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特開2023-90458緊急報知装置、緊急報知システム、及び道路機材
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023090458
(43)【公開日】2023-06-29
(54)【発明の名称】緊急報知装置、緊急報知システム、及び道路機材
(51)【国際特許分類】
   G08B 25/04 20060101AFI20230622BHJP
   G08B 25/10 20060101ALI20230622BHJP
   G08B 5/00 20060101ALI20230622BHJP
   G08B 21/00 20060101ALI20230622BHJP
   H04W 4/90 20180101ALI20230622BHJP
   H04W 4/40 20180101ALI20230622BHJP
【FI】
G08B25/04 C
G08B25/10 D
G08B5/00 S
G08B21/00 U
H04W4/90
H04W4/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021205421
(22)【出願日】2021-12-17
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浅野 裕紀
(72)【発明者】
【氏名】多田 雅樹
【テーマコード(参考)】
5C083
5C086
5C087
5K067
【Fターム(参考)】
5C083AA01
5C083BB26
5C083BB27
5C083EE05
5C083EE10
5C083JJ24
5C083JJ46
5C086AA34
5C086AA52
5C086BA22
5C086CA25
5C086FA06
5C086FA17
5C086GA06
5C087AA02
5C087AA03
5C087AA09
5C087AA10
5C087AA19
5C087AA32
5C087AA37
5C087BB03
5C087BB11
5C087BB18
5C087BB64
5C087BB73
5C087BB74
5C087DD03
5C087DD14
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF23
5C087GG12
5C087GG32
5K067AA35
5K067BB26
5K067DD28
5K067EE02
5K067EE10
5K067FF23
5K067FF25
(57)【要約】      (修正有)
【課題】簡単、かつ、迅速に緊急事態の発生を報知可能とする緊急報知装置、緊急報知システム及び道路機材を提供する。
【解決手段】緊急報知システムS1において、緊急報知装置A1は、道路に沿って設置され、取得部10と、通信部12と、出力部13と、処理部11と、を備える。取得部10は、道路上で発生する緊急事態に関する緊急情報を外部から取得する。通信部12は、管理装置2と通信する。出力部13は、警報を出力する。処理部11は、取得部10が取得する緊急情報に応じた処理を行い、取得部10が緊急情報を取得した場合、緊急情報を通信部12から管理装置2に送信させるとともに緊急情報に応じた警報を出力部13に出力させ、通信部12が管理装置2から緊急情報を受信した場合、緊急情報に応じた警報を出力部13に出力させる。取得部10は、無線通信によって緊急情報を外部から取得する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路に沿って設置され、
前記道路上で発生する緊急事態に関する緊急情報を外部から取得する取得部と、
通信部と、
警報を出力する出力部と、
前記取得部が取得する前記緊急情報に応じた処理を行う処理部と、
を備え、
前記通信部は、他の緊急報知装置が備える通信部と通信可能であり、
前記処理部は、前記取得部が前記緊急情報を取得した場合及び前記通信部が前記他の緊急報知装置から前記緊急情報を受信した場合、前記他の緊急報知装置と異なる別の緊急報知装置に前記通信部から前記緊急情報を送信させ、かつ、前記緊急情報に応じた警報を前記出力部に出力させ、
前記取得部は、無線通信によって前記緊急情報を前記外部から取得する、
緊急報知装置。
【請求項2】
道路に沿って設置され、
前記道路上で発生する緊急事態に関する緊急情報を外部から取得する取得部と、
管理装置と通信可能な通信部と、
警報を出力する出力部と、
前記取得部が取得する前記緊急情報に応じた処理を行う処理部と、
を備え、
前記処理部は、前記取得部が前記緊急情報を取得した場合、前記緊急情報を前記通信部から前記管理装置に送信させるとともに前記緊急情報に応じた警報を前記出力部に出力させ、かつ、前記通信部が前記管理装置から前記緊急情報を受信した場合、前記緊急情報に応じた警報を前記出力部に出力させ、
前記取得部は、無線通信によって前記緊急情報を前記外部から取得する、
緊急報知装置。
【請求項3】
道路に沿って設置される複数の緊急報知装置と、
前記複数の緊急報知装置のそれぞれと個別に通信可能な管理装置と、
を有し、
前記複数の緊急報知装置はそれぞれ、
前記道路上で発生する緊急事態に関する緊急情報を外部から取得する取得部と、
前記管理装置と通信可能な通信部と、
警報を出力する出力部と、
前記取得部が取得する前記緊急情報に応じた処理を行う処理部と、
を備え、
前記処理部は、前記取得部が前記緊急情報を取得した場合、前記緊急情報を前記通信部から前記管理装置に送信させるとともに前記緊急情報に応じた警報を前記出力部に出力させ、かつ、前記通信部が前記管理装置から前記緊急情報を受信した場合、前記緊急情報に応じた警報を前記出力部に出力させ、
前記取得部は、無線通信によって前記緊急情報を前記外部から取得する、
緊急報知システム。
【請求項4】
前記取得部が取得する前記緊急情報は、前記道路上で発生する緊急事態に関する第1情報及び前記緊急事態の通報者に関する第2情報を含む、
請求項1又は2記載の緊急報知装置。
【請求項5】
前記処理部は、前記取得部が前記緊急情報を取得した場合、前記通信部を制御して、前記処理部に割り当てられた固有のアドレス情報を前記緊急情報とともに送信させる、
請求項1、2又は4記載の緊急報知装置。
【請求項6】
前記出力部は、光と音の少なくとも一方の媒体によって前記警報を出力する、
請求項1、2、4又は5記載の緊急報知装置。
【請求項7】
前記通信部は、有線通信及び無線通信の少なくとも一方の通信が可能である、
請求項1、2、又は4-6のいずれか1項に記載の緊急報知装置。
【請求項8】
前記取得部の無線通信における通信媒体の周波数帯は、前記通信部の無線通信における通信媒体の周波数帯と異なる、
請求項7記載の緊急報知装置。
【請求項9】
前記取得部が取得する前記緊急情報は、前記道路上で発生する緊急事態に関する第1情報及び前記緊急事態の通報者に関する第2情報を含む、
請求項3記載の緊急報知システム。
【請求項10】
前記処理部は、前記取得部が前記緊急情報を取得した場合、前記通信部を制御して、前記処理部に割り当てられた固有のアドレス情報を前記緊急情報とともに送信させる、
請求項3又は9記載の緊急報知システム。
【請求項11】
前記出力部は、光と音の少なくとも一方の媒体によって前記警報を出力する、
請求項3、9又は10記載の緊急報知システム。
【請求項12】
前記通信部は、有線通信及び無線通信の少なくとも一方の通信が可能である、
請求項3又は9-11のいずれか1項に記載の緊急報知システム。
【請求項13】
前記取得部の前記無線通信における通信媒体の周波数帯は、前記通信部の無線通信における通信媒体の周波数帯と異なる、
請求項12記載の緊急報知システム。
【請求項14】
前記管理装置は、前記複数の緊急報知装置のうちの特定の緊急報知装置から前記緊急情報を受信した場合、前記複数の緊急報知装置のうちで前記特定の緊急報知装置の最も近くに設置されている緊急報知装置を含む1つ以上の緊急報知装置に対して緊急情報を送信する、
請求項9-13のいずれか1項に記載の緊急報知システム。
【請求項15】
前記複数の緊急報知装置の各々の前記処理部は、前記複数の緊急報知装置のうちで前記緊急情報を前記取得部で取得した緊急報知装置までの距離に関する距離情報を前記出力部から出力させる、
請求項9-14のいずれか1項に記載の緊急報知システム。
【請求項16】
前記取得部が取得する前記緊急情報は、前記道路上で発生する緊急事態に関する第1情報及び前記緊急事態の通報者に関する第2情報を含み、
前記複数の緊急報知装置の各々の前記処理部は、前記第1情報を前記出力部から出力させる、
請求項9-15のいずれか1項に記載の緊急報知システム。
【請求項17】
道路に沿って設置され、請求項1又は2の緊急報知装置を支持する本体を備える、
道路機材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、緊急報知装置、緊急報知システム、及び道路機材に関し、より詳細には、交通事故などの道路上で発生する緊急事態を報知する緊急報知装置、緊急報知システム、及び道路機材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来例として、特許文献1記載の防犯灯ポール(道路機材)を例示する。特許文献1記載の防犯灯ポール(以下、従来例という)は、路上及び公共施設に設置され、ネットワークにより接続された監視センターに画像及び音声を含む信号を送受信する。従来例は、通報機器と、ピンホールカメラと、警戒音ブザーと、警告灯と、可動式の監視カメラと、火災検知器と、ネットワークに接続され、信号及び情報を送受信する機器と、を備える。信号及び情報を送受信する機器に備えられた送受信部は、ネットワークを介して監視センターに接続される。そして、上記従来例は、通報機器が備える通報用マイク及び通報用スピーカを用いて、通報者が監視センターの作業者と通話して異常事態を報知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-282316号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、道路上で事故等の緊急事態が発生した場合、道路を通行する自動車の運転者に対して、より簡単かつ迅速に緊急事態の発生を報知することが臨まれる。
【0005】
本開示の目的は、簡単かつ迅速に緊急事態の発生を報知可能な緊急報知装置、緊急報知システム、及び道路機材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る緊急報知装置は、道路に沿って設置され、前記道路上で発生する緊急事態に関する緊急情報を外部から取得する取得部と、通信部と、警報を出力する出力部と、前記取得部が取得する前記緊急情報に応じた処理を行う処理部と、を備える。前記通信部は、他の緊急報知装置が備える通信部と通信可能である。前記処理部は、前記取得部が前記緊急情報を取得した場合及び前記通信部が前記他の緊急報知装置から前記緊急情報を受信した場合、前記他の緊急報知装置と異なる別の緊急報知装置に前記通信部から前記緊急情報を送信させ、かつ、前記緊急情報に応じた警報を前記出力部に出力させる。前記取得部は、無線通信によって前記緊急情報を前記外部から取得する。
【0007】
本開示の一態様に係る緊急報知装置は、道路に沿って設置され、前記道路上で発生する緊急事態に関する緊急情報を外部から取得する取得部と、管理装置と通信可能な通信部と、警報を出力する出力部と、前記取得部が取得する前記緊急情報に応じた処理を行う処理部と、を備える。前記処理部は、前記取得部が前記緊急情報を取得した場合、前記緊急情報を前記通信部から前記管理装置に送信させるとともに前記緊急情報に応じた警報を前記出力部に出力させ、かつ、前記通信部が前記管理装置から前記緊急情報を受信した場合、前記緊急情報に応じた警報を前記出力部に出力させる。前記取得部は、無線通信によって前記緊急情報を前記外部から取得する。
【0008】
本開示の一態様に係る緊急報知システムは、道路に沿って設置される複数の緊急報知装置と、前記複数の緊急報知装置のそれぞれと個別に通信可能な管理装置と、を有する。前記複数の緊急報知装置はそれぞれ、前記道路上で発生する緊急事態に関する緊急情報を外部から取得する取得部と、前記管理装置と通信可能な通信部と、警報を出力する出力部と、前記取得部が取得する前記緊急情報に応じた処理を行う処理部と、を備える。前記処理部は、前記取得部が前記緊急情報を取得した場合、前記緊急情報を前記通信部から前記管理装置に送信させるとともに前記緊急情報に応じた警報を前記出力部に出力させ、かつ、前記通信部が前記管理装置から前記緊急情報を受信した場合、前記緊急情報に応じた警報を前記出力部に出力させる。前記取得部は、無線通信によって前記緊急情報を前記外部から取得する。
【0009】
本開示の一態様に係る道路機材は、道路に沿って設置され、前記緊急報知装置を支持する本体を備える。
【発明の効果】
【0010】
本開示の緊急報知装置、緊急報知システム、及び道路機材は、簡単かつ迅速に緊急事態の発生を報知できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本開示の実施形態1に係る緊急報知システムのシステム構成図である。
図2図2は、本開示の実施形態1に係る緊急報知装置の正面図である。
図3図3は、同上の緊急報知システムが設置された道路の概略図である。
図4図4は、本開示の実施形態2に係る緊急報知装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示の実施形態に係る緊急報知装置、緊急報知システム、及び道路機材について、図面を参照して詳細に説明する。ただし、下記の実施形態において説明する各図は模式的な図であり、各構成要素の大きさ及び厚さのそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。なお、以下の実施形態で説明する構成は本開示の一例にすぎない。本開示は、以下の実施形態に限定されず、本開示の効果を奏することができれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0013】
(1)実施形態1
(1-1)概要
実施形態1に係る緊急報知システムS1は、道路R1に沿って設置される複数の緊急報知装置A1と、複数の緊急報知装置A1のそれぞれと個別に通信可能な管理装置2と、を有する(図1及び図3参照)。ここで、複数の緊急報知装置A1のそれぞれが、実施形態1に係る緊急報知装置である。道路R1は、例えば、高速道路などの自動車専用道路である。ただし、道路は、自動車専用道路以外の一般道(自動車以外の車両、人が通行可能な道路)であっても構わない。
【0014】
複数の緊急報知装置A1はそれぞれ、道路R1に沿って間隔を空けて設置されている複数の道路機材に支持されている(図3参照)。道路機材は、例えば、道路R1に立てられる筒状のポール本体30を有するポール3である。ポール3の先端(ポール本体30の上端)に、道路照明用の照明器具4が取り付けられる。ただし、道路機材は照明用のポールに限定されず、防音壁、電柱、ガードレールなどの道路に沿って設置される道路機材全般を含む。
【0015】
複数の緊急報知装置A1はそれぞれ、取得部10と、通信部12と、出力部13と、処理部11と、を備える。通信部12は、管理装置2と通信可能である。取得部10は、道路R1上で発生する緊急事態に関する緊急情報を無線通信によって外部から取得する。出力部13は、警報を出力する。処理部11は、取得部10が取得する緊急情報に応じた処理を行う。
【0016】
実施形態において、道路R1上で発生する緊急事態は、例えば、交通事故、故障車の道路R1上での停車、道路R1上の落下物、陥没などの道路R1の損傷、崖崩れ等による道路R1上の土砂の堆積などを含む。
【0017】
緊急情報は、上述したような複数種類の緊急事態の中の1種類(場合によっては2種類以上)の緊急事態の内容、例えば、追突事故(交通事故)を表す文字情報、事故現場を撮影した画像情報などを含む。さらに、緊急事態は、スマートホンなどの通信端末5を利用して緊急情報を緊急報知装置A1へ送信した人(通報者)の個人を特定可能な情報を含む。このような情報は、例えば、通報者が使用しているスマートホンの電話番号、社会保障・税番号制度によって個人に割り当てられた個人番号(いわゆるマイナンバー)などを含む。あるいは、通報者が交通事故・故障者の運転者(当事者)である場合、通報者(当事者)の自動車を特定可能な情報、例えば、自動車登録番号、車台番号などを含む。
【0018】
例えば、道路R1上に停車した故障車の運転者は、自己の通信端末5(例えば、スマートホン)を用いて、近くの緊急報知装置A1の取得部10に緊急情報を取得させる。緊急報知装置A1の処理部11は、取得部10が緊急情報を取得した場合、緊急情報を通信部12から管理装置2に送信させるとともに緊急情報に応じた警報を出力部13に出力させる。また、処理部11は、通信部12が管理装置2から緊急情報を受信した場合、緊急情報に応じた警報を出力部13に出力させる。
【0019】
しかして、実施形態1に係る緊急報知システムS1及び緊急報知装置A1によれば、道路R1上に設置されている道路情報板などで報知する場合に比べて、簡単かつ迅速に緊急事態の発生を報知できる。
【0020】
(1-2)詳細
実施形態1に係る緊急報知システムS1(以下、緊急報知システムS1と略す。)は、実施形態1に係る緊急報知装置A1(以下、緊急報知装置A1と略す。)を複数有している(図1参照)。ただし、複数の緊急報知装置A1の構成は、すべて共通である。各緊急報知装置A1は、通信ユニット1と、出力部13と、を有している。
【0021】
(1-2-1)緊急報知装置
通信ユニット1は、取得部10、処理部11、通信部12を有している。
【0022】
取得部10は、タッチパネル100及びNFC(Near Field Communication:近距離無線通信)リーダ101などの入力デバイスを有している。タッチパネル100は、直方体状の箱形に形成された筐体14に収容され、筐体14の前面上部から画面を露出させている(図2参照)。NFCリーダ101は、通信用のアンテナを有している。NFCリーダ101のアンテナは、筐体14の下部に収容される。なお、NFCリーダ101のアンテナの前方を覆う筐体14の前壁の少なくとも一部は、NFCリーダ101が使用する電波(周波数13.56MHzの電波)を透過可能な絶縁体(例えば、合成樹脂)で形成されている。ただし、取得部10は、NFCリーダ101に代えて、あるいは、NFCリーダ101とともに、別の無線通信デバイス、例えば、ブルートゥース(登録商標)又はWi-Fi(登録商標)などの規格に準拠した無線通信デバイスを有しても構わない。
【0023】
処理部11は、マイクロコントローラ(ハードウェア)と、マイクロコントローラで実行されるプログラム(ソフトウェア)と、を有している。プログラムは、マイクロコントローラのメモリに格納されている。すなわち、処理部11は、プログラムをマイクロコントローラで実行することによって実現される。なお、処理部11が行う処理については、後述する。
【0024】
通信部12は、例えば、専用の通信線Lsを通信媒体として管理装置2と双方向のデータ通信(例えば、パケット通信)を行う。通信線Lsは、メタル線でもよいし、光ファイバ線でもよい。ただし、通信部12は、通信線Lsの代わりに、電波を通信媒体とする無線通信を行っても構わない。なお、通信部12が無線通信を行う場合、通信部12の無線通信における通信媒体の周波数帯は、取得部10の近距離無線通信における通信媒体の周波数帯と異なることが好ましい。通信部12における無線通信の周波数帯と取得部10の近距離無線通信の周波数帯を異ならせることにより、互いの無線通信の干渉を防ぐことができる。
【0025】
筐体14は、例えば、金属板によって直方体状の箱形に形成される。ただし、上述したようにNFCリーダ101と対向する筐体14の前壁の下部は、合成樹脂などの電気絶縁性を有する材料で形成されることが好ましい。筐体14は、取得部10、処理部11、及び通信部12を収容する。なお、図示は省略しているが、筐体14は、取得部10、処理部11、及び通信部12のそれぞれに電力を供給するための電源回路を収容している。
【0026】
筐体14は、ポール本体30に取り付けられる(図3参照)。なお、筐体14は、ポール本体30に対して、道路R1から1mから1.5m程度の高さ位置に取り付けられることが好ましい。このように筐体14がポール本体30に取り付けられる場合、通信ユニット1は、ポール本体30に収容されている、照明器具4用の電源ユニットから給電されても構わない。また、筐体14は必ずしもポール本体30の外に配置される必要はなく、筐体14の一部又は全部がポール本体30に収容されても構わない。ただし、筐体14がポール本体30に収容される場合においても、タッチパネル100の画面が露出している筐体14の前面は、ポール本体30の外に露出することが好ましい。
【0027】
出力部13は、筐体14の外に設けられる。ただし、出力部13は、筐体14に収容されても構わない。出力部13は、スピーカと、スピーカを駆動する駆動回路を有する。また、出力部13は、電子看板(デジタルサイネージ)を有しても構わない。つまり、出力部13は、スピーカから出力する音を媒体として警報を出力し、かつ、電子看板に画像又は文字あるいは画像と文字の両方を表示することにより光を媒体として警報を出力する。なお、出力部13は、筐体14の外に設けられる場合、例えば、ポール本体30の上部における照明器具4の下方に設置されることが好ましい(図3参照)。
【0028】
(1-2-2)管理装置
管理装置2は、例えば、道路R1を管理する道路管理者の施設に設置される。管理装置2は、例えば、コンピュータシステムを有している。コンピュータシステムは、例えば、1つ以上のプロセッサ、メモリ、ハードディスクドライブ又はソリッドステートドライブなどの記憶装置を搭載したコンピュータ本体と、ディスプレイ装置と、キーボード及びマウスなどの入力デバイスと、を有する。
【0029】
管理装置2を構成するコンピュータシステムは、通信線Lsを通信媒体とする通信機能を有している。つまり、管理装置2は、通信線Lsを介して、複数の通信ユニット1と個別かつ双方向に通信可能である。管理装置2は、複数の通信ユニット1のそれぞれの処理部11に割り当てられた固有のアドレス情報(例えば、ネットワークアドレス)によって各通信ユニット1と個別かつ双方向に通信する。なお、管理装置2にも固有のアドレス情報が割り当てられており、各通信ユニット1の処理部11は、送信先のアドレスとして管理装置2のアドレス情報を指定することにより、通信部12から管理装置2へデータを送信させることができる。
【0030】
ここで、道路R1に沿って設置されている複数のポール3には、各ポール3を識別するための符号(識別符号)が割り当てられている。そして、管理装置2は、記憶装置に記憶したデータベースにおいて、各通信ユニット1のアドレス情報と、各通信ユニット1が設置されているポール3の識別符号と、各ポール3が設置されている位置情報と、を対応付けて管理している。
【0031】
(1-2-3)通信端末
通信端末5は、スマートホンである。ただし、通信端末5はスマートホンに限定されず、いわゆるタブレットPC、ノートパソコンの他、自動車に搭載されている車載コンピュータシステムの1つである車載インフォテインメントシステムでも構わない。車載インフォテインメントシステムは、自動車のダッシュボードに設置され、ナビゲーション用の地図などを表示するタッチパネルを備え、かつ、タッチパネルに表示するボタン(アイコン)によって各種の操作入力を受け付ける。
【0032】
通信端末5であるスマートホンは、NFCコントローラを搭載している。通信端末5が通信ユニット1の筐体14の前面下部に近付けられると、通信ユニット1の取得部10と通信端末5との間で近距離無線通信が可能となる。通信端末5は、通信ユニット1の取得部10との近距離無線通信が可能になると、あらかじめインストールされている通信用のアプリケーションを起動させる。このアプリケーションにより、通信端末5の所有者に関する情報(以下、第2情報という)、例えば、通信端末5に割り当てられている電話番号、所有者の電子メールアドレス、などが通信ユニット1の取得部10に取得される。また、当該アプリケーションは、緊急事態に関する情報(以下、第1情報という)として、通信端末5の位置情報、通信端末5のカメラで撮影した静止画像・動画像、などが通信ユニット1の取得部10に取得される。
【0033】
(1-2-4)緊急報知システムの動作
次に、道路R1上で発生する緊急事態として、故障した自動車(以下、故障車と呼ぶ場合がある。)が道路R1上で停車した場合について、緊急報知装置A1及び緊急報知システムS1の動作を説明する。
【0034】
まず、故障車の運転者が、停車した場所(例えば、道路R1の路肩)から最も近い位置に設置されている緊急報知装置A1(通信ユニット1)の筐体14前面の下部に自己の通信端末5を近付けると、通信端末5において通信用のアプリケーションが起動する。起動したアプリケーションは、通信端末5のNFCコントローラに指示して、運転者に関する第2情報(通信端末5の電話番号など)を、NFCリーダ101との近距離無線通信によって通信ユニット1の取得部10に取得させる。さらに、処理部11は、取得部10のタッチパネル100に、第1情報に関連する付加情報の入力を促すための画面を表示させる。このときの画面には、緊急事態の種類(例えば、交通事故、故障など)に対応した複数のボタン、及び発生した緊急事態に対応したボタンにタッチすることを促すメッセージが表示される。そして、故障に対応したボタンが故障車の運転者によってタッチされることにより、取得部10は、発生した緊急事態に関する第1情報(発生した緊急事態の種類が自動車の故障であること)を取得する。なお、発生した緊急事態が交通事故である場合、取得部10は、通信端末5のカメラで撮影された事故現場の画像(静止画像又は動画像)を、通信端末5から取得することが望ましい。
【0035】
通信ユニット1の取得部10が通信端末5から緊急情報(第1情報及び第2情報)を取得すると、通信ユニット1の処理部11は、緊急情報に含まれる第1情報に基づき、例えば、「ここに故障車が停車しています。注意して走行してください。」というような警報メッセージを表す音声データ及び表示データを生成する。そして、処理部11は、生成した音声データ及び表示データを出力部13に与える。出力部13は、処理部11から受け取った音声データに応じてスピーカを駆動することにより、警報メッセージを音声出力する。同様に、出力部13は、処理部11から受け取った表示データに応じて電子看板を駆動することにより、警報メッセージを表示出力する。
【0036】
また、通信ユニット1の処理部11は、取得部10が緊急情報を取得すると、通信部12を制御し、取得部10が取得した緊急情報と、通信ユニット1が設置されているポール3の識別符号を管理装置2へ送信させる。
【0037】
管理装置2は、通信ユニット1の通信部12から送信される緊急情報を受信した場合、コンピュータ本体のメモリに、緊急情報に含まれる第1情報及び第2情報を記憶する。また、管理装置2は、記憶装置に記憶されているデータベースを参照し、緊急情報の送信元である通信ユニット1(緊急報知装置A1)のアドレス情報と対応するポール3の識別符号及びポール3の位置情報を取得する。さらに、管理装置2は、緊急情報の送信元の近くの他のポール3の位置情報とそれら他のポール3の識別符号を取得するとともに、それら他のポール3の識別符号と対応した緊急報知装置A1のアドレス情報を取得する。
【0038】
ここで、管理装置2は、VoIP(Voice over Internet Protocol)の技術を利用して、通信ユニット1との間で通話を行っても構わない。ただし、各通信ユニット1は、音声入力用のマイクロホンを有する必要がある。管理装置2のオペレータは、緊急情報の送信元である通信ユニット1を通じて通報者(故障車の運転者)と通話し、故障の内容などの付加情報を通報者から直接聞き取ることが望ましい。しかして、緊急報知装置A1及び緊急報知システムS1は、通信部12と管理装置2との間で通話のための通信を行うことにより、緊急事態の詳細をより正確かつ短時間で取得することができる。
【0039】
管理装置2は、上述のようにして取得した1つ以上の緊急報知装置A1(通信ユニット1)のアドレス情報に基づいて、これら1つ以上の緊急報知装置A1(通信ユニット1)に対して通信線Lsを介して緊急情報を送信する。なお、管理装置2から緊急報知装置A1に送信される緊急情報は、第1情報と、緊急事態が発生している場所の情報、例えば、各緊急報知装置A1が設置されているポール3から送信元の緊急報知装置A1が設置されているポール3までの距離などの情報(以下、第3情報と呼ぶ。)と、を含んでいる。
【0040】
1つ以上の緊急報知装置A1は、管理装置2から送信された緊急情報を通信ユニット1の通信部12で受信し、通信部12で受信する緊急情報に応じた処理を処理部11で行う。具体的に、処理部11は、緊急情報に含まれる第1情報及び第3情報に基づき、例えば、「○○m先の路肩に故障車が停車しています。注意して走行してください。」というような警報メッセージを表す音声データ及び表示データを生成する。そして、処理部11は、生成した音声データ及び表示データを出力部13に与える。出力部13は、処理部11から受け取った音声データに応じてスピーカを駆動することにより、警報メッセージを音声出力する。同様に、出力部13は、処理部11から受け取った表示データに応じて電子看板を駆動することにより、警報メッセージを表示出力する。
【0041】
しかして、緊急報知システムS1及び緊急報知装置A1は、故障車が停車している場所だけでなく、故障車が停車している場所から離れた場所においても、出力部13から緊急事態の報知(警報)を行うので、緊急事態に対する安全確保を図ることができる。
【0042】
(1-3)実施形態1の利点
上述のように、緊急報知システムS1及び緊急報知装置A1によれば、簡単かつ迅速に緊急事態の発生を報知できる。すなわち、自動車専用道路を走行中の自動車の運転手に事故などの緊急事態の発生を知らせる手段として道路情報板・ハイウェイラジオなどがあるが、道路照明用の照明器具は、これらの手段の設置間隔・聴取可能範囲よりも短い間隔(数十mから数百m)で設置されている。そのため、照明器具4が設置されるポール3に緊急報知装置A1が設けられることにより、道路情報板などを使用する場合に比べて、道路R1上で発生する緊急事態に関する情報を、より簡単かつ迅速に通報することができる。しかも、緊急報知装置A1が、緊急事態に関する緊急情報を無線通信で取得する取得部10を備えているので、非常電話を使用する場合に比べて、道路R1上で発生する緊急事態に関する情報を、より簡単かつ迅速に管理装置2に伝えることができる。しかも、緊急報知システムS1及び緊急報知装置A1では、通報者に関する第2情報を緊急報知装置A1の取得部10で取得するので、通報者の特定が容易になるだけでなく、いたずらの通報を抑止できるという利点もある。
【0043】
また、緊急報知システムS1及び緊急報知装置A1において、取得部10が取得する緊急情報は、道路R1上で発生する緊急事態に関する第1情報及び緊急事態の通報者に関する第2情報を含むので、通報者の特定が容易になるだけでなく、いたずらの通報を抑止できるという利点もある。
【0044】
ここで、緊急報知装置A1の処理部11は、取得部10が緊急情報を取得した場合、通信部12を制御して、処理部11に割り当てられた固有のアドレス情報を管理装置2へ送信させる。そして、管理装置2は、受信したアドレス情報に基づいて、複数の緊急報知装置A1のうち、通報者が通報に使用した緊急報知装置A1を特定することができる。しかして、緊急報知システムS1は、通報に使用された緊急報知装置A1を特定することにより、その緊急報知装置A1が設置されている場所、つまり、緊急事態が発生した場所をより正確に知ることができる。その結果、緊急報知システムS1は、通報された緊急事態に対して、より適切な処置を講ずることが可能になる。また、管理装置2が通信部12から送信されるアドレス情報を記憶することにより、いたずらの通報を更に抑止できるという利点もある。
【0045】
緊急報知システムS1において、管理装置2は、特定の緊急報知装置A1から緊急情報を受信した場合、特定の緊急報知装置A1を除いた他の複数の緊急報知装置A1のうちで特定の緊急報知装置A1の最も近くに設置されている緊急報知装置A1を含む1つ以上の緊急報知装置A1に対して緊急情報を送信する。そして、管理装置2から緊急情報を受信した各緊急報知装置A1において、各々の処理部11は、複数の緊急報知装置A1のうちで緊急情報を取得部10で取得した緊急報知装置A1までの距離に関する距離情報(例えば、「○○m先の路肩に故障車が停車しています。」という警報メッセージ)を出力部13から出力させる。これにより、緊急報知システムS1は、緊急事態の発生場所をより的確に報知することができ、緊急事態に対して更なる安全確保を図ることができる。
【0046】
(2)実施形態2
(2-1)概要
実施形態2に係る緊急報知装置A2は、道路R1に沿って設置される。実施形態2に係る緊急報知装置A2は、取得部10と、通信部12と、出力部13と、処理部11と、を備える(図4参照)。
【0047】
取得部10は、道路R1上で発生する緊急事態に関する緊急情報を無線通信によって外部から取得する。出力部13は、警報を出力する。処理部11は、取得部10が取得する緊急情報に応じた処理を行う。通信部12は、他の緊急報知装置A2が備える通信部12と通信可能である。
【0048】
処理部11は、取得部10が緊急情報を取得した場合及び通信部12が他の緊急報知装置A2から緊急情報を受信した場合、他の緊急報知装置A2と異なる別の緊急報知装置A2に通信部12から緊急情報を送信させ、かつ、緊急情報に応じた警報を出力部13に出力させる。すなわち、実施形態2に係る緊急報知装置A2は、実施形態1に係る緊急報知装置A1とは異なり、管理装置2を介さずに、他の緊急報知装置A2に緊急情報を送信するように構成されている。しかして、実施形態2に係る緊急報知装置A2によれば、実施形態1に係る緊急報知装置A1と同様に、簡単かつ迅速に緊急事態の発生を報知できる。
【0049】
(2-2)詳細
実施形態2に係る緊急報知装置A2(以下、緊急報知装置A2と略す。)は、実施形態1に係る緊急報知装置A1と異なり、管理装置2を介さずに他の緊急報知装置A2と通信線Lsを介して緊急情報を送受信可能である(図4参照)。緊急報知装置A2は、緊急報知装置A1と同様に、通信ユニット1と、出力部13と、を有している。ただし、出力部13の構成は、実施形態1における出力部13の構成と共通であるから、説明を省略する。
【0050】
(2-2-1)通信ユニット
通信ユニット1は、取得部10、処理部11、通信部12、筐体14を有している。なお、取得部10、通信部12及び筐体14の構成は、実施形態1における取得部10、通信部12及び筐体14の構成と共通であるから、説明を省略する。
【0051】
処理部11は、実施形態1における処理部11と同様、マイクロコントローラ(ハードウェア)と、マイクロコントローラで実行されるプログラム(ソフトウェア)と、を有している。プログラムは、マイクロコントローラのメモリに格納されている。すなわち、処理部11は、プログラムをマイクロコントローラで実行することによって実現される。
【0052】
処理部11は、マイクロコントローラのメモリに記憶したデータベースにおいて、各通信ユニット1のアドレス情報と、各通信ユニット1が設置されているポール3の識別符号と、各ポール3が設置されている位置情報と、を対応付けて管理している。
【0053】
(2-2-2)緊急報知装置の動作
道路R1上に故障車が停車している場合について、緊急報知装置A2の動作を説明する。
【0054】
まず、故障車の運転者が、停車した場所(例えば、道路R1の路肩)から最も近い位置に設置されている緊急報知装置A2(通信ユニット1)の筐体14前面の下部に自己の通信端末5を近付けると、通信端末5において通信用のアプリケーションが起動する。起動したアプリケーションは、通信端末5のNFCコントローラに指示して、運転者に関する第2情報(通信端末5の電話番号など)を、NFCリーダ101との近距離無線通信によって通信ユニット1の取得部10に取得させる。さらに、処理部11は、取得部10のタッチパネル100に、第1情報に関連する付加情報の入力を促すための画面を表示させる。このときの画面には、緊急事態の種類(例えば、交通事故、故障など)に対応した複数のボタン、及び発生した緊急事態に対応したボタンにタッチすることを促すメッセージが表示される。そして、故障に対応したボタンが故障車の運転者によってタッチされることにより、取得部10は、発生した緊急事態に関する第1情報(発生した緊急事態の種類が自動車の故障であること)を取得する。なお、発生した緊急事態が交通事故である場合、取得部10は、通信端末5のカメラで撮影された事故現場の画像(静止画像又は動画像)を、通信端末5から取得することが望ましい。
【0055】
通信ユニット1の取得部10が通信端末5から緊急情報(第1情報及び第2情報)を取得すると、通信ユニット1の処理部11は、緊急情報に含まれる第1情報に基づき、例えば、「ここに故障車が停車しています。注意して走行してください。」というような警報メッセージを表す音声データ及び表示データを生成する。そして、処理部11は、生成した音声データ及び表示データを出力部13に与える。出力部13は、処理部11から受け取った音声データに応じてスピーカを駆動することにより、警報メッセージを音声出力する。同様に、出力部13は、処理部11から受け取った表示データに応じて電子看板を駆動することにより、警報メッセージを表示する。
【0056】
また、通信ユニット1の処理部11は、取得部10が緊急情報を取得すると、通信部12を制御し、取得部10が取得した緊急情報と、通信ユニット1が設置されているポール3の識別符号を他の緊急報知装置A2へ送信させる。このとき、処理部11は、緊急情報とポール3の識別符号を含む送信フレームを生成し、生成した送信フレームを、通信部12にブロードキャストによってすべての緊急報知装置A2に一斉送信させる。
【0057】
あるいは、処理部11は、記憶装置に記憶されているデータベースを参照して、自己が設置されているポール3よりも自動車の進行方向と逆方向に設置されている1つ以上のポール3の識別符号及び当該識別符号と対応する通信ユニット1(緊急報知装置A2)のアドレス情報を取得してもよい。そして、処理部11は、取得した1つ以上の通信ユニット1(緊急報知装置A2)に対して、生成した送信フレームを、通信部12にマルチキャストによって送信させても構わない。
【0058】
他の緊急報知装置A2の処理部11は、通報元の緊急報知装置A2から送信された送信フレームを通信部12で受信した場合、送信フレームから緊急情報とポール3の識別符号を取得する。なお、「他の緊急報知装置A2」とは、通報者(故障車の運転者)から緊急情報を取得した緊急報知装置A2(以下、通報元の緊急報知装置A2と呼ぶ)を除いた緊急報知装置A2である。
【0059】
他の緊急報知装置A2の処理部11は、記憶装置に記憶されているデータベースを参照し、送信フレームから取得したポール3の識別符号と対応したポール3の位置情報を取得する。さらに、他の緊急報知装置A2の処理部11は、取得したポール3の位置情報に基づいて、通報元の緊急報知装置A2が設置されているポール3までの距離を算出する。そして、他の緊急報知装置A2の処理部11は、算出した距離に基づき、例えば、「○○m先の路肩に故障車が停車しています。注意して走行してください。」というような警報メッセージを表す音声データ及び表示データを生成する。そして、他の緊急報知装置A2の処理部11は、生成した音声データ及び表示データを出力部13に与える。出力部13は、処理部11から受け取った音声データに応じてスピーカを駆動することにより、警報メッセージを音声出力する。同様に、出力部13は、処理部11から受け取った表示データに応じて電子看板を駆動することにより、警報メッセージを表示出力する。
【0060】
しかして、緊急報知装置A2は、故障車が停車している場所だけでなく、故障車が停車している場所から離れた場所においても、出力部13から緊急事態の報知(警報)を行うので、緊急事態に対する安全確保を図ることができる。
【0061】
(3)実施形態の利点
上述のように緊急報知装置A1;A2によれば、道路R1上に設置されている道路情報板などで報知する場合に比べて、簡単かつ迅速に緊急事態の発生を報知できる。すなわち、自動車専用道路に設置される道路情報板は、インターチェンジの近く及びトンネルの入り口などの限られた場所にしか設置されていないが、道路照明用の照明器具は、道路情報板よりも短い間隔(数十mから数百m)で設置されている。そのため、照明器具4が設置されるポール3に緊急報知装置A1;A2が設けられることにより、道路情報板などで報知する場合に比べて、道路R1上で発生する緊急事態に関する情報を、より簡単かつ迅速に報知することができる。しかも、緊急報知装置A1;A2では、緊急情報を無線通信によって取得部10で取得するので、自動車専用道路に設置されている緊急電話を使用して緊急情報を通報する場合に比べて、より簡単かつ迅速に緊急情報を通報することができる。
【0062】
また、緊急報知システムS1は、緊急報知装置A1で取得した緊急情報を管理装置2へ送ることにより、管理装置2で緊急情報を一元的に管理することができる。しかも、緊急報知システムS1では、通報者に関する第2情報を緊急報知装置A1の取得部10で取得するので、通報者の特定が容易になるだけでなく、いたずらの通報を抑止できるという利点もある。
【0063】
(4)まとめ
本開示の第1の態様に係る緊急報知装置(A2)は、道路(R1)に沿って設置され、取得部(10)と、通信部(12)と、出力部(13)と、処理部(11)と、を備える。取得部(10)は、道路(R1)上で発生する緊急事態に関する緊急情報を外部から取得する。出力部(13)は、警報を出力する。処理部(11)は、取得部(10)が取得する緊急情報に応じた処理を行う。通信部(12)は、他の緊急報知装置(A2)が備える通信部(12)と通信可能である。処理部(11)は、取得部(10)が緊急情報を取得した場合及び通信部(12)が他の緊急報知装置(A2)から緊急情報を受信した場合、他の緊急報知装置(A2)と異なる別の緊急報知装置(A2)に通信部(12)から緊急情報を送信させ、かつ、緊急情報に応じた警報を出力部(13)に出力させる。取得部(10)は、無線通信によって緊急情報を外部から取得する。
【0064】
第1の態様に係る緊急報知装置(A2)は、道路上に設置されている道路情報板などで報知する場合に比べて、簡単かつ迅速に緊急事態の発生を報知できる。
【0065】
本開示の第2の態様に係る緊急報知装置(A1)は、道路に沿って設置され、取得部(10)と、通信部(12)と、出力部(13)と、処理部(11)と、を備える。取得部(10)は、道路(R1)上で発生する緊急事態に関する緊急情報を外部から取得する。通信部(12)は、管理装置(2)と通信可能である。出力部(13)は、警報を出力する。処理部(11)は、取得部(10)が取得する緊急情報に応じた処理を行う。処理部(11)は、取得部(10)が緊急情報を取得した場合、緊急情報を通信部(12)から管理装置(2)に送信させるとともに緊急情報に応じた警報を出力部(13)に出力させる。処理部(11)は、通信部(12)が管理装置(2)から緊急情報を受信した場合、緊急情報に応じた警報を出力部(13)に出力させる。取得部(10)は、無線通信によって緊急情報を外部から取得する。
【0066】
第2の態様に係る緊急報知装置(A1)は、道路上に設置されている道路情報板などで報知する場合に比べて、簡単かつ迅速に緊急事態の発生を報知できる。
【0067】
本開示の第3の態様に係る緊急報知システム(S1)は、道路(R1)に沿って設置される複数の緊急報知装置(A1)と、複数の緊急報知装置(A1)のそれぞれと個別に通信可能な管理装置(2)と、を有する。複数の緊急報知装置(A1)はそれぞれ、取得部(10)と、通信部(12)と、出力部(13)と、処理部(11)と、を備える。取得部(10)は、道路(R1)上で発生する緊急事態に関する緊急情報を外部から取得する。通信部(12)は、管理装置(2)と通信可能である。出力部(13)は、警報を出力する。処理部(11)は、取得部(10)が取得する緊急情報に応じた処理を行う。処理部(11)は、取得部(10)が緊急情報を取得した場合、緊急情報を通信部(12)から管理装置(2)に送信させるとともに緊急情報に応じた警報を出力部(13)に出力させる。処理部(11)は、通信部(12)が管理装置(2)から緊急情報を受信した場合、緊急情報に応じた警報を出力部(13)に出力させる。取得部(10)は、無線通信によって緊急情報を外部から取得する。
【0068】
第3の態様に係る緊急報知システム(S1)は、道路上に設置されている道路情報板などで報知する場合に比べて、簡単かつ迅速に緊急事態の発生を報知できる。
【0069】
本開示の第4の態様に係る緊急報知装置(A1;A2)は、第1又は第2の態様との組合せにより実現され得る。第4の態様に係る緊急報知装置(A1;A2)において、取得部(10)が取得する緊急情報は、道路(R1)上で発生する緊急事態に関する第1情報及び緊急事態の通報者に関する第2情報を含むことが好ましい。
【0070】
第4の態様に係る緊急報知装置(A1;A2)は、通報者に関する第2情報を取得部(10)で取得するので、通報者の特定が容易になるだけでなく、いたずらの通報を抑止できる。
【0071】
本開示の第5の態様に係る緊急報知装置(A1;A2)は、第1、第2又は第4の態様との組合せにより実現され得る。第5の態様に係る緊急報知装置(A1;A2)において、処理部(11)は、取得部(10)が緊急情報を取得した場合、通信部(12)を制御して、処理部(11)に割り当てられた固有のアドレス情報を緊急情報とともに送信させることが好ましい。
【0072】
第5の態様に係る緊急報知装置(A1;A2)は、通報された緊急事態に対して、より適切な処置を講ずることが可能になる。
【0073】
本開示の第6の態様に係る緊急報知装置(A1;A2)は、第1、第2、第4又は第5のいずれかの態様との組合せにより実現され得る。第6の態様に係る緊急報知装置(A1;A2)において、出力部(13)は、光と音の少なくとも一方の媒体によって警報を出力することが好ましい。
【0074】
第6の態様に係る緊急報知装置(A1;A2)は、緊急情報をより迅速かつ的確に報知することができる。
【0075】
本開示の第7の態様に係る緊急報知装置(A1;A2)は、第1、第2、又は第4-第6のいずれかの態様との組合せにより実現され得る。第7の態様に係る緊急報知装置(A1;A2)において、通信部(12)は、有線通信及び無線通信の少なくとも一方の通信が可能であることが好ましい。
【0076】
第7の態様に係る緊急報知装置(A1;A2)は、使用される環境に応じた適切な通信方式で通信することができる。
【0077】
本開示の第8の態様に係る緊急報知装置(A1;A2)は、第7の態様との組合せにより実現され得る。第8の態様に係る緊急報知装置(A1;A2)において、取得部(10)の無線通信における通信媒体の周波数帯は、通信部(12)の無線通信における通信媒体の周波数帯と異なることが好ましい。
【0078】
第8の態様に係る緊急報知装置(A1;A2)は、取得部(10)の無線通信と通信部(12)の無線通信の相互の干渉を防ぐことができる。
【0079】
本開示の第9の態様に係る緊急報知システム(S1)は、第3の態様との組合せにより実現され得る。第9の態様に係る緊急報知システム(S1)において、取得部(10)が取得する緊急情報は、道路(R1)上で発生する緊急事態に関する第1情報及び緊急事態の通報者に関する第2情報を含むことが好ましい。
【0080】
第9の態様に係る緊急報知システム(S1)は、通報者に関する第2情報を取得部(10)で取得するので、通報者の特定が容易になるだけでなく、いたずらの通報を抑止できる。
【0081】
本開示の第10の態様に係る緊急報知システム(S1)は、第3又は第9の態様との組合せにより実現され得る。第10の態様に係る緊急報知システム(S1)において、処理部(11)は、取得部(10)が緊急情報を取得した場合、通信部(12)を制御して、処理部(11)に割り当てられた固有のアドレス情報を緊急情報とともに送信させることが好ましい。
【0082】
第10の態様に係る緊急報知システム(S1)は、通報された緊急事態に対して、より適切な処置を講ずることが可能になる。
【0083】
本開示の第11の態様に係る緊急報知システム(S1)は、第3、第9又は第10の態様との組合せにより実現され得る。第11の態様に係る緊急報知システム(S1)において、出力部(13)は、光と音の少なくとも一方の媒体によって警報を出力することが好ましい。
【0084】
第11の態様に係る緊急報知システム(S1)は、緊急情報をより迅速かつ的確に報知することができる。
【0085】
本開示の第12の態様に係る緊急報知システム(S1)は、第3又は第9-第11のいずれかの態様との組合せにより実現され得る。第12の態様に係る緊急報知システム(S1)において、通信部(12)は、有線通信及び無線通信の少なくとも一方の通信が可能であることが好ましい。
【0086】
第12の態様に係る緊急報知システム(S1)は、使用される環境に応じた適切な通信方式で通信することができる。
【0087】
本開示の第13の態様に係る緊急報知システム(S1)は、第12の態様との組合せにより実現され得る。第13の態様に係る緊急報知システム(S1)において、取得部(10)の無線通信における通信媒体の周波数帯は、通信部(12)の無線通信における通信媒体の周波数帯と異なることが好ましい。
【0088】
第13の態様に係る緊急報知システム(S1)は、取得部(10)の無線通信と通信部(12)の無線通信の相互の干渉を防ぐことができる。
【0089】
本開示の第14の態様に係る緊急報知システム(S1)は、第9-13のいずれかの態様にとの組合せにより実現され得る。第14の態様に係る緊急報知システム(S1)において、管理装置(2)は、複数の緊急報知装置(A1)のうちの特定の緊急報知装置(A1)から緊急情報を受信した場合、複数の緊急報知装置(A1)のうちで特定の緊急報知装置(A1)の最も近くに設置されている緊急報知装置(A1)を含む1つ以上の緊急報知装置(A1)に対して緊急情報を送信することが好ましい。
【0090】
第14の態様に係る緊急報知システム(S1)は、緊急事態の発生場所をより的確に報知することができる。
【0091】
本開示の第15の態様に係る緊急報知システム(S1)は、第9-14のいずれかの態様との組合せにより実現され得る。第15の態様に係る緊急報知システム(S1)において、複数の緊急報知装置(A1)の各々の処理部(11)は、複数の緊急報知装置(A1)のうちで緊急情報を取得部(10)で取得した緊急報知装置(A1)までの距離に関する距離情報を出力部(13)から出力させることが好ましい。
【0092】
第15の態様に係る緊急報知システム(S1)は、緊急事態に対して更なる安全確保を図ることができる。
【0093】
本開示の第16の態様に係る緊急報知システム(S1)は、第9-15のいずれかの態様との組合せにより実現され得る。第16の態様に係る緊急報知システム(S1)において、取得部(10)が取得する緊急情報は、道路(R1)上で発生する緊急事態に関する第1情報及び緊急事態の通報者に関する第2情報を含むことが好ましい。複数の緊急報知装置(A1)の各々の処理部(11)は、第1情報を出力部(13)から出力させることが好ましい。
【0094】
第16の態様に係る緊急報知システム(S1)は、緊急事態に対して更なる安全確保を図ることができる。
【0095】
本開示の第17の態様に係る道路機材(ポール3)は、道路(R1)に沿って設置され、第1又は第2の態様に係る緊急報知装置(A1;A2)を支持する本体(ポール本体30)を備える。
【0096】
第17の態様に係る道路機材は、複数の緊急報知装置(A1;A2)を道路(R1)に沿って容易に設置することができる。
【符号の説明】
【0097】
A1 緊急報知装置
A2 緊急報知装置
S1 緊急報知システム
R1 道路
1 通信ユニット
2 管理装置
3 ポール(道路機材)
10 取得部
11 処理部
12 通信部
13 出力部
30 ポール本体
図1
図2
図3
図4