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特開2023-90306ヒアルロン酸系ポリイオンコンプレックス粒子及び界面活性剤を含む組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023090306
(43)【公開日】2023-06-29
(54)【発明の名称】ヒアルロン酸系ポリイオンコンプレックス粒子及び界面活性剤を含む組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/73 20060101AFI20230622BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20230622BHJP
   A61K 8/88 20060101ALI20230622BHJP
   A61K 8/65 20060101ALI20230622BHJP
   A61K 8/55 20060101ALI20230622BHJP
   A61K 8/41 20060101ALI20230622BHJP
   A61Q 1/00 20060101ALI20230622BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20230622BHJP
【FI】
A61K8/73
A61K8/81
A61K8/88
A61K8/65
A61K8/55
A61K8/41
A61Q1/00
A61Q19/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021205212
(22)【出願日】2021-12-17
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】島谷 満
(72)【発明者】
【氏名】大方 寛之
(72)【発明者】
【氏名】池田 侑市
(72)【発明者】
【氏名】水野 智子
(72)【発明者】
【氏名】五十島 健史
(72)【発明者】
【氏名】山本 麻理子
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA112
4C083AB051
4C083AC102
4C083AC112
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC352
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC531
4C083AC532
4C083AC642
4C083AC712
4C083AC812
4C083AC852
4C083AC901
4C083AC902
4C083AD071
4C083AD072
4C083AD092
4C083AD131
4C083AD262
4C083AD331
4C083AD332
4C083AD411
4C083AD431
4C083AD642
4C083BB01
4C083BB04
4C083BB24
4C083BB33
4C083BB34
4C083BB35
4C083CC03
4C083CC11
4C083DD12
4C083DD23
4C083DD31
4C083EE06
4C083EE07
(57)【要約】
【課題】持続的化粧効果及び/又は改善された保湿テクスチャを付与しながら、ヒアルロン酸をベースとする化粧効果を付与できる組成物を提供すること。
【解決手段】本発明は、(a)少なくとも1種のカチオン性ポリマー及び少なくとも1種のアニオン性ポリマー、少なくとも1種のカチオン性ポリマー及び少なくとも1種の両性ポリマー、少なくとも1種のアニオン性ポリマー及び少なくとも1種の両性ポリマー、又は少なくとも1種の両性ポリマー、並びに少なくとも1種の、2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸若しくはその塩、又は少なくとも1種の、2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基若しくはその塩を含む、少なくとも1種の粒子と、(b)少なくとも1種の界面活性剤と、(c)水とを含む、組成物であって、該アニオン性ポリマーが、ヒアルロン酸及びその誘導体から選択され、該両性ポリマーが、カチオン化ヒアルロン酸及びその塩から選択される、組成物を提供する。本発明による組成物は、ヒアルロン酸又はカチオン化ヒアルロン酸をベースとして、持続的化粧効果及び/又は改善した保湿テクスチャを付与することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)少なくとも1種のカチオン性ポリマー及び少なくとも1種のアニオン性ポリマー、
少なくとも1種のカチオン性ポリマー及び少なくとも1種の両性ポリマー、
少なくとも1種のアニオン性ポリマー及び少なくとも1種の両性ポリマー、又は
少なくとも1種の両性ポリマー、
並びに
少なくとも1種の、2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸若しくはその塩、又は
少なくとも1種の、2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基若しくはその塩
を含む、少なくとも1種の粒子と、
(b)少なくとも1種の界面活性剤と、
(c)水と
を含み、
前記アニオン性ポリマーが、ヒアルロン酸及びその誘導体から選択され、
前記両性ポリマーが、カチオン化ヒアルロン酸及びその塩から選択される、
組成物。
【請求項2】
前記カチオン化ヒアルロン酸が、少なくとも1つの第四級アンモニウム基含有基を有し、0.05~0.6、好ましくは0.1~0.5、より好ましくは0.15~0.4のカチオン化度を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記カチオン性ポリマーが、第一級、第二級又は第三級アミノ基、第四級アンモニウム基、グアニジン基、ビグアニド基、イミダゾール基、イミノ基及びピリジル基からなる群から選択される、少なくとも1つの正荷電性の及び/又は正荷電の部分を有する、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記カチオン性ポリマーが、アルキルジアリルアミンのシクロポリマー、及びジアルキルジアリルアンモニウムのシクロポリマー、例えば(コ)ポリジアリルジアルキルアンモニウムクロリド、(コ)ポリアミン、例えば(コ)ポリリジン、カチオン性(コ)ポリアミノ酸、例えばコラーゲン、カチオン性セルロースポリマー、並びにそれらの塩からなる群から選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物中の前記(a)粒子を形成するカチオン性及び/又はアニオン性及び/又は両性ポリマーの総量が、組成物の総質量に対して、0.01質量%~15質量%、好ましくは0.03質量%~10質量%、より好ましくは0.05質量%~5質量%である、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸又はその塩が、有機酸又はその塩、好ましくは親水性又は水溶性の有機酸又はその塩、より好ましくはフィチン酸又はその塩である、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物中の、2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸若しくはその塩、又は2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基若しくはその塩の量が、組成物の総質量に対して、0.001質量%~15質量%、好ましくは0.005質量%~10質量%、より好ましくは0.01質量%~5質量%である、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記(b)界面活性剤が、非イオン性界面活性剤、好ましくはポリグリセリル脂肪酸エステルから選択される、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物中の前記(b)界面活性剤の量が、組成物の総質量に対して、0.001質量%~20質量%、好ましくは0.01質量%~15質量%、より好ましくは0.1質量%~10質量%である、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物中の前記(c)水の量が、組成物の総質量に対して、10質量%~99質量%、好ましくは30質量%~97質量%、より好ましくは50質量%~95質量%である、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
pHが、2.0~9.0、好ましくは2.5~8.5、より好ましくは3.0~8.0である、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
(d)少なくとも1種の油を更に含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
基質、好ましくはケラチン物質上に、請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物を塗布する工程と、
前記組成物を乾燥させる工程と
を含む、皮膜、好ましくは化粧皮膜を調製する方法。
【請求項14】
基質、好ましくはケラチン物質上に、請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物を塗布する工程と、
前記組成物を乾燥させる工程と
を含む方法によって調製される、皮膜、好ましくは化粧皮膜。
【請求項15】
少なくとも1種のカチオン性ポリマー及び少なくとも1種のアニオン性ポリマー、
少なくとも1種のカチオン性ポリマー及び少なくとも1種の両性ポリマー、
少なくとも1種のアニオン性ポリマー及び少なくとも1種の両性ポリマー、又は
少なくとも1種の両性ポリマー;
少なくとも1種の、2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸若しくはその塩、又は
少なくとも1種の、2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基若しくはその塩;
少なくとも1種の界面活性剤、好ましくは非イオン性界面活性剤、より好ましくはポリグリセリル脂肪酸エステル;
並びに
任意選択で少なくとも1種の油
を含み、
前記アニオン性ポリマーが、ヒアルロン酸及びその誘導体から選択され;
前記両性ポリマーが、カチオン化ヒアルロン酸及びその塩から選択される、
皮膜、好ましくは化粧皮膜。
【請求項16】
ケラチン物質に、請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物を塗布する工程と、
前記組成物を乾燥させて、ケラチン物質上に化粧皮膜を形成する工程と
を含む、皮膚等のケラチン物質のための化粧方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリイオンコンプレックス粒子を含む組成物、及びポリイオンコンプレックス粒子の皮膜、並びにポリイオンコンプレックス粒子を使用して皮膜を調製する方法、及びポリイオンコンプレックス粒子を使用する化粧方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒアルロン酸は、皮膚内で見出される主たるグルコサミノグリカンである。そのため、線維芽細胞は、コラーゲン、コラーゲン以外のマトリックス糖タンパク質(フィブロネクチン、ラミニン)、プロテオグリカン及びエラスチンを主に合成する。ケラチン生成細胞は、それらの部分のために、硫酸化グリコサミノグリカン及びヒアルロン酸を主に合成する。ヒアルロン酸は、ヒアルロナン(HA)とも呼ばれる。
【0003】
ヒアルロン酸は、表皮内及び真皮内に遊離状態で存在し、皮膚の膨満状態を左右する。この多糖は、実際、その質量の1000倍までに相当する大きい体積の水を保持することができる。この意味で、ヒアルロン酸は、組織内に結合されている水の量の増加、更には皮膚の機械的性質、及びしわ形成においても、重要な役割を果たす。
【0004】
ヒアルロン酸は、その高い保湿効果に起因して、化粧成分として広く使用されてきた。
【0005】
しかしながら、ヒアルロン酸の水溶液はべたつき、このことが不快なテクスチャをもたらしうる。また、ヒアルロン酸の水溶液が皮膚上で乾燥するときに形成されるヒアルロン酸皮膜もべたつき、このような皮膜もまた、不快なテクスチャをもたらしうる。
【0006】
WO2021/125069は、カチオン性ポリマー、及びアニオン性ポリマーとしてのヒアルロン酸を有するポリイオンコンプレックス粒子を形成することによって、ヒアルロン酸に起因するべたつきを低減することを開示している。
【0007】
ヒアルロン酸系ポリイオンコンプレックス粒子を含むが、持続的化粧効果及び/又は改善された保湿テクスチャを付与することができる組成物に対して、次なる必要性が存在してきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】WO2021/125069
【特許文献2】欧州特許出願第0080976号
【特許文献3】仏国特許第2077143号
【特許文献4】仏国特許第2393573号
【特許文献5】仏国特許第1492597号
【特許文献6】米国特許第4131576号
【特許文献7】米国特許第3589578号
【特許文献8】米国特許第4031307号
【特許文献9】仏国特許第2162025号
【特許文献10】仏国特許第2280361号
【特許文献11】仏国特許第2252840号
【特許文献12】仏国特許第2368508号
【特許文献13】仏国特許第1583363号
【特許文献14】米国特許第3227615号
【特許文献15】米国特許第2961347号
【特許文献16】仏国特許第2080759号
【特許文献17】上記仏国特許の追加特許第2190406号
【特許文献18】仏国特許第2320330号
【特許文献19】仏国特許第2270846号
【特許文献20】仏国特許第2316271号
【特許文献21】仏国特許第2336434号
【特許文献22】仏国特許第2413907号
【特許文献23】米国特許第2273780号
【特許文献24】米国特許第2375853号
【特許文献25】米国特許第2388614号
【特許文献26】米国特許第2454547号
【特許文献27】米国特許第3206462号
【特許文献28】米国特許第2261002号
【特許文献29】米国特許第2271378号
【特許文献30】米国特許第3874870号
【特許文献31】米国特許第4001432号
【特許文献32】米国特許第3929990号
【特許文献33】米国特許第3966904号
【特許文献34】米国特許第4005193号
【特許文献35】米国特許第4025617号
【特許文献36】米国特許第4025627号
【特許文献37】米国特許第4025653号
【特許文献38】米国特許第4026945号
【特許文献39】米国特許第4027020号
【特許文献40】欧州特許出願第0122324号
【特許文献41】米国特許第2528378号
【特許文献42】米国特許第2781354号
【特許文献43】米国特許第4874554号
【特許文献44】米国特許第4137180号
【特許文献45】米国特許第A-5364633号
【特許文献46】米国特許第A-5411744号
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】CTFA辞典
【非特許文献2】「Hyaluronan fragments:an information-rich system」、R. Sternら、European Journal of Cell Biology、58 (2006)、699~715頁
【非特許文献3】D. Campocciaら、「Semisynthetic resorbable materials from hyaluronan esterification」、Biomaterials 19 (1998)、2101~2127頁
【非特許文献4】CTFA International Cosmetic Ingredient Dictionary & Handbook、第15版、2014年
【非特許文献5】CTFA辞典、第3版、1982年
【非特許文献6】CTFA辞典、第5版、1993年
【非特許文献7】「Handbook of Surfactants」、M.R.Porter、Blackie & Son出版(Glasgow及びLondon)、1991年、116~178頁
【非特許文献8】Walter Noll著、Chemistry and Technology of Silicones (1968)、Academic Press
【非特許文献9】Cosmetics and Toiletries、第91巻、76年1月、27~32頁、Todd & Byers、Volatile Silicone Fluids for Cosmetics
【非特許文献10】ASTM規格445付録C
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そのため、本発明の第1の目的は、持続的化粧効果及び/又は改善された保湿テクスチャを付与しながら、ヒアルロン酸をベースとする化粧効果を付与することが可能な組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の上記の目的は、
(a)少なくとも1種のカチオン性ポリマー及び少なくとも1種のアニオン性ポリマー、
少なくとも1種のカチオン性ポリマー及び少なくとも1種の両性ポリマー、
少なくとも1種のアニオン性ポリマー及び少なくとも1種の両性ポリマー、又は
少なくとも1種の両性ポリマー、
並びに
少なくとも1種の、2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸若しくはその塩、又は
少なくとも1種の、2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基若しくはその塩
を含む、少なくとも1種の粒子と、
(b)少なくとも1種の界面活性剤と、
(c)水と
を含み、
該アニオン性ポリマーが、ヒアルロン酸及びその誘導体から選択され、
該両性ポリマーが、カチオン化ヒアルロン酸及びその塩から選択される、
組成物によって達成することができる。
【0012】
カチオン化ヒアルロン酸は、少なくとも1つの第四級アンモニウム基含有基を有してもよく、0.05~0.6、好ましくは0.1~0.5、より好ましくは0.15~0.4のカチオン化度を有する。
【0013】
カチオン性ポリマーは、第一級、第二級若しくは第三級アミノ基、第四級アンモニウム基、グアニジン基、ビグアニド基、イミダゾール基、イミノ基及びピリジル基からなる群から選択される、少なくとも1つの正荷電性の及び/又は正荷電の部分を有してもよい。
【0014】
カチオン性ポリマーは、アルキルジアリルアミンのシクロポリマー、及びジアルキルジアリルアンモニウムのシクロポリマー、例えば(コ)ポリジアリルジアルキルアンモニウムクロリド、(コ)ポリアミン、例えば(コ)ポリリジン、カチオン性(コ)ポリアミノ酸、例えばコラーゲン、カチオン性セルロースポリマー、並びにそれらの塩からなる群から選択することができる。
【0015】
本発明による組成物中の(a)粒子を形成するカチオン性及び/又はアニオン性及び/又は両性ポリマーの総量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~15質量%、好ましくは0.03質量%~10質量%、より好ましくは0.05質量%~5質量%でもよい。
【0016】
2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸又はその塩は、有機酸又はその塩でもよく、好ましくは親水性若しくは水溶性の有機酸又はその塩でもよく、より好ましくはフィチン酸又はその塩でもよい。
【0017】
本発明による組成物中の、2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸若しくはその塩、又は2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基若しくはその塩の量は、組成物の総質量に対して、0.001質量%~15質量%、好ましくは0.005質量%~10質量%、より好ましくは0.01質量%~5質量%でもよい。
【0018】
(b)界面活性剤は、非イオン性界面活性剤、好ましくはポリグリセリル脂肪酸エステルから選択することができる。
【0019】
本発明による組成物中の(b)界面活性剤の量は、組成物の総質量に対して、0.001質量%~20質量%、好ましくは0.01質量%~15質量%、より好ましくは0.1質量%~10質量%でもよい。
【0020】
本発明による組成物中の(c)水の量は、組成物の総質量に対して、10質量%~99質量%、好ましくは30質量%~97質量%、より好ましくは50質量%~95質量%でもよい。
【0021】
本発明による組成物のpHは、2.0~9.0、好ましくは2.5~8.5、より好ましくは3.0~8.0でもよい。
【0022】
本発明による組成物は、(c)少なくとも1種の油を更に含んでよい。
【0023】
本発明の第2の目的は、持続的化粧効果及び/又は改善された保湿テクスチャを有するヒアルロン酸をベースとする皮膜が調製されうる方法を提供することである。
【0024】
本発明の上記の目的は、
基質、好ましくはケラチン物質上に、本発明による組成物を塗布する工程と、
該組成物を乾燥させる工程と
を含む、皮膜、好ましくは化粧皮膜を調製する方法によって達成することができる。
【0025】
本発明の第3の目的は、持続的化粧効果及び/又は改善された保湿テクスチャを有するヒアルロン酸をベースとする皮膜を提供することである。
【0026】
本発明の上記の目的は、
(1)基質、好ましくはケラチン物質上に、本発明による組成物を塗布する工程と、
該組成物を乾燥させる工程と
を含む方法によって調製される、皮膜、好ましくは化粧皮膜、
又は
(2)少なくとも1種のカチオン性ポリマー及び少なくとも1種のアニオン性ポリマー、
少なくとも1種のカチオン性ポリマー及び少なくとも1種の両性ポリマー、
少なくとも1種のアニオン性ポリマー及び少なくとも1種の両性ポリマー、若しくは
少なくとも1種の両性ポリマー;
少なくとも1種の、2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸若しくはその塩、若しくは
少なくとも1種の、2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基若しくはその塩;
少なくとも1種の界面活性剤、好ましくは非イオン性界面活性剤、より好ましくはポリグリセリル脂肪酸エステル;
並びに
任意選択で少なくとも1種の油
を含み、
該アニオン性ポリマーが、ヒアルロン酸及びその誘導体から選択され;
該両性ポリマーが、カチオン化ヒアルロン酸及びその塩から選択される、
皮膜、好ましくは化粧皮膜
によって達成することができる。
【0027】
本発明はまた、
ケラチン物質に、本発明による組成物を塗布する工程と、
該組成物を乾燥させて、ケラチン物質上に化粧皮膜を形成する工程と
を含む、皮膚等のケラチン物質のための化粧方法にも関する。
【発明を実施するための形態】
【0028】
鋭意検討の結果、発明者らは、持続的化粧効果及び/又は改善された保湿テクスチャを付与しながら、ヒアルロン酸をベースとする化粧効果を付与できる組成物を提供することが可能であることを発見した。そのため、本発明による組成物は、
(a)少なくとも1種のカチオン性ポリマー及び少なくとも1種のアニオン性ポリマー、
少なくとも1種のカチオン性ポリマー及び少なくとも1種の両性ポリマー、
少なくとも1種のアニオン性ポリマー及び少なくとも1種の両性ポリマー、又は
少なくとも1種の両性ポリマー、
並びに
少なくとも1種の、2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸若しくはその塩、又は
少なくとも1種の、2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基若しくはその塩
を含む、少なくとも1種の粒子と、
(b)少なくとも1種の界面活性剤と、
(c)水と
を含み、
該アニオン性ポリマーは、ヒアルロン酸及びその誘導体から選択され、
該両性ポリマーは、カチオン化ヒアルロン酸及びその塩から選択される。
【0029】
更に、発明者らは、持続的化粧効果及び/又は改善された保湿テクスチャを有するヒアルロン酸をベースとする皮膜を調製する方法を提供することが可能であることを発見した。そのため、本発明による方法は、
基質、好ましくはケラチン物質上に、本発明による組成物を塗布する工程と、
該組成物を乾燥させる工程と
を含む、皮膜、好ましくは化粧皮膜を調製する方法である。
【0030】
更に、発明者らは、持続的化粧効果及び/又は改善された保湿テクスチャを有する、ヒアルロン酸をベースとする皮膜を提供することが可能であることを発見した。そのため、本発明による皮膜は、
(1)基質、好ましくはケラチン物質上に、本発明による組成物を塗布する工程と、
該組成物を乾燥させる工程と
を含む方法によって調製される、皮膜、好ましくは化粧皮膜、
又は
(2)少なくとも1種のカチオン性ポリマー及び少なくとも1種のアニオン性ポリマー、
少なくとも1種のカチオン性ポリマー及び少なくとも1種の両性ポリマー、
少なくとも1種のアニオン性ポリマー及び少なくとも1種の両性ポリマー、若しくは
少なくとも1種の両性ポリマー;
少なくとも1種の、2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸若しくはその塩、若しくは
少なくとも1種の、2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基若しくはその塩;
少なくとも1種の界面活性剤、好ましくは非イオン性界面活性剤、より好ましくはポリグリセリル脂肪酸エステル;
並びに
任意選択で少なくとも1種の油
を含み、
該アニオン性ポリマーが、ヒアルロン酸及びその誘導体から選択され、
該両性ポリマーが、カチオン化ヒアルロン酸及びその塩から選択される、
皮膜、好ましくは化粧皮膜
である。
【0031】
本発明による組成物は、ヒアルロン酸若しくはカチオン化ヒアルロン酸をベースとする持続的化粧効果及び/又は改善した保湿テクスチャを付与することができる。
【0032】
本発明による組成物のべたつきは、ポリイオンコンプレックス粒子を形成しないヒアルロン酸を含む組成物と比べて、低減させることができる。
【0033】
該組成物を、基質、好ましくは皮膚及び毛髪等のケラチン物質、より好ましくは皮膚上に塗布し、該組成物を乾燥させることによって、皮膜が少なくとも1種の油を含むことができるポリイオンコンプレックスの皮膜を容易に調製することが可能である。
【0034】
本発明による皮膜のべたつきは、ポリイオンコンプレックスを形成しないヒアルロン酸の皮膜と比べて、低減させることができる。
【0035】
本発明による皮膜は多孔質でもよい。本発明による皮膜の表面は、平らでなくてもよく、粗くてもよい。
【0036】
本発明によるポリイオンコンプレックス皮膜は、多様な化粧機能を有することができる。例えば、ポリイオンコンプレックス皮膜は、ポリイオンコンプレックス中で、ヒアルロン酸又はカチオン化ヒアルロン酸をベースとする保湿効果を付与することができる。
【0037】
本発明による皮膜は、皮脂を捕捉することができ、皮膚等のケラチン物質の外観にマット感を付与することができ、悪臭を吸収する若しくは吸着することができ、及び/又は例えば汚れ若しくは汚染物質からケラチン物質を保護することができる。
【0038】
ポリイオンコンプレックスが少なくとも1種の油を含む場合、本発明による皮膜はまた、油に起因する化粧効果も有することができる。皮膜からの油の徐放を実現することもまた可能である。
【0039】
ポリイオンコンプレックス皮膜が、油以外の少なくとも1種の化粧有効成分を含む場合、該皮膜はまた、該化粧有効成分によって付与される化粧効果も有することができる。例えば、ポリイオンコンプレックス皮膜が、UV遮蔽剤、抗老化剤、皮脂抑制剤、デオドラント剤、発汗抑制剤、白色剤及びこれらの混合物から選択される少なくとも1種の化粧有効成分を含む場合、該皮膜は、UV線を遮蔽し、皮膚の老化を処置し、皮膚上の皮脂を吸収し、皮膚上の匂いを制御し、皮膚上の発汗を制御し、及び/又は皮膚を白色化することができる。
【0040】
本発明による皮膜は透明でもよく、したがって、該皮膜が比較的厚い場合でも、知覚しにくい場合がある。
【0041】
更に、本発明による皮膜は、耐水性であり、したがって、該皮膜は、ケラチン物質の表面が例えば汗及び雨に起因して濡れている場合でも、皮膚等のケラチン物質上に残存することができる。
【0042】
更に、本発明による皮膜は、アルカリ性条件下で、皮膚等のケラチン物質から容易に除去することができる。したがって、本発明による皮膜は、水で除去することは困難であるが、アルカリ性条件をもたらすことができる石けんで容易に除去することができる。
【0043】
そのため、本発明による皮膜が親水性又は水溶性のUV遮蔽剤を含む場合、本発明による皮膜は、水に耐性(防水性)であり長く持続しうるUV遮蔽効果を呈することができるが、アルカリ性条件をもたらすことができる石けんで容易に除去することができる。
【0044】
本明細書で以降、本発明による組成物、方法、皮膜等が、より詳細に説明されることになる。
【0045】
[ポリイオンコンプレックス粒子]
本発明による組成物は、ポリイオンコンプレックス粒子である(a)少なくとも1種の粒子を含む。2種以上の異なるタイプの(a)粒子を組み合わせて使用してもよい。そのため、単一のタイプの(a)粒子、又は異なるタイプの(a)粒子の組合せを使用することができる。
【0046】
ポリイオンコンプレックス粒子の径は、5nm~100μm、好ましくは100nm~50μm、より好ましくは200nm~40μm、更により好ましくは500nm~30μmでもよい。1μm未満の粒径は、動的光散乱法によって測定することができ、1μm超の粒径は、光学顕微鏡によって測定することができる。この粒径は、数平均直径に基づいてよい。
【0047】
本発明による組成物中の(a)粒子の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上でもよい。
【0048】
本発明による組成物中の(a)粒子の量は、組成物の総質量に対して、15質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下でもよい。
【0049】
本発明による組成物中の(a)粒子の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~15質量%、好ましくは0.05質量%~10質量%、より好ましくは0.1質量%~5質量%でもよい。
【0050】
本発明による組成物が以下に説明される(d)少なくとも1種の油を含む場合、複数の(a)粒子は、(c)水と(d)油との間の界面に存在することができる。そのため、(a)粒子は、エマルションを安定化することができる。例えば、(c)水が連続相を構成し、(d)油が分散相を構成する場合、(a)粒子は、いわゆるピッカリングエマルションに類似しうるO/Wエマルションを形成することができる。
【0051】
或いは、複数の(a)粒子は、中空を有するカプセルを形成することができる。(d)油は、中空内に存在することができる。換言すると、(d)油は、カプセル中に組み込まれうる。カプセルの壁は、(a)粒子から形成された連続層又は皮膜から構成されうる。理論に拘泥するつもりはないが、(a)粒子は、(c)水と(d)油との界面で再組織化して、(d)油を含むための中空を有するカプセルを自発的に形成することができると確信される。例えば、カプセル中の、(c)水で構成される連続相、及び(d)油で構成される分散相は、これもまたいわゆるピッカリングエマルションに類似しうるO/Wエマルションを形成することができる。
【0052】
上記は、(a)粒子自体が両親媒性であり、油又は水に不溶性であることを意味すると考えられる。
【0053】
(a)粒子は、少なくとも1種のポリマー又はポリマーの組合せを含む。具体的には、(a)粒子は、
(1)少なくとも1種のカチオン性ポリマー及び少なくとも1種のアニオン性ポリマー、
(2)少なくとも1種のカチオン性ポリマー及び少なくとも1種の両性ポリマー、
(3)少なくとも1種のアニオン性ポリマー及び少なくとも1種の両性ポリマー、又は
(4)少なくとも1種の両性ポリマー
を含む。
【0054】
カチオン性ポリマーのタイプに限定はない。2種以上の異なるタイプのカチオン性ポリマーを組み合わせて使用してもよい。そのため、単一のタイプのカチオン性ポリマー、又は異なるタイプのカチオン性ポリマーの組合せを使用することができる。
【0055】
上記(1)において、カチオン性ポリマー/アニオン性ポリマーの量、例えば化学当量の比は、0.05~18、好ましくは0.1~10、より好ましくは0.5~5.0でもよい。詳細には、カチオン性ポリマーのカチオン性基の数/アニオン性ポリマーのアニオン性基の数が、0.05~18、より好ましくは0.1~10、更により好ましくは0.5~5.0であることが好ましい場合がある。
【0056】
上記(2)において、カチオン性ポリマー/両性ポリマーの量、例えば化学当量の比は、0.05~18、好ましくは0.1~10、より好ましくは0.5~5.0でもよい。詳細には、カチオン性ポリマーのカチオン性基の数/両性ポリマーのカチオン性基とアニオン性基との数が、0.05~18、より好ましくは0.1~10、更により好ましくは0.5~5.0であることが好ましい場合がある。
【0057】
上記(3)において、アニオン性ポリマー/両性ポリマーの量、例えば化学当量の比は、0.05~18、好ましくは0.1~10、より好ましくは0.5~5.0でもよい。詳細には、アニオン性ポリマーのアニオン性基の数/両性ポリマーのカチオン性基とアニオン性基との数が、0.05~18、より好ましくは0.1~10、更により好ましくは0.5~5.0であることが好ましい場合がある。
【0058】
本発明による組成物中の上記(1)から(4)のいずれか1つによるポリマーの総量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.03質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上でもよい。
【0059】
本発明による組成物中の上記(1)から(4)のいずれか1つによるポリマーの総量は、組成物の総質量に対して、15質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下でもよい。
【0060】
本発明による組成物中の上記(1)から(4)のいずれか1つによるポリマーの総量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~15質量%、好ましくは0.03質量%~10質量%、より好ましくは0.05質量%~5質量%でもよい。
【0061】
(カチオン性ポリマー)
カチオン性ポリマーは、正電荷密度を有する。カチオン性ポリマーの電荷密度は、0.01meq/g~20meq/g、好ましくは0.05~15meq/g、より好ましくは0.1~10meq/gでもよい。
【0062】
カチオン性ポリマーの分子量が、500以上、好ましくは1000以上、より好ましくは2000以上、更により好ましくは3000以上であることが好ましい場合がある。
【0063】
説明中に別段の定義がない限り、「分子量」は数平均分子量を意味する。
【0064】
カチオン性ポリマーは、第一級、第二級又は第三級アミノ基、第四級アンモニウム基、グアニジン基、ビグアニド基、イミダゾール基、イミノ基及びピリジル基からなる群から選択される、少なくとも1つの正荷電性の及び/又は正荷電の部分を有してよい。用語(第一級)「アミノ基」は、本明細書では、-NH2基を意味する。
【0065】
カチオン性ポリマーは、ホモポリマーであってもコポリマーであってもよい。用語「コポリマー」は、2種類のモノマーから得たコポリマーと、2種類超のモノマーから得たコポリマー、例えば3種類のモノマーから得たターポリマーとの両方を意味すると理解される。
【0066】
カチオン性ポリマーは、天然の及び合成のカチオン性ポリマーから選択することができる。カチオン性ポリマーの非限定的な例は、以下の通りである。
【0067】
(1)アクリル酸又はメタクリル酸のエステル及びアミドに由来し、式:
【0068】
【化1】
【0069】
(式中:
R1及びR2は、同一であっても異なっていてもよく、水素、及び1~6個の炭素原子を含むアルキル基、例としてはメチル基及びエチル基から選ばれ、
R3は、同一であっても異なっていてもよく、水素及びCH3から選ばれ、
記号Aは、同一であっても異なっていてもよく、1~6個の炭素原子、例えば2~3個の炭素原子を含む直鎖状又は分枝状のアルキル基、及び1~4個の炭素原子を含むヒドロキシアルキル基から選ばれ、
R4、R5及びR6は、同一であっても異なっていてもよく、1~18個の炭素原子を含むアルキル基、及びベンジル基から選ばれ、少なくとも1つの実施形態では、1~6個の炭素原子を含むアルキル基であり、
Xは、無機酸又は有機酸に由来するアニオン、例えばメト硫酸アニオン及びハロゲン化物イオン、例としては塩化物イオン及び臭化物イオンである)
の単位から選ばれる少なくとも1つの単位を含むホモポリマー及びコポリマー。
【0070】
ファミリー(1)のコポリマーはまた、コモノマーに由来する少なくとも1つの単位も含んでよく、これは、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、窒素原子が(C1~C4)低級アルキル基で置換されているアクリルアミド及びメタクリルアミド、アクリル酸又はメタクリル酸及びそのエステルに由来する基、ビニルラクタム、例えばビニルピロリドン及びビニルカプロラクタム、並びにビニルエステルから選ぶことができる。
【0071】
ファミリー(1)のコポリマーの例には、以下が含まれるがこれらに限定されない:
アクリルアミドと、硫酸ジメチル又はハロゲン化ジメチルで四級化されたメタクリル酸ジメチルアミノエチルとのコポリマー、
アクリルアミドとメタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリドとのコポリマー、例えば欧州特許出願第0080976号に記載されているもの、
アクリルアミドとメタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムメトスルフェートとのコポリマー、
四級化又は非四級化ビニルピロリドン/アクリル酸又はメタクリル酸ジアルキルアミノアルキルコポリマー、例えば仏国特許第2077143号及び第2393573号に記載されているもの、
メタクリル酸ジメチルアミノエチル/ビニルカプロラクタム/ビニルピロリドンターポリマー、
ビニルピロリドン/メタクリルアミドプロピルジメチルアミンコポリマー、四級化ビニルピロリドン/ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドコポリマー、並びに
架橋メタクリロイルオキシ(C1~C4)アルキルトリ(C1~C4)アルキルアンモニウム塩ポリマー、例えば、塩化メチルで四級化されたメタクリル酸ジメチルアミノエチルの単独重合によって、又はアクリルアミドと、塩化メチルで四級化されたメタクリル酸ジメチルアミノエチルとの共重合によって、その単独重合又は共重合に続いて、オレフィン性不飽和を含有する化合物、例えばメチレンビスアクリルアミドで架橋することによって得られるポリマー。
【0072】
(2)カチオン性セルロースポリマー、例えば仏国特許第1492597号に記載されている、1つ又は複数の第四級アンモニウム基を含むセルロースエーテル誘導体等、例えばUnion Carbide Corporation社により名称「JR」(JR 400、JR 125、JR 30M)又は「LR」(LR 400、LR 30M)で販売されているポリマー。これらのポリマーはまた、CTFA辞典において、トリメチルアンモニウム基で置換されているエポキシドと反応したヒドロキシエチルセルロースの第四級アンモニウムとして定義されている。
【0073】
カチオン性セルロースポリマーが、少なくとも1つの第四級アンモニウム基、好ましくは第四級トリアルキルアンモニウム基、より好ましくは第四級トリメチルアンモニウム基を有することが好ましい。
【0074】
第四級アンモニウム基は、化学式(I):
【0075】
【化2】
【0076】
(式中、
R1及びR2のそれぞれは、C1~3アルキル基、好ましくはメチル基又はエチル基、より好ましくはメチル基を示し、
R3は、C1~24アルキル基、好ましくはメチル基又はエチル基、より好ましくはメチル基を示し、
X-は、アニオン、好ましくはハロゲン化物イオン、より好ましくは塩化物イオンを示し、
nは、0~30、好ましくは0~10、より好ましくは0の整数を示し、
R4は、C1~4アルキレン基、好ましくはエチレン基又はプロピレン基を示す)
で表すことができる第四級アンモニウム基含有基中に存在することができる。
【0077】
上記の化学式(I)中の最左のエーテル結合(-O-)は、多糖の糖環に結合することができる。
【0078】
第四級アンモニウム基含有基が、-O-CH2-CH(OH)-CH2-N+(CH3)3であることが好ましい。
【0079】
(3)カチオン性セルロースポリマー、第四級アンモニウムの水溶性モノマーでグラフトされており、例えば米国特許第4131576号に記載されているセルロースコポリマー及びセルロース誘導体等、例えばメタクリロイルエチルトリメチルアンモニウム塩、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩及びジメチルジアリルアンモニウム塩から選ばれる塩でグラフトされているヒドロキシアルキルセルロース、例としては、ヒドロキシメチル-、ヒドロキシエチル-及びヒドロキシプロピルセルロース等。
【0080】
これらのポリマーに相当する市販製品には、例えば、National Starch社により名称「Celquat(登録商標)L 200」及び「Celquat(登録商標)H 100」で販売されている製品が挙げられる。
【0081】
(4)非セルロース系カチオン性多糖、米国特許第3589578号及び第4031307号に記載されているもの、例えば、カチオン性トリアルキルアンモニウム基を含むグアーガム、カチオン性ヒアルロン酸及びデキストランヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド。塩で修飾されたグアーガム、例えば、2,3-エポキシプロピルトリメチルアンモニウムの塩化物で修飾されたグアーガム(グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド)もまた、使用することができる。
【0082】
このような製品は、例としては、MEYHALL社により商品名JAGUAR(登録商標)C13 S、JAGUAR(登録商標)C15、JAGUAR(登録商標)C17及びJAGUAR(登録商標)C162で販売されている。
【0083】
(5)ピペラジニル単位と、酸素、硫黄、窒素、芳香族環及び複素環式環から選ばれる少なくとも1つの要素で任意選択で割り込まれた直鎖又は分枝鎖を含む二価のアルキレン基又はヒドロキシアルキレン基とを含むポリマー、更にはこれらのポリマーの酸化及び/又は四級化生成物。このようなポリマーは、例えば仏国特許第2162025号及び第2280361号に記載されている。
【0084】
(6)例えば酸性化合物をポリアミンと重縮合させることによって調製される水溶性ポリアミノアミド;これらのポリアミノアミドは、エピハロヒドリン;ジエポキシド;二無水物;不飽和二無水物;ビス不飽和誘導体;ビスハロヒドリン;ビスアゼチジニウム;ビスハロアシルジアミン;ビスアルキルハロゲン化物;ビスハロヒドリン、ビスアゼチジニウム、ビスハロアシルジアミン、ビスアルキルハロゲン化物、エピハロヒドリン、ジエポキシド及びビス不飽和誘導体から選ばれる要素と反応性である二官能性化合物の反応から得られるオリゴマーから選ばれる要素で架橋されている場合があり;該架橋剤は、ポリアミノアミドのアミン基1つ当たり0.025~0.35molの範囲の量で使用され;これらのポリアミノアミドは、任意選択でアルキル化されているか、又はこれらが少なくとも1つの第三級アミン官能基を含む場合、それらは、四級化されていてもよい。このようなポリマーは、例えば仏国特許第2252840号及び第2368508号に記載されている。
【0085】
(7)ポリアルキレンポリアミンをポリカルボン酸と縮合させ、続いて二官能性作用剤でアルキル化することから得られるポリアミノアミド誘導体、例えば、メチル基、エチル基及びプロピル基等のようにアルキル基が1~4個の炭素原子を含み、エチレン基等のようにアルキレン基が1~4個の炭素原子を含む、アジピン酸/ジアルキルアミノヒドロキシアルキルジアルキレントリアミンポリマー。このようなポリマーは、例としては仏国特許第1583363号に記載されている。少なくとも1つの実施形態では、これらの誘導体は、アジピン酸/ジメチルアミノヒドロキシプロピルジエチレントリアミンポリマーから選ぶことができる。
【0086】
(8)2つの第一級アミン基及び少なくとも1つの第二級アミン基を含むポリアルキレンポリアミンを、ジグリコール酸、及び3~8個の炭素原子を含む飽和脂肪族ジカルボン酸から選ばれるジカルボン酸と反応させることによって得られるポリマー。ポリアルキレンポリアミンの、ジカルボン酸に対するモル比は、0.8:1~1.4:1の範囲でもよく、それから得られるポリアミノアミドを、エピクロロヒドリンと、エピクロロヒドリンの、ポリアミノアミドの第二級アミン基に対するモル比0.5:1~1.8:1の範囲で反応させる。このようなポリマーは、例えば、米国特許第3227615号及び第2961347号に記載されている。
【0087】
(9)アルキルジアリルアミンのシクロポリマー、及びジアルキルジアリル-アンモニウムのシクロポリマー、例えば、鎖の主要構成要素として、式(Ia)及び(Ib):
【0088】
【化3】
【0089】
[式中:
k及びtは、同一であっても異なっていてもよく、0又は1に等しく、和k+tは、1に等しく、
R12は、水素及びメチル基から選ばれ、
R10及びR11は、同一であっても異なっていてもよく、1~6個の炭素原子を含むアルキル基、アルキル基が例えば1~5個の炭素原子を含むヒドロキシアルキル基、及び低級(C1~C4)アミドアルキル基から選ばれ、又はR10及びR11は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、複素環式基、例えばピペリジニル及びモルホリニルを形成してもよく、
Y'は、アニオン、例えば臭化物イオン、塩化物イオン、酢酸イオン、ホウ酸イオン、クエン酸イオン、酒石酸イオン、硫酸水素イオン、亜硫酸水素イオン、硫酸イオン及びリン酸イオンである]
の単位から選ばれる少なくとも1つの単位を含む、ホモポリマー及びコポリマー。
これらのポリマーは、例えば仏国特許第2080759号及びその追加特許第2190406号に記載されている。
一実施形態では、R10及びR11は、同一であっても異なっていてもよく、1~4個の炭素原子を含むアルキル基から選ばれる。
【0090】
このようなポリマーの例には、(コ)ポリジアリルジアルキルアンモニウムクロリド、例えば、CALGON社により名称「MERQUAT(登録商標)100」で販売されているジメチルジアリルアンモニウムクロリドホモポリマー(及び低質量の平均分子量のその同族体)、並びに名称「MERQUAT(登録商標)550」で販売されているジアリルジメチルアンモニウムクロリドとアクリルアミドとのコポリマーが挙げられるがこれらに限定されない:
【0091】
式(II):
【0092】
【化4】
【0093】
[式中:
R13、R14、R15及びR16は、同一であっても異なっていてもよく、1~20個の炭素原子を含む脂肪族基、脂環式基及びアリール脂肪族基、並びに低級ヒドロキシアルキル脂肪族基から選ばれ、或いは、R13、R14、R15及びR16は、それらが結合している窒素原子と一緒になって又は別々に、窒素以外の第2のヘテロ原子を任意選択で含む複素環を形成してもよく、或いは、R13、R14、R15及びR16は、同一であっても異なっていてもよく、ニトリル基、エステル基、アシル基、アミド基、-CO-O-R17-E基及び-CO-NH-R17-E基(式中、R17は、アルキレン基であり、Eは、第四級アンモニウム基である)から選ばれる少なくとも1つの基で置換されている直鎖状又は分枝状C1~C6アルキル基から選ばれ、
A1及びB1は、同一であっても異なっていてもよく、2~20個の炭素原子を含むポリメチレン基から選ばれ、これは、直鎖状又は分枝状、飽和又は不飽和でもよく、且つこれは、芳香族環、酸素、硫黄、スルホキシド基、スルホン基、ジスルフィド基、アミノ基、アルキルアミノ基、ヒドロキシル基、第四級アンモニウム基、ウレイド基、アミド基及びエステル基から選ばれる少なくとも1つの要素を、主鎖中に、連結されて又は挿入されて含んでよく、
X-は、無機酸又は有機酸に由来するアニオンであり、
A1、R13及びR15は、それらが結合している2個の窒素原子と一緒になってピペラジン環を形成してもよく、
A1が、直鎖状又は分枝状の、飽和又は不飽和のアルキレン基又はヒドロキシアルキレン基から選ばれる場合、B1は、
-(CH2)n--CO-E'-OC-(CH2)n-
{式中、E'は、
a)式-O-Z-O-(式中、Zは、直鎖状又は分枝状の炭化水素系の基、及び式:
-(CH2-CH2-O)x-CH2-CH2-
-[CH2-CH(CH3)-O]y-CH2-CH(CH3)-
(式中、x及びyは、同一であっても異なっていてもよく、定義された独自の重合度を表す1~4の範囲の整数、及び平均重合度を表す1~4の範囲の数から選ばれる)の基から選ばれる)のグリコール残基、
b)ビス-第二級ジアミン残基、例えばピペラジン誘導体、
c)式-NH-Y-NH-(式中、Yは、直鎖状又は分枝状の炭化水素系の基及び二価基-CH2-CH2-S-S-CH2-CH2-から選ばれる)のビス-第一級ジアミン残基、並びに
d)式-NH-CO-NH-のウレイレン基
から選ばれる}
から選ばれてもよい]
の少なくとも1つの繰り返し単位を含む、第四級ジアンモニウムポリマー。
【0094】
少なくとも1つの実施形態では、X-は、アニオン、例えば塩化物イオン又は臭化物イオンである。
【0095】
このタイプのポリマーは、例えば、仏国特許第2320330号、第2270846号、第2316271号、第2336434号及び第2413907号、並びに米国特許第2273780号、第2375853号、第2388614号、第2454547号、第3206462号、第2261002号、第2271378号、第3874870号、第4001432号、第3929990号、第3966904号、第4005193号、第4025617号、第4025627号、第4025653号、第4026945号及び第4027020号に記載されている。
【0096】
このようなポリマーの非限定的な例には、式(III):
【0097】
【化5】
【0098】
(式中、
R13、R14、R15及びR16は、同一であっても異なっていてもよく、1~4個の炭素原子を含むアルキル基及びヒドロキシアルキル基から選ばれ、n及びpは、同一であっても異なっていてもよく、2~20の範囲の整数であり、X-は、無機又は有機酸に由来するアニオンである)
の、少なくとも1つの繰り返し単位を含むものが挙げられる。
【0099】
(11)式(IV):
【0100】
【化6】
【0101】
[式中:
R18、R19、R20及びR21は、同一であっても異なっていてもよく、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、β-ヒドロキシエチル基、β-ヒドロキシプロピル基、-CH2CH2(OCH2CH2)pOH基(式中、pは、0~6の範囲の整数から選ばれる)から選ばれ、但し条件としてR18、R19、R20及びR21が同時に水素であることはなく、
r及びsは、同一であっても異なっていてもよく、1~6の範囲の整数から選ばれ、
qは、0~34の範囲の整数から選ばれ、
X-は、アニオン、例えばハロゲン化物イオンであり、
Aは、ジハロゲン化物基及び-CH2-CH2-O-CH2-CH2-基から選ばれる]
の単位を含むポリ四級アンモニウムポリマー。
【0102】
このような化合物は、例としては欧州特許出願第0122324号に記載されている。
【0103】
(12)ビニルピロリドンとビニルイミダゾールとの第四級ポリマー。
好適なカチオン性ポリマーの他の例には、カチオン性タンパク質及びカチオン性タンパク質加水分解物、ポリアルキレンイミン、例えばポリエチレンイミン、ビニルピリジン単位及びビニルピリジニウム単位から選ばれる単位を含むポリマー、ポリアミンとエピクロロヒドリンとの縮合物、第四級ポリウレイレン、並びにキチン誘導体が挙げられるがこれらに限定されない。
【0104】
本発明の一実施形態によれば、少なくとも1種のカチオン性ポリマーは、第四級アンモニウム基を含むセルロースエーテル誘導体、例えば、UNION CARBIDE CORPORATION社により名称「JR 400」で販売されている製品、カチオン性シクロポリマー、例としてはCALGON社により名称MERQUAT(登録商標)100、MERQUAT(登録商標)550及びMERQUAT(登録商標)Sで販売されているジメチルジアリルアンモニウムクロリドのホモポリマー及びコポリマー、2,3-エポキシプロピルトリメチルアンモニウム塩で修飾されたグアーガム、並びにビニルピロリドンとビニルイミダゾールとの第四級ポリマーから選ばれる。
【0105】
(13)ポリアミン
カチオン性ポリマーとして、複数のアミノ基を有する、ホモポリマー又はコポリマーでもよい(コ)ポリアミンを使用することも可能である。アミノ基は、第一級、第二級、第三級又は第四級アミノ基でもよい。アミノ基は、(コ)ポリアミンのポリマー主鎖中に、又は存在する場合はペンダント基中に存在することができる。
【0106】
(コ)ポリアミンの例として、キトサン、(コ)ポリアリルアミン、(コ)ポリビニルアミン、(コ)ポリアニリン、(コ)ポリビニルイミダゾール、(コ)ポリジメチルアミノエチレンメタクリレート、(コ)ポリビニルピリジン、例えば(コ)ポリ-1-メチル-2-ビニルピリジン、(コ)ポリイミン、例えば(コ)ポリエチレンイミン、(コ)ポリピリジン、例えば(コ)ポリ(第四級ピリジン)、(コ)ポリビグアニド、例えば(コ)ポリアミノプロピルビグアニド、(コ)ポリリジン、(コ)ポリオルニチン、(コ)ポリアルギニン、(コ)ポリヒスチジン、アミノデキストラン、アミノセルロース、アミノ(コ)ポリビニルアセタール、及びこれらの塩を挙げることができる。
【0107】
(コ)ポリアミンとして、(コ)ポリリジンを使用することが好ましい。ポリリジンは周知である。ポリリジンは、細菌発酵によって生成されうるL-リジンの天然ホモポリマーであることができる。ポリリジンは、α-ポリリジン又はε-ポリリジンでもよい。例えば、ポリリジンは、ε-ポリリジン、例えば、食品中の天然保存料として典型的に使用されるε-ポリ-L-リジンであることができる。ポリリジンは、水、プロピレングリコール及びグリセロール等の極性溶媒に可溶である高分子電解質である。ポリリジンは、ポリD-リジン及びポリL-リジン等の多様な形態で市販されている。ポリリジンは、塩及び/又は溶液の形態にあることができる。
【0108】
(14)カチオン性ポリアミノ酸
カチオン性ポリマーとして、複数のアミノ基及びカルボキシル基を有する、カチオン性ホモポリマー又はコポリマーでもよいカチオン性ポリアミノ酸を使用することが可能でありうる。アミノ基は、第一級、第二級、第三級又は第四級アミノ基でもよい。アミノ基は、カチオン性ポリアミノ酸のポリマー主鎖中に、又は存在する場合はペンダント基中に存在することができる。カルボキシル基は、カチオン性ポリアミノ酸の、存在する場合はペンダント基中に存在することができる。
【0109】
カチオン性ポリアミノ酸の例として、カチオン化コラーゲン、カチオン化ゼラチン、ステアルジモニウムヒドロキシプロピル加水分解コムギタンパク、ココジモニウムヒドロキシプロピル加水分解コムギタンパク、ヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解コンキオリンタンパク、ステアルジモニウムヒドロキシプロピル加水分解ダイズタンパク、ヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解ダイズタンパク、ココジモニウムヒドロキシプロピル加水分解ダイズタンパク等を挙げることができる。
【0110】
以下の説明は、カチオン性ポリマーの好ましい実施形態に関する。
【0111】
カチオン性ポリマーがカチオン性デンプンから選択されることが好ましい場合がある。
【0112】
カチオン性デンプンの例として、2,3-エポキシプロピルトリメチルアンモニウム塩(例えば塩化物)で修飾されたデンプン、例えば、Ondeo社から名称SENSOMER Cl-50、又はIngredion社から名称Pencare(商標)DP 1015で販売されている、INCI名によりデンプンヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドとして知られる製品を挙げることができる。
【0113】
カチオン性ポリマーがカチオン性ガムから選択されることもまた好ましい場合がある。
【0114】
ガムは、例えば、カッシアガム、カラヤガム、コンニャクガム、トラガカントガム、タラガム、アカシアガム及びアラビアガムからなる群から選択することができる。
【0115】
カチオン性ガムの例には、カチオン性ポリガラクトマンナン誘導体、例えばグアーガム誘導体及びカッシアガム誘導体、例えばCTFA:グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、ヒドロキシプロピルグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド及びカッシアヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドが挙げられる。グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドは、Rhodia Inc.社からJaguar(商標)の商標名シリーズ、及びAshland Inc.社からN-Hanceの商標名シリーズで市販されている。カッシアヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドは、Lubrizol Advanced Materials, Inc.社からSensomer(商標)CT-250及びSensomer(商標)CT-400の商標名、又はAshland Inc.社からClearHance(商標)で市販されている。
【0116】
カチオン性ポリマーがキトサンから選択されることもまた好ましい場合がある。
【0117】
カチオン性ポリマーが、アルキルジアリルアミンのシクロポリマー、及びジアルキルジアリルアンモニウムのシクロポリマー、例えば(コ)ポリジアリルジアルキルアンモニウムクロリド、(コ)ポリアミン、例えば(コ)ポリリジン、カチオン性(コ)ポリアミノ酸、例えばカチオン化コラーゲン、カチオン性セルロースポリマー、並びにこれらの塩からなる群から選択されることが、より好ましい場合がある。
【0118】
カチオン性ポリマーが、ポリリジン、ポリクオタニウム-4、ポリクオタニウム-10、ポリクオタニウム-24、ポリクオタニウム-67、デンプンヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、カッシアヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、キトサン、及びこれらの混合物からなる群から選択されることが、更により好ましい場合がある。
【0119】
本発明による組成物中のカチオン性ポリマーの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.03質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上でもよい。
【0120】
本発明による組成物中のカチオン性ポリマーの量は、組成物の総質量に対して、15質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下でもよい。
【0121】
本発明による組成物中のカチオン性ポリマーの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~15質量%、好ましくは0.03質量%~10質量%、より好ましくは0.05質量%~5質量%でもよい。
【0122】
(アニオン性ポリマー)
アニオン性ポリマーは、正電荷密度を有する。アニオン性ポリマーの電荷密度は、アニオン性ポリマーが合成アニオン性ポリマーである場合、0.1meq/g~20meq/g、好ましくは1~15meq/g、より好ましくは4~10meq/gでもよく、アニオン性ポリマーが天然アニオン性ポリマーである場合、アニオン性ポリマーの平均置換度は、0.1~3.0、好ましくは0.2~2.7、より好ましくは0.3~2.5でもよい。
【0123】
アニオン性ポリマーの分子量が、300以上、好ましくは1,000以上、更により好ましくは5,000以上、更により好ましくは10,000以上、更により好ましくは50,000以上、更により好ましくは100,000以上、更により好ましくは1,000,000以上であることが、好ましい場合がある。
【0124】
説明において別段の定義がない限り、「分子量」は、数平均分子量を意味することができる。
【0125】
本発明によれば、アニオン性ポリマーは、ヒアルロン酸及びその誘導体から選択される。
【0126】
ヒアルロン酸は、化学式:
【0127】
【化7】
【0128】
によって表すことができる。
【0129】
本発明の文脈では、用語「ヒアルロン酸」は、具体的には、式:
【0130】
【化8】
【0131】
のヒアルロン酸の基本単位を包含する。
【0132】
これは、二糖ダイマー、すなわちD-グルクロン酸及びN-アセチルグルコサミンを含むヒアルロン酸の最小の画分である。
【0133】
用語「ヒアルロン酸及びその誘導体」はまた、本発明の文脈では、380から13,000,000ダルトンの間の範囲でありうる分子量(MW)を有する、交互β(1,4)及びβ(1,3)グルコシド結合を介して鎖内で一緒に結合される、上に記載したポリマー単位を含む直鎖状ポリマーも含む。この分子量は、主に、ヒアルロン酸が得られる供給源に、及び/又は調製方法に依存する。
【0134】
用語「ヒアルロン酸及びその誘導体」はまた、本発明の文脈では、ヒアルロン酸塩も含む。塩として、ナトリウム塩及びカリウム塩等のアルカリ金属塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0135】
自然状態では、ヒアルロン酸は、真皮及び上皮組織等の脊椎動物の臓器の結合組織の基体中の細胞周囲ゲル中に存在し、具体的には、表皮中、関節の滑液中、硝子体液中、ヒト臍帯中、及び鶏冠突起中に存在する。
【0136】
そのため、用語「ヒアルロン酸及びその誘導体」は、特に上で想起される分子量範囲内の分子量を有するヒアルロン酸の全画分又はサブ単位を含む。
【0137】
本発明の文脈では、炎症活性を有していないヒアルロン酸画分が、好ましくは使用される。
【0138】
多様なヒアルロン酸画分の例示を介して、ヒアルロン酸の列挙されている生物活性をその分子量に応じて概説している文献「Hyaluronan fragments: an information-rich system」、R. Sternら、European Journal of Cell Biology 58 (2006)、699~715頁を参照することができる。
【0139】
本発明の好ましい実施形態によれば、本発明に包含される使用に好適なヒアルロン酸画分は、50kDaから5,000kDaの間、特定すると100kDaから5,000kDaの間、とりわけ400kDaから5,000kDaの間の分子量を有する。この場合、使用される用語は、高分子量ヒアルロン酸である。
【0140】
或いは、本発明に包含される使用に好適でもありうるヒアルロン酸画分は、50kDaから400kDaの間の分子量を有する。この場合、使用される用語は、中間分子量ヒアルロン酸である。
【0141】
再び、或いは、本発明に包含される使用に好適でありうるヒアルロン酸画分は、50kDa未満の分子量を有する。この場合、使用される用語は、低分子量ヒアルロン酸である。
【0142】
2種以上のヒアルロン酸又はその塩の組合せ、例えば、高分子量ヒアルロン酸又はその塩と中間分子量ヒアルロン酸又はその塩との組合せ、高分子量ヒアルロン酸又はその塩と低分子量ヒアルロン酸又はその塩との組合せ、及び中間分子量ヒアルロン酸又はその塩と低分子量ヒアルロン酸又はその塩との組合せを使用することが、好ましい場合がある。
【0143】
最後に、用語「ヒアルロン酸及びその誘導体」はまた、ヒアルロン酸エステル、具体的には、1~20個の炭素原子を含有する、特にヒアルロン酸のD-グルクロン酸のレベルにおける置換度が0.5~50%の範囲である、酸官能基のカルボン酸基の全て又は一部がオキシエチレン化アルキル又はアルコールでエステル化されているものを含む。
【0144】
特に、ヒアルロン酸のメチル、エチル、n-プロピル、n-ペンチル、ベンジル及びドデシルエステルを挙げることができる。このようなエステルは、詳細には、D. Campocciaら、「Semisynthetic resorbable materials from hyaluronan esterification」、Biomaterials 19 (1998) 2101~2127頁に記載されている。
【0145】
ヒアルロン酸誘導体は、例えば、アセチル化ヒアルロン酸又はその塩でもよい。
【0146】
上に示した分子量はまた、ヒアルロン酸エステルにも有効である。
【0147】
ヒアルロン酸は、具体的には、Hyactive社により商品名CPN(MW:10~150kDa)で、Soliance社により商品名Cristalhyal(MW:1.1~1.4MDa)で、Bioland社により名称Nutra HA(MW:820,000Da)で、Bioland社により名称Nutra AF(MW:69,000Da)で、Bioland社により名称Oligo HA(MW:6100Da)で、或いはVam Farmacos Metica社により名称D Factor(MW:380Da)で供給されているヒアルロン酸でありうる。
【0148】
本発明による組成物中のアニオン性ポリマーの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.03質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上でもよい。
【0149】
本発明による組成物中のアニオン性ポリマーの量は、組成物の総質量に対して、15質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下でもよい。
【0150】
本発明による組成物中のアニオン性ポリマーの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~15質量%、好ましくは0.03質量%~10質量%、より好ましくは0.05質量%~5質量%でもよい。
【0151】
(両性ポリマー)
両性ポリマーは、正電荷密度と負電荷密度との両方を有する。
【0152】
両性ポリマーの正電荷密度は、0.01meq/g~20meq/g、好ましくは0.05~15meq/g、より好ましくは0.1~10meq/gでもよい。
【0153】
両性ポリマーの負電荷密度は、0.01meq/g~20meq/g、好ましくは0.05~15meq/g、より好ましくは0.1~10meq/gでもよい。
【0154】
両性ポリマーの分子量が、500以上、好ましくは1,000以上、より好ましくは10,000以上、更により好ましくは100,000以上であることが好ましい場合がある。
【0155】
両性ポリマーの分子量が、1,000,000以下、好ましくは900,000以下、より好ましくは800,000以下であることが好ましい場合がある。
【0156】
説明において別段の定義がない限り、「分子量」は、数平均分子量を意味することができる。
【0157】
本発明によれば、両性ポリマーは、カチオン化ヒアルロン酸及びその塩から選択される。
【0158】
カチオン化ヒアルロン酸は、その分子内に、少なくとも1つのカチオン性基、例えばアンモニウム基を含む。カチオン性基は、塩の対カチオンを示さず、その理由は、対カチオンがヒアルロン酸の分子内にないためである。
【0159】
塩として、ナトリウム塩等のアルカリ金属塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0160】
カチオン化ヒアルロン酸は、少なくとも1つの第四級アンモニウム基含有基を有してもよい。
【0161】
カチオン化ヒアルロン酸及び/又はその塩は、一般式(1):
【0162】
【化9】
【0163】
[式中、
R4~R9は、独立に、水素原子又は第四級アンモニウム基含有基(R4~R9の全てが水素原子を表すところの事例を除く)を表し、nは、2~5,000の整数を表す]
によって示される構造を有することができる。
【0164】
上記の一般式(1)中でR4~R9によって表される第四級アンモニウム基含有基の例には、一般式(2):
【0165】
【化10】
【0166】
(式中、
R1~R3は、独立に、炭化水素基を表し、X-は、一価のアニオンを表す)
によって示される基が挙げられる。
【0167】
上記の一般式(2)中でR1~R3によって表される炭化水素基の例には、直鎖状又は分枝状のアルキル基、不飽和炭化水素基及び芳香族炭化水素基が挙げられる。これらの中で、アルキル基が好ましい。アルキル基の例には、1~30個(好ましくは1~6個)の炭素原子を有するアルキル基が挙げられる。R1~R3によって表される炭化水素基が、1~3個の炭素原子を有するアルキル基であることが、より好ましい。
【0168】
上記の一般式(2)中でX-によって表される一価のアニオンの例には、ハロゲンイオン、例えばフッ素イオン、臭素イオン、塩素イオン及びヨウ素イオンが挙げられる。
【0169】
第四級アンモニウム基含有基は、第四級アンモニウム基含有基で、原材料(本明細書で以降、「原材料ヒアルロン酸及び/又はその塩」と称されうる)として使用されるヒアルロン酸及び/又はその塩中に含まれるカルボキシル基の水素原子を置き換えることによって導入することができる。この場合、第四級アンモニウム基含有基は、本実施形態によるカチオン化ヒアルロン酸及び/又はその塩中に含まれる(-C(-O)O-)基の酸素原子に結合される。第四級アンモニウム基含有基が本実施形態によるカチオン化ヒアルロン酸及び/又はその塩中に含まれる(-C(-O)O-)基の酸素原子に結合されているという事実は、核磁気共鳴(13C NMR)スペクトルの化学シフトを分析することにより決定される、第四級アンモニウム基含有基が酸素原子を介して結合されている-C(-O)O-基の炭素原子に起因するピークの存在によって確認することができる。
【0170】
具体的には、第四級アンモニウム基含有基は、原材料ヒアルロン酸並びに/又はその塩のカルボキシル基(及び/若しくはヒドロキシル基)を、第四級アンモニウム基を含有するカチオン化剤と反応させることによって得ることができる。カチオン化剤が、以下の一般式(3)に示される2,3-エポキシプロピルトリアルキルアンモニウムハロゲン化物、及び以下の一般式(4)に示される3-ハロゲノ-2-ヒドロキシプロピルトリアルキルアンモニウムハロゲン化物:
【0171】
【化11】
【0172】
(式中、
R1~R3は、一般式(2)について定義したものと同じであり、Xはハロゲン原子を表す)
【0173】
【化12】
【0174】
(式中、
R1~R3は、一般式(2)について定義したものと同じであり、X及びYは、独立に、ハロゲン原子を表す)
のうちの少なくとも1種であることが好ましい。原材料ヒアルロン酸及び/又はその塩の、カチオン化剤との反応は、本明細書で以降、製造方法において記載される。
【0175】
上記の一般式(3)及び(4)中でX及びYによって表されるハロゲン原子の例には、フッ素原子、臭素原子、塩素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
【0176】
カチオン化ヒアルロン酸は、少なくとも1つの第四級アンモニウム基含有基を有してもよく、0.05~0.6、好ましくは0.1~0.5、より好ましくは0.15~0.4のカチオン化度を有する。
【0177】
本実施形態によるカチオン化ヒアルロン酸及び/又はその塩のカチオン化度(すなわち、第四級アンモニウム基含有基での置換度)は、原材料ヒアルロン酸ナトリウムの窒素含有量、及びカチオン化ヒアルロン酸の窒素含有量を、セミミクロケルダール法によって算出し、窒素含有量の増加に基づく以下の数式によりカチオン化度を算出することによって決定することができる。
【0178】
原材料ヒアルロン酸ナトリウムの窒素含有量をNN(%)と称し、 (x)のカチオン化度を有するカチオン化ヒアルロン酸の窒素含有量をNS(%)と称する場合、窒素含有量の増加(NS-NN)とカチオン化度(x)との間の関係は、数式:
NS-NN(%)
=[14x/(カチオン化ヒアルロン酸の二糖類単位の分子量)]×100
=[14x/(原材料ヒアルロン酸ナトリウムの二糖類単位の分子量)+129.5x]×100
=[14x/(401.3+129.5x)]×100
によって示される。
【0179】
したがって、カチオン化度(すなわち、第四級アンモニウム基含有基での置換度)は、以下の数式により算出することができる:
カチオン化度(x)=[(NS-NN)×401.3]/[1400-129.5*(NS-NN)]
【0180】
原材料ヒアルロン酸が未知である場合のカチオン化ヒアルロン酸のカチオン化度は、原材料ヒアルロン酸ナトリウムが、99%以上の純度を有するヒアルロン酸ナトリウムであるという仮定において、上記の数式により算出することができる。
【0181】
ヒアルロン酸中の1%以上、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上の、及び/又は50%以下、好ましくは40%以下、より好ましくは30%以下のアニオン性基が、カチオン性基で、好ましくは第四級アンモニウム基含有基で、より好ましくは上記の一般式(2)によって表される第四級アンモニウム基含有基で置き換えられることが可能である。
【0182】
カチオン化ヒアルロン酸として、日本のキユーピー株式会社によるHyaloveil及びHyaloveul-MPFとして市販されているヒアルロン酸ヒドロキシプロピルトリモニウムを挙げることができる。
【0183】
本発明による組成物中の両性ポリマーの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.03質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上でもよい。
【0184】
本発明による組成物中の両性ポリマーの量は、組成物の総質量に対して、15質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下でもよい。
【0185】
本発明による組成物中の両性ポリマーの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~15質量%、好ましくは0.03質量%~10質量%、より好ましくは0.05質量%~5質量%でもよい。
【0186】
(2つ以上の酸解離定数を有する非ポリマー酸)
本発明による組成物は、少なくとも1種の、2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸又はその塩、すなわち、少なくとも1種の、2つ以上の酸解離定数を有する非ポリマー酸又はその塩を含むことができる。pKa値(酸解離定数)は、当業者に周知であり、25℃等の恒温にて決定されるべきである。
【0187】
2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸又はその塩は、(a)粒子中に組み入れることができる。2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸は、架橋剤、具体的にはカチオン性ポリマー及び/又は両性ポリマーのためのアニオン性架橋剤として機能することができる。
【0188】
2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸又はその塩が、カチオン性ポリマー及びアニオン性ポリマーと共に使用されることが好ましい。
【0189】
用語「非ポリマー」は、本明細書では、酸が、2種以上のモノマーを重合させることによって得られるものではないことを意味する。したがって、非ポリマー酸は、ポリカルボン酸等の2種以上のモノマーを重合することによって得られる酸には相当しない。
【0190】
2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸又はその塩の分子量が、1000以下、好ましくは800以下、より好ましくは700以下であることが好ましい。
【0191】
2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸又はその塩のタイプに限定はない。2つ以上のpKa値を有する2種以上の異なるタイプの非ポリマー酸又はその塩を組み合わせて使用してよい。そのため、2つ以上のpKa値を有する単一のタイプの非ポリマー酸若しくはその塩、又は2つ以上のpKa値を有する異なるタイプの非ポリマー酸若しくはその塩の組合せを使用することができる。
【0192】
用語「塩」は、本明細書では、2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸に、好適な塩基を添加することによって形成される塩を意味し、これは、当業者に既知の方法に従って、2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸を、塩基と反応させることから得ることができる。塩として、金属塩、例えば、Na及びK等のアルカリ金属との塩、並びにMg及びCa等のアルカリ土類金属との塩、並びにアンモニウム塩を挙げることができる。
【0193】
2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸又はその塩は、有機酸又はその塩、好ましくは親水性又は水溶性の有機酸又はその塩でもよい。
【0194】
2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸は、カルボン酸基、硫酸基、スルホン酸基、リン酸基、ホスホン酸基、フェノール性ヒドロキシル基、及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも2つの酸基を有しうる。
【0195】
2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸は、非ポリマー多価酸でもよい。
【0196】
2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸は、ジカルボン酸、ジスルホン酸及び二リン酸、並びにこれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0197】
2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸又はその塩は、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、クエン酸、アコニット酸、オキサロ酢酸、酒石酸、及びそれらの塩;アスパラギン酸、グルタミン酸、及びそれらの塩;テレフタリリデンジカンファースルホン酸又はその塩(メギゾリルSX)、ベンゾフェノン-9;フィチン酸及びその塩;赤色2号(アマランス)、赤色102号(ニューコクシン)、黄色5号(タルトラジン)、黄色6号(サンセットイエローFCF)、緑色3号(ファストグリーンFCF)、青色1号(ブリリアントブルーFCF)、青色2号(インジゴカルミン)、赤色201号(リソールルビンB)、赤色202号(リソールルビンBCA)、赤色204号(レーキレッドCBA)、赤色206号(リソールレッドCA)、赤色207号(リソールレッドBA)、赤色208号(リソールレッドSR)、赤色219号(ブリリアントレーキレッドR)、赤色220号(ディープマルーン)、赤色227号(ファストアシッドマジェンタ)、黄色203号(キノリンイエローWS)、緑色201号(アリザニンシアニングリーンF)、緑色204号(ピラニンコンク)、緑色205号(ライトグリーンSF黄)、青色203号(パテントブルーCA)、青色205号(アルファズリンFG)、赤色401号(ビオラミンR)、赤色405号(パーマネントレッドF5R)、赤色502号(ポンソー3R)、赤色503号(ポンソーR)、赤色504号(ポンソーSX)、緑色401号(ナフトールグリーンB)、緑色402号(ギネアグリーンB)及び黒色401号(ナフトールブルーブラック);葉酸、アスコルビン酸、エリソルビン酸、及びそれらの塩;シスチン及びその塩;EDTA及びその塩;グリチルリチン及びその塩;並びにこれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0198】
2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸又はその塩が、テレフタリリデンジカンファースルホン酸及びその塩(メギゾリルSX)、黄色6号(サンセットイエローFCF)、アスコルビン酸、フィチン酸、及びそれらの塩、並びにこれらの混合物からなる群から選択されることが、好ましい場合がある。
【0199】
本発明による組成物中の2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸又はその塩の量は、組成物の総質量に対して、0.001質量%以上、好ましくは0.005質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上でもよい。
【0200】
本発明による組成物中の2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸又はその塩の量は、組成物の総質量に対して、15質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下でもよい。
【0201】
本発明による組成物中の2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸又はその塩の量は、組成物の総質量に対して、0.001質量%~15質量%、好ましくは0.005質量%~10質量%、より好ましくは0.01質量%~5質量%でもよい。
【0202】
(2つ以上の塩基解離定数を有する非ポリマー塩基)
本発明による組成物は、少なくとも1種の、2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基又はその塩、すなわち、少なくとも1種の、2つ以上の塩基解離定数を有する非ポリマー塩基又はその塩を含んでよい。pKb値(塩基解離定数)は当業者に周知であり、25℃等の恒温にて決定されるべきである。
【0203】
2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基又はその塩は、(a)粒子中に組み入れることができる。2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基は、架橋剤、具体的にはアニオン性ポリマー及び/又は両性ポリマーのためのカチオン性架橋剤として機能することができる。
【0204】
2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基又はその塩が、カチオン性ポリマー及びアニオン性ポリマーと共に使用されることが好ましい。
【0205】
用語「非ポリマー」は、本明細書では、塩基が、2種以上のモノマーを重合させることによって得られるものではないことを意味する。したがって、非ポリマー塩基は、ポリアリルアミン等の2種以上のモノマーを重合させることによって得られる塩基には相当しない。
【0206】
2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基又はその塩の分子量が、1000以下、好ましくは800以下、より好ましくは700以下であることが好ましい。
【0207】
2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基又はその塩のタイプに限定はない。2つ以上のpKb値を有する2種以上の異なるタイプの非ポリマー塩基又はその塩を組み合わせて使用してもよい。そのため、2つ以上のpKb値を有する単一のタイプの非ポリマー塩基若しくはその塩、又は2つ以上のpKb値を有する異なるタイプの非ポリマー塩基若しくはその塩の組合せを使用することができる。
【0208】
用語「塩」は、本明細書では、2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基に、好適な酸を添加することによって形成される塩を意味し、これは、当業者に既知の方法に従って、2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基を、酸と反応させることから得ることができる。塩として、アンモニウム塩、例えば、HCl及びHNO3等の無機酸との塩、並びにカルボン酸及びスルホン酸等の有機酸との塩を挙げることができる。
【0209】
2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基又はその塩は、有機塩基又はその塩、好ましくは親水性若しくは水溶性の有機塩基又はその塩でもよい。
【0210】
2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基は、アミノ基、グアニジン基、ビグアニド基、イミダゾール基、イミノ基、ピリジル基、及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも2つの塩基性基を有しうる。
【0211】
2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基は、非ポリマージアミン、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ペンタンジアミン、ヘキサンジアミン、尿素及びその誘導体、並びにグアニジン及びその誘導体、非ポリマーポリアミン、例えばスペルミン及びスペルミジン、塩基性アミノ酸、並びにこれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0212】
2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基又はその塩は、アルギニン、リジン、ヒスチジン、システイン、シスチン、チロシン、トリプトファン、オルニチン、及びこれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0213】
2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基又はその塩が、アルギニン、リジン、ヒスチジン、及びこれらの混合物からなる群から選択されることが好ましい場合がある。
【0214】
本発明による組成物中の2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基又はその塩の量は、組成物の総質量に対して、0.001質量%以上、好ましくは0.005質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上でもよい。
【0215】
本発明による組成物中の2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基又はその塩の量は、組成物の総質量に対して、15質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下でもよい。
【0216】
本発明による組成物中の2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基又はその塩の量は、組成物の総質量に対して、0.001質量%~15質量%、好ましくは0.005質量%~10質量%、より好ましくは0.01質量%~5質量%でもよい。
【0217】
[界面活性剤]
本発明による組成物は、(b)少なくとも1種の界面活性剤を含む。2種以上の界面活性剤を組み合わせて使用してもよい。そのため、単一のタイプの界面活性剤、又は異なるタイプの界面活性剤の組合せを使用することができる。
【0218】
本発明において使用される界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤からなる群から選択することができる。
【0219】
(アニオン性界面活性剤)
本発明による組成物は、少なくとも1種のアニオン性界面活性剤を含んでよい。2種以上のアニオン性界面活性剤を組み合わせて使用してよい。
【0220】
アニオン性界面活性剤が、(C6~C30)アルキル硫酸塩、(C6~C30)アルキルエーテル硫酸塩、(C6~C30)アルキルアミドエーテル硫酸塩、アルキルアリールポリエーテル硫酸塩、モノグリセリド硫酸塩;(C6~C30)アルキルスルホン酸塩、(C6~C30)アルキルアミドスルホン酸塩、(C6~C30)アルキルアリールスルホン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、パラフィンスルホン酸塩;(C6~C30)アルキルリン酸塩;(C6~C30)アルキルスルホコハク酸塩、(C6~C30)アルキルエーテルスルホコハク酸塩、(C6~C30)アルキルアミドスルホコハク酸塩;(C6~C30)アルキルスルホ酢酸塩;(C6~C24)アシルサルコシン酸塩;(C6~C24)アシルグルタミン酸塩;(C6~C30)アルキルポリグリコシドカルボキシルエーテル;(C6~C30)アルキルポリグリコシドスルホコハク酸塩;(C6~C30)アルキルスルホコハク酸塩;(C6~C24)アシルイセチオン酸塩;N-(C6~C24)アシルタウリン酸塩;C6~C30脂肪酸塩;ヤシ油酸塩又は水添ヤシ油酸塩;(C8~C20)アシル乳酸塩;(C6~C30)アルキル-D-ガラクトシドウロン酸塩;ポリオキシアルキレン化(C6~C30)アルキルエーテルカルボン酸塩;ポリオキシアルキレン化(C6~C30)アルキルアリールエーテルカルボン酸塩;及びポリオキシアルキレン化(C6~C30)アルキルアミドエーテルカルボン酸塩;並びに対応する酸の形態からなる群から選択されることが好ましい。
【0221】
少なくとも1つの実施形態では、アニオン性界面活性剤は、塩の形態にあり、例えば、アルカリ金属の塩、例としてはナトリウムの塩;アルカリ土類金属の塩、例としてはマグネシウムの塩;アンモニウム塩;アミン塩;及びアミノアルコール塩である。条件に応じて、アニオン性界面活性剤は酸の形態でもよい。
【0222】
アニオン性界面活性剤が、(C6~C30)アルキル硫酸塩、(C6~C30)アルキルエーテル硫酸塩、又は塩化されている若しくは塩化されていないポリオキシアルキレン化(C6~C30)アルキルエーテルカルボン酸の各塩から選択されることが、より好ましい。
【0223】
(両性界面活性剤)
本発明による組成物は、少なくとも1種の両性界面活性剤を含んでよい。2種以上の両性界面活性剤を組み合わせて使用してよい。
【0224】
両性又は双性イオン性界面活性剤は、例えば(非限定的な一覧)、アミン誘導体、例えば脂肪族の第二級又は第三級アミン、及び任意選択で四級化されているアミン誘導体とすることができ、そこで脂肪族基は、8~22個の炭素原子を含み、少なくとも1つの水可溶化アニオン性基(例えば、カルボキシレート、スルホネート、スルフェート、ホスフェート又はホスホネート)を含む、直鎖又は分枝鎖である。
【0225】
両性界面活性剤は、好ましくは、ベタイン及びアミドアミンカルボキシル化誘導体からなる群から選択することができる。
【0226】
両性界面活性剤が、ベタインタイプの界面活性剤から選択されることが好ましい。
【0227】
ベタインタイプ両性界面活性剤は、好ましくは、アルキルベタイン、アルキルアミドアルキルベタイン、スルホベタイン、ホスホベタイン及びアルキルアミドアルキルスルホベタイン、具体的には、(C8~C24)アルキルベタイン、(C8~C24)アルキルアミド(C1~C8)アルキルベタイン、スルホベタイン及び(C8~C24)アルキルアミド(C1~C8)アルキルスルホベタインからなる群から選択される。一実施形態では、ベタインタイプの両性界面活性剤は、(C8~C24)アルキルベタイン、(C8~C24)アルキルアミド(C1~C8)アルキルスルホベタイン、スルホベタイン及びホスホベタインから選ばれる。
【0228】
挙げることができる非限定的な例には、CTFA International Cosmetic Ingredient Dictionary & Handbook、第15版、2014年で、単独で又は混合物として、名称ココベタイン、ラウリルベタイン、セチルベタイン、ココ/オレアミドプロピルベタイン、コカミドプロピルベタイン、パルミタミドプロピルベタイン、ステアラミドプロピルベタイン、コカミドエチルベタイン、コカミドプロピルヒドロキシスルタイン、オレアミドプロピルヒドロキシスルタイン、ココヒドロキシスルタイン、ラウリルヒドロキシスルタイン及びココスルタインで分類されている化合物が挙げられる。
【0229】
ベタインタイプ両性界面活性剤は、好ましくは、アルキルベタイン及びアルキルアミドアルキルベタイン、具体的にはココベタイン及びコカミドプロピルベタインである。
【0230】
アミドアミンカルボキシル化誘導体の中で、名称Miranolで販売されている、米国特許第2528378号及び第2781354号に記載され、CTFA辞典、第3版、1982年(その開示は参照により本明細書に組み込まれる)において名称アンホカルボキシグリシネート及びアンホカルボキシプロピオネートで分類されている製品を挙げることができ、これは、それぞれの構造:
R1-CONHCH2CH2-N+(R2)(R3)(CH2COO-)M+X- (B1)
[式中、
R1は、加水分解ヤシ油中に存在する酸R1-COOHのアルキル基、ヘプチル基、ノニル基又はウンデシル基を示し、
R2は、ベータ-ヒドロキシエチル基を示し、
R3は、カルボキシメチル基を示し、
M+は、ナトリウム等のアルカリ金属に由来するカチオン性イオン;アンモニウムイオン;又は有機アミンに由来するイオンを示し、
X-は、有機若しくは無機アニオン性イオン、例えばハロゲン化物イオン、酢酸イオン、リン酸イオン、硝酸イオン、アルキル(C1~C4)硫酸イオン、アルキル(C1~C4)-若しくはアルキル(C1~C4)アリールスルホン酸イオン、特にメチル硫酸イオン及びエチル硫酸イオンを示し;又はM+及びX-は、存在しない]
R1'-CONHCH2CH2-N(B)(C) (B2)
[式中、
R1'は、ヤシ油中若しくは加水分解亜麻仁油中に存在する酸R1'-COOHのアルキル基、C7、C9、C11若しくはC13アルキル基、C17アルキル基及びそのイソ型等のアルキル基、又は不飽和C17基を示し、
Bは、-CH2CH2OX'を表し、
Cは、-(CH2)z-Y'(式中、z=1又は2)を表し、
X'は、-CH2-COOH基、-CH2-COOZ'、-CH2CH2-COOH、-CH2CH2-COOZ'、又は水素原子を示し、
Y'は、-COOH、-COOZ'、-CH2-CHOH-SO3Z'、-CH2-CHOH-SO3H基又はCH2-CH(OH)-SO3-Z'基を示し、
これらの式中、Z'は、ナトリウムイオン等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属のイオン、及び有機アミンに由来するイオン、又はアンモニウムイオンを表す]
並びに
Ra''-NH-CH(Y'')-(CH2)n-C(O)-NH-(CH2)n'-N(Rd)(Re) (B'2)
[式中、
Y''は、-C(O)OH、-C(O)OZ''、-CH2-CH(OH)-SO3H又は-CH2-CH(OH)-SO3-Z''(式中、Z''は、ナトリウムイオン等のアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属に由来するカチオン性イオン、有機アミンに由来するイオン、又はアンモニウムイオンを示す)を示し、
Rd及びReは、C1~C4アルキル基又はC1~C4ヒドロキシアルキル基を示し、
Ra''は、酸からのC10~C30のアルキル基又はアルケニル基を示し、
n及びn'は、独立に、1~3の整数を示す]
を有する。
【0231】
式B1及びB2を有する両性界面活性剤が、(C8~C24)-アルキルアンホモノアセテート、(C8~C24)アルキルアンホジアセテート、(C8~C24)アルキルアンホモノプロピオネート及び(C8~C24)アルキルアンホジプロピオネートから選択されることが好ましい。
【0232】
これらの化合物は、CTFA辞典、第5版、1993年において、名称ココアンホ二酢酸二ナトリウム、ラウロアンホ二酢酸二ナトリウム、カプリルアンホ二酢酸二ナトリウム、カプリロアンホ二酢酸二ナトリウム、ココアンホジプロピオン酸二ナトリウム、ラウロアンホプロピオン酸二ナトリウム、カプリルアンホジプロピオン酸二ナトリウム、ラウロアンホジプロピオン酸及びココアンホジプロピオン酸で分類されている。
【0233】
例として、Rhodia Chimie社により商標名Miranol(登録商標)C2M concentrateで販売されているココアンホジアセテートを挙げることができる。
【0234】
式(B'2)の化合物の中で、CHIMEX社により呼称CHIMEXANE HBで市販されているジエチルアミノプロピルココアスパルタミドナトリウム(CTFA)を挙げることができる。
【0235】
(カチオン性界面活性剤)
本発明による組成物は、少なくとも1種のカチオン性界面活性剤を含んでよい。2種以上のカチオン性界面活性剤を組み合わせて使用してよい。
【0236】
カチオン性界面活性剤は、任意選択でポリオキシアルキレン化された第一級、第二級又は第三級脂肪アミン塩、第四級アンモニウム塩、及びこれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0237】
挙げることができる第四級アンモニウム塩の例には、以下のものが含まれるが、これらに限定されない:
以下の一般式(B3)のもの:
【0238】
【化13】
【0239】
[式中、
R1、R2、R3及びR4は、同一であっても異なっていてもよく、1~30個の炭素原子を含み、任意選択で酸素、窒素、硫黄及びハロゲン等のヘテロ原子を含む、直鎖状及び分枝状の脂肪族基から選ばれる。脂肪族基は、例えば、アルキル基、アルコキシ基、C2~C6ポリオキシアルキレン基、アルキルアミド基、(C12~C22)アルキルアミド(C2~C6)アルキル基、(C12~C22)アルキルアセテート基及びヒドロキシアルキル基;並びに芳香族基、例えばアリール及びアルキルアリールから選ぶことができ;X-は、ハロゲン化物イオン、リン酸イオン、酢酸イオン、乳酸イオン、(C2~C6)アルキル硫酸イオン、及びアルキルスルホン酸イオン又はアルキルアリールスルホン酸イオンから選ばれる];
イミダゾリンの第四級アンモニウム塩、例としては次式(B4)のもの:
【0240】
【化14】
【0241】
(式中:
R5は、8~30個の炭素原子を含むアルケニル基及びアルキル基、例えば獣脂の又はヤシの脂肪酸誘導体から選ばれ、
R6は、水素、C1~C4アルキル基、並びに8~30個の炭素原子を含むアルケニル基及びアルキル基から選ばれ;
R7は、C1~C4アルキル基から選ばれ、
R8は、水素及びC1~C4アルキル基から選ばれ、
X-は、ハロゲン化物イオン、リン酸イオン、酢酸イオン、乳酸イオン、アルキル硫酸イオン、アルキルスルホン酸イオン及びアルキルアリールスルホン酸イオンから選ばれる)
一実施形態では、R5及びR6は、例えば、12~21個の炭素原子を含むアルケニル基及びアルキル基から選ばれる基の混合物、例えば獣脂の脂肪酸誘導体であり、R7はメチルであり、R8は水素である。このような製品の例には、Witco社により名称「Rewoquat(登録商標)」W75、W90、W75PG及びW75HPGで販売されているクオタニウム-27(CTFA 1997年)及びクオタニウム-83(CTFA 1997年)が挙げられるが、これらに限定されない;
式(B5)のジ又はトリ第四級アンモニウム塩:
【0242】
【化15】
【0243】
[式中:
R9は、16~30個の炭素原子を含む脂肪族基から選ばれ、
R10は、水素、又は1~4個の炭素原子を含むアルキル基、又は(CH2)3(R16a)(R17a)(R18a)N+X-基から選ばれ、
R11、R12、R13、R14、R16a、R17a及びR18aは、同一であっても異なっていてもよく、水素、及び1~4個の炭素原子を含むアルキル基から選ばれ、並びに
X-は、ハロゲン化物イオン、酢酸イオン、リン酸イオン、硝酸イオン、エチル硫酸イオン及びメチル硫酸イオンから選ばれる]
【0244】
このようなジ第四級アンモニウム塩の一例は、FINETEX社のFINQUAT CT-P(クオタニウム-89)又はFINQUAT CT(クオタニウム-75)である;
並びに
少なくとも1つのエステル官能基を含む第四級アンモニウム塩、例えば次式(B6)のもの:
【0245】
【化16】
【0246】
(式中:
R22は、C1~C6アルキル基、並びにC1~C6ヒドロキシアルキル基及びジヒドロキシアルキル基から選ばれ、
R23は、基:
【0247】
【化17】
【0248】
直鎖状及び分枝状の、飽和及び不飽和C1~C22炭化水素系の基R27、並びに水素から選ばれ、
R25は、基:
【0249】
【化18】
【0250】
直鎖状及び分枝状の、飽和及び不飽和C1~C6炭化水素系の基R29、並びに水素から選ばれ、
R24、R26及びR28は、同一であっても異なっていてもよく、直鎖状又は分枝状の、飽和又は不飽和C7~C21炭化水素系の基から選ばれ、
r、s及びtは、同一であっても異なっていてもよく、2~6の範囲の整数から選ばれ、
r1及びt1のそれぞれは、同一であっても異なっていてもよく、0又は1であり、且つr2+r1=2r及びt1+2t=2tであり、
yは、1~10の範囲の整数から選ばれ、
x及びzは、同一であっても異なっていてもよく、0~10の範囲の整数から選ばれ、
X-は、単純な及び複雑な、有機及び無機のアニオンから選ばれ、但し条件として和x+y+zは、1~15の範囲であり、xが0である場合、R23はR27を示し、zが0である場合、R25はR29を示す。R22は、直鎖状及び分枝状のアルキル基から選ぶことができる)
一実施形態では、R22は、直鎖状のアルキル基から選ばれる。別の実施形態では、R22は、メチル基、エチル基、ヒドロキシエチル基及びジヒドロキシプロピル基から選ばれ、例えば、メチル基及びエチル基から選ばれる。一実施形態では、和x+y+zは、1~10の範囲である。R23が炭化水素系の基R27である場合、これは、長鎖であって12~22個の炭素原子を含んでもよく、又は短鎖であって1~3個の炭素原子を含んでもよい。R25が炭化水素系の基R29である場合、これは、例えば、1~3個の炭素原子を含んでもよい。非限定的な例として、一実施形態では、R24、R26及びR28は、同一であっても異なっていてもよく、直鎖状及び分枝状の、飽和及び不飽和C11~C21炭化水素系の基から選ばれ、例えば、直鎖状及び分枝状の、飽和及び不飽和C11~C21アルキル基及びアルケニル基から選ばれる。別の実施形態では、x及びzは、同一であっても異なっていてもよく、0又は1である。
一実施形態では、yは1に等しい。別の実施形態では、r、s及びtは、同一であっても異なっていてもよく、2又は3に等しく、例えば2に等しい。アニオンX-は、例えば、ハロゲン化物イオン、例えば塩化物イオン、臭化物イオン及びヨウ化物イオン;並びにC1~C4アルキル硫酸イオン、例えばメチル硫酸イオンから選ぶことができる。しかしながら、メタンスルホン酸イオン、リン酸イオン、硝酸イオン、トシル酸イオン、有機酸に由来するアニオン、例えば酢酸イオン及び乳酸イオン、並びにエステル官能基を含むアンモニウムに適合する任意の他のアニオンは、本発明に従って使用することができるアニオンの他の非限定的な例である。一実施形態では、アニオンX-は、塩化物イオン及びメチル硫酸イオンから選ばれる。
【0251】
別の実施形態では、式(B6)のアンモニウム塩を使用することができ、式中、
R22は、メチル基及びエチル基から選ばれ、
x及びyは、1に等しく、
zは、0又は1に等しく、
r、s及びtは、2に等しく、
R23は、基:
【0252】
【化19】
【0253】
メチル基、エチル基及びC14~C22炭化水素系の基、並びに水素から選ばれ、
R25は、基:
【0254】
【化20】
【0255】
及び水素から選ばれ、
R24、R26及びR28は、同一であっても異なっていてもよく、直鎖状及び分枝状の、飽和及び不飽和C13~C17炭化水素系の基から選ばれ、例えば、直鎖状及び分枝状の、飽和及び不飽和C13~C17アルキル基及びアルケニル基から選ばれる。
【0256】
一実施形態では、炭化水素系の基は、直鎖状である。
【0257】
挙げることができる式(B6)の化合物の非限定的な例には、塩、例えば、ジアシルオキシエチル-ジメチルアンモニウムの、ジアシルオキシエチル-ヒドロキシエチル-メチルアンモニウムの、モノアシルオキシエチル-ジヒドロキシエチル-メチルアンモニウムの、トリアシルオキシエチル-メチルアンモニウムの、モノアシルオキシエチル-ヒドロキシエチル-ジメチル-アンモニウムの、並びにこれらの混合物の、塩化物及びメチル硫酸塩が挙げられる。一実施形態では、アシル基は、14~18個の炭素原子を含んでもよく、例えば、植物油、例としてはパーム油及びヒマワリ油に由来してもよい。化合物がいくつかのアシル基を含む場合、これらの基は、同一であっても異なっていてもよい。
【0258】
これらの生成物は、例えば、任意選択でオキシアルキレン化されたトリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、アルキルジエタノールアミン又はアルキルジイソプロパノールアミンを、脂肪酸に、又は植物若しくは動物起源の脂肪酸の混合物に、直接エステル化することによって、又はそれらのメチルエステルをエステル交換することによって、得ることができる。このエステル化の後に、アルキル化剤を使用して四級化してもよく、該アルキル化剤は、ハロゲン化アルキル、例えばハロゲン化メチル及びハロゲン化エチル;硫酸ジアルキル、例えば硫酸ジメチル及び硫酸ジエチル;メタンスルホン酸メチル;パラ-トルエンスルホン酸メチル;グリコールクロロヒドリン;並びにグリセロールクロロヒドリンから選ばれる。
【0259】
このような化合物は、例えば、Cognis社により名称Dehyquart(登録商標)で、Stepan社により名称Stepanquat(登録商標)で、Ceca社により名称Noxamium(登録商標)で、及びRewo-Goldschmidt社により名称「Rewoquat(登録商標)WE 18」で販売されている。
【0260】
本発明による組成物中で使用することができるアンモニウム塩の他の非限定的な例には、米国特許第4874554号及び第4137180号に記載されている少なくとも1個のエステル官能基を含むアンモニウム塩が挙げられる。
【0261】
本発明による組成物中で使用することができる上に挙げた第四級アンモニウム塩には、式(I)に相当するもの、例えば、テトラアルキルアンモニウムクロリド、例としてはジアルキルジメチルアンモニウムクロリド及びアルキルトリメチルアンモニウムクロリド(ここで、アルキル基は、約12~22個の炭素原子を含む)、例えばベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド、セチルトリメチルアンモニウムクロリド及びベンジルジメチルステアリルアンモニウムクロリド;パルミチルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド;並びにVan Dyk社により名称「Ceraphyl(登録商標)70」で販売されているステアラミドプロピルジメチル(酢酸ミリスチル)アンモニウムクロリドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0262】
一実施形態によれば、本発明による組成物中で使用することができるカチオン性界面活性剤は、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、クオタニウム-83、クオタニウム-87、クオタニウム-22、ベヘニルアミドプロピル-2,3-ジヒドロキシプロピルジメチルアンモニウムクロリド、パルミチルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド及びステアラミドプロピルジメチルアミンから選ばれる。
【0263】
(非イオン性界面活性剤)
本発明による組成物は、少なくとも1種の非イオン性界面活性剤を含んでよい。2種以上の非イオン性界面活性剤を組み合わせて使用してよい。
【0264】
非イオン性界面活性剤は、それら自体は周知の化合物である(例えば、この点に関して、「Handbook of Surfactants」、M.R.Porter著、Blackie & Son出版(Glasgow及びLondon)、1991年、116~178頁を参照されたい)。そのため、非イオン性界面活性剤は、例えば、アルコール、アルファ-ジオール、アルキルフェノール、及び脂肪酸のエステルから選ぶことができ、これらの化合物は、エトキシル化、プロポキシル化又はグリセロール化されており、例えば8~30個の炭素原子を含む、少なくとも1つの脂肪鎖を有し、エチレンオキシド基又はプロピレンオキシド基の数が2~50の範囲であること、及びグリセロール基の数が1~30の範囲であることが可能である。マルトース誘導体もまた挙げることができる。また非限定的に挙げることができるのは、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドのコポリマー;エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドと脂肪族アルコールとの縮合物;例えば2~30molのエチレンオキシドを含むポリエトキシル化脂肪アミド;例えば1.5~5つ、例えば1.5~4つのグリセロール基を含むポリグリセロール化脂肪アミド;2~30molのエチレンオキシドを含むソルビタンのエトキシル化脂肪酸エステル;植物起源のエトキシル化油;スクロースの脂肪酸エステル;ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル;グリセロール(C6~C24)アルキルポリグリコシドのポリエトキシル化脂肪酸モノエステル又はジエステル;N-(C6~C24)アルキルグルカミン誘導体;(C10~C14)アルキルアミンオキシド又はN-(C10~C14)アシルアミノプロピルモルホリンオキシド等のアミンオキシド;シリコーン界面活性剤;並びにこれらの混合物である。
【0265】
非イオン性界面活性剤は、好ましくは、モノオキシアルキレン化、ポリオキシアルキレン化、モノグリセロール化又はポリグリセロール化非イオン性界面活性剤から選ぶことができる。オキシアルキレン単位は、より詳細には、オキシエチレン単位若しくはオキシプロピレン単位、又はこれらの組合せであり、好ましくはオキシエチレン単位である。
【0266】
挙げることができるモノオキシアルキレン化又はポリオキシアルキレン化非イオン性界面活性剤の例には、以下がある:
モノオキシアルキレン化又はポリオキシアルキレン化(C8~C24)アルキルフェノール、
飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状の、モノオキシアルキレン化又はポリオキシアルキレン化C8~C30アルコール、
飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状の、モノオキシアルキレン化又はポリオキシアルキレン化C8~C30アミド、
飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のC8~C30酸と、ポリアルキレングリコールとのエステル、
飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のC8~C30酸と、ソルビトールとの、モノオキシアルキレン化又はポリオキシアルキレン化エステル、
飽和又は不飽和の、モノオキシアルキレン化又はポリオキシアルキレン化植物油、
とりわけ単独又は混合物としてのエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドの縮合物。
【0267】
界面活性剤は、好ましくは、1から100の間、最も好ましくは2から50の間のモル数のエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドを含有する。本発明の実施形態の1つによれば、ポリオキシアルキレン化非イオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレン化脂肪族アルコール(脂肪族アルコールのポリエチレングリコールエーテル)及びポリオキシエチレン化脂肪エステル(脂肪酸のポリエチレングリコールエステル)から選ばれる。
【0268】
挙げることができるポリオキシエチレン化飽和脂肪族アルコール(又はC8~C30アルコール)の例には、ラウリルアルコールのエチレンオキシド付加物、とりわけ5~50個のオキシエチレン単位を含有するもの、より特定すると7~12個のオキシエチレン単位を含有するもの(CTFA名としてはラウレス-7からラウレス-12);ベヘニルアルコールのエチレンオキシド付加物、とりわけ9~50個のオキシエチレン単位を含有するもの(CTFA名としてはベヘネス-9からベヘネス-50);セテアリルアルコール(セチルアルコールとステアリルアルコールとの混合物)のエチレンオキシド付加物、とりわけ10~50個のオキシエチレン単位を含有するもの(CTFA名としてはセテアレス-10からセテアレス-50、例えばセテアレス-33);セチルアルコールのエチレンオキシド付加物、とりわけ10~50個のオキシエチレン単位を含有するもの(CTFA名としてはセテス-10からセテス-50);ステアリルアルコールのエチレンオキシド付加物、とりわけ10~50個のオキシエチレン単位を含有するもの(CTFA名としてはステアレス-10からステアレス-50、例えばステアレス-20);イソステアリルアルコールのエチレンオキシド付加物、とりわけ10~50個のオキシエチレン単位を含有するもの(CTFA名としてはイソステアレス-10からイソステアレス-50);並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0269】
挙げることができるポリオキシエチレン化不飽和脂肪族アルコール(又はC8~C30アルコール)の例には、オレイルアルコールのエチレンオキシド付加物、とりわけ2~50個のオキシエチレン単位を含有するもの、より特定すると10~40個のオキシエチレン単位を含有するもの(CTFA名としてはオレス-10からオレス-40);及びこれらの混合物が挙げられる。
【0270】
モノグリセロール化又はポリグリセロール化非イオン性界面活性剤の例として、モノグリセロール化又はポリグリセロール化C8~C40アルコールが好ましくは使用される。
【0271】
特に、モノグリセロール化又はポリグリセロール化C8~C40アルコールは、式:
RO-[CH2-CH(CH2OH)-O]m-H、又はRO-[CH(CH2OH)-CH2O]m-H
(式中、Rは、直鎖状又は分枝状のC8~C40、好ましくはC8~C30アルキル基又はアルケニル基を表し、mは、1~30、好ましくは1.5~10の範囲の数を表す)
に相当する。
【0272】
本発明の文脈において好適である化合物の例として、4molのグリセロールを含有するラウリルアルコール(INCI名:ポリグリセリル-4ラウリルエーテル)、1.5molのグリセロールを含有するラウリルアルコール、4molのグリセロールを含有するオレイルアルコール(INCI名:ポリグリセリル-4オレイルエーテル)、2molのグリセロールを含有するオレイルアルコール(INCI名:ポリグリセリル-2オレイルエーテル)、2molのグリセロールを含有するセテアリルアルコール、6molのグリセロールを含有するセテアリルアルコール、6molのグリセロールを含有するオレオセチルアルコール及び6molのグリセロールを含有するオクタデカノールを挙げることができる。
【0273】
mの値が統計値を表すのと同様に、アルコールは、アルコールの混合物を表してもよく、このことは、市販品において、複数種のポリグリセロール化脂肪族アルコールが混合物の形態で共存してもよいことを意味する。
【0274】
モノグリセロール化又はポリグリセロール化アルコールの中で、1molのグリセロールを含有するC8/C10アルコール、1molのグリセロールを含有するC10/C12アルコール及び1.5molのグリセロールを含有するC12アルコールを使用することが好ましい。
【0275】
モノグリセロール化又はポリグリセロール化C8~C40脂肪エステルは、式:
R'O-[CH2-CH(CH2OR''')-O]m-R''、又はR'O-[CH(CH2OR''')-CH2O]m-R''
(式中、R'、R''及びR'''のそれぞれは、独立に、水素原子、又は直鎖状若しくは分枝状のC8~C40、好ましくはC8~C30アルキル-CO-又はアルケニル-CO-基を表し、但し条件としてR'、R''及びR'''のうちの少なくとも1つは水素原子ではなく、mは、1~30、好ましくは1.5~10の範囲の数を表す)
に相当することができる。
【0276】
挙げることができるポリオキシエチレン化脂肪酸エステルの例には、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸又はベヘン酸のエステルのエチレンオキシド付加物及びこれらの混合物、とりわけ9~100個のオキシエチレン単位を含有するもの、例えばラウリン酸PEG-9からPEG-50(CTFA名:ラウリン酸PEG-9からラウリン酸PEG-50)、パルミチン酸PEG-9からPEG-50(CTFA名:パルミチン酸PEG-9からパルミチン酸PEG-50);ステアリン酸PEG-9からPEG-50(CTFA名:ステアリン酸PEG-9からステアリン酸PEG-50);パルミトステアリン酸PEG-9からPEG-50;ベヘン酸PEG-9からPEG-50(CTFA名:ベヘン酸PEG-9からベヘン酸PEG-50);モノステアリン酸ポリエチレングリコール100 EO(CTFA名:ステアリン酸PEG-100);及びこれらの混合物が挙げられる。
【0277】
本発明の実施形態の1つによれば、非イオン性界面活性剤は、ポリオールと、例えば8~24個の炭素原子、好ましくは12~22個の炭素原子を含有する飽和又は不飽和の鎖を有する脂肪酸とのエステル、及び好ましくは10~200個、より好ましくは10~100個のオキシアルキレン単位を含有するそのポリオキシアルキレン化誘導体、例えば、C8~C24の、好ましくはC12~C22の脂肪酸又は酸のグリセリルエステル、及び好ましくは10~200個、より好ましくは10~100個のオキシアルキレン単位を含有するそのポリオキシアルキレン化誘導体;C8~C24、好ましくはC12~C22の脂肪酸又は酸のソルビトールエステル、及び好ましくは10~200個、より好ましくは10~100個のオキシアルキレン単位を含有するそのポリオキシアルキレン化誘導体;C8~C24、好ましくはC12~C22の脂肪酸又は酸の糖(スクロース、マルトース、グルコース、フルクトース及び/又はアルキルグリコース)エステル、及び好ましくは10~200個、より好ましくは10~100個のオキシアルキレン単位を含有するそのポリオキシアルキレン化誘導体;脂肪族アルコールのエーテル;糖と、C8~C24、好ましくはC12~C22の脂肪族アルコール又はアルコールとのエーテル;並びにこれらの混合物から選択することができる。
【0278】
脂肪酸のグリセリルエステルとして、ステアリン酸グリセリル(モノ-、ジ-及び/又はトリステアリン酸グリセリル)(CTFA名:ステアリン酸グリセリル)、ラウリン酸グリセリル又はリシノール酸グリセリル、並びにこれらの混合物を引用することができ、それらのポリオキシアルキレン化誘導体として、脂肪酸とポリオキシアルキレン化グリセロールとの、モノ-、ジ-又はトリエステル(脂肪酸と、グリセロールのポリアルキレングリコールエーテルとの、モノ-、ジ-又はトリエステル)、好ましくはポリオキシエチレン化ステアリン酸グリセリル(モノ-、ジ-及び/又はトリステアレート)、例えばPEG-20ステアリン酸グリセリル(モノ-、ジ-及び/又はトリステアレート)を引用することができる。
【0279】
これらの界面活性剤の混合物、例えば、Uniqema社により名称ARLACEL 165で市販されている、ステアリン酸グリセリル及びステアリン酸PEG-100を含有する製品、並びにGoldschmidt社により名称TEGINで市販されている、ステアリン酸グリセリル(モノ-及びジステアリン酸グリセリル)及びステアリン酸カリウムを含有する製品(CTFA名:ステアリン酸グリセリルSE)等もまた使用することができる。
【0280】
C8~C24脂肪酸のソルビトールエステル及びそのポリオキシアルキレン化誘導体は、パルミチン酸ソルビタン、イソステアリン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、並びに脂肪酸と、例えば20~100個のEOを含有するアルコキシル化ソルビタンとのエステル、例えば、ICI社により名称Span 60で販売されているモノステアリン酸ソルビタン(CTFA名:ステアリン酸ソルビタン)、ICI社により名称Span 40で販売されているモノパルミチン酸ソルビタン(CTFA名:パルミチン酸ソルビタン)、及びICI社により名称Tween 65で販売されているトリステアリン酸ソルビタン20 EO(CTFA名:ポリソルベート65)、トリオレイン酸ポリエチレンソルビタン(ポリソルベート85)、又はUniqema社により商標名Tween 20若しくはTween 60で市販されている化合物から選択することができる。
【0281】
脂肪酸とグルコース又はアルキルグルコースとのエステルとして、パルミチン酸グルコース、セスキステアリン酸アルキルグルコース、例えばセスキステアリン酸メチルグルコース、パルミチン酸アルキルグルコース、例えばパルミチン酸メチルグルコース又はエチルグルコース、メチルグルコシド脂肪エステル、メチルグルコシドとオレイン酸とのジエステル(CTFA名:ジオレイン酸メチルグルコース)、メチルグルコシドと、オレイン酸/ヒドロキシステアリン酸の混合物との混合エステル(CTFA名:ジオレイン酸メチルグルコース/ヒドロキシステアレート)、メチルグルコシドとイソステアリン酸とのエステル(CTFA名:イソステアリン酸メチルグルコース)、メチルグルコシドとラウリン酸とのエステル(CTFA名:ラウリン酸メチルグルコース)、メチルグルコシド及びイソステアリン酸のモノエステルとジエステルとの混合物(CTFA名:セスキ-イソステアリン酸メチルグルコース)、メチルグルコシド及びステアリン酸のモノエステルとジエステルとの混合物(CTFA名:セスキステアリン酸メチルグルコース)、及び特にAMERCHOL社により名称Glucate SSで市販されている製品、並びにこれらの混合物を引用することができる。
【0282】
脂肪酸とグルコース又はアルキルグルコースとのエトキシル化エーテルとして、脂肪酸とメチルグルコースとのエトキシル化エーテル、特に約20モルのエチレンオキシドを有するメチルグルコースとステアリン酸とのジエステルのポリエチレングリコールエーテル(CTFA名:PEG-20ジステアリン酸メチルグルコース)、例えばAMERCHOL社により名称Glucam E-20 distearateで市販されている製品、約20モルのエチレンオキシドを有するメチル-グルコース及びステアリン酸のモノエステルとジエステルとの混合物のポリエチレングリコールエーテル(CTFA名:PEG-20セスキステアリン酸メチルグルコース)、具体的にはAMERCHOL社により名称Glucamate SSE-20で市販されている製品、及びGOLDSCHMIDT社により名称Grillocose PSE-20で市販されている製品、並びにこれらの混合物を、例えば引用することができる。
【0283】
スクロースエステルとして、パルミト-ステアリン酸サッカロース、ステアリン酸サッカロース及びモノラウリン酸サッカロースを、例えば引用することができる。
【0284】
糖エーテルとして、アルキルポリグルコシドを使用することができ、例えば、デシルグルコシド、例えば花王株式会社により名称MYDOL 10で市販されている製品、Henkel社により名称PLANTAREN 2000で市販されている製品、及びSeppic社により名称ORAMIX NS 10で市販されている製品、カプリリル/カプリルグルコシド、例えばSeppic社により名称ORAMIX CG 110で、又はBASF社により名称LUTENSOL GD 70で市販されている製品、ラウリルグルコシド、例えばHenkel社により名称PLANTAREN 1200 N及びPLANTACARE 1200で市販されている製品、ココ-グルコシド、例えばHenkel社により名称PLANTACARE 818/UPで市販されている製品、場合によってはセトステアリルアルコールと混合されているセトステアリルグルコシド、例えばSeppic社により名称MONTANOV 68で、Goldschmidt社により名称TEGO-CARE CG90で、及びHenkel社により名称EMULGADE KE3302で市販されているもの、アラキジルグルコシド、例えばアラキジルとベヘニルアルコールとアラキジルグルコシドとの混合物の形態でSeppic社により名称MONTANOV 202で市販されているもの、ココイルエチルグルコシド、例えばセチルとステアリルアルコールとの混合物(35/65)の形態でSeppic社により名称MONTANOV 82で市販されているもの、並びにこれらの混合物を、特に引用することができる。
【0285】
アルコキシル化植物油のグリセリドの混合物、例えばエトキシル化(200 EO)パームとコプラ(7 EO)グリセリドとの混合物もまた、引用することができる。
【0286】
本発明による非イオン性界面活性剤は、好ましくは、アルケニル又は分枝状のC12~C22アシル鎖、例えばオレイル基又はイソステアリル基を含有する。より好ましくは、本発明による非イオン性界面活性剤は、トリイソステアリン酸PEG-20グリセリルである。
【0287】
本発明の実施形態のうちの1つによれば、非イオン性界面活性剤は、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのコポリマー、具体的には式:
HO(C2H4O)a(C3H6O)b(C2H4O)cH
(式中、a、b及びcは、a+cが2~100の範囲であり、bが14~60の範囲であるような整数である)
のコポリマー、及びこれらの混合物から選択することができる。
【0288】
本発明の実施形態のうちの1つによれば、非イオン性界面活性剤は、シリコーン界面活性剤から選択することができる。非限定的に挙げられるのは、文献、米国特許第A-5364633号及び米国特許第A-5411744号に開示されたものである。
【0289】
シリコーン界面活性剤は、好ましくは、式(I):
【0290】
【化21】
【0291】
[式中、
R1、R2及びR3は、互いに独立に、C1~C6アルキル基又は-(CH2)x-(OCH2CH2)y-(OCH2CH2CH2)z-OR4基を表し、少なくとも1つのR1基、R2基又はR3基は、アルキル基ではなく、R4は、水素、アルキル基又はアシル基であり、
Aは、0~200の範囲の整数であり、
Bは、0~50の範囲の整数であり、但し条件としてAとBとが同時に0に等しいことはなく、
xは、1~6の範囲の整数であり、
yは、1~30の範囲の整数であり、及び
zは、0~5の範囲の整数である]
の化合物でもよい。
【0292】
本発明の好ましい一実施形態によれば、式(I)の化合物中、アルキル基は、メチル基であり、xは、2~6の範囲の整数であり、yは、4~30の範囲の整数である。
【0293】
式(I)のシリコーン界面活性剤の例として挙げることができるのは、式(II):
【0294】
【化22】
【0295】
(式中、Aは、20~105の範囲の整数であり、Bは、2~10の範囲の整数であり、yは、10~20の範囲の整数である)
の化合物である。
【0296】
式(I)のシリコーン界面活性剤の例として、また挙げることができるのは、式(III):
H-(OCH2CH2)y-(CH2)3-[(CH3)2SiO]A'-(CH2)3-(OCH2CH2)y-OH (III)
(式中、A'及びyは、10~20の範囲の整数である)
の化合物である。
【0297】
使用することができる本発明の化合物は、Dow Corning社により名称DC 5329、DC 7439-146、DC 2-5695及びQ4-3667で販売されているものである。化合物DC 5329、DC 7439-146及びDC 2-5695は、式(II)(式中、それぞれ、Aは22、Bは2、yは12であり;Aは103、Bは10、yは12であり;Aは27、Bは3、yは12である)の化合物である。
【0298】
化合物Q4-3667は、式(III)(式中、Aは15であり、yは13である)の化合物である。
【0299】
(b)界面活性剤が、非イオン性界面活性剤から選択されることが好ましい。
【0300】
(b)界面活性剤が、ポリグリセリル脂肪酸エステルから選択されることがより好ましい。
【0301】
ポリグリセリル脂肪酸エステルは、2~10個のグリセロール、好ましくは2~8個のグリセロール、より好ましくは2~6個のグリセロールに由来するポリグリセリル部分を有してもよい。換言すると、ポリグリセリル脂肪酸エステルは、2~10個のポリグリセリル単位、好ましくは2~8個のポリグリセリル単位、より好ましくは2~6個のポリグリセリル単位を含んでよい。全てのポリグリセリル脂肪酸エステルがポリグリセリル短鎖(例えば、10個未満のポリグリセリル単位、好ましくは8個未満のポリグリセリル単位、より好ましくは6個未満のポリグリセリル単位)を有する場合、本発明による組成物の安定性は増強されうる。
【0302】
ポリグリセリル脂肪酸エステルは、4~32個の炭素原子、好ましくは8~26個の炭素原子、より好ましくは10~20個の炭素原子を含む、直鎖状又は分枝状の、飽和又は不飽和脂肪酸、好ましくは飽和脂肪酸の、モノ、ジ及びトリエステル、例えば、ラウリン酸、オレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、カプリン酸、カプリル酸及びミリスチン酸から選ぶことができる。
【0303】
(b)界面活性剤が、ポリグリセリル飽和又は不飽和脂肪酸モノエステルから選択されることが好ましい。
【0304】
ポリグリセリル脂肪酸エステルは、4.0~16.0、好ましくは4.5~15.5、より好ましくは5.0~15.0のHLB(親水性親油性バランス)値を有してもよい。用語HLB(「親水性-親油性バランス」)は当業者には周知であり、分子中の親水性部分と親油性部分との間の比を反映する。2種以上のポリグリセリル脂肪酸エステルが使用される場合、HLB値は、全てのポリグリセリル脂肪酸エステルのHLB値の秤量平均により決定される。
【0305】
ポリグリセリル脂肪酸エステルは、ステアリン酸PG-2(HLB:5.0)、イソステアリン酸PG-2(HLB:5.5)、オレイン酸PG-2(HLB:6.5)、カプリン酸PG-2(HLB:9.5)、ラウリン酸PG-2(HLB:8.5)、オレイン酸PG-4(HLB:8.8)、ラウリン酸PG-4(HLB:10.4)、イソステアリン酸PG-4(HLB:8.2)、ラウリン酸PG-5(HLB:15.8)、イソステアリン酸PG-6(HLB:10.8)、ヤシ油脂肪酸PG-3(HLB:12.0)、カプリン酸PG-3(HLB:10.0)、カプリル酸PG-4(HLB:14)、カプリン酸PG-4(HLB:14.0)、ミリスチン酸PG-5(HLB:15.4)、ステアリン酸PG-5(HLB:15.0)、オレイン酸PG-5(HLB:14.9)、カプリル酸PG-6(HLB:14.6)、カプリン酸PG-6(HLB:13.1)、ラウリン酸PG-6(HLB:14.5)、及びこれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0306】
(b)界面活性剤が、カプリン酸PG-4(HLB:14.0)、イソステアリン酸PG-2(HLB:5.5)、及びこれらの混合物からなる群から選択されることが好ましい場合がある。
【0307】
本発明による組成物が、少なくとも2種のポリグリセリル脂肪酸エステルを含むことが好ましい。
【0308】
(b)界面活性剤が、
4.0~8.0、好ましくは4.5~8.0、より好ましくは5.0~8.0のHLB値を有する少なくとも1種の第1のポリグリセリル脂肪酸エステル、
12.0~16.0、好ましくは12.0~15.5、より好ましくは12.0~15.0のHLB値を有する少なくとも1種の第2のポリグリセリル脂肪酸エステル、及び
これらの混合物
から選択されることが好ましい。
【0309】
本発明による組成物中の(b)界面活性剤の量は、組成物の総質量に対して、0.001質量%以上、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上でもよい。
【0310】
本発明による組成物中の(b)界面活性剤の量は、組成物の総質量に対して、20質量%以下、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下でもよい。
【0311】
本発明による組成物中の(b)界面活性剤の量は、組成物の総質量に対して、0.001質量%~20質量%、好ましくは0.01質量%~15質量%、より好ましくは0.1質量%~10質量%でもよい。
【0312】
[水]
本発明による組成物は、(c)水を含む。
【0313】
(c)水の量は、組成物の総質量に対して、10質量%以上、好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上でもよい。
【0314】
(c)水の量は、組成物の総質量に対して、99質量%以下、好ましくは97質量%以下、より好ましくは95質量%以下でもよい。
【0315】
(c)水の量は、組成物の総質量に対して、10質量%~99質量%、好ましくは30質量%~97質量%、より好ましくは50質量%~95質量%でもよい。
【0316】
[pH]
本発明による組成物のpHは、2.0~9.0、好ましくは2.5~8.5、より好ましくは3.0~8.0でもよい。
【0317】
2.0~9.0のpHにおいて、(a)粒子は非常に安定であることができる。
【0318】
本発明による組成物のpHは、(a)粒子中に取り入れられることになる2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸若しくはその塩、又は2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基若しくはその塩以外に、少なくとも1種のアルカリ剤及び/又は少なくとも1種の酸を添加することによって調整することができる。本発明による組成物のpHはまた、少なくとも1種の緩衝剤を添加することによっても調整することができる。
【0319】
(アルカリ剤)
本発明による組成物は、少なくとも1種のアルカリ剤を含んでよい。2種以上のアルカリ剤を組み合わせて使用してもよい。そのため、単一のタイプのアルカリ剤、又は異なるタイプのアルカリ剤の組合せを使用することができる。
【0320】
アルカリ剤は、無機アルカリ剤であってもよい。無機アルカリ剤が、アンモニア;アルカリ金属水酸化物;アルカリ土類金属水酸化物;アルカリ金属リン酸塩及びリン酸一水素塩、例えばリン酸ナトリウム又はリン酸一水素ナトリウムからなる群から選択されることが好ましい。
【0321】
無機アルカリ金属水酸化物の例として、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムを挙げることができる。アルカリ土類金属水酸化物の例として、水酸化カルシウム及び水酸化マグネシウムを挙げることができる。無機アルカリ剤として、水酸化ナトリウムが好ましい。
【0322】
アルカリ剤は、有機アルカリ剤であってもよい。有機アルカリ剤が、モノアミン及びその誘導体、ジアミン及びその誘導体、ポリアミン及びその誘導体、塩基性アミノ酸及びその誘導体、塩基性アミノ酸のオリゴマー及びその誘導体、塩基性アミノ酸のポリマー及びその誘導体、尿素及びその誘導体、並びにグアニジン及びその誘導体からなる群から選択されることが好ましい。
【0323】
有機アルカリ剤の例として、アルカノールアミン、例えば、モノ-、ジ-及びトリ-エタノールアミン、並びにイソプロパノールアミン;尿素、グアニジン及びそれらの誘導体;塩基性アミノ酸、例えばリジン、オルニチン又はアルギニン;並びにジアミン、例えば構造:
【0324】
【化23】
【0325】
(式中、Rは、ヒドロキシル基又はC1~C4アルキル基で任意選択で置換されているプロピレン等のアルキレンを示し、R1、R2、R3及びR4は、独立に、水素原子、アルキル基又はC1~C4ヒドロキシアルキル基を示し、これは、1,3-プロパンジアミン及びその誘導体によって例示することができる)
において説明されているものを挙げることができる。アルギニン、尿素及びモノエタノールアミンが好ましい。
【0326】
アルカリ剤は、それらの溶解度に応じて、組成物の総質量に対して、0.01質量%~15質量%、好ましくは0.02質量%~10質量%、より好ましくは0.03質量%~5質量%の総量で使用することができる。
【0327】
(酸)
本発明による組成物は、少なくとも1種の酸を含んでよい。2種以上の酸を組み合わせて使用してもよい。そのため、単一のタイプの酸、又は異なるタイプの酸の組合せを使用することができる。
【0328】
酸として、化粧料中で一般に使用される任意の無機酸又は有機酸、好ましくは無機酸を挙げることができる。一価の酸及び/又は多価の酸を使用することができる。クエン酸、乳酸、硫酸、リン酸及び塩酸(HCl)等の一価の酸を使用することができる。HClが好ましい。
【0329】
酸は、それらの溶解度に応じて、組成物の総質量に対して、0.01質量%~15質量%、好ましくは0.02質量%~10質量%、より好ましくは0.03質量%~5質量%の総量で使用することができる。
【0330】
(緩衝剤)
本発明による組成物は、少なくとも1種の緩衝剤を含んでよい。2種以上の緩衝剤を組み合わせて使用してもよい。そのため、単一のタイプの緩衝剤、又は異なるタイプの緩衝剤の組合せを使用することができる。
【0331】
緩衝剤として、酢酸緩衝液(例えば、酢酸+酢酸ナトリウム)、リン酸緩衝液(例えば、リン酸二水素ナトリウム+リン酸水素二ナトリウム)、クエン酸緩衝液(例えば、クエン酸+クエン酸ナトリウム)、ホウ酸緩衝液(例えば、ホウ酸+ホウ酸ナトリウム)、酒石酸緩衝液(例えば、酒石酸+酒石酸ナトリウム二水和物)、トリス緩衝液(例えば、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン)、及びHepes緩衝液(4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸)を挙げることができる。
【0332】
[油]
本発明による組成物は、(d)少なくとも1種の油を含んでよい。2種以上の(d)油が使用される場合、それらは、同一であっても異なっていてもよい。
【0333】
ここで、「油」は、大気圧(760mmHg)下、室温(25℃)にて、液体又はペースト(非固体)の形態にある脂肪化合物又は脂肪物質を意味する。油として、化粧品において一般に使用されるものを、単独で又はそれらの組合せで使用することができる。これらの油は、揮発性であっても不揮発性であってもよい。
【0334】
油は、例えば炭化水素油、シリコーン油等の非極性油;植物油若しくは動物油、及びエステル油若しくはエーテル油等の極性油;又はこれらの混合物でもよい。
【0335】
油は、植物又は動物起源の油、合成油、シリコーン油、炭化水素油及び脂肪族アルコールからなる群から選択することができる。
【0336】
植物油の例として、例えば、アプリコット油、亜麻仁油、カメリア油、マカデミアナッツ油、コーン油、ミンク油、オリーブ油、アボカド油、サザンカ油、ヒマシ油、ベニバナ油、ホホバ油、ヒマワリ油、アーモンド油、ナタネ油、ゴマ油、ダイズ油、ピーナツ油、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0337】
動物油の例として、例えば、スクアレン及びスクアランを挙げることができる。
【0338】
合成油の例として、イソドデカン及びイソヘキサデカン等のアルカン油、エステル油、エーテル油、並びに人工トリグリセリドを挙げることができる。
【0339】
エステル油は、好ましくは、飽和又は不飽和の直鎖状又は分枝状C1~C26脂肪族一酸又は多酸と、飽和又は不飽和の直鎖状又は分枝状C1~C26脂肪族一価アルコール又は多価アルコールとの液状エステルであり、これらのエステルの合計炭素原子数は10以上である。
【0340】
好ましくは、一価アルコールのエステルの場合、本発明のエステルが誘導されるアルコール及び酸の中からの少なくとも1種は、分枝状である。
【0341】
一酸と一価アルコールとのモノエステルの中で、パルミチン酸エチル、パルミチン酸エチルヘキシル、パルミチン酸イソプロピル、炭酸ジカプリリル、ミリスチン酸アルキル、例えばミリスチン酸イソプロピル又はミリスチン酸エチル、ステアリン酸イソセチル、イソノナン酸2-エチルヘキシル、イソノナン酸イソノニル、ネオペンタン酸イソデシル及びネオペンタン酸イソステアリルを挙げることができる。
【0342】
C4~C22ジカルボン酸又はトリカルボン酸とC1~C22アルコールとのエステル、及びモノカルボン酸、ジカルボン酸又はトリカルボン酸と、非糖C4~C26ジヒドロキシ、トリヒドロキシ、テトラヒドロキシ又はペンタヒドロキシアルコールとのエステルもまた、使用することができる。
【0343】
とりわけ挙げることができるのは、セバシン酸ジエチル、ラウロイルサルコシン酸イソプロピル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ビス(2-エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジ-n-プロピル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ビス(2-エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソステアリル、マレイン酸ビス(2-エチルヘキシル)、クエン酸トリイソプロピル、クエン酸トリイソセチル、クエン酸トリイソステアリル、トリ乳酸グリセリル、トリオクタン酸グリセリル、クエン酸トリオクチルドデシル、クエン酸トリオレイル、ジヘプタン酸ネオペンチルグリコール、ジイソノナン酸ジエチレングリコールである。
【0344】
エステル油として、C6~C30、好ましくはC12~C22脂肪酸の糖エステル及びジエステルを使用することができる。用語「糖」が、アルデヒド又はケトン官能基ありの又はなしの、少なくとも4個の炭素原子を含む、いくつかのアルコール官能基を含有する、酸素を有する炭化水素系化合物を意味することが想起される。これらの糖は、単糖、オリゴ糖又は多糖でもよい。
【0345】
挙げることができる好適な糖の例には、スクロース(又はショ糖)、グルコース、ガラクトース、リボース、フコース、マルトース、フルクトース、マンノース、アラビノース、キシロース及びラクトース、並びにこれらの誘導体、とりわけアルキル誘導体、例えばメチル誘導体、例としてはメチルグルコースが挙げられる。
【0346】
脂肪酸の糖エステルは、とりわけ、前述の糖と、直鎖状若しくは分枝状の飽和若しくは不飽和C6~C30、好ましくはC12~C22脂肪酸とのエステル又はエステルの混合物を含む群から選ぶことができる。これらが不飽和である場合、これらの化合物は、1~3つの共役又は非共役の炭素-炭素二重結合を有することができる。
【0347】
この変形形態によるエステルはまた、モノエステル、ジエステル、トリエステル、テトラエステル及びポリエステル、並びにこれらの混合物から選択することもできる。
【0348】
これらのエステルは、例えば、オレイン酸エステル、ラウリン酸エステル、パルミチン酸エステル、ミリスチン酸エステル、ベヘン酸エステル、ヤシ油脂肪酸エステル、ステアリン酸エステル、リノール酸エステル、リノレン酸エステル、カプリン酸エステル及びアラキドン酸エステル、又はこれらの混合物、例えば、とりわけ、オレオパルミチン酸、オレオステアリン酸及びパルミトステアリン酸の混合エステル、並びにテトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチルでもよい。
【0349】
より詳細には、モノエステル及びジエステル、とりわけスクロース、グルコース又はメチルグルコースのモノオレイン酸エステル又はジオレイン酸エステル、ステアリン酸エステル、ベヘン酸エステル、オレオパルミチン酸エステル、リノール酸エステル、リノレン酸エステル及びオレオステアリン酸エステルが使用される。
【0350】
挙げることができる例は、Amerchol社により名称Glucate(登録商標)DOで販売されている製品であり、これはジオレイン酸メチルグルコースである。
【0351】
好ましいエステル油の例として、例えば、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジオクチル、ヘキサン酸2-エチルヘキシル、ラウリン酸エチル、オクタン酸セチル、オクタン酸オクチルドデシル、ネオペンタン酸イソデシル、プロピオン酸ミリスチル、2-エチルヘキサン酸2-エチルヘキシル、オクタン酸2-エチルヘキシル、カプリル酸2-エチルヘキシル/カプリン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸メチル、パルミチン酸エチル、パルミチン酸イソプロピル、炭酸ジカプリリル、ラウロイルサルコシン酸イソプロピル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸エチルヘキシル、ラウリン酸イソヘキシル、ラウリン酸ヘキシル、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸イソデシル、トリ(2-エチルヘキサン酸)グリセリル、テトラ(2-エチルヘキサン酸)ペンタエリスリチル、コハク酸2-エチルヘキシル、セバシン酸ジエチル、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0352】
人工トリグリセリドの例として、例えば、カプリルカプリリルグリセリド、トリミリスチン酸グリセリル、トリパルミチン酸グリセリル、トリリノレン酸グリセリル、トリラウリン酸グリセリル、トリカプリン酸グリセリル、トリカプリル酸グリセリル、トリ(カプリン酸/カプリル酸)グリセリル及びトリ(カプリン酸/カプリル酸/リノレン酸)グリセリルを挙げることができる。
【0353】
シリコーン油の例として、例えば、直鎖状オルガノポリシロキサン、例えばジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等;環状オルガノポリシロキサン、例えばシクロヘキサシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等;並びにこれらの混合物を挙げることができる。
【0354】
好ましくは、シリコーン油は、液体ポリジアルキルシロキサン、とりわけ液体ポリジメチルシロキサン(PDMS)、及び少なくとも1つのアリール基を含む液体ポリオルガノシロキサンから選ばれる。
【0355】
これらのシリコーン油はまた、有機変性されていてもよい。本発明に従って使用されうる有機変性シリコーンは、上に定義したシリコーン油であり、構造中に、炭化水素系の基を介して結合されている1つ又は複数の有機官能基を含む。
【0356】
オルガノポリシロキサンは、Walter Noll著、Chemistry and Technology of Silicones (1968)、Academic Pressにおいて、より詳細に定義されている。これらは、揮発性であっても不揮発性であってもよい。
【0357】
それらが揮発性である場合、シリコーンは、より詳細には、沸点が60℃から260℃の間であるものから選ばれ、更により詳細には以下から選ばれる:
(i)3~7個、好ましくは4~5個のケイ素原子を含む環状ポリジアルキルシロキサン。これらは、例えば、特にUnion Carbide社により名称Volatile Silicone(登録商標)7207で、又はRhodia社によりSilbione(登録商標)70045 V2で販売されているオクタメチルシクロテトラシロキサン、Union Carbide社により名称Volatile Silicone(登録商標)7158で、Rhodia社によりSilbione(登録商標)70045 V5で販売されているデカメチルシクロペンタシロキサン、及びMomentive Performance Materials社により名称Silsoft 1217で販売されているドデカメチルシクロペンタシロキサン、並びにこれらの混合物である。ジメチルシロキサン/メチルアルキルシロキサン等のタイプのシクロコポリマー、例えば、式:
【0358】
【化24】
【0359】
の、Union Carbide社により販売されているSilicone Volatile(登録商標)FZ 3109も挙げることもできる。
【0360】
環状ポリジアルキルシロキサンと有機ケイ素化合物との混合物、例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサンとテトラトリメチルシリルペンタエリスリトールとの混合物(50/50)、及びオクタメチルシクロテトラシロキサンとオキシ-1,1'-ビス(2,2,2',2',3,3'-ヘキサトリメチルシリルオキシ)ネオペンタンとの混合物も挙げることができ、並びに
(ii)2~9個のケイ素原子を含有し、25℃にて5×10-6m2/s以下の粘度を有する、直鎖状の揮発性ポリジアルキルシロキサン。例は、特にToray Silicone社により名称SH 200で販売されているデカメチルテトラシロキサンである。この部類に属するシリコーンはまた、Cosmetics and Toiletries、第91巻、76年1月、27~32頁、Todd & Byers、Volatile Silicone Fluids for Cosmeticsに公表されている論文にも記載されている。該シリコーンの粘度は、ASTM規格445付録Cに従って25℃にて測定されている。
【0361】
不揮発性ポリジアルキルシロキサンも使用してもよい。これらの不揮発性シリコーンは、より詳細には、ポリジアルキルシロキサンから選ばれ、その中で、主としてトリメチルシリル末端基を含有するポリジメチルシロキサンを挙げることができる。
【0362】
これらのポリジアルキルシロキサンの中で、非限定的に以下の市販製品を挙げることができる:
- Rhodia社により販売されているSilbione(登録商標)油の47及び70 047シリーズ又はMirasil(登録商標)油、例としては70 047 V 500 000油、
- Rhodia社により販売されているMirasil(登録商標)シリーズの油、
- Dow Corning社製の200シリーズの油、例えば粘度が60,000mm2/sであるDC200、並びに
- General Electric社製のViscasil(登録商標)油、及びGeneral Electric社製のSFシリーズの特定の油(SF 96、SF 18)。
【0363】
名称ジメチコノール(CTFA)で知られる、ジメチルシラノール末端基を含有するポリジメチルシロキサン、例えばRhodia社製の48シリーズの油もまた挙げることができる。
【0364】
アリール基を含有するシリコーンの中で、ポリジアリールシロキサン、とりわけポリジフェニルシロキサン及びポリアルキルアリールシロキサン、例えばフェニルシリコーン油を挙げることができる。
【0365】
フェニルシリコーン油は、式:
【0366】
【化25】
【0367】
(式中、
R1~R10は、互いに独立して、飽和又は不飽和の、直鎖状、環状又は分枝状C1~C30炭化水素系の基、好ましくはC1~C12炭化水素系の基、より好ましくはC1~C6炭化水素系の基、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基であり、
m、n、p及びqは、互いに独立に、端点を含む0~900、好ましくは端点を含む0~500、より好ましくは端点を含む0~100の整数であり、
但し条件として和n+m+qは0以外である)
のフェニルシリコーンから選ぶことができる。
【0368】
挙げることができる例には、以下の名称で販売されている製品が挙げられる:
- Rhodia社製のSilbione(登録商標)油の70 641シリーズ、
- Rhodia社製のRhodorsil(登録商標)70 633及び763シリーズの油、
- Dow Corning社製の油Dow Corning 556 Cosmetic Grade Fluid、
- Bayer社製のPKシリーズのシリコーン、例えば製品PK20、
- General Electric社製のSFシリーズの特定の油、例えばSF 1023、SF 1154、SF 1250及びSF 1265。
【0369】
フェニルシリコーン油として、フェニルトリメチコン(上の式中、R1~R10はメチルであり、p、q、及びn=0、m=1)が好ましい。
【0370】
有機変性液状シリコーンは、とりわけ、ポリエチレンオキシ基及び/又はポリプロピレンオキシ基を含有しうる。そのため、信越化学工業株式会社により提案されているシリコーンKF-6017、及びUnion Carbide社製の油Silwet(登録商標)L722及びL77を挙げることができる。
【0371】
炭化水素油は、以下から選ぶことができる:
- 直鎖状又は分枝状の、任意選択で環状のC6~C16低級アルカン。挙げることができる例には、ヘキサン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン及びイソパラフィン、例としてはイソヘキサデカン、イソドデカン及びイソデカンが挙げられる、並びに
- 16個超の炭素原子を含有する直鎖状又は分枝状の炭化水素、例えば、流動パラフィン、流動石油ゼリー、ポリデセン及び水添ポリイソブテン、例えばParleam(登録商標)、及びスクアラン。
【0372】
炭化水素油の好ましい例として、例えば、直鎖状又は分枝状の炭化水素、例えばイソヘキサデカン、イソドデカン、スクアラン、鉱油(例えば流動パラフィン)、パラフィン、ワセリン又はペトロラタム、ナフタレン等;水添ポリイソブテン、イソエイコサン、及びデセン/ブテンコポリマー;並びにこれらの混合物を挙げることができる。
【0373】
脂肪族アルコールにおける用語「脂肪」は、比較的多数の炭素原子が含まれるものを意味する。そのため、4個以上、好ましくは6個以上、より好ましくは12個以上の炭素原子を有するアルコールが、脂肪族アルコールの範囲内に包含される。脂肪族アルコールは、飽和であっても不飽和であってもよい。脂肪族アルコールは、直鎖状であっても分枝状であってもよい。
【0374】
脂肪族アルコールは、構造R-OH(式中、Rは、4~40個の炭素原子、好ましくは6~30個の炭素原子、より好ましくは12~20個の炭素原子を含有する、飽和及び不飽和の、直鎖状及び分枝状の基から選ばれる)を有することができる。少なくとも1つの実施形態では、Rは、C12~C20アルキル基及びC12~C20アルケニル基から選ぶことができる。Rは、少なくとも1つのヒドロキシル基で置換されていてもよく、置換されていなくてもよい。
【0375】
脂肪族アルコールの例として、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ウンデシレニルアルコール、ミリスチルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、パルミトレイルアルコール、アラキドニルアルコール、エルシルアルコール、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0376】
脂肪族アルコールが飽和脂肪族アルコールであることが好ましい。
【0377】
そのため、脂肪族アルコールは、直鎖状又は分枝状の飽和又は不飽和C6~C30アルコール、好ましくは直鎖状又は分枝状の飽和C6~C30アルコール、より好ましくは直鎖状又は分枝状の飽和C12~C20アルコールから選択することができる。
【0378】
用語「飽和脂肪族アルコール」は、本明細書では、長鎖の脂肪族飽和炭素鎖を有するアルコールを意味する。飽和脂肪族アルコールが、任意の直鎖状又は分枝状の飽和C6~C30脂肪族アルコールから選択されることが好ましい。直鎖状又は分枝状の飽和C6~C30脂肪族アルコールの中で、直鎖状又は分枝状の飽和C12~C20脂肪族アルコールを、好ましくは使用することができる。任意の直鎖状又は分枝状の飽和C16~C20脂肪族アルコールを、より好ましくは使用することができる。分枝状C16~C20脂肪族アルコールを、更により好ましくは使用することができる。
【0379】
飽和脂肪族アルコールの例として、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ウンデシレニルアルコール、ミリスチルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、及びこれらの混合物を挙げることができる。一実施形態では、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、又はこれらの混合物(例えばセテアリルアルコール)、及びベヘニルアルコールを、飽和脂肪族アルコールとして使用することができる。
【0380】
少なくとも1つの実施形態によれば、本発明による組成物中で使用される脂肪族アルコールは、好ましくは、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、及びこれらの混合物から選ばれる。
【0381】
本発明によれば、(d)油は、複数の(a)粒子によって取り囲まれていてもよく、又は(d)油は、(a)粒子によって形成されたカプセルの中空内に存在してもよい。換言すると、(d)油は、(a)粒子によって覆われていてもよく、又は(a)粒子によって形成されたカプセルが、カプセルの中空内に(d)油を含む。
【0382】
(a)粒子によって取り囲まれた、又は(a)粒子によって形成されたカプセルの中空内に存在する(d)油は、皮膚等のケラチン物質と直接接触することができない。そのため、(d)油がべたつく又は油っぽい使用感を有する場合であっても、本発明による組成物は、べたつく又は油っぽい使用感を付与しないであろう。
【0383】
本発明による組成物中の(d)油の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上でもよい。
【0384】
本発明による組成物中の(d)油の量は、組成物の総質量に対して、50質量%以下、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下でもよい。
【0385】
本発明による組成物中の(d)油の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~50質量%、好ましくは0.05質量%~40質量%、より好ましくは0.1質量%~30質量%でもよい。
【0386】
[ポリオール]
本発明による組成物は、少なくとも1種のポリオールを含んでよい。2種以上のポリオールが使用される場合、それらは、同一であっても異なっていてもよい。
【0387】
用語「ポリオール」は、本明細書では、2つ以上のヒドロキシ基を有するアルコールを意味し、糖類又はその誘導体を包含しない。糖類の誘導体には、糖類の1つ又は複数のカルボニル基を還元することによって得られる糖アルコール、及び1つ又は複数のそのヒドロキシ基中の水素原子が、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、アシル基又はカルボニル基等の少なくとも1つの置換基で置き換えられている糖類又は糖アルコールが挙げられる。
【0388】
本発明において使用されるポリオールは、大気圧(760mmHg又は105Pa)下、25℃等の室温にて液体である。
【0389】
ポリオールは、少なくとも2つのヒドロキシ基、好ましくは2~5つのヒドロキシ基を含む、C2~24ポリオール、好ましくはC2~9ポリオールでもよい。
【0390】
ポリオールは、天然ポリオールであっても合成ポリオールであってもよい。ポリオールは、直鎖状、分枝状又は環状の分子構造を有してもよい。
【0391】
ポリオールは、グリセリン及びその誘導体、並びにグリコール及びその誘導体から選択することができる。ポリオールは、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、へキシレングリコール、C6~C24ポリエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール及び1,5-ペンタンジオールからなる群から選択することができる。
【0392】
本発明において使用される組成物中のポリオールの量は、組成物の総質量に対して、1質量%以上、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上でもよい。
【0393】
他方、本発明において使用される組成物中のポリオールの量は、組成物の総質量に対して、20質量%以下、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下でもよい。
【0394】
本発明において使用される組成物中のポリオールの量は、組成物の総質量に対して、1質量%~20質量%、好ましくは3質量%~15質量%、より好ましくは5質量%~10質量%の範囲でもよい。
【0395】
[任意選択の添加剤]
本発明による組成物は、前述の成分に加えて、化粧品に典型的に用いられる成分、具体的には、親水性又は親油性増粘剤、有機の揮発性又は不揮発性溶媒、例えば(d)油以外のエタノール、シリコーン及びシリコーン誘導体、動物又は植物に由来する天然抽出物、ワックス等を、本発明の効果を損なわない範囲内で含んでよい。
【0396】
本発明による組成物は、上記の任意選択の添加剤を、組成物の総質量に対して、0.01質量%~50質量%、好ましくは0.05質量%~30質量%、より好ましくは0.1質量%~10質量%の量で含んでよい。
【0397】
[組成物]
本発明による組成物は、化粧用組成物として使用されることが意図されうる。そのため、本発明による化粧用組成物は、ケラチン物質上への塗布が意図されうる。ケラチン物質は、本明細書では、ケラチンを主な構成要素として含有する物質を意味し、その例には、皮膚、頭皮、爪、唇、毛髪等が挙げられる。そのため、本発明による化粧用組成物が、ケラチン物質、詳細には皮膚のための化粧方法のために使用されることが好ましい。
【0398】
そのため、本発明による化粧用組成物は、皮膚化粧用組成物、好ましくはスキンケア組成物又は皮膚メイクアップ組成物、より好ましくはスキンケア組成物でもよい。
【0399】
本発明による組成物は、当業者に周知の方法のいずれかに従って、上記の必須成分と任意選択の成分とを混合することによって調製することができる。
【0400】
本発明による組成物は、撹拌機等の従来の混合手段を用いて、単純に又は容易に混合することによって調製することができる。そのため、例えばホモジナイザによる強力な剪断は必要ではない。また、加熱は必要ではない。
【0401】
本発明による組成物が(d)油を含む場合、油は、エマルション、O/Wエマルション又はW/Oエマルションの形態にあることができる。本発明による組成物が、O/Wエマルションの形態にあることが好ましく、その理由は、O/Wエマルションの形態が、その外相を形成する(c)水に起因して、清涼感を付与できるからである。
【0402】
[皮膜]
本発明による組成物は、皮膜を容易に調製するのに使用することができる。(a)粒子は、凝集し、合体して、連続皮膜となることができる。
【0403】
そのため、本発明はまた、
基質、好ましくはケラチン物質、より好ましくは皮膚上に、本発明による組成物を塗布する工程と、
該組成物を乾燥させる工程と
を含む、好ましくは1μm超、より好ましくは0.5μm以上、更により好ましくは1μm以上の厚さを任意選択で有する、皮膜、好ましくは化粧皮膜を調製する方法にも関する。
【0404】
本発明による皮膜の厚さの上限は限定されない。そのため、例えば、本発明による皮膜の厚さは、1mm以下、好ましくは500μm以下、より好ましくは300μm以下、更により好ましくは100μm以下でもよい。
【0405】
本発明による皮膜を調製する方法が、本発明による組成物を、基質、好ましくはケラチン物質、より好ましくは皮膚上に塗布する工程と、該組成物を乾燥させる工程とを含むことから、本発明による方法は、スピンコーティングすること又はスプレーすることを一切必要とせず、したがって、比較的厚い皮膜であっても、容易に調製することが可能である。そのため、本発明による皮膜を調製する方法は、スピンコーター及びスプレー機等の特殊な装置を一切用いずに、比較的厚い皮膜を調製することができる。
【0406】
本発明による皮膜が比較的厚い場合であっても、該皮膜は、依然として薄く、透明であることができ、したがって、容易に知覚されない場合がある。そのため、本発明による皮膜は、好ましくは化粧皮膜として使用することができる。
【0407】
基質が皮膚等のケラチン物質ではない場合、本発明による組成物は、ケラチン以外の任意の材料から作製された基質上に塗布することができる。非ケラチン基質の材料は限定されない。2種以上の材料を組み合わせて使用してもよい。そのため、単一のタイプの材料、又は異なるタイプの材料の組合せを使用することができる。いずれの場合でも、基質が可撓性又は弾性であることが好ましい。
【0408】
基質がケラチン物質ではない場合、該基質が水溶性であることが好ましく、その理由は、基質を水で洗浄することによって本発明による皮膜を残すことが可能であるからである。水溶性材料の例として、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール(PVA)、デンプン、酢酸セルロース等を挙げることができる。PVAが好ましい。
【0409】
非ケラチン基質がシートの形態にある場合、該基質は、基質シートに付着した皮膜の取り扱いを容易にするために、本発明による皮膜の厚さを超える厚さを有してもよい。非ケラチン基質シートの厚さは限定されないが、1μm~5mm、好ましくは10μm~1mm、より好ましくは50~500μmでもよい。
【0410】
本発明による皮膜が、非ケラチン基質から取り外し可能であることがより好ましい。取り外しの方式は限定されない。したがって、本発明による皮膜は、非ケラチン基質から剥がしてもよく、又は基質シートを水等の溶媒中に溶解することによって取り外してもよい。
【0411】
本発明はまた、
(1)基質、好ましくはケラチン物質、より好ましくは皮膚上に、本発明による組成物を塗布する工程と、
該組成物を乾燥させる工程と
を含む方法によって調製される、好ましくは0.1μm超、より好ましくは0.5μm以上、更により好ましくは1μm以上の厚さを任意選択で有する、皮膜、好ましくは化粧皮膜
並びに
(2)少なくとも1種のカチオン性ポリマー及び少なくとも1種のアニオン性ポリマー、
少なくとも1種のカチオン性ポリマー及び少なくとも1種の両性ポリマー、
少なくとも1種のアニオン性ポリマー及び少なくとも1種の両性ポリマー、又は
少なくとも1種の両性ポリマー;
少なくとも1種の、2つ以上のpKa値を有する非ポリマー酸若しくはその塩、又は
少なくとも1種の、2つ以上のpKb値を有する非ポリマー塩基若しくはその塩;
少なくとも1種の界面活性剤、好ましくは非イオン性界面活性剤、より好ましくはポリグリセリル脂肪酸エステル;
並びに
任意選択で少なくとも1種の油
を含む、好ましくは0.1μm超、より好ましくは0.5μm以上、更により好ましくは1μm以上の厚さを任意選択で有する、皮膜、好ましくは化粧皮膜であって、
該アニオン性ポリマーが、ヒアルロン酸及びその誘導体から選択され;並びに
該両性ポリマーが、カチオン化ヒアルロン酸及びその塩から選択される、
皮膜、好ましくは化粧皮膜
にも関する。
【0412】
カチオン性、アニオン性及び両性ポリマー、並びに上記の油に関する上記の説明は、上記の皮膜(1)及び(2)におけるものに当てはめることができる。
【0413】
このようにして上記で得られた皮膜は、自立性であることができる。用語「自立性」は、本明細書では、皮膜がシートの形態にあることができ、基質又は支持体の補助なしに独立したシートとして取り扱うことができることを意味する。そのため、用語「自立性」は、「自己支持性」と同じ意味を有することができる。
【0414】
本発明による皮膜が疎水性であることが好ましい。
【0415】
本明細書における用語「疎水性」は、20~40℃、好ましくは25~40℃、より好ましくは30~40℃でのポリマーの(好ましくは1リットルの体積の)水中溶解度が、ポリマーの総質量に対して、10質量%未満、好ましくは5質量%未満、より好ましくは1質量%未満、更により好ましくは0.1質量%未満であることを意味する。ポリマーが水に可溶でないことが最も好ましい。
【0416】
本発明による皮膜が疎水性である場合、該皮膜は、耐水特性を有することができ、したがって、該皮膜は、ケラチン物質の表面が例えば汗及び雨により濡れている場合であっても、皮膚等のケラチン物質上に残存することができる。そのため、本発明による皮膜が任意の化粧効果を提供する場合、化粧効果は長時間持続することができる。
【0417】
他方、本発明による皮膜は、8~12、好ましくは9~11のpH等のアルカリ性条件下で、皮膚等のケラチン物質から容易に除去することができる。したがって、本発明による皮膜は、水で除去することは困難であるが、その一方で、該皮膜は、そのようなアルカリ性条件をもたらすことができる石けんで容易に除去することができる。
【0418】
本発明による皮膜は、少なくとも1種の生体適合性及び/又は生分解性ポリマーの層を含んでよい。2種以上の生体適合性及び/又は生分解性ポリマーを組み合わせて使用してもよい。そのため、単一のタイプの生体適合性及び/若しくは生分解性ポリマー、又は異なるタイプの生体適合性及び/若しくは生分解性ポリマーの組合せを使用することができる。
【0419】
本明細書における用語「生体適合性」ポリマーは、ポリマーが、皮膚を含む生体内の細胞との間で過度な相互作用を有さず、ポリマーが、生体によって異物として認識されないことを意味する。
【0420】
本明細書における用語「生分解性」ポリマーは、ポリマーが、例えば生体自体の代謝、又は生体内に存在しうる微生物の代謝により、生体内で分解されうる又は分割されうることを意味する。また、生分解性ポリマーは、加水分解によって分解されうる。
【0421】
本発明による皮膜が生体適合性及び/又は生分解性ポリマーを含む場合、これは、皮膚への刺激が少ないか又は刺激がなく、発疹を一切起こさない。加えて、生体適合性及び/又は生分解性ポリマーの使用により、本発明による化粧シートは、皮膚によく粘着することができる。
【0422】
本発明による皮膜は、ケラチン物質、好ましくは皮膚、特定すると顔の、美容トリートメントのために使用することができる。本発明による皮膜は、任意の形状又は形態にあることができる。例えば、該皮膜は、フルフェイスマスクシート、又は頬、鼻、及び目の周り等の顔の一部用のパッチとして使用することができる。
【0423】
本発明による皮膜が、少なくとも1種の親水性又は水溶性UV遮蔽剤を含む場合、該皮膜は、親水性又は水溶性UV遮蔽剤に由来するUV遮蔽効果を付与することができる。通常、親水性又は水溶性UV遮蔽剤は、汗及び雨等の水によって皮膚等のケラチン基質の表面から除去されうる。しかしながら、親水性又は水溶性UV遮蔽剤が本発明による皮膜中に含まれることから、親水性又は水溶性UV遮蔽剤が水によって除去されることは困難であり、それにより、持続的UV遮蔽効果がもたらされる。
【0424】
[化粧方法及び使用]
本発明はまた、
ケラチン物質に、本発明による組成物を塗布する工程と、該組成物を乾燥させて、ケラチン物質上に化粧皮膜を形成する工程とを含む、皮膚等のケラチン物質のための化粧方法、及び
本発明による組成物の、皮膚等のケラチン物質上に化粧皮膜を調製するための、使用
にも関する。
【0425】
化粧方法は、本明細書では、皮膚等のケラチン物質の表面をケアする及び/又はメイクアップするための非治療的化粧方法を意味する。
【0426】
上記の方法と使用との両方において、上記の化粧皮膜は、7以下のpHを有する水に耐性があり、7超、好ましくは8以上、より好ましくは9以上のpHを有する水で除去可能である。
【0427】
換言すると、上記の化粧皮膜は、7以下、好ましくは6以上で7以下の範囲、より好ましくは5以上で7以下の範囲のpH等の中性又は酸性条件下で耐水性であることができ、その一方で、上記の化粧皮膜は、7超、好ましくは8以上、より好ましくは9以上のpH等のアルカリ性条件下で除去することができる。pHの上限は、好ましくは13、より好ましくは12、更により好ましくは11である。
【0428】
これに応じて、上記の化粧皮膜は、耐水性であることができ、したがって、該化粧皮膜は、ケラチン物質の表面が例えば汗及び雨に起因して濡れている場合であっても、皮膚等のケラチン物質上に残存することができる。他方、上記の化粧皮膜は、アルカリ性条件下で、皮膚等のケラチン物質から容易に除去することができる。したがって、本発明による皮膜は、水で除去することは困難であるが、その一方で、該皮膜は、アルカリ性条件をもたらすことができる石けんで容易に除去することができる。
【0429】
上記の化粧皮膜が、本発明による組成物中に存在しうるUV遮蔽剤を含む場合、上記の化粧皮膜は、UV線から皮膚等のケラチン物質を保護し、それにより、皮膚の黒ずみを抑え、肌の色及び均一性を改善し、並びに/又は皮膚の老化を処置することができる。
【0430】
更に、上記の化粧皮膜は、化粧皮膜が化粧有効成分を一切含まない場合であっても、化粧皮膜中のポリイオンコンプレックス粒子の性質に起因して、皮脂を捕捉する、皮膚等のケラチン物質の外観にマット感を付与する、悪臭を吸収する若しくは吸着する、及び/又は例えば汚れ若しくは汚染物質からケラチン物質を保護する等の化粧効果を有することができる。
【0431】
加えて、上記の化粧皮膜は、化粧皮膜が化粧有効成分を一切含まない場合であっても、皮膚上の光反射を変化させること等によって皮膚の外観を即座に変化させる又は修正することができる。したがって、上記の化粧皮膜が毛穴又はしわ等の皮膚の欠陥を隠すことが可能でありうる。更に、上記の化粧皮膜は、皮膚上の表面粗さ等を変化させることによって、皮膚の触感を即座に変化させる又は修正することができる。更に、上記の化粧皮膜は、環境ストレス、例えば汚染物質、夾雑物等から、バリアーとして、皮膚の表面を覆い、皮膚を遮蔽することによって、皮膚を即座に保護することができる。
【0432】
上記の化粧効果は、上記の化粧皮膜の化学組成、厚さ及び/又は表面粗さを変化させることによって調整することができる又は制御することができる。
【0433】
上記の化粧皮膜が、(c)油以外の少なくとも1種の追加の化粧有効成分を含む場合、該化粧皮膜は、その追加の化粧有効成分によってもたらされる化粧効果を有することができる。例えば、化粧皮膜が、抗老化剤、皮脂抑制剤、デオドラント剤、発汗抑制剤、白色剤及びそれらの混合物から選択される少なくとも1種の化粧有効成分を含む場合、該化粧皮膜は、皮膚の老化を処置し、皮膚上の皮脂を吸収し、皮膚上の匂いを制御し、皮膚上の発汗を制御し、及び/又は皮膚を白色化することができる。
【0434】
本発明による化粧皮膜又は化粧シートが皮膚に適用された後に、メイクアップ化粧用組成物をその上に適用することもまた可能である。
【実施例0435】
本発明は、実施例によって、より詳細に記載されることになる。しかしながら、それらは、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0436】
(実施例1及び比較例1)
[調製]
実施例1及び比較例1による組成物のそれぞれを、表1に示す成分を混合して調製した。表1中の成分の量についての数値は全て、活性材料の「質量%」に基づく。
【0437】
【表1】
【0438】
[評価]
(保湿テクスチャ)
3人のパネリストが、保湿感の点で、組成物の塗布中と塗布後とのタイミングで、実施例1及び比較例1による組成物のそれぞれのテクスチャを評価した。詳細には、各パネリストが各組成物を自身の手の上に塗布し、それを延ばして保湿感を評価し、1(低)~5(高)に格付けした。次いで、それを、格付けの平均に基づいて以下の4つのカテゴリーに分類した:
非常に良好:4~5
良好:3~4未満
不良:2超で3未満
非常に不良:1~2
【0439】
結果を表1に示す。
【0440】
(べたつき)
3人のパネリストが、べたつきの点で、組成物の塗布中と塗布後とのタイミングで、実施例1及び比較例1による組成物のそれぞれのテクスチャを評価した。詳細には、各パネリストが各組成物を自身の手の上に塗布し、それを延ばしてべたつきを評価し、1(低)~5(高)に格付けした。次いで、それを、格付けの平均に基づいて以下の4つのカテゴリーに分類した:
非常に良好:4~5
良好:3~4未満
不良:2超で3未満
非常に不良:1~2
【0441】
結果を表1に示す。
【0442】
(持続性)
パネリストの前腕をハンドソープで洗浄した。この試験のための前腕の皮膚の領域をマークした。マークした領域の寸法は4cm×4cmとした。
【0443】
各組成物32μlを、マークした領域上に塗布し、指サックをはめた1本の指で広げた。マークした領域を完全に乾燥させて、室温にて10分超放置した。マークした領域上の接触角[T=0]を、モバイル表面分析器(KRUSS Corp.社によるMSA-flex)で測定した。
【0444】
マークした領域を水道水(各領域につき300ml)で濯ぎ落とした。マークした領域を再び完全に乾燥させて、室温にて10分超放置した。マークした領域上の接触角[T=10]を、モバイル表面分析器(KRUSS Corp.社によるMSA-flex)で再び測定した。
【0445】
接触角[T=10]と接触角[T=0]との間の変化を、以下の基準に従って評価した:
非常に良好:30°未満
良好:30°~50°未満
不良:50°~70°未満
非常に不良:70°以上
【0446】
結果を表1に示す。
【0447】
実施例1と比較例1との間の比較から、界面活性剤の、ヒアルロン酸ナトリウム、ポリリジン及びフィチン酸により形成されたポリイオンコンプレックス粒子との組合せにおける使用が、保湿テクスチャ及び持続的効果を改善できることが明らかである。
【0448】
(実施例2~3及び比較例2)
[調製]
実施例2~3及び比較例2による組成物のそれぞれを、表2に示す成分を混合して調製した。表2中の成分の量についての数値は全て、活性材料の「質量%」に基づく。
【0449】
【表2】
【0450】
[評価]
(保湿テクスチャ)
3人のパネリストが、保湿感の点で、組成物の塗布中と塗布後とのタイミングで、実施例2~3及び比較例2による組成物のそれぞれのテクスチャを評価した。詳細には、各パネリストが各組成物を自身の手の上に塗布し、それを延ばして保湿感を評価し、1(低)~5(高)に格付けした。次いで、それを、格付けの平均に基づいて以下の4つのカテゴリーに分類した:
非常に良好:4~5
良好:3~4未満
不良:2超で3未満
非常に不良:1~2
【0451】
結果を表2に示す。
【0452】
(べたつき)
3人のパネリストが、べたつきの点で、組成物の塗布中と塗布後とのタイミングで、実施例2~3及び比較例2による組成物のそれぞれのテクスチャを評価した。詳細には、各パネリストが各組成物を自身の手の上に塗布し、それを延ばしてべたつきを評価し、1(低)~5(高)に格付けした。次いで、それを、格付けの平均に基づいて以下の4つのカテゴリーに分類した:
非常に良好:4~5
良好:3~4未満
不良:2超で3未満
非常に不良:1~2
【0453】
結果を表2に示す。
【0454】
(持続性)
パネリストの前腕をハンドソープで洗浄した。この試験のための前腕の皮膚の領域をマークした。マークした領域の寸法は4cm×4cmとした。
【0455】
各組成物32μlを、マークした領域上に塗布し、指サックをはめた1本の指で広げた。マークした領域を完全に乾燥させて、室温にて10分超放置した。マークした領域上の接触角[T=0]を、モバイル表面分析器(KRUSS Corp.社によるMSA-flex)で測定した。
【0456】
マークした領域を水道水(各領域につき300ml)で濯ぎ落とした。マークした領域を再び完全に乾燥させて、室温にて10分超放置した。マークした領域上の接触角[T=10]を、モバイル表面分析器(KRUSS Corp.社によるMSA-flex)で再び測定した。
【0457】
接触角[T=10]と接触角[T=0]との間の変化を、以下の基準に従って評価した:
非常に良好:30°未満
良好:30°~50°未満
不良:50°~70°未満
非常に不良: 70°以上
【0458】
結果を表2に示す。
【0459】
実施例2と比較例2との間の比較から、界面活性剤の、ヒアルロン酸ナトリウム、ポリリジン及びフィチン酸により形成されたポリイオンコンプレックス粒子との組合せにおける使用が、保湿テクスチャ及び持続的効果を改善できることが明らかである。
【0460】
実施例3は、実施例2による組成物中のポリオールの使用が、保湿テクスチャを更に増強できることを明示している。
【外国語明細書】