(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023090369
(43)【公開日】2023-06-29
(54)【発明の名称】断熱材及びそれを用いた冷蔵庫、冷凍冷蔵庫、または冷凍庫
(51)【国際特許分類】
C08G 18/00 20060101AFI20230622BHJP
C08G 18/08 20060101ALI20230622BHJP
C08G 18/66 20060101ALI20230622BHJP
F25D 23/06 20060101ALI20230622BHJP
F25D 23/08 20060101ALI20230622BHJP
F16L 59/02 20060101ALI20230622BHJP
C08G 101/00 20060101ALN20230622BHJP
【FI】
C08G18/00 K
C08G18/08 038
C08G18/00 H
C08G18/66 048
F25D23/06 Z
F25D23/08 A
F16L59/02
C08G101:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021205300
(22)【出願日】2021-12-17
(71)【出願人】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【弁理士】
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】大湯 英樹
(72)【発明者】
【氏名】上田 勉
(72)【発明者】
【氏名】星野 仁
(72)【発明者】
【氏名】舘野 恭也
【テーマコード(参考)】
3H036
3L102
4J034
【Fターム(参考)】
3H036AA08
3H036AB13
3H036AB18
3H036AB25
3L102JA01
3L102MA01
3L102MB17
4J034BA08
4J034CA05
4J034CA15
4J034CC03
4J034CC12
4J034CC61
4J034CC65
4J034DA01
4J034DB04
4J034DB07
4J034DC02
4J034DC50
4J034DF16
4J034DF20
4J034DF22
4J034HA01
4J034HA07
4J034HC03
4J034HC12
4J034HC22
4J034HC46
4J034HC52
4J034HC61
4J034HC64
4J034HC67
4J034HC71
4J034HC73
4J034JA01
4J034KA01
4J034KB02
4J034KB05
4J034KD07
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4J034KE02
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4J034NA02
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4J034QA01
4J034QB13
4J034QB14
4J034QB19
4J034QC01
4J034RA03
4J034RA10
4J034RA14
4J034RA15
(57)【要約】 (修正有)
【課題】断熱性の高い、微細気泡のポリウレタンフォームを備える断熱材を提供する。
【解決手段】親水性エアロゲルを0.2%乃至3%含有するポリウレタンフォームを備える断熱材を提供する。ポリウレタンフォームは、アミン系ポリオール、ポリエステル系ポリオール及び触媒の脂肪族アミン化合物のポリオール混合物と、ジフェニルメタンジイソシアネートのポリイソシアネートと、シクロペンタンの発泡剤と、の混合物から得られ、親水性エアロゲルは、シリカエアロゲルである。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
親水性エアロゲルを0.2%乃至3%含有するポリウレタンフォームを備える断熱材。
【請求項2】
前記ポリウレタンフォームの平均セル径は、142μm以下である、請求項1に記載の断熱材。
【請求項3】
親水性エアロゲルを0.2%乃至0.5%含有するポリウレタンフォームを備える断熱材。
【請求項4】
前記ポリウレタンフォームの平均セル径は、137μm以下である、請求項3に記載の断熱材。
【請求項5】
前記ポリウレタンフォームは、
アミン系ポリオール、ポリエステル系ポリオール及び触媒の脂肪族アミン化合物のポリオール混合物と、
ジフェニルメタンジイソシアネートのポリイソシアネートと、
シクロペンタンの発泡剤と、の混合物から得られ、
親水性エアロゲルは、シリカエアロゲルである、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の断熱材。
【請求項6】
前記ポリウレタンフォームが、硬質ポリウレタンフォームである請求項1乃至5のいずれか1項に記載の断熱材を用いる冷蔵庫、冷凍冷蔵庫または冷凍庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリウレタンフォームを備える断熱材及びそれを用いた冷蔵庫、冷凍冷蔵庫、または冷凍庫に関する。
【背景技術】
【0002】
発泡樹脂の硬質ポリウレタンフォームが冷蔵庫、冷凍冷蔵庫、冷凍庫の断熱材に広く用いられている。このようなポリウレタンフォームを改良した次世代高性能断熱材の開発が求められている。
【0003】
ポリオールとポリイソシアネートの反応によって生じる樹脂化時間をゲルタイムという。ポリウレタンフォームは、微細気泡にすることで断熱性を上げることができる。通常、ゲルタイムを抑えると、ポリウレタンフォームの膨らむ時間が短くなるためポリウレタンフォームの気泡は、微細になる。
【0004】
しかしながら、ゲルタイムを短くすると、充填したい製品の全域にポリウレタンフォームが巡る前に発泡されてしまい、未充填部分ができてしまう。
【0005】
また、高性能断熱材として特許文献1に、ポリマーマトリックス、エアロゲル粒子及び膨張微小球を含む断熱材料であって、エアロゲル粒子は、30質量%以上の量で存在し、ポリマーマトリックスは20質量パーセント以上の量で存在し、膨張微小球は0.5~15質量%の量で存在し、ここで、質量パーセントは、ポリマーマトリックス、エアロゲル粒子及び膨張微小球の総質量に基づいており、また、断熱材料の熱伝導率は大気条件で40mW/mK未満である、断熱材材料が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように、ポリウレタンフォームの気泡を微細にして製品の未充填部分をなくすことができなかった。また、特許文献1の実施例に、ポリマーマトリックスにポリウレタンフォームを用いたものはなかった。さらに、特許文献1で製造された断熱材料は、エアロゲルを多く使用し、高価であった。
【0008】
そこで本発明は、気泡の膨らみを抑え、ポリウレタンフォームの気泡を微細化しつつゲルタイムを長く設定し、未充填部分をなくした断熱材を提供することを課題の一とする。また、本発明は、エアロゲルの含有量を最適化し、断熱性能を向上させたポリウレタンフォームを用いた断熱材を提供することを課題の一とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、ポリウレタンフォームの原料に断熱性能の高い親水性エアロゲルを混ぜて材料の粘度を上げることで上記課題の一を解決する。また、本発明は、親水性エアロゲルの含有量を最適化したポリウレタンフォームを提供することで上記課題の一を解決する。
【0010】
すなわち、本発明の断熱材は、
親水性エアロゲルを0.2%乃至3%含有するポリウレタンフォームを備えることを特徴とする。
【0011】
本発明の断熱材は、ポリウレタンフォームの原料に断熱性能の高い親水性のエアロゲルを混ぜて材料の粘度を上げることで、気泡の膨らみを抑える。また、本発明の断熱材はゲルタイムを長くし、製品の未充填部分をなくすことができる。また、本発明の断熱材は、親水性エアロゲルの含有量を最適化したポリウレタンフォームを用いるため、断熱性能が改善される。
【0012】
また、本発明は、
前記ポリウレタンフォームの平均セル径は、142μm以下である、ことを特徴とする。
【0013】
本発明は、平均セル径(気泡の大きさ)を従来のウレタンフォームより小さくすることができる。
【0014】
また、本発明の断熱材は、
親水性エアロゲルを0.2%乃至0.5%含有するポリウレタンフォームを備える、ことを特徴とする。
【0015】
本発明の断熱材は、ポリウレタンフォームに対する親水性エアエロゲルの含有量を調整することで、さらに断熱性能が改善される。
【0016】
また、本発明は、
前記ポリウレタンフォームの平均セル径は、137μm以下である、ことを特徴とする。
【0017】
本発明の断熱材は、ポリウレタンフォームに対する親水性エアエロゲルの含有量を調整することで、平均セル径をさらに小さくすることができる。
【0018】
また、本発明は、
前記ポリウレタンフォームは、
アミン系ポリオール、ポリエステル系ポリオール及び触媒の脂肪族アミン化合物のポリオール混合物と、
ジフェニルメタンジイソシアネートのポリイソシアネートと、
シクロペンタンの発泡剤と、の混合物から得られ、
親水性エアロゲルは、シリカエアロゲルである、ことを特徴とする。
【0019】
本発明のポリウレタンフォームは、アミン系ポリオール、ポリエステル系ポリオール及び触媒の脂肪族アミン化合物のポリオール混合物と、ジフェニルメタンジイソシアネートのポリイソシアネートと、シクロペンタンの発泡剤と、の混合物から得られ、本発明の親水性エアロゲルは、シリカエアロゲルである。
【0020】
また、本発明の冷蔵庫、冷凍冷蔵庫または冷凍庫は、
前記ポリウレタンフォームが、硬質ポリウレタンフォームである上記断熱材を用いることを特徴とする。
【0021】
本発明の冷蔵庫、冷凍冷蔵庫または冷凍庫は、ポリウレタンフォームが硬質ポリウレタンフォームである上記断熱材を用いて断熱性能を改善することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によると、断熱性能の改善された断熱材を提供できる。本発明によると、平均セル径を従来のウレタンフォームより小さくした断熱材を提供できる。本発明によると、ポリウレタンフォームに対する親水性エアエロゲルの含有量を調整することで、さらに断熱性能が改善された断熱材を提供できる。本発明によると、ポリウレタンフォームに対する親水性エアエロゲルの含有量を調整することで、平均セル径をさらに小さくした断熱材を提供できる。
【0023】
また、本発明によると、ポリウレタンフォームは、アミン系ポリオール、ポリエステル系ポリオール及び触媒の脂肪族アミン化合物のポリオール混合物と、ジフェニルメタンジイソシアネートのポリイソシアネートと、シクロペンタンの発泡剤と、の混合物から得られ、親水性エアロゲルは、シリカエアロゲルである断熱材を提供できる。本発明によると、ポリウレタンフォームが硬質ポリウレタンフォームである上記断熱材を用い、断熱性能を改善する冷蔵庫、冷凍冷蔵庫または冷凍庫を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】実施例2のポリウレタンフォームのセル径計測写真である。
【
図2】実施例4のポリウレタンフォームのセル径計測写真である。
【
図3】比較例2のポリウレタンフォームのセル径計測写真である。
【
図4】従来例のポリウレタンフォームのセル径計測写真である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(実施形態)
本発明の実施形態に係るポリウレタンフォームについて説明する。
【0026】
本発明の実施形態に係るポリウレタンフォームは、ポリオール化合物と触媒のポリオール混合物とイソシアネート化合物のポリイソシアネートを発泡剤、親水性エアエロゲルの存在下で反応させて得られる。反応後のウレタンフォームの構造は複雑で、一概に特定できない。そこで、原料を特定して、ポリウレタンフォームを特定する。
【0027】
本発明の実施形態に係るポリオール混合物のポリオール化合物は、アミン系ポリオールを含む。アミン系ポリオールは、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、芳香族ジアミン、ジエチレントリアミン1種または複数種を含む。
【0028】
また、本発明の実施形態に係るポリオール混合物のポリオール化合物は、ポリエステル系ポリオールを含む。ポリエステル系ポリオールは、数種のカルボン酸と多価アルコールを脱水縮合して製造される。カルボン酸としてはアジピン酸、フタル酸等が、多価アルコールとしてはエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6ヘキサンジオール等が用いられる。硬質ポリウレタンフォームは、主にフタル酸系のポリエステル系ポリオールが用いられる。
【0029】
本発明の実施形態に係るポリオール混合物の触媒は、ポリウレタンフォームの合成反応を調節するために用いられる。本発明の実施形態のポリオール混合物の触媒は、脂肪族アミンを含む。脂肪族アミンは、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、トリエタノールアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、スペルミジン、スペルミン、アマンタジン、テトラメチルヘキサンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミンの1種または複数種を用いることができる。
【0030】
本発明の実施形態に係るポリオール混合物は、好ましくは100重量部用いられる。
【0031】
本発明の実施形態に係るポリイソシアネートのイソシアネート化合物として、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネートの1種または複数種を用いることができる。
【0032】
本発明の実施形態では、イソシアネート化合物として、好ましくはジフェニルメタンジイソシアネートを用いる。また、本発明の実施形態に係るポリイソシアネートは、好ましくは124重量部用いられる。
【0033】
本発明の実施形態に係るポリウレタンフォームは、発泡剤により発泡される。本発明の実施形態に係る発泡剤は、シクロペンタン、トリクロロフルオロメタン、1,1-ジクロロ-1-フルオロメタン、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン、1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン、二酸化炭素の1種または複数種を用いることができる。本発明の実施形態に係る発泡剤は、好ましくはシクロペンタンを用いる。また、本発明の実施形態に係る発泡剤は、好ましくは14重量部用いられる。
【0034】
ポリオール化合物と触媒の100重量部のポリオール混合物と124重量部のイソシアネート化合物のポリイソシアネートを14重量部の発泡剤の存在下で反応させると、本発明の実施形態に係るポリウレタンフォームは、好ましくは100重量部形成される。
【0035】
本発明の実施形態に係るポリウレタンフォームは、親水性エアロゲルにより発泡が制御される。本発明の実施形態に係る親水性エアロゲルは、シリカエアロゲル、カーボンエアロゲル、金属エアエロゲル、ポリマエアロゲルを用いることができる。
【0036】
本発明の実施形態に係る親水性エアロゲルは、好ましくはシリカエアロゲルを用いる。親水性のシリカエアロゲルは、表面のヒドロキシ基により親水性が高い。本発明の実施形態に係る親水性エアロゲルは、好ましくは粒径が200μmから400μmの粒状である。本発明の実施形態に係る親水性エアロゲルは、好ましくは0.2重量部から3重量部用いられる。
【0037】
上記実施形態によると、ポリウレタンフォームの原料に断熱性能の高い親水性のエアロゲルを混ぜて材料の粘度を上げることで、気泡の膨らみを抑える。また、上記実施形態によると、ゲルタイムを長くし、製品の未充填部分をなくすことができる。また、上記実施形態によると、親水性エアロゲルの含有量を最適化したポリウレタンフォームを用いるため、断熱性能が改善される。
【実施例0038】
本実施例は、表1の原料を用いて、実施例1乃至4、比較例1、2及び従来例に係るポリウレタンフォームを製造した。ポリオール混合物とポリイソシアネートを発泡剤、親水性エアロゲルの存在下で反応させる工程を経る製造方法で、実施例1乃至4のポリウレタンフォームが得られた。ポリオール混合物とポリイソシアネートを発泡剤、疎水性エアロゲルの存在下で反応させる工程を経る製造方法で、比較例1、2のポリウレタンフォームが得られた。ポリオール混合物とポリイソシアネートを発泡剤の存在下で反応させる工程を経る製造方法で、従来例のポリウレタンフォームが得られた。
【0039】
【0040】
ポリオール混合物とエアロゲルは、以下の通りである。
ポリオール:住化コベストロウレタン株式会社製
エアロゲル:広東アリソンハイテク有限公司製
【0041】
熱伝導率は、英弘精機社製、FOX200にて測定された。
【0042】
いずれのポリウレタンフォームも、100重量部のポリオール混合物、14重量部の発泡剤、124重量部のポリイソシアネートが反応して100重量部のポリウレタンフォームを形成した。
【0043】
実施例1のポリウレタンフォームは、親水性エアロゲルを0.2重量部、すなわちポリウレタンフォームに対して親水性エアロゲルを0.2%含む。実施例2のポリウレタンフォームは、親水性エアロゲルを0.5重量部、すなわちポリウレタンフォームに対して親水性エアロゲルを0.5%含む。実施例3のポリウレタンフォームは、親水性エアロゲルを1.0重量部、すなわちポリウレタンフォームに対して親水性エアロゲルを1.0%含む。実施例4のポリウレタンフォームは、親水性エアロゲルを3.0重量部、すなわちポリウレタンフォームに対して親水性エアロゲルを3.0%含む。実施例1乃至4は、他の成分を同じにして親水性エアロゲルの含有量を変えたものである。
【0044】
一方、比較例1のポリウレタンフォームは、疎水性エアロゲルを1.0重量部、すなわちポリウレタンフォームに対して疎水性エアロゲルを1.0%含み、比較例2のポリウレタンフォームは、疎水性エアロゲルを3.0重量部、すなわちポリウレタンフォームに対して疎水性エアロゲルを3.0%含む。比較例1、2は、親水性エアロゲルの代わりに疎水性エアロゲルを含有する点で実施例と異なる。従来例のポリウレタンフォームは、エアロゲルを含まない。
【0045】
親水性エアロゲルの含有量が0.2%乃至3%である実施例1乃至4は、20.5mW/m・k以下の熱伝導率を達成した。これは、従来例のポリウレタンフォームの熱伝導率20.9mW/m・Kより低い。したがって、実施例1乃至4は、従来例に比べ断熱性能が高かった。特に実施例1及び2は、さらに低い20.3mW/m・Kの熱伝導率を達成した。したがって、他の成分を変えずに親水性エアロゲルの含有量を0.2%乃至0.5%に調整することで、さらに断熱性能が改善された。
【0046】
それに対し、比較例1は、熱伝導率が21.0mW/m・kであった。また、比較例2は、熱伝導率が21.6mW/m・kであった。比較例1及び2は共に従来のポリウレタンフォームの熱伝導率20.9mW/m・Kより高かった。したがって、親水性エアロゲルの代わりに疎水性エアロゲルを含有すると、断熱性能が劣ってしまうことがわかった。
【0047】
また、実施例1乃至4は、従来例のポリウレタンフォームよりも発泡密度が低くポリウレタンフォームを軽くすることができた。また、実施例1乃至4は、低温寸法安定性(-30℃×48h(%))、高温寸法安定性(70℃×48h(%))も従来例と比較して遜色ない。さらに、実施例1乃至4は、圧縮強度も1.2乃至1.5kgf・cm2)と、従来例と比較して遜色ない。
【0048】
また、実施例1乃至4は、フォーム状態もセル荒れがなかった。
【0049】
図1は、実施例2のポリウレタンフォームのセル径計測写真である。
図2は、実施例4のポリウレタンフォームのセル径計測写真である。
図3は、比較例2のポリウレタンフォームのセル径計測写真である。
図4は、従来例のポリウレタンフォームのセル径計測写真である。
図1乃至4を参照して、本発明の実施形態のポリウレタンフォームのセル径(気泡の大きさ)について説明する。
【0050】
図1を参照すると、実施例2のポリウレタンフォームの平均セル径は、約137μmであった。
図2を参照すると、実施例4のポリウレタンフォームの平均セル径は、約142μmであった。このことからポリウレタンフォームの親水性エアロゲルを3%から0.5%に下げると、平均セル径が小さくなることがわかる。
【0051】
図3を参照すると、比較例2のポリウレタンフォームの平均セル径は、167μmであった。
図4を参照すると、従来例のポリウレタンフォームの平均セル径は、197μmであった。
図1乃至4から、疎水性エアロゲルを含んだポリウレタンフォーム及び従来のポリウレタンフォームはいずれも、親水性エアロゲルを含んだポリウレタンフォームより平均セル径が大きいことがわかる。
【0052】
したがって、実施例1乃至4は、比較例1、2及び従来例と比較して平均セル径を小さくする、すなわち気泡を微細にすることができた。また、実施例1乃至4は、親水性エアロゲルの含有量を調整することで平均セル径をさらに小さくすることができた。
【0053】
このようなポリウレタンフォームが硬質ポリウレタンフォームである断熱材は、未充填部分及びセル荒れがなく製品に充填することができ、軽く温度変形性も小さいため冷蔵庫、冷凍庫または冷凍冷蔵庫に用いることができる。
【0054】
本発明によると、断熱性能の改善された断熱材を提供できる。本発明によると、平均セル径を従来のウレタンフォームより小さくした断熱材を提供できる。本発明によると、ポリウレタンフォームに対する親水性エアエロゲルの含有量を調整することで、さらに断熱性能が改善された断熱材を提供できる。本発明によると、ポリウレタンフォームに対する親水性エアエロゲルの含有量を調整することで、平均セル径をさらに小さくした断熱材を提供できる。
【0055】
また、本発明によると、ポリウレタンフォームは、アミン系ポリオール、ポリエステル系ポリオール及び触媒の脂肪族アミン化合物のポリオール混合物と、ジフェニルメタンジイソシアネートのポリイソシアネートと、シクロペンタンの発泡剤と、の混合物から得られ、親水性エアロゲルは、シリカエアロゲルである断熱材を提供できる。本発明によると、ポリウレタンフォームが硬質ポリウレタンフォームである断熱材を用い、断熱性能を改善する冷蔵庫、冷凍冷蔵庫または冷凍庫を提供できる。
本発明のポリウレタンフォームは、熱伝導率が低く、冷蔵庫、冷凍庫、冷凍冷蔵庫の断熱材に用いることができる。また、本発明のポリウレタンフォームは、サンドイッチパネルやボード用建材、保冷パイプ等にも使用できる。