(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023090340
(43)【公開日】2023-06-29
(54)【発明の名称】経口組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/353 20060101AFI20230622BHJP
A61P 5/24 20060101ALI20230622BHJP
A61K 36/81 20060101ALI20230622BHJP
A61K 36/22 20060101ALI20230622BHJP
A61K 36/185 20060101ALI20230622BHJP
A61K 36/53 20060101ALI20230622BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230622BHJP
A61K 127/00 20060101ALN20230622BHJP
A61K 125/00 20060101ALN20230622BHJP
【FI】
A61K31/353
A61P5/24
A61K36/81
A61K36/22
A61K36/185
A61K36/53
A61P43/00 121
A61K127:00
A61K125:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021205264
(22)【出願日】2021-12-17
(71)【出願人】
【識別番号】000186588
【氏名又は名称】小林製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124431
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 順也
(74)【代理人】
【識別番号】100174160
【弁理士】
【氏名又は名称】水谷 馨也
(74)【代理人】
【識別番号】100175651
【弁理士】
【氏名又は名称】迫田 恭子
(72)【発明者】
【氏名】大河内 公一
【テーマコード(参考)】
4C086
4C088
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA07
4C086GA16
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA52
4C086NA05
4C086ZC11
4C086ZC75
4C088AB12
4C088AB21
4C088AB38
4C088AB50
4C088AC02
4C088AC05
4C088AC11
4C088CA03
4C088MA02
4C088MA52
4C088NA05
4C088ZC11
4C088ZC75
(57)【要約】
【課題】本発明は、エクオールの女性ホルモン様作用を増強できる経口組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】(A)エクオールと、(B)(B1)トウガラシ抽出物、(B2)マンゴー葉抽出物、(B3)トンカットアリ抽出物、及び(B4)筋骨草抽出物からなる群より選択される植物抽出物とを含有する経口組成物は、エクオールの女性ホルモン様作用を増強できる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)エクオールと、(B)(B1)トウガラシ抽出物、(B2)マンゴー葉抽出物、(B3)トンカットアリ抽出物、及び(B4)筋骨草抽出物からなる群より選択される植物抽出物とを含有する、経口組成物。
【請求項2】
女性ホルモン様活性増強剤として用いられる、請求項1に記載の経口組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、女性ホルモン様活性増強剤として有用な経口組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
女性の健康は、卵巣から分泌されるエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)という2種類の女性ホルモンの影響を大きく受けている。女性ホルモンが欠乏すると、その影響によって、更年期障害、骨粗鬆症等の症状を引き起こす。これらの症状を緩和させるための治療法として、ホルモン補充療法(HRT)が盛んに行われている。しかしながら、HRTは大量の女性ホルモンを人為的に補充する治療法であるため、有効性が高い一方で体への負荷も大きく、投与の調整が非常に難しい。
【0003】
そこで、大豆イソフラボンからエクオール産生菌とよばれる腸内細菌によって作られるエクオールが、エストロゲン活性があることが知られており(非特許文献1及び2)、食品に配合されて販売もされている。
【0004】
また、エクオールについて研究が進む中で、エクオールの長期摂取により、ホルモン補充療法で注意が必要な副作用が認められないことも報告されている(非特許文献3)。このため、エクオールへの注目度はますます増している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Sathyamoorthy, N. and Wang, T. T., Eur. J. Cancer, 33, 2384-2389 (1997)
【非特許文献2】Schmitt, E. et al., Toxicol. In Vitro, 15, 433-439 (2001)
【非特許文献3】“第31回 日本女性医学学会学術集会にて、エクオール長期摂取による更年期症状などの改善効果について発表”,[online],2016年11月8日,株式会社 アドバンスト・メディカル・ケア,[令和3年12月12日検索],インターネット <URL:https://www.amcare.co.jp/amc_labo/equol/publish/publish_20161108.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
エクオールには女性ホルモン様作用が認められているが、その作用を増強できる剤については十分に検討されていない。そこで、本発明は、エクオールの女性ホルモン様作用を増強できる経口組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、鋭意検討の結果、所定の植物抽出物をエクオールと組み合わせることで、女性ホルモン様作用が増強されることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて、更に検討を重ねることにより完成したものである。
【0008】
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. (A)エクオールと、(B)(B1)トウガラシ抽出物、(B2)マンゴー葉抽出物、(B3)トンカットアリ抽出物、及び(B4)筋骨草抽出物からなる群より選択される植物抽出物とを含有する、経口組成物。
項2. 女性ホルモン様活性増強剤として用いられる、項1に記載の経口組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、エクオールの女性ホルモン様作用を増強できる経口組成物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の経口組成物は、(A)エクオール(以下において、「(A)成分」とも記載する。)と、(B)(B1)トウガラシ抽出物(以下において、「(B1)成分」とも記載する。)、(B2)マンゴー葉抽出物(以下において、「(B2)成分」とも記載する。)、(B3)トンカットアリ抽出物(以下において、「(B3)成分」とも記載する。)、及び(B4)筋骨草抽出物(以下において、「(B4)成分」とも記載する。)からなる群より選択される植物抽出物(以下において、(B1)成分~(B4)成分をまとめて「(B)成分」又は「所定の植物抽出物」とも記載する。)とを含有することを特徴とする。以下、本発明の経口組成物について詳述する。
【0011】
(A)エクオール
本発明の経口組成物は、(A)成分としてエクオールを含む。エクオールは、イソフラボンの一種であるダイゼインが腸内細菌や体内の消化酵素等により代謝されて生成する物質であり、具体的には7-ヒドロキシ-3-(4′-ヒドロキシフェニル)-クロマンを指す。エクオールは、女性ホルモン様活性を有する成分として公知である。
【0012】
エクオールとしては、ダイゼイン類(ダイゼイン配糖体、ダイゼイン及び/又はジヒドロダイゼイン)の化学的還元による合成エクオールであってもよいし、ダイゼイン類(ダイゼイン配糖体、ダイゼイン及び/又はジヒドロダイゼイン)を含む原料のエクオール産生菌による代謝物であってもよい。
【0013】
ダイゼイン類を含む原料としては特に限定されず、例えば、植物(具体的には、大豆、葛、葛根、レッドグローブ、アルファルファ等)、それらの加工品(具体的には、大豆粉、煮大豆、豆腐、油揚げ、豆乳、大豆胚軸、大豆胚軸の抽出物等)、及びそれらの発酵調製物(具体的には、納豆、醤油、味噌、テンペ、発酵大豆飲料等)が挙げられる。また、エクオール産生菌としては、ダイゼイン類を資化してエクオールを産生できるいかなる微生物であってもよく、例えば、ラクトコッカス属に属する微生物、ストレプトコッカス属に属する微生物、バクテロイデス属に属する微生物が挙げられる。
【0014】
本発明においては、配合するエクオールとして、ダイゼイン類を含む原料をエクオール産生菌で発酵培養した物を用いてもよいし、当該発酵培養物から代謝物であるエクオールを単離精製したものを用いてもよい。
【0015】
本発明の経口組成物におけるエクオールの含有量については、配合される他の成分の含有量、経口組成物の形態、1回当たりの摂取量等に応じて設定すればよいが、例えば、0.01~70重量%、好ましくは0.05~60重量%、より好ましくは0.1~55重量%、更に好ましくは0.1~50重量%が挙げられる。本発明において、エクオールの配合に発酵培養物を用いる場合、発酵培養物中のエクオール含有量が上記エクオール含有量となるように用いられる。
【0016】
(B)所定の植物抽出物
本発明の経口組成物は、(B)成分として、(B1)トウガラシ抽出物、(B2)マンゴー葉抽出物、(B3)トンカットアリ抽出物、及び(B4)筋骨草抽出物からなる群より選択される植物抽出物を含む。
【0017】
本発明の経口組成物において、(A)成分の含有量と(B)成分の含有量(総量)との比率としては特に限定されないが、(A)成分1重量部に対する(B)成分の総量(乾燥重量)として、例えば、0.5~50重量部、女性ホルモン様活性増強効果をより一層高める観点から、好ましくは0.7~40重量部が挙げられる。なお、植物抽出物の乾燥重量とは、抽出原料となる植物に由来する成分の重量であり、例えば、植物抽出物が賦形剤等の他の添加物と共存させて調製されたものである場合は、当該他の添加物を除いて換算される量である。
【0018】
(B1)トウガラシ抽出物
トウガラシ抽出物は、トウガラシ(Capsicum annuum)を抽出原料として公知の抽出方法により得られる抽出物である。トウガラシ抽出物を得るために用いられる抽出溶媒としては特に限定されず、水;炭素数1~6の1価低級アルコール(メタノール、エタノール、プロパノール等)、アセトン、ジエチルエーテル、酢酸エチル、ヘキサン等の有機溶媒;及びこれらの混合溶媒が挙げられるが、女性ホルモン様活性増強効果をより一層高める観点から、好ましくは有機溶媒が挙げられ、より好ましくは70~90v/v%エタノール水溶液が挙げられる。
【0019】
トウガラシ抽出物には、一般的に、カプサイシン、カロチノイド等の脂溶性成分が含まれ、典型的にはカロチノイド等の脂溶性成分に由来する成分の赤色を呈している。トウガラシ抽出物100重量部当たりに含まれるカプサイシン量としては、例えば10~25重量部、好ましくは15~20重量部が挙げられる。
【0020】
トウガラシ抽出物としては、上記方法により調製して得たものを用いてもよいし、市販品を用いてもよい。トウガラシ抽出物の市販品としては、トウガラシSP48868(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製品)、トウガラシOS-30(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製品)、唐辛子エキス200(株式会社カネカサンスパイス製品)、カプシクムペッパー(日本新薬株式会社製品)、トウガラシP-10(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製品)等が挙げられる。
【0021】
本発明の経口組成物が(B)成分として(B1)成分を含む場合、(A)成分1重量部に対する(B1)成分の含有量(乾燥重量)としては、女性ホルモン様活性増強効果をより一層高める観点から、好ましくは0.7~20重量部、より好ましくは0.9~20重量部、0.9~10重量部、0.9~5重量部又は0.9~3重量部が挙げられる。
【0022】
(B2)マンゴー葉抽出物
マンゴー葉抽出物は、マンゴー(Mangifera indica)の葉を抽出原料として公知の抽出方法により得られる抽出物である。マンゴー葉抽出物を得るために用いられる抽出溶媒としては特に限定されず、水;炭素数1~6の1価低級アルコール(メタノール、エタノール、プロパノール等)、アセトン、ジエチルエーテル、酢酸エチル、ヘキサン等の有機溶媒;及びこれらの混合溶媒が挙げられるが、女性ホルモン様活性増強効果をより一層高める観点から、好ましくは水が挙げられる。
【0023】
マンゴー葉抽出物には、好ましくはマンギフェリンが含まれており、マンゴー葉抽出物100重量部当たりのマンギフェリンの含有量としては、例えば50~70重量部、好ましくは55~65重量部が挙げられる。
【0024】
本発明の経口組成物が(B)成分として(B2)成分を含む場合、(A)成分1重量部に対する(B2)成分の含有量(乾燥重量)としては、女性ホルモン様活性増強効果をより一層高める観点から、好ましくは5~25重量部が挙げられる。
【0025】
(B3)トンカットアリ抽出物
トンカットアリ抽出物は、トンカットアリ(Eurycoma longifolia Jack)を抽出原料として公知の抽出方法により得られる抽出物である。トンカットアリの抽出原料として使用される部位としては特に限定されず、幹及び根が挙げられるが、好ましくは根が挙げられる。トンカットアリ抽出物を得るために用いられる抽出溶媒としては特に限定されず、水;炭素数1~6の1価低級アルコール(メタノール、エタノール、プロパノール等)、アセトン、ジエチルエーテル、酢酸エチル、ヘキサン等の有機溶媒;及びこれらの混合溶媒が挙げられるが、女性ホルモン様活性増強効果をより一層高める観点から、好ましくは水が挙げられる。
【0026】
トンカットアリ抽出物には、好ましくはユーリコマノンが含まれており、トンカットアリ抽出物100重量部当たりのユーリコマノンの含有量としては、例えば0.3~2重量部、好ましくは0.5~1.5重量部が挙げられる。
【0027】
トンカットアリ抽出物としては、上記方法により調製して得たものを用いてもよいし、市販品を用いてもよい。トンカットアリ抽出物の市販品としては、「トンカットアリ乾燥エキスPhysta」(アスク薬品株式会社)等が挙げられる。
【0028】
本発明の経口組成物が(B)成分として(B3)成分を含む場合、(A)成分1重量部に対する(B3)成分の含有量(乾燥重量)としては、女性ホルモン様活性増強効果をより一層高める観点から、好ましくは10~40重量部、より好ましくは20~35重量部が挙げられる。
【0029】
(B4)筋骨草抽出物
筋骨草抽出物は、シソ科キランソウ属に属する多年草植物(Ajuga decumbens、Ajuga ciliata、Ajuga lupulina等)を抽出原料として公知の抽出方法により得られる抽出物である。筋骨草の抽出原料として使用される部位としては特に限定されず、例えば全草、好ましくは地上部が挙げられる。筋骨草抽出物を得るために用いられる抽出溶媒としては特に限定されず、水;炭素数1~6の1価低級アルコール(メタノール、エタノール、プロパノール等)、アセトン、ジエチルエーテル、酢酸エチル、ヘキサン等の有機溶媒;及びこれらの混合溶媒が挙げられるが、女性ホルモン様活性増強効果をより一層高める観点から、好ましくは含水エタノールが挙げられる。
【0030】
筋骨草抽出物としては、上記方法により調製して得たものを用いてもよいし、市販品を用いてもよい。筋骨草抽出物の市販品としては、「筋骨草エキス末」(松浦産業株式会社)等が挙げられる。
【0031】
本発明の経口組成物が(B)成分として(B4)成分を含む場合、(A)成分1重量部に対する(B4)成分の含有量(乾燥重量)としては、女性ホルモン様活性増強効果をより一層高める観点から、好ましくは1~20重量部、より好ましくは5~15重量部又は5~10重量部が挙げられる。
【0032】
他の含有成分
本発明の経口組成物は、前述の成分の他に、必要に応じて、他の薬理成分を含んでいてもよい。このような薬理成分の種類については、特に限定されないが、例えば、制酸剤、健胃剤、消化剤、整腸剤、鎮痙剤、粘膜修復剤、抗炎症剤、収れん剤、消炎酵素剤、鎮静催眠剤、抗ヒスタミン剤、カフェイン類、強心利尿剤、抗菌剤、血管収縮剤、血管拡張剤、生薬末、生薬エキス、ビタミン類、等が挙げられる。これらの薬理成分は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、これらの薬理成分の含有量については、使用する薬理成分の種類等に応じて公知のものから適宜設定すればよい。
【0033】
本発明の経口組成物には、所望の剤型に調製するために、必要に応じて、薬学的に許容される基剤や添加剤等が含まれていてもよい。このような基剤及び添加剤としては、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、等張化剤、可塑剤、分散剤、乳化剤、溶解補助剤、湿潤化剤、安定化剤、懸濁化剤、粘着剤、コーティング剤、光沢化剤、水、油脂類、ロウ類、炭化水素類、脂肪酸類、高級アルコール類、エステル類、水溶性高分子、界面活性剤、金属石鹸、低級アルコール類、多価アルコール、pH調整剤、緩衝剤、酸化防止剤、防腐剤、矯味剤、香料、粉体、増粘剤、色素、キレート剤等が挙げられる。これらの基剤や添加剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、これらの基剤や添加剤の含有量については、使用する添加成分の種類や剤型等に応じて公知のものから適宜設定すればよい。
【0034】
剤型
本発明の経口組成物の剤型については、特に制限されず、錠剤、顆粒剤、散剤、丸剤、カプセル剤、フィルム剤、液剤(ドリンク剤)等のいずれであってもよい。これらの剤型の中でも、服用簡易性等の観点から、好ましくは錠剤、顆粒剤、フィルム剤が挙げられる。これらの剤型は、薬学的に許容される基材や添加剤を用いて調製することができ、当該基材や添加剤の種類や配合量についても、製剤技術の分野で公知である。
【0035】
用途
本発明の経口組成物は、女性ホルモン様活性剤として用いることができる。女性ホルモン様活性剤は、女性ホルモン受容体を介して発現する生理的及び病態生理学的な作用を増強する目的で用いられる。
【0036】
本発明の経口組成物は、エストロゲン受容体への結合活性を増強するため、エストロゲン受容体を介して発現する生理的及び病態生理学的な作用を増強する目的で好ましく用いられる。
【0037】
さらに具体的には、本発明の経口組成物は、女性ホルモンの減少により生じる症状の予防又は改善に用いられ、そのような症状としては、更年期症状、更年期障害、骨粗鬆症、体調の揺らぎ、月経痛、肌質又は髪質(コラーゲン及び/又はエラスチンの保持能)の低下等が挙げられる。
【0038】
従って、本発明の経口組成物は、女性ホルモンが減少している女性、特に、女性ホルモンの減少により生じる症状を自覚する女性に対して適用される。具体的な適用対象としては、40歳以上の女性、更年期の女性、卵巣摘出手術後又は化学療法後等の早期卵巣不全の女性、子宮摘出手術後の女性、老年期の女性等が挙げられる。
【0039】
用量・用法
本発明の経口組成物の投与量については、女性ホルモンの減少の程度、年齢等に応じて適宜設定されるが、例えば、1日当たりのエクオール摂取量として、例えば0.1~100mg、好ましくは0.5~40mg、より好ましくは1.0~10mg、一層好ましくは1.5~5mg、特に好ましくは1.8~3mgが挙げられる。
【0040】
また、本発明の経口組成物の服用タイミングについては特に制限されず、食前、食後、又は食間のいずれであってもよいが、好ましくは食前又は食間が挙げられる。
【実施例0041】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0042】
試験例
表2及び表3に示す(A)成分及び/又は(B)成分をジメチルスルホキシド中に溶解し、被験試料液を調製した。なお、(B)成分((B1)~(B4)成分)の詳細は表1の通りである。表2及び表3中に示す配合量は、(B)成分の配合に用いた配合材料のうち、賦形剤等の他の添加物を除いて換算し、抽出原料となる植物に由来する成分の重量に換算して示している。
【0043】
【0044】
培地として、フェノールレッド不含ダルベッコ改変イーグル培地(液体)に、3重量%ウシ胎児血清(FBS)、50U/mLペニシリン、50mg/mlストレプトマイシンを添加し、L-グルタミン濃度が0.5mMとなるように添加して調製したものを用意した。
【0045】
ヒト乳癌由来のMCF-7細胞(株式会社ケー・エー・シー)を準備した。MCF-7細胞は、エストロゲン依存的に増殖能が向上する癌細胞であり、MCF-7細胞の増殖性は、エストロゲン様作用の検出系として利用されている。
【0046】
培地で4×104cells/mlに調整したMCF-7細胞懸濁液を、96ウェルプレートの各ウェルに50μl/ウェルずつ播種した。次いで、ジメチルスルホキシドが各ウェルに0.1μl/ウェルとなるように、且つ、(A)成分及び/又は(B)成分が表2に示す終濃度となるように被験試料液を添加し、37℃、CO2存在下で72時間培養した。
【0047】
培養後、細胞増殖/細胞毒性アッセイキット(商品名「Cell Counting kit-8」、株式会社同仁科学研究所)を用いて、450nmの吸光度(細胞数に対応)を計測した。測定した450nmの吸光度の値を用いて、下記算出式に従って、細胞増殖促進率を計算した。試験はn=4で行い、得られた細胞増殖促進率の平均値について小数点第一位を四捨五入した値を、女性ホルモン様作用の評価値として得た。細胞増殖促進率が100%を超えると、女性ホルモン様作用があると認められる。また、下記算出式に従って、女性ホルモン活性増強スコアを計算した。女性ホルモン活性増強スコアが0を超えると、各成分を単独で用いた場合の女性ホルモン様作用の相加効果を超えていること、つまり女性ホルモン様作用が顕著に増強されていると認められる。さらに、女性ホルモン活性増強スコアが大きいほど、女性ホルモン様活性増強効果が高いことを示す。結果を表3に示す。
【0048】
【0049】
【0050】
【0051】
【0052】
比較例1~8に示すように、(B)成分は、単独では濃度によって女性ホルモン様作用が認められるものもあったが、ほとんど女性ホルモン様作用を示さなかった。また、比較例9に示すように、(A)成分であるエクオール単独により発揮される女性ホルモン様作用はわずかであった。これに対し、実施例1~8に示すように、(A)成分であるエクオールに(B)成分を組み合わせると、顕著な女性ホルモン様活性増強効果が認められた。