(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023009031
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】圧延機チョッククリアランスのオンライン検出装置及び検出方法
(51)【国際特許分類】
B21B 31/02 20060101AFI20230112BHJP
B21B 28/02 20060101ALI20230112BHJP
B21B 38/10 20060101ALI20230112BHJP
【FI】
B21B31/02 A
B21B28/02 Z
B21B38/10 Z
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022109180
(22)【出願日】2022-07-06
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-08-16
(31)【優先権主張番号】202110763480.7
(32)【優先日】2021-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】514276562
【氏名又は名称】燕山大学
【氏名又は名称原語表記】YANSHAN UNIVERSITY
【住所又は居所原語表記】No. 438, Hebei Street, Haigang District, Qinhuangdao City, HeBei 066004 P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】▲しん▼ 建康
(72)【発明者】
【氏名】彭 艶
(72)【発明者】
【氏名】孫 建亮
(57)【要約】 (修正有)
【課題】過酷な圧延現場で長期に安定して動作し、各圧延ロールチョックの位置情報をオンラインで監視することができる、圧延機チョッククリアランスのオンライン検出装置及び検出方法を提供する。
【解決手段】検出装置は、ケース401、エンドカバー402、ボール403、バッフル404、インナーシールリング405、弧面ガスケット406、アウターシールリング407、スプリング408、センサ409、ケーブル410、ボルト411、スプリングワッシャ412を含み、圧延機ハウジング用ウェアライナー3内に取り付けられる。圧延機のロール交換中には、圧延ロールが抜き出される時に、検出装置のボールは、スプリングから作用される力を受けて外に飛び出し、圧延ロールの組み込み時に、検出装置のボールは、チョック用ウェアライナーから作用される力を受けて検出装置内に押し込まれる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧延機チョックのクリアランスをオンラインで検出する検出装置であって、前記検出装置は、圧延機ハウジング用ウェアライナー内に取り付けられ、前記検出装置は、ケース、エンドカバー、ボール、バッフル、インナーシールリング、弧面ガスケット、アウターシールリング、弾性体及びセンサを含み、
前記ケースは、前記圧延機ハウジング用ウェアライナー内に取り付けられ、前記ケース上に前記アウターシールリングが取り付けられており、前記ケース内には、前記センサ、前記弾性体、前記弧面ガスケット、前記ボール、前記バッフル及び前記エンドカバーが順次に取り付けられ、前記弧面ガスケット及び前記バッフルには、それぞれ前記インナーシールリングが取り付けられており、前記センサは、前記ケースの内孔の底面に接触し、前記弾性体は、前記センサと前記弧面ガスケットとの間に位置し、前記弾性体は、変位を力に変換することで、前記センサによってリアルタイムの力の変化が収集され、更に、変位の大きさを反映したリアルタイムの力信号が出力されることを可能にするためのものであり、前記センサの出力端は、リアルタイムの力信号の出力を行うためにケーブルに接続され、前記ボールと前記バッフルとは、固定接続されるとともに、前記弧面ガスケットの位置する側にあり、前記エンドカバーと前記ケースとは、互いに接続され、前記エンドカバーは、取り付けられた後、その外面が前記ケースの外端面よりも低くなり、前記ケースは、取り付けられた後、その外端面が前記圧延機ハウジング用ウェアライナーの外面よりも低くなり、自由状態では、前記検出装置の前記ボールにおける前記圧延機ハウジング用ウェアライナーに隣接する側面は、前記圧延機ハウジング用ウェアライナーの外面の外側に位置し、圧延機のロール交換中に、前記ボールは、前記弾性体から作用される力を受けて外へ飛び出し、前記バッフル及び前記エンドカバーは、共同で位置規制の役割を果たし、圧延ロールの組み込み時に、前記ボールは、圧延ロールチョック用ウェアライナーから作用される力を受けて前記検出装置内に押し込まれ、圧延機の生産中に、前記圧延ロールチョック用ウェアライナーの水平方向変位の変化は、前記ボール及び前記弧面ガスケットを介して前記弾性体に伝達され、前記弾性体によって変位の変化が力の変化に変換され、前記センサから、変位を反映可能なリアルタイムの力信号が出力され、
前記圧延ロールチョック用ウェアライナーの何れにも、横方向油溝及び縦方向油溝が設けられており、隣接する2つの前記横方向油溝の間隔をHとし、隣接する2つの前記縦方向油溝の間隔をVとし、各々の前記圧延機ハウジング用ウェアライナーに4つの前記検出装置が取り付けられており、4つの前記検出装置は、取り付け位置がウェアライナーの四隅に位置するとともに、前記圧延ロールチョック用ウェアライナーの対応した位置に位置可能とされることで、圧延ロールチョックの変位を検出可能となり、4つの前記検出装置には、第一検出装置、第二検出装置、第三検出装置及び第四検出装置が含まれ、前記第一検出装置と第二検出装置との間の横方向距離、及び、第三検出装置と第四検出装置との間の横方向距離をh、縦方向距離をbとし、前記第一検出装置と第三検出装置との間の横方向距離、及び、第二検出装置と第四検出装置との間の横方向距離をa、縦方向距離をvとし、横方向距離a及び縦方向距離bは30~50mmであり、横方向距離h±50mmと横方向油溝の間隔Hの整数倍との間、及び、縦方向距離v±50mmと縦方向油溝の間隔Vの整数倍との間に差があることで、オンライン検出時に、多くとも1つの前記検出装置の検出位置が前記圧延ロールチョック用ウェアライナーの油溝内に位置することを保証される、ことを特徴とする圧延機チョッククリアランスのオンライン検出装置。
【請求項2】
前記圧延機ハウジング用ウェアライナーにおける
圧延機ハウジングに接触する側には、ケーブルを引き出すための配線溝が開設されている、ことを特徴とする請求項1に記載の圧延機チョッククリアランスのオンライン検出装置。
【請求項3】
前記ケースは、ボルト及び弾性ワッシャを介して前記圧延機ハウジング用ウェアライナー内に取り付けられ、前記ケースは、長さが20mm未満、外径が20~30mm、内径が15~24mmであり、ケースの外面には、前記アウターシールリングを取り付けるための環状溝が2つ設けられており、
前記弧面ガスケット及び前記バッフルには、それぞれ、前記インナーシールリングを取り付けるための環状溝が1つ設けられており、
前記エンドカバーと前記ケースとが螺接され、
前記ケーブルが前記ケースから引き出された後、前記ケースの底部の孔におけるケーブルの周りには、シールのためにシーラントが塗布される、ことを特徴とする請求項1に記載の圧延機チョッククリアランスのオンライン検出装置。
【請求項4】
前記センサは、圧磁式センサ、圧電式センサ又は抵抗歪み式センサであり、
前記弾性体は、スプリングである、ことを特徴とする請求項1に記載の圧延機チョッククリアランスのオンライン検出装置。
【請求項5】
前記エンドカバーは、取り付けられた後、その外面が前記ケースの外端面よりも0.1~0.3mm低くなり、前記ケースは、取り付けられた後、その外端面が前記圧延機ハウジング用ウェアライナーの外面よりも0.2~0.5mm低くなり、自由状態では、検出装置の前記ボールの底面は、前記圧延機ハウジング用ウェアライナーの外面よりも2~3mm高くなる、ことを特徴とする請求項1に記載の圧延機チョッククリアランスのオンライン検出装置。
【請求項6】
請求項1に記載の圧延機チョッククリアランスのオンライン検出装置に基づいて圧延機チョックのクリアランスをオンラインで検出する検出方法であって、
各々の圧延機ハウジング用ウェアライナーに4つの検出装置をそれぞれ取り付け、4つの検出装置を較正するステップS1と、
4つの検出装置のセンサを用いて、変位を表すことの可能な力信号を取得し、圧延機の生産中に、ボール及び弧面ガスケットを介して圧延ロールチョック用ウェアライナーの水平方向変位の変化を弾性体に伝達し、弾性体が変位の変化を力の変化に変換し、センサからは、変位を表すことの可能なリアルタイムの力信号を上位機に出力し、上位機が当該力信号を変位信号に変換するステップS2と、
オンライン検出中に、4つの検出装置のうち、変位信号の最も小さいものを除外し、残りの3つの検出装置のリアルタイムの変位信号に対して平均値計算を行って変位平均値を得て、当該変位平均値を、検出された圧延機チョックとハウジングとのクリアランス値として出力するステップS3とを含む、ことを特徴とする圧延機チョッククリアランスのオンライン検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冶金機械設備の自動化測定の分野に関し、特に、圧延機チョッククリアランスのオンライン検出装置及び検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
圧延ロールチョックとハウジングとの間のクリアランス値の合理的な選択は、圧延機が正常に生産できる前提になっている。例えば板条圧延機では、クリアランスが小さすぎると、圧延ロールを圧延機に組み込めないか、又は組み込んだ後に抜き出せずに正常なロール交換に影響してしまう一方で、クリアランスが大きすぎると、圧延機の水平剛性に影響し、その結果、圧延機が振動して、板条材の厚さに明らかなバラツキが発生し、板条材の表面に明暗が互い違いになった縞模様が生じ、製品の品質に影響を与え、ひいては、板条切れの事故が起ってしまうとともに、圧延ロールの摩耗が加速され、最終的に設備の保守、圧延の安定した進行及び製品の品質の何れにも悪影響をもらたしてしまう。
【0003】
クリアランス値の通常の検出については、外径マイクロメータ又は矩形ゲージを用いてチョックの両ライナー面間の幅寸法(チョック開口寸法とも呼ばれる)の簡単な測定が可能であり、当今、現場では、3Dレーザトラッカを用いて空間的な幾何学的要素の測定点情報を取得するのが一般的である。従来のクリアランス値測定及び制御戦略には、以下の欠点がある。先ず、チョック幅及びハウジングの開口度については、定期的な検出になっており、クリアランス制御のリアルタイム性を保証できず、次に、クリアランス制御基準の策定は、主に経験に基づいており、圧延ロールが圧延機に組み込めないことやロール交換時に抜き出せないことを避けるために、クリアランスの許容範囲の下限を大きく制御しすぎて、圧延機の振動が発生してしまい、さらに、圧延中に各圧延ロールの伝動側の入口及び出口、操作側の入口及び出口の4つの位置でのクリアランスが動的に変化しており、各圧延ロールの両端がそれぞれどちら側にオフセットしているか、又は圧延ロールの交差が発生しているかのような状況は、リアルタイムに観測できない。
【0004】
これらの問題に対して、圧延機チョックとハウジングとの間のクリアランスをリアルタイムに取得する方法が出ており、当該方法は、センサを用いてこのクリアランス値の変化をオンラインで検出し、クリアランス制御への指導としての役割を果たす。しかし、圧延現場における大量の冷却水や油汚れ等の影響により、動作環境が非常に過酷となり、レーザ変位センサ、渦電流変位センサ、磁歪み式変位センサ、プルロープ(プルロッド)式変位センサ等の通常検出装置は、長期に安定して動作できない。そして、圧延機ハウジングとチョックとのクリアランス情報の検出装置の本体構造も出ており、圧延機ハウジングとチョックとのクリアランス情報のリアルタイム取得を実現した前提で、動作環境の非常に過酷な圧延現場で長期に安定して動作でき、特に現場における大量の冷却水によるセンサへの損害を回避可能となるが、ロールを交換するたびにセンサの着脱が必要となり、圧延機の頻繁なロール交換によって、当該検出装置の工業現場への幅広い応用が制約されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記先行技術に存在する問題に鑑みて、本発明の目的は、過酷な圧延現場で長期に安定して動作し、各圧延ロールチョックの位置情報をオンラインで監視することができるとともに、圧延機のロール交換に影響することなく、圧延機ハウジングとチョックとのクリアランスの制御への指導としての役割を果たすことができ、更に、圧延機の振動の減少、圧延ロールの摩耗の低減及び製品の品質の向上に重要な意義を持つ圧延機チョッククリアランスのオンライン検出装置及び検出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、その課題を解決するために採用された技術案が、以下の通りである。
【0007】
具体的に、本発明は、圧延機チョックのクリアランスをオンラインで検出する検出装置であって、前記検出装置は、圧延機ハウジング用ウェアライナー内に取り付けられ、前記検出装置は、ケース、エンドカバー、ボール、バッフル、インナーシールリング、弧面ガスケット、アウターシールリング、弾性体及びセンサを含み、
前記ケースは、圧延機ハウジング用ウェアライナー内に取り付けられ、前記ケース上に前記アウターシールリングが取り付けられており、前記ケース内には、前記センサ、前記スプリング、前記弧面ガスケット、前記ボール、前記バッフル及び前記エンドカバーが順次に取り付けられ、前記弧面ガスケット及び前記バッフルには、それぞれインナーシールリングが取り付けられており、前記センサは、前記ケースの内孔の底面に接触し、前記弾性体は、前記センサと前記弧面ガスケットとの間に位置し、前記弾性体は、変位を力に変換することで、前記センサによってリアルタイムの力の変化が収集され、更に、変位の大きさが反映されることを可能にするためのものであり、前記センサの出力端は、リアルタイムの力信号の出力を行うために前記ケーブルに接続され、前記ボールと前記バッフルとは、固定接続されるとともに、前記弧面ガスケットの位置する側にあり、前記エンドカバーと前記ケースとは、互いに接続され、前記エンドカバーは、取り付けられた後、その外面が前記ケースの外端面よりも低くなり、前記ケースは、取り付けられた後、その外端面が圧延機ハウジング用ウェアライナーの外面よりも低くなり、自由状態では、検出装置の前記ボールにおける圧延機ハウジング用ウェアライナーに隣接する側面は、圧延機ハウジング用ウェアライナーの外面の外側に位置し、圧延機のロール交換中に、ボールは、スプリングから作用される力を受けて外に飛び出し、バッフル及びエンドカバーは、共同で位置規制の役割を果たし、圧延ロールの組み込み時に、ボールは、圧延ロールチョック用ウェアライナーから作用される力を受けて検出装置内に押し込まれ、圧延機の生産中に、圧延ロールチョック用ウェアライナーの水平方向変位の変化は、ボール及び弧面ガスケットを介してスプリングに伝達され、スプリングによって変位の変化が力の変化に変換され、センサから、変位を反映可能なリアルタイムの力信号が出力され、
圧延ロールチョック用ウェアライナーの何れにも、横方向油溝及び縦方向油溝が設けられており、隣接する2つの横方向油溝の間隔をHとし、隣接する2つの縦方向油溝の間隔をVとし、各々の圧延機ハウジング用ウェアライナーに4つの前記検出装置が取り付けられており、4つの前記検出装置は、取り付け位置がウェアライナーの四隅に位置するとともに、圧延ロールチョック用ウェアライナーの対応した位置に位置可能とされることで、圧延ロールチョックの変位を検出可能となり、4つの検出装置には、第一検出装置、第二検出装置、第三検出装置及び第四検出装置が含まれ、前記第一検出装置と第二検出装置との間の横方向距離、及び、第三検出装置と第四検出装置との間の横方向距離をh、縦方向距離をbとし、前記第一検出装置と第三検出装置との間の横方向距離、及び、第二検出装置と第四検出装置との間の横方向距離をa、縦方向距離をvとし、横方向距離a及び縦方向距離bは30~50mmであり、横方向距離h±50mmと横方向油溝の間隔Hの整数倍との間、及び、縦方向距離v±50mmと縦方向油溝の間隔Vの整数倍との間に差があることで、オンライン検出時に、多くとも1つの前記検出装置の検出位置が圧延ロールチョック用ウェアライナーの油溝内に位置することを保証される、圧延機チョッククリアランスのオンライン検出装置を提供する。
【0008】
好ましくは、前記圧延機ハウジング用ウェアライナーにおける圧延機ハウジングに接触する側には、ケーブルを引き出すための配線溝が開設されている。
【0009】
好ましくは、前記ケースは、前記ボルト及び前記弾性ワッシャを介して圧延機ハウジング用ウェアライナー内に取り付けられ、前記ケースは、長さが20mm未満、外径が20~30mm、内径が15~24mmであり、ケースの外面には、前記アウターシールリングを取り付けるための環状溝が2つ設けられている。
【0010】
好ましくは、前記弧面ガスケット及び前記バッフルには、それぞれ、前記インナーシールリングを取り付けるための環状溝が1つ設けられている。
【0011】
好ましくは、前記エンドカバーと前記ケースとが螺接される。
【0012】
好ましくは、前記ケーブルが前記ケースから引き出された後、前記ケースの底部の孔におけるケーブルの周りには、シールのためにシーラントが塗布される。
【0013】
好ましくは、前記センサは、圧磁式センサ、圧電式センサ又は抵抗歪み式センサである。
【0014】
好ましくは、前記弾性体は、スプリングである。
【0015】
好ましくは、前記エンドカバーは、取り付けられた後、その外面が前記ケースの外端面よりも0.1~0.3mm低くなり、前記ケースは、取り付けられた後、その外端面が圧延機ハウジング用ウェアライナーの外面よりも0.2~0.5mm低くなり、自由状態では、検出装置の前記ボールの底面は、圧延機ハウジング用ウェアライナーの外面よりも2~3mm高くなる。
【0016】
好ましくは、本発明は、圧延機チョックのクリアランスをオンラインで検出する検出方法であって、
各々の圧延機ハウジング用ウェアライナーに4つの検出装置をそれぞれ取り付け、4つの検出装置を較正するステップS1と、
4つの検出装置のセンサを用いて、変位を表すことの可能な力信号を取得し、圧延機の生産中に、ボール及び弧面ガスケットを介して圧延ロールチョック用ウェアライナーの水平方向変位の変化をスプリングに伝達し、スプリングが変位の変化を力の変化に変換し、センサからは、変位を表すことの可能なリアルタイムの力信号を上位機に出力し、上位機が当該力信号を変位信号に変換するステップS2と、
オンライン検出中に、4つの検出装置のうち、変位信号の最も小さいものを除外し、残りの3つの検出装置のリアルタイムの変位信号に対して平均値計算を行って変位平均値を得て、当該変位平均値を、検出された圧延機チョックとハウジングとのクリアランス値として出力するステップS3とを含む、圧延機チョッククリアランスのオンライン検出方法を更に提供する。
【発明の効果】
【0017】
先行技術に比べて、本発明における圧延機チョッククリアランスのオンライン検出装置は、その有益な効果が以下の通りである。
1、本発明は、圧延機ハウジングと圧延ロールチョックとの間のクリアランスをオンラインで検出し、圧延機ハウジングとチョックとのクリアランス情報のリアルタイム取得を実現することができ、圧延機ハウジングとチョックとのクリアランスの制御への指導としての役割を果たすことができる。
2、本発明は、動作環境が非常に過酷な圧延現場で、ロールシフト及び現場の頻繁なロール交換の影響を受けることなく、長期に安定して動作できる。
3、本発明は、各チョックの位置の動的な変化、例えば圧延ロールの交差現象が存在するかをオンライン検出し、それに対して適切な調整が行われるように指導することができる。
4、本発明は、圧延機動作時におけるチョックの水平方向の振動情報をリアルタイムに取得して、設備及びプロセスの調整を指導することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本発明による圧延機チョッククリアランスのオンライン検出装置における圧延機に対する検出装置の取り付け位置の模式図である。
【
図2】
図2は、本発明による圧延機チョッククリアランスのオンライン検出装置の内部断面図である。
【
図3】
図3は、本発明による圧延機チョッククリアランスのオンライン検出装置における圧延機ハウジング用ウェアライナー上での検出装置の分布位置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、図面を参照しながら、本発明に係る例示的な実施例、特徴及び態様を詳しく説明する。図面において、同一又は類似の機能を持つ部材に同じ符号を付けている。図面は、実施例に係る様々な態様を示しているが、特別な説明がなければ、必ずしも比例通りに描かれたものではない。
【0020】
図1に示すように、検出装置4は、圧延機ハウジング5上の圧延機ハウジング用ウェアライナー3内に取り付けられ、圧延ロールチョック1上の圧延ロールチョック用ウェアライナー2と圧延機ハウジング5上の圧延機ハウジング用ウェアライナー3との間のクリアランスをオンラインでリアルタイムに検出するために用いられる。
【0021】
図2に示すように、圧延機チョッククリアランスのオンライン検出装置は、ケース401、エンドカバー402、ボール403、バッフル404、インナーシールリング405、弧面ガスケット406、アウターシールリング407、スプリング408、センサ409、ケーブル410、ボルト411及び弾性ワッシャ412を含む。ケース401は、材質がステンレス鋼、長さが20mm、外径が20~30mm、内径が15~24mm、底部の厚さが3mm超である。底部の中心には、ケーブル410を引き出すための直径2~5mmの貫通孔が加工されており、ケーブル410は、工事現場における他の因素による検出信号への干渉を避けるために、シールドケーブルとされており、貫通孔及びケーブル410の周りには、シールのためにシーラントが塗布される。底部の貫通孔と縁部との間には、2つの細目ネジ孔M2、M3が加工されており、2つのネジ孔は、ケース401の軸線に対して円周方向に沿って180°を成して配列され、ケース401の外面には、アウターシールリング407を取り付けるための2つの環状溝が加工されている。圧延機ハウジング用ウェアライナー3上には、階段孔が加工され、直径の大きい方の第一階段孔は、検出装置4を取り付けるためのもので、直径の小さい方の第二階段孔は、ケーブル410を引き出すためのものであり、階段孔の軸線に対して円周方向に沿って180°を成して配列されるように、ボルト411及び弾性ワッシャ412を取り付けるための階段貫通孔が2つ加工されており、それらの位置及び寸法については、ケース401の底部の貫通孔と縁部との間に加工された2つの細目ネジ孔M2、M3を参照されたく、検出装置4は、ボルト411及び弾性ワッシャ412を介して圧延機ハウジング用ウェアライナー3内に取り付けられる。ケース401内には、センサ409、スプリング408、弧面ガスケット406、ボール403、バッフル404、エンドカバー402が順次に取り付けられ、センサ409は、ケース401の内孔の底面に接触し、センサ409の検出信号は、ケーブル410によって出力され、センサ409は、圧磁式センサ、圧電式センサ又は抵抗歪み式センサで、その保護レベルがIP66以上であってもよい。スプリング408は、センサ409と弧面ガスケット406との間にあり、スプリング408の主な役割としては、変位を力に変換することで、センサ409によって力の変化が収集され、更に、変位の大きさが表されることを可能にするのである。したがって、スプリング408としては、他のタイプの弾性体が採用されてもよい。ボール403とバッフル404とは、接着又は溶接によって固定接続され、弧面ガスケット406及びバッフル404には、それぞれ、インナーシールリング405を取り付けるための1つの環状溝が加工されている。エンドカバー402は、ケース401に螺接され、エンドカバー402は、取り付けられた後、その外面がケースの外端面よりも0.1~0.3mm低くなるべきであり、ケース401は、取り付けられた後、その外端面が圧延機ハウジング用ウェアライナー3の外面よりも0.2~0.5mm低くなるべきであり、自由状態では、検出装置4のボール403は、圧延機ハウジング用ウェアライナー3の外面よりも2~3mm高くなるべきである。エンドカバー402、ボール403及びバッフル404は、材質がステンレス鋼である。
【0022】
図3に示すように、各々の圧延機ハウジング用ウェアライナー3に4つの検出装置4が取り付けられ、それらの取り付け位置については、圧延機ハウジング用ウェアライナー3の横方向及び縦方向の隅部、本実施例では、横方向及び縦方向の1/4の付近にそれぞれ取り付けるとともに、検出装置4が圧延ロールチョック用ウェアライナー2の対応した位置に位置可能であることを保証する必要があり、こうすれば、圧延ロールチョック用ウェアライナー2の変位を測定可能となり、圧延機ハウジング用ウェアライナー3における圧延機ハウジング5に接触する側には、ケーブル410を引き出すための配線溝が加工され、検出装置4は、使用に供される前に較正されておく必要がある。圧延ロールチョック用ウェアライナー2の何れにも、横方向油溝及び縦方向油溝が設けられており、隣接する2つの横方向油溝の間隔をHとし、隣接する2つの縦方向油溝の間隔をVとし、各々の圧延機ハウジング用ウェアライナーに4つの前記検出装置4が取り付けられ、4つの前記検出装置4の取り付け位置は、それぞれ、ウェアライナーの横方向及び縦方向の1/4の附近に位置し、4つの検出装置4には、第一検出装置、第二検出装置、第三検出装置及び第四検出装置が含まれ、前記第一検出装置と第二検出装置との間の横方向距離、及び、第三検出装置と第四検出装置との間の横方向距離をh、縦方向距離をbとし、前記第一検出装置と第三検出装置との間の横方向距離、及び、第二検出装置と第四検出装置との間の横方向距離をa、縦方向距離をvとし、横方向距離a及び縦方向距離bは30~50mmであり、横方向距離h±50mmと横方向油溝の間隔Hの整数倍との間、及び、縦方向距離v±50mmと縦方向油溝の間隔Vの整数倍との間に差があることで、オンライン検出時に、多くとも1つの前記検出装置の検出位置が圧延ロールチョック用ウェアライナー2の油溝内に位置することを保証される。
【0023】
オンライン検出中に、4つの検出装置4のうち、信号の最も小さいものを除外し、他の3つのリアルタイム検出信号に対して平均値を取り、当該平均値は、検出された圧延ロールチョック用ウェアライナー2と圧延機ハウジング用ウェアライナー3とのクリアランス値とされる。こうして、或る検出装置4が圧延ロールチョック用ウェアライナー2の油溝に位置する時に生じる測定誤差が排除される。
【0024】
圧延機のロール交換中には、圧延ロールが抜き出される時に、検出装置4のボール403は、スプリング408から作用される力を受けて外に飛び出し、バッフル404及びエンドカバー402は、共同で位置規制の役割を果たし、圧延ロールの組み込み時に、検出装置4のボール403は、圧延ロールチョック用ウェアライナー2から作用される力を受けて検出装置4内に押し込まれ、そして、ボール403の円弧面と、圧延ロールチョック用ウェアライナー2の面取りとの両方の作用により、ロール交換は、検出装置4へ大きな衝撃を与えないため、当該検出装置4は、圧延機の頻繁なロール交換の影響を受けることなく、現場で長期に安定して動作できる。圧延機の生産中に、圧延ロールチョック用ウェアライナー2の水平方向の変位の変化は、ボール403及び弧面ガスケット406を介してスプリング408に伝達され、スプリング408によって変位の変化が力の変化に変換され、力がセンサ409に伝達され、センサ409からリアルタイムの力変化の信号が出力される。最終的には、圧延ロールチョック用ウェアライナー2の変位の変化を反映した力の変化がセンサ409によって取得され、圧延機チョックとハウジングとのクリアランス情報のリアルタイム取得が実現される。
【0025】
次に、圧延機チョッククリアランスのオンライン検出方法を更に説明する。当該検出方法は、具体的に、
各々の圧延機ハウジング用ウェアライナー3に4つの検出装置4をそれぞれ取り付け、4つの検出装置4を較正するステップS1と、
4つの検出装置4のセンサ409を用いて、変位を表すことの可能な力信号を取得し、圧延機の生産中に、ボール403及び弧面ガスケット406を介して圧延ロールチョック用ウェアライナー2の水平方向変位の変化をスプリング408に伝達し、スプリング408が変位の変化を力の変化に変換し、センサ409からは、変位を表すことの可能なリアルタイムの力信号を上位機に出力し、上位機が当該力信号を変位信号に変換するステップS2と、
オンライン検出中に、4つの検出装置4のうち、変位信号の最も小さいものを除外し、残りの3つの検出装置4のリアルタイムの変位信号に対して平均値計算を行って変位平均値を得て、当該変位平均値を、検出された圧延機チョックとハウジングとのクリアランス値として出力するステップS3とを含む。
【0026】
最後に説明すべきなのは、以上に記載の各実施例は、本発明の技術案を説明するためのものに過ぎず、本発明の範囲を限定するものではない。上記の実施例を参照して本発明を詳しく説明したが、当業者にとっては、上記の実施例に記載された技術案を修正したり、その技術的特徴の一部若しくは全部を均等に置き換えたりすることができることを理解すべきである。これらの修正又は置換によって、対応する技術案の本質が本発明の各実施例に係る技術案の範囲から逸脱されたものではない。
【符号の説明】
【0027】
1 圧延ロールチョック
2 圧延ロールチョック用ウェアライナー
3 圧延機ハウジング用ウェアライナー
4 検出装置
5 圧延機ハウジング
401 ケース
402 エンドカバー
403 ボール
404 バッフル
405 インナーシールリング
406 弧面ガスケット
407 アウターシールリング
408 スプリング
409 センサ
410 ケーブル
411 ボルト
412 弾性ワッシャ