)ケラチン繊維、好ましくは毛髪の第2の組成物による処置と
の組合せの使用であって、
第1の組成物が、少なくとも1種のポリフェノールを含み、
第2の組成物が、植物由来の少なくとも1種のタンパク質を含む、
使用にも関する。
【0277】
本発明による方法によって使用される、ポリフェノール及び植物由来のタンパク質、並びに第1及び第2の組成物に関する上記の説明は、本発明による使用についてのそれらに適用することができる。
【0278】
本発明による使用は、ケラチン繊維の強度又は硬度を改善するか、又は
ケラチン繊維の退色を低減するために、
(1)少なくとも1種のポリフェノールによるケラチン繊維の処置と、
(2)植物由来の少なくとも1種のタンパク質によるケラチン繊維の処置と
の組合せに基づくことができる。
【0279】
上記の組合せは、例えば、毛髪等のケラチン繊維の伸縮性若しくは弾力を改善し、且つ/又はケラチン繊維の洗髪及びコンディショニング等の幾つかの活動に起因する毛髪等のケラチン繊維の退色を低減することができる。
【0280】
上記の処置工程(1)及び(2)は、別々に且つ連続して実施される。言い換えれば、上記工程(1)及び(2)は同時に行われない。
【0281】
処置工程(1)及び(2)の順序は限定されない。したがって、処置工程(1)を最初に行い、次いで処置工程(2)を行ってもよい。或いは、処置工程(2)を最初に行い、次いで処置工程(1)を行ってもよい。
【0282】
上記の製品、キット及び使用は、好ましくは、ケラチン繊維のための美容を目的とし、例えば、毛髪等のケラチン繊維のパーマネントリシェイプ以外のケラチン繊維の美容トリートメントを目的とする。
【0283】
本発明による上記の製品、キット及び使用は、植物から得られる成分を用いて、毛髪等のケラチン繊維の強度若しくは硬度を改善し、且つ/又は染色した毛髪等の染色したケラチン繊維の退色を低減することができる。
【0284】
本発明による製品、キット及び使用により、強度又は硬度がより良好な毛髪等のケラチン繊維を提供することが可能である。したがって、それらは、より良好な伸縮性及びより良好な弾力等のより良好な美容特性を有するケラチン繊維を提供することができる。
【0285】
また、本発明による製品、キット及び使用により、洗髪及びコンディショニング等のヘアトリートメントに耐性を持つ、染色した毛髪等の染色したケラチン繊維を提供することも可能である。したがって、それらは、ポリフェノールを含まない第1の組成物及び植物由来のタンパク質を含まない第2の組成物を使用する方法に比べて、退色が低減される染色ケラチン繊維を提供することができる。
【実施例0286】
本発明を、実施例によって、より詳細に説明する。しかし、これらの実施例は、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0287】
組成物1
[調製]
以下、「組成物1」と称する組成物を、表1に示す成分を混合することによって調製した。成分の量についての数値は全て、活性材料としての「質量%」に基づく。
【0288】
【表1】
【0289】
組成物2
[調製]
以下、「組成物2」と称する組成物を、表2に示す成分を混合することによって調製した。成分の量についての数値は全て、活性材料としての「質量%」に基づく。
【0290】
【表2】
【0291】
組成物2のpHは、5.6であった。
【0292】
組成物3
[調製]
以下、「組成物3」と称する組成物を、表3に示す成分を混合することによって調製した。成分の量についての数値は全て、活性材料としての「質量%」に基づく。
【0293】
【表3】
【0294】
組成物3のpHは、5.5であった。
【0295】
組成物4
[調製]
以下、「組成物4」と称する組成物を、表4に示す成分を混合することによって調製した。成分の量についての数値は全て、活性材料としての「質量%」に基づく。
【0296】
【表4】
【0297】
組成物4のpHは、6.0であった。
【0298】
組成物5
[調製]
以下、「組成物5」と称する組成物を、表5に示す成分を混合することによって調製した。成分の量についての数値は全て、活性材料としての「質量%」に基づく。
【0299】
【表5】
【0300】
組成物5のpHは、5.6であった。
【0301】
組成物6
[調製]
以下、「組成物6」と称する組成物を、表6に示す成分を混合することによって調製した。成分の量についての数値は全て、活性材料としての「質量%」に基づく。
【0302】
【表6】
【0303】
組成物6のpHは、5.7であった。
【0304】
組成物7
[調製]
以下、「組成物7」と称する組成物を、表7に示す成分を混合することによって調製した。成分の量についての数値は全て、活性材料としての「質量%」に基づく。
【0305】
【表7】
【0306】
組成物7のpHは、5.2であった。
【0307】
組成物8
[調製]
以下、「組成物8」と称する組成物を、表8に示す成分を混合することによって調製した。成分の量についての数値は全て、活性材料としての「質量%」に基づく。
【0308】
【表8】
【0309】
組成物8のpHは、7.6であった。
【0310】
ヘアトリートメント試験(実施例1~6及び比較例1~12)
毛束見本を、表9に示す実施例1~6及び比較例1~12によるプロトコルに従って処置した。
【0311】
実施例1~6及び比較例1~12では、同じ特性を持つ毛束見本(1g、27cm)を使用した。
【0312】
表9の「塗布工程1」及び「塗布工程2」の欄は、ヘアトリートメントの第1の工程及び第2の工程それぞれにおいてどの組成物を毛束見本に塗布したかを示す。欄に記入がない箇所は、組成物が毛束見本に塗布されなかったことを意味する。
【0313】
塗布工程1及び塗布工程2のそれぞれにおいて、組成物は、周囲条件(25℃、相対湿度40%)下で、1g/毛髪1gの比率で、毛束見本に塗布された。
【0314】
表9の「工程1の後/工程2の前」の欄は、塗布工程1と塗布工程2との間の期間(30分)の間の毛束見本への措置を示す。表9中の用語「リンスオフ」は、毛束見本上の組成物が水道水(37℃)で10秒間除去されたことを意味する。表9中の用語「ドライヤー乾燥」は、空気を吹き込むことによって毛束見本を乾燥させたことを意味する。表9中の用語「リーブオン」は、組成物を毛束見本に塗布した後、毛束見本上の組成物が除去されなかったことを意味する。表9中の用語「層化」は、組成物が毛束見本上に積層されたことを意味する。
【0315】
表9の「工程2の後」の欄は、塗布工程2の後の毛束見本への措置を示す。表9中の用語「リンスオフ」は、毛束見本上の組成物が水道水(37℃)で10秒間除去されたことを意味する。表9中の用語「ドライヤー乾燥」は、空気を吹き込むことによって毛束見本を乾燥させたことを意味する。表9中の用語「リーブオン」は、組成物を毛束見本に塗布した後、毛束見本上の組成物が除去されなかったことを意味する。
【0316】
【表9A】
【0317】
【表9B】
【0318】
[評価]
実施例1~6及び比較例1~12によるヘアトリートメント後の毛束見本の強度(硬度)を評価するために5名のパネリストによる官能試験を実施し、該官能試験は、該毛束見本を、対照(基準)としてスコアが3に決定された一切のヘアトリートメントを施さない毛束見本と比較することによって行われ、以下の基準に従って毛髪繊維の相対強度のスコアを採点した。
5:未処置の毛束見本の強度よりはるかに強い
4:未処置の毛束見本の強度より強い
3:未処置の毛束見本の強度と同程度
2:未処置の毛束見本の強度より弱い
1:未処置の毛束見本の強度よりはるかに弱い
【0319】
スコアを平均化した。より高いスコアは、より強力に知覚された毛髪繊維を示す。結果を以下の表10~12に示す。
【0320】
【表10】
【0321】
表10は、最後に毛束見本に塗布された組成物を毛束見本から洗い落とすという条件及び塗布工程2が存在する場合はすすぎを塗布工程1と塗布工程2との間で実施するという条件で処置された毛束見本の官能評価の結果を示す。
【0322】
タンニン酸及び加水分解エンドウマメタンパク質による段階的ヘアトリートメント(実施例1及び実施例2)は、タンニン酸及び加水分解ケラチンによるヘアトリートメント(比較例4及び比較例5)によるヘアトリートメントと同じレベルの強度の毛髪繊維を実現した。
【0323】
表10はまた、タンニン酸単独(比較例1)又は加水分解エンドウマメタンパク質単独(比較例2)によるヘアトリートメントが、タンニン酸及び加水分解エンドウマメタンパク質による段階的ヘアトリートメント(実施例1又は実施例2)によってもたらされる毛髪の強度レベルを実現しなかったことも示す。
【0324】
【表11】
【0325】
表11は、最後に毛束見本に塗布された組成物が毛束見本から洗い落とされ、そのすすぎが、塗布工程1と塗布工程2との間で実施されなかった条件下で処置された毛束見本の官能評価の結果を示す。
【0326】
タンニン酸及び加水分解エンドウマメタンパク質による段階的ヘアトリートメント(実施例3及び実施例4)は、タンニン酸及び加水分解ケラチン(比較例6及び比較例7)によるヘアトリートメントと同程度の強度レベルの毛髪繊維を実現した。
【0327】
【表12】
【0328】
表12は、最後に毛束見本に塗布された組成物が毛束見本から洗い落とさないという条件及び塗布工程2が存在する場合はすすぎを塗布工程1と塗布工程2との間で実施するという条件下で処置された毛束見本の官能評価の結果を示す。
【0329】
タンニン酸及び加水分解エンドウマメタンパク質による段階的ヘアトリートメント(実施例5及び実施例6)は、タンニン酸及び加水分解ケラチンによるヘアトリートメント(比較例8及び比較例9)と同程度の強度レベルの毛髪繊維を実現した。
【0330】
表12はまた、タンニン酸単独(比較例10)又は加水分解エンドウマメタンパク質単独(比較例11)によるヘアトリートメントが、タンニン酸及び加水分解エンドウマメタンパク質による段階的ヘアトリートメント(実施例5又は実施例6)によってもたらされる毛髪の強度レベルを実現しなかったことも示す。
【0331】
ヘアトリートメント試験(実施例7~11及び比較例13~17)
毛束見本を、表13に示す実施例7~11及び比較例13~17によるプロトコルに従って処置した。
【0332】
実施例7~11及び比較例13~17では、同じ特性を持つ毛束見本(1g、27cm)を使用した。
【0333】
表13の「塗布工程1」及び「塗布工程2」の欄は、ヘアトリートメントの第1の工程及び第2の工程それぞれにおいてどの組成物を毛束見本に塗布したかを示す。欄に記入がない箇所は、組成物が毛束見本に塗布されなかったことを意味する。
【0334】
塗布工程1及び塗布工程2のそれぞれにおいて、組成物は、周囲条件(25℃、相対湿度40%)下で、1g/毛髪1gの比率で、毛束見本に塗布された。
【0335】
表13の「工程1の後/工程2の前」の欄は、塗布工程1と塗布工程2との間の期間(30分)の間の毛束見本への措置を示す。表13中の用語「リンスオフ」は、毛束見本上の組成物が水道水(37℃)で10秒間除去されたことを意味する。表13中の用語「ドライヤー乾燥」は、空気を吹き込むことによって毛束見本を乾燥させたことを意味する。表13中の用語「リーブオン」は、組成物を毛束見本に塗布した後、毛束見本上の組成物が除去されなかったことを意味する。表13中の用語「層化」は、組成物が毛束見本上に積層されたことを意味する。
【0336】
表13の「工程2の後」の欄は、塗布工程2の後の毛束見本への措置を示す。表13中の用語「リンスオフ」は、毛束見本上の組成物が水道水(37℃)で10秒間除去されたことを意味する。表13中の用語「ドライヤー乾燥」は、空気を吹き込むことによって毛束見本を乾燥させたことを意味する。表13中の用語「リーブオン」は、組成物を毛束見本に塗布した後、毛束見本上の組成物が除去されなかったことを意味する。
【0337】
【表13】
【0338】
[評価]
実施例7~11及び比較例13~17によるヘアトリートメント後の毛束見本の強度(硬度)を評価するために5名のパネリストによる官能試験を実施し、該官能試験は、該毛束見本を、対照(基準)としてスコアが3に決定された一切のヘアトリートメントを施さない毛束見本と比較することによって行われ、以下の基準に従って毛髪繊維の相対強度のスコアを採点した。
5:未処置の毛束見本の強度よりはるかに強い
4:未処置の毛束見本の強度より強い
3:未処置の毛束見本の強度と同程度
2:未処置の毛束見本の強度より弱い
1:未処置の毛束見本の強度よりはるかに弱い
【0339】
スコアを平均化した。より高いスコアは、より強力に知覚された毛髪繊維を示す。結果を以下の表14に示す。
【0340】
【表14】
【0341】
表14は、最後に毛束見本に塗布された組成物を毛束見本から洗い落とすという条件及び塗布工程2が存在する場合はすすぎを塗布工程1と塗布工程2との間で実施するという条件で処置された毛束見本の官能評価の結果を示す。
【0342】
タンニン酸及び加水分解ダイズタンパク質(実施例7)、加水分解コムギタンパク質(実施例8)、加水分解コメタンパク質(実施例9)、並びに加水分解コムギタンパク質、加水分解トウモロコシタンパク質、加水分解ダイズタンパク質の混合物(実施例10)、並びに絹(実施例11)による段階的ヘアトリートメントは、タンニン酸及び加水分解エンドウマメタンパク質(実施例1)によるヘアトリートメントに対して同等か又はより良好なレベルの強度の毛髪繊維を実現した。
【0343】
表14はまた、加水分解エンドウマメタンパク質(表10及び表12)の場合と同様に、タンパク質単独によるヘアトリートメント(比較例14、比較例15、比較例16、比較例17、又は比較例18)が、タンニン酸及びタンパク質による段階的ヘアトリートメント(実施例7、実施例8、実施例9、実施例10、又は実施例11)によってもたらされるレベルの毛髪強度を実現しなかったことも示す。
【0344】
シャンプー組成物1及び2
[調製]
以下、「シャンプー組成物1」及び「シャンプー組成物2」と称する組成物を、表15に示す成分を混合することによって調製した。成分の量についての数値は全て、活性材料としての「質量%」に基づく。
【0345】
【表15】
【0346】
コンディショナー組成物1及び2
[調製]
以下、「コンディショナー組成物1」及び「コンディショナー組成物2」と称する組成物を、表16に示す成分を混合することによって調製した。成分の量についての数値は全て、活性材料としての「質量%」に基づく。
【0347】
【表16】
【0348】
ヘアカラーリング試験(実施例12及び比較例18)
同じ特性を持つ毛束見本を27℃のホットプレート上に置いた。カラー製品(Alluria Ash Blue 8.11 tone 8, L'Oreal Professional社)と酸化剤製品(Alluria Cream Oxydant, L'Oreal Professional社)との1:1(質量比)の混合物を、混合物3g/毛髪1gの比率で、各毛束見本に塗布し、水道水(37℃)で洗い落とされるまで毛束見本を30分間放置して、染色された毛束見本を調製した。
【0349】
上記の染色された毛束見本を、表17に示すように処置した。染色された毛束見本を、シャンプー0.4g/毛髪1gの比率のシャンプー組成物1(実施例12)又はシャンプー組成物2(比較例18)で洗浄し、水道水(37℃)で洗い落とした。
【0350】
次いで、乾燥せずに、コンディショナー組成物1(実施例12)又はコンディショナー組成物2(比較例18)を、コンディショナー0.4g/毛髪1gの比率で、染色された毛束見本に塗布し、周囲条件(25℃、相対湿度40%)下で5分間放置した。
【0351】
上記の洗髪及びコンディショニングを繰り返した。
【0352】
最後に、染色された毛束見本をドライヤーで乾燥した。
【0353】
【表17】
【0354】
[評価]
実施例12において、染色された毛束見本を、タンニン酸を含むシャンプー(シャンプー組成物1)と加水分解エンドウマメタンパク質を含むコンディショナー(コンディショナー組成物1)とによって処置する前と処置した後の色の変化(ΔE*)を決定することによって、上記のように酸化染色を経て染色された毛束見本に対する退色分析を実施した。
【0355】
比較例18において、染色された毛束見本を、タンニン酸を含まないシャンプー(シャンプー組成物2)と加水分解エンドウマメタンパク質を含まないコンディショナー(コンディショナー組成物2)とによって処置する前と処置した後の色の変化(ΔE*)を決定することによって、上記のように酸化染色を経て染色された毛束見本に対する退色分析を実施した。
【0356】
色差(CIE1976に基づくΔE*)を、Konica Minolta CM-3600Aを使用して測定した。より小さなΔE*は、より少ない退色を示す。結果を表17に示す。
【0357】
トリートメントの回数に関係なく、タンニン酸を含むシャンプー及び加水分解エンドウマメタンパク質を含むコンディショナーの使用は、タンニン酸を含まないシャンプー及び加水分解エンドウマメタンパク質を含まないコンディショナーの使用より小さなΔE*値(より少ない退色)を示した。
【0358】
上記は、染色された毛髪のためのタンニン酸を含むシャンプー及び加水分解エンドウマメタンパク質を含むコンディショナーの使用が、より少ない退色をもたらすことができることを実証している。
【外国語明細書】