(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023090463
(43)【公開日】2023-06-29
(54)【発明の名称】釘打ち機
(51)【国際特許分類】
B27F 7/04 20060101AFI20230622BHJP
B27M 1/08 20060101ALI20230622BHJP
【FI】
B27F7/04
B27M1/08 D ZAB
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021205426
(22)【出願日】2021-12-17
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-07-08
(71)【出願人】
【識別番号】521553427
【氏名又は名称】旭梱包株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】521553438
【氏名又は名称】株式会社ケーエスアイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】関根 信宏
(72)【発明者】
【氏名】岡部 利彦
(72)【発明者】
【氏名】樋口 直紀
【テーマコード(参考)】
2B250
3C054
【Fターム(参考)】
2B250AA31
2B250DA03
2B250EA02
2B250EA14
2B250FA14
2B250HA05
3C054CA00
3C054CB01
3C054CC04
3C054CD02
3C054CE08
3C054CE12
3C054CF11
(57)【要約】 (修正有)
【課題】輸送包装に用いる木箱を構成する木材への釘打ちにおける不良を少なくする。
【解決手段】輸送包装に用いる木箱を構成する木材101に対して釘を打つ釘打ち機100であって、木材に対して釘を打つヘッド部201と、釘が打たれる木材の第1面と対向する第2面で接し、かつ、一定以上の硬度である台座部204と、ヘッド部、又は、木材の姿勢を変化させて、木材の長手方向となる第1軸X1、又は、木材の短手方向である第2軸X2において、第1面の垂直方向に対し傾いた角度で第1面に釘を打つように調整する調整部202と、木材と接していると、釘が所定範囲内になるガイド部203とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
輸送包装に用いる木箱を構成する木材に対して釘を打つ釘打ち機であって、
前記木材に対して前記釘を打つヘッド部と、
前記釘が打たれる前記木材の第1面と対向する第2面で接し、かつ、一定以上の硬度である台座部と、
前記ヘッド部、又は、前記木材の姿勢を変化させて、前記木材の長手方向となる第1軸、又は、前記木材の短手方向である第2軸において、前記第1面の垂直方向に対し傾いた角度で前記第1面に前記釘を打つように調整する調整部と、
前記木材と接していると、前記釘が所定範囲内になるガイド部と
を備える釘打ち機。
【請求項2】
前記角度は、3°より大きく、かつ、30°未満である
請求項1に記載の釘打ち機。
【請求項3】
足での操作を受け付けて、前記ヘッド部に前記釘を打たせる操作部を更に備える
請求項1又は2に記載の釘打ち機。
【請求項4】
前記ガイド部は、
前記釘が前記木材の端部から2cmより内側となる位置へガイドする
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の釘打ち機。
【請求項5】
前記調整部は、前記角度を前記木材の厚みによって変更し、
前記厚みが厚いと、前記角度を小さくする
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の釘打ち機。
【請求項6】
前記調整部は、
前記台座部、前記ヘッド部、又は、これら両方を回転させる機構を備える
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の釘打ち機。
【請求項7】
前記角度は、前記垂直方向となる第3軸に対する角度であり、
前記第1面は、前記木材の上面であり、かつ、前記第2面は、前記木材の底面であり、
前記第1軸は、ピッチ軸であり、かつ、前記第2軸は、ロール軸であり、
前記調整部は、前記ヘッド部、又は、前記台座部を回転させる1自由度以上の機構を有し、
前記ガイド部は、前記ヘッド部を支える支柱であり、前記ガイド部に前記木材が突き当てられると、前記釘が前記木材に当たる位置に前記木材が位置し、
前記ヘッド部は、前記長手方向に複数の前記釘を打ち、かつ、複数の前記釘が前記短手方向において交互にずれる位置に前記釘を打つ
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の釘打ち機。
【請求項8】
前記木材を組み合わせて構成する枠に対して、前記釘を打つ場合において、
前記ヘッド部は、
前記枠の四隅であると判断すると、前記四隅に前記釘を5点以上打つ5点配置で前記釘を打つ
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の釘打ち機。
【請求項9】
クリンチ形状を形成するか、又は、クリンチ形状にしないかを切り替えるクリンチ切替部を更に備える
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の釘打ち機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釘打ち機に関する。
【背景技術】
【0002】
木材に対して、釘を打つ装置が知られている。具体的には、自動釘打機は、まず、複数の木材を重ねた位置に対してハンマーで釘を打ち込む。このように打ち込まれると、釘は、複数の木材を打ち抜いて、木材の底面から先端部が突出する。一方で、自動釘打機は、木材の底面側に、溝を有するアンビル(anvil、固定型の台座等をいう。)を備える。そして、釘が打ち込まれると、自動釘打機は、アンビルを移動させる。このようにして、打ち込まれた釘の先端部を折り曲げる技術が知られている(例えば、特許文献1等を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術は、輸送包装に用いる木箱を構成する木材に対して打つ釘が規格等を満たす程度に十分に打ち曲げられない(いわゆる「クリンチ(clinch)」しない)場合が発生し、釘打ちが不良となる課題がある。
【0005】
本発明は、輸送包装に用いる木箱を構成する木材への釘打ちにおける不良を少なくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明の一態様では、輸送包装に用いる木箱を構成する木材に対して釘を打つ釘打ち機は、
輸送包装に用いる木箱を構成する木材に対して釘を打つ釘打ち機であって、
前記木材に対して前記釘を打つヘッド部と、
前記釘が打たれる前記木材の第1面と対向する第2面で接し、かつ、一定以上の硬度である台座部と、
前記ヘッド部、又は、前記木材の姿勢を変化させて、前記木材の長手方向となる第1軸、又は、前記木材の短手方向である第2軸において、前記第1面の垂直方向に対し傾いた角度で前記第1面に前記釘を打つように調整する調整部と、
前記木材と接していると、前記釘が所定範囲内になるガイド部と
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、輸送包装に用いる木箱を構成する木材への釘打ちにおける不良を少なくできる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図10】角度を8°の設定とした実験結果を示す図である。
【
図11】角度を13°の設定とした実験結果を示す図である。
【
図12】角度を18°の設定とした実験結果を示す図である。
【
図13】角度を23°の設定とした実験結果を示す図である。
【
図14】角度ごとの実験結果のまとめを示す図である。
【
図15】ガイド部と釘が打たれる位置の関係を示す図である。
【
図17】木材に釘を打った実験結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付する図面を参照して、具体例を説明する。なお、以下の説明において、図面に記載する符号は、同一の要素を指す。
【0010】
以下、輸送包装に用いる木箱を構成する木材(以下単に「木材101」という。)の長手方向を「第1軸X1」とし、図において「X軸」で示す。また、第1軸X1を中心とする回転は、ピッチ(Pitch)回転となり、第1軸X1はピッチ軸ともいう。なお、ピッチ回転は、チルト(Tilt)回転ともいう。
【0011】
木材101の短手方向を「第2軸X2」とし、図において「Y軸」で示す。また、第2軸X2を中心とする回転は、ロール(Roll)回転となり、第2軸X2はロール軸ともいう。
【0012】
木材101の上面(後述する「第1面21」である。)の垂直方向(木材101の厚み方向にもなる。)を「第3軸X3」とし、図において「Z軸」で示す。また、第3軸X3を中心とする回転は、ヨー(Yaw)回転となり、第3軸X3はヨー軸ともいう。なお、ヨー回転は、パン(Pan)回転ともいう。
【0013】
すなわち、X軸、Y軸、及び、Z軸は、JIS B 6310:2003に定める右手直交座標系とする。
【0014】
また、木材101の上面を「第1面21」という。一方で、木材101の底面を「第2面22」という。第1面21と第2面22は、対向の関係、いわゆるおもて裏の関係である。したがって、釘24は、第1面21側から打たれ、第2面22側に先端部が突き出る。
【0015】
[釘打ち機の構成例]
図1は、釘打ち機の構成例を示す図である。
【0016】
釘打ち機100は、ヘッド部201、調整部202、ガイド部203、及び、台座部204を備える。また、釘打ち機100は、操作部205を更に備えるのが望ましい。
【0017】
ヘッド部201は、空圧等で釘24を木材101に打つ。なお、ヘッド部201は、木材101に打つ構成であれば装置の種類を問わない。また、ヘッド部201は、取り外し可能であってもよい。ほかにも、ヘッド部201は、複数の釘24を一度に打つ構成、又は、連続して複数打つ構成でもよい。
【0018】
調整部202は、ヘッド部201を第1軸X1回り、又は、第2軸X2回りに回転させる機構である。具体的には、調整部202は、以下のようにヘッド部201を調整する。
【0019】
図2は、調整例を示す図である。例えば、釘打ち機100は、第2軸X2を中心として、ヘッド部201を回転させて調整する。したがって、調整部202は、ヘッド部201の姿勢を変更、及び、固定する機構である。
【0020】
図2は、回転の中心を「回転中心10」で示す。すなわち、
図2に示す例では、ヘッド部201は、回転中心10を中心にロール回転をする。
【0021】
ただし、調整部202は、ヘッド部201の姿勢を変化させる装置であればよい。したがって、調整部202は、モータ等のアクチュエータで構成してもよい。
【0022】
以下、
図2に示す回転中心10の位置でヘッド部201を第2軸X2回りに回転する(ロール回転)1自由度(DOF、degree of freedom)の機構を例に説明する。ただし、調整部202は、2自由度以上を調整してもよい。
【0023】
すなわち、調整部202は、第1軸X1、第2軸X2、又は、第1軸X1と第2軸X2のこれら両方を中心に回転させる機構でもよい。
【0024】
ガイド部203は、支柱等の機構である。ガイド部203は、ヘッド部201等を支持し、ヘッド部201、及び、台座部204を連結する。
【0025】
台座部204は、木材101の第2面で接する位置に配置する。すなわち、台座部204は、釘24を打つ対象となる木材101を載せる台座となる。また、台座部204は、例えば、金属製である。すなわち、台座部204は、一定以上の硬度を有する素材である。具体的には、台座部204は、機械構造用炭素鋼鋼材(JIS G 4051:2016に規定される種類である。)の「S45C」又は「S50C」(焼き入れはあってもなくてもよい。)等である。
【0026】
台座部204の硬度が十分でないと、釘24がめり込む等となりやすい。したがって、台座部204は、一定以上の硬度を有する素材を用いて硬いのが望ましい。このように、硬い台座部204であると、釘24を十分に打ち曲げ、かつ、高耐久性にできる。
【0027】
操作部205は、フットスイッチ等である。すなわち、ユーザが足でフットスイッチを押す操作を行うと、ユーザが指定するタイミングでヘッド部201が釘24を打つ。このように、操作部205は、ユーザが足で操作できる構成が望ましい。ユーザの手は、木材101を動かす等の作業をする。そのため、ユーザは、釘24を打つ指示を出す操作を足で行えると利便性を高くできる。
【0028】
ただし、釘打ち機100は、手で押すボタン等の入力装置を有してもよい。
【0029】
図3は、釘打ち機の例を示す図である。
図3は、釘打ち機100の正面図、平面図、及び、側面図である。例えば、釘打ち機100は、図示するような外形、及び、寸法である。なお、釘打ち機100は、
図3に示す外形、及び、寸法に限られない。例えば、釘打ち機100は、
図3に示す以外の部品を有する等でもよい。
【0030】
釘打ち機100は、ヘッド部201、調整部202、ガイド部203、及び、台座部204が一体、又は、組み付けられた構成である。すなわち、釘打ち機100は、台座部204を備える据え置きの構成で使用される。したがって、釘打ち機100は、いわゆる手持ち型(portable)ではない。
【0031】
釘打ち機100では、0.3MPa以上の強い圧力で釘24を押し出す。具体的には、JIS Z 1402:2020 7.3.1では、釘24は、釘24の長さの2/3以上を木材101に打ち込むとしている。ゆえに、JISで規定する程度の長さに釘24を木材101に打ちこむため、釘打ち機100は、釘24を強い圧力で押し出す。
【0032】
このような圧力を用い、ユーザが手に持って使用する手持ち型の装置は、釘を打つ際に、ユーザの手に大きな反動が起きる。そして、このような反動は、ユーザの手に大きな負担となる。一方で、釘打ち機100のように、据え置きの状態で使用できると、反動が少なく、ユーザの負担を軽減できる。
【0033】
また、調整部202は、第1軸X1を中心にした回転をさせて調整してもよい。すなわち、調整は、木材101の垂直方向に対して、釘を打つ角度が変更できるのであれば、回転中心の位置、及び、姿勢を変化させる物体を問わない。
【0034】
調整部202は、
図2に示す回転中心以外の位置でヘッド部201を回転させて姿勢を変化させてもよい。また、調整部202は、台座部204、又は、木材101を回転させて姿勢を変化させてもよい。すなわち、調整部202は、台座部204をヘッド部201に対して傾けるゴニオステージ等でもよい。このように、調整部202は、第1面の垂直方向とヘッド部201が成す角度を変更できるのであれば、機構、及び、調整対象を問わない。
【0035】
釘は、JIS A 5508で定まる種類等を用いる。なお、釘24は、セメントコーテッドボックスネイル、セメントコーテッドネイル、ケミカルエッチドネイル、自動くぎ打機用のくぎ、又は、ステープル等でもよい。
【0036】
図4は、輸送包装に用いる木箱の例を示す図である。例えば、木箱11は、木材101を組み合わせて、
図4(A)に示すように、貨物12を囲うように組み立てられる。なお、木箱11は、
図4(A)に示す以外の外形、及び、寸法でもよい。また、貨物12は、種類を問わない。
【0037】
図4(B)は、
図4(A)に示す木箱11の一部を拡大した図である。
図4(A)は、
図4(B)で拡大して示す部分を点線で示す。
【0038】
図4(B)に示すように、木箱11は、釘24で繋ぎ合わせた2つ以上の木材101で構成する。したがって、釘24は、重量のある貨物12を梱包する場合でも、木材101同士を繋ぎ続けるため、先端部が折り曲がった形状(以下「クリンチ形状」という。)とする。
【0039】
図5は、クリンチ形状の例を示す図である。クリンチ形状23は、台座部204で釘24の先端部を打ち曲げて形成する。
【0040】
JIS Z 1402:2020 7.3.1では、クリンチ形状23は、0.3cm以上と規定されている。すなわち、クリンチ形状23は、JISで規定する以上の寸法であると、引っ掛かりとなり、十分な強度で木材101同士を繋げることができる。
【0041】
[角度について]
図6は、角度の例を示す図である。以下、第3軸X3とヘッド部201が成す角度、すなわち、垂直方向に対して傾けた角度を単に「角度α」という。具体的には、角度αが「α=0°」であると、釘24が木材101に垂直に打ち込まれる。一方で、角度αが「α=90°」であると、ヘッド部201が水平になる。
【0042】
調整部202は、ヘッド部201を垂直方向に対して傾ける、すなわち、角度αを0°より大きくする。そして、角度αは、3°より大きく、かつ、30°未満であるのが望ましい。
【0043】
[実験結果]
以下、
図6に示す角度αの値を変えて実験した結果を示す。
【0044】
図7は、角度ごとの釘打ち結果を示す図である。
図7において、「角度α」は、
図6に示す角度αの値である。また、「打ち曲げ成功割合」は、分母に実験回数を示し、かつ、分子に実験回数のうち、JISの規定を満たすクリンチ形状23となった回数を示す。「クリンチ形状の長さ」は、クリンチ形状23の長さを示す。
【0045】
図7で示すように、角度αが3°より大きく、かつ、30°未満であると、釘24の打ち曲げが成功した。したがって、垂直方向に対して傾いた角度で釘24を打つと、釘打ち機100は、輸送包装に用いる木箱を構成する木材を組み立てる上で、木材101に釘24を打つ際に、釘24を打ち曲げることができる。
【0046】
特に、この実験では、角度αが「8°」乃至「23°」であると、「打ち曲げ成功割合」が高くなり、かつ、「クリンチ形状の長さ」がJISの規定を満たす結果となった。
【0047】
図8は、種類ごとの釘打ち結果を示す図である。以下、角度αを「15°」に設定した釘打ちの実験結果を示す。なお、釘24は、呼び寸法が「45mm」のものを使用した。
【0048】
図8において、「種類」は、木材101となった部材の種類、及び、厚みの寸法を示す。本実験は、2種類の部材を組み合わせた実験である。2種類のうち、一方の種類を「25mm厚 ラジアタ材」とした。「25mm厚 ラジアタ材」をベースとし、「5.5mm厚 ポプラ合板」、「9mm厚 アカシア材」、「12mm厚 ラジアタ材」、及び、「12mm厚 ラワン材」のいずれかの種類を組み合わせた合計4種類で実験を行った。
【0049】
「5.5mm厚 ポプラ合板」、及び、「9mm厚 アカシア材」は、貨物12の重量が15t未満の場合によく用いる。一方で、「12mm厚 ラジアタ材」、及び、「12mm厚 ラワン材」は、貨物12の重量が15t以上の場合によく用いる。
【0050】
「外観検査結果」は、釘24を打った後の木材101の形状について目視で外観を検査した結果を示す。いずれの種類であっても、実験結果は「問題なし」となった。このように、釘打ち機100を使用すると、外観的な品質も良い結果となった。
【0051】
「クリンチ形状の評価結果」は、目視で外観を検査した結果を示す。いずれの種類であっても、実験結果は「問題なし」となった。
【0052】
「打ち曲げ成功割合」は、
図7と同様である。いずれの種類であっても、実験結果は「10/10」となり、高い成功率となった。
【0053】
「定性評価結果」は、実験者による定性的な評価結果である。
【0054】
以上のように、釘打ち機100を使用すると、木材101の種類、又は、厚みが変わっても、クリンチが安定して形成できた。このように、木材101の種類が変わっても安定して釘打ちができ、釘打ち機100の汎用性の高さを示す実験結果が得られた。この実験結果により、不良の発生を少なくできる効果を奏する。
【0055】
また、手持ち型の装置と比較しても、安定して釘打ちができる。さらに、手持ち型の装置と比較して人的な疲労を少なくでき、釘打ち機100は、ユーザの負担を軽減できる。
【0056】
図9は、節部分に対しての実験結果を示す図である。木材101には、節25となる部分を含む場合がある。節25は、木材101の維管束構造によって繊維の方向が変化している部分等である。節25には、例えば、「生節」、「死節」、「葉節」、又は、「流節」等がある。
【0057】
図9は、釘打ち機100により節25となる部分に対して釘24を打った結果を示す。節25は、他の部分と比較して硬さが異なるため、手持ち型の装置で釘24を打つと失敗しやすい部分である。一方で、本実験のように、釘打ち機100で釘24を打てば、節25となる部分に対して打った場合でも、安定してJISの規定を満たすクリンチ形状23が形成できた。
【0058】
以下、角度αが3°より大きく、かつ、30°未満の範囲で更に実験した結果を示す。
【0059】
図10は、角度を8°の設定とした実験結果を示す図である。
図10に示す実験結果は、角度αを8°と設定し、かつ、木材101を
図8等の実験と同様に行った結果である。
【0060】
図10において、「種類」は、木材101となった部材の種類、及び、厚みの寸法を示す。
【0061】
「外観検査結果」は、釘24を打った後の木材101の形状について目視で外観を検査した結果を示す。「5.5mm厚 ポプラ合板」以外を対象とすれば、実験結果は「問題なし」となった。このように、釘打ち機100を使用すると、外観的な品質も良い結果となった。一方で、「5.5mm厚 ポプラ合板」及び「25mm厚 ラジアタ材」の組み合わせの木材101では、ばらつきが生じる結果であった。
【0062】
「クリンチ形状の評価結果」は、目視で外観を検査した結果を示す。「5.5mm厚 ポプラ合板」以外を対象とすれば、実験結果は「優」となり、安定してJISの規定を満たすクリンチ形状23が形成できた。一方で、「5.5mm厚 ポプラ合板」及び「25mm厚 ラジアタ材」の組み合わせの木材101では、「可」となり、JISの規定を満たすクリンチ形状23とならない場合があった。
【0063】
「打ち曲げ成功割合」は、
図7と同様である。「5.5mm厚 ポプラ合板」以外を対象とすれば、実験結果は「10/10」となり、高い成功率となった。
【0064】
以上の実験結果の通り、角度αを8°の設定としても、高い確率でJISの規定を満たすクリンチ形状23が形成できた。
【0065】
図11は、角度を13°の設定とした実験結果を示す図である。
図11に示す実験結果は、角度αを13°と設定し、かつ、木材101を
図8等の実験と同様の組み合わせで行った結果である。評価項目は、角度αを8°の設定とした実験と同様である。
【0066】
図11、すなわち、角度αを13°と設定すると、「打ち曲げ成功割合」は、木材101の種類を問わず、高い成功率となった。「クリンチ形状の評価結果」、及び、「外観検査結果」についても、木材101の種類を問わず、良い結果となった。
【0067】
以上のように、角度αを13°と設定すると、安定してJISの規定を満たすクリンチ形状23が形成できた。
【0068】
図12は、角度を18°の設定とした実験結果を示す図である。
図12に示す実験結果は、角度αを18°と設定し、かつ、木材101を
図8等の実験と同様の組み合わせで行った結果である。評価項目は、角度αを8°の設定とした実験と同様である。
【0069】
図12、すなわち、角度αを18°と設定すると、「打ち曲げ成功割合」は、木材101の種類を問わず、高い成功率となった。「クリンチ形状の評価結果」、及び、「外観検査結果」についても、木材101の種類を問わず、良い結果となった。
【0070】
以上のように、角度αを18°と設定すると、安定してJISの規定を満たすクリンチ形状23が形成できた。
【0071】
図13は、角度を23°の設定とした実験結果を示す図である。
図13に示す実験結果は、角度αを23°と設定し、かつ、木材101を
図8等の実験と同様の組み合わせで行った結果である。評価項目は、角度αを23°の設定とした実験と同様である。
【0072】
角度αを23°と設定した場合も、JISの規定を満たすクリンチ形状23が形成できた。ただし、ばらつきが生じる結果であった。
【0073】
以上の実験結果をまとめると、下記のような結果である。
【0074】
図14は、角度ごとの実験結果のまとめを示す図である。図示するように、釘打ち機100は、角度αを「8°」、「13°」、「15°」、「18°」、又は、「23°」に設定して釘24を打つと、JISの規定を満たすクリンチ形状23が形成できる、すなわち、釘を打ち曲げることができる。
【0075】
特に、角度αを「13°」、「15°」、又は、「18°」のように、「15°±5°」程度にすると、釘打ち機100は、より安定してJISの規定を満たすクリンチ形状23が形成できる。
【0076】
ゆえに、角度αは、木材の厚みによって変更するのが望ましい。特に、木材101の厚みが厚いと、角度αは小さい(すなわち、「0°」に近い値である。)のが望ましい。
【0077】
厚みが厚い木材101に対して、角度αが大きいと、釘24の先端部が十分に突き出ない場合がある。
【0078】
JISの規定する長さを満たすクリンチ形状23を形成するのに、釘打ち機100は、釘24の先端部が木材101から突き出る角度αで打つ設定とする。そして、角度αの上限値は、釘24の長さ寸法によって異なる。以下、木材の厚みを20mmとして説明する。
【0079】
釘24の寸法が45mm(JIS A 5508:2009における「N45」等である。)の場合には、角度αは、「62°」以下の値に設定される。
【0080】
釘24の寸法が32mm(JIS A 5508:2009における「N32」等である。)の場合には、角度αは、「47°」以下の値に設定される。
【0081】
このように、角度αは、釘24の種類等に応じて変更されるのが望ましい。
【0082】
したがって、厚みが厚い木材101を対象とする、又は、短い釘24を用いる等の場合には、角度αが小さく設定されるのが望ましい。ゆえに、角度αが厚み等に応じて事前に複数設定され、厚み等が変わると、最適な角度αに変更できるボタン等の操作装置があるのが望ましい。このように、厚み、又は、釘24の種類等に応じた角度αが設定されると、釘打ち機100は、クリンチ形状23を形成する作業等を経なくとも、より安定してJISの規定を満たすクリンチ形状23が形成できる。
【0083】
[ガイド部203の構成]
ガイド部203は、木材101を押し当てると、釘24が外れない構成が望ましい。
【0084】
図15は、ガイド部と釘が打たれる位置の関係を示す図である。ガイド部203は、
図15に示すように、木材101を押し当てると(
図15では、矢印で示す方向、すなわち、
図2において上へ向かう方向である。)、釘24が木材101の端部から2cmより内側となる位置へガイドする位置関係であるのが望ましい。一方で、木材101は寸法が変化し、かつ、釘24を長手方向へ複数打つため、ガイド部203は、柱状であるのが望ましい。このように、柱状であると、木材101を押し当てて釘24をガイドし、かつ、木材101を長手方向に搬送しやすい。
【0085】
図15では、木材101の端部から2cmより内側となる領域を「内側領域30」で示す。ガイド部203は、釘24が内側領域30に打たれる、すなわち、所定範囲内に釘24打たれるように、ガイドする。内側領域30に釘24が打たれる、すなわち、木材101の端部に釘24が打たれないようにすると、以下のような現象を防げる。
【0086】
図16は、木材が割れた例を示す図である。
図16に示すように、木材101の端部に釘24が打たれると、木材101が割れてしまう場合がある。一方で、内側領域30に釘24が打たれると、木材101が割れるのを少なくできる。また、このように、釘24が飛び出していると、安全上も問題が起きやすい。ゆえに、釘24が飛び出すのを防ぎ、安全性も高めることができる。
【0087】
図17は、木材に釘を打った実験結果を示す図である。
図17(A)は、第1面を示す図である。一方で、
図17(B)は、
図17(A)から釘24を打った場合の第2面を示す図である。
図17(A)及び(B)では、釘24の表裏の関係を矢印で示す。
【0088】
第1釘31は、木材101の端部から2cmの位置、すなわち、内側領域30より外側に打った釘である。
【0089】
第2釘32は、木材101の端部から3cmの位置、すなわち、内側領域30より内側に打った釘である。
【0090】
第3釘33は、木材101の端部から3.5cmの位置、すなわち、内側領域30より内側に打った釘である。
【0091】
図17(B)が示すように、第1釘31は、木材101から釘24が飛び出てしまう。一方で、第2釘32、及び、第3釘33は、JISの規定を満たすクリンチ形状23が形成できた。
【0092】
ガイド部203は、角度αが変わる、又は、木材101の種類が変わると、位置が連動して変わる機構等でもよい。すなわち、角度αが変わる、又は、木材101の種類が変わると、内側領域30の範囲も変わる。ゆえに、ガイド部203は、角度α、又は、木材101の種類等に応じて、Y方向の位置を変更、又は、変形できるのが望ましい。
【0093】
以上のように、ガイド部203に木材101を押し当てれば、釘24が内側領域30内に打たれるようにすると、ユーザは、木材101をY方向において、位置を調整する等の手間を減らすことができる。そのため、ユーザは、釘打ちの作業を効率良くできる。
【0094】
[変形例]
図18は、変形例を示す図である。
図18は、4つの釘24を打つ例である。このように、長手方向に複数の釘24を打つ場合には、ヘッド部201は、釘24が短手方向において中心が交互にずれる位置に釘24を打つ、すなわち、釘24一直線上に並ばないように打つのが望ましい。
【0095】
釘24が短手方向において中心が交互にずれると、強度を強くできる。
【0096】
具体的には、ヘッド部201が複数の釘24を一度に打つ構成では、ヘッド部201は、各々の釘24が短手方向において中心が異なる位置となるように打つ。
【0097】
また、ヘッド部201が釘24を1つずつ打つ場合には、1つ前に打った位置とは短手方向において中心が異なる位置となるように打つ。
【0098】
例えば、釘打ち機100は、木材101を短手方向に動かす機構等を備える。又は、釘打ち機100は、釘24を打つごとに、第1軸X1を中心にして、ヘッド部201を回転させる。このような構成があると、釘打ち機100は、複数の釘24を短手方向において中心が交互にずれる位置に打つことができる。
【0099】
なお、釘打ち機100は、上記の構成以外の構成によって、複数の釘24を短手方向において中心が交互にずれるように打ってもよい。
【0100】
複数の釘24を打つ場合には、釘24ごと、すなわち、釘24を打つたびに角度を変更し、かつ、釘24を打つ位置が長手方向で所定間隔ごととなるように変更する変更部が更に備わる構成が望ましい。釘24は、様々な角度で打たれると、それぞれのクリンチ形状23が角度に応じて様々な方向へ延びる。このように、クリンチ形状23が様々な方向へ延びていると、色々な方向から力が加わっても釘24が抜けにくく、木箱が力に耐えやすい。
【0101】
また、長手方向に木材101が所定間隔分、送られるのを検出すると、釘打ち機100は、釘24を打つ。このように打つと、釘24が干渉して打たれるのを防げる。なお、所定間隔は、釘24の長さ等で定まる。
【0102】
図19は、釘打ち配置の変形例を示す図である。例えば、
図19(A)、及び、
図18(B)に示すように、4枚以上の木材101を組み合わせて枠300を構成する場合がある。枠300は、木箱11の一部を構成する。
【0103】
枠300において、釘打ち機100は、四隅301には、5点以上の釘24を打つのが望ましい。四隅301は、2枚以上の木材101が重なる位置であり、かつ、木材101の端部から、端部を含む所定距離内の範囲である。以下、4つの四隅301のうち、図において右上にある四隅301を例に説明する。
【0104】
図19(C)は、四隅301の拡大図である。釘打ち機100は、四隅301であると、第1点311、第2点312、第3点313、第4点314、及び、第5点315の5点に釘24を打つ。
【0105】
なお、第1点311、第2点312、第3点313、第4点314、及び、第5点315には、釘打ち機100は、同時に複数の釘24を打ってもよいし、又は、順に釘24を打ってもよい。したがって、釘打ち機100は、事前に5点配置を構成する各々の釘24の位置関係を設定し、四隅301と判断すると、設定されている5点に釘24を打つ。
【0106】
釘打ち機100は、
図19(C)に示すように、第1点311、第2点312、第3点313、第4点314、及び、第5点315の各々の位置に釘24を打つ(以下「5点配置」という。)のが望ましい。なお、5点配置は、以下に説明する5点を含めば、6点以上に釘24を打つでもよい。
【0107】
5点配置は、まず、5点のうち、第2点312、第3点313、第4点314、及び、第5点315が四角形を形成する。そして、四角形の内側に第1点311が配置する。
【0108】
図19に示す例では、第2点312、第3点313、第4点314、及び、第5点315は、正方形を形成する。そして、四角形の対角線の交点に第1点311が位置する。そのため、
図19(C)は、第1点311を中心に、第2点312、第3点313、第4点314、及び、第5点315が点対称となる位置関係となる。
【0109】
なお、5点配置は、
図19(C)に示す位置関係に限られない。例えば、4点で形成する四角形は、正方形以外の形状でもよい。また、第1点311は、対角線の交点から外れていてもよい。
【0110】
四隅301は、他の箇所より強度が求められる場合が多い位置である。そのため、釘打ち機100は、四隅301には5点配置で釘24を打つのが望ましい。5点配置で釘24を打つと、四隅301で木材101が外れにくくでき、強度を高めることができる。
【0111】
なお、釘打ち機100は、カメラ等のセンサで四隅301であるか否かを判断して、四隅301であると、釘24の打ち方を5点配置に切り替えてもよい。又は、釘打ち機100は、ユーザがスイッチを押すと釘24の打ち方を5点配置に切り替えてもよい。
【0112】
なお、釘打ち機100は、クリンチ形状23にしない設定ができてもよい。すなわち、釘打ち機100は、クリンチ形状23を形成する打ち方にするか、又は、クリンチ形状23にしない打ち方にするかを切り替えるクリンチ切替部があるのが望ましい。そして、クリンチ形状23にしない設定であると、釘打ち機100は、釘24を弱く打つ等の調整をする。このような切り替えができると、釘打ち機100は、木製パレットを作ることもできる。
【0113】
[輸送包装に用いる木箱を構成する木材について]
木材101は、ポプラ、もみ、とど松、杉、えぞ松、ラジアタ松、赤ラワン、つが、ひのき、米つが、から松、米松、黒松、赤松、ぶな、シベリアから松、アピトン、又は、単板積層材の日本農林規格(JAS、Japanese Agriculture Standard)で規定された構造用単板積層材のうち、2つ以上の部材の組み合わせ(同一の種類でもよい。)である。
【0114】
輸送包装に用いる木箱、及び、木材101は、JIS Z 1402:2020、及び、木材101は、建築用に用いる木材とは異なり、寸法等にばらつきが大きい。具体的には、JIS Z 1402:2020 表3に規定する呼び寸法が示すように、木材101は、同じ呼び寸法であっても、建築用に用いる木材と比較して寸法に幅がある。
【0115】
また、JIS Z 1402:2020 6.1に、含水量が20%と規定されており、ある程度、木材101が水分を含む場合を許容する。ゆえに、木材101は、水分等により、寸法が変化する場合がある。
【0116】
したがって、建築用に用いる木材と比較して、輸送包装に用いる木箱用の木材101は、同じ呼び寸法の木材101であっても寸法がばらつくため、寸法のばらつきを考慮して釘24を打つことになる。すなわち、建築用に用いる木材用の釘打ちを行う装置は、輸送包装に用いる木箱用の木材101を対象にすると、寸法のばらつきに対応できず、釘24を打てない場合がある。
【0117】
[まとめ]
釘打ち機100は、調整部202により、木材101の垂直方向に対して傾いた角度にする。このように、木材101に対し、ヘッド部201が傾いた角度であり、かつ、金属製の台座部204の組み合わせで釘24を返す構成で、輸送包装に用いる木箱を構成する木材101に対して打つ釘24をJISの規定を満たす程度に打ち曲げることができる。
【0118】
さらに、本実施形態であれば、釘24を打つ工程のとは別にクリンチ形状23を作る工程等が不要であり、作業を効率化できる。
【0119】
また、ガイド部203によるガイドにより、木材101がガイド部203に接していれば、釘24が所定範囲内に打たれる。このため、作業者は木材101をガイド部203に突き当てれば、釘24が端部に打たれてしまうのを防げる。そのため、釘24が打たれる位置を調整するといった位置合わせ等の作業を省略して作業効率を高くし、かつ、釘24を打ち曲げる成功率を高くできる。ゆえに、不良を少なくして、品質の良い木箱を製造できる。
【0120】
例えば、ヘッド部201が木材101の垂直方向に対して傾きがなく、木材101の垂直方向と一致、すなわち、ヘッド部201が木材101の垂直であると、釘24は、打たれた方向へ戻る場合が多い。そのため、釘24は、打ち曲げられず、JISの規定を満たすクリンチ形状23とならない。
【0121】
ヘッド部201に傾きがないと、台座部204は、打たれた釘24をそのまま垂直方向へはね返すため、釘24が水平方向(
図1等におけるX―Y平面方向をいう。)に向かわず、クリンチ形状23の長さがJISの規定を満たす程度に曲がらない場合が多い。そして、クリンチ形状23の長さが短いと、引っ掛かりがないため、重量のある貨物等で強い力がかかると、釘24が抜けやすい。また、硬度の高い台座部204と組み合わせないと、釘24がはね返らないため、釘24が曲がらず、クリンチ形状23の長さが短くなりやすい。
【0122】
このように、JISの規定を満たさないクリンチ形状23であると、釘24が抜けやすく、輸送中等に木箱が崩れる等の可能性がある。すなわち、輸送包装用の木箱としての品質が悪く、釘打ちの不良となる。そして、失敗が多いと、木材101を無駄に使用する。又は、JISの規定を満たさないクリンチ形状23であると、JISの規定を満たすクリンチ形状23とする作業者による作業を要し、作業効率が悪い。
【0123】
また、輸送包装用の木材101は、建築用等の材料、又は、アクリル材と比較すると、寸法のばらつきが大きい、及び、水分等の使用環境が厳しい。そのため、建築用等の釘を打つ装置では、寸法の変動等に対応できず、木材101が装置内に入らない等により、木材101に対して釘が打てない場合もある。
【0124】
[SDGsへの貢献]
持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals、持続可能な開発のための2030アジェンダ、平成27(2015)年9月25日国連サミット採択、以下「SDGs」という。)の推進に向けた取り組みが行われている。具体的には、気候変動への対策等のため、木材の使用を削減して環境を保護する技術が知られている。
【0125】
本発明は、SDGsにおける課題「13」及び「15」等に貢献する効果を奏する。具体的には、本発明は、輸送包装に用いる木箱を製造する上で木材を効率的に使用するのに貢献する。すなわち、本発明は、釘打ちの失敗により木材が無駄に廃棄されるのを防ぎ、木材を効率的に使用できる効果を奏する。この効果により、森林資源等の環境保護に貢献する。
【0126】
[その他の実施形態]
なお、各構成は、一体でなくともよい。すなわち、各装置は、複数の装置を組み合わせた構成でもよい。
【0127】
釘打ち機100は、他の装置、又は、機械システムに組み込まれてもよい。
【0128】
なお、本発明は、上記に例示する各実施形態に限定されない。したがって、本発明は、技術的な要旨を逸脱しない範囲で、構成要素の追加、又は、変形が可能である。ゆえに、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項のすべてが本発明の対象となる。なお、上記に例示する実施形態は、実施において好適な具体例である。そして、当業者であれば、開示した内容から様々な変形例を実現で可能であって、このような変形例は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0129】
10 :回転中心
11 :木箱
12 :貨物
21 :第1面
22 :第2面
23 :クリンチ形状
24 :釘
25 :節
30 :内側領域
100 :釘打ち機
101 :木材
201 :ヘッド部
202 :調整部
203 :ガイド部
204 :台座部
205 :操作部
X1 :第1軸
X2 :第2軸
X3 :第3軸
α :角度
【手続補正書】
【提出日】2022-03-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
輸送包装に用いる木箱を構成する木材に対して釘を打つ釘打ち機であって、
前記木材に対して前記釘を打つヘッド部と、
前記釘が打たれる前記木材の第1面と対向する第2面で接し、かつ、一定以上の硬度である台座部と、
前記ヘッド部、又は、前記木材の姿勢を変化させて、前記木材の長手方向となる第1軸、又は、前記木材の短手方向である第2軸において、前記第1面の垂直方向に対し傾いた角度で前記第1面に前記釘を打つように前記ヘッド部を前記第2軸を中心に回転、又は、前記台座部を回転させて調整する調整部と、
前記木材と接していると、前記釘が前記木材の端部から2cmより内側となる位置へガイドするガイド部と
を備え、
前記木材は、JIS Z 1402:2020に規定された木材であり、
前記台座部による打ち曲げで前記釘の先端部に0.3cm以上のクリンチを形成し、
前記角度は、8°乃至23°であって、
前記調整部は、
前記厚みが厚い、又は、前記釘が短いと、前記角度を小さくし、
前記ヘッド部は、
前記長手方向に複数の前記釘を打ち、かつ、複数の前記釘が前記短手方向において交互にずれる位置に前記釘を打ち、
前記長手方向に所定間隔分送られるごとに打つ前記釘について、前記釘を打つごとに前記角度を変更する
釘打ち機。
【請求項2】
足での操作を受け付けて、前記ヘッド部に前記釘を打たせる操作部を更に備える
請求項1に記載の釘打ち機。
【請求項3】
前記角度は、13°乃至18°である
請求項1又は2に記載の釘打ち機。
【請求項4】
前記調整部は、前記角度を前記木材の厚み、前記木材の種類、又は、節の有無によって変更し、
前記厚みが厚いと、前記角度を小さくする
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の釘打ち機。
【請求項5】
前記調整部は、
前記台座部、前記ヘッド部を前記第2軸を中心に回転、又は、これら両方を回転させる機構を備える
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の釘打ち機。
【請求項6】
前記角度は、前記垂直方向となる第3軸に対する角度を含み、
前記第1面は、前記木材の上面であり、かつ、前記第2面は、前記木材の底面であり、
前記第1軸は、ピッチ軸であり、かつ、前記第2軸は、ロール軸であり、
前記調整部は、前記ヘッド部を前記第2軸を中心に回転、又は、前記台座部を回転させる1自由度以上の機構を有し、
前記ガイド部は、前記ヘッド部を支える支柱であり、前記ガイド部に前記木材が突き当てられると、前記釘が前記木材に当たる位置に前記木材が位置する
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の釘打ち機。
【請求項7】
前記木材を組み合わせて構成する枠に対して、前記釘を打つ場合において、
前記ヘッド部は、
前記枠の四隅であると判断すると、前記四隅に前記釘を5点以上打つ5点配置で前記釘を打つ
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の釘打ち機。
【請求項8】
クリンチ形状を形成するか、又は、クリンチ形状にしないかを切り替えるクリンチ切替部を更に備える
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の釘打ち機。