IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ロレアルの特許一覧

特開2023-90304油と水溶性アルコールとを含む安定組成物
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023090304
(43)【公開日】2023-06-29
(54)【発明の名称】油と水溶性アルコールとを含む安定組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/34 20060101AFI20230622BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20230622BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20230622BHJP
   A61Q 5/12 20060101ALI20230622BHJP
【FI】
A61K8/34
A61K8/37
A61Q19/00
A61Q5/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021205209
(22)【出願日】2021-12-17
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】ナタリー・バーレーラ・モンテロー
(72)【発明者】
【氏名】アドリヤン・ケゼール
(72)【発明者】
【氏名】イ-ユン・ツァオ
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB051
4C083AC061
4C083AC072
4C083AC102
4C083AC111
4C083AC112
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC351
4C083AC352
4C083AC442
4C083AC661
4C083AC662
4C083AC842
4C083AD532
4C083BB01
4C083BB04
4C083BB05
4C083BB06
4C083BB07
4C083CC02
4C083CC33
4C083DD23
4C083EE01
4C083EE06
4C083EE11
4C083EE28
(57)【要約】
【課題】油とアルコールとを含む安定組成物を提供すること。
【解決手段】本発明は、
(a)少なくとも1種の脂肪族アルコール、
(b)少なくとも1種の脂肪酸エステル油、
(c)少なくとも1種のC2~C4ジオール、
(d)組成物の総質量に対して35質量%以下の量の水を含む組成物であって、油の総量が、組成物の総質量に対して15質量%未満である、組成物に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)少なくとも1種の脂肪族アルコール、
(b)少なくとも1種の脂肪酸エステル油、
(c)少なくとも1種のC2~C4ジオール、
(d)組成物の総質量に対して35質量%以下の量の水
を含む組成物であって、
油の総量が、組成物の総質量に対して15質量%未満である、組成物。
【請求項2】
(b)少なくとも1種の脂肪酸エステル油が、脂肪酸と一価アルコールとのモノエステルである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
(a)少なくとも1種の脂肪族アルコールが、組成物の総質量に対して、0.1質量%~14質量%、好ましくは0.3質量%~10質量%、より好ましくは0.5質量%~7質量%、よりいっそう好ましくは0.7質量%~5質量%の範囲内の量で存在する、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
(b)少なくとも1種の脂肪酸エステル油が、組成物の総質量に対して、0.5質量%~14.5質量%、好ましくは1質量%~12質量%、より好ましくは2質量%~10質量%、よりいっそう好ましくは3質量%~8質量%の量で存在する、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
(c)少なくとも1種のC2~C4ジオールが、組成物の総質量に対して、1質量%~20質量%、好ましくは2質量%~15質量%、より好ましくは3質量%~12質量%、よりいっそう好ましくは5質量%~10質量%の量で存在する、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
(d)水の量が、組成物の総質量に対して、0.1質量%~25質量%、好ましくは1質量%~20質量%、より好ましくは3質量%~15質量%、よりいっそう好ましくは5質量%~10質量%である、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
油の総量が、組成物の総質量に対して、1.5質量%~14質量%、好ましくは2.5質量%~13質量%、より好ましくは4質量%~12質量%、よりいっそう好ましくは5質量%~11質量%である、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
少なくとも1種の一価アルコールを、組成物の全質量に対して、好ましくは40質量%~80質量%、より好ましくは45質量%~70質量%、よりいっそう好ましくは48質量%~60質量%の量で更に含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
(c)少なくとも1種のC2~C4ジオールとは異なる少なくとも1種のポリオールを更に含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
少なくとも1種のポリオールが、少なくとも1種のC5~C8ジオールと少なくとも1種のトリオールとの組み合わせを、組成物の総質量に対して、好ましくは1質量%~30質量%の範囲内の量の少なくとも1種のC5~C8ジオール、及び0.1質量%~10質量%の範囲内の量の少なくとも1種のトリオール、より好ましくは2質量%~25質量%の範囲内の量の少なくとも1種のC5~C8ジオール、及び0.2質量%~8質量%の範囲内の量の少なくとも1種のトリオール、よりいっそう好ましくは4質量%~20質量%の範囲内の量の少なくとも1種のC5~C8ジオール、及び0.4質量%~5質量%の範囲内の量の少なくとも1種のトリオール、特に8質量%~15質量%の範囲内の量の少なくとも1種のC5~C8ジオール、及び0.8質量%~3質量%の範囲内の量の少なくとも1種のトリオールを含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
皮膚及び/又は頭皮のための少なくとも1種の親水性活性剤を更に含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
N-アシルアミノ酸エステル油を、組成物の全質量に対して、1質量%未満、好ましくは0.5質量%未満、より好ましくは0.2質量%未満、よりいっそう好ましくは0.1質量%未満の量で含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
界面活性剤、例えばカチオン性、アニオン性、非イオン性又は両性の界面活性剤を、組成物の総質量に対して、5質量%以下、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下の量で含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
均一溶液の形態である、請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
ケラチン物質、例えば皮膚、頭皮及び/又は毛髪をケア及び/又はコンディショニングするための美容方法であって、ケラチン物質に、請求項1から14のいずれか一項に記載の組成物を適用する工程を含む、美容方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油と水溶性アルコールとを含む組成物、特に、これらを含むケラチン質物質のための安定組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧品の分野では、ケア効果を得ることを可能にする化粧用組成物が、ますます使用者に求められている。ケア効果を得るために、組成物には一般に活性剤が含まれる。ケラチン質物質のための化粧用活性剤を含む化粧用組成物において、活性剤のケラチン質物質への良好な浸透特性を達成するために、配合物中の媒体として油を使用することができる。
【0003】
例えば、特表2020-514263号は、組成物の総質量に対して30質量%~89質量%の少なくとも1種の極性油、組成物の総質量に対して10質量%~45質量%の少なくとも1種のC2~C6脂肪族一価アルコール、組成物の総質量に対して0.5質量%~50質量%の少なくとも1種のポリオール、及び少なくとも1種の親水性活性剤を含む化粧用組成物であって、前記組成物が、組成物の総質量に対して7質量%未満の水を含む、組成物を開示している。
【0004】
しかしながら、油とアルコールとを含むいくつかの化粧用組成物は、安定でないという問題がある。そのため、美容上の使用のための、油とアルコールとを含む安定組成物が、依然として求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2020-514263号
【特許文献2】WO02/051828
【特許文献3】FR2607498
【特許文献4】US6159479
【特許文献5】US5558871
【特許文献6】FR2581542
【特許文献7】US4767750
【特許文献8】EP378936
【特許文献9】US5267407
【特許文献10】US5667789
【特許文献11】US5580549
【特許文献12】EP A-570230
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】C.M. Hansenによる論文「The three-dimensional solubility parameters」、J. Paint Technol、第39巻、105頁(1967年)
【非特許文献2】Walter Noll著、Chemistry and Technology of Silicones(1968年)、Academic Press
【非特許文献3】Cosmetics and Toiletries、第91巻、76年1月、27~32頁、Todd & Byers、Volatile Silicone Fluids for Cosmetics
【非特許文献4】ASTM規格445附属書C
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、油とアルコールとを含む安定組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記の目的は、
(a)少なくとも1種の脂肪族アルコール、
(b)少なくとも1種の脂肪酸エステル油、
(c)少なくとも1種のC2~C4ジオール、及び
(d)組成物の総質量に対して35質量%以下の量の水
を含む組成物であって、
油の総質量が、組成物の総質量に対して15質量%未満である、組成物によって達成することができる。
【0009】
(b)少なくとも1種の脂肪酸エステル油は、脂肪酸と一価アルコールとのモノエステルであってもよい。
【0010】
(a)少なくとも1種の脂肪族アルコールは、組成物の総質量に対して、0.1質量%~14質量%、好ましくは0.3質量%~10質量%、より好ましくは0.5質量%~7質量%、よりいっそう好ましくは0.7質量%~5質量%の範囲内の量で存在しうる。
【0011】
(b)少なくとも1種の脂肪酸エステル油は、組成物の総質量に対して、0.5質量%~14.5質量%、好ましくは1質量%~12質量%、より好ましくは2質量%~10質量%、よりいっそう好ましくは3質量%~8質量%の量で存在しうる。
【0012】
(c)少なくとも1種のC2~C4ジオールは、組成物の総質量に対して、1質量%~20質量%、好ましくは2質量%~15質量%、より好ましくは3質量%~12質量%、よりいっそう好ましくは5質量%~10質量%の量で存在しうる。
【0013】
(d)水の量は、組成物の総質量に対して、0.1質量%~25質量%、好ましくは1質量%~20質量%、より好ましくは3質量%~15質量%、よりいっそう好ましくは5質量%~10質量%でありうる。
【0014】
油の総量は、組成物の総質量に対して、1.5質量%~14質量%、好ましくは2.5質量%~13質量%、より好ましくは4質量%~12質量%、よりいっそう好ましくは5質量%~11質量%である。
【0015】
本発明による組成物は、少なくとも1種の一価アルコールを、組成物の全質量に対して、好ましくは40質量%~80質量%、より好ましくは45質量%~70質量%、よりいっそう好ましくは48質量%~60質量%の量で更に含んでもよい。
【0016】
本発明による組成物は、(c)少なくとも1種のC2~C4ジオールとは異なる少なくとも1種のポリオールを更に含んでもよい。
【0017】
少なくとも1種のポリオールは、少なくとも1種のC5~C8ジオールと少なくとも1種のトリオールとの組み合わせを、組成物の総質量に対して、好ましくは1質量%~30質量%の範囲内の量の少なくとも1種のC5~C8ジオール、及び0.1質量%~10質量%の範囲内の量の少なくとも1種のトリオール、より好ましくは2質量%~25質量%の範囲内の量の少なくとも1種のC5~C8ジオール、及び0.2質量%~8質量%の範囲内の量の少なくとも1種のトリオール、よりいっそう好ましくは4質量%~20質量%の範囲内の量の少なくとも1種のC5~C8ジオール、及び0.4質量%~5質量%の範囲内の量の少なくとも1種のトリオール、特に8質量%~15質量%の範囲内の量の少なくとも1種のC5~C8ジオール、及び0.8質量%~3質量%の範囲内の量の少なくとも1種のトリオールを含んでもよい。
【0018】
本発明による組成物は、皮膚及び/又は頭皮のための少なくとも1種の親水性活性剤を更に含んでもよい。
【0019】
本発明による組成物は、N-アシルアミノ酸エステル油を、組成物の全質量に対して、1質量%未満、好ましくは0.5質量%未満、より好ましくは0.2質量%未満、よりいっそう好ましくは0.1質量%未満の量で含むことが好ましい。
【0020】
本発明による組成物は、界面活性剤、例えばカチオン性、アニオン性、非イオン性又は両性の界面活性剤を、組成物の総質量に対して、5質量%以下、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下の量で含むことが好ましい。
【0021】
一実施形態では、本発明による組成物は、均一溶液の形態である。
【0022】
本発明はまた、ケラチン物質、例えば皮膚、頭皮及び/又は毛髪をケア及び/又はコンディショニングするための美容方法であって、ケラチン物質に、本発明による組成物を適用する工程を含む、美容方法にも関する。
【発明を実施するための形態】
【0023】
鋭意検討の結果、驚くべきことに本発明者らは、油の総質量が組成物の総質量に対して15質量%未満である、成分(a)~(d)を含む組成物の特定的な配合は、適用時のべとついた感触を回避しながら、ケラチン質物質のための活性成分について、改善された安定性と浸透特性を有することを発見し、したがって、本発明を完成した。
【0024】
したがって、本発明は、
(a)少なくとも1種の脂肪族アルコール、
(b)少なくとも1種の脂肪酸エステル油、
(c)少なくとも1種のC2~C4ジオール、及び
(d)組成物の総質量に対して35質量%以下の量の水
を含む組成物であって、
油の総質量が、組成物の総質量に対して15質量%未満である、組成物に関する。
【0025】
以下に、本発明による化粧用組成物及び美容方法を、より詳細に説明する。
【0026】
[組成物]
本発明による組成物は、(a)少なくとも1種の脂肪族アルコール、(b)少なくとも1種の脂肪酸エステル油、(c)少なくとも1種のC2~C4ジオール、及び(d)水を含む。組成物中の成分は、以下により詳細に記載されることになる。
【0027】
(脂肪族アルコール)
本発明による組成物は、(a)少なくとも1種の脂肪族アルコールを含む。2つ以上のタイプの脂肪族アルコールを、組み合わせて使用してもよい。したがって、単一のタイプの脂肪族アルコール、又は異なるタイプの脂肪族アルコールの組み合わせが使用されうる。
【0028】
脂肪族アルコールにおける「脂肪族」という用語は、比較的多数の炭素原子を含むことを意味する。したがって、6個以上、好ましくは8個以上、より好ましくは10個以上、よりいっそう好ましくは12個以上の炭素原子を有するアルコールは、脂肪族アルコールの範囲内に包含される。脂肪族アルコールは、飽和であっても、不飽和であってもよい。
【0029】
脂肪族アルコールは、構造R-OH(式中、Rは、8~40個の炭素原子、好ましくは10~30個の炭素原子、より好ましくは12~20個の炭素原子を含有する、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状基から選択される)を有しうる。少なくとも1つの実施形態では、Rは、C12~C20アルキル基及びC12~C20アルケニル基から選択されうる。Rは、少なくとも1つのヒドロキシル基によって置換されていることも、されていないこともある。
【0030】
脂肪族アルコールは、構造R-OH(式中、Rは、8~40個の炭素原子、好ましくは10~30個の炭素原子、より好ましくは12~20個の炭素原子を含有する、飽和又は不飽和の直鎖状基である)を有しうる。
【0031】
脂肪族アルコールは、構造R-OH(式中、Rは、8~40個の炭素原子、好ましくは10~30個の炭素原子、より好ましくは12~20個の炭素原子を含有する、飽和又は不飽和の分枝状基である)を有しうる。
【0032】
脂肪族アルコールの例として、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、イソステアリルアルコール、ウンデシレニルアルコール、ミリスチルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、パルミトレイルアルコール、アラキドニルアルコール、エルシルアルコール、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0033】
本発明の一実施形態では、脂肪族アルコールは飽和脂肪族アルコールである。飽和脂肪族アルコールの例として、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ウンデシレニルアルコール、ミリスチルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0034】
本発明の一実施形態では、脂肪族アルコールは不飽和脂肪族アルコールである。したがって、脂肪族アルコールは、直鎖状又は分枝状の不飽和のC8~C30アルコール、好ましくは直鎖状又は分枝状の不飽和C10~C26アルコール、より好ましくは直鎖状又は分枝状の不飽和C12~C20アルコールから選択されうる。
【0035】
不飽和脂肪族アルコールの例として、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、パルミトレイルアルコール、アラキドニルアルコール、エルシルアルコール、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0036】
脂肪族アルコールは本発明による組成物中に、組成物の総質量に対して、0.1質量%以上、好ましくは0.3質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、よりいっそう好ましくは0.7質量%以上の量で存在しうる。
【0037】
脂肪族アルコールは本発明による組成物中に、組成物の総質量に対して、14質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは7質量%以下、よりいっそう好ましくは5質量%以上の量で存在しうる。
【0038】
脂肪族アルコールは本発明による組成物中に、組成物の総質量に対して、0.1質量%~14質量%、好ましくは0.3質量%~10質量%、より好ましくは0.5質量%~7質量%、よりいっそう好ましくは0.7質量%~5質量%の範囲内の量で存在しうる。
【0039】
(脂肪酸エステル油)
本発明による組成物は、(b)少なくとも1種の脂肪酸エステル油を含む。2つ以上のタイプの脂肪酸エステル油を、組み合わせて使用してもよい。したがって、単一のタイプの脂肪酸エステル油、又は異なるタイプの脂肪酸エステル油の組み合わせが使用されうる。
【0040】
「脂肪酸エステル」という用語は、ここでは、少なくとも1種の脂肪酸と少なくとも1種のアルコールとから形成されるエステルを意味することが意図される。
【0041】
脂肪酸エステル油は、飽和又は不飽和の直鎖状又は分枝状C4~C30脂肪族と、飽和又は不飽和の直鎖状又は分枝状C1~C26脂肪族一価アルコール又は多価アルコールとの液状脂肪酸エステルであってもよく、これらのエステルの炭素原子の総数は10以上でありうる。
【0042】
脂肪酸エステル油は、飽和直鎖状C4~C26脂肪酸、好ましくはC6~C20脂肪族一酸、より好ましくはC10~C20脂肪族一酸と、飽和分枝状C1~C20脂肪族一価アルコール、好ましくはC1~C16脂肪族一価アルコール、よりいっそう好ましくはC1~C8脂肪族一価アルコールとの液状エステルであってもよく、これらのエステルの炭素原子の総数は10以上でありうる。
【0043】
脂肪酸と一価アルコールとのモノエステルの脂肪酸エステル油は、式R1COOR2(式中、R1は、4~30個の炭素原子、好ましくは8~24個の炭素原子、より好ましくは10~20個の炭素原子を含む、直鎖状又は分枝状、好ましくは直鎖状脂肪酸の残基を表し、R2は、1~40個の炭素原子、好ましくは1~12個の炭素原子、より好ましくは2~8個の炭素原子を含有する、とりわけ分枝状の、炭化水素系鎖を表し、ただし、R1+R2≧10である)によって表されうる。
【0044】
脂肪酸エステル油のアルコールは、分枝状であることが好ましい。
【0045】
脂肪酸と一価アルコールとのモノエステルの中でも、パルミチン酸エチル、パルミチン酸エチルヘキシル、パルミチン酸イソプロピル、炭酸ジカプリリル、ミリスチン酸アルキル、例えばミリスチン酸イソプロピル又はミリスチン酸エチル、ステアリン酸イソセチル、イソノナン酸2-エチルヘキシル、イソノナン酸イソノニル、ネオペンタン酸イソデシル、及びネオペンタン酸イソステアリルを挙げることができる。
【0046】
脂肪酸エステル油は、2~30個の炭素原子、好ましくは6~30個の炭素原子、より好ましくは8~30個の炭素原子を含む飽和又は不飽和の酸、好ましくは飽和の酸、例えばラウリン酸、オレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、カプリン酸、カプリル酸、及びミリスチン酸のジ及びトリエステルから選択されうる。
【0047】
脂肪酸エステル油として、C6~C30、好ましくはC12~C22脂肪酸の糖エステル及びジエステルを使用することができる。「糖」という用語は、いくつかのアルコール官能基を含有し、アルデヒド又はケトン官能基を有し又は有せず、且つ少なくとも4個の炭素原子を含む、酸素を保持する炭化水素系化合物を意味することが想起される。これらの糖は、単糖類、オリゴ糖類又は多糖類であってもよい。
【0048】
挙げることができる好適な糖の例には、スクロース(又はサッカロース)、グルコース、ガラクトース、リボース、フコース、マルトース、フルクトース、マンノース、アラビノース、キシロース及びラクトース、並びにこれらの誘導体、とりわけ、アルキル誘導体、例えばメチル誘導体、例えばメチルグルコースが含まれる。
【0049】
脂肪酸の糖エステルは、とりわけ、前述の糖と、直鎖状若しくは分枝状で飽和若しくは不飽和のC6~C30、好ましくはC12~C22脂肪酸とのエステル又はエステルの混合物を含む群から選択されうる。これらの化合物は、不飽和である場合、1~3個の共役又は非共役の炭素-炭素二重結合を有しうる。
【0050】
この変形形態によるエステルはまた、モノエステル、ジエステル、トリエステル、テトラエステル及びポリエステル、並びにこれらの混合物から選択されうる。
【0051】
これらのエステルは、例えば、オレイン酸エステル、ラウリン酸エステル、パルミチン酸エステル、ミリスチン酸エステル、ベヘン酸エステル、ヤシ脂肪酸エステル、ステアリン酸エステル、リノール酸エステル、リノレン酸エステル、カプリン酸エステル、及びアラキドン酸エステル、又はこれらの混合物、例えばとりわけ、オレオパルミチン酸、オレオステアリン酸及びパルミトステアリン酸の混合エステル、並びにテトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチルであってもよい。
【0052】
より詳細には、モノエステル及びジエステル、とりわけ、スクロース、グルコース又はメチルグルコースの、モノオレイン酸エステル又はジオレイン酸エステル、ステアリン酸エステル、ベヘン酸エステル、オレオパルミチン酸エステル、リノール酸エステル、リノレン酸エステル及びオレオステアリン酸エステルが使用される。
【0053】
挙げることができる例は、Glucate(登録商標)DOの名称でAmerchol社により販売されている製品であり、これはジオレイン酸メチルグルコースである。
【0054】
好ましい脂肪酸エステル油の例として、例えば、ヘキサン酸2-エチルヘキシル、ラウリン酸エチル、オクタン酸セチル、オクタン酸オクチルドデシル、ネオペンタン酸イソデシル、プロピオン酸ミリスチル、2-エチルヘキサン酸2-エチルヘキシル、オクタン酸2-エチルヘキシル、カプリル酸/カプリン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸メチル、パルミチン酸エチル、パルミチン酸イソプロピル、炭酸ジカプリリル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸エチルヘキシル、ラウリン酸イソヘキシル、ラウリン酸ヘキシル、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸イソデシル、トリ(2-エチルヘキサン酸)グリセリル、テトラ(2-エチルヘキサン酸)ペンタエリスリチル、コハク酸2-エチルヘキシル、セバシン酸ジエチル、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0055】
脂肪酸エステル油は本発明による組成物中に、組成物の総質量に対して、0.5質量%以上、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、よりいっそう好ましくは3質量%以上の量で存在しうる。
【0056】
脂肪酸エステル油は本発明による組成物中に、組成物の総質量に対して、14.5質量%以下、好ましくは12質量%以下、より好ましくは10質量%以下、よりいっそう好ましくは8質量%以上の量で存在しうる。
【0057】
脂肪酸エステル油は本発明による組成物中に、組成物の総質量に対して、0.5質量%~14.5質量%、好ましくは1質量%~12質量%、より好ましくは2質量%~10質量%、よりいっそう好ましくは3質量%~8質量%の範囲内の量で存在しうる。
【0058】
(C2~C4ジオール)
本発明による組成物は、(c)少なくとも1種のC2~C4ジオールを含む。2つ以上のタイプのC2~C4ジオールを、組み合わせて使用してもよい。したがって、単一のタイプのC2~C4ジオール、又は異なるタイプのC2~C4ジオールの組み合わせが使用されうる。
【0059】
C2~C4ジオールは、ここでは、2~4個の炭素原子を有するジオールを意味する。本発明における使用に好適なC2~C4ジオールは、アルキル鎖上に2つの-OH官能基を保持する、直鎖状又は分枝状の飽和又は不飽和アルキルタイプの化合物でありうる。
【0060】
好ましくは、本発明による組成物に使用してもよいC2~C4ジオールは、直鎖状又は分枝状、好ましくは直鎖状で、アルキル鎖上に2つの-OH官能基を保持する、飽和アルキルタイプの化合物である。
【0061】
C2~C4ジオールは、好ましくは、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、ブチレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタン(buthane)ジオール、及びこれらの混合物から選択されうる。
【0062】
更に好ましい実施形態では、C2~C4ジオールは、C2~C3ジオール、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール及び1,3-プロパンジオールから選択される。
【0063】
特定的な実施形態では、C2~C4ジオールは、C3ジオール、例えば、プロピレングリコール及び1,3-プロパンジオールから選択される。
【0064】
C2~C4ジオールは本発明による組成物中に、組成物の総質量に対して、1質量%以上、好ましくは2質量%以上、より好ましくは3質量%以上、よりいっそう好ましくは5質量%以上の量で存在しうる。
【0065】
C2~C4ジオールは本発明による組成物中に、組成物の総質量に対して、20質量%以下、好ましくは15質量%以下、より好ましくは12質量%以下、よりいっそう好ましくは10質量%以上の量で存在しうる。
【0066】
C2~C4ジオールは本発明による組成物中に、組成物の総質量に対して、1質量%~20質量%、好ましくは2質量%~15質量%、より好ましくは3質量%~12質量%、よりいっそう好ましくは5質量%~10質量%の範囲内の量で存在しうる。
【0067】
(水)
本発明による組成物は、水を含みうる。
【0068】
本発明による組成物中の水の量は、組成物の総質量に対して、0.1質量%以上、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、よりいっそう好ましくは5質量%以上でありうる。
【0069】
本発明による組成物中の水の量は、組成物の総質量に対して、35質量%以下、好ましくは25質量%以下、より好ましくは15質量%以下、よりいっそう好ましくは10質量%以下でありうる。
【0070】
本発明による組成物中の水の量は、組成物の総質量に対して、0.1質量%~35質量%、好ましくは1質量%~25質量%、より好ましくは3質量%~15質量%、よりいっそう好ましくは5質量%~10質量%でありうる。
【0071】
(油)
本発明による組成物において、油の総量は、組成物の総質量に対して15質量%未満である。
【0072】
ここでは、「油」は、大気圧(760mmHg)下、室内温度(25℃)において、液状又はペースト(非固体)の形態の脂肪化合物又は脂肪物質を意味する。油として、化粧品において一般に使用されるものを、単独で、又はそれらの組み合わせで使用することができる。これらの油は、揮発性であっても、不揮発性であってもよい。
【0073】
(a)脂肪族アルコール及び(b)脂肪酸エステル油は、これらの油に分類される。そのため、本発明による組成物は、(a)少なくとも1種の脂肪族アルコールと、(b)少なくとも1種の脂肪酸エステル油と含む油を、組成物の総質量に対して15質量%未満の量で含む。
【0074】
本発明による組成物は、油の総量が、組成物の総質量に対して15質量%未満である限り、(a)脂肪族アルコール及び(b)脂肪酸エステル油に加えて、少なくとも1種の追加の油を含むことも、含まないこともある。
【0075】
本発明に使用してもよい追加の油の中でも、揮発性又は不揮発性の油を挙げることができ、これらの油は、炭化水素系油、とりわけ、動物若しくは植物起源のもの、合成油、シリコーン油、フルオロ油、又はこれらの混合物でありうる。
【0076】
本発明の目的上、「炭化水素系油」又は「炭化水素油」という用語は、主として水素原子及び炭素原子、並びに任意選択で酸素原子、窒素原子、硫黄原子、及び/又はリン原子を含有する油を意味することが意図される。炭化水素系油は、一切のケイ素原子を含まない。
【0077】
本発明の目的上、「シリコーン油」は、少なくとも1個のケイ素原子、とりわけ、少なくとも1つのSi-O基を含む油を意味することが意図される。
【0078】
本発明の目的上、「極性油」は、25℃における溶解度パラメータδaが0(J/cm3)1/2以外である油を意味することが意図される。
【0079】
特に、「極性ワックス」は、化学構造が炭素及び水素原子から本質的に形成されるか、更にはそれらで構成される、少なくとも1個の電気陰性度の高いヘテロ原子、例えば酸素、窒素、ケイ素又はリン原子を含む油を意味することが意図される。
【0080】
ハンセン3次元溶解度空間における溶解度パラメータの定義及び計算は、C.M. Hansenによる論文「The three-dimensional solubility parameters」、J. Paint Technol、第39巻、105頁(1967年)に記載されている。
【0081】
このハンセン空間によれば、
- δDは、分子の衝突中に誘起される双極子の形成から得られるロンドン分散力を特徴付け、
- δpは、永久双極子間のデバイ相互作用力、及び更に誘起双極子と永久双極子との間のケーソム相互作用力を特徴付け、
- δhは、特定の相互作用(例えば、水素結合、酸/塩基結合及びドナー/アクセプター結合等)の力を特徴付け、
- δaは、式δa=(δp 2h 2)1/2によって決定される。
【0082】
パラメータδp、δh、δD及びδaは、(J/cm3)1/2で表される。
【0083】
好ましくは、本発明によって使用される極性油は、4から9.1の間のδa、好ましくは6から9.1の間、よりいっそう好ましくは7.3から9.1の間のδaを有する。
【0084】
油は、炭化水素油若しくはシリコーン油等の非極性油;植物油若しくは動物油、及びエーテル油等の極性油;又はこれらの混合物であってもよい。
【0085】
追加の油は、植物又は動物起源の油、合成油、シリコーン油及び炭化水素油からなる群から選択されうる。
【0086】
植物油の例として、例えば、アマニ油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、コーン油、ミンク油、オリーブ油、アボカド油、サザンカ油、ヒマシ油、ベニバナ油、ホホバ油、ヒマワリ油、アーモンド油、ナタネ油、ゴマ油、ダイズ油、ピーナッツ油、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0087】
動物油の例として、例えば、スクアレン及びスクアランを挙げることができる。
【0088】
合成油の例として、アルカン油、例えばイソドデカン及びイソヘキサデカン、エーテル油及び人工トリグリセリドを挙げることができる。
【0089】
エーテル油として、例えば次式:
R1-O-R2
(式中、
R1及びR2の各々は独立して、直鎖状、分枝状又は環状のC4~C24アルキル基、好ましくはC6~C18アルキル基、より好ましくはC8~C12アルキル基を示す)によって表されるもの等のジアルキルエーテル。R1とR2とは同じであることが好ましい。
【0090】
直鎖状アルキル基として、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基、ベヘニル基、ドコシル基、トリコシル基及びテトラコシル基を挙げることができる。
【0091】
分枝状アルキル基として、1-メチルプロピル基、2-メチルプロピル基、t-ブチル基、1,1-ジメチルプロピル基、3-メチルヘキシル基、5-メチルヘキシル基、1-エチルヘキシル基、2-エチルヘキシル基、1-ブチルペンチル基、5-メチルオクチル基、1-エチルヘキシル基、2-エチルヘキシル基、1-ブチルペンチル基、5-メチルオクチル基、2-ブチルオクチル基、イソトリデシル基、2-ペンチルノニル基、2-ヘキシルデシル基、イソステアリル基、2-ヘプチルウンデシル基、2-オクチルドデシル基、1,3-ジメチルブチル基、1-(1-メチルエチル)-2-メチルプロピル基、1,1,3,3-テトラメチルブチル基、3,5,5-トリメチルヘキシル基、1-(2-メチルプロピル)-3-メチルブチル基、3,7-ジメチルオクチル基及び2-(1,3,3-トリメチルブチル)-5,7,7-トリメチルオクチル基を挙げることができる。
【0092】
環状アルキル基として、シクロヘキシル基、3-メチルシクロヘキシル基及び3,3,5-トリメチルシクロヘキシル基を挙げることができる。
【0093】
人工トリグリセリドの例として、例えば、カプリルカプリリルグリセリド、トリミリスチン酸グリセリル、トリパルミチン酸グリセリル、トリリノレン酸グリセリル、トリラウリン酸グリセリル、トリカプリン酸グリセリル、トリカプリル酸グリセリル、トリ(カプリン酸/カプリル酸)グリセリル及びトリ(カプリン酸/カプリル酸/リノレン酸)グリセリルを挙げることができる。
【0094】
シリコーン油の例として、例えば、直鎖状オルガノポリシロキサン、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン及びメチルハイドロジェンポリシロキサン等;環状オルガノポリシロキサン、例えば、シクロヘキサシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン及びドデカメチルシクロヘキサシロキサン等;並びにこれらの混合物を挙げることができる。
【0095】
好ましくは、シリコーン油は、液状ポリジアルキルシロキサン、とりわけ、液状ポリジメチルシロキサン(PDMS)、及び少なくとも1つのアリール基を含む液状ポリオルガノシロキサンから選択される。
【0096】
これらのシリコーン油はまた、有機変性されていてもよい。本発明に従って使用できる有機変性シリコーンは、上に定義したシリコーン油であり、構造中に、炭化水素系基を介して結合されている1個又は複数の有機官能基を含むシリコーン油である。
【0097】
オルガノポリシロキサンは、Walter Noll著、Chemistry and Technology of Silicones(1968年)、Academic Pressにおいて、より詳細に定義されている。これらは、揮発性であっても、不揮発性であってもよい。
【0098】
揮発性である場合、シリコーンは、より詳細には、60℃から260℃の間の沸点を有するものから選択され、よりいっそう詳細には、以下から選択される。
(i)3~7個、好ましくは4~5個のケイ素原子を含む環状ポリジアルキルシロキサン。これらは例えば、特に、Volatile Silicone(登録商標)7207の名称でUnion Carbide社により又はSilbione(登録商標)70045 V2の名称でRhodia社により販売されているオクタメチルシクロテトラシロキサン、Volatile Silicone(登録商標)7158の名称でUnion Carbide社により、Silbione(登録商標)70045 V5の名称でRhodia社により販売されているデカメチルシクロペンタシロキサン、及びSilsoft 1217の名称でMomentive Performance Materials社により販売されているドデカメチルシクロペンタシロキサン、並びにこれらの混合物である。Union Carbide社により販売されているSilicone Volatile(登録商標)FZ 3109等の、次式の、ジメチルシロキサン/メチルアルキルシロキサン等のタイプのシクロコポリマーを挙げることもできる。
【0099】
【化1】
【0100】
環状ポリジアルキルシロキサンと有機ケイ素化合物との混合物、例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサンとテトラトリメチルシリルペンタエリスリトールとの混合物(50/50)、及びオクタメチルシクロテトラシロキサンとオキシ-1,1'-ビス(2,2,2',2',3,3'-ヘキサトリメチルシリルオキシ)ネオペンタンとの混合物を挙げることもできる。
(ii)2~9個のケイ素原子を含有し、25℃において5×10-6m2/s以下の粘度を有する、直鎖状の揮発性ポリジアルキルシロキサン。例は、特にToray Silicone社によりSH 200の名称で販売されているデカメチルテトラシロキサンである。このカテゴリーに属するシリコーンはまた、Cosmetics and Toiletries、第91巻、76年1月、27~32頁、Todd & Byers、Volatile Silicone Fluids for Cosmeticsにおいて発表された論文にも記載されている。シリコーンの粘度は、ASTM規格445附属書Cに従って、25℃において測定される。
【0101】
不揮発性ポリジアルキルシロキサンを使用してもよい。これらの不揮発性シリコーンは、より詳細にはポリジアルキルシロキサンから選択され、その中でも、主としてトリメチルシリル末端基を含有するポリジメチルシロキサンを挙げることができる。
【0102】
これらのポリジアルキルシロキサンの中でも、非限定的に、次の市販製品を挙げることができる:
- Rhodia社により販売されているSilbione(登録商標)油の47及び70 047シリーズ又はMirasil(登録商標)油、例えば70 047 V 500 000油、
- Rhodia社により販売されているMirasil(登録商標)シリーズの油、
- Dow Corning社製の200シリーズの油、例えば60 000mm2/sの粘度を有するDC200、並びに
- General Electric社製Viscasil(登録商標)油及びGeneral Electric社製SFシリーズのある特定の油(SF 96、SF 18)。
【0103】
ジメチコノール(CTFA)の名称で知られる、ジメチルシラノール末端基を含有するポリジメチルシロキサン、例えばRhodia社製48シリーズの油も挙げることができる。
【0104】
アリール基を含有するシリコーンの中でも、ポリジアリールシロキサン、とりわけポリジフェニルシロキサン及びポリアルキルアリールシロキサン、例えばフェニルシリコーン油を挙げることができる。
【0105】
フェニルシリコーン油は、次式のフェニルシリコーンから選択されうる:
【0106】
【化2】
【0107】
(式中、
R1~R10は、互いに独立して、飽和又は不飽和で、直鎖状、環状又は分枝状のC1~C30炭化水素系基、好ましくはC1~C12炭化水素系基、より好ましくはC1~C6炭化水素系基、特にメチル、エチル、プロピル又はブチル基であり、
m、n、p及びqは、互いに独立して、両端を含む0~900、好ましくは両端を含む0~500、より好ましくは両端を含む0~100の整数であり、
ただし、n+m+qの和は0以外である)。
【0108】
挙げることができる例には、次の名称で販売されている製品が含まれる:
- Rhodia社製のSilbione(登録商標)油の70 641シリーズ、
- Rhodia社製のRhodorsil(登録商標)70 633及び763シリーズの油、
- Dow Corning社製の油であるDow Corning 556 Cosmetic Grade Fluid、
- Bayer社製のPKシリーズのシリコーン、例えば製品PK20、
- General Electric社製のSFシリーズのある特定の油、例えば、SF 1023、SF 1154、SF 1250及びSF 1265。
【0109】
フェニルシリコーン油として、フェニルトリメチコン(上の式中、R1~R10はメチルであり、p、q及びn=0であり、m=1である)が好ましい。
【0110】
有機変性液状シリコーンは、とりわけ、ポリエチレンオキシ及び/又はポリプロピレンオキシ基を含有してもよい。したがって、信越化学工業株式会社により提案されているシリコーンKF-6017、並びにUnion Carbide社製の油Silwet(登録商標)L722及びL77を挙げることができる。
【0111】
炭化水素油は、以下から選択されうる:
- 直鎖状又は分枝状、任意選択で環状のC6~C16低級アルカン。挙げることができる例には、ヘキサン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、及びイソパラフィン、例としてはイソヘキサデカン、イソドデカン及びイソデカンが含まれる、
- 16個超の炭素原子を含有する直鎖状又は分枝状の炭化水素、例えば、流動パラフィン、流動石油ゼリー、ポリデセン、及び水素化ポリイソブテン、例えばParleam(登録商標)、及びスクアランが含まれる、並びに
- アルカンの混合物、例えば、C9~12アルカン、C10~13アルカン、C13~14アルカン、C13~15アルカン、C14~17アルカン、C14~19アルカン、C15~19アルカン、C15~23アルカン、C18~21アルカン、C8~9アルカン/シクロアルカン、C9~10アルカン/シクロアルカン、C9~11アルカン/シクロアルカン、C9~16アルカン/シクロアルカン、C10~12アルカン/シクロアルカン、C11~14アルカン/シクロアルカン、C11~15アルカン/シクロアルカン、C12~13アルカン/シクロアルカン。
【0112】
炭化水素油の好ましい例として、例えば、直鎖状又は分枝状の炭化水素、例えば、イソヘキサデカン、イソドデカン、スクアラン、鉱物油(例えば流動パラフィン)、パラフィン、ワセリン又はペトロラタム、ナフタレン類等;水素化ポリイソブテン、イソエイコサン、及びデセン/ブテンコポリマー;並びにこれらの混合物を挙げることができる。
【0113】
追加の油が、分子量が600g/mol未満の油から選択されることもまた好ましい。
【0114】
(a)脂肪族アルコールと(b)脂肪酸エステル油とを含む油の総量は、組成物の総質量に対して、14質量%以下、好ましくは13質量%以下、より好ましくは12質量%以下、よりいっそう好ましくは11質量%以下でありうる。
【0115】
(a)脂肪族アルコールと(b)脂肪酸エステル油とを含む油の総量は、組成物の総質量に対して、1.5質量%以上、好ましくは2.5質量%以上、より好ましくは4質量%以上、よりいっそう好ましくは5質量%以上でありうる。
【0116】
(a)脂肪族アルコールと(b)脂肪酸エステル油とを含む油の総量は、組成物の総質量に対して、1.5質量%~14質量%、好ましくは2.5質量%~13質量%、より好ましくは4質量%~12質量%、よりいっそう好ましくは5質量%~11質量%でありうる。
【0117】
特定的な一実施形態では、本発明による組成物は、N-アシルアミノ酸エステル油を、組成物の全質量に対して、1質量%未満、好ましくは0.5質量%未満、より好ましくは0.2質量%未満、よりいっそう好ましくは0.1質量%未満の量で含む。本発明による更に特定的な実施形態では、組成物は、N-アシルアミノ酸エステル油不含である。N-アシルアミノ酸エステル油の例として、ラウロイルサルコシンイソプロピルを挙げることができる。
【0118】
別の特定的な実施形態では、本発明による組成物は、エーテル油を、組成物の全質量に対して、5質量%未満、好ましくは3質量%未満、より好ましくは2質量%未満、よりいっそう好ましくは1質量%未満、特に0.5質量%未満の量で含む。本発明による更に特定的な実施形態では、組成物は、エーテル油不含である。
【0119】
(その他の成分)
- 一価アルコール
本発明による組成物は、少なくとも1種の一価アルコールを含んでもよい。2種以上の一価アルコールを組み合わせて使用してもよい。
【0120】
一価アルコールは、水溶性であってもよい。「水溶性アルコール」という用語は、ここでは、室内温度(25℃)及び大気圧(105Pa)において、100mLの水中に、0.1g以上、0.5g以上又は1g以上の量が溶解することができるアルコールを意味する。
【0121】
一価アルコールは、1~8個の炭素原子、好ましくは2~8個の炭素原子を有し、1つのみのヒドロキシル(OH)官能基を保持する、直鎖状又は分枝状で、飽和又は不飽和の一価アルコールでありうる。
【0122】
一実施形態では、一価アルコールは、1~8個の炭素原子、好ましくは2~8個の炭素原子を有する脂肪族一価アルコールでありうる。
【0123】
「脂肪族一価アルコール」という用語は、ここでは、1つのみのヒドロキシル(OH)官能基を保持する、任意の直鎖状又は分枝状の飽和アルカン化合物を意味する。
【0124】
本発明の組成物中に存在する脂肪族一価アルコールは、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノール、イソブタノール、及びこれらの混合物から選択されうる。
【0125】
本発明の好ましい一実施形態では、一価アルコールは、1~8個の炭素原子、好ましくは2~8個の炭素原子を有する直鎖状脂肪族一価アルコール、例えば、エタノール、プロパノール、ブタノール、及びこれらの混合物から選択することができる。
【0126】
本発明による組成物は、好ましくは一価アルコール、特にエタノールを、組成物の総質量に対して、40質量%以上、より好ましくは45質量%以上、よりいっそう好ましくは48質量%以上;且つ好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下、よりいっそう好ましくは60質量%以下の量で含む。
【0127】
一価アルコールの量は、組成物の総質量に対して、40質量%~80質量%、好ましくは45質量%~70質量%、より好ましくは48質量%~60質量%でありうる。
【0128】
- C2~C4ジオール以外のポリオール
本発明による組成物は、少なくとも1種のポリオールを含んでもよい。2種以上のポリオールを組み合わせて使用してもよい。
【0129】
本発明の目的上、「ポリオール」という用語は、少なくとも2つのフリーのヒドロキシル基を含む任意の有機分子を意味するものとして理解されるべきである。ここでのポリオールは、水溶性であってもよい。
【0130】
本発明における使用に好適なポリオールは、アルキル鎖上に少なくとも2つの-OH官能基を保持する、直鎖状、分枝状又は環状の飽和又は不飽和アルキルタイプの化合物でありうる。
【0131】
好ましくは、本発明による組成物に使用されうるポリオールは、アルキル鎖上に少なくとも2つの-OH官能基、好ましくは2~5つの-OH官能基、より好ましくは2~4つの-OH官能基、よりいっそう好ましくは2又は3つの-OH官能基を保持する、直鎖状又は分枝状、好ましくは直鎖状アルキルタイプの化合物である。
【0132】
本発明による化粧用組成物を配合するのに有利なことに好適であるポリオールは、とりわけ2~8個の炭素原子、例えば3~6個の炭素原子を有するものである。
【0133】
本発明によって使用されうるポリオールは、3~8個の炭素原子を有する、直鎖状又は分枝状、好ましくは直鎖状ポリオールから選択され、とりわけ、以下のものを挙げることができる:
- C5~C8ジオール、例えば、ヘキシレングリコール、ジプロピレングリコール、ペンチレングリコール及びイソプレングリコール、並びに
- トリオール、例えばグリセロール(グリセリン)、
並びにこれらの混合物。
【0134】
本発明の一実施形態では、組成物は、少なくとも1種のC5~C8ジオールを、組成物の総質量に対して、1質量%以上、好ましくは2質量%以上、より好ましくは4質量%以上、よりいっそう好ましくは8質量%以上;且つ30質量%以下、好ましくは25質量%以下、より好ましくは20質量%以下、よりいっそう好ましくは15質量%以下の量で含む。
【0135】
本発明の別の実施形態では、組成物は、少なくとも1種のトリオール(trio)を、組成物の総質量に対して、0.1質量%以上、好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは0.4質量%以上、よりいっそう好ましくは0.8質量%以上;且つ10質量%以下、好ましくは8質量%以下、より好ましくは5質量%以下、よりいっそう好ましくは3質量%以下の量で含む。
【0136】
本発明の一実施形態では、ポリオールは、少なくとも1種のC5~C8ジオールと少なくとも1種のトリオールとの組み合わせを、組成物の総質量に対して、好ましくは1質量%~30質量%の範囲内の量のC5~C8ジオール、及び0.1質量%~10質量%の範囲内の量のトリオール、より好ましくは2質量%~25質量%の範囲内の量のC5~C8ジオール、及び0.2質量%~8質量%の範囲内の量のトリオール、よりいっそう好ましくは4質量%~20質量%の範囲内の量のC5~C8ジオール、及び0.4質量%~5質量%の範囲内の量のトリオール、特に8質量%~15質量%の範囲内の量のC5~C8ジオール、及び0.8質量%~3質量%の範囲内の量のトリオールを含む。
【0137】
C2~C4ジオール以外のポリオールは、本発明による組成物中に、組成物の総質量に対して、0.5質量%~30質量%、好ましくは1質量%~20質量%、より好ましくは1.5質量%~15質量%の範囲内の量で存在しうる。
【0138】
- 親水性活性剤
本発明による組成物は、(a)少なくとも1種の親水性活性剤を含む。2種以上の親水性活性剤を組み合わせて使用してもよい。したがって、単一のタイプの親水性活性剤、又は異なるタイプの親水性活性剤の組み合わせが使用されうる。
【0139】
「親水性活性剤」は、ここでは、室内温度(25℃)及び大気圧(105Pa)にて、水の総質量に対して少なくとも1質量%の濃度で水に溶解性である、頭皮及び/又は皮膚のための活性剤を意味することが意図される。
【0140】
親水性活性剤として、例えば、保湿剤、脱色剤、剥離剤、老化防止剤、マット感付与剤、瘢痕化剤、血液循環促進成分、抗菌剤、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0141】
好ましくは、前記親水性活性剤は、C-グリコシド、サリチル酸、サリチル酸誘導体、及びこれらの混合物から選択される。
【0142】
第1の実施形態では、本発明による組成物は、次の一般式(I):
【0143】
【化3】
【0144】
(式中、
- Rは、非置換直鎖状C1~C4、とりわけC1~C2アルキル基、特にメチルを示し、
- Sは、D-グルコース、D-キシロース、N-アセチル-D-グルコサミン及びL-フコースから選択される単糖類、特にD-キシロースを表し、
- Xは、-CO-、-CH(OH)-及び-CH(NH2)-から選択される基、優先的には-CH(OH)-基を表す)
のC-グリコシドから選択される少なくとも1種の親水性活性剤、
並びにまた化粧料として許容されるその塩、その溶媒和物、例えば水和物、及びその光学異性体を含んでもよい。
【0145】
本発明により詳細に好適な式(I)のC-グリコシド誘導体の非限定的な例証として、とりわけ、次の化合物
- C-ベータ-D-キシロピラノシド-n-プロパン-2-オン、
- C-アルファ-D-キシロピラノシド-n-プロパン-2-オン、
- C-ベータ-D-キシロピラノシド-2-ヒドロキシプロパン、
- C-アルファ-D-キシロピラノシド-2-ヒドロキシプロパン、
- 1-(C-ベータ-D-グルコピラノシル)-2-ヒドロキシプロパン、
- 1-(C-アルファ-D-グルコピラノシル)-2-ヒドロキシプロパン、
- 1-(C-ベータ-D-グルコピラノシル)-2-アミノプロパン、
- 1-(C-アルファ-D-グルコピラノシル)-2-アミノプロパン、
- 3'-(アセトアミド-C-ベータ-D-グルコピラノシル)プロパン-2'-オン、
- 3'-(アセトアミド-C-アルファ-D-グルコピラノシル)プロパン-2'-オン、
- 1-(アセトアミド-C-ベータ-D-グルコピラノシル)-2-ヒドロキシプロパン、
- 1-(アセトアミド-C-ベータ-D-グルコピラノシル)-2-アミノプロパン、
- 並びにまた化粧料として許容されるその塩、その溶媒和物、例えば水和物、及びその光学異性体
を挙げることができる。
【0146】
詳細な実施形態によれば、C-ベータ-D-キシロピラノシド-2-ヒドロキシプロパン又はC-アルファ-D-キシロピラノシド-2-ヒドロキシプロパン、よりいっそう良好にはC-ベータ-D-キシロピラノシド-2-ヒドロキシプロパンが使用される。
【0147】
詳細な実施形態によれば、本発明に好適な式(I)のC-グリコシドは、有利には、INCI名がヒドロキシプロピルテトラヒドロピラントリオールであり、とりわけ、NOVEAL社によりMEXORYL SBB(登録商標)又はMEXORYL SCN(登録商標)の名称で販売されている、C-ベータ-D-キシロピラノシド-2-ヒドロキシプロパンでありうる。本発明に好適な式(I)のC-グリコシドの塩は、これらの化合物の従来の生理学的に許容される塩、例えば、有機又は無機酸から形成される塩を含んでもよい。挙げることができる例には、硫酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、リン酸又はホウ酸等の鉱酸の塩が含まれる。1つ以上のカルボン酸基、スルホン酸基又はホスホン酸基を含みうる有機酸の塩もまた挙げることができる。これらは、直鎖状、分枝状若しくは環状脂肪族酸、又は芳香族酸でありうる。これらの酸はまた、O及びNから選択される1個以上のヘテロ原子を、例えばヒドロキシル基の形態で含んでもよい。とりわけ、プロピオン酸、酢酸、テレフタル酸、クエン酸及び酒石酸を挙げることができる。
【0148】
上に記載されている化合物に許容される溶媒和物は、従来の溶媒和物、例えば、溶媒の存在に起因して前記化合物の調製の最終工程中に形成されるものを含む。挙げることができる例には、水、又は直鎖状若しくは分枝状のアルコール、例えばエタノール若しくはイソプロパノールの存在に起因する溶媒和物が含まれる。
【0149】
C-グリコシド(I)は、文献WO02/051828からも公知である。
【0150】
別の詳細な実施形態では、本発明による組成物は、サリチル酸及びサリチル酸誘導体から選択される少なくとも1種の親水性活性剤、特に下の式(II)のもの:
【0151】
【化4】
【0152】
(式中、
・Ra基は、
- 2~22個の炭素原子を含有する直鎖状、分枝状又は環状の飽和脂肪族鎖、
- 2~22個の炭素原子を含有し、共役していてもよい1つ又は複数の二重結合を含有する不飽和鎖、
- 直接、又は2~7個の炭素原子を含有する飽和若しくは不飽和の脂肪族鎖によって、カルボニル基に結合している芳香核;を示し、
前記基は、
(a)ハロゲン原子、
(b)トリフルオロメチル基、
(c)フリーの形態、若しくは1~6個の炭素原子を含有する酸によってエステル化された形態のヒドロキシル基、又は
(d)フリーの形態、若しくは1~6個の炭素原子を含有する低級アルコールによってエステル化された形態のカルボキシル官能基
から選択される1つ又は複数の同一又は異なる置換基によって置換されることが可能であり、
・Rbはヒドロキシル基である)
及びまた無機又は有機塩基から誘導されるこれらの塩を含んでもよい。
【0153】
一実施形態によれば、Ra基は、
- 3~11個の炭素原子を含有する直鎖状、分枝状若しくは環状の飽和脂肪族鎖、又は
- 3~17個の炭素原子を含有し、1つ若しくは複数の共役若しくは非共役の二重結合を含む不飽和鎖
を示し、
前記炭化水素系鎖は、
(a)ハロゲン原子、
(b)トリフルオロメチル基、
(c)フリーの形態、若しくは1~6個の炭素原子を含有する酸によってエステル化された形態のヒドロキシル基、又は
(d)フリーの形態、若しくは1~6個の炭素原子を含有する低級アルコールによってエステル化された形態のカルボキシル官能基
から選択される1つ又は複数の同一又は異なる置換基によって置換されること、
及びまた無機又は有機塩基による塩化によって得られるこれらの塩であることが可能である。より詳細に好ましい化合物は、Ra基がC3~C11アルキル基であるものである。
【0154】
特に好ましい式(II)の化合物の中でも、5-n-オクタノイルサリチル酸(又はカプリロイルサリチル酸)、5-n-デカノイルサリチル酸、5-n-ドデカノイルサリチル酸、5-n-ヘプチルオキシサリチル酸及び対応するこれらの塩を挙げることができる。
【0155】
サリチル酸化合物は、有利には、サリチル酸及び5-n-オクタノイルサリチル酸から選択される。より詳細には、5-n-オクタノイルサリチル酸が使用されるであろう。5-n-オクタノイルサリチル酸(又はカプリロイルサリチル酸)は、Mexoryl SAB(登録商標)の名称でChimex社により提供されている。
【0156】
挙げることができる無機塩基の例には、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の水酸化物、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、又はアンモニア水が含まれる。アミン及びアルカノールアミンは、挙げることができる有機塩基のうちにある。第四級塩、例えば、特許FR2607498に記載されている四級塩は、特に有利である。本発明によって使用されうる式(II)の化合物は、特許US6159479、US5558871、FR2581542、FR2607498、US4767750、EP378936、US5267407、US5667789、US5580549及びEP A-570230に記載されている。
【0157】
別の親水性活性剤として、血液循環促進成分、例えば、酢酸Dl-α-トコフェロール、ニコチン酸トコフェロール、グルコシルヘスペリジン、ヘスペリジン、カフェイン、γ-オリザノール、カプサイシン及びニコチン酸ベンジルエステル等を挙げることができる。
【0158】
別の親水性活性剤として、アミノ酸及びその誘導体、例えば、ベタイン(トリメチルグリシン)、プロリン、ヒドロキシプロリン、アルギニン、リジン、セリン、グリシン、アラニン、フェニルアラニン、β-アラニン、トレオニン、グルタミン酸、グルタミン、アスパラギン酸、システイン、シスチン、メチオニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、ヒスチジン、トレオニン、チロシン、タウリン、γ-アミノ酪酸、γ-アミノ-β-ヒドロキシ酪酸、カルニチン、カルノシン、クレアチン、イプシロンアミノカプロン酸及びトリプトファン等を挙げることができる。
【0159】
別の親水性活性剤として、ガム等の水溶性多糖類、例えば、ゲランガム、キサンタンガム、スクレロチウム(sclerothium)ガム、ローカストビーンガム、ビオサッカリドガム、タマリンドガム、クインスシード、アラビアガム、カラギーナン、タラガム、グアーガム、ガラクタン、アラビアガム、アカシアガム、トラガカントガム、カードラン(curdran)、スクシノグルカン等;カラギーナン;ヘパリン様物質;及びアルギン酸等を挙げることができる。
【0160】
親水性活性剤は本発明による組成物中に、組成物の総質量に対して、0.1質量%~20質量%以上、0.5質量%~15質量%、より好ましくは1質量%~12質量%、よりいっそう好ましくは2質量%~10質量%以上、特に3質量%~10質量%の範囲内の量で存在しうる。
【0161】
- 非イオン性界面活性剤
本発明による組成物は、少なくとも1種の非イオン性界面活性剤を含んでもよい。2種以上の非イオン性界面活性剤を組み合わせて使用してもよい。
【0162】
本発明の組成物に使用することができる非イオン性界面活性剤の例としては、ポリエトキシル化脂肪族アルコール又はポリグリセロール化脂肪族アルコール、例えばラウリルアルコールとのエチレンオキシド付加物、とりわけ9~50個のオキシエチレン単位を含有するもの(INCI名はラウレス-9からラウレス-50)、特にラウレス-9;例えば8~24個の炭素原子を含む飽和又は不飽和鎖を有する、ポリオールと脂肪酸とのエステル及びそれらのオキシアルキレン化誘導体、すなわちオキシエチレン単位及び/又はオキシプロピレン単位を含むもの、例えばグリセロールとC8~C24脂肪酸とのエステル及びそれらのオキシアルキレン化誘導体、特にポリオキシエチレン化ステアリン酸(モノ-、ジ-及び/又はトリステアリン酸)グリセリル、例えばPEG-20トリイソステアリン酸グリセリル;糖とC8~C24脂肪酸とのエステル及びそれらのオキシアルキレン化誘導体、例えばC8~C24脂肪酸のポリエトキシル化ソルビトールエステル、特にCroda社により「TWEEN 21」の名称で市販されている製品等のポリソルベート21;糖とC8~C24脂肪族アルコールとのエーテル、例えばカプリリル/カプリルグルコシド;疎水化多糖類;ポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレンオキシプロピレンアルキルエーテル;脂肪酸アルカノールアミド;アルキルアミンオキシド;アルキルポリグリコシド、及びシリコーン界面活性剤、例えばオキシエチレン基及び/又はオキシプロピレン基を含有するポリジメチルシロキサン、例えば、PEG-10ジメチコーン、ビス-PEG/PPG-14/14ジメチコーン、ビス-PEG/PPG-20/20ジメチコーン、及びPEG/PPG-20/6ジメチコーン;及び脂肪酸ポリグリセリルエステル、例えば、カプリン酸ポリグリセリル-4、ラウリン酸ポリグリセリル-10、ジカプリン酸ポリグリセリル-6、ジカプリン酸ポリグリセリル-6、ジオレイン酸ポリグリセリル-6、カプリル酸ポリグリセリル-6、オレイン酸ポリグリセリル-2及びポリリシノール酸ポリグリセリル-6;並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0163】
加えて、非イオン性界面活性剤として、次の一般式(1):
R-O-(G)x(1)
(式中、Rは、14~24個の炭素原子を含む分枝状及び/又は不飽和のアルキル基を表し、Gは、5又は6個の炭素原子を含む還元糖を表し、xは、1~10、好ましくは1~4の範囲内の値を示し、Gは、特にグルコース、フルクトース又はガラクトースを示す)によって表されるアルキルポリグリコシドを挙げることができる。このタイプのアルキルポリグリコシドとして、アルキルポリグルコシド(式(I)においてG=グルコース)、特に式(I)の化合物(式中、Rは、より詳細にはオレイル基(不飽和C18基)又はイソステアリル(飽和C18基)を表し、Gはグルコースを示し、xは1~2の範囲内の値である)、特にイソステアリルグルコシド、オレイルグルコシド、及びこれらの混合物を挙げることができる。このアルキルポリグルコシドは、共乳化剤との、より特別には脂肪族アルコールとの、特にアルキルポリグルコシドのものと同じ脂肪族鎖を有する、すなわち、14~24個の炭素原子を含み、且つ分枝状及び/又は不飽和の鎖を有する脂肪族アルコール、例えば、アルキルポリグルコシドがイソステアリルグルコシドである場合はイソステアリルアルコール、アルキルポリグルコシドがオレイルグルコシドである場合はオレイルアルコールとの混合物として使用することができる。
【0164】
非イオン性界面活性剤は、組成物の総質量に対して、0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上、よりいっそう好ましくは1.3質量%以上、特に1.5質量%以上の量で存在してもよく、且つ/又は10質量%以下、好ましくは7質量%以下、より好ましくは5質量%以下、特に3質量%以下の量で存在しうる。
【0165】
- アジュバント
本発明による組成物は、生理学的に許容される媒体、特に水溶性有機溶媒;カチオン性、アニオン性、非イオン性又は両性の界面活性剤;カチオン性、アニオン性、非イオン性、両性若しくは双性イオン性のポリマー、又はその混合物;ゲル化剤;増粘剤;浸透剤;pH調整剤;抗フケ剤;酸化防止剤;保湿剤;皮膚軟化剤;親油性活性剤;フリーラジカル捕獲剤;懸濁剤;金属イオン封鎖剤;緩衝剤;香料;皮膚軟化剤;分散剤;染料及び/又は顔料;塗膜形成剤;安定剤;保存剤;共保存剤;乳白剤;並びにこれらの混合物から選択される、化粧品及び皮膚科学の分野において一般的なアジュバントの1種又は複数を更に含んでもよい。
【0166】
本発明による組成物は、植物抽出物、例えばスイレン科の(Nymphaeaceous)植物からの抽出物、例えばセイヨウスイレン(Nymphaea alba)根抽出物を更に含んでもよい。
【0167】
本発明による組成物は、非イオン性グアーガム、例えば、ヒドロキシプロピルグアーガム、特に0.6超の置換度を有するヒドロキシプロピルグアーガムを更に含んでもよい。「置換度」という用語は、ここでは、ポリガラクトマンナンガムにおける無水糖1単位当たりの非イオン性基の平均置換数を意味する。非イオン性グアーガムの市販製品として、SOLVAY社によりJaguar(登録商標)HSGの名称で販売されているヒドロキシプロピルグアーガムを挙げることができる。
【0168】
言うまでもなく、当業者は、本発明に従った組成物に本質的に関連する有利な特性が、想定される添加によって有害な影響を受けないか又は実質的に受けないように、本発明の組成物に加えられる任意選択のアジュバントを注意深く選択することになる。
【0169】
アジュバントは本発明の組成物中に、好ましくは、組成物の総質量に対して、0.01質量%~20質量%、好ましくは0.1質量%~10質量%、より好ましくは0.5質量%~5質量%の範囲内の量で存在しうる。
【0170】
本発明による組成物は、例えば、溶液、ゲル、ローション、美容液、懸濁液、分散体、流体、ミルク、ペースト、クリーム、フォーム、エマルション(O/W又はW/O形態)並びに多重(例えば、W/O/W、ポリオール/O/W及びO/W/O)エマルション等の様々な形態をとりうる。特定的な一実施形態では、本発明による組成物は、溶液、特に均一溶液の形態である。本発明の目的上、「均一」という用語は、特に、単一の相からなる組成物を意味することが意図される。
【0171】
本発明による特定的な一実施形態では、組成物は、本発明の成分(a)~(c)とは異なる界面活性剤、例えばカチオン性、アニオン性、非イオン性又は両性の界面活性剤を、組成物の総質量に対して、5質量%以下、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下の量で含む。
【0172】
本発明の組成物は、化粧用組成物である。詳細な実施形態では、本発明による組成物は、局所適用、とりわけケラチン物質への局所適用が意図される。
【0173】
本発明の目的上、「ケラチン物質」は、皮膚及びケラチン質繊維を意味することが意図される。ここで使用される「皮膚」という用語は、顔面及び体の皮膚、並びに頭皮を含む。ここで使用される「ケラチン質繊維」という用語は、まつ毛、眉毛及び毛髪を含む。
【0174】
本発明の詳細な実施形態によれば、組成物は、組成物は、ケラチン物質、例えば、頭皮及び毛髪への局所適用が意図される。いくつかの実施形態では、組成物は、毛髪ケア及び/又は頭皮ケア及び/又は皮膚ケア用の組成物でありうる。
【0175】
本発明によって使用される組成物は、好ましくは、リーブオン(又はリーブイン)タイプの化粧用組成物として使用することが意図される。「リーブオン」という用語は、適用直後に洗い落とす/すすぎ落とすこと、すなわち除去することが意図されない組成物を意味する。リーブオン組成物は、ケラチン物質に対して使用した後にすすぎ落とすことが意図されるリンスオフタイプの組成物とは異なる。
【0176】
本発明による組成物は、当業者に周知の方法のいずれかに従って、上記の必須成分及び任意選択の成分を混合することによって調製することができる。
【0177】
[美容方法及び美容上の使用]
本発明は、ケラチン物質、例えば毛髪、頭皮及び/又は皮膚をケア又はコンディショニングするための美容方法であって、ケラチン物質に、本発明による組成物を適用する工程を含む、美容方法にも関する。
【0178】
美容方法とは、ここでは、ケラチン物質をケア及び/又はコンディショニングするための非治療的な美容方法を意味する。
【0179】
適用工程は、任意の従来の手段、例えば、手、スプレー及びブラシ等のアプリケーターによって行うことができる。適用工程は、局所適用工程とすることができる。
【0180】
本発明による組成物は、リーブオンタイプの化粧用組成物として使用することが意図される。そのため、本発明による美容方法は、適用した組成物を、適用工程後のケラチン物質からすすぎ落とす又は洗い落とす工程を含まない。本発明の一実施形態では、本発明の美容方法は、適用した組成物を、適用工程後の1時間以内、好ましくは2時間以内、より好ましくは4時間以内、よりいっそう好ましくは8時間以内に、すすぎ落とす又は洗い落とす工程を含まない。
【0181】
更に、本発明はまた、美容、特にケラチン物質のケア及び/又はコンディショニングの分野における、本発明による組成物の使用にも関する。
【実施例0182】
本発明は実施例によってより詳細に記述されることになるが、実施例は本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0183】
(安定性)
実施例1及び比較例1~7による組成物を、Table 1(表1)に列挙する成分を混合することによって調製した。MEXORYL SCN(登録商標)のヒドロキシプロピルテトラヒドロピラントリオール製品は、NOVEAL社から入手した。Table 1(表1)に示す成分の量についての数値はすべて、活性原料の「質量%」に基づく。
【0184】
10gの入手した組成物の各々を、それぞれの製造後、4℃、25℃及び45℃において2カ月保った。各組成物について、以下の基準のもとで安定性特性を評価した。
OK:4℃、25℃及び45℃のいずれにおいても、相分離が確認されなかった。
NG:4℃、25℃及び/又は45℃において、成分が可溶性でなかった、又は相分離が起こった。
【0185】
【表1】
【0186】
Table 1(表1)における結果から見て取ることができるように、本発明の成分(a)~(d)を含む実施例1による組成物は、安定であった。その一方で、比較例1~6による組成物は、良好な安定性を示さなかった。
【0187】
(浸透分析)
以下の通りのフランツセル(静置型拡散セル)試験に準拠して、活性成分の経皮浸透の特性について、実施例1並びに比較例7及び8による組成物を評価した。比較例7及び8による組成物の配合を、それぞれ下のTable 2(表2)及びTable 3(表3)に示す。Table 2(表2)及びTable 3(表3)における成分の量についての数値はすべて、活性原料の「質量%」に基づく。これらの組成物は、上の実施例1と同様に調製した。
【0188】
【表2】
【0189】
【表3】
【0190】
試験のためのブタ皮膚サンプルは、次の手順によって調製した。まず、ブタ耳介の外側の皮膚を、解剖刀によって注意深く軟骨から切り離し、ヘアトリマーを使用することによって、ブタの毛を注意深く同じ長さに剃った。皮下脂肪組織を除去した後、皮膚切断器(Zimmer(登録商標))を使用して、皮膚の厚さを750μmに定量し、次いで、一切の損傷のない実験用部分を注意深く選択した。
【0191】
実施例1並びに比較例7及び8の各々による組成物を、スパチュラ又はポジティブディスプレイスメント式ピペットによって、皮膚サンプルに適用した。組成物の適用量が約5mg/cm2となるように、適用する組成物を含有するスパチュラ又はポジティブディスプレイスメント式ピペットを適用の前後に秤量することによって、皮膚に適用された正確な量を決定した。空気中で2分、皮膚を乾燥させた。次いで、皮膚をフランツセルに取り付けた。フランツセルは2cm2の適用面積を有しており、セルレセプタ液は3mLのNaCl 0.9%(w/w)水中溶液であった。試験中、レセプタ液を撹拌した。ブタ皮膚を、ドナー区画と、前述の2cm2の適用面積を有するレセプタ区画との間に配置する。ブタ皮膚の温度を32℃に維持した。16時間後、皮膚表面に残存するすべての化学物質が除去されるように担保するため、皮膚表面を適当なプロトコルによって洗浄し、ブタ皮膚を取り外し、次いで、10回の連続テープストリップ(DSquam(登録商標))によって角質層を除去した。レセプタ液、表皮及び真皮中の活性成分(ヒドロキシプロピルテトラヒドロピラントリオール)を、LC/MSによって分析した。各組成物について、三重反復で3つのドナー(n=9)を使用した。
【0192】
ブタ皮膚の角質層を通過した活性成分の量(皮膚の1cm2当たりのμg)の平均値を計算し、Table 4(表4)に示す。
【0193】
【表4】
【0194】
Table 4(表4)における結果から見て取ることができるように、実施例1による組成物の使用は、活性成分の優れた浸透特性を示した。
【0195】
(感覚評定)
実施例2による組成物を、Table 5(表5)に列挙する成分を混合することによって調製した。MEXORYL SCN(登録商標)のヒドロキシプロピルテトラヒドロピラントリオール製品は、NOVEAL社から入手した。Jaguar(登録商標) HP 120及びJaguar(登録商標) HSGというヒドロキシプロピルグアーガム製品は、Solvay社から入手した。WATER LILY PRO(登録商標)というセイヨウスイレン根抽出物製品は、LIPOID KOSMETIK社から入手した。Table 1(表1)に示す成分の量についての数値はすべて、活性原料の「質量%」に基づく。
【0196】
実施例2による組成物は、製造後、25℃において2カ月保った後でさえ安定であり、すなわち、相分離が観察されなかった。
【0197】
【表5】
【0198】
各実験について3つの毛束(1g、27cm)を調製した。毛束の各々を、清澄化シャンプーによって1回洗浄した。清澄化シャンプーの配合、下のTable 6(表6)に示す。シャンプー後、毛束を水ですすぎ、次いでタオルドライをした。各0.2gの実施例1及び2、並びに比較例7による組成物を各毛束上に適用し、次いで、毛束をブロー乾燥して、処置毛束を得た。
【0199】
【表6】
【0200】
処理毛束のべとつく感覚を、6人のパネリストが次の基準に準拠して評定した。ベンチマークとは、毛束自体、すなわち、いずれの組成物も適用しないものについての評定結果を意味する。
5:ベンチマークよりも遥かに高い
4:ベンチマークよりも高い
3:ベンチマークと同等
2:ベンチマークよりも低い
1:ベンチマークよりも遥かに低い
【0201】
このようにして得たスコアを平均した。結果をTable 7(表7)に示す。実施例1及び2による組成物は、パネリストによって、局所化粧用組成物として、特に毛髪、皮膚及び頭皮のための化粧用組成物として許容されると認められ、その一方、比較例7による組成物は、許容されるとは認められなかった。
【0202】
【表7】
【0203】
Table 7(表7)における結果から見て取ることができるように、実施例1及び2による組成物は、より良好なテクスチャ、すなわちよりべとついていないテクスチャを毛髪に付与することができた。
【0204】
そのため、本発明による組成物は、化粧用組成物、特に、ケラチン質物質のための化粧用局所組成物として、非常に好適であると結論付けることができる。特に、本発明による組成物は、よりべとついていないテクスチャと、活性成分のより良好な浸透特性とを呈するため、リーブオン局所化粧用組成物として非常に有用である。したがって、本発明による組成物は、ケラチン質物質、例えば皮膚及び/又は頭皮について、活性成分の局所送達のために非常に有用であると言うことができる。
【外国語明細書】