IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社サンエスの特許一覧

<>
  • 特開-冷感服とそれを用いた冷感服システム 図1
  • 特開-冷感服とそれを用いた冷感服システム 図2
  • 特開-冷感服とそれを用いた冷感服システム 図3
  • 特開-冷感服とそれを用いた冷感服システム 図4
  • 特開-冷感服とそれを用いた冷感服システム 図5
  • 特開-冷感服とそれを用いた冷感服システム 図6
  • 特開-冷感服とそれを用いた冷感服システム 図7
  • 特開-冷感服とそれを用いた冷感服システム 図8
  • 特開-冷感服とそれを用いた冷感服システム 図9
  • 特開-冷感服とそれを用いた冷感服システム 図10
  • 特開-冷感服とそれを用いた冷感服システム 図11
  • 特開-冷感服とそれを用いた冷感服システム 図12
  • 特開-冷感服とそれを用いた冷感服システム 図13
  • 特開-冷感服とそれを用いた冷感服システム 図14
  • 特開-冷感服とそれを用いた冷感服システム 図15
  • 特開-冷感服とそれを用いた冷感服システム 図16
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023090318
(43)【公開日】2023-06-29
(54)【発明の名称】冷感服とそれを用いた冷感服システム
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/002 20060101AFI20230622BHJP
   A41D 13/005 20060101ALI20230622BHJP
   A41D 27/28 20060101ALI20230622BHJP
   A41D 31/00 20190101ALI20230622BHJP
   A41D 31/12 20190101ALI20230622BHJP
【FI】
A41D13/002 105
A41D13/005 103
A41D27/28 D
A41D31/00 503G
A41D31/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021205235
(22)【出願日】2021-12-17
(71)【出願人】
【識別番号】000130732
【氏名又は名称】株式会社サンエス
(74)【代理人】
【識別番号】100095337
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100174425
【弁理士】
【氏名又は名称】水崎 慎
(74)【代理人】
【識別番号】100203932
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 克宗
(72)【発明者】
【氏名】岡本 武文
(72)【発明者】
【氏名】石田 裕基
【テーマコード(参考)】
3B011
3B035
【Fターム(参考)】
3B011AA01
3B011AB01
3B011AC02
3B011AC21
3B035AA01
3B035AA16
3B035AB01
3B035AB09
3B035AB18
3B035AD02
(57)【要約】
【課題】本発明は、水などの液体を用いる冷感服とそれを用いた冷感服システムに関するもので、快適性を高めることを目的とするものである。
【解決手段】冷感服1は、肌に直接、または、例えば下着などを介して触れる立体的網目状構造体の服本体4と、この服本体4に、肌側とは反対側から液体を供給する表面布5によって構成されている。表面布5から服本体4の肌とは反対側から供給された液体は、服本体4の立体的網目状構造体部分を肌側に進行する間に大部分が気化し、このときの気化熱で肌部分の冷感作用が発揮され、肌部分には、液体が実質的に届かない状態となるので、肌部分でのべたつき感が無くなり、快適性の高いものとなる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
立体的網目状構造体によって形成された服本体と、この服本体の前面側の外表面、または背面側の外表面の少なくとも一方に、この外表面に、少なくとも、その一部が触れた状態で配置された表面布とを備え、
前記表面布には、その外周面に複数の液体流出孔が設けられた液体供給管を配置し、この液体供給管には液体供給手段から液体を供給する構成とした冷感服。
【請求項2】
前記立体的網目状構造体は、複数本の繊維を撚り合わせ、隣接する繊維間に、毛細管形成隙間が形成された撚合せ繊維を用いた請求項1に記載の冷感服。
【請求項3】
前記立体的網目状構造体を構成する繊維は、撥水性繊維とした請求項2に記載の冷感服。
【請求項4】
前記表面布は、吸水性繊維単体、または、吸水性繊維と撥水性繊維との複合繊維により構成した請求項1から3のいずれか一つに記載の冷感服。
【請求項5】
前記表面布の上部は液体供給管配置エリアとし、この表面布の下部は液体供給管非配置エリアとし、前記液体供給管配置エリアには、前記液体供給管を配置した請求項1から4のいずれか一つに記載の冷感服。
【請求項6】
前記液体供給管は、中空糸膜によって構成した請求項1から5のいずれか一つに記載の冷感服。
【請求項7】
前記液体供給手段は、電動ポンプまたは手動ポンプによって構成した請求項1から6のいずれか一つに記載の冷感服。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一つに記載の冷感服と、この冷感服の外側に装着される外服体とを備え、前記外服体には、この外服体外の空気を外服体内に取り込む送風手段を配置した冷感服システム。
【請求項9】
請求項5に記載の冷感服と、この冷感服の外側に装着される外服体とを備え、前記外服体において前記液体供給管非配置エリアに対向する部分には、この外服体外の空気を外服体内に取り込む送風手段を配置した冷感服システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水などの液体の気化熱を利用する冷感服とそれを用いた冷感服システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
水などの液体の気化熱を利用する冷感体としては、例えば下記(特許文献1)において、人、または馬、牛、豚等の家畜、或いは犬等のペット動物のクールジャケットとして使用する物が提案されている。具体的には、この特許文献1の(0013)には、次のような記載がある。「図1に示す冷感体1は、被接触体に接触させて被接触体からの熱を吸収可能な接触冷感生地2と、該接触冷感生地2で吸収した熱を外側に移行させるよう水分を保水可能な高吸水性素材3と、該高吸水性素材3から気化熱を拡散させるダブルラッセル編からなる気化熱拡散素材4とを備え、これらの接触冷感生地2、高吸水性素材3および気化熱拡散素材4はシート状に形成されて三層構造をなしている。」
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-78251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来例では、その(0021)に記載されているように、ヒトBや動物Aである被接触体に熱伝導率の良い接触冷感生地2を接触させて吸熱し、中間層の高吸水性素材3に水分を含ませて保水させ、接触冷感生地2で吸収した熱を高吸水性素材3に移行させ、その高吸水性素材3の水分の気化による吸熱(潜熱)作用による冷却効果で被接触体A,Bを冷却し、高吸水性素材3の水容量に応じた冷却持続時間を確保する。
さらに、高吸水性素材3からの気化熱をその外側のダブルラッセル編からなる気化熱拡散素材4に移行させ、ダブルラッセル編地内の空気層4eを通して気化熱を放散させる。
これにより、冷蔵設備のない環境下においても、高吸水性素材3に水分を含ませるだけで、長時間の冷感作用を持続させることができる。
【0005】
すなわち、この従来例は、ヒトBや動物Aである被接触体に、熱伝導率の良い接触冷感生地2を接触させた状態で使用されるものであり、この接触冷感生地2全面に、高吸水性素材3から常時、水が供給されるようなっている。
したがって、接触冷感生地2全面が、常時、水で濡れた状態となっており、この接触冷感生地2が直接、または下着などを介して触れる肌も、その濡れた状態が転写された状態となり、べたべたとした使用感で、快適性が劣るものになる。
【0006】
そこで、本発明は快適性を高めることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そして、この目的を達成するために本発明の冷感服は、立体的網目状構造体によって形成された服本体と、この服本体の前面側の外表面、または背面側の外表面の少なくとも一方に、この外表面に、少なくとも、その一部が触れた状態で配置された表面布とを備え、前記表面布には、その外周面に複数の液体流出孔が設けられた液体供給管を配置し、この液体供給管には液体供給手段から液体を供給する構成とした。
また、前記立体的網目状構造体は、複数本の繊維を撚り合わせ、隣接する繊維間に、毛細管形成隙間が形成された撚合せ繊維を用い、立体的網目状構造とした。
さらに、前記立体的網目状構造体を構成する繊維は、撥水性繊維とした。
また、前記表面布は、吸水性繊維単体、または吸水性繊維と撥水性繊維の複合繊維により構成した。
さらに、前記表面布の上部は液体供給管配置エリア、この表面布の下部は液体供給管非配置エリアとし、前記液体供給管配置エリアには、その外周面に複数の液体流出孔が設けられた液体供給管を配置し、この液体供給管には液体供給手段から液体を供給する構成とした。
また、前記液体供給管は、中空糸によって構成した。
さらに、前記液体供給手段は、電動ポンプ、または手動ポンプによって構成した。
さらに、本発明の冷感服システムは、前記冷感服と、この冷感服の外側に装着される外服体とを備え、前記外服体には、この外服体外の空気を外服体内に取り込む送風手段を配置した構成とした。
【0008】
また、本発明の冷感服システムは、冷感服と、この冷感服の外側に装着される外服体とを備え、前記外服体の前記冷感服の液体供給管非配置エリアに対向する部分には、この外服体外の空気を外服体内に取り込む送風手段を配置した構成とした。
【発明の効果】
【0009】
以上のように本発明の冷感服は、立体的網目状構造体によって形成された服本体と、この服本体の前面側の外表面、または背面側の外表面の少なくとも一方に、この外表面に、少なくとも、その一部が触れた状態で配置された表面布とを備え、前記表面布には、その外周面に複数の液体流出孔が設けられた液体供給管を配置し、この液体供給管には液体供給手段から液体を供給する構成としたので、きわめて快適性の高いものとなる。
すなわち、本発明では、肌に直接、または、例えば下着などを介して触れるのは立体的網目状構造体によって形成された服本体であり、この服本体は立体的網目状構造体によって形成されたものであるので、肌、または下着などには点接触する状態となる。
また、この服本体には、肌とは反対側の表面布から液体が供給されるものであるが、表面布から服本体への液体供給も、この表面布と服本体が触れる点部分からの液体供給となる。
この結果、表面布から服本体に供給された液体は、服本体の立体的網目状構造体部分を肌側に進行する間に大部分が気化し、このときの気化熱で肌部分の冷感作用が発揮され、しかも肌部分には液体が、実質的に届かない状態となるので、肌部分でのべたつき感が無くなり、快適性の高いものとなる。
また、本発明の冷感服システムは、前記冷感服の外側に外服体を装着し、前記外服体には、この外服体外の空気を外服体内に取り込む送風手段を配置した構成としたものであり、送風手段の送風により、冷感服の立体的網目状構造体部分を肌側に進行する液体の気化が促進され、気化熱による肌部分の冷感作用が高まり、しかも、肌部分でのべたつき感の無さも、さらに強く実感できるものとなり、快適性の高いものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る冷感服を用いた冷感システムの一部切断背面図
図2】同一部拡大断面図
図3】同冷感服の正面図
図4】同冷感服の背面図
図5】同冷感服の内側が表れた展開図
図6】同冷感服のうち服本体が省略された一部展開図
図7】同冷感服の服本体の正面図
図8】同冷感服の服本体の背面図
図9】本発明の他の実施形態に係る冷感服を用いた冷感システムの一部切断背面図
図10】同一部拡大断面図
図11】同冷感服の正面図
図12】同冷感服の背面図
図13】同冷感服の内側が表れた展開図
図14】同冷感服のうち服本体が省略された一部展開図
図15】同冷感服の服本体の正面図
図16】同冷感服の服本体の背面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施の形態1)
図1図8は、本発明の一実施形態に係る冷感服を用いた冷感システムを示すものである。
図1に示すように、本実施形態の冷感システムは、冷感服1と、この冷感服1の外側に装着される外服体2とを備え、前記外服体2の背面側下部には、図2に示すように、この外服体2外の空気を外服体2内に取り込む送風手段3が設けられている。送風手段3は、バッテリーで稼働するファンなどである。
【0012】
冷感服1の具体的な構成は、図3図8に示されている。
まず、この冷感服1は、図7図8に示す、立体的網目状構造体によって形成されたベスト形状の服本体4と、図6に示す、この服本体4の外表面に、少なくとも、その一部が触れた状態で配置されたベスト形状の表面布5とを備えている。
つまり、図7図8に示す、立体的網目状構造体によって形成されたベスト形状の服本体4の外表面側に、図6に示すベスト形状の表面布5を重ね、図5に示すようにベスト形状の服本体4とベスト形状の表面布5の外周部を縫い合わせ、全体として、図3図4図5に示すベスト形状の冷感服1を形成しているのである。
なお、この図3図4図5に示すようにベスト形状の冷感服1の前面側には、ファスナー6が設けられ、ベスト形状の冷感服1の身体への脱着が容易に行えるようにしている。
【0013】
次に、ベスト形状の服本体4について説明する。
この服本体4は、図7図8から理解されるように立体的網目状構造体となっている。
詳しくは、例えば、撥水性繊維の一例であるポリエステル繊維を複数本撚り合わせた撚合せ繊維を用いて、立体的網目状構造体を構成している。
複数本の繊維を撚り合わせた撚合せ繊維を用いて立体的網目状構造体とする理由は、撚合せ繊維において隣接する繊維間に、毛細管形成隙間が形成されるようにするためである。
【0014】
次に、表面布5について説明する。
この表面布5も上述のごとくベスト形状となっており、その背中側の内面と表側の内面には、図6に示すように、その外周面に複数の液体流出孔(図示せず)が設けられた液体供給管7を配置している。
具体的には、この液体供給管7は、例えば、中空糸膜によって構成したものであり、複数本の中空糸膜の一端開口部、他端開口部をニップル8の出水部に連結し、中部は表面布5の上方から中部まで蛇行させながら配置している。中空糸膜は、例えば、外径が約0.5mmであり、外周面に、約0.4μm以下の無数の液体流出孔が設けられている。
また、ニップル8の入水部には配管9、液体供給手段の一例として設けたポンプ10を介して、容器11内の水(液体の一例)が供給されるようになっている。
なお、表面布5の前面側には、図3に示すようにポンプ10と容器11を収納させるポケット12が設けられている。
ポケット12は二つ設けられているが、図3の左側のポケット12がポンプ10と容器11を収納させるもので、このポケット12にはポンプ10起動操作、あるいは容器11内の水量確認が容易に行えるように透明窓13が設けられている。
【0015】
液体供給管7は図6に示すように表面布5の上から6割までの部分まで設けられている。
つまり、表面布5の上から6割までの、表面布5の上部が、液体供給管配置エリア14であり、この表面布5の上から6割を超える下部は、液体供給管非配置エリア15である。
そして、前記液体供給管配置エリア14に上述した液体供給管7を配置し、この液体供給管7に液体供給手段の一例として設けたポンプ10を介して、容器11内の水(液体の一例)が供給される構造となっている。
なお、表面布5は、吸水性繊維単体、または吸水性繊維と撥水性繊維の複合繊維により形成している。
重要なことは、液体供給管7を介して供給された水が表面布5に滲み、広がることである。
【0016】
次に、外服体2について説明する。
この外服体2は、すでに実用化され、市販されているもので、その背面側には、上述のごとく、この外服体2外の空気を外服体2内に取り込む送風手段3が設けられている。
【0017】
本実施形態で重要なことは、送風手段3の位置に対応する表面布5部分が、上述の液体供給管非配置エリア15になっていることである。
この外服体2は、空気の漏れが少ない状態となっているので、送風手段3を駆動すると、図2のように外服体2外の空気が外服体2内に取り込まれ、一部は外服体2と表面布5の間を上方に進み、やがては外服体2の襟16部分から外服体2外へと排気される。
このとき、表面布5の水の一部は気化し、その気化熱で外服体2内の温度を下げることができる。
【0018】
また、送風手段3に対向する表面布5の液体供給管非配置エリア15部分では、外服体2外の空気が外服体2内に取り込まれ、その一部が、次に、表面布5を通過し、立体的網目状構造体によって形成されたベスト形状の服本体4の内外を上方に進み、やがては外服体2の襟16部分から外服体2外へと排気される。
【0019】
本実施形態で特徴的なのは、冷感服1が、図7図8に示す、立体的網目状構造体によって形成されたベスト形状の服本体4と、図6に示す、この服本体4の外表面に、少なくとも、その一部が触れた状態で配置されたベスト形状の表面布5とを備えていることである。
つまり、図7図8に示す、立体的網目状構造体によって形成されたベスト形状の服本体4の外表面側に、図6に示すベスト形状の表面布5を重ね、図5に示すようにベスト形状の服本体4とベスト形状の表面布5の外周部を縫い合わせ、全体として、図3図4図5に示すベスト形状の冷感服1を形成していることである。
【0020】
以上の構成において、使用者は、先ず、図3に示す冷感服1を装着し、次に、その外側に外服体2を装着し、ポンプ10と送風手段3を駆動する。
すると、容器11内の水は、ポンプ10、配管9、ニップル8を介し、表面布5の液体供給管配置エリア14に配置した液体供給管7へと供給され、この液体供給管7の複数の液体流出孔から表面布5へと流出し、表面布5の広い部分を濡らすことになる。
この表面布5の内側には立体的網目状構造体によって形成された服本体4が設けられているので、表面布5の水の一部または全部は、この表面布5に点接触した立体的網目状構造体よりなる服本体4へと、供給されることになる。
【0021】
なお、服本体4は、例えば、撥水性繊維の一例であるポリエステル繊維を複数本撚り合わせた撚合せ繊維を用いて、立体的網目状構造体としているのは、立体的網目状構造体としての形状が保持できる強度を保つためである。
また、複数本のポリエステル繊維を撚り合わせた撚合せ繊維を用いて立体的網目状構造体とする理由は、撚合せ繊維において隣接する繊維間に、毛細管形成隙間が形成され、その毛細管形成隙間を介して水を肌A側に移動させるためでもある。
【0022】
本実施形態では、肌Aに直接、または、例えば下着などを介して触れるのは立体的網目状構造体によって形成された服本体4であり、この服本体4は立体的網目状構造体によって形成されたものであるので、肌A、または下着などには点接触する状態となる。
また、この服本体4には、肌Aとは反対側の表面布5から液体が供給されるものであるが、表面布5から服本体4への液体供給も、この表面布5と服本体4が触れる点部分からの液体供給となる。
【0023】
この結果、表面布5から服本体4に供給された液体は、服本体4の立体的網目状構造体部分を肌A側に進行する間に大部分が気化し、このときの気化熱で肌A部分の冷感作用が発揮され、しかも肌A部分には液体が、上記気化の作用により、実質的に届かない状態となるので、肌A部分でのべたつき感が無くなり、快適性の高いものとなる。
また、服本体4の立体的網目状構造体部における気化熱による冷気は、その外側に表面布5が存在することで、肌近くにおいて、肌Aの冷却に有効に活用される。
【0024】
また、本実施形態においては、前記冷感服1の外側に外服体2を装着し、前記外服体2には、この外服体2外の空気を外服体2内に取り込む送風手段3を配置した構成としている。
このため、送風手段3の送風により、冷感服1の立体的網目状構造体部分を肌A側に進行する液体の気化が促進され、気化熱による肌A部分の冷感作用が高まり、しかも、肌A部分でのべたつき感の無さも、さらに強く実感できるものとなり、快適性の高いものとなる。
【0025】
また、外服体2の送風手段3の位置に対応する表面布5部分を、上述の液体供給管非配置エリア15にした理由は、水で濡れた表面布5部分は、送風手段3からの空気が、この表面布5部分を通過しにくくなるので、それを避けるために、外服体2の送風手段3の位置に対応する表面布5部分を、液体供給管非配置エリア15とした。
この結果、図2に示すように、送風手段3による送風の一部が、冷感服1の表面布5部分を通過し、立体的網目状構造体よりなる服本体4の内外を上方に進み、表面布5から服本体4を肌A側に進行する液体の気化が促進され、気化熱による肌A部分の冷感作用を高めることができる。また、この送風により、肌A部分でのべたつき感の無さも、さらに強く実感できるものとなり、快適性の高いものとなる。
【0026】
なお、上記実施形態では、前記液体供給手段として、電動のポンプ10を用いたが、手動ポンプによって液体供給手段を構成しても良い。
なお、本実施形態の服本体4は、上述のごとく立体的網目状材料にて形成されているが、ここで説明した立体的網目状材料とは、次のような構造をしているものである。例えば、網目状の表面体(撚り繊維)と、網目状の裏面体(撚り繊維)の間には、前記表面体と裏面体間に、隙間を作る複数本の柱(撚り繊維)が存在した構造である。前記表面体と裏面体には、それぞれ、例えば、円形、または楕円形、或いは三角形、または四角形、或いは五角形、または六角形、或いは八角形の開口部が形成されている。
また、前記表面体と裏面体の間にて、表面体と裏面体間に隙間を作る複数の柱間にも隙間が形成されている。例えば、表面体と裏面体に四角形の開口部が形成されているときには、四角形の各コーナー部分において、表面体と裏面体間に隙間を形成する上記柱が形成された構成となる。このため、服本体4においては、表面体と裏面体の一方から、表面体と裏面体の間、表面体と裏面体の他方へと流れる空気流、および、表面体と裏面体の間を流れる空気流存在することになる。以上のような構成を、本実施形態では、立体的網目状材料と説明している。
【0027】
(実施の形態2)
図9図16は本発明の他の実施形態に係る冷感服を用いた冷感システムを示すものである。
なお、この図9図16の実施形態においては、説明の煩雑化を避けるために、図1図8に示す実施形態と同じ部分には、同一符号を付し、特徴部分についてのみ説明するが、同一符号部分は、上記実施形態と同じ構成となっている。
【0028】
本実施形態では、図11図13に示すように、表面布5に襟17を設け、この襟17の内側面にも、中空糸膜よりなる液体供給管7を設け、ニップル8を介して配管9に接続したものである。
つまり、襟17部分に中空糸膜よりなる液体供給管7を設けて水で濡らし、立体的網目状構造体よりなる服本体4の内外を上方に進む風で、襟17部分の水の気化作用を行わせるものである。
【0029】
本発明の他の実施形態では、表面布が、服本体の前面側の外表面にのみ触れた状態で配置されている。
他の実施形態では、表面布が、服本体の背面側の外表面にのみ触れた状態で配置されている。
他の実施形態では、立体的網目状構造体は、撥水性繊維以外で構成されている。
【0030】
以上、本発明の実施形態を詳述したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。そして本発明は、特許請求の範囲に記載された事項を逸脱することがなければ、種々の設計変更を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0031】
1 冷感服
2 外服体
3 送風手段
4 服本体
5 表面布
6 ファスナー
7 液体供給管
8 ニップル
9 配管
10 ポンプ
11 容器
12 ポケット
13 透明窓
14 液体供給管配置エリア
15 液体供給管非配置エリア
16 襟
17 襟
A 肌
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16