(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023090440
(43)【公開日】2023-06-29
(54)【発明の名称】給電制御装置及び故障検知方法
(51)【国際特許分類】
H02H 7/00 20060101AFI20230622BHJP
H03K 17/08 20060101ALI20230622BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20230622BHJP
【FI】
H02H7/00 B
H03K17/08 C
H02J7/00 302A
H02J7/00 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021205402
(22)【出願日】2021-12-17
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】榊原 弘紀
(72)【発明者】
【氏名】小田 康太
【テーマコード(参考)】
5G053
5G503
5J055
【Fターム(参考)】
5G053AA03
5G053BA04
5G053DA01
5G053DA02
5G053EC03
5G503AA01
5G503AA07
5G503BA01
5G503BB01
5G503CA11
5G503DA07
5G503DA08
5G503EA09
5G503FA14
5G503GA01
5G503GD03
5G503GD04
5G503GD06
5J055AX08
5J055BX16
5J055CX07
5J055DX13
5J055DX22
5J055EY01
5J055EY21
5J055EZ10
5J055FX04
5J055FX06
(57)【要約】
【課題】短絡故障が発生した場合に負荷への給電を停止することができる給電制御装置と、短絡故障が発生した場合に負荷への給電を停止することができる回路の故障を検知する故障検知方法とを提供する。
【解決手段】給電制御装置10では、負荷12を介して流れる電流の電流経路において、負荷12の上流側及び下流側それぞれに上流スイッチ30及び下流スイッチ20が配置されている。上流スイッチ30及び負荷12間の接続ノードに第1抵抗23の一端が接続されている。負荷12及び下流スイッチ20間の接続ノードに、接続スイッチ40及び第2抵抗41を含む直列回路22の一端が接続されている。直列回路22の他端に一定の電圧が印加されている。マイコン26は、2つの接続ノードの電圧値中の1つに基づいて、上流スイッチ30、下流スイッチ20又は負荷12の故障を検知する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷への給電を制御する給電制御装置であって、
前記負荷を介して流れる電流の電流経路にて、前記負荷の上流側に配置される上流スイッチと、
前記電流経路にて、前記負荷の下流側に配置される下流スイッチと、
前記上流スイッチ及び負荷間の接続ノードに一端が接続される第1抵抗と、
直列に接続された第2抵抗及び接続スイッチを含み、前記負荷及び下流スイッチ間の接続ノードに一端が接続される直列回路と、
処理を実行する処理部と
を備え、
前記第1抵抗の他端の電位を基準電位とした一定の電圧が前記直列回路の他端に印加されており、
前記処理部は、
前記上流スイッチ及び負荷間の接続ノードの電圧値、又は、前記負荷及び下流スイッチ間の接続ノードの電圧値を取得し、
取得した電圧値に基づいて、前記上流スイッチ、下流スイッチ又は負荷の故障を検知する
給電制御装置。
【請求項2】
電流は、直流電源の一端から前記電流経路を介して前記直流電源の他端に流れ、
前記処理部は、
前記上流スイッチのオンへの切替えを指示し、
前記下流スイッチのオフへの切替えを指示し、
前記接続スイッチがオフである状態で、前記上流スイッチ及び負荷間の接続ノードの電圧値、又は、前記負荷及び下流スイッチ間の接続ノードの電圧値を取得し、
取得した電圧値が電圧閾値未満である場合、前記上流スイッチの開放故障を検知し、
前記電圧閾値は、0Vを超えており、かつ、前記直流電源の両端間の電圧値以下である
請求項1に記載の給電制御装置。
【請求項3】
電流は、直流電源の一端から前記電流経路を介して前記直流電源の他端に流れ、
前記処理部は、
前記上流スイッチ及び下流スイッチのオフへの切替えを指示し、
前記接続スイッチがオフである状態で、前記上流スイッチ及び負荷間の接続ノードの電圧値、又は、前記負荷及び下流スイッチ間の接続ノードの電圧値を取得し、
取得した電圧値が第2の電圧閾値を超えている場合、前記上流スイッチの短絡故障を検知し、
前記第2の電圧閾値は、0V以上であり、かつ、前記直流電源の両端間の電圧値未満である
請求項1又は請求項2に記載の給電制御装置。
【請求項4】
前記処理部は、
前記上流スイッチのオフへの切替えを指示し、
前記下流スイッチのオンへの切替えを指示し、
前記接続スイッチがオンである状態で、前記上流スイッチ及び負荷間の接続ノードの電圧値、又は、前記負荷及び下流スイッチ間の接続ノードの電圧値を取得し、
取得した電圧値が第3の電圧閾値を超えている場合、前記下流スイッチの開放故障を検知し、
前記第3の電圧閾値は、0V以上であり、かつ、前記上流スイッチ、下流スイッチ及び接続スイッチがオフ、オフ及びオンである場合に前記処理部が取得する電圧値未満である
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の給電制御装置。
【請求項5】
前記処理部は、
前記上流スイッチ及び下流スイッチのオフへの切替えを指示し、
前記接続スイッチがオンである状態で、前記上流スイッチ及び負荷間の接続ノードの電圧値、又は、前記負荷及び下流スイッチ間の接続ノードの電圧値を取得し、
取得した電圧値が第4の電圧閾値未満である場合、前記下流スイッチの短絡故障を検知し、
前記第4の電圧閾値は、0Vを超えており、かつ、前記上流スイッチ、下流スイッチ及び接続スイッチがオフ、オフ及びオンである場合に前記処理部が取得する電圧値以下である
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の給電制御装置。
【請求項6】
前記処理部は、
前記上流スイッチ及び下流スイッチのオフへの切替えを指示し、
前記接続スイッチがオンである状態で、前記負荷及び下流スイッチ間の接続ノードの電圧値を取得し、
取得した電圧値が第5の電圧閾値を超えている場合、前記負荷の開放故障を検知し、
前記第5の電圧閾値は、前記上流スイッチ、下流スイッチ及び接続スイッチがオフ、オフ及びオンである場合に前記処理部が取得する電圧値を超えており、かつ、前記一定の電圧の電圧値未満である
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の給電制御装置。
【請求項7】
電流は、直流電源の一端から前記電流経路を介して前記直流電源の他端に流れ、
前記処理部は、
前記上流スイッチ及び下流スイッチのオンへの切替えを指示し、
前記接続スイッチがオフである状態で、前記上流スイッチ及び負荷間の接続ノードの電圧値を取得し、
取得した電圧値が第6の電圧閾値未満である場合、前記上流スイッチの開放故障を検知し、
前記第6の電圧閾値は、0Vを超えており、かつ、前記直流電源の両端間の電圧値以下である
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の給電制御装置。
【請求項8】
電流は、直流電源の一端から前記電流経路を介して前記直流電源の他端に流れ、
前記上流スイッチは半導体スイッチであり、
前記処理部は、
前記上流スイッチ及び下流スイッチのオンへの切替えを指示し、
前記接続スイッチがオフである状態で、前記上流スイッチ及び負荷間の接続ノードの電圧値を取得し、
取得した電圧値が第7の電圧閾値未満である場合、前記上流スイッチの抵抗値に関する故障を検知し、
前記第7の電圧閾値は、前記直流電源の両端間の電圧値以下である
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の給電制御装置。
【請求項9】
電流は、直流電源の一端から前記電流経路を介して前記直流電源の他端に流れ、
前記処理部は、
前記上流スイッチ及び下流スイッチのオンへの切替えを指示し、
前記接続スイッチがオフである状態で、前記負荷及び下流スイッチ間の接続ノードの電圧値を取得し、
取得した電圧値が第8の電圧閾値を超えている場合、前記下流スイッチの開放故障を検知し、
前記第8の電圧閾値は、0V以上であり、かつ、前記直流電源の両端間の電圧値未満である
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の給電制御装置。
【請求項10】
前記処理部は、
前記上流スイッチ及び下流スイッチのオンへの切替えを指示し、
前記接続スイッチがオフである状態で、前記負荷及び下流スイッチ間の接続ノードの電圧値を取得し、
取得した電圧値が第9の電圧閾値を超えている場合、前記下流スイッチの抵抗値に関する故障を検知し、
前記第9の電圧閾値は、0V以上である
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の給電制御装置。
【請求項11】
前記処理部は、
前記上流スイッチ及び下流スイッチのオンへの切替えを指示し、
前記上流スイッチを介して流れる電流の電流値を取得し、
取得した電流値が電流閾値未満である場合、前記負荷の開放故障を検知し、
前記電流閾値は、前記上流スイッチ、下流スイッチ及び接続スイッチがオン、オフ及びオフである場合に前記上流スイッチを介して流れる電流の電流値を超えており、
前記電流閾値は、前記負荷が正常である状態で前記上流スイッチ及び下流スイッチがオンである場合に前記上流スイッチを介して流れる電流の電流値以下であり、
前記負荷の抵抗値は前記第1抵抗の抵抗値未満である
請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の給電制御装置。
【請求項12】
前記処理部は、
前記上流スイッチ及び下流スイッチのオンへの切替えを指示し、
前記上流スイッチを介して流れる電流の電流値を取得し、
取得した電流値が第2の電流閾値を超えている場合、前記負荷の短絡故障を検知し、
前記第2の電流閾値は、前記負荷が正常である状態で前記上流スイッチ及び下流スイッチがオンである場合に前記上流スイッチを介して流れる電流の電流値である
請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の給電制御装置。
【請求項13】
前記処理部は、前記上流スイッチ及び下流スイッチのオンへの切替えを指示している状態で、前記上流スイッチ、下流スイッチ又は負荷の故障を検知した場合、前記上流スイッチ及び下流スイッチのオフへの切替えを指示する
請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の給電制御装置。
【請求項14】
負荷を介して流れる電流の電流経路にて、前記負荷の上流側に配置される上流スイッチと、前記電流経路にて、前記負荷の下流側に配置される下流スイッチと、前記上流スイッチ及び負荷間の接続ノードに一端が接続される第1抵抗と、直列に接続された第2抵抗及び接続スイッチを含み、前記負荷及び下流スイッチ間の接続ノードに一端が接続される直列回路とを備え、前記第1抵抗の他端の電位を基準電位とした一定の電圧が前記直列回路の他端に印加されている回路の故障を検知する故障検知方法であって、
前記上流スイッチ及び負荷間の接続ノードの電圧値、又は、前記負荷及び下流スイッチ間の接続ノードの電圧値を取得するステップと、
取得した電圧値に基づいて、前記上流スイッチ、下流スイッチ又は負荷の故障を検知するステップと
をコンピュータが実行する故障検知方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は給電制御装置及び故障検知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、直流電源から負荷への給電を制御する車両用の給電制御装置が開示されている。直流電源から負荷に流れる電流の電流経路にスイッチが配置されている。制御装置は、スイッチのオン又はオフへの切替えを指示することによって、負荷への給電を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の構成では、制御装置がスイッチのオフへの切替えを指示しているにも関わらず、スイッチの両端間の抵抗値が十分に小さい短絡故障が発生した場合、直流電源は負荷に電力を供給し続ける。この場合、直流電源の電力が無駄に消費される可能性がある。
【0005】
本開示は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、短絡故障が発生した場合に負荷への給電を停止することができる給電制御装置と、短絡故障が発生した場合に負荷への給電を停止することができる回路の故障を検知する故障検知方法とを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る給電制御装置は、負荷への給電を制御する給電制御装置であって、前記負荷を介して流れる電流の電流経路にて、前記負荷の上流側に配置される上流スイッチと、前記電流経路にて、前記負荷の下流側に配置される下流スイッチと、前記上流スイッチ及び負荷間の接続ノードに一端が接続される第1抵抗と、直列に接続された第2抵抗及び接続スイッチを含み、前記負荷及び下流スイッチ間の接続ノードに一端が接続される直列回路と、処理を実行する処理部とを備え、前記第1抵抗の他端の電位を基準電位とした一定の電圧が前記直列回路の他端に印加されており、前記処理部は、前記上流スイッチ及び負荷間の接続ノードの電圧値、又は、前記負荷及び下流スイッチ間の接続ノードの電圧値を取得し、取得した電圧値に基づいて、前記上流スイッチ、下流スイッチ又は負荷の故障を検知する。
【0007】
本開示の一態様に係る故障検知方法は、負荷を介して流れる電流の電流経路にて、前記負荷の上流側に配置される上流スイッチと、前記電流経路にて、前記負荷の下流側に配置される下流スイッチと、前記上流スイッチ及び負荷間の接続ノードに一端が接続される第1抵抗と、直列に接続された第2抵抗及び接続スイッチを含み、前記負荷及び下流スイッチ間の接続ノードに一端が接続される直列回路とを備え、前記第1抵抗の他端の電位を基準電位とした一定の電圧が前記直列回路の他端に印加されている回路の故障を検知する故障検知方法であって、前記上流スイッチ及び負荷間の接続ノードの電圧値、又は、前記負荷及び下流スイッチ間の接続ノードの電圧値を取得するステップと、取得した電圧値に基づいて、前記上流スイッチ、下流スイッチ又は負荷の故障を検知するステップとをコンピュータが実行する。
【0008】
なお、本開示を、このような特徴的な処理部を備える給電制御装置として実現することができるだけでなく、かかる特徴的な処理をステップとする故障検知方法として実現したり、かかるステップをコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムとして実現したりすることができる。また、本開示を、給電制御装置の一部又は全部を実現する半導体集積回路として実現したり、給電制御装置を含む電源システムとして実現したりすることができる。
【発明の効果】
【0009】
上記の態様に係る給電制御装置によれば、短絡故障が発生した場合に負荷への給電を停止することができる。
上記の態様に係る故障検知方法によれば、短絡故障が発生した場合に負荷への給電を停止することができる回路の故障を検知する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態1における電源システムの要部構成を示すブロック図である。
【
図2】マイコンの要部構成を示すブロック図である。
【
図4】負荷が動作を停止している場合の故障診断を説明するための図表である。
【
図5】負荷が作動している場合の故障診断を説明するための図表である。
【
図6】給電制御処理の手順を示すフローチャートである。
【
図7】実施形態2における給電制御装置の要部構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列挙して説明する。以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0012】
(1)本開示の一態様に係る給電制御装置は、負荷への給電を制御する給電制御装置であって、前記負荷を介して流れる電流の電流経路にて、前記負荷の上流側に配置される上流スイッチと、前記電流経路にて、前記負荷の下流側に配置される下流スイッチと、前記上流スイッチ及び負荷間の接続ノードに一端が接続される第1抵抗と、直列に接続された第2抵抗及び接続スイッチを含み、前記負荷及び下流スイッチ間の接続ノードに一端が接続される直列回路と、処理を実行する処理部とを備え、前記第1抵抗の他端の電位を基準電位とした一定の電圧が前記直列回路の他端に印加されており、前記処理部は、前記上流スイッチ及び負荷間の接続ノードの電圧値、又は、前記負荷及び下流スイッチ間の接続ノードの電圧値を取得し、取得した電圧値に基づいて、前記上流スイッチ、下流スイッチ又は負荷の故障を検知する。
【0013】
上記の一態様にあっては、スイッチの短絡故障は、スイッチのオフへの切替えを指示しているにも関わらず、スイッチの両端間の抵抗値が十分に小さい現象である。上流スイッチの短絡故障が発生した場合、下流スイッチをオフに切替えることによって、負荷への給電を停止することができる。処理部は、上流スイッチ及び負荷間の接続ノードの電圧値、又は、負荷及び下流スイッチ間の接続ノードの電圧値に基づいて、上流スイッチ、下流スイッチ又は負荷の故障を検知する。
【0014】
(2)本開示の一態様に係る給電制御装置では、電流は、直流電源の一端から前記電流経路を介して前記直流電源の他端に流れ、前記処理部は、前記上流スイッチのオンへの切替えを指示し、前記下流スイッチのオフへの切替えを指示し、前記接続スイッチがオフである状態で、前記上流スイッチ及び負荷間の接続ノードの電圧値、又は、前記負荷及び下流スイッチ間の接続ノードの電圧値を取得し、取得した電圧値が電圧閾値未満である場合、前記上流スイッチの開放故障を検知し、前記電圧閾値は、0Vを超えており、かつ、前記直流電源の両端間の電圧値以下である。
【0015】
上記の一態様にあっては、上流スイッチ、下流スイッチ及び接続スイッチそれぞれがオン、オフ及びオフである場合、処理部が取得する電圧値は、直流電源の両端間の電圧値であり、電圧閾値以上である。スイッチの開放故障は、スイッチのオンへの切替えを指示しているにも関わらず、スイッチの両端間の抵抗値が十分に高い現象である。上流スイッチのオンへの切替えと、下流スイッチのオフへの切替えとを指示している場合において、上流スイッチの開放故障が発生しているとき、接続スイッチがオフである状態で処理部が取得する電圧値は、0Vであり、電圧閾値未満である。
【0016】
(3)本開示の一態様に係る給電制御装置では、電流は、直流電源の一端から前記電流経路を介して前記直流電源の他端に流れ、前記処理部は、前記上流スイッチ及び下流スイッチのオフへの切替えを指示し、前記接続スイッチがオフである状態で、前記上流スイッチ及び負荷間の接続ノードの電圧値、又は、前記負荷及び下流スイッチ間の接続ノードの電圧値を取得し、取得した電圧値が第2の電圧閾値を超えている場合、前記上流スイッチの短絡故障を検知し、前記第2の電圧閾値は、0V以上であり、かつ、前記直流電源の両端間の電圧値未満である。
【0017】
上記の一態様にあっては、上流スイッチ、下流スイッチ及び接続スイッチの全てがオフである場合、処理部が取得する電圧値は、0Vであり、第2の電圧閾値以下である。上流スイッチ及び下流スイッチのオフへの切替えを指示している場合において、上流スイッチの短絡故障が発生しているとき、処理部が取得する電圧値は、直流電源の両端間の電圧値であり、第2の電圧閾値を超えている。
【0018】
(4)本開示の一態様に係る給電制御装置では、前記処理部は、前記上流スイッチのオフへの切替えを指示し、前記下流スイッチのオンへの切替えを指示し、前記接続スイッチがオンである状態で、前記上流スイッチ及び負荷間の接続ノードの電圧値、又は、前記負荷及び下流スイッチ間の接続ノードの電圧値を取得し、取得した電圧値が第3の電圧閾値を超えている場合、前記下流スイッチの開放故障を検知し、前記第3の電圧閾値は、0V以上であり、かつ、前記上流スイッチ、下流スイッチ及び接続スイッチがオフ、オフ及びオンである場合に前記処理部が取得する電圧値未満である。
【0019】
上記の一態様にあっては、上流スイッチ、下流スイッチ及び接続スイッチそれぞれがオフ、オン及びオンである場合、処理部が取得する電圧値は、0Vであり、第3の電圧閾値以下である。上流スイッチ、下流スイッチ及び接続スイッチがオフ、オフ及びオンである場合、第1抵抗、第2抵抗及び負荷は一定の電圧を分圧する。上流スイッチ、下流スイッチ及び接続スイッチがオフ、オフ及びオンである場合に処理部が取得する電圧値を分圧電圧値と記載する。上流スイッチのオフへの切替えと、下流スイッチのオンへの切替えとを指示している場合において、下流スイッチの開放故障が発生しているとき、接続スイッチがオンである状態で処理部が取得する電圧値は、分圧電圧値であり、第3の電圧閾値を超えている。
【0020】
(5)本開示の一態様に係る給電制御装置では、前記処理部は、前記上流スイッチ及び下流スイッチのオフへの切替えを指示し、前記接続スイッチがオンである状態で、前記上流スイッチ及び負荷間の接続ノードの電圧値、又は、前記負荷及び下流スイッチ間の接続ノードの電圧値を取得し、取得した電圧値が第4の電圧閾値未満である場合、前記下流スイッチの短絡故障を検知し、前記第4の電圧閾値は、0Vを超えており、かつ、前記上流スイッチ、下流スイッチ及び接続スイッチがオフ、オフ及びオンである場合に前記処理部が取得する電圧値以下である。
【0021】
上記の一態様にあっては、上流スイッチ、下流スイッチ及び接続スイッチそれぞれがオフ、オフ及びオンである場合、処理部が取得する電圧値は、分圧電圧値であり、第4の電圧閾値以上である。上流スイッチ及び下流スイッチのオフへの切替えを指示している場合において、下流スイッチの短絡故障が発生しているとき、接続スイッチがオンである状態で処理部が取得する電圧値は、0Vであり、第4の電圧閾値未満である。
【0022】
(6)本開示の一態様に係る給電制御装置では、前記処理部は、前記上流スイッチ及び下流スイッチのオフへの切替えを指示し、前記接続スイッチがオンである状態で、前記負荷及び下流スイッチ間の接続ノードの電圧値を取得し、取得した電圧値が第5の電圧閾値を超えている場合、前記負荷の開放故障を検知し、前記第5の電圧閾値は、前記上流スイッチ、下流スイッチ及び接続スイッチがオフ、オフ及びオンである場合に前記処理部が取得する電圧値を超えており、かつ、前記一定の電圧の電圧値未満である。
【0023】
上記の一態様にあっては、上流スイッチ、下流スイッチ及び接続スイッチそれぞれがオフ、オフ及びオンである場合、負荷が正常であるとき、処理部が取得する電圧値は、分圧電圧値であり、第5の電圧閾値以下である。負荷の開放故障は、負荷の両端間の抵抗値が極端に大きい現象である。上流スイッチ、下流スイッチ及び接続スイッチそれぞれがオフ、オフ及びオンである場合において、負荷の開放故障が発生しているとき、処理部が取得する電圧値は、一定の電圧の電圧値であり、第5の電圧閾値を超えている。
【0024】
(7)本開示の一態様に係る給電制御装置では、電流は、直流電源の一端から前記電流経路を介して前記直流電源の他端に流れ、前記処理部は、前記上流スイッチ及び下流スイッチのオンへの切替えを指示し、前記接続スイッチがオフである状態で、前記上流スイッチ及び負荷間の接続ノードの電圧値を取得し、取得した電圧値が第6の電圧閾値未満である場合、前記上流スイッチの開放故障を検知し、前記第6の電圧閾値は、0Vを超えており、かつ、前記直流電源の両端間の電圧値以下である。
【0025】
上記の一態様にあっては、上流スイッチ、下流スイッチ及び接続スイッチそれぞれがオン、オン及びオフである場合、処理部が取得する電圧値は、直流電源の両端間の電圧値であり、第6の電圧閾値以上である。上流スイッチ及び下流スイッチのオンへの切替えを指示している場合において、上流スイッチの開放故障が発生しているとき、接続スイッチがオフである状態で処理部が取得する電圧値は、0Vであり、第6の電圧閾値未満である。
【0026】
(8)本開示の一態様に係る給電制御装置では、電流は、直流電源の一端から前記電流経路を介して前記直流電源の他端に流れ、前記上流スイッチは半導体スイッチであり、前記処理部は、前記上流スイッチ及び下流スイッチのオンへの切替えを指示し、前記接続スイッチがオフである状態で、前記上流スイッチ及び負荷間の接続ノードの電圧値を取得し、取得した電圧値が第7の電圧閾値未満である場合、前記上流スイッチの抵抗値に関する故障を検知し、前記第7の電圧閾値は、前記直流電源の両端間の電圧値以下である。
【0027】
上記の一態様にあっては、スイッチの抵抗値に関する故障は、スイッチの抵抗値が中途半端な値である現象であり、ハーフオン故障と呼ばれる。上流スイッチ、下流スイッチ及び接続スイッチそれぞれがオン、オン及びオフである場合、処理部が取得する電圧値は、直流電源の両端間の電圧値であり、第7の電圧閾値以上である。上流スイッチ及び下流スイッチのオンへの切替えが指示されている場合において、上流スイッチのハーフオン故障が発生しているとき、接続スイッチがオフである状態で処理部が取得する電圧値は、直流電源の両端間の電圧値よりも若干低い。第7の電圧閾値を、直流電源の両端間の電圧値よりも若干低い電圧値を超えており、かつ、直流電源の両端間の電圧値以下である値に設定することによって、上流スイッチのハーフオン故障を検知することができる。
【0028】
(9)本開示の一態様に係る給電制御装置では、電流は、直流電源の一端から前記電流経路を介して前記直流電源の他端に流れ、前記処理部は、前記上流スイッチ及び下流スイッチのオンへの切替えを指示し、前記接続スイッチがオフである状態で、前記負荷及び下流スイッチ間の接続ノードの電圧値を取得し、取得した電圧値が第8の電圧閾値を超えている場合、前記下流スイッチの開放故障を検知し、前記第8の電圧閾値は、0V以上であり、かつ、前記直流電源の両端間の電圧値未満である。
【0029】
上記の一態様にあっては、上流スイッチ、下流スイッチ及び接続スイッチそれぞれがオン、オン及びオフである場合、処理部が取得する電圧値は、0Vであり、第8の電圧閾値以下である。上流スイッチ及び下流スイッチのオンへの切替えを指示している場合において、下流スイッチの開放故障が発生しているとき、接続スイッチがオフである状態で処理部が取得する電圧値は、直流電源の両端間の電圧値であり、第8の電圧閾値を超えている。
【0030】
(10)本開示の一態様に係る給電制御装置では、前記処理部は、前記上流スイッチ及び下流スイッチのオンへの切替えを指示し、前記接続スイッチがオフである状態で、前記負荷及び下流スイッチ間の接続ノードの電圧値を取得し、取得した電圧値が第9の電圧閾値を超えている場合、前記下流スイッチの抵抗値に関する故障を検知し、前記第9の電圧閾値は、0V以上である。
【0031】
上記の一態様にあっては、上流スイッチ、下流スイッチ及び接続スイッチそれぞれがオン、オン及びオフである場合、処理部が取得する電圧値は、0Vであり、第9の電圧閾値以下である。上流スイッチ及び下流スイッチのオンへの切替えが指示されている場合において、下流スイッチのハーフオン故障が発生しているとき、接続スイッチがオフである状態で処理部が取得する電圧値は、0Vよりも若干高い。第9の電圧閾値を、0V以上であり、かつ、0Vよりも若干高い電圧値未満である値に設定することによって、下流スイッチのハーフオン故障を検知することができる。
【0032】
(11)本開示の一態様に係る給電制御装置では、前記処理部は、前記上流スイッチ及び下流スイッチのオンへの切替えを指示し、前記上流スイッチを介して流れる電流の電流値を取得し、取得した電流値が電流閾値未満である場合、前記負荷の開放故障を検知し、前記電流閾値は、前記上流スイッチ、下流スイッチ及び接続スイッチがオン、オフ及びオフである場合に前記上流スイッチを介して流れる電流の電流値を超えており、前記電流閾値は、前記負荷が正常である状態で前記上流スイッチ及び下流スイッチがオンである場合に前記上流スイッチを介して流れる電流の電流値以下であり、前記負荷の抵抗値は前記第1抵抗の抵抗値未満である。
【0033】
上記の一態様にあっては、負荷が正常である状態で、上流スイッチ及び下流スイッチがオンである場合に上流スイッチを介して流れる電流の電流値を通常電流値と記載する。上流スイッチ、下流スイッチ及び接続スイッチがオン、オフ及びオフである場合に上流スイッチを介して流れる電流の電流値を抵抗電流値と記載する。抵抗電流値は、上流スイッチ及び第1抵抗の順に流れる電流の電流値である。また、負荷の抵抗値は第1抵抗の抵抗値未満である。従って、通常電流値は抵抗電流値を超えている。
【0034】
負荷が正常である状態で、上流スイッチ及び下流スイッチがオンであるときに処理部が取得する電流値は、通常電流値であり、電流閾値以上である。上流スイッチ及び下流スイッチがオンである場合において、負荷の開放故障が発生しているとき、処理部が取得する電流値は、抵抗電流値であり、電流閾値未満である。
【0035】
(12)本開示の一態様に係る給電制御装置では、前記処理部は、前記上流スイッチ及び下流スイッチのオンへの切替えを指示し、前記上流スイッチを介して流れる電流の電流値を取得し、取得した電流値が第2の電流閾値を超えている場合、前記負荷の短絡故障を検知し、前記第2の電流閾値は、前記負荷が正常である状態で前記上流スイッチ及び下流スイッチがオンである場合に前記上流スイッチを介して流れる電流の電流値である。
【0036】
上記の一態様にあっては、負荷の短絡故障は、負荷の両端間の抵抗値が極端に小さい現象である。負荷が正常である状態で、上流スイッチ及び下流スイッチがオンである場合、処理部が取得する電流値は、第2の電流閾値以下である。上流スイッチ及び下流スイッチがオンである場合において、負荷の短絡故障が発生しているとき、処理部が取得する電流値は、第2の電流閾値を超える。
【0037】
(13)本開示の一態様に係る給電制御装置では、前記処理部は、前記上流スイッチ及び下流スイッチのオンへの切替えを指示している状態で、前記上流スイッチ、下流スイッチ又は負荷の故障を検知した場合、前記上流スイッチ及び下流スイッチのオフへの切替えを指示する。
【0038】
上記の一態様にあっては、処理部は、上流スイッチ、下流スイッチ又は負荷の故障を検知した場合、上流スイッチ及び下流スイッチのオフへの切替えを指示する。これにより、負荷を介した電流の通流を停止することができる。
【0039】
(14)本開示の一態様に係る故障検知方法は、負荷を介して流れる電流の電流経路にて、前記負荷の上流側に配置される上流スイッチと、前記電流経路にて、前記負荷の下流側に配置される下流スイッチと、前記上流スイッチ及び負荷間の接続ノードに一端が接続される第1抵抗と、直列に接続された第2抵抗及び接続スイッチを含み、前記負荷及び下流スイッチ間の接続ノードに一端が接続される直列回路とを備え、前記第1抵抗の他端の電位を基準電位とした一定の電圧が前記直列回路の他端に印加されている回路の故障を検知する故障検知方法であって、前記上流スイッチ及び負荷間の接続ノードの電圧値、又は、前記負荷及び下流スイッチ間の接続ノードの電圧値を取得するステップと、取得した電圧値に基づいて、前記上流スイッチ、下流スイッチ又は負荷の故障を検知するステップとをコンピュータが実行する。
【0040】
上記の一態様にあっては、上流スイッチにおいて短絡故障が発生した場合、下流スイッチをオフに切替えることによって、負荷への給電を停止することができる。コンピュータは、負荷及び下流スイッチ間の接続ノードの電圧値、又は、上流スイッチ及び負荷間の接続ノードの電圧値に基づいて、上流スイッチ、下流スイッチ又は負荷の故障を検知する。
【0041】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の実施形態に係る電源システムの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0042】
(実施形態1)
<電源システム1の構成>
図1は、実施形態1における電源システム1の要部構成を示すブロック図である。電源システム1は車両Cに搭載されている。電源システム1は、給電制御装置10、直流電源11及び負荷12を備える。給電制御装置10は、下流スイッチ20及び上流スイッチ30を有する。上流スイッチ30及び下流スイッチ20それぞれは、半導体スイッチであり、具体的には、Nチャネル型のFET(Field Effect Transistor)である。直流電源11は、例えばバッテリである。負荷12は、電気機器であり、負荷抵抗12aを有する。
【0043】
直流電源11の負極は接地されている。接地は、例えば、車両Cのボディへの接続によって実現される。直流電源11の正極は、上流スイッチ30のドレインに接続されている。上流スイッチ30のソースは、負荷12の負荷抵抗12aの一端に接続されている。負荷抵抗12aの他端は、下流スイッチ20のドレインに接続されている。下流スイッチ20のソースは接地されている。
【0044】
上流スイッチ30及び下流スイッチ20それぞれについて、状態がオンである場合、ドレイン及びソース間の抵抗値は十分に小さい。このため、ドレイン及びソースを介して電流が流れることが可能である。上流スイッチ30及び下流スイッチ20それぞれについて、状態がオフである場合、ドレイン及びソース間の抵抗値は十分に大きい。このため、ドレイン及びソースを介して電流が流れることはない。
【0045】
給電制御装置10は、上流スイッチ30及び下流スイッチ20をオフからオンに切替える。上流スイッチ30及び下流スイッチ20がオンである場合、直流電源11の正極から、電流は、矢印で示すように、上流スイッチ30、負荷抵抗12a、下流スイッチ20及び直流電源11の負極の順に流れる。従って、負荷12の負荷抵抗12aを介して流れる電流の電流経路Eにおいて、負荷抵抗12aの上流側に上流スイッチ30が配置されている。電流経路Eにおいて、負荷抵抗12aの下流側に下流スイッチ20が配置されている。電流は、直流電源11の正極から電流経路Eを介して直流電源11の負極に流れる。
【0046】
負荷抵抗12aを介して電流が流れた場合、負荷12に電力が供給される。負荷12に供給される電力が所定電力以上である場合、負荷12は作動する。負荷12に供給される電力が所定電力未満である場合、負荷12は動作を停止している。給電制御装置10が上流スイッチ30及び下流スイッチ20をオフからオンに切替えた場合、直流電源11は、負荷12に、所定電力以上の電力を供給する。結果、負荷12は作動する。
【0047】
上流スイッチ30及び下流スイッチ20の少なくとも一方がオフである場合、直流電源11は負荷12に電力を供給することはない。従って、上流スイッチ30及び下流スイッチ20の少なくとも一方がオフである場合、負荷12に供給される電力は所定電力未満であり、負荷12は動作を停止している。
【0048】
給電制御装置10は、上流スイッチ30及び下流スイッチ20をオンからオフに切替える。これにより、負荷12は動作を停止する。
以上のように、給電制御装置10は、上流スイッチ30及び下流スイッチ20をオン又はオフに切替えることによって、直流電源11から負荷12への給電を制御する。
【0049】
<給電制御装置10の構成>
給電制御装置10は、下流スイッチ20に加えて、IPD21、直列回路22、第1抵抗23、上流抵抗24、下流抵抗25及びマイクロコンピュータ(以下、マイコンという)26を有する。IPDはIntelligent Power Deviceの略語である。上流スイッチ30は、IPD21に含まれている。IPD21は、上流スイッチ30に加えて、駆動回路31、電流検出回路32及び温度検出回路33を有する。直列回路22は、接続スイッチ40及び第2抵抗41を有する。
【0050】
直列回路22では、接続スイッチ40は第2抵抗41に直列に接続されている。従って、接続スイッチ40の一端は、第2抵抗41の一端に接続されている。直列回路22の一端は、負荷抵抗12a及び下流スイッチ20間の接続ノードに接続されている。直列回路22の他端には、接地電位を基準電位とした一定電圧が印加されている。以下では、一定電圧の電圧値を一定電圧値と記載する。
図1では一定電圧値はVcによって表されている。一定電圧は、例えば、レギュレータが直流電源11の両端間の電圧を降圧することによって生成される。一定電圧値Vcは、直流電源11の両端間の電圧値よりも低い。
【0051】
図1の例では、接続スイッチ40の他端に一定電圧が印加されている。第2抵抗41の他端は、負荷抵抗12a及び下流スイッチ20間の接続ノードに接続されている。しかしながら、第2抵抗41の他端に一定電圧が印加されてもよい。この場合、接続スイッチ40の他端は、負荷抵抗12a及び下流スイッチ20間の接続ノードに接続される。
【0052】
IPD21では、上流スイッチ30のゲートは駆動回路31に接続されている。駆動回路31は、更に、マイコン26に接続されている。上流スイッチ30のドレインは、直流電源11の正極に加えて、電流検出回路32に接続されている。電流検出回路32は接地されている。電流検出回路32は、更に、マイコン26と駆動回路31とに接続されている。駆動回路31は、更に、温度検出回路33に接続されている。
【0053】
IPD21の上流スイッチ30と、負荷12の負荷抵抗12aとの間の接続ノードに、第1抵抗23の一端と、上流抵抗24の一端とが接続されている。第1抵抗23の他端は接地されている。上流抵抗24の他端はマイコン26に接続されている。負荷抵抗12a及び下流スイッチ20間の接続ノードは、直列回路22に加えて、下流抵抗25の一端に接続されている。下流抵抗25の他端はマイコン26に接続されている。
【0054】
上流スイッチ30及び下流スイッチ20それぞれについて、ソースの電位を基準電位としたゲートの電圧値が一定電圧値以上である場合、状態はオンである。上流スイッチ30及び下流スイッチ20それぞれについて、ソースの電位を基準電位としたゲートの電圧値が一定電圧値未満である場合、状態はオフである。
【0055】
マイコン26は、ハイレベル電圧又はローレベル電圧を駆動回路31に出力している。マイコン26が、駆動回路31に出力している電圧を、ローレベル電圧からハイレベル電圧に切替えた場合、駆動回路31は、上流スイッチ30において、接地電位を基準電位としたゲートの電圧を上昇させる。これにより、上流スイッチ30において、ソースの電位を基準電位としたゲートの電圧値が一定電圧値以上の電圧値に上昇し、上流スイッチ30はオフからオンに切替わる。
【0056】
マイコン26が、駆動回路31に出力している電圧を、ハイレベル電圧からローレベル電圧に切替えた場合、駆動回路31は、上流スイッチ30において、接地電位を基準電位としたゲートの電圧を低下させる。これにより、上流スイッチ30において、ソースの電位を基準電位としたゲートの電圧値が一定電圧値未満の電圧値に低下し、上流スイッチ30はオンからオフに切替わる。
以上のように、駆動回路31は、マイコン26から入力される電圧に応じて上流スイッチ30をオン又はオフに切替える。
【0057】
マイコン26は、下流スイッチ20のゲートにもローレベル電圧又はハイレベル電圧を出力している。下流スイッチ20のソースの電位は接地電位である。マイコン26が下流スイッチ20のゲートにローレベル電圧を出力している場合、下流スイッチ20において、接地電位を基準電位としたゲートの電圧値は一定電圧値未満であり、下流スイッチ20はオフである。
【0058】
マイコン26が下流スイッチ20に出力している電圧をローレベル電圧からハイレベル電圧に切替えた場合、下流スイッチ20において、接地電位を基準電位としたゲートの電圧値は一定電圧値以上の電圧値に上昇し、下流スイッチ20はオフからオンに切替わる。マイコン26が下流スイッチ20に出力している電圧をハイレベル電圧からローレベル電圧に切替えた場合、下流スイッチ20において、接地電位を基準電位としたゲートの電圧値は一定電圧値未満の電圧値に低下し、下流スイッチ20はオンからオフに切替わる。
【0059】
以上のように、マイコン26は、下流スイッチ20のゲートに出力している電圧をローレベル電圧又はハイレベル電圧に切替えることによって、下流スイッチ20をオン又はオフに切替える。マイコン26は、駆動回路31及び下流スイッチ20のゲートそれぞれに出力している電圧をローレベル電圧又はハイレベル電圧に切替えることによって、上流スイッチ30の状態を制御する。
【0060】
マイコン26は、上流スイッチ30及び下流スイッチ20をオフからオンに切替える。上流スイッチ30及び下流スイッチ20がオンである場合、前述したように、直流電源11の正極から、電流は、上流スイッチ30、負荷抵抗12a、下流スイッチ20及び直流電源11の負極の順に流れる。上流スイッチ30がオンである場合、直流電源11の正極から、電流は、上流スイッチ30、第1抵抗23及び直流電源11の負極の順に流れる。
【0061】
第1抵抗23の抵抗値は、負荷12の負荷抵抗12aの抵抗値よりも十分に大きい。このため、上流スイッチ30及び下流スイッチ20がオンである場合、上流スイッチ30を通過した殆どの電流は負荷抵抗12aを介して流れる。
【0062】
電流検出回路32は、上流スイッチ30を介して流れる電流の電流値を検出する。以下では、電流検出回路32が検出した電流値を検出電流値と記載する。電流検出回路32は、検出電流値を示すアナログの電流情報をマイコン26及び駆動回路31に出力する。
【0063】
温度検出回路33は、上流スイッチ30の温度を検出する。以下では、温度検出回路33が検出した温度を検出温度と記載する。温度検出回路33は、検出温度を示す温度情報を駆動回路31に出力する。
【0064】
駆動回路31は、検出電流値が一定の基準電流値未満であり、かつ、検出温度が一定の基準温度未満である場合、前述したように、マイコン26から入力される電圧に応じて上流スイッチ30をオン又はオフに切替える。駆動回路31は、検出電流値が基準電流値以上の電流値に上昇した場合、マイコン26から入力される電圧に無関係に、上流スイッチ30をオンからオフに強制的に切替える。駆動回路31は、検出温度が基準温度以上の温度に上昇した場合、マイコン26から入力される電圧に無関係に、上流スイッチ30をオンからオフに強制的に切替える。所定の条件が満たされた場合、駆動回路31は、上流スイッチ30の強制的なオフを解除する。
【0065】
マイコン26は、直列回路22の接続スイッチ40をオン又はオフに切替える。接続スイッチ40がオンである場合、接続スイッチ40の両端間の抵抗値は十分に小さい。このため、接続スイッチ40を介して電流が流れることが可能である。接続スイッチ40がオフである場合、接続スイッチ40の両端間の抵抗値は十分に大きい。このため、接続スイッチ40を介して電流が流れることはない。
【0066】
以下では、上流スイッチ30及び負荷抵抗12a間の接続ノードの電圧値を第1電圧値と記載する。負荷抵抗12a及び下流スイッチ20間の接続ノードの電圧値を第2電圧値と記載する。第1電圧値及び第2電圧値の基準電位は接地電位である。アナログの第1電圧値は、上流抵抗24を介してマイコン26に入力される。アナログの第2電圧値は、下流抵抗25を介してマイコン26に入力される。マイコン26は、第1電圧値、第2電圧値又は検出電流値に基づいて、上流スイッチ30、下流スイッチ20及び負荷12の故障を検知する。
【0067】
図2はマイコン26の要部構成を示すブロック図である。マイコン26は、第1出力部50、第2出力部51、3つのA/D変換部52,53,54、切替え部55、記憶部56及び制御部57を有する。これらは、内部バス58に接続されている。第1出力部50は、更に、駆動回路31に接続されている。第2出力部51は、更に、下流スイッチ20のゲートに接続されている。A/D変換部52,53,54それぞれは、更に、電流検出回路32、上流抵抗24の他端、及び、下流抵抗25の他端に接続されている。
【0068】
第1出力部50は、駆動回路31にハイレベル電圧又はローレベル電圧を出力する。マイコン26が駆動回路31に出力する電圧は、第1出力部50が駆動回路31に出力する電圧である。制御部57は、上流スイッチ30のオンへの切替えを第1出力部50に指示する。これにより、第1出力部50は、駆動回路31に出力している電圧をローレベル電圧からハイレベル電圧に切替える。結果、駆動回路31は上流スイッチ30をオフからオンに切替える。
【0069】
制御部57は、上流スイッチ30をオフへの切替えを、第1出力部50に指示する。これにより、第1出力部50は、駆動回路31に出力している電圧をハイレベル電圧からローレベル電圧に切替える。結果、駆動回路31は上流スイッチ30をオンからオフに切替える。
【0070】
第2出力部51は、下流スイッチ20のゲートにハイレベル電圧又はローレベル電圧を出力する。マイコン26が下流スイッチ20のゲートに出力する電圧は、第1出力部50が下流スイッチ20のゲートに出力する電圧である。制御部57は、下流スイッチ20のオンへの切替えを第2出力部51に指示する。これにより、第2出力部51は、下流スイッチ20のゲートに出力している電圧をローレベル電圧からハイレベル電圧に切替える。結果、下流スイッチ20はオフからオンに切替わる。
【0071】
制御部57は、下流スイッチ20をオフへの切替えを、第2出力部51に指示する。これにより、第2出力部51は、下流スイッチ20のゲートに出力している電圧をハイレベル電圧からローレベル電圧に切替える。結果、下流スイッチ20はオンからオフに切替わる。
【0072】
電流検出回路32は、検出電流値を示すアナログの電流情報をA/D変換部52に出力する。A/D変換部52は、アナログの電流情報をデジタルの電流情報に変換する。制御部57は、A/D変換部52が変換したデジタルの電流情報を取得する。アナログの第1電圧値は、上流抵抗24を介してA/D変換部53に入力される。A/D変換部53は、アナログの第1電圧値をデジタルの第1電圧値に変換する。制御部57は、A/D変換部53が変換したデジタルの第1電圧値を取得する。
【0073】
アナログの第2電圧値は、下流抵抗25を介してA/D変換部54に入力される。A/D変換部54は、アナログの第2電圧値をデジタルの第2電圧値に変換する。制御部57は、A/D変換部54が変換したデジタルの第2電圧値を取得する。切替え部55は、制御部57の指示に従って接続スイッチ40をオン又はオフに切替える。
【0074】
記憶部56は、例えば不揮発性メモリである。記憶部56には、コンピュータプログラムPが記憶されている。制御部57は、処理を実行する処理素子、例えばCPU(Central Processing Unit)を有する。制御部57は処理部として機能する。制御部57の処理素子は、コンピュータプログラムPを実行することによって、直流電源11から負荷12への給電を制御する給電制御処理を実行する。
【0075】
なお、コンピュータプログラムPは、コンピュータプログラムPを読み取り可能に記憶した非一時的な記憶媒体Aを用いて、マイコン26に提供されてもよい。記憶媒体Aは、例えば可搬型メモリである。可搬型メモリの例として、CD-ROM、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SDカード、マイクロSDカード又はコンパクトフラッシュ(登録商標)等が挙げられる。記憶媒体Aが可搬型メモリである場合、制御部57の処理素子は、図示しない読取装置を用いて記憶媒体AからコンピュータプログラムPを読み取ってもよい。読み取ったコンピュータプログラムPは記憶部56に書き込まれる。更に、コンピュータプログラムPは、マイコン26の図示しない通信部が外部装置と通信することによって、マイコン26に提供されてもよい。この場合、制御部57の処理素子は、通信部を通じてコンピュータプログラムPを取得する。取得したコンピュータプログラムPは記憶部56に書き込まれる。
【0076】
制御部57が有する処理素子の数は、1に限定されず、2以上であってもよい。制御部57が複数の処理素子を有する場合、複数の処理素子は、給電制御制御処理を協同して実行してもよい。
【0077】
給電制御処理において、制御部57は、予め設定されている複数の閾値を用いて上流スイッチ30、下流スイッチ20及び負荷12の故障を診断する。
【0078】
<複数の閾値の説明>
図3は複数の閾値の説明図である。電圧値に関して、高電圧閾値Vh、中電圧閾値Vm及び低電圧閾値Vwが予め設定されている。
図3において、Vbは、直流電源11の両端間の電圧値を示す。以下では、直流電源11の両端間の電圧値を電源電圧値と記載する。
【0079】
上流スイッチ30及び下流スイッチ20それぞれの故障の1つとして、ハーフオン故障がある。上流スイッチ30及び下流スイッチ20それぞれにおいてハーフオン故障が発生した場合、ドレイン及びソース間の抵抗値は、ゲートの電圧値に無関係に中途半端な値に維持される。中途半端な値は、十分に大きい値ではなく、十分に小さい値でもない。上流スイッチ30及び下流スイッチ20それぞれハーフオン故障は、上流スイッチ30及び下流スイッチ20の抵抗に関する故障である。
【0080】
前述したように、第1抵抗23の抵抗値は、負荷抵抗12aの抵抗値よりも十分に大きい。このため、下流スイッチ20がオンである場合において、上流スイッチ30のハーフオン故障が発生したとき、第1電圧値は、上流スイッチ30及び負荷抵抗12aが直流電源11の両端間の電圧を分圧することによって得られる電圧の電圧値と実質的に一致する。下流スイッチ20がオンである状態で、上流スイッチ30のハーフオン故障が発生した場合の第1電圧値を第1故障電圧値と記載する。Vf1は第1故障電圧値である。第1故障電圧値Vf1は電源電圧値Vb未満である。
【0081】
前述したように、Vcは一定電圧値である。一定電圧値Vcは、直列回路22に印加されている一定電圧の電圧値である。電源電圧値Vbは、例えば12Vである。一定電圧値は3.3V又は5V等である。一定電圧値Vcは第1故障電圧値Vf1未満である。
【0082】
上流スイッチ30、下流スイッチ20及び接続スイッチ40がオフ、オフ及びオンである場合、第2抵抗41及び負荷抵抗12aを含む第2抵抗回路と第1抵抗23とは一定電圧を分圧する。第2抵抗回路及び第1抵抗23が一定電圧を分圧することによって得られる電圧の電圧値を第1分圧電圧値と記載する。Vd1は第1分圧電圧値である。第1分圧電圧値Vd1は、上流スイッチ30、下流スイッチ20及び接続スイッチ40がオフ、オフ及びオンである場合の第1電圧値である。
【0083】
上流スイッチ30、下流スイッチ20及び接続スイッチ40がオフ、オフ及びオンである場合、第2抵抗41と、負荷抵抗12a及び第1抵抗23を含む第1抵抗回路とは一定電圧を分圧する。第2抵抗41及び第1抵抗回路が一定電圧を分圧することによって得られる電圧の電圧値を第2分圧電圧値と記載する。Vd2は第2分圧電圧値である。第2分圧電圧値Vd2は、上流スイッチ30、下流スイッチ20及び接続スイッチ40がオフ、オフ及びオンである場合の第2電圧値である。第2分圧電圧値Vd2は、一定電圧値Vc未満である。第1分圧電圧値Vd1は、第2分圧電圧値Vd2未満である。
【0084】
第1抵抗23及び第2抵抗41それぞれの抵抗値は、負荷抵抗12aの抵抗値よりも十分に大きい。このため、第1分圧電圧値Vd1及び第2分圧電圧値Vd2それぞれは、第2抵抗41及び第1抵抗23が一定電圧を分圧することによって得られる電圧の電圧値と実質的に一致する。
【0085】
前述したように、第1抵抗23の抵抗値は、負荷抵抗12aの抵抗値よりも十分に大きい。このため、上流スイッチ30がオンである場合において、下流スイッチ20のハーフオン故障が発生したとき、第2電圧値は、上流スイッチ30及び負荷抵抗12aが直流電源11の両端間の電圧を分圧することによって得られる電圧の電圧値に実質的に一致する。下流スイッチ20がオンである状態で、上流スイッチ30のハーフオン故障が発生した場合の第2電圧値を第2故障電圧値と記載する。Vf2は第2故障電圧値である。第2故障電圧値Vf2は、第1分圧電圧値Vd1未満であり、かつ、0Vを超えている。
【0086】
高電圧閾値Vhは、第1故障電圧値Vf1を超えており、かつ、電源電圧値Vb未満である電圧値である。中電圧閾値Vmは、第2分圧電圧値Vd2を超えており、かつ、一定電圧値Vc未満である電圧値である。低電圧閾値Vwは、0Vを超えており、かつ、第2故障電圧値Vf2未満である電圧値である。
【0087】
電流値に関して、上側電流閾値Ih及び下側電流閾値Iwが予め設定されている。負荷12が正常である状態で上流スイッチ30及び下流スイッチ20がオンである場合に上流スイッチ30を介して流れる電流の電流値を通常電流値と記載する。
図3のInは通常電流値である。負荷12が正常である状態で上流スイッチ30、下流スイッチ20及び接続スイッチ40それぞれがオン、オフ及びオフである場合に上流スイッチ30を介して流れる電流の電流値を抵抗電流値と記載する。
図3のIrは抵抗電流値である。
【0088】
抵抗電流値Irは、直流電源11の正極から、上流スイッチ30、第1抵抗23及び直流電源11の負極の順に流れる電流の電流値である。前述したように、負荷抵抗12aの抵抗値は、第1抵抗23の抵抗値未満である。このため、抵抗電流値Irは通常電流値In未満である。上側電流閾値Ihは通常電流値Inである。下側電流閾値Iwは、抵抗電流値Irを超えており、かつ、通常電流値In以下である。
【0089】
<負荷12が動作を停止している場合の故障診断>
図4は、負荷12が動作を停止している場合の故障診断を説明するための図表である。
図4では、上流スイッチ30の指示、下流スイッチ20の指示、接続スイッチ40の状態、故障条件及び検知内容が示されている。上流スイッチ30の指示は、マイコン26の制御部57が第1出力部50に与える指示である。下流スイッチ20の指示は、制御部57が第2出力部51に与える指示である。オン指示は、オンへの切替えの指示である。オフ指示は、オフへの切替えの指示である。故障条件は、故障が発生している場合に満たされる条件である。検知内容は、制御部57が検知した故障を示す。
【0090】
V1及びV2それぞれは、第1電圧値及び第2電圧値である。前述したように、第1電圧値V1は、上流スイッチ30及び負荷抵抗12a間の接続ノードの電圧値である。第2電圧値V2は、負荷抵抗12a及び下流スイッチ20間の接続ノードの電圧値である。
【0091】
制御部57は、上流スイッチ30及び下流スイッチ20中の少なくとも一方のオフを指示している場合において故障診断を行う。このため、負荷抵抗12aに所定電力以上の電力が供給されず、負荷12は動作を停止している。
【0092】
制御部57は、上流スイッチ30のオンへの切替えを指示し、下流スイッチ20のオフへの切替えを指示し、接続スイッチ40がオフである状態でA/D変換部53から第1電圧値V1を取得する。制御部57は、取得した第1電圧値V1に基づいて、上流スイッチ30の開放故障を検知する。スイッチの開放故障は、スイッチのオンへの切替えが指示されているにも関わらず、スイッチの両端間の抵抗値が十分に大きい現象である。
【0093】
上流スイッチ30、下流スイッチ20及び接続スイッチ40それぞれがオン、オフ及びオフである場合、直流電源11の正極から上流スイッチ30及び第1抵抗23の順に流れる。負荷抵抗12aを介して電流が流れることはない。従って、上流スイッチ30、下流スイッチ20及び接続スイッチ40それぞれがオン、オフ及びオフである場合、第1電圧値V1及び第2電圧値V2は、電源電圧値Vbであり、低電圧閾値Vw以上である。上流スイッチ30の開放故障が発生している場合、第1抵抗23を介して電流は流れず、負荷抵抗12aを介して電流は流れない。このため、第1電圧値V1及び第2電圧値V2は、0Vであり、低電圧閾値Vw未満である。
【0094】
結果、制御部57は、A/D変換部53から取得した第1電圧値V1が低電圧閾値Vw未満である場合に上流スイッチ30の開放故障を検知する。なお、制御部57は、A/D変換部54から取得した第2電圧値V2が低電圧閾値Vw未満である場合に上流スイッチ30の開放故障を検知してもよい。この場合、制御部57は、上流スイッチ30のオンへの切替えを指示し、下流スイッチ20のオフへの切替えを指示し、接続スイッチ40がオフである状態でA/D変換部54から第2電圧値V2を取得する。上流スイッチ30の開放故障を検知するための電圧閾値は、0Vを超えており、かつ、電源電圧値Vb以下であれば問題はない。
【0095】
制御部57は、上流スイッチ30及び下流スイッチ20のオフへの切替えを指示し、接続スイッチ40がオフである状態でA/D変換部53から第1電圧値V1を取得する。制御部57は、取得した第1電圧値V1に基づいて、上流スイッチ30の短絡故障を検知する。スイッチの短絡故障は、スイッチのオフへの切替えが指示されているにも関わらず、スイッチの両端間の抵抗値が十分に小さい現象である。
【0096】
上流スイッチ30、下流スイッチ20及び接続スイッチ40の全てがオフである場合、第1抵抗23を介して電流が流れず、負荷抵抗12aを介して電流が流れない。従って、上流スイッチ30、下流スイッチ20及び接続スイッチ40の全てがオフである場合、第1電圧値V1及び第2電圧値V2は0Vであり、低電圧閾値Vw以下である。上流スイッチ30の短絡故障が発生している場合、直流電源11の正極から、電流は、上流スイッチ30及び第1抵抗23の順に流れ、負荷抵抗12aを介して電流は流れない。このため、第1電圧値V1及び第2電圧値V2は、電源電圧値Vbであり、低電圧閾値Vwを超えている。
【0097】
結果、制御部57は、A/D変換部53から取得した第1電圧値V1が低電圧閾値Vwを超えている場合に上流スイッチ30の短絡故障を検知する。なお、制御部57は、A/D変換部54から取得した第2電圧値V2が低電圧閾値Vwを超えている場合に上流スイッチ30の短絡故障を検知してもよい。この場合、制御部57は、上流スイッチ30及び下流スイッチ20のオフへの切替えを指示し、接続スイッチ40がオフである状態でA/D変換部54から第2電圧値V2を取得する。上流スイッチ30の短絡故障を検知するための第2の電圧閾値は、0V以上であり、かつ、電源電圧値Vb未満であれば問題はない。
【0098】
制御部57は、上流スイッチ30のオフへの切替えを指示し、下流スイッチ20のオンへの切替えを指示し、接続スイッチ40がオンである状態でA/D変換部54から第2電圧値V2を取得する。制御部57は、取得した第2電圧値V2に基づいて、下流スイッチ20の開放故障を検知する。
【0099】
上流スイッチ30、下流スイッチ20及び接続スイッチ40それぞれがオフ、オン及びオンである場合、電流は、接続スイッチ40、第2抵抗41及び下流スイッチ20の順に流れ、第1抵抗23を介して電流は流れない。従って、上流スイッチ30、下流スイッチ20及び接続スイッチ40それぞれがオフ、オン及びオンである場合、第1電圧値V1及び第2電圧値V2は、0Vであり、低電圧閾値Vw以下である。
【0100】
下流スイッチ20の開放故障が発生している場合、電流は、第2抵抗41、負荷抵抗12a及び第1抵抗23の順に流れる。第2抵抗回路及び第1抵抗23は一定電圧を分圧する。第2抵抗41及び第1抵抗回路は一定電圧を分圧する。このため、第1電圧値V1及び第2電圧値V2それぞれは、第1分圧電圧値Vd1及び第2分圧電圧値Vd2である。従って、第1電圧値V1及び第2電圧値V2は低電圧閾値Vwを超えている。
【0101】
結果、制御部57は、A/D変換部54から取得した第2電圧値V2が低電圧閾値Vwを超えている場合に下流スイッチ20の開放故障を検知する。なお、制御部57は、A/D変換部53から取得した第1電圧値V1が低電圧閾値Vwを超えている場合に下流スイッチ20の開放故障を検知してもよい。この場合、制御部57は、上流スイッチ30のオフへの切替えを指示し、下流スイッチ20のオンへの切替えを指示し、接続スイッチ40がオンである状態でA/D変換部53から第1電圧値V1を取得する。第1電圧値V1に関して、下流スイッチ20の開放故障を検知するための第3の電圧閾値は、0V以上であり、かつ、第1分圧電圧値Vd1未満であれば問題はない。第2電圧値V2に関して、下流スイッチ20の開放故障を検知するための第3の電圧閾値は、0V以上であり、かつ、第2分圧電圧値Vd2未満であれば問題はない。
【0102】
前述したように、第1分圧電圧値Vd1は、上流スイッチ30、下流スイッチ20及び接続スイッチ40それぞれがオフ、オフ及びオンである場合に制御部57がA/D変換部53から取得する第1電圧値V1である。第2分圧電圧値Vd2は、上流スイッチ30、下流スイッチ20及び接続スイッチ40それぞれがオフ、オフ及びオンである場合に制御部57がA/D変換部54から取得する第2電圧値V2である。
【0103】
電流が、第2抵抗41、負荷抵抗12a及び第1抵抗23の順に流れた場合、負荷12に電力が供給される。しかしながら、一定電圧値Vcは小さいため、負荷12に供給される電力は所定電力未満である。従って、電流が第2抵抗41、負荷抵抗12a及び第1抵抗23の順に流れた場合、負荷12が作動することはない。
【0104】
制御部57は、上流スイッチ30及び下流スイッチ20のオフへの切替えを指示し、接続スイッチ40がオンである状態でA/D変換部54から第2電圧値V2を取得する。制御部57は、取得した第2電圧値V2に基づいて、下流スイッチ20の短絡故障を検知する。
【0105】
前述したように、上流スイッチ30、下流スイッチ20及び接続スイッチ40それぞれがオフ、オフ及びオンである場合、第1電圧値V1及び第2電圧値V2それぞれは、第1分圧電圧値Vd1及び第2分圧電圧値Vd2である。従って、上流スイッチ30、下流スイッチ20及び接続スイッチ40それぞれがオフ、オフ及びオンである場合、第1電圧値V1及び第2電圧値V2は、低電圧閾値Vw以上である。下流スイッチ20の短絡故障が発生している場合、電流は、接続スイッチ40、第2抵抗41及び下流スイッチ20の順に流れ、負荷抵抗12aを介して電流が流れない。このため、第1電圧値V1及び第2電圧値V2はゼロVであり、低電圧閾値Vw未満である。
【0106】
結果、制御部57は、A/D変換部54から取得した第2電圧値V2が低電圧閾値Vw未満である場合に下流スイッチ20の短絡故障を検知する。なお、制御部57は、A/D変換部53から取得した第1電圧値V1が低電圧閾値Vw未満である場合に下流スイッチ20の短絡故障を検知してもよい。この場合、制御部57は、上流スイッチ30及び下流スイッチ20のオフへの切替えを指示し、接続スイッチ40がオンである状態でA/D変換部53から第1電圧値V1を取得する。第1電圧値V1に関して、下流スイッチ20の短絡故障を検知するための第4の電圧閾値は、0Vを超えており、かつ、第1分圧電圧値Vd1以下であれば問題はない。第2電圧値V2に関して、下流スイッチ20の短絡故障を検知するための第4の電圧閾値は、0Vを超えており、かつ、第2分圧電圧値Vd2以下であれば問題はない。
【0107】
制御部57は、上流スイッチ30及び下流スイッチ20のオフへの切替えを指示し、接続スイッチ40がオンである状態で、A/D変換部54から第2電圧値V2を取得する。制御部57は、取得した第2電圧値V2に基づいて負荷12の開放故障を検知する。負荷12の開放故障は、負荷12の両端間の抵抗値、即ち、負荷抵抗12aの両端間の抵抗値が極端に大きい現象である。
【0108】
前述したように、上流スイッチ30、下流スイッチ20及び接続スイッチ40それぞれがオフ、オフ及びオンである場合において、負荷12が正常であるとき、第2電圧値V2は、第2分圧電圧値Vd2であり、中電圧閾値Vm以下である。負荷12の開放故障が発生している場合、接続スイッチ40がオンである状態で第2抵抗41を介して電流は流れない。このため、第2電圧値V2は、一定電圧値Vcであり、中電圧閾値Vmを超えている。
【0109】
結果、制御部57は、A/D変換部54から取得した第2電圧値V2が中電圧閾値Vmを超えている場合に負荷12の開放故障を検知する。なお、負荷12の開放故障を検知するための第5の電圧閾値は、第2分圧電圧値Vd2を超えており、かつ、一定電圧値Vc未満であれば問題はない。
【0110】
<負荷12が作動している場合の故障診断>
図5は、負荷12が作動している場合の故障診断を説明するための図表である。
図5では、
図4と同様に、上流スイッチ30の指示、下流スイッチ20の指示、接続スイッチ40の状態、故障条件及び検知内容が示されている。Idは検出電流値である。前述したように、検出電流値は、上流スイッチ30を介して流れる電流の電流値である。
【0111】
制御部57は、上流スイッチ30及び下流スイッチ20のオンへの切替えを指示し、接続スイッチ40がオフである状態でA/D変換部53から第1電圧値V1を取得する。制御部57は、取得した第1電圧値V1に基づいて上流スイッチ30の開放故障を検知する。
【0112】
前述したように、上流スイッチ30、下流スイッチ20及び接続スイッチ40それぞれが、オン、オン及びオフである場合、直流電源11の正極から、電流は、上流スイッチ30、負荷抵抗12a、下流スイッチ20及び直流電源11の負極の順に流れる。このとき、直流電源11は所定電力以上の電力を負荷抵抗12aに供給するので、負荷12は作動している。前述したように、上流スイッチ30がオンである場合、直流電源11の正極から、電流は、上流スイッチ30、第1抵抗23及び直流電源11の負極に流れる。
【0113】
上流スイッチ30、下流スイッチ20及び接続スイッチ40それぞれが、オン、オン及びオフである場合、第1電圧値V1は、電源電圧値Vbであり、低電圧閾値Vw以上である。上流スイッチ30の開放故障が発生している場合、第1抵抗23を介して電流は流れない。このため、第1電圧値V1は、ゼロVであり、低電圧閾値Vw未満である。結果、制御部57は、A/D変換部53から取得した第1電圧値V1が低電圧閾値Vw未満である場合に上流スイッチ30の開放故障を検知する。なお、上流スイッチ30の開放故障を検知するための第6の電圧閾値は、0Vを超えており、かつ、電源電圧値Vb以下であれば問題はない。
【0114】
制御部57は、上流スイッチ30及び下流スイッチ20のオンへの切替えを指示し、接続スイッチ40がオフである状態でA/D変換部53から第1電圧値V1を取得する。制御部57は、取得した第1電圧値V1に基づいて上流スイッチ30のハーフオン故障を検知する。
【0115】
上流スイッチ30、下流スイッチ20及び接続スイッチ40それぞれが、オン、オン及びオフである場合、第1電圧値V1は、電源電圧値Vbであり、高電圧閾値Vh以上である。上流スイッチ30のハーフオン故障が発生している場合、第1電圧値V1は、第1故障電圧値Vf1であり、高電圧閾値Vh未満である。結果、制御部57は、A/D変換部53から取得した第1電圧値V1が高電圧閾値Vh未満である場合に上流スイッチ30のハーフオン故障を検知する。なお、上流スイッチ30のハーフオン故障を検知するための第7の電圧閾値は、第1故障電圧値Vf1を超えており、かつ、電源電圧値Vb以下であれば問題はない。
【0116】
下流スイッチ20がオンである状態で上流スイッチ30のハーフオン故障が発生した場合、単位時間当たりに上流スイッチ30が発する熱の熱量は急速に上昇する。これにより、上流スイッチ30の温度が基準温度以上の温度に上昇し、駆動回路31は、マイコン26の第1出力部50から入力されている電圧に無関係に、上流スイッチ30を強制的にオフに切替える。上流スイッチ30のハーフオン故障は、駆動回路31又は制御部57によって検知される。
【0117】
制御部57は、上流スイッチ30及び下流スイッチ20のオンへの切替えを指示し、接続スイッチ40がオフである状態でA/D変換部54から第2電圧値V2を取得する。制御部57は、取得した第2電圧値V2に基づいて下流スイッチ20の開放故障を検知する。
【0118】
上流スイッチ30、下流スイッチ20及び接続スイッチ40それぞれが、オン、オン及びオフである場合、第2電圧値V2は、0Vであり、高電圧閾値Vh以下である。下流スイッチ20の開放故障が発生している場合、負荷抵抗12aを介して電流は流れない。このため、第1電圧値V1は、電源電圧値Vbであり、高電圧閾値Vhを超えている。結果、制御部57は、A/D変換部54から取得した第2電圧値V2が高電圧閾値Vhを超えている場合に下流スイッチ20の開放故障を検知する。なお、下流スイッチ20の開放故障を検知するための第8の電圧閾値は、0V以上であり、かつ、電源電圧値Vb未満であれば問題はない。
【0119】
制御部57は、上流スイッチ30及び下流スイッチ20のオンへの切替えを指示し、接続スイッチ40がオフである状態でA/D変換部54から第2電圧値V2を取得する。制御部57は、取得した第2電圧値V2に基づいて下流スイッチ20のハーフオン故障を検知する。
【0120】
上流スイッチ30、下流スイッチ20及び接続スイッチ40それぞれが、オン、オン及びオフである場合、第2電圧値V2は、0Vであり、低電圧閾値Vw以下である。下流スイッチ20のハーフオン故障が発生している場合、第2電圧値V2は、第2故障電圧値Vf2であり、低電圧閾値Vwを超えており、かつ、高電圧閾値Vh未満である。結果、制御部57は、第2電圧値V2が、低電圧閾値Vwを超えており、かつ、高電圧閾値Vh未満である場合、下流スイッチ20のハーフオン故障を検知する。
【0121】
なお、下流スイッチ20のハーフオン故障を検知するための下側の電圧閾値は、0V以上であり、かつ、第2故障電圧値Vf2未満であれば問題はない。下側の電圧閾値は第9の電圧閾値に相当する。下流スイッチ20のハーフオン故障を検知するための上側の電圧閾値は、第1故障電圧値Vf1以上であり、かつ、電源電圧値Vb未満であれば問題はない。
【0122】
制御部57は、上流スイッチ30及び下流スイッチ20のオンへの切替えを指示し、接続スイッチ40がオフである状態でA/D変換部52から電流情報を取得する。前述したように、電流情報は、検出電流値Id、即ち、上流スイッチ30を介して流れる電流の電流値を示す。電流情報の取得は、検出電流値Idの取得に相当する。制御部57は、取得した電流情報が示す検出電流値Idに基づいて負荷12の開放故障を検知する。
【0123】
負荷12が正常である状態で、上流スイッチ30、下流スイッチ20及び接続スイッチ40それぞれが、オン、オン及びオフである場合、検出電流値Idは、通常電流値Inであり、下側電流閾値Iw以上である。負荷12の開放故障が発生している場合、検出電流値Idは、抵抗電流値Irであり、下側電流閾値Iw未満である。従って、制御部57は、A/D変換部52から取得した電流情報が示す検出電流値Idが下側電流閾値Iw未満である場合、負荷12の開放故障を検知する。
【0124】
制御部57は、上流スイッチ30及び下流スイッチ20のオンへの切替えを指示し、接続スイッチ40がオフである状態でA/D変換部52から電流情報を取得する。制御部57は、取得した電流情報が示す検出電流値Idに基づいて負荷12の短絡故障を検知する。負荷12の短絡故障は、負荷12の両端間の抵抗値、即ち、負荷抵抗12aの両端間の抵抗値が極端に小さい現象である。
【0125】
負荷12が正常である状態で、上流スイッチ30、下流スイッチ20及び接続スイッチ40それぞれが、オン、オン及びオフである場合、検出電流値Idは、通常電流値Inであり、上側電流閾値Ih以下である。負荷12の短絡故障が発生している場合、検出電流値Idは、上側電流閾値Ih(通常電流値In)を超える。従って、制御部57は、A/D変換部52から取得した電流情報が示す検出電流値Idが上側電流閾値Ihを超えている場合、負荷12の短絡故障を検知する。上側電流閾値Ihは第2の電流閾値である。
【0126】
上流スイッチ30及び下流スイッチ20がオンである状態で負荷12の短絡故障が発生した場合、検出電流値Idは基準電流値以上の電流に情報し、駆動回路31は、マイコン26の第1出力部50から入力されている電圧に無関係に、上流スイッチ30を強制的にオフに切替える。負荷12の短絡故障は、駆動回路31又は制御部57によって検知される。
【0127】
<給電制御処理>
図6は、給電制御処理の手順を示すフローチャートである。以下では、負荷12が動作を停止している場合の故障診断を停止中の故障診断と記載する。負荷12が作動している場合の故障診断を作動中の故障診断と記載する。マイコン26の制御部57は、上流スイッチ30、下流スイッチ20及び接続スイッチ40のオフへの切替えが指示されている状態で給電制御処理を実行する。
【0128】
給電制御処理では、制御部57は、負荷12を作動させるか否かを判定する(ステップS1)。制御部57は、負荷12を作動させないと判定した場合(S1:NO)、ステップS1を再び実行する。制御部57は、負荷12を作動させるタイミングが到来するまで待機する。制御部57は、負荷12を作動させると判定した場合(S1:YES)、
図4の内容に従って、停止中の故障診断を実行する(ステップS2)。
【0129】
制御部57は、接続スイッチ40のオンへの切替えを切替え部55に指示することによって接続スイッチ40のオンを実現する。制御部57は、接続スイッチ40のオフへの切替えを切替え部55に指示することによって接続スイッチ40のオフを実現する。制御部57は、停止中の故障診断を行うことによって、上流スイッチ30の開放故障、上流スイッチ30の短絡故障、下流スイッチ20の開放故障、下流スイッチ20の短絡故障、又は、負荷12の開放故障が発生しているか否かを判定する。制御部57は、上流スイッチ30、下流スイッチ20及び接続スイッチ40のオフへの切替えが指示されている状態で停止中の故障診断を終了する。
【0130】
制御部57は、ステップS2を実行した後、停止中の故障診断で故障を検知したか否かを判定する(ステップS3)。制御部57は、停止中の故障診断で故障を検知していないと判定した場合(S3:NO)、第1出力部50及び第2出力部51それぞれに、上流スイッチ30及び下流スイッチ20のオンへの切替えを指示する(ステップS4)。負荷12が正常である状態で上流スイッチ30及び下流スイッチ20がオンに切替わった場合、直流電源11は、所定電力以上の電力を負荷抵抗12aに供給する。これにより、負荷12は作動する。
【0131】
制御部57は、ステップS4を実行した後、
図5の内容に従って、作動中の故障診断を実行する(ステップS5)。制御部57は、作動中の故障診断を行うことによって、上流スイッチ30の開放故障、上流スイッチ30のハーフオン故障、下流スイッチ20の開放故障、下流スイッチ20のハーフオン故障、負荷12の開放故障、又は、負荷12の短絡故障が発生しているか否かを判定する。制御部57は、上流スイッチ30及び下流スイッチ20のオンへの切替えが指示され、かつ、接続スイッチ40のオフへの切替えが指示されている状態で動作中の故障診断を終了する。
【0132】
制御部57は、ステップS5を実行した後、作動中の故障診断で故障を検知したか否かを判定する(ステップS6)。制御部57は、作動中の故障診断で故障を検知していないと判定した場合(S6:NO)、負荷12の動作を停止させるか否かを判定する(ステップS7)。制御部57は、負荷12の動作を停止させないと判定した場合(S7:NO)、ステップS5を再び実行する。制御部57は、故障を検知するか、又は、負荷12の動作を停止させるタイミングが到来するまで待機する。
【0133】
制御部57は、作動中の故障診断で故障を検知したと判定した場合(S6:YES)、又は、負荷12の動作を停止させると判定した場合(S7:YES)、第1出力部50及び第2出力部51それぞれに、上流スイッチ30及び下流スイッチ20のオフへの切替えを指示する(ステップS8)。上流スイッチ30及び下流スイッチ20がオフに切替わった場合、直流電源11から負荷抵抗12aへの給電が停止し、負荷12は動作を停止する。
【0134】
制御部57は、停止中の故障診断で故障を検知したと判定した場合(S3:YES)、又は、ステップS8を実行した後、給電制御処理を終了する。給電制御処理を終了した場合において、故障が検知されていないとき、制御部57は、再び給電制御処理を実行する。なお、制御部57は、ステップS8を実行した後、停止中の故障診断を再び実行してもよい。この場合、制御部57は、停止中の故障診断を実行した後、給電制御処理を終了する。
【0135】
以上のように、給電制御処理では、作動中の故障診断で故障が検知された場合、制御部57は、上流スイッチ30及び下流スイッチ20のオフへの切替えを指示する。従って、上流スイッチ30の短絡故障が発生した場合、下流スイッチ20がオフに切替わり、負荷12への給電が停止する。また、制御部57は、第1電圧値V1又は第2電圧値V2に基づいて、上流スイッチ30、下流スイッチ20及び負荷12の故障を検知する。
【0136】
(実施形態2)
実施形態1において、駆動回路31が上流スイッチ30のハーフオン故障及び負荷12の短絡故障を検知する。しかしながら、駆動回路31は故障を検知する機能を有していなくてもよい。
以下では、実施形態2について、実施形態1と異なる点を説明する。後述する構成を除く他の構成については、実施形態1と共通している。このため、実施形態1と共通する構成部には実施形態1と同一の参照符号を付し、その構成部の説明を省略する。
【0137】
<給電制御装置10の構成>
図7は、実施形態2における給電制御装置10の要部構成を示すブロック図である。実施形態2における給電制御装置10は、下流スイッチ20、直列回路22、第1抵抗23、上流抵抗24、下流抵抗25、上流スイッチ30、駆動回路31及び電流検出回路32を有する。給電制御装置10は、更に、シャント抵抗34を有する。給電制御装置10は、IPD21を有していない。
【0138】
負荷抵抗12a、下流スイッチ20、直列回路22、下流抵抗25及び駆動回路31の接続は実施形態1と同様である。実施形態1と同様に、直列回路22には、一定電圧が印加されている。上流スイッチ30のドレイン及びゲートの接続は実施形態1と同様である。
【0139】
上流スイッチ30のソースはシャント抵抗34の一端に接続されている。シャント抵抗34の他端は、負荷抵抗12aの一端に接続されている。シャント抵抗34及び負荷抵抗12a間の接続ノードに、第1抵抗23及び上流抵抗24の一端が接続されている。シャント抵抗34及び負荷抵抗12a間の接続ノードは、上流スイッチ30及び負荷抵抗12a間の接続ノードである。第1抵抗23の一端は接地されている。上流抵抗24の他端はマイコン26のA/D変換部53に接続されている。シャント抵抗34の一端及び他端は、電流検出回路32に各別に接続されている。電流検出回路32は、更に、マイコン26のA/D変換部52に接続されている。
【0140】
上流スイッチ30及び下流スイッチ20がオンである場合、電流は、実施形態1と同様に、直流電源11の正極から電流経路Eを介して直流電源11の負極に流れる。電流経路Eでは、電流は、矢印で示すように、上流スイッチ30、シャント抵抗34、負荷抵抗12a、下流スイッチ20及び直流電源11の負極の順に流れる。上流スイッチ30がオンである場合、直流電源11の正極から、電流は、上流スイッチ30、シャント抵抗34及び負荷抵抗12aの順に流れる。
【0141】
上流スイッチ30から出力された全ての電流は、シャント抵抗34に入力される。従って、シャント抵抗34を介して流れる電流の電流値は、上流スイッチ30を介して流れる電流の電流値と一致する。シャント抵抗34の抵抗値は一定値である。このため、シャント抵抗34の両端間の電圧値は、上流スイッチ30を介して流れる電流の電流値に比例する。電流検出回路32は、シャント抵抗34の両端間の電圧値を検出することによって、上流スイッチ30を介して流れる電流の電流値を検出する。電流検出回路32は、シャント抵抗34の両端間の電圧値を、アナログの電流情報としてマイコン26のA/D変換部52に出力する。
【0142】
シャント抵抗34の両端間の電圧値をシャント抵抗34の抵抗値で除算することによって、シャント抵抗34を介して流れる電流の電流値が算出される。このため、電流情報は、電流検出回路32が検出した検出電流値Idを示す。実施形態1と同様に、A/D変換部52は、アナログの電流情報をデジタルの電流情報に変換する。マイコン26の制御部57は、A/D変換部52が変換したデジタルの電流情報を取得する。実施形態2における駆動回路31は、検出電流値Id、又は、上流スイッチ30の温度に応じて、上流スイッチ30をオフに切替えることはない。
【0143】
<第1故障電圧値Vf1及び第2故障電圧値Vf2>
実施形態1の説明で述べたように、第1故障電圧値Vf1は、上流スイッチ30のハーフオン故障が発生している場合において、下流スイッチ20がオンであるときの第1電圧値V1である。第1抵抗23の抵抗値は、負荷抵抗12aの抵抗値よりも十分に大きいので、第1故障電圧値Vf1は、上流スイッチ30及びシャント抵抗34を含む回路と、負荷抵抗12aとが電源電圧値Vbを分圧することによって得られる電圧の電圧値に実質的に一致する。
【0144】
実施形態1の説明で述べたように、第2故障電圧値Vf2は、下流スイッチ20のハーフオン故障が発生している場合において、上流スイッチ30がオンであるときの第2電圧値V2である。第1抵抗23の抵抗値は、負荷抵抗12aの抵抗値よりも十分に大きいので、第2故障電圧値Vf2は、シャント抵抗34及び負荷抵抗12aを含む回路と、下流スイッチ20とが電源電圧値Vbを分圧することによって得られる電圧の電圧値に実質的に一致する。
【0145】
<故障診断>
実施形態1では、上流スイッチ30がオンであるか、又は、上流スイッチ30の短絡故障が発生している場合、第1電圧値V1は電源電圧値Vbである。実施形態2では、上流スイッチ30がオンであるか、又は、上流スイッチ30の短絡故障が発生している場合において、下流スイッチ20がオフであるか、又は、下流スイッチ20の開放故障が発生しているとき、第1電圧値V1は、シャント抵抗34及び第1抵抗23が電源電圧値Vbを分圧することによって得られる電圧の電圧値である。第1抵抗23はシャント抵抗34よりも十分に大きいので、この電圧値は電源電圧値Vbに実質的に一致する。
【0146】
前述したように、第1抵抗23の抵抗値は、負荷抵抗12aの抵抗値よりも十分に大きい。従って、上流スイッチ30がオンであるか、又は、上流スイッチ30の短絡故障が発生している場合において、下流スイッチ20がオンであるか、又は、下流スイッチ20の短絡故障が発生しているとき、第1電圧値V1は、シャント抵抗34及び負荷抵抗12aが分圧することによって得られる電圧の電圧値である。負荷抵抗12aの抵抗値はシャント抵抗34の抵抗値よりも十分に大きいので、この電圧値は電源電圧値Vbに実質的に一致する。
【0147】
<効果>
実施形態2における給電制御装置10は、実施形態1における給電制御装置10が奏する効果の中で、駆動回路31が故障を検知することによって得られる効果を除く他の効果を同様の効果を奏する。
【0148】
<変形例>
実施形態1,2において、上流スイッチ30及び下流スイッチ20それぞれは、半導体スイッチであれば、問題はない。このため、上流スイッチ30及び下流スイッチ20それぞれは、Nチャネル型のFETに限定されず、Pチャネル型のFET又はバイポーラトランジスタ等であってもよい。
【0149】
実施の形態1,2で記載されている技術的特徴(構成要件)はお互いに組み合わせ可能であり、組み合わせすることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
開示された実施形態1,2はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0150】
1 電源システム
10 給電制御装置
11 直流電源
12 負荷
12a 負荷抵抗
20 下流スイッチ
21 IPD
22 直列回路
23 第1抵抗
24 上流抵抗
25 下流抵抗
26 マイコン
30 上流スイッチ
31 駆動回路
32 電流検出回路
33 温度検出回路
34 シャント抵抗
40 接続スイッチ
41 第2抵抗
50 第1出力部
51 第2出力部
52,53,54 A/D変換部
55 切替え部
56 記憶部
57 制御部(処理部)
58 内部バス
A 記憶媒体
C 車両
E 電流経路
P コンピュータプログラム